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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004009
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】減速機構付モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20230110BHJP
   F16H 57/027 20120101ALI20230110BHJP
   F16H 57/029 20120101ALI20230110BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
F16H57/027
F16H57/029
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105462
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 修
(72)【発明者】
【氏名】鳥山 圭介
【テーマコード(参考)】
3J063
5H605
【Fターム(参考)】
3J063AA01
3J063AB03
3J063AC01
3J063BB01
3J063CD41
3J063XG07
3J063XG22
3J063XG54
5H605AA02
5H605BB05
5H605CC01
5H605CC08
5H605DD09
5H605DD35
(57)【要約】
【課題】ハウジングの内部への雨水等の進入をより確実に抑えて、被水信頼性を向上させることができる減速機構付モータを提供する。
【解決手段】筒状部材93に当該筒状部材93の軸方向に延びる一対のスリット93a,93bが設けられ、筒状部材93の周方向における一対のスリット93a,93bの開口幅が、筒状部材93の内部側(開口幅W1,W3)よりも外部側(開口幅W2,W4)の方が狭くなっている。これにより、雨水等が筒状部材93の内部の連通孔91に到達することが抑制されるとともに、筒状部材93の内部に入ってしまった雨水等を筒状部材93の外部に速やかに排出することができる。したがって、ギヤカバー80の内部(中空部)に雨水等が進入することが効果的に抑えられて、被水信頼性を向上させることができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有するモータ部と、
前記回転軸の回転を減速する減速機構を有する減速機構部と、
を備えた減速機構付モータであって、
前記減速機構を収容するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、前記ハウジングの内部と外部とを連通させる連通孔と、
前記ハウジングの外部に設けられ、前記連通孔の軸方向に延び、かつ内部が前記連通孔に連通する筒状部材と、
前記筒状部材に設けられ、当該筒状部材の軸方向に延びるスリットと、
を有し、
前記筒状部材の周方向における前記スリットの開口幅が、前記筒状部材の内部側よりも外部側の方が狭いことを特徴とする、
減速機構付モータ。
【請求項2】
請求項1に記載の減速機構付モータにおいて、
前記筒状部材の内部に、当該筒状部材よりも小径の小径筒部が設けられ、前記小径筒部の内部が、前記筒状部材の内部および前記連通孔に連通していることを特徴とする、
減速機構付モータ。
【請求項3】
請求項2に記載の減速機構付モータにおいて、
前記筒状部材の軸方向先端側が、キャップ部材により閉塞されていることを特徴とする、
減速機構付モータ。
【請求項4】
請求項3に記載の減速機構付モータにおいて、
前記キャップ部材に、前記筒状部材に嵌合される嵌合筒部が設けられ、前記小径筒部の軸方向先端側が、前記嵌合筒部の内部に入り込んでいることを特徴とする、
減速機構付モータ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の減速機構付モータにおいて、
前記筒状部材の外周面に、当該筒状部材の軸方向に延びるリブ部材が設けられていることを特徴とする、
減速機構付モータ。
【請求項6】
前記スリットおよび前記リブ部材が、前記筒状部材の周方向に交互に配置されていることを特徴とする、
請求項5に記載の減速機構付モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸を有するモータ部と、回転軸の回転を減速する減速機構を有する減速機構部と、を備えた減速機構付モータに関する。
【背景技術】
【0002】
減速機構付モータは、例えば、ワイパ装置やパワーウィンドウ装置等の駆動源に用いられる。特に、ワイパ装置の駆動源に用いられる減速機構付モータは、高温雰囲気のエンジンルームに設置され、かつ比較的長い時間連続運転される。よって、減速機構付モータは高温となり、この状態で被水すると急激に冷却されることになる。すると、ハウジングの内部が負圧となり、ハウジングの内部に雨水等が進入する虞がある。そこで、ハウジングの内部が負圧になるのを抑えるべく、所謂「呼吸機能」が設けられた減速機構付モータが、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された駆動装置(減速機構付モータ)は、ギヤケース(ハウジング)およびカバー(ハウジング)を備え、これらのギヤケースおよびカバーの内部に、回転軸の回転を減速する減速機構が収容されている。そして、カバーには、その内外を連通する通気孔が設けられている。これにより、ハウジングの内部の圧力変動に応じて、通気孔から空気が出入り自在となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-086539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された減速機構付モータでは、当該減速機構付モータの車両への取り付け姿勢によっては、通気孔から雨水等が進入する虞があった。ハウジングの内部には、回転軸の回転状態を制御する制御基板が設けられるため、ハウジングの内部への雨水等の進入をより確実に防止する必要があった。
