(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040222
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】複数の非対称濾材の層を有する連続配置、製造方法、濾過ユニット、この配置の使用、及び特徴付け方法
(51)【国際特許分類】
B01D 69/00 20060101AFI20230314BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20230314BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20230314BHJP
B01D 63/08 20060101ALI20230314BHJP
B01D 63/14 20060101ALI20230314BHJP
B01D 71/10 20060101ALI20230314BHJP
B01D 71/14 20060101ALI20230314BHJP
B01D 71/34 20060101ALI20230314BHJP
B01D 71/36 20060101ALI20230314BHJP
B01D 71/56 20060101ALI20230314BHJP
B01D 71/68 20060101ALI20230314BHJP
B01D 71/40 20060101ALI20230314BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
B01D69/00
B01D69/12
B01D63/02
B01D63/08
B01D63/14
B01D71/10
B01D71/14
B01D71/34
B01D71/36
B01D71/56
B01D71/68
B01D71/40
B01D39/16 C
B01D39/16 E
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023002878
(22)【出願日】2023-01-12
(62)【分割の表示】P 2020567499の分割
【原出願日】2019-06-04
(31)【優先権主張番号】102018004521.9
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511034561
【氏名又は名称】ザルトリウス ステディム ビオテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トム フォルクマール
(72)【発明者】
【氏名】ホッシュ イェルク
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー ベンヤミン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】除去される構成成分の速い分離速度と同時に、長い耐用年数を効率的に達成する、濾材の連続配置を有する濾過用アセンブリ、その製造方法および該アセンブリを含む濾過ユニットを提供する。
【解決手段】n個の層を含む濾材を含むアセンブリであって、nが少なくとも2であり、n個の層のそれぞれが、少なくとも1.5の非対称係数を有する非対称濾材であり、n個の層の全体的な非対称係数が少なくとも10であり、n個の層の孔径が、アセンブリの厚さ方向に実質的に連続的に減少し、n個の層の孔径が、厚さ方向に、直線状に、凹状に又は凸状に減少するアセンブリを提供する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n個の層を含む濾材の連続配置であって、
nが少なくとも2であり、
n個の層のそれぞれが、少なくとも1.5の非対称係数を有する非対称濾材であり、
n個の層の全体的な非対称係数が少なくとも10であり、
n個の層の孔径が、連続配置の厚さ方向に実質的に連続的に減少する、濾材の連続配置
。
【請求項2】
前記濾材が微孔性膜である、請求項1に記載の連続配置。
【請求項3】
前記配置が、緩やかに積み重ねられ、前記層の端部領域でフィルタハウジングに埋め込
まれている、n個の非対称濾材の層から構成されるアセンブリである、請求項1又は2に
記載の連続配置。
【請求項4】
2~10層、好ましくは2層又は3層を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の連
続配置。
【請求項5】
100~1000μm、好ましくは150~600μmの厚さを有する、請求項1~4
のいずれか一項に記載の連続配置。
【請求項6】
前記n個の層の孔径が、厚さ方向に、直線状に、凹状に又は凸状に減少する、請求項1
~5のいずれか一項に記載の連続配置。
【請求項7】
前記層の厚さが、互いに独立して、50~250μm、好ましくは100~200μm
である、請求項1~6のいずれか一項に記載の連続配置。
【請求項8】
前記層が、PVDF、PTFE、セルロースエステル、水和セルロース、ポリアミド、
ポリスルホン、ポリアリールスルホン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸
-メタクリル酸コポリマー、ポリエーテルスルホン又はそれらの混合物、好ましくはポリ
エーテルスルホンから構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の連続配置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の連続配置を製造するための方法であって、
前記n個の層のそれぞれの製造のために、それぞれの場合において、
(A)膜形成ポリマー及び溶媒を含むキャスト溶液を提供するステップと、
(B)キャスト溶液を水平支持体に塗布することによってフィルムを形成するステップ
と、
(C)第1の沈殿剤を含むガス雰囲気にフィルムを導入することによってフィルムをコ
ンディショニングするステップと、
(D)第2の沈殿剤を含む沈殿槽にコンディショニングされたフィルムを導入すること
によって層を沈殿させるステップと
を含み、
前記n個の層を得るために、
(E)前記n個の層を積み重ねるステップ
を含む、方法。
【請求項10】
前記濾過ユニットが、カセット、プレートモジュール、中空繊維モジュール、プリーツ
カートリッジ又はカプセルである、請求項1~8のいずれか一項に記載の連続配置を含む
濾過ユニット。
【請求項11】
滅菌濾過、ウイルスの濾過及び/又はマイコプラズマの濾過のための、請求項1~8の
いずれか一項に記載の連続配置又は請求項10に記載の濾過ユニットの使用。
【請求項12】
濾材の孔を特徴付けるための方法であって、
(1)濾材を固定するステップと、
(2)固定した濾材を厚さ方向に切断、研削及び研磨することにより、走査型電子顕微
鏡用の断面標本を作製するステップと、
(3)前記標本の走査型電子顕微鏡分析により、前記濾材の断面のグレースケール画像
を生成するステップと、
(4)グレースケール画像の二値化によって二値化画像を生成するステップにおいて、
前記二値化画像が第1及び第2のピクセルからなり、前記第1のピクセルが孔壁を表し、
前記第2のピクセルが孔内部を表すステップと、
(5)前記二値化された画像を4つのセクションに細分するステップであって、その結
果、各セクションが前記濾材の断面の等しい厚さの領域を示し、第1及び第2のピクセル
の複数の行を有し、前記行が一連の第2のピクセルを含むステップと、
(6)各一連の第2のピクセルの第2のピクセルの数及び一連の第2のピクセルの数を
セクション毎に決定するステップと、
(7)一連の第2のピクセル当たりの算術平均した第2ピクセルの数から、セクション
毎に平均孔径を計算するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記濾材が微孔性膜である、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、n個の非対称濾材の層を含む連続配置であって、nは少なくとも2であり、
n個の層の孔径は連続配置の厚さ方向に実質的に連続的に減少する連続配置と、連続配置
を製造するための方法と、連続配置を含む濾過ユニットと、連続配置の使用と、濾材の孔
