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特開2023-39809ロータリーキルンの供給装置およびロータリーキルン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039809
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】ロータリーキルンの供給装置およびロータリーキルン
(51)【国際特許分類】
   F27B 7/32 20060101AFI20230314BHJP
   F27B 7/06 20060101ALI20230314BHJP
   F27D 3/16 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
F27B7/32
F27B7/06
F27D3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147108
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】390008431
【氏名又は名称】高砂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】大島 士月
(72)【発明者】
【氏名】土井 理成
(72)【発明者】
【氏名】中村 寿樹
【テーマコード(参考)】
4K055
4K061
【Fターム(参考)】
4K055AA06
4K055MA02
4K055MA17
4K061AA08
4K061BA00
4K061CA21
4K061DA05
4K061EA03
4K061EA07
4K061FA11
4K061GA03
(57)【要約】
【課題】被処理物が残留しにくく、被処理物が損傷を受けにくく、コンタミネーションが発生しにくいロータリーキルンの供給装置およびロータリーキルンを提供することを課題とする。
【解決手段】ロータリーキルン1の供給装置4は、ロータリーキルン1の回転筒部2の内部空間Cに被処理物Wを供給する。供給装置4は、筒体430を有する供給フィーダー43を備える。筒体430は、筒内通路Mと搬入口430cと搬出口430dと筒内ガス導入口431a、432aとを有する。筒内ガス導入口431a、432aは、被処理物Wを搬送する搬送ガスGを筒内通路Mに導入する。内部空間Cにおいては、大気以外の雰囲気下で、被処理物Wに熱処理が施される。搬送ガスGは、大気以外の雰囲気ガスである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリーキルンの回転筒部の内部空間に被処理物を供給するロータリーキルンの供給装置であって、
筒体を有する供給フィーダーを備え、
前記筒体は、前記内部空間に連通する筒内通路と、前記被処理物を前記筒内通路に搬入する搬入口と、前記被処理物を前記筒内通路から搬出する搬出口と、前記被処理物を搬送する搬送ガスを前記筒内通路に導入する筒内ガス導入口と、を有し、
前記内部空間においては、大気以外の雰囲気下で、前記被処理物に熱処理が施され、
前記搬送ガスは、大気以外の雰囲気ガスであるロータリーキルンの供給装置。
【請求項2】
前記筒体には、軸方向一端から軸方向他端に向かって、軸方向一端開口と、前記搬入口と、前記筒内通路と、前記搬出口と、軸方向他端開口と、が配置され、
前記筒体における、前記軸方向一端開口と前記搬入口との間の区間を通路外区間、前記搬入口と前記搬出口との間の区間を通路内区間として、
前記筒内ガス導入口は、前記通路外区間および前記通路内区間のうち、少なくとも一方に前記搬送ガスを導入する請求項1に記載のロータリーキルンの供給装置。
【請求項3】
前記供給フィーダーは、前記筒体の前記軸方向他端開口を封止する下流側端板を有し、
前記搬出口は、前記下流側端板に隣接して配置される請求項2に記載のロータリーキルンの供給装置。
【請求項4】
前記筒体は、蓋取付口を有し、
前記供給フィーダーは、蓋体を有し、
前記蓋体は、前記蓋取付口に着脱可能に取り付けられ、前記筒内ガス導入口を有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のロータリーキルンの供給装置。
【請求項5】
前記搬入口の上流側に配置される供給シュートを備え、
前記供給シュートの内部には、前記被処理物が搬送されるシュート内通路が配置され、
前記供給シュートは、前記搬送ガス、または前記シュート内通路における前記搬送ガスの流動を抑制可能なシールガスを前記シュート内通路に導入するシュート内ガス導入口を有する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のロータリーキルンの供給装置。
【請求項6】
前記筒体は、複数の前記筒内ガス導入口を有し、
前記筒内ガス導入口が前記筒内通路に前記搬送ガスを導入するタイミングは、上流側から下流側に向かって、複数の前記筒内ガス導入口で、順次、受け継がれる請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のロータリーキルンの供給装置。
【請求項7】
前記ロータリーキルンは、バッチ式のロータリーキルンである請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のロータリーキルンの供給装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のロータリーキルンの供給装置を備えるロータリーキルン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、医薬品、電池材料などの被処理物を炉内に供給するロータリーキルンの供給装置およびロータリーキルンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のロータリーキルンは、スクリューフィーダーを備えている。スクリューフィーダーは、ロータリーキルンの回転筒部の内部空間に、被処理物を供給するために用いられる。スクリューフィーダーは、パイプとスクリューとを備えている。スクリューは、パイプの内部に、回転可能に収容されている。スクリューの回転に伴い、被処理物は回転筒部の内部空間に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-075195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スクリューフィーダーを用いると、パイプの内部に被処理物が残留しやすい。また、パイプとスクリューとの摩擦により、被処理物が損傷を受けやすい。また、パイプとスクリューとの摩擦により、スクリューやパイプの摩耗片が被処理物に混入しやすい。つまり、コンタミネーションが発生しやすい。