(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039817
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】ズームレンズ、および撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20230314BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20230314BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147121
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮川 直己
(72)【発明者】
【氏名】高橋 周吾
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087MA17
2H087MA19
2H087PA14
2H087PA15
2H087PA16
2H087PA20
2H087PB17
2H087PB18
2H087PB20
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA37
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087SA57
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA72
2H087SA76
2H087SB04
2H087SB12
2H087SB13
2H087SB23
2H087SB32
2H087SB35
2H087SB41
2H087SB45
2H087SB46
(57)【要約】
【課題】軽量でありながら諸収差を良好に補正することを可能にする。
【解決手段】本開示のズームレンズは、物体側から像面側に向かって順に、変倍時に固定の第1の固定レンズ群と、開口絞りよりも物体側に配置され、変倍時に互いに異なる軌跡で移動する正レンズ群と負レンズ群とを含む複数のレンズ群を有する変倍レンズ群と、正の屈折力を有する変倍時に固定の第2の固定レンズ群と、第2の固定レンズ群に対して像面側に隣接配置され、変倍時、およびフォーカシング時に移動する第1のフォーカスレンズ群とを備え、変倍レンズ群の複数のレンズ群のうち屈折力の絶対値が最も大きいレンズ群が、3枚以下のレンズで構成され、所定の条件式を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像面側に向かって順に、
変倍時に固定の第1の固定レンズ群と、
開口絞りよりも物体側に配置され、変倍時に互いに異なる軌跡で移動する正レンズ群と負レンズ群とを含む複数のレンズ群を有する変倍レンズ群と、
正の屈折力を有する変倍時に固定の第2の固定レンズ群と、
前記第2の固定レンズ群に対して像面側に隣接配置され、変倍時、およびフォーカシング時に移動する第1のフォーカスレンズ群と
を備え、
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち屈折力の絶対値が最も大きいレンズ群が、3枚以下のレンズで構成され、
以下の条件式を満足する
ズームレンズ。
0.05≦ffix/fzp<0.67 ……(1)
ただし、
fzp:前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち最も大きい正の屈折力を有するレンズ群の焦点距離
ffix:前記第2の固定レンズ群の焦点距離
とする。
【請求項2】
さらに、以下の条件式を満足する
請求項1に記載のズームレンズ。
0.0≦(ff1/|ff1|)*(dw-dt)/dw≦1.0 ……(2)
ただし、
ff1:前記第1のフォーカスレンズ群の焦点距離
dw:広角端かつ無限遠合焦時における前記第1のフォーカスレンズ群の最も物体側の面頂点から像面までの光軸上の距離
dt:望遠端かつ無限遠合焦時における前記第1のフォーカスレンズ群の最も物体側の面頂点から像面までの光軸上の距離
とする。
【請求項3】
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち少なくとも2つ以上のレンズ群はそれぞれ、広角端よりも望遠端において、像面側に位置する
請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群はそれぞれ、広角端から望遠端への移動に際し、往復軌跡をとらない
請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち最も物体側のレンズ群は、負の屈折力を有する
請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち最も像面側のレンズ群は、正の屈折力を有する
請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群は、3つのレンズ群を有する
請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記変倍レンズ群を構成するレンズ枚数は、8枚以下である
請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち屈折力の絶対値が最も大きいレンズ群は、負の屈折力を有するレンズ群である
請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項10】
フォーカシング時に前記第1のフォーカスレンズ群と共に移動する第2のフォーカスレンズ群、をさらに備える
請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項11】
さらに、以下の条件式を満足する
請求項10に記載のズームレンズ。
0.5<|ff1/ff2|<3.0 ……(3)
ただし、
ff1:前記第1のフォーカスレンズ群の焦点距離
ff2:前記第2のフォーカスレンズ群の焦点距離
とする。
【請求項12】
物体側から像面側に向かって順に、
変倍時に固定の第1の固定レンズ群と、
開口絞りよりも物体側に配置され、変倍時に互いに異なる軌跡で移動する正レンズ群と負レンズ群とを含む複数のレンズ群を有する変倍レンズ群と、
正の屈折力を有する変倍時に固定の第2の固定レンズ群と、
前記第2の固定レンズ群に対して像面側に隣接配置され、変倍時、およびフォーカシング時に移動する第1のフォーカスレンズ群と
を備え、
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群は、3つのレンズ群で構成され、
以下の条件式を満足する
ズームレンズ。
0.05≦ffix/fzp<0.67 ……(1)
ただし、
fzp:前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち最も大きい正の屈折力を有するレンズ群の焦点距離
ffix:前記第2の固定レンズ群の焦点距離
とする。
【請求項13】
ズームレンズと、前記ズームレンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力する撮像素子とを含み、
前記ズームレンズは、
物体側から像面側に向かって順に、
変倍時に固定の第1の固定レンズ群と、
開口絞りよりも物体側に配置され、変倍時に互いに異なる軌跡で移動する正レンズ群と負レンズ群とを含む複数のレンズ群を有する変倍レンズ群と、
正の屈折力を有する変倍時に固定の第2の固定レンズ群と、
前記第2の固定レンズ群に対して像面側に隣接配置され、変倍時、およびフォーカシング時に移動する第1のフォーカスレンズ群と
を備え、
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち屈折力の絶対値が最も大きいレンズ群が、3枚以下のレンズで構成され、
以下の条件式を満足する
撮像装置。
0.05≦ffix/fzp<0.67 ……(1)
ただし、
fzp:前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち最も大きい正の屈折力を有するレンズ群の焦点距離
ffix:前記第2の固定レンズ群の焦点距離
とする。
【請求項14】
ズームレンズと、前記ズームレンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力する撮像素子とを含み、
前記ズームレンズは、
物体側から像面側に向かって順に、
変倍時に固定の第1の固定レンズ群と、
開口絞りよりも物体側に配置され、変倍時に互いに異なる軌跡で移動する正レンズ群と負レンズ群とを含む複数のレンズ群を有する変倍レンズ群と、
正の屈折力を有する変倍時に固定の第2の固定レンズ群と、
前記第2の固定レンズ群に対して像面側に隣接配置され、変倍時、およびフォーカシング時に移動する第1のフォーカスレンズ群と
を備え、
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群は、3つのレンズ群で構成され、
以下の条件式を満足する
撮像装置。
0.05≦ffix/fzp<0.67 ……(1)
ただし、
fzp:前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち最も大きい正の屈折力を有するレンズ群の焦点距離
ffix:前記第2の固定レンズ群の焦点距離
とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ズームレンズ、および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置(カメラ)に用いる撮影光学系には、用途に応じて様々な焦点距離や口径の光学系が要望されている。例えば、遠くの被写体を所望の画角で拡大撮影できる望遠ズームレンズに対しては、高画質で小型軽量であり、高ズーム比で、迅速なフォーカシングができること等が要望されている。これらの要求を満足するズームレンズとして、最も物体側に正の屈折力のレンズ群を配置したポジティブリード型を採用したズームレンズが知られている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-106778号公報
【特許文献2】特開2020-52338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
望遠ズームレンズの高画質化のためにはズーミングによる軸上色収差、倍率色収差、球面収差、および像面湾曲などの諸収差の補正が重要になるが、変動を抑制する場合、レンズ枚数が多くなる。特許文献1、2に記載のズームレンズは、変倍時に移動する正のレンズ群の屈折力が非常に強いため、レンズ重量およびレンズ枚数の増加を招き、軽量なズームレンズの構成としては最適でない。
【0005】
軽量でありながら諸収差を良好に補正することが可能なズームレンズ、および撮像装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態に係る第1のズームレンズは、物体側から像面側に向かって順に、変倍時に固定の第1の固定レンズ群と、開口絞りよりも物体側に配置され、変倍時に互いに異なる軌跡で移動する正レンズ群と負レンズ群とを含む複数のレンズ群を有する変倍レンズ群と、正の屈折力を有する変倍時に固定の第2の固定レンズ群と、第2の固定レンズ群に対して像面側に隣接配置され、変倍時、およびフォーカシング時に移動する第1のフォーカスレンズ群とを備え、変倍レンズ群の複数のレンズ群のうち屈折力の絶対値が最も大きいレンズ群が、3枚以下のレンズで構成され、以下の条件式を満足する。
0.05≦ffix/fzp<0.67 ……(1)
ただし、
fzp:変倍レンズ群の複数のレンズ群のうち最も大きい正の屈折力を有するレンズ群の焦点距離
ffix:第2の固定レンズ群の焦点距離
とする。
【0007】
本開示の一実施の形態に係る第2のズームレンズは、物体側から像面側に向かって順に、変倍時に固定の第1の固定レンズ群と、開口絞りよりも物体側に配置され、変倍時に互いに異なる軌跡で移動する正レンズ群と負レンズ群とを含む複数のレンズ群を有する変倍レンズ群と、正の屈折力を有する変倍時に固定の第2の固定レンズ群と、第2の固定レンズ群に対して像面側に隣接配置され、変倍時、およびフォーカシング時に移動する第1のフォーカスレンズ群とを備え、変倍レンズ群の複数のレンズ群は、3つのレンズ群で構成され、以下の条件式を満足する。
0.05≦ffix/fzp<0.67 ……(1)
ただし、
fzp:変倍レンズ群の複数のレンズ群のうち最も大きい正の屈折力を有するレンズ群の焦点距離
ffix:第2の固定レンズ群の焦点距離
とする。
【0008】
本開示の一実施の形態に係る第1の撮像装置は、ズームレンズと、ズームレンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力する撮像素子とを含み、ズームレンズを、上記本開示の一実施の形態に係る第1のズームレンズによって構成したものである。
【0009】