【0006】
本発明の目的は、ハウジングの内部への雨水等の進入をより確実に抑えて、被水信頼性を向上させることができる減速機構付モータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、回転軸を有するモータ部と、前記回転軸の回転を減速する減速機構を有する減速機構部と、を備えた減速機構付モータであって、前記減速機構を収容するハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記ハウジングの内部と外部とを連通させる連通孔と、前記ハウジングの外部に設けられ、前記連通孔の軸方向に延び、かつ内部が前記連通孔に連通する筒状部材と、前記筒状部材に設けられ、当該筒状部材の軸方向に延びるスリットと、を有し、前記筒状部材の周方向における前記スリットの開口幅が、前記筒状部材の内部側よりも外部側の方が狭いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、筒状部材に当該筒状部材の軸方向に延びるスリットが設けられ、筒状部材の周方向におけるスリットの開口幅が、筒状部材の内部側よりも外部側の方が狭くなっている。これにより、雨水等が筒状部材の内部の連通孔に到達することが抑制されるとともに、筒状部材の内部に入ってしまった雨水等を筒状部材の外部に速やかに排出することができる。したがって、ハウジングの内部に雨水等が進入することが効果的に抑えられて、被水信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ワイパモータを搭載した車両の概要図である。
図2図1のワイパモータを示す斜視図である。
図3図2のワイパモータの内部構造を示す図である。
図4図2のA-A線に沿う筒状部材周辺の断面図である。
図5図4のB-B線に沿う筒状部材周辺の断面図である。
図6】筒状部材に対するフィルタおよびキャップ部材の装着手順を示す斜視図である。
図7】筒状部材に対する雨水等の流れ具合を示す筒状部材周辺の斜視図である。
図8】実施の形態2のワイパモータにおける筒状部材周辺の断面図である。
図9】実施の形態3のワイパモータの平面図である。
図10図9のワイパモータの内部構造を示す解斜視図である。
図11図10のC-C線に沿う筒状部材周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
図1はワイパモータを搭載した車両の概要図を、図2図1のワイパモータを示す斜視図を、図3図2のワイパモータの内部構造を示す図を、図4図2のA-A線に沿う筒状部材周辺の断面図を、図5図4のB-B線に沿う筒状部材周辺の断面図を、図6は筒状部材に対するフィルタおよびキャップ部材の装着手順を示す斜視図を、図7は筒状部材に対する雨水等の流れ具合を示す筒状部材周辺の斜視図をそれぞれ示している。
【0012】
図1に示されるように、自動車等の車両10の前方側におけるエンジンルーム(図示せず)には、ワイパ装置20が搭載されている。ワイパ装置20は、運転席側(Driver)および助手席側(Assist)に対応して設けられた一対のワイパ部材30を揺動させるものである。ワイパ部材30は、略棒状に形成されたワイパアーム31を備え、当該ワイパアーム31の長手方向基端側は、車両10に回動自在に設けられたピボット軸11に固定されている。また、ワイパアーム31の長手方向先端側には、ワイパブレード32が装着されている。これにより、ワイパ装置20を駆動することで、ワイパアーム31がフロントガラス12上で揺動される。
【0013】
ワイパ装置20は、ワイパモータ(減速機構付モータ)40を備えている。また、ワイパモータ40は、出力軸41を備え、当該出力軸41と一対のピボット軸11との間には、出力軸41の回転運動を一対のピボット軸11の揺動運動に変換するリンク機構42が設けられている。これにより、ワイパモータ40の作動に伴い、出力軸41の回転運動がリンク機構42を介してピボット軸11の揺動運動となり、ワイパブレード32がそれぞれの払拭範囲13において往復払拭動作する。
【0014】
ここで、ワイパモータ40の車両10に対する取り付け姿勢は、ワイパモータ40の出力軸41が車両10の下方を向く姿勢となっている。すなわち、ワイパモータ40において、出力軸41が突出されたギヤケース70側(図2参照)が車両10の下方を向き、ギヤケース70を閉塞するギヤカバー80側(図2参照)が、車両10の上方を向いている。
【0015】
図2に示されるように、ワイパ装置20を形成するワイパモータ40は、モータ部50および減速機構部60を備えている。モータ部50は、鋼板を深絞り加工等することで略有底筒状に形成されたヨーク(モータケース)51を備え、当該ヨーク51の径方向内側には、図3に示されるように、合計4つのマグネット52(図示では2つのみ示す)が固定されている。また、それぞれのマグネット52の径方向内側には、所定の隙間(エアギャップ)を介して、アーマチュアコア53が回動自在に設けられている。
