(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039895
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】メッセルシールド装置およびそれを用いたオープンピット工法
(51)【国際特許分類】
E03F 3/06 20060101AFI20230314BHJP
E03F 3/04 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
E03F3/06
E03F3/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041042
(22)【出願日】2022-03-16
(62)【分割の表示】P 2021147133の分割
【原出願日】2021-09-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】506343704
【氏名又は名称】株式会社トーメック
(74)【代理人】
【識別番号】100130144
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健壱
(72)【発明者】
【氏名】植野 進一
(72)【発明者】
【氏名】上田 竜生
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063BA06
2D063BA32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来のメッセルシールド装置では、横幅が異なる地下埋設構造物を地中内に埋設させようとすると、その地下埋設構造物の横幅に対応させて構成されたメッセルシールド装置に変更させる必要があるという問題を有していた。
【解決手段】本発明のフロントフレーム10とテールフレーム20は、フロントフレーム中間部挿入空間42aにフロントフレーム中間部10bが挿入されるとともに、テールフレーム中間部挿入空間42にテールフレーム中間部20aが挿入された後に、フロントフレーム中間部10bの両端部とフロントフレーム10のフロントフレーム前後方向分割部13aが連結されるとともに、テールフレーム中間部20aの両端部とテールフレーム20のテールフレーム前後方向分割部26aが連結されることにより横方向の長さを大きくすることができる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントフレームとテールフレームとの間に中間ジャッキが連結され、ボックスカルバート等の地下埋設構造物の埋設に用いられるメッセルシールド装置であって、
縦柱材と横補強材を備えた左右の枠体の間に長手方向に分割可能に構成された切梁が配設され、該切梁を含むフロントフレーム前後方向分割部で分割された後に、該フロントフレーム前後方向分割部の間が左右に引き離されることにより前後方向に複数個に分割することができるフロントフレームと、
該フロントフレームと中間ジャッキで連結され、ボックスカルバート等の地下埋設構造物が据え付けられるために上部が開口し、テールフレーム前後方向分割部で分割された後に、該テールフレーム前後方向分割部の間が左右に引き離されることにより前後方向に複数個に分割することができるテールフレームと、
前記フロントフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたフロントメッセルと、
複数個設けられた前記フロントメッセルのそれぞれに対応して設けられ、該フロントメッセルを前後方向に移動させる圧入ジャッキと、
前記フロントフレームの底部に横方向に複数個設けられ、前記フロントフレームの前方底部から突出可能なボトムメッセルと、
前記テールフレームの左右両側に上下方向に複数個設けられたテールメッセルと、
前記フロントフレーム前後方向分割部の間に形成されたフロントフレーム中間部挿入空間に挿入されるフロントフレーム中間部と、
前記テールフレーム前後方向分割部の間に形成されたテールフレーム中間部挿入空間に挿入される前記フロントフレーム中間部と同一横幅長さのテールフレーム中間部と、を有し、
前記フロントフレームと前記テールフレームは、前記フロントフレーム中間部挿入空間に前記フロントフレーム中間部が挿入されるとともに、前記テールフレーム中間部挿入空間に前記テールフレーム中間部が挿入された後に、該フロントフレーム中間部の両端部と前記フロントフレームの前記フロントフレーム前後方向分割部が連結されるとともに、該テールフレーム中間部の両端部と前記テールフレームの前記テールフレーム前後方向分割部が連結されることにより横方向の長さを大きくすることができることを特徴とするメッセルシールド装置。
【請求項2】
前記ボトムメッセルは、前記フロントフレーム中間部挿入空間に前記フロントフレーム中間部とともに挿入されることを特徴とする請求項1記載のメッセルシールド装置。
【請求項3】
前記フロントフレームと前記テールフレームは、前記フロントフレーム中間部の両端部と前記フロントフレームの前記フロントフレーム前後方向分割部がボルトとナットで連結されるとともに、前記テールフレーム中間部の両端部と前記テールフレームの前記テールフレーム前後方向分割部がボルトとナットで連結されることを特徴とする請求項1記載のメッセルシールド装置。
【請求項4】
前記フロントフレームの前記フロントフレーム前後方向分割部および前記テールフレームの前記テールフレーム前後方向分割部で分割されるフレーム分割工程と、
前記フレーム分割工程により分割された前記フロントフレーム前後方向分割部の間と前記テールフレーム前後方向分割部の間がそれぞれ左右に引き離される分割フレーム部引離工程と、
前記分割フレーム部引離工程により引き離された前記フロントフレーム前後方向分割部の間に形成された前記フロントフレーム中間部挿入空間に前記フロントフレーム中間部が挿入されるとともに、該分割フレーム部引離工程により引き離された前記テールフレーム前後方向分割部の間に形成された前記テールフレーム中間部挿入空間に該フロントフレーム中間部と同一横幅長さの前記テールフレーム中間部が挿入されるフレーム中間部挿入工程と、
前記フレーム中間部挿入工程により挿入された前記フロントフレーム中間部の両端と前記分割フレーム部引離工程より左右に引き離されたそれぞれの前記フロントフレームの前記フロントフレーム前後方向分割部とがそれぞれ引き寄せ接触されるとともに、該フレーム中間部挿入工程により挿入された前記テールフレーム中間部の両端と前記分割フレーム部引離工程より左右に引き離されたそれぞれの前記テールフレームの前記テールフレーム前後方向分割部がそれぞれ引き寄せられ接触されるフレーム中間部接触工程と、
前記フレーム中間部接触工程により接触された前記フロントフレーム中間部の両端部と前記フロントフレームの前記フロントフレーム前後方向分割部が連結されるとともに、該フレーム中間部接触工程により接触された前記テールフレーム中間部の両端部と前記テールフレームの前記テールフレーム前後方向分割部が連結されるフレーム中間部連結工程と、を有し、