本開示の一実施の形態に係る第2の撮像装置は、ズームレンズと、ズームレンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力する撮像素子とを含み、ズームレンズを、上記本開示の一実施の形態に係る第2のズームレンズによって構成したものである。
【0010】
本開示の一実施の形態に係る第1もしくは第2のズームレンズ、または第1もしくは第2の撮像装置では、軽量でありながら諸収差を良好に補正することが可能となるように、各レンズ群の構成の最適化が図られている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施の形態に係るズームレンズの第1の構成例(実施例1)を示すレンズ断面図である。
【
図2】実施例1に係るズームレンズの広角端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図3】実施例1に係るズームレンズの中間位置かつ無限遠合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図4】実施例1に係るズームレンズの望遠端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図5】実施例1に係るズームレンズの広角端かつ近距離合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図6】実施例1に係るズームレンズの中間位置かつ近距離合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図7】実施例1に係るズームレンズの望遠端かつ近距離合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図8】実施例1に係るズームレンズの広角端かつ無限遠合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図9】実施例1に係るズームレンズの中間位置かつ無限遠合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図10】実施例1に係るズームレンズの望遠端かつ無限遠合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図11】実施例1に係るズームレンズの広角端かつ近距離合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図12】実施例1に係るズームレンズの中間位置かつ近距離合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図13】実施例1に係るズームレンズの望遠端かつ近距離合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図14】一実施の形態に係るズームレンズの第2の構成例(実施例2)を示すレンズ断面図である。
【
図15】実施例2に係るズームレンズの広角端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図16】実施例2に係るズームレンズの中間位置かつ無限遠合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図17】実施例2に係るズームレンズの望遠端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図18】実施例2に係るズームレンズの広角端かつ近距離合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図19】実施例2に係るズームレンズの中間位置かつ近距離合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図20】実施例2に係るズームレンズの望遠端かつ近距離合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図21】実施例2に係るズームレンズの広角端かつ無限遠合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図22】実施例2に係るズームレンズの中間位置かつ無限遠合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図23】実施例2に係るズームレンズの望遠端かつ無限遠合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図24】実施例2に係るズームレンズの広角端かつ近距離合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図25】実施例2に係るズームレンズの中間位置かつ近距離合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図26】実施例2に係るズームレンズの望遠端かつ近距離合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図27】一実施の形態に係るズームレンズの第3の構成例(実施例3)を示すレンズ断面図である。
【
図28】実施例3に係るズームレンズの広角端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図29】実施例3に係るズームレンズの中間位置かつ無限遠合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図30】実施例3に係るズームレンズの望遠端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図31】実施例3に係るズームレンズの広角端かつ近距離合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図32】実施例3に係るズームレンズの中間位置かつ近距離合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図33】実施例3に係るズームレンズの望遠端かつ近距離合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図34】実施例3に係るズームレンズの広角端かつ無限遠合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図35】実施例3に係るズームレンズの中間位置かつ無限遠合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図36】実施例3に係るズームレンズの望遠端かつ無限遠合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図37】実施例3に係るズームレンズの広角端かつ近距離合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図38】実施例3に係るズームレンズの中間位置かつ近距離合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図39】実施例3に係るズームレンズの望遠端かつ近距離合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図40】一実施の形態に係るズームレンズの第4の構成例(実施例4)を示すレンズ断面図である。
【
図41】実施例4に係るズームレンズの広角端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図42】実施例4に係るズームレンズの中間位置かつ無限遠合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図43】実施例4に係るズームレンズの望遠端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図44】実施例4に係るズームレンズの広角端かつ近距離合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図45】実施例4に係るズームレンズの中間位置かつ近距離合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図46】実施例4に係るズームレンズの望遠端かつ近距離合焦時における縦収差を示す収差図である。
【
図47】実施例4に係るズームレンズの広角端かつ無限遠合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図48】実施例4に係るズームレンズの中間位置かつ無限遠合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図49】実施例4に係るズームレンズの望遠端かつ無限遠合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図50】実施例4に係るズームレンズの広角端かつ近距離合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図51】実施例4に係るズームレンズの中間位置かつ近距離合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図52】実施例4に係るズームレンズの望遠端かつ近距離合焦時における横収差を示す収差図である。
【
図53】撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図54】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図55】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【
図56】内視鏡システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図57】
図56に示すカメラ及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図58】顕微鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.レンズの基本構成
2.作用・効果
3.撮像装置への適用例
4.レンズの数値実施例
5.応用例
6.その他の実施の形態
【0013】
<1.レンズの基本構成>
図1は、本開示の一実施の形態に係るズームレンズの第1の構成例を示しており、後述する実施例1の構成に相当する。
図14は、一実施の形態に係るズームレンズの第2の構成例を示しており、後述する実施例2の構成に相当する。
図27は、一実施の形態に係るズームレンズの第3の構成例を示しており、後述する実施例3の構成に相当する。
図40は、一実施の形態に係るズームレンズの第4の構成例を示しており、後述する実施例4の構成に相当する。
【0014】
図1等において、Z1は光軸を示す。第1ないし第4の構成例に係るズームレンズ1~4と像面IMGとの間には、撮像素子保護用のカバーガラス等の光学部材が配置されていてもよい。また、カバーガラスの他にも、光学部材として、ローパスフィルタや赤外カットフィルタ等の各種の光学フィルタが配置されていてもよい。
【0015】
以下、本開示の一実施の形態に係るズームレンズの構成を、適宜
図1等に示した各構成例に係るズームレンズ1~4に対応付けて説明するが、本開示による技術は、図示した構成例に限定されるものではない。
【0016】
一実施の形態に係るズームレンズは、物体側から像面側に向かって順に、変倍時に固定の第1の固定レンズ群と、開口絞りStよりも物体側に配置された変倍レンズ群と、正の屈折力を有する変倍時に固定の第2の固定レンズ群と、第1のフォーカスレンズ群とを備える。
【0017】
変倍レンズ群は、互いに異なる軌跡で移動する正レンズ群と負レンズ群とを含む複数のレンズ群を有する。変倍レンズ群の複数のレンズ群のうち屈折力の絶対値が最も大きいレンズ群は、例えば3枚以下のレンズで構成される。変倍レンズ群の複数のレンズ群は、例えば3つのレンズ群で構成される。
【0018】
第1のフォーカスレンズ群は、第2の固定レンズ群に対して像面側に隣接配置され、変倍時、およびフォーカシング時に移動する。なお、一実施の形態に係るズームレンズは、第2のフォーカスレンズ群をさらに備えていてもよい。
【0019】
なお、
図1等では、上段に広角端(Wide)かつ無限遠合焦時のレンズ配置を示し、中段に中間位置(Mid)かつ無限遠合焦時のレンズ配置を示す。また、下段に、望遠端(Tele)かつ無限遠合焦時のレンズ配置を示す。また、
図1等には、無限遠から近距離へとフォーカシングする際の第1のフォーカスレンズ群および第2のフォーカスレンズ群の移動方向を矢印で示す。
【0020】
後述する実施例において、実施例1~4に係るズームレンズは、第1レンズ群GR1~第8レンズ群GR8からなる。後述する実施例1~4に係るズームレンズにおいて、第1レンズ群GR1は、上記した第1の固定レンズ群に相当する。第2レンズ群GR2~第4レンズ群GR4は、上記した変倍レンズ群に相当する。第5レンズ群GR5は、上記した第2の固定レンズ群に相当する。第6レンズ群GR6は、上記した第1のフォーカスレンズ群に相当する。第7レンズ群GR7は、上記した第2のフォーカスレンズ群に相当する。