を特徴付けるための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から知られているのは、異なる組成を有する2つのキャスト溶液から一体型非
対称膜を製造することができる製造方法である。それらは通常、共キャスト法と呼ばれる
。その中で、異なる組成を有する2つ以上のポリマーキャスト溶液は、移動した支持体上
に実質的に同時に一緒にされる。転相プロセスの結果として、一体型の膜が生成される。
得られた膜は互いにしっかりと結合した複数の膜層からなり、膜層の数は使用されるポリ
マーキャスト溶液の数に対応する。そのような方法を使用することにより、異なる孔径プ
ロファイルを有する一体型非対称精密濾過膜を製造することが可能である。2つ以上のキ
ャスト溶液が使用されるが、共キャスト法は、一体型精密濾過膜、すなわち、互いにしっ
かりと結合し、それぞれキャスト溶液層から形成される膜層を有する単一の膜をもたらす
。
【0003】
膜の非対称性の一般的な定義は、膜の対向する主表面の孔径の比率に基づいている。こ
こで、主表面の孔径は、主表面の走査型電子顕微鏡画像から定性的に確認されている。主
表面間の孔径プロファイルは、これまで、とりわけ不十分な特性評価方法のために、定性
的にのみ記述されてきた。従来技術では、非対称微孔性膜の孔径プロファイルは、例えば
、膜断面の走査型電子顕微鏡画像を記録することによって特徴付けられる。この場合、例
えば、孔径又は多孔性の勾配が定性的に評価される。既知の方法はまた、識別効果がほと
んどなく、異なる膜間の比較的小さな差異を十分に説明することができない。したがって
、単に孔径又は多孔性の勾配の定性的又は半定量的な測定、したがって、孔径又は多孔性
の勾配に対する製造条件の影響の不十分な検討のみがこれまで可能であった。
【0004】
共キャスト膜の他に、複数の別個の連続接続されたフィルタステージも長い耐用年数を
達成することができる。しかしながら、孔径勾配が互いに最適に調整されていない濾材の
連続接続は、方法に関連する不利な点(例えば、比較的高い圧力損失及びフィルター容積
の不適切な利用)を伴い、したがって、効率が低い。
【0005】
独国特許出願公開第3701633号明細書は、例えばポリエーテルスルホンから構成
され、その膜断面に沿って非対称の孔径分布を有し、孔径の最小値が2つの主表面によっ
て囲まれた膜内部を通過する微孔性膜を開示している。沈殿浴法により製造された膜は、
膜の断面に沿って漏斗状又は砂時計状の孔径分布を有する。
【0006】
欧州特許第1118377号明細書は、沈殿浴法によって製造された微孔性ポリスルホ
ン膜を開示している。この膜は、実質的に一定の孔径を有する等方性領域を有し、この領
域は、膜断面内の1点から膜の第1の主表面に向かって延びる。膜断面内の前記点は、全
膜厚さに基づいて、膜の第1の主表面から15%~50%の距離に位置する。等方性領域
に隣接して、膜は、孔径が第2の主表面の方向に増加する非対称領域を有する。この結果
は、孔径分布の漏斗構造である。
【0007】
米国特許第7,140,496号明細書は、第1の主表面を含み、少なくとも5μmの
厚さであり、隣接する微細孔の等方性及び微孔性層よりも高い開孔率を有する粗孔の非対
称層を有する膜を開示している。微細孔層は、膜の総厚の少なくとも50%を占める。粗
孔層の開孔比率は、第1の主表面から微細孔層の方向に向かって連続的に減少し、その結
果、漏斗構造となる。
【0008】
米国特許第5,906,742号明細書は、ポリスルホン及び親水性ポリマーからなり
、スキン層、一定の孔径の等方性領域、及び異方性領域に隣接する主表面の方向に徐々に
増大する孔径を有する隣接する異方性領域を有し、その結果、漏斗構造になる精密濾過膜
を開示している。
【0009】
欧州特許出願公開第2623187号明細書は、多孔性膜の内部に隣接する2つの主表
面を有する微孔性膜を開示している。膜は2つの非対称領域を有し、第1の非対称領域は
、第1の主表面から膜内部の方向に向かって直径が増大する孔を有し、第2の非対称領域
は、他方の主表面から膜内部の方向に向かって同様に直径が増大する孔を有する。
【0010】
米国特許第8,925,737号明細書は、それらの結晶化度(全ポリマー鎖の配列に
おける結晶性領域の割合に対する非晶性領域の割合)が異なる2つのポリマー層から構成
される積層体を開示している。第1のポリマー層はL1>L2の円錐台形の孔径分布を有
し、一方、第2のポリマー層も同様にL3>L4の円錐台形の細孔サイズ分布を有し、第
1のポリマー層の円錐台形の底部開口部L2は、第2のポリマー層の円錐台形の上部開口
部L3よりも大きい。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、濾過用の濾材の連続配置を提供することであり、この目的は、連続配
置が、除去される構成成分の速い分離速度と同時に、長い耐用年数を効率的に達成するこ
とであり、また、この連続配置の製造方法、この配置を含む濾過ユニット、連続配置の使
用、及び濾材の断面にわたる濾材の孔径又は多孔性を特徴付けるための方法を提供するこ
とである。
【0012】
この目的は、特許請求の範囲に記載の実施形態によって達成される。
【0013】
本発明によれば、「濾材の連続配置」は、非対称濾材の複数の層が次々に連続して配置
されるか、又は連続して接続される一連の濾材を意味すると理解され、層が互いに直接隣
接するか、又は間に挿入されたスペーサ、例えば、多孔質支持構造によって互いに分離さ
れることが可能である。
【0014】
特に好ましくは、本発明による連続配置は、緩やかに積み重ねられた、n個の非対称濾
材の層から構成されるアセンブリであり、層の端部領域は、フィルタハウジングに埋め込
まれている。この好ましい実施形態によれば、層がフィルタハウジングに埋め込まれてい
るのは、層の非フィルタ活性端部領域のみであり、その結果、濾材のフィルタ活性領域は
濾過に利用可能である。「緩やかに積み重ねられている」とは、n個の層が互いに直接接
続されていないか、又は互いに固定されていないが、層がしっかりと接続されていない状
態で互いに連続して配置されていることを意味する。
【0015】
本発明によれば、「層」は、平面構造を意味すると理解される。「平面」とは、構造(
例えば、濾材、膜、連続配置、又はアセンブリ)が、主に水平であり、互いにほぼ平行で
ある2つの対向する主表面を有することを意味する。「主表面」は、最大表面積を有する
構造の面である。
【0016】
「微孔性」という用語は、0.01~100μmの好ましい孔径を有する濾材又は膜を
指す。
【0017】
「厚さ方向」及び「面法線の方向」という語句は、平面構造(例えば、濾材、膜、連続
配置、又は濾材を含むアセンブリ)の主表面に対して垂直に伸びる方向を指す。「面方向
」は、主表面と平行に伸びる。「断面」は、厚さ方向/面法線方向の断面である。
【0018】
一般に、非対称濾材は、互いに対向する2つの主表面を有し、一方の主表面の孔が他方
の主表面の孔よりも大きい多孔性濾材を意味すると理解される。この定義によれば、非対
称係数は、微細な孔の表面の孔径に対する粗い孔の表面の孔径の比を示す。非対称濾材は
、平坦若しくは中空繊維膜、不織布、織布、モノリシック濾材、又はデプスフィルタであ
り得る。特に好ましくは、非対称濾材は、非対称微孔性膜である。
【0019】
一般に、非対称微孔性膜は、互いに対向する2つの主表面を有し、一方の主表面の孔が
他方の主表面の孔よりも大きい連続的な多孔性ポリマーフィルムを意味すると理解される
。この一般的な定義によれば、非対称係数は、微細な孔の表面の孔径に対する粗い孔の表
面の孔径の比を示す。
【0020】
本発明によれば、「非対称」濾材又は「非対称」膜は、厚さ方向に変化する孔径を有す
る(例えば、欧州特許出願公開第0407800号明細書又は欧州特許出願公開第034
5781号明細を参照のこと)。「非対称係数」は、厚さ方向に変化する孔径の最小孔径
に対する最大孔径の比である。具体的には、本発明による非対称係数は、以下のように定
義される。
【0021】
非対称係数を決定するために、連続配置のn個の層のそれぞれは、厚さ方向に沿って4
つのセクションに概念的に細分される(
図1に示した、層F1及びF2、並びにセクショ
