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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040130
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20230314BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20230314BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20230314BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
G01B11/25 H
G01B11/02 H
G01B11/00 A
B28B1/30
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211626
(22)【出願日】2022-12-28
(62)【分割の表示】P 2020519574の分割
【原出願日】2019-05-07
(31)【優先権主張番号】P 2018093297
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000160359
【氏名又は名称】吉野石膏株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】安江 健造
(57)【要約】      (修正有)
【課題】搬送している板状の被検査物を検査する検査装置を提供する。
【解決手段】被検査物12の搬送方向Yに直交する幅方向Xの端部の側面に、被検査物の厚み方向に沿った線状の光を照射する光源13A、13Bと、被検査物の前記幅方向の端部の側面に光源から照射された光を撮影する撮像装置14A、14Bと、撮像装置を移動させる撮像装置用駆動装置15と、撮像装置の位置を制御する撮像装置用制御部151と、を有し、撮像装置用制御部は、被検査物の幅方向の端部の位置にあわせて撮像装置の位置を制御する検査装置10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送している板状の被検査物を検査する検査装置であって、
前記被検査物の搬送方向に直交する幅方向の端部の側面に、前記被検査物の厚み方向に沿った線状の光を照射する光源と、
前記被検査物の前記幅方向の端部の側面に前記光源から照射された前記光を撮影する撮像装置と、
前記撮像装置を移動させる撮像装置用駆動装置と、
前記撮像装置の位置を制御する撮像装置用制御部と、を有し、
前記撮像装置用制御部は、前記被検査物の前記幅方向の端部の位置にあわせて前記撮像装置の位置を制御する検査装置。
【請求項2】
前記光源の発光部と、前記撮像装置の受光部とは、前記被検査物の下面よりも上方に位置する請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
搬送している前記被検査物の上方に配置され、前記被検査物の前記幅方向の端部の位置を検出する上部撮像装置をさらに有する請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記光源を移動させる光源用駆動装置と、
前記被検査物の前記幅方向の端部の側面に照射する前記光の入射角が予め定めた角度になるように、前記光源の位置を制御する光源用制御部とをさらに有する請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記撮像装置が撮影した、前記被検査物の前記幅方向の端部の側面に前記光源から照射された前記光の画像を表示する表示部をさらに有する請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記撮像装置が撮影した、前記被検査物の前記幅方向の端部の側面に前記光源から照射された前記光の形状に基づいて、前記被検査物の前記幅方向の端部の形状を算出する端部形状算出用演算部と、
前記端部形状算出用演算部により算出された前記被検査物の前記幅方向の端部の形状の判定を行う端部形状判定部をさらに有する請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記撮像装置の位置に基づいて、前記被検査物の幅を算出する幅算出用演算部と、
前記幅算出用演算部により算出された前記被検査物の幅の判定を行う幅判定部とをさらに有する請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項8】
板状物を製造する板状物の製造装置であって、
前記板状物の中間体、または前記板状物を前記被検査物として検査する請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の検査装置を備えた板状物の製造装置。
【請求項9】
前記板状物が石膏系建材である請求項8に記載の板状物の製造装置。
【請求項10】
前記板状物が石膏ボードである請求項8に記載の板状物の製造装置。
【請求項11】
搬送している板状の被検査物を検査する検査方法であって、
光源から、前記被検査物の搬送方向に直交する幅方向の端部の側面に、前記被検査物の厚み方向に沿った線状の光を照射する光照射工程と、
前記被検査物の前記幅方向の端部の側面に前記光源から照射された前記光を撮影できるように、前記被検査物の前記幅方向の端部の位置にあわせて撮像装置の位置を制御する撮像装置位置制御工程と、
前記撮像装置により、前記被検査物の前記幅方向の端部の側面に前記光源から照射された前記光を撮影する撮像工程と、を有する検査方法。
【請求項12】
前記光源の発光部と、前記撮像装置の受光部とは、前記被検査物の下面よりも上方に位置する請求項11に記載の検査方法。
【請求項13】
搬送している前記被検査物の上方に配置された上部撮像装置により、前記被検査物の前記幅方向の端部の位置を検出する端部位置検出工程をさらに有し、
前記撮像装置位置制御工程では、前記端部位置検出工程での検出結果を用いて、前記撮像装置の位置を制御する請求項11または請求項12に記載の検査方法。
【請求項14】
前記被検査物の前記幅方向の端部の側面に照射する前記光の入射角が予め定めた角度になるように、前記光源の位置を制御する光源位置制御工程をさらに有する請求項12~請求項13のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項15】
前記撮像工程で撮影した、前記被検査物の前記幅方向の端部の側面に前記光源から照射された前記光の形状に基づいて、前記被検査物の前記幅方向の端部の形状を算出する端部形状算出工程と、
前記端部形状算出工程において算出された前記被検査物の前記幅方向の端部の形状の判定を行う端部形状判定工程をさらに有する請求項11~請求項14のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項16】
前記撮像装置の位置に基づいて、前記被検査物の幅を算出する幅算出工程と、
前記幅算出工程により算出された前記被検査物の前記幅の判定を行う幅判定工程とをさらに有する請求項11~請求項15のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項17】
板状物を製造する板状物の製造方法であって、
前記板状物の中間体、または前記板状物を前記被検査物として、請求項11~請求項16のいずれか一項に記載の検査方法により検査する検査工程を有する板状物の製造方法。
【請求項18】
前記板状物が石膏系建材である請求項17に記載の板状物の製造方法。
【請求項19】
前記板状物が石膏ボードである請求項17に記載の板状物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置、板状物の製造装置、検査方法、板状物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミック、金属等の無機材料や、樹脂等の有機、高分子材料を原料に含む板状の製品は、例えば原料を連続した板状(帯状)に成形後、成形物を搬送しながら、必要に応じて切断、乾燥等の各種操作が施され、連続的に製造されている。
【0003】
そして、搬送されている板状の半製品や製品について、所定の部分の形状や、サイズが規格を満たすものであるかを検査することが行われている。
【0004】
このため、製造している板状物を被検査物とする検査装置について従来から各種検討されていた。
【0005】
例えば特許文献1には、一方向に連続して移動する板状連続物体の端面に線状の光を照射する投光器と、前記板状連続物体の端面に生じる輝線を受光面に結像させるレンズ系と、前記受光面上の輝線像の幅方向に複数の受光エレメントが配列されかつ輝線像を電気信号に変換する光センサアレイと、前記光センサアレイの出力信号から前記受光面上の輝線像の傾斜を演算し出力する演算部とを有する受光器と、を備えたことを特徴とする板状連続物体の面検査装置が開示されている。
【0006】
特許文献1に開示された板状連続物体の面検査装置によれば、板状連続物体の表面に対する端面の角度の検査が可能になるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国特開平5-346319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、工場等において板状物を連続して製造するため、例えば板状物をベルトコンベア等の搬送手段により搬送する際、板状物またはベルトコンベアの蛇行により、該搬送手段の搬送方向と直交する幅方向における板状物の端部の位置が、該搬送方向と直交する方向内で変化する場合がある。
【0009】
また、製造している板状物の幅が規格範囲内で、また場合によっては規格範囲を超えて、変動する場合もある。このため、板状物を製造する際に、板状物を搬送手段により搬送していると、該搬送手段上における板状物の、搬送方向と直交する幅方向の端部の位置が、該搬送方向と直交する方向内で変化する場合がある。
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示された板状連続物体の面検査装置においては、搬送手段上の板状物の、搬送方向と直交する幅方向の端部の位置が、該搬送方向と直交する方向内で変化することは想定されていなかった。このため、搬送手段上における被検査物である板状物の、搬送方向と直交する幅方向の端部の位置が、該搬送方向と直交する方向内で変化した場合に該被検査物について正確に検査することは困難であった。
