(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039876
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】痛風の改善および/または症状の悪化を抑制するのための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 33/00 20060101AFI20230314BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
A61K33/00
A61P19/06
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021167053
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】394021270
【氏名又は名称】MiZ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文武
(72)【発明者】
【氏名】田頭 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文平
(72)【発明者】
【氏名】市川 祐介
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA01
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086NA14
4C086ZC31
(57)【要約】
【課題】副作用の少ないかつ簡便に製造し得る新しい痛風の症状改善のための組成物を提供する。
【解決手段】
水素ガス含有気体を有効成分として含む、痛風患者において痛風を原因とする少なくとも患部の痛み、患部の発赤、患部の発熱、痛風結節、結石と結石に伴う痛み、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む症状を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物、並びに、この組成物を、痛風患者に投与することを含む、少なくとも前記患部の痛み、患部の発赤、患部の発熱、痛風結節、結石と結石に伴う痛み、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む症状を改善および/または症状の悪化を抑制する方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を有効成分として含む、被験体において、痛風を原因とする症状を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物。
【請求項2】
前記痛風を原因とする症状が、少なくとも患部の痛み、患部の発赤、患部の発熱、痛風結節、結石と結石に伴う痛み、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記患部が足の指、足の関節、足の甲、アキレス腱のつけ根、膝関節、股関節、手の指の関節、および/または、腕の関節であることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水素の濃度が、0より大きく18.5体積%以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、吸入によって前記被験体に投与される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記被験体がヒトを含む哺乳類である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物を作製する方法であって、前記組成物が水素ガス生成装置を用いて作製されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ヒト患者において痛風の症状、例えば、患部の痛み、患部の発赤、患部の発熱、痛風結節、結石と結石に伴う痛み、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物に関する。
本発明はまた、ヒト患者において痛風の上記症状を改善および/または症状の悪化を抑制する方法に関する。
【背景技術】
痛風は、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。尿酸はプリン体が体内で分解されてできる物質で、血液中の尿酸の濃度が高くなり、7.0mg/dlを超えると高尿酸血症の状態となる。この状態が長く続くと関節の中で尿酸が結晶化し、これを白血球が処理する際に炎症を引き起こす。医療の進歩により、薬も開発されており、正しい治療を行えば、これまで通りの健康な生活を送ることができる。しかしながら、放置してしまうと、関節の激痛を繰り返し引き起こしたり、体の至る所に結節ができたり、腎臓に影響を及ぼしたりしてしまう病気である。
