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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039816
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】エレベータの操作ボタン装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/46 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
B66B1/46 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147119
(22)【出願日】2021-09-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】納田 雄介
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502MA31
(57)【要約】
【課題】接触感染の成立を防止することができるエレベータの操作ボタン装置を提供する。
【解決手段】実施の形態によるエレベータの操作ボタン装置は、ボタントップと、検出部と、樹脂フィルムと、を備えている。ボタントップは、本体トップ部と、本体トップ部の中央に位置する、用途情報を示す情報トップ部と、を含む。検出部は、ボタントップに対する利用者の操作を検出する。樹脂フィルムは、ボタントップの表面に設けられており、透光性を有する。本体トップ部の明度は、情報トップ部の明度よりも低い。樹脂フィルムの表面は、利用者の指紋の反射率とは異なる反射率を有している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体トップ部と、前記本体トップ部の中央に位置する、用途情報を示す情報トップ部と、を含むボタントップと、
前記ボタントップに対する利用者の操作を検出する検出部と、
前記ボタントップの表面に設けられた透光性を有する樹脂フィルムと、を備え、
前記本体トップ部の明度は、前記情報トップ部の明度よりも低く、
前記樹脂フィルムの表面は、利用者の指紋の反射率とは異なる反射率を有している、エレベータの操作ボタン装置。
【請求項2】
前記本体トップ部の色は、前記樹脂フィルムの表面で前記指紋を視認可能な色である、請求項1に記載のエレベータの操作ボタン装置。
【請求項3】
前記本体トップ部の色は、黒色である、請求項1または2に記載のエレベータの操作ボタン装置。
【請求項4】
前記樹脂フィルムは、基材層と、前記基材層の前記ボタントップの側の面に設けられた粘着層と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のエレベータの操作ボタン装置。
【請求項5】
前記基材層は、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項4に記載のエレベータの操作ボタン装置。
【請求項6】
前記情報トップ部は、前記本体トップ部の表面から突出し、
前記樹脂フィルムの裏面に、前記情報トップ部を収容する裏面凹部が設けられ、
前記樹脂フィルムの表面に、前記裏面凹部に重なる表面凹部が設けられ、
前記表面凹部に、前記情報トップ部の用途情報と同じ用途情報を示す情報体が収容され、
前記情報体は、前記樹脂フィルムの表面から突出している、請求項1~5のいずれか一項に記載のエレベータの操作ボタン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの操作ボタン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータには、利用者が操作するための各種操作ボタンが設けられている。例えば、乗場には、乗りかごの呼び登録を行うための操作ボタン装置が設けられており、乗りかごには、行先階を登録するための操作ボタン装置が設けられている。
【0003】
マンションやオフィスビルに設置されたエレベータでは、日々多くの利用者が操作ボタンに触れる。細菌またはウィルスに感染した感染者がエレベータを利用すると、操作ボタンを介して、他の利用者に感染が成立し得る。例えば、感染者が操作ボタンに触れると、操作ボタンに細菌またはウィルスが付着し得る。その後、この操作ボタンに他の利用者が触れると、操作ボタンに触れたことによる接触感染が成立する可能性が考えられる。
【0004】
感染対策として、操作ボタンを消毒することが効果的と考えられている。しかしながら、操作ボタンを常に消毒することは困難である。また、消毒されたとしても、利用者が、操作ボタンが消毒されたタイミングを認識することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-263378号公報