【0021】
その他、一実施の形態に係るズームレンズは、後述する所定の条件式等をさらに満足していてもよい。
【0022】
<2.作用・効果>
次に、本開示の一実施の形態に係るズームレンズの作用および効果を説明する。併せて、本開示の一実施の形態に係るズームレンズにおける、より好ましい構成と、その作用および効果を説明する。
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0023】
一実施の形態に係るズームレンズによれば、軽量でありながら諸収差を良好に補正することが可能となるように、各レンズ群の構成の最適化が図られている。これにより、軽量でありながら諸収差を良好に補正することが可能なズームレンズ、およびそのようなズームレンズを搭載した撮像装置を提供可能となる。
【0024】
一実施の形態に係るズームレンズは、変倍レンズ群が正レンズ群と負レンズ群とを有し、正レンズ群と負レンズ群とが互いに異なる軌跡で移動する。これにより、変倍レンズ群の合成焦点距離を大きく変化させることができ、ズーミングによる諸収差の変動を抑制できる。また、変倍レンズ群の複数のレンズ群のうち屈折力の絶対値が最も大きいレンズ群を3枚以下のレンズ群で構成することによって、重量が増加しやすい傾向にある屈折力の大きいレンズ群の重量増加を抑制できる。なお、上記屈折力の絶対値が最も大きいレンズ群を2枚以下で構成することで、重量増加をさらに抑制できるので好ましい。なお、後述する実施例において、実施例1に係るズームレンズでは、第4レンズ群GR4が上記屈折力の絶対値が最も大きいレンズ群に相当し、実施例2~4に係るズームレンズでは、第2レンズ群GR2が上記屈折力の絶対値が最も大きいレンズ群に相当する。
【0025】
また、一実施の形態に係るズームレンズでは、変倍レンズ群に負レンズ群と正レンズ群とを有することで、合成主点位置のコントロールとズーミングによる収差変動の補正をしつつ、レンズ枚数を削減することが可能となる。また、第1のフォーカスレンズ群の物体側に、強い正の屈折力を有する第2の固定レンズ群を配置することで、第1のフォーカスレンズ群の小径化を図ることが可能となる。
【0026】
一実施の形態に係るズームレンズは、以下の条件式(1)を満足してもよい。
0.05≦ffix/fzp<0.67 ……(1)
ただし、
fzp:変倍レンズ群の複数のレンズ群のうち最も大きい正の屈折力を有するレンズ群の焦点距離
ffix:第2の固定レンズ群の焦点距離
とする。
【0027】
条件式(1)は、第2の固定レンズ群の焦点距離と変倍レンズ群の複数のレンズ群のうち最も強い正の屈折力を有するレンズ群の焦点距離とを適切な関係とするための条件式である。この条件式(1)により、良好に収差補正を行いながら軽量化を達成できる。変倍レンズ群は軽量化のために屈折力の弱い正レンズ群となり、軸上光線の収斂の効果が低くなるが、第2の固定レンズ群に強い正の屈折力のレンズ群を配置することで、軸上光線を収斂させ、後続の第1のフォーカスレンズ群の小径化を実現する。条件式(1)の下限値を下回ると、第2の固定レンズ群の屈折力が強くなりすぎ、第2の固定レンズ群で発生する球面収差などの諸収差の補正が困難となる。一方、条件式(1)の上限値を上回ると、第2の固定レンズ群の屈折力が弱くなりすぎ、第1のフォーカスレンズ群への入射光線の径を抑制することができず、小型化が困難になる。
【0028】
なお、条件式(1)の数値範囲を下記条件式(1A)のように設定することで、より高い効果を得ることができる。
0.15≦ffix/fzp<0.65 ……(1A)
【0029】
また、一実施の形態に係るズームレンズは、以下の条件式(2)を満足してもよい。
0.0≦(ff1/|ff1|)*(dw-dt)/dw≦1.0 ……(2)
ただし、
ff1:第1のフォーカスレンズ群の焦点距離
dw:広角端かつ無限遠合焦時における第1のフォーカスレンズ群の最も物体側の面頂点から像面までの光軸上の距離
dt:望遠端かつ無限遠合焦時における第1のフォーカスレンズ群の最も物体側の面頂点から像面までの光軸上の距離
とする。*は、乗算記号を示す。
【0030】
条件式(2)は、広角端かつ無限遠合焦時と望遠端かつ無限遠合焦時とのそれぞれにおける第1のフォーカスレンズ群の最も物体側の面頂点から像面までの光軸上の距離を適切な関係とするための条件式である。この条件式(2)により、第1のフォーカスレンズ群のズーミングによる移動軌跡とフォーカシングによる移動軌跡とを適切に制御し、第1のフォーカスレンズ群の移動時の総ストローク量を最小化できる。条件式(2)の下限値を下回ると、フォーカシングのために最もストロークの長くなる望遠端かつ無限遠での合焦位置が像面側に寄り、総ストローク量が増加し小型化が困難となる。一方、条件式(2)の上限値を上回ると、ズーミングによる第1のフォーカスレンズ群の移動量が大きくなりすぎ、小型化が困難になる。
【0031】
なお、条件式(2)の数値範囲を下記条件式(2A)のように設定することで、より高い効果を得ることができる。
0.0≦(ff1/|ff1|)*(dw-dt)/dw≦0.3 ……(2A)
【0032】
また、一実施の形態に係るズームレンズにおいて、変倍レンズ群の複数のレンズ群のうち少なくとも2つ以上のレンズ群はそれぞれ、広角端よりも望遠端において、像面側に位置するように構成するとよい。これにより、変倍レンズ群の各レンズ群において軸外光線の高さを大きく変化させることができ、倍率色収差、および像面湾曲などの諸収差の補正に有利な構成となる。なお、変倍レンズ群の複数のレンズ群のうち3つのレンズ群を広角端よりも望遠端において像面側に位置するようにすることで、諸収差の補正により有利な構成となる。
【0033】
また、一実施の形態に係るズームレンズにおいて、変倍レンズ群の複数のレンズ群はそれぞれ、広角端から望遠端への移動に際し、往復軌跡をとらないように構成するとよい。これにより、ズーミング時に移動するレンズ群の偏芯の変動を抑制することができ、メカの構成上有利な構成となる。
【0034】
また、一実施の形態に係るズームレンズにおいて、変倍レンズ群の複数のレンズ群のうち最も物体側のレンズ群は、負の屈折力を有するように構成するとよい。これにより、負の屈折力のレンズ群のズーミング時のストロークを確保しやすく、高倍率化に有利な構成となる。
【0035】
また、一実施の形態に係るズームレンズにおいて、変倍レンズ群の複数のレンズ群のうち最も像面側のレンズ群は、正の屈折力を有するように構成するとよい。これにより、広角端における軸上光線の高さが変倍レンズ群のなかで最も高くなる像面側に正の屈折力のレンズ群を配置することができ、変倍レンズ群よりも像面側のレンズ群の径を抑制し、小型化に有利な構成となる。
【0036】
また、一実施の形態に係るズームレンズにおいて、変倍レンズ群の複数のレンズ群は、3つのレンズ群を有するように構成するとよい。これにより、変倍レンズ群の合成焦点距離を大きく変化させることができ、ズーミングによる諸収差の変動を抑制でき高性能化に有利な構成となる。
【0037】
また、一実施の形態に係るズームレンズにおいて、変倍レンズ群を構成するレンズ枚数を、8枚以下となるように構成するとよい。これにより、変倍レンズ群の軽量化に有利な構成となることに加え、各レンズの固定方法をシンプルにすることが可能なり、メカ的にも軽量化が可能となる。
【0038】
また、一実施の形態に係るズームレンズにおいて、変倍レンズ群の複数のレンズ群のうち屈折力の絶対値が最も大きいレンズ群が、負の屈折力を有するレンズ群となるように構成するとよい。これにより、変倍レンズ群において、負の屈折力を有するレンズ群の変倍比を確保しやすく、高倍率化に有利な構成となる。
【0039】
また、一実施の形態に係るズームレンズにおいて、第1のフォーカスレンズ群に加え、フォーカシング時に第1のフォーカスレンズ群と共に移動する第2のフォーカスレンズ群をさらに備える構成にしてもよい。これにより、無限遠から有限距離の被写体まで高い光学性能を維持することが可能となる。
【0040】
また、一実施の形態に係るズームレンズは、以下の条件式(3)を満足してもよい。
0.5<|ff1/ff2|<3.0 ……(3)
ただし、
ff1:第1のフォーカスレンズ群の焦点距離
ff2:第2のフォーカスレンズ群の焦点距離
とする。
【0041】
条件式(3)は、第1のフォーカスレンズ群の焦点距離と第2のフォーカスレンズ群の焦点距離との比を適切な関係とするための条件式である。この条件式(3)により、良好に収差補正を行いながら軽量化を達成できる。条件式(3)の下限値を下回ると、第1のフォーカスレンズ群の屈折力が強くなりすぎ、第1のフォーカスレンズ群で発生する球面収差などの諸収差の補正が困難となる。一方、条件式(3)の上限値を上回ると、第1のフォーカスレンズ群の屈折力が弱くなりすぎ、第1のフォーカスレンズ群のストロークが長くなりすぎ、小型化が困難になる。
【0042】
なお、条件式(3)の数値範囲を下記条件式(3A)のように設定することで、より高い効果を得ることができる。
0.7<|ff1/ff2|<2.5 ……(3A)
【0043】
<3.撮像装置への適用例>
次に、本開示の一実施の形態に係るズームレンズの具体的な撮像装置への適用例を説明する。
【0044】
図53は、一実施の形態に係るズームレンズを適用した撮像装置100の一構成例を示している。この撮像装置100は、例えばデジタルスチルカメラであり、カメラブロック110と、カメラ信号処理部20と、画像処理部30と、LCD(Liquid Crystal Display)40と、R/W(リーダ/ライタ)50と、CPU(Central Processing Unit)60と、入力部70と、レンズ駆動制御部80とを備えている。
【0045】
カメラブロック110は、撮像機能を担うものであり、撮像レンズ11と、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子12とを有している。撮像素子12は、撮像レンズ11によって形成された光学像を電気信号へ変換することで、光学像に応じた撮像信号(画像信号)を出力するようになっている。撮像レンズ11として、
図1等に示した各構成例に係るズームレンズ1~4を適用可能である。
【0046】
カメラ信号処理部20は、撮像素子12から出力された画像信号に対してアナログ-デジタル変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の各種の信号処理を行うものである。
【0047】
画像処理部30は、画像信号の記録再生処理を行うものであり、所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理等を行うようになっている。
【0048】
LCD40は、ユーザの入力部70に対する操作状態や撮影した画像等の各種のデータを表示する機能を有している。R/W50は、画像処理部30によって符号化された画像データのメモリカード1000への書き込み、およびメモリカード1000に記録された画像データの読み出しを行うものである。メモリカード1000は、例えば、R/W50に接続されたスロットに対して着脱可能な半導体メモリーである。
【0049】
CPU60は、撮像装置100に設けられた各回路ブロックを制御する制御処理部として機能するものであり、入力部70からの指示入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御するようになっている。入力部70は、ユーザによって所要の操作が行われる各種のスイッチ等からなる。入力部70は例えば、シャッタ操作を行うためのシャッタレリーズボタンや、動作モードを選択するための選択スイッチ等によって構成され、ユーザによる操作に応じた指示入力信号をCPU60に対して出力するようになっている。レンズ駆動制御部80は、カメラブロック110に配置されたレンズの駆動を制御するものであり、CPU60からの制御信号に基づいて撮像レンズ11の各レンズを駆動する図示しないモータ等を制御するようになっている。
【0050】
以下に、撮像装置100における動作を説明する。
撮影の待機状態では、CPU60による制御の下で、カメラブロック110において撮影された画像に相当する画像信号が、カメラ信号処理部20を介してLCD40に出力され、カメラスルー画像として表示される。また、例えば入力部70からのズーミングやフォーカシングのための指示入力信号が入力されると、CPU60がレンズ駆動制御部80に制御信号を出力し、レンズ駆動制御部80の制御に基づいて撮像レンズ11の所定のレンズが移動する。
【0051】
入力部70からの指示入力信号によりカメラブロック110の図示しないシャッタが動作されると、撮影された画像信号がカメラ信号処理部20から画像処理部30に出力されて圧縮符号化処理され、所定のデータフォーマットのデジタルデータに変換される。変換されたデータはR/W50に出力され、メモリカード1000に書き込まれる。
【0052】