前記フロントフレームと前記テールフレームは、前記フロントフレーム中間部挿入空間に前記フロントフレーム中間部が挿入されるとともに、前記テールフレーム中間部挿入空間に前記テールフレーム中間部が挿入された後に、引き寄せ接触された該フロントフレーム中間部の両端部と前記フロントフレームの前記フロントフレーム前後方向分割部が連結されるとともに、引き寄せ接触された該テールフレーム中間部の両端部と前記テールフレームの前記テールフレーム前後方向分割部が連結されることにより横方向の長さを大きくすることができることを特徴とする請求項1記載のメッセルシールド装置を用いたオープンピット工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントフレームとテールフレームとの間に中間ジャッキが連結され、ボックスカルバート等の地下埋設構造物の埋設に用いられるメッセルシールド装置およびそれを用いたオープンピット工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フロントフレームとテールフレームとの間に中間ジャッキが連結され、ボックスカルバート等の地下埋設構造物の埋設に用いられるメッセルシールド装置が知られている。この種のメッセルシールド装置100として、複数の縦材と横材よりなる左右の枠体の間に、複数の切梁を配設した剛構造のフロントフレーム111とテールフレーム112が備えられ、そして、フロントフレーム111とテールフレーム112の左右両側に複数のフロントメッセル113及びテールメッセル114が摺動自在に配列され、そのフロントフレーム111と各フロントメッセル113間には圧入ジャッキ115が配設されているというものがあった(
図13、
図14参照)。そして、このメッセルシールド装置100は、圧入ジャッキ115が伸長操作されることにより、フロントメッセル113及びテールメッセル114が掘進方向の地山へ貫入され、すべての圧入ジャッキ115が収縮操作されることによりフロントフレーム111が掘進方向に掘進される。そして、中間ジャッキ116の収縮操作により、テールフレーム112がフロントフレーム111側に引き寄せられるというものであった(たとえば、特許文献1)。ここで、
図13は従来のメッセルシールド装置の平面図であり、
図14は
図13のA-A断面図である。
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地下埋設構造物は、地上の水路等の横幅に合わせて地中内に埋設される場合が多く、地上の水路等の横幅が変化した場合には、その地上の水路等の横幅に合わせて、横幅が異なる地下埋設構造物を地中内に埋設させるように設計されることが多くある。しかしながら、従来のメッセルシールド装置100では、横幅が異なる地下埋設構造物を地中内に埋設させようとすると、今まで使用してきたメッセルシールド装置100を異なる横幅の地下埋設構造物に対応させて構成されたメッセルシールド装置に変更して使用することが必要であった。また、この異なる横幅の地下埋設構造物に対応したメッセルシールド装置に変更させるためには、地上より低い地下埋設構造物の埋設作業場所からメッセルシールド装置100が地上に持ち上げられ、そして、異なる横幅の地下埋設構造物に対応したメッセルシールド装置を他の場所から地上より低い地下埋設構造物の埋設作業場所に移動させることが必要であった。このように、メッセルシールド装置100を異なる横幅の地下埋設構造物に対応したメッセルシールド装置に変更させると、メッセルシールド装置の変更作業に大きな負荷が生じ、地下埋設構造物の埋設工事の作業負担が増大するばかりか、地下埋設構造物の埋設工事の工期が長期化してしまうという問題が生じていた。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、地中内に埋設させる地下埋設構造物の横幅が変わった場合でも、大きな負荷が生じない作業で、かつ工期が長期化することもなく、横幅が異なる地下埋設構造物を埋設することができるメッセルシールド装置およびそれを用いたオープンピット工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、フロントフレームとテールフレームとの間に中間ジャッキが連結され、ボックスカルバート等の地下埋設構造物の埋設に用いられるメッセルシールド装置であって、縦柱材と横補強材を備えた左右の枠体の間に長手方向に分割可能に構成された切梁が配設され、切梁を含むフロントフレーム前後方向分割部で分割された後に、フロントフレーム前後方向分割部の間が左右に引き離されることにより前後方向に複数個に分割することができるフロントフレームと、フロントフレームと中間ジャッキで連結され、ボックスカルバート等の地下埋設構造物が据え付けられるために上部が開口し、テールフレーム前後方向分割部で分割された後に、テールフレーム前後方向分割部の間が左右に引き離されることにより前後方向に複数個に分割することができるテールフレームと、フロントフレームが分割される幅と同一幅で分割することができるテールフレームと、フロントフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたフロントメッセルと、複数個設けられたフロントメッセルのそれぞれに対応して設けられ、圧入ジャッキと、フロントフレームの底部に横方向に複数個設けられ、フロントフレームの前方底部から突出可能なボトムメッセルと、テールフレームの左右両側に上下方向に複数個設けられたテールメッセルと、フロントフレーム前後方向分割部の間に形成されたフロントフレーム中間部挿入空間に挿入されるフロントフレーム中間部と、テールフレーム前後方向分割部の間に形成されたテールフレーム中間部挿入空間に挿入されるフロントフレーム中間部と同一横幅長さのテールフレーム中間部と、を有し、フロントフレームとテールフレームは、フロントフレーム中間部挿入空間にフロントフレーム中間部が挿入されるとともに、テールフレーム中間部挿入空間にテールフレーム中間部が挿入された後に、フロントフレーム中間部の両端部とフロントフレームのフロントフレーム前後方向分割部が連結されるとともに、テールフレーム中間部の両端部とテールフレームのテールフレーム前後方向分割部が連結されることにより横方向の長さを大きくすることができることを特徴とするものである。
【0007】
本発明によれば、フロントフレーム(テールフレーム)がフロントフレーム前後方向分割部(テールフレーム前後方向分割部)で分割された後に、フロントフレーム前後方向分割部(テールフレーム前後方向分割部)の間が左右に引き離され、そのフロントフレーム前後方向分割部(テールフレーム前後方向分割部)の間のフロントフレーム中間部挿入空間(テールフレーム中間部挿入空間)にフロントフレーム中間部(テールフレーム)が挿入された後に、フロントフレーム中間部の両端部とフロントフレームのフロントフレーム前後方向分割部が連結されるとともに、テールフレーム中間部の両端部とテールフレームのテールフレーム前後方向分割部が連結されることにより横方向の長さを大きくすることができるので、横幅が異なる地下埋設構造物に変更される場合でもメッセルシールド装置の横方向の長さを地下埋設構造物の横幅に対応させることができる。これにより、地中内に埋設する地下埋設構造物の横幅が変わった場合でも、大きな負荷が生じない作業で、横幅が異なる地下埋設構造物を埋設することができるので、地下埋設構造物の埋設工事の作業負担の増大を最小限に抑えることができるとともに、地下埋設構造物の埋設工事の工期が長期化することも防止することができる。
