(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003980
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】空中映像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 30/56 20200101AFI20230110BHJP
G02B 5/136 20060101ALI20230110BHJP
G02B 5/124 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
G02B30/56
G02B5/136
G02B5/124
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105394
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 雅彦
【テーマコード(参考)】
2H042
2H199
【Fターム(参考)】
2H042EA04
2H042EA11
2H042EA15
2H042EA21
2H199BA32
2H199BA62
2H199BB10
2H199BB17
2H199BB18
2H199BB20
2H199BB51
2H199BB52
2H199BB59
(57)【要約】
【課題】小さな筐体で視野角が大きな空中映像表示装置を提供する。
【解決手段】映像表示器3と、光を透過または反射させるビームスプリッタ4と、映像表示器3から出射されビームスプリッタ4で反射された光を再帰反射させる再帰反射シート5と、ビームスプリッタ4から再帰反射シート5の外側に向かった光を反射して再帰反射シートに導くミラー6とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示器と、
光を透過または反射させるビームスプリッタと、
前記映像表示器から出射され前記ビームスプリッタで反射された光を再帰反射させる再帰反射シートと、
前記ビームスプリッタから前記再帰反射シートの外側に向かった光を反射して前記再帰反射シートに導くミラーとを備えたことを特徴とする空中映像表示装置。
【請求項2】
前記ミラーの反射面である平面は、前記ビームスプリッタの反射面である平面と前記再帰反射シートの表面である平面とに対して垂直な面であることを特徴とする請求項1に記載の空中映像表示装置。
【請求項3】
前記ミラーの端部が前記再帰反射シートの表面に接していることを特徴とする請求項1または2に記載の空中映像表示装置。
【請求項4】
前記ミラーは表面鏡あるいは金属鏡であり、
前記再帰反射シートの端部が前記ミラーの表面に接していることを特徴とする請求項1または2に記載の空中映像表示装置。
【請求項5】
前記ミラーは、前記ビームスプリッタに接していることを特徴とする請求項3または4に記載の空中映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、空中映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特殊なメガネが不要で、霧などのスクリーンを使用せずに空中に映像を表示することができる空中映像表示装置が知られている。例えば、ビームスプリッタと再帰反射シートとを用いて、映像表示器に表示された映像をビームスプリッタに対して面対称な位置の空間に結像させて映像を表示する空中映像表示装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された空中映像表示装置では、観察者から空中に表示された映像(以下、空中映像と記す)が見える位置では、空中映像の奥にビームスプリッタと再帰反射シートが必ず存在しなければならない。そのため、再帰反射シートは、ビームスプリッタよりも大きなものでなければならない。さらに、観察者から空中映像が見ることができる角度である視野角を大きくしようとすると、再帰反射シートをさらに大きくしなければならないという課題があった。
【0005】
本願は、上述の課題を解決するためになされたものであり、小さな筐体で視野角が大きな空中映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示される空中映像表示装置は、映像表示器と、光を透過または反射させるビームスプリッタと、映像表示器から出射されビームスプリッタで反射された光を再帰反射させる再帰反射シートと、ビームスプリッタから再帰反射シートの外側に向かった光を反射して再帰反射シートに導くミラーとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示される空中映像表示装置は、ビームスプリッタから再帰反射シートの外側に向かった光を反射して再帰反射シートに導くミラーを備えたので、小さな筐体で視野角を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1による空中映像表示装置の模式図である。
【
図2】実施の形態2による空中映像表示装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願を実施するための実施の形態に係る空中映像表示装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一符号は同一もしくは相当部分を示している。
【0010】
実施の形態1.
図1は実施の形態1による空中映像表示装置1の模式図である。
図1の上の図は空中映像表示装置1を側面から見た図であり、
図1の下の図は空中映像表示装置1を上部から見た図である。
図1において、x軸は観察者10から見た左右方向であり、y軸は観察者10から見た奥行方向であり、z軸は観察者10から見た上下方向である。x軸、y軸およびz軸は、それぞれ、お互いに直交している。
【0011】
空中映像表示装置1は、筐体2と、筐体2の内部に配置された映像表示器3と、筐体2の開口部に設けられたビームスプリッタ4と、筐体2の内部に配置された再帰反射シート5と、筐体2の内部に配置されたミラー6とを備えている。映像表示器3としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LED素子が配列されたディスプレイなどを用いることができる。ビームスプリッタ4としては、例えば、ハーフミラー、反射型偏光板などを用いることができる。再帰反射シート5としては、例えば、球状の透明ガラスビーズを並べたガラスビーズ方式のシート、透明な三角錐を配列したマイクロプリズム方式のシートなどを用いることができる。映像表示器3から出射された光はビームスプリッタ4に入射し、その一部が反射されて再帰反射シート5に入射する。再帰反射シート5は、入射した光を入射方向へ反射する特性を有している。再帰反射シート5は、ビームスプリッタ4から入射した光をビームスプリッタ4に向かって反射させる。再帰反射シート5からビームスプリッタ4に向かって反射された光は、一部がビームスプリッタ4を透過する。このようにして、映像表示器3から出射された光は、ビームスプリッタ4を透過して筐体2の外側で結像され、空中映像7となる。観察者10は、この空中映像7を観察することができる。