【0011】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、本発明の一側面では、搬送手段上における板状の被検査物の、搬送方向と直交する幅方向の端部の位置が、該搬送方向と直交する方向内で変化した場合でも、該被検査物を正確に検査できる検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明の一形態によれば、搬送している板状の被検査物を検査する検査装置であって、
前記被検査物の搬送方向に直交する幅方向の端部の側面に、前記被検査物の厚み方向に沿った線状の光を照射する光源と、
前記被検査物の前記幅方向の端部の側面に前記光源から照射された前記光を撮影する撮像装置と、
前記撮像装置を移動させる撮像装置用駆動装置と、
前記撮像装置の位置を制御する撮像装置用制御部と、を有し、
前記撮像装置用制御部は、前記被検査物の前記幅方向の端部の位置にあわせて前記撮像装置の位置を制御する検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一形態によれば、搬送手段上における板状の被検査物の、搬送方向と直交する幅方向の端部の位置が、該搬送方向と直交する方向内で変化した場合でも、該被検査物を正確に検査できる検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る検査装置の上面図。
図2図1に示した検査装置の側面図。
図3】本発明の実施形態に係る検査装置の他の構成例の上面図。
図4図3に示した検査装置の側面図。
図5A】石膏ボードの端部形状の構成例。
図5B】石膏ボードの端部形状の構成例。
図5C】石膏ボードの端部形状の構成例。
図5D】石膏ボードの端部形状の構成例。
図6】本発明の実施形態に係る検査装置の機能ブロック図。
図7】本発明の実施形態に係る板状物の製造装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[検査装置]
本実施形態の検査装置の一構成例について説明する。
【0016】
本実施形態の検査装置は、搬送している板状の被検査物を検査する検査装置に関し、以下構成を有することができる。
【0017】
被検査物の搬送方向に直交する幅方向の端部の側面に、被検査物の厚み方向に沿った線状の光を照射する光源。
被検査物の幅方向の端部の側面に、光源から照射された光を撮影する撮像装置。
撮像装置を移動させる撮像装置用駆動装置。
撮像装置の位置を制御する撮像装置用制御部。
【0018】
そして、撮像装置用制御部は、被検査物の幅方向の端部の位置にあわせて撮像装置の位置を制御することができる。
【0019】
搬送している板状の被検査物を検査する従来の検査装置においては、搬送手段により搬送している板状の被検査物の、搬送方向と直交する幅方向の端部の位置が、該搬送方向と直交する方向内で変化することについては想定されていなかった。このため、搬送手段上における被検査物の、搬送方向と直交する幅方向の端部の位置が変動すると、検査精度が低下したり、検査自体が行えなくなっていた。
【0020】
そこで、本発明の発明者らは、搬送手段上における板状の被検査物の、搬送方向と直交する幅方向の端部の位置が、該搬送方向と直交する方向内で変化した場合でも、該板状物を正確に検査できる検査装置について鋭意検討を行い、本発明を完成させた。
【0021】
本実施形態の検査装置の構成例を図1図4に示す。なお、同じ部材には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
【0022】
図1は本実施形態の検査装置の上面図を示しており、図2は、図1に示した検査装置の左側面図を示している。すなわち、図2図1における下端部側からX軸に沿って検査装置10を見た図を示している。
【0023】
また、図3は本実施形態の検査装置の他の構成例の上面図を示しており、図4は、図3に示した検査装置の左側面図を示している。すなわち、図4図3における下端部側からX軸に沿って検査装置10´を見た図を示している。
【0024】
なお、図3図4に示した検査装置10´は、光源用駆動装置16´、及び光源用制御部18´以外の構造は、図1図2に示した検査装置10と同じ構成になっている。このため、以下特に断らない限りは図1図2を用いて本実施形態の検査装置を説明する。
【0025】
図1図4中、X軸方向が被検査物12の幅方向に、Y軸方向が被検査物12の搬送方向に、Z軸方向が被検査物12の厚み方向にそれぞれ当たる。
【0026】
図1図4に示した本実施形態の検査装置10、10´は、搬送手段11により搬送している板状の被検査物12を検査する検査装置である。本実施形態の検査装置の各部材について以下に説明する。
(搬送手段)
検査装置10に被検査物12を搬送、供給する搬送手段11は特に限定されない。図1図2においては、搬送手段11として、複数のローラー111にベルト112を巻回したベルトコンベアの例を示しているが、被検査物12を搬送、供給する搬送手段11としては、例えばローラーコンベア等、他の各種搬送手段を用いることができる。
【0027】
なお、検査装置10は、例えば板状物の製造装置に組み込んで使用でき、搬送手段11は、検査装置10の構成に含むものではない。ただし、後述する光源13A、13Bや、撮像装置14A、14Bと、搬送されている被検査物12との位置をより正確に調整するため、係る光源13A、13Bや、撮像装置14A、14Bが配置された領域の搬送手段11を備えた検査装置とすることもできる。
(被検査物)
本実施形態の検査装置10が検査する板状の被検査物12についてはその構成は特に限定されるものではなく、板状形状を有するものであれば良い。ここでいう板状形状とは、例えば所定の長さに切断された物だけではなく、例えば連続した板状形状物、すなわち帯状物であっても良い。
(光源)
本実施形態の検査装置10は、被検査物12の搬送方向に直交する幅方向の端部121A、121Bの側面に、被検査物12の厚み方向に沿った線状の光を照射する光源13A、13Bを有することができる。
【0028】
なお、図1図2において、被検査物12の搬送方向はY軸方向である。このため、図1図2において、被検査物12の搬送方向に直交する幅方向は、搬送方向であるY軸方向に直交するX軸方向に当たる。以下、被検査物12の搬送方向に直交する幅方向のことを単に、「被検査物12の幅方向」のようにも記載する。
【0029】
そして、例えば図2に示すように光源13Aから、被検査物12の幅方向の端部121Aの側面に被検査物12の厚み方向に沿った線状の光131Aを照射することができる。図2では左側面側の構成例のみを示しているが、右側面側でも同様に光源13Bから、被検査物12の幅方向の端部の側面に、被検査物12の厚み方向に沿った線状の光を照射することができる。
【0030】
光源としては上述の線状の光を照射できる手段であれば足りるが、十分な輝度を有することが好ましいことから、例えばラインレーザー等を好適に用いることができる。
(撮像装置)
本実施形態の検査装置10は、さらに、被検査物12の幅方向の端部の側面に、光源13A、13Bから照射された光を撮影する撮像装置14A、14Bを有することができる。撮像装置14A、14Bとしては、光源13A、13Bから照射された光を撮影できるものであれば良く特に限定されない。撮像装置14A、14Bとしては、例えばCMOS(complementary metal oxide semiconductor)センサや、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の半導体撮像素子を備えるカメラモジュール等が挙げられる。
【0031】
光源から、被検査物の幅方向の端部の側面に対して照射した、被検査物の厚み方向に沿った線状の光の形状は、被検査物の幅方向の端部の側面形状に対応した形状となる。このため、係る光を撮像装置で撮影し、その形状をモニター等することで、被検査物の側面形状の変化を確認することができ、該被検査物の幅方向の端部の形状について良否の判定を行うことができる。また、例えば撮影した光の形状を基に被検査物の幅方向の端部の形状のパラメータを算出し、被検査物の幅方向の端部の形状について良否の判定を行うこともできる。
【0032】
光源13A、13Bと、撮像装置14A、14Bとの位置は特に限定されるものではなく、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に光を照射し、これを撮影できるように選択すれば良い。特に搬送手段11等により光が遮られることをより確実に防止するため、光源13A、13Bの発光部と、撮像装置14A、14Bの受光部とは、被検査物12の下面121C(図2を参照)よりも上方に位置することが好ましい。
【0033】
なお、被検査物12の下面121Cとは、搬送手段11と接する側の面を意味している。例えば図1図2に示した検査装置10のように搬送手段11としてベルトコンベアを用いている場合、被検査物12の下面121Cとは、被検査物12の該ベルトコンベアのベルト112に接している面を意味する。
(撮像装置用駆動装置、撮像装置用制御部)
既述の様に、板状の被検査物12を連続して搬送していると、搬送手段11上における搬送している板状の被検査物12の幅方向の端部121A、121BのX軸方向の位置、すなわちX軸の座標位置が変化する場合がある。
【0034】
そこで、本実施形態の検査装置10は、撮像装置14A、14Bを移動させる撮像装置用駆動装置15と、撮像装置14A、14Bの位置を制御する撮像装置用制御部151とを有することができる。
【0035】
そして、撮像装置用制御部151は、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの位置にあわせて撮像装置14A、14Bの位置を制御することができる。この際、撮像装置用制御部151は、被検査物12の幅方向の端部121A、121BのX軸の座標位置にあわせて撮像装置14A、14BのX軸の座標位置を制御することが好ましい。
【0036】
撮像装置用駆動装置15の具体的な構成は特に限定されないが、撮像装置用駆動装置15は、例えば撮像装置14A、14Bを固定、支持するアーム部152A、152Bを有することができる。撮像装置用駆動装置15はさらに、例えば被検査物12の幅方向に沿って配置された、撮像装置用直動機構を有する基材部153を有することができる。そして、アーム部152A、152Bを係る基材部153の撮像装置用直動機構に固定し、撮像装置用直動機構に接続した撮像装置用駆動手段153A、153Bにより駆動させることで、アーム部152A、152Bを被検査物12の幅方向、すなわち図中のX軸に沿って自在に移動させることが可能になる。
【0037】
このため、アーム部152A、152Bに固定しておいた撮像装置14A、14Bについても、被検査物12の幅方向、すなわち図中のX軸に沿って自在に駆動させることが可能になる。
