(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040220
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/19 20180101AFI20230314BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20230314BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20230314BHJP
【FI】
H04W76/19
H04W88/04
H04W92/18
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002858
(22)【出願日】2023-01-12
(62)【分割の表示】P 2022512045の分割
【原出願日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2020061492
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
(57)【要約】 (修正有)
【課題】遠隔ユーザ装置と基地局との間の通信を中継するための中継ユーザ装置を用いる通信制御方法を提供する。
【解決手段】遠隔ユーザ装置100-1の第1RRC(Radio Resource Control)レイヤが、基地局200-1との通信制御に用いるRRCメッセージを、中継ユーザ装置100-2を介して基地局と送受信することと、遠隔ユーザ装置の第2RRCレイヤが、中継ユーザ装置との通信制御に用いるRRCメッセージを中継ユーザ装置と送受信することと、第2RRCレイヤが、遠隔ユーザ装置と中継ユーザ装置との間の第1無線リンクの障害又は切断に関する通信状態情報を第1RRCレイヤに通知することと、を有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中継ユーザ装置を介して基地局との間の通信を行う遠隔ユーザ装置において実行される通信制御方法であって、
前記中継ユーザ装置と前記基地局との間の無線リンクの障害の発生を示す通知を前記中継ユーザ装置から受信することと、
前記通知に基づいて、RRC接続を再確立する処理を行うことと、有する
通信制御方法。
【請求項2】
中継ユーザ装置を介して基地局との間の通信を行う遠隔ユーザ装置であって、
前記中継ユーザ装置と前記基地局との間の無線リンクの障害の発生を示す通知を前記中継ユーザ装置から受信する受信部と、
前記通知に基づいて、RRC接続を再確立する処理を行う制御部と、を備える
遠隔ユーザ装置。
【請求項3】
中継ユーザ装置を介して基地局との間の通信を行う遠隔ユーザ装置を制御するプロセッサであって、
前記中継ユーザ装置と前記基地局との間の無線リンクの障害の発生を示す通知を前記中継ユーザ装置から受信する処理と、
前記通知に基づいて、RRC接続を再確立する処理と、を実行する
プロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムに用いる通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)(登録商標。以下同じ。)規格に基づく移動通信システムにおいて、ユーザ装置を中継ノードとして用いるサイドリンク中継の技術が検討されている。サイドリンク中継は、中継ユーザ装置(Relay UE)と呼ばれる中継ノードが、基地局と遠隔ユーザ装置(Remote UE)との間の通信に介在し、この通信に対する中継を行う技術である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP寄書「RP-193253」、インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/TSG_RAN/TSGR_86/Docs/RP-193253.zip>
【発明の概要】
【0004】
第1の態様に係る通信制御方法は、遠隔ユーザ装置と基地局との間の通信を中継するための中継ユーザ装置を用いる方法である。前記通信制御方法は、前記遠隔ユーザ装置の第1RRC(Radio Resource Control)レイヤが、前記基地局との通信制御に用いるRRCメッセージを、前記中継ユーザ装置を介して前記基地局と送受信することと、前記遠隔ユーザ装置の第2RRCレイヤが、前記中継ユーザ装置との通信制御に用いるRRCメッセージを前記中継ユーザ装置と送受信することと、前記第2RRCレイヤが、前記遠隔ユーザ装置と前記中継ユーザ装置との間の第1無線リンクの障害又は切断に関する通信状態情報を前記第1RRCレイヤに通知することとを有する。
【0005】
第2の態様に係る通信制御方法は、遠隔ユーザ装置と基地局との間の通信を中継するための中継ユーザ装置を用いる方法である。前記通信制御方法は、前記遠隔ユーザ装置が、通信障害の発生を検知したことに応じて、前記中継ユーザ装置からターゲット基地局へのRRC再確立処理を開始することと、前記遠隔ユーザ装置が、前記RRC(Radio Resource Control)再確立処理において、RRC再確立要求メッセージを前記ターゲット基地局に送信することとを有する。前記RRC再確立要求メッセージは、前記基地局に記憶されている前記遠隔ユーザ装置のコンテキスト情報を特定するための所定識別子を含む。
【0006】
第3の態様に係る通信制御方法は、遠隔ユーザ装置と基地局との間の通信を中継するための中継ユーザ装置を用いる方法である。前記通信制御方法は、前記基地局が、前記中継ユーザ装置の識別子と前記中継ユーザ装置のコンテキスト情報と前記遠隔ユーザ装置のコンテキスト情報とを関連付けて管理することと、前記中継ユーザ装置が、前記基地局からターゲット基地局へのRRC(Radio Resource Control)再確立処理を開始する場合、前記中継ユーザ装置の識別子を含むRRC再確立要求メッセージを前記ターゲット基地局に送信することと、前記ターゲット基地局が、前記RRC再確立要求メッセージに含まれる前記識別子を用いて、前記中継ユーザ装置のコンテキスト情報及び前記遠隔ユーザ装置のコンテキスト情報を前記基地局から取得することとを有する。