ンF1-1~F1-4及びF2-1~F2-4をそれぞれ有する連続配置を参照)。層に
属する4つのセクションはそれぞれ同じ厚さを有し、層(したがって異なる層のセクショ
ン)は、異なる厚さを有する可能性がある。
【0022】
層の4つのセクションのそれぞれは、平均孔径を有する。セクションの平均孔径は、本
発明による、又は以下の実施例に記載されているような特徴付け方法によって確認するこ
とができる。層の非対称係数は、層の4つのセクションの最小平均孔径に対する最大平均
孔径の比である。n個の層の全体的な非対称係数は、4n個のセクションの最小平均孔径
に対する最大平均孔径の比である。
【0023】
単に対向する主表面の孔径に依存する膜の非対称性の一般的な定義とは対照的に、本発
明は、(全体的な)非対称係数の計算において、濾材全体又は膜断面の孔径を組み込むこ
とを含む。結果として得られるのは、孔の構造がはるかに識別される画像である。したが
って、異なる濾材/膜間の比較的小さな差異でさえも検出することができる。さらに、孔
径又は多孔性の勾配の現実的な検出、したがって、特許請求された(全体的な)非対称係
数の定義に基づいて、孔径又は多孔性の勾配に対する製造条件の影響の正確な検討が可能
である。その結果、定義された孔径又は多孔性の勾配を有する濾材/膜を製造し、それら
を特徴付け、有利な技術的効果を有する孔径勾配を見出すことが可能である。
【発明の詳細な説明】
【0024】
本発明は、一態様では、n個の層を含む濾材の連続配置を提供し、この濾材の連続配置
において、nは少なくとも2であり、n個の層のそれぞれは、少なくとも1.5の非対称
係数を有する非対称濾材であり、n個の層の全体的な非対称係数は少なくとも10であり
、n個の層の孔径は、連続配置の厚さ方向に実質的に連続的に減少する。
【0025】
本発明による連続配置は、n個の層の孔径が連続配置の厚さ方向に実質的に連続的に減
少するため、以下で濾過方向(流れ方向)と呼ばれる厚さ方向に孔径が減少する方向を有
する(
図1を参照)。濾過方向に対向する主表面が流入側主表面であり、濾過方向に続く
主表面が流出側主表面である。必要に応じて、特に指示しない限り、n個の層は濾過方向
に数えられる。これは、最初の層が流入側の外側の層であり、n番目の層が流出側の外側
の層であることを意味する(
図1を参照)。
【0026】
本発明によれば、n個の層の孔径は、連続配置の厚さ方向に実質的に連続的に減少する
。これは、連続配置のn個の層が、最大で30%、好ましくは最大で20%、特に好まし
くは最大で15%、さらにより好ましくは最大で5%、最も好ましくは0%の無駄を有す
ることを意味する。
【0027】
濾過方向の下流のセクションの平均孔径が上流セクションの平均孔径よりも大きい場合
、上流層の媒体は、孔径が小さな領域を既に流れているため、より大きな孔径を有する下
流セクションの領域は実質的に未使用のままである。存在するのは、いわゆる「無駄」又
は「デッドボリューム」であり、限られた効率で土壌吸収(ろ過される構成成分の吸収)
にのみ利用できる(
図2を参照)。
【0028】
無駄の測定方法
例として
図2に示されているように、XYグラフにプロットされているのは、n個の層
又はセクションの厚さ(Y軸)に対する4n個のセクションの平均孔径(X軸、
図2では
「平均経路長」と称される)であり、いずれの場合にも、特に好ましくは3桁の精度を有
する。これは、XYグラフでは、厚さ方向に分解されたn個の層/4n個のセクションの
孔径プロファイルを得るために、各平均孔径が関連するセクションの位置(n個の層のセ
クションの「深さ」)に割り当てられることを意味する。平均孔径は、本発明による、又
は実施例に記載されているような特徴付け方法を使用して測定することができる。
【0029】
孔径プロファイルは、各セクションの平均孔径を示す。ここで、孔径(X軸)は、流れ
方向のセクションの中央に対応するY軸のセグメント上にプロットされている。これは、
n番目の層からのj番目のセクション(jは1、2、3又は4)の平均孔径(X値)が、
先行するすべてのn-1の層の厚さに先行するすべてのj-1の層の厚さを加え、Y値と
してj番目のセクションの半分の厚さを加えたものを割り当てられていることを意味する
。(ここで、層及びセクションが、濾過方向に数えられているか、又は反対方向に数えら
れているかは基本的に無関係である。)XYグラフでは、互いに隣接するセクションのす
べての平均値が、線(接続線)で互いに接続される。
【0030】
2つの外側セクションのうちの1つから進んで、2つの隣接するセクション間の平均孔
径の増加なしに、それぞれ互いに隣接する一連のセクションが存在することが確定される
場合、無駄は存在しない。(この場合、2つの外側セクションの他方から続く一連のセク
ションでは、2つの隣接するセクション間の平均孔径の減少はない。)
【0031】
そうでない場合、すなわち、無駄が存在する場合、次の分析に使用されるのは、平均孔
径が大きくなるにつれて互いに隣接するセクションの数字が小さくなる、それぞれ互いに
隣接する2つの一連のセクションの連続である。したがって、分析は流入側から開始され
る。これは、分析が濾過方向で行われることを意味する。(したがって、
図2に示されて
いる例の対応する分析は上部から開始され、これは、平均孔径が増大する互いに隣接する
2つのセクションのみがこの考察において存在するためである。)
【0032】
換言すれば、平均孔径の完全な配列が、この配列において連続的に減少するか又は連続
的に増加するように構成されている場合、流入方向は孔径が連続的に小さくなるように選
択される。この場合、無駄は存在しない。そうでない場合、すなわち、無駄が存在する場
合、流入方向/流入側は、無駄が最小になるように定義される。
【0033】
隣接する次のセクションよりも平均孔径が小さいセクションに対応するXYグラフの任
意のポイントから進むと、Y軸と平行に垂直線が引かれる。平均孔径が小さい先行するセ
クションに対応する点から、接続線を有する次の交点までのY軸上のセグメント(厚さ)
を無駄な領域とみなす。(
図2の例では、Y軸(厚さ)に対してそれぞれ68μm及び4
0μmのセグメントを有する2つの無駄な領域が識別される。)すべての無駄な領域の厚
さの合計が、合計の無駄な領域である。(
図2の例では、これは108μmである。)す
べての4n個のセクションの総厚に対する合計の無駄な領域のパーセンテージ比が合計の
無駄である。(
図2の例では、これは108μm/396μm・100=27.3%であ
る。)ここで、396μmという値は、
図2の最上部のグラフの点(430μm)と最下
部のグラフの点(34μm)との差に起因する。
【0034】
本発明による連続配置を使用した濾過の場合、濾過される液体(濾過組成物)の流れ方
向は、濾過方向、すなわち、孔径が小さくなる方向に流れる。厚さ方向/濾過方向にn個
の層の平均孔径が実質的に連続的に減少すること(漏斗構造、
図1を参照)は、特に粒子
を含む濾過組成物をろ過する場合、濾過組成物中に存在する粒子のサイズ排除(「土壌吸
収」/濾過される構成成分の吸収)のために濾材又は膜の容積全体が使用され、本発明に
よる連続配置の耐用年数(「濾過される構成成分の吸収能力」)が最大化されることを意
味する。耐用年数は、実施例に示すように決定することができる。
【0035】
本発明の好ましい実施形態によれば、4n個のセクションの平均孔径は、厚さ方向に連
続的に減少する。これは、次のセクションの平均孔径が、前のセクションの孔径よりも常
に小さいことが好ましいことを意味する。
【0036】
本発明によれば、連続配置は、少なくとも2つの層を有する。原則的に、インサート又
はスペーサーは、層間に配置することができるが、好ましくは、すべての層は、スペーサ
ー又はインサートが2つの隣接する層間に配置されることなく、互いに直接隣接する。イ
ンサート又はスペーサーは、市販の平面状多孔質媒体、例えば不織布又は織物であり得る
。
【0037】
好ましい実施形態によれば、連続配置は、2~10個の層を含む。「n」は自然数であ
ることに留意しなければならない。特に好ましくは2~6層、特に好ましくは2~4層、
さらにより好ましくは2又は3層、最も好ましくは3層である。層の数がより多い、した