【0038】
なお、撮像装置用直動機構としては、例えばリニアレール(リニアガイド)や、リニアシャフト等が挙げられる。また、撮像装置用駆動手段153A、153Bとしてはリニアブッシュ、リニアモーター、モーター等が挙げられる。撮像装置用駆動手段153A、153Bとしてモーターを用いた場合、回転動を直線動に変更するため、必要に応じてタイミングベルトや、プーリー等をあわせて用いることもできる。
【0039】
撮像装置用駆動装置15は、撮像装置14A、14Bを、被検査物12の幅方向に沿って移動させることが可能であれば、上記構成に限定されるものではない。
【0040】
撮像装置用制御部151は、例えば撮像装置14A、14Bが撮影した、光源13A、13Bから、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に照射された線状の光の位置等に応じて、撮像装置14A、14Bの位置を制御することができる。被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面と、撮像装置14A、14Bとの間の距離が一定の場合、撮影した被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に照射された線状の光は、撮像装置14A、14Bの撮影画像内で一定の位置にある。
【0041】
しかしながら、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bと、撮像装置14A、14Bとの間の距離が変化すると、撮影した被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に照射された線状の光の位置は、撮像装置14A、14Bの撮影画像内で左右に変動する。このため、撮像装置用制御部151は、例えば撮影した被検査物12の幅方向の端部の側面に照射された線状の光が、撮像装置14A、14Bの撮影画像内で予め規定した位置、例えば中央位置に位置するように、撮像装置14A、14Bの位置を制御できる。これにより、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの位置にあわせて、撮像装置14A、14Bの位置を制御することができる。
【0042】
本実施形態の検査装置10は、上述の部材以外にも任意の部材をさらに有することもできる。
(上部撮像装置)
本実施形態の検査装置10は、例えば、搬送している被検査物12の上方に配置され、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの位置を検出する上部撮像装置17A、17Bをさらに有することもできる。
【0043】
上部撮像装置17A、17Bについても特に限定されるものではなく、例えばCMOSセンサや、CCDセンサ等の半導体撮像素子を備えるカメラモジュール等を用いることができる。
【0044】
上部撮像装置17A、17Bの配置は特に限定されないが、搬送されている被検査物12の幅方向の所望の領域が撮影できるように配置されていることが好ましい。このため、図1図2に示したように、例えば既述の撮像装置用駆動装置15の基材部153の様に、被検査物12の幅方向に沿って配置された部材に固定しておくことができる。
【0045】
上部撮像装置17A、17Bを設けておき、搬送されている被検査物12の幅方向の端部121A、121Bを含む領域を撮影することで、目視で、または画像処理を行うことで、幅方向の端部121A、121Bの位置を容易に検出できる。なお、例えば上部撮像装置17Aは、搬送されている被検査物12の幅方向の端部121Aを検出するようにその位置や、撮影範囲を選択できる。また、上部撮像装置17Bは、搬送されている被検査物12の幅方向の端部121Bを検出するようにその位置や、撮影範囲を選択できる。
【0046】
このため、上部撮像装置17A、17Bは、例えば検査開始時や、場合によっては検査を行っている際等に撮像装置14A、14Bの位置を制御するために用いることができる。
【0047】
なお、上部撮像装置用光源171をさらに設けておき、例えば上部撮像装置用光源171から、被検査物の幅方向に沿った線状の光を当て、係る光を上部撮像装置17A、17Bにより撮影することもできる。
【0048】
被検査物12の幅方向の端部121A、121Bにおいては、被検査物12と、搬送手段11の上面との間に段差を有することから、係る段差に対応して、被検査物12の幅方向に沿って照射した線状の光に屈曲点が生じる。このため、上述のように上部撮像装置用光源171を設け、上部撮像装置用光源171から照射された被検査物12の幅方向に沿った線状の光を上部撮像装置17A、17Bで撮影し、係る屈曲点の座標を算出することで、端部位置を算出することができる。
【0049】
そして、例えば検査開始時などには、上部撮像装置17A、17Bにより検出した被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの位置、具体的にはX軸の座標位置に基づいて、撮像装置14A、14Bの位置を制御し、撮像装置14A、14Bの位置を好適な位置に移動させることができる。
【0050】
そこで、上部撮像装置17A、17Bは、制御情報を供給するため、例えば既述の撮像装置用制御部151に接続しておくこともできる。
【0051】
なお、ここでは上部撮像装置17A、17Bの2台を設置した例を用いて説明したが、係る形態に限定されない。例えば上部撮像装置を1台とし、被検査物12の幅方向全体を撮影できるように構成することもできる。
(光源用駆動装置、光源用制御部)
本実施形態の検査装置10は、光源13A、13Bを移動させる光源用駆動装置16A、16Bをさらに有することもできる。また、本実施形態の検査装置10は、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に対して照射する光の入射角が予め定めた角度になるように、光源13A、13Bの位置を制御する光源用制御部18をさらに有することもできる。
【0052】
本発明の発明者らの検討によると、被検査物の幅方向の端部の側面に対して、光源から照射した線状の光の入射角によっては、被検査物の幅方向の端部の側面の厚み方向の形状と、被検査物の幅方向の端部の側面に照射した線状の光の形状とが異なり、補正を要する場合がある。そして、係る補正は、光源から、被検査物の幅方向の端部の側面に対して照射する光の入射角に基づいて行うことになる。
【0053】
このため、光源から、被検査物の幅方向の端部の側面に対して照射した線状の光の入射角が所望の値となるように、光源の位置を調整することが好ましい。そこで、図1図2に示したように、本実施形態の検査装置10は、光源用駆動装置16A、16Bや、光源用制御部18を有することができる。
【0054】
光源用駆動装置16A、16Bの構成は特に限定されないが、例えば光源用直動機構161A、161Bと、光源用駆動手段162A、162Bとを組み合わせた構成とすることができる。そして、少なくとも光源13A、13Bを被検査物12の搬送方向、すなわち図1図2中のY軸に沿って駆動できるように構成することが好ましい。これは、光源13A、13Bを、被検査物12の搬送方向に沿って駆動可能に構成することで、光源13A、13Bから、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に対して照射する光の入射角を容易に調整できるからである。
【0055】
光源用直動機構161A、161Bとしては、例えばリニアレール(リニアガイド)や、リニアシャフト等が挙げられる。また、光源用駆動手段162A、162Bとしてはリニアブッシュ、リニアモーター、モーター等が挙げられる。光源用駆動手段としてモーターを用いた場合、回転動を直線動に変更するため、必要に応じてタイミングベルトや、プーリー等をあわせて用いることもできる。
【0056】
なお、光源から、被検査物の幅方向の端部の側面に対して照射する光の入射角は特に限定されないが、例えば30度以上60度以下であることが好ましく、40度以上50度以下であることがより好ましい。特に45度の場合、被検査物の幅方向の端部の側面に照射した光の形状が、被検査物の幅方向の端部の側面と同じ形状となり、補正等を行う必要が無いため、さらに好ましい。光源用駆動装置16A、16Bは、光源13A、13Bから、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に対して照射した線状の光の入射角が、例えば上述の好適な範囲となるように、光源13A、13Bの位置を制御することができる。
【0057】
光源用駆動装置の構成は上述の例に限定されるものではない。例えば光源用駆動装置は、既述の撮像装置用駆動装置と同様の構成を有することもできる。
【0058】
具体的な構成例を、図3図4を用いて説明する。なお、光源用駆動装置16´、光源用制御部18´以外は図1図2と同じ構成であるため、同じ部材には同じ番号を付して説明を省略する。
【0059】
光源用駆動装置16´は、図3図4に示したように、例えば光源13A、13Bを固定、支持するアーム部163A、163Bを有することができる。この場合光源用駆動装置16´はさらに、例えば被検査物12の幅方向に沿って配置された、光源用直動機構を有する基材部164を有することができる。そして、アーム部163A、163Bを係る基材部164の光源用直動機構に固定し、光源用直動機構に接続した光源用駆動手段165A、165Bにより駆動させることで、アーム部163A、163Bを被検査物12の幅方向、すなわち図中のX軸に沿って自在に移動させることが可能になる。
【0060】
このため、アーム部163A、163Bに固定しておいた光源13A、13Bについても、被検査物12の幅方向、すなわち図中のX軸に沿って自在に駆動させることが可能になる。光源13A、13Bを、被検査物12の幅方向に沿って駆動可能に構成することで、光源13A、13Bから、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に対して照射する光の入射角を容易に調整できる。
【0061】
なお、光源用直動機構としては、例えばリニアレール(リニアガイド)や、リニアシャフト等が挙げられる。また、光源用駆動手段165A、165Bとしてはリニアブッシュ、リニアモーター、モーター等が挙げられる。光源用駆動手段165A、165Bとしてモーターを用いた場合、回転動を直線動に変更するため、必要に応じてタイミングベルトや、プーリー等をあわせて用いることもできる。
【0062】