【特許文献2】特開2009-256008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、接触感染が成立することを防止することができるエレベータの操作ボタン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態によるエレベータの操作ボタン装置は、ボタントップと、検出部と、樹脂フィルムと、を備えている。ボタントップは、本体トップ部と、本体トップ部の中央に位置する、用途情報を示す情報トップ部と、を含む。検出部は、ボタントップに対する利用者の操作を検出する。樹脂フィルムは、ボタントップの表面に設けられており、透光性を有する。本体トップ部の明度は、情報トップ部の明度よりも低い。樹脂フィルムの表面は、利用者の指紋の反射率とは異なる反射率を有している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態におけるエレベータ装置の構成を示す概略図である。
図2図2は、図1の乗りかご内を示す斜視図である。
図3図3は、図1の乗場を示す図である。
図4図4は、第1の実施の形態における操作ボタン装置を示す断面図である。
図5図5は、図4の操作ボタン装置を示す平面図である。
図6図6(a)は、図5の操作ボタン装置を利用者が操作する様子を示す平面図であり、図6(b)は、操作後の操作ボタン装置を示す平面図であり、図6(c)は、複数の利用者による操作後の操作ボタン装置を示す平面図である。
図7図7は、第2の実施の形態における操作ボタン装置を示す部分断面図である。
図8図8は、図7の操作ボタン装置を示す分解斜視図である。
図9図9は、図7の樹脂フィルムの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態におけるエレベータの操作ボタン装置について説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態によるエレベータの操作ボタン装置が適用されるエレベータ装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
【0011】
図1で示すように、エレベータ装置1は、昇降路2内に配置された乗りかご3と、乗りかご3にメインロープ4を介して接続された釣合錘5と、を備えている。メインロープ4は、巻上機6に連結されたトラクションシーブ6aに巻き掛けられており、巻上機6によって乗りかご3および釣合錘5がメインロープ4を介して巻き上げられるようになっている。巻上機6は、昇降路2の上方に設けられた機械室7内に、制御装置8とともに設置されている。制御装置8は、巻上機6を含むエレベータ装置1の全体を制御する装置である。例えば、制御装置8は、乗場呼び、およびかご呼びに応答して巻上機6を運転制御し、乗りかご3を呼びが登録された階床へ着床させる。乗りかご3が乗場9に着床すると、かごドアD1および乗場ドアD2が開き、乗りかご3から乗場9に利用者が降車したり、乗場9から乗りかご3に利用者が乗車したりする。
【0012】
なお、エレベータ装置1は、図1に示す形態に限られることはない。例えば、いわゆる機械室レスのエレベータ装置であってもよい。すなわち、機械室7を設けることなく、巻上機6や制御装置8を昇降路2の上部に設けるようにしてもよい。
【0013】
図2に示すように、乗りかご3内には、かご操作盤10が設けられている。このかご操作盤10は、主として、フェースプレート11と、乗りかご3の行先階を登録するための行先階登録ボタン装置12と、かごドアD1の開閉を行う開閉ボタン装置13と、乗りかご3の現在位置を表示する表示装置14と、を有している。このうちフェースプレート11は、乗りかご3の内壁面に設置されており、行先階登録ボタン装置12および開閉ボタン装置13は、このフェースプレート11に取り付けられている。乗りかご3に乗車した利用者は、行先階登録ボタン装置12で乗りかご3の行先階を登録する。例えば、利用者が目的階のボタンを押下することにより、その目的階が乗りかご3の行先階として登録される。このボタンは押下されると照光され、この行先階が登録されたことが乗りかご3に乗車している利用者に知らされる。
【0014】
図3に示すように、乗場9には、乗場操作盤15が設けられている。乗場操作盤15は、主として、フェースプレート16と、乗りかご3の呼びを登録するための呼び登録ボタン装置17と、を有している。このうちフェースプレート16は、乗場9の壁面に設置されており、呼び登録ボタン装置17は、このフェースプレート16に取り付けられている。乗場9を訪れた利用者は、呼び登録ボタン装置17で乗りかご3の呼びを登録する。例えば、利用者が、上行きのかご呼びボタンを押下することにより、上行きの乗りかご3の呼びが登録される。このボタンは押下されると照光され、上行きのかご呼びが登録されたことが、乗場9に待機している利用者に知らされる。
