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特開2023-40237トリプレット組み合わせ製剤、及び心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040237
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】トリプレット組み合わせ製剤、及び心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/40 20060101AFI20230314BHJP
   A61K 31/194 20060101ALI20230314BHJP
   A61K 31/397 20060101ALI20230314BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230314BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230314BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
A61K31/40
A61K31/194
A61K31/397
A61P9/00
A61P9/10
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003431
(22)【出願日】2023-01-13
(62)【分割の表示】P 2019563352の分割
【原出願日】2018-02-08
(31)【優先権主張番号】62/456,571
(32)【優先日】2017-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516281436
【氏名又は名称】エスペリオン・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Esperion Therapeutics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラルワニ,ナレンドラ
(72)【発明者】
【氏名】マクドウガル,ダイアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させるのに有益な方法及び組成物を提供する。
【解決手段】ベンペド酸(ETC-1002)、エゼチミブ、及びスタチンを含むトリプレットの組み合わせ療法は相乗効果を有し、心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる際、相加的な、いくつかの態様ではベンペド酸、エゼチミブ、及びスタチンの任意の1つ又は2つの組み合わせから予測される利益の合計を超える転帰を提供し、さらに、トリプレットの組み合わせは、心血管疾患若しくはそのリスクを患う、又はそうでなければ心血管疾患の治療を必要とする患者に発生する副作用及び/又は有害事象がより低頻度で重症度の低いものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の組成物、医薬製剤、キット、又は方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させるのに有益な方法及び組成物に関する。本願は、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)を低減させ、同時に心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させるための方法、並びにETC-1002、スタチン、及びエゼチミブを含むそのための組成物を開示する。
【背景技術】
【0002】
スタチンは、心血管疾患の予防及び治療の基礎であるが、患者の5%~29%においてスタチン関連筋症状を生じさせる場合がある。通常、血清クレアチンキナーゼ(CK)の上昇を伴わない、痛み、硬直、痙攣、又は衰弱を含む筋症状は、スタチン不耐性の主要な徴候である。
【0003】
積極的な介入療法及び薬物療法に関わらず、CVDは世界的に死亡原因の第1位である(WHO 2015)。世界の疾病負担研究(Global Burden of Disease study)により、2010年では世界中のすべての死の29.6%(約15,600,000人の死)はCVDによりもたらされ、伝染性疾患、母体の異常、新生児期の障害及び栄養障害すべてを組み合わせたものよりも多く、癌によりもたらされる死亡数の2倍であることが推定された(Nichols 2014)。米国(US)では、2011年の死亡率データに基づき、毎日2150人を超える米国人がCVDにより死亡し、40秒毎に平均1人が死亡している(Mozffarian 2015)。非常に懸念されるのは、CVDにより死亡する約155,000人の米国人は65歳未満であることである(Mozffarian 2015)。欧州では、CVDは依然として最も一般的な死亡原因であり、癌のほぼ2倍の死をもたらしている(Townsend 2015)。
【0004】
LDL-Cの上昇は、アテローム硬化及びCVDの発症に関する主要な修正可能なリスク因子である(Sharrett 2001)。LDL-Cを治療標的及び心血管(CV)転帰の代理として支持する証拠は、LDL-C低減療法を用いた介入研究、疫学研究、及び遺伝的バリアント(機能獲得及び機能喪失の両方)によりもたらされる。LDL-Cを低減させることを目的とした大規模ランダム化臨床研究は、LDL-C低下のメカニズムとは無関係に、LDL-C低減とCVリスク低下との間の一貫した対数線形関係を示す(Kathiresan 2008; Baigent 2010; Robinson 2005; Stamler 1986、Silverman 2016)。26個のスタチン試験及び160,000人を超える参加者を含む、公表された患者レベルのメタ分析は、LDL-C低下とCV転帰との間の一貫した関係を示した(Baigent 2010)。この分析により、LDL-Cの1 mmol/L(~39 mg/dL)の低下は、主要な冠動脈事象、血管再生、及び虚血性脳卒中の5年発生率の22%の低下と関連することが示された。より最近には、49個の試験の312,175人の患者におけるメタ分析により、LDL-C低下が、スタチン療法によるか、食事、胆汁酸吸着剤(bile acid sequestrant)、回腸バイパス、及びエゼチミブ等の、LDL受容体の上方調節により主に機能する確立された非スタチン介入による場合の、LDL-C低下とCV転帰との間の関係が評価された(Silverman 2016)。このメタ分析により、LDL-C低下がスタチン療法によるか、又はLDL受容体を上方調節する非スタチン介入によるかに関わらず、LDL-C低下とCV転帰との間の関係は同様であることが報告された(Silverman 2016)。従って、LDL受容体の上方調節を介したLDL-C低減は、CVリスク低下の有効な代用エンドポイントとして、臨床医及び規制当局により広く受け入れられている(Stone 2013)。
【0005】
スタチンはLDL-C低減戦略の中心であり、LDL-Cを低減させCVDのリスクを低下させることにおける強い有効性を実証する大規模データにより支持されている(Waters 2006、Grundy 2004)。しかし、スタチンの使用の制限及びリスクについての認識が高まっている。CVDのリスクを有する多くの個体はLDL-Cの目標を達成することができない(Martin 2013、Virani 2011)。2011年には、食品医薬品局(FDA)は、筋肉損傷又は筋疾患の安全上の懸念のために、高用量(80 mg)のシンバスタチンの使用を制限する安全性表示の変更を義務付けた(Egan 2011)。筋疾患事象は稀であるが、より広範な問題は、特に高用量における痛み及び衰弱等の様々な筋副作用であり、スタチン療法における低い忍容性及び持続性の欠如をもたらす(Cohen 2012)。
【0006】
高コレステロール血症患者は、LDL-Cを低減させるためのいくつかの治療選択肢を有する。LDL受容体の上方調節を介してLDL-Cを低減させるスタチン療法及び非スタチン療法は、心血管疾患(CVD)リスクの低下と関連する。
【0007】
従って、有害な副作用の数を最小限にしつつ、CVD及びCVリスクを治療する効果的な治療法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
概して、本願は、心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させるための方法並びにベンペド酸(ETC-1002)、エゼチミブ、及びスタチンを含む組成物に関する。ETC-1002;エゼチミブ;スタチン;及び1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体を含むトリプレットの組み合わせが、本明細書に開示される。それ自体トリプレットの組み合わせの1個以上の成分を含む1個以上の組成物を含むキットもまた、本明細書に開示される。トリプレットの組み合わせは、心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させるのに有用である。トリプレットの組み合わせを用い、任意選択でPCSK9阻害剤抗体療法又は承認された脂質調整療法を前記組み合わせに追加し、任意選択で高コレステロール血症を有する又はスタチンの使用に関連する筋関連有害事象を患う患者において、心血管疾患、アテローム硬化性心血管疾患、高脂血症、脂質異常症、又は混合型脂質異常症を治療又はそのリスクを低下させる方法が開示される。また、同一用量のスタチン及びエゼチミブが投与されるがETC-1002を欠く適合対照(matched control)の対象におけるものに比べ、対象における低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベル、超低密度リポタンパク質(VLDL)レベル、VLDL粒子の数、VLDL粒子の大きさ、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)レベル、アポリポタンパク質B(ApoB)レベル、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比率、トリグリセリド(TG)レベル、総コレステロール(TC)レベル、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベル、非HDL-Cレベル、又はそれらの任意の組み合わせに影響を与える心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる方法も開示される。
【0009】
ベンペド酸、スタチン及びエゼチミブは異なる機構により作用し、LDL受容体の上方調節を介してLDL-Cを低減させる。本発明は、トリプレット療法を用いてLDL-Cの低減を達成する、上昇したLDL-Cを有する患者を治療するのに有用な方法、キット及び組成物を提供する。
【0010】
本発明者らは、ベンペド酸(ETC-1002)、エゼチミブ、及びスタチンを含むトリプレットの組み合わせ療法は相乗効果を有し、心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる際、相加的な、いくつかの態様ではベンペド酸(ETC-1002)、エゼチミブ、及びスタチンの任意の1つ又は2つの組み合わせから予測される利益の合計を超える転帰を提供することを見出した。さらに、本発明者らは、トリプレットの組み合わせは、心血管疾患若しくはそのリスクを患う、又はそうでなければ心血管疾患の治療を必要とする患者に発生する副作用及び/又は有害事象がより低頻度で重症度の低いものであることを見出している。
【0011】
本明細書に記載されるように、これらのトリプレットの組成物は、心血管疾患の治療を必要とする患者において、総コレステロール、具体的にはLDL-Cの有意な低下を提供する。
【0012】
従って、ETC-1002単独療法、エゼチミブ単独療法、エゼチミブ(EZE)と組み合わせたETC-1002を用いた療法、及びスタチン療法を伴う又は伴わない各々の有効性及び安全性と比べ、トリプレットの組み合わせは優れていることを実証する、本明細書に開示の臨床研究の結果に基づき、本願は、ETC-1002、エゼチミブ及びスタチンを用いたキット、組成物及び方法を開示する。この結果は、スタチン関連の筋症状の既往を有する又は有しない高コレステロール血症患者の間では、特に関連する。
【0013】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の記載及び添付の図面に関して、よりよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、6週間のベンペド酸180mg、エゼチミブ10mg、及びアトルバスタチン20mgの投与後の、ベースラインからのLDL-Cの百分率変化を示す棒グラフである。
図2図2は、経時的なLDL-C変化のパーセンテージ(LDL-C経時変化)を表示するグラフである。
図3図3は、6週間のベンペド酸180mg、エゼチミブ10mg、及びアトルバスタチン20mgの投与後の、ベースラインからのhsCRPの百分率変化を示す棒グラフである。
図4図4は、6週間のベンペド酸180mg、エゼチミブ10mg、及びアトルバスタチン20mgの投与後、≧50%のLDL-C低下を有する患者の百分率変化を示す棒グラフである。
図5図5は、ベンペド酸、エゼチミブ、及びアトルバスタチンを投与した患者における、ベースラインから6週目までのLDL-Cの百分率変化を示す棒グラフである。
図6図6は、6週間のベンペド酸180mg、エゼチミブ10mg、及びアトルバスタチン20mgの投与後、LDL-C<70mg/dLを達成した患者の百分率変化を示す棒グラフである。
図7図7は、6週間のベンペド酸180mg、エゼチミブ10mg、及びアトルバスタチン20mgの投与後の、ベースラインからのアテローム発生性脂質(atherogenic lipid)の百分率変化を表示する棒グラフである。
図8図8は、ベースラインから6週目までの、LDL-Cの百分率変化を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
利点及び有用性
ベンペド酸(ETC-1002)は、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)を低減させるよう設計された経口のファーストインクラスの小分子である。ETC-1002は、肝臓のアデノシン三リン酸クエン酸リアーゼを直接阻害して、コレステロールのデノボ合成を低下させ、かつLDL受容体発現を増大させることによって、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)を低下させることが示されている薬剤である。
【0016】
「スタチン」の一般分類は、酵素3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A(HMG-CoA)レダクターゼを阻害し、付随して、肝臓におけるコレステロールを合成するための経路を阻害することによって体内のコレステロールレベルを低減させる化合物である。「スタチン」の分類の一部である化合物の例には、限定されないが、アトルバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、及びプラバスタチンが含まれる。治療では、通常、約1mg~80mgのスタチン化合物が投与される。
【0017】
上述のように、ベンペド酸(ETC-1002)は、コレステロール生合成経路における3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A(HMG-CoA)レダクターゼの上流の酵素である、アデノシン三リン酸クエン酸リアーゼ(ACL)を阻害する小分子である。ベンペド酸は、スタチン及びエゼチミブの両方と同じように、LDL-C受容体を上方調節する。しかし、スタチンとは異なり、ベンペド酸は筋組織においてコレステロール合成を阻害しないため、スタチン使用に関連するネガティブな筋関連有害事象は、ベンペド酸の使用により回避され得ると予測されている。
【0018】
簡潔には、以下により詳細に記載するように、エゼチミブ、スタチン及びETC-1002のトリプレットの組み合わせを用いた、組成物、前記組成物を作製する方法、及び心血管疾患を治療又は心血管疾患のリスクを低下させるための方法が、本明細書に記載される。このアプローチの利点は多数あり、その利点には、限定されないが、患者における総コレステロール及び低密度リポタンパク質コレステロールレベルの低下量の増大が含まれる。トリプレットの組み合わせで治療した患者は、これら3つの成分の単なる相加的な有益な効果を超えないとしても、少なくともそれと同等の転帰を経験する。いくつかの態様では、トリプレットの組み合わせは相乗効果を実証する。換言すれば、多くの結果が、エゼチミブ単独療法、ETC-1002単独療法、並びにエゼチミブ及びETC-1002の組み合わせ、スタチン療法を伴う又は伴わない各々で患者が治療された場合の結果を著しく超えるため、トリプレットの組み合わせは予測されるよりも効果的である。
【0019】
上述のように、スタチンは、心血管疾患の予防及び治療の基礎であるが、患者の5%~29%においてスタチン関連筋症状を生じさせる場合がある。高コレステロール血症患者においてスタチンを中止すると、心血管リスクが増大するため、スタチン関連筋症状は重要な臨床的問題である。不耐性のためにスタチン療法を中止する患者は、スタチン療法を継続する患者と比較して、8年生存率が減少する傾向を示す。したがって、筋関連のスタチン不耐性を示す患者に対する心血管療法について重大な必要性が存在する。
【0020】
定義
特許請求の範囲及び明細書で使用される用語は、他に特定されない限り、以下に示すように定義される。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、要素を記載する文脈で(特に、以下の特許請求の範囲の文脈で)、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」などの単数形の冠詞及び同様の言及は、本明細書で他に示されていなければ又は文脈に明らかに矛盾しなければ、単数形及び複数形の両方を含むものと解釈されるべきである。本明細書において値の範囲についての記載は、本明細書で他に示されていなければ、範囲の上限及び下限を含む、範囲内の個々の値各々を個別に指す簡便な方法として作用することを単に意図するものであり、個々の値各々は、本明細書に個別に記載されているのと同様に本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されているすべての方法は、本明細書で他に示されていなければ又は文脈に明らかに矛盾しなければ、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で与えられる任意の及びすべての実施例、又は例示の言語(例えば、「等」)の使用は、他に述べられていなければ、単に実施形態をより明らかにすることを意図するものであり、特許請求の範囲に制限をもたらすものではない。本明細書における言語は、特許請求の範囲に記載されていないいかなる要素も不可欠なものとして示すと解釈されるべきではない。
【0022】
本明細書で使用する場合、用語「心血管疾患」は、心臓及び循環系の疾患を指す。これらの疾患は、異常リポタンパク血症及び/又は脂質異常症を伴うことが多い。本開示の組成物が予防又は治療に有益である心血管疾患には、限定されないが、動脈硬化;アテローム硬化;脳卒中;虚血;内皮機能不全、特に血管弾力性に影響を与える機能不全;末梢血管疾患;冠動脈心疾患;心筋梗塞;脳梗塞及び再狭窄が含まれる。
【0023】
本明細書で使用する場合、用語「脂質異常症」は、異常なレベルの循環脂質をもたらすか又はそれによって現われる障害を指す。血液中の脂質のレベルが高すぎる範囲内において、本開示の組成物は正常レベルを回復させるために患者に投与される。脂質の正常レベルは、当業者に既知の医学論文に報告されている。例えば、LDL、HDL、遊離トリグリセリド及び脂質代謝に関連する他のパラメーターの推奨血中レベルは、米国心臓協会(American Heart Association)のウェブサイト及び国立心肺血液研究所(National Heart, Lung and Blood Institute)のナショナルコレステロール教育プログラム(National Cholesterol Education Program)のウェブサイト(それぞれ、http://www.americanheart.org/cholesterol-/about_level.html及びhttp://www.nhlbi.nih.gov/health/public/heart/chol/hb-c_what.html)に見出すことができる。現時点で、血中のHDLコレステロールの推奨レベルは、35mg/dL以上であり、血中のLDLコレステロールの推奨レベルは、130mg/dL以下であり、血中の推奨されるLDL:HDLコレステロール比は、5:1以下、理想的には3.5:1であり、血中の遊離トリグリセリドの推奨レベルは、200mg/dL未満である。脂質異常症には、限定されないが、高脂血症及び高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールの低い血中レベルが含まれる。特定の実施形態では、本開示の化合物による予防又は治療のための高脂血症は、家族性高コレステロール血症;家族性複合型高脂血症;リポタンパク質リパーゼの変異に起因する低下又は欠損を含む、リポタンパク質リパーゼレベル又は活性の低下又は欠損;高トリグリセリド血症;高コレステロール血症;尿素体(urea body)(例えばβ-OH酪酸)の高い血中レベル;Lp(a)コレステロールの高い血中レベル;低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールの高い血中レベル;超低密度リポタンパク質(VLDL)コレステロールの高い血中レベル及び非エステル化脂肪酸の高い血中レベルである。
【0024】
一般的に、ある特定の元素、例えば水素又はHへの言及は、その元素のすべての同位体を含むことを意味する。例えば、R基が水素又はHを含むことが定義されている場合、重水素及びトリチウムも含む。したがって、トリチウム、14C、32P及び35Sなどの放射性同位体を含む化合物は、本技術の範囲内にある。このような標識を本技術の化合物に挿入するための手順は、本明細書の開示に基づいて当業者にとって容易に明らかとなる。
【0025】
用語「改善」は、疾患状態、例えば炎症性疾患状態の治療における任意の治療上有益な結果を指し、疾患状態の重症度若しくは進行の減弱、寛解、又は治癒を含む。いくつかの実施形態では、「改善」は、疾患状態の予防を含む。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「IMP」は調査医薬品を意味する。このような医薬品には、臨床試験において試験されるか、又は参照として使用される、活性物質の医薬品形態又はプラセボが含まれ、既に販売承認を有するが、承認された形態とは異なる方法で使用若しくは作製される(製剤化又はパッケージ化される)、又は承認されていない適応症(indication)のために使用される場合の、又は承認された形態についてさらに情報を得るために使用される場合の製品が含まれる。
【0027】
用語「インビトロ」は、生物から分離して増殖する、例えば組織培養で増殖する生細胞で生じるプロセスを指す。
【0028】
用語「インビボ」は、生物内で生じるプロセスを指す。
【0029】
用語「哺乳類」は、本明細書で使用する場合、ヒト及び非ヒトの両方を含み、限定されないが、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ウシ、ウマ、及びブタを含む。
【0030】
用語「十分量」は、所望の効果を生じさせるのに十分な量、例えば、細胞におけるタンパク質凝集を調節するのに十分な量を意味する。
【0031】
用語「治療有効量」は、疾患の症状を改善させるのに有効な量である。予防は治療と考えることができるので、治療有効量は、いくつかの実施形態では、「予防有効量」であってよい。
【0032】
本技術の化合物は、溶媒和物、特に水和物として存在することができる。水和物は、化合物又は化合物を含む組成物の製造中に形成する場合があり、又は水和物は、化合物の吸湿性により経時的に形成する場合がある。本技術の化合物は、とりわけDMF、エーテル、及びアルコール溶媒和物を含む有機溶媒和物としても存在することができる。任意の特定の溶媒和物の特定及び製造については、合成有機又は医薬品化学の当業者の技術の範囲内である。
【0033】
「対象」は、本開示の化合物を使用して治療される哺乳類生物を指す。「対象」は、ヒト又は非ヒト哺乳類生物であってよい。
【0034】
「互変異性体」は、エノール-ケト及びイミン-エナミン互変異性体などの、プロトンの位置が異なる化合物の代替形態、又はピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、及びテトラゾールなどの環NH部分及び環=N部分の両方に結合している環原子を含有するヘテロアリール基の互変異性形態を指す。
【0035】
対象の疾患又は障害を「治療すること(treating)」又は「治療(treatment)」は、1)疾患若しくは障害にかかりやすい又は疾患若しくは障害の症状を未だ呈していない対象において疾患又は障害が生じるのを予防すること、2)疾患若しくは障害を阻害すること又はその発症を阻止すること、或いは3)疾患又は障害の回帰の原因を改善すること又は緩和することを指す。
【0036】
本明細書で使用する場合、用語「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」、「予防(prevention)」、「予防的処置(prophylactic treatment)」などは、疾患、障害、又は状態を有していないが、発症するリスクを有するか又は発症しやすい対象において疾患、障害、又は状態を発症する可能性を低下させることを指す。したがって、いくつかの実施形態では、薬剤は、疾患、障害、若しくは状態の発症を予防するために、又は疾患、障害、若しくは状態の再発を予防するために予防的に投与することができる。
【0037】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的として、他に示されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲で使用されている量、サイズ、寸法、比率、形状、配合、パラメーター、パーセンテージ、パラメーター、数量、特徴、及び他の数値を表現するすべての数字は、用語「約」が、値、量又は範囲とともに明示的に記載されていない場合もあるが、すべての場合に、用語「約」で修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、相反することが示されていなければ、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に示されている数値パラメーターは、正確ではなく、正確である必要もないが、本開示の主題によって得られると考えられる所望の特性に応じて許容範囲(tolerance)、換算係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に既知の他の因子を反映して、所望のように、およそであるか及び/又は大きいか若しくは小さくてもよい。例えば、用語「約」は、値を指す場合、本開示の方法を実行するのに又は本開示の組成物を用いるのに適切であるように、特定の量から、いくつかの態様では±100%、いくつかの態様では±50%、いくつかの態様では±20%、いくつかの態様では±10%、いくつかの態様では±5%、いくつかの態様では±1%、いくつかの態様では±0.5%、及びいくつかの態様では±0.1%のばらつきを包含することを意味し得る。
【0038】
他に定義されていなければ、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって通常理解される意味を有する。
【0039】
ここで、任意の及びすべてのヘテロアリール及びヘテロシクロアルキル置換基は、O、N、及びSからなる群から選択される4つまでのヘテロ原子を含有してよい。
【0040】
略語:
AEは、有害事象の略語である。
CKは、クレアチンキナーゼの略語である。
EZEは、エゼチミブの略語である。
HDL-Cは、高密度リポタンパク質コレステロールの略語である。
CRPは、高感度C反応性タンパク質の略語である。
LDL-Cは、低密度リポタンパク質コレステロールの略語である。
LSは、最小二乗の略語である。
NCEP ATP-IIIは、ナショナルコレステロール教育プログラムの成人治療パネルIII(National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel III)の略語である。
非-HDL-Cは、非高密度リポタンパク質コレステロールの略語である。
VLDLは、超低密度リポタンパク質の略語である。
NCEP ATP-IIIは、ナショナルコレステロール教育プログラムの成人治療パネルIII(National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel III)の略語である。
【0041】
治療の方法
本明細書に開示されるのは、それを必要とする対象において心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる方法であって、前記方法は、ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、及び1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体を対象に投与することを含み、前記投与は、対象において心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる、方法である。
【0042】
本明細書に開示されるのは、それを必要とする対象においてアテローム硬化性心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる方法であって、前記方法は、ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、及び1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体を対象に投与することを含み、前記投与は、対象においてアテローム硬化性心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる、方法である。
【0043】
本明細書に開示されるのは、それを必要とする対象において脂質異常症を治療する方法であって、前記方法は、ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、及び1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体を対象に投与することを含み、前記投与は、対象において脂質異常症を治療又は緩和する、方法である。
【0044】
本明細書に開示されるのは、それを必要とする対象において高コレステロール血症を治療する方法であって、前記方法は、ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、及び1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体を対象に投与することを含み、前記投与は、対象において高コレステロール血症を治療又は緩和する、方法である。
【0045】
本明細書に開示されるのは、コレステロールを低減させる方法であって、前記方法は、ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、及び1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体を対象に投与することを含み、前記投与は、対象においてコレステロールを低減させる、方法である。
【0046】
本明細書に開示されるのは、それを必要とする対象において心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる方法であって、前記方法は、ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、PCSK9阻害剤抗体療法、及び1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体を対象に施与することを含み、前記施与は、対象において心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる、方法である。
【0047】
本明細書に開示されるのは、それを必要とする対象において心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる方法であって、前記方法は、ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、スタチン及び/若しくはエゼチミブ以外の承認された脂質調整療法、並びに1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体を対象に施与することを含み、前記施与は、対象において心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる、方法である。
【0048】
いくつかの態様では、前記方法は、対象において心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる。いくつかの態様では、前記方法は、対象においてアテローム硬化性心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる。
【0049】
一態様では、トリプレットの組み合わせは、急性高コレステロール血症患者/対象又は脂質異常症を患う患者/対象においても、著しく優れた有効性及び安全性プロファイルを示す。
【0050】
一態様では、本開示の方法及び組成物は、対象は高い投与量のスタチン、即ち40~80mgのスタチン投与量、での安定したスタチン治療中であるにも関わらず持続的に上昇したLDL-Cを有する患者において、さらにコレステロールを低減させる。
【0051】
本開示の製剤はまた、対象において以下の状態を治療する方法において有益である:異常リポタンパク血症及び/若しくは脂質異常症、動脈硬化、アテローム硬化、脳卒中、虚血、並びに/又は内皮機能不全。
【0052】
本開示はまた、それを必要とする対象にETC-1002、スタチン、エゼチミブ、及び1種以上の医薬品賦形剤を投与することを含む、脂質異常症の治療又は予防のための方法を提供する。
【0053】
本開示の組成物が予防又は治療に有益である脂質異常症には、限定されないが、高脂質血症、及び高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールの低い血中レベルが含まれる。特定の実施形態では、本開示の化合物による予防又は治療のための高脂血症は、家族性高コレステロール血症;家族性複合型高脂血症;リポタンパク質リパーゼの変異に起因する低下又は欠損を含む、リポタンパク質リパーゼレベル又は活性の低下又は欠損;高トリグリセリド血症;高コレステロール血症;尿素体(urea body)(例えばβ-OH酪酸)の高い血中レベル;Lp(a)コレステロールの高い血中レベル;低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールの高い血中レベル;超低密度リポタンパク質(VLDL)コレステロールの高い血中レベル及び非エステル化脂肪酸の高い血中レベルである。
【0054】
本開示はさらに、対象において脂質代謝を変える、例えば、患者の血中のLDLを低下させる、患者の血中の遊離トリグリセリドを低下させる、患者の血中のLDLに対するHDLの比率を増大させる、及びケン化及び/又は非ケン化脂肪酸合成を阻害する方法であって、本開示の化合物を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0055】
臨床エンドポイント
いくつかの態様では、前記投与は、ベースラインに比べ20%、又は30%またはそれ以上までC反応性タンパク質(CRP)レベルを低下させる。
【0056】
一部の態様では、前記投与は、用量依存的に、アポリポタンパク質Bを15%~17%以上、非高密度リポタンパク質コレステロールを14%~17%以上、総コレステロールを13%~15%以上、及びLDL粒子の数を17%~21%以上低下させる。
【0057】
いくつかの態様では、前記投与により、対象におけるLDL-Cは、ベースラインに比べ24%以上まで減少する。いくつかの態様では、前記投与により、対象における非HDL-Cは、ベースラインに比べ少なくとも30、35、37、40、42、45%またはそれ以上減少する。いくつかの態様では、前記投与により、対象におけるhsCRPは、ベースラインに比べ少なくとも20、25、26、30、35、38、40%またはそれ以上減少する。
【0058】
いくつかの態様では、前記投与により、対象における非HDL-Cは、ベースラインに比べ少なくとも30、35、40、43、45、48、50%またはそれ以上減少する。他の態様では、前記投与により、対象におけるHDL-Cは、ベースラインに比べ減少する。
【0059】
一実施形態では、前記投与により以下が低下する:対象における、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベル、超低密度リポタンパク質(VLDL)レベル、VLDL粒子数、VLDL粒子の大きさ、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)レベル、アポリポタンパク質B(ApoB)レベル、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比率、トリグリセリド(TG)レベル、総コレステロール(TC)レベル、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベル、非HDL-Cレベル、又はそれらの任意の組み合わせ。
【0060】
いくつかの態様では、LDL-Cは、ベースラインに比べ、少なくとも30、35、40、43、45、48又は50%、対象において減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象におけるLDL-Cレベルがベースラインに比べ40%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象におけるLDL-Cレベルがベースラインに比べ45%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象におけるLDL-Cレベルがベースラインに比べ50%減少する。いくつかの態様では、非HDL-Cは、ベースラインに比べ少なくとも30、35、37、40、42又は45%対象において減少する。いくつかの態様では、hsCRPは、ベースラインに比べ少なくとも20、25、26、30、35、38又は40%対象において減少する。
【0061】
いくつかの態様では、前記方法により、対象におけるLDL-Cレベルがベースラインに比べ61%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象におけるLDL-Cレベルが、対象におけるベースラインのLDL-Cレベルに比べ、64%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、投与の6週間後、対象におけるLDL-Cレベルがベースラインに比べ50%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、投与の6週間後、対象におけるLDL-Cレベルが、対象におけるベースラインのLDL-Cレベルに比べ64%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象におけるhsCRPレベルがベースラインに比べ40%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象におけるhsCRPレベルがベースラインに比べ45%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象におけるhsCRPレベルがベースラインに比べ48%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象における非HDL-Cレベルがベースラインに比べ40%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象における非HDL-Cレベルがベースラインに比べ50%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象における非HDL-Cレベルが、対象におけるベースラインの非HDL-Cレベルに比べ、60%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象におけるapoBレベルがベースラインに比べ40%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象におけるapoBレベルがベースラインに比べ50%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象におけるapoBレベルが、対象におけるベースラインのApoBレベルに比べ、54%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象における総コレステロールレベルがベースラインに比べ40%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象における総コレステロールレベルが、対象におけるベースラインのTCレベルに比べ、47%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象におけるトリグリセリドレベルがベースラインに比べ25%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象における総コレステロールレベルがベースラインに比べ27%減少する。いくつかの態様では、前記方法により、対象におけるトリグリセリド(TG)レベルが、対象におけるベースラインのTGレベルに比べ、27%減少する。
【0062】
一実施形態では、前記投与により、以下が有意に変化しないか、或いは低下する:対象における、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベル、超低密度リポタンパク質(VLDL)レベル、VLDL粒子数、VLDL粒子の大きさ、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)レベル、アポリポタンパク質B(ApoB)レベル、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比率、トリグリセリド(TG)レベル、総コレステロール(TC)レベル、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベル、非HDL-Cレベル、又はそれらの任意の組み合わせ。
【0063】
一実施形態では、有効量のETC-1002、エゼチミブ、及びスタチン各々が投与され、ここで、当該組み合わせにより以下の変化がもたらされる:対象における、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベル、超低密度リポタンパク質(VLDL)レベル、VLDL粒子数、VLDL粒子の大きさ、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)レベル、アポリポタンパク質B(ApoB)レベル、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比率、トリグリセリド(TG)レベル、総コレステロール(TC)レベル、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベル、非HDL-Cレベル、又はそれらの任意の組み合わせ。
【0064】
一実施形態では、有効量のETC-1002、エゼチミブ、及びスタチン各々が投与され、ここで、当該組み合わせにより、同一用量のスタチンが投与され、及び/又は同一用量のエゼチミブが投与されるが、ETC-1002を欠いている適合対照の対象のものと比べた場合の、対象における以下の変化がもたらされる:低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベル、超低密度リポタンパク質(VLDL)レベル、VLDL粒子数、VLDL粒子の大きさ、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)レベル、アポリポタンパク質B(ApoB)レベル、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比率、トリグリセリド(TG)レベル、総コレステロール(TC)レベル、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベル、非HDL-Cレベル、又はそれらの任意の組み合わせ。
【0065】
一実施形態では、有効量のETC-1002、エゼチミブ、及びスタチン各々が投与され、ここで、当該組み合わせにより、プラセボが投与される適合対照の対象のものと比べた場合の、対象における以下の変化がもたらされる:低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベル、超低密度リポタンパク質(VLDL)レベル、VLDL粒子数、VLDL粒子の大きさ、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)レベル、アポリポタンパク質B(ApoB)レベル、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比率、トリグリセリド(TG)レベル、総コレステロール(TC)レベル、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベル、非HDL-Cレベル、又はそれらの任意の組み合わせ。
【0066】
一実施形態では、有効量のETC-1002、エゼチミブ、及びスタチン各々が投与され、ここで、当該組み合わせにより、同一用量のエゼチミブ及び同一用量のETC-1002が投与される適合対照の対象のものと比べた場合の、対象における以下の変化がもたらされる:低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベル、超低密度リポタンパク質(VLDL)レベル、VLDL粒子数、VLDL粒子の大きさ、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)レベル、アポリポタンパク質B(ApoB)レベル、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比率、トリグリセリド(TG)レベル、総コレステロール(TC)レベル、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベル、非HDL-Cレベル、又はそれらの任意の組み合わせ。
【0067】
いくつかの態様では、本明細書に開示される方法により、以下のレベルが変化しない:対象における、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベル、超低密度リポタンパク質(VLDL)レベル、VLDL粒子数、VLDL粒子の大きさ、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)レベル、アポリポタンパク質B(ApoB)レベル、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比率、トリグリセリド(TG)レベル、総コレステロール(TC)レベル、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベル、非HDL-Cレベル、及び/又はそれらの任意の組み合わせ。
【0068】
一実施形態では、前記方法は、以下の増大、減少、又は変わらない値の任意の組み合わせを提供する:低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベル、超低密度リポタンパク質(VLDL)レベル、VLDL粒子数、VLDL粒子の大きさ、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)レベル、アポリポタンパク質B(ApoB)レベル、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比率、トリグリセリド(TG)レベル、総コレステロール(TC)レベル、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベル、及び非HDL-Cレベル。
【0069】
他の態様では、前記方法により、少なくとも25%、35%、45%、又は50%以上、薬剤関連AEの数が減少する。他の態様では、前記方法により、少なくとも50%、65%、75%、85%またはそれ以上筋関連AEの数が減少する。いくつかの態様では、前記方法により、薬剤関連AEの数が、ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、又はそれらの2つの任意の組み合わせを用いた療法に比べ、減少する。いくつかの態様では、前記方法により、薬剤関連AEの数が、ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、又はそれらの2つの任意の組み合わせを用いた療法に比べ、減少する。
【0070】
他の態様では、本明細書に開示される方法により、対象における心血管事象のリスクが有意に低下する。いくつかの態様では、このリスクは35%またはそれ以上まで低下する。
【0071】
いくつかの態様では、本明細書の方法は、対象における心血管疾患の治療及び/又は心血管疾患のリスクの低下を提供し、4時間未満のTmaxを有して急速に吸収される、ETC-1002、エゼチミブ及びスタチンを含む組成物の量を投与することを含む。
【0072】
いくつかの態様では、本明細書に開示される方法は、対象における心血管疾患の治療及び/又は心血管疾患のリスクの低下を提供し、QTc又はQT/QTc(TQT試験)を延長しない、ETC-1002、エゼチミブ及びスタチンを含む組成物の量を投与することを含む。一態様では、トリプレットの組み合わせは、対象の心拍数並びにPR及びQRS間隔に影響を与えない。一態様では、トリプレットの組み合わせは、臨床的に有意義に、対象の心拍数並びにPR及びQRS間隔にポジティブな影響を与える。
【0073】
いくつかの態様では、本明細書の方法は、対象における心血管疾患の治療及び/又は心血管疾患のリスクの低下を提供し、全身暴露、AUCtau,ssが約15~27時間のt1/2で起きる、ETC-1002、エゼチミブ及びスタチンを含む組成物の有効量を投与することを含む。
【0074】
いくつかの態様では、本明細書の方法は、対象における心血管疾患の治療及び/又は心血管疾患のリスクの低下を提供し、2つのレジメンが評価可能な薬剤相互作用を有しないことを示す暴露測定値、AUC及び/又はCmaxを提供する、ETC-1002、エゼチミブ及びスタチンを含む組成物の量を投与することを含む。一実施形態では、スタチン、ETC-1002、エゼチミブ暴露測定値はいずれも、信頼区間により確立された安全な値の範囲外ではない。
【0075】
一態様では、組成物は、アトルバスタチン(10mg又は20mg)、シンバスタチン(5mg、10mg、又は20mg)、ロスバスタチン(5mg又は10mg)、及び/又はプラバスタチン(10mg、20mg、又は40mg)の投与量により定義されるスタチンを含む。他の態様では、前記方法は、アトルバスタチン(10mg又は20mg)、シンバスタチン(5mg、10mg、又は20mg)、ロスバスタチン(5mg又は10mg)、及び/又はプラバスタチン(10mg、20mg、又は40mg)の投与量により定義されるスタチンを含む。
【0076】
一態様では、組成物は、以下の表1の固定投与量により定義されるスタチンを含む:
【0077】
【表1】
【0078】
成分
一実施形態では、ETC-1002は0.001mg~2000mgの用量で投与される。
【0079】
一実施形態では、ETC-1002は120mgの用量で投与される。一実施形態では、ETC-1002は180mgの用量で投与される。一実施形態では、ETC-1002は40mg~90mgの用量で投与される。ETC-1002は40mgの用量で投与される。ETC-1002は60mgの用量で投与される。ETC-1002は90mgの用量で投与される。
【0080】
一実施形態では、エゼチミブは0.001mg~100mgの用量で投与される。
【0081】
一実施形態では、エゼチミブは10mgの用量で投与される。
【0082】
いくつかの態様では、ETC-1002は120mgの用量又は180mgの用量で投与され、エゼチミブは10mgの用量で投与される。
【0083】
いくつかの態様では、ETC-1002は120mgの用量又は180mgの用量で投与され、スタチンは1mg~80mgの用量で投与され、エゼチミブは10mgの用量で投与される。
【0084】
いくつかの態様では、対象は高コレステロール血症を有する。いくつかの態様では、前記方法は、高コレステロール血症を治療することをさらに含む。
【0085】
いくつかの態様では、対象は130~220mg/dLのベースラインLDL-Cレベルを有する。いくつかの態様では、対象は400mg/dL以下のベースライントリグリセリドレベルを有する。
【0086】
いくつかの態様では、エゼチミブ、スタチン、及びETC-1002は、同時に投与される。いくつかの態様では、エゼチミブ、スタチン、及びETC-1002の任意の2つ以上が連続的に投与される。いくつかの態様では、エゼチミブ、スタチン、及びETC-1002の3つすべてが連続的に投与される。
【0087】
いくつかの態様では、スタチン、エゼチミブ及びETC-1002は各々、少なくとも1日1回投与される。いくつかの態様では、スタチン、エゼチミブ及びETC-1002は各々、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12週間、少なくとも1日1回投与される。いくつかの態様では、エゼチミブは、1日おきに少なくとも1回投与される。いくつかの態様では、エゼチミブは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12週間、1日おきに少なくとも1回投与される。いくつかの態様では、ETC-1002は、1日おきに少なくとも1回投与される。いくつかの態様では、ETC-1002は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12週間、1日おきに少なくとも1回投与される。いくつかの態様では、スタチンは、1日おきに少なくとも1回投与される。いくつかの態様では、スタチンは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12週間、1日おきに少なくとも1回投与される。
【0088】
いくつかの態様では、スタチン、エゼチミブ及びETC-1002は各々、1つの組成物中で同時に投与される。いくつかの態様では、スタチン、エゼチミブ及びETC-1002は、2つの組成物中で同時に個別に投与される。いくつかの態様では、スタチン、エゼチミブ及びETC-1002は、3つの組成物中で同時に個別に投与される。
【0089】
いくつかの態様では、スタチン、エゼチミブ及びETC-1002は、12時間かけて個別にかつ連続的に各々投与される。いくつかの態様では、スタチン、エゼチミブ及びETC-1002のうち2つが1つの組成物中で投与され、その後スタチン、エゼチミブ及びETC-1002の組み合わせの残りの構成要素を含有する1つの他の組成物が12時間かけて連続的に投与される。
【0090】
患者
いくつかの態様では、対象は脂質異常症を有する。いくつかの態様では、対象は高コレステロール血症を有する。いくつかの態様では、対象は肥満体であり、ここで、任意選択で前記対象のBMIは18~45kg/m2である。
【0091】
一態様では、対象はスタチン耐性である。
【0092】
いくつかの態様では、対象はスタチン不耐性である。いくつかの態様では、対象は、スタチン療法中に開始又は増加しスタチン療法が中止された場合に消散する、痛み、疼痛、衰弱、又は痙攣等の筋関連症状のために、FDA承認の最低用量における1種のスタチンを含む少なくとも2種のスタチンに耐えることができない。
【0093】
いくつかの態様では、対象は、スタチンの使用に関連する筋関連有害事象を患う。
【0094】
いくつかの態様では、対象は混合型脂質異常症を有する。
【0095】
一態様では、対象は高コレステロール血症を有する。
【0096】
いくつかの態様では、対象はアテローム硬化性心血管疾患を有する。
【0097】
いくつかの態様では、対象は哺乳類である。いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0098】
いくつかの態様では、対象は肥満体であり、ここで、任意選択で前記対象のBMIは18~45kg/m2である。
【0099】
いくつかの態様では、対象は、FDA承認の最低用量でスタチン療法を用いる際に有害事象を経験し、前記有害事象は、筋関連の痛み、疼痛、衰弱及び痙攣から成る群から選択される。本発明者等は、スタチン療法中に開始又は増加するこのような筋関連有害事象は、トリプレットの組み合わせを用いた治療を使用した際に、有意に低減され又は消散さえし得ることを観察した。
【0100】
いくつかの態様では、対象は115~220mg/dLのベースラインLDL-Cレベルを有する。いくつかの態様では、対象は400mg/dL以下のベースライントリグリセリドレベルを有する。
【0101】
化合物
エゼチミブ、スタチン及びETC-1002の組成物又は製剤が、本明細書に記載される。
【0102】
スタチン及びETC-1002が本明細書に記載される。一態様では、スタチンは、ペニシリウム(Penecillium)及びアスペルギルス属の真菌等の天然源から単離される天然物である。他の態様では、スタチンは合成物質であり、それらが、有機合成を介して石油化学出発材料を所望のスタチン化合物とすることによって作製されることを意味する。
【0103】
以下の式Iは、本開示に従ってETC-1002の代わりに使用され得るETC-1002誘導体の構造を示す:
【化1】
[式中、mは、出現する毎に、独立して、0~5の範囲の整数であり、(b)nは、出現する毎に、独立して、3~7の範囲の整数であり、(c)Xは、(CH2)、又はPhであり、ここで、zは、0~4までの整数であり、Phは、1,2-、1,3-、又は1,4置換フェニル基であり、(d)R1、R2、R11、及びR12は、出現する毎に、独立して、H、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、フェニル、又はベンジルであり、ここで、R1、R2、R11、及びR12は、それぞれ同時にHではなく、(e)Y1及びY2は、出現する毎に、独立して、(C1~C6)アルキル、OH、COOH、COOR3、SO3H、
【化2】
(式中、(i)Y1及びY2は、それぞれ同時に(C1~C6)アルキルではなく、(ii)R3は、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、フェニル、又はベンジルであり、置換されていないか又は1つ以上のハロ、OH、(C1~C6)アルコキシ、若しくはフェニル基で置換されており、(iii)R4は、出現する毎に、独立して、H、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、又は(C2~C6)アルキニルであり、置換されていないか又は1つ若しくは2つのハロ、OH、C1~C6アルコキシ、若しくはフェニル基で置換されており、(iv)R5は、出現する毎に、独立して、H、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、又は(C2~C6)アルキニルである)
である]。
【0104】
ETC-1002(ベンペド酸)の化学構造は以下である:
【化3】
【0105】
ETC-1002は、ベンペド酸、又は8-ヒドロキシ-2,2,14,14テトラメチルペンタデカン二酸と称される場合もある。
【0106】
以下の式(II)は、本開示に従ってエゼチミブの代わりに使用され得るエゼチミブ誘導体の構造を示す:
【化4】
[上記式(II)又はその塩において、Ar1及びAr2は、独立して、アリール及びR4-置換アリールからなる群から選択され、Ar3は、アリール又はR5-置換アリールであり、X、Y及びZは、独立して、-CH2-、-CH(低級アルキル)-及び-C(ジ低級アルキル)-からなる群から選択され、R及びR2は、独立して、-OR6、-O(CO)R6、-O(CO)OR9及び-O(CO)NR6R7からなる群から選択され、R1及びR3は、独立して、水素、低級アルキル及びアリールからなる群から選択され、qは、0又は1であり、rは、0又は1であり、m、n及びpは、独立して、0、1、2、3又は4から選択され、但し、q及びrの少なくとも1つは1であり、m、n、p、q及びrの合計は、1、2、3、4、5又は6であることを条件とし、但し、pが0であり、rが1である場合、m、q及びnの合計は、1、2、3、4又は5であることを条件とし、R4は、低級アルキル、-OR6、-O(CO)R6、-O(CO)OR9、-O(CH2)1-5OR6、-O(CO)NR6R7、-NR6R7、-NR6(CO)R7、-NR6(CO)OR9、-NR6(CO)NR7R8、-NR6SO2R9、-COOR6、-CONR6R7、-COR6、-SO2NR6R7、S(O)0-2R9、-O(CH2)1-10-COOR6、-O(CH2)1-10CONR6R7、-(低級アルキレン)COOR6、-CH=CH-COOR6、-CF3、-CN、-NO2及びハロゲンからなる群から独立して選択される1~5置換基であり、R5は、-OR6、-O(CO)R6、-O(CO)OR9、-O(CH2)1-5OR6、-O(CO)NR6R7、-NR6R7、-NR6(CO)R7、-NR6(CO)OR9、-NR6(CO)NR7R8、-NR6SO2R9、-COOR6、-CONR6R7、-COR6、-SO2NR6R7、S(O)0-2R9、-O(CH2)1-10-COOR6、-O(CH2)1-10CONR6R7、-(低級アルキレン)COOR6及び-CH=CH-COOR6からなる群から独立して選択される1~5置換基であり、R6、R7及びR8は、独立して、水素、低級アルキル、アリール及びアリール置換低級アルキルからなる群から選択され、R9は、低級アルキル、アリール又はアリール置換低級アルキルである。]
【0107】
スタチン化合物は、肝臓におけるHMGR酵素活性を阻害する。構造に関して、すべてのスタチン化合物は、ジヒドロキシヘプタン酸基若しくはそのラクトン及び置換環系を有する(以下に示される)。
【化5】
【0108】
しかし、スタチンは、置換環構造に関して様々である。置換デカリン環構造を有するスタチンもあれば、置換アリール及びヘテロアリール環系を有するスタチンもある。例示的なスタチン化合物の構造を以下に示すが、このリストは決して限定ではない。
【化6】
【0109】
エゼチミブの任意及びすべての類似体若しくは誘導体、並びに式IによるETC-1002の任意及びすべての類似体若しくは誘導体は、本明細書で開示されている方法及び/又は組成物若しくは製剤のいずれにおいても使用され得ることが認められる。上記記載によるスタチンの任意及びすべての類似体は、本明細書で開示されている方法及び/又は組成物若しくは製剤のいずれにおいても使用され得ることが、さらに認められる。
【0110】
エゼチミブは、1-(4-フルオロフェニル)-3(R)-[3(S)-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)]-4(S)-[4-(フェニルメトキシ)フェニル]-2-アゼチジノン、又は(3R,4S)-1-(4-フルオロフェニル)-3-[(3S)-3-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル]-4-(4-ヒドロキシフェニル)アゼチジン-2-オンと称される。
【0111】
エゼチミブの構造は以下である:
【化7】
【0112】
ETC-1002、エゼチミブ、及びスタチンの合成
ETC-1002及びETC-1002を合成する方法は、発行された米国特許第7,335,799号に開示されている。この方法の詳細は、公開された米国特許出願公開第2005-0043278号、明細書の段落[0247]~[0343]に見出すことができ、そのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0113】
エゼチミブ及びエゼチミブを合成する方法は、発行された米国特許第5,631,365号に開示されている。この方法の詳細は、明細書の4頁右欄、43行から始まり、11頁右欄、65行までに見出すことができ、そのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
スタチンの合成は当技術分野で知られている。戦略的かつ一般的開示では、スタチンの合成は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2005/047276号に開示されている。特有の又は代替の環系を含み得る、スタチン(又は、これに関しては、ETC-1002の類似体)に対する任意の他の合成修飾は、当業者の範囲内である。例えば、当業者は、合成についての参照テキストを使用し、最終のスタチン化合物に、特有の又は所望の置換アリール、ヘテロアリール、及びデカリン環系を組み込むことができるだろう。このような参照文献には、限定されないが、Fieser及びFieserのReagents for Organic Synthesis、1~15巻(John Wiley, and Sons、1991)、RoddのChemistry of Carbon Compounds、1~5巻、並びにSupplementals (Elsevier Science Publishers、1989)、Organic Reactions、1~40巻(John Wiley, and Sons、1991)、MarchのAdvanced Organic Chemistry、(John Wiley, and Sons、第5版、2001)、並びにLarockのComprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc.、1989)、T. W. Greene及びP.G.M. Wuts、Protecting Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley、New York、1999が含まれる。
【0115】
医薬組成物
ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、及び1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体を含む医薬組成物又は医薬製剤もまた、本明細書に開示される。
【0116】
エゼチミブ、スタチン、及びETC-1002のトリプレットの組み合わせは、2個以上の別個の医薬組成物中に製剤化されてもよく、又は単一の医薬組成物中に製剤化されてもよい。
【0117】
いくつかの態様では、組成物は1個以上の薬学的に許容可能な担体又はビヒクルを含む。
【0118】
いくつかの態様では、組成物は経口デリバリーのために製剤化される。いくつかの態様では、組成物は1日1回の投与のために製剤化される。
【0119】
これらの組成物各々は、1個以上の薬学的に許容可能な賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤又は当業者によく知られた他の材料を含み得る。このような材料は、非毒性であるべきであり、活性成分の有効性を妨げるべきでない。担体又は他の材料の正確な性質は、投与経路、例えば経口、静脈内、皮膚又は皮下、経鼻、筋肉内、腹腔内経路によって変わり得る。
【0120】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤又は液剤形態であってよい。錠剤は、ゼラチン又はアジュバントなどの固体担体を含み得る。一般的に、液体医薬組成物は、水、石油、動物若しくは植物油、鉱油又は合成油などの液体担体を含む。生理食塩水、デキストロース若しくは他の糖類溶液、又はエチレングリコール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコール等のグリコールが含まれ得る。
【0121】
静脈内、皮膚若しくは皮下注射、又は患部における注射に関しては、活性成分は、パイロジェンフリーであり、適切なpH、等張性及び安定性を有する非経口的に許容可能な水溶液の形態で存在するだろう。当技術分野において関連の技能を有する者は、例えば塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸加リンゲル注射液等の等張ビヒクルを使用して、十分に、適切な溶液を調製することができる。必要に応じて、保存剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤及び/又は他の添加剤が含まれ得る。
【0122】
個体に与えられるものが小分子であっても、本開示による他の薬学的に有用な化合物であっても、投与は、好ましくは「治療有効量」又は「予防有効量」(場合によっては、予防は治療と考えることができるが)でなされ、これは個体に利益を示すのに十分である。投与される実際の量、及び投与の速度及びタイムコースは、治療されるタンパク質凝集疾患の性質及び重症度によって変わる。治療の処方、例えば投与量の決定などは、一般開業医及び他の医師の責任の範囲内であり、典型的には、治療される障害、個々の患者の状態、送達部位、投与方法及び医師に知られている他の要因を考慮する。上述の技術及びプロトコルの例は、Remington's Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol, A.(編)、1980に見出すことができる。
【0123】
キット
本明細書に開示の1個以上の組成物を含むキットもまた提供される。
【0124】
いくつかの態様では、キットは2個以上の組成物を含み、その各々はETC-1002、エゼチミブ、スタチン、及び1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体のうちの1つ以上を含む。
【0125】
いくつかの態様では、キットは、ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、及び1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体を含む1個の組成物を含む。
【実施例0126】
以下は、本開示を実施するための具体的な実施形態の例である。例は、例示目的のためにのみ与えられ、決して本開示の範囲を制限することを意図しない。使用される数(例えば、量、温度など)に関し、正確性を確保するために努力したが、いくらかの実験的な誤差及び偏差は、当然のことながら許容されるべきである。
【0127】
本開示の実施は、他に示されなければ、当技術分野の技術の範囲内のタンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の通常の方法を用いるだろう。このような技術は文献に十分に説明されている。例えば、T.E. Creighton、Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H. Freeman and Company、1993);A.L. Lehninger、Biochemistry(Worth Publishers, Inc.、current addition);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Methods In Enzymology(S. Colowick及びN. Kaplan編、Academic Press, Inc.);Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版(Easton, Pennsylvania:Mack Publishing Company、1990);Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry第3版(Plenum Press)A及びB巻(1992)を参照のこと。
【0128】
本明細書で直接定義されていないあらゆる用語は、本開示の技術の範囲内で理解されるように、それらと通常関連する意味を有するものと理解されるだろう。本開示の態様の組成物、デバイス、方法など、及びそれらを作製又は使用する方法を記載するにあたり、開業医に追加の指針を提供するために、本明細書では特定の用語が述べられる。同じことが複数の方法で説明され得ることは理解されるだろう。従って、本明細書で述べられる任意の1つ以上の用語について、代替の言語及び同義語が使用される場合がある。ある用語が本明細書で詳述又は説明されているか否かは、重視されるべきではない。いくつかの同義語又は代用可能な方法、材料等が提供される。1つ又は少数の同義語又は相当語句の記載は、明示的に述べられていなければ、他の同義語又は相当語句の使用を除外しない。用語の例を含む、例の使用は、例示のみを目的とするものであり、本明細書の開示物の態様の範囲及び意味を制限するものではない。
【0129】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の指示物を含むことに留意しなければならない。
【0130】
<実施例1:臨床プロトコル>
臨床研究及び結果の簡単な説明
上昇したLDL-Cを有する患者におけるベンペド酸(ETC-1002)180mg、エゼチミブ10mg、及びアトルバスタチン20mgを用いたトリプレット療法の有効性及び安全性を評価するための、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間研究
【0131】
【表2】
【0132】
本研究のプロトコルでは、以下の略語及び専門用語を用いる。
【表3】
【0133】
用量選択
第2相プログラムにおいて、40~240mg/日のベンペド酸の用量が評価された。安全性及び有効性の総合分析のデータによると、主要有効性エンドポイントであるLDL-Cにおける観測値及びベースラインからの百分率変化は、ポジティブな安全性プロファイルとともに、第3相研究について180mg用量の選択を支持する。6つの第2相研究の総合分析によると、ベースラインからの百分率変化についてのプラセボ調整LS平均は、ベンペド酸180mg単独療法では約32%、ベンペド酸180mg+エゼチミブ10mgでは50%、スタチン療法に加えた180mgについては22%であった。180mg用量は優れた安全性プロファイルを有することが指摘された。全体として、有効性及び安全性のバランスをとり、第3相プログラムについては180mg用量を選択した。
【0134】
エゼチミブのバックグラウンド(background)
エゼチミブのラベルを参照されたい。
【0135】
アトルバスタチンのバックグラウンド
アトルバスタチンのラベルを参照されたい。
【0136】
リスク利益の概要
現在までに、非臨床及び臨床データにより、ベンペド酸180mgは好適なリスク利益プロファイルを有することが示されている。ベンペド酸が様々な患者集団において好適な忍容性プロファイルを実証しつつ、臨床的に意義のあるLDL-C低減を達成することができることは、第3相研究におけるベンペド酸の継続開発を支持する。
【0137】
いくつかの第2相臨床研究により、スタチンへの追加物として又はエゼチミブとの組み合わせにおけるベンペド酸の安全性及び有効性が評価された。これらの研究により、顕著なLDL-C低減及び好適な安全性プロファイルが示された。ベンペド酸180mg、エゼチミブ10mg、及びアトルバスタチン20mgを用いたトリプレット療法のLDL-C低減効果及び安全性は、これまで評価されていない。それが、本研究の目的である。
【0138】
[試験の目的(trial objectives and purpose)]
目的
主要目的
主要目的は、上昇したLDL-Cを有する患者において、6週間毎日投与されるプラセボに対するベンペド酸180mg、エゼチミブ10mg、及びアトルバスタチン20mgを用いたトリプレット療法のLDL-C低減効果を評価することであった。
副次的目的
・非高密度リポタンパク質コレステロール(非HDL-C)、総コレステロール(TC)、アポリポタンパク質B(ApoB)、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)、TG、及びHDL-Cに対するプラセボと比較したトリプレット療法の効果を評価すること
・<70mg/dLのLDL-Cレベルを達成する患者の百分率に対する、プラセボと比較したトリプレット療法の効果を評価すること
・≧50%のLDL-C低下を達成する患者の百分率に対する、プラセボと比較したトリプレット療法の効果を評価すること
・プラセボと比較したトリプレット療法の安全性及び忍容性を評価すること
【0139】
研究のエンドポイント
研究の目的を評価するために以下のエンドポイントを用いた。
主要エンドポイント
・LDL-Cのベースラインから6週目までの百分率変化
副次的エンドポイント:
・非HDL-C、TC、ApoB、hs-CRP、TG、及びHDL-Cのベースラインから6週目までの百分率変化
・6週目において<70mg/dLのLDL-Cを有する患者の百分率
・ベースラインから6週目まで≧50%のLDL-C低下を有する患者の百分率
安全性エンドポイント
・対象の有害事象発生率
・臨床的安全性の検査(血液学、血液化学及び尿検査を含む)結果
・バイタルサイン及び身体検査(PE)の所見
【0140】
[治験の計画]
全般的な研究計画
これは、第2相多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間研究であった。患者は、最初に-6週目にスクリーニングを受ける(受診S1)。適格な患者は、ランダム化の少なくとも5週間前に、すべてのLDL-C低減薬及び栄養補助剤のウォッシュアウトを開始した。患者は、脂質及び/又は他の評価のために、-1週目(S2)に再来院した。スクリーニング中の任意の時点でランダム化に適格でないとみなされた患者は、臨床施設の職員により通知され、スクリーニング不適格(screen failure)とみなされた。0週目に(受診T1)約60人の患者を2:1の比率でランダム化し、6週間、1日に1回、トリプレット療法(ベンペド酸180mg+エゼチミブ10mg+アトルバスタチン20mg)又はプラセボを施与した。ランダム化した患者は、3週目(受診T2)及び6週目(受診T3)に診療所受診のために再来院する。
【0141】
研究評価の詳細については、付録1のイベント予定(Schedule of Event)を参照されたい。
【0142】
研究仮説
本研究についての臨床仮説は、プラセボに比べ、ベンペド酸180mg、エゼチミブ10mg、及びアトルバスタチン20mgを用いたトリプレット療法は、6週間毎日処理された患者においてLDL-Cを顕著に低下させることである。
【0143】
推定研究継続期間及び推定研究期間(Estimated Study Duration and Period)
全治療継続期間は12週間(6週間のスクリーニング及び6週間の治療)であり、スクリーニングをさらに1週間延長するという選択肢がある。
【0144】
施設数
米国内の約20施設までが本研究に参加した。追加の場所が、確実に研究の予定表が満たされるように参加するよう、招待され得る。
【0145】
患者数
研究には、約60人の成人男性及び女性患者が登録された。
【0146】
[患者の選択]
対象選択基準
各患者は、本研究に適格であるために、以下の基準を満たした。
1:任意の研究特有の手順の前の書面によるインフォームドコンセントの提供;
2:-6週目(受診S1)において、18歳又は地域の法令に基づく法定成人年齢、いずれか大きい方以上の年齢;
3:すべてのLDL-C低減薬及び栄養補助剤のウォッシュアウト後、-1週目(受診S2)において、130~189mg/dLの空腹時LDL-C計算値;
注:LDL-Cは、スクリーニング期間を1週間まで延長して1度反復され得る。反復のLDL-Cを有する患者については、最初の値及び反復の値の平均が、適格性を判定するために使用された。
4:患者は、調査者の評価に基づき、12週間(1週間延長される可能性がある)、すべてのLDL-C低減薬及び栄養補助剤のウォッシュアウトを受けるのに十分安定し、かつ適している;
5:男性及び妊娠しておらず授乳中でない女性。女性は以下のうち1つでなければならない:
a. 月経がない状態が1年以上と定義される、天然の閉経後であり、かつ、
i. ≧55歳であるか、若しくは
ii. <55歳であり、卵胞刺激ホルモン(FSH)が≧40.0 IU/Lである、又は
b. 子宮摘出、両側卵巣摘出、及び/若しくは卵管結紮を含む外科的な不妊である、又は
c. 研究中及び治療終了後30日間、以下を含む産児制限の1つの許容可能な方法を使用する意思がある、出産可能な女性:
i. 産児制限薬、
ii. ホルモンを用いる又は用いない子宮内器具の装着
iii. コンドーム又は殺精子フォーム若しくは殺精子ゼリーを有する閉塞キャップ(occlusive cap)を含む防御法、
iv. この患者の唯一のパートナーである、精管切除された男性パートナー、
v. 真の禁欲(カレンダー法、排卵法、症候体温法、排卵後法等の周期的な禁欲、又は中絶性交を含まない);
妊娠することができるパートナーを有する男性については、プロトコル特有の産児制限要件はない。
【0147】
対象除外基準
任意の以下の基準を満たす患者は参加するのに適格でなかった:
1:ボディー・マス指数(BMI)>50kg/m2
2:限定されないが、以下を含む、記録された臨床的に重大な心血管疾患の病歴:
a. 心筋梗塞、重度又は不安定狭心症、冠動脈血管形成、冠動脈バイパス移植、脳卒中、一過性虚血発作(transient ischemic attack)、脳血管事象、症候性頸動脈疾患、又は症候性末梢動脈疾患、
b. 5分間安静に座った後の座位平均収縮期血圧(SBP)≧160 mm Hg及び/又は拡張期血圧(DBP)≧100 mm Hgと定義されるコントロール不良高血圧。
注:調査者の判断で、単回の反復の座位平均SBP及びDBPは、別の受診時に完了され得る。反復の座位平均SBP及びDBP評価を有する患者については、反復の値が、適格性を判定するために使用される。
c. 医療介入を必要とする不整脈、
d. 腹部大動脈瘤、
e. ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association、NYHA)のクラスIII及びIV心不全;
3:-1週目(S2)において空腹時TG>400mg/dL;
注:TGは、スクリーニング期間を1週間まで延長して1回反復され得る。反復のTGを有する患者については、反復の値が、適格性を判定するために使用された。
4:1型若しくは2型糖尿病の病歴、又は-6週目(受診S1)において空腹時グルコース>125mg/dL;
5:-6週目(受診S1)における、甲状腺刺激ホルモン(TSH)>1.5×正常上限値(ULN)を含む、コントロール不良の甲状腺機能低下(uncontrolled hypothyroidism);
6:以下を含む、肝疾患又は障害:
a. -1週目(受診S2)における、B型肝炎表面抗原(HBsAg)及び/若しくはC型肝炎抗体(HCV-ABVivi)について陽性の血清学、又は
b. -6週目(受診S1)における、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≧2×ULN、及び/若しくは総ビリルビン(TB)≧2×ULN。TB≧1.2×ULNである場合、リフレックス(reflex)間接(非抱合)ビリルビンが取得され、ジルベール病と一致する場合若しくは患者がジルベール病の病歴を有する場合、患者は研究に登録され得る。
注:調査者の判断で、ALT、AST及び/又はTBの単回の反復が完了され得る。反復のALT、AST及び/又はTBを有する患者については、反復の値が、適格性を判定するために使用された。また、C型肝炎抗体についての試験が陽性であるが、C型肝炎リボ核酸(RNA)についての任意選択のリフレックス試験が陰性である場合、患者は登録され得る。
7:-6週目(受診S1)における、推定糸球体濾過率(eGFR;中央研究所(central laboratory)が決定した腎疾患における食事療法の改善(Modification of Diet in Renal Disease)[MDRD]式を用いる)<30mL/分を含む、腎機能障害又は糸球体腎炎;
注:調査者の判断で、eGFRの単回の反復が完了され得る。反