なお、フォーカシングは、例えば、入力部70のシャッタレリーズボタンが半押しされた場合や記録(撮影)のために全押しされた場合等に、CPU60からの制御信号に基づいてレンズ駆動制御部80が撮像レンズ11の所定のレンズを移動させることにより行われる。
【0053】
メモリカード1000に記録された画像データを再生する場合には、入力部70に対する操作に応じて、R/W50によってメモリカード1000から所定の画像データが読み出され、画像処理部30によって伸張復号化処理が行われた後、再生画像信号がLCD40に出力されて再生画像が表示される。
【0054】
なお、上記した実施の形態においては、撮像装置をデジタルスチルカメラ等に適用した例を示したが、撮像装置の適用範囲はデジタルスチルカメラに限られることはなく、他の種々の撮像装置に適用可能である。例えば、デジタル一眼レフカメラ、デジタルノンレフレックスカメラ、デジタルビデオカメラ、および監視カメラ等に適用することができる。また、カメラが組み込まれた携帯電話や、カメラが組み込まれた情報端末等のデジタル入出力機器のカメラ部等として広く適用することができる。また、レンズ交換式のカメラにも適用することができる。
【実施例0055】
<4.レンズの数値実施例>
次に、本開示の一実施の形態に係るズームレンズの具体的な数値実施例について説明する。ここでは、
図1等に示した各構成例に係るズームレンズ1~4に、具体的な数値を適用した実施例を説明する。
【0056】
なお、以下の各表や説明において示した記号の意味等については、下記に示す通りである。「Si」は、最も物体側から順次増加するようにして符号を付したi番目の面の番号を示している。「ri」は、i番目の面の近軸の曲率半径の値(mm)を示す。「di」はi番目の面とi+1番目の面との間の光軸上の間隔の値(mm)を示す。「ndi」はi番目の面を有する光学要素の材質のd線(波長587.6nm)に対する屈折率の値を示す。「νdi」はi番目の面を有する光学要素の材質のd線におけるアッベ数の値を示す。「φi」はi番目の面の有効径の値(mm)を示す。「ri」の値が「∞」となっている部分は平面、または絞り面等を示す。面番号(Si)の欄の「ASP」は、当該面が非球面形状で構成されていることを示す。面番号の欄の「STO」は該当位置に開口絞りStが配置されていることを示す。面番号の欄の「OBJ」は、当該面が物体面(被写体面)であることを示す。面番号の欄の「IMG」は、当該面が像面であることを示す。「f」は全系の焦点距離を示す(単位:mm)。「Fno」は開放F値(Fナンバー)を示す。「ω」は半画角を示す(単位:°)。「Y」は像高を示す(単位:mm)。「L」は光学全長(最も物体側の面から像面IMGまでの光軸上の距離)を示す(単位:mm)。
【0057】
また、各実施例において用いられるレンズには、レンズ面が非球面によって構成されるものがある。非球面形状は、以下の式によって定義される。なお、後述する非球面係数を示す各表において、「E-i」は10を底とする指数表現、すなわち、「10-i」を表しており、例えば、「0.12345E-05」は「0.12345×10-5」を表している。
【0058】
(非球面の式)
x=c2y2/(1+(1-(1+k)c2y2)1/2)+A4・y4+A6・y6+A8・y8+A10・y10+A12・y12+A14・y14
ここで、レンズ面の頂点から光軸方向の距離(サグ量)を「x」、光軸と垂直な方向の高さを「y」、レンズ面の頂点での近軸曲率(曲率半径の逆数)を「c」、円錐(コーニック)定数を「k」とする。A4、A6、A8、A10、A12およびA14は、それぞれ第4次、第6次、第8次、第10次、第12次および第14次の非球面係数である。
【0059】
[実施例1]
[表1]に、
図1に示した実施例1に係るズームレンズ1の基本的なレンズデータを示す。[表2]には、実施例1に係るズームレンズ1における全系の焦点距離f、F値、全画角2ω、像高Y、および光学全長Lの値を示す。[表3]には、実施例1に係るズームレンズ1においてズーミングおよびフォーカシングの際に可変となる面間隔のデータを示す。なお、[表2]には、広角端(Wide)、中間位置(Mid)および望遠端(Tele)のそれぞれについて、物体距離(d0)が無限遠の場合における値を示す。[表3]には、広角端(Wide)、中間位置(Mid)および望遠端(Tele)のそれぞれについて、物体距離(d0)が無限遠の場合と近距離の場合とにおける値を示す。[表4]には、実施例1に係るズームレンズ1における、非球面の形状を表す係数の値を示す。[表5]には、実施例1に係るズームレンズ1の各レンズ群の始面と焦点距離(単位:mm)とを示す。
【0060】
実施例1に係るズームレンズ1は、第1レンズ群GR1と、第2レンズ群GR2と、第3レンズ群GR3と、第4レンズ群GR4と、開口絞りStを含む第5レンズ群GR5と、第6レンズ群GR6と、第7レンズ群GR7と、第8レンズ群GR8とが、物体側から像面側へ向かって順に配置された構成とされている。
【0061】
実施例1に係るズームレンズ1において、第1レンズ群GR1は、上記した第1の固定レンズ群に相当する。第2レンズ群GR2~第4レンズ群GR4は、上記した変倍レンズ群に相当する。第5レンズ群GR5は、上記した第2の固定レンズ群に相当する。第6レンズ群GR6は、上記した第1のフォーカスレンズ群に相当する。第7レンズ群GR7は、上記した第2のフォーカスレンズ群に相当する。
【0062】
第1レンズ群GR1は、正の屈折力を有する。第1レンズ群GR1は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL11~L13からなる。レンズL11は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。レンズL12は、両凸形状の正レンズである。レンズL13は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。
【0063】
第2レンズ群GR2は、負の屈折力を有する。第2レンズ群GR2は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL21と、レンズL22とからなる。レンズL21は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。レンズL22は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。レンズL21とレンズL22は、接合レンズを構成する。
【0064】
第3レンズ群GR3は、正の屈折力を有する。第3レンズ群GR3は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL31と、レンズL32とからなる。レンズL31は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。レンズL32は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。
【0065】
第4レンズ群GR4は、負の屈折力を有する。第4レンズ群GR4は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL41~L43からなる。レンズL41は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。レンズL42は、両凹形状の負レンズである。レンズL43は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。レンズL42とレンズL43は、接合レンズを構成する。
【0066】
第5レンズ群GR5は、正の屈折力を有する。第5レンズ群GR5は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL51~L54と、開口絞りStと、レンズL55~L59と、レンズL510とからなる。レンズL51は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。レンズL52は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。レンズL53は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。レンズL52とレンズL53は、接合レンズを構成する。レンズL54は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。レンズL55は、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。レンズL56は、両凹形状の負レンズである。レンズL55とレンズL56は、接合レンズを構成する。レンズL57は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。レンズL58は、両凸形状の正レンズである。レンズL57とレンズL58は、接合レンズを構成する。レンズL59は、両凸形状の正レンズである。レンズL510は、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。レンズL59とレンズL510は、接合レンズを構成する。
【0067】
第6レンズ群GR6は、負の屈折力を有する。第6レンズ群GR6は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL61と、レンズL62とからなる。レンズL61は、両凸形状の正レンズである。レンズL62は、両凹形状の負レンズである。レンズL61とレンズL62は、接合レンズを構成する。
【0068】
第7レンズ群GR7は、正の屈折力を有する。第7レンズ群GR7は、レンズL71からなる。レンズL71は、両凸形状の正レンズである。
【0069】
第8レンズ群GR8は、負の屈折力を有する。第8レンズ群GR8は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL81と、レンズL82とからなる。レンズL81は、両凹形状の負レンズである。レンズL82は、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。
【0070】
実施例1に係るズームレンズ1は、物体距離を無限遠から近距離へとフォーカシングする際には、第6レンズ群GR6が像面側、第7レンズ群GR7が物体側へと互いに異なる軌跡で光軸方向に移動する。なお、フォーカシングの方式は、第6レンズ群GR6と第7レンズ群GR7とを移動する方式に限らない。例えば、第7レンズ群GR7に代えてレンズL81をフォーカスレンズ群として光軸方向に移動する方式や、第6レンズ群GR6と第7レンズ群GR7とに加えてレンズL81をさらにフォーカスレンズ群として光軸方向に移動する方式であってもよい。また、接合レンズを構成するレンズL57とレンズL58とを、防振レンズ群として光軸方向と垂直方向に移動することで、手ブレなどに対し、防振することができる。
【0071】
以上の構成により、高画質な望遠ズームレンズを実現しつつ軽量化を実現している。
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
図2には、実施例1に係るズームレンズ1の広角端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す。
図3には、実施例1に係るズームレンズ1の中間位置かつ無限遠合焦時における縦収差を示す。
図4には、実施例1に係るズームレンズ1の望遠端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す。
図5には、実施例1に係るズームレンズ1の広角端かつ近距離合焦時における縦収差を示す。
図6には、実施例1に係るズームレンズ1の中間位置かつ近距離合焦時における縦収差を示す。
図7には、実施例1に係るズームレンズ1の望遠端かつ近距離合焦時における縦収差を示す。
図8には、実施例1に係るズームレンズ1の広角端かつ無限遠合焦時における横収差を示す。
図9には、実施例1に係るズームレンズ1の中間位置かつ無限遠合焦時における横収差を示す。
図10には、実施例1に係るズームレンズ1の望遠端かつ無限遠合焦時における横収差を示す。
図11には、実施例1に係るズームレンズ1の広角端かつ近距離合焦時における横収差を示す。
図12には、実施例1に係るズームレンズ1の中間位置かつ近距離合焦時における横収差を示す。
図13には、実施例1に係るズームレンズ1の望遠端かつ近距離合焦時における横収差を示す。
【0078】
図2ないし
図7には、縦収差として、球面収差、非点収差(像面湾曲)、および歪曲収差を示す。
図2ないし
図7における球面収差図、および
図8ないし
図13における横収差図において、実線はd線(587.56nm)、一点鎖線はg線(435.84nm)、破線はC線(656.27nm)における値を示す。
図2ないし
図7における非点収差図において、Sはサジタル像面、Tはタンジェンシャル像面における値を示す。
図2ないし
図7における非点収差図および歪曲収差図には、d線における値を示す。
以降の他の実施例における収差図についても同様である。
【0079】