【0015】
本実施の形態によるエレベータの操作ボタン装置20(以下、単に操作ボタン装置20と記す)は、例えば、上述した行先階登録ボタン装置12、開閉ボタン装置13、呼び登録ボタン装置17などに適用される。以下に、本実施の形態による操作ボタン装置20について説明する。
【0016】
図4に示すように、操作ボタン装置20は、ハウジング21と、ボタントップ22と、操作板23、ボタン枠24と、基板25と、スイッチ素子26と、光源27と、スプリング28と、樹脂フィルム40と、を備えている。
【0017】
ハウジング21は、上述したフェースプレート11、16に取り付けられている。フェースプレート11、16には、プレート開口18が形成されており、ハウジング21は、プレート開口18を囲むように配置されている。
【0018】
ボタントップ22は、ハウジング21内に収容されている。ボタントップ22は、ハウジング21からプレート開口18を通ってフェースプレート11、16の正面側に突出している。ボタントップ22は、フェースプレート11、16に対してその法線方向に摺動可能になっている。
【0019】
図4および図5に示すように、ボタントップ22は、本体トップ部29と、情報トップ部30と、を含んでいる。情報トップ部30は、本体トップ部29の中央に位置している。情報トップ部30は、操作ボタン装置20の用途情報を示すように形成されている。例えば、操作ボタン装置20が上述した行先階登録ボタン装置12である場合には、情報トップ部30は、行先階を示す数字を示す形状で形成されていてもよい。例えば、操作ボタン装置20が上述した開閉ボタン装置13である場合には、情報トップ部30は、「開」または「閉」を示す文字、または三角記号等を示す形状で形成されていてもよい。操作ボタン装置20が上述した呼び登録ボタン装置17である場合には、情報トップ部30は、「上行き」または「下行き」を示す文字、または三角記号等を示す形状で形成されていてもよい。
【0020】
本体トップ部29の明度は、情報トップ部30の明度よりも低くなっている。本体トップ部29の色は、樹脂フィルム40の表面で利用者の指紋を視認可能な色であってもよい。例えば、本体トップ部29の色は、黒色であってもよい。しかしながら、本体トップ部29の色は、情報トップ部30の明度よりも低い明度であれば、黒色以外の色であってもよい。本体トップ部29は、明度の低い樹脂材料で形成されていてもよい。例えば、本体トップ部29は、樹脂材料でモールド成型された情報トップ部30を、オーバーモールド成型して作製されてもよい。
【0021】
情報トップ部30の明度は、本体トップ部29の明度よりも高くなっている。情報トップ部30は、透光性を有する樹脂材料で形成されていてもよい。情報トップ部30は、蛍光材料を含んでいてもよい。
【0022】
操作板23は、図4に示すように、ボタントップ22の裏面に取り付けられている。操作板23は、裏側に突出する操作子23aを含んでいる。操作子23aは、スイッチ素子26に対向している。操作板23は、透光性を有する樹脂材料で形成されていてもよい。
【0023】
ボタン枠24は、ボタントップ22の周囲に配置されている。ボタン枠24から、情報トップ部30の全体が露出されていてもよい。ボタン枠24は、フェースプレート11、16に固定されている。ボタン枠24は、ボタントップ22の表面のうち周縁部に当接する当接部24aを含んでいる。ボタン枠24は、透光性を有する樹脂材料で形成されていてもよい。
【0024】
基板25は、ハウジング21内に取り付けられている。
【0025】
スイッチ素子26は、検出部の一例である。スイッチ素子26は、ボタントップ22に対する利用者の操作を検出するように構成されている。本実施の形態においては、スイッチ素子26は、ボタントップ22が利用者によって押下されたことを検出する。より具体的には、スイッチ素子26は、上述した操作子23aに対向しており、ボタントップ22が押下されると操作子23aがスイッチ素子26を押圧する。このことにより、ボタントップ22の押下が検出される。スイッチ素子26は、基板25に実装されている。基板25には、複数、例えば、4つのスイッチ素子26が実装されていてもよい。
【0026】
スプリング28は、操作板23とハウジング21との間に介在されている。スプリング28は、ボタントップ22の押下方向とは反対方向にボタントップ22を付勢する。スプリング28に付勢されたボタントップ22は、上述した当接部24aに当接している。
【0027】
