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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039827
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04815 20220101AFI20230314BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230314BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
G06F3/0481 150
G06Q50/10
G06F3/01 515
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147134
(22)【出願日】2021-09-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】517243297
【氏名又は名称】株式会社Synamon
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】武樋 恒
【テーマコード(参考)】
5E555
5L049
【Fターム(参考)】
5E555AA23
5E555AA27
5E555AA64
5E555BA01
5E555BB01
5E555BC17
5E555BD01
5E555BE16
5E555BE17
5E555CA42
5E555CA45
5E555CA47
5E555CA50
5E555CB65
5E555CB69
5E555CB82
5E555CC05
5E555DA08
5E555DA09
5E555DA21
5E555DB37
5E555DB56
5E555DC09
5E555DC75
5E555DD07
5E555DD08
5E555EA05
5E555EA07
5E555EA22
5E555FA00
5L049CC17
(57)【要約】
【課題】複合現実を利用するユーザの利便性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】ウェアラブルデバイス1と情報処理装置2とのいずれかに備えられた位置情報取得部30は、ウェアラブルデバイス1の存在場所を示す位置情報を取得する。物体特定部31は、ウェアラブルデバイス1の周囲の映像を解析してウェアラブルデバイスの存在場所を含む領域に存在する物体を特定する。位置関係取得部32は、物体とウェアラブルデバイス1との位置関係を取得する。情報処理装置2のMR情報取得部220は、MRデータベースを参照して、ウェアラブルデバイス1に表示させるMR情報である提示MR情報を取得する。表示位置特定部221は、位置関係に基づいて、提示MR情報を表示させる表示位置を特定する。ウェアラブルデバイス1の提示部12は、表示位置に提示MR情報を重畳した映像をユーザに提示する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにMR(Mixed Reality)情報を提示可能なウェアラブルデバイスと、
前記ウェアラブルデバイスと通信可能な態様で接続し、前記ウェアラブルデバイスに提示させるMR映像を含む情報を管理する情報処理装置と、
前記ウェアラブルデバイスを特定するデバイス識別子と物体とに紐づけてMR情報を格納するMRデータベースと、を備える情報処理システムであって、
前記ウェアラブルデバイスの周囲を撮像する撮像部と、
撮像された映像を解析して前記ウェアラブルデバイスの存在場所を含む領域に存在する物体を特定する物体特定部と、
前記物体と前記ウェアラブルデバイスとの位置関係を取得する位置関係取得部と、
前記MRデータベースを参照して、前記ウェアラブルデバイスに表示させるMR情報である提示MR情報を取得するMR情報取得部と、
前記位置関係に基づいて、前記提示MR情報を表示させる表示位置を特定する表示位置特定部と、
前記表示位置に前記提示MR情報を重畳した映像を前記ユーザに提示する提示部と、を備え、
前記ウェアラブルデバイスは、前記撮像部と前記提示部とを備え、
前記情報処理装置は、前記MR情報取得部と前記表示位置特定部とを備え、
前記物体特定部と前記位置関係取得部は、前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方に備えられている、
情報処理システム。
【請求項2】
前記ウェアラブルデバイスは、前記ユーザの注視点を特定する注視点特定部をさらに備え、
前記物体特定部は、前記注視点を含む領域に存在する物体を特定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記ウェアラブルデバイスは、
前記ウェアラブルデバイスを装着するユーザを認証して当該ユーザを特定するためのユーザ識別子を取得するユーザ認証部をさらに備え、
前記MRデータベースは、
ユーザ識別子をさらに紐づけて前記MR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記ユーザ識別子毎に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記MR情報取得部は、前記物体特定部が特定した物体が広告情報を含むMR情報を重畳させる物体として登録された広告提示物体である場合、前記ユーザ識別子で特定されるユーザに提示するためのMR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方は、
前記ユーザのスケジュールを取得する予定情報取得部をさらに備え、
前記MRデータベースは、
前記スケジュールの種類をさらに対応づけて前記MR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記スケジュールの種類に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項3または4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記ウェアラブルデバイスは、
前記ウェアラブルデバイスを装着するユーザの生体情報を取得する生体情報取得部をさらに備え、
前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方は、
前記生体情報を解析して前記ユーザの状態を推定するユーザ状態推定部をさらに備え、
前記MRデータベースは、
ユーザの状態をさらに紐づけて前記MR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記状態に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項3から5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方は、前記ウェアラブルデバイスの存在場所を示す位置情報を取得する位置情報取得部をさらに備え、
前記MRデータベースは、
位置情報をさらに紐づけて前記MR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記位置情報に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記情報処理システムは、
複数のユーザ識別子同士をグループ化して格納するとともに、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザに共有させるための共有MR情報も格納する共有ユーザデータベースをさらに含んでおり、
前記MR情報取得部は、前記共有ユーザデータベースを参照して、前記共有MR情報を取得し、
前記表示位置特定部は、前記グループ化されたユーザ識別子のいずれかで特定されるユーザが用いるウェアラブルデバイスが存在する領域に存在する物体と、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザが使用するウェアラブルデバイスとの位置関係に基づいて、各ウェアラブルデバイスそれぞれに前記共有MR情報を表示させるための表示位置を特定し、
前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザそれぞれが使用するウェアラブルデバイスが備える提示部が、前記表示位置に前記共有MR情報を重畳した映像を提示する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記ウェアラブルデバイスは、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザが使用しているウェアラブルデバイスとの間の距離を取得するデバイス間距離取得部をさらに備え、
前記表示位置特定部は、前記距離が所定の範囲内となっているウェアラブルデバイスそれぞれに前記共有MR情報を表示させるための表示位置を特定する、
請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記MRデータベースは、前記デバイス識別子で特定されるウェアラブルデバイスの性能に応じて異なる態様のMR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記デバイス識別子を参照して前記MRデータベースから読み出すMR情報の態様を変更する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
ユーザにMR情報を提示するための提示部を備えるウェアラブルデバイスと、
前記ウェアラブルデバイスと通信可能な態様で接続し、前記ウェアラブルデバイスに提示させるMR映像を含む情報を管理する情報処理装置と、
前記ウェアラブルデバイスを特定するデバイス識別子と物体とに紐づけてMR情報を格納するMRデータベースと、
を備える情報処理システムにおいて実行される情報処理方法であって、
前記ウェアラブルデバイスが、
前記ウェアラブルデバイスの周囲を撮像するステップを実行し、
前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方が、
撮像された映像を解析して前記ウェアラブルデバイスの存在場所を含む領域に存在する物体を特定するステップと、
前記物体と前記ウェアラブルデバイスとの位置関係を取得するステップと、
を実行し、
前記情報処理装置が、
前記MRデータベースを参照して、前記ウェアラブルデバイスに表示させるMR情報である提示MR情報を取得するステップと、
前記位置関係に基づいて、前記提示MR情報を表示させる表示位置を特定するステップと、
を実行し、
前記ウェアラブルデバイスが、
前記表示位置に前記提示MR情報を重畳した映像を前記ユーザに提示するステップを実行する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及び情報処理方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、通信技術の急激な発展に伴い、多くの機器がネットワークに接続するようになってきている。また、計算機の性能の急速な向上もめざましく、現実の世界に仮想のオブジェクトを重畳して利用するいわゆる複合現実(Mixed Reality;MR)の技術も実用化されつつある。
【0003】
このような技術は種々の利用シーンが存在し、例えば、特許文献1には、HMD(Head Mounted Display)用いて現実空間に仮想のデータを透写して作業を支援する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-051519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明者は、通信技術の発展及び計算機の性能の向上が続けば、決して遠くはない未来において、人々が日常生活を送る生活空間が現実空間に仮想的な種々のデータが重畳される複合現実空間(以下、「MR空間」と記載する。)となると予測した。さらに進めて、本願の発明者は、そのような未来像を実現することを目指すために、現在の世界を未来像に近づけるための技術を開発することの重要性について認識するに至った。