そこで、本発明は、被処理物が残留しにくく、被処理物が損傷を受けにくく、コンタミネーションが発生しにくいロータリーキルンの供給装置、および当該供給装置を備えるロータリーキルンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明のロータリーキルンの供給装置(以下、適宜、「ロータリーキルンの供給装置」を「供給装置」と略称する。)は、ロータリーキルンの回転筒部の内部空間に被処理物を供給するロータリーキルンの供給装置であって、筒体を有する供給フィーダーを備え、前記筒体は、前記内部空間に連通する筒内通路と、前記被処理物を前記筒内通路に搬入する搬入口と、前記被処理物を前記筒内通路から搬出する搬出口と、前記被処理物を搬送する搬送ガスを前記筒内通路に導入する筒内ガス導入口と、を有し、前記内部空間においては、大気以外の雰囲気下で、前記被処理物に熱処理が施され、前記搬送ガスは、大気以外の雰囲気ガスであることを特徴とする。また、本発明のロータリーキルンは、上述の供給装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の供給装置およびロータリーキルンによると、搬送ガスの気流により、回転筒部の内部空間に被処理物を供給することができる。このため、筒内通路に被処理物が残留しにくい。また、被処理物が損傷を受けにくい。また、コンタミネーションが発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第一実施形態のロータリーキルンの軸方向断面図である。
図2図2は、図1の枠II内の拡大図である。
図3図3は、図1の枠III内の拡大図である。
図4図4は、熱処理方法の供給工程におけるバルブの制御方法のフローチャートである。
図5図5は、第二実施形態の供給部の軸方向断面図である。
図6図6は、熱処理方法の供給工程におけるバルブの制御方法のフローチャートである。
図7図7は、その他の実施形態の供給部の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の供給装置およびロータリーキルンの実施の形態について説明する。
【0009】
<第一実施形態>
[ロータリーキルンの構成]
まず、本実施形態のロータリーキルンの構成について説明する。以降の図において、左側は上流側(供給側)に、右側は下流側(排出側)に、各々対応している。図1に、本実施形態のロータリーキルンの軸方向断面図を示す。図2に、図1の枠II内の拡大図を示す。図3に、図1の枠III内の拡大図を示す。図1図3に示すように、ロータリーキルン1は、主に、回転筒部2と、回転支持部3と、供給部4と、熱処理部5と、排出部6と、を備えている。供給部4は、本発明の「ロータリーキルンの供給装置」の概念に含まれる。ロータリーキルン1は、被処理物Wに一定量ごとに熱処理を施すバッチ式のロータリーキルンである。
【0010】
(回転支持部3)
架台9は、駆動機構(図略。例えば電動ジャッキ、油圧シリンダなど)により、左側が上昇し右側が下降する方向に、傾動可能である。回転支持部3は、架台9に配置されている。回転支持部3は、一対の上流側ローラー30と、一対の下流側ローラー31と、上流側摺動シール部32と、下流側摺動シール部33と、を備えている。
【0011】
上流側ローラー30は、後述する熱処理部5の左側に配置されている。一対の上流側ローラー30は、前後方向(炉幅方向)に並んで配置されている。下流側ローラー31は、熱処理部5の右側に配置されている。一対の下流側ローラー31は、前後方向に並んで配置されている。上流側摺動シール部32は、上流側ローラー30の左側に配置されている。下流側摺動シール部33は、下流側ローラー31の右側に配置されている。
【0012】
(回転筒部2)
回転筒部2は、回転支持部3により、回転可能に支持されている。回転筒部2は、外筒20と、連結筒21と、内筒22と、を備えている。回転筒部2の内部には、内部空間Cが設定されている。外筒20は、外筒本体200と、上流側タイヤ201と、下流側タイヤ202と、スプロケット203と、を備えている。
【0013】
外筒本体200は、回転軸Aを中心とする円筒状を呈している。外筒本体200は、左右方向に延在している。外筒本体200の右端付近は、下流側摺動シール部33に摺接している。
【0014】
上流側タイヤ201は、外筒本体200の左端付近に環装されている。上流側タイヤ201は、環状を呈している。上流側タイヤ201は、一対の上流側ローラー30に、転動可能に載置されている。下流側タイヤ202は、外筒本体200の右端付近に環装されている。下流側タイヤ202は、環状を呈している。下流側タイヤ202は、一対の下流側ローラー31に、転動可能に載置されている。
【0015】
スプロケット203は、上流側タイヤ201の左側に併設されている。スプロケット203には、駆動力伝達用のチェーン(図略)が巻装されている。駆動装置(図略)からの駆動力は、チェーンを介して、スプロケット203に伝達される。当該駆動力により、外筒本体200つまり外筒20は、上流側ローラー30、下流側ローラー31上で、回転軸A(外筒本体200の径方向中心軸)の軸周りに、正方向および逆方向(正方向に対して反対方向)に回転可能である。
【0016】
連結筒21は、外筒本体200の左側に連結されている。連結筒21は、回転軸Aを中心とする円筒状を呈している。連結筒21は、上流側摺動シール部32に摺接している。連結筒21は、外筒20と共に、回転軸Aの軸周りに、正方向および逆方向に回転可能である。
【0017】
内筒22は、外筒20の径方向内側に配置されている。内筒22は、外筒20および連結筒21と共に、回転軸Aの軸周りに、正方向および逆方向に回転可能である。内筒22は、内筒本体220と、上流側送りフィン221と、下流側送りフィン222と、複数の掻き上げフィン223と、を備えている。
【0018】
内筒本体220は、回転軸Aを中心とする円筒状を呈している。内筒本体220は、左右方向に延在している。内筒本体220の内部(後述する熱処理部5の断熱材51、ヒーター52の径方向内側)には、熱処理帯Bが設定されている。熱処理帯Bは、内部空間Cの中間部である。熱処理帯Bにおいては、被処理物Wに、大気以外の雰囲気下で、所定の熱処理が施される。外筒本体200に対して、内筒本体220は着脱可能である。
【0019】
上流側送りフィン221は、内筒本体220の内周面に配置されている。上流側送りフィン221は、熱処理帯Bの左端付近に配置されている。上流側送りフィン221は、螺旋状を呈している。上流側送りフィン221は、回転軸Aを中心に、540°(1.5回転)の範囲に亘って延在している。下流側送りフィン222は、内筒本体220の内周面に配置されている。下流側送りフィン222は、熱処理帯Bの右端付近に配置されている。下流側送りフィン222は、螺旋状を呈している。下流側送りフィン222は、回転軸Aを中心に、540°(1.5回転)の範囲に亘って延在している。上流側送りフィン221の螺旋巻回方向と、下流側送りフィン222の螺旋巻回方向と、は互いに反対である。例えば、左側から見て、上流側送りフィン221は時計回りに巻回されている。他方、下流側送りフィン222は反時計回りに巻回されている。
【0020】