【0016】
アーマチュアコア53の回転中心には、丸鋼棒からなるアーマチュア軸(回転軸)54が固定されている。アーマチュア軸54は、アーマチュアコア53の回転に伴って一緒に回転される。アーマチュア軸54の先端側(図3の左側)には、一対のウォーム55が一体に設けられ、それぞれのウォーム55の捻れ方向は、互いに逆向きとなっている。
【0017】
さらに、アーマチュア軸54の長手方向におけるウォーム55とアーマチュアコア53との間には、コンミテータ(整流子)56が固定されている。コンミテータ56の外周部分には、合計3つのブラシ57(図示では2つのみ示す)が摺接するようになっている。このように、ワイパモータ40は、ブラシ付きの電動モータとなっており、エンジンルーム等に設置されるバッテリ等(図示せず)からの駆動電流の供給により、正方向または逆方向に回転駆動される。
【0018】
図2に示されるように、減速機構部60は、ギヤケース70およびギヤカバー80を備えている。これらのギヤケース70およびギヤカバー80は、本発明におけるハウジングに相当する。ギヤケース70およびギヤカバー80の内部には、図3に示されるように、減速機構SDが収容されている。減速機構SDは、アーマチュア軸54に設けられた一対のウォーム55と、これらのウォーム55にそれぞれ噛み合わされる一対のカウンタギヤ61と、これらのカウンタギヤ61に噛み合わされる単一の平歯車62とから形成されている。
【0019】
一対のカウンタギヤ61の大径歯部61aには、一対のウォーム55がそれぞれ噛み合わされている。これにより、一対のカウンタギヤ61は、アーマチュアコア53の回転(矢印R1参照)に伴って、それぞれ矢印R2のように同一方向(反時時計回り方向)に回転される。また、一対のカウンタギヤ61の小径歯部61bには、平歯車62の歯部62aが噛み合わされている。これにより、平歯車62は、矢印R3のように時計回り方向に回転される。
【0020】
これにより、アーマチュアコア53(アーマチュア軸54)の高速回転が、一対のウォーム55および一対のカウンタギヤ61により減速されて、平歯車62が低速で回転される。これにより、高トルク化された回転力が、平歯車62の回転中心に固定された出力軸41から、リンク機構42(図1参照)に向けて出力される。
【0021】
図2に示されるように、減速機構部60を形成するギヤケース70は、溶融されたアルミニウム素材を鋳型に流し込むことで、ケース底壁(図示せず)を備えた略椀状に形成されている。また、減速機構部60を形成するギヤカバー80は、溶融されたプラスチック素材を金型(図示せず)に流し込むことで、カバー底壁81を備えた略椀状に形成されている。
【0022】
そして、これらのギヤケース70およびギヤカバー80を互いに突き合わせた状態で、これらの内部に中空部63(図4および図5参照)が形成されており、当該中空部63の内部に、減速機構SD(図3参照)が収容されている。なお、モータ部50および減速機構部60を組み付けた状態で、中空部63の内部およびヨーク51の内部(図示せず)は、互いに連通されている。
【0023】
また、ギヤケース70とギヤカバー80との接続部分(突き合わせ部分)、およびギヤケース70とヨーク51との接続部分(突き合わせ部分)は、Oリング等のシール部材(図示せず)を介して互いに密封されている。これにより、これらの接続部分からワイパモータ40の内部への雨水等の進入が阻止される。
【0024】
ここで、ギヤケース70のケース底壁には、合計3つの取り付け脚72(図示では2つのみ示す)が一体に設けられ、ワイパモータ40は、これらの取り付け脚72を介して車両10に固定されている。また、ケース底壁の略中央部分において、平歯車62に固定された出力軸41が、Oリング等のシール部材(図示せず)を介して回転自在に支持されている。よって、出力軸41(図3参照)とケース底壁との間からワイパモータ40の内部への雨水等の進入が阻止される。さらに、一対のカウンタギヤ61の中心軸61c(図3参照)においても、ギヤケース70のケース底壁に回転自在に支持されている。
【0025】
図2に示されるように、ギヤカバー80は、合計4つの固定ねじSC1により、ギヤケース70に固定されている。また、ギヤカバー80には、コネクタ接続部82が一体に設けられている。コネクタ接続部82の先端部分(図中左側)には、車両10に設けられた外部コネクタ(図示せず)が接続される。これにより、車両10のバッテリ等からワイパモータ40に駆動電流が供給される。ここで、コネクタ接続部82に対する外部コネクタの接続方向は、ギヤカバー80のモータ部50側とは反対側からとなっている。つまり、コネクタ接続部82は、図2に示されるように、モータ部50に対して略同軸上に配置されている。
【0026】
また、図2および図4に示されるように、ギヤカバー80におけるコネクタ接続部82の近傍には、呼吸機構90が設けられている。呼吸機構90は、連通孔91と、小径筒部92と、筒状部材93と、フィルタ94と、ブリーザーキャップ95と、を備えている。ここで、連通孔91,小径筒部92および筒状部材93は、ギヤカバー80に一体に設けられ、ギヤカバー80の成形時に一緒に形成される。そして、呼吸機構90は、ワイパモータ40の内外における圧力変動を抑えるために、ワイパモータ40に呼吸機能を持たせる機能を有する。
【0027】