【0007】
第4の態様に係る通信制御方法は、遠隔ユーザ装置と基地局との間の通信を中継するための中継ユーザ装置を用いる方法である。前記通信制御方法は、前記遠隔ユーザ装置が、前記遠隔ユーザ装置と前記中継ユーザ装置との間のRRC(Radio Resource Control)接続が解放された場合、前記中継ユーザ装置を最高優先順位とする優先順位に従って再接続先を選択することと、前記遠隔ユーザ装置が、前記選択された再接続先への再接続処理を試みることとを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【
図2】一実施形態に係るUE(ユーザ装置)の構成を示す図である。
【
図3】一実施形態に係るgNB(基地局)の構成を示す図である。
【
図4】ユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【
図5】制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る移動通信システムにおける想定シナリオを示す図である。
【
図7】一実施形態に係る移動通信システムの想定シナリオにおけるプロトコルスタックの一例を示す図である。
【
図8】一実施形態に係るPC5 RRCレイヤを有するプロトコルスタックの一例を示す図である。
【
図9】一実施形態に係るPC5 RRCレイヤを有するプロトコルスタックの他の例を示す図である。
【
図10】一実施形態に係る遠隔UEにおけるPC5 RRCからUu RRCへの通知動作について説明する。
【
図11】一実施形態に係る中継UEからターゲットgNBへの遠隔UEのRRC再確立の動作を示す図である。
【
図12】一実施形態に係るRRC再確立要求メッセージの一例を示す図である。
【
図13】一実施形態に係る中継UEのRRC再確立動作の一例を示す図である。
【
図14】一実施形態に係る中継UEのRRC再確立動作の他の例を示す図である。
【
図15】一実施形態に係る遠隔UEのRRC再確立処理における再接続先選択動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
背景技術におけるサイドリンク中継技術において、遠隔ユーザ装置が中継ユーザ装置を介して基地局と行う通信には様々な障害(例えば、接続障害)が想定される。このような障害に起因して通信が途絶し得るため、通信の信頼性が低いという問題がある。
【0010】
そこで、本開示は、サイドリンク中継技術を用いた通信の信頼性を向上させることを目的とする。
【0011】
図面を参照しながら、一実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0012】
(移動通信システムの構成)
まず、一実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。
図1は、一実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。この移動通信システムは、3GPP規格の第5世代システム(5GS:5th Generation System)に準拠する。以下において、5GSを例に挙げて説明するが、移動通信システムにはLTE(Long Term Evolution)システムが少なくとも部分的に適用されてもよい。
【0013】
図1に示すように、5GS1は、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、5Gの無線アクセスネットワーク(NG-RAN:Next Generation Radio Access Network)10と、5Gのコアネットワーク(5GC:5G Core Network)20とを有する。
【0014】
UE100は、移動可能な無線通信装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればどのような装置であっても構わない。例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)、タブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、及び/又は飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)である。
【0015】
NG-RAN10は、基地局(5Gシステムにおいて「gNB」と呼ばれる)200を含む。gNB200は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して相互に接続される。gNB200は、1又は複数のセルを管理する。gNB200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。gNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。
【0016】
なお、gNBがLTEのコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)に接続することもできる。LTEの基地局が5GCに接続することもできる。LTEの基地局とgNBとが基地局間インターフェイスを介して接続されることもできる。
【0017】