光源27は、ハウジング21内に収容されている。光源27は、ボタントップ22の裏側からボタントップ22に向けて光を照射する。光源27は、上述した基板25に実装されている。基板25に、複数の光源27が実装されていてもよい。光源27は、例えば、LED光源であってもよい。
【0028】
樹脂フィルム40は、ボタントップ22の表面に設けられていてもよい。本実施の形態においては、樹脂フィルム40は、本体トップ部29および情報トップ部30を覆っていてもよい。樹脂フィルム40は、ボタントップ22の表面のうちボタン枠24から露出されている部分に貼り付けられていてもよい。
【0029】
樹脂フィルム40は、基材層41と、粘着層42と、を含んでいてもよい。粘着層42は、基材層41の裏面、すなわち基材層41のボタントップ22の側の面に位置づけられている。このようにして、樹脂フィルム40は、ボタントップ22の表面に貼り付けられていてもよい。基材層41は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでいてもよい。より具体的には、基材層41は、樹脂材料で形成されており、この樹脂材料がポリエチレンテレフタレートを含んでいてもよい。粘着層42は、粘着性を有する材料であれば特に限られることはなく、例えば粘着性を有するアクリル系樹脂で形成されていてもよい。樹脂フィルム40は、透光性を有している。より具体的には、基材層41および粘着層42が透光性を有している。
【0030】
樹脂フィルム40の表面は、エレベータの利用者の指紋とは異なる反射率を有している。例えば、樹脂フィルム40の表面は、指紋の反射率よりも高い反射率を有していてもよい。このことにより、指紋を見やすくすることができる。この場合、樹脂フィルム40の基材層41が、上述したPETで形成されていてもよい。基材層41の表面には、他の材料を用いたコーティングは施されていなくてもよい。この場合、基材層41の表面が露出され、指紋は、基材層41の表面に直接的に付着する。あるいは、樹脂フィルム40の表面は指紋の反射率よりも低い反射率を有していてもよい。この場合においても、指紋を見やすくすることができる。
【0031】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。操作ボタン装置20の一例として行先階登録ボタン装置12を例にとって説明する。
【0032】
エレベータの運転中、乗りかご3に乗車した利用者は、行先階を登録するために、図6(a)に示すように、行先階登録ボタン装置12のボタントップ22を指(符号F参照)で押下する。すると、図6(b)に示すように、利用者の指が触れた位置に、当該利用者の指紋(符号D参照)が付着する。指紋は、ボタントップ22の表面に貼り付けられた樹脂フィルム40の表面に付着する。ボタントップ22の本体トップ部29の明度が比較的低くなっており、樹脂フィルム40の表面の反射率は指紋の反射率と異なっているため、樹脂フィルム40の表面に付着した指紋が見やすくなっている。このことにより、他の利用者は、この行先階登録ボタン装置12のボタントップ22の表面に付着した指紋を視認することができる。このため、他の利用者は、同じ行先階登録ボタン装置12を押下する場合には、この指紋を避けて押下するように誘導され、付着済みの指紋とは異なる位置でボタントップ22を押下する。このことにより、利用者が、他人の指紋に触れることを回避することができる。このため、他人の指紋に触れることによる接触感染が成立することを防止することができる。
【0033】
その後、エレベータの運転を続けることにより、図6(c)に示すように、各行先階登録ボタン装置12の樹枝フィルムの表面に、多数の指紋が付着する。このように多数の指紋が見えると、エレベータの管理者または利用者に、アルコール入りのウェットティッシュ等で樹脂フィルム40の表面の清掃および消毒を促すことができる。清掃後には、図5に示すように、指紋が付着されていない清潔な樹脂フィルム40の表面を得ることができる。
【0034】
乗りかご3内に設けられた開閉ボタン装置13、および乗場9に設けられた呼び登録ボタン装置17においても、同様にして、利用者に指紋を視認させやすくすることができる。このため、各操作ボタン装置を操作する際に、他人の指紋に触れることによる接触感染が成立することを防止することができる。
【0035】