がって複合材料の総厚がより大きいということは、この複合材料の容積がより大きいため
に、原則的に、より多くの粒子を捕捉又は減らすことが可能であり、したがって、原則的
に、より長い耐用年数を達成することも可能であることを意味する。好ましくは、連続配
置は、n個の層からなり、nは自然数である。
【0038】
n個の層は、互いに接続されていないことが好ましい。n個の層は、緩やかに積み重な
っていることが好ましい。
【0039】
好ましくは、n個の層は平坦な濾材(平面濾材)であり、さらにより好ましくは平坦な
膜、特に好ましくは平坦な高分子膜である。高分子膜は、ポリマー又はポリマーブレンド
から構成される。好適なポリマーは、例えば、セルロース誘導体、例えば、水和セルロー
ス、セルロースエステル、硝酸セルロース及び酢酸セルロースなどであるが、再生セルロ
ース、例えば、ナイロン及びパーロンなどのポリアミド、例えば、ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)及びポリビニリデンジフルオリド(PVDF)などのフルオロポリマ
ー、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのオレフィン、例えば、ポリスルホン
、ポリアリールスルホン及びポリエーテルスルホンなどのポリスルホン、ポリアクリル酸
、ポリメタクリル酸、アクリル酸-メタクリル酸コポリマー及びそれらの混合物、及び架
橋ポリマー、並びにそれらの混合物でもあり、特にポリエーテルスルホンが好ましい。
【0040】
好ましい実施形態によれば、微孔性膜は、平坦な膜又は中空繊維膜である。
【0041】
各層について、最大又は最小の平均孔径を有するそれらのセクションは、層の外側セク
ション(第1及び第4セクション)であることが好ましい。連続配置の場合、連続配置の
すべての4n個のセクションのうち、最大又は最小の平均孔径を有する連続配置のセクシ
ョンは、連続配置の外側セクション(第1層の第1セクション及び第n層の第4セクショ
ン)であることが好ましい。
【0042】
本発明の好ましい実施形態によれば、隣接する層の非対称係数は、濾過方向に減少する
。これは、2つの層の場合、第1層は、濾過方向(
図1を参照)に続く第2層よりも大き
い非対称係数を有することを意味する。
【0043】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、隣接する層の非対称係数は、濾過方向に増
加する。これは、2つの層の場合、第1層は、濾過方向に続く第2層よりも小さい非対称
係数を有することを意味する。
【0044】
さらに、隣接する層の非対称係数は、濾過方向において同じままであることが好ましい
。本発明によれば、非対称係数は2桁の精度(例えば、「12」、「1.5」、又は「0
.87」)で使用され、3桁の精度の平均孔径に基づいて計算される。
【0045】
本発明の好ましい実施形態によれば、連続配置のセクション(n個の層の1つ、いくつ
か又はすべて)の平均孔径は、厚さ方向に直線状に、凹状に又は凸状に減少する(
図4を
参照)。特に好ましくは、連続配置の4n個のセクションの平均孔径は、厚さ方向に直線
状に、凹状に又は凸状に減少する。平均孔径が直線状、凹状及び/又は凸状に減少する層
を連続配置で組み合わせることもまた可能である。「直線状」は、平均孔径が濾過方向に
定常的に減少することを意味し(
図4Aを参照)、「凸状」は、平均孔径が濾過方向にさ
らによりわずかに減少することを意味し(
図4Bを参照)、「凹状」は、平均孔径が濾過
方向にさらにより大きく減少することを意味する(
図4Cを参照)。平均孔径は、本発明
による、又は実施例に記載されているような特徴付け方法によって測定することができる
。
【0046】
濾過方向の孔径の直線状、凸状又は凹状の減少は、本発明による連続配置が、濾過され
る媒体の粒径分布と適合させることができることを意味する。媒体が高い割合の濾過され
る大きな粒子と、ほんのわずかの小さな粒子とを含む場合、凹状の減少により、最適な効
率を得ることができる。逆の場合、小さな粒子の割合に対して大きな粒子の割合が小さい
場合、凸状の減少が特に適している。ほぼ均一な粒径分布の場合、直線状の減少が最良の
結果をもたらすことができる。
【0047】
連続配置のn個の層は、好ましくは、60%を超える平均多孔度を有する。平均多孔度
として、以下に説明する物理的多孔度(εp)を使用することができる。
【0048】
好ましくは、n個の層のそれぞれの4つのセクションは、少なくとも0.05μmの平
均孔径を有する。
【0049】
好ましい実施形態によれば、連続配置は、100~1000μm、好ましくは120~
800μm、特に好ましくは150~600μmの厚さを有する。
【0050】
本発明による連続配置の好ましい実施形態では、層の厚さは、互いに独立して、50~
250μm、好ましくは100~200μmである。これらの範囲内で、層の効率的な生
産性を達成することができる。
【0051】
好ましくは、連続配置のn個の層は、それぞれ、少なくとも20kGy、特に好ましく
は少なくとも50kGy、特に好ましくは少なくとも100kGyの放射線耐性を有する
。その結果、n個の層はガンマ線で滅菌可能であり、したがって、ガンマ線で滅菌可能な
連続配置を得ることができる。本発明によるn個の層/連続配置の放射線耐性は、上限が
なく、好ましくは最大で500kGy、特に好ましくは最大で200kGyである。本発
明によれば、「XkGyの放射線耐性」は、XkGyの線量でのガンマ線照射後の層の強
度の損失が最大で30%であることを意味すると理解される(Xは任意の値をとることが
でき、例えば、20kGy、50kGy、100kGy又は500kGyである)。前記
強度の損失は、前記線量でのガンマ線照射前の層の強度値に基づいて、XkGyの線量で
のガンマ線照射後の層の強度値の減少によってもたらされる。照射された層の強度値が照
射されていない層の強度値の80%である場合、本発明によれば、強度の損失は20%で
ある。本発明との関係において、照射された層及び照射されていない層の強度値は、室温
でのその最大張力値Fmaxによって記述される。Fmaxを求めるために、20mm×
150mmの寸法を有する層のサンプルをこの目的のために切り出し、クランプジョー間
のサンプルを含まない長さが4cmとなるように、Zwick GmbHの「Zwick
Z2.5/TN1S」材料試験機に水平にクランプした。力変換器「KAP-Z 20
0N」(A.S.T.,01287 ドレスデン、ドイツ)は、例えば5cm/分の速度
で動かされる。測定データは、機器ソフトウェア「testXpert」(Zwick
GmbH、89079 ウルム、ドイツ)によって連続的に取得され、視覚化される。F
maxは、3つの照射された層サンプル又は3つの照射されていないサンプルの平均値と
して求められる。本発明による層又は連続配置の放射線耐性は、本発明による連続配置又
は濾過ユニットを滅菌の目的でオートクレーブ処理する必要はないが、高エネルギー放射
線、例えばガンマ線により使用のために滅菌処理することができることを意味する。した
がって、本発明による配置及び濾過ユニットは、この放射線耐性のために、流体の滅菌濾
過に特に適している。
【0052】
さらなる態様では、本発明は、本発明による連続配置を製造するための方法を提供し、
この方法はn個の層のそれぞれの製造のために、それぞれの場合において、
(A)膜形成ポリマー及び溶媒を含むキャスト溶液を提供するステップと、
(B)キャスト溶液を水平支持体に塗布することによってフィルムを形成するステップ
と、
(C)第1の沈殿剤を含むガス雰囲気にフィルムを導入することによってフィルムをコ
ンディショニングするステップ(「蒸気誘起相分離」、VIPS)と、
(D)第2の沈殿剤を含む沈殿槽にコンディショニングされたフィルムを導入すること
によって層を沈殿させるステップ(「非溶媒誘起相分離」、NIPS)とを含み、
n個の層を得るために、
(E)このn個の層を積み重ねるステップを含む。
【0053】
各層について、ステップ(A)~(D)は、別個に変更された条件下を経る。一旦層が
利用可能になると、本発明による連続配置を得るために、それらは、ステップ(E)にお
いて、積み重ねられるか、又は積み重ねて配置される。既に上で述べたように、本発明に
