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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040113
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】感知システム
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/16 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
G01L1/16 C
G01L1/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022210056
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2020544078の分割
【原出願日】2018-11-08
(31)【優先権主張番号】2,985,238
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(71)【出願人】
【識別番号】520160484
【氏名又は名称】シムコ・ノース・アメリカ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ダイアン・バン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・マイケル・ボス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リアルタイムDPHMを提供し、破壊的な問題を解決/軽減するために、ロードリフティング構造(翼および着陸装置など)に容易に一体化することができる感知システムを提供する。
【解決手段】少なくとも1つのシム部をTENGまたはPENGなど少なくとも1つのナノ発電機と組み合わせる。本感知システムの主な利点は、単一の構造において、以下の機能、すなわち、感知システムが設置される構成部品内のギャップ管理、感知システムが設置される構成部品のための測定データの収集/記憶、感知システムが設置される構成部品の動作環境からエネルギーをハーベスティング/貯蔵すること(たとえば、本感知システムが航空機の構造状態の査定のために使用されるときのDPHMデータ)、および、感知システムが設置される構成部品のための測定データをユーザインターフェースにワイヤレス送信することを組み合わせることである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのナノ発電機部に対して固定された少なくとも1つのシム部を備える感知システム。
【請求項2】
前記ナノ発電機部は、圧電ナノ発電機を備える、請求項1に記載の感知システム。
【請求項3】
前記圧電ナノ発電機は、InNナノワイヤベースのナノ発電機を備える、請求項2に記載の感知システム。
【請求項4】
前記圧電ナノ発電機は、ZnOナノワイヤベースのナノ発電機を備える、請求項2に記載の感知システム。
【請求項5】
前記圧電ナノ発電機は、以下の要素、すなわち
(a)基材
(b)電気絶縁バッファ層
(c)第1の電極要素
(d)機械的および/または熱エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された圧電要素、および
(e)第2の電極要素
を有する積層構造を備え、
前記圧電ナノ発電機は、前記積層構造をカプセル封入するカプセル封入要素をさらに備える、請求項2に記載の感知システム。
【請求項6】
前記基材は、ポリマーである、請求項5に記載の感知システム。
【請求項7】
前記基材は、非ポリマー材料である、請求項5に記載の感知システム。
【請求項8】
前記基材は、可撓性材料を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項9】
前記基材は、剛性材料を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項10】
前記基材は、ポリエチレンナフタレート(PEN)を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項11】
前記基材は、アルミニウムをふくむ、請求項5~7のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項12】
前記基材は、シリコンウェハを含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項13】
前記基材は、クロムで被覆されている、請求項5~12のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項14】
前記電気絶縁バッファ層は、ポリマーである、請求項5~13のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項15】
前記電気絶縁バッファ層は、非ポリマー材料である、請求項5~13のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項16】
前記電気絶縁バッファ層は、窒化ケイ素(SiN)を含む、請求項5~13のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項17】
前記電気絶縁バッファ層は、二酸化ケイ素(SiO2)を含む、請求項5~13のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項18】
前記電気絶縁バッファ層は、酸化アルミニウムを含む、請求項5~13のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項19】
前記第1の電極要素は、光透過性の第1の電極を備える、請求項5~18のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項20】
前記第1の電極要素は、アルミニウムドープの酸化亜鉛(AZO)、たとえば、2重量%のAl23+98重量%のZnOの層を備える、請求項5~18のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項21】
前記第1の電極要素は、酸化インジウムスズ(ITO)層を備える、請求項5~18のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項22】
前記圧電要素は、n-pホモ接合ZnO圧電ナノ発電機要素を備える、請求項5~21のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項23】
前記圧電要素は、InNナノワイヤベースの圧電ナノ発電機要素を備える、請求項5~21のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項24】
前記圧電要素は、ポリマーの複数の層を備える、請求項5~23のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項25】
前記圧電要素は、非ポリマー材料の複数の層を備える、請求項5~23のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項26】
前記圧電要素は、有機および/または無機材料の単一または複数の層を備える、請求項5~23のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項27】
前記第2の電極要素は、光透過性の第2の電極を備える、請求項5~26のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項28】
前記第2の電極要素は、アルミニウムドープの酸化亜鉛(AZO)、たとえば、2重量%Al23+98重量%ZnOの層を備える、請求項5~26のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項29】
前記第2の電極要素は、酸化インジウムスズ(ITO)層を備える、請求項5~26のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項30】
前記第1の電極要素と前記第2の電極要素は同じである、請求項5~29のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項31】
