(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040022
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】CLTパネル
(51)【国際特許分類】
E04C 2/30 20060101AFI20230314BHJP
E04C 2/12 20060101ALI20230314BHJP
E04B 1/61 20060101ALI20230314BHJP
B27M 3/00 20060101ALI20230314BHJP
B27M 1/08 20060101ALI20230314BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
E04C2/30 Y
E04C2/12 E
E04B1/61 502Z
E04B1/61 503Z
B27M3/00 C
B27M1/08 F
F16B5/02 J
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201796
(22)【出願日】2022-12-19
(62)【分割の表示】P 2019022512の分割
【原出願日】2019-02-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行者名:一般社団法人日本建築学会、刊行物名:DVD2018年度大会(東北)学術講演梗概集 建築デザイン発表梗概集、発行年月日:2018年7月20日。 集会名:2018年度日本建築学会大会(東北)、主催者名:一般社団人日本建築学会、開催日:2018年9月6日。 発行者名:長島 一郎、刊行物名:大成建設技術センター報2018年第51号、発行年月日:2018年12月1日。
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】相馬 智明
(72)【発明者】
【氏名】森田 仁彦
(72)【発明者】
【氏名】島村 高平
(72)【発明者】
【氏名】坂口 裕美
(72)【発明者】
【氏名】御所園 武
(57)【要約】
【課題】他の部材との接合強度が高く、短工期化が可能な、CLTパネルを提供する。
【解決手段】CLT10に鋼製接合具2または鋼製接合具用孔が設けられたCLTパネル1であって、前記鋼製接合具2または前記鋼製接合具用孔は、前記CLT10の少なくとも1つの外周面10cの両端部10gに、前記外周面10cから前記CLT10の内部側に向かって内蔵または開設され、前記鋼製接合具2または前記鋼製接合具用孔は、ラミナ11の板目層または柾目層14に設けられていることを特徴とするCLTパネル1を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CLTに鋼製接合具が設けられたCLTパネルであって、
前記CLTの外周面と略同一形状を成すように形成された鋼板と、
前記CLTの少なくとも1つの外周面の両端部に、前記鋼板を貫通し、前記CLTに内蔵された複数の前記鋼製接合具と、
を備え、
複数の前記鋼製接合具は、前記CLTを構成するラミナの複数の板目層または柾目層に設けられていることを特徴とするCLTパネル。
【請求項2】
更に、前記CLTの外周面の中央部付近に、前記鋼板を貫通し、前記CLTの内部側に集中して設けられる複数の線状接合具を備え、
複数の前記線状接合具は、前記CLTを構成するラミナの複数の板目層または柾目層に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のCLTパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合具または接合具用孔が設けられたCLTパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、木造の建物を施工するに際し、CLT(Cross Laminated Timber、直交集成板)が使用されている。CLTは、ラミナと呼ばれるひき板を水平面内に並べた層(プライ)を、板の繊維方向が直交するように積層、接着した、板材である。CLTは、構造躯体として建物を支えると共に、断熱性や遮炎性、遮熱性、遮音性等の様々な効果も期待できるため、近年、特に広く使用されている。
例えば、特許文献1には、隙間や割れを防止するために、ラミナの各々は、一つの長辺の仮想エッジを起点として所定の幅と深さとを有する溝が全長にわたって形成され、全体として、立体交差状に複数段に溝空間を形成しているCLTが開示されている。
【0003】
上記のようなCLTに関し、CLTと他の部材とを、またはCLT同士を接合する、さまざまな構造、方法が開示されている。
例えば、特許文献2には、複数のラミナがその幅方向に並べられて構成される層が、その層を構成するラミナの繊維方向が交互に直交するように積層接着され、全体的に平面視矩形状を呈し、長辺方向に沿った両側面の一方に突出した凸部が形成され、他方に陥没した凹部が形成されているCLTが開示されている。凸部および凹部は、当該凸部および当該凹部が形成された側面に沿って同一断面形状に形成されている。
特許文献2のCLTを2枚並べて平面的に接合する場合においては、一方のCLTの凸部を他方のCLTの凹部に嵌合させて接着剤で接着させる。
あるいは、例えば複数のCLTの凹部を対向させて形成された空間内にコンクリートを打設することにより、CLT同士を接合させる。
また、特許文献3には、プライやラミナをずらして配置させてCLTの側面に凹凸を設け、CLT同士をこの凹凸を嵌合させて接合することが開示されている。
【0004】
他の部材との接合強度がより高くなるような、CLTパネルが望まれている。
また、建物の施工においては、施工期間を低減したいという要請が常にあるため、接合強度を高くすると同時に、施工期間を短くすることも望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-87479号公報
【特許文献2】特許第6384933号公報
【特許文献3】特開2017-119436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、他の部材との接合強度が高く、短工期化が可能な、CLTパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、CLTに鋼製接合具または鋼製接合具用孔が設けられたCLTパネルであって、前記鋼製接合具または前記鋼製接合具用孔は、前記CLTの少なくとも1つの外周面の両端部に、前記外周面から前記CLTの内部側に向かって内蔵または開設され、前記鋼製接合具または前記鋼製接合具用孔は、前記CLTのラミナの板目層または柾目層に設けられていることを特徴とするCLTパネルを提供する。
上記のような構成によれば、CLTに鋼製接合具用孔のみが設けられている場合においては、鋼製接合具用孔に鋼製接合具を設けたうえで、鋼製接合具を介してCLTを他の部材に接合することで、CLTパネルと他の部材とが接合される。ここで、鋼製接合具または鋼製接合具用孔は、CLTのラミナの板目層または柾目層に設けられている。接合具1つあたりのせん断剛性及び耐力は、接合具をラミナの木口が現れる木口層に設ける場合よりも、ラミナの板目が現れる板目層、または柾目が現れる柾目層に設ける場合のほうが高いことが、実験により確認された。