よる連続配置におけるn個の層は、互いに接続されていないことが好ましい。
【0054】
使用される膜形成ポリマーは、原則的に、ポリエーテルスルホンが好ましく、上記のも
のなどの微孔性膜を生成するのに適した任意のポリマーであり得る。膜形成ポリマーの割
合は、例えば、キャスト溶液の5重量%~50重量%、好ましくは8重量%~20重量%
である。
【0055】
使用する溶媒は、沈殿浴法に適した任意の溶媒であり得る。その例は、ε-カプロラク
タム、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルア
セトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及び2-ピロリドンなどの
極性非プロトン性溶媒、及びそれらの混合物である。溶媒の割合は、例えば、キャスト溶
液の50重量%~95重量%、好ましくは70重量%~92重量%である。
【0056】
任意選択的に、キャスト溶液は少なくとも1つの共溶媒を含むことができる。好適な共
溶媒は、例えば、低分子量のポリエチレングリコール(Mwは好ましくは200~150
0g/モルである)である。
【0057】
さらに、キャスト溶液は、孔形成剤を含むことができる。孔形成剤は、特に制限されな
い。膜形成ポリマーと孔形成剤との好適な組み合わせは、当業者に知られている。例えば
、低分子量アルコール、種々の無機塩、例えば塩化リチウム、高分子量ポリエチレングリ
コール(Mw>1500g/モル)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアル
コール(PVA)又はそれらの混合物などを使用することができる。孔形成剤の割合は、
例えば、キャスト溶液の0重量%~15重量%、好ましくは0.5重量%~10重量%で
ある。
【0058】
ステップ(A)は、例えば攪拌により、キャスト溶液の構成成分を混合することによっ
て実施することができる。キャスト溶液のすべての構成成分が溶解するまでの混合時間は
、提供されるキャスト溶液の質量に依存し、例えば、1~50、好ましくは8~16時間
である。ステップ(A)における典型的なバッチサイズは、100~5000kgの範囲
のキャスト溶液である。
【0059】
キャスト溶液のすべての構成成分が溶解した形態で存在するようになった時点で、キャ
スト溶液は、好ましくは、例えば100~800ミリバール、例えば300ミリバールで
脱気される。脱気は、方法の過程で欠陥が膜に制御不能に形成されるのを防ぐ。
【0060】
本発明による製造方法のステップ(B)において、キャスト溶液を水平支持体に塗布す
ることによりフィルムが形成される。これは、例えば、ノズルによって、好ましくは10
℃~60℃のキャスト溶液温度で実施することができる。フィルムの厚さは通常、50~
500μm、好ましくは100~250μmである。
【0061】
支持体は、好ましくはドラムであり、特に好ましくは鋼から構成されているので、ドラ
ムの移動によってフィルムを次の方法ステップに供給することができる。その結果、この
方法の連続的で効率的な実施が可能である。ドラムは、好ましくは10℃~60℃の温度
を有する。
【0062】
ステップ(C)において、フィルムは、第1の沈殿剤を含むガス雰囲気にフィルムを導
入することによってコンディショニングされる。ステップ(C)の間に、第1の沈殿剤は
最初に透明なフィルム中に拡散し、その後、前記フィルムは通常濁り、これは、沈殿反応
及び後の層の構造形成の開始を示す。フィルムのコンディショニングステップでは、膜の
細孔構造が形成され始める。コンディショニングステップの時間は、例えば、1秒~30
0秒である。
【0063】
非対称構造を生成するには、第1段階(C)において、第1の沈殿剤を含むガス雰囲気
に導入することにより、キャストフィルムをコンディショニングする必要がある(VIP
Sプロセス)。雰囲気を介して投入された沈殿剤は、ガス状沈殿剤に面しているキャスト
フィルムの側で相分離が開始されるように、キャストフィルムの組成をシフトさせる。初
期相分離の侵入深さは、選択したプロセスパラメータに依存する。
【0064】
第1の沈殿剤として好適なのは、原則的に、フィルム中の膜形成ポリマーを沈殿させる
ことができるすべての液体である。アルカノール及び水、並びにそれらの混合物も好適で
ある。
【0065】
第1の沈殿剤を含むガス雰囲気は、好ましくは10℃~60℃の温度を有する。沈殿剤
の他に、ガス雰囲気は、好ましくはガス又はガス混合物、例えば、空気又は窒素を含み、
窒素が好ましい。ガス雰囲気の圧力は、好ましくは800~1200ミリバール、好まし
くは900~1100ミリバールである。好ましくは、ガス雰囲気は、第1の沈殿剤で飽
和している。
【0066】
ステップ(D)において、第2の沈殿剤を含む沈殿槽にコンディショニングされたフィ
ルムを導入することによる層の沈殿が実施される。好ましくは、沈殿浴は、第2の沈殿剤
からなる。第2の沈殿剤として好適なのは、原則的に、フィルム中の膜形成ポリマーを沈
殿させることができるすべての液体である。アルカノール及び水、並びにそれらの混合物
も好適である。
【0067】
沈殿槽では、沈殿剤が事前に沈殿した膜中に拡散し、形成された膜からキャスト溶液の
溶媒、添加剤及び孔形成剤(例えば、PVP)が沈殿槽中に拡散し、その結果、層/膜が
得られる。
【0068】
ステップ(D)(NIPSプロセス)は、第2の沈殿剤を含む沈殿浴へのコンディショ
ニングされたフィルムの導入/浸漬により、ステップ(C)と比較してより迅速な沈殿を
もたらす。ここで、第2の沈殿剤がフィルム中に拡散すると同時に、溶媒がフィルムから
拡散し、その結果、相分離が継続され、コンディショニング中に形成された構造が固化す
る。
【0069】
膜の孔径(4つのセクションすべての平均孔径)は、VIPSステージ(ステップ(D
))内で制御される。キャスト溶液中の膜形成ポリマーの濃度は、一般に、達成可能な孔
径に反比例する。
【0070】
膜構造は、とりわけ、コンディショニング段階におけるキャストフィルムの滞留時間に
応じる。
【0071】
ステップ(D)の後に、沈殿した層を抽出浴に導入する抽出ステップを続けることがで
きる。抽出浴の好ましい組成は、第2の沈殿剤の組成に対応する。抽出ステップでは、層
/膜中にまだ存在し得る溶媒、孔形成剤及び膨潤剤を除去するために、層を一連の複数の
抽出浴に連続的に導入することが好ましい。
【0072】
ステップ(D)又は、該当する場合、抽出ステップの後に、沈殿した層をすすぎ浴に導
入するすすぎステップを続けることができる。好ましくは、すすぎ浴は水から構成される
。すすぎステップでは、層/膜中にまだ存在し得る沈殿剤を除去するために、層を一連の
複数のすすぎ浴に連続的に導入することが好ましい。
【0073】
必要な場合、複数の抽出ステップ及びすすぎステップを連続して及び/又は交互に実施
することができる。
【0074】
適切なプロセス制御により、使用済みの沈殿剤、溶媒、膨潤剤などを処理して、再利用
することができる。
【0075】
最後に、それぞれのステップ(A)~(D)で得られた層/膜をステップ(E)で積み
重ね、その結果、本発明による連続配置が得られる。
【0076】
さらなる態様では、本発明は、本発明による連続配置を含む濾過ユニットを提供する。
濾過ユニットは、カセット、プレートモジュール、中空繊維モジュール、プリーツカート
リッジ又はカプセルであり得る。本発明による連続配置及び本発明による濾過ユニットは
、溶液の清澄化、滅菌濾過、ウイルスの濾過、及びマイコプラズマの濾過に特に適してい
る。
【0077】
好ましくは、濾過ユニットは、ASTM F 838-05、2005及びASTM
F 838-15a、2015に準拠した滅菌フィルタである。滅菌フィルタの透過性は
、少なくとも10000L/(m2・h・bar)であることが好ましい。透過性は、後
述のように測定することができる。滅菌フィルタの耐用年数(Caro(登録商標)/O
vomaltine(登録商標))は、好ましくは少なくとも350kg/m2、特に好
ましくは少なくとも400kg/m2である。
【0078】
さらに好ましい実施形態によれば、濾過ユニットは、PDAテクニカルレポートNo.