前記第1の電極要素と前記第2の電極要素は異なる、請求項5~29のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項32】
前記カプセル封入要素は、ポリマーである、請求項5~31のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項33】
前記カプセル封入要素は、非ポリマー材料である、請求項5~31のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項34】
前記カプセル封入要素は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、請求項5~31のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項35】
前記電気絶縁バッファ層および前記第1の電極要素の一方または両方が、物理堆積法を使用して前記基材上に堆積される、請求項5~34のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項36】
前記電気絶縁バッファ層および前記第1の電極要素の両方が、物理堆積法を使用して前記基材上に堆積される、請求項5~34のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項37】
前記物理堆積法は、150℃での無線周波数(RF)マグネトロンスパッタリングである、請求項35または36に記載の感知システム。
【請求項38】
前記圧電要素は、物理堆積法によって前記第1の電極要素上で成長される、請求項5~37のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項39】
前記圧電要素は、化学堆積法によって前記第1の電極要素上で成長される、請求項5~37のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項40】
前記圧電要素は、熱水法を使用して成長されるZnOホモ接合ナノワイヤを備えるn-pホモ接合ZnO圧電ナノ発電機要素を備える、請求項5~37のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項41】
前記熱水法は:
n型ZnOナノワイヤを成長させるための水溶液を提供することと、ここで、前記水溶液は、硝酸亜鉛(Zn)六水和物(25mM)、ヘキサメチレンテトラミン(25mM)、および硝酸アルミニウム(Al)九水和物の混合物を備え、混合溶液内の(Al+Zn)に対するAlの原子比は、3重量%で制御されるものであり;
ドーピング剤(硝酸リチウム(Li)(75mM)など)を前記水溶液(高濃度p型)に追加することと;
前記n型ZnOナノワイヤの成長中、88℃の実質的に一定の温度で前記水溶液を維持することと;
成長時間(約500nm/時)によって前記n型ZnOナノワイヤの長さを制御することと、ここで、n型セクションのための1時間と、その直後に、Liドープのp型セクションのための追加の30分が続くものであり、
を備える、請求項40に記載の感知システム。
【請求項42】
前記ナノ発電機部は、摩擦電気ナノ発電機を備える、請求項1に記載の感知システム。
【請求項43】
前記摩擦電気ナノ発電機は、PETベースのナノ発電機である、請求項42に記載の感知システム。
【請求項44】
前記摩擦電気ナノ発電機は、PDMSベースのナノ発電機である、請求項42に記載の感知システム。
【請求項45】
前記摩擦電気ナノ発電機は、PET/PDMSベースのナノ発電機である、請求項42に記載の感知システム。
【請求項46】
前記少なくとも1つのナノ発電機部は、
(a)ひずみ感知部と、
(b)エネルギーハーベスティング部と、
(c)データ管理部と
を備える、請求項1~45のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項47】
前記エネルギーハーベスティング部は、ハーベスティングされたエネルギーを貯蔵するように構成されたエネルギー貯蔵部を備える、請求項46に記載の感知システム。
【請求項48】
前記エネルギー貯蔵部は、前記感知システムに給電するように構成される、請求項47に記載の感知システム。
【請求項49】
前記データ管理部は、測定データを前記ひずみ感知部から遠隔の場所に送信するように構成される、請求項46~48のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項50】
前記データ管理部は、測定データを前記ひずみ感知部から遠隔の場所にワイヤレスで送信するように構成される、請求項46~48のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項51】
前記少なくとも1つのシム部は、金属を備える、請求項1~50のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項52】
前記金属は、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、チタン、真鍮、銅、それらの複合物、およびそれらの合金からなる群から選択される、請求項51に記載の感知システム。
【請求項53】
前記少なくとも1つのシム部は、オーステナイトニッケル・クロム系合金を備える、請求項1~51のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項54】
前記少なくとも1つのシム部は、リチウム・アルミニウム合金を備える、請求項1~51のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項55】
前記少なくとも1つのシム部は、プラスチックを備える、請求項1~51のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項56】
前記少なくとも1つのシム部は、ポリマーを備える、請求項1~51のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項57】
前記少なくとも1つのシム部は、炭素繊維材料を備える、請求項1~51のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項58】
前記少なくとも1つのシム部は、ガラス繊維を備える、請求項1~51のいずれか一項に記載の感知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本願は、2017年11月10日に出願されたカナダ特許出願第2,985,238号の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
[0002]その態様の1つでは、本発明は、感知システムに関し、より詳細には、少なくとも1つのシムデバイスに結合された少なくとも1つの圧電感知デバイスを備える感知システムに関する。この感知システムは、たとえば、航空機、宇宙機など航空宇宙応用例で使用され得る。
【背景技術】
【0003】
[0003]航空旅行は、旅客および貨物の輸送の速く効率的な形態として世界中で広く使用されており、その普及は、人口増大と移動に伴って増大することが予想されている。Airbus社は、航空交通が年間5%未満で成長し続けると予想している。航空機の構造完全性は、重要性の最も高いものであり、安全な運航状態を維持することは、航空旅行に対する需要が増大するにつれて困難なものになる。
【0004】
[0004]米国オクラホマ州の大手MRO(メンテナンス、修理、オーバーホール)機関Covington Aircraftによって言及されているように、「航空機地上滞留」またはAOGは、営業利益率を著しく減少させる可能性がある。AOGは、航空機における機械的な問題により飛行機が安全に飛行できなくなったとき航空機MRO職員によって使用される用語である。次いで、飛行機は地上滞留され、場合によっては、その会社が所有する同じ製造元およびモデルの他の飛行機もまた、地上滞留される可能性がある。2011初頭、大手の一航空会社が、飛行中、Boing737の胴体にひび割れが現れた後、約300便をキャンセルしたことが記録されている。その結果、その航空会社は79機の飛行機をAOG状態にし、これはその航空会社に400万ドルもの減収を負わせた。したがって、多くのMRO機関および航空会社によって、使用不能時間ならびに日常メンテナンスのためのターンアラウンドタイムを削減するために、メンテナンス、修理、オーバーホールを事前に計画およびスケジューリングすることができるように、リアルタイムの航空機診断および予後ヘルスモニタリング(DPHM)が開発および展開されることが非常に望まれている。