内筒22が正方向に回転する場合、被処理物Wは、上流側送りフィン221により、右側に送られる。また、被処理物Wは、下流側送りフィン222により、左側に送られる。すなわち、被処理物Wは、熱処理帯Bに近接する方向に送られる。内筒22が逆方向に回転する場合、被処理物Wは、上流側送りフィン221により、左側に送られる。また、被処理物Wは、下流側送りフィン222により、右側に送られる。すなわち、被処理物Wは、熱処理帯Bから離間する方向に送られる。
【0021】
複数の掻き上げフィン223は、内筒本体220の内周面に配置されている。掻き上げフィン223は、上流側送りフィン221と下流側送りフィン222との間に配置されている。掻き上げフィン223は、熱処理帯Bに配置されている。
【0022】
(熱処理部5)
熱処理部5は、架台9に配置されている。熱処理部5は、ハウジング50と、断熱材51と、ヒーター(熱源)52と、を備えている。回転筒部2は、熱処理部5を左右方向に貫通している。回転筒部2の左右方向中間部分は、熱処理部5に収容されている。ハウジング50は、円筒状を呈している。断熱材51は、ハウジング50の内面に積層されている。ヒーター52は、断熱材51に埋設されている。ヒーター52の内周面は、外筒本体200の外周面に、径方向に対向している。
【0023】
(供給部4)
供給部4は、回転筒部2の左側に配置されている。供給部4は、供給フード40と、供給シュート41と、供給容器42と、供給フィーダー43と、二つのバイブレーター44a、44bと、ガス供給源(例えばガスタンク、ガス配管など)45と、MFC(マスフローコントローラー)46と、共用配管(ガス供給配管)L3と、五つの配管(ガス供給配管)L4~L8と、五つのバルブV4~V8を備えている。供給フード40は、回転筒部2の左端(詳しくは、連結筒21の左端)を、左側から覆っている。図2に示すように、供給フード40には、配管L1の上流端が連なっている。配管L1の下流端は、バルブ(図略)を介して、真空ポンプ91に連なっている。
【0024】
供給フィーダー43は、筒体430と、三つの蓋体431と、上流側端板432と、下流側端板433と、を備えている。上流側端板432は、本発明の「蓋体」の概念に含まれる。
【0025】
筒体430は、左右方向(軸方向)に延在する半円筒状を呈している。筒体430は、供給フード40を左右方向に貫通している。筒体430は、左端開口430aと、右端開口430bと、搬入口430cと、搬出口430dと、三つの蓋取付口430eと、を備えている。左端開口430aは、本発明の「軸方向一端開口」、「蓋取付口」の概念に含まれる。右端開口430bは、本発明の「軸方向他端開口」の概念に含まれる。筒体430の内部には、左右方向に延在する筒内通路Mが配置されている。筒内通路Mは、内部空間C(具体的には熱処理帯B)に連通している。
【0026】
左端開口430aは、筒体430の左端(軸方向一端)に配置されている。右端開口430bは、筒体430の右端(軸方向他端)に配置されている。搬入口430cは、筒体430の筒壁の左端開口430a付近に配置されている。搬入口430cは、筒壁の上端位置(上端を含む位置)に配置されている。被処理物Wは、搬入口430cを介して、後述するシュート内通路Nから筒内通路Mに、搬入される。
【0027】
搬出口430dは、筒体430の筒壁の右端開口430b付近に配置されている。搬出口430dは、筒壁の下端位置(下端を含む位置)に配置されている。搬出口430dは、後述する下流側端板433に隣接して配置されている。被処理物Wは、搬出口430dを介して、筒内通路Mから熱処理帯Bに、搬出される。
【0028】
三つの蓋取付口430eは、筒体430の筒壁における、搬入口430cと搬出口430dとの間に、所定間隔ずつ離間して、左右方向に並んで配置されている。三つの蓋取付口430eは、筒壁の上端位置に配置されている。
【0029】
筒体430における、左端開口430aと搬入口430c左端との間の区間は、通路外区間P1である。左端開口430aは、通路外区間P1に配置されている。筒体430における、搬入口430c右端と搬出口430d左端との間の区間は、通路内区間P2である。三つの蓋取付口430eは、通路内区間P2に配置されている。
【0030】
三つの蓋体431は、各々、蓋取付口430eに着脱可能に取り付けられている。蓋体431には、下流側ガス導入口431aが開設されている。下流側ガス導入口431aは、本発明の「筒内ガス導入口」の概念に含まれる。被処理物Wを搬送する搬送ガスGは、下流側ガス導入口431aを介して、配管L6~L8から筒内通路M(通路内区間P2)に、導入される。搬送ガスGは、大気以外の雰囲気ガスである。
【0031】
上流側端板432は、筒体430の左端開口430aを封止している。上流側端板432には、上流側ガス導入口432aが開設されている。上流側ガス導入口432aは、本発明の「筒内ガス導入口」の概念に含まれる。被処理物Wを搬送する搬送ガスGは、上流側ガス導入口432aを介して、配管L5から通路外区間P1に、導入される。搬送ガスGは、大気以外の雰囲気ガスである。下流側端板433は、筒体430の右端開口430bを封止している。
【0032】
供給シュート41は、供給フィーダー43の搬入口430cの上側(上流側)に連結されている。供給シュート41は、上下方向に延在している。供給シュート41の内部には、上下方向に延在するシュート内通路Nが配置されている。シュート内通路Nは、搬入口430cを介して、筒内通路Mに連通している。
【0033】
供給シュート41は、下側から上側に向かって、シュート本体410と、バルブアセンブリ411と、を備えている。シュート本体410は、上下方向に延在する筒状を呈している。シュート本体410の下端部には、上側から下側に向かって尖る、テーパー筒部410aが配置されている。バルブアセンブリ411は、バルブ411aと、バルブケース411bと、を備えている。バルブケース411bは、筒状を呈している。バルブ411aは、バルブケース411bに装着されている。バルブ411aは、いわゆるバタフライバルブである。また、バルブ411aは、開閉時にバルブケース411bに摺動しない非摺動バルブである。バルブ411aは、バルブケース411bの内部空間(つまりシュート内通路N)を開放、遮断可能である。バルブケース411bには、シュート内ガス導入口411cが開設されている。シュート内ガス導入口411cは、バルブ411aの上側(上流側)に配置されている。被処理物Wを搬送する搬送ガスGは、シュート内ガス導入口411cを介して、配管L4からシュート内通路Nにおけるバルブ411aの上流側に、導入される。搬送ガスGは、大気以外の雰囲気ガスである。
【0034】
供給容器42は、供給シュート41の上側に連結されている。供給容器42は、容器本体420と、蓋体421と、を備えている。蓋体421は、容器本体420の上端開口を封止している。供給容器42(具体的には、閉状態のバルブ411aの上側の空間)には、熱処理前の被処理物Wが貯留される。
【0035】