【0008】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係るメッセルシールド装置であって、ボトムメッセルは、フロントフレーム中間部挿入空間にフロントフレーム中間部とともに挿入されることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、ボトムメッセルは、フロントフレームがフロントフレーム前後方向分割部で分割された後に、そのフロントフレーム前後方向分割部の間のフロントフレーム中間部挿入空間にフロントフレーム中間部とともに挿入されるので、容易かつ効率的に抜き取りを行うことができ、抜取作業の負担を軽減させることができる。
【0010】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1の態様に係るメッセルシールド装置であって、フロントフレームとテールフレームは、フロントフレーム中間部の両端部とフロントフレームのフロントフレーム前後方向分割部がボルトとナットで連結されるとともに、テールフレーム中間部の両端部とテールフレームのテールフレーム前後方向分割部がボルトとナットで連結されることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、フロントフレーム中間部の両端部とフロントフレームのフロントフレーム前後方向分割部がボルトとナットで連結されるとともに、テールフレーム中間部の両端部とテールフレームのテールフレーム前後方向分割部がボルトとナットで連結されるので、簡易かつ容易に着脱できるとともに、強固に連結させることができる。
【0012】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1の態様に係るメッセルシールド装置を用いたオープンピット工法であって、フロントフレームのフロントフレーム前後方向分割部およびテールフレームのテールフレーム前後方向分割部で分割されるフレーム分割工程と、フレーム分割工程により分割されたフロントフレーム前後方向分割部の間とテールフレーム前後方向分割部の間がそれぞれ左右に引き離される分割フレーム部引離工程と、分割フレーム部引離工程により引き離されたフロントフレーム前後方向分割部の間に形成されたフロントフレーム中間部挿入空間にフロントフレーム中間部が挿入されるとともに、分割フレーム部引離工程により引き離されたテールフレーム前後方向分割部の間に形成されたテールフレーム中間部挿入空間にフロントフレーム中間部と同一横幅長さのテールフレーム中間部が挿入されるフレーム中間部挿入工程と、フレーム中間部挿入工程により挿入されたフロントフレーム中間部の両端と分割フレーム部引離工程より左右に引き離されたそれぞれのフロントフレームのフロントフレーム前後方向分割部とがそれぞれ引き寄せ接触されるとともに、フレーム中間部挿入工程により挿入されたテールフレーム中間部の両端と分割フレーム部引離工程より左右に引き離されたそれぞれのテールフレームのテールフレーム前後方向分割部がそれぞれ引き寄せられ接触されるフレーム中間部接触工程と、フレーム中間部接触工程により接触されたフロントフレーム中間部の両端部とフロントフレームのフロントフレーム前後方向分割部が連結されるとともに、フレーム中間部接触工程により接触されたテールフレーム中間部の両端部とテールフレームのテールフレーム前後方向分割部が連結されるフレーム中間部連結工程と、を有し、フロントフレームとテールフレームは、フロントフレーム中間部挿入空間にフロントフレーム中間部が挿入されるとともに、テールフレーム中間部挿入空間にテールフレーム中間部が挿入された後に、引き寄せ接触されたフロントフレーム中間部の両端部とフロントフレームのフロントフレーム前後方向分割部が連結されるとともに、引き寄せ接触されたテールフレーム中間部の両端部とテールフレームのテールフレーム前後方向分割部が連結されることにより横方向の長さを大きくすることができることを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、フロントフレーム(テールフレーム)がフロントフレーム前後方向分割部(テールフレーム前後方向分割部)で分割された後に、フロントフレーム前後方向分割部(テールフレーム前後方向分割部)の間が左右に引き離され、そのフロントフレーム前後方向分割部(テールフレーム前後方向分割部)の間のフロントフレーム中間部挿入空間(テールフレーム中間部挿入空間)にフロントフレーム中間部(テールフレーム中間部)が挿入され、フロントフレーム中間部の両端部とフロントフレームのフロントフレーム前後方向分割部が連結されるとともに、テールフレーム中間部の両端部とテールフレームのテールフレーム前後方向分割部が連結されることにより横方向の長さを大きくすることができるので、横幅が異なる地下埋設構造物に変更される場合でもメッセルシールド装置の横方向の長さを地下埋設構造物の横幅に対応させることができる。これにより、地中内に埋設する地下埋設構造物の横幅が変わった場合でも、大きな負荷が生じない作業で、横幅が異なる地下埋設構造物を埋設することができるので、地下埋設構造物の埋設工事の作業負担の増大を最小限に抑えることができるとともに、地下埋設構造物の埋設工事の工期が長期化することも防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、地中内に埋設する地下埋設構造物の横幅が変わった場合でも、大きな負荷が生じない作業で、かつ工期が長期化することもなく、横幅が異なる地下埋設構造物を埋設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態におけるメッセルシールド装置の施工状況を示す概略図である。
【
図4】(a)同メッセルシールド装置の前面図である。(b)同メッセルシールド装置の後面図である。
【
図6】(a)ボルトおよびナットによるフロントフレーム前後方向分割部の締結状態を示す前方斜視図である。(b)ナットが外されたボルトがボルト挿入孔から抜き取られた状態を示す前方斜視図である。
【
図7】フロントフレーム底部のフロントフレーム前後方向分割部の締結状態を示す前方斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態におけるメッセルシールド装置を用いたオープンピット工法のフローチャートである。
【
図9】同オープンピット工法のメッセルシールド装置横幅減少工程のフローチャートである。
【
図10】同オープンピット工法のメッセルシールド装置横幅増大工程のフローチャートである。
【
図11】分割されたフロントフレームおよびテールフレームの分割内側位置に配されるフロントフレーム中間部およびテールフレーム中間部が抜き取られる過程を示す平面図である。
【
図12】フロントフレーム中間部とテールフレーム中間部が挿入されるフロントフレーム中間部挿入空間およびテールフレーム中間部挿入空間が形成される過程を示す平面図である。
【
図13】従来のメッセルシールド装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態におけるメッセルシールド装置について、図面を参照にしながら説明する。ここで、
図1は、本発明の一実施形態におけるメッセルシールド装置の施工状況を示す概略図である。なお、本実施形態では、地下埋設構造物としてボックスカルバート2を布設する場合について説明するが、地下埋設構造物はボックスカルバート2に限定されず、他の地下埋設構造物であってもよい。ここで、ボックスカルバート2は、道路下に埋設され、下水道や雨水排水管などに使用される構造物である。