近年、水素分子が細胞内および細胞のミトコンドリア内部で発生するヒドロキシルラジカルを消去することにより慢性炎症を抑制し、慢性炎症に起因する多くの疾病に対し効果を奏する可能性があることを提唱されている(非特許文献2)。しかしながら、ヒト痛風患者が水素ガス含有気体を吸入、吸引、飲用等した場合に、ヒト痛風の症状が改善および/または症状の悪化を抑制されるかについては報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【非特許文献1】「慢性疲労症候群の病態機序とその治療」渡邊恭良、倉垣弘彦 神経治療、Vol.33、No.1、2016
【非特許文献2】Shin-ichi Hirano,Yusuke Ichikawa,Bunpei Sato,Haru Yamamoto,Yoshiyasu Takefuji,Fumitake Satoh“Potential Therapeutic Applications of Hydrogen in Chronic Inflammatory Diseases:Possible Inhibiting Role on Mitochondrial Stress”International Journal of Molecular Science,2021,22,2549
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、副作用の少ないかつ簡便に製造し得る新しい痛風の症状改善および/または症状の悪化を抑制するのための組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、意外にも、水素ガス含有気体が、ヒト患者において痛風の特定の症状を改善および/または症状の悪化を抑制することを見出した。
従って、本発明は、以下の特徴を包含する。
(1)水素を有効成分として含む、被験体において、痛風を原因とする症状を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物である。
(2)前記痛風を原因とする症状が、少なくとも患部の痛み、患部の発赤、患部の発熱、痛風結節、結石と結石に伴う痛み、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む(1)に記載の組成物である。
(3)前記患部が足の指、足の関節、足の甲、アキレス腱のつけ根、膝関節、股関節、手の指の関節、および/または、腕の関節であることを特徴とする(2)に記載の組成物である。
(4)前記水素の濃度が、0より大きく18.5体積%以下である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の組成物である。
(5)前記組成物が、吸入によって前記被験体に投与される、(1)から(4)のいずれか一つに記載の組成物である。
(6)前記被験体がヒトを含む哺乳類である、(1)から(5)のいずれか一つに記載の組成物である。
(7)前記(1)~(6)のいずれか1つに記載の組成物を作製する方法であって、前記組成物が水素ガス生成装置を用いて作製されることを特徴とする方法である。
【発明の効果】
本発明により、水素ガスの吸入、吸引等によってヒト痛風において痛風を原因とする少なくとも患部の痛み、患部の発赤、患部の発熱、痛風結節、結石と結石に伴う痛み、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む症状を改善および/または症状の悪化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
本発明をさらに詳細に説明する。
1.痛風
痛風とは、尿酸が体内で析出して結晶ができることにより、関節炎などを来たす疾患である。
本発明における痛風の原因は血液中の老廃物のひとつである尿酸である。尿酸が一定量以上に増えると、その結晶が関節部分に蓄積し、やがて炎症と激しい痛みを引き起こす。
2.水素ガス含有気体を含む痛風の症状を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物
本発明は、水素ガス含有気体を有効成分として含む、ヒト痛風患者において痛風を原因とする少なくとも、患部の痛み、患部の発赤、患部の発熱、痛風結節、結石と結石に伴う痛み、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む症状を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物を提供する。
本発明における「結石」には、腎臓結石、尿路結石が含まれる。
本発明における痛風の患部は、身体の関節であり、例えば、足の指、くるぶし等の足の関節、足の甲、アキレス腱のつけ根、膝関節、股関節、手の指の関節、腕の関節、耳などである。