【0005】
[0005]シム。航空宇宙および防衛は、それらの製造およびアセンブリにおける高度な精度を必要とする。品質尺度は、最終的な一体化および主要なサブシステム組立てが実施されるとき0.0001~0.0004インチの間に及ぶが、業界が生産する構造および構成部品-たとえば着陸装置、エンジン、機体および他のサブシステムにおいてギャップが存在する。ギャップ管理は、従来、部品同士を位置合わせし、それらを嵌め合わせ、および/または摩耗を低減するために使用されるワッシャまたは材料の薄い帯板などシム構成部品を使用することによって行われる。異なる必要、特に異なる厚さに対する必要を満たすために、剥離可能なシム部品が開発されており、これらは、接着剤によって一体化される多くの薄い層からなり、層ごとに剥離することができる。
【0006】
[0006]航空機診断および予後ヘルスモニタリング(DPHM)。航空機診断および予後ヘルスモニタリング(DPHM)は、先進のセンサ技術を使用する航空機の構造状態の査定である。航空機DPHMは、2つの重要な側面、すなわち負荷モニタリングおよび損傷査定を有する。負荷モニタリングは、2つの方法、すなわち直接測定のために重要な点に取り付けられた、限られた数の有線ひずみセンサを使用すること、および他の場所における負荷を推定するために飛行パラメータ(飛行時間、加速度、空気圧/密度など)をモニタすることの組合せによって実施される。損傷査定は、バードストライク、異物、およびメンテナンスに起因するものなど事故によって誘発される損傷、ならびに熱および流体暴露による金属構造の腐食、複合構造の離層、および非金属構造の劣化など環境によって引き起こされる損傷の検出/評価/モニタリングを包含する。
【0007】
[0007]エネルギーハーベスティング。現在、有線センサネットワークは、依然としてDPHMのための業界標準であり、大抵のBoing/Airbus/Bombardier/Embraer航空機で広く展開されている。有線システムは、設計自由度、多用途のDPHM機能、および最小限のノイズ干渉などの利点を提供する。しかし、有線ネットワークの設置は、著しい労力とコストを必要とする誤りを犯しやすいプロセスとなり得る。また、これは航空機に余分な重量を追加する。翼などいくつかのスポットの場合、ワイヤの設置は、航空機の構造を解体することをしばしば必要とする。別法として、ワイヤレスセンサシステムが配線問題を効果的に解消することができる。ワイヤレスシステムの場合、信頼性の高い長持ちする電源が重要になる。1つの新たに出現した技術は、周囲のエネルギー源(太陽、振動、熱)からエネルギーをハーベスティングすることである。それらのうち、航空機動作環境では機械的エネルギーが至る所で使用可能であり、これは、天候および周辺環境から独立であり、ワイヤレスセンサに給電するためにハーベスティングされ得る。
【0008】
[0008]PENGおよびTENG。摩擦電気ナノ発電機および圧電ナノ発電機(TENGおよびPENG)は、再生可能、軽量、および低コストのエネルギー源の設計および応用のための有望なビルディングブロックと考えられている。摩擦電気ナノ構造と圧電ナノ構造はどちらも、機械的エネルギーを電気に変換することができる。TENGの基本作動原理は、接触帯電と静電誘導の組合せである。複数の平面内電荷分離サイクルで生じる電荷移動を通じて、連続する電流出力が得られる。TENGは、典型的には、高いエネルギー収集効率を生み出すが、その複数の層の物理的な接触および分離動作を必要とする。PENGでは、ひずみ、圧力、または外力が加えられたとき各ナノ構造の端部で圧電分極が生じる。この分極は、電荷分離をもたらし、押圧解放サイクルにおいてパルス電圧/電流出力を生み出す。
【0009】
[0009]今日までの当技術分野における進歩にもかかわらず、航空機に対して非侵入型で影響が最小限であり、設置およびメンテナンスが容易であり、高精度な、リアルタイムのその場でのDPHMの必要が満たされていない。より具体的には、当技術分野では、リアルタイムDPHMを提供するためにロードリフティング構造(翼および着陸装置など)に容易に組み込むことができる感知システムが依然として求められている。
【発明の概要】
【0010】
[0010]本発明の目的は、従来技術の上述の欠点のうちの少なくとも1つを解決または軽減することである。
【0011】
[0011]本発明の別の目的は、新規の感知システムを提供することである。
【0012】
[0012]したがって、その態様の1つでは、本発明は、少なくとも1つのナノ発電機部に対して固定された少なくとも1つのシム部を備える感知システムを提供する。
【0013】
[0013]したがって、本発明者らは、リアルタイムDPHMを提供し、破壊的な問題を解決/軽減するために、ロードリフティング構造(翼および着陸装置など)に容易に一体化することができる感知システムを考えた。広くは、本感知システムは、少なくとも1つのシム部をTENGおよびPENGなど少なくとも1つのナノ発電機と組み合わせる。
【0014】
[0014]PENGは、外部ひずみに対して優れた感度を示す。PENGおよびTENGにおける最近の開発を考えると、TENGおよびPENGの両方からの利益を組み合わせることができる新規のハイブリッドデバイスは、エネルギー変換効率を向上させるだけでなく、自己給電式ひずみセンサなど新しい機能をも達成し得る本感知システムで使用するために特に好ましい。
【0015】
[0015]本感知システムの大きな利点は、単一の構造において、以下の機能、すなわち(a)このシステムが設置される構成部品内のギャップ管理、(b)感知システムが設置される構成部品のための測定データの収集/記憶、(c)このシステムが設置される構成部品の動作環境からエネルギーをハーベスティング/貯蔵すること(たとえば、本感知システムが航空機の構造状態の査定のために使用されるときのDPHMデータ)、および(d)このシステムが設置される構成部品のための測定データをユーザインターフェースにワイヤレス送信することを組み合わせることである。
【0016】
[0016]本発明者らの知る限り、特徴のそのような組合せを有する感知システムはこれまで知られていない。
【0017】
[0017]本発明の好ましい実施形態の詳細な説明は、航空宇宙応用例での本感知システムの使用(航空機の構造状態の査定時にDPHMデータを取得し送信することを含むが、それだけには限らない)を参照して述べられることになるが、本感知システムは、感知システムが含まれる構成部品のためにギャップ管理と測定データの収集/記憶/送信との組合せを有することが望ましい他の応用例において適用することができることを、明確に理解されたい。
【0018】
[0018]本感知システムによって測定されるデータは、ひずみデータとすることができ、感知システムの応用例に応じて多くの方法で処理/解釈することができる。それに加えて、または別法として、本感知システムは、構成部品(たとえば、航空機の翼)内に設置し、その構成部品の(許容されるパラメータ内または外の)負荷、動き、摩耗、前兆となる摩耗、および潜在的なまたは実際の故障などを測定するために使用することができる。
【0019】
[0019]本感知システムの好ましい実施形態では、記憶および送信されることになる測定データは、ひずみセンサから測定されるひずみ信号となる。一実施形態では、元のデータは、(たとえば、ミリボルトまたはボルト単位の)アナログデータとなる。そのような実施形態では、このアナログデータは、ナノ発電機部内の制御ユニットを介してデジタルデータに変換されることになることが好ましい。測定精度要件に応じて、アナログ-デジタル変換において、8または12ビットデジタル化が実装され得る。好ましくは、データ送信は、間欠的または連続的にワイヤレスで中央データハブに送られることになる。
【0020】