【0017】
図1に示すように、地盤が掘削され、その掘削された地盤の底面が固められ、その固められた地盤上に、自走機能を持つメッセルシールド装置1を用いて、ボックスカルバート2が布設される。そして、ボックスカルバート2が布設された後は、その掘削された地盤を埋めてもとの状態に戻される。
【0018】
次に、本発明の一実施形態におけるメッセルシールド装置について、
図2~
図7を参照にしながら説明する。ここで、
図2は本発明の一実施形態におけるメッセルシールド装置の斜視図であり、
図3は同メッセルシールド装置の平面図であり、
図4(a)は同メッセルシールド装置の前面図であり、
図4(b)は同メッセルシールド装置の後面図であり、
図5は
図4(a)のB-B断面図であり、
図6(a)はボルトおよびナットによるフロントフレーム前後方向分割部の締結状態を示す前方斜視図であり、
図6(b)はナットが外されたボルトがボルト挿入孔から抜き取られた状態を示す前方斜視図であり、
図7はフロントフレーム底部のフロントフレーム前後方向分割部の締結状態を示す前方斜視図である。
【0019】
メッセルシールド装置1は、フロントフレーム10とテールフレーム20との間に中間ジャッキ30が連結され、ボックスカルバート2の埋設に用いられるものである(
図3、
図5参照)。また、フロントフレーム10の底部には、横方向に7個(中央に1個、左右にそれぞれ3個)ボトムメッセル17が設けられ、それぞれのボトムメッセル17はボトムジャッキ16を介して摺動自在、すなわちフロントフレーム10の前方底部から突出可能に配されている(
図7参照)。また、テールフレーム20の前方に延設された水平梁21は、フロントフレーム10の後方に延設された支持梁14に載置され、テールフレーム20が沈降するのを抑止する構成になっている(
図5参照)。フロントフレーム10とテールフレーム20の両側には、フロントメッセル40とテールメッセル41がそれぞれ摺動自在に配列され、フロントメッセル40とテールメッセル41の間はピンで連結されている。フロントフレーム10とフロントメッセル40の間に、それぞれのフロントメッセル40のそれぞれに対応して圧入ジャッキ15が設けられ、その圧入ジャッキ15によりフロントメッセル40を前後方向に移動させることができる(
図5参照)。さらに、テールフレーム20の底部には、そり体22が配されている(
図2、
図5参照)。そして、圧入ジャッキ15が操作されることによりフロントメッセル40が開削方向へ掘進され、ボトムジャッキ16が操作されることによりボトムメッセル17が開削方向へ掘進され、中間ジャッキ30の収縮によりテールフレーム20がフロントフレーム10方向に引き寄せられる。この圧入ジャッキ15、ボトムジャッキ16、および中間ジャッキ30の制御は、フロントフレーム10上部に搭載された制御ユニット18により行われる(
図2、
図3、
図4参照)。なお、本実施形態では、ボトムメッセル17を横方向に7個(中央に1個、左右にそれぞれ3個)設けたが、これに限らず、横方向に5個~10個(中央に1個~2個、左右にそれぞれ2個~4個)(好ましくは、横方向に5個~7個(中央に1個、左右にそれぞれ2個~3個)))等設けるようにしてもよい。
【0020】
フロントフレーム10は、縦柱材11と横補強材12を備えた左右の枠体4の間に長手方向に分割可能に構成された切梁13が配設(
図3、
図5参照)され、切梁13を含むフロントフレーム前後方向分割部13aで分割されることにより前後方向に5個に分割することができる。ここで、フロントフレーム前後方向分割部13aは、前後方向に4箇所設けられている。フロントフレーム10の左右両側には、フロントメッセル40がそれぞれ上下方向に4個設けられている。すなわち、左右両側に設けられたフロントメッセル40は、左右の上下方向の高さが同じで、上下方向に4個設けられている(
図2、
図5参照)。また、切梁13などに設けられたフロントフレーム前後方向分割部13aは、フロントフレーム前後方向分割部13aに形成されたフロントフレームボルト挿入孔13bに挿入されるボルト19aおよびそのボルト19aが締結されるナット19bにより連結されている(
図6参照)。また、フロントフレーム10の底部には、ボトムジャッキ16が収容されるボトムジャッキ載置凹部10aが横方向に形成されている(
図7参照)。また、ボトムジャッキ載置凹部10a内に収納されているボトムジャッキ16の下部には、ボトムメッセル17が配されている。また、フロントフレーム10底部のボトムジャッキ載置凹部10a前方に配されたそれぞれのフロントフレーム前後方向分割部13aは、フロントフレーム前後方向分割部13aに形成されたフロントフレームボルト挿入孔13bに挿入されるボルト19aおよびそのボルト19aが締結されるナット19bにより連結されている(
図7参照)。このように、フロントフレーム10から抜き取られたフロントフレーム中間部10bの端部と結合していたフロントフレーム前後方向分割部13a同士がボルト19aおよびナット19bで連結されるので、容易に着脱できるとともに、強固に連結させることができる。なお、本実施形態では、フロントフレーム10は、切梁13を含むフロントフレーム前後方向分割部13aで分割されることにより前後方向に5個に分割することができるが、これに限らず、前後方向に3個~8個(好ましくは、4個~6個)などの複数個に分割することができるようにしてもよい。また、本実施形態では、フロントメッセル40を左右それぞれに上下方向に4個設けたが、これに限らず、左右それぞれに上下方向に3個~6個(好ましくは、4個~5個)などの複数個設けるようにしてもよく、また、本実施形態では、切梁13およびフロントフレーム10底部のボトムジャッキ載置凹部10a前方にフロントフレーム前後方向分割部13aを設けたが、このフロントフレーム前後方向分割部13aは、フロントフレーム10を分割可能にするために必要なところすべてに設けられている。さらに、本実施形態では、切梁13などのフロントフレーム前後方向分割部13aは、ボルト19aおよびナット19bにより連結させたが、これに限らず、ボルト19aおよびナット19b以外の連結手段で連結されるようにしてもよい。
【0021】
テールフレーム20は、フロントフレーム40と中間ジャッキ30で連結され、ボックスカルバート2が据え付けられるために上部が開口し、フロントフレーム10が分割される幅と同一幅で分割することができる。すなわち、切梁26を含むテールフレーム前後方向分割部26aで分割されることにより、フロントフレーム10が分割される幅と同一幅で前後方向に5個に分割することができる。ここで、テールフレーム前後方向分割部26aは、前後方向4箇所に設けられている。テールフレーム20の左右両側には、テールメッセル41が4個のフロントメッセル40とそれぞれ同一高さで上下方向に4個設けられている。このテールメッセル41は、テールフレーム20の枠体25に支持されている。また、縦柱材23と横補強材24を備えた左右の枠体25の間に長手方向に分割可能に構成された切梁26が配設されている。この切梁26は、枠体25の前方に平面コ字形で、横補強材24に合わせて多段構成として配されている(
図3、
図5参照)。そして、切梁26に設けられたテールフレーム前後方向分割部26aは、フロントフレーム前後方向分割部13a(