本明細書中、本発明の組成物の有効成分である「水素」は分子状水素(すなわち、気体状水素)であり、特に断らない限り、単に「水素」又は「水素ガス」と称する。また、本明細書中で使用する用語「水素」は、分子式でH2、D2(重水素)、HD(重水素化水素)、又はそれらの混合ガスを指す。D2は、高価であるが、H2よりスーパーオキシド消去作用が強いことが知られている。本発明で使用可能な水素は、H2、D2(重水素)、HD(重水素化水素)、又はそれらの混合ガスであり、好ましくはH2であり、或いはH2に代えて、又はH2と混合して、D2及び/又はHDを使用してもよい。
水素ガス含有気体は、好ましくは、水素ガスを含む空気又は、水素ガスと酸素ガスを含む混合ガスである。水素ガス含有気体の水素ガスの濃度は、ゼロ(0)より大きく、かつ18.5体積%以下、例えば0.5~18.5体積%であり、好ましくは1~10体積%、例えば2~8体積%、3~7体積%、3~6体積%、4~6体積%、4~5体積%、5~10体積%、5~8体積%、6~8体積%、6~7体積%など、より好ましくは5~8体積%、例えば6~8体積%、6~7体積%などである。本発明では、爆発限界以下で水素ガス濃度が高いほど痛風の症状の改善効果および/または症状の悪化を抑制する効果が大きい傾向がある。
水素は、可燃性かつ爆発性ガスであるため、痛風の症状の改善および/または症状の悪化の抑制においては、安全な条件で本発明の組成物に含有させて痛風患者に投与することが好ましい。
水素ガス以外の気体が空気であるときには、空気の濃度は、例えば81.5~99.5体積%の範囲である。水素ガス以外の気体が酸素ガスを含む気体であるときには、酸素ガスの濃度は、例えば21~99.5体積%の範囲である。
その他の主気体として窒素ガスを含有させることができる。空気中に含有する気体である二酸化炭素などのガスを、空気中の存在量程度の量で含有させてもよい。
本発明では、必要に応じて、水素ガス含有気体の投与と併用して水素溶存液体を痛風患者に投与する、もしくは摂取させることができる。
水素溶存液体と併用投与する場合には、本発明の組成物は、水素溶存液体の投与の前に、水素溶存液体の投与と同時に、又は水素溶存液体の投与の後に投与されうる。
水素溶存液体は、具体的には、水素ガスを溶存させた水性液体であり、ここで、水性液体は、非限定的に、例えば水(例えば滅菌水、精製水)、生理食塩水、緩衝液(例えばpH4~7.4の緩衝液)、エタノール含有水(例えばエタノール含有量0.1~2体積%)、点滴液、輸液、注射溶液、飲料などである。水素溶存液体の水素濃度は、例えば1~10ppm、例えば2~8体積%、3~7体積%、3~6体積%、4~6体積%、4~5体積%、5~10体積%、5~8体積%、6~8体積%、6~7体積%など、より好ましくは5~8体積%、例えば6~8体積%、6~7体積%などである。本発明では、爆発限界以下で水素ガス濃度が高いほど痛風の症状の改善および/または症状の悪化を抑制する効果が大きい傾向がある。
水素溶存液体には、痛風を治療するための医薬品を添加してもよい。或いは、当該医薬品は、水素溶存液体又は水素ガス含有気体の投与と別に投与してもよい。
水素ガス含有気体又は水素溶存液体は、所定の水素ガス濃度になるように配合されたのち、例えば耐圧性の容器(例えば、ステンレスボンベ、アルミ缶、好ましくは内側をアルミフィルムでラミネーションした、耐圧性プラスチックボトル(例えば耐圧性ペットボトル)及びプラスチックバッグ、アルミバッグ、等)に充填される。アルミは水素分子を透過させ難いという性質を有している。或いは、水素ガス含有気体又は水素溶存液体は、投与時に、水素ガス生成装置、水素水生成装置、又は水素ガス添加装置、例えば、公知のもしくは市販の水素ガス供給装置(水素ガス含有気体の生成用装置)、水素添加器具(水素水生成用装置)、非破壊的水素含有器(例えば点滴液などの生体適用液バッグ内部へ非破壊的に水素ガスを添加するための装置)などの装置を用いてその場で作製されてもよい。
水素ガス供給装置は、水素発生剤(例えば金属アルミニウム、水素化マグネシウム、等)と水の反応により発生する水素ガスを、希釈用ガス(例えば空気、酸素、等)と所定の比率で混合することを可能にする(日本国特許第5228142号公報、等)。あるいは、水の電気分解を利用して発生した水素ガスを、酸素、空気などの希釈用ガスと混合する(日本国特許第5502973号公報、日本国特許第5900688号公報、等)。これによって0.5~18.5体積%の範囲内の水素濃度の水素ガス含有気体を調製することができる。
水素添加器具は、水素発生剤とpH調整剤を用いて水素を発生し、水などの生体適用液に溶存させる装置である(日本国特許第4756102号公報、日本国特許第4652479号公報、日本国特許第4950352号公報、日本国特許第6159462号公報、日本国特許第6170605号公報、特開2017-104842号公報、日本国特許第6159462号公報、等)。水素発生剤とpH調整剤の組み合わせは、例えば、金属マグネシウムと強酸性イオン交換樹脂もしくは有機酸(例えばリンゴ酸、クエン酸、等)、金属アルミニウム末と水酸化カルシウム粉末、などである。これによって1~10ppm程度の溶存水素濃度の水素溶存液体を調製できる(例えば、商品名「セブンウォーター」(クオシア)、等)。