5GC20は、AMF(Access and Mobility Management Function)及びUPF(User Plane Function)300を含む。AMFは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。AMFは、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100のモビリティを管理する。UPFは、データの転送制御を行う。AMF及びUPFは、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してgNB200と接続される。
【0018】
図2は、UE100(ユーザ装置)の構成を示す図である。
【0019】
図2に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。
【0020】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。
【0021】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0022】
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)と、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0023】
図3は、gNB200(基地局)の構成を示す図である。
【0024】
図3に示すように、gNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。
【0025】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0026】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
【0027】
制御部230は、gNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUと、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0028】
バックホール通信部240は、基地局間インターフェイスを介して隣接基地局と接続される。バックホール通信部240は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスを介してAMF/UPF300と接続される。なお、gNBは、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間はF1インターフェイスで接続されてもよい。
【0029】
図4は、データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0030】
図4に示すように、ユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
【0031】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤとgNB200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0032】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤとgNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。gNB200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
【0033】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとgNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0034】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0035】
SDAPレイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。なお、RANがEPCに接続される場合は、SDAPが無くてもよい。
【0036】
図5は、シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0037】
図5に示すように、制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、
図4に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNAS(Non-Access Stratum)レイヤを有する。
【0038】
UE100のRRCレイヤとgNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッドモードである。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がない場合、UE100はRRCアイドルモードである。
【0039】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASレイヤとAMF300のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。
【0040】
なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0041】
(想定シナリオ)
次に、一実施形態に係る移動通信システム1における想定シナリオについて説明する。
図6は、想定シナリオを示す図である。
【0042】
図6に示すように、gNB200-1と遠隔UE100-1との間の通信に中継UE100-2が介在し、この通信に対する中継を行うサイドリンク中継を用いるシナリオを想定する。
【0043】