MFC46は、ガス供給源45の下流側(搬送ガスGの流動方向における下流側)に接続されている。MFC46は、共用配管L3を介して、五つの配管(ガス供給配管)L4~L8に接続されている。バルブV4は配管L4に、バルブV5は配管L5に、バルブV6は配管L6に、バルブV7は配管L7に、バルブV8は配管L8に、各々配置されている。
【0036】
バイブレーター44aは、下流側端板433に配置されている。バイブレーター44aは、下流側端板433を加振可能である。バイブレーター44bは、シュート本体410のテーパー筒部410aに配置されている。バイブレーター44bは、テーパー筒部410aを加振可能である。
【0037】
(排出部6)
排出部6は、回転筒部2の右側に配置されている。排出部6は、排出フード60と、排出シュート61と、排出容器62と、を備えている。排出フード60は、回転筒部2の右端を、右側から覆っている。図2に示すように、排出フード60には、配管L2の下流端が連なっている。配管L2の上流端は、バルブ(図略)を介して、MFC92と、ガス供給源45と、に連なっている。排出シュート61は、排出フード60の下側(下流側)に連結されている。排出シュート61は、上下方向に延在している。排出シュート61には、蛇腹部610が配置されている。蛇腹部610は、架台9傾動時の排出フード60の移動量に応じて、変形可能である。排出容器62は、排出シュート61の下側に連結されている。排出容器62には、熱処理後の被処理物Wが貯留される。
【0038】
[熱処理方法]
次に、本実施形態のロータリーキルンによる熱処理方法について説明する。熱処理方法は、供給工程と、熱処理工程と、片寄せ工程と、排出工程と、を有している。なお、熱処理工程中、ガス供給源45は、配管L2を介して、炉内空間(具体的には、供給フード40、回転筒部2、排出フード60の内部空間)Dに所定の雰囲気ガスを供給する。また、真空ポンプ91は、配管L1を介して、炉内空間Dを減圧する。
【0039】
(供給工程)
本工程においては、まず、架台9つまり外筒20、内筒22を水平に配置する。次に、蓋体421を開け、供給容器42に、熱処理前の被処理物Wを、所定量(1バッチ分)だけ搬入する。続いて、蓋体421を閉める。そして、外筒20、内筒22を正方向に回転させる。
【0040】
それから、供給部4を駆動する。すなわち、搬送ガス(炉内空間Dの雰囲気ガスと同じガス)Gの気流により、供給容器42から熱処理帯Bに被処理物Wを搬送する。具体的には、バルブ411aを開状態に切り換え、シュート内通路Nを開放する。また、バイブレーター44a、44bの振動を開始する。また、バルブV4~V8を開閉制御し、シュート内通路Nに搬送ガスGを導入する。なお、本工程におけるバルブV4~V8の制御方法については、後述する。
【0041】
(熱処理工程)
本工程においては、内筒22を正方向に回転させたまま、かつ内筒22を水平に保持したまま、所定の温度パターン(温度一定の場合を含む)で、所定の時間だけ、熱処理帯Bの被処理物Wに、熱処理を施す。熱処理中、被処理物Wは、内筒22の回転に伴い、揺動する。また、被処理物Wは、複数の掻き上げフィン223により掻き上げられ、自重により流下する。
【0042】
ここで、内筒22は正方向に回転している。このため、上流側送りフィン221付近の被処理物Wは、上流側送りフィン221により、下流側(熱処理帯B側)に送られる。並びに、下流側送りフィン222付近の被処理物Wは、下流側送りフィン222により、上流側(熱処理帯B側)に送られる。したがって、被処理物Wは熱処理帯Bに滞留する。
【0043】
(片寄せ工程)
本工程においては、内筒22を正方向に回転させたまま、架台9つまり外筒20、内筒22を、左側から右側に向かって下降するように、傾動させる。内筒22の傾動により、熱処理帯Bにおいて、被処理物Wは下流側に寄せられる。すなわち、被処理物Wは、上流側送りフィン221から離間し、下流側送りフィン222に近接するように、内筒本体220内部を流下する。
【0044】
(排出工程)
本工程においては、外筒20および内筒22の回転方向を反転させる。すなわち、外筒20および内筒22を逆方向に回転させる。このため、被処理物Wは、下流側送りフィン222により、熱処理帯Bから下流側に送られる。被処理物Wは、排出シュート61を介して、排出容器62に貯留される。
【0045】
このようにして、1バッチ分の被処理物Wの熱処理が実行される。この後、被処理物Wの処理量(バッチ数)に応じて、上述の熱処理方法(供給工程、熱処理工程、片寄せ工程、排出工程)が繰り返し実行される。
【0046】
[供給工程におけるバルブの制御方法]
次に、上述の供給工程におけるバルブの制御方法について説明する。なお、当該制御方法は、ロータリーキルンの制御装置(PLC(プログラマブルロジックコントローラー)、コンピューターなど)により、自動的に実行される。図4に、供給工程におけるバルブの制御方法のフローチャートを示す。
【0047】
図4に示すように、供給工程(被処理物Wの気流搬送時)においては、まず、前述したように、バルブ411aを開状態に切り換え、シュート内通路Nを開放する(S1(ステップ1、以下同様))。シュート内通路Nの開放に伴い、被処理物Wは、自重により、搬入口430cを介して、供給容器42から筒内通路Mに流下する。
【0048】
次に、バルブV5を開状態に切り換え、配管L5のガス通路を開放する(S2)。すなわち、MFC46を、上流側ガス導入口432aに連通させる。続いて、ガス供給源45から、MFC46、共用配管L3、配管L5、上流側ガス導入口432aを介して、通路外区間P1に、搬送ガスGを供給する。当該搬送ガスGの気流により、搬入口430cから筒内通路Mに流れ込んだ被処理物Wを、右側(下流側)に搬送する。また、搬送ガスGの供給に併せて、図2に示す真空ポンプ91は、配管L1を介して、炉内空間Dを減圧する。なお、当該減圧は、次工程である熱処理工程まで継続される。
【0049】
続いて、バルブV5を閉状態に切り換え、配管L5のガス通路を遮断する。並びに、バルブV6を開状態に切り換え、配管L6のガス通路を開放する(S3)。すなわち、MFC46を、左右三つの下流側ガス導入口431aのうち、左端(上流端)の下流側ガス導入口431aに連通させる。続いて、ガス供給源45から、MFC46、共用配管L3、配管L6、左端の下流側ガス導入口431aを介して、通路内区間P2に、搬送ガスGを供給する。当該搬送ガスGの気流により、筒内通路Mを搬送中の被処理物Wを、右側(下流側)に搬送する。
【0050】
それから、バルブV6を閉状態に切り換え、配管L6のガス通路を遮断する。並びに、バルブV7を開状態に切り換え、配管L7のガス通路を開放する(S4)。すなわち、MFC46を、左右三つの下流側ガス導入口431aのうち、中央の下流側ガス導入口431aに連通させる。続いて、ガス供給源45から、MFC46、共用配管L3、配管L7、中央の下流側ガス導入口431aを介して、通路内区間P2に、搬送ガスGを供給する。当該搬送ガスGの気流により、筒内通路Mを搬送中の被処理物Wを、右側(下流側)に搬送する。
【0051】
