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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039879
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】生体動作情報取得装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
A61B5/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021167739
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】597010226
【氏名又は名称】株式会社コト
(72)【発明者】
【氏名】窪田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】小堀 隆之
(72)【発明者】
【氏名】瀧 良博
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB28
4C038VB31
4C038VC01
(57)【要約】
【課題】 圧力センサーに代えて距離センサーを採用して呼吸筋や体幹筋の変化を距離変化として捉える。
【解決手段】 衣服部位に装着する装着手段を一方側に設けた装具部と、前記装具部の他方側に設けられ、生体に向けて位置付けられる距離センサーと、前記距離センサーを内包して前記装具部に固定された、天井部と該天井部から連続する側周壁からなる弾性を有する中空のドーム状圧接部と、を備え、前記天井部の肉厚が前記側周壁の肉厚さより厚く形成され、身体動作による呼吸筋と体幹筋とを含む筋肉の収縮を前記圧接部の天井部内表面から距離センサーまでの前記生体に向かって変化する距離データにより検出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服部位に装着する装着手段を一方側に設けた装具部と、
前記装具部の他方側に設けられ、生体に向けて位置付けられる距離センサーと、
前記距離センサーを内包して前記装具部に固定された、天井部と該天井部から連続する側周壁からなる弾性を有する中空のドーム状圧接部と、
を備え、
前記天井部の肉厚が前記側周壁の肉厚より厚く形成され、身体動作による呼吸筋と体幹筋とを含む筋肉の収縮を前記圧接部の天井部内表面から距離センサーまでの前記生体に向かって変化する距離データにより検出することを特徴とする生体動作情報取得装置。
【請求項2】
衣服部位に装着する装着手段を一方側に設けた装具部と、
前記装具部の他方側に設けられ、生体に向けて位置付けられる距離センサーと、
前記距離センサーを内包して前記装具部に固定された、天井部と該天井部から連続する側周壁からなる弾性を有する中空のドーム状圧接部と、
を備え、
前記天井部の肉厚が前記側周壁の肉厚より厚く形成され、前記圧接部が前記生体に圧接されることで圧縮変形し、天井部内表面の前記距離センサーへの近接変化を距離データにより検出することを特徴とする生体動作情報取得装置。
【請求項3】
衣服部位に装着する装着手段を一方側に設けた装具部と、
前記装具部の他方側に設けられ、生体に向けて位置付けられる距離センサーと、
前記距離センサーを内包して前記装具部に固定された、天井部と該天井部から連続する側周壁からなる弾性を有する中空のドーム状圧接部と、
を備え、
前記天井部の肉厚が前記側周壁の肉厚より厚く形成され、前記圧接部が前記生体に圧接されることで前記天井部が前記側周壁を含んで前記距離センサーに向かって幅寄せ変形し、天井部内表面の前記距離センサーへの近接変化を距離データにより検出することを特徴とする生体動作情報取得装置。
【請求項4】
側周壁より肉厚に形成された天井部の内側には、該天井部の肉厚部位を周回して峰状に走るリブが形成されている請求項1乃至請求項3記載の生体動作情報取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離センサーを用いて身体動作による筋肉の動きを検出する生体動作情報取得装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、被験者の胴部に検出器を装着して生体の振動を検出する検出装置が汎用されている。