遠隔UE100-1は、UE間インターフェイスであるPC5インターフェイス(サイドリンク)上で中継UE100-2との無線通信(サイドリンク通信)を行う。中継UE100-2は、NR Uu無線インターフェイス上でgNB200-1との無線通信(Uu通信)を行う。その結果、遠隔UE100-1は、中継UE100-2を介してgNB200-1と間接的に通信する。Uu通信には、上りリンクの通信及び下りリンクの通信がある。
【0044】
図7は、想定シナリオにおけるプロトコルスタックの一例を示す図である。
図7において、RLCレイヤの下位レイヤであるMACレイヤ及びPHYレイヤの図示を省略している。
【0045】
図7に示すように、gNB200-1はCU及びDUに分割されていてもよい。CUとDUとの間には、F1-Cインターフェイス(Intra-donor F1-C)が確立される。
【0046】
gNB200-1のCUのPDCPレイヤ及び遠隔UE100-1のPDCPレイヤは、中継UE100-2を介して互いに通信する。CUのRRCレイヤ及び遠隔UE100-1のRRCレイヤも、中継UE100-2を介して互いに通信する。DU、中継UE100-2、遠隔UE100-1において、RLCレイヤの上位レイヤとしてアダプテーション(Adapt)レイヤが設けられていてもよい。
【0047】
なお、
図7において図示を省略しているが、CUのRRCレイヤ及び中継UE100-2のRRCレイヤは互いに通信する。CUのPDCPレイヤ及び中継UE100-2のPDCPレイヤは互いに通信する。
【0048】
また、遠隔UE100-1及び中継UE100-2のそれぞれは、PC5用のRRCレイヤを有していてもよい。このようなRRCレイヤを「PC5 RRC」と呼ぶ。遠隔UE100-1のPC5 RRCレイヤ及び中継UE100-2のPC5 RRCレイヤは互いに通信する。
【0049】
図8は、PC5 RRCレイヤを有するプロトコルスタックの一例を示す図である。
図9は、PC5 RRCレイヤを有するプロトコルスタックの他の例を示す図である。
図8及び
図9において、gNB200-1がDU及びCUに分離されていない一例を示しているが、gNB200-1がDU及びCUに分離されていてもよい。
【0050】
図8に示すように、gNB200-1は、Uuインターフェイス上の通信(Uu通信)に用いるRRCレイヤ、PDCPレイヤ(Uu)、RLCレイヤ(Uu)、MACレイヤ(Uu)、及びPHYレイヤ(Uu)を有する。また、gNB200-1は、PDCPレイヤ(Uu)とRLCレイヤ(Uu)との間にアダプテーションレイヤを有する。
【0051】
中継UE100-2は、Uuインターフェイス上の通信(Uu通信)に用いるRRCレイヤ(不図示)、RLCレイヤ(Uu)、MACレイヤ(Uu)、及びPHYレイヤ(Uu)を有する。また、中継UE100-2は、PC5インターフェイス上の通信(PC5通信)に用いるPC5 RRCレイヤ、PDCPレイヤ(PC5)、RLCレイヤ(PC5)、MACレイヤ(PC5)、及びPHYレイヤ(PC5)を有する。さらに、中継UE100-2は、PC5 RRCレイヤよりも上位のレイヤとしてアダプテーションレイヤを有する。
【0052】
遠隔UE100-1は、Uuインターフェイス上の通信(Uu通信)に用いるRRCレイヤ及びPDCPレイヤ(Uu)を有する。また、遠隔UE100-1は、PC5インターフェイス上の通信(PC5通信)に用いるPC5 RRCレイヤ、PDCPレイヤ(PC5)、RLCレイヤ(PC5)、MACレイヤ(PC5)、及びPHYレイヤ(PC5)を有する。さらに、遠隔UE100-1は、PDCPレイヤ(Uu)とPC5 RRCレイヤとの間にアダプテーションレイヤを有する。
【0053】
図9に示すように、遠隔UE100-1は、アダプテーションレイヤを有していなくてもよい。
図9に示す例において、中継UE100-2のアダプテーションレイヤは、RLCレイヤ(Uu)の上位レイヤに位置付けられている。
【0054】
(移動通信システムの動作)
次に、一実施形態に係る移動通信システム1の動作について説明する。
【0055】
(1)遠隔UEにおけるPC5 RRCからUu RRCへの通知動作
遠隔UEにおけるPC5 RRCからUu RRCへの通知動作について説明する。
図10は、本通知動作を示す図である。
【0056】
図10に示すように、中継UE100-2は、遠隔UE100-1とgNB200-1との間の通信を中継する。遠隔UE100-1は、RRCレイヤ(第1RRCレイヤ)及びPC5 RRCレイヤ(第2RRCレイヤ)を有する。
【0057】
遠隔UE100-1のRRCレイヤは、gNB200-1のRRCレイヤとのRRC接続を有する。遠隔UE100-1のRRCレイヤは、gNB200-1との通信制御に用いるRRCメッセージを、中継UE100-2を介してgNB200-1のRRCレイヤと送受信する。
【0058】
遠隔UE100-1のPC5 RRCレイヤは、中継UE100-2のPC5 RRCレイヤとのPC5 RRC接続を有する。遠隔UE100-1のPC5 RRCレイヤは、中継UE100-2との通信制御に用いるRRCメッセージ(PC5 RRCメッセージ)を中継UE100-2のPC5 RRCレイヤと送受信する。遠隔UE100-1のPC5 RRCレイヤは、遠隔UE100-1と中継UE100-2との間の第1無線リンク(サイドリンク)を管理及び監視する機能を有する。
【0059】
なお、遠隔UE100-1のRRCレイヤ及びPC5 RRCレイヤは、別々のRRCエンティティであってもよいし、1つのRRCエンティティ内の別々の機能であってもよい。
【0060】
また、中継UE100-2は、UuのRRCレイヤを有しており、gNB200-1のRRCレイヤとのRRC接続を確立した状態(すなわち、RRCコネクティッドモード)にある。
【0061】
本通知動作において、遠隔UE100-1のPC5 RRCレイヤは、遠隔UE100-1と中継UE100-2との間の無線リンクの障害又は切断に関する通信状態情報を遠隔UE100-1のRRCレイヤに通知する。これにより、遠隔UE100-1と中継UE100-2との間の無線リンクの障害又は切断について遠隔UE100-1のRRCレイヤが把握して適切な対処を行うことができる。