また、鋼製接合具または鋼製接合具用孔は、CLTの少なくとも1つの外周面の両端部に設けられている。このため、地震等が生じた際には、CLTの外周面の両端部に設けられた其々の鋼製接合具を介してCLTに生じる回転変形や浮き上がりに対して、効果的に抵抗することが可能である。
以上の効果が相乗し、CLTパネルを他の部材に強固に接合することができる。
また、例えばCLTパネルの工場出荷時において、鋼製接合具または鋼製接合具用孔をCLTに予め設けることが可能となる。このような場合には、建設現場でのCLTパネルの加工作業や組み立て作業を低減することができるため、建設現場での作業量を低減可能である。これにより、短工期化が可能である。
【0008】
本発明の一態様においては、前記鋼製接合具は、雌ネジが設けられたネジ孔を有し、前記CLTに内蔵されて設けられる胴体アンカー部と、当該胴体アンカー部の、前記CLTの前記外周面側に、当該外周面に沿って設けられる座金部と、を備えていることを特徴とする。
上記のような構成によれば、胴体アンカー部は、雌ネジが設けられたネジ孔を有し、CLTに内蔵されて設けられる。このため、ボルト等の雄ネジを有する接合具を、CLTとの間に鋼板等の部材を挟んで胴体アンカー部のネジ孔に緊締することで、この部材を介して、CLTと他の部材とが接合される。
このような場合において、鋼製接合具は、CLTの外周面に沿って設けられる座金部を備えているため、座金部が胴体アンカー部よりも大きな支圧面を構成する。すなわち、地震等によりCLTに回転変形や浮き上がるような力が作用した際に、圧縮力を広い受圧面積でCLTに伝達することができる。これにより、鋼製接合具近傍の破損を抑制し、CLTパネルを他の部材に強固に接合することができる。
【0009】
本発明の別の態様においては、前記鋼製接合具は、雄ネジが設けられ、前記CLTの前記外周面からねじ込まれて前記CLTに内蔵される胴体ネジ部と、当該胴体ネジ部の、前記CLTの前記外周面側に、当該外周面に沿って設けられる座金部と、雄ネジが設けられ、前記胴体ネジ部の前記座金部を挟んだ反対側に、前記胴体ネジ部が延伸するように設けられる突出部と、を備えていることを特徴とする。
上記のような構成によれば、本CLTパネルを他の部材に接合する際には、例えば、他の部材を挟んでナットなどの雌ネジが設けられたネジ孔を有する接合具を突出部の雄ネジに羅着させることで、CLTパネルが他の部材に固定される。
このような場合において、鋼製接合具は、CLTの外周面に沿って設けられる座金部を備えているため、座金部が胴体ネジ部よりも大きな支圧面を構成する。すなわち、地震等によりCLTに回転変形や浮き上がるような力が作用した際に、圧縮力を広い受圧面積でCLTに伝達することができる。これにより、鋼製接合具近傍の破損を抑制し、CLTパネルを他の部材に強固に接合することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、他の部材との接合強度が高く、短工期化が可能な、CLTパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態におけるCLTパネルを他の部材に接合する際の、正面視した分解図である。
【
図2】上記CLTパネルに用いられるCLTの斜視図である。
【
図4】(a)は、
図1のB-B部分の縦断面図であり、(b)は(a)のC矢視部分の拡大図である。
【
図5】第1実施形態によるCLTパネルの要素試験体の、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図6】CLTパネルの比較試験体の、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図7】
図5に示すCLTパネルの要素試験体による荷重-変位関係の実験結果である。
【
図8】CLTパネルの実験結果による接合具1本あたりが負担する荷重、変位の比較表(第1実施形態の要素試験体)である。
【
図9】CLTパネルの実験結果による接合具1本あたりが負担する荷重、変位の比較表(比較例)である。
【
図10】本発明の第2実施形態におけるCLTパネルを他の部材に接合する際の、正面視した分解図である。
【
図12】(a)は、CLTパネルが他の部材に接合された状態の側面図であり、(b)は(a)のG矢視部分を拡大した説明図である。
【
図13】本発明の第3実施形態におけるCLTパネルを他の部材に接合する際の、正面視した分解図である。
【
図14】
図13のCLTパネルを他の部材側から視た横断面図である。
【
図16】上記機第3実施形態の変形例を示す説明図である。
【
図17】本発明の第4実施形態におけるCLTパネルを他の部材に接合する際の、正面視した分解図である。
【
図18】
図17のCLTパネルを他の部材側から視た横断面図である。
【
図20】他の変形例を示すCLTパネルの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態におけるCLTパネル1を他の部材100に接合する際の、正面視した分解図である。
図2は、CLTパネル1に用いられるCLT10の斜視図である。
図3は、
図1のA-A部分の横断面図である。
図4(a)は、は、
図1のB-B部分の縦断面図であり、
図4(b)は
図4(a)のC矢視部分の拡大図である。
CLTパネル1は、CLT10、鋼製接合具2、鋼板5、線状接合具6、ボルト7、及びナット8を備えている。
【0013】
CLT(Cross Laminated Timber、直交集成板)10は、
図2に示されるように、ラミナ11と呼ばれるひき板を水平面内に並べて層(プライ12)を形成し、このプライ12を、ラミナ11の繊維方向が直交するように積層、接着した、板材である。
CLT10は、長さ方向CXに延在する辺と幅方向CYに延在する辺を外輪郭とする2つの表裏面10aと、幅方向CYに延在する辺と厚さ方向CZに延在する辺を外輪郭とする2つの外周面10bと、及び、長さ方向CXに延在する辺と厚さ方向CZに延在する辺を外輪郭とする2つの他の外周面10cを備えている。
本実施形態のCLT10は7層構造であり、第1~第7のプライ12A~12Gを備えている。
図2において最も上に示される第1プライ12A、及び、この第1プライ12Aから下に向かって数えたときに奇数番目に位置する第3、第5、第7プライ12C、12E、12Gは、ラミナ11の長さ方向がCLT10の幅方向CYに一致するように設けられている。これに対し、上から数えて偶数番目に位置する第2、第4、第6プライ12B、12D、12Fは、ラミナ11の長さ方向がCLT10の長さ方向CXに一致するように設けられている。
【0014】
各ラミナ11は、木口面11a、板目面11b、及び柾目面11cを備えている。木口面11aは、木材を繊維方向に直交して切断することにより、年輪が現れている表面である。板目面11bは、木材を年輪の接線方向に切断することにより、木目が平行ではなく、山形や不規則な波形となって表れている表面である。柾目面11cは、木材を、その中心に向かう半径方向に切断することにより、木目が略平行に表れている表面である。
例えば、
図2に示されるCLT10の表裏面10aには、ラミナ11の板目面11bが表れている。外周面10bには、第1プライ12Aから下に向けて順に、柾目面11c、木口面11a、板目面11b、木口面11a、柾目面11c、木口面11a、柾目面11cが表れている。外周面10cには、同様に上から下に、木口面11a、板目面11b、木口面11a、柾目面11c、木口面11a、柾目面11c、木口面11aが表れている。