各収差図から分かるように、実施例1に係るズームレンズ1は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有している。
【0080】
[実施例2]
[表6]に、
図14に示した実施例2に係るズームレンズ2の基本的なレンズデータを示す。[表7]には、実施例2に係るズームレンズ2における全系の焦点距離f、F値、全画角2ω、像高Y、および光学全長Lの値を示す。[表8]には、実施例2に係るズームレンズ2においてズーミングおよびフォーカシングの際に可変となる面間隔のデータを示す。なお、[表7]には、広角端(Wide)、中間位置(Mid)および望遠端(Tele)のそれぞれについて、物体距離(d0)が無限遠の場合における値を示す。[表8]には、広角端(Wide)、中間位置(Mid)および望遠端(Tele)のそれぞれについて、物体距離(d0)が無限遠の場合と近距離の場合とにおける値を示す。[表9]には、実施例2に係るズームレンズ2における、非球面の形状を表す係数の値を示す。[表10]には、実施例2に係るズームレンズ2の各レンズ群の始面と焦点距離(単位:mm)とを示す。
【0081】
実施例2に係るズームレンズ2は、第1レンズ群GR1と、第2レンズ群GR2と、第3レンズ群GR3と、第4レンズ群GR4と、開口絞りStを含む第5レンズ群GR5と、第6レンズ群GR6と、第7レンズ群GR7と、第8レンズ群GR8とが、物体側から像面側へ向かって順に配置された構成とされている。
【0082】
実施例2に係るズームレンズ2において、第1レンズ群GR1は、上記した第1の固定レンズ群に相当する。第2レンズ群GR2~第4レンズ群GR4は、上記した変倍レンズ群に相当する。第5レンズ群GR5は、上記した第2の固定レンズ群に相当する。第6レンズ群GR6は、上記した第1のフォーカスレンズ群に相当する。第7レンズ群GR7は、上記した第2のフォーカスレンズ群に相当する。
【0083】
第1レンズ群GR1は、正の屈折力を有する。第1レンズ群GR1は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL11~L13からなる。レンズL11は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。レンズL12は、両凸形状の正レンズである。レンズL13は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。
【0084】
第2レンズ群GR2は、負の屈折力を有する。第2レンズ群GR2は、レンズL21からなる。レンズL21は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。
【0085】
第3レンズ群GR3は、負の屈折力を有する。第3レンズ群GR3は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL31と、レンズL32とからなる。レンズL31は、両凹形状の負レンズである。レンズL32は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。レンズL31とレンズL32は、接合レンズを構成する。
【0086】
第4レンズ群GR4は、正の屈折力を有する。第4レンズ群GR4は、レンズL41からなる。レンズL41は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。
【0087】
第5レンズ群GR5は、正の屈折力を有する。第5レンズ群GR5は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL51と、開口絞りStと、レンズL52~L55とからなる。レンズL51は、両凸形状の正レンズである。レンズL52は、両凹形状の負レンズである。レンズL53は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。レンズL54は、両凸形状の正レンズである。レンズL53とレンズL54は、接合レンズを構成する。レンズL55は、両凸形状の正レンズである。
【0088】
第6レンズ群GR6は、負の屈折力を有する。第6レンズ群GR6は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL61と、レンズL62とからなる。レンズL61は、像面側に凸面を向けた平凸レンズである。レンズL62は、両凹形状の負レンズである。レンズL61とレンズL62は、接合レンズを構成する。
【0089】
第7レンズ群GR7は、正の屈折力を有する。第7レンズ群GR7は、レンズL71からなる。レンズL71は、両凸形状の正レンズである。
【0090】
第8レンズ群GR8は、負の屈折力を有する。第8レンズ群GR8は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL81と、レンズL82とからなる。レンズL81は、両凹形状の負レンズである。レンズL82は、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。
【0091】
実施例2に係るズームレンズ2は、物体距離を無限遠から近距離へとフォーカシングする際には、第6レンズ群GR6が像面側、第7レンズ群GR7が物体側へと互いに異なる軌跡で光軸方向に移動する。なお、フォーカシングの方式は、第6レンズ群GR6と第7レンズ群GR7とを移動する方式に限らない。例えば、第7レンズ群GR7に代えてレンズL41をフォーカスレンズ群として光軸方向に移動する方式や、第6レンズ群GR6と第7レンズ群GR7とに加えてレンズL41をさらにフォーカスレンズ群として光軸方向に移動する方式であってもよい。また、接合レンズを構成するレンズL53とレンズL54とを、防振レンズ群として光軸方向と垂直方向に移動することで、手ブレなどに対し、防振することができる。
【0092】
以上の構成により、高画質な望遠ズームレンズを実現しつつ軽量化を実現している。
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
図15には、実施例2に係るズームレンズ2の広角端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す。
図16には、実施例2に係るズームレンズ2の中間位置かつ無限遠合焦時における縦収差を示す。
図17には、実施例2に係るズームレンズ2の望遠端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す。
図18には、実施例2に係るズームレンズ2の広角端かつ近距離合焦時における縦収差を示す。
図19には、実施例2に係るズームレンズ2の中間位置かつ近距離合焦時における縦収差を示す。
図20には、実施例2に係るズームレンズ2の望遠端かつ近距離合焦時における縦収差を示す。
図21には、実施例2に係るズームレンズ2の広角端かつ無限遠合焦時における横収差を示す。
図22には、実施例2に係るズームレンズ2の中間位置かつ無限遠合焦時における横収差を示す。
図23には、実施例2に係るズームレンズ2の望遠端かつ無限遠合焦時における横収差を示す。
図24には、実施例2に係るズームレンズ2の広角端かつ近距離合焦時における横収差を示す。
図25には、実施例2に係るズームレンズ2の中間位置かつ近距離合焦時における横収差を示す。
図26には、実施例2に係るズームレンズ2の望遠端かつ近距離合焦時における横収差を示す。
【0099】
各収差図から分かるように、実施例2に係るズームレンズ2は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有している。
【0100】
[実施例3]
[表11]に、
図27に示した実施例3に係るズームレンズ3の基本的なレンズデータを示す。[表12]には、実施例3に係るズームレンズ3における全系の焦点距離f、F値、全画角2ω、像高Y、および光学全長Lの値を示す。[表13]には、実施例3に係るズームレンズ3においてズーミングおよびフォーカシングの際に可変となる面間隔のデータを示す。なお、[表12]には、広角端(Wide)、中間位置(Mid)および望遠端(Tele)のそれぞれについて、物体距離(d0)が無限遠の場合における値を示す。[表13]には、広角端(Wide)、中間位置(Mid)および望遠端(Tele)のそれぞれについて、物体距離(d0)が無限遠の場合と近距離の場合とにおける値を示す。[表14]には、実施例3に係るズームレンズ3における、非球面の形状を表す係数の値を示す。[表15]には、実施例3に係るズームレンズ3の各レンズ群の始面と焦点距離(単位:mm)とを示す。
【0101】
実施例3に係るズームレンズ3は、第1レンズ群GR1と、第2レンズ群GR2と、第3レンズ群GR3と、第4レンズ群GR4と、開口絞りStを含む第5レンズ群GR5と、第6レンズ群GR6と、第7レンズ群GR7と、第8レンズ群GR8とが、物体側から像面側へ向かって順に配置された構成とされている。
【0102】
実施例3に係るズームレンズ3において、第1レンズ群GR1は、上記した第1の固定レンズ群に相当する。第2レンズ群GR2~第4レンズ群GR4は、上記した変倍レンズ群に相当する。第5レンズ群GR5は、上記した第2の固定レンズ群に相当する。第6レンズ群GR6は、上記した第1のフォーカスレンズ群に相当する。第7レンズ群GR7は、上記した第2のフォーカスレンズ群に相当する。
【0103】
第1レンズ群GR1は、正の屈折力を有する。第1レンズ群GR1は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL11~L13からなる。レンズL11は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。レンズL12は、両凸形状の正レンズである。レンズL13は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。
【0104】
第2レンズ群GR2は、負の屈折力を有する。第2レンズ群GR2は、レンズL21からなる。レンズL21は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。
【0105】
第3レンズ群GR3は、負の屈折力を有する。第3レンズ群GR3は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL31と、レンズL32とからなる。レンズL31は、両凹形状の負レンズである。レンズL32は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。レンズL31とレンズL32は、接合レンズを構成する。
【0106】
第4レンズ群GR4は、正の屈折力を有する。第4レンズ群GR4は、レンズL41からなる。レンズL41は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。
【0107】
第5レンズ群GR5は、正の屈折力を有する。第5レンズ群GR5は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL51と、開口絞りStと、レンズL52~L55とからなる。レンズL51は、両凸形状の正レンズである。レンズL52は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。レンズL53は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。レンズL54は、両凸形状の正レンズである。レンズL53とレンズL54は、接合レンズを構成する。レンズL55は、両凸形状の正レンズである。
【0108】
第6レンズ群GR6は、負の屈折力を有する。第6レンズ群GR6は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL61~L63からなる。レンズL61は、両凸形状の正レンズである。レンズL62は、両凹形状の負レンズである。レンズL61とレンズL62は、接合レンズを構成する。レンズL63は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。
【0109】
第7レンズ群GR7は、正の屈折力を有する。第7レンズ群GR7は、レンズL71からなる。レンズL71は、両凸形状の正レンズである。
【0110】
第8レンズ群GR8は、負の屈折力を有する。第8レンズ群GR8は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL81と、レンズL82とからなる。レンズL81は、両凹形状の負レンズである。レンズL82は、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。
【0111】