【0062】
例えば、遠隔UE100-1のRRCレイヤは、通知された通信状態情報に基づいて、遠隔UE100-1のRRCレイヤとgNB200-1のRRCレイヤとの間のRRC接続を再確立する処理(RRC再確立処理)を行う。遠隔UE100-1のRRCレイヤは、通知された通信状態情報に基づいて、サイドリンクの無線リンク障害(RLF)が検知されたと判断し、当該判断に応じてRRC再確立処理を行ってもよい。
【0063】
ここで、遠隔UE100-1のPC5 RRCレイヤが通知する通信状態情報は、サイドリンクの通信状態の悪化に関する情報を含んでもよい。例えば、通信状態情報は、サイドリンクのRLFの発生を示す情報、PC5 RRC接続の再確立に失敗したことを示す情報、及びサイドリンクに対する測定結果が閾値を下回ったことを示す情報のうち、少なくとも1つを含む。
【0064】
遠隔UE100-1のPC5 RRCレイヤは、サイドリンクのRLFの発生を検知した後、PC5 RRC接続の再確立に所定回数失敗した場合、PC5 RRC接続の再確立に失敗したことを示す情報を遠隔UE100-1のRRCレイヤに通知してもよい。
【0065】
サイドリンクに対する測定結果は、例えば、中継UE100-2が送信するサイドリンク参照信号に対する測定結果(例えば、受信電力の測定結果)である。当該測定結果と比較される閾値は、遠隔UE100-1のRRCレイヤ、中継UE100-2のPC5 RRCレイヤ、gNB200-1のRRCレイヤのいずれかから設定されてもよい。サイドリンクに対する測定結果は、サイドリンクにおけるスループットの測定結果、通信遅延時間の測定結果などであってもよい。
【0066】
通信状態情報は、PC5 RRCレイヤが確立する接続(具体的には、PC5-RRC接続及び/又はPC5-S接続)の解放を要求する解放要求を上位レイヤからPC5 RRCレイヤが受けたことを示す情報を含んでもよい。上位レイヤとは、RRCレイヤよりも上位のレイヤであるが、例えば、NASレイヤである。
【0067】
通信状態情報は、中継UE100-2とgNB200-1との間の無線リンク(Uuリンク)の通信状態の悪化に関する情報を含んでもよい。通信状態情報は、中継UE100-2とgNB200-1との間の無線リンクの障害の発生を示す通知(Uu RLF Notification)又は中継UE100-2の上りリンクバッファ内のデータ量が閾値を超えたことを示す通知(バッファオーバーフロー通知)を、中継UE100-2から遠隔UE100-1のPC5 RRCレイヤが受けたことを示す情報を含む。
【0068】
ここで、Uu RLF Notificationに関して説明する。第1に、中継UE100-2のRRCレイヤは、UuのRLFを検知した場合又は再確立に失敗した場合、その旨を中継UE100-2のPC5-RRCレイヤに通知する。第2に、中継UE100-2のPC5-RRCレイヤは、このような通知を受けると、Uu RLF Notificationを遠隔UE100-1のPC5 RRCレイヤに送信する。第3に、遠隔UE100-1のPC5 RRCレイヤは、Uu RLF Notificationの受信に応じて、Uu RLF Notificationを受信したことを示す情報を通信状態情報として遠隔UE100-1のRRCレイヤに通知する。
【0069】
バッファオーバーフロー通知に関して説明する。第1に、中継UE100-2は、遠隔UE100-1からサイドリンク上で送信されるデータを受信すると、受信したデータを上りリンクバッファに一時的に格納する。第2に、中継UE100-2は、上りリンクバッファ内のデータ量を監視し、当該データ量が閾値を超えたか否かを判定する。閾値は、gNB200-1のRRCレイヤから設定されてもよい。第3に、上りリンクバッファ内のデータ量が閾値を超えたと判定されると、中継UE100-2のPC5 RRCレイヤは、バッファオーバーフロー通知を遠隔UE100-1のPC5 RRCレイヤに送信する。第4に、遠隔UE100-1のPC5 RRCレイヤは、バッファオーバーフロー通知の受信に応じて、バッファオーバーフロー通知を受信したことを示す情報を通信状態情報として遠隔UE100-1のRRCレイヤに通知する。なお、Uu RLF Notification及び/又はバッファオーバーフロー通知は、中継UE100-2と遠隔UE100-1との間にアダプテーションレイヤ(BAP等)リンクが確立している場合、アダプテーションレイヤの制御データによって通知が行われてもよい。
【0070】
なお、遠隔UE100-1と中継UE100-2との間の無線通信として、3GPP規格のサイドリンクに代えて、無線LAN又はブルートゥース(登録商標)を用いてもよい。この場合、遠隔UE100-1のアダプテーションレイヤが、通信状態情報を遠隔UE100-1のRRCレイヤに通知してもよい。
【0071】
中継UE100-2のPC5 RRCレイヤ又はRRCレイヤは、遠隔UE100-1とのPC5 RRC接続が解放された場合、遠隔UE100-1のコンテキスト情報を破棄してもよい。また、このような場合、中継UE100-2のRRCレイヤは、遠隔UE100-1が中継先ではなくなったことをgNB200-1のRRCレイヤに通知してもよい。当該通知に基づき、gNB200-1は、Uuベアラを再設定してもよい。
【0072】
(2)中継UEからgNBへの遠隔UEのRRC再確立動作
次に、中継UE100-2からターゲットgNBへの遠隔UE100-1のRRC再確立の動作について説明する。
図11は、本動作を示す図である。
【0073】
図11に示すように、中継UE100-2とgNB200-1とがRRC接続を確立した状態にあり(ステップS101)、遠隔UE100-1と中継UE100-2とがPC5 RRC接続を確立した状態にあり(ステップS102)、遠隔UE100-1とgNB200-1とが中継UE100-2を介してRRC接続を確立した状態にある(ステップS103)。