光源用制御部18´は、例えば光源用駆動手段165A、165Bに接続しておくことができ、光源13A、13Bから、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に照射した線状の光の入射角が所望の値となるように、光源13A、13Bの位置を制御することができる。なお、光源13A、13Bから、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に照射する線状の光の入射角の好適な範囲は既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0063】
また、光源用駆動装置を別途設けない構成とすることもできる。例えば既述の撮像装置用駆動装置15の、撮像装置14A、14Bを支持するアーム部152A、152Bに、図1図2中のY軸方向に延びた支持部材を取り付け、撮像装置14A、14Bと、光源13A、13Bとを同じアーム部に固定することもできる。これにより、撮像装置14A、14Bと、光源13A、13Bとの間の距離を一定に保ちつつ、光源13A、13B、及び撮像装置14A、14Bと、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bとの間の距離を一定に保つことができる。この場合、光源用駆動装置16A、16Bや、光源用制御部18を別途設ける必要が無くなりコストを削減できる。ただし、光源13A、13Bと、撮像装置14A、14Bとを同じアーム部に固定するため、装置全体が大きくなる恐れがある。このため、要求されるコストや、装置のサイズ等に応じて採用する方式を選択することが好ましい。
(表示部)
本実施形態の検査装置は、撮像装置が撮影した、被検査物の幅方向の端部の側面に光源から照射された光の画像を表示する表示部をさらに有することもできる。
【0064】
既述の様に、撮像装置14A、14Bと、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bとの間の距離が変化すると、撮影した被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に照射された線状の光は、撮像装置14A、14Bの撮影画像内で左右に変動する。このため、表示部19を設け、撮像装置14A、14Bが撮影した撮影画像である、光源13A、13Bから、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に照射された線状の光の画像を表示しておくことができる。そして、例えば撮像装置14A、14Bの撮影画像内の、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に照射された線状の光の位置をモニターすることができる。
【0065】
この場合、例えば本実施形態の検査装置10のオペレーターが、表示部19の表示を見ながら撮像装置用制御部151に対して指令を出し、撮像装置14A、14Bの位置を制御することもできる。
【0066】
また、本実施形態の検査装置のオペレーターが、表示部19の表示を見ながら、板状物の製造装置の制御部に対して、板状物の製造条件、例えば板状物の幅方向の端部の製造条件等を変更するように指示し、板状物の幅方向の端部の形状(縁形状)を調整すること等もできる。
【0067】
表示部19の構成は特に限定されないが、例えば液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)や、CRTディスプレイ(CRT:Cathode Ray Tube display)等が挙げられる。
(端部形状算出用演算部、端部形状判定部)
また、本実施形態の検査装置10は、撮像装置14A、14Bが撮影した、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に光源13A、13Bから照射された光の形状に基づいて、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの形状を算出する端部形状算出用演算部20を有することもできる。さらに、本実施形態の検査装置10は、端部形状算出用演算部20により算出された被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの形状の判定を行う端部形状判定部21を有することもできる。
【0068】
本実施形態の検査装置で検査する被検査物の幅方向の端部の形状は特に限定されるものではなく、各種形状の端部形状とすることができる。
【0069】
そして、通常、板状物である製品を製造する場合、係る板状物の製品や、中間体である半製品の端部の形状には規格があり、係る規格を充足していることが求められる。
【0070】
そこで、本実施形態の検査装置10は、撮像装置14A、14Bが撮影した、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に光源から照射された光の形状に基づいて、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの形状を算出する端部形状算出用演算部20を有することができる。
【0071】
端部形状算出用演算部20では、例えばまず、撮像装置14A、14Bが撮影した、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に照射された線状の光の形状を算出することができる。例えば端部形状算出用演算部20が有する撮像装置用画像処理部において、線状の光の形状を検出することができる。そして、端部形状算出用演算部20が有するパラメータ算出部により、検出した光の形状に沿って仮想的な点を配置し、係る点の座標を算出することができる。また、係るパラメータ算出部により、検出した線状の光に含まれる直線部の長さや、直線部間の角度等を算出できる。
【0072】
また、端部形状算出用演算部20では、例えば撮像装置用画像処理部において、光源13A、13Bから、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bに対して照射した光の入射角の角度に基づいて、被検査物の幅方向の端部の側面に照射された光の形状を補正することもできる。
【0073】
被検査物が石膏ボードの場合、端部形状はJIS A 6910(2014)により規定されており、図5A図5Dに示すように、各種端部形状を有することができる。なお、図5Aの端部形状31はスクエアエッジを、図5Bの端部形状32はテーパーエッジを、図5Cの端部形状33はベベルエッジを、図5Dの端部形状34はラウンドエッジを示している。図5A図5D中、上方が表面を、下方が裏面を表している。
【0074】
例えば図5Cに示した端部形状33のベベルエッジの石膏ボードを被検査物とする場合、ベベル面33Aや、垂直面33Bに対して、光源13A、13Bから線状の光が照射され、係る線状の光は端部形状33の側面に沿った形状となる。このため、係る線状の光を撮像装置で撮影し、画像処理を行うことで、端部形状33の側面に沿った線状の光の形状を取得できる。そして、係る線状の光の形状、すなわち線に沿って、座標を算出する対象となる点を複数配置し、その座標を求め、該座標を用いることで端部を構成する面に対応する直線部の長さや、直線部間の角度を算出することで、石膏ボードの端部形状を算出することができる。
【0075】
具体的には、求めた座標を用いることで、ベベル面33Aの線分と、垂直面33Bの線分との位置や長さを算出し、例えばベベル面33Aや、垂直面33Bの長さや、ベベル面33Aと、垂直面33Bとの間の角度を算出することもできる。
【0076】
ここでは端部形状33の場合を例に説明したが、例えば端部形状31の垂直面31Aの長さや、垂直面31Aと上面31B、及び下面31Cとの間の角度を算出することもできる。また、端部形状32のテーパー面32Aと、垂直面32Bとについて、長さや、両面の間の角度を算出することもできる。さらに、端部形状34のラウンド面34Aの曲率等を算出することもできる。
【0077】
端部形状判定部21では、端部形状算出用演算部20で算出した被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの形状が、規格値を満たしているかを判定することができる。規格値は、本実施形態の検査装置に供する被検査物に応じて選択でき、特に限定されるものではない。
【0078】
また、端部形状判定部21において、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの形状が規格値を満たしていないと判定された場合には、例えば既述の表示部19に対して出力し、規格値を満たしていない旨を表示することができる。また、例えば本実施形態の検査装置10を、板状物の製造装置に組み込んで使用する場合には、板状物の製造装置の制御部に対して、板状物の製造条件を変更するように、出力部より出力すること等もできる。
(幅算出用演算部、幅判定部)
また、本実施形態の検査装置10は、撮像装置14A、14Bの位置に基づいて、被検査物12の幅を算出する幅算出用演算部22と、幅算出用演算部22により算出された被検査物12の幅の判定を行う幅判定部23とをさらに有することができる。
【0079】
本実施形態の検査装置では、上述の端部形状だけではなく、例えば被検査物の幅、すなわち幅方向の長さを測定することもできる。
【0080】
既述の様に、本実施形態の検査装置10では、撮像装置14A、14Bを、被検査物の幅方向の端部の位置にあわせて変動させている。
【0081】
このため、本実施形態の検査装置10は、さらに幅算出用演算部22を有し、該幅算出用演算部22においては、例えば撮像装置14A、14Bの位置情報を用いることで、被検査物の幅を算出できる。
【0082】
具体的には、撮像装置14Aと、撮像装置14Bとの間の距離から、撮像装置14Aと被検査物12の幅方向の端部121Aとの間の距離、及び撮像装置14Bと被検査物12の幅方向の端部121Bとの間の距離を差し引くことで算出できる。なお、本実施形態の検査装置10においては、撮像装置14A、14Bと、被検査物12との間の距離は、ほぼ一定に保たれているため、定数とすることもできる。また、例えば撮像装置14A、14Bで撮影している撮影画像内における、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に照射された光の位置から、撮像装置14A、14Bと、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bとの間の距離を求めることもできる。
【0083】
そして、本実施形態の検査装置は、幅算出用演算部22で算出した被検査物12の幅が例えば規格を満たしているか判定する幅判定部23をさらに有することができる。
【0084】