【0006】
本願の発明者は、人々の日常生活の中に複合現実が当然のように取り入れられている世界が実現されることを想定すると、現実世界に複合される仮想的なオブジェクトを人毎に変更できれば、複合現実を利用するユーザの利便性を向上しうる可能性について認識した。
【0007】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、複合現実を利用するユーザの利便性を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、ユーザにMR情報を提示可能なウェアラブルデバイスと、前記ウェアラブルデバイスと通信可能な態様で接続し、前記ウェアラブルデバイスに提示させるMR映像を含む情報を管理する情報処理装置と、前記ウェアラブルデバイスを特定するデバイス識別子と物体とに紐づけてMR情報を格納するMRデータベースと、を備える情報処理システムである。このシステムは、前記ウェアラブルデバイスの周囲を撮像する撮像部と、撮像された映像を解析して前記ウェアラブルデバイスの存在場所を含む領域に存在する物体を特定する物体特定部と、前記物体と前記ウェアラブルデバイスとの位置関係を取得する位置関係取得部と、前記MRデータベースを参照して、前記ウェアラブルデバイスに表示させるMR情報である提示MR情報を取得するMR情報取得部と、前記位置関係に基づいて、前記提示MR情報を表示させる表示位置を特定する表示位置特定部と、前記表示位置に前記提示MR情報を重畳した映像を前記ユーザに提示する提示部と、を備える。このシステムにおいて、前記ウェアラブルデバイスは、前記撮像部と前記提示部とを備え、前記情報処理装置は、前記MR情報取得部と前記表示位置特定部とを備え、前記物体特定部と前記位置関係取得部は、前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方に備えられている。
【0009】
前記ウェアラブルデバイスは、前記ユーザの注視点を特定する注視点特定部をさらに備えてもよく、前記物体特定部は、前記注視点を含む領域に存在する物体を特定してもよい。
【0010】
前記ウェアラブルデバイスは、前記ウェアラブルデバイスを装着するユーザを認証して当該ユーザを特定するためのユーザ識別子を取得するユーザ認証部をさらに備えてもよく、前記MRデータベースは、ユーザ識別子をさらに紐づけて前記MR情報を格納してもよく、前記MR情報取得部は、前記ユーザ識別子毎に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出してもよい。
【0011】
前記MR情報取得部は、前記物体特定部が特定した物体が広告情報を含むMR情報を重畳させる物体として登録された広告提示物体である場合、前記ユーザ識別子で特定されるユーザに提示するためのMR情報を前記MRデータベースから読み出してもよい。
【0012】
前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方は、前記ユーザのスケジュールを取得する予定情報取得部をさらに備えてもよく、前記MRデータベースは、前記スケジュールの種類をさらに対応づけて前記MR情報を格納してもよく、前記MR情報取得部は、前記スケジュールの種類に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出してもよい。
【0013】
前記ウェアラブルデバイスは、前記ウェアラブルデバイスを装着するユーザの生体情報を取得する生体情報取得部をさらに備えてもよく、前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方は、前記生体情報を解析して前記ユーザの状態を推定するユーザ状態推定部をさらに備えてもよく、前記MRデータベースは、ユーザの状態をさらに紐づけて前記MR情報を格納してもよく、前記MR情報取得部は、前記状態に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出してもよい。
【0014】
前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方は、前記ウェアラブルデバイスの存在場所を示す位置情報を取得する位置情報取得部をさらに備えてもよく、前記MRデータベースは、位置情報をさらに紐づけて前記MR情報を格納してもよく、前記MR情報取得部は、前記位置情報に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出してもよい。
【0015】
前記情報処理システムは、複数のユーザ識別子同士をグループ化して格納するとともに、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザに共有させるための共有MR情報も格納する共有ユーザデータベースをさらに含んでもよく、前記MR情報取得部は、前記共有ユーザデータベースを参照して、前記共有MR情報を取得してもよく、前記表示位置特定部は、前記グループ化されたユーザ識別子のいずれかで特定されるユーザが用いるウェアラブルデバイスが存在する領域に存在する物体と、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザが使用するウェアラブルデバイスとの位置関係に基づいて、各ウェアラブルデバイスそれぞれに前記共有MR情報を表示させるための表示位置を特定してもよく、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザそれぞれが使用するウェアラブルデバイスが備える提示部が、前記表示位置に前記共有MR情報を重畳した映像を提示してもよい。
【0016】
前記ウェアラブルデバイスは、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザが使用しているウェアラブルデバイスとの間の距離を取得するデバイス間距離取得部をさらに備えてもよく、前記表示位置特定部は、前記距離が所定の範囲内となっているウェアラブルデバイスそれぞれに前記共有MR情報を表示させるための表示位置を特定してもよい。
【0017】
前記MRデータベースは、前記デバイス識別子で特定されるウェアラブルデバイスの性能に応じて異なる態様のMR情報を格納してもよく、前記MR情報取得部は、前記デバイス識別子を参照して前記MRデータベースから読み出すMR情報の態様を変更してもよい。
【0018】
本発明の第2の態様は、ユーザにMR情報を提示するための提示部を備えるウェアラブルデバイスと、前記ウェアラブルデバイスと通信可能な態様で接続し、前記ウェアラブルデバイスに提示させるMR映像を含む情報を管理する情報処理装置と、前記ウェアラブルデバイスを特定するデバイス識別子と物体とに紐づけてMR情報を格納するMRデータベースと、を備える情報処理システムにおいて実行される情報処理方法である。この方法において、前記ウェアラブルデバイスが、前記ウェアラブルデバイスの周囲を撮像するステップと、を実行し、前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方が、撮像された映像を解析して前記ウェアラブルデバイスの存在場所を含む領域に存在する物体を特定するステップと、前記物体と前記ウェアラブルデバイスとの位置関係を取得するステップとを実行し、前記情報処理装置が、前記MRデータベースを参照して、前記ウェアラブルデバイスに表示させるMR情報である提示MR情報を取得するステップと、前記位置関係に基づいて、前記提示MR情報を表示させる表示位置を特定するステップと、を実行し、前記ウェアラブルデバイスが、前記表示位置に前記提示MR情報を重畳した映像を前記ユーザに提示するステップを実行する。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。そして、このプログラムを提供するため、あるいはプログラムの一部をアップデートするために、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供されてもよく、また、このプログラムが通信回線で伝送されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複合現実を利用するユーザの利便性を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態に係る情報処理システムが想定している未来の世界観を説明するための図である。
図2】実施の形態に係る情報処理システムの概要を説明するための図である。
図3】実施の形態に係るウェアラブルデバイスと情報処理装置とのそれぞれの機能構成を模式的に示す図である。
図4】実施の形態に係るMRデータベースのデータ構造の一例を模式的に示す図である。
図5】ユーザのスケジュールに応じたMR情報のデータ構造を模式的に示す図である。
図6】ユーザの状態に応じたMR情報のデータ構造を模式的に示す図である。
図7】ユーザの位置に応じたMR情報のデータ構造を模式的に示す図である。
図8】ウェアラブルデバイスの性能に応じたMR情報のデータ構造を模式的に示す図である。
図9】実施の形態に係る共有ユーザデータベースのデータ構造の一例を模式的に示す図である。
図10】実施の形態に係る情報処理システムにおいて実行される情報処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施の形態が想定する未来の世界>
本発明の実施の形態に係る情報処理システムを説明するのに先だって、本明細書で用いるいくつかの用語の定義と、本発明が想定している未来の世界とについてまず説明する。
【0023】
(用語の定義)
「仮想(virtual)オブジェクト」は、現実世界に対応するオブジェクトが存在しない空想上のオブジェクトであることを基本の定義とする。そして、「MR空間」は、ユーザが存在する空間に存在する現実オブジェクトに、仮想オブジェクトを重畳した空間を意味する。本明細書において「現実オブジェクト」は、現実世界に存在するオブジェクトに由来するオブジェクトも含むものとする。
【0024】
ここで、「現実世界に存在するオブジェクトに由来するオブジェクト」の例を挙げる。例えば、前方を撮像する撮像素子が付いた遮蔽型のHMDを装着したユーザは、現実世界に存在するオブジェクトの光の強度及び波長を撮像素子がデジタルデータに変換し、プロセッサによってデジタル画像に再構成された結果を観察することになる。ユーザは現実世界に存在する現実オブジェクトの光を直接的に知覚するものではなくデジタル画像を観察することになるが、このデジタル画像に存在するオブジェクトは空想上の仮想オブジェクトではなく、現実世界に存在する現実オブジェクトに由来するオブジェクトである。
【0025】
本明細書において、実空間に仮想的なオブジェクトが複合されている世界、すなわちMRは、いわゆるAR(Augmented Reality)のように現実空間に空想上のオブジェクトを配置する世界のみならず、現実空間の少なくとも一部を現実オブジェクトに由来するオブジェクトで代替した世界も含むものとする。
【0026】
(想定する未来像)
図1は、実施の形態に係る情報処理システムが想定している未来の世界観を説明するための図であり、未来における人々の生活空間の一例を模式的に示す図である。
【0027】
複合現実が人々の日常生活の中に取り入れられると、複合現実を利用するユーザUは、仮想的なオブジェクト(以下、「仮想オブジェクトOv」と記載する。)を視認するために何らかのデバイスを身に付けることになる。仮想オブジェクトOvを視認するためのウェアラブルデバイスは、例えばHMDやスマートグラスやコンタクトレンズ型の映像提示デバイス、網膜投影型の提示デバイス等のウェアラブルデバイスが挙げられ、簡易的にはスマートホンも仮想的なオブジェクトを視認するためのウェアラブルデバイスとして用いることができる。