【0074】
遠隔UE100-1及び中継UE100-2のそれぞれには、gNB200-1から別々のC-RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identifier)が割り当てられる。この場合、gNB200-1は、遠隔UE100-1のC-RNTIと中継UE100-2のC-RNTIとを対応付け、相互に変換(解釈)して通信を行ってもよい。
【0075】
遠隔UE100-1は、中継UE100-2を介してgNB200-1のセル識別子(物理セル識別子)を取得してもよい。遠隔UE100-1は、PC5 RRC接続の確立時、ハンドオーバ時、又はRRC再確立時に、セル識別子を取得する。セル識別子は、中継UE100-2から遠隔UE100-1に対して、PC5 RRCメッセージ(例えば、RRC Reconfiguraiton Sidelinkメッセージ又はMaster Information Block Sidelink)で通知してもよい。セル識別子は、gNB200-1から遠隔UE100-1に対して、中継UE100-2を介して、RRCメッセージ(例えば、RRC Reconfigurationメッセージ)で通知してもよい。
【0076】
ステップS104において、遠隔UE100-1は、通信障害の発生を検知したことに応じて、中継UE100-2からターゲットgNB200-2へのRRC再確立処理を開始する。ここで、ステップS104は、上述した「(1)遠隔UEにおけるPC5 RRCからUu RRCへの通知動作」に対応するステップであってもよい。
【0077】
ステップS105において、遠隔UE100-1は、RRC再確立処理において、RRC再確立要求メッセージをターゲットgNB200-2に送信する。なお、当該RRC再確立要求メッセージは、中継UE100-2を介さずに遠隔UE100-1からターゲットgNB200-2に送信される。
【0078】
RRC再確立要求メッセージは、gNB200-1に記憶されている遠隔UE100-1のコンテキスト情報を特定するための所定識別子を含む。
図12は、RRC再確立要求(RRCReestablishmentRequest)メッセージの一例を示す図である。
【0079】
図12に示すように、RRC再確立要求メッセージは、所定識別子に相当するue-Identity(ReestabUE-Identity)を含む。ue-Identity(ReestabUE-Identity)は、gNB200-1から割り当てられたC-RNTI(c-RNTI)と、中継UE100-2を介して取得したセル識別子(physCellId)と、shortMAC-Iとを含む。shortMAC-Iは、遠隔UE100-1のPDCPレイヤにおいて計算されるものである。
【0080】
図11に戻り、ステップS106において、ターゲットgNB200-2は、RRC再確立要求メッセージに含まれる所定識別子を用いて、遠隔UE100-1のコンテキスト情報の導出をgNB200-1に要求する。具体的には、ターゲットgNB200-2は、所定識別子を含むコンテキスト要求メッセージをgNB200-1に送信する。
【0081】
gNB200-1は、遠隔UE100-1のコンテキスト情報を所定識別子と関連付けて管理している。ステップS107において、gNB200-1は、ターゲットgNB200-2からのコンテキスト要求メッセージの受信に応じて、コンテキスト要求メッセージに含まれる所定識別子に対応するコンテキスト情報を導出し、当該コンテキスト情報を含むコンテキスト応答メッセージをターゲットgNB200-2に送信する。
【0082】
ステップS108において、ターゲットgNB200-2は、gNB200-1からのコンテキスト応答メッセージの受信に応じて、RRC再確立メッセージを遠隔UE100-1に送信する。なお、当該RRC再確立メッセージは、中継UE100-2を介さずにgNB200-1から遠隔UE100-1に送信される。
【0083】
ステップS109において、遠隔UE100-1は、ターゲットgNB200-2からのRRC再確立メッセージの受信に応じて、RRC再確立完了メッセージをgNB200-1に送信する。なお、当該RRC再確立完了メッセージは、中継UE100-2を介さずに遠隔UE100-1からgNB200-1に送信される。これにより、RRC再確立処理が完了する。RRC再確立処理の完了後、ターゲットgNB200-2もしくはgNB200-1は、中継UE100-2に対して、遠隔UE100-1のRRC再接続処理が完了した旨(すなわち、Uu接続に移行した旨)を通知してもよい。
【0084】
本動作において、所定識別子に相当するue-Identity(ReestabUE-Identity)が、gNB200-1から割り当てられたC-RNTI(c-RNTI)と、中継UE100-2を介して取得したセル識別子(physCellId)と、shortMAC-Iとを含む一例について説明した。
【0085】
しかしながら、所定識別子に相当するue-Identity(ReestabUE-Identity)は、C-RNTIに代えて、遠隔UE100-1に割り当てられたDestination ID(Destination Layer-2 ID)を含んでもよい。Destination IDは、サイドリンク通信における送信先を識別する送信先識別子に相当する。Destination IDは、コアネットワークのエンティティ(ProSe機能)から割り当てられる識別子であってもよい。
【0086】
このような場合、遠隔UE100-1は、RRC再確立処理を開始するよりも前において、自身のDestination IDを予めgNB200-1に通知しておく必要がある。例えば、遠隔UE100-1は、中継UE100-2経由でのRRC接続確立(ステップS103)時にDestination IDをgNB200-1に通知する。
【0087】
(3)中継UEのRRC再確立動作