幅判定部23では、幅算出用演算部22で算出した被検査物の幅が、規格値を満たしているかを判定することができる。規格値は、本実施形態の検査装置に供する被検査物に応じて選択でき、特に限定されるものではない。
(機能ブロック図)
ここで、本実施形態の検査装置の機能ブロック図を図6に示す。
【0085】
本実施形態の検査装置40は、既述の様に、光源401と、撮像装置402と、撮像装置用駆動装置404とを有することができる。また、必要に応じて、光源用駆動装置403や、表示部405、上部撮像装置406等を有することもできる。
【0086】
そして、本実施形態の検査装置40全体を司る制御システム41は、検査制御部42の他に、システムコントローラー43と、検査装置40を制御する、検査装置制御部44等を有することができる。
【0087】
制御システム41は、コンピュータの一種であり、CPUやASICなどのプロセッサ(システムコントローラー43)と、RAM、ROM、NVRAM、HDDなどの記憶装置と、ネットワークインタフェースなどの通信部とを有している。なお、CPUはCentral Processing Unitの略記である。ROMはRead Only Memoryの略記である。RAMはRandom Access Memoryの略記である。NVRAMは、Non-Volatile RAMの略記である。
【0088】
図6を参照して、検査装置40における検査制御部42について説明する。
【0089】
検査装置40の検査制御部(検査制御手段)42は、端部形状算出用演算部421、端部形状判定部422、幅算出用演算部423、幅判定部424、上部撮像装置用演算部425、撮像装置用制御部426、光源用制御部427、判定結果記憶部428、出力部429等を有することができる。
【0090】
端部形状算出用演算部421は、例えば撮像装置用画像処理部4211と、パラメータ算出部4212とを有することができる。
【0091】
撮像装置用画像処理部4211は、例えばASIC(application specific integrated circuit:特定用途向け集積回路)などであって、撮像装置402が撮影した、光源401から被検査物の幅方向の端部の側面に照射された線状の光の画像処理を担当する。
【0092】
撮像装置用画像処理部4211では、撮影した画像中の濃淡、もしくは輝度の違いにより、被検査物の幅方向の端部の形状に対応した、線状の光の形状を識別することができる。なお、線状の光を識別する具体的な方法は特に限定されないが、例えば、線状の光と、その他の部分とについて二値化処理等の画像処理を行うことで明瞭化し、識別することもできる。また、この際、必要に応じて光源401から、被検査物の幅方向の端部に対する光の入射角に応じて、識別した線状の光の形状を補正することもできる。
【0093】
次いで、パラメータ算出部4212では撮像装置用画像処理部4211で得られた線状の光の形状、すなわち線に沿って、座標を算出する対象となる複数の点を配置することができる。そして、配置した複数の点の座標位置を算出し、後述する端部形状判定部422で必要になる部分の長さや角度を算出できる。例えば図5Cに示した端部形状33の場合であれば、ベベル面33Aや、垂直面33Bの長さや、ベベル面33Aと垂直面33Bとの間の角度を算出できる。
【0094】
端部形状判定部422は、端部用判定部4221、及び端部形状格納部4222等を有することができる。端部用判定部4221は、パラメータ算出部4212で算出した、被検査物の端部形状に関するパラメータが規格を満たしているか、否かを判定することができる。具体的には例えば端部形状格納部4222に格納された、良品となる端部形状の規格のパラメータと、パラメータ算出部4212が算出したパラメータとの比較により良否の判定を行うことができる。
【0095】
なお、端部形状算出用演算部421や、端部形状判定部422は、1つのASIC内で、ソフトウェア的に実現することもできるが、例えば各部についてASICを設ける等して、一部または全部をハードウェアで実現してもよい。
【0096】
また、既述の様に、本実施形態の検査装置40では、被検査物の幅を算出し、幅についての良否の判定をすることもできる。
【0097】
このため、本実施形態の検査装置40の検査制御部42は、被検査物の幅(幅長さ)を算出するための幅算出用演算部423と、幅判定部424とを有することもできる。
【0098】
例えば、幅算出用演算部423では、まず撮像装置402の位置を変位させる撮像装置用駆動装置404に接続された、撮像装置用制御部426から得られた撮像装置402の位置を取得することができる。そして、幅算出部4231において2台の撮像装置402の間の距離から、各撮像装置402と被検査物の幅方向の端部との間の距離の合計を差し引くことで、被検査物の幅(幅長さ)を算出できる。なお、本実施形態の検査装置40においては、撮像装置402と、被検査物との間の距離は、ほぼ一定に保たれているため、各撮像装置と被検査物との間の距離は、定数とすることもできる。また、例えば幅算出部4231において、撮像装置402で撮影している画像内における、被検査物の幅方向の端部の側面に照射された線状の光の位置から、撮像装置402と、被検査物の幅方向の端部との間の距離を算出することもできる。
【0099】
幅判定部424は、幅用判定部4241、及び幅サイズ格納部4242等を有することができる。幅用判定部4241は、幅算出部4231で算出した、被検査物の幅(幅長さ)のパラメータが規格を満たしているか、否かを判定することができる。具体的には例えば幅サイズ格納部4242に格納された、良品となる被検査物の幅(幅長さ)の規格のパラメータと、幅算出部4231が算出したパラメータとの比較により良否の判定を行うことができる。
【0100】
なお、幅算出用演算部423や、幅判定部424は、1つのASIC内で、ソフトウェア的に実現することもできるが、例えば各部についてASICを設ける等して、一部または全部をハードウェアで実現してもよい。
【0101】
本実施形態の検査装置40は、上部撮像装置406を有することもでき、該上部撮像装置が撮影した画像に基づいて、上部撮像装置用演算部425により被検査物の端部位置を検出することもできる。
【0102】
上部撮像装置用演算部425は、例えば上部撮像装置用画像処理部4251と、端部位置算出部4252とを有することができる。
【0103】
上部撮像装置用画像処理部4251は、例えばASICなどであって、上部撮像装置406が撮影した、画像の画像処理を担当する。なお、例えば被検査物の幅方向に沿って、上部撮像装置用光源から、被検査物の幅方向に沿った線状の光を当て、係る光を上部撮像装置406により撮影することが好ましい。
【0104】
上部撮像装置用画像処理部4251では、撮影した画像中の濃淡、もしくは輝度の違いにより、線状の光の形状を識別することができる。
【0105】
次いで、端部位置算出部4252では、上部撮像装置用画像処理部4251で得られた線状の光の形状から、線状の光の屈曲点の位置を算出することができる。被検査物の幅方向の端部においては、被検査物と、搬送手段の上面との間に段差を有することから、係る段差に対応して、被検査物の幅方向に沿って照射した線状の光に屈曲点が生じる。このため、係る屈曲点の座標を算出することで、端部位置を算出することができる。
【0106】
そして、例えば検査開始時などには、上部撮像装置用演算部425により算出した端部位置に基づいて、撮像装置402の位置を制御し、撮像装置402の位置を好適な位置に移動させることができる。
【0107】
また、例えば光源401から、被検査物への光の入射角の角度を調整するため、光源用制御部427は、例えば撮像装置用制御部426等からの位置情報に基づいて、光源用駆動装置403に対して指令を出し、光源401の位置を制御することもできる。
【0108】
上記のような、画像処理、判定等に対応する演算等を行う検査プログラムが制御システム41の記憶装置に記憶されている。この検査プログラムに従ってシステムコントローラー(CPU)43が動作することで、これらの検査が実現される。
【0109】
また、この検査プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、この検査プログラムは、CD-R、DVD、ブルーレイディスク(登録商標)、半導体メモリなどのコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。DVDは、Digital Versatile Diskの略記である。また、検査プログラムは、インターネットなどのネットワーク経由でインストールするかたちで提供してもよい。また、検査プログラムは、全部又は一部を、機器(例えば撮像装置14A、14B)内のROM等に予め組み込んで提供してもよい。
【0110】
なお、図6では別々に示しているが、端部形状格納部4222、幅サイズ格納部4242、判定結果記憶部428等のデータは、RAM、ROM、NVRAM、HDDなどの記憶装置にまとめて記憶してもよい。
【0111】
上記のように、端部用判定部4221や、幅用判定部4241で判定した結果は、後で確認できるように、判定結果記憶部428へと格納されると共に、出力部429を介して、出力することができる。この際の出力先や、出力方法は特に限定されないが、例えば表示部405に被検査物が規格を満たしているかの表示を行うこともできる。また、本実施形態の検査装置40は、例えば板状物の製造装置に組み込んで使用することもでき、板状物の製造装置を制御する制御部に対して出力を行うこともできる。被検査物の端部形状や、幅が規格を満たしていないと判定された場合には、例えば板状物の製造装置を制御する制御部に対して、成形機の条件等を変更するように指令を出すことができる。
【0112】
以上に説明した本実施形態の検査装置によれば、搬送手段上における板状物の搬送方向と直交する幅方向の端部の位置が、該搬送方向と直交する方向内で変化した場合でも、該板状物の端部形状を正確に検査できる。
[板状物の製造装置]
本実施形態の板状物の製造装置の構成例について説明する。
【0113】
本実施形態の板状物の製造装置は、板状物を製造する板状物の製造装置に関する。
【0114】
そして、本実施形態の板状物の製造装置は、板状物の中間体、または前記板状物を被検査物として検査する既述の検査装置を備えることができる。
【0115】
ここで、板状物とは、本実施形態の板状物の製造装置により製造する最終製品を意味している。また、板状物の中間体とは最終製品になる前の物を意味し、例えば連続した板状形状物、すなわち帯状物や、該帯状物を粗切断した後の粗切断物等が挙げられる。
【0116】
本実施形態の板状物の製造装置により製造する板状物の種類は特に限定されず、板状物としては、石膏系建材や、電子部品用の部材や、各種構造材料等の他のセラミックス製品や、樹脂製品等が挙げられる。