【0003】
また、人の呼吸に伴う体表面の変位を制御する方向に加圧した状態で体表面に取り付け、体表面の変位による圧力変化を電気的な信号に変換して検出するセンサー装置等の検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、本発明者等は、圧力センサーを生体の腹部位に圧接して身体動作による呼吸筋と体幹筋とを含む筋肉の収縮を検出する生体動作情報取得装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-174784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者等は、圧力センサーに代えて距離センサーを採用した生体動作情報取得装置を実現するために、中空ドーム形状の圧接部を製作して生体の腹部位に当接させた際の圧接部の変形状態と距離センサーから得られる数値とを比較検討する試験を行った。
【0007】
樹脂成形した弾性を有するシリコンゴム製の平面視楕円形状の中空ドーム状圧接部(以下、単に「圧接部」ともいう。)101を用意し(図1参照)、距離センサーとして赤外線センサー102を用意した。圧接部101の天井部103の対面側である開口を赤外線センサー102が中央に配置された台座104によって塞いで、赤外線センサー102が生体に向かって内包されて覆われた状態となるように圧接部101の開口周端面を台座104外周面に合わせて固定した。赤外線センサー102は圧接部101の外方に置かれた回路基板(図示せず。)に配線して反射光の強度データとして収集した。
【0008】
試験1(比較例)
【0009】
試験1において使用した圧接部は、図1に図示する圧接部101と同じ外形であって、圧接部101の肉厚を図2に図示するように薄厚で均等に形成した。図2は圧接部101の天井部103を台座104に向かって徐々に押圧したときの圧接部101の形状変化を時系列に示した縦断面図であり、(a)は無圧縮時を示し、(b)は軽圧縮時を示し、(c)は中圧縮時を示し、(d)は重圧縮時を示す。
【0010】
試験1では、図2の(a)において下方から台座104に向かう上方向(矢印方向)への押圧に対して、先ず、図2の(b)に図示するように、圧接部101の側周壁105は略変形することなくその形状を残した状態で、中央の天井部103のみが圧縮され、凹むように変形して赤外線センサー102に接近した。続いて、図2の(c)に図示するように、側周壁105が外方へ広がるように変形しながら天井部103の凹みが更に進んだ。そして、その後の天井部103と台座104との間隙は、図2の(c)と図2の(d)が示すように、天井部103が赤外線センサー102に接触した状態のまま略変わらず、圧接部101の圧縮変化は見られなかった。
【0011】
試験2(実施の形態1)
【0012】
試験2において使用した圧接部1は、図2に図示する圧接部101における天井部103の肉厚を側周壁105(5)の肉厚より厚く形成した天井部3とした外、試験1における圧接部101と同一形状とした。図3は圧接部1の天井部3を台座4(104)に向かって徐々に押圧したときの圧接部1の形状変化を時系列に示した縦断面図であり、(a)は無圧縮時を示し、(b)は軽圧縮時を示し、(c)は中圧縮時を示し、(d)は重圧縮時を示す。
【0013】
試験2では、圧接部1の天井部3が肉厚に形成されているので、矢印方向への押圧に対して、図3の(b)及び(c)に図示するように、試験1における図2の(b)及び(c)に示すような天井部3の凹みは発生せず、天井部3の肉厚平面を維持して圧縮され、圧接部1の側周壁5を含んで徐々に台座4に向かって幅寄せされるように変形した。更なる押圧に対しては、図3の(d)に図示するように、天井部3の内表面が台座部位に略接触した状態となった。本試験での軽圧縮時(b)では、圧接部1の中央部である天井部3は肉厚であるから、平面を維持して圧縮され、中圧縮時(c)では、中央部が圧縮され周辺部は肉厚が薄いために外方へ膨らみ、重圧縮(d)では、中央部がセンサーに接触した。