非破壊的水素含有器は、点滴液などの市販の生体適用液(例えば、ポリエチレン製バッグなどの水素透過性プラスチックバッグに封入されている。)に水素分子をパッケージの外側から添加する装置又は器具であり、例えばMiZ(株)から市販されている(http://www.e-miz.co.jp/technology.html)。この装置は、生体適用液を含むバッグを飽和水素水に浸漬することによってバッグ内に水素を透過し濃度平衡に達するまで無菌的に水素を生体適用液に溶解させることができる。当該装置は、例えば電解槽と水槽から構成され、水槽内の水が電解槽と水槽を循環し電解により水素を生成することができる。或いは、簡易型の使い捨て器具は同様の目的で使用することができる(特開2016-112562号公報、等)。この器具は、アルミバッグの中に生体適用液含有プラスチックバッグ(水素透過性バッグ、例えばポリエチレン製バッグ)と水素発生剤(例えば、金属カルシウム、金属マグネシウム/陽イオン交換樹脂、等)を内蔵しており、水素発生剤は例えば不織布(例えば水蒸気透過性不織布)に包まれている。不織布に包まれた水素発生剤を水蒸気などの少量の水で濡らすことによって発生した水素がプラスチックバッグを透過し生体適用液に非破壊的かつ無菌的に溶解される。
上記の装置又は器具を用いて調製された、水素ガス含有気体や水素飽和生体適用液(例えば滅菌水、生理食塩水、点滴液、等)は、痛風患者に経口的に又は非経口的に投与されうる。
本発明の組成物の別の形態には、痛風患者に経口投与(もしくは摂取)するように調製された、消化管内で水素の発生を可能にする水素発生剤を含有する剤型(例えば、錠剤、カプセル剤、等)が含まれる。水素発生剤は、例えば食品もしくは食品添加物として承認されている成分によって構成されることが好ましい。
3.痛風の症状の改善および/または症状の悪化の抑制
本発明は、第2の態様により、痛風患者に、本発明の組成物を投与することを含む、該患者において痛風を原因とする少なくとも疲労感、倦怠感、労作に伴う息切れ、動悸、筋力低下、微熱、筋肉痛、関節痛、咽頭痛、頭痛、身体の痛み、脱力、認知機能障害、記憶障害、言語検索困難、胃腸障害、集中力低下、インフルエンザ様症状、起立時のめまい、虚弱、不規則な体温、冷たい手足、温熱および/または寒冷に対する不耐症、発汗、顔面潮紅、リンパ節圧痛、著しい体重の変動、耳鳴り、錯乱、睡眠障害、立ちくらみ、光や騒音や臭気に対する過敏性、食物や薬物や化学物質に対する新たな過敏性の獲得、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む症状を改善および/または症状の悪化を抑制する方法を提供する。
本発明の組成物は、患者のQOL(生活の質)の改善を可能にする。
本発明の組成物を痛風の患者に投与する方法としては、水素ガスを有効成分とするとき、例えば吸入、吸引等による経肺投与が好ましい。ガスを吸入するときには、鼻カニューラや、口と鼻を覆うマスク型の器具を介して口又は鼻からガスを吸入して肺に送り、血液を介して全身に送達することができる。
また、水素溶存液体を患者に投与とするときには、経口投与又は静脈内投与もしくは動脈内投与(点滴を含む)が好ましい。経口投与する水素溶存液体については、好ましくは低温下に保存し、冷却した液体、又は常温で保存した液体をヒト痛風の患者に投与してもよい。水素は常温常圧下で約1.6ppm(1.6mg/L)の濃度で水に溶解し、温度による溶解度差が比較的小さいことが知られている。或いは、水素溶存液体は、例えば上記の非破壊的水素含有器を用いて調製された水素ガスを含有させた点滴液又は注射液の形態であるときには、静脈内投与、動脈内投与などの非経口投与経路によって痛風患者に投与してもよい。
上記水素濃度の水素ガス含有気体又は上記溶存水素濃度の水素溶存液体を1日あたり1回又は複数回(例えば2~3回)、1週間~3か月又はそれ以上の期間、例えば1週間~6か月又はそれ以上にわたりヒト痛風の患者体に投与することができる。水素ガス含有気体が投与されるときには、1回あたり例えば10分~2時間もしくはそれ以上、好ましくは20分~40分もしくはそれ以上、さらに好ましくは30分~2時間かけて投与することができる。また、水素ガス含有気体を吸入、吸引等によって経肺投与するときには、大気圧環境下で、或いは、例えば標準大気圧(約1.013気圧をいう。)を超える且つ7.0気圧以下の範囲内の高気圧、例えば1.02~7.0気圧、好ましくは1.02~5.0気圧、より好ましくは1.02~4.0気圧、さらに好ましくは1.02~1.35気圧の範囲内の高気圧環境下で痛風患者に当該気体を投与することができる。高気圧環境下での投与によって痛風患者での水素の体内吸収が促進されうる。
上記高気圧環境は、内部に、例えば上記水素ガス含有気体(例えば、水素含有酸素又は空気)を圧入して標準大気圧を超える且つ7.0気圧以下の高気圧を内部に形成することが可能である、十分な強度をもつように設計された高気圧筐体(例えば、カプセル状筐体)の使用によって作ることができる。高気圧筐体の形状は、耐圧性であるため、全体的に角がない丸みを帯びていることが好ましい。また高気圧筐体の材質は、軽量、高強度であることが好ましく、例えば強化プラスチック、炭素繊維複合材、チタン合金、アルミ合金などを挙げることができる。痛風患者は、上記高気圧筐体内で酸素ガスもしくは空気とともに水素ガスを含む、痛風の症状を改善および/または症状の悪化を抑制するのための組成物の投与を受けることができる。