【0117】
石膏系建材としては、例えば石膏ボードや、ガラスマット石膏ボード、ガラス繊維不織布入り石膏板等が挙げられる。このため、本実施形態の板状物の製造方法において製造する板状物としては石膏ボード等を挙げることもできる。
【0118】
特に石膏系建材の一種である石膏ボードは、図5A図5Dに示したように、幅方向の端部を所定の形状とすることが求められる場合がある。このため、本実施形態の板状物の製造装置において製造する板状物は石膏系建材であることが好ましく、石膏ボードであることがより好ましい。
【0119】
ここで、板状物として石膏系建材の一種である、石膏ボードを製造する場合の本実施形態の板状物の製造装置の構成例について、図7を用いて説明する。
【0120】
本実施形態の板状物の製造装置は、既述の検査装置に加えて、板状物を製造するために必要な各種手段を有することができる。
【0121】
例えば、原料を混合する必要がある場合には、本実施形態の板状物の製造装置は、原料を混合する混合手段(ミキサー)を有することができる。また、本実施形態の板状物の製造装置は、原料や、上記混合手段で調製した原料混合物、原料スラリー等を所望の形状、サイズに成形、加工する成形装置等を有することができる。
【0122】
以下に、本実施形態の板状物の製造装置の一構成例として、板状物である石膏ボードを製造する場合を例に装置の構成について説明する。
【0123】
図7に示した板状物の製造装置50は、原料を混合する混合手段であるミキサー51と、ミキサー51で調製した原料スラリー、図7に示した例であれば石膏スラリーを成形する成形装置52と、検査装置57とを有している。以下に装置の構成例を具体的に説明する。
【0124】
まず、ミキサー51について説明する。
【0125】
ミキサー51は、後述する表面カバー原紙等の搬送ラインと関連する所定の位置、例えば、搬送ラインの上方または横に配置することができる。そして、単一のミキサー51において、石膏スラリーの原料である焼石膏と、水と、場合によってはさらに、各種添加剤とを混練し、石膏スラリーを調製することができる。
【0126】
ここで、焼石膏は硫酸カルシウム・1/2水和物ともいい、水硬性を有する無機組成物である。焼石膏としては、天然石膏、副産石膏及び排煙脱硫石膏等のいずれか単独若しくはいずれかの組み合わせを混合した石膏を大気中で焼成して得られるβ型、又は水中(蒸気中を含む)で焼成して得られるα型焼石膏のいずれか単独、若しくは両者の混合品を使用することができる。
【0127】
石膏ボード等の石膏系建材を製造する場合、原料に用いる焼石膏はβ型焼石膏を含むことが好ましく、石膏系建材の原料に用いる焼石膏の主成分が、β型焼石膏であることがより好ましい。なお、石膏系建材の原料に用いる焼石膏の主成分がβ型焼石膏とは、石膏系建材の原料に用いる焼石膏のうちβ型焼石膏が質量比率で50%より多く占めていることを意味している。石膏系建材の製造に当たっては原料に用いる焼石膏がβ型焼石膏のみから構成されていてもよい。
【0128】
α型焼石膏は天然石膏等の二水石膏をオートクレーブを用い、水中又は水蒸気中で加圧焼成する必要がある。これに対して、β型焼石膏は天然石膏等の二水石膏を大気中で常圧焼成することにより製造でき、β型焼石膏の方がα型焼石膏よりも生産性良く製造できる。
【0129】
添加剤としては例えば、澱粉やポリビニルアルコール等の石膏硬化体(石膏スラリーを硬化させたもの)と石膏ボード用原紙(以下、表面カバー原紙、または裏面カバー原紙という)との接着性を向上させる接着性向上剤、ガラス繊維等の無機繊維及び軽量骨材、バーミキュライト等の耐火材、凝結遅延剤、凝結促進剤、減水剤、スルホコハク酸塩型界面活性剤等の泡径調整剤、シリコーンやパラフィン等の撥水剤、有機カルボン酸および/または有機カルボン酸塩等から選択された1種、または2種類以上が挙げられる。
【0130】
なお、焼石膏と、一部の添加剤、例えば固体の添加剤は予め混合撹拌して混合物である石膏組成物としてからミキサー51に供給することもできる。
【0131】
また、泡を石膏スラリーの分取口511a、511b、511cのうち選択された1箇所以上で添加し、泡の添加量を調整することにより任意の密度の石膏スラリーとすることもできる。例えば分取口511a、511bからは泡を添加しない、または泡を少量添加し、高密度の石膏スラリー55を調製できる。そして、分取口511cからは高密度の石膏スラリーよりも多く泡を添加し、低密度の石膏スラリー56を調製することもできる。
【0132】
このように、板状物の製造装置50のミキサー51では、原料となる焼石膏及び水と、必要に応じて各種添加剤及び泡と、を混練して2種の石膏スラリー55、56を製造する石膏スラリー製造工程を実施できる。
【0133】
分取口511a、511b、511cには、調製した石膏スラリーを成形装置52へと供給するための送出管512a、512bや、管路512cを設置しておくことができる。
【0134】
図7では1台のミキサー51により低密度の石膏スラリーと、高密度の石膏スラリーと、を製造した例を示したが、ミキサーを2台設け、各ミキサーで高密度の石膏スラリーと、低密度の石膏スラリーと、を製造してもよい。
【0135】
次に、成形装置52の構成例について説明する。
【0136】
成形装置は、例えば表面カバー原紙53、及び裏面カバー原紙54上に石膏スラリーを延展するローラーコーター521a、521bや、成形機523等を有することができる。
【0137】
図7中では、右側から左側へと表面材である表面カバー原紙53が、生産ラインに沿って搬送されている。
【0138】
ミキサー51で得られた高密度の石膏スラリー55を、送出管512a、512bを通じて、ローラーコーター521a、521bの搬送方向における上流側で表面カバー原紙53及び裏面カバー原紙54上に供給する。
【0139】
表面カバー原紙53及び裏面カバー原紙54上に供給された高密度の石膏スラリー55は、それぞれ、ローラーコーター521a、521bの延展部に至り、延展部で延展される。なお、ローラーコーター521a、521bは、それぞれ塗布ローラー5211a、5211b、受けローラー5212a、5212b、及び粕取りローラー5213a、5213bを有することができる。そして、塗布ローラー5211a、5211bと、受けローラー5212a、5212bとの間をカバー原紙が通過する際に、表面カバー原紙53及び裏面カバー原紙54上に石膏スラリー55を延展することができる。
【0140】
このようにして、表面カバー原紙53には石膏スラリー55の薄層が形成される。その後、表面カバー原紙53は折り曲げられてその両側縁部分は上側に延びてから内側に延びる。裏面カバー原紙54上にも薄層が形成されるが、表面カバー原紙53とは異なり、裏面カバー原紙54は折り曲げられない。なお、図7ではローラーコーター521a、521bを用いて石膏スラリー55を表面カバー原紙53及び裏面カバー原紙54に塗布する例を示しているが、係る形態に限定されるものではない。例えば、ローラーコーター521a、521bのいずれかを用いて石膏スラリー55を表面カバー原紙53、または裏面カバー原紙54のいずれか一方のみに塗布してもよい。また、石膏スラリー55を表面カバー原紙53の幅方向の端部である側端部のみに配置することもできる。
【0141】
表面カバー原紙53は、そのまま搬送され、裏面カバー原紙54は、転向ローラ522によって表面カバー原紙53の搬送ライン方向に転向される。そして、表面カバー原紙53及び裏面カバー原紙54の両方は同方向に搬送されて成形機523に達する。ここで、表面カバー原紙53、裏面カバー原紙54の上に形成された薄層の間に、ミキサー51から管路512cを通じて低密度の石膏スラリー56が供給される。このため、表面カバー原紙53と、裏面カバー原紙54との間に、高密度の石膏スラリー55により形成された層と、低密度の石膏スラリー56により形成された層と、高密度の石膏スラリー55により形成された層とがその順で積層された連続的な積層体を形成できる。次いで、石膏ボードの厚みを決定する成形機523を通過させて成形する。以上の手順により石膏ボードを成形することができる。
【0142】
なお、高密度の石膏スラリーと、低密度の石膏スラリーと、を用いる形態に限定されるものではなく、例えば一種類の密度の石膏スラリーを製造し、これを石膏ボード用原紙上に供給する形態であっても良い。
【0143】
具体的には例えば、連続して搬送される表面カバー原紙上に所定の密度とした石膏スラリーを供給、堆積する。そして、表面カバー原紙の幅方向の両方の縁部である両側縁部分はそれぞれ所定の刻線に沿って折り込まれて上側に延びてから内側に延びることによって、石膏スラリーの堆積層を部分的に巻き込むことができる。この後、表面カバー原紙によって部分的に巻き込まれた石膏スラリーの堆積層の上に、同速で搬送される裏面カバー原紙を重ねることができる。次いで、石膏ボードの厚みと幅とを決定する成形機を通過させて成形する。以上の手順により石膏ボードを成形することもできる。この場合、表面カバー原紙と、裏面カバー原紙との間には、一種の密度の石膏スラリーによる層が形成されることになる。
【0144】
このように、板状物の製造装置50の成形装置52では、石膏スラリーを成形する成形工程を実施でき、これにより板状物であり、石膏ボードの半製品である石膏スラリーの成形体を製造することができる。
【0145】
成形装置52の下流側には、既述の検査装置57を有することができる。検査装置57では、必要に応じて、搬送されている被検査物である板状物、すなわち石膏スラリーの成形体の検査を実施することができる。検査装置57による検査の後、必要に応じてさらに所定の加工、処理がなされ板状物、例えば石膏ボードとなる。
【0146】
検査装置57の構成については、既に説明したため、ここでは説明を省略する。なお、検査装置57において、検査を行った際に、規格を満たさない、製品または半製品である板状物が検出された場合には、検査装置の表示部19(図1図4を参照)に規格外である旨を表示するように構成できる。また、検査装置の出力部429(図6を参照)を介して、板状物の製造装置50の制御部58に対して、規格外の製品または半製品が検出された旨通知することができる。この場合、板状物の製造装置50は、検出された規格外の製品や、半製品を任意のタイミングで製造ラインまたは出荷品から排出することもできる。本実施形態の板状物の製造装置50が例えば後述する切断装置を有する場合であれば、切断装置により切断した後、規格外の部分を含む粗切断物や、製品サイズに切断した切断物を製造ラインまたは出荷品から排除できる。
【0147】