[0020]本感知システムの潜在的な応用例は(それだけには限らないが)、ヘリコプタおよびUAVにおけるひずみ感知およびDPHM、たとえば地震またはハリケーン/台風/竜巻を受けやすいエリア内の建物についての建物の動きおよび/または振動測定、負荷限界の安全およびメンテナンスタイミングの決定のための橋梁の動き測定、製造機器における振動モニタリング、負荷限界を超えるのを防止または補正するためにエンジンスラストまたは方向を自動的に調整するためのフィードバック機構として使用されることになる航空機(ジェット戦闘機およびUAVを含む)におけるひずみ感知、自動車フレームにおけるひずみ感知、ならびに引張りまたは運搬のために設計された機器におけるひずみ感知を含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
[0021]本発明の実施形態について、同様の符号が同様の部分を示す添付の図面を参照して述べる。
図1】ギャップを機械的に埋めるためだけに使用することができる従来の積層型シム(左)と、本感知システムの好ましい実施形態(右)との概略的な比較の図。
図2】本感知システムの好ましい実施形態の代替の概略レイアウト、すなわち(a)平行レイアウト、(b)垂直レイアウト、および(c)ハイブリッドレイアウトの図。
図3】本感知システムの垂直レイアウトの好ましい実施形態の(概略図における)図。
図4】(a)0%Liドーピング、(b)100%Liドーピング、(c)200%Liドーピング、(d)300%LiドーピングでのAZO上のZnOホモ接合NWの上面視SEM像。
図5】ナノ発電機作製プロセスの好ましい実施形態、すなわち(a)シム基材、(b)RFスパッタリングによるAZOシード層の堆積、(c)フォトレジストスピンコーティング、(d)フォトリソグラフィによる窓開け、(e)ZnO p-nホモ接合NWの選択成長、(f)アセトンによる残留フォトレジストの剥離、(g)構造を覆うためのPMMA層のスピンコーティング、(h)MoO3層の堆積、(i)上部電極として金属層の堆積、および(j)PDMSによるパックの概略図。
図6】p-nホモ接合ZnOナノワイヤ製の作製済みのナノ発電機(NG)の概略図。
図7】本感知システムの好ましい実施形態において有用な摩擦電気ナノ発電機の概略図。
図8】本感知システムの好ましい実施形態において有用な好ましい電力ユニットの概略図。
図9図8に示されている電力ユニットにおいて有用な好ましいAC-DCコンバータ回路の概略図。
図10】可撓性基材上に作製されたZnOナノワイヤベースの圧電エネルギーハーベスタの予備実験結果の図。
図11】ワイヤレスひずみ信号送信のための概念実証セットアップの実演の図。
図12】可撓性基材上に作製された作製済みのZnOナノワイヤベースの圧電エネルギーハーベスタの特性決定のためのセットアップの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0022]本発明は、少なくとも1つのナノ発電機部に対して固定された少なくとも1つのシム部を備える感知システムに関する。この感知システムの好ましい実施形態は、以下の特徴のいずれかのうちの任意の1つまたは任意の2つ以上の組合せを含み得る。
・ ナノ発電機部は、圧電ナノ発電機を備える。
・ 圧電ナノ発電機は、InNナノワイヤベースのナノ発電機を備える。
・ 圧電ナノ発電機は、ZnOナノワイヤベースのナノ発電機を備える。
・ 圧電ナノ発電機は、以下の要素、すなわち
(a)基材
(b)電気絶縁バッファ層
(c)第1の電極要素
(d)機械的および/または熱エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された圧電要素、および
(e)第2の電極要素
を有する積層構造を備え、
ナノ発電機は、積層構造をカプセル封入するカプセル封入要素をさらに備える。
・ 基材は、ポリマーである。
・ 基材は、非ポリマー材料である。
・ 基材は、可撓性材料を備える。
・ 基材は、剛性材料を備える。
・ 基材は、ポリエチレンナフタレート(PEN)を備える。
・ 基材は、アルミニウムを備える。
・ 基材は、シリコンウェハを備える。
・ 基材は、クロムで被覆されている。
・ バッファ層は、ポリマーである。
・ バッファ層は、非ポリマー材料である。
・ バッファ層は、窒化ケイ素(SiN)を備える。
・ バッファ層は、二酸化ケイ素(SiO2)を備える。
・ バッファ層は、酸化アルミニウムを備える。
・ 第1の電極は、光透過性の第1の電極を備える。
・ 第1の電極は、アルミニウムドープの酸化亜鉛(AZO))たとえば、2重量%のAl23+98重量%のZnOの層を備える。
・ 第1の電極は、酸化インジウムスズ(ITO)層を備える。
・ 圧電要素は、n-pホモ接合ZnO圧電ナノ発電機要素を備える。
・ 圧電要素は、InNナノワイヤベースの圧電ナノ発電機要素を備える。
・ 太陽電池要素は、n+-i-p+ナノ結晶/アモルファスSi:H薄膜を備える。
・ 圧電要素は、ポリマーの複数の層を備える。
・ 圧電要素は、非ポリマー材料の複数の層を備える。
・ 圧電要素は、有機および/または無機材料の単一または複数の層を備える。
・ 第2の電極は、光透過性の第2の電極を備える。
・ 第2の電極は、アルミニウムドープの酸化亜鉛(AZO)たとえば、2重量%Al23+98重量%ZnOの層を備える、請求項1~19に記載のカスケードタイプのハイブリッド太陽および圧電(および/または摩擦電気および/または熱電)ナノ発電機。
・ 第2の電極は、酸化インジウムスズ(ITO)層を備える。
・ 第1の電極と第2の電極は同じである。
・ 第1の電極と第2の電極は異なる。
・ カプセル封入要素は、ポリマーである。
・ カプセル封入要素は、非ポリマー材料である。
・ カプセル封入要素は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を備える。
・ バッファ層および第1の電極の一方または両方が、物理堆積法を使用して基材上に堆積される。
・ バッファ層および第1の電極の両方が、物理堆積法を使用して基材上に堆積される。
・ 物理堆積法は、150℃での無線周波数(RF)マグネトロンスパッタリングである。
・ 圧電要素は、物理堆積法によって第1の電極上で成長される。
・ 圧電要素は、化学堆積法によって第1の電極上で成長される。
・ 圧電要素は、熱水法を使用して成長されるZnOホモ接合ナノワイヤを備えるn-pホモ接合ZnO圧電ナノ発電機要素を備える。
・ 熱水法は:n型ZnOナノワイヤを成長させるための水溶液を提供することと、ここにおいて、水溶液は、硝酸亜鉛(Zn)六水和物(25mM)、ヘキサメチレンテトラミン(25mM)、および硝酸アルミニウム(Al)九水和物の混合物を備え、混合溶液内の(Al+Zn)に対するAlの原子比は、3重量%で制御される;ドーピング剤(硝酸リチウム(Li)(75mM)など)を溶液(高濃度p型)に追加することと;ナノワイヤの成長中、88℃の実質的に一定の温度で水溶液を維持することと;成長時間(約500nm/時)によってZnOナノワイヤの長さを制御することと、ここにおいて、n型セクションのための1時間と、その直後に、Liドープのp型セクションのための追加の30分が続く、を備える。
・ ナノ発電機部は、摩擦電気ナノ発電機を備える。
・ 摩擦電気ナノ発電機は、PETベースのナノ発電機である。
・ 摩擦電気ナノ発電機は、PDMSベースのナノ発電機である。
・ 摩擦電気ナノ発電機は、PET/PDMSベースのナノ発電機である。
・ 少なくとも1つのナノ発電機部は、
(a) ひずみ感知部と、
(b) エネルギーハーベスティング部と、
(c) データ管理部とを備える。
・ エネルギーハーベスティング部は、ハーベスティングされたエネルギーを貯蔵するように構成されたエネルギー貯蔵部を備える。
・ エネルギー貯蔵部は、感知システムに給電するように構成される。
・ データ管理部は、測定データをひずみ感知部から遠隔の場所に送信するように構成される。
・データ管理部は、測定データをひずみ感知部から遠隔の場所にワイヤレスで送信するように構成される。
・ 少なくとも1つのシム部は、金属を備える。
・ 金属は、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、チタン、真鍮、銅、それらの複合物、およびそれらの合金からなる群から選択される。
・ 少なくとも1つのシム部は、オーステナイトニッケル-クロム系合金を備える。
・ 少なくとも1つのシム部は、リチウム-アルミニウム合金を備える。
・ 少なくとも1つのシム部は、プラスチックを備える。
・ 少なくとも1つのシム部は、ポリマーを備える。
・ 少なくとも1つのシム部は、炭素繊維材料を備える。および/または
・ 少なくとも1つのシム部は、ガラス繊維を備える。
【0023】