以下、CLT10の外周面10b、10cにおいて、ラミナ11の木口面11a、板目面11b、柾目面11cが表れているプライ12を、それぞれ、CLT10の木口層13、板目層、柾目層と記載する。以下の説明においては、特に、板目層と柾目層を木口層13と区別する必要があるため、これらを板目・柾目層(板目層または柾目層)14とまとめて記載する。
以降の説明において使用される
図3、
図11、
図14、
図18においては、CLTの外周面に露出して描かれている板目・柾目層14は、ドットの模様がつけて示されている。
【0015】
一方の外周面10cには、これと隣接する表裏面10aの一方との間にかけて切り欠かれた、切り欠き10dが設けられている。切り欠き10dは、外周面10cの長さ方向CXにおける両方の端部10gと中央部10hの各々に設けられている。
切り欠き10dが設けられた外周面10cには、長さ方向CXにおける端部10gの各々に4つ、計8つの凹部10eが設けられている。凹部10eは、各端部10gにおいて、厚さ方向CZに沿って2つが並び、その長さ方向CXにおける内側に、同様に厚さ方向CZに沿って2つが並ぶように設けられている。
各凹部10eの中心には、CLT10の内部へ向けて開設された10fが設けられている。この孔10fには、後述する鋼製接合具2の胴体アンカー部3がねじ込まれるため、以降、鋼製接合具用孔10fと呼称する。鋼製接合具用孔10fは、ラミナ11の板目・柾目層14の少なくとも一部を含んで設けられている。本実施形態においては、鋼製接合具用孔10fは、CLT10の外周面10cに表れている、第2プライ12Bに対応するラミナ11の板目層と、第6プライ12Fに対応するラミナ11の柾目層の各々に設けられている。
【0016】
鋼製接合具2は、胴体アンカー部3と座金部4を備えている。
胴体アンカー部3は、外側表面3aに雄ネジが形成された円柱状の部材である。胴体アンカー部3の一方の端部には、孔3bが開設されている。孔3bは、雌ネジが設けられたネジ孔3bとなっている。胴体アンカー部3の、ネジ孔3bが設けられた端部側には、胴体アンカー部3の外径よりも大きな径を備える座金部4が設けられている。座金部4の中心には、ネジ孔3bと連通するように孔4bが設けられている。
CLTパネル1は、CLT10の鋼製接合具用孔10fに対応して、8つの鋼製接合具2を備えている。各鋼製接合具2は、胴体アンカー部3がCLT10の鋼製接合具用孔10fにねじ込まれ、座金部4が凹部10e内に収まるように設けられている。これにより、各鋼製接合具2は、CLT10の外周面10cの両端部10gに、外周面10cからCLT10の内部側に向かって内蔵されるように、ラミナ11の板目・柾目層14に設けられている。
より詳細には、本実施形態においては、CLT10の外周面10cに表れている、第2プライ12Bに対応するラミナ11の板目層と、第6プライ12Fに対応するラミナ11の柾目層の各々に、鋼製接合具2は固定されている。
【0017】
上記のように設けられた結果、胴体アンカー部3のネジ孔3bの開口部3cが、CLT10の外周面10c側に位置するように、鋼製接合具2は設けられている。鋼製接合具2はまた、座金部4の胴体アンカー部3とは反対側の表面4cが、外周面10cに沿って、外周面10cと略同一の平面となるように設けられている。
本実施形態においては、胴体アンカー部3と座金部4は一体に形成されている。しかし、後述するように、胴体アンカー部3のネジ孔3bには座金部4を挟んだ反対側からボルト103が緊締されることにより、胴体アンカー部3と座金部4は圧着される方向の力が作用する。したがって、胴体アンカー部3と座金部4は別の部材として形成されていてもよい。
【0018】
鋼板5は、CLT10の外周面10cと略同一形状を成すように形成されている。鋼板5は、切り欠き10dが設けられた側の外周面10cに添えられて、切り欠き10dの外周面10c側の開口を閉鎖するように設けられている。
線状接合具6は、例えば釘、ビス等の接合具である。線状接合具6は、外周面10cに添えられた鋼板5の、CLT10とは反対側から、鋼板5に設けられた図示されない孔を介して打ち込み、またはねじ込まれている。線状接合具6も、鋼製接合具2と同様に、第2プライ12Bに対応するラミナ11の板目層と、第6プライ12Fに対応するラミナ11の柾目層の各々に固定されている。
第2プライ12Bと第6プライ12Fの各々において、線状接合具6は、CLT10の長さ方向CXと平行な、
図3に二点鎖線で示される2つの仮想直線L1、L2(第2プライ12B上のみに図示)上に、長さ方向CXに向かうにつれて線状接合具6がこれら2つの仮想直線L1、L2上に交互に現れるように設けられている。このように、各板目・柾目層14に対し、線状接合具6は、千鳥状に整列されて設けられている。
本実施形態においては、線状接合具6は、CLT10の長さ方向CXにおける中央部10h近傍に、集中して設けられている。
鋼板5には、CLT10に設けられた胴体アンカー部3のネジ孔3b及び座金部4の孔4bと対応する位置に、ネジ孔3b及び孔4bと連通するように、孔5bが開設されている。
上記のように設けられた結果、胴体アンカー部3のネジ孔3bは、孔4b及び孔5bを介して、鋼板5の表面5cから露出するように設けられている。
【0019】
ボルト7は、各切り欠き10dに対応して設けられている。ボルト7の頭部7aは、切り欠き10d内に収まるように設けられている。鋼板5の、切り欠き10dに対応する位置には、図示されない孔が開設されており、ボルト7の軸部7bは、切り欠き10dから鋼板5を挟んだ外側へ向けて、鋼板5の孔を貫通し、鋼板5の表面5cから突出するように設けられている。
【0020】
次に、上記のCLTパネル1が接合される対象となる他の部材100を説明する。本実施形態においては、他の部材100もCLTパネルであり、CLT101、鋼板102、ボルト103を備えている。CLTパネル1と他の部材100は、各々の厚さ方向に延在して位置する表面5c、102cが互いに接触するように設けられることで、1つの平面、例えば建築構造物の壁面を形成する。
CLT101の外周面101cには、CLTパネル1の鋼製接合具2、ボルト7と対応する位置に切り欠き101dが形成されている。鋼板102は、外周面101cに沿って設けられており、切り欠き101dの外周面101c側の開口を閉鎖するように設けられている。鋼板102は、CLTパネル1と同様に、例えば釘、ビス等の接合具である線状接合具106によって、CLT101に接合されている。鋼板102の、CLTパネル1の鋼製接合具2及びボルト7と対応する位置には、図示されない孔が開設されている。
ボルト103は、鋼製接合具2に対応して設けられている。ボルト103の頭部103aは、切り欠き101d内に収まるように設けられている。ボルト103の軸部103bは、切り欠き101dから鋼板102を挟んだ外側へ向けて、鋼板102の孔を貫通し、鋼板102の表面102cから突出するように設けられている。
【0021】
本実施形態におけるCLTパネル1は、建設現場での施工に先立ち、例えば工場において事前に製造されて、建設現場へ搬送される。
建設現場に搬送されたCLTパネル1は、上記のような他の部材100に対して、CLTパネル1の鋼板5と他の部材100の鋼板102とが接触するように位置づけられる。
この状態で、ボルト7の軸部7bは、鋼板102の対応する孔を貫通して切り欠き101d内に位置するように設けられて、ナット8が羅着される。