【0028】
本願の発明者は、複合現実が人々の日常生活の中にあたりまえのように取り入れられた世界では、個々のユーザUに最適化された仮想オブジェクトOvが各ユーザUに提示されるようになると想定している。具体的には、仮想オブジェクトOvを視認するためのウェアラブルデバイス1を所持するユーザUは、そのウェアラブルデバイス1を介して、例えば、ユーザUに最適化された広告映像、ナビゲーションや乗り換え案内を表示するUI(User Interface)画面、他のユーザUと共有する仮想オブジェクトOv等を視認することができるような世界である。
【0029】
図1に示す例では、ユーザUは多数の建物が存在する町中におり、ウェアラブルデバイス1としてHMDを身に付けている。煩雑となることを避けるため全てに符号は付していないが、図1において、符号「Or1」、「Or10」、「Or11」、「Or2」、及び「Or20」で示すオブジェクトは、それぞれ現実に存在するオブジェクトである。以下、本明細書において、現実空間に実際に存在するオブジェクトを「現実オブジェクトOr」と記載する。現実オブジェクトは現実空間に存在するため、その空間に存在するユーザUであればみな認識できるオブジェクトである。
【0030】
具体的には、現実オブジェクトOr1は現実に存在する建物であり、現実オブジェクトOr10及び現実オブジェクトOr11は、それぞれ現実オブジェクトOr1に備えられた広告掲示版である。同様に、現実オブジェクトOr2も現実に存在する建物であり、現実オブジェクトOr20は現実オブジェクトOr2に備えられた広告掲示版である。
【0031】
現在の世界では、ビルの屋上や窓にはデジタルサイネージのための大型のディスプレイが設置され、広告表示が行われるのが一般的である。一方、図1に示す未来の世界においては、現実オブジェクトOr10、現実オブジェクトOr20等の広告掲示板は、従来の広告表示のみならず広告用の仮想オブジェクトOvを表示する位置を示すオブジェクトとしても用いられる。
【0032】
すなわち、ウェアラブルデバイス1を装備していないユーザUが現実オブジェクトOr10を観察すると、ユーザUは不特定多数に向けた広告を観察することになる。これに対し、ユーザUがウェアラブルデバイス1を介して現実オブジェクトOr10を視認すると、現実オブジェクトOr10の上にそのユーザUに応じた広告の仮想オブジェクトOv2が重畳されて表示された状態を観察することになる。つまり、異なるユーザUがそれぞれウェアラブルデバイス1を装着した状態で同一の広告掲示板である現実オブジェクトOr10を観察しても、それぞれのユーザUは、個々のユーザUのために選択された仮想オブジェクトOvである広告を観察することになる。
【0033】
なお、仮想オブジェクトOvは、現実オブジェクトOr10に提示される二次元の映像のみならず、現実オブジェクトを起点として奥行き感を持った立体的な映像として提示されてもよい。例えば、現実オブジェクトOr20には、ある宿泊施設のイメージ広告として、「手鞠の上に乗った折り鶴」を示す立体的な仮想オブジェクトOv3が提示されている。仮想オブジェクトOv3は立体的な仮想オブジェクトOvであるため、ユーザUには、提示の起点となる現実オブジェクトOr20から飛び出で提示されているように観察される。
【0034】
図1において、符号「Ov1」で示す仮想オブジェクトOvは、ユーザUが装着しているウェアラブルデバイス1が提示する仮想のウィンドウであり、いわゆる経路案内アプリケーションのUI(User Interface)画面である。図1に示す例では、ウェアラブルデバイス1はユーザUの右手の人差し指の先端を起点として、仮想オブジェクトOv1をユーザUに提示している。この仮想オブジェクトOvも、他のユーザUからは観察することができない仮想オブジェクトOvであり、ユーザUに最適化された仮想オブジェクトOvである。
【0035】
図1において符号「Ov4」で示す仮想オブジェクトOv4は、経路案内アプリケーションによってユーザUに提示される仮想オブジェクトOvである。仮想オブジェクトOv3と同様に、仮想オブジェクトOv4は、ユーザUが目的地向かうために向かうべき方向を現実世界に重畳して示す立体的な仮想オブジェクトOvである。
【0036】
このように、本願の発明者が想定している未来においては、ユーザUはMR空間の中で日常生活を送り、そのMR空間において現実世界に重畳ないし複合される仮想オブジェクトOvはユーザU毎に変更されうる世界である。
【0037】
実施の形態に係る情報処理システムは、ユーザUにMR情報を提示可能なウェアラブルデバイス1と、ユーザUが装着しているウェアラブルデバイス1と通信可能な態様で接続し、ウェアラブルデバイス1に提示させるMR映像を含む情報を管理する情報処理装置とを含んでいる。情報処理装置は、ウェアラブルデバイス1を一意に特定するための識別子をウェアラブルデバイス1から取得して、ウェアラブルデバイス1毎に提示させるべきMR情報を変更する。これにより、実施の形態に係る情報処理システムは、MR空間において現実世界に重畳ないし複合される仮想オブジェクトOvをユーザU毎に変更することができる。
【0038】
<実施の形態の概要>
図2は、実施の形態に係る情報処理システムSの概要を説明するための図である。図2に示すように、実施の形態に係る情報処理システムSは、複数のウェアラブルデバイス1と情報処理装置2とがインターネット等の通信ネットワークNを介して通信可能な態様で接続している。また、情報処理装置2はMRデータベースDとも通信可能な態様で接続している。
【0039】
ウェアラブルデバイス1は、ユーザにMR情報を提示可能な装置であり、例えば上述したHMDやスマートグラスである。図2では、第1ウェアラブルデバイス1aと第2ウェアラブルデバイス1bと第3ウェアラブルデバイス1cとの3つのウェアラブルデバイス1が図示されているが、ウェアラブルデバイス1の数は3に限られずそれ以上であってもよい。
【0040】
図2に示す例では、第1ウェアラブルデバイス1aと第2ウェアラブルデバイス1bとはともにHMDであり、第3ウェアラブルデバイス1cはスマートグラスであるが、ウェアラブルデバイス1はこれに限られず、コンタクトレンズ型の映像提示デバイス、網膜投影型の提示デバイス等のウェアラブルデバイスやスマートホンであってもよい。
【0041】
MRデータベースDは、ウェアラブルデバイス1を特定するデバイス識別子と物体とを紐づけてMR情報を格納するデータベースである。ウェアラブルデバイス1は、MRデータベースDを参照して、ウェアラブルデバイス1に提示させるMR映像を含む情報を管理する。なお、MRデータベースDの詳細は後述する。
【0042】
<実施の形態に係る情報処理システムSの機能構成>
図3は、実施の形態に係るウェアラブルデバイス1と情報処理装置2とのそれぞれの機能構成を模式的に示す図である。ウェアラブルデバイス1は、通信部10、記憶部11、提示部12、撮像部13、及び制御部14を備える。情報処理装置2は、通信部20、記憶部21、及び制御部22を備える。
【0043】
図3において、矢印は主なデータの流れを示しており、図3に示していないデータの流れがあってもよい。図3において、各機能ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図3に示す機能ブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。機能ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0044】
通信部10は、ウェアラブルデバイス1が情報処理装置2等の外部の装置と通信するための通信インターフェースであり、例えば無線通信モジュール等で実現されている。以下、ウェアラブルデバイス1の各部が外部の装置と通信する場合、通信部10を介することを前提として、通信部10の記載は省略することがある。
【0045】
記憶部11は、ウェアラブルデバイス1を実現するコンピュータのBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)やウェアラブルデバイス1の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置である。
【0046】
提示部12は、情報処理装置2から取得したMR情報をユーザに提示するための装置である。撮像部13は、ウェアラブルデバイス1の周囲を撮像する装置であり、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサ等の既知の固体撮像素子で実現できる。
【0047】
制御部14は、ウェアラブルデバイス1のCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することによって、少なくとも注視点特定部140、ユーザ認証部141、生体情報取得部142、及びデバイス間距離取得部143として機能する。
【0048】
通信部20は、情報処理装置2がウェアラブルデバイス1等の外部の装置と通信するための通信インターフェースであり、例えば無線通信モジュール等で実現されている。以下、情報処理装置2の各部が外部の装置と通信する場合、通信部20を介することを前提として、通信部20の記載は省略することがある。
【0049】
記憶部21は、情報処理装置2を実現するコンピュータのBIOS等を格納するROMや情報処理装置2の作業領域となるRAM、OSやアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDDやSSD等の大容量記憶装置である。
【0050】
制御部22は、情報処理装置2のCPUやGPU等のプロセッサであり、記憶部21に記憶されたプログラムを実行することによって、少なくともMR情報取得部220、表示位置特定部221、及びデータベース管理部222として機能する。
【0051】
実施の形態に係る情報処理システムSにおいて、各ユーザUが装着するウェアラブルデバイス1は、それぞれ計算リソースや通信速度、記憶容量がそれぞれ異なることが想定されている。このため、実施の形態に係る情報処理システムSを実現するための機能の一部は、ウェアラブルデバイス1又は情報処理装置2の少なくともいずれか一方において実現されてもよいように構成されている。具体的には、例えば計算リソースやバッテリーの残量が乏しいウェアラブルデバイス1に対しては、演算処理の大部分を情報処理装置2が肩代わりする。反対に、有線で電源プラグに接続され計算リソースが豊富なウェアラブルデバイス1の場合、ウェアラブルデバイス1で可能な演算はウェアラブルデバイス1で実行する。
【0052】
このため、図2において斜線で示すように、位置情報取得部30、物体特定部31、位置関係取得部32、予定情報取得部33、ユーザ状態推定部34、及び音声認識部35は、制御部14と制御部22との少なくともいずれか一方において実現される。
【0053】
なお、図3は、情報処理装置2が単一の装置で構成されている場合の例を示している。しかしながら、情報処理装置2は、例えばクラウドコンピューティングシステムのように複数のプロセッサやメモリ等の計算リソースによって実現されてもよい。この場合、制御部22を構成する各部は、複数の異なるプロセッサの中の少なくともいずれかのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0054】
位置情報取得部30は、ウェアラブルデバイス1の存在場所を示す位置情報を取得する。位置情報取得部30は、ウェアラブルデバイス1に実装されている場合、既知のGPS(Global Positioning System)モジュールで実現され、航法衛星から受信した信号に基づいてウェアラブルデバイス1の絶対的な位置座標を位置情報として取得する。また、位置情報取得部30は、ウェアラブルデバイス1に搭載された気圧センサ(不図示)に基づいて、ウェアラブルデバイス1の存在場所の高度を取得してもよい。