具体的には、呼吸機構90は、ワイパモータ40の内外の圧力変動に応じて、スムーズに空気を出入り可能(呼吸可能)とする一方で、ワイパモータ40の内部への雨水等の進入を防止する機能を有する。ここで、理想的な呼吸機構90を得るには、上述の相反する事象、すなわち「呼吸」をし易くすること、および雨水等を進入し難くすること、を両立する必要がある。
【0028】
呼吸機構90は、ギヤカバー80の部分においてモータ部50から離れた部分に配置されている(図2参照)。これにより、仮に呼吸機構90を介してワイパモータ40の内部に雨水等が進入したとしても、当該進入した雨水等がコンミテータ56やブラシ57(図3参照)の部分に到達し難くなっている。よって、ワイパモータ40や当該ワイパモータ40を制御するコントローラ(図示せず)が、過電流により損傷すること等が効果的に抑えられる。
【0029】
図4および図5に示されるように、連通孔91は、ギヤカバー80のカバー底壁81に対して出力軸41(図3参照)の軸方向にオフセットして設けられたカバー平面部84に設けられている。具体的には、連通孔91は、出力軸41の軸方向において、ギヤカバー80のギヤケース70寄りの部分(図4の下方)に設けられている。ここで、連通孔91の内径寸法は、約2mmとなっている。そして、連通孔91は、ギヤカバー80(ワイパモータ40)の内部と外部とを連通しており、所謂「呼吸穴」として機能する。
【0030】
小径筒部92は、ギヤカバー80の外部に設けられ、連通孔91の軸方向に延びている。そして、小径筒部92の内部には空気通路92aが設けられ、当該空気通路92aの長手方向基端側(図4の下方)は、連通孔91に連通している。つまり、小径筒部92の長手方向基端側が、カバー平面部84に一体に設けられている。なお、空気通路92aの内径寸法は、連通孔91の内径寸法と同じ約2mmとなっている。また、小径筒部92の外径寸法は、約5mmとなっている。さらに、小径筒部92のカバー平面部84からの高さ寸法H1は、カバー平面部84からカバー底壁81までの距離Lの略2/3となっている(H1≒L×2/3)。なお、小径筒部92の内部とは、小径筒部92の径方向内側の部分を指す。
【0031】
また、筒状部材93は、ギヤカバー80のカバー平面部84に一体に設けられ、小径筒部92の周囲を囲うように配置されている。つまり、筒状部材93は、小径筒部92および連通孔91の軸方向(出力軸41の軸方向)に延びている。具体的には、筒状部材93は、ギヤカバー80の外部に設けられ、筒状部材93の軸方向基端側がカバー平面部84に固定されている。
【0032】
ここで、筒状部材93の内径寸法は、約10mmとなっており、筒状部材93の内部は、小径筒部92の空気通路92aを介して連通孔91に連通されている。これにより、ワイパモータ40の内外は、筒状部材93,小径筒部92および連通孔91を介して連通されており、これらの筒状部材93,小径筒部92および連通孔91を介して空気が流通する。言い換えれば、筒状部材93の内部に、筒状部材93よりも小径の小径筒部92が設けられ、小径筒部92の内部の空気通路92aが、筒状部材93の内部および連通孔91の双方に連通されている。なお、筒状部材93の内部および外部とは、筒状部材93の径方向内側および外側の部分を指す。
【0033】
なお、筒状部材93のカバー平面部84からの高さ寸法H2は、カバー平面部84からカバー底壁81までの距離Lに略等しくなっている(H2≒L)。これにより、筒状部材93(呼吸機構90)が、連通孔91の軸方向に大きく突出することが抑えられて、ひいてはワイパモータ40の大型化が抑制されている。言い換えれば、呼吸機構90は、ギヤカバー80に形成された比較的大きなデッドスペースDS(図2および図5参照)に配置されている。
【0034】
このように、連通孔91に連通する小径筒部92および筒状部材93を設けることで、ワイパモータ40が被水した場合に、ワイパモータ40の表面を伝ってくる雨水等が、ワイパモータ40の内部の中空部63に到達し難くなっている。
【0035】
図4および図5に示されるように、筒状部材93には、一対のスリット93a,93bが設けられている。これらのスリット93a,93bは、筒状部材93の軸方向に延びており、筒状部材93の長手方向全域に亘って設けられている。一対のスリット93a,93bは、筒状部材93の径方向に貫通して当該筒状部材93の内部と外部とを連通している。また、一対のスリット93a,93bは、筒状部材93の周方向において、互いに略90度間隔となるように配置されている。これにより、筒状部材93の軸方向先端側にブリーザーキャップ95を装着しても、一対のスリット93a,93bを介して筒状部材93の内部と外部とで空気が流通可能となっている。
【0036】
図5に示されるように、一方のスリット93aは中空部63から遠い側に配置され、他方のスリット93bは中空部63に近い側に配置されている。そして、ワイパモータ40の車両10に対する取り付け姿勢において、一方のスリット93aが車両10の下方寄りに配置され、他方のスリット93bが車両10の上方寄りに配置される(図7参照)。
【0037】
そして、一方のスリット93aの筒状部材93の内部側における開口幅W1は、外部側における開口幅W2よりも広くなっている(W1>W2)。言い換えれば、筒状部材93の周方向における一方のスリット93aの開口幅が、筒状部材93の内部側(開口幅W1)よりも外部側(開口幅W2)の方が狭くなっている。ここで、開口幅W1は約2.5mmとなっており、開口幅W2は約1.5mmとなっている。
【0038】