図6(a)参照)と同様、テールフレーム前後方向分割部26aに形成されたテールフレームボルト挿入孔26bに挿入されるボルト29aおよびそのボルト29aが締結されるナット29bにより連結されている。また、枠体25にもテールフレーム前後方向分割部26aが設けられ、そのテールフレーム前後方向分割部26aに形成されたテールフレームボルト挿入孔26bに挿入されるボルト29aおよびそのボルト29aが締結されるナット29bにより連結されている。このように、テールフレーム20から抜き取られたテールフレーム中間部20aの端部と結合していたテールフレーム20のテールフレーム前後方向分割部26a同士がボルト29aおよびナット29bで連結されるので、容易に着脱できるとともに、強固に連結させることができる。また、切梁26と横補強材24の接触部には補強材28が設けられ、横方向に対向する枠体25の間にはボックスカルバート2を吊り込むための吊込空間27が形成されている(
図3参照)。この吊込空間27は、ボックスカルバート2を据え付けるために空間の上方および後方が開放(開口)されている。なお、本実施形態では、テールフレーム20は、切梁26を含むテールフレーム前後方向分割部26aで分割されることにより、フロントフレーム10が分割される幅と同一幅で前後方向に5個に分割することができるが、これに限らず、前後方向に3個~8個(好ましくは、4個~6個)などの複数個に分割できるようにしてもよい。また、本実施形態では、切梁26などのテールフレーム前後方向分割部26aは、ボルト29aおよびナット29bにより連結させたが、これに限らず、ボルト29aおよびナット29b以外の連結手段で連結されるようにしてもよい。また、本実施形態では枠体25を設けたが、これに限らず、枠体25を設けずに構成してもよい。さらに、本実施形態では、テールメッセル41を左右それぞれに上下方向に4個設けたが、これに限らず、フロントメッセル40と同様、左右それぞれに上下方向に3個~6個(好ましくは、4個~5個)などの複数個設けるようにしてもよい。
【0022】
このように、フロントフレーム10が分割されることによりフロントフレーム10の底部のボトムジャッキ載置凹部10aに配されたボトムジャッキ16下部のボトムメッセル17もフロントフレーム10とともに分割される。ここで、フロントフレーム10とテールフレーム20は、前方から見て、同一前後直線方向上の位置のフロントフレーム前後方向分割部13aおよびテールフレーム前後方向分割部26aで分割できるように構成されている。ここで、フロントフレーム前後方向分割部13a(テールフレーム前後方向分割部26a)とは、分割されたフロントフレーム10(テールフレーム20)から抜き取られるフロントフレーム中間部10b(テールフレーム中間部20a)の左右両側位置のフロントフレーム前後方向分割部13a(テールフレーム前後方向分割部26a)のことである。
【0023】
次に、本発明の一実施形態におけるメッセルシールド装置を用いたオープンピット工法の施工手順について
図8を用いて説明する。
図8は本発明の一実施形態におけるメッセルシールド装置を用いたオープンピット工法のフローチャートである。ここで、地上の水路の幅や家屋の建築状態により、地中内に埋設されるボックスカルバート2(地下埋設構造物)の大きさはボックスカルバート2が設置される前から計画設計され、そして、地中内に設置されるボックスカルバート2の横幅長さが変更される場合には、本オープンピット工法が用いられる。
【0024】
まずS1において、掘削工程が実施される。この掘削工程では、これからボックスカルバ―ト2(地下埋設構造物)が埋設されるための穴をバックフォー(図示略)を用いて掘削され、そして、その掘削された地盤の底面が固められ、その固められた地盤上まで、自走機能を持つメッセルシールド装置1を移動させる。そして、S2に進む。
【0025】
S2において、フロントメッセル地山貫入工程が実施される。このフロントメッセル地山貫入工程では、圧入ジャッキ15が操作されることにより、フロントメッセル40が上方から順次前方方向に移動され、フロントメッセル40が前方の地山に順次貫入される。具体的には、上下4段からなるフロントメッセル40の上方から左右同時に順次、1段目→2段目→3段目→4段目とそれぞれ左右のフロントメッセル40が上方から順次前方方向に移動される。ここで、フロントメッセル40が前方方向に移動することにより、フロントメッセル40とピンで結合されたテールメッセル41も前方方向に移動される。なお、本実施形態では、フロントメッセル40が上方から順次前方方向に移動されたが、これに限らず、フロントメッセル40を下方から順次前方方向に移動させてもよい。そして、S3に進む。
【0026】
S3において、ボトムメッセル地山貫入工程が実施される。このボトムメッセル地山貫入工程では、ボトムジャッキ16が操作されることにより、ボトムメッセル17が左右から順次前方方向に移動され、ボトムメッセル17が前方の地山に順次貫入される。具体的には、左右3個からなるボトムメッセル17の左右両端から左右同時に順次、左右両端1個目→2個目→3個目とそれぞれ左右のボトムメッセル17が左右両端から順次前方方向に移動され、最後に中央のボトムメッセル17が前方方向に移動される。そして、S4に進む。
【0027】
S4において、中間ジャッキ収縮工程が実施される。この中間ジャッキ収縮工程では、フロントフレーム10とテールフレーム20の間の中間ジャッキ30が収縮されることにより、テールフレーム20がフロントフレーム10方向に引き寄せられる。そして、S5に進む。
【0028】
S5において、ボックスカルバート設置工程が実施される。このボックスカルバート設置工程では、ボックスカルバート2が設置される。具体的には、クレーン51にボックスカルバート2が吊り下げられ、ボックスカルバート2が設置される(
図1参照)。また、既にボックスカルバート2が設置されている場合は、既設されているボックスカルバート2の端部と係合させて、ボックスカルバート2が設置される。そして、S6に進む。
【0029】
S6において、ボックスカルバート2の設置が完了したか、すなわち、すべてのボックスカルバート2が設置されたかが判断される。そして、S6において、「No」と判断された場合は、S7に進み、「Yes」と判断されるまでS7→(S8→S9→S10(S11))→S12→S2→S3→S4→S5→S6の処理が行われ、「Yes」と判断された場合は、S14に進む。
【0030】
S7において、ボックスカルバート2を変更して設置されるか、すなわち、現在設置しているボックスカルバート2から横幅が小さい(または、大きい)ボックスカルバート2に変更して設置されるかが判断される。そして、S7において、「Yes」と判断された場合は、S8に進み、「No」と判断された場合は、S12に進む。
【0031】
S8において、フレーム分割工程が実施される。このフレーム分割工程では、フロントフレーム10とテールフレーム20がそれぞれ同一前後直線方向上のフロントフレーム前後方向分割部13aおよびテールフレーム前後方向分割部26aで分割される。具体的には、フロントフレーム10の切梁13などのフロントフレーム前後方向分割部13aに締結されているボルト19aからナット19bが外され、フロントフレーム前後方向分割部13aに形成されたフロントフレームボルト挿入孔13bからボルト19aが抜き取られるとともに(