このように本実施の形態によれば、ボタントップ22の本体トップ部29の明度が、情報トップ部30の明度よりも低く、ボタントップ22の表面に設けられた透光性を有する樹脂フィルム40の表面が、利用者の指紋とは異なる反射率を有している。このことにより、ボタントップ22を操作することによって樹脂フィルム40に付着した指紋を、利用者に容易に視認させやすくすることができる。このため、利用者が、他人の指紋に触れることを回避することができ、付着済みの指紋とは異なる位置でボタントップ22を操作することができる。この結果、他人の指紋に触れることを回避でき、接触感染の成立を防止することができる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、本体トップ部29の色は、樹脂フィルム40の表面で指紋を視認可能な色になっている。このことにより、樹脂フィルム40の表面に付着した指紋の視認性を向上させることができる。このため、利用者が、他人の指紋に触れることをより一層回避することができる。とりわけ、本体トップ部29の色が黒色である場合には、樹脂フィルム40の表面に付着した指紋の視認性をより一層向上させることができる。
【0037】
また、本実施の形態によれば、樹脂フィルム40は、基材層41と、基材層41のボタントップ22の側の面に設けられた粘着層42と、を含んでいる。このことにより、樹脂フィルム40をボタントップ22の表面に容易に貼り付けることができる。このため、接触感染の成立を防止可能な操作ボタン装置20を容易に得ることができる。また、既設のエレベータ装置1において、各操作ボタン装置のボタントップ22の表面に樹脂フィルム40を容易に貼り付けることができる。このため、既設の各操作ボタン装置を、接触感染の成立を防止可能な操作ボタン装置に容易に改変することができる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、樹脂フィルム40の基材層41は、ポリエチレンテレフタレートを含んでいる。このことにより、樹脂フィルム40の表面の反射率を、利用者の指紋の反射率と容易に異ならせることができる。
【0039】
なお、上述した本実施の形態による操作ボタン装置20の構成は、樹脂フィルム40に付着した指紋を利用者に容易に視認させやすくすることができれば、任意である。例えば、操作ボタン装置20が、ボタントップ22の裏側からボタントップ22に向けて光を照射する光源27を備えていなくてもよい。また、操作ボタン装置20は、ボタントップ22を押下することなく操作することができるタッチパネル式の操作ボタン装置であってもよい。この場合においても、ボタントップ22の表面に、上述した樹脂フィルム40を貼り付けることができ、樹脂フィルム40の表面に付着した指紋を利用者に容易に視認させやすくすることができる。
【0040】
また、上述した本実施の形態においては、ボタントップ22の情報トップ部30の明度が、本体トップ部29の明度よりも高くなっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。情報トップ部30の明度が、本体トップ部29の明度と同一または本体トップ部29の明度よりも高い場合、本体トップ部29の表面に、情報トップ部30の明度よりも低いフィルム(図示せず)が貼り付けられていてもよい。この場合、本体トップ部29の明度が低くない場合であっても、樹脂フィルム40を通してボタントップ22を見たときに、本体トップ部29の領域の明度を低くすることができる。このため、樹脂フィルム40の表面に付着した指紋を視認させやすくすることができる。このようなフィルムは、情報トップ部30を覆わないように形成されていてもよい。フィルムは、例えば、情報トップ部30の平面形状と同様の平面形状を有する貫通孔を有していてもよい。あるいは、このようなフィルムは、本体トップ部29の表面ではなく、樹脂フィルム40に内在されていてもよい。例えば、基材層41と粘着層42との間に、このフィルムが介在されるように、樹脂フィルム40が構成されていてもよい。
【0041】
(第2の実施の形態)
次に、図7図9を用いて、第2の実施の形態によるエレベータの操作ボタン装置について説明する。
【0042】
図7図9に示す第2の実施の形態においては、樹脂フィルムの表面凹部に、ボタントップの情報トップ部の用途情報と同じ用途情報を示す情報体が収容され、情報体が、樹脂フィルムの表面から突出している点が主に異なり、他の構成は、図1図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図7図9において、図1図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0043】
本実施の形態における操作ボタン装置20は、視覚障害者用として構成されている。なお、図8においては、行先階登録ボタン装置12を例にとって説明しているが、他の操作ボタン装置においても同様に構成することができる。
【0044】