その後、バルブV7を閉状態に切り換え、配管L7のガス通路を遮断する。並びに、バルブV8を開状態に切り換え、配管L8のガス通路を開放する(S5)。すなわち、MFC46を、左右三つの下流側ガス導入口431aのうち、右端(下流端)の下流側ガス導入口431aに連通させる。続いて、ガス供給源45から、MFC46、共用配管L3、配管L8、右端の下流側ガス導入口431aを介して、通路内区間P2に、搬送ガスGを供給する。当該搬送ガスGの気流により、筒内通路Mを搬送中の被処理物Wを、右側(下流側)に搬送する。搬送された被処理物Wは、搬出口430dを介して、熱処理帯Bに搬出される。その後、バルブV8を閉状態に切り換え、配管L8のガス通路を遮断する。(S6)。
【0052】
ステップ1(S1)からの経過時間tが所定時間T1以下の場合(S7)、供給容器42に被処理物Wが残留している。この場合、ステップ2(S2)からステップ6(S6)までの処理が、繰り返し実行される。
【0053】
ステップ1(S1)からの経過時間tが所定時間T1超過の場合(S7)、供給容器42は空になっている。この場合、バルブV4を開状態に切り換え、配管L4のガス通路を開放する(S8)。すなわち、MFC46を、シュート内ガス導入口411cに連通させる。続いて、ガス供給源45から、MFC46、共用配管L3、配管L4、シュート内ガス導入口411cを介して、シュート内通路Nにおけるバルブ411aの上流側に、搬送ガスGを供給する。当該搬送ガスGの気流により、バルブ411aに付着した被処理物Wを吹き飛ばす。その後、バルブV4を閉状態に切り換え、配管L4のガス通路を遮断する(S9)。
【0054】
続いて、ステップ10(S10)~ステップ14(S14)において、上述のステップ2(S2)~ステップ6(S6)と、同様の処理を行う。当該処理により、バルブ411aに付着した被処理物Wは、熱処理帯Bに搬出される。その後、バルブ411aを閉状態に切り換え、シュート内通路Nを遮断する。
【0055】
このように、供給工程において、複数のバルブV5~V8は、上流側から下流側に向かって、段階的に開閉制御される。すなわち、配管L5~L8のガス通路を開放する開状態が、上流側から下流側に向かって、複数のバルブV5~V8で順次受け継がれることにより、被処理物Wの搬送位置に応じて搬送ガスGの気流が供給される。当該気流により、被処理物Wは搬送される。
【0056】
[作用効果]
次に、本実施形態の供給部(供給装置)およびロータリーキルンの作用効果について説明する。図3に示すように、本実施形態の供給部4によると、上流側ガス導入口432a、三つの下流側ガス導入口431aから筒内通路Mに、搬送ガスGを導入することができる。このため、搬送ガスGの気流により、熱処理帯Bに被処理物Wを供給することができる。したがって、スクリューフィーダーを用いる場合と比較して、筒内通路Mに被処理物Wが残留しにくい。また、被処理物Wが、摺動や摩擦熱により、損傷を受けにくい。また、コンタミネーションが発生しにくい。
【0057】
本実施形態の供給部4によると、シュート内ガス導入口411cからシュート内通路Nに、搬送ガスGを導入することができる。このため、被処理物Wの自重および搬送ガスGの気流により、筒内通路Mに被処理物Wを供給することができる。したがって、シュート内通路Nに被処理物Wが残留しにくい。また、シュート内ガス導入口411cは、バルブ411aの上側(上流側)に配置されている。このため、搬送ガスGにより、バルブ411aに付着した被処理物Wを流下させることができる。この点においても、シュート内通路Nに被処理物Wが残留しにくい。
【0058】
供給部4は、駆動部(例えば、スクリューフィーダーにおけるスクリュー回転用のモーター)を備えていない。このため、構成が簡単である。また、筒内通路Mには、挿入物(例えば、スクリューフィーダーにおけるスクリュー)が配置されていない。この点においても、構成が簡単である。また、筒内通路Mの通路断面積を大きくすることができる。
【0059】
また、筒内通路Mに挿入物が配置されていないため、簡単に筒内通路Mを洗浄することができる。洗浄においては、例えば、シュート内ガス導入口411c、下流側ガス導入口431a、上流側ガス導入口432aのうち、少なくとも一つのガス導入口から筒内通路Mにガスを吹き込み、筒内通路Mの残留物(被処理物W、ゴミなど)を吹き飛ばしてもよい。
【0060】
また、ロータリーキルン1の制御装置を用いて、筒内通路Mを自動洗浄することができる。例えば、当該制御装置を用いて、図4のステップ2(S2)からステップ6(S6)までの処理を一回、あるいは複数回実行することにより、筒内通路Mを自動洗浄することができる。
【0061】
シュート内通路Nは上下方向に、筒内通路Mは左右方向に、各々延在している。このため、シュート内通路Nと筒内通路Mとは、搬入口430c付近において、直角に連通している。したがって、シュート内通路Nを流下する被処理物Wに自重が作用していることとも相俟って、搬入口430cの真下位置(筒内通路Mの上流端付近)には、被処理物Wが滞留しやすい。この点、上流側ガス導入口432aは、通路外区間P1に搬送ガスGを導入している。すなわち、上流側ガス導入口432aは、搬入口430cの真下位置に、左側から、搬送ガスGを導入している。したがって、搬入口430cの真下位置に被処理物Wが滞留するのを抑制することができる。また、下流側ガス導入口431aは、通路内区間P2に搬送ガスGを導入している。このため、筒内通路Mを流動する被処理物Wを、搬送ガスGの気流により、付勢することができる。
【0062】
下流側端板433は、筒体430の右端開口430bを封止している。このため、搬送ガスGの気流により、右端開口430bから熱処理帯Bに、被処理物Wが飛散するのを抑制することができる。また、搬出口430dは、下流側端板433に隣接して配置されている。このため、下流側端板433により堰き止められた被処理物Wを、搬出口430dから搬出することができる。したがって、熱処理帯Bの所定の位置(搬出口430dの真下位置)に、被処理物Wを集中的に搬出することができる。また、搬出口430dは、下向きに開口している。このため、被処理物Wの自重を利用して、被処理物Wを搬出することができる。また、搬入口430cは、上向きに開口している。このため、被処理物Wの自重を利用して、被処理物Wを搬入することができる。
【0063】
供給工程おける搬送ガスGは、熱処理工程における炉内空間Dの雰囲気ガスと同一である。このため、搬送ガスGが被処理物Wの熱処理に与える影響を小さくすることができる。配管L6~L8(左右三つの下流側ガス導入口431aに対応)の下流端(ガス吹出口)は、筒体430の内周面に対して、径方向外側に配置されている。このため、配管L6~L8の下流端が被処理物Wに干渉するのを、抑制することができる。
【0064】
供給工程において、複数のバルブV5~V8は、上流側から下流側に向かって、段階的に開閉制御される。当該開閉制御に応じて、筒内ガス導入口(上流側ガス導入口432a、三つの下流側ガス導入口431a)が筒内通路Mに搬送ガスGを導入するタイミングは、上流側から下流側に向かって、複数の筒内ガス導入口で、順次、受け継がれる。このため、筒内通路Mにおける被処理物Wの搬送位置に応じて、搬送ガスGの気流を付勢することができる。