[0023]従来のシムは、重要な寸法公差を達成するために機械的なギャップを埋める機能だけを有する機械的部品である。しかし、本感知システム(本明細書では、場所により「スマートシム」とも称される)は、複数の機能 - ギャップ管理、ひずみ感知、エネルギーハーベスティング、データ送信 - をすべて、軽量で物理的な専有面積制約が小さい1つの部片に一体化する - 図1を参照されたい。
【0024】
[0024]図2は、本感知システムの好ましい実施形態の異なるレイアウトを示す。
【0025】
[0025]1つの選択肢(平行スマートシム)が図2(a)に示されており、機能ユニット - ひずみセンサ(機械的なひずみおよび変形を感知する)、エネルギーハーベスタ(周囲からエネルギーをハーベスティングし、それを電気エネルギーに変換する)、電力ユニット(AC電気エネルギーをDC電気エネルギーに変換し、それを貯蔵する)、およびデータユニット(ひずみ信号を収集し、それを遠隔の基地局に送信する) - が、同じシム層上で横方向に一体化される。
【0026】
[0026]図2(b)は、異なる機能ユニットが異なるシム層上に作製され、垂直方向に一体化される第2の選択肢(垂直スマートシム)を示す。
【0027】
[0027]図2(c)いくつかの機能ユニットが1つのシム層上で一体化され、他の機能ユニットが別のシム層上で一体化され、次いで、これらの2つのシム層が垂直方向に共に一体化され、完全なシステムを達成する第3の選択肢(ハイブリッドスマートシム)を示す。平行スマートシム選択肢は、異なる機能ユニットを1つのシム層上で一体化することを必要とし、これはデバイス作製に対する要求が多い。一方、異なる機能ユニット間の相互接続は、1つのシム層上で行うことができる。
【0028】
[0028]垂直スマートシム選択肢(図2(b))は、異なる機能ユニットを異なるシム層上に作製することができ、その結果、デバイス作製はより単純である。しかし、異なる機能ユニット間の相互接続は、より複雑である。ハイブリッドスマートシム選択肢(図3(c))は、先の2つの選択肢の利点を組み合わせる。いくつかの応用例では、ハイブリッドスマートシム選択肢が好ましい手法となり得る。
【0029】
[0029]図3は、好ましいセンサシステムのレイアウトの好ましい実施形態を示す。この好ましい実施形態では、デバイスは、5つの層、すなわち(i)シム基材(下部電極としても働く、(ii)圧電ナノワイヤ(機械的なひずみを電位または電流に変換する)、(iii)ポリメチルメタクリレート(PMMA)層(ナノワイヤ間のギャップを埋め、ナノワイヤに対して機械的な支持を提供し、上部電極を下部電極から絶縁する)、(iv)MoO3層、および(v)Au層(上部電極として)からなる。他の実施形態では、MoO3層は省略される。圧電ナノワイヤ(NW)は、特に制限されない。NWは、InN NW、GaN NW、ZnOナノワイヤなどからなる群から選択されることが好ましい。ZnOナノワイヤは、電気化学的または熱化学的堆積手法のいずれかを使用することによってシム基材に成長させることができる。
【0030】
[0030]ZnOナノワイヤは、白金メッシュ対電極およびAg/AgC参照電極を有する3電極構成で、電気化学的堆積を使用して成長させることができる。図の実施形態では、アルミニウムドープのZnO(AZO、2重量%Al23+98重量%ZnO)層が、事前洗浄されたシム基材上に無線周波数(RF)マグネトロンスパッタリングを150℃で使用して被覆された。いくつかの実施形態では、シム基材は、最初にクロムの層で被覆され、次いで、AZO層がクロム層の上部に被覆される。金または銅など他の金属が単独で、またはクロムとの組合せで、シム基材を被覆するために使用されてもよい。AZO層は、導電性電極としても後続の電気化学的堆積におけるNW成長のためのシード層としても働く。図の実施形態では、次いでフォトリソグラフィを使用し、AZO被覆されたPEN基材上にスピンオンされたフォトレジスト層内に、200μm離れた方形の窓のアレイを開いた。保持されているフォトレジストマスクは、NWが開いた窓内の露出されたシード層上だけに成長することを確実にする。
【0031】
[0031]真性NW(n型)を成長させるための溶液は、25mMの硝酸亜鉛(Zn(NO32)、12.5mMのヘキサメチレンテトラミン(HMTA)、5mMのポリエチレンイミン(PEI)、および0.3Mの水酸化アンモニウムを含んでいた。p型NW(Liドープ)を得るために、異なる濃度の硝酸リチウムドーピング試薬を追加することができる。これらの濃度(25mM、50mM、および75mM)は、異なるリチウム混合比(それぞれ100%、200%、および300%)に対応し、LiドープのNWを異なるように製作した。作用電極のバイアスは、Ag/AgC参照電極に対して-0.7Vで固定された。NW長さ(約4μm)は、成長時間を真性セクション(n型)のための3時間と、その直後に続くLiドープのセクション(p型)のための別の3時間に設定することによって制御された。溶液温度は、どちらの場合にも、90℃10分間と、それに続く88℃170分間で維持された。
【0032】
[0032]図4は、電気化学的堆積を使用することによって成長されたZnOナノワイヤの走査電子顕微鏡(SEM)像を示す。単結晶NWが、±25°以内の傾斜角を有する垂直方向に沿って粗く位置合わせされている。それらの直径は、約2.0×109cm-2の面密度で100nmから200nmに及んだ。
【0033】
[0033]図5は、本感知システム(この場合、ナノワイヤベースのひずみセンサ)の好ましい実施形態を作製するプロセスステップの概略図の好ましい実施形態を示す。一辺の長さ1~10cmを有する方形または異なる形状のNWパターンを、デバイス作製において使用することができる。これらのNWは、最初にPMMAのスピンコートされた絶縁層でカプセル封入され、次いで120℃3時間で硬化される。この層は、NG動作中、NWを損傷から保護するためのポリマーマトリクスを提供し、NGの上部電極と下部電極との間の電気的短絡を防止する。その可撓性により、PMMAは、NWに外部ひずみを加えることを妨げない。
【0034】
[0034]界面エネルギー障壁を増大し、漏れ電流を抑制するために、シャドウマスクを使用した真空熱蒸着と、その後に続く金属カソード(アルミニウムまたは金)の堆積を使用することによって、薄い酸化モリブデン(MoO3)中間層をPMMA層の上部に堆積し、作製を完了することができる。これらのデバイスは、周囲の環境からの汚染、損傷、および水分浸透を防止するために、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、すなわち10:1w/wの比率で硬化剤と事前混合され脱ガスされたDow Corning Sylgard(登録商標)184内にパックすることができる。
【0035】
[0035]図6は、ZnOホモ接合NWに基づく本感知システムの好ましい実施形態の概略レイアウトを示す。ZnOホモ接合NWを使用することによって、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する効率を著しく向上させることができる。そのようなエネルギーハーベスティングデバイスの作製は、ZnOナノワイヤベースのひずみセンサのものと同様である。これらの2つのデバイス間の違いは、ひずみセンサは機械的なひずみに対して感度を有し、低いノイズレベルを有するべきであり、一方、エネルギーハーベスタは、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換するうえで高い効率を有するべきであることである。ZnOナノワイヤおよびデバイス構成は、これらの2つのデバイスについて、それらの異なる技術的要件の点で異なるように最適化することができる。
【0036】
[0036]本感知システムの好ましい実施形態で使用され得る好ましい圧電ナノ発電機についてのさらなる詳細は、共に2017年5月11日に出願された、同時係属のカナダ特許出願第2,967,004号、および米国特許仮出願第62/602,895号に見出すことができる。またG. Liu, E. Abdel-Rahman, D. Ban,「Performance optimization of p-n homojunction nanowire-based piezoelectric nanogenerators through control of doping concentration」 J. Appl. Phys., 2915, 118, 094307をも参照されたい。
【0037】