【0014】
試験3(実施の形態2)
【0015】
試験3において使用した圧接部1は、図3に図示する圧接部1における側周壁5より肉厚に形成された天井部3の内側に該天井部3の肉厚部を周回して峰状に走るリブ6を形成した外、試験2の圧接部1と同一形状の圧接部1とした。図4は圧接部1の天井部3を台座4に向かって徐々に押圧したときの圧接部1の形状変化を時系列に示した縦断面図であり、(a)は無圧縮時を示し、(b)は軽圧縮時を示し、(c)は中圧縮時を示し、(d)は重圧縮時を示す。
【0016】
試験3では、矢印方向への押圧に対して、試験2と同様に、図4の(b)に図示するように、天井部3の凹みは発生せず、圧接部1の側周壁5を含んで徐々に台座4に向かって肉厚平面を維持して幅寄せされるように変形した。次に、肥満者を想定した更なる押圧に対しては、図4の(c)に図示するように、リブ6が赤外線センサー2(102)を配置した台座4に当接し、図4の(d)に図示するようにリブ6を支点として天井部3が徐々に赤外線センサー2に向かって押し込まれる形状変化を起こした。本試験での軽圧縮時(b)では、周辺部の弾力により圧縮され、中圧縮時(c)では、リブ6が台座4に接触してストッパーとなって圧縮力が変化し、重圧縮時(d)では、リブ6を軸として中央部が凹んだ。
【0017】
図5は試験1,2,3における圧接部の変形による距離を赤外線センサーにて測定した結果を示すグラフであり、横軸は圧縮距離mm、縦軸は反射光の強度を数値化したデータレベル、点線からなる曲線は試験1に対応し、一点鎖線からなる曲線は試験2に対応し、実線からなる曲線は試験3に対応する。また、図中、a、b、c及びdは図2、3及び4における(a)、(b)、(c)及び(d)の状態の位置に対応する。
【0018】
図5に図示するグラフによれば、試験1では点線グラフに現れているように、押圧に対する距離変化がbの位置からcの位置にかけて急激に上昇し、cの位置以後、天井部が赤外線センサーに接触して圧接部の圧縮が飽和状態となり、押圧に従った距離変化とはならなかった。また、試験2では一点鎖線グラフに現れているように、試験1の点線グラフと比較して全体として勾配が緩く押圧に従った距離変化となったことを示していた。そして、cの位置以降においても押圧に対する距離変化がグラフに現れていたので、生体動作情報取得装置の圧接部として採用できることを確認した。さらに、試験3では実線グラフに現れているように、リブを支点とした変化を含めて全体として押圧に従った距離変化となっていた。
【0019】
試験2及び試験3より、圧力センサーに代えて距離センサーを採用するには、生体に圧接する圧接手段を中空ドーム状体とし、ドーム状体の天井部の肉厚を側周壁の肉厚より厚く形成すれば、被験者の身体外形や装着による締め付け強度に個人差があっても、圧接部の圧縮変形を距離センサーにて数値化できるという知見を得て前記技術的課題を達成した。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【0021】
即ち、本発明に係る生体動作情報取得装置は、衣服部位に装着する装着手段を一方側に設けた装具部と、前記装具部の他方側に設けられ、生体に向けて位置付けられる距離センサーと、前記距離センサーを内包して前記装具部に固定された、天井部と該天井部から連続する側周壁からなる弾性を有する中空のドーム状圧接部と、を備え、前記天井部の肉厚が前記側周壁の肉厚さより厚く形成され、身体動作による呼吸筋と体幹筋とを含む筋肉の収縮を前記圧接部の天井部内表面から距離センサーまでの前記生体に向かって変化する距離データにより検出するものである。
【0022】
また、本発明に係る生体動作情報取得装置は、衣服部位に装着する装着手段を一方側に設けた装具部と、前記装具部の他方側に設けられ、生体に向けて位置付けられる距離センサーと、前記距離センサーを内包して前記装具部に固定された、天井部と該天井部から連続する側周壁からなる弾性を有する中空のドーム状圧接部と、を備え、前記天井部の肉厚が前記側周壁の肉厚より厚く形成され、前記圧接部が前記生体に圧接されることで圧縮変形し、天井部内表面の前記距離センサーへの近接変化を距離データにより検出するものである。