本発明の組成物による痛風の処置の際には、十分な治療効果と安全性が確認された水素ガス生成装置、水素水生成装置、又は水素ガス添加装置(例えば、上記の水素ガス供給装置(もしくは気体状水素吸入装置)、水素添加器具(もしくは水素水生成装置)、非破壊的水素含有器(水素透過性バッグに封入された点滴液などの生体適用液に非破壊的に水素ガスを溶解する装置)などの装置)を使用することが望ましい。
【実施例
】
以下の実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
水素ガス吸入による痛風症状の改善および/または症状の悪化の抑制
<症例1>
(1)水素ガスの吸入がなかった際の病状
患者は日本人男性、2021年時点で56歳。6年前に痛風発作を発症。日常より抗尿酸治療のために用いられるアロプリノールの投薬を行っていた。鎮痛剤(ロキソプロフェン)を使用し、痛みは和らいだものの、発症翌日は歩行困難であった。発症2日後以降は、鎮痛剤(ロキソプロフェン)を使用して、杖をついて歩ける状態となった。発症4日後以降は、鎮痛剤を使用しなくても、杖をついて歩ける状態であった。発症7日目で違和感あるものの、杖なしで歩ける状態となった。完全に症状が消えたのは発症10日後であった。
(2)水素ガス吸入効果
患者は(1)の患者と同一人物である。日常より抗尿酸治療のために用いられるアロプリノールの投薬を行っていた。2021年8月30日に痛風発作発症後、急激に足指の関節の痛みが増し、数時間後には歩行困難となった。発症した日に鎮痛剤(ロキソプロフェン)を服用した。同日にMiZ株式会社(鎌倉市大船)の水素ガス吸入機(Jobs-mini、水素濃度約2%~5%、100%水素発生量は30ml/min)を用いて水素ガス吸入を開始した。水素ガスの吸入時間は一日当たり3時間から4時間であった。発症1日後には痛みは軽減し、杖をついて歩ける状態となった。発症2日後には鎮痛剤が不要となり、杖なしで歩ける状態となった。発症5日後にはほぼ症状が消えた。
(3)データまとめ
【表1】
【産業上の利用可能性】
本発明は、痛風患者に対し水素を投与するだけで痛風の、例えば疲労、頭痛、身体の疼痛、思考力の低下、集中力の低下、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下などの症状を改善および/または症状の悪化を抑制することを可能にする。水素自体に、副作用が知られていないため、患者のQOLを高めることができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト患者において痛風の症状、例えば、患部の痛み、患部の発赤、患部の発熱、痛風結節、結石と結石に伴う痛み、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物に関する。
本発明はまた、ヒト患者において痛風の上記症状を改善および/または症状の悪化を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
痛風は、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。尿酸はプリン体が体内で分解されてできる物質で、血液中の尿酸の濃度が高くなり、7.0mg/dlを超えると高尿酸血症の状態となる。この状態が長く続くと関節の中で尿酸が結晶化し、これを白血球が処理する際に炎症を引き起こす。医療の進歩により、薬も開発されており、正しい治療を行えば、これまで通りの健康な生活を送ることができる。しかしながら、放置してしまうと、関節の激痛を繰り返し引き起こしたり、体の至る所に結節ができたり、腎臓に影響を及ぼしたりしてしまう病気である。
近年、水素分子が細胞内および細胞のミトコンドリア内部で発生するヒドロキシルラジカルを消去することにより慢性炎症を抑制し、慢性炎症に起因する多くの疾病に対し効果を奏する可能性があることを提唱されている(非特許文献2)。しかしながら、ヒト痛風患者が水素ガス含有気体を吸入、吸引、飲用等した場合に、ヒト痛風の症状が改善および/または症状の悪化を抑制されるかについては報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「慢性疲労症候群の病態機序とその治療」渡邊恭良、倉垣弘彦 神経治療、Vol.33、No.1、2016
【非特許文献2】Shin-ichi Hirano,Yusuke Ichikawa,Bunpei Sato,Haru Yamamoto,Yoshiyasu Takefuji,Fumitake Satoh“Potential Therapeutic Applications of Hydrogen in Chronic Inflammatory Diseases: Possible Inhibiting Role on Mitochondrial Stress”International Journal of Molecular Science,2021,22,2549