板状物の製造装置が図7を用いて説明した様に板状物として石膏ボードを製造する場合であれば、板状物の製造装置の制御部58は、例えば成形機523での成形条件を変更するように指令を出すことができる。また、例えば表面カバー原紙53を折り込むための刻線を形成する装置に対して、該刻線の位置や深さを変更するように指令を出すことができる。
【0148】
なお、ここでは、板状物として、石膏系建材の一種である石膏ボードを製造する場合を例に用いて説明したが、係る形態に限定されない。例えば、表面材である石膏ボード用原紙をガラス繊維不織布(ガラスティッシュ)や、ガラスマット等に変更し、これを表面に、若しくは表面近くに埋没させるように配置するなどすることで、石膏ボード以外の各種石膏系建材、例えば、ガラスマット石膏ボード、ガラス繊維不織布入石膏板等を製造することもできる。
【0149】
また、石膏系建材以外の各種板状物、例えば電子部品用の部材や、各種構造材料等の他のセラミックス製品や、樹脂製品等を製造することもできる。
【0150】
板状物として、上述の石膏系建材ではなく、他のセラミックス製品(スラグ石膏板やセメントボード等)や、樹脂製品等を製造する場合に、混合手段や、成形装置について、上述の構成に限定されるものではなく、原料や、製造する物にあわせて、適した構成の混合手段や、成形装置を用いることができる。
【0151】
また、本実施形態の板状物の製造装置は上述の混合手段、例えばミキサーや、成形装置、検査装置のみに限定されるものではなく、必要に応じて各種装置、手段を有することができる。
【0152】
例えば、本実施形態の板状物の製造装置は、スラリーの成形体等を乾燥させる乾燥手段や、被切断物を製品の寸法等にあわせて切断する切断手段等を有することもできる。
【0153】
また、本実施形態の板状物の製造装置が有する検査装置57の数は1つに限定されるものではなく、該製造装置のライン上の評価を要する箇所に任意の数設けることができる。
【0154】
以上に説明した本実施形態の板状物の製造装置によれば、既述の検査装置を備えている。このため、製造、搬送されている半製品、または製品である板状物の幅方向の端部形状や、板状物の幅を正確に評価し、製造条件を修正しながら歩留まり良く板状物を製造することができる。
[検査方法]
次に、本実施形態の検査方法について説明する。本実施形態の検査方法は、例えば既述の検査装置を用いて実施することができるため、既に説明した事項の一部は説明を省略する。
【0155】
本実施形態の検査方法は、搬送している板状の被検査物を検査する検査方法であって、以下の工程を有することができる。
【0156】
光源から、被検査物の搬送方向に直交する幅方向の端部の側面に、被検査物の厚み方向に沿った線状の光を照射する光照射工程。
被検査物の幅方向の端部の側面に光源から照射された光を撮影できるように、被検査物の幅方向の端部の位置にあわせて撮像装置の位置を制御する撮像装置位置制御工程。
撮像装置により、被検査物の幅方向の端部の側面に光源から照射された光を撮影する撮像工程。
【0157】
本実施形態の検査方法では、被検査物の幅方向の端部の側面に、被検査物の厚み方向に沿った線状の光を照射する光照射工程を有することができる。そして、撮像装置により、光源から被検査物の幅方向の端部の側面に照射された光を撮影する撮像工程とを有することができる。
【0158】
光照射工程において、光源から照射した、被検査物の幅方向の端部の側面に、被検査物厚み方向に沿った線状の光の形状は、被検査物の側面形状に対応した形状となる。このため、撮像工程において、係る光の形状を撮像装置で撮影し、その形状をモニター等することで、被検査物の幅方向の端部の形状の変化を確認することができ、該被検査物の幅方向の端部の形状について良否の判定を行うことができる。また、例えば、撮影した光の形状を基に、被検査物の幅方向の端部の形状のパラメータを算出し、被検査物の幅方向の端部の形状について良否の判定を行うこともできる。
【0159】
ただし、既述の様に、搬送している板状物の被検査物は、該被検査物の幅方向の端部の位置が変動する場合がある。そこで、本実施形態の検査方法では、光源から被検査物の幅方向の端部の側面に照射された光を撮影できるように、被検査物の幅方向の端部の位置にあわせて撮像装置の位置を制御する撮像装置位置制御工程を実施できる。撮像装置位置制御工程では、被検査物の幅方向の端部の位置にあわせて、撮像装置の係る幅方向の位置を制御することが好ましい。撮像装置位置制御工程を実施することで、撮像装置と被検査物の幅方向の端部との間の距離を一定に保ち、搬送されている板状の被検査物の幅方向の端部の形状を正確に評価することが可能になる。
【0160】
なお、上記光照射工程と、撮像装置位置制御工程と、撮像工程とは、例えば被検査物が搬送されている間、それぞれの工程を同時に連続して実施することができる。
【0161】
そして、光照射工程で用いる光源と、撮像工程で用いる撮像装置との位置は特に限定されるものではなく、被検査物の幅方向の端部の側面に光を照射し、これを撮影できるように選択すれば良い。特に搬送手段等により光が遮られることをより確実に防止するため、光源の発光部と、撮像装置の受光部とは、被検査物の下面よりも上方に位置することが好ましい。
【0162】
本実施形態の検査方法では、例えば検査開始時等に、撮像装置で撮影した画像を基に、撮像装置と、被検査物の幅方向の端部との間の距離が所定の範囲になるように、撮像装置の位置を調整することもできる。ただし、撮像装置の位置がより適切に制御できるように、既述の上部撮像装置を用いて、撮像装置の位置を制御することもできる。
【0163】
そこで、本実施形態の検査方法は、例えば搬送している被検査物の上方に配置された上部撮像装置により、被検査物の幅方向の端部の位置を検出する端部位置検出工程をさらに有することができる。
【0164】
そして、撮像装置位置制御工程では、端部位置検出工程での検出結果を用いて、撮像装置の位置を制御することができる。
【0165】
端部位置検出工程では、具体的には例えば、既述の上部撮像装置用光源により、被検査物の幅方向に沿った線状の光を照射し、該線状の光を上部撮像装置により撮影し、被検査物の幅方向の端部の位置を検出することができる。
【0166】
そして、撮像装置位置制御工程では、検出した被検査物の幅方向の端部位置の情報に基づいて撮像装置の位置、具体的には撮像装置の係る幅方向の位置を制御することができる。
【0167】
なお、既述の光照射工程や、撮像工程を継続して実施している間は、撮像工程で撮影した画像に基づいて、撮像装置の位置を容易に制御することができる。このため、例えば端部位置検出工程は、検査を開始する際にのみ実施することもできる。
【0168】
また、本発明の発明者らの検討によると、被検査物の幅方向の端部の側面に対して、光源から照射した線状の光の入射角によっては、被検査物の幅方向の端部の側面の厚み方向の形状と、被検査物の幅方向の端部の側面に照射した線状の光の形状とが異なり、補正を要する場合がある。そして、係る補正は、光源から、被検査物の幅方向の端部の側面に対して照射する光の入射角に基づいて行うことになる。
【0169】
このため、被検査物の幅方向の端部に対する、光源から照射する光の入射角が所望の値となるように、光源の位置を調整することが好ましい。そこで、本実施形態の検査方法は、被検査物の幅方向の端部の側面に対して照射する光の入射角が予め定めた角度になるように、光源の位置を制御する光源位置制御工程をさらに有することもできる。
【0170】
光源位置制御工程において制御する、光源から、被検査物の幅方向の端部の側面に対して照射する光の入射角は特に限定されないが、例えば30度以上60度以下であることが好ましく、40度以上50度以下であることがより好ましい。特に45度の場合、被検査物の幅方向の端部の側面に照射した光の形状が、被検査物の幅方向の端部の側面と同じ形状となり、補正等を行う必要が無いため、さらに好ましい。
【0171】
光源位置制御工程を実施するタイミングは特に限定されないが、例えば光照射工程や、撮像工程、撮像装置位置制御工程を実施している間、連続して実施することができる。
【0172】
本実施形態の検査方法では、既述の様に、撮像工程で撮影した光の形状をモニター等し、被検査物の幅方向の端部の形状の変化を確認することができ、該被検査物の良否の判定を行うことができる。また、例えば、撮像装置で撮影した光の形状を基に、被検査物の幅方向の端部の形状のパラメータを算出し、被検査物の幅方向の端部の形状について良否の判定を行うこともできる。
【0173】
このため、本実施形態の検査方法はさらに以下の工程を有することもできる。
【0174】
撮像工程で撮影した、被検査物の幅方向の端部の側面に光源から照射された光の形状に基づいて、被検査物の幅方向の端部の形状を算出する端部形状算出工程。
端部形状算出工程において算出された被検査物の幅方向の端部の形状の判定を行う端部形状判定工程。
【0175】
端部形状算出工程では、例えば被検査物の幅方向の端部の所定の面の長さや、端部を構成する面間の角度等を算出できる。具体的な算出方法等については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0176】
そして、端部形状判定工程では、端部形状算出工程で算出された被検査物の幅方向の端部の形状、例えばパラメータと、予め設定しておいた規格とを対比して、端部形状の良否の判定を行うことができる。
【0177】
また、本実施形態の検査方法では、被検査物の幅方向の端部位置にあわせて撮像装置を追従させているため、撮像装置の位置情報に基づいて、被検査物の幅方向の長さを算出することもできる。
【0178】
このため、本実施形態の検査方法はさらに以下の工程を有することもできる。
【0179】
撮像装置の位置に基づいて、被検査物の幅を算出する幅算出工程。
【0180】
幅算出工程により算出された被検査物の幅の判定を行う幅判定工程。
【0181】
幅算出工程では、例えば図1図4に示した撮像装置14Aと、撮像装置14Bとの間の距離から、撮像装置14Aと被検査物12の幅方向の端部121Aとの間の距離と、撮像装置14Bと被検査物12の幅方向の端部121Bとの間の距離とを差し引くことで、被検査物の幅(幅長さ)を算出できる。なお、本実施形態の検査方法においては、撮像装置を被検査物の幅方向の端部の位置に合わせて移動させている。このため、例えば図1図4に示した検査装置10における撮像装置14A、14Bと、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bとの間の距離はほぼ一定に保たれており、撮像装置と被検査物の幅方向の端部との間の距離は定数とすることもできる。また、例えば撮像装置14A、14Bで撮影している撮影画像内における、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bの側面に照射された光の位置から、撮像装置14A、14Bと、被検査物12の幅方向の端部121A、121Bとの間の距離を求めることもできる。