これにより、一方のスリット93aの部分から筒状部材93の内部に雨水等が入り難くなっている。仮に、筒状部材93の内部に雨水等が進入したとしてもその量は微量であり、かつ開口幅W1の一方のスリット93aの内部に雨水等が集約され易くなっている。よって、一方のスリット93aの部分から筒状部材93の内部に進入した雨水等を、筒状部材93の外部に速やかに排出可能となっている。
【0039】
なお、他方のスリット93bにおいても、筒状部材93の内部側における開口幅W3は、外部側における開口幅W4よりも広くなっている(W3>W4)。言い換えれば、筒状部材93の周方向における他方のスリット93bの開口幅が、筒状部材93の内部側(開口幅W3)よりも外部側(開口幅W4)の方が狭くなっている。ここで、開口幅W3は約2.5mmとなっており、開口幅W4は約1.5mmとなっている。
【0040】
さらに、図5および図6に示されるように、筒状部材93の外周面には、当該筒状部材93の周方向に対して略90度間隔となるように一対のリブ部材93cが設けられている。これらのリブ部材93cは、筒状部材93の肉厚と略同じ肉厚となっており、かつ筒状部材93の外部に突出するとともに、筒状部材93の軸方向に延びている。
【0041】
ここで、筒状部材93の軸方向におけるリブ部材93cの基端側は、カバー平面部84に固定されている。また、筒状部材93の軸方向におけるリブ部材93cの先端側には、テーパ部TPが設けられており、当該テーパ部TPは、リブ部材93cの先端側に向かうに連れて、筒状部材93の径方向におけるリブ部材93cの高さ寸法を徐々に小さくするように形成されている。これにより、ギヤカバー80を射出成形等する際に用いる金型を、容易に離型可能としている。
【0042】
そして、一対のスリット93a,93bおよび一対のリブ部材93cは、筒状部材93の周方向に対して、交互に略45度ずれた位置に配置されている。より具体的には、図5に示されるように、筒状部材93を軸方向から見ると、当該筒状部材93の周方向において図中左側から、他方のスリット93b,リブ部材93c,一方のスリット93a,リブ部材93cの順で並んでいる。
【0043】
ここで、一対のリブ部材93cは、筒状部材93の周方向における一方のスリット93aの両側に配置されている。これにより、ワイパモータ40の車両10に対する取り付け姿勢において、ワイパモータ40の表面を伝ってくる雨水等を、一方のスリット93aから遠ざけることが可能となっている(図7参照)。つまり、一対のリブ部材93cは、一方のスリット93aを介して筒状部材93の内部に雨水等が進入するのを防止する機能を有する。
【0044】
図4および図6に示されるように、フィルタ94は、薄い円板状に形成されており、小径筒部92の長手方向先端側(図4の上側)に、接着剤や溶着等によって固定されている。具体的には、フィルタ94は、小径筒部92の空気通路92aを塞ぐようにして設けられている。フィルタ94は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の多孔質膜からなり、空気を通す一方で水や塵埃等を通さない性質を有している。これにより、ワイパモータ40の被水信頼性を向上させている。ただし、ワイパモータ40に必要とされる被水性能に応じて、フィルタ94を省略することも可能である。
【0045】
また、図4および図6に示されるように、ブリーザーキャップ95は、天然ゴム等の弾性材料により、略お椀状に形成されている。ブリーザーキャップ95は、本発明におけるキャップ部材に相当し、略円板状に形成されたキャップ本体95aと、筒状部材93の軸方向先端側に嵌合される嵌合筒部95bと、を備えている。そして、嵌合筒部95bの外周面には、複数の環状凸部95cが一体に設けられ、これらの環状凸部95cが弾性変形しつつ、筒状部材93の内周面に嵌合される。なお、嵌合筒部95bの外周面とは、嵌合筒部95bの径方向外側の部分を指す。
【0046】
これにより、ブリーザーキャップ95は、筒状部材93の軸方向先端側を閉塞し、かつ筒状部材93に対して抜け止めされた状態となる。ただし、ワイパモータ40の取り付け姿勢に応じて、ブリーザーキャップ95を省略することも可能である。具体的には、ワイパモータ40の出力軸41(図3参照)が車両10の上方を向く姿勢、つまりギヤカバー80の呼吸機構90が下方を向く姿勢の場合には、ブリーザーキャップ95を省略することができる。
【0047】
ここで、ブリーザーキャップ95を筒状部材93に装着した状態において、ギヤカバー80のカバー平面部84から嵌合筒部95bの先端部分までの高さ寸法hは、小径筒部92のカバー平面部84からの高さ寸法H1に略等しくなっている(h≒H1)。これにより、嵌合筒部95bがその軸方向に長くなり過ぎることが抑えられて、ブリーザーキャップ95の弾性変形を抑えつつ、ブリーザーキャップ95を筒状部材93に容易に装着することが可能となる。
【0048】
次に、以上のように形成したワイパモータ40の呼吸機能および被水時の機能について、図7を用いて詳細に説明する。なお、図7においては、雨水WAの伝う経路を分かり易くするために、フィルタ94およびブリーザーキャップ95の図示を省略している。
【0049】
まず、ワイパモータ40の呼吸機能について説明する。
【0050】
エンジンルームに設置されたワイパモータ40が作動すると、当該ワイパモータ40が発生する熱およびエンジンルームの高温雰囲気により、ワイパモータ40の内部温度が上昇する。そして、この状態でワイパモータ40に雨水WAが掛かってワイパモータ40が被水すると、当該ワイパモータ40が急激に冷やされる。よって、ワイパモータ40の内外で温度差が生じる。すると、ワイパモータ40の中空部63(図4および図5参照)が、ワイパモータ40の外部に対して相対的に低温となる。これにより、中空部63が負圧となって、ギヤケース70の外部の空気が、一対のスリット93a,93b,空気通路92aおよび連通孔91を介して中空部63に流入する。これにより、ワイパモータ40の内外において差圧が発生することが抑制される。