【0012】
観察者10から見て再帰反射シート5の左右に1枚ずつ設けられたミラー6のそれぞれは、全反射性で平面であり、ビームスプリッタ4から再帰反射シート5の外側に向かった光を反射して再帰反射シート5に導くものである。
図1に示す空中映像表示装置1では、観察者10から見た左右方向は、映像表示器3の表示面である平面に直角に交わる直線と、ビームスプリッタ4の反射面である平面に直角に交わる直線との、両方の直線と直角に交わる直線に沿った方向、すなわちx軸に沿った方向である。
【0013】
図1の下の図では、ビームスプリッタ4から再帰反射シート5の外側に向かう光の例を矢印で示している。
図1の下の図においては、映像表示器3から出射されビームスプリッタ4で反射された光が、再帰反射シート5の外側に向かっている。ミラー6は、映像表示器3から出射されビームスプリッタ4で反射されビームスプリッタ4から再帰反射シート5の外側に向かう光を反射して、再帰反射シート5に導く。再帰反射シート5は、ミラー6によって導かれた光をミラー6に向かって反射させる。再びミラー6によって反射された光の一部がビームスプリッタ4を透過して筐体2の外側で結像され、空中映像7の一部となる。
【0014】
図1の下の図において、観察者10は、ミラー6に反射した再帰反射シート5を、仮想的再帰反射シート8として見ることができる。実施の形態1による空中映像表示装置1では、ミラー6を再帰反射シート5の観察者10から見た左右方向のそれぞれの端部の周辺に設置することにより、再帰反射シート5を仮想的再帰反射シート8の位置まで広げたときと同じだけ、観察者10から見た左右方向の視野角を広げることができる。観察者10から見た左右方向の視野角を広げることにより、空中映像表示装置1の左右方向から近づいた観察者10にとって空中映像7の全体を見ることがより容易になる。
【0015】
ミラー6として表面を反射面とした表面鏡あるいは金属板の表面を研磨して作られる金属鏡などを用いる場合は、再帰反射シート5の端部がミラー6の表面に接することにより、空中映像7として見える光の一部がミラー6に反射され一部がミラー6に反射されていないものであった場合であっても、空中映像7を連続した映像として見ることができる。ミラー6としてガラスの裏面に金属メッキしたような裏面鏡を用いる場合は、ミラー6の反射面をガラスが覆っており、再帰反射シート5の端部はミラー6の反射面に接することができない。そのため、ミラー6の端部が再帰反射シート5の表面に接することにより、空中映像7として見える光の一部がミラー6に反射され一部がミラー6に反射されていないものであった場合であっても、空中映像7を連続した映像として見ることができる。なお、ミラー6の端部が再帰反射シート5の表面に接する場合は、ミラー6は、裏面鏡に限るものではなく、再帰反射シート5の表面に接しているミラー6の端部まで反射面が連続しているものであればよい。
【0016】
なお、
図1に示す空中映像表示装置1では、ミラー6を平面として、ミラー6の反射面である平面を、ビームスプリッタ4の反射面である平面と再帰反射シート5の表面である平面とに対して垂直な面としているが、ビームスプリッタ4から再帰反射シート5の外側に向かった光を反射して再帰反射シート5に導くものであればどのようなものでも構わない。ただし、再帰反射シート5は光の入射角が大きくなるほど再帰反射性の性能が下がるため、ミラー6を平面として、ミラー6の反射面である平面を、ビームスプリッタ4の反射面である平面と再帰反射シート5の表面である平面とに対して垂直な面とすることにより、再帰反射シート5の再帰反射性の性能を保ったまま、小さな筐体で視野角を大きな空中映像表示装置1を実現することができる。また、ミラー6の反射面である平面を、ビームスプリッタ4の反射面である平面と再帰反射シート5の表面である平面とに対して垂直な面とし、ミラー6をビームスプリッタ4から再帰反射シート5の外側に向かった光を反射して再帰反射シート5に導く位置に設けることにより、観察者10から見た左右方向にミラー6を配置することになり、観察者10から見た左右方向の視野角を広げることができる。
【0017】
以上のように、実施の形態1による空中映像表示装置1は、映像表示器3と、光を透過または反射させるビームスプリッタ4と、映像表示器3から出射されビームスプリッタ4で反射された光を再帰反射させる再帰反射シート5と、ビームスプリッタ4から再帰反射シート5の外側に向かった光を反射して再帰反射シート5に導くミラー6とを備えたので、小さな筐体で視野角を大きくすることができる。
【0018】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2による空中映像表示装置1aの模式図である。
図2に示す実施の形態2による空中映像表示装置1aを
図1に示す実施の形態1による空中映像表示装置1と比較すると、ミラー6がミラー6aになっている。実施の形態2による空中映像表示装置1aの他の構成は、実施の形態1による空中映像表示装置1と同じである。
【0019】
観察者10から見て左右に1枚ずつ設けられたミラー6aは、再帰反射シート5に接するとともに、ビームスプリッタ4とも接している。このように設置することにより、筐体2において仮想的再帰反射シート8aを最も大きくすることができ、視野角を最も広げることができる。なお、ミラー6aの端部がビームスプリッタ4に接していても、ビームスプリッタ4の観察者10から見た左右方向の端部がミラー6aに接していても、どちらでもよい。
【0020】
本願は、様々な例示的な実施の形態が記載されているが、1つまたは複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
したがって、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0021】
1、1a 空中映像表示装置、2 筐体、3 映像表示器、4 ビームスプリッタ、5 再帰反射シート、6、6a ミラー、7 空中映像、8、8a 仮想的再帰反射シート、10 観察者。