図6(b)参照)、テールフレーム20の切梁26(枠体25含む)などのテールフレーム前後方向分割部26aに締結されているボルト29aからナット29bが外され、テールフレーム前後方向分割部26aに形成されたテールフレームボルト挿入孔26bからボルト29aが抜き取られる。これにより、フロントフレーム10とテールフレーム20は、フロントフレーム前後方向分割部13a(テールフレーム前後方向分割部26a)を境にして前後方向に5個に分割することができ、そして、フロントフレーム10が分割されることにより、フロントフレーム10の底部のボトムジャッキ載置凹部10aに配されたボトムジャッキ16下部のボトムメッセル17についても、フロントフレーム10とともに分割される。なお、制御ユニット18が載置されている上部載置板状部3などについても当初からフロントフレーム10の切梁13などのフロントフレーム前後方向分割部13aと同様の前後直線方向上の位置で分割できるように形成されている。なお、本実施形態では、フロントフレーム10とテールフレーム20は、同一前後直線方向上の位置で分割できるように構成させたが、これに限らず、略同一前後直線方向上の位置のフロントフレーム前後方向分割部13aおよびテールフレーム前後方向分割部26aで分割できるように構成させてもよく、また、フロントフレーム10とテールフレーム20が、略同一前後直線方向上にない位置で分割されるようにしてもよく、この場合において、分割されたフロントフレーム10の分割内側位置に配されるフロントフレーム中間部10bと分割されたテールフレーム20の分割内側位置に配されるテールフレーム中間部20aとが同一の横幅になるように分割される。また、本実施形態では、上述したように、ボトムメッセル17は、フロントフレーム10とともに分割させたが、これに限らず、ボトムメッセル17単独で複数個に分割できるようにしてもよい。すなわち、ボトムメッセル17は、ボトムメッセル17が支持されているボトムメッセル支持部(図示略)の左右側にボトムメッセル前後方向分割部(図示略)が設けられ、そのボトムメッセル前後方向分割部(図示略)において、ボトムメッセル17がボルト(図示略)およびナット(図示略)などの連結手段で前後方向に複数個に分割可能に締結され、そして、そのボトムメッセル17のボトムメッセル前後方段向分割部(図示略)に締結されているボルト(図示略)からナット(図示略)が外され、ボトムメッセル前後方向分割部(図示略)に形成されたボルト挿入孔(図示略)からボルト(図示略)が抜き取られることにより、ボトムメッセル17がフロントフレーム10と別個独立して複数個に分割できるようにしてもよい。そして、S9に進む。
【0032】
S9において、ボックスカルバート2の横幅を減少させて設置されるか、すなわち、現在設置しているボックスカルバート2から横幅が小さいボックスカルバート2に変更して設置されるかが判断される。そして、S9において、「Yes」と判断された場合は、S10に進み、「No」と判断された場合は、S11に進む。
【0033】
S10において、メッセルシールド装置横幅減少工程が実施される。このメッセルシールド装置横幅減少工程では、メッセルシールド装置1の横幅を小さくさせる。具体的には、次のS101~S103の各工程が実施される(
図9参照)。ここで、
図9は、本発明の一実施形態におけるメッセルシールド装置を用いたオープンピット工法のメッセルシールド装置横幅減少工程のフローチャートである。
【0034】
S101において、フレーム中間部抜取工程が実施される。このフレーム中間部抜取工程は、フレーム分割工程(S8)により左右それぞれ2箇所のフロントフレーム前後方向分割部13aで分割された左右それぞれの分割部の間(分割内側部分)のフロントフレーム中間部10bと左右それぞれ2箇所のテールフレーム前後方向分割部26aで分割された左右それぞれの分割部の間(分割内側部分)のテールフレーム中間部20aがそれぞれ抜き取られる(
図11参照)。すなわち、上述したように、フレーム分割工程(S8)によりフロントフレーム前後方向分割部13aで分割されたフロントフレーム10とテールフレーム20の同一前後方向位置に配されたフロントフレーム中間部10bとテールフレーム中間部20aがそれぞれ抜き取られる。そして、フロントフレーム10とともに分割されたボトムメッセル17もフロントフレーム中間部10bとともに抜き取られる(
図11参照)。具体的には、クレーン51に「フロントフレーム中間部10b(ボトムメッセル17含む)」と「テールフレーム中間部20a」がそれぞれ別々に吊り下げられ、それぞれ別々に地上に載置される。これにより、「フロントフレーム中間部10bが取り除かれたフロントフレーム10」と「テールフレーム中間部20aが取り除かれたテールフレーム20」が左右分離された状態となる。このように、ボトムメッセル17がフロントフレーム10とともに分割され、分割されたボトムメッセル17がフロントフレーム中間部10bとともに抜き取られるので、容易かつ効率的に抜き取りを行うことができ、抜取作業の負担を軽減させることができる。ここで、フロントフレーム前後方向分割部13a(テールフレーム前後方向分割部26a)とは、ここでは「フレーム中間部抜取工程(S101)」によりフロントフレーム10(テールフレーム20)から抜き取られるフロントフレーム中間部10b(テールフレーム中間部20a)の左右両側部位置のフロントフレーム前後方向分割部13a(テールフレーム前後方向分割部26a)のことである。
図11は、分割されたフロントフレームおよびテールフレームの分割内側位置に配されるフロントフレーム中間部およびテールフレーム中間部が抜き取られる過程を示す平面図である。なお、本実施形態では、上述したように、ボトムメッセル17がフロントフレーム中間部10bとともに抜き取られるが、これに限らず、フロントフレーム10と別々に分割されたボトムメッセル17の分割内側位置に配されるボトムメッセル中間部(図示略)とフロントフレーム中間部10bを各別で抜き取らせるようにしてもよい。また、フレーム中間部抜取工程が実施される際には、本実施形態では、フレーム分割工程(S8)により左右それぞれ2箇所のフロントフレーム前後方向分割部13aおよびテールフレーム前後方向分割部26aで分割されるようにしたが、これに限らず、左右いずれかの2箇所または左右それぞれ3箇所などのフロントフレーム前後方向分割部13aおよびテールフレーム前後方向分割部26aで分割させてもよい。そして、S102に進む。
【0035】
S102において、フレーム分割部接触工程が実施される。このフレーム分割部接触工程では、フレーム中間部抜取工程により抜き取られたフロントフレーム中間部10bの端部と結合していたフロントフレーム前後方向分割部13a同士およびテールフレーム中間部20aの端部と結合していたテールフレーム20のテールフレーム前後方向分割部26a同士を引き寄せ接触させる。なお、このフロントフレーム前後方向分割部13a同士の接触およびテールフレーム前後方向分割部26a同士の接触は、直接接触される場合に限らず、緩衝材などを挟んで接触する間接的な接触も含まれる。そして、S103に進む。
【0036】