【0055】
位置情報取得部30が情報処理装置2に実装されている場合、位置情報取得部30は、まず、ウェアラブルデバイス1が発信したWi-Fi(登録商標)信号を受信した複数のアクセスポイントの情報を取得する。情報処理装置2は、各アクセスポイントが存在する位置座標をあらかじめ保持しており、ウェアラブルデバイス1が発信したWi-Fi信号を受信したアクセスポイントそれぞれの位置座標と、各アクセスポイントが受信した信号の信号強度とに基づいて、ウェアラブルデバイス1が存在する位置の絶対的な位置座標を、位置情報として取得する。
【0056】
物体特定部31は、撮像部13が撮像した映像を解析してウェアラブルデバイス1の存在場所を含む領域に存在する物体を特定する。物体特定部31は、ウェアラブルデバイス1に実装されている場合、既知の物体認識技術を撮像部13が撮像した映像に適用して物体を特定する。物体特定部31が情報処理装置2に実装されている場合、物体特定部31は撮像部13が撮像した映像を通信ネットワークNを介してウェアラブルデバイス1から受信する。物体特定部31は、物体特定部31から受信した映像に対して既知の物体認識技術を適用し、物体を特定する。
【0057】
なお、物体特定部31は、ウェアラブルデバイス1と情報処理装置2との両方に備えられていてもよい。例えば、物体の特定に必要なリソースが少ない解析対象物はウェアラブルデバイス1で解析し、解析に大きなリソースを要する複雑な解析対象物は情報処理装置2が解析して特定してもよい。
【0058】
物体特定部31は、その機能をウェアラブルデバイス1と情報処理装置2とが協働する態様で実装されてもよい。この場合、ウェアラブルデバイス1に実装されている物体特定部31は、撮像部13が撮像した映像から物体認識技術で用いられる特徴量を抽出して情報処理装置2に送信する。情報処理装置2に実装されている物体特定部31は、ウェアラブルデバイス1から受信した特徴量に基づいて物体を特定する。これにより、計算リソースがウェアラブルデバイス1と情報処理装置2とに分配されるため、ウェアラブルデバイス1と情報処理装置2とのそれぞれの負荷を軽減できる。さらに、ウェアラブルデバイス1から情報処理装置2に送信される情報が特徴量に限定されるため、撮像部13が撮像した映像と比較して通信量を削減することもできる。
【0059】
ここで、物体特定部31が特定する「物体」は、ウェアラブルデバイス1がユーザUに対して提示するMR情報を表示するためのランドマークとなる物体である。例えば、ウェアラブルデバイス1の存在場所の周囲にある広告掲示板は、ウェアラブルデバイス1が広告に係るMR情報を表示させるためのランドマークとなり得、あらかじめその絶対座標がMRデータベースDに登録されている。別例としては、ユーザUの指先は、ウェアラブルデバイス1が仮想ウィンドウに係るMR情報を表示させるためのランドマークとなり得る。そのため、位置関係取得部32は、物体特定部31が特定した物体とウェアラブルデバイス1との位置関係を取得する。
【0060】
例えば、位置関係取得部32がウェアラブルデバイス1に実装されている場合、位置関係取得部32は、ウェアラブルデバイス1に搭載されたBluetooth(登録商標)センサが受信した信号の信号強度に基づいて、信号の送信部からの相対的な位置を位置情報として取得する。例えば、図1における広告掲示板である現実オブジェクトOr10は現実オブジェクトOr10上の複数の異なる位置にBluetooth信号の送受信部(不図示)を備えており、位置関係取得部32は、各送受信部が取得した信号を受信する。位置関係取得部32は、受信した信号それぞれの強度に基づいて、現実オブジェクトOr10との相対的な位置関係を位置情報として取得することができる。
【0061】
別の例として、位置関係取得部32は、現実オブジェクトOrに表示されている識別用コード(例えば、QR(Quick Response)コード(登録商標))に基づいて、現実オブジェクトOrとの相対的な位置関係を取得してもよい。具体的には位置関係取得部32は、撮像部13が撮像した現実オブジェクトOrに貼付されている2以上の識別用コードを既知の画像認識技術を用いて検出し、検出した以上の識別用コードの距離及び並び方から現実オブジェクトOrとの相対的な位置関係を取得してもよい。
【0062】
位置情報取得部30がウェアラブルデバイス1の絶対的な位置座標を取得している場合、位置関係取得部32は、ウェアラブルデバイス1の絶対的な位置座標と、MRデータベースDから読み出した物体の絶対的な位置座標とに基づいて、物体とウェアラブルデバイス1との位置関係を取得してもよい。さらに、例えば、物体がユーザUの指先である場合等、物体がBluetooth信号の送受信部を搭載していなかったり、あらかじめMRデータベースDに絶対的な位置座標が格納されていなかったりする場合には、位置関係取得部32は、撮像部13が撮像した映像を既知の画像認識技術を用いて解析し、映像中の深度情報として撮像部13と物体との相対的な位置関係を位置情報として取得してもよい。
【0063】
なお、位置関係取得部32が情報処理装置2に実装されている場合には、位置関係取得部32がウェアラブルデバイス1に実装されている場合と同様の処理を情報処理装置2が実行すればよい。このとき、位置関係取得部32が物体とウェアラブルデバイス1との位置関係取得の演算に必要な情報があれば、情報処理装置2がウェアラブルデバイス1に要求してウェアラブルデバイス1からその情報を受信すればよい。
【0064】
ここで、MR情報がリアルタイム性を要求されるような情報(例えば、電車の遅延情報、事故情報などの場所に関係する情報、スポーツのライブ中継などの動画情報、あるいは多くのユーザが知りたいと思っている情報等)は、既知のMEC(Mobile Edge Computing)の手法を利用して、ウェアラブルデバイス1の存在位置の近くに存在するサーバ(不図示)又はMRデータベースから、MR情報取得部220が取得するようにしてもよい。これにより、ウェアラブルデバイス1がMR情報を取得する際の遅延を抑制し、取得効率を高めることができる。
【0065】
MR情報取得部220は、MRデータベースDを参照して、ウェアラブルデバイス1に表示させるMR情報である提示MR情報を取得する。例えば、物体特定部31が特定した物体が広告情報を含むMR情報を重畳させる物体として登録された広告提示物体である場合、MR情報取得部220は、ユーザ識別子で特定されるユーザに提示するためのMR情報として広告情報をMRデータベースDから読み出す。
【0066】
図4は、実施の形態に係るMRデータベースDのデータ構造の一例を模式的に示す図である。MRデータベースDは、ウェアラブルデバイス1及び情報処理装置2とは独立した記憶装置に格納されており、ウェアラブルデバイス1によって管理されている。なお、MRデータベースDは、単一の記憶装置ではなく、複数の記憶装置に分散して格納されてもよい。また、MRデータベースDは、ブロックチェーンをはじめとする既知の分散型台帳技術を用いて格納されてもよい。
【0067】
図4に示すMRデータベースDの例では、ウェアラブルデバイス1を特定するためのデバイス識別子及びウェアラブルデバイス1の性能を示すランクと、そのウェアラブルデバイス1を利用するユーザUを特定するためのユーザ識別子とが紐づけられている。一つのウェアラブルデバイス1を複数のユーザUで共有することがあるため、MRデータベースDには一つのデバイス識別子に複数のユーザ識別子が紐づけられている。図4に示すMRデータベースDの例では、デバイス識別子がDID00001のウェアラブルデバイス1には、ユーザ識別子がUID00001とUID0000Nとの少なくとも二つのユーザ識別子が対応づけられている。
【0068】
MRデータベースDにおいて、各ユーザ識別子には、ユーザUに提示するMR情報のランドマークとなる1以上の物体が紐づけられている。図4に示すMRデータベースDの例では、ユーザ識別子UID00001には、物体識別子がOID00001、OID00002、及びOID00XXXの少なくとも三つの物体識別子が紐づけられている。また、各物体識別子には、その物体識別子で特定される物体をランドマークとしてユーザUに提示するMR情報を特定するMR情報識別子も紐づけられている。
【0069】
図4に示すMRデータベースDの例では、物体識別子がOID00XXXの物体と、MR情報識別子がMID0ZZZZのMR情報とが紐づけられており、MID0ZZZZで特定されるMR情報は特定の広告掲示板に示される静止画の広告情報となっている。このため、図4に示すように、MID0ZZZZで特定されるMR情報は、映像の種類が広告静止画であり、その識別子がVID00001、MR情報を提示する位置である提示位置が絶対座標として規定されている。また、MR情報を提示する期限も規定されている。図4に図示はしていないが、MR情報には、ユーザUに提示する映像の形や傾き等の情報も含まれる。
【0070】
実施の形態に係る情報処理システムSにおいて、ウェアラブルデバイス1がユーザUに提示するMR情報は多数あり、各MR情報にはそれぞれMR情報を提示するランドマークとなる物体が規定されている。MR情報取得部220は、物体特定部31が特定した物体の物体識別子が、ウェアラブルデバイス1を利用するユーザUのユーザ識別子と紐づけてMRデータベースDに格納されているか判定し、紐づけられている場合にはそのMR情報を提示MR情報としてMRデータベースDから読み出す。
【0071】
表示位置特定部221は、位置関係取得部32が特定した位置関係に基づいて、提示MR情報を表示させる表示位置を特定する。例えば、MR情報取得部220がMRデータベースDから読み出した提示MR情報が特定の広告掲示板における静止画の広告情報である場合、位置関係取得部32が特定した位置関係と、MR情報取得部220がMRデータベースDから読み出した提示位置の絶対座標とのいずれか一方を表示位置として特定すればよい。
【0072】
一方、MR情報取得部220がMRデータベースDから読み出した提示MR情報が、図1に示す仮想オブジェクトOv1のように提示位置が絶対座標として特定できない場合、表示位置特定部221は、位置関係取得部32が特定した位置関係を基準として、仮想オブジェクトOv1をウェアラブルデバイス1に表示させる表示位置を特定する。
【0073】
ウェアラブルデバイス1の提示部12は、MR情報取得部220がMRデータベースDから読み出した提示MR情報を、表示位置特定部221が特定した表示位置に表示することで、現実オブジェクトに提示MR情報を重畳させた映像をユーザUに提示する。
【0074】
このように、MRデータベースDはユーザUを特定するユーザ識別子とそのユーザUに提示するMR情報とをユーザU毎に格納しており、MR情報取得部220は、MRデータベースDを参照してユーザU毎に提示MR情報を読み出す。これにより、実施の形態に係る情報処理システムSは、現実世界に重畳させるべき提示MR情報をユーザU毎に変更でき、結果として複合現実を利用するユーザUの利便性を向上することができる。
【0075】
ここで、ユーザUは、MR情報取得部220がMRデータベースDから読み出した提示MR情報の種別によっては、提示部12に提示させるか否かが選択できたり、提示位置が変更できたりすると便利である。例えば、市街地においてユーザUが移動中(徒歩や車の運転中)の場合は、MR情報の提示によってユーザUの関心が外れることを抑制することが望まれる場合もある。このような場合、MR情報取得部220は、ユーザUに提示するMR情報の情報量やMR情報の取得頻度を落としてもよい。または、音声認識部35がユーザUからの音声の指示により、MR情報の提示の中断や提示の位置の変更を提示部12に指示するようにしてもよい。ユーザUが移動中であるか否かは、位置情報取得部30が取得した位置情報の変化に基づいて位置情報取得部30が判定すればよい。
【0076】
上述したように、MRデータベースDにおいて、各ユーザ識別子には、ユーザUに提示するMR情報のランドマークとなる1以上の物体が紐づけられている。したがって、ユーザUの視覚に相当する撮像部13が撮像した映像に複数の物体が含まれることも起こりうる。