また、ボルト103の軸部103bは、鋼板5の孔5bと座金部4の孔4bを貫通して、胴体アンカー部3のネジ孔3bに緊締される。
このようにして、CLTパネル1と他の部材100は互いに接合されている。
【0022】
本実施形態においては、上記のように、鋼製接合具2及び線状接合具6は、CLT10の外周面10cのラミナ11の板目・柾目層14に貫入され、固着されている。線状接合具6を、CLT10の木口層13に固定する場合に比べると、板目・柾目層14に固定した場合のほうが、線状接合具6一本あたりの接合剛性及び耐力が向上することが、実験により明らかとなった。ここでは次に、当該実験の仕様及び結果を説明する。なお、本実験は特に線状接合具6に対して実施したものであるが、鋼製接合具2においても同様な結果となり得る。
【0023】
図5は、耐力壁脚部を対象とした第1実施形態によるCLTパネルの要素試験体と、変位計測位置を示す。
図5(a)は、本実施形態に基づいた実施例を対象とする要素試験体の正面図、
図5(b)は側面図である。
実施例の要素試験体となるCLT200は、日本農林規格におけるCLT(Mx60-5-7、t=210mm、平均密度0.42g/cm
3、平均含水率11.3%)相当で、サイズが700×1700mmのものを使用した。CLT200の側面に左右から先孔を開けた2枚の鋼板201(t=16mm)を添えて全ネジビス202(PX8-140)にて止めつけた。ビス性能の加算則を確認するため、ビス本数は20本、40本、59本の3種類として各1体とした。ビス202を柾目層、板目層に打つように配置した。反力側には、谷径φ20.1mm、外径φ26.5mm、長さ400mmのラグスクリューボルト203を10本打ち込み、M24ボルトで加力用架台に取り付けた。加力は1方向1回繰り返し加力とし、繰り返し変位は、別途実施した集成材を対象としたビスのせん断実験で求めたビスのせん断降伏変位δyの1/2、1、2、4、6、8、12、16倍とした。
【0024】
図6(a)は、第1実施形態によるCLTパネルと比較するために、CLTの外周面に表れているラミナの木口層に全ネジビスを打ち込んだもので、
図5に示すCLTパネルに対する比較試験体の正面図であり、
図6(b)は側面図である。
比較例の試験体となるCLT210は、上記のCLT200と同構成で、平均密度0.42g/cm
3、平均含水率11.6%、サイズが300×300mmのものを使用した。CLT210の側面を鋼板211で挟み込み、1枚の鋼板211に対して2本ずつ、上記と同様の全ネジビス212で鋼板211をCLT210の側面に表れているラミナの木口層に打ちとめた。試験体数は7体とした。加力はCLT210の面内方向に左右の鋼板211を引っ張ることで行った。1方向1回繰り返し加力とし繰り返し変位は、1体目に実施して求めたビスのせん断降伏変位δyの1/2、1、2、4、6、8、12、16倍とした。
【0025】
図7は、
図5に示すCLTパネルの要素試験体による鋼板1枚あたりの荷重-変位関係の実験結果である。
図8は、CLTパネルの実験結果で得られた接合具1本あたりが負担する荷重、変位の比較表(第1実施形態の要素試験体)である。
ビス本数20本では、最大荷重到達後、荷重がその0.8倍に低下するまで載荷した。破壊性状としては、ビスによるCLTの支圧破壊と繰り返し加力によるビスの破断が確認された。ビス本数40本では、試験機の加力限界となったこと、ビス本数59本では反力側のラグスクリューボルトで破壊したことにより引ききれず、それぞれ444kN、449kNで加力を終了したため、最大荷重は計測できなかった。したがって、
図8に示す40本、59本の特性値は参考とする。なお、加力終了時点の荷重まで隣接するビス同士の間で木材が割れる集合型せん断破壊を生じることなく、ビス59本では設計荷重の260kNを超え、十分な耐力を有することが確認できた。
【0026】
図9は、
図6に示すCLTパネルの比較試験体による接合具が負担する荷重、変位の比較表である。破壊性状としては、CLTラミナが引き裂かれるような破壊とビスの破断が確認された。降伏荷重Pyは、ビスをCLTのラミナの柾目層14に打ち込んだ
図8に示す20本の要素試験体では5.44kNであったが、ビスをCLTのラミナの木口層13に打ち込んだ
図9に示す比較試験体では4.04kNであった。本実験結果では、第1実施形態に基づく実施例を模擬した要素試験体に比べて、比較試験体では降伏荷重Pyが80%程度と低いことが確認された。
【0027】
次に、上記のCLTパネル1の効果について説明する。
本実施形態におけるCLTパネル1は、CLT10に鋼製接合具2が設けられたCLTパネル1であって、鋼製接合具2は、CLT10の少なくとも1つの外周面10cの両端部10gに、外周面10cからCLT10の内部側に向かって内蔵され、鋼製接合具2は、CLT10のラミナ11の板目・柾目層14(板目層または柾目層)に設けられている。
上記のような構成によれば、鋼製接合具2を介してCLT10を他の部材100に接合することで、CLTパネル1と他の部材100とが接合される。ここで、鋼製接合具2は、CLT10のラミナ11の板目・柾目層14に設けられている。接合具1つあたりのせん断剛性及び耐力は、接合具をラミナ11の木口が現れる木口層13に設ける場合よりも、ラミナ11の板目が現れる板目層、または柾目が現れる柾目層、すなわち板目・柾目層14に設ける場合のほうが高いことが、実験により確認された。
また、鋼製接合具2の、特に外周面10cの長さ方向CXにおける外側に設けられた鋼製接合具2は、CLT10の少なくとも1つの外周面10cの両端部10gに設けられている。このため、地震等が生じた際には、CLT10の外周面10cの両端部10gに設けられた其々の鋼製接合具2を介してCLT10に生じる回転変形や浮き上がりに対して、効果的に抵抗することが可能である。
以上の効果が相乗し、CLTパネル1を他の部材100に強固に接合することができる。
また、例えばCLTパネル1の工場出荷時において、鋼製接合具2をCLT10に予め設けることが可能となる。このような場合には、建設現場でのCLTパネル1の加工作業や組み立て作業を低減することができるため、建設現場での作業量を低減可能である。これにより、短工期化が可能である。
【0028】
また、鋼製接合具2は、雌ネジが設けられたネジ孔3bを有し、CLT10に内蔵されて設けられる胴体アンカー部3と、胴体アンカー部3の、CLT10の外周面10c側に、外周面10cに沿って設けられる座金部4と、を備えている。
上記のような構成によれば、胴体アンカー部3は、雌ネジが設けられたネジ孔3bを有し、CLT10に内蔵されて設けられる。このため、ボルト103等の雄ネジを有する接合具を、CLT10との間に鋼板5、102等の部材を挟んで胴体アンカー部3のネジ孔3bに緊締することで、この部材5、102を介して、CLT10と他の部材100とが接合される。
このような場合において、鋼製接合具2は、CLT10の外周面10cに沿って設けられる座金部4を備えているため、座金部4が胴体アンカー部3よりも大きな支圧面を構成する。すなわち、地震等によりCLT10に回転変形や浮き上がるような力が作用した際に、圧縮力を広い受圧面積でCLT10に伝達することができる。これにより、鋼製接合具2近傍の破損を抑制し、CLTパネル1を他の部材100に強固に接合することができる。
【0029】