S103において、フレーム分割部連結工程が実施される。このフレーム分割部連結工程では、フレーム分割部接触工程(S102)により接触させたフロントフレーム10のフロントフレーム前後方向分割部13a同士(テールフレーム20のテールフレーム前後方向分割部26a同士)がボルト19aとナット19b(ボルト29aとナット29b)で連結される。具体的には、フレーム分割部接触工程により接触させたフロントフレーム10の切梁13などのフロントフレーム前後方向分割部13aに形成されたフロントフレームボルト挿入孔13bにボルト19aが挿入され、そのボルト19aはナット19bにより締結され、またテールフレーム20の切梁26などのテールフレーム前後方向分割部26aに形成されたテールフレームボルト挿入孔26bにボルト29aが挿入され、そのボルト29aはナット29bにより締結されることにより、抜き取られたフロントフレーム中間部10bの端部と結合していたフロントフレーム前後方向分割部13a同士およびテールフレーム中間部20aの端部と結合していたテールフレーム20のテールフレーム前後方向分割部26a同士がボルト19aおよびナット19b、ボルト29aおよびナット29bでそれぞれ連結される。なお、本実施形態では、上述したように、フロントフレーム10(テールフレーム20)のフロントフレーム前後方向分割部13a(テールフレーム前後方向分割部26a)をボルト19aとナット19b(ボルト29aとナット29b)で締結させたが、これに限らず、ボルト19aとナット19b(ボルト29aとナット29b)以外の連結手段で連結させるようにしてもよい。そして、S12に進む。
【0037】
S11において、メッセルシールド装置横幅増大工程が実施される。このメッセルシールド装置横幅増大工程では、メッセルシールド装置1の横幅を大きくさせる。具体的には、次のS111~S114の各工程が実施される(
図10参照)。ここで、
図10は、本発明の一実施形態におけるメッセルシールド装置を用いたオープンピット工法のメッセルシールド装置横幅増大工程のフローチャートである。
【0038】
S111において、分割フレーム部引離工程が実施される。この分割フレーム部引離工程は、フレーム分割工程(S8)により分割されたフロントフレーム前後方向分割部13aの分割部の間(分割内側部分)とテールフレーム前後方向分割部26aの分割部の間(分割内側部分)がそれぞれ引き離される。すなわち、フレーム分割工程(S8)により分割されたフロントフレーム前後方向分割部13aとテールフレーム前後方向分割部26aのそれぞれの分割部の間(分割内側部分)が、対向する方向とは逆方向に引き離され、分割移動されたフロントフレーム10は左右に離れた状態となる(
図12参照)。ここで、フロントフレーム10とともに分割されたボトムメッセル17は、フロントフレーム前後方向分割部13aを境界として分割移動されたフロントフレーム10とともに移動される。具体的には、クレーン51に「フロントフレーム前後方向分割部13aを境界として分割された左右外側のフロントフレーム10(ボトムメッセル含む)」と「テールフレーム前後方向分割部26aを境界として分割された左右外側のテールフレーム20」がそれぞれ別々に吊り下げられ、その吊り下げられたフロントフレーム10がフロントフレーム前後方向分割部13aを境界としてそれぞれの外側方向(対向する方向とは逆方向)に移動されることにより、左右に離れた状態となる。また、フロントフレーム10と同様に吊り下げられたテールフレーム20がテールフレーム前後方向分割部26aを境界としてそれぞれの外側方向(対向する方向とは逆方向)に移動されることにより、左右に離れた状態となる。このように、吊り下げられたフロントフレーム10(テールフレーム20)がフロントフレーム前後方向分割部13a(テールフレーム前後方向分割部26a)を境界として左右に引き離れた状態にされることにより、引き離されたフロントフレーム前後方向分割部13a(テールフレーム前後方向分割部26a)の分割部の間、すなわち、フロントフレーム10(テールフレーム20)のフロントフレーム前後方向分割部13a(テールフレーム前後方向分割部26a)の右側と他方のフロントフレーム前後方向分割部13a(テールフレーム前後方向分割部26a)の左側との間に、フロントフレーム中間部10b(テールフレーム中間部20a)を挿入するためのフロントフレーム中間部挿入空間42a(テールフレーム中間部挿入空間42b)が形成される(
図12参照)。ここで、
図12は、フロントフレーム中間部とテールフレーム中間部が挿入されるフロントフレーム中間部挿入空間およびテールフレーム中間部挿入空間が形成される過程を示す平面図である。ここで、フロントフレーム前後方向分割部13a(テールフレーム前後方向分割部26a)とは、ここでは「メッセルシールド装置横幅増大工程(S11)」によりフロントフレーム10(テールフレーム20)に挿入されるフロントフレーム中間部10b(テールフレーム中間部20a)の左右両側部位置のフロントフレーム前後方向分割部13a(テールフレーム前後方向分割部26a)のことである。なお、本実施形態では、上述したように、分割されたボトムメッセル17は、分割されたフロントフレーム10とともに移動されるが、これに限らず、メッセルシールド装置横幅減少工程(S10)と同様、分割されたボトムメッセル17と分割されたフロントフレーム10を各別で移動されるようにしてもよい。また、分割フレーム部引離工程が実施される際には、本実施形態では、フレーム分割工程(S8)により左右それぞれ1箇所のフロントフレーム前後方向分割部13aおよびテールフレーム前後方向分割部26aで分割されるようにしたが、これに限らず、左右いずれかの1箇所や左右それぞれ2箇所などのフロントフレーム前後方向分割部13aおよびテールフレーム前後方向分割部26aで分割させてもよい。そして、S112に進む。
【0039】
S112において、フレーム中間部挿入工程が実施される。このフレーム中間部挿入工程は、引き離されたフロントフレーム前後方向分割部13a(テールフレーム前後方向分割部26a)の分割部の間(分割内側部分)に形成されたフロントフレーム中間部挿入空間42a(テールフレーム中間部挿入空間42b)にフロントフレーム中間部10b(テールフレーム中間部20a)が挿入される。ここで、フロントフレーム中間部挿入空間42aには、フロントフレーム中間部10bとともにボトムメッセル17が挿入される。具体的には、地上に載置されている「フロントフレーム中間部10b(ボトムメッセル17含む)」と「テールフレーム中間部20a」が、クレーン51にそれぞれ別々に吊り下げられ、そのフロントフレーム中間部10b(テールフレーム中間部20a)が、分割フレーム部引離工程(S111)によりフロントフレーム前後方向分割部13aを境界として引き離されたフロントフレーム前後方向分割部13a(テールフレーム前後方向分割部26a)の間に形成されたフロントフレーム中間部挿入空間42a(テールフレーム中間部挿入空間42b)に挿入される。ここで、フロントフレーム中間部10bとテールフレーム中間部20aとは、同一横幅長さを有している。なお、本実施形態では、ボトムメッセル17がフロントフレーム中間部10bとともに挿入されるようにしたが、これに限らず、ボトムメッセル17を支持するボトムメッセル支持部(図示略)にボトムメッセル前後方向分割部(図示略)を設け、ボトムメッセル中間部(図示略)とフロントフレーム中間部10bを各別で挿入させるようにしてもよい。そして、S113に進む。
【0040】