次に、中継UE100-2のRRC再確立動作について説明する。
図13は、中継UE100-2のRRC再確立動作の一例を示す図である。
図13において、中継UE100-2に複数の遠隔UE100-1(遠隔UE100-1a及び遠隔UE100-1b)が接続されている一例を示しているが、中継UE100-2に接続される遠隔UE100-1の数は1つであってもよい。
【0088】
図13に示すように、中継UE100-2とgNB200-1とがRRC接続を確立した状態にあり(ステップS201)、遠隔UE100-1aと中継UE100-2とがPC5 RRC接続を確立した状態にあり(ステップS202)、遠隔UE100-1bと中継UE100-2とがPC5 RRC接続を確立した状態にある(ステップS203)。また、
図13に示すように、遠隔UE100-1aとgNB200-1とが中継UE100-2を介してRRC接続を確立した状態にあり(ステップS204)、遠隔UE100-1bとgNB200-1とが中継UE100-2を介してRRC接続を確立した状態にある(ステップS205)。
【0089】
ステップS206において、gNB200-1は、中継UE100-2の識別子と中継UE100-2のコンテキスト情報と遠隔UE100-1のコンテキスト情報とを関連付けて管理する。中継UE100-2の識別子は、C-RNTI、Destination ID、及びshortMAC-Iのうち少なくとも1つを含む。
【0090】
ステップS207において、中継UE100-2は、通信障害(例えば、UuのRLF)の発生を検知したことに応じて、gNB200-1からターゲットgNB200-2へのRRC再確立処理を開始する。
【0091】
ステップS208において、中継UE100-2は、中継UE100-2の識別子を含むRRC再確立要求メッセージをターゲットgNB200-2に送信する。RRC再確立要求メッセージは、中継UE100-2の配下に遠隔UE100-1が存在する旨(Relay UEである旨)の情報を含んでもよい。RRC再確立要求メッセージは、中継UE100-2の配下に複数の遠隔UE100-1が存在する旨及び/又は配下の遠隔UE100-1の数を示す情報を含んでもよい。
【0092】
ステップS209において、ターゲットgNB200-2は、RRC再確立要求メッセージに含まれる中継UE100-2の識別子を用いて、遠隔UE100-1及び中継UE100-2のそれぞれのコンテキスト情報の導出をgNB200-1に要求する。具体的には、ターゲットgNB200-2は、中継UE100-2の識別子を含むコンテキスト要求メッセージをgNB200-1に送信する。
【0093】
ステップS210において、gNB200-1は、ターゲットgNB200-2からのコンテキスト要求メッセージの受信に応じて、コンテキスト要求メッセージに含まれる中継UE100-2の識別子に対応するコンテキスト情報(中継UE100-2のコンテキスト情報及び遠隔UE100-1のコンテキスト情報)を導出し、これらのコンテキスト情報を含むコンテキスト応答メッセージをターゲットgNB200-2に送信する。
【0094】
ステップS211において、ターゲットgNB200-2は、gNB200-1からのコンテキスト応答メッセージの受信に応じて、RRC再確立メッセージを中継UE100-2に送信する。RRC再確立メッセージは、遠隔UE100-1向けの所定情報を含む。所定情報は、例えば、各遠隔UE100-1のNCC(NextHopChainingCount)である。NCCは、暗号化されたデータの復号等に用いる情報である。さらに、RRC再確立メッセージは、中継UE100-2向けのNCCを含んでもよい。
【0095】
ステップS212において、中継UE100-2は、RRC再確立メッセージに含まれる、遠隔UE100-1a向けのNCCを遠隔UE100-1aに転送する。ステップS213において、中継UE100-2は、RRC再確立メッセージに含まれる、遠隔UE100-1b向けのNCCを遠隔UE100-1bに転送する。このような転送動作は、PC5 RRCメッセージにより行われてもよい。遠隔UE100-1は、ステップS212における中継UE100-2からの転送動作により、中継UE100-2のUuリンクにおいてRRC再確立が行われた(完了した)ことを判定してもよい。なお、ステップS212は当該転送動作に限らず、RRC再確立処理が行われた(完了した)ことを示す通知であってもよい。
【0096】
ステップS214において、中継UE100-2は、RRC再確立完了メッセージをターゲットgNB200-2に送信する。これにより、各UE100のRRC再確立処理が一括して完了する。
【0097】
図14は、中継UE100-2のRRC再確立動作の他の例を示す図である。
【0098】
図14に示すように、ステップS201乃至S210の動作は、
図13に示す動作と同様である。
【0099】
ステップS311において、ターゲットgNB200-2は、遠隔UE100-1a向けのNCCを含むRRC再確立メッセージを、中継UE100-2を介して遠隔UE100-1aに送信する。ステップS312において、ターゲットgNB200-2は、遠隔UE100-1b向けのNCCを含むRRC再確立メッセージを、中継UE100-2を介して遠隔UE100-1bに送信する。
【0100】
ステップS313において、遠隔UE100-1aは、RRC再確立完了メッセージをターゲットgNB200-2に送信する。ステップS314において、遠隔UE100-1bは、RRC再確立完了メッセージをターゲットgNB200-2に送信する。なお、遠隔UE100-1a及び遠隔UE100-1bを代表して1つの遠隔UE100-1がRRC再確立完了メッセージをターゲットgNB200-2に送信してもよい。
【0101】
(4)遠隔UEのRRC再確立処理における再接続先選択動作
次に、遠隔UE100-1のRRC再確立処理における再接続先(再確立先)選択動作について説明する。
【0102】