【0077】
そのため、ウェアラブルデバイス1は、ユーザUの注視点を特定する注視点特定部140を備えている。注視点特定部140は、例えば近赤外線の角膜反射のパターンから視点を追跡する技術等の既知の視点追跡技術を用いて実現されている。物体特定部31は、注視点特定部140が測定したユーザUの注視点を含む領域に存在する物体を特定する。これにより、情報処理装置2は、ウェアラブルデバイス1を装着するユーザUが見ている方向に存在する物体に紐づけられたMR情報を選択することができる。
【0078】
上述したように、実施の形態に係る情報処理システムSにおいては、一つのウェアラブルデバイス1を複数のユーザUで共有することがあることも想定しており、MRデータベースDには一つのデバイス識別子に複数のユーザ識別子が紐づけられている。このため、ウェアラブルデバイス1は、ウェアラブルデバイス1を装着するユーザUを認証してそのユーザUを特定するためのユーザ識別子を取得するユーザ認証部141を備えている。ユーザ認証部141は、例えば虹彩認証や声紋認証、指紋認証、静脈認証等の既知の生体認証を用いて実現されている。ユーザ認証部141がウェアラブルデバイス1のユーザUを特定することにより、MR情報取得部220は、ユーザ識別子毎に紐づけられているMR情報をMRデータベースDから読み出すことができる。
【0079】
以上、MR情報のランドマークとなる物体に一つのMR情報が紐づけられている場合について説明した。しかしながら、MRデータベースDは一つの物体に複数のMR情報を紐づけて格納してもよい。具体的には、MRデータベースDは、ユーザUの状況又はユーザUの周囲の環境に応じて異なる複数のMR情報を一つの物体に紐づけて格納してもよい。
【0080】
(ユーザUのスケジュールに応じたMR情報)
図5は、実施の形態に係るMRデータベースDの一部を示す図であり、ユーザUのスケジュールに応じたMR情報のデータ構造を模式的に示す図である。図5に示すように、MRデータベースDは、スケジュールの種類をさらに対応づけてMR情報を格納している。予定情報取得部33は、ユーザUのスケジュールを、あらかじめウェアラブルデバイス1と連動させているユーザUのスケジューラから取得する。MR情報取得部220は、予定情報取得部33が取得したユーザUのスケジュールの種類に紐づけられているMR情報をMRデータベースDから読み出す。
【0081】
例えば、ユーザUのスケジュールの種類が会議・商談である場合、MRデータベースDにはそのスケジュールの種類に応じてユーザUにリラックスを促すための動画を示すMR情報が紐づけられている。ユーザUが休憩室に設置された特定の物体を視認することを契機として、情報処理装置2はユーザUに対してリラックスを促す動作を提示することができる。このように、MRデータベースDがユーザUのスケジュールに応じたMR情報を格納することにより、情報処理装置2は、時、場所、場合に応じたMR情報をユーザUに提示することができる。
【0082】
なお、MRデータベースDは、スケジュールの種類として上述した会議・商談の他、冠婚葬祭やデート、買い物等、種々の種類のスケジュールをMR情報に紐づけて登録することができる。
【0083】
(ユーザUの状態に応じたMR情報)
図6は、実施の形態に係るMRデータベースDの一部を示す図であり、ユーザUの状態に応じたMR情報のデータ構造を模式的に示す図である。図6に示すように、MRデータベースDは、ユーザUの状態をさらに対応づけてMR情報を格納している。
【0084】
ウェアラブルデバイス1の生体情報取得部142は、ウェアラブルデバイス1を装着するユーザUの生体情報を取得する。生体情報取得部142が取得する生体情報は、例えば、ユーザUの発汗量、心拍数、脈拍数、瞳孔の開き具合、筋電位等、ユーザUの精神状態の推定に用いられる情報である。生体情報取得部142は、例えばユーザUが身に付けている腕時計型のデバイスが備える生体情報計測機器(不図示)からユーザUの生体情報を取得する。ユーザ状態推定部34は、生体情報取得部142が取得したユーザUの生体情報を既知の緊張度評価手法を用いて解析し、ユーザUの状態を推定する。MR情報取得部220は、ユーザ状態推定部34が推定したユーザUの状態に紐づけられているMR情報をMRデータベースDから読み出す。
【0085】
例えば、舞台俳優であるユーザUが初日の公演を直前に控えて極度に緊張している状態にある場合等のために、MRデータベースDは「緊張状態」に紐づけてユーザUにリラックスを促すための動画を示すMR情報を格納している。ユーザUが控え室に設置された特定の物体を視認することを契機として、情報処理装置2はユーザUに対してリラックスを促す動作を提示することができる。このように、情報処理装置2は、ユーザUの状態に応じたMR情報をユーザUに提示することができる。
【0086】
別の例として、予定情報取得部33が取得したユーザUのスケジュール情報からユーザUが仕事中であると判定できる場合に、ユーザ状態推定部34は、ユーザUが集中を継続している時間を計測する。ユーザ状態推定部34が計測した時間が所定の時間(例えば45分)を超える場合、MR情報取得部220は、図示しない汎用MRデータベースを参照して、ユーザUに休憩を取るようにアドバイス示すMR情報を取得したり、集中を高めるための映像や音声のMR情報を取得したりしてもよい。
【0087】
(ユーザUの位置に応じたMR情報)
例えば、ユーザUが総合ショッピングセンターで買い物をしている場合において、ユーザUが総合ショッピングセンターの各階の地図情報をMR情報として仮想ウィンドウに表示させている場合を考える。このような場合、総合ショッピングセンターにおけるユーザUの存在位置に応じて地図情報が変更されると便利である。
【0088】
図7は、実施の形態に係るMRデータベースDの一部を示す図であり、ユーザUの位置に応じたMR情報のデータ構造を模式的に示す図である。図7に示すように、MRデータベースDは、ユーザUの存在位置をさらに対応づけてMR情報を格納している。MR情報取得部220は、ユーザUが存在する位置の位置情報に紐づけられているMR情報をMRデータベースから読み出す。
【0089】
図7に示す例では、ユーザUが「Zショッピングモール」という施設の西館5階の店舗を示す地図の静止画が、映像識別子VID03963として登録されていることを示している。このため、情報処理装置2は、ユーザUがZショッピングモールの西館5階に移動すると、Zショッピングモールの西館5階のフロアマップをユーザUの目前の仮想ウィンドウに表示させる。このように、情報処理装置2は、ユーザUの位置に応じたMR情報をユーザUに提示することができる。
【0090】
なお、MRデータベースDは、ユーザUの位置として、行楽地、レストラン、山間部、病院、乗り物等、ユーザUが存在しうる種々の位置をMR情報と紐づけて登録することができる。
【0091】
(ウェアラブルデバイス1の性能に応じたMR情報)
上述したように、実施の形態に係る情報処理システムSにおいて、各ユーザUが装着するウェアラブルデバイス1はそれぞれ計算リソースや通信速度、記憶容量がそれぞれ異なることが想定されている。このため、例えば動画像のようにウェアラブルデバイス1における再生時に負荷が大きいMR情報等は、ウェアラブルデバイス1の性能を考慮して用意すべきである。
【0092】
図8は、実施の形態に係るMRデータベースDの一部を示す図であり、ウェアラブルデバイス1の性能に応じたMR情報のデータ構造を模式的に示す図である。図8に示すように、MRデータベースDは、デバイス識別子で特定されるウェアラブルデバイス1の性能に応じて異なる態様のMR情報を格納している。具体的には、MRデータベースDにおいてウェアラブルデバイス1の性能は高さに応じて複数のランクにあらかじめ分類されており、各MR情報識別子で特定されるMR情報毎に、各ランクのウェアラブルデバイス1に提示する映像識別子が特定されている。さらに具体的には、MRデータベースDは、性能が高いと分類されるランクには、再生時により負荷の高いMR情報を紐づけている。
【0093】
MR情報取得部220は、デバイス識別子を参照してウェアラブルデバイス1のランクを取得し、MRデータベースDから読み出すMR情報の態様を変更する。これにより、情報処理装置2は、ウェアラブルデバイス1の性能に応じてウェアラブルデバイス1において提示が容易なMR情報を提供することができる。
【0094】
また、MR情報取得部220は、ウェアラブルデバイス1のバッテリーの残量に応じてMRデータベースDから読み出すMR情報の態様を変更してもよい。例えば、MR情報取得部220は、ウェアラブルデバイス1のバッテリーの残量が少ない場合は、多い場合よりも、取得するMR情報取得部情報の量を少なくしたり、MR情報を取得する頻度を下げたりしてもよい。さらに、ウェアラブルデバイス1は、バッテリーの残量が少ない場合には、MR情報取得部220がMR情報を取得する際に参照する情報(例えば、ユーザUの位置、生体情報、物体情報)自体の取得の頻度を下げてもよい。
【0095】
MR情報取得部220は、ユーザUの指示又はユーザUの周囲の状況に応じて、MR情報を提示する位置である提示位置を変更してもよい。MR情報取得部220は、位置情報取得部30が取得したウェアラブルデバイス1の位置情報と既存の地図情報との組み合わせ、及び撮像部13が撮像した映像を物体特定部31が解析して得られた情報から、ユーザUの移動速度及び存在場所、その周辺の物体に関する情報、すなわちユーザUの周囲の状況に関する情報を取得することができる。
【0096】
例えば、ユーザUが人混みを歩いているような場合には、ユーザUの許可なくMR情報が提示されない方がよい場合もある。その場合、MR情報取得部220は、提示部12に指示して、ウェアラブルデバイス1が備えるイヤホンや骨伝導スピーカ等の音声出力装置(不図示)を介して、ユーザUにMR情報の提示の可否を促す音声を送信すると同時に、情報量を落としたMR情報(例えば、ユーザU宛てにメッセージが届いていることのみを示す情報、MR情報が動画の場合にはそのサムネイル情報、ユーザUが特定の目的地に向かっている場合には目的地までの距離及び方向等)をユーザUに提示させる。
【0097】
ユーザUは、音声、ジェスチャ、及び目線の少なくとも一つの手段を用いて、提示部12にMR情報の提示の可否を伝える。ここで、ユーザUの音声は音声認識部35が取得することができ、ユーザUのジェスチャは撮像部13が撮像した映像を物体特定部31が解析することで取得することができ、ユーザUの目線は注視点特定部140が取得することができる。
【0098】
なお、提示部12がユーザUに広告動画を提示している間に、注視点特定部140はユーザUの注視点を測定することにより、ユーザUが広告動画を視聴している時間を計測してもよい。通信部10は、ユーザUに広告動画を提示した回数とその広告動画の視聴時間とを示す情報を、広告動画の広告主及び広告動画のMR情報を提示するランドマークとなった広告掲示板の管理者に送信する。これにより、例えば広告動画のMR情報を提示するランドマークとなった広告掲示板の管理者は、広告主から広告の視聴時間に応じた広告料を請求することができる。
【0099】
また、広告動画の広告主は、広告動画に対するユーザUの視聴時間を取得することにより、広告動画に関するユーザUの関心度を推定することができる。これにより、広告動画の広告主は、例えばユーザUにとって関心の低いと判断される広告動画の再生を中止し、他の広告動画に切り替えることができる。
【0100】
また、ユーザUは、視聴している広告動画の商品やサービスに興味を持った場合、ユーザUは、興味を持つことを示す音声、所定のジェスチャ、又は所定の目線操作を実行する。音声認識部35、物体特定部31、又は注視点特定部140が、ユーザUが承認又はサービスに興味を持ったことを検知した場合、MR情報取得部220は、広告動画の商品やサービスに関するウェブサイトにアクセス情報を取得する。ユーザUは、MR情報取得部220が取得した情報を提示部12を介して視聴することにより、興味を持った商品やサービスに関するより詳細な情報に触れることができる。