75、「0.1μmマイコプラズマ低減フィルタを評価するためのコンセンサス法」(P
DA Technical Report No.75,Consensus Meth
od for Rating 0.1μm Mycoplasma Reduction
Filters)に従ったマイコプラズマ捕捉フィルタである。マイコプラズマ捕捉フ
ィルタの透過性は、少なくとも2000L/(m2・h・bar)であることが好ましい
。透過性は、後述のように測定することができる。滅菌フィルタの耐用年数(Caro(
登録商標)/Ovomaltine(登録商標))は、好ましくは少なくとも300kg
/m2、特に好ましくは少なくとも350kg/m2である。
【0079】
透過性の測定方法
試験する膜を47mmのパンチで適切なフィルタホルダーに取り付ける。フィルタの自
由表面積は12.7cm
2である。1.0バールの圧力で、100mLの脱イオン水を2
0℃の温度で膜を通して濾過し、それに必要な時間t
Dfl[s/100mL*12.7
cm
2*1.0バール)]をストップウォッチによって確認する。脱イオン水の体積は、
体積測定又は重量測定で測定することができる。(L/m
2*h*バール)の透過性Jへ
の変換は、次式に従って求められる。
【数1】
【0080】
好ましくは、濾過ユニットは、少なくとも20kGy、特に好ましくは少なくとも50
kGy、特に好ましくは少なくとも100kGyの放射線耐性を有する。その結果、濾過
ユニットは、ガンマ線で滅菌可能である。
【0081】
さらなる態様では、本発明は、濾材の孔を特徴付けるための方法を提供する。この方法
は、以下のステップを含む。
(1)濾材を固定するステップ
(2)固定した濾材を厚さ方向に切断、研削及び研磨することにより、走査型電子顕微
鏡用の断面標本を作製するステップ
(3)標本の走査型電子顕微鏡分析により、濾材の断面のグレースケール画像を生成す
るステップ
(4)グレースケール画像の二値化によって二値化画像を生成するステップにおいて、
二値化画像は第1及び第2のピクセルからなり、第1のピクセルは孔壁を表し、第2のピ
クセルは孔内部を表すステップ
(5)二値化された画像を4つのセクションに細分するステップであって、その結果、
各セクションは濾材の断面の等しい厚さの領域を示し、第1及び第2のピクセルの複数の
行を有し、この行は一連の第2のピクセルを含むステップ
(6)各一連の第2のピクセルの第2ピクセルの数及び一連の第2のピクセルの数をセ
クション毎に決定するステップ
(7)一連の第2のピクセル当たりの算術平均した第2ピクセルの数から、セクション
毎に平均孔径を計算するステップ
【0082】
記載されている方法は、文献(Journal of Membrane Scien
ce、2008年、Vol.323、p.241-246)で知られている方法に関連し
ているが、標本及び分析方法の詳細が異なる。文献に記載されていることに反して、二値
化は、以下に説明するように、物理的多孔度に関して実施される。
【0083】
ステップ(1)及び(2)は、特に制限されず、例えば、Journal of Me
mbrane Science、2011年、Vol.372、p.66-74に記載さ
れているように、原則的に、走査型電子顕微鏡法(SEM)用の標本を作製するための通
常の任意の方法で実施することができる。
【0084】
ステップ(1)において、濾材は、好ましくは、室温(25℃)でプラスチック樹脂に
包埋される(低温包埋)。この目的のために、濾材は最初に未硬化のプラスチック樹脂で
含浸され、その結果、濾材はプラスチック樹脂で完全に湿らされ、したがって濾材のすべ
ての孔が充填される。その後、プラスチック樹脂を硬化させる。好適なプラスチック樹脂
は当業者に知られており、例えば、ポリウレタン(PU)及びエポキシ樹脂を包含する。
固定の結果、濾材に高い安定性が付与され、固定された濾材からSEM分析用の標本を作
製することができることを意味する。
【0085】
断面標本の作製は、ステップ(2)において、固定された濾材を濾材の厚さ方向に切断
し、続いて研削及び研磨(例えば、エスリンゲン・アム・ネッカーのBuehler I
TW Test&Measurement GmbHのEcoMet/Automet(
商標) 250 grinder and polisherを使用)することによって
実施される。切断された固定濾材は、その後半自動的に研削(4つの異なる粒径:P32
0、P600、P1200、P2500)され、研磨(3μmのダイヤモンド及び酸化ア
ルミニウム懸濁液)されて、BSE検出器(後方散乱電子検出器)による検査のために十
分に滑らかなサンプル表面が得られる。
【0086】
ステップ(3)において、標本はSEM分析にかけられ、その結果、濾材断面のグレー
スケール画像が得られる。異なる濃淡レベルは、濾材の異なる領域(孔壁及び孔内部)を
表す。好ましくは、後方散乱電子検出器(BSE検出器)を備えた走査型電子顕微鏡が使
用される。二次電子増倍管検出器(SEEM検出器)とは対照的に、BSE検出器はトポ
グラフィーの代わりに材料のコントラストを示し、適切に得られたSEM画像の結果とし
て見られるのは、深部層のない標本の表面のみである。ステップ(3)では、標本のグレ
ースケール画像が得られ、このグレースケール画像は、濾材断面の上面図である。
【0087】
SEM画像を記録する場合、特に孔の狭い領域(孔径<0.5μmの領域)において、
ステップ(4)の画像分析/二値化において有益な結果を得るために、グレースケール画
像において孔壁及び孔内部が容易に識別できるように倍率を選択することが好ましい。適
切に選択された倍率を用いて、濾材の断面全体が記録される。任意選択的に、濾材の断面
の異なるセグメントの複数の個別の画像を生成し、MIA(マルチイメージアライメント
)によってまとめて、単一のグレースケール画像を形成することができる。
【0088】
好ましくは、行及び列に配列されたピクセルからなるグレースケール画像(SEM画像
)は、少なくとも50個の孔/行、特に好ましくは少なくとも75個の孔/行を示す。こ
れにより、得られたグレースケール画像から、粗い孔の領域(孔径>3μmの領域)にお
いても、平均孔径(「平均経路長」とも呼ばれる)について統計的に有益な結果が得られ
ることが保証される。上記の孔/列の最小数は、例えば、既に述べたMIA(マルチイメ
ージアライメント)によって得ることができる。
【0089】
粗い孔の領域では、孔壁内に「サブ多孔性(subporosity)」が時折観察さ
れる。「サブ孔(subpore)」は、特にステップ(1)でプラスチック樹脂を使用
する場合に、樹脂が充填されていないか、又は不完全にしか充填されていない場合に、画
像評価の誤差の原因となり得る。「サブ孔」は、濾過組成物が到達できないため、したが
ってサイズ排除機能を有さないが、濾材の全体的な多孔性に影響を及ぼす。これを改善す
るために、グレースケール画像は、二値化の前に、穴を閉じ、充填するフィルタを使用し
て編集されることが好ましい。穴を閉じ、充填するアルゴリズムは、当業者に知られてい
る。全画像の狭い孔の領域でのアルゴリズムによるアーチファクトの発生を回避するため
に、この閉じるステップの強度は、孔径に応じてセグメント毎に調整されることが好まし
い。これの根拠を形成するのは、穴を閉じる/充填するステップまでの平均孔径の事前の
測定である。それにより、狭い孔の領域(サブ多孔性が存在しない)では、グレースケー
ル画像は変更されない。
【0090】
グレースケール画像の簡略化された、好ましくはコンピュータベースの評価のために、
グレースケール画像は、ステップ(4)において二値化によって二値化画像に変換される
。二値化のための慣習的方法及び対応するコンピュータプログラムは当業者に知られてお
り、本発明に従って使用することができる。二値化の前後で、それぞれの場合に、二値化
中のアーチファクトを低減するために画像処理ステップ(前処理及び後処理)が実施され
ることが好ましい。特に好ましくは、アーチファクト抑制のためにメジアンフィルタが使
用される。
【0091】
二値化の場合、必要なのは、グレースケール画像のどのグレースケールが二値化画像の
第1及び第2のピクセルを互いに区別するかを決定するグレースケール閾値である。グレ