【0065】
本実施形態のロータリーキルン1はバッチ式である。すなわち、ロータリーキルン1は、バッチ毎に被処理物Wに熱処理を施す。仮に、n(nは自然数)番目のバッチの被処理物Wの熱処理後に、被処理物Wが搬送通路(シュート内通路N、筒内通路M)に残留している場合を想定する。この場合、n番目のバッチの被処理物Wが、n+1番目のバッチの被処理物Wに、混入するおそれがある。
【0066】
この点、本実施形態の供給部4によると、搬送ガスGの気流により、被処理物Wを搬送している。筒内通路Mには、挿入物が配置されていない。このため、被処理物Wが搬送通路に残留しにくい。したがって、n番目のバッチの被処理物Wが、n+1番目のバッチの被処理物Wに、混入するおそれが小さい。このように、本実施形態の供給部4は、バッチ式のロータリーキルン1に用いるのに、好適である。特に、本実施形態の供給部4は、n番目のバッチとn+1番目のバッチとで被処理物Wが変更される場合に好適である。すなわち、本実施形態の供給部4は、複数種類の被処理物Wに熱処理を施すロータリーキルン1に用いるのに、好適である。
【0067】
また、本実施形態の供給部4は、シュート内ガス導入口411cを備えている。このため、シュート内ガス導入口411cからシュート内通路Nに導入される搬送ガスGにより、バルブ411aに付着した被処理物Wを除去することができる。この点においても、被処理物Wが搬送通路に残留しにくい。
【0068】
供給部4のバイブレーター44aは、下流側端板433に配置されている。このため、下流側端板433付近を振動させることができる。したがって、下流側端板433付近(例えば、搬出口430d)に被処理物Wが滞留するのを、抑制することができる。
【0069】
供給部4のバイブレーター44bは、テーパー筒部410aに配置されている。このため、テーパー筒部410a付近を振動させることができる。したがって、テーパー筒部410a付近(例えば、テーパー筒部410a内部、搬入口430c)に被処理物Wが滞留するのを、抑制することができる。
【0070】
<第二実施形態>
本実施形態の供給部およびロータリーキルンと第一実施形態の供給部およびロータリーキルンとの相違点は、主に、二系統のガス供給ルートが設定されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0071】
まず、本実施形態の供給部の構成について説明する。図5に、本実施形態の供給部の軸方向断面図を示す。なお、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。図5に示すように、シュート内ガス導入口411cは、バルブ411aの下側(下流側)に配置されている。
【0072】
二系統のガス供給ルートのうち、一方は、ガス供給源45aとシュート内ガス導入口411cとの間に配置されている。具体的には、ガス供給源45aは、シールガス(例えば窒素)Gaを供給可能である。MFC46aは、ガス供給源45aの下流側に接続されている。MFC46aは、配管L4を介して、シュート内ガス導入口411cに接続されている。バルブV4は、配管L4に配置されている。
【0073】
二系統のガス供給ルートのうち、他方は、ガス供給源45bと、上流側ガス導入口432aおよび三つの下流側ガス導入口431aと、の間に配置されている。具体的には、ガス供給源45bは、搬送ガス(例えばアンモニア)Gbを供給可能である。搬送ガスGbは、熱処理工程における炉内空間Dの雰囲気ガスと同じガスである。MFC46bは、ガス供給源45bの下流側に接続されている。MFC46bは、共用配管L9を介して、四つの配管L5~L8に接続されている。バルブV5は配管L5に、バルブV6は配管L6に、バルブV7は配管L7に、バルブV8は配管L8に、各々配置されている。
【0074】
次に、本実施形態の供給部の供給工程におけるバルブの制御方法について説明する。なお、当該制御方法は、ロータリーキルンの制御装置により、自動的に実行される。図6に、供給工程におけるバルブの制御方法のフローチャートを示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0075】
図6に示すように、供給工程においては、まず、バルブ411aを開状態に切り換え、シュート内通路Nを開放する(S21)。次に、ステップ22(S22)~ステップ26(S26)において、図4のステップ2(S2)~ステップ6(S6)と、同様の処理を行う。搬送ガスGbにより、供給容器42の被処理物Wは、熱処理帯Bに搬送される。
【0076】
ステップ21(S21)からの経過時間tが所定時間T2以下の場合(図4のS27)、シュート内通路Nにおいて、被処理物Wが、シュート内ガス導入口411cを上回って、滞留している。このため、被処理物Wが、シュート内ガス導入口411cを閉塞している。この場合、ステップ22(S22)からステップ26(S26)までの処理が、繰り返し実行される。
【0077】
時間の経過(被処理物Wの搬送)に伴い、シュート内通路Nにおける被処理物Wの滞留量は減少する。ステップ21(S21)からの経過時間tが所定時間T2超過の場合(S27)、シュート内通路Nにおいて、被処理物Wが、シュート内ガス導入口411cを下回る。つまり、被処理物Wが、シュート内ガス導入口411cを開放する。この場合、バルブV4を開状態に切り換え、配管L4のガス通路を開放する(S28)。すなわち、MFC46aを、シュート内ガス導入口411cに連通させる。続いて、ガス供給源45aから、MFC46a、配管L4、シュート内ガス導入口411cを介して、シュート内通路Nにおけるバルブ411aの下側(下流側)に、シールガスGaを導入する。
【0078】
以下、シュート内ガス導入口411cよりも上流側の空間(シュート内通路Nの上側部分、供給容器42の内部空間)を、容器側空間H1と称す。また、シュート内ガス導入口411cよりも下流側の空間(シュート内通路Nの下側部分、筒内通路M、炉内空間D)を、炉内側空間H2と称す。
【0079】
シュート内通路Nに導入されたシールガスGaにより、容器側空間H1は、炉内側空間H2から隔離される。このため、炉内側空間H2から容器側空間H1への搬送ガスGbの流入が抑制される。また、シールガスGaにより、バルブ411aに付着した被処理物Wがシュート内通路Nを流下する。
【0080】
続いて、ステップ29(S29)~ステップ33(S33)において、図4のステップ2(S2)~ステップ6(S6)、図6のステップ22(S22)~ステップ26(S26)と、同様の処理を行う。搬送ガスGbにより、シュート内通路Nの被処理物Wは、熱処理帯Bに搬送される。
【0081】
ステップ21(S21)からの経過時間tが所定時間T3以下の場合(S34)、シュート内通路Nに被処理物Wが残留している。この場合、ステップ29(S29)からステップ33(S33)までの処理が、繰り返し実行される。
