(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039821
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】物品受け
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
A47G29/00 J
A47G29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147125
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】武内 祥泰
(72)【発明者】
【氏名】小堀 勝章
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 和典
(72)【発明者】
【氏名】奥村 直人
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA13
3K100AB01
3K100AE01
3K100AF03
3K100AG01
3K100AG03
3K100AH09
3K100AH12
3K100AJ05
(57)【要約】
【課題】本体が変形したときでも耐荷重性を維持することのできる物品受けを提供する。
【解決手段】物品12を受けることができる本体14と、磁力により壁Wに吸着可能な吸着体16と、本体14と吸着体16との間に配置され、本体14及び吸着体16のそれぞれに貼り付けられる軟質材18と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を受けることができる本体と、
磁力により壁に吸着可能な吸着体と、
前記本体と前記吸着体との間に配置され、前記本体及び前記吸着体のそれぞれに貼り付けられる軟質材と、を備える物品受け。
【請求項2】
前記吸着体は、前記壁に合わせて変形可能な可撓性を持つ請求項1に記載の物品受け。
【請求項3】
前記軟質材は、前記壁に合わせて前記吸着体とともに変形可能である請求項2に記載の物品受け。
【請求項4】
前記軟質材は、前記本体が変形したとき、前記吸着体が前記壁に吸着した状態のまま、前記本体の変形に合わせて変形可能である請求項1から3のいずれか1項に記載の物品受け。
【請求項5】
前記本体は、前記物品を受けたとき、前記軟質材の部分的な引張変形を伴い変形するとともに、前記軟質材の部分的な圧縮変形を伴い前記吸着体側に向けて動くことができる請求項4に記載の物品受け。
【請求項6】
前記軟質材は、発泡材である請求項1から5のいずれか1項に記載の物品受け。
【請求項7】
前記本体の背面部には凹部が設けられ、
前記軟質材は前記凹部内に収まるように配置される請求項1から6のいずれか1項に記載の物品受け。
【請求項8】
前記本体は、前記壁から隙間を空けた位置に配置される請求項1から7のいずれか1項に記載の物品受け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸着体を用いて壁に吸着される物品受けに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、石けん受け、タオル掛け等の物品受けを開示する。特許文献1の物品受けは、物品を受けることができる本体と、磁力により壁に吸着可能なマグネットとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、磁力を用いて壁に吸着される物品受けに関して検討を進めた結果、次の新たな認識を得るに至った。本体によって大重量の物品を受けたとき、本体が変形することがある。このように本体が変形したとき、後述のように、その変形に起因して、物品受けの耐荷重性の低下を招く恐れがある。特許文献1の技術は、このような問題との関係で対策を講じたものではなく、改良の余地がある。
【0005】
本開示の目的の1つは、本体が変形したときでも耐荷重性を維持することのできる物品受けを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の物品受けは、物品を受けることができる本体と、磁力により壁に吸着可能な吸着体と、前記本体と前記吸着体との間に配置され、前記本体及び前記吸着体のそれぞれに貼り付けられる軟質材とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4A】実施形態の物品受けに関する効果の第1説明図である。