【0051】
これに対し、ワイパモータ40を長時間に亘り高速作動させる等してワイパモータ40の内部温度が大きく上昇し、ワイパモータ40の内部温度が外部温度を上回ると、中空部63がワイパモータ40の外部に対して相対的に高温となる。すると、上述とは逆に中空部63が正圧となり、中空部63の内部の空気が、連通孔91,空気通路92aおよび一対のスリット93a,93bを介して外部に排出される。これにより、ワイパモータ40の内外において差圧が発生することが抑制される。
【0052】
ただし、ワイパモータ40の内外は、一対のスリット93a,93b,空気通路92aおよび連通孔91を介して常時連通されている。そのため、ワイパモータ40の内外で急激に空気が行き来することはない。よって、フィルタ94を設けても、十分に呼吸機能を発揮することが可能となっている。
【0053】
次に、ワイパモータ40の被水時の機能について説明する。
【0054】
車両10が大雨の中を走行すると、エンジンルームに雨水WAが進入してワイパモータ40が被水する。すると、矢印M1に示されるように、雨水WAがギヤカバー80の表面を伝って呼吸機構90に向かって流れてくる。その後、呼吸機構90に到達した雨水WAは、矢印M2および矢印M3に示されるように、筒状部材93を境界に二方向に流れ、矢印M2に沿って流れる雨水WAは、他方のスリット93bの部分に到達する。
【0055】
これに対し、矢印M3に沿って流れる雨水WAは、一方のリブ部材93c(図中右側)に到達して、その後、一方のリブ部材93cの部分から矢印M4に示されるように、車両10の下方に流れ落ちる。したがって、矢印M3および矢印M4に沿って流れる雨水WAは、一方のスリット93aから離れた位置において、車両10の下方に流れ落ちる。
【0056】
矢印M2のように他方のスリット93bに到達した雨水WAは、その殆どが他方のスリット93bを乗り越えて、矢印M5に沿って流れる。そして、他方のリブ部材93c(図中左側)に到達する。その後、他方のリブ部材93cに到達した雨水WAは、他方のリブ部材93cの部分から矢印M6に示されるように、車両10の下方に流れ落ちる。これにより、矢印M2,矢印M5および矢印M6に沿って流れる雨水WAは、一方のスリット93aから離れた位置において、車両10の下方に流れ落ちる。
【0057】
なお、他方のスリット93bに到達した雨水WAの一部は、矢印M7(破線)に示されるように、他方のスリット93bから筒状部材93の内部に入り込むことがある。そして、筒状部材93の内部に入り込んでしまった雨水WAは、筒状部材93の内周面を伝って流れ、スムーズに一方のスリット93aに集約される。その後、矢印M8(破線)に示されるように、筒状部材93の内周面を伝って流れた雨水WAは、一方のスリット93aから車両10の下方に流れ落ちる。
【0058】
これにより、小径筒部92および空気通路92aに雨水WAが到達し難くなって、ワイパモータ40の内部(中空部63)への雨水等の進入が抑制される。
【0059】
以上詳述したように、本実施の形態に係るワイパモータ40によれば、筒状部材93に当該筒状部材93の軸方向に延びる一対のスリット93a,93bが設けられ、筒状部材93の周方向における一対のスリット93a,93bの開口幅が、筒状部材93の内部側(開口幅W1,W3)よりも外部側(開口幅W2,W4)の方が狭くなっている。これにより、雨水等が筒状部材93の内部の連通孔91に到達することが抑制されるとともに、筒状部材93の内部に入ってしまった雨水等を筒状部材93の外部に速やかに排出することができる。したがって、ギヤカバー80の内部(中空部63)に雨水等が進入することが効果的に抑えられて、被水信頼性を向上させることができる。
【0060】
また、本実施の形態に係るワイパモータ40によれば、筒状部材93の内部に、当該筒状部材93よりも小径の小径筒部92が設けられ、小径筒部92の内部の空気通路92aが、筒状部材93の内部および連通孔91に連通している。これにより、筒状部材93の内部の空気が通る通路を迷路状に複雑にできる。よって、ギヤカバー80の内部(中空部63)に雨水等が進入することをより確実に抑えて、被水信頼性をさらに向上させることができる。
【0061】
さらに、本実施の形態に係るワイパモータ40によれば、筒状部材93の軸方向先端側が、ブリーザーキャップ95により閉塞されている。これにより、ワイパモータ40の車両10に対する取り付け姿勢が、ギヤケース70側が車両10の下方を向き、かつギヤカバー80側が車両10の上方を向いた姿勢の場合(図2参照)において、中空部63に雨水等が進入することをさらに確実に抑えることが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態に係るワイパモータ40によれば、筒状部材93の外周面に、当該筒状部材93の軸方向に延びるリブ部材93cが設けられ、かつ一対のスリット93a,93bおよび一対のリブ部材93cが、筒状部材93の周方向に交互に配置されている。これにより、ワイパモータ40の表面を伝う雨水WAを、リブ部材93cを伝って流れるようにでき、ひいては雨水WAを一方のスリット93aから遠ざけることが可能となる。よって、被水信頼性をより向上させることができる。