本実施形態のCLTパネル1においては、建設現場での施工に先立ち、例えば工場において事前に製造されて、建設現場へ搬送される。このため、建設現場での施工時間を短縮できるとともに、建設現場での複雑な作業の量が低減される。このため、建設現場での安全性が向上する。
【0030】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。
図10は、第2実施形態におけるCLTパネル21を他の部材110に接合する際の、正面視した分解図である。
図11は、
図10のE-E部分の横断面図である。
図12(a)は、CLTパネル21が他の部材110に接合された状態の側面図であり、
図12(b)は
図12(a)のG矢視部分を拡大した説明図である。
CLTパネル21は、CLT10A、鋼製接合具22、鋼材25、線状接合具6、及びボルト26を備えている。
CLT10Aは、第1実施形態において
図2を用いて示したCLT10とは、切り欠き10dが設けられていない点のみが相違しており、他の構成は同等であるため、詳細な説明を省略する。
【0031】
鋼製接合具22は、胴体アンカー部23と座金部24を備えている。
胴体アンカー部23は、外側表面23aに雄ネジが形成された円柱状の部材である。胴体アンカー部23の一方の端部には、孔23bが開設されている。孔23bは、雌ネジが設けられたネジ孔23bとなっている。胴体アンカー部23の、ネジ孔23bが設けられた端部側には、胴体アンカー部23の外径よりも大きな径を備える座金部24が設けられている。座金部24の中心には、ネジ孔23bと連通するように孔24bが設けられている。
CLTパネル21は、CLT10Aの鋼製接合具用孔10fに対応して、8つの鋼製接合具22を備えている。各鋼製接合具22は、胴体アンカー部23がCLT10Aの鋼製接合具用孔10fにねじ込まれ、座金部24が凹部10e内に収まるように設けられている。これにより、各鋼製接合具22は、CLT10Aの外周面10cの両端部10gに、外周面10cからCLT10Aの内部側に向かって内蔵されるように、ラミナ11の板目・柾目層14に設けられている。
より詳細には、本実施形態においては、CLT10Aの外周面10cに表れている、第2プライ12Bに対応するラミナ11の板目層と、第6プライ12Fに対応するラミナ11の柾目層の各々に、鋼製接合具22は固定されている。
【0032】
上記のように設けられた結果、胴体アンカー部23のネジ孔23bの開口部23cが、CLT10Aの外周面10c側に位置するように、鋼製接合具22は設けられている。鋼製接合具22はまた、座金部24の胴体アンカー部23とは反対側の表面24cが、外周面10cに沿って、外周面10cと略同一の平面となるように設けられている。
本実施形態においては、胴体アンカー部23と座金部24は一体に形成されている。しかし、後述するように、胴体アンカー部23のネジ孔23bには座金部24を挟んだ反対側からボルト26が緊締されることにより、胴体アンカー部23と座金部24は圧着される方向の力が作用する。したがって、胴体アンカー部23と座金部24は別の部材として形成されていてもよい。
【0033】
鋼材25は、フランジ25aとウェブ25bとを有し、断面がT形状となるように形成されている。鋼材25は、より詳細には、例えば、フランジ25aとして用いられる長尺の鋼板の一方の表面25cの、幅方向の中心位置に、ウェブ25bとして用いられる他の長尺の鋼板を、これらが互いに垂直となるように接合して形成されている。鋼材25は、例えばT形鋼を適切な長さに伐って形成されてもよい。フランジ25aは、CLT10Aの外周面10cと略同一形状を成すように形成されている。鋼材25は、ウェブ25bとは反対側の表面25dが、外周面10cに添えられて設けられている。ウェブ25bには、複数の孔25hが開設されている。
線状接合具6は、例えば釘、ビス等の接合具である。線状接合具6は、外周面10cに添えられた鋼材25のフランジ25aの、CLT10Aとは反対側から、フランジ25aに設けられた図示されない孔を介して打ち込み、またはねじ込まれている。線状接合具6も、鋼製接合具22と同様に、第2プライ12Bに対応するラミナ11の板目層と、第6プライ12Fに対応するラミナ11の柾目層の各々に固定されている。
第1実施形態と同様に、線状接合具6は、各板目・柾目層14に対し、千鳥状に整列されて設けられている。また、第1実施形態と同様に、線状接合具6は、CLT10の長さ方向CXにおける中央部10h近傍に、集中して設けられている。
【0034】
鋼材25のフランジ25aには、CLT10Aに設けられた胴体アンカー部23のネジ孔23b及び座金部24の孔24bと対応する位置に、ネジ孔23b及び孔24bと連通するように、孔25eが開設されている。
上記のように設けられた結果、胴体アンカー部23のネジ孔23bは、次に説明するボルト26が設けられる前の状態において、孔24b及び孔25eを介して、鋼材25の表面25cから露出するように設けられている。
ボルト26は、鋼材25のCLT10Aとは反対側から、フランジ25aの孔25eと座金部24の孔24bを貫通して、上記のように露出した胴体アンカー部23のネジ孔23bにねじ込まれている。
上記第1実施形態においては、
図1に示されるように、胴体アンカー部3のネジ孔3bに緊締されるボルト103は、他の部材100のCLT101に設けられた切り欠き101d内に収納された後に緊締されるため、切り欠き101dに収容可能な大きさである必要があった。しかし、本実施形態においては、ボルト26は、他の部材110をCLT10Aに接合する前の状態において、鋼材25をCLT10Aに接合する際にネジ孔23bにねじ込むことができる。すなわち、ボルト26をねじ込む際に干渉する部材がないため、ボルト26には大きさの制限がなく、したがって第1実施形態よりも長尺なものを使用可能である。本実施形態においては、鋼製接合具22は、例えばラグスクリューボルトである。
【0035】
次に、上記のCLTパネル21が接合される対象となる他の部材110を説明する。本実施形態においては、他の部材110は、例えば床であり、コンクリート部111と鋼材112を備えている。CLT10Aは、コンクリート部111の表面111cに対して立てて設けられることで、例えば建築構造物の壁面を形成する。
鋼材112は、フランジ112aとウェブ112bを備えており、鋼材25と同様に断面がT形状となるように形成されている。鋼材112は、フランジ112aがコンクリート部111の表面111cに沿って、ウェブ112bが上方を向くように設けられて、図示されないアンカー等によりコンクリート部111に固定されている。ウェブ112bには、鋼材25のウェブ25bに開設された孔25hと対応する位置に、孔112hが開設されている。
【0036】
本実施形態におけるCLTパネル21は、建設現場での施工に先立ち、例えば工場において事前に製造されて、建設現場へ搬送される。
建設現場に搬送されたCLTパネル21は、上記のような他の部材110に対して、CLTパネル21の鋼材25が下側に位置して、鋼材25のウェブ25bと他の部材110の鋼材112のウェブ112bとが接触するように位置づけられる。
この状態で、ウェブ25bの孔25hとウェブ112bの孔112hを貫通するようにボルト113が設けられて、ナット114が羅着、緊締されることで、CLTパネル21と他の部材110が互いに接合されている。
【0037】