【
図4B】実施形態の物品受けに関する効果の第2説明図である。
【
図5】実施形態の物品受けに関する効果の第3説明図である。
【
図6A】実施形態の物品受けに関する効果の第4説明図である。
【
図6B】実施形態の物品受けに関する効果の第5説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
【0009】
図1、
図2を参照する。本明細書では、物品受け10が取り付けられる壁Wを正面から見た水平な奥行き方向を前後方向X、前後方向Xと直交する水平方向を左右方向Y、前後方向Xと直交する鉛直方向を上下方向Zという。同様の視点から見た手前側を前側とし、奥側を後側とする。
【0010】
物品受け10は壁Wに取り付けられる。本実施形態の物品受け10は、浴室に設置され、浴室空間を内部に形成する壁Wに取り付けられる。本実施形態の物品受け10は、物品12を受ける壁掛け棚である。物品受け10は、本体14と、本体14と壁Wとの間に配置される吸着体16と、本体14と吸着体16との間に配置される軟質材18と、を備える。
【0011】
本体14は、物品12を受けることができる受け部20と、本体14の背面部22を形成する背板部24と、を備える。本体14は、例えば、金属、樹脂等によって構成される。本実施形態の本体14は単数部材によって構成される。この他にも、本体14は複数部材によって構成されてもよい。本実施形態の受け部20と背板部24は同じ部材の一部として一体成形されている。この他にも、受け部20と背板部24は別体に設けられていてもよい。物品受け10を浴室に設置する場合、物品12は、例えば、プッシュボトル、石けん、石けん置き、飾り物等となる。
【0012】
本実施形態の受け部20は、背板部24から前側に突き出ている。詳しくは、受け部20は、背板部24の上下方向Zの中間部から前側に突き出ている。本実施形態のように物品受け10が壁掛け棚である場合、受け部20は、物品12が載置されることで物品12を受けることができる。本実施形態の受け部20は、物品12の少なくとも一部を収容可能な収容部26を備える。
【0013】
背面部22は、壁Wに対して前後方向Xに対向する。背板部24は、前後方向Xを自身の板厚方向として上下方向Zに延びている。
【0014】
本体14は、本体14の背面部22に設けられ、前側に向かって凹む凹部28と、本体14の上下左右の四周にある外周面部を形成する外周壁部30とを備える。凹部28は、外周壁部30の内側に形成される。
【0015】
吸着体16は、磁力によって壁Wに吸着可能である。これを実現するうえで、吸着体16はマグネット17を備えている。本実施形態の吸着体16は、マグネット17のみを備える。この他にも、吸着体16は、マグネット17の他に、マグネット17と一体化した他部材を備えていてもよい。壁Wは、磁力によって吸着体16を吸着可能な素材を用いて構成される。この素材は、鉄等の軟磁性材料の他、フェライト磁石等の硬磁性材料であってもよい。
【0016】
本実施形態の吸着体16は、吸着体16の接触する壁Wに合わせて変形可能な可撓性を持つシート状をなす。ここでの「壁Wに合わせて変形」するとは、例えば、物品受け10を壁Wに取り付けた状態にあり、かつ、壁Wが変形したときに、その変形に合わせて吸着体16が変形することをいう。この他に、「壁Wに合わせて変形」するとは、例えば、組み立てた状態にある物品受け10の吸着体16を壁Wに取り付けるときに、壁Wの表面形状に合わせて吸着体16が変形することをいう。これは、例えば、反り、うねり等のような緩やかな曲面形状が壁Wの表面形状に含まれる場合に、その曲面形状に合わせて吸着体16が変形可能であることを意味する。ここでの曲面形状は、前後方向Xで物品受け10側に凸となる凸曲面形状と、物品受け10とは反対側に凹となる凹曲面形状との少なくとも一方をいう。これらをまとめると、吸着体16は、壁Wの変形及び表面形状の少なくともいずれかに合わせて変形可能な可撓性を持つともいえる。
【0017】
吸着体16に可撓性を持たせるうえで、本実施形態のマグネット17は、ゴム基材にフェライト磁石、ネオジム等の硬磁性材料の磁石粉末を配合したラバーマグネットを用いて構成される。浴室等の水のかかる環境で物品受け10を用いる場合、マグネット17は、錆びにくいフェライト磁石を磁性粉末に用いたラバーマグネット及び防錆処理を施したラバーマグネットのいずれかを用いると好ましい。