【0063】
さらに、本実施の形態に係るワイパモータ40によれば、被水信頼性を向上させて製品の長寿命化を図ることができ、ひいては製造エネルギーの省力化を図ることが可能となる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)において、特に目標7(手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する)および目標13(気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る)に貢献することができる。
【0064】
次に、本発明の実施の形態2について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分には同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0065】
図8は、実施の形態2のワイパモータにおける筒状部材周辺の断面図を示している。
【0066】
図8に示されるように、実施の形態2のワイパモータ(減速機構付モータ)100では、実施の形態1のワイパモータ40(図4参照)に比して、小径筒部110(空気通路110a)のカバー平面部84からの高さ寸法H3のみが異なっている。具体的には、小径筒部110(空気通路110a)の高さ寸法H3は、小径筒部110(空気通路110a)の軸方向先端側が、ブリーザーキャップ95の嵌合筒部95bの内部に入り込む高さ寸法となっている。
【0067】
すなわち、ブリーザーキャップ95を筒状部材93に装着した状態において、ギヤカバー80のカバー平面部84から嵌合筒部95bの先端部分までの高さ寸法hは、小径筒部110(空気通路110a)のカバー平面部84からの高さ寸法H3よりも小さくなっている(h<H3)。これにより、筒状部材93の内部の空気が通る通路を迷路状としつつ、実施の形態1よりも長くできる。
【0068】
以上のように形成した実施の形態2においても、上述した実施の形態1と略同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、小径筒部110(空気通路110a)の軸方向先端側が、ブリーザーキャップ95の嵌合筒部95bの内部に入り込んでいるので、筒状部材93の内部の空気が通る通路を迷路状としつつ、実施の形態1よりも長くできる。よって、ギヤカバー80の内部(中空部63)に雨水等が進入することをより確実に抑えて、被水信頼性をさらに向上させることが可能となる。
【0069】
次に、本発明の実施の形態3について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分には同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0070】
図9は実施の形態3のワイパモータの平面図を、図10図9のワイパモータの内部構造を示す解斜視図を、図11図10のC-C線に沿う筒状部材周辺の断面図をそれぞれ示している。
【0071】
図9に示されるように、実施の形態3では、実施の形態1に比して、ブラシレスのモータ121を備えたワイパモータ120を採用した点が異なっている。また、図10に示されるように、呼吸機構90を形成する筒状部材130に合計3つのスリット131を設け、リブ部材を省略した点が異なっている。さらに、呼吸機構90を形成するブリーザーキャップ(キャップ部材)140の筒状部材130に対する嵌合構造が異なっている。また、図11に示されるように、実施の形態3の呼吸機構90は、その軸方向寸法が実施の形態1の呼吸機構90(図4参照)に比して短くなっている。ここで、スリット131は、実施の形態1のスリット93a(図5参照)と同じ形状であって、筒状部材130の周方向におけるスリット131の開口幅が、筒状部材130の内部側よりも外部側の方が狭くなっている。
【0072】
具体的には、ワイパモータ(減速機構付モータ)120は、モータ121および減速機構122を収容するケース(ハウジング)123と、ケース123の第1開口部(図示せず)を密閉するカバー部材(ハウジング)124と、ケース123の第2開口部(図示せず)を閉塞するモータカバー125と、を備えている。そして、これらのケース123,カバー部材124およびモータカバー125は、互いに組み立てられた状態で、ワイパモータ120の外郭を形成している。
【0073】
ケース123に収容されたモータ121は、ステータ121aを備えている。ステータ121aは、磁性体である鋼板を複数枚積層することで略筒状に形成され、その径方向内側の複数のティース(図示せず)に、U相,V相,W相のコイル(図示せず)が、所定の巻き方で巻装されている。
【0074】
また、ステータ121aの径方向内側には、所定の隙間を介してロータ121bが回転自在に収容されている。ロータ121bは、磁性体である鋼板を複数枚積層することで略円柱状に形成されている。そして、ロータ121bには、複数の永久磁石(図示せず)が設けられている。
【0075】
さらに、ロータ121bの回転中心には、回転軸121cの基端側(図9の下側)が固定されている。回転軸121cの先端側(図9の上側)には、転造加工等により形成されたウォーム122aが一体に設けられている。ここで、ウォーム122aは、ケース123に収容されたウォームホイール122bとともに、減速機構122を構成している。
【0076】