本実施形態においては、上記のように、鋼製接合具22及び線状接合具6は、CLT10Aの外周面10cのラミナ11の板目・柾目層14に貫入され、固着されている。接合具を、CLT10Aの木口層13に固定する場合に比べると、板目・柾目層14に固定した場合のほうが、接合具一本あたりの接合剛性及び耐力が向上することは、第1実施形態において既に説明した実験によって検証されている。
【0038】
次に、上記のCLTパネル21の効果について説明する。
本実施形態におけるCLTパネル21は、CLT10Aに鋼製接合具22が設けられたCLTパネル21であって、鋼製接合具22は、CLT10Aの少なくとも1つの外周面10cの両端部10gに、外周面10cからCLT10Aの内部側に向かって内蔵され、鋼製接合具22は、CLT10Aのラミナ11の板目・柾目層14(板目層または柾目層)に設けられている。
上記のような構成によれば、鋼製接合具22を介してCLT10Aを他の部材110に接合することで、CLTパネル21と他の部材110とが接合される。ここで、鋼製接合具22は、CLT10Aのラミナ11の板目・柾目層14に設けられている。接合具1つあたりのせん断剛性及び耐力は、接合具をラミナ11の木口が現れる木口層13に設ける場合よりも、ラミナの板目が現れる板目層、または柾目が現れる柾目層、すなわち板目・柾目層14に設ける場合のほうが高いことが、実験により確認された。
また、鋼製接合具22の、特に外周面10cの長さ方向CXにおける外側に設けられた鋼製接合具22は、CLT10Aの少なくとも1つの外周面10cの両端部10gに設けられている。このため、地震等が生じた際には、CLT10Aの外周面10cの両端部10gに設けられた其々の鋼製接合具22を介してCLT10Aに生じる回転変形や浮き上がりに対して、効果的に抵抗することが可能である。
以上の効果が相乗し、CLTパネル21を他の部材110に強固に接合することができる。
また、例えばCLTパネル21の工場出荷時において、鋼製接合具22をCLT10Aに予め設けることが可能となる。このような場合には、建設現場でのCLTパネル21の加工作業や組み立て作業を低減することができるため、建設現場での作業量を低減可能である。これにより、短工期化が可能である。
【0039】
また、鋼製接合具22は、雌ネジが設けられたネジ孔23bを有し、CLT10Aに内蔵されて設けられる胴体アンカー部23と、胴体アンカー部23の、CLT10Aの外周面10c側に、外周面10cに沿って設けられる座金部24と、を備えている。
上記のような構成によれば、胴体アンカー部23は、雌ネジが設けられたネジ孔23bを有し、CLT10Aに内蔵されて設けられる。このため、ボルト26等の雄ネジを有する接合具を、CLT10Aとの間に鋼材25等の部材を挟んで胴体アンカー部23のネジ孔23bに緊締することで、この部材25を介して、CLT10Aと他の部材110とが接合される。
このような場合において、鋼製接合具22は、CLT10Aの外周面10cに沿って設けられる座金部24を備えているため、座金部24が胴体アンカー部23よりも大きな支圧面を構成する。すなわち、地震等によりCLT10Aに回転変形や浮き上がるような力が作用した際に、圧縮力を広い受圧面積でCLT10Aに伝達することができる。これにより、鋼製接合具22近傍の破損を抑制し、CLTパネル21を他の部材110に強固に接合することができる。
【0040】
本実施形態のCLTパネル21においては、建設現場での施工に先立ち、例えば工場において事前に製造されて、建設現場へ搬送される。このため、建設現場での施工時間を短縮できるとともに、建設現場での複雑な作業の量が低減される。このため、建設現場での安全性が向上する。
【0041】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を説明する。
図13は、第3実施形態におけるCLTパネル31を他の部材120に接合する際の、正面視した分解図である。
図14は、
図13のCLTパネル31を他の部材120側から視た説明図である。
図15は、
図13のI-I部分の縦断面図である。
CLTパネル31は、CLT10B及び鋼製接合具2を備えている。
CLT10Bは、第1実施形態において
図2を用いて示したCLT10とは、切り欠き10dが設けられていない点が異なっている。また、CLT10Bは、CLT10とは、鋼製接合具用孔10fが、CLT10Bの外周面10cに表れている、第4プライ12Dに対応するラミナ11の柾目層を一部含んで設けられている点が相違している。CLT10Bには、4つの鋼製接合具用孔10fが設けられている。本実施形態のCLT10Bは、第1実施形態のCLT10と、上記以外の構成は同等であるため、他の説明を省略する。
【0042】
鋼製接合具2は、胴体アンカー部3と座金部4を備えている。これら胴体アンカー部3と座金部4の各々の構成は、第1実施形態と同等であるため、説明を省略する。
CLTパネル31は、CLT10Bの鋼製接合具用孔10fに対応して、4つの鋼製接合具2を備えている。各鋼製接合具2は、胴体アンカー部3がCLT10Bの鋼製接合具用孔10fにねじ込まれ、座金部4が凹部10e内に収まるように設けられている。これにより、各鋼製接合具2は、CLT10Bの外周面10cの両端部10gに、外周面10cからCLT10Bの内部側に向かって内蔵されるように、ラミナ11の板目・柾目層14に設けられている。
より詳細には、本実施形態においては、CLT10Bの外周面10cに表れている、第4プライ12Dに対応するラミナ11の柾目層に、鋼製接合具2は固定されている。
【0043】
上記のように設けられた結果、胴体アンカー部3のネジ孔3bの開口部3cが、CLT10Bの外周面10c側に位置するように、鋼製接合具2は設けられている。鋼製接合具2はまた、座金部4の胴体アンカー部3とは反対側の表面4cが、外周面10cに沿って、外周面10cと略同一の平面となるように設けられている。
胴体アンカー部3のネジ孔3bは、座金部4の孔4bを介して、座金部4の表面4cから露出するように設けられている。
本実施形態においては、胴体アンカー部3と座金部4は一体に形成されているが、別の部材として形成されていてもよい。
【0044】
本実施形態においてCLTパネル31が接合される対象となる他の部材120は、断面が矩形形状の鋼管121である。鋼管121は、例えば柱や梁である。CLT10Bは、外周面10cが鋼管121の表面121cと接するように接合されることで、例えば建築構造物の壁面を形成する。
鋼管121には、CLT10Bの鋼製接合具2に対応する位置に、孔121hが開設されている。
【0045】
本実施形態におけるCLTパネル31は、建設現場での施工に先立ち、例えば工場において事前に製造されて、建設現場へ搬送される。
建設現場に搬送されたCLTパネル31は、上記のような他の部材120に対して、CLTパネル31の外周面10cが鋼管121の表面121cと接するように位置づけられる。
その状態で、ボルト122を鋼管121の内側に位置づけ、軸部122bが鋼管121の孔121hと座金部4の孔4bを貫通して、胴体アンカー部3のネジ孔3bにねじ込まれることで、CLTパネル31が他の部材120に接合されている。
【0046】
本実施形態においては、上記のように、鋼製接合具2は、CLT10Bの外周面10cのラミナ11の板目・柾目層14に貫入され、固着されている。接合具を、CLT10Bの木口層13に固定する場合に比べると、板目・柾目層14に固定した場合のほうが、接合具一本あたりの接合剛性及び耐力が向上することは、第1実施形態において既に説明した実験によって検証されている。