【0018】
本実施形態の軟質材18はシート状をなす。軟質材18は、本体14及び吸着体16のそれぞれに貼り付けられる。本実施形態では吸着体16の前面部に軟質材18が貼り付けられ、本体14の背面部に軟質材18が貼り付けられる。これにより、軟質材18は、本体14を吸着体16に支持させることができる。本体14は、軟質材18及び吸着体16を介して壁Wに支持されることになる。
【0019】
本体14及び吸着体16に対する軟質材18の貼付態様は特に限定されない。本実施形態の軟質材18は、貼付材32を用いて本体14及び吸着体16に貼り付けられる。貼付材32の具体例は特に限定されない。本実施形態の貼付材32は両面テープである。この他にも、貼付材32は、例えば、接着剤、面ファスナー等でもよい。接着剤の種類は特に限定されず、例えば、ホットメルト接着剤等でもよい。この他にも、共押出成形等の一体成形によって、貼付材32を用いずに、本体14及び吸着体16の少なくとも一方に軟質材18を貼り付けてもよい。例えば、後述する樹脂製の発泡材により構成される軟質材18と吸着体16を構成するマグネット17とを共押出成形により一体化することによって、吸着体16(マグネット17)に軟質材18を貼り付けてもよい。
【0020】
軟質材18は、柔軟性を持つものであればよく、その弾性の有無は問わない。本実施形態の軟質材18は弾性を持つ弾性部材である。本実施形態の軟質材18は発泡材である。この発泡材は、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等である。この他にも、軟質材18は、例えば、非発泡ゴム材でもよい。
【0021】
軟質材18は凹部28内に収まるように配置される。軟質材18は、凹部28を形成する外周壁部30によって隠れた位置に収められる。軟質材18は、左右方向Y及び上下方向Zの少なくとも一方(本実施形態では両方)から見たときに、本体14の外周壁部30によって隠れた位置に配置されることになる。
【0022】
図3を参照する。
図3の二点鎖線は吸着体16及び軟質材18の外形線を示す。本実施形態の吸着体16は、本体14を後方から見て、その背面部22の左右方向Yで半分以上の範囲を覆うとともに、上下方向Zで半分以上の範囲を覆っている。本実施形態の軟質材18も、本体14を後方から見て、その背面部22の左右方向Yで半分以上の範囲を覆うとともに、上下方向Zで半分以上の範囲を覆っている。
【0023】
以上の物品受け10の作用とともに効果を説明する。
図4A、
図4Bを参照する。
図4A、
図4Bは、本体14の背面部22に吸着体16を直接に貼り付けた物品掛け10の模式図を示す。本体14によって大重量の物品12を受けた場合、本体14の背面部22が弾性域で変形する。ここでは本体14の背板部24が反ることで、その背面部22が壁Wから離れる前向きに凹状をなすように変形する例を示す。この本体14の変形によって、吸着体16の剛性に応じて、物品受け10は次の挙動となる。
【0024】
図4Aでは、本体14の背面部22の変形に合わせて撓み変形できる程度に吸着体16が柔らかいケース、つまり、吸着体16が可撓性を持つケースを示す。このケースでは、本体14の背面部22が変形した場合に、本体14の変形に合わせて吸着体16が撓み変形することで、吸着体16と壁Wとの間に隙間40が生じてしまう。この隙間40に起因して、吸着体16の吸着力が弱くなってしまい、物品受け10の耐荷重性の低下を招く恐れがある。
【0025】
図4Bでは、本体14の背面部22の変形に合わせて撓み変形できない程度に吸着体16が硬いケース、つまり、吸着体16が可撓性を持たないケースを示す。このケースでは、本体14の背面部22が変形した場合に、本体14の変形に合わせて吸着体16が変形できない。このため、本体14の変形に起因して吸着体16に対する本体14の貼付箇所に大荷重が作用することで、その貼付箇所が部分的に分離する恐れがある(範囲S参照)。これに起因して、吸着体16に対する本体14の貼付力が弱くなってしまい、物品受け10の耐荷重性の低下を招く恐れがある。
【0026】
つまり、吸着体16の剛性によらず、本体14の背面部22に吸着体16を直接に貼り付けた場合、本体14の変形に起因して、物品受け10の耐荷重性の低下を招く恐れがある。
【0027】