【0182】
そして、幅判定工程では、幅算出工程で算出した被検査物の幅(幅長さ)が例えば規格を満たしているか判定することができる。規格値は、本実施形態の検査方法に供する被検査物に応じて選択でき、特に限定されるものではない。
【0183】
以上に説明した本実施形態の検査方法によれば、搬送手段上における板状物の搬送方向と直交する幅方向の端部の位置が、該搬送方向と直交する方向内で変化した場合でも、該板状物の端部形状を正確に検査できる。
[板状物の製造方法]
本実施形態の板状物の製造方法は、板状物を製造する板状物の製造方法であって、板状物の中間体、または板状物を被検査物として、既述の検査方法により検査する検査工程を有することができる。
【0184】
ここで、板状物とは、本実施形態の板状物の製造方法により製造する最終製品を意味している。また、板状物の中間体とは最終製品になる前の物を意味し、例えば連続した板状形状物、すなわち帯状物や、該帯状物を粗切断した後の粗切断物等が挙げられる。
【0185】
本実施形態の板状物の製造方法により製造する板状物の種類は特に限定されず、板状物としては、石膏系建材や、電子部品用の部材や、各種構造材料等の他のセラミックス製品や、樹脂製品等が挙げられる。
【0186】
石膏系建材としては、例えば石膏ボードや、ガラスマット石膏ボード、ガラス繊維不織布入り石膏板等が挙げられる。このため、本実施形態の板状物の製造方法において製造する板状物としては石膏ボード等を挙げることもできる。
【0187】
特に石膏系建材の一種である石膏ボードは、図5A図5Dに示したように、幅方向の端部を所定の形状とすることが求められる場合がある。このため、本実施形態の板状物の製造方法において製造する板状物は石膏系建材であることが好ましく、石膏ボードであることがより好ましい。
【0188】
ここでは、板状物として、石膏系建材、特に石膏ボードを製造する場合を例に説明する。
【0189】
板状物として石膏ボードを製造する場合、係る板状物の製造方法は、以下の工程を有することができる。
【0190】
石膏スラリーの原料である焼石膏と、水と、場合によってはさらに、各種添加剤とを混練し、石膏スラリーを調製する石膏スラリー調製工程。
カバー原紙上に石膏スラリーを供給し、石膏スラリーを板状に成形する成形工程。
成形工程で得られた板状の成形体を硬化させる硬化工程。
各工程について説明する。
(石膏スラリー調製工程)
石膏スラリー調製工程では、上述の焼石膏と、水と、場合によってはさらに各種添加剤や泡とを混練し、石膏スラリーを調製することができる。
【0191】
例えば板状物の製造装置において説明したようにミキサー等により、これらの原料成分を混練し、石膏スラリーを調製することができる。なお、石膏スラリーの原料については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
(成形工程)
成形工程では、石膏スラリー調製工程で得られた石膏スラリーを、カバー原紙上に供給し、板状に成形する工程である。
【0192】
板状物の製造装置で図7を用いて説明したように、例えば密度の異なる石膏スラリーを調製し、表面カバー原紙53と、裏面カバー原紙54との間に、高密度の石膏スラリー55により形成された層と、低密度の石膏スラリー56により形成された層と、高密度の石膏スラリー55により形成された層とがその順で積層された連続的な積層体を形成できる。次いで、石膏ボードの厚みを決定する成形機523を通過させて、板状に成形することができる。
(硬化工程)
次に、硬化工程を実施できる。硬化工程は、成形工程で得られた成形体を硬化させる工程である。
【0193】
硬化工程は、石膏スラリー中の焼石膏(半水石膏)が、水和反応により二水石膏の針状結晶が生じて凝結、凝固することにより実施できる。このため、成形工程で形成した成形体内で石膏スラリーに添加した焼石膏と水との間で反応し、焼石膏の水和反応が進行することにより硬化工程を実施することができる。
【0194】
また、板状物として石膏ボードを製造する場合、係る板状物の製造方法は、さらに任意の工程を有することができる。具体的には例えば以下の工程を有することができる。
【0195】
石膏スラリーの成形体を切断する第1切断工程。
切断した石膏スラリーの成形体を乾燥する乾燥工程。
石膏ボードを切断する第2切断工程。
(第1切断工程)
第1切断工程では、石膏スラリーの成形体を切断することができる。なお、成形工程で石膏スラリーの成形体を形成後、石膏スラリーは徐々に硬化していく。このため、第1切断工程は、例えば硬化工程を実施している間、もしくは硬化工程が終了した後に実施することができる。ただし、石膏スラリーの成形体を切断できる程度に硬化工程が進行してから第1切断工程を実施することが好ましい。
【0196】
第1切断工程は、粗切断工程ともいえ、例えば後述する乾燥工程で用いる乾燥機のサイズ等に応じて石膏スラリーを所望のサイズに切断することができる。
(乾燥工程)
乾燥工程では、石膏スラリーの成形体に含まれる余剰の水分を乾燥させることができる。なお、乾燥工程には、硬化工程が終了した成形体を供給することができる。乾燥工程は乾燥機を用いて成形体を強制乾燥することにより実施できる。
【0197】
乾燥機により成形体を強制乾燥する方法は特に限定されるものではないが、例えば成形体の搬送経路上に乾燥機を設け、成形体が乾燥機内を通過することにより連続的に成形体を乾燥することができる。また、乾燥機内に成形体を搬入しバッチごとに成形体を乾燥することもできる。
(第2切断工程)
例えば、板状物として石膏ボードを製造する場合、板状物の製造方法は、石膏ボードを切断する第2切断工程を有することができる。
【0198】
第2切断工程は、例えば乾燥工程の後に実施することができ、所望の製品サイズとなるように切断することができる。
【0199】
そして、本実施形態の板状物の製造方法は、板状物の中間体、または板状物を被検査物として、既述の検査方法により検査する検査工程を有することができる。
【0200】
板状物として、上述の石膏ボードを製造する場合、例えば成形工程において、板状物である石膏スラリーの成形体を形成した後、任意のタイミングで、任意の回数、検査工程を実施することができる。
【0201】
既述の検査方法では、例えば板状物の端部形状や、幅の検査を実施することができる。このため、例えば被検査物となる石膏スラリーの成形体や、石膏ボードの形状や、サイズに変化が生じる可能性がある工程の後に検査工程を実施することが好ましい。
【0202】
例えば、既述の成形工程の直後に石膏スラリーの成形体の形状を検査するために検査工程を実施することができる。また、例えば第1切断工程や、第2切断工程、乾燥工程の直後に、石膏スラリーの成形体の形状や、石膏ボードの形状を検査するために検査工程を実施することができる。
【0203】
検査工程を実施した場合には、検査の結果、例えば規格を満たさない、製品または半製品である板状物が検出された場合には、検査装置の表示部19(図1図4を参照)に規格外である旨表示するように構成できる。また、板状物を製造する板状物の製造装置50の制御部58に対して、規格外の製品または半製品が検出された旨通知することができる。板状物の製造装置が図7を用いて説明した様に板状物として石膏ボードを製造する場合であれば、板状物の製造装置の制御部58は、例えば成形機523での成形条件を変更するように指令を出すことができる。また、例えば表面カバー原紙53を折り込むための刻線を形成する装置に対して、該刻線の位置や深さを変更するように指令を出すことができる。
【0204】
さらに、必要に応じて規格を満たさない、製品または半製品である板状物を、製造ラインまたは出荷品から排除する排除工程を実施することもできる。排除工程を実施するタイミングは特に限定されないが、例えば既述の第一切断工程の後、乾燥工程に供する前に実施することができる。また、既述の第二切断工程後、良品として出荷する製品とは区別し、排除することもできる。
【0205】
なお、ここでは、板状物として、石膏系建材の一種である石膏ボードを製造する場合を例に用いて説明したが、係る形態に限定されない。例えば、表面材である石膏ボード用原紙をガラス繊維不織布(ガラスティッシュ)や、ガラスマット等に変更し、これを表面に、若しくは表面近くに埋没させるように配置するなどすることで、石膏ボード以外の各種石膏系建材、例えば、ガラスマット石膏ボード、ガラス繊維不織布入石膏板等を製造することもできる。
【0206】
また、石膏系建材以外の各種板状物、例えば電子部品用の部材や、各種構造材料等の他のセラミックス製品や、樹脂製品等を製造することもできる。
【0207】
以上に説明した本実施形態の板状物の製造方法によれば、既述の検査方法による検査工程を備えている。このため、製造、搬送されている半製品、または製品である板状物の幅方向の端部形状や、板状物の幅を正確に評価することができる。
【0208】
以上に検査装置、板状物の製造装置、検査方法、板状物の製造方法を、実施形態等で説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0209】
本出願は、2018年 5月14日に日本国特許庁に出願された特願2018-093297号に基づく優先権を主張するものであり、特願2018-093297号の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0210】
10、10´、40、57 検査装置
11 搬送手段
12 被検査物
121A、121B 端部
121C 下面
13A、13B、401 光源
131A 線状の光
14A、14B、402 撮像装置
15、404 撮像装置用駆動装置
151、426 撮像装置用制御部
16A、16B、16´、403 光源用駆動装置
17A、17B、406 上部撮像装置
18、18´、427 光源用制御部
19、405 表示部
20、421 端部形状算出用演算部
21、422 端部形状判定部
22、423 幅算出用演算部
23、424 幅判定部
50 板状物の製造装置
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送している板状の被検査物を検査する検査装置であって、
前記被検査物の搬送方向に直交する幅方向の端部の側面に、前記被検査物の厚み方向に沿った線状の光を照射する光源と、
前記被検査物の前記幅方向の端部の側面に前記光源から照射された前記光を撮影する撮像装置と、
前記撮像装置を移動させる撮像装置用駆動装置と、
前記撮像装置の位置を制御する撮像装置用制御部と、を有し、
前記撮像装置用制御部は、前記被検査物の前記幅方向の端部の位置にあわせて前記撮像装置の位置を制御する検査装置。