実施例3に係るズームレンズ3は、物体距離を無限遠から近距離へとフォーカシングする際には、第6レンズ群GR6が像面側、第7レンズ群GR7が物体側へと互いに異なる軌跡で光軸方向に移動する。なお、フォーカシングの方式は、第6レンズ群GR6と第7レンズ群GR7とを移動する方式に限らない。例えば、第7レンズ群GR7に代えてレンズL81をフォーカスレンズ群として光軸方向に移動する方式や、第6レンズ群GR6と第7レンズ群GR7とに加えてレンズL81をさらにフォーカスレンズ群として光軸方向に移動する方式であってもよい。また、接合レンズを構成するレンズL53とレンズL54とを、防振レンズ群として光軸方向と垂直方向に移動することで、手ブレなどに対し、防振することができる。
【0112】
以上の構成により、高画質な望遠ズームレンズを実現しつつ軽量化を実現している。
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
図28には、実施例3に係るズームレンズ3の広角端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す。
図29には、実施例3に係るズームレンズ3の中間位置かつ無限遠合焦時における縦収差を示す。
図30には、実施例3に係るズームレンズ3の望遠端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す。
図31には、実施例3に係るズームレンズ3の広角端かつ近距離合焦時における縦収差を示す。
図32には、実施例3に係るズームレンズ3の中間位置かつ近距離合焦時における縦収差を示す。
図33には、実施例3に係るズームレンズ3の望遠端かつ近距離合焦時における縦収差を示す。
図34には、実施例3に係るズームレンズ3の広角端かつ無限遠合焦時における横収差を示す。
図35には、実施例3に係るズームレンズ3の中間位置かつ無限遠合焦時における横収差を示す。
図36には、実施例3に係るズームレンズ3の望遠端かつ無限遠合焦時における横収差を示す。
図37には、実施例3に係るズームレンズ3の広角端かつ近距離合焦時における横収差を示す。
図38には、実施例3に係るズームレンズ3の中間位置かつ近距離合焦時における横収差を示す。
図39には、実施例3に係るズームレンズ3の望遠端かつ近距離合焦時における横収差を示す。
【0119】
各収差図から分かるように、実施例3に係るズームレンズ3は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有している。
【0120】
[実施例4]
[表16]に、
図40に示した実施例4に係るズームレンズ4の基本的なレンズデータを示す。[表17]には、実施例4に係るズームレンズ4における全系の焦点距離f、F値、全画角2ω、像高Y、および光学全長Lの値を示す。[表18]には、実施例4に係るズームレンズ4においてズーミングおよびフォーカシングの際に可変となる面間隔のデータを示す。なお、[表17]には、広角端(Wide)、中間位置(Mid)および望遠端(Tele)のそれぞれについて、物体距離(d0)が無限遠の場合における値を示す。[表18]には、広角端(Wide)、中間位置(Mid)および望遠端(Tele)のそれぞれについて、物体距離(d0)が無限遠の場合と近距離の場合とにおける値を示す。[表19]には、実施例4に係るズームレンズ4における、非球面の形状を表す係数の値を示す。[表20]には、実施例4に係るズームレンズ4の各レンズ群の始面と焦点距離(単位:mm)とを示す。
【0121】
実施例4に係るズームレンズ4は、第1レンズ群GR1と、第2レンズ群GR2と、第3レンズ群GR3と、第4レンズ群GR4と、開口絞りStを含む第5レンズ群GR5と、第6レンズ群GR6と、第7レンズ群GR7と、第8レンズ群GR8とが、物体側から像面側へ向かって順に配置された構成とされている。
【0122】
実施例4に係るズームレンズ4において、第1レンズ群GR1は、上記した第1の固定レンズ群に相当する。第2レンズ群GR2~第4レンズ群GR4は、上記した変倍レンズ群に相当する。第5レンズ群GR5は、上記した第2の固定レンズ群に相当する。第6レンズ群GR6は、上記した第1のフォーカスレンズ群に相当する。第7レンズ群GR7は、上記した第2のフォーカスレンズ群に相当する。
【0123】
第1レンズ群GR1は、正の屈折力を有する。第1レンズ群GR1は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL11~L13からなる。レンズL11は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。レンズL12は、両凸形状の正レンズである。レンズL13は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。
【0124】
第2レンズ群GR2は、負の屈折力を有する。第2レンズ群GR2は、レンズL21からなる。レンズL21は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。
【0125】
第3レンズ群GR3は、負の屈折力を有する。第3レンズ群GR3は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL31と、レンズL32とからなる。レンズL31は、両凹形状の負レンズである。レンズL32は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。レンズL31とレンズL32は、接合レンズを構成する。
【0126】
第4レンズ群GR4は、正の屈折力を有する。第4レンズ群GR4は、レンズL41からなる。レンズL41は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。
【0127】
第5レンズ群GR5は、正の屈折力を有する。第5レンズ群GR5は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL51と、開口絞りStと、レンズL52~L54とからなる。レンズL51は、両凸形状の正レンズである。レンズL52は、両凹形状の負レンズである。レンズL53は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。レンズL54は、両凸形状の正レンズである。レンズL53とレンズL54は、接合レンズを構成する。
【0128】
第6レンズ群GR6は、正の屈折力を有する。第6レンズ群GR6は、レンズL61からなる。レンズL61は、両凸形状の正レンズである。
【0129】
第7レンズ群GR7は、負の屈折力を有する。第7レンズ群GR7は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL71と、レンズL72とからなる。レンズL71は、像面側に凸面を向けた平凸レンズである。レンズL72は、両凹形状の負レンズである。レンズL71とレンズL72は、接合レンズを構成する。
【0130】
第8レンズ群GR8は、正の屈折力を有する。第8レンズ群GR8は、物体側から像面側に向かって順に、レンズL81~L83からなる。レンズL81は、両凸形状の正レンズである。レンズL82は、両凹形状の負レンズである。レンズL83は、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズである。
【0131】
実施例4に係るズームレンズ4は、物体距離を無限遠から近距離へとフォーカシングする際には、第6レンズ群GR6が物体側、第7レンズ群GR7が像面側へと互いに異なる軌跡で光軸方向に移動する。なお、フォーカシングの方式は、第6レンズ群GR6と第7レンズ群GR7とを移動する方式に限らない。例えば、第7レンズ群GR7に代えてレンズL41をフォーカスレンズ群として光軸方向に移動する方式や、第6レンズ群GR6と第7レンズ群GR7とに加えてレンズL41をさらにフォーカスレンズ群として光軸方向に移動する方式であってもよい。また、接合レンズを構成するレンズL53とレンズL54とを、防振レンズ群として光軸方向と垂直方向に移動することで、手ブレなどに対し、防振することができる。
【0132】
以上の構成により、高画質な望遠ズームレンズを実現しつつ軽量化を実現している。
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
図41には、実施例4に係るズームレンズ4の広角端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す。
図42には、実施例4に係るズームレンズ4の中間位置かつ無限遠合焦時における縦収差を示す。
図43には、実施例4に係るズームレンズ4の望遠端かつ無限遠合焦時における縦収差を示す。
図44には、実施例4に係るズームレンズ4の広角端かつ近距離合焦時における縦収差を示す。
図45には、実施例4に係るズームレンズ4の中間位置かつ近距離合焦時における縦収差を示す。
図46には、実施例4に係るズームレンズ4の望遠端かつ近距離合焦時における縦収差を示す。
図47には、実施例4に係るズームレンズ4の広角端かつ無限遠合焦時における横収差を示す。
図48には、実施例4に係るズームレンズ4の中間位置かつ無限遠合焦時における横収差を示す。
図49には、実施例4に係るズームレンズ4の望遠端かつ無限遠合焦時における横収差を示す。
図50には、実施例4に係るズームレンズ4の広角端かつ近距離合焦時における横収差を示す。
図51には、実施例4に係るズームレンズ4の中間位置かつ近距離合焦時における横収差を示す。
図52には、実施例4に係るズームレンズ4の望遠端かつ近距離合焦時における横収差を示す。
【0139】
各収差図から分かるように、実施例4に係るズームレンズ4は、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有している。
【0140】
[各実施例のその他の数値データ]
[表21],[表22]には、上述の各条件式に関する値を、各実施例についてまとめたものを示す。[表21],[表22]から分かるように、条件式(1)~(3)については、各実施例の値がその数値範囲内となっている。
【0141】
【0142】
【0143】
<5.応用例>
[5.1 第1の応用例]
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0144】
図54は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図54に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0145】
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。
図54では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
【0146】
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
【0147】
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
【0148】
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0149】
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
【0150】
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
【0151】
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
【0152】
ここで、
図55は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910,7912,7914,7916,7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912,7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0153】
なお、
図55には、それぞれの撮像部7910,7912,7914,7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b,cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912,7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910,7912,7914,7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0154】
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7926,7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
【0155】
図54に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
【0156】
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
【0157】