図5を参照する。この点、本実施形態の物品受け10は、本体14及び吸着体16のそれぞれに貼り付けられる軟質材18を備えている。よって、本体14が変形したとき、吸着体16が壁Wに吸着した状態のまま、本体14の変形に合わせて軟質材18を変形させることができる(詳細は後述する)。このとき、軟質材18は、本体14の変形の前後で、本体14に対する貼付箇所を維持するように変形可能である。これにより、以下に説明するように、吸着体16の剛性によらず、本体14が変形したときでも、物品受け10の耐荷重性を維持することができる。
【0028】
まず、前述のように吸着体16が前述の可撓性を持つケースを考える。このケースでは、本体14の変形に合わせて軟質材18を変形させることで、本体14の変形に合わせて吸着体16を撓み変形させずに済むようになる。このため、本体14が変形したときでも、吸着体16と壁Wとの間に隙間40(
図4A参照)が生じ難くなり、吸着体16の吸着力を維持することで、物品受け10の耐荷重性を維持することができる。
【0029】
次に、前述のように吸着体16が前述の可撓性を持たないケースを考える。この場合、本体14の変形に合わせて軟質材18を変形させることで、軟質材18に対する吸着体16及び本体14の貼付箇所に大荷重が作用し難くなり、その貼付箇所を分離させずに済むことができる。このため、本体14が変形したときでも、軟質材18に対する吸着体16及び本体14の貼付力を維持することで、物品受け10の耐荷重性を維持することができる。
【0030】
この他にも、本体14に勢いよく物品12を載置させた場合、本体14に衝撃荷重が入力されて、本体14が瞬間的に大きく変形し得る。この場合でも、前述の理由により、物品受け10の耐荷重性を維持できる利点もある。
【0031】
この他にも、軟質材18を本体14に貼り付けるとき、本体14の表面形状に合わせて軟質材18を変形させることができる。このとき、軟質材18は、本体14に対する貼付箇所において、自身の表面形状を本体14の表面形状と合わせるように変形させることができる。よって、本体14の成形時に狙い形状から変形していた場合でも、軟質材18を広範囲で貼り付けることができる。ひいては、本体14が成形時に狙い形状から変形していた場合でも、本体14が成形時に変形していない狙い形状にある場合と同様の耐荷重性を維持することができる。
【0032】
本体14の背面部22の一部22a(ここでは上下方向Zの中間部)は、本体14の受け部20により物品12を受けたとき、背板部24が反ることで、前後方向Xで吸着体16から離れる前向きに動くように弾性域で変形する。このとき、本体14の一部22aは、軟質材18の方向Daへの部分的な引張変形を伴い変形する。
【0033】
これと同時に、本体14の受け部20に下向きの荷重Faが付与されることで、受け部20の基端部20a周りのモーメントMが発生する。このモーメントMに起因して、本体14の背面部22の一部22b(ここでは背面部22の下端部)は、軟質材18の方向Dbへの部分的な圧縮変形を伴い吸着体16側に向けて動くことができる。これは、背板部24の上下方向Zでの中間部から受け部20が突き出ているためでもある。本実施形態の軟質材18は弾性域で部分的に引張変形及び圧縮変形を伴い変形する。このとき、吸着体16側に向けて動く本体14の一部22aは、本体14の受け部20より下側にある部位となる。これにより、本体14が吸着体16側に向けて動かない場合と比べ、本体14の前向きの変形に合わせた軟質材18の方向Daへの引張変形量を小さくすることができる。ひいては、軟質材18に対する吸着体16及び本体14の貼付力を維持し易くなり、物品受け10の耐荷重性を容易に維持することができる。
【0034】
本実施形態の吸着体16は、壁Wに合わせて変形可能な可撓性を持っている。よって、前述の通り、本体14が変形したとき、その変形に合わせて吸着体16を撓み変形させずに済み、物品受け10の耐荷重性を維持できるようになる。この他にも、次の利点がある。
【0035】
図6Aを参照する。
図6Aでは、可撓性を持つ吸着体16を本体14の背面部22に直接に貼り付けた物品掛け10の模式図を示す。ここでは、壁Wの表面形状に反りがあるケースを示す。同様に、ここでは、吸着体16が撓み変形しようとした場合に、その撓み変形に合わせて本体14が変形できない程度に本体14が硬いケースを示す。この場合、吸着体16が撓み変形しようとしても、本体14の背面部22によって吸着体16の撓み変形が大きく拘束されてしまう。よって、壁Wの表面形状に反り等の曲面形状があっても、それに合わせて吸着体16が撓み変形し難くなる。この結果、壁Wの表面形状に起因して、吸着体16と壁Wとの間に隙間40が生じてしまい、吸着体16の吸着力が弱くなってしまう。