[0037]圧電ナノ発電機がInNナノワイヤベースのものである場合、G. Liu, S. Zhao, R. D. Henderson, Z. Leonenko, E. Abdel-Rahman, Z. Mi,およびD. Ban,「Nanogenerators based on vertically aligned InN nanowires」Nanoscale, 2016, 8, 2097-2106をも参照されたい。
【0038】
[0038]エネルギーハーベスタユニットは、摩擦電気デバイスを使用して作製することもできる。摩擦電気デバイスのエネルギー変換効率は、典型的には、デバイスの2つの電極の相対的な機械的変位に依存する。この機械的な相対変位がかなり大きなものである場合、摩擦電気エネルギーハーベスタは、圧電エネルギーハーベスタより有益なものとなり得る。
【0039】
[0039]摩擦電気デバイスは、圧電デバイスより単純な層構造を有する。典型的には、ポリマー絶縁層によって分離された2つの金属電極層からなる。図7は、本感知システムにおける摩擦電気デバイスの好ましい実施形態を示し、この摩擦電気デバイスは、上側PMMA層と、上側電極と、ポリジメチルシロキサン(PDMS)層と、下側電極と、下側PMMA層とを備える。金属電極層は、熱蒸着によってPMMA基材上に堆積させることができる。PDMS層は、スピンコーティングによって金属電極層上に堆積させることができる。エネルギー変換効率を向上させるために、金属ナノ粒子(Auナノ粒子など)をPDMS層と下側電極層との間の界面に挿入することができる。
【0040】
[0040]好ましい実施形態では、本感知システムで使用するための摩擦電気ナノ発電機は、以下の非限定的なプロセスを使用して製作される。
1.フォトリソグラフィを使用してシリコンウェハ(たとえば、直径5インチ)上に、モールド層がパターン形成される。
2.パターン形成されたウェハは、ドライエッチングプロセスを使用して異方性エッチングされ、陥凹した角錐が形成される。
3.アセトンイソプロパノールで洗浄後、PDMSとSiモールドとの間の接着を回避するために、Siウェハのすべてが、気相シラン化によってトリメチルクロロシラン(Sigma Aldrich)で処理される。
4.パターン形成されたポリマー膜を準備する際、PDMSエラストマーと架橋剤(Sylgard 184、Tow Corning)が混合され、次いでSiウェハ上に塗布される。
5.真空下での脱ガスプロセス後、エラストマー混合物が500rpmで60秒間スピンコートされる。
6.85℃で1時間、保温した後、均一なPDMS薄膜がSiモールドから剥離され、未硬化のPDMSが1枚の清浄なITO被覆されたPET膜上に置かれる。
7.サンドイッチ構造を形成するために、別の清浄なITO被覆されたPET膜が、準備されたPDMS-PET基材上に置かれる。
8.次いで、PETとパターン形成されたPDMS膜との間の適切な接触を確保するために、デバイスの2つの短い縁部が通常の接着テープで封止される。
【0041】
[0041]多くのシム基材は、金属材料製であるため、上側電極層および下側電極層として使用することができ、これは、本感知システムにおけるエネルギーハーベスタ構成部品のデバイス作製および一体化を簡素化することができる。
【0042】
[0042]発生されるエネルギーは、調整された状態でデバイスに給電するために使用することができるように、バッテリまたはキャパシタに貯蔵されることが好ましい。発電ユニットと貯蔵ユニットとの間には、電力貯蔵効率を最大化するために、電力管理回路を実装することが好ましい。中心的な目標は、貯蔵のために、またデータユニットによって消費されるエネルギーを管理するために、ハーベスティングされたエネルギーをバッテリ層に転送するためのより効率的なエネルギーハーベスティングおよび管理回路を開発することである。
【0043】
[0043]図8は、典型的には、AC電流をDC電流に変換するための電子回路と、エネルギー貯蔵ユニットとを含む、例示的な電力ユニットの基本レイアウトの好ましい実施形態を示す。エネルギーハーベスタからのAC電力は、AC-DCコンバータを介してDC電力に変換され、エネルギー貯蔵ユニットに貯蔵される。貯蔵された電力は、ひずみデータ収集および送信のために、他の構成部品(データユニットなど)をバイアスするために使用されることになる。
【0044】
[0044]4つのpn接合ダイオードと1つのキャパシタとからなる代表的なAC-DCコンバータ回路が図9に示されている。これらのpn接合ダイオードおよびキャパシタは、ASIC(アモルファスシリコン集積回路)技術を使用することによって作製することができる。エネルギー貯蔵ユニットは、スーパーキャパシタまたは薄膜ベースのリチウム再充電可能バッテリとすることができる。金属シム基材の場合、高い誘電率を有する電気絶縁層によって分離された2つの隣り合うシム層を、スーパーキャパシタの2つの電極として使用することができる。
【0045】
[0045]データユニットは、ひずみ信号収集および送信のためのものである。データユニットは、スタンドアロンのユニットとすることができ、これは、Soc-Robotics.comからのRF24L01ワイヤレスコネクタなど市販のものである。それは、収集されたひずみ信号を、短い距離の範囲内にある基地局に送信することができる。別の選択肢は、ASIC技術を使用してシム基材上にデータ収集および送信回路を直接作製することである。ワイヤレス送信距離は短く、データ送信速度は低いので、データユニットの技術的要件を満たすために、そのようなASIC回路は十分なはずである。
【0046】
[0046]図10は、可撓性基材上に作製されたZnOナノワイヤベースの圧電エネルギーハーベスタの予備実験結果を示す。平均ピーク開回路電圧は0.7Vであり、平均ピーク短絡回路電流は42nAであり、0.03Wのピーク出力電力を生み出す。
【0047】
[0047]図11は、ワイヤレスひずみ信号送信のための概念実証セットアップを示す。ひずみセンサは、2つの市販のひずみゲージ(Vishay Precision Group)であり、機械的振動下に置いた。ひずみデータは、エネルギーハーベスティングシステムによって給電されるワイヤレスセンサノードによって収集され、近くの基地局に送信された。これらの予備実験結果は、ひずみセンサ上の加えられたひずみは、周波数3Hzで1600μsであったことを示す。
【0048】
[0048]図12は、可撓性基材上に作製された作製済みのZnOナノワイヤベースの圧電エネルギーハーベスタの特性決定のためのセットアップの概略図を示す。システムは、閉ループコントローラ(VR9500 Revolution)と、リニアシェーカ(Labworks Inc.,ET-126-1)とを含む。シェーカは、特定の周波数、加速度、および力の量で機械的なひずみを提供することができる。図のセットアップを使用して、圧電エネルギーハーベスタの得られた出力開回路電圧および出力短絡回路電流は、Stanford低ノイズ電圧/電流前置増幅器(Model SR560/570)を使用して、前置増幅器の入力抵抗をそれぞれ100MΩ(SR560)および10kΩ(SR570)に設定して測定された(図10参照)。
【0049】
[0049]本発明について、例示的な実施形態および例を参照して述べたが、この説明は、限定的な意味で解釈されることは意図されていない。したがって、この説明を読めば、本発明のこれらの例示的な実施形態、ならびに他の実施形態の様々な修正形態が、当業者には明らかになろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、任意のそのような修正形態または実施形態を包含することが企図されている。
【0050】
[0050]本明細書で参照されているすべての出版物、特許、および特許出願は、各個々の出版物、特許、または特許出願が具体的に個々にその全体が参照により組み込まれるものと示されているかのように同じ程度でそれらの全体が参照により組み込まれている。
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[36] Nai-Jen Ku, Chao-Hung Wang, Jun-Han Huang, Hsin-Chiao Fang, Po-Chien HuangおよびChuan-Pu Liu,「Energy Harvesting from the Obliquely Aligned InN Nanowire Array with a Surface Electron-Accumulation Layer」 Advanced Materials, 2013, 25, 861-866.