S113において、フレーム中間部接触工程が実施される。このフレーム中間部接触工程では、フレーム中間部挿入工程(S112)により挿入されたフロントフレーム中間部10bの両端と分割フレーム部引離工程(S111)より左右に引き離されたそれぞれのフロントフレーム10の各フロントフレーム前後方向分割部13aとがそれぞれ引き寄せ接触されるとともに、フレーム中間部挿入工程により挿入されたテールフレーム中間部20aの両端と分割フレーム部引離工程(S111)より左右に引き離されたそれぞれのテールフレーム20の各テールフレーム前後方向分割部26aがそれぞれ引き寄せられ接触される。なお、フロントフレーム中間部10b(テールフレーム中間部20a)の両端と分割フレーム部引離工程(S111)より左右に引き離されたそれぞれのフロントフレーム10(テールフレーム20)の各フロントフレーム前後方向分割部13a(各テールフレーム前後方向分割部26a)の接触は、直接接触される場合に限らず、緩衝材などを挟んで接触する間接的な接触も含まれる。そして、S114に進む。
【0041】
S114において、フレーム中間部連結工程が実施される。このフレーム中間部連結工程では、フレーム中間部接触工程(S113)により接触されたフロントフレーム中間部10bの両端部と分割フレーム部引離工程(S111)より左右に引き離されたそれぞれのフロントフレーム10の各フロントフレーム前後方向分割部13a、すなわち、フロントフレーム中間部10bの両端部とそれぞれに対向するフロントフレーム10のフロントフレーム前後方向分割部13aのそれぞれの端部がボルト19aとナット19bで連結され(
図6(a)参照)、具体的には、フレーム中間部接触工程により接触されたフロントフレーム中間部10bの両端部と分割フレーム部引離工程(S111)より左右に引き離されたそれぞれのフロントフレーム10の各フロントフレーム前後方向分割部13aに形成されたボルト挿入口13bにボルト19aが挿入され、そのボルト19aはナット19bにより締結されるとともに、テールフレーム中間部20aの両端部と分割フレーム部引離工程(S111)より左右に引き離されたそれぞれのテールフレーム20の各テールフレーム前後方向分割部26aに形成されたボルト挿入口26bにボルト29aが挿入され、そのボルト29aはナット29bにより締結されることにより、挿入されたフロントフレーム中間部10b(テールフレーム20含む)の両端部と分割フレーム部引離工程(S111)より左右に引き離されたそれぞれのフロントフレーム10(テールフレーム20)の各フロントフレーム前後方向分割部13a(各テールフレーム前後方向分割部26a)が連結される。これにより、メッセルシールド装置1は横方向の長さを大きくすることができるので、そのメッセルシールド装置1の横方向の長さをボックスカルバ―ト2の横幅に対応させることができる。なお、本実施形態では、挿入されたフロントフレーム中間部10b(テールフレーム20含む)の両端部と分割フレーム部引離工程(S111)より左右に引き離されたそれぞれのフロントフレーム10(テールフレーム20)の各フロントフレーム前後方向分割部13a(各テールフレーム前後方向分割部26a)をボルト19aとナット19b(ボルト29aとナット29b)で締結させたが、これに限らず、ボルトとナット以外の連結手段で連結させるようにしてもよい。また、本実施形態では、フロントフレーム10のフロントフレーム中間部10bとテールフレーム20のテールフレーム中間部20aは、同一前後直線方向上の位置で挿入連結されたが、これに限らず、略同一前後直線方向上の位置で挿入連結されてもよく、また、フロントフレーム10のフロントフレーム中間部10bとテールフレーム20のテールフレーム中間部20aが、略同一前後直線方向上にない位置で挿入連結されるようにしてもよい。この場合においても。フロントフレーム中間部10bとテールフレーム中間部20aとは、同一横幅長さを有することが必要となる。そして、S12に進む。
【0042】
S12において、前方掘削工程が実施される。この前方掘削工程では、ボックスカルバ―ト2の前方をバックフォー(図示略)を用いて掘削される。そして、S2に進む。そして、S2→S3→S4→S5→S6の処理が行われ、上述したように、S6において、「Yes」と判断されることにより、S13に進む。なお、本実施形態では、前方掘削工程(S12)がフロントメッセル地山貫入工程(S2)と別々に実施されるように説明したが、これに限らず、フロントメッセル地山貫入工程(S2)から中間ジャッキ収縮工程(S4)が実施されながら、前方掘削工程(S12)を実施してもよい。
【0043】
S13において、地盤埋設工程が実施される。この地盤埋設工程では、ボックスカルバート2の上部から周辺に土が流し込まれるとともに、その掘削された地盤を埋めてもとの状態に戻される。これにより、オープンピット工法は終了する。
【0044】
以上説明したように、フロントフレーム10とテールフレーム20が分割され、その分割されたフロントフレーム10とテールフレーム20の同一前後直線方向位置に配されたフロントフレーム中間部10b(ボトムメッセル17含む)とテールフレーム中間部20aが抜き取られ、抜き取られたフロントフレーム中間部10bの端部と結合していたフロントフレーム10のフロントフレーム前後方向分割部13a同士およびテールフレーム中間部20aの端部と結合していたテールフレーム20のテールフレーム前後方向分割部26a同士をそれぞれ連結させることによりメッセルシールド装置1の横方向の長さを縮めることができる。また、これに加えて、フロントフレーム中間部挿入空間42aおよびテールフレーム中間部挿入空間42bに、フロントフレーム中間部10bおよびテールフレーム中間部20aがそれぞれ挿入され、その挿入されたフロントフレーム中間部10bの両端部と分割フレーム部引離工程(S111)より左右に引き離されたそれぞれのフロントフレーム10の各フロントフレーム前後方向分割部13aおよび挿入されたテールフレーム中間部20aの両端部と分割フレーム部引離工程(S111)より左右に引き離されたそれぞれのテールフレーム20の各テールフレーム前後方向分割部26aが連結されることによりメッセルシールド装置1の横方向の長さを大きくすることができるので、そのメッセルシールド装置1の横方向の長さをボックスカルバート2の横幅に対応させることができる。これにより、地中内に埋設するボックスカルバート2の横幅が変わった場合でも、大きな負荷が生じない作業で、メッセルシールド装置1の横方向の長さが異なるボックスカルバート2を埋設することができるので、ボックスカルバート2の埋設工事の作業負担の増大を最小限に抑えることができるとともに、ボックスカルバート2の埋設工事の工期が長期化することも防止することができる。
【0045】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0046】
1 メッセルシールド装置
2 ボックスカルバート
3 上部載置板状部
4 枠体
10 フロントフレーム
10a ボトムジャッキ載置凹部
10b フロントフレーム中間部
11 縦柱材
12 横補強材
13 切梁
13a フロントフレーム前後方向分割部
13b フロントフレームボルト挿入孔
14 支持梁
15 圧入ジャッキ
16 ボトムジャッキ
17 ボトムメッセル
18 制御ユニット
19a ボルト
19b ナット
20 テールフレーム
20a テールフレーム中間部
21 水平梁
22 そり体
23 縦柱材
24 横補強材
25 枠体
26 切梁
26a テールフレーム前後方向分割部
26b テールフレームボルト挿入孔
27 吊込空間
28 補強材
29a ボルト
29b ナット
30 中間ジャッキ
31 油圧ポンプ
32 手動切換弁
33 油圧センサー
40 フロントメッセル
41 テールメッセル
42a フロントフレーム中間部挿入空間
42b テールフレーム中間部挿入空間
51 クレーン