【0047】
次に、上記のCLTパネル31の効果について説明する。
本実施形態におけるCLTパネル31は、CLT10Bに鋼製接合具2が設けられたCLTパネル31であって、鋼製接合具2は、CLT10Bの少なくとも1つの外周面10cの両端部10gに、外周面10cからCLT10Bの内部側に向かって内蔵され、鋼製接合具2は、CLT10Bのラミナ11の板目・柾目層14(板目層または柾目層)に設けられている。
上記のような構成によれば、鋼製接合具2を介してCLT10Bを他の部材120に接合することで、CLTパネル31と他の部材120とが接合される。ここで、鋼製接合具2は、CLT10Bのラミナ11の板目・柾目層14に設けられている。接合具1つあたりのせん断剛性及び耐力は、接合具をラミナ11の木口が現れる木口層13に設ける場合よりも、ラミナの板目が現れる板目層、または柾目が現れる柾目層、すなわち板目・柾目層14に設ける場合のほうが高いことが、実験により確認された。
また、鋼製接合具2の、特に外周面10cの長さ方向CXにおける外側に設けられた鋼製接合具2は、CLT10Bの少なくとも1つの外周面10cの両端部10gに設けられている。このため、地震等が生じた際には、CLT10Bの外周面10cの両端部10gに設けられた其々の鋼製接合具2を介してCLT10Bに生じる回転変形や浮き上がりに対して、効果的に抵抗することが可能である。
以上の効果が相乗し、CLTパネル31を他の部材120に強固に接合することができる。
また、例えばCLTパネル31の工場出荷時において、鋼製接合具2をCLT10Bに予め設けることが可能となる。このような場合には、建設現場でのCLTパネル31の加工作業や組み立て作業を低減することができるため、建設現場での作業量を低減可能である。これにより、短工期化が可能である。
【0048】
また、鋼製接合具2は、雌ネジが設けられたネジ孔3bを有し、CLT10Bに内蔵されて設けられる胴体アンカー部3と、胴体アンカー部3の、CLT10Bの外周面10c側に、外周面10cに沿って設けられる座金部4と、を備えている。
上記のような構成によれば、胴体アンカー部3は、雌ネジが設けられたネジ孔3bを有し、CLT10Bに内蔵されて設けられる。このため、ボルト122等の雄ネジを有する接合具を、CLT10Bとの間に鋼材121等の部材を挟んで胴体アンカー部3のネジ孔3bに緊締することで、CLT10Bと他の部材120とが接合される。
このような場合において、鋼製接合具2は、CLT10Bの外周面10cに沿って設けられる座金部4を備えているため、座金部4が胴体アンカー部3よりも大きな支圧面を構成する。すなわち、地震等によりCLT10Bに回転変形や浮き上がるような力が作用した際に、圧縮力を広い受圧面積でCLT10Bに伝達することができる。これにより、鋼製接合具2近傍の破損を抑制し、CLTパネル31を他の部材120に強固に接合することができる。
【0049】
本実施形態のCLTパネル31においては、建設現場での施工に先立ち、例えば工場において事前に製造されて、建設現場へ搬送される。このため、建設現場での施工時間を短縮できるとともに、建設現場での複雑な作業の量が低減される。このため、建設現場での安全性が向上する。
【0050】
[第3実施形態の変形例]
次に、
図16を用いて、上記第3実施形態として示したCLTパネル31の変形例を説明する。
図16は、本変形例におけるCLTパネル41の説明図である。本変形例におけるCLTパネル41は、上記第3実施形態のCLTパネル31とは、接合対象となる他の部材130がH形鋼131である点が異なっている。これに対応してCLTパネル41は、上記第3実施形態のCLT10Bに代えて、第2実施形態として説明したCLT10Aを、CLTとして備えている。
【0051】
CLTパネル41は、CLT10Aの外周面10cが、H形鋼131の一方のフランジ131aの表面131cに接するように位置づけられる。H形鋼131のフランジ131aには、ウェブ131bを挟んで対称的な位置で、なおかつCLTパネル41の鋼製接合具2に対応する位置に、孔131hが開設されている。
CLTパネル41と他の部材130は、ボルト132をH形鋼131のフランジ131aの、CLTパネル41とは反対側に位置づけ、ボルト132の軸部132bがフランジ131aの孔131hと座金部4の孔を貫通して、胴体アンカー部3のネジ孔にねじ込まれることで、接合されている。
【0052】
本変形例が、既に説明した第3実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0053】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態を説明する。
図17は、第4実施形態におけるCLTパネル51を他の部材140に接合する際の、正面視した分解図である。
図18は、
図17のCLTパネル51を他の部材140側から視た説明図である。
図19は、
図17のK-K部分の縦断面図である。
CLTパネル51は、CLT10Cと鋼製接合具52を備えている。
CLT10Cは、第1実施形態において
図2を用いて示したCLT10とは、切り欠き10iが外周面10c側に設けられておらず、外周面10cから幅方向CYに離れた位置において、CLT10Cを厚さ方向CZに貫通するように設けられている。切り欠き10iは矩形状に形成されており、外周面10c側の壁面10kは、外周面10cと略平行となるように設けられている。
CLT10Cはまた、第1実施形態において
図2を用いて示したCLT10とは、鋼製接合具用孔10jが、外周面10cから切り欠き10iの間を幅方向CY方向に貫通するように設けられている点が異なっている。鋼製接合具用孔10jは、第4プライ12Dに対応するラミナ11の柾目層に設けられている。
本実施形態のCLT10Cは、第1実施形態のCLT10と、上記以外の構成は同等であるため、他の説明を省略する。
【0054】
鋼製接合具52は、引きボルト53、ナット54、及び座金55を備えている。
引きボルト53は、外周面10c側から鋼製接合具用孔10jに挿入され、一方の端部53aが壁面10kから突出して切り欠き10i内に位置するように設けられている。他方の端部53bは、外周面10cから外方に突出するように設けられている。
引きボルト53の、切り欠き10i内に位置する端部53aには、座金55が挿通された後に、ナット54が羅着されている。座金55は、切り欠き10iの壁面10kに突き当たるように設けられている。
【0055】
本実施形態においてCLTパネル51が接合される対象となる他の部材140は、断面が矩形形状の鋼管141である。鋼管141は、例えば柱や梁である。CLT10Cは、外周面10cが鋼管141の表面141cと接するように接合されることで、例えば建築構造物の壁面を形成する。
鋼管141には、CLT10Cの鋼製接合具52に対応する位置に、孔141hが開設されている。
【0056】
本実施形態におけるCLTパネル51は、建設現場での施工に先立ち、例えば工場において事前に製造されて、建設現場へ搬送される。
建設現場に搬送されたCLTパネル51は、上記のような他の部材140に対して、引きボルト53の端部53bが鋼管141の外側から孔141hを貫通し、かつCLTパネル51の外周面10cが鋼管141の表面141cと接するように位置づけられる。
その状態で、鋼管141の内部に突出した端部53bを座金143に挿通させたうえでナット142を羅着させ、緊締することで、CLTパネル51が他の部材140に接合されている。