【0023】
また、本発明に係る生体動作情報取得装置は、衣服部位に装着する装着手段を一方側に設けた装具部と、前記装具部の他方側に設けられ、生体に向けて位置付けられる距離センサーと、前記距離センサーを内包して前記装具部に固定された、天井部と該天井部から連続する側周壁からなる弾性を有する中空のドーム状圧接部と、を備え、前記天井部の肉厚が前記側周壁の肉厚より厚く形成され、前記圧接部が前記生体に圧接されることで前記天井部が前記側周壁を含んで前記距離センサーに向かって幅寄せ変形し、天井部内表面の前記距離センサーへの近接変化を距離データにより検出するものである。
【0024】
さらに、本発明は、前記いずれかの生体動作情報取得装置において、側周壁より肉厚に形成された天井部の内側には、該天井部の肉厚部位を周回して峰状に走るリブが形成されているものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、腹部位に圧接する圧接手段を中空ドーム状体とし、ドーム状体の天井部の肉厚を側周壁の肉厚より厚く形成したので、圧力センサーに代えて距離センサーを採用することができ、呼吸筋や体幹筋の変化を腹囲からの距離変化として捉えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】 平面視楕円形状の中空ドーム状圧接部を透視した斜視図である。
図2】 試験1におけるドーム状圧接部の押圧変化を時系列に示した縦断面図である。
図3】 試験2におけるドーム状圧接部の押圧変化を時系列に示した縦断面図である。
図4】 試験3におけるドーム状圧接部の押圧変化を時系列に示した縦断面図である。
図5】 試験1,2,3における圧接部の変形による赤外線センサーに対する圧縮距離を測定した結果を示すグラフである。
図6】 取り付け側から見た生体動作情報取得装置の斜視図である。
図7】 ドーム側から見た生体動作情報取得装置の斜視図である。
図8】 生体動作情報取得装置を衣服に装着した状態を示す側面図である。
図9】 生体動作情報取得装置の構造を示す分解斜視図である。
図10】 生体動作情報取得装置の説明図である。
図11】 生体動作情報取得装置における圧接部の一実施例を示す説明図である。
図12】 実施例において得られた距離データの解析グラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0028】
実施の形態1.
本実施の形態における圧接部は試験2における圧接部に対応し、図3及び図5乃至図9を参照して説明する。これらの図において、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0029】
図3に図示するように、本実施の形態における圧接部1は、樹脂成形により弾性を有する中空ドーム状に形成されて、圧接部1における天井部3の肉厚は側周壁5の肉厚より厚く形成されている。そして、天井部3の対面側である圧接部1の開口に該天井部3を仰ぐように赤外線センサー2を位置付けて配置されており、圧接部1により赤外線センサー2が生体に向かって内包されて覆われた状態となるように構成されている。
【0030】
図6及び図7において、7は、呼吸を含む日々の身体動作による筋肉の収縮(短縮性収縮と伸張性収縮)を検出する平面視楕円形状の生体動作情報取得装置(以下、「取得装置」という。)であり、図9に図示するように、ピアノ線等の高剛性線材をコ字形状に屈曲して挟持片8aとする共に両端辺を下方位置へU状に屈曲して保持片8b、8bを形成した、衣服部位に嵌めて装着するバネ圧ホルダー(装着手段)8と、両保持片8bを挿入する貫通孔9a、9aを楕円短軸に平行で左右対称位置に開口した、取得装置7の外枠となるリング状ガードカバー9と、回路基板10を納める窪みを形成して外周に後述する圧接部1の外周端辺をガードカバー9と共に挟み込んで嵌合する鍔部4aを設け、ガードカバー9に形成された両貫通孔9aと対応する位置に前記両保持片8bを挿着する挿着孔4b、4bが開口した台座4と、電池10aと赤外線センサー(距離センサー)2とを含んで前記回路基板10に配置されて赤外線センサー2から距離データを取得する情報管理部11と、回路基板10に配線された赤外線センサー2を残して台座4を覆う台座カバー12と、前記中空ドーム状圧接部1(図3図6及び図7参照)とから構成されている。