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
【0158】
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0159】
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
【0160】
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX(登録商標)、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
【0161】
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
【0162】
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
【0163】
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
【0164】
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
【0165】
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
【0166】
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
【0167】
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
【0168】
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図54の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0169】
なお、
図54に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
【0170】
以上説明した車両制御システム7000において、本開示のズームレンズ、および撮像装置は、撮像部7410、および撮像部7910,7912,7914,7916,7918に適用することができる。
【0171】
[5.2 第2の応用例]
本開示に係る技術は、医療イメージングシステムに適用することができる。医療イメージングシステムは、イメージング技術を用いた医療システムであり、例えば、内視鏡システムや顕微鏡システムである。
【0172】
[内視鏡システム]
内視鏡システムの例を
図56、
図57を用いて説明する。
図56は、本開示に係る技術が適用可能な内視鏡システム5000の概略的な構成の一例を示す図である。
図57は、内視鏡5001およびCCU(Camera Control Unit)5039の構成の一例を示す図である。
図56では、手術参加者である術者(例えば、医師)5067が、内視鏡システム5000を用いて、患者ベッド5069上の患者5071に手術を行っている様子が図示されている。
図56に示すように、内視鏡システム5000は、医療イメージング装置である内視鏡5001と、CCU5039と、光源装置5043と、記録装置5053と、出力装置5055と、内視鏡5001を支持する支持装置5027と、から構成される。
【0173】
内視鏡手術では、トロッカ5025と呼ばれる挿入補助具が患者5071に穿刺される。そして、トロッカ5025を介して、内視鏡5001に接続されたスコープ5003や術具5021が患者5071の体内に挿入される。術具5021は例えば、電気メス等のエネルギーデバイスや、鉗子などである。
【0174】
内視鏡5001によって撮影された患者5071の体内を映した医療画像である手術画像が、表示装置5041に表示される。術者5067は、表示装置5041に表示された手術画像を見ながら術具5021を用いて手術対象に処置を行う。なお、医療画像は手術画像に限らず、診断中に撮像された診断画像であってもよい。
【0175】
[内視鏡]
内視鏡5001は、患者5071の体内を撮像する撮像部であり、例えば、
図57に示すように、入射した光を集光する集光光学系50051と、撮像部の焦点距離を変更して光学ズームを可能とするズーム光学系50052と、撮像部の焦点距離を変更してフォーカス調整を可能とするフォーカス光学系50053と、受光素子50054と、を含むカメラ5005である。内視鏡5001は、接続されたスコープ5003を介して光を受光素子50054に集光することで画素信号を生成し、CCU5039に伝送系を通じて画素信号を出力する。なお、スコープ5003は、対物レンズを先端に有し、接続された光源装置5043からの光を患者5071の体内に導光する挿入部である。スコープ5003は、例えば硬性鏡では硬性スコープ、軟性鏡では軟性スコープである。スコープ5003は直視鏡や斜視鏡であってもよい。また、画素信号は画素から出力された信号に基づいた信号であればよく、例えば、RAW信号や画像信号である。また、内視鏡5001とCCU5039とを接続する伝送系にメモリを搭載し、メモリに内視鏡5001やCCU5039に関するパラメータを記憶する構成にしてもよい。メモリは、例えば、伝送系の接続部分やケーブル上に配置されてもよい。例えば、内視鏡5001の出荷時のパラメータや通電時に変化したパラメータを伝送系のメモリに記憶し、メモリから読みだしたパラメータに基づいて内視鏡の動作を変更してもよい。また、内視鏡と伝送系をセットにして内視鏡と称してもよい。受光素子50054は、受光した光を画素信号に変換するセンサであり、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)タイプの撮像素子である。受光素子50054は、Bayer配列を有するカラー撮影可能な撮像素子であることが好ましい。また、受光素子50054は、例えば4K(水平画素数3840×垂直画素数2160)、8K(水平画素数7680×垂直画素数4320)または正方形4K(水平画素数3840以上×垂直画素数3840以上)の解像度に対応した画素数を有する撮像素子であることが好ましい。受光素子50054は、1枚のセンサチップであってもよいし、複数のセンサチップでもよい。例えば、入射光を所定の波長帯域ごとに分離するプリズムを設けて、各波長帯域を異なる受光素子で撮像する構成であってもよい。また、立体視のために受光素子を複数設けてもよい。また、受光素子50054は、チップ構造の中に画像処理用の演算処理回路を含んでいるセンサであってもよいし、ToF(Time of Flight)用センサであってもよい。なお、伝送系は例えば光ファイバケーブルや無線伝送である。無線伝送は、内視鏡5001で生成された画素信号が伝送可能であればよく、例えば、内視鏡5001とCCU5039が無線接続されてもよいし、手術室内の基地局を経由して内視鏡5001とCCU5039が接続されてもよい。このとき、内視鏡5001は画素信号だけでなく、画素信号に関連する情報(例えば、画素信号の処理優先度や同期信号等)を同時に送信してもよい。なお、内視鏡はスコープとカメラを一体化してもよく、スコープの先端部に受光素子を設ける構成としてもよい。
【0176】
[CCU(Camera Control Unit)]
CCU5039は、接続された内視鏡5001や光源装置5043を統括的に制御する制御装置であり、例えば、
図57に示すように、FPGA50391、CPU50392、RAM50393、ROM50394、GPU50395、I/F50396を有する情報処理装置である。また、CCU5039は、接続された表示装置5041や記録装置5053、出力装置5055を統括的に制御してもよい。例えば、CCU5039は、光源装置5043の照射タイミングや照射強度、照射光源の種類を制御する。また、CCU5039は、内視鏡5001から出力された画素信号に対して現像処理(例えばデモザイク処理)や補正処理といった画像処理を行い、表示装置5041等の外部装置に処理後の画素信号(例えば画像)を出力する。また、CCU5039は、内視鏡5001に対して制御信号を送信し、内視鏡5001の駆動を制御する。制御信号は、例えば、撮像部の倍率や焦点距離などの撮像条件に関する情報である。なお、CCU5039は画像のダウンコンバート機能を有し、表示装置5041に高解像度(例えば4K)の画像を、記録装置5053に低解像度(例えばHD)の画像を同時に出力可能な構成としてもよい。
【0177】
また、CCU5039は、信号を所定の通信プロトコル(例えば、IP(Internet Protocol))に変換するIPコンバータを経由して外部機器(例えば、記録装置や表示装置、出力装置、支持装置)と接続されてもよい。IPコンバータと外部機器との接続は、有線ネットワークで構成されてもよいし、一部または全てのネットワークが無線ネットワークで構築されてもよい。例えば、CCU5039側のIPコンバータは無線通信機能を有し、受信した映像を第5世代移動通信システム(5G)、第6世代移動通信システム(6G)等の無線通信ネットワークを介してIPスイッチャーや出力側IPコンバータに送信してもよい。
【0178】
[光源装置]
光源装置5043は、所定の波長帯域の光を照射可能な装置であり、例えば、複数の光源と、複数の光源の光を導光する光源光学系と、を備える。光源は、例えばキセノンランプ、LED光源やLD光源である。光源装置5043は、例えば三原色R、G、Bのそれぞれに対応するLED光源を有し、各光源の出力強度や出力タイミングを制御することで白色光を出射する。また、光源装置5043は、通常光観察に用いられる通常光を照射する光源とは別に、特殊光観察に用いられる特殊光を照射可能な光源を有していてもよい。特殊光は、通常光観察用の光である通常光とは異なる所定の波長帯域の光であり、例えば、近赤外光(波長が760nm以上の光)や赤外光、青色光、紫外光である。通常光は、例えば白色光や緑色光である。特殊光観察の一種である狭帯域光観察では、青色光と緑色光を交互に照射することにより、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影することができる。また、特殊光観察の一種である蛍光観察では、体組織に注入された薬剤を励起する励起光を照射し、体組織または標識である薬剤が発する蛍光を受光して蛍光画像を得ることで、通常光では術者が視認しづらい体組織等を、術者が視認しやすくすることができる。例えば、赤外光を用いる蛍光観察では、体組織に注入されたインドシアニングリーン(ICG)等の薬剤に励起波長帯域を有する赤外光を照射し、薬剤の蛍光を受光することで、体組織の構造や患部を視認しやすくすることができる。また、蛍光観察では、青色波長帯域の特殊光で励起され、赤色波長帯域の蛍光を発する薬剤(例えば5-ALA)を用いてもよい。なお、光源装置5043は、CCU5039の制御により照射光の種類を設定される。CCU5039は、光源装置5043と内視鏡5001を制御することにより、通常光観察と特殊光観察が交互に行われるモードを有してもよい。このとき、通常光観察で得られた画素信号に特殊光観察で得られた画素信号に基づく情報を重畳されることが好ましい。また、特殊光観察は、赤外光を照射して臓器表面より奥を見る赤外光観察や、ハイパースペクトル分光を活用したマルチスペクトル観察であってもよい。さらに、光線力学療法を組み合わせてもよい。
【0179】
[記録装置]
記録装置5053は、CCU5039から取得した画素信号(例えば画像)を記録する装置であり、例えばレコーダーである。記録装置5053は、CCU5039から取得した画像をHDDやSDD、光ディスクに記録する。記録装置5053は、病院内のネットワークに接続され、手術室外の機器からアクセス可能にしてもよい。また、記録装置5053は画像のダウンコンバート機能またはアップコンバート機能を有していてもよい。
【0180】
[表示装置]
表示装置5041は、画像を表示可能な装置であり、例えば表示モニタである。表示装置5041は、CCU5039から取得した画素信号に基づく表示画像を表示する。なお、表示装置5041はカメラやマイクを備えることで、視線認識や音声認識、ジェスチャによる指示入力を可能にする入力デバイスとしても機能してよい。
【0181】
[出力装置]
出力装置5055は、CCU5039から取得した情報を出力する装置であり、例えばプリンタである。出力装置5055は、例えば、CCU5039から取得した画素信号に基づく印刷画像を紙に印刷する。
【0182】
[支持装置]