【0082】
ステップ21(S21)からの経過時間tが所定時間T3超過の場合(S34)、シュート内通路Nは空になっている。この場合、バルブ411aを閉状態に切り換え、シュート内通路Nを遮断する(S35)。その後、バルブV4を閉状態に切り換え、配管L4のガス通路を遮断する(S36)。
【0083】
本実施形態の供給部およびロータリーキルンと、第一実施形態の供給部およびロータリーキルンとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の供給部4によると、ガス供給源45aからシールガスGaをシュート内通路Nに導入することができる。並びに、ガス供給源45bから搬送ガスGbを筒内通路Mに導入することができる。このため、シールガスGaにより容器側空間H1を炉内側空間H2から隔離した状態で、搬送ガスGbにより被処理物Wを搬送することができる。したがって、搬送ガスGbが炉内側空間H2から容器側空間H1に流入するのを抑制することができる。よって、供給容器42を搬送ガスGbに曝したくない場合などに好適である。
【0084】
また、図6のステップ35(S35)、ステップ36(S36)に示すように、シュート内通路Nを遮断した後で、つまり物理的に供給容器42をシュート内通路Nから隔離した後で、シュート内通路NへのシールガスGaの導入は停止される。このため、供給工程の終期において、供給容器42に搬送ガスGbが流入するのを抑制することができる。
【0085】
<その他>
以上、本発明の供給装置およびロータリーキルンの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0086】
図7に、その他の実施形態の供給部の軸方向断面図を示す。なお、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。図7に示すように、供給部4は、複数の蓋体431A~431Eを備えている。蓋体431Bは、蓋体431Aに対して、下流側ガス導入口431aの口径(開口面積)が大きい。蓋体431Cは、蓋体431Aに対して、下流側ガス導入口431aが左寄りに配置されている。蓋体431Dは、蓋体431Aに対して、配管L6の角度(水平方向に対する蓋体431Dへの挿入角度)が小さい。蓋体431Eには、下流側ガス導入口431aが配置されていない。このように、蓋取付口430eに対して、複数種類の蓋体431A~431Eを、交換可能に配置してもよい。こうすると、被処理物Wの種類や搬送量、搬送ガスGの種類やガス量などに応じて、複数種類の蓋体431A~431Eを使い分けることができる。蓋取付口430eに対する蓋体431A~431Eの取付構造は特に限定しない。例えば、ボルト、クランプなどを用いてもよい。
【0087】
図7に示すように、供給部4は、複数の上流側端板432A~432Eを備えている。上流側端板432A~432Eは、本発明の「蓋体」の概念に含まれる。上流側端板432Bは、上流側端板432Aに対して、上流側ガス導入口432a口径(開口面積)が小さい。上流側端板432Cは、上流側端板432Aに対して、上流側ガス導入口432aが下寄りに配置されている。上流側端板432Dは、上流側端板432Aに対して、配管L5の角度(水平方向に対する上流側端板432Dへの挿入角度)が大きい。上流側端板432Eには、上流側ガス導入口432aが配置されていない。このように、左端開口(蓋取付口)430aに対して、複数種類の上流側端板432A~432Eを、交換可能に配置してもよい。こうすると、被処理物Wの種類や搬送量、搬送ガスGの種類やガス量などに応じて、複数種類の上流側端板432A~432Eを使い分けることができる。左端開口(蓋取付口)430aに対する上流側端板432A~432Eの取付構造は特に限定しない。例えば、ボルト、クランプなどを用いてもよい。
【0088】
また、図3に示す筒体430と蓋体431とは一体であってもよい。同様に、筒体430と上流側端板432とは一体であってもよい。また、単一の下流側ガス導入口431aに対して、複数種類の配管L6~L8を、交換可能に配置してもよい。同様に、単一の上流側ガス導入口432aに対して、複数種類の配管L5を交換可能に配置してもよい。
【0089】
図4のステップ7(S7)においては、時間経過(タイマー)により、供給容器42が空になったことを検出したが、荷重変化(ロードセル)により、供給容器42が空になったことを検出してもよい。図6のステップ27(S27)、ステップ34(S34)についても、同様である。このように、被処理物Wの量を検出する手段は特に限定しない。
【0090】
図4のステップ(S10)~ステップ14(S14)の処理(バルブ411aに付着した被処理物Wを吹き飛ばし、搬送する処理)の回数は特に限定しない。一回でも複数回でもよい。
【0091】
炉内空間Dの雰囲気ガス、搬送ガスG、Gb、シールガスGaは特に限定しない。炉内空間Dの雰囲気ガス、搬送ガスG、Gb、シールガスGaは、大気以外の雰囲気ガスであってもよい。すなわち、大気(ロータリーキルン1の設置場所の炉外の大気)に対して、成分および圧力のうち、少なくとも一方が異なるガスであってもよい。例えば、大気と比較して、酸素濃度が低いガス、あるいは酸素濃度が高いガスであってもよい。また、大気と比較して高圧の空気(圧縮空気)であってもよい。また、大気と比較して、酸素、窒素以外の成分が含まれないガスであってもよい。炉内空間Dの雰囲気ガス、搬送ガスG、Gb、シールガスGaは、具体的には、アンモニア、不活性ガス(ヘリウム、アルゴン、窒素、二酸化炭素など)、還元性ガス(水素、一酸化炭素、炭化水素など)、酸化性ガス(酸素、水蒸気)などであってもよい。また、炉内空間Dの雰囲気ガス、搬送ガスG、Gb、シールガスGaは、大気であってもよい。また、炉内空間Dの雰囲気は、真空(大気圧よりも低い圧力の雰囲気)であってもよい。炉内空間Dの雰囲気ガス、搬送ガスG、Gb、シールガスGaの異同は特に限定しない。これらのガスは、各々、異なるガスであってもよい。また、少なくとも二つのガスが同一のガスであってもよい。
【0092】
搬送ガスG、Gbは、熱処理工程における炉内空間Dの雰囲気に応じて、選択することができる。例えば、熱処理工程において炉内空間Dに所定の雰囲気ガスが供給される場合(図2に示すガス供給源45から雰囲気ガスを供給し、真空ポンプ91により排気する場合)、搬送ガスG、Gbは当該雰囲気ガスであってもよい。また、熱処理工程において炉内空間Dが真空の場合((図2に示す配管L2を遮断し、真空ポンプ91により排気する場合)、搬送ガスG、Gbは不活性ガスであってもよい。
【0093】
シールガスGaは、搬送ガスGb、供給容器42の材質などに応じて、選択することができる。シールガスGaは、搬送ガスGbと異なるガスであってもよい。また、シールガスGaは、供給容器42に影響を与えないガスであればよい。例えば、シールガスGaは不活性ガスであってもよい。
【0094】