一般的に、UE100がRRC再確立処理を開始すると、セル選択動作により再接続先セルを選択し、選択したセルに対してRRC再確立要求メッセージを送信する。しかしながら、遠隔UE100-1がRRC再確立処理を開始する場合、gNB200-1に記憶されている遠隔UE100-1のコンテキスト情報を利用できることが望ましいため、直前に接続していた中継UE100-2を再接続先として選択するものとする。
【0103】
すなわち、本再接続先選択動作は、遠隔UE100-1が、遠隔UE100-1と中継UE100-2との間のRRC接続(PC5 RRC接続)が解放された場合、中継UE100-2を最高優先順位とする優先順位に従って再接続先を選択するステップと、遠隔UE100-1が、選択された再接続先への再接続処理を試みるステップとを有する。ここで、PC5 RRC接続の解放とは、通信障害の発生に起因して意図せずPC5 RRC接続が解放されたことをいう。
【0104】
このような動作は、遠隔UE100-1がgNB200-1とのRRC接続を有しているときのPC5 RRC接続の開放時に限定して行われてもよい。遠隔UE100-1がgNB200-1とのRRC接続を有していない場合、gNB200-1に遠隔UE100-1のコンテキスト情報が記憶されていないためである。
【0105】
図15は、遠隔UE100-1のRRC再確立処理における再接続先選択動作の一例を示す図である。
【0106】
図15に示すように、遠隔UE100-1は、PC5-RRC接続が予期せず(上位レイヤの要求ではなく)切断された場合(ステップS401)、元々接続していた中継UE100-2との再接続を試みる(ステップS402、S403)。遠隔UE100-1は、再接続が成功した場合(ステップS404:YES)、中継UE100-2とのPC5 RRC接続を再確立する(ステップS405)。ここで、遠隔UE100-1又は中継UE100-2が送信するPC5 RRCメッセージ(例えば、RRC Reconfiguration Sidelinkメッセージ)でPC5-RRC接続を再度確立してもよい。
【0107】
遠隔UE100-1は、再接続に失敗した場合(ステップS404:NO)、他の中継UEを再接続先として選択し(ステップS406)、他の中継UEとの再接続を試みる(ステップS407)。遠隔UE100-1は、元々セルからの受信状態が悪いと想定されるため、gNBよりも他の中継UEを優先することとしている。なお、再接続に失敗した場合とは、遠隔UE100-1が、元々接続していた中継UE100-2にN回(N≧1)再接続を試みても接続が回復しない場合をいう。例えば、N回の送信機会(実際の送信有無に関係なく)もしくはN回RRC Reconfiguration Sidelinkメッセージを送信しても接続が回復しない場合がこれに相当する。ここで、RRC Reconfiguration Sidelinkメッセージの送信には制限があってもよい。例えば、前回のRRC Reconfiguration Sidelinkメッセージの送信から一定時間(Prohibit timer)が経過しなければ次のRRC Reconfiguration Sidelinkメッセージを送信できないとしてもよい。
【0108】
遠隔UE100-1は、他の中継UEとの再接続が成功した場合(ステップS408:YES)、他の中継とのPC5 RRC接続を確立する(ステップS409)。このような成功、失敗の判定方法は、ステップS404と同様である。ステップS409において、遠隔UE100-1は、当該他の中継UEを介して、RRC再確立要求メッセージをgNBに送信してもよい。これにより、当該gNBは、遠隔UE100-1のコンテキスト情報を取得できる。
【0109】
遠隔UE100-1は、他の中継UEとの再接続が失敗した場合(ステップS408:NO)、gNBを再接続先として選択し(ステップS410)、gNBとの再接続を試みる(ステップS411)。gNBとの再接続が成功した場合(ステップS412:YES)、当該gNBとのRRC接続を確立する(ステップS413)。ステップS413において、遠隔UE100-1は、gNBに対して直接的にRRC再確立要求メッセージを送信する。
【0110】
なお、本フローでは、遠隔UE100-1において元々セルからの受信状態が悪いと想定しているが、セルからの受信状態が悪くない場合には、他の中継UEよりもgNBを優先して選択してもよい。
【0111】
(その他の実施形態)
上述した実施形態において、中継UE100-2における動作について主として説明したが、無線中継ノードであるIAB(Integrated Access and Backhaul)ノードに対して、上述した実施形態に係る動作を適用してもよい。具体的には、IABノードが、上述した実施形態で説明された中継UE100-2の動作を行ってもよい。このような実施形態においては、上述した実施形態の「中継UE」を「IABノード」に読み替え、上述した実施形態の「サイドリンク」を「アクセスリンク」に読み替えればよい。また、PC5 RRC接続は、IABノードとのRRC接続もしくはIABドナーとのRRC接続と読み替えればよい。
【0112】
UE100又はgNB200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0113】
また、UE100又はgNB200が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又はgNB200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0114】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0115】
本願は、日本国特許出願第2020-061492号(2020年3月30日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。