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、副作用の少ないかつ簡便に製造し得る新しい痛風の症状改善および/または症状の悪化を抑制するのための組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究の結果、意外にも、水素ガス含有気体が、ヒト患者において痛風の特定の症状を改善および/または症状の悪化を抑制することを見出した。
従って、本発明は、以下の特徴を包含する。
(1)水素を有効成分として含む、被験体において、痛風を原因とする症状を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物である。
(2)前記痛風を原因とする症状が、少なくとも患部の痛み、患部の発赤、患部の発熱、痛風結節、結石と結石に伴う痛み、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む(1)に記載の組成物である。
(3)前記患部が足の指、足の関節、足の甲、アキレス腱のつけ根、膝関節、股関節、手の指の関節、および/または、腕の関節であることを特徴とする(2)に記載の組成物である。
(4)前記水素の濃度が、0より大きく18.5体積%以下である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の組成物である。
(5)前記組成物が、吸入によって前記被験体に投与される、(1)から(4)のいずれか一つに記載の組成物である。
(6)前記被験体がヒトを含む哺乳類である、(1)から(5)のいずれか一つに記載の組成物である。
(7)前記(1)~(6)のいずれか1つに記載の組成物を作製する方法であって、前記組成物が水素ガス生成装置を用いて作製されることを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、水素ガスの吸入、吸引等によってヒト痛風において痛風を原因とする少なくとも患部の痛み、患部の発赤、患部の発熱、痛風結節、結石と結石に伴う痛み、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む症状を改善および/または症状の悪化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明をさらに詳細に説明する。
1.痛風
痛風とは、尿酸が体内で析出して結晶ができることにより、関節炎などを来たす疾患である。
本発明における痛風の原因は血液中の老廃物のひとつである尿酸である。尿酸が一定量以上に増えると、その結晶が関節部分に蓄積し、やがて炎症と激しい痛みを引き起こす。
【0008】
2.水素ガス含有気体を含む痛風の症状を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物
本発明は、水素ガス含有気体を有効成分として含む、ヒト痛風患者において痛風を原因とする少なくとも、患部の痛み、患部の発赤、患部の発熱、痛風結節、結石と結石に伴う痛み、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む症状を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物を提供する。
本発明における「結石」には、腎臓結石、尿路結石が含まれる。
本発明における痛風の患部は、身体の関節であり、例えば、足の指、くるぶし等の足の関節、足の甲、アキレス腱のつけ根、膝関節、股関節、手の指の関節、腕の関節、耳などである。
【0009】
本明細書中、本発明の組成物の有効成分である「水素」は分子状水素(すなわち、気体状水素)であり、特に断らない限り、単に「水素」又は「水素ガス」と称する。また、本明細書中で使用する用語「水素」は、分子式でH2、D2(重水素)、HD(重水素化水素)、又はそれらの混合ガスを指す。D2は、高価であるが、H2よりスーパーオキシド消去作用が強いことが知られている。本発明で使用可能な水素は、H2、D2(重水素)、HD(重水素化水素)、又はそれらの混合ガスであり、好ましくはH2であり、或いはH2に代えて、又はH2と混合して、D2及び/又はHDを使用してもよい。
水素ガス含有気体は、好ましくは、水素ガスを含む空気又は、水素ガスと酸素ガスを含む混合ガスである。水素ガス含有気体の水素ガスの濃度は、ゼロ(0)より大きく、かつ18.5体積%以下、例えば0.5~18.5体積%であり、好ましくは1~10体積%、例えば2~8体積%、3~7体積%、3~6体積%、4~6体積%、4~5体積%、5~10体積%、5~8体積%、6~8体積%、6~7体積%など、より好ましくは5~8体積%、例えば6~8体積%、6~7体積%などである。本発明では、爆発限界以下で水素ガス濃度が高いほど痛風の症状の改善効果および/または症状の悪化を抑制する効果が大きい傾向がある。
【0010】