前記ホルダー8の両保持片8bをガードカバー9の両貫通孔9aに挿入すると共に、台座4の両挿着孔4bに挿入することにより、ホルダー8の挟持片8aと台座4の背面との間隙において挟持作用が得られる。そして、前記間隙に衣服の短辺部やそのベルト13(図8参照)に嵌め込むことで挟持され、取得装置7が衣服部位に保持される。これにより、身体動作による呼吸筋と体幹筋とを含む筋肉の収縮による生体の振動を距離データとして取得することができる。なお、図8において、14は被験者、15はスラックス等の衣服である。
【0031】
前記圧接部1を例えば樹脂成形により弾性を有する平面視略円形状(例えば、楕円形状)の中空ドーム状に形成し、側周壁5の肉厚を薄く、天井部2の肉厚を厚く形成することにより、図3における矢印方向への押圧に対して、図3の(b)及び(c)に図示するように、天井部3において凹みは発生せず、天井部3の肉厚平面を維持して圧縮され、圧接部1の側周壁5を含んで徐々に台座4に向かって幅寄せされるように変形し、更なる押圧に対しては、図3の(d)に図示するように、天井部3の内表面が台座部位に略接触した状態となるので、被験者14(図8参照)の身体外形や装着による締め付け強度に個人差があっても、圧接部の圧縮変形を距離センサーにて数値化できる。
【0032】
前記情報管理部11は、赤外線センサー2から距離データを取得すると共に、スマートデバイス等の携帯端末(図示せず。)に対して送信する機能を有している。
【0033】
本実施の形態において、平面視略円形とは、円形であっても良く、楕円形であっても良い。また、距離センサーとして赤外線センサーの外、可視光センサーや超音波センサーであっても良い。また、装着手段は、断面逆U形状に成形されたストッパーや挟持式ストッパーであっても良い。樹脂は弾性を有するシリコン樹脂等の合成樹脂でもよく、具体的にはシリコンゴムでもよい。
【0034】
なお、前記回路基板10には、距離センサー2の外、例えば、座位、歩行及び走行の各身体動作に対応する各入力スイッチ等を設け、距離センサー2から得られる距離データや当該距離データに対応付けられた身体動作の情報を記憶する記憶部や、距離データから得られる身体動作による呼吸筋と体幹筋とを含む筋肉の収縮情報と身体動作とを表示する表示部や、収縮情報を前記入力スイッチにより選択された身体動作に対応付けて保存する記憶部に、表示部に表示させる制御をする制御部を含んで配線されていてもよい。
【0035】
また、前記情報管理部11には制御部を設け、入力スイッチが押されて身体動作が選択されたとき、そのときの距離情報に指定された身体動作を対応付けるに際し、この距離情報と同様の距離情報が続いて得られている場合には、引き続き同じ身体動作を対応付けて記録する制御をしてもよい。また、情報管理部11は、制御部の制御により、距離センサーにより得られた距離情報を身体動作に対応付けて記録し、表示部に距離情報と身体動作とを対応させて表示するようにしてもよい。
【0036】
本実施の形態によれば、衣服部位に装着するホルダー(装着手段)8を一方側に設け、少なくとも回路基板10を配置した台座(装具部)4と、台座4の他方側に設けた生体に向けて位置付けられる赤外線センサー(距離センサー)2と、身体動作による呼吸筋と体幹筋とを含む筋肉の収縮を赤外線センサー2から距離データとして取得する情報管理部11と、赤外線センサー2を内包すると共に台座4に固定した中空のドーム状圧接部1と、を備え、ドーム状圧接部1の天井部3の肉厚を中央の側周壁5の肉厚より厚く形成したので、ドーム状圧接部1が生体14に圧接されることで天井部3の肉厚平面を維持して圧縮されて、天井部3が側周壁5を含んで赤外線センサー2に向かって幅寄せ変形し、これにより天井部3の内表面の赤外線センサー2への近接変化を生体に向かって変化する距離データにより検出できる。なお、本実施の形態では、少なくとも台座4が装具部を構成しているが、台座4に加えてガイドカバー9と台座カバー12とを含んで構成してもよい。
【0037】
実施の形態2.