[37] Chia-Hao Tu, Waileong Chen, Hsin-Chiao Fang, Yonhua Tzeng, Chuan-Pu Liu,「Heteroepitaxial nucleation and growth of graphene nanowalls on silicon」 Carbon, 2013, 54, 234-240.
[38] Chao-Hung Wang, Wei-Shun Liao, Zong-Hong Lin, Nai-Jen Ku, Yi-Chang Li, Yen-Chih Chen, Zhong-Lin WangおよびChuan-Pu Liu,「Optimization of the Output Efficiency of GaN Nanowire Piezoelectric Nanogenerators by Tuning the Free Carrier Concentration」 Advanced Energy Materials, 2014, 4, 1400392.
[39] Chao-Hung Wang, Wei-Shun Liao, Nai-Jen Ku, Yi-Chang Li, Yen-Chih Chen, Li-Wei TuおよびChuan-Pu Liu,「Effects of Free Carriers on Piezoelectric Nanogenerators and Piezotronic Devices Made of GaN Nanowire Arrays」 Small, 2014, 10, 4718-4725.
[40] Yen-Yu Chen, Chao-Hung Wang, Giin-Shan Chen, Yi-Chang LiおよびChuan-Pu Liu,「Self-powered n-MgxZn1-xO/p-Si photodetector improved by alloying-enhanced piezopotential through piezo-phototronic effect」 Nano Energy, 2015, 11, 533-539.
[41] Chao-Hung Wang, Kun-Yu Lai, Yi-Chang Li, Yen-Chih Chen,およびChuan-Pu Liu,「Ultrasensitive Thin-Film-Based AlxGa1xN Piezotronic Strain Sensors via Alloying-Enhanced Piezoelectric Potential」 Advanced Materials, 2015, 27, 6289-6295.
[42] Dayan Ban, Guocheng Liu,共に2017年5月11日に出願された「Cascade-type hybrid energy cells for driving wireless sensors」同時係属のカナダ特許出願第2,967,004号および米国特許仮出願第62/602,895号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-01-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのナノ発電機部に対して固定された少なくとも1つのシム部を備える感知システムであって、前記少なくとも1つのナノ発電機部は、
(a)ひずみ感知部と、
(b)エネルギーハーベスティング部と、
(c)データ管理部と
を備える、感知システム。
【請求項2】
前記ナノ発電機部は、圧電ナノ発電機を備える、請求項1に記載の感知システム。
【請求項3】
前記圧電ナノ発電機は、以下の要素、すなわち
(a)基材
(b)電気絶縁バッファ層
(c)第1の電極要素
(d)機械的および/または熱エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された圧電要素、ならびに
(e)第2の電極要素
を有する積層構造を備え、
前記圧電ナノ発電機は、前記積層構造をカプセル封入するカプセル封入要素をさらに備える、請求項2に記載の感知システム。
【請求項4】
前記基材は、クロムで被覆されている、請求項3に記載の感知システム。
【請求項5】
前記第1の電極要素は、光透過性の第1の電極を備える、請求項3または4に記載の感知システム。
【請求項6】
前記第1の電極要素は、アルミニウムドープの酸化亜鉛(AZO)、たとえば、2重量%のAl+98重量%のZnOの層を備える、請求項3または4に記載の感知システム。
【請求項7】
前記第1の電極要素は、酸化インジウムスズ(ITO)層を備える、請求項3または4に記載の感知システム。
【請求項8】
前記第2の電極要素は、光透過性の第2の電極を備える、請求項のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項9】
前記電気絶縁バッファ層および前記第1の電極要素の両方が、物理堆積法を使用して前記基材上に堆積される、請求項のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項10】
前記ナノ発電機部は、摩擦電気ナノ発電機を備える、請求項1に記載の感知システム。
【請求項11】
前記エネルギーハーベスティング部は、ハーベスティングされたエネルギーを貯蔵するように構成されたエネルギー貯蔵部を備える、請求項1に記載の感知システム。
【請求項12】
前記エネルギー貯蔵部は、前記感知システムに給電するように構成される、請求項11に記載の感知システム。
【請求項13】
前記データ管理部は、測定データを前記ひずみ感知部から遠隔の場所に送信するように構成される、請求項1、11、12のいずれか一項に記載の感知システム。
【請求項14】
前記データ管理部は、測定データを前記ひずみ感知部から遠隔の場所にワイヤレスで送信するように構成される、請求項1、11、12のいずれか一項に記載の感知システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
[0049]本発明について、例示的な実施形態および例を参照して述べたが、この説明は、限定的な意味で解釈されることは意図されていない。したがって、この説明を読めば、本発明のこれらの例示的な実施形態、ならびに他の実施形態の様々な修正形態が、当業者には明らかになろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、任意のそのような修正形態または実施形態を包含することが企図されている。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 少なくとも1つのナノ発電機部に対して固定された少なくとも1つのシム部を備える感知システム。
[2] 前記ナノ発電機部は、圧電ナノ発電機を備える、[1]に記載の感知システム。
[3] 前記圧電ナノ発電機は、InNナノワイヤベースのナノ発電機を備える、[2]に記載の感知システム。
[4] 前記圧電ナノ発電機は、ZnOナノワイヤベースのナノ発電機を備える、[2]に記載の感知システム。
[5] 前記圧電ナノ発電機は、以下の要素、すなわち
(a)基材
(b)電気絶縁バッファ層
(c)第1の電極要素
(d)機械的および/または熱エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された圧電要素、および
(e)第2の電極要素
を有する積層構造を備え、
前記圧電ナノ発電機は、前記積層構造をカプセル封入するカプセル封入要素をさらに備える、[2]に記載の感知システム。
[6] 前記基材は、ポリマーである、[5]に記載の感知システム。
[7] 前記基材は、非ポリマー材料である、[5]に記載の感知システム。
[8] 前記基材は、可撓性材料を含む、[5]~[7]のいずれか一項に記載の感知システム。
[9] 前記基材は、剛性材料を含む、[5]~[7]のいずれか一項に記載の感知システム。