水素は、可燃性かつ爆発性ガスであるため、痛風の症状の改善および/または症状の悪化の抑制においては、安全な条件で本発明の組成物に含有させて痛風患者に投与することが好ましい。
水素ガス以外の気体が空気であるときには、空気の濃度は、例えば81.5~99.5体積%の範囲である。水素ガス以外の気体が酸素ガスを含む気体であるときには、酸素ガスの濃度は、例えば21~99.5体積%の範囲である。
【0011】
その他の主気体として窒素ガスを含有させることができる。空気中に含有する気体である二酸化炭素などのガスを、空気中の存在量程度の量で含有させてもよい。
本発明では、必要に応じて、水素ガス含有気体の投与と併用して水素溶存液体を痛風患者に投与する、もしくは摂取させることができる。
水素溶存液体と併用投与する場合には、本発明の組成物は、水素溶存液体の投与の前に、水素溶存液体の投与と同時に、又は水素溶存液体の投与の後に投与されうる。
水素溶存液体は、具体的には、水素ガスを溶存させた水性液体であり、ここで、水性液体は、非限定的に、例えば水(例えば滅菌水、精製水)、生理食塩水、緩衝液(例えばpH4~7.4の緩衝液)、エタノール含有水(例えばエタノール含有量0.1~2体積%)、点滴液、輸液、注射溶液、飲料などである。水素溶存液体の水素濃度は、例えば1~10ppm、例えば2~8体積%、3~7体積%、3~6体積%、4~6体積%、4~5体積%、5~10体積%、5~8体積%、6~8体積%、6~7体積%など、より好ましくは5~8体積%、例えば6~8体積%、6~7体積%などである。本発明では、爆発限界以下で水素ガス濃度が高いほど痛風の症状の改善および/または症状の悪化を抑制する効果が大きい傾向がある。
【0012】
水素溶存液体には、痛風を治療するための医薬品を添加してもよい。或いは、当該医薬品は、水素溶存液体又は水素ガス含有気体の投与と別に投与してもよい。
水素ガス含有気体又は水素溶存液体は、所定の水素ガス濃度になるように配合されたのち、例えば耐圧性の容器(例えば、ステンレスボンベ、アルミ缶、好ましくは内側をアルミフィルムでラミネーションした、耐圧性プラスチックボトル(例えば耐圧性ペットボトル)及びプラスチックバッグ、アルミバッグ、等)に充填される。アルミは水素分子を透過させ難いという性質を有している。或いは、水素ガス含有気体又は水素溶存液体は、投与時に、水素ガス生成装置、水素水生成装置、又は水素ガス添加装置、例えば、公知のもしくは市販の水素ガス供給装置(水素ガス含有気体の生成用装置)、水素添加器具(水素水生成用装置)、非破壊的水素含有器(例えば点滴液などの生体適用液バッグ内部へ非破壊的に水素ガスを添加するための装置)などの装置を用いてその場で作製されてもよい。
【0013】
水素ガス供給装置は、水素発生剤(例えば金属アルミニウム、水素化マグネシウム、等)と水の反応により発生する水素ガスを、希釈用ガス(例えば空気、酸素、等)と所定の比率で混合することを可能にする(日本国特許第5228142号公報、等)。あるいは、水の電気分解を利用して発生した水素ガスを、酸素、空気などの希釈用ガスと混合する(日本国特許第5502973号公報、日本国特許第5900688号公報、等)。これによって0.5~18.5体積%の範囲内の水素濃度の水素ガス含有気体を調製することができる。
【0014】
水素添加器具は、水素発生剤とpH調整剤を用いて水素を発生し、水などの生体適用液に溶存させる装置である(日本国特許第4756102号公報、日本国特許第4652479号公報、日本国特許第4950352号公報、日本国特許第6159462号公報、日本国特許第6170605号公報、特開2017-104842号公報、日本国特許第6159462号公報、等)。水素発生剤とpH調整剤の組み合わせは、例えば、金属マグネシウムと強酸性イオン交換樹脂もしくは有機酸(例えばリンゴ酸、クエン酸、等)、金属アルミニウム末と水酸化カルシウム粉末、などである。これによって1~10ppm程度の溶存水素濃度の水素溶存液体を調製できる(例えば、商品名「セブンウォーター」(クオシア)、等)。
【0015】
非破壊的水素含有器は、点滴液などの市販の生体適用液(例えば、ポリエチレン製バッグなどの水素透過性プラスチックバッグに封入されている。)に水素分子をパッケージの外側から添加する装置又は器具であり、例えばMiZ(株)から市販されている(http://www.e-miz.co.jp/technology.html)。この装置は、生体適用液を含むバッグを飽和水素水に浸漬することによってバッグ内に水素を透過し濃度平衡に達するまで無菌的に水素を生体適用液に溶解させることができる。当該装置は、例えば電解槽と水槽から構成され、水槽内の水が電解槽と水槽を循環し電解により水素を生成することができる。或いは、簡易型の使い捨て器具は同様の目的で使用することができる(特開2016-112562号公報、等)。この器具は、アルミバッグの中に生体適用液含有プラスチックバッグ(水素透過性バッグ、例えばポリエチレン製バッグ)と水素発生剤(例えば、金属カルシウム、金属マグネシウム/陽イオン交換樹脂、等)を内蔵しており、水素発生剤は例えば不織布(例えば水蒸気透過性不織布)に包まれている。不織布に包まれた水素発生剤を水蒸気などの少量の水で濡らすことによって発生した水素がプラスチックバッグを透過し生体適用液に非破壊的かつ無菌的に溶解される。