供給工程の際、炉内空間Dを真空ポンプ91により減圧してもよい。こうすると、搬送ガスGにより左側から被処理物Wを圧送しながら、真空ポンプ91により右側(炉内空間D側)から被処理物Wを吸引することができる。また、供給工程の際、炉内空間Dを減圧しなくてもよい。例えば、図1に示す排出シュート61から排出容器62を取り外し、排出シュート61の下端(下流端)が開放された状態で供給工程を実行してもよい。
【0095】
シュート内ガス導入口411c、上流側ガス導入口432a、下流側ガス導入口431aの各々から導入される搬送ガスGは、同一であっても、異なっていてもよい。これらの搬送ガスGのうち、少なくとも二つが同一であってもよい。また、これらの搬送ガスGが、全て異なっていてもよい。
【0096】
シュート内ガス導入口411c、上流側ガス導入口432a、下流側ガス導入口431aの配置数、位置、形状、大きさ等は特に限定しない。これらのガス導入口のうち、少なくとも一つは配置しなくてもよい。搬入口430c、搬出口430dの位置、形状、大きさ等は特に限定しない。搬出口430dを、内部空間Cのうち、熱処理帯Bよりも上流側に配置してもよい。右端開口430bを、搬出口430dとして用いてもよい。左端開口430aを、搬入口430cとして用いてもよい。シュート内ガス導入口411cとバルブ411aとの位置関係は特に限定しない。図3に示すように、シュート内ガス導入口411cをバルブ411aの上流側に配置してもよい。また、図5に示すように、シュート内ガス導入口411cをバルブ411aの下流側に配置してもよい。また、バルブ411aの上流側および下流側に、一対のシュート内ガス導入口411cを配置してもよい。
【0097】
配管L1にガス供給源45(MFC92含む)を、配管L2に真空ポンプ91を、各々接続してもよい。また、ガス供給源45を駆動せずに、真空ポンプ91を駆動し、炉内空間Dを減圧してもよい。また、配管L1に対して、ガス供給源45、真空ポンプ91を切り換え接続可能としてもよい。同様に、配管L2に対して、ガス供給源45、真空ポンプ91を切り換え接続可能としてもよい。
【0098】
ガス供給源45、45a、45bの種類は特に限定しない。ガスタンク、配管、コンプレッサ、ポンプなどであってもよい。MFC46、46a、46b、92は配置しなくてもよい。真空ポンプ91の種類は特に限定しない。ドライポンプ(回転式真空ポンプ)、ルーツポンプ、メカニカルブースターポンプ、油回転ポンプ、エゼクタポンプ、油拡散ポンプ、クライオポンプ、ターボ分子ポンプなどであってもよい。真空ポンプ91の配置数は特に限定しない。単一であっても複数であってもよい。真空ポンプ91の代わりに、送風機(ブロア)を配置してもよい。炉内空間D用のガス供給源45と搬送通路(シュート内通路N、筒内通路M)用のガス供給源45とは、同一であっても異なっていてもよい。
【0099】
バルブ(411a、V4~V8)の種類は特に限定しない。バタフライバルブ、ゲートバルブ(スライドバルブ)、グローブバルブ、ボールバルブ、ニードルバルブ、ダイヤフラムバルブ、フラップバルブ、電磁バルブなどであってもよい。また、バルブの制御方法は、手動であっても、自動であってもよい。
【0100】
筒体430、外筒本体200、内筒本体220の径方向断面形状は特に限定しない。円筒状、多角形筒状などであってもよい。回転筒部2の構成は特に限定しない。外筒20、内筒22を備える二重筒式であっても、内筒22だけの単筒式であってもよい。上流側送りフィン221、下流側送りフィン222、掻き上げフィン223の位置、形状、長さ等は特に限定しない。これらのフィンは、配置しても、配置しなくてもよい。供給容器42と排出容器62とは構成が同一であってもよい。こうすると、二つの容器を共用化することができる。ロータリーキルン1の種類は特に限定しない。外熱式であっても、内熱式であってもよい。また、バッチ式であっても、連続式であってもよい。連続式の場合、回転筒部2は、左側から右側に向かって下降するように、所定の角度で傾斜している。供給工程、熱処理工程、排出工程は並行して実行される。また、供給部4(供給装置)は、ロータリーキルン1から独立して用いることもできる。例えば、ロータリーキルン1以外の炉などの処理装置(被処理物Wに対して所定の処理を施す装置)に、被処理物Wを供給する際に用いることもできる。
【0101】
被処理物Wの種類(材質、特性、形状、大きさなど)は特に限定しない。材質は、有機物、無機物、金属などであってもよい。形状は、粉状物、粒状物、塊状物などであってもよい。具体的には、医薬品、電池材料(正極材、負極材、電解質)、食品、廃棄物などであってもよい。好ましくは、気流搬送しやすい粉状物である方がよい。
【0102】
バイブレーター44a、44bの代わりに、ノッカーを配置してもよい。また、バイブレーター44a、44bは配置しなくてもよい。筒体430の延在方向は特に限定しない。水平方向、水平方向に対して傾斜する方向(上流側から下流側に向かって下降する方向、あるいは上昇する方向)などであってもよい。
【符号の説明】
【0103】
1:ロータリーキルン、2:回転筒部、20:外筒、200:外筒本体、201:上流側タイヤ、202:下流側タイヤ、203:スプロケット、21:連結筒、22:内筒、220:内筒本体、221:上流側送りフィン、222:下流側送りフィン、223:掻き上げフィン、3:回転支持部、30:上流側ローラー、31:下流側ローラー、32:上流側摺動シール部、33:下流側摺動シール部、4:供給部(ロータリーキルンの供給装置)、40:供給フード、41:供給シュート、410:シュート本体、410a:テーパー筒部、411:バルブアセンブリ、411a:バルブ、411b:バルブケース、411c:シュート内ガス導入口、42:供給容器、420:容器本体、421:蓋体、43:供給フィーダー、430:筒体、430a:左端開口(軸方向一端開口、蓋取付口)、430b:右端開口(軸方向他端開口)、430c:搬入口、430d:搬出口、430e:蓋取付口、431:蓋体、431A~431E:蓋体、431a:下流側ガス導入口(筒内ガス導入口)、432:上流側端板(蓋体)、432A~432E:上流側端板(蓋体)、432a:上流側ガス導入口(筒内ガス導入口)、433:下流側端板、44a:バイブレーター、44b:バイブレーター、45:ガス供給源、45a:ガス供給源、45b:ガス供給源、46:MFC、46a:MFC、46b:MFC、5:熱処理部、50:ハウジング、51:断熱材、52:ヒーター、6:排出部、60:排出フード、61:排出シュート、610:蛇腹部、62:排出容器、9:架台、91:真空ポンプ、92:MFC、A:回転軸、B:熱処理帯、C:内部空間、D:炉内空間、G:搬送ガス、Ga:シールガス、Gb:搬送ガス、H1:容器側空間、H2:炉内側空間、L1~L2:配管、L3:共用配管、L4~L8:配管、L9:共用配管、M:筒内通路、N:シュート内通路、P1:通路外区間、P2:通路内区間、V4~V8:バルブ、W:被処理物
図1
図2
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図5
図6
図7