【0036】
図6Bを参照する。この点、本実施形態によれば、本体14及び吸着体16のそれぞれに貼り付けられる軟質材18を備えており、壁Wに合わせて吸着体16とともに軟質材18が変形可能となる。このとき、吸着体16は壁Wに合わせて変形し、軟質材18は、吸着体16に対する貼付箇所を維持するように吸着体16の変形に合わせて変形する。よって、吸着体16が撓み変形しようとしたとき、吸着体16の撓み変形に合わせて軟質材18が変形することで、吸着体16の撓み変形が本体14によって拘束され難くなる。ここでは、吸着体16の撓み変形に合わせて、軟質材18の一部が方向Dcに部分的に引張変形している状態を示す。このため、壁Wの表面形状に反り等の曲面形状があるとき、それに合わせて吸着体16が撓み変形し易くなる。この結果、壁Wの表面形状に起因して、吸着体16と壁Wの間に隙間40(
図6A参照)が生じ難くなり、吸着体16の吸着力を維持できるようになる。ひいては、物品受け10の耐荷重性を容易に維持することができる。
【0037】
この他にも、壁Wに勢いよく手等を当てた場合、壁Wに衝撃荷重が入力されて、壁Wが瞬間的に反るように変形し得る。この場合でも、壁Wに合わせて吸着体16とともに軟質材18が変形可能となる。よって、前述と同じ理由により、物品受け10の耐荷重性を維持できる利点もある。
【0038】
軟質材18は発泡材である。よって、軟質材18を安価に実現することができる。
【0039】
軟質材18は凹部28内に収まるように配置される。よって、左右方向Y及び上下方向Zの一方から見たときに、軟質材18が外部に露出して見えなくなり、良好な意匠性を得ることができる。
【0040】
物品受け10の他の特徴を説明する。
図2を参照する。本体14は、壁Wから隙間42を空けた位置に配置される。この条件は、本体14によって物品12を受けていないときに少なくとも満たされる。この他にも、この条件は、物品受け10において予め定められる許容耐荷重を本体14によって受けることで、
図5を用いて前述したように、本体14、軟質材18が弾性域で変形したときにおいても満たされる。これにより、軟質材18が変形することで本体14の一部が壁Wに近づいたときでも、本体14が壁Wに接触せず、壁Wに傷を付けにくくすることができる。
【0041】
シート状の軟質材18の厚みtを厚くするほど物品受け10の許容耐荷重を大きくすることができる。軟質材18が適度な厚みtの場合、その厚みtに対応する許容耐荷重を本体14によって受けたとき、吸着体16によって本体14を壁Wに取り付けた状態のまま、軟質材18の弾性変形を伴い、本体14が下向きにずれる挙動となる。これに対して、軟質材18が過度な厚みtの場合、その厚みtに対応する許容耐荷重を本体14によって受けたとき、壁Wから吸着体16が剥がれる挙動となる。これを考慮して、軟質材18の厚みtは、その厚みtに応じた許容耐荷重を本体14によって受けたとき、前者の挙動となる大きさに設定されると好ましい。
【0042】
次に、ここまで説明した各構成要素の変形形態を説明する。
【0043】
物品受け10の具体的な設置位置は特に限定されない。物品受け10は、例えば、浴室以外にも、洗面台、トイレ等に設置されていてもよい。物品受け10は、実施形態の棚以外にも、フック、タオル掛け等でもよい。この場合、物品受け10の受け部20は、物品が掛けられることで物品を受けてもよい。
【0044】
本体14は、物品12を受けることができればよく、背板部24を備えずともよい。本体14の変形態様は特に限定されない。例えば、本体14は、背板部24が反ることで、その一部22aが前向きに動くように変形した場合でも、軟質材18の方向Dbへの部分的な圧縮変形を伴い吸着体16側に向けて動かなくともよい。
【0045】
本体14の背面部22に凹部28を設けず、軟質材18を外部に露出するように設けてもよい。本体14は、壁Wに接触する位置に配置されてもよい。
【0046】
吸着体16は、壁Wに吸着したときに、壁Wに合わせて変形可能な程度の可撓性を持たなくともよい。
【0047】
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【符号の説明】
【0048】
10…物品受け、12…物品、14…本体、16…吸着体、18…軟質材、22…背面部、28…凹部、W…壁。