【0101】
(MR情報の提示の終了)
ユーザUに提示したMR情報は、例えばユーザUによる明示的な指示等の何らかのタイミングで提示を終了することが望ましい。例えば、注視点特定部140は、提示部12がユーザUにMR情報を提示した後に、ユーザUの視点を追跡する。ユーザUの視点が提示部12が提示したMR情報に向いた後、ユーザUの視点がMR情報から外れて所定の時間(例えば20秒間)経過することを条件として、提示部12はMR情報の提示を終了する。これにより、ウェアラブルデバイス1は、ユーザUによって確認されたその後ユーザUの視点が向けられなくなったMR情報の提示を中止でき、ユーザUの視界がMR情報で埋まることを抑制できる。
【0102】
MR情報の終了のタイミングの別の例として、提示部12が提示したMR情報にユーザUの視点が向いた状態でユーザUが所定のジェスチャをした場合、提示部12はMR情報の提示を終了してもよい。所定のジェスチャは、ユーザUがMR情報の提示の終了指示をウェアラブルデバイス1に伝えるためにあらかじめ定められた動作であり、一例としてはユーザUが右手でスワイプする動作である。所定のジェスチャは、ユーザUの動作を撮像部13が撮像し、物体特定部31が解析して取得すればよい。
【0103】
MR情報の終了のタイミングのさらに別の例として、提示部12は、ユーザUに提示しているMR情報の近傍又はMR情報に重畳させて、MR情報の提示を終了させるための所定のアイコンを表示してもよい。ユーザUの視点がMR情報の提示を終了させるための所定のアイコンに所定時間(例えば5秒間)とどまることを契機として、提示部12はMR情報の提示を終了してもよい。あるいは、ユーザUの視点がアイコン上にある状態でユーザが複数回(例えば、3回)連続して瞬きすることを契機として、提示部12はMR情報の提示を終了してもよい。ユーザUの瞬きは、注視点特定部140が既知の認識技術を用いて認識すればよい。
【0104】
MR情報の終了のタイミングのさらに別の例として、提示部12は、ユーザUが所定の指示音声を発声することを契機としてMR情報の提示を終了してもよい。所定の指示音声とは、ユーザUがMR情報の提示の終了指示をウェアラブルデバイス1に伝えるためにあらかじめ定められた音声であり、例えば、「中止」、「閉じて」、「クローズ」等の音声である。ユーザUの音声は、音声認識部35がユーザUの発声を解析することで取得すればよい。
【0105】
(MRデータベースDの管理)
以上、MRデータベースDはあらかじめ情報が既に登録された状態で存在していることを前提として説明したが、MRデータベースDは時間とともに登録内容が変更される動的なデータベースである。例えば、MRデータベースDに登録される情報として、どの場所に存在する物体を、どのようなタイミングで記憶し、どのタイミングで削除するかは、MRデータベースDのデータ量増加を抑制する観点から重要である。そこで、データベース管理部222は、種々の情報に応じてMRデータベースDに情報を追加したり、MRデータベースDに登録されている情報を削除したりする。以下、データベース管理部222の動作について例示する。
【0106】
データベース管理部は、予定情報取得部33から、ユーザUの行き先及び日時を示す情報を取得する。データベース管理部は、ユーザUが行き先に移動する所定の時間(例えば1時間前等)に、行き先に存在する物体(MR情報を表示するためのランドマークとなる物体)とその物体に関連付けられているMRデータベースD情報とをMRデータベースDに登録する。また、データベース管理部は、位置情報取得部30が取得したウェアラブルデバイス1の位置情報に基づいてユーザUが行き先から移動した場合、その行き先に関する物体及びMR情報をMRデータベースDから削除する。
【0107】
また、データベース管理部222は、あらかじめユーザUから購入を検討している商品又はその種別に関する情報を取得した場合、取得した商品又はその種別を販売している場所までの経路を示すMR情報をMRデータベースDに記憶する。加えて、データベース管理部222は、商品又はその種別を販売している場所に存在する物体と、商品の広告に関するMR情報とを紐づけてMRデータベースDに登録する。これにより、ユーザUは、購入を検討している商品又はその種別の売り場までの経路と、売り場到着後には商品又はその種別に関する広告情報に触れることができる。
【0108】
(複数のユーザU間におけるMR情報の共有)
以上、現実オブジェクトOrに重畳する仮想オブジェクトOvをユーザU毎に変更することについて主に説明した。一方で、例えば目的地までのルートを示す仮想オブジェクトOvや共同作業で用いる図表を示す仮想オブジェクトOv、又はライブ動画等の複数人で楽しむことを目的とするコンテンツ等は、複数のユーザUで共有できると便利である。そのため、実施の形態に係る情報処理システムSは、複数のユーザ識別子同士をグループ化して格納するとともに、グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザUに共有させるための共有MR情報も格納する共有ユーザデータベースCをさらに含んでいる。
【0109】
図9は、実施の形態に係る共有ユーザデータベースCのデータ構造の一例を模式的に示す図である。共有ユーザデータベースCは、ウェアラブルデバイス1及び情報処理装置2とは独立した記憶装置に格納されており、ウェアラブルデバイス1によって管理されている。共有ユーザデータベースCは、MRデータベースDを格納する記憶装置と同じ記憶装置に格納されていてもよく、MRデータベースDの一部であってもよい。
【0110】
図9に示すように、共有ユーザデータベースCは、あるユーザ識別子に対して複数の共有ユーザ識別子が紐づけられている。また、複数の共有ユーザ識別子には、同一の物体識別子とMR情報識別子とが紐づけられている。図9に示す共有ユーザデータベースCの例では、UID000001のユーザ識別子に、UID032954、UID078265、及びUID059824の少なくとも三つの共有ユーザ識別子が紐づけられている。このうち、UID032954とUID078265との二つのユーザ識別子には、同一の物体識別子OID052689とMR情報識別子MID000340とが紐づけられており、グループ化されている。
【0111】
MR情報取得部220は、共有ユーザデータベースCを参照して、共有MR情報を取得する。表示位置特定部221は、グループ化されたユーザ識別子のいずれかで特定されるユーザUが用いるウェアラブルデバイス1が存在する領域に存在する物体と、グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザUが使用するウェアラブルデバイス1との位置関係に基づいて、各ウェアラブルデバイス1それぞれに共有MR情報を表示させるための表示位置を特定する。
【0112】
グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザUそれぞれが使用するウェアラブルデバイス1は情報処理装置2から共有MR情報を取得し、各ウェアラブルデバイス1が備える提示部12は、表示位置特定部221が特定した表示位置に共有MR情報を重畳した映像を提示する。これにより、情報処理装置2は、あるユーザUと、そのユーザUに紐づけてグループ化されたユーザUとで、MR情報を共有させることができる。
【0113】
ユーザU同士でMR情報を共有するMR情報は、ユーザUとグループ化されたユーザUがどのような位置関係にあっても常に共有していれば、共有という観点からは便利である。一方で、共有するMR情報が秘匿性の高い情報である場合には、共有に何らかの制限を設けるべきであり、一つの制限条件として、ユーザU同士の距離の近さが挙げられる。
【0114】
そこで、ウェアラブルデバイス1は、グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザUが使用しているウェアラブルデバイス1との間の距離を取得するデバイス間距離取得部143を備えていてもよい。デバイス間距離取得部143は、例えば既知の測距センサを用いても実現できるし、ウェアラブルデバイス1がGPSセンサを備えている場合には、デバイス間距離取得部143はウェアラブルデバイス1同士の絶対座標に基づいてウェアラブルデバイス1との間の距離を取得してもよい。
【0115】
この場合、表示位置特定部221は、デバイス間距離取得部143が取得した距離が所定の範囲内となっているウェアラブルデバイス1それぞれに共有MR情報を表示させるための表示位置を特定する。ここで「所定の範囲」とは、ユーザU同士でMR情報を共有する場合に、各ユーザUがそのMR情報を視認できるようにあらかじめMR情報毎に定められた共有許可範囲である。
【0116】
例えば、ユーザU同士で共有するMR情報が広告掲示板に表示する広告情報である場合、その情報は広い範囲で表示させる公共性も高い情報であるため、共有許可範囲は例えば30メートル等の比較的広い範囲で設定される。一方、ユーザU同士で共有するMR情報が顧客との商談に用いる資料のように秘匿性の高い情報である場合、共有許可範囲は例えば1.5メートル等の比較的狭い範囲で設定される。このように、情報処理システムSは、ユーザU同士にMR情報を共有させる場合に、MR情報の秘匿性と、共有の利便性とのバランスを取ることができる。
【0117】
ユーザU同士でMR情報を共有する場合の別の条件として、ユーザU同士が同一の会議に出席する場合も挙げられる。この場合、各ユーザUは、仮想オブジェクトOvで表現される仮想の会議室において会議を出席する。MRデータベースDにおいて、グループ化されたユーザ識別子それぞれと、仮想の会議室を示す同一のMR情報識別子とが対応づけられている場合、グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザUは、同一の仮想会議室に入室して会議に出席することができる。具体的には、MR情報取得部220は、グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザUのウェアラブルデバイス1に、同一の仮想の会議室を示すMR情報を送信すればよい。
【0118】
<ウェアラブルデバイス1が実行する情報処理方法の処理フロー>
図10は、実施の形態に係る情報処理システムSにおいて実行される情報処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【0119】
ウェアラブルデバイス1の撮像部13は、ウェアラブルデバイス1の周囲を撮像する(S2)。ウェアラブルデバイス1と情報処理装置2との少なくともいずれか一方に実装された位置情報取得部30が、ウェアラブルデバイス1の存在場所を示す位置情報を取得する(S4)。ウェアラブルデバイス1と情報処理装置2との少なくともいずれか一方に実装された物体特定部31が、撮像部13が撮像した映像を解析してウェアラブルデバイス1の存在場所を含む領域に存在する物体を特定する(S6)。
【0120】
ウェアラブルデバイス1と情報処理装置2との少なくともいずれか一方に実装された位置関係取得部32が、物体特定部31が特定した物体とウェアラブルデバイス1との位置関係を取得する(S8)。情報処理装置2のMR情報取得部220が、MRデータベースDを参照して、ウェアラブルデバイス1に表示させるMR情報である提示MR情報を取得する(S10)。
【0121】
情報処理装置2の表示位置特定部221が、物体特定部31が取得した位置関係に基づいて、MR情報取得部220が取得した提示MR情報を表示させる表示位置を特定する(S12)。ウェアラブルデバイス1の提示部12が、表示位置特定部221が特定した表示位置に、MR情報取得部220が取得した提示MR情報を重畳した映像をユーザUに提示する(S14)。
【0122】
<実施の形態に係るウェアラブルデバイス1が奏する効果>
以上説明したように、実施の形態に係るウェアラブルデバイス1によれば、複合現実を利用するユーザUの利便性を向上させることができる。