本実施の形態における圧接部は試験3における圧接部に対応し、図4及び図5乃至図9を参照して説明する。図10図9に図示する取得装置7の略断面図(ホルダー8及び情報管理部11は図示せず。)である。また、図10の(a)は図4の(a)に対応し、図10の(b)は図4の(b)に対応し、図10の(c)は図4の(c)に対応し、図10の(d)は図4の(d)に対応する。これらの図において、同一符号は同一又は相当部分を示す。図10において、赤外線センサー3は赤外LED3aとフォトセンサー3bとに分けて図示されており、赤外LED3aから出力した赤外が天井部3の肉厚内平面3aに到達し、内表面3aからの反射光をフォトセンサー3bが受信する光路を薄線にて表現している。
【0038】
本実施の形態における圧接部1は、図10に図示するように、実施の形態1における圧接部1における側周壁5より肉厚に形成された天井部3の内側に該天井部3の肉厚部を周回して峰状に走るリブ6が形成されている。
【0039】
本実施の形態では、天井部3の内側である内表面3aに天井部3の肉厚部を周回するリブ6を設けたので、図10に図示する矢印方向への押圧に対して、図4の(b)及び(c)と同様に図10の(b)及び(c)に図示するように、天井部3の凹みは発生せず、圧接部1の側周壁5を含んで徐々に台座4に向かって肉厚平面を維持して幅寄せされるように変形し、リブ6が図4の(c)と同様に図10の(c)に図示するように、基板押え板の働きをする台座カバー12に当接する。そして、肥満者を想定した更なる押圧に対しては、図4の(d)と同様に図10に図示するように、リブ6が赤外線センサー2を配置した台座4の台座カバー12に当接するから、この後は、リブ6が支点となって天井部3が徐々に赤外線センサー2に向かって押し込まれる形状変化を起こす。リブ6が台座カバー12に接触する前と後では圧縮力が変わり、リブ6に囲まれた内方の天井部3が赤外線センサー2に向かって徐々に凹むように変形する。
【0040】
本実施の形態によれば、実施の形態1における天井部3の内表面に圧接を遮る支点を設け、この支点により形成される内方空間において、押圧による圧縮が生じるようにしたから、さらに、精度よく、そして、近接範囲での圧接部の圧縮変形を距離センサーにて数値化できる。
【0041】
【実施例0042】
実施の形態2における圧接部の一実施例を図11及び図12を参照して説明する。図11において、図11の(a)は開口を上にした圧接部の正面断面の設計図、図11の(b)は側面断面の設計図である。
【0043】
図11に図示するように、圧接部1の外形を長軸外寸74mm、短軸外寸54mm、高さ外寸16mmの楕円形状とし、開口径は長軸68mm、短軸48mmの楕円とし、側周壁5の肉厚を1mmとした。また、天井部3は長軸58mm、短軸38mmの楕円とし、天井部3の肉厚を4mmとした。そして、当該天井部3に対して高さ3mm、幅4mmの平面視楕円形状リブ6を形成した。
【0044】
前記圧接部1を嵌着した取得装置7を図8に図示するように衣服に装着し、デスクワークにおける赤外線センサー2から得られる距離データを情報管理部11を介して被験者14が保持するスマートデバイスへ送信して収集した。
【0045】
前記距離データをPythonのmatplotlib、pandas、plotly、seaborn等のライブラリを使って縦軸:データレベル、横軸:タイムとしてグラフ化した図12によれば、呼吸に由来する波形が得られた。当被験者においては無呼吸状態を定期的に発生していることが可視化されていた。
【0046】
なお、本実施例における実寸は一例であって、その形状は略円形の身体に装着できる寸法であればよく、さらに、本発明に係る生体動作情報取得装置は、不規則な振動変化を距離センサーによって検知するものであるから、本実寸に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、呼吸筋や体幹筋の変化を腹囲からの距離変化として捉えることができるから、体調変化の把握に利用できる。
【符号の説明】
【0048】
1、101 圧接部
2、102 赤外線センサー
3、103 天井部
4、104 台座
5、105 側周壁
6 リブ
7 生体動作情報取得装置
8 ホルダー
9 カバー
10 回路基板
11 情報管理部
12 台座カバー
13 ベルト
14 生体、被験者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12