ースケール画像のピクセルが閾値よりも明るい場合、それらは第1のピクセルに属し、任
意に白色で示すことができ、グレースケール画像のピクセルが閾値と同程度又はそれより
も暗い場合、それらは第2のピクセルに属し、任意に黒色で示すことができる。第1及び
第2のピクセルは、第1のピクセルが孔壁を表し、第2のピクセルが孔内部を表すように
選択される。
【0092】
Journal of Membrane Science、2008年、Vol.3
23、p.241-246に記載されていることに反して、本発明は、二値化画像の第1
ピクセルの数と第2ピクセルの数との合計に対する第2ピクセルの数の比率が、物理的に
決定された全体の多孔度に可能な限り正確に対応し、物理的に決定された全体の多孔度か
らの二値化画像の全体の多孔度の±3%の偏差が許容されるように、ステップ(4)にお
いて閾値を設定することを含む。
【0093】
二値化画像の全体的な多孔度は、すべての第1及び第2のピクセルの数に対するすべて
の第2のピクセルの数の比率である。
【0094】
物理的多孔度(εp)は、濾材の断面全体にわたる平均多孔度の値を意味すると理解さ
れる。これは、濾材のサンプルの幾何学的及び重量測定データから容易に計算することが
できる。
【数2】
【0095】
ここで、
はサンプルの厚さを表し、
はサンプルの主表面の一方の表面積を表し、
はサンプルの質量を表し、
は濾材を形成する材料(例えば、膜形成ポリマー)の密度を表す。密度は、文献から収集
するか、又は当業者に知られている方法によって決定することができる。物理的多孔度を
決定するために、ステップ(1)の前に、検査する濾材領域から円形サンプル(直径47
mm)を採取することができる。
【0096】
通常、面方向にほぼ均一な孔径プロファイルは、一般に濾材、特に微孔性膜が有する。
【0097】
ステップ(5)及び(6)では、濾材の孔径プロファイルを得るための二値化画像の評
価が実施される。
【0098】
最初に、二値化画像は、ステップ(5)において、濾過方向/厚さ方向に等しい厚さの
4つのセクションに細分される。各セクションは、面方向に沿った濾材の縦方向の切断を
表す。セクションは互いに並行に延びる。セクション間の境界は、面方向に沿って、すな
わち、二値化画像における濾材又はその同等物の主表面に平行に延びる。
【0099】
二値化画像の各セクションは、第1及び第2のピクセルの複数の行を含む。各ピクセル
は、濾材の断面の等しいサイズの二次セグメントを示し、各ピクセルの正方形のエッジ長
は、示されている濾材の特定の長さに対応する。複数の第2ピクセルの行が直接隣接して
いる場合、前記第2ピクセルの全体は、「一連の第2のピクセル」と呼ばれる。行は、複
数の一連の第2のピクセルを含むことができる。一連の第2のピクセルの数は、2つの孔
壁間の自由経路長の尺度である。したがって、平均自由経路長は、平均孔径とも呼ばれる
。好ましくは、一連の第2のピクセル(孔内部)又は一連の第1のピクセル(孔壁)は、
この一連が50nmを超える長さに対応するいくつかの第1又は第2のピクセルによって
中断された場合にのみ、中断されたと見なされる。前記長さは、電子の侵入深さにほぼ対
応し、50nmを超える場合でも比較的信頼できる結果があることを意味する。
【0100】
ステップ(6)において、一連の長さ(各一連の第2のピクセルの数)及び一連の数(
各セクションの一連の第2のピクセルの数)が決定される。これにより、各セクションの
一連の長さの算術平均を計算することができ、前記平均は、各セクションの平均孔径に正
比例する。さらに、各セクションの一連の長さの分布は、孔径に正比例する。セクション
の第1の孔の数に対する第2の孔の数の比は、それぞれのセクションの多孔度に正比例す
る。したがって、本発明による方法は、平均孔径、孔径分布及び多孔性の断面プロファイ
ルを得ることを可能にする。
【0101】
孔径プロファイルは、本発明による方法を使用して作成される。この目的のために、各
セクション(セクション毎)についてステップ(7)で計算されるのは、一連の長さの算
術平均であり、これに比例係数を掛けることによって得られるものが、それぞれのセクシ
ョンの平均孔径である。
【0102】
本発明による特徴付け方法の好ましい実施形態では、濾材は微孔性膜である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
図1は、2つ(n=2)の層F1及びF2を有する本発明による連続配置を概略的に示
す。各層は、4つのセクションF1-1~F1-4又はF2-1~F2-4に細分される
。濾過方向は、下向きの矢印で示される。濾過方向に収束する2本のV字型の線は、いず
れの場合も、厚さ方向又は濾過方向におけるn個の層の孔径の減少を示す。異なる線の勾
配は、
図1に示される好ましい実施形態では、2つの層が異なる非対称係数を有すること
を示している。2つの層は互いに離れて描かれているが、実際には互いに直接隣接するこ
とができる。この好ましい実施形態では、隣接する層の孔径は、境界領域においてほぼ同
一であり、これは、層F1-4及びF2-1の領域におけるそれぞれの収束線のほぼ同一
の水平距離によって示される。
【0104】
【0105】
図3は、左側に、SEEM検出器を使用して得られた例示的なSEM画像を示す。SE
M画像(断面画像)は、本発明による連続配置の順序に従って配置されている。右側には
、連続配置の総厚にわたる孔径プロファイル(層毎に4つのセクションに細分され、本発
明による特徴付け方法によって得られる)が示され、各層の平均孔径は、いずれの場合も
丸(disk)によって示されている。
【0106】
図4は、直線状(A)、凸状(B)及び(C)凹状の孔径プロファイルを概略的に示す
。
【0107】
図5は、比較例(A~C、E及びF)と、2つの層を有する本発明による連続配置(D
)とを概略的に示す。
A:連続配置は、非対称係数<1.5である層を有する。
B:連続配置は、非対称係数<1.5である層を有する。
C:孔径は、厚さ方向に実質的に連続的に減少しない。無駄は30%以上である。
D:本発明による実施例。
E:連続配置は、非対称係数<1.5である層を有する。
F:孔径は、厚さ方向に実質的に連続的に減少しない。無駄は30%以上である。
【0108】
図6は、実施例1で検査した連続配置の孔径プロファイル及び無駄を示す。
【0109】
図7は、実施例1で検査した連続配置の孔径プロファイル及び実験的に決定された配置
の耐用年数を概略的に示す(Caro/Ovomaltine)。
【0110】
図8は、実施例2で検査した連続配置の孔径プロファイル及び無駄を示す。
【0111】
図9は、プレフィルタ、すなわち第1のフィルタ層か、又は中間フィルタ、すなわち第
2のフィルタ層のいずれかを欠く2層の比較例と比較した、本発明による3層の連続配置
のkg/m
2での耐用年数SL(Caro/Ovomaltine)を示す。
【0112】
以下の実施例は、それらに限定されることなく、本発明をさらに説明するのに役立つ。
【実施例0113】
孔の特徴付け
MATLAB(登録商標)ルーチンを使用して検査した膜の孔を特徴付けるために、次
の一連のパラメータを基準として採用した。
-画像の読み込み(例えば、3584×2671ピクセルの寸法)
〇 解像度/倍率に基づく画像幅の指定:これは、孔壁と孔空間との間の明確な遷移が
識別できるように調整した。
-膜が画像を完全に占めるように画像をトリミング(手動でMATLAB(登録商標)を
使用)
-物理的多孔度の入力(測定)=80%
-最小孔内寸法及び最小孔壁直径の指定=0.05μm(電子の侵入深さによる解像度の
限界)
-セクションの数の定義=4
-二値化前のメジアンフィルタ=3又は二値化後のメジアンフィルタ=3
-閾値基準「多孔度」による二値化
-二値化前のメジアンフィルタ=3
-特定の平均孔径に応じて、強度の変更可能な穴を閉じる/充填するフィルタ(500画
像行のセグメントにおいて、穴を閉じる/充填するフィルタの強度:500画像行の各セ
グメントの平均孔径/10)
-セクション毎の平均孔径の出力
耐用年数を決定する方法
【0114】
Caro/Ovomaltine耐用年数
耐用年数(土壌吸収能力;SL)は、Ovomaltine(登録商標)粉末及びCa
ro(登録商標)粉末からなる混合物の水性懸濁液をベースとした試験濾過組成物(0.