【0123】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0124】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果をあわせ持つ。
【0125】
<第1の変形例>
上記では、情報処理装置2がユーザUに提示するMR情報が、ナビゲーションや広告等の日常生活やビジネスにおける支援情報である場合について主に説明した。しかしながら、情報処理装置2がユーザUに提示するMR情報は支援情報に限らず、例えばゲームや愛玩用のキャラクターであってもよい。
【0126】
例えば、MR情報を提示するランドマークとなる物体がキャラクターの形をしたフィギュアである場合、MR情報がそのキャラクターに装備させる武器、防具、衣服、アクセサリ等の装備品であってもよい。ユーザUは、情報処理装置2が提供する仮想の店でこれらの装備品のMR情報を購入して自身が所有するフィギュアに紐づける。これにより、ユーザUは、ウェアラブルデバイス1を介してフィギュアを見ることにより、購入した装備品を身に付けた状態のフィギュアを観察することができる。
【0127】
<第2の変形例>
上記では、物体特定部31が特定した物体の位置を位置関係取得部32が取得し、その位置に基づいて提示部12がMR情報をユーザUに提示する場合について主に説明した。これに替えて、あるいはこれに加えて、提示部12は、「物体の位置」によらずにMR情報を提示してもよい。具体的には、まず物体特定部31は、現実オブジェクトOr及びその現実オブジェクトOrに表示されている識別用コードを認識する。提示部12は、現実オブジェクトOrの位置を基準とせずに、物体特定部31が認識した識別用コードを基準として、例えば広告などのMR情報を提示するようにしてもよい。このとき、識別用コード自体にURI(Uniform Resource Identifier)等のリンク情報を持たせておき、提示部12は、リンク先からMR情報を取得して提示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0128】
1・・・ウェアラブルデバイス
10・・・通信部
11・・・記憶部
12・・・提示部
13・・・撮像部
14・・・制御部
140・・・注視点特定部
141・・・ユーザ認証部
142・・・生体情報取得部
143・・・デバイス間距離取得部
2・・・情報処理装置
20・・・通信部
21・・・記憶部
22・・・制御部
220・・・MR情報取得部
221・・・表示位置特定部
222・・・データベース管理部
30・・・位置情報取得部
31・・・物体特定部
32・・・位置関係取得部
33・・・予定情報取得部
34・・・ユーザ状態推定部
35・・・音声認識部
C・・・共有ユーザデータベース
D・・・MRデータベース
N・・・通信ネットワーク
S・・・情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザそれぞれにMR(Mixed Reality)情報を提示可能な複数のウェアラブルデバイスと、
前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれと通信可能な態様で接続し、前記複数のウウェアラブルデバイスそれぞれに提示させるMR映像を含む情報を管理する情報処理装置と、
前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれを特定する複数のデバイス識別子と物体とに紐づけてMR情報を格納するMRデータベースと、
複数のユーザ識別子同士をグループ化して格納するとともに、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザに共有させるための共有MR情報も格納する共有ユーザデータベースと、を備える情報処理システムであって、
前記ウェアラブルデバイスの周囲を撮像する撮像部と、
撮像された映像を解析して前記ウェアラブルデバイスの存在場所を含む領域に存在する物体を特定する物体特定部と、
前記物体と前記ウェアラブルデバイスとの位置関係を取得する位置関係取得部と、
前記MRデータベースを参照して、前記ウェアラブルデバイスに表示させるMR情報である提示MR情報を取得するMR情報取得部と、
前記位置関係に基づいて、前記提示MR情報を表示させる表示位置を特定する表示位置特定部と、
前記表示位置に前記提示MR情報を重畳した映像を前記ユーザに提示する提示部と、
前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザが使用しているウェアラブルデバイスとの間の距離を取得するデバイス間距離取得部と、
を備え、
前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれは、前記撮像部と前記提示部と前記デバイス間距離取得部とを備え、
前記情報処理装置は、前記MR情報取得部と前記表示位置特定部とを備え、
前記物体特定部と前記位置関係取得部は、前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれと前記情報処理装置との少なくともいずれかに備えられており、
前記MR情報取得部は、前記共有ユーザデータベースを参照して、前記共有MR情報を取得し、
前記表示位置特定部は、前記距離が所定の範囲内となっているウェアラブルデバイスそれぞれに前記共有MR情報を表示させるための表示位置を特定し、
前記表示位置特定部は、前記グループ化されたユーザ識別子のいずれかで特定されるユーザが用いるウェアラブルデバイスが存在する領域に存在する物体と、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザが使用するウェアラブルデバイスとの位置関係に基づいて、各ウェアラブルデバイスそれぞれに前記共有MR情報を表示させるための表示位置を特定し、
前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザそれぞれが使用するウェアラブルデバイスが備える提示部が、前記表示位置に前記共有MR情報を重畳した映像を提示する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記ウェアラブルデバイスは、前記ユーザの注視点を特定する注視点特定部をさらに備え、
前記物体特定部は、前記注視点を含む領域に存在する物体を特定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記ウェアラブルデバイスは、
前記ウェアラブルデバイスを装着するユーザを認証して当該ユーザを特定するためのユーザ識別子を取得するユーザ認証部をさらに備え、
前記MRデータベースは、
ユーザ識別子をさらに紐づけて前記MR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記ユーザ識別子毎に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記MR情報取得部は、前記物体特定部が特定した物体が広告情報を含むMR情報を重畳させる物体として登録された広告提示物体である場合、前記ユーザ識別子で特定されるユーザに提示するためのMR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方は、
前記ユーザのスケジュールを取得する予定情報取得部をさらに備え、
前記MRデータベースは、
前記スケジュールの種類をさらに対応づけて前記MR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記スケジュールの種類に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項3または4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記ウェアラブルデバイスは、
前記ウェアラブルデバイスを装着するユーザの生体情報を取得する生体情報取得部をさらに備え、
前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方は、
前記生体情報を解析して前記ユーザの状態を推定するユーザ状態推定部をさらに備え、
前記MRデータベースは、
ユーザの状態をさらに紐づけて前記MR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記状態に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項3から5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方は、前記ウェアラブルデバイスの存在場所を示す位置情報を取得する位置情報取得部をさらに備え、
前記MRデータベースは、
位置情報をさらに紐づけて前記MR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記位置情報に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記MRデータベースは、前記デバイス識別子で特定されるウェアラブルデバイスの性能に応じて異なる態様のMR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記デバイス識別子を参照して前記MRデータベースから読み出すMR情報の態様を変更する、
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
複数のユーザそれぞれにMR情報を提示するための提示部を備える複数のウェアラブルデバイスと、
前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれと通信可能な態様で接続し、前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれに提示させるMR映像を含む情報を管理する情報処理装置と、
前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれを特定する複数のデバイス識別子と物体とに紐づけてMR情報を格納するMRデータベースと
複数のユーザのユーザ識別子同士をグループ化して格納するとともに、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザに共有させるための共有MR情報も格納する共有ユーザデータベースと、
を備える情報処理システムにおいて実行される情報処理方法であって、
前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれが、
前記ウェアラブルデバイスの周囲を撮像するステップと、
前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザが使用しているウェアラブルデバイスとの間の距離を取得するステップと、
を実行し、
前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方が、
撮像された映像を解析して前記ウェアラブルデバイスの存在場所を含む領域に存在する物体を特定するステップと、
前記物体と前記ウェアラブルデバイスとの位置関係を取得するステップと、
を実行し、
前記情報処理装置が、
前記MRデータベースを参照して、前記ウェアラブルデバイスに表示させるMR情報である提示MR情報を取得するステップと、
前記位置関係に基づいて、前記提示MR情報を表示させる表示位置を特定するステップと、
前記共有ユーザデータベースを参照して、前記共有MR情報を取得するステップと、
前記距離が所定の範囲内となっているウェアラブルデバイスそれぞれに前記共有MR情報を表示させるための表示位置を特定するステップと、