【0016】
上記の装置又は器具を用いて調製された、水素ガス含有気体や水素飽和生体適用液(例えば滅菌水、生理食塩水、点滴液、等)は、痛風患者に経口的に又は非経口的に投与されうる。
本発明の組成物の別の形態には、痛風患者に経口投与(もしくは摂取)するように調製された、消化管内で水素の発生を可能にする水素発生剤を含有する剤型(例えば、錠剤、カプセル剤、等)が含まれる。水素発生剤は、例えば食品もしくは食品添加物として承認されている成分によって構成されることが好ましい。
【0017】
3.痛風の症状の改善および/または症状の悪化の抑制
本発明は、第2の態様により、痛風患者に、本発明の組成物を投与することを含む、該患者において痛風を原因とする少なくとも疲労感、倦怠感、労作に伴う息切れ、動悸、筋力低下、微熱、筋肉痛、関節痛、咽頭痛、頭痛、身体の痛み、脱力、認知機能障害、記憶障害、言語検索困難、胃腸障害、集中力低下、インフルエンザ様症状、起立時のめまい、虚弱、不規則な体温、冷たい手足、温熱および/または寒冷に対する不耐症、発汗、顔面潮紅、リンパ節圧痛、著しい体重の変動、耳鳴り、錯乱、睡眠障害、立ちくらみ、光や騒音や臭気に対する過敏性、食物や薬物や化学物質に対する新たな過敏性の獲得、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む症状を改善および/または症状の悪化を抑制する方法を提供する。
【0018】
本発明の組成物は、患者のQOL(生活の質)の改善を可能にする。
本発明の組成物を痛風の患者に投与する方法としては、水素ガスを有効成分とするとき、例えば吸入、吸引等による経肺投与が好ましい。ガスを吸入するときには、鼻カニューラや、口と鼻を覆うマスク型の器具を介して口又は鼻からガスを吸入して肺に送り、血液を介して全身に送達することができる。
また、水素溶存液体を患者に投与とするときには、経口投与又は静脈内投与もしくは動脈内投与(点滴を含む)が好ましい。経口投与する水素溶存液体については、好ましくは低温下に保存し、冷却した液体、又は常温で保存した液体をヒト痛風の患者に投与してもよい。水素は常温常圧下で約1.6ppm(1.6mg/L)の濃度で水に溶解し、温度による溶解度差が比較的小さいことが知られている。或いは、水素溶存液体は、例えば上記の非破壊的水素含有器を用いて調製された水素ガスを含有させた点滴液又は注射液の形態であるときには、静脈内投与、動脈内投与などの非経口投与経路によって痛風患者に投与してもよい。
【0019】
上記水素濃度の水素ガス含有気体又は上記溶存水素濃度の水素溶存液体を1日あたり1回又は複数回(例えば2~3回)、1週間~3か月又はそれ以上の期間、例えば1週間~6か月又はそれ以上にわたりヒト痛風の患者体に投与することができる。水素ガス含有気体が投与されるときには、1回あたり例えば10分~2時間もしくはそれ以上、好ましくは20分~40分もしくはそれ以上、さらに好ましくは30分~2時間かけて投与することができる。また、水素ガス含有気体を吸入、吸引等によって経肺投与するときには、大気圧環境下で、或いは、例えば標準大気圧(約1.013気圧をいう。)を超える且つ7.0気圧以下の範囲内の高気圧、例えば1.02~7.0気圧、好ましくは1.02~5.0気圧、より好ましくは1.02~4.0気圧、さらに好ましくは1.02~1.35気圧の範囲内の高気圧環境下で痛風患者に当該気体を投与することができる。高気圧環境下での投与によって痛風患者での水素の体内吸収が促進されうる。
【0020】
上記高気圧環境は、内部に、例えば上記水素ガス含有気体(例えば、水素含有酸素又は空気)を圧入して標準大気圧を超える且つ7.0気圧以下の高気圧を内部に形成することが可能である、十分な強度をもつように設計された高気圧筐体(例えば、カプセル状筐体)の使用によって作ることができる。高気圧筐体の形状は、耐圧性であるため、全体的に角がない丸みを帯びていることが好ましい。また高気圧筐体の材質は、軽量、高強度であることが好ましく、例えば強化プラスチック、炭素繊維複合材、チタン合金、アルミ合金などを挙げることができる。痛風患者は、上記高気圧筐体内で酸素ガスもしくは空気とともに水素ガスを含む、痛風の症状を改善および/または症状の悪化を抑制するのための組成物の投与を受けることができる。
【0021】
本発明の組成物による痛風の処置の際には、十分な治療効果と安全性が確認された水素ガス生成装置、水素水生成装置、又は水素ガス添加装置(例えば、上記の水素ガス供給装置(もしくは気体状水素吸入装置)、水素添加器具(もしくは水素水生成装置)、非破壊的水素含有器(水素透過性バッグに封入された点滴液などの生体適用液に非破壊的に水素ガスを溶解する装置)などの装置)を使用することが望ましい。
【実施例0022】
以下の実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。