0463重量%のCaro(登録商標)粉末、0.0145重量%のOvomaltin
e(登録商標)粉末、残りは水である)による濾過によって確認した(Caro/Ovo
maltine SL)。測定は、47mmのフィルタハウジングを使用して1バールの
圧力で実施した。濾過は、膜透過流量が最初の膜透過流量のわずか5%になるまで実施し
た。濾液を収集し、重量を測定した。フィルタ表面積当たりのグラムでの濾液の量は、耐
用年数に対応する。
【0115】
DMEM/PP3耐用年数
別の方法では、耐用年数(DMEM/PP3)は、13.4g/Lのダルベッコ改変イ
ーグル培地(DMEM)及び7.5g/LのプロテオースペプトンNo.3(PP3)を
含む水性懸濁液をベースとした試験濾過組成物で濾過することによって実施した。測定は
、25mmのポリプロピレンフィルタハウジングを使用して2バールの圧力で実施した。
濾過は、膜透過流量が最初の膜透過流量のわずか10%になるまで実施した。濾液を収集
し、重量を測定した。フィルタ表面積当たりのグラムでの濾液の量は、耐用年数に対応す
る。
実施例1-n=2
【0116】
検査したのは、本発明による連続配置(「SSBプロトタイプ」、「1650043.
7/1553743.16」、「2層の実施例」)並びに市販のDomnick Hun
ter(登録商標) HC、Millipore(登録商標) SHC、Pall(登録
商標) ECV、及び3MイノベイティブプロパティズのLife Assureであっ
た。連続配置を上記のように検査した。そこから得られた多孔性プロファイルを
図6に示
す。多孔性プロファイルの簡略図を
図7に示す。
【0117】
2つの層(n=2)を有する5つの異なる連続配置の耐用年数は、上記のように決定し
た。結果を
図7及び表1に示す。
【0118】
本発明による例示的な実施形態(
図7の「1650043.7/1553743.16
」)の場合、耐用年数(Caro/Ovomaltine)は508kg/m
2であった
が、先行技術からの比較例の場合、耐用年数はわずか132~341kg/m
2で、すべ
ての実施例のフィルタは同じ分離速度(公称孔径0.2μm)を有する滅菌フィルタであ
った。DMEM/PP3の耐用年数では、対応する結果が得られた。本発明による実施例
では、2546kg/m
2の耐用年数を達成したが、比較例では、2063kg/m
2(
Domnick Hunter(登録商標) HC)、2060kg/m
2(Milli
pore(登録商標) SHC)、1423kg/m
2(Pall(登録商標) ECV
)及び1560kg/m
2(Life Assure)の耐用年数を達成したに過ぎなか
った。
実施例2-n=2又は3
【0119】
本発明による連続配置及び比較配置は、上記のように製造及び検査した(孔の特徴付け
及び耐用年数の決定)。
【0120】
【0121】
表1の「最大セクション」又は「最小セクション」で示される項目は、それぞれの層の
4つのセクションに基づく孔径から最大又は最小の平均孔径をマイクロメートル単位で記
載する。
【0122】
表1から分かるように、2層連続配置のDomnick Hunter HV(登録商
標)、Pall(登録商標) ECV及び3MイノベイティブプロパティズのLife
Assure、並びに3層の比較例2のいずれも、全体的な非対称性が10以上ではなか
った。さらに、連続配置のPall(登録商標) ECV及び3Mイノベイティブプロパ
ティズのLife Assureは、いずれも非対称係数が1.5未満である層を有して
いた。さらに、連続配置のMillipore(登録商標) SHC及びPall(登録
商標) ECVは、厚さ方向に2つの層の孔径が実質的に連続的に減少していなかった。
無駄はそれぞれ36%及び43%であった。上記比較例の2層及び3層の連続配置は、同
一の層数を有する本発明による連続配置よりも耐用年数が短かった。
【0123】
実施例2の比較例1及び2は、厚さ方向に3つの層の孔径が実質的に連続的に減少して
いなかった。無駄はそれぞれ33%及び46%であった。既に述べたように、上記のもの
は、実施例2の本発明による3層の連続配置よりも耐用年数が短かった。
【0124】
図9は、3層の実施例及び3層の比較例/反例1及び2の耐用年数Caro/SLを示
す(上記の表1を参照)。さらに、
図9は、3つの層及び最大30%の無駄を有する本発
明による連続配置の特に好ましい実施形態の場合、451kg/m
2の特に長い耐用年数
を達成することが可能であることを示し、一方、3層の実施例を変形して、第1の層、つ
まりプレフィルタPFを取り除いて2層の連続配置を形成した場合、耐用年数は159k
g/m
2に低下した。同様の傾向は、第2の層、つまり中間のフィルタEF1が欠落して
いる3層連続配置の変形にも当てはまる。前記変形では、耐用年数はわずか65kg/m
2に低下した。対照的に、3層の比較例「反例1」及び「反例2」の場合、33%(反例
1)及び46%(反例2)の明らかに高い無駄を有し、3層の連続配置からの第1(PF
)又は第2(EF1)の層のいずれかの除去は、いずれにしても明らかに短い耐用年数に
ほとんど影響を与えず、反例1及びその2層変形の場合には124kg/m
2以下、反例
2及びその2層変形の場合には113kg/m
2以下であった。
【0125】
本発明は、長い耐用年数を効率的に達成する、n個の層の非対称微孔性濾材、特に膜を
有する連続配置を提供する。デッドボリューム及び早過ぎるブロッキングを回避すること
ができる。さらに、本発明による特徴付け方法を使用して、濾材を正確に特徴付けること
が可能であり、これは、連続配置の製造方法において、各層の孔径プロファイルを制御さ
れた方法で設定できることを意味する。
前記層が、PVDF、PTFE、セルロースエステル、水和セルロース、ポリアミド、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸-メタクリル酸コポリマー、ポリエーテルスルホン又はそれらの混合物、から構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のアセンブリ。