より具体的には、図7および図8に示すように、本実施の形態においては、ボタントップ22の情報トップ部30は、本体トップ部29の表面から突出している。樹脂フィルム40の裏面に、情報トップ部30を収容する裏面凹部43が形成されている。裏面凹部43は、情報トップ部30の平面形状と同様な平面形状を有していてもよい。裏面凹部43に情報トップ部30を収容することにより、樹脂フィルム40を、本体トップ部29の表面に密着して貼り付けることができ、樹脂フィルム40と本体トップ部29との間に、空気層が介在されることを防止できる。裏面凹部43の深さ寸法(図7における上下方向寸法)は、情報トップ部30の突出寸法(図7における上下方向寸法)と同一であってもよく、当該突出寸法よりも大きくなっていてもよい。
【0045】
樹脂フィルム40の表面に、表面凹部44が形成されている。表面凹部44は、平面視で、裏面凹部43に重なっている。表面凹部44は、裏面凹部43の平面形状と同様な平面形状を有していてもよい。表面凹部44と裏面凹部43は、図7に示すように、上下方向に離間していてもよい。
【0046】
樹脂フィルム40の表面凹部44に、情報体50が収容されている。情報体50は、ボタントップ22の情報トップ部30の用途情報と同じ用途情報を示すように形成されている。情報体50は、情報トップ部30の平面形状と同様な平面形状を有していてもよい。例えば、図8に示すように、行先階登録ボタン装置12の情報トップ部30が、「1」を示すように形成されている場合、情報体50も同様に「1」を示すように形成されている。
【0047】
情報体50は、樹脂フィルム40の表面から突出している。より具体的には、情報体50の厚さ寸法(図7における上下方向寸法)は、表面凹部44の深さ寸法(図7における上下方向寸法)よりも大きくなっている。情報体50は、情報トップ部30と同様にして、透光性を有する樹脂材料で形成されていてもよい。また、情報体50は、蛍光材料を含んでいてもよい。
【0048】
図9を用いて、本実施の形態による樹脂フィルム40についてより詳細に説明する。
【0049】
図9に示すように、樹脂フィルム40の基材層41は、3層構成を有していてもよい。基材層41は、第1基材層45と、第2基材層46と、第3基材層47と、を含んでいる。第1基材層45は、樹脂フィルム40の裏面側であって、粘着層42の側に位置している。第3基材層47は、樹脂フィルム40の表面側に位置している。第2基材層46は、第1基材層45と第3基材層47との間に介在されている。
【0050】
第1基材層45は、裏面凹部43を構成する第1貫通孔45aを有していてもよい。第1貫通孔45aは、第1基材層45を貫通しており、情報トップ部30の平面形状と同様な平面形状を有している。第2基材層46には、凹部または貫通孔は形成されていなくてもよい。第3基材層47は、表面凹部44を構成する第3貫通孔47aを有していてもよい。第3貫通孔47aは、第3基材層47を貫通しており、情報体50の平面形状と同様な平面形状を有している。
【0051】
第1基材層45と第2基材層46を接合するとともに、第2基材層46と第3基材層47を接合することにより、図7および図8に示す樹脂フィルム40を得ることができる。第1基材層45と第2基材層46は、透光性を有する接着剤で接合されていてもよく、第2基材層46と第3基材層47も同様である。
【0052】
本実施の形態による粘着層42は、基材層41の裏面のうち裏面凹部43以外の領域に形成されていてもよい。
【0053】
このように本実施の形態によれば、ボタントップ22の情報トップ部30が、本体トップ部29から突出して樹脂フィルム40の裏面凹部43に収容されている。裏面凹部43に重なる表面凹部44に、情報トップ部30の用途情報と同じ用途情報を示す情報体50が収容され、情報体50が樹脂フィルム40の表面から突出している。このことにより、ボタントップ22の表面に、指紋を認識可能な樹脂フィルム40を貼り付けた場合であっても、用途情報を示す情報体50を樹脂フィルム40の表面から突出させることができる。このため、視覚障害者は、樹脂フィルム40の表面に触れることにより、操作ボタン装置20の用途情報を読み取ることができ、視覚障害者の利便性が損なわれることを防止することができる。
【0054】
なお、樹脂フィルム40の裏面凹部43と表面凹部44は、情報トップ部30を収容するとともに情報体50を収容することができれば、離間することなく連続状に形成されていてもよい。この場合、樹脂フィルム40に、情報トップ部30と同様な平面形状を有する貫通孔が形成されてもよい。
【0055】
以上述べた実施の形態によれば、接触感染の成立を防止することができる。
【0056】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
20:操作ボタン装置、22:ボタントップ、26:スイッチ素子、29:本体トップ部、30:情報トップ部、40:樹脂フィルム、41:基材層、42:粘着層、43:裏面凹部、44:表面凹部、50:情報体
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図9