【0057】
本実施形態においては、上記のように、鋼製接合具52は、CLT10Cの外周面10cのラミナ11の板目・柾目層14に貫入され、固着されている。接合具を、CLT10Cの木口層13に固定する場合に比べると、板目・柾目層14に固定した場合のほうが、接合具一本あたりの接合剛性及び耐力が向上することは、第1実施形態において既に説明した実験によって検証されている。
【0058】
次に、上記のCLTパネル51の効果について説明する。
本実施形態におけるCLTパネル51は、CLT10Cに鋼製接合具52が設けられたCLTパネル51であって、鋼製接合具52は、CLT10Cの少なくとも1つの外周面10cの両端部10gに、外周面10cからCLT10Cの内部側に向かって内蔵され、鋼製接合具52は、CLT10Cのラミナ11の板目・柾目層14(板目層または柾目層)に設けられている。
上記のような構成によれば、鋼製接合具52を介してCLT10Cを他の部材140に接合することで、CLTパネル51と他の部材140とが接合される。ここで、鋼製接合具52は、CLT10Cのラミナ11の板目・柾目層14に設けられている。接合具1つあたりのせん断剛性及び耐力は、接合具をラミナ11の木口が現れる木口層13に設ける場合よりも、ラミナの板目が現れる板目層、または柾目が現れる柾目層、すなわち板目・柾目層14に設ける場合のほうが高いことが、実験により確認された。
また、鋼製接合具52は、CLT10Cの少なくとも1つの外周面10cの両端部10gに設けられている。このため、地震等が生じた際には、CLT10Cの外周面10cの両端部10gに設けられた其々の鋼製接合具52を介してCLT10Cに生じる回転変形や浮き上がりに対して、効果的に抵抗することが可能である。
以上の効果が相乗し、CLTパネル51を他の部材140に強固に接合することができる。
また、例えばCLTパネル51の工場出荷時において、鋼製接合具52をCLT10Cに予め設けることが可能となる。このような場合には、建設現場でのCLTパネル51の加工作業や組み立て作業を低減することができるため、建設現場での作業量を低減可能である。これにより、短工期化が可能である。
【0059】
本実施形態のCLTパネル51においては、建設現場での施工に先立ち、例えば工場において事前に製造されて、建設現場へ搬送される。このため、建設現場での施工時間を短縮できるとともに、建設現場での複雑な作業の量が低減される。このため、建設現場での安全性が向上する。
【0060】
なお、本発明のCLTパネルは、図面を参照して説明した上述の各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
例えば、上述の各実施形態及び変形例において、鋼製接合具は
図20に示されるような形状であっていい。
図20に示されるCLTパネル61は、第3実施形態において説明したCLT10Bに、次のような鋼製接合具62が設けられることで構成されている。
鋼製接合具62は、雄ネジが設けられ、CLT10Bの外周面10cからねじ込まれてCLT10Bに内蔵される胴体ネジ部62aと、胴体ネジ部62aの、CLT10Bの外周面10c側に、外周面10cに沿って設けられる座金部62bと、雄ネジが設けられ、胴体ネジ部62aの座金部62bを挟んだ反対側に、胴体ネジ部62aが延伸するように設けられる突出部62cと、を備えている。胴体ネジ部62a、座金部62b、及び突出部62cは、一体に成形されている。
胴体ネジ部62aは、CLT10Bの外周面10cに表れている、第4プライ12Dに対応するラミナ11の柾目層に設けられている。突出部62cは、CLT10Bの外周面10cから外方へと突出している。
CLTパネル61は、外周面10cに接して設けられた他の部材150を挟んでナット152を突出部62cに羅着、緊締させることで、他の部材150に接合される。
上記のような構成によれば、鋼製接合具62は、CLT10Bの外周面10cに沿って設けられる座金部62bを備えているため、座金部62bが胴体ネジ部62aよりも大きな支圧面を構成する。すなわち、地震等によりCLT10Bに回転変形や浮き上がるような力が作用した際に、圧縮力を広い受圧面積でCLT10Bに伝達することができる。これにより、鋼製接合具62近傍の破損を抑制し、CLTパネル61を他の部材150に強固に接合することができる。
【0061】
また、上述の各実施形態及び変形例においては、各CLTパネルは、CLTと鋼製接合具を備えていたが、鋼製接合具を備えてなくてもよい。この形態においては、CLTパネルは、鋼製接合具用孔が設けられたものであって、鋼製接合具用孔は、CLTの少なくとも1つの外周面の両端部に、外周面からCLTの内部側に向かって開設され、鋼製接合具用孔は、CLTのラミナの板目層または柾目層に設けられている。
この形態においては、CLTが鋼製接合具用孔を有するように工場において加工される。工場から建築現場に搬送された後に、CLTに鋼製接合具が取り付けられる。
上記のような構成によれば、鋼製接合具用孔に鋼製接合具を設けたうえで、鋼製接合具を介してCLTを他の部材に接合することで、CLTパネルと他の部材とが接合される。ここで、鋼製接合具用孔は、CLTのラミナの板目層または柾目層に設けられている。接合具1つあたりのせん断剛性及び耐力は、接合具をラミナの木口が現れる木口層に設ける場合よりも、ラミナの板目が現れる板目層、または柾目が現れる柾目層に設ける場合のほうが高いことが、実験により確認された。
また、鋼製接合具用孔は、CLTの少なくとも1つの外周面の両端部に設けられている。このため、地震等が生じ、CLTに回転変形や浮き上がるような力が作用した際に、これに効果的に抵抗することが可能である。
以上の効果が相乗し、CLTパネルを他の部材に強固に接合することができる。
また、例えばCLTパネルの工場出荷時において、鋼製接合具用孔をCLTに予め設けることが可能となる。このような場合には、建設現場でのCLTパネルの加工作業や組み立て作業を低減することができるため、建設現場での作業量を低減可能である。これにより、短工期化が可能である。
【0062】
また、上記各実施形態及び変形例で用いられたCLTは、7層のプライを備えて構成されていたが、プライの数はこれに限られず、他の数であってもよいのは、言うまでもない。また、第1実施形態(
図3)、第2実施形態(
図11)及び第3実施形態の変形例(
図16)では、CLT外周面の両端部において、板面層及び柾目層に其々、鋼製接合具が2段形式で片方端部側に2×2で4か所に設けられているが、2段形式に限定されることなく、第3実施形態(
図4)に示されるように柾目層を中心として、1段形式であってもよい。これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記各実施形態及び各変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1、21、31、41、51、61 CLTパネル 10f、10j 鋼製接合具用孔
2、22、52、62 鋼製接合具 10g 端部
3、23 胴体アンカー部 11 ラミナ
3b、23b ネジ孔 13 木口層
4、24、62b 座金部 14 板目・柾目層
5 鋼板 (板目層または柾目層)
6 線状接合具 25 鋼材
10、10A、10B、10C CLT 53 引きボルト
10c 外周面 62a 胴体ネジ部
10d 切り欠き 62c 突出部