[10] 前記基材は、ポリエチレンナフタレート(PEN)を含む、[5]~[7]のいずれか一項に記載の感知システム。
[11] 前記基材は、アルミニウムをふくむ、[5]~[7]のいずれか一項に記載の感知システム。
[12] 前記基材は、シリコンウェハを含む、[5]~[7]のいずれか一項に記載の感知システム。
[13] 前記基材は、クロムで被覆されている、[5]~[12]のいずれか一項に記載の感知システム。
[14] 前記電気絶縁バッファ層は、ポリマーである、[5]~[13]のいずれか一項に記載の感知システム。
[15] 前記電気絶縁バッファ層は、非ポリマー材料である、[5]~[13]のいずれか一項に記載の感知システム。
[16] 前記電気絶縁バッファ層は、窒化ケイ素(SiN)を含む、[5]~[13]のいずれか一項に記載の感知システム。
[17] 前記電気絶縁バッファ層は、二酸化ケイ素(SiO2)を含む、[5]~[13]のいずれか一項に記載の感知システム。
[18] 前記電気絶縁バッファ層は、酸化アルミニウムを含む、[5]~[13]のいずれか一項に記載の感知システム。
[19] 前記第1の電極要素は、光透過性の第1の電極を備える、[5]~[18]のいずれか一項に記載の感知システム。
[20] 前記第1の電極要素は、アルミニウムドープの酸化亜鉛(AZO)、たとえば、2重量%のAl2O3+98重量%のZnOの層を備える、[5]~[18]のいずれか一項に記載の感知システム。
[21] 前記第1の電極要素は、酸化インジウムスズ(ITO)層を備える、[5]~[18]のいずれか一項に記載の感知システム。
[22] 前記圧電要素は、n-pホモ接合ZnO圧電ナノ発電機要素を備える、[5]~[21]のいずれか一項に記載の感知システム。
[23] 前記圧電要素は、InNナノワイヤベースの圧電ナノ発電機要素を備える、[5]~[21]のいずれか一項に記載の感知システム。
[24] 前記圧電要素は、ポリマーの複数の層を備える、[5]~[23]のいずれか一項に記載の感知システム。
[25] 前記圧電要素は、非ポリマー材料の複数の層を備える、[5]~[23]のいずれか一項に記載の感知システム。
[26] 前記圧電要素は、有機および/または無機材料の単一または複数の層を備える、[5]~[23]のいずれか一項に記載の感知システム。
[27] 前記第2の電極要素は、光透過性の第2の電極を備える、[5]~[26]のいずれか一項に記載の感知システム。
[28] 前記第2の電極要素は、アルミニウムドープの酸化亜鉛(AZO)、たとえば、2重量%Al2O3+98重量%ZnOの層を備える、[5]~[26]のいずれか一項に記載の感知システム。
[29] 前記第2の電極要素は、酸化インジウムスズ(ITO)層を備える、[5]~[26]のいずれか一項に記載の感知システム。
[30] 前記第1の電極要素と前記第2の電極要素は同じである、[5]~[29]のいずれか一項に記載の感知システム。
[31] 前記第1の電極要素と前記第2の電極要素は異なる、[5]~[29]のいずれか一項に記載の感知システム。
[32] 前記カプセル封入要素は、ポリマーである、[5]~[31]のいずれか一項に記載の感知システム。
[33] 前記カプセル封入要素は、非ポリマー材料である、[5]~[31]のいずれか一項に記載の感知システム。
[34] 前記カプセル封入要素は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、[5]~[31]のいずれか一項に記載の感知システム。
[35] 前記電気絶縁バッファ層および前記第1の電極要素の一方または両方が、物理堆積法を使用して前記基材上に堆積される、[5]~[34]のいずれか一項に記載の感知システム。
[36] 前記電気絶縁バッファ層および前記第1の電極要素の両方が、物理堆積法を使用して前記基材上に堆積される、[5]~[34]のいずれか一項に記載の感知システム。
[37] 前記物理堆積法は、150℃での無線周波数(RF)マグネトロンスパッタリングである、[35]または[36]に記載の感知システム。
[38] 前記圧電要素は、物理堆積法によって前記第1の電極要素上で成長される、[5]~[37]のいずれか一項に記載の感知システム。
[39] 前記圧電要素は、化学堆積法によって前記第1の電極要素上で成長される、[5]~[37]のいずれか一項に記載の感知システム。
[40] 前記圧電要素は、熱水法を使用して成長されるZnOホモ接合ナノワイヤを備えるn-pホモ接合ZnO圧電ナノ発電機要素を備える、[5]~[37]のいずれか一項に記載の感知システム。
[41] 前記熱水法は:
n型ZnOナノワイヤを成長させるための水溶液を提供することと、ここで、前記水溶液は、硝酸亜鉛(Zn)六水和物(25mM)、ヘキサメチレンテトラミン(25mM)、および硝酸アルミニウム(Al)九水和物の混合物を備え、混合溶液内の(Al+Zn)に対するAlの原子比は、3重量%で制御されるものであり;
ドーピング剤(硝酸リチウム(Li)(75mM)など)を前記水溶液(高濃度p型)に追加することと;
前記n型ZnOナノワイヤの成長中、88℃の実質的に一定の温度で前記水溶液を維持することと;
成長時間(約500nm/時)によって前記n型ZnOナノワイヤの長さを制御することと、ここで、n型セクションのための1時間と、その直後に、Liドープのp型セクションのための追加の30分が続くものであり、
を備える、[40]に記載の感知システム。
[42] 前記ナノ発電機部は、摩擦電気ナノ発電機を備える、[1]に記載の感知システム。
[43] 前記摩擦電気ナノ発電機は、PETベースのナノ発電機である、[42]に記載の感知システム。
[44] 前記摩擦電気ナノ発電機は、PDMSベースのナノ発電機である、[42]に記載の感知システム。
[45] 前記摩擦電気ナノ発電機は、PET/PDMSベースのナノ発電機である、[42]に記載の感知システム。
[46] 前記少なくとも1つのナノ発電機部は、
(a)ひずみ感知部と、
(b)エネルギーハーベスティング部と、
(c)データ管理部と
を備える、[1]~[45]のいずれか一項に記載の感知システム。
[47] 前記エネルギーハーベスティング部は、ハーベスティングされたエネルギーを貯蔵するように構成されたエネルギー貯蔵部を備える、[46]に記載の感知システム。
[48] 前記エネルギー貯蔵部は、前記感知システムに給電するように構成される、[47]に記載の感知システム。
[49] 前記データ管理部は、測定データを前記ひずみ感知部から遠隔の場所に送信するように構成される、[46]~[48]のいずれか一項に記載の感知システム。
[50] 前記データ管理部は、測定データを前記ひずみ感知部から遠隔の場所にワイヤレスで送信するように構成される、[46]~[48]のいずれか一項に記載の感知システム。
[51] 前記少なくとも1つのシム部は、金属を備える、[1]~[50]のいずれか一項に記載の感知システム。
[52] 前記金属は、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、チタン、真鍮、銅、それらの複合物、およびそれらの合金からなる群から選択される、[51]に記載の感知システム。
[53] 前記少なくとも1つのシム部は、オーステナイトニッケル・クロム系合金を備える、[1]~[51]のいずれか一項に記載の感知システム。
[54] 前記少なくとも1つのシム部は、リチウム・アルミニウム合金を備える、[1]~[51]のいずれか一項に記載の感知システム。
[55] 前記少なくとも1つのシム部は、プラスチックを備える、[1]~[51]のいずれか一項に記載の感知システム。
[56] 前記少なくとも1つのシム部は、ポリマーを備える、[1]~[51]のいずれか一項に記載の感知システム。
[57] 前記少なくとも1つのシム部は、炭素繊維材料を備える、[1]~[51]のいずれか一項に記載の感知システム。
[58] 前記少なくとも1つのシム部は、ガラス繊維を備える、[1]~[51]のいずれか一項に記載の感知システム。
【外国語明細書】