前記グループ化されたユーザ識別子のいずれかで特定されるユーザが用いるウェアラブルデバイスが存在する領域に存在する物体と、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザが使用するウェアラブルデバイスとの位置関係に基づいて、各ウェアラブルデバイスそれぞれに前記共有MR情報を表示させるための表示位置を特定するステップと、
を実行し、
前記ウェアラブルデバイスが、
前記表示位置に前記提示MR情報を重畳した映像を前記ユーザに提示するステップを実行し、
前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザそれぞれが使用するウェアラブルデバイスが備える提示部が、前記共有MR情報を表示させるための表示位置に前記共有MR情報を重畳した映像を提示す留守轍鮒を実行する、
情報処理方法。
【請求項10】
ユーザにMR情報を提示可能なウェアラブルデバイスと、
前記ウェアラブルデバイスと通信可能な態様で接続し、前記ウェアラブルデバイスに提示させるMR映像を含む情報を管理する情報処理装置と、
前記ウェアラブルデバイスを特定するデバイス識別子と物体とに紐づけてMR情報を格納する分散型台帳と、を備える情報処理システムであって、
前記ウェアラブルデバイスの周囲を撮像する撮像部と、
撮像された映像を解析して前記ウェアラブルデバイスの存在場所を含む領域に存在する物体を特定する物体特定部と、
前記物体と前記ウェアラブルデバイスとの位置関係を取得する位置関係取得部と、
前記分散型台帳を参照して、前記ウェアラブルデバイスに表示させるMR情報である提示MR情報を取得するMR情報取得部と、
前記位置関係に基づいて、前記提示MR情報を表示させる表示位置を特定する表示位置特定部と、
前記表示位置に前記提示MR情報を重畳した映像を前記ユーザに提示する提示部と、を備え、
前記ウェアラブルデバイスは、前記撮像部と前記提示部とを備え、
前記情報処理装置は、前記MR情報取得部と前記表示位置特定部とを備え、
前記物体特定部と前記位置関係取得部は、前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方に備えられている、
情報処理システム。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザそれぞれにMR(Mixed Reality)情報を提示可能な複数のウェアラブルデバイスと、
前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれと通信可能な態様で接続し、前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれに提示させるMR映像を含む情報を管理する情報処理装置と、
前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれを特定する複数のデバイス識別子と物体とに紐づけてMR情報を格納するMRデータベースと、
複数のユーザ識別子同士をグループ化して格納するとともに、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザに共有させるための共有MR情報も格納する共有ユーザデータベースと、を備える情報処理システムであって、
前記ウェアラブルデバイスの周囲を撮像する撮像部と、
撮像された映像を解析して前記ウェアラブルデバイスの存在場所を含む領域に存在する物体を特定する物体特定部と、
前記物体と前記ウェアラブルデバイスとの位置関係を取得する位置関係取得部と、
前記MRデータベースを参照して、前記ウェアラブルデバイスに表示させるMR情報である提示MR情報を取得するMR情報取得部と、
前記位置関係に基づいて、前記提示MR情報を表示させる表示位置を特定する表示位置特定部と、
前記表示位置に前記提示MR情報を重畳した映像を前記ユーザに提示する提示部と、
前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザが使用しているウェアラブルデバイスとの間の距離を取得するデバイス間距離取得部と、
を備え、
前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれは、前記撮像部と前記提示部と前記デバイス間距離取得部とを備え、
前記情報処理装置は、前記MR情報取得部と前記表示位置特定部とを備え、
前記物体特定部と前記位置関係取得部は、前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれと前記情報処理装置との少なくともいずれかに備えられており、
前記MR情報取得部は、前記共有ユーザデータベースを参照して、前記共有MR情報を取得し、
前記表示位置特定部は、前記距離が所定の範囲内となっているウェアラブルデバイスそれぞれに前記共有MR情報を表示させるための表示位置を特定し、
前記表示位置特定部は、前記グループ化されたユーザ識別子のいずれかで特定されるユーザが用いるウェアラブルデバイスが存在する領域に存在する物体と、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザが使用するウェアラブルデバイスとの位置関係に基づいて、各ウェアラブルデバイスそれぞれに前記共有MR情報を表示させるための表示位置を特定し、
前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザそれぞれが使用するウェアラブルデバイスが備える提示部が、前記表示位置に前記共有MR情報を重畳した映像を提示する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記ウェアラブルデバイスは、前記ユーザの注視点を特定する注視点特定部をさらに備え、
前記物体特定部は、前記注視点を含む領域に存在する物体を特定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記ウェアラブルデバイスは、
前記ウェアラブルデバイスを装着するユーザを認証して当該ユーザを特定するためのユーザ識別子を取得するユーザ認証部をさらに備え、
前記MRデータベースは、
ユーザ識別子をさらに紐づけて前記MR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記ユーザ識別子毎に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記MR情報取得部は、前記物体特定部が特定した物体が広告情報を含むMR情報を重畳させる物体として登録された広告提示物体である場合、前記ユーザ識別子で特定されるユーザに提示するためのMR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方は、
前記ユーザのスケジュールを取得する予定情報取得部をさらに備え、
前記MRデータベースは、
前記スケジュールの種類をさらに対応づけて前記MR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記スケジュールの種類に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項3または4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記ウェアラブルデバイスは、
前記ウェアラブルデバイスを装着するユーザの生体情報を取得する生体情報取得部をさらに備え、
前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方は、
前記生体情報を解析して前記ユーザの状態を推定するユーザ状態推定部をさらに備え、
前記MRデータベースは、
ユーザの状態をさらに紐づけて前記MR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記状態に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項3から5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方は、前記ウェアラブルデバイスの存在場所を示す位置情報を取得する位置情報取得部をさらに備え、
前記MRデータベースは、
位置情報をさらに紐づけて前記MR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記位置情報に紐づけられている前記MR情報を前記MRデータベースから読み出す、
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記MRデータベースは、前記デバイス識別子で特定されるウェアラブルデバイスの性能に応じて異なる態様のMR情報を格納しており、
前記MR情報取得部は、前記デバイス識別子を参照して前記MRデータベースから読み出すMR情報の態様を変更する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
複数のユーザそれぞれにMR情報を提示するための提示部を備える複数のウェアラブルデバイスと、
前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれと通信可能な態様で接続し、前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれに提示させるMR映像を含む情報を管理する情報処理装置と、
前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれを特定する複数のデバイス識別子と物体とに紐づけてMR情報を格納するMRデータベースと
複数のユーザのユーザ識別子同士をグループ化して格納するとともに、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザに共有させるための共有MR情報も格納する共有ユーザデータベースと、
を備える情報処理システムにおいて実行される情報処理方法であって、
前記複数のウェアラブルデバイスそれぞれが、
前記ウェアラブルデバイスの周囲を撮像するステップと、
前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザが使用しているウェアラブルデバイスとの間の距離を取得するステップと、
を実行し、
前記ウェアラブルデバイスと前記情報処理装置との少なくともいずれか一方が、
撮像された映像を解析して前記ウェアラブルデバイスの存在場所を含む領域に存在する物体を特定するステップと、
前記物体と前記ウェアラブルデバイスとの位置関係を取得するステップと、
を実行し、
前記情報処理装置が、
前記MRデータベースを参照して、前記ウェアラブルデバイスに表示させるMR情報である提示MR情報を取得するステップと、
前記位置関係に基づいて、前記提示MR情報を表示させる表示位置を特定するステップと、
前記共有ユーザデータベースを参照して、前記共有MR情報を取得するステップと、
前記距離が所定の範囲内となっているウェアラブルデバイスそれぞれに前記共有MR情報を表示させるための表示位置を特定するステップと、
前記グループ化されたユーザ識別子のいずれかで特定されるユーザが用いるウェアラブルデバイスが存在する領域に存在する物体と、前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザが使用するウェアラブルデバイスとの位置関係に基づいて、各ウェアラブルデバイスそれぞれに前記共有MR情報を表示させるための表示位置を特定するステップと、
を実行し、
前記ウェアラブルデバイスが、
前記表示位置に前記提示MR情報を重畳した映像を前記ユーザに提示するステップを実行し、
前記グループ化されたユーザ識別子それぞれで特定されるユーザそれぞれが使用するウェアラブルデバイスが備える提示部が、前記共有MR情報を表示させるための表示位置に前記共有MR情報を重畳した映像を提示するステップを実行する、
情報処理方法。