そして、ウォームホイール122bの回転中心に、出力軸41の基端側が固定されており、出力軸41の先端側がケース123の外部に突出されている。なお、出力軸41には、実施の形態1と同様に、リンク機構42(図1参照)が装着されている。
【0077】
図10に示されるように、カバー部材124はプラスチック製であり、カバー底壁124aを備えている。また、車両10に設けられた外部コネクタ(図示せず)が接続されるコネクタ接続部124bが一体に形成されている。そして、カバー部材124の内側には、ワイパモータ120を制御する制御基板126が装着されている。ここで、制御基板126の表裏には、それぞれ複数の電子部品EPが実装されている。これにより、モータ121(図9参照)が、所定方向に所定の回転数で回転駆動される。
【0078】
さらに、制御基板126には、プラスチック製の基板カバー127が装着される。つまり、制御基板126は、ケース123(図9参照)の内部において、カバー部材124と基板カバー127との間に配置される。ここで、基板カバー127は、減速機構122(ウォーム122aおよびウォームホイール122b)に塗布された潤滑グリース(図示せず)が、制御基板126に飛散して付着するのを防止する。
【0079】
そして、図10に示されるように、カバー部材124におけるカバー底壁124aの外側で、かつコネクタ接続部124bに近傍のデッドスペースDSに、呼吸機構90が配置されている。図11に示されるように、ブリーザーキャップ140は、キャップ本体141と嵌合筒部142とを備えており、嵌合筒部142の内周面には、単一の環状凸部142aが一体に設けられ、当該環状凸部142aが弾性変形しつつ、筒状部材130の外周面に嵌合される。
【0080】
以上のように形成した実施の形態3においても、上述した実施の形態1と略同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態3では、モータ121をブラシレスモータとし、減速機構122をウォーム122aおよびウォームホイール122bのみから形成し、かつ呼吸機構90の構造を簡素化しつつその軸長を短くしたので、実施の形態1に比してワイパモータ120の部品点数を削減することができる。よって、製造コストの低減は勿論のこと、より小型軽量化を図ることが可能となる。
【0081】
本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上述の各実施の形態では、呼吸機構90を、それぞれギヤカバー80およびカバー部材124に設けたものを示したが、本発明はこれに限らない。例えば、ギヤケース70側が車両10に対して下方を向くような取り付け姿勢の場合には、ギヤケース70およびケース123に呼吸機構を設ければ良い。
【0082】
また、上述の各実施の形態では、ワイパモータ40,100,120を、フロントガラス12上の払拭範囲13を払拭するフロント側のワイパ装置に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、リヤガラス上の払拭範囲を払拭するリヤ側のワイパ装置にも適用することができる。
【0083】
さらに、上述の各実施の形態では、ワイパモータ40,100,120を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、同様の取り付け姿勢で、かつ被水する可能性がある他の用途の減速機構付モータにも適用することができる。
【0084】
その他、上述の各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上述の各実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0085】
10:車両,11:ピボット軸,12:フロントガラス,13:払拭範囲,20:ワイパ装置,30:ワイパ部材,31:ワイパアーム,32:ワイパブレード,40:ワイパモータ(減速機構付モータ),41:出力軸,42:リンク機構,50:モータ部,51:ヨーク,52:マグネット,53:アーマチュアコア,54:アーマチュア軸(回転軸),55:ウォーム,56:コンミテータ,57:ブラシ,60:減速機構部,61:カウンタギヤ,61a:大径歯部,61b:小径歯部,61c:中心軸,62:平歯車,62a:歯部,63:中空部,70:ギヤケース(ハウジング),72:取り付け脚,80:ギヤカバー(ハウジング),81:カバー底壁,82:コネクタ接続部,84:カバー平面部,90:呼吸機構,91:連通孔,92:小径筒部,92a:空気通路,93:筒状部材,93a,93b:スリット,93c:リブ部材,94:フィルタ,95:ブリーザーキャップ(キャップ部材),95a:キャップ本体,95b:嵌合筒部,95c:環状凸部,100:ワイパモータ(減速機構付モータ),110:小径筒部,110a:空気通路,120:ワイパモータ(減速機構付モータ),121:モータ,121a:ステータ,121b:ロータ,121c:回転軸,122:減速機構,122a:ウォーム,122b:ウォームホイール,123:ケース(ハウジング),124:カバー部材(ハウジング),124a:カバー底壁,124b:コネクタ接続部,125:モータカバー,126:制御基板,127:基板カバー,130:筒状部材,131:スリット,140:ブリーザーキャップ(キャップ部材),141:キャップ本体,142:嵌合筒部,142a:環状凸部,DS:デッドスペース,EP:電子部品,SD:減速機構,TP:テーパ部,WA:雨水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11