支持装置5027は、アーム制御装置5045を有するベース部5029と、ベース部5029から延伸するアーム部5031と、アーム部5031の先端に取り付けられた保持部5032とを備える多関節アームである。アーム制御装置5045は、CPU等のプロセッサによって構成され、所定のプログラムに従って動作することにより、アーム部5031の駆動を制御する。支持装置5027は、アーム制御装置5045によってアーム部5031を構成する各リンク5035の長さや各関節5033の回転角やトルク等のパラメータを制御することで、例えば保持部5032が保持する内視鏡5001の位置や姿勢を制御する。これにより、内視鏡5001を所望の位置または姿勢に変更し、スコープ5003を患者5071に挿入でき、また、体内での観察領域を変更できる。支持装置5027は、術中に内視鏡5001を支持する内視鏡支持アームとして機能する。これにより、支持装置5027は、内視鏡5001を持つ助手であるスコピストの代わりを担うことができる。また、支持装置5027は、後述する顕微鏡装置5301を支持する装置であってもよく、医療用支持アームと呼ぶこともできる。なお、支持装置5027の制御は、アーム制御装置5045による自律制御方式であってもよいし、ユーザの入力に基づいてアーム制御装置5045が制御する制御方式であってもよい。例えば、制御方式は、ユーザの手元の術者コンソールであるマスター装置(プライマリ装置)の動きに基づいて、患者カートであるスレイブ装置(レプリカ装置)としての支持装置5027が制御されるマスタ・スレイブ方式でもよい。また、支持装置5027の制御は、手術室の外から遠隔制御が可能であってもよい。
【0183】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡システム5000の一例について説明した。例えば、本開示に係る技術は、顕微鏡システムに適用されてもよい。
【0184】
[顕微鏡システム]
図58は、本開示に係る技術が適用され得る顕微鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。なお、以下の説明において、内視鏡システム5000と同様の構成については、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。
【0185】
図58では、術者5067が、顕微鏡手術システム5300を用いて、患者ベッド5069上の患者5071に対して手術を行っている様子を概略的に示している。なお、
図58では、簡単のため、顕微鏡手術システム5300の構成のうちカート5037の図示を省略するとともに、内視鏡5001に代わる顕微鏡装置5301を簡略化して図示している。ただし、本説明における顕微鏡装置5301は、リンク5035の先端に設けられた顕微鏡部5303を指していてもよいし、顕微鏡部5303及び支持装置5027を含む構成全体を指していてもよい。
【0186】
図58に示すように、手術時には、顕微鏡手術システム5300を用いて、顕微鏡装置5301によって撮影された術部の画像が、手術室に設置される表示装置5041に拡大表示される。表示装置5041は、術者5067と対向する位置に設置されており、術者5067は、表示装置5041に映し出された映像によって術部の様子を観察しながら、例えば患部の切除等、当該術部に対して各種の処置を行う。顕微鏡手術システムは、例えば眼科手術や脳外科手術に使用される。
【0187】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡システム5000及び顕微鏡手術システム5300の例についてそれぞれ説明した。なお、本開示に係る技術が適用され得るシステムはかかる例に限定されない。例えば、支持装置5027は、その先端に内視鏡5001又は顕微鏡部5303に代えて他の観察装置や他の術具を支持し得る。当該他の観察装置としては、例えば、鉗子、攝子、気腹のための気腹チューブ、又は焼灼によって組織の切開や血管の封止を行うエネルギー処置具等が適用され得る。これらの観察装置や術具を支持装置によって支持することにより、医療スタッフが人手で支持する場合に比べて、より安定的に位置を固定することが可能となるとともに、医療スタッフの負担を軽減することが可能となる。本開示に係る技術は、このような顕微鏡部以外の構成を支持する支持装置に適用されてもよい。
【0188】
本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、カメラ5005に好適に適用され得る。特に、本開示のズームレンズは、カメラ5005における、集光光学系50051、ズーム光学系50052、およびフォーカス光学系50053のうち、少なくとも一部の光学系に好適に適用され得る。
【0189】
<6.その他の実施の形態>
本開示による技術は、上記実施の形態および実施例の説明に限定されず種々の変形実施が可能である。
【0190】
例えば、上記一実施の形態および実施例において示した各部の形状および数値は、いずれも本技術を実施するための具体化のほんの一例に過ぎず、これらによって本技術の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【0191】
また、例えば、上記一実施の形態および実施例において示したレンズ枚数とは異なる枚数のレンズを備えた構成であってもよい。さらに、実質的に屈折力を有さないレンズをさらに備えた構成であってもよい。
【0192】
例えば、本技術は以下のような構成を取ることもできる。
以下の構成の本技術によれば、軽量でありながら諸収差を良好に補正することが可能となるように、各レンズ群の構成の最適化が図られている。これにより、軽量でありながら諸収差を良好に補正することが可能なズームレンズ、およびそのようなズームレンズを搭載した撮像装置を提供可能となる。
【0193】
[1]
物体側から像面側に向かって順に、
変倍時に固定の第1の固定レンズ群と、
開口絞りよりも物体側に配置され、変倍時に互いに異なる軌跡で移動する正レンズ群と負レンズ群とを含む複数のレンズ群を有する変倍レンズ群と、
正の屈折力を有する変倍時に固定の第2の固定レンズ群と、
前記第2の固定レンズ群に対して像面側に隣接配置され、変倍時、およびフォーカシング時に移動する第1のフォーカスレンズ群と
を備え、
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち屈折力の絶対値が最も大きいレンズ群が、3枚以下のレンズで構成され、
以下の条件式を満足する
ズームレンズ。
0.05≦ffix/fzp<0.67 ……(1)
ただし、
fzp:前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち最も大きい正の屈折力を有するレンズ群の焦点距離
ffix:前記第2の固定レンズ群の焦点距離
とする。
[2]
さらに、以下の条件式を満足する
上記[1]に記載のズームレンズ。
0.0≦(ff1/|ff1|)*(dw-dt)/dw≦1.0 ……(2)
ただし、
ff1:前記第1のフォーカスレンズ群の焦点距離
dw:広角端かつ無限遠合焦時における前記第1のフォーカスレンズ群の最も物体側の面頂点から像面までの光軸上の距離
dt:望遠端かつ無限遠合焦時における前記第1のフォーカスレンズ群の最も物体側の面頂点から像面までの光軸上の距離
とする。
[3]
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち少なくとも2つ以上のレンズ群はそれぞれ、広角端よりも望遠端において、像面側に位置する
上記[1]または[2]に記載のズームレンズ。
[4]
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群はそれぞれ、広角端から望遠端への移動に際し、往復軌跡をとらない
上記[1]ないし[3]のいずれか1つに記載のズームレンズ。
[5]
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち最も物体側のレンズ群は、負の屈折力を有する
上記[1]ないし[4]のいずれか1つに記載のズームレンズ。
[6]
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち最も像面側のレンズ群は、正の屈折力を有する
上記[1]ないし[5]のいずれか1つに記載のズームレンズ。
[7]
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群は、3つのレンズ群を有する
上記[1]ないし[6]のいずれか1つに記載のズームレンズ。
[8]
前記変倍レンズ群を構成するレンズ枚数は、8枚以下である
上記[1]ないし[7]のいずれか1つに記載のズームレンズ。
[9]
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち屈折力の絶対値が最も大きいレンズ群は、負の屈折力を有するレンズ群である
上記[1]ないし[8]のいずれか1つに記載のズームレンズ。
[10]
フォーカシング時に前記第1のフォーカスレンズ群と共に移動する第2のフォーカスレンズ群、をさらに備える
上記[1]ないし[9]のいずれか1つに記載のズームレンズ。
[11]
さらに、以下の条件式を満足する
上記[10]に記載のズームレンズ。
ただし、
ff1:前記第1のフォーカスレンズ群の焦点距離
ff2:前記第2のフォーカスレンズ群の焦点距離
とする。
[12]
物体側から像面側に向かって順に、
変倍時に固定の第1の固定レンズ群と、
開口絞りよりも物体側に配置され、変倍時に互いに異なる軌跡で移動する正レンズ群と負レンズ群とを含む複数のレンズ群を有する変倍レンズ群と、
正の屈折力を有する変倍時に固定の第2の固定レンズ群と、
前記第2の固定レンズ群に対して像面側に隣接配置され、変倍時、およびフォーカシング時に移動する第1のフォーカスレンズ群と
を備え、
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群は、3つのレンズ群で構成され、
以下の条件式を満足する
ズームレンズ。
0.05≦ffix/fzp<0.67 ……(1)
ただし、
fzp:前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち最も大きい正の屈折力を有するレンズ群の焦点距離
ffix:前記第2の固定レンズ群の焦点距離
とする。
[13]
ズームレンズと、前記ズームレンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力する撮像素子とを含み、
前記ズームレンズは、
物体側から像面側に向かって順に、
変倍時に固定の第1の固定レンズ群と、
開口絞りよりも物体側に配置され、変倍時に互いに異なる軌跡で移動する正レンズ群と負レンズ群とを含む複数のレンズ群を有する変倍レンズ群と、
正の屈折力を有する変倍時に固定の第2の固定レンズ群と、
前記第2の固定レンズ群に対して像面側に隣接配置され、変倍時、およびフォーカシング時に移動する第1のフォーカスレンズ群と
を備え、
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち屈折力の絶対値が最も大きいレンズ群が、3枚以下のレンズで構成され、
以下の条件式を満足する
撮像装置。
0.05≦ffix/fzp<0.67 ……(1)
ただし、
fzp:前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち最も大きい正の屈折力を有するレンズ群の焦点距離
ffix:前記第2の固定レンズ群の焦点距離
とする。
[14]
ズームレンズと、前記ズームレンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力する撮像素子とを含み、
前記ズームレンズは、
物体側から像面側に向かって順に、
変倍時に固定の第1の固定レンズ群と、
開口絞りよりも物体側に配置され、変倍時に互いに異なる軌跡で移動する正レンズ群と負レンズ群とを含む複数のレンズ群を有する変倍レンズ群と、
正の屈折力を有する変倍時に固定の第2の固定レンズ群と、
前記第2の固定レンズ群に対して像面側に隣接配置され、変倍時、およびフォーカシング時に移動する第1のフォーカスレンズ群と
を備え、
前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群は、3つのレンズ群で構成され、
以下の条件式を満足する
撮像装置。
0.05≦ffix/fzp<0.67 ……(1)
ただし、
fzp:前記変倍レンズ群の前記複数のレンズ群のうち最も大きい正の屈折力を有するレンズ群の焦点距離
ffix:前記第2の固定レンズ群の焦点距離
とする。
[15]
実質的に屈折力を有さないレンズをさらに備えた
上記[1]ないし[12]のいずれか1つに記載のズームレンズ。
[15]
前記ズームレンズは、実質的に屈折力を有さないレンズをさらに備える
上記[13]または[14]に記載の撮像装置。
GR1…第1レンズ群(第1の固定レンズ群)、GR2…第2レンズ群(変倍レンズ群)、GR3…第3レンズ群(変倍レンズ群)、GR4…第4レンズ群(変倍レンズ群)、GR5…第5レンズ群(第2の固定レンズ群)、GR6…第6レンズ群(第1のフォーカスレンズ群)、GR7…第7レンズ群(第2のフォーカスレンズ群)、GR8…第8レンズ群、IMG…像面、St…開口絞り、Z1…光軸、1~4…ズームレンズ、110…カメラブロック、11…撮像レンズ、112…撮像素子、20…カメラ信号処理部、30…画像処理部、40…LCD、50…R/W(リーダ/ライタ)、60…CPU、70…入力部、80…レンズ駆動制御部、100…撮像装置、1000…メモリカード、5005…カメラ、50051…集光光学系、50052…ズーム光学系、50053…フォーカス光学系、50054…受光素子、7410…撮像部、7910,7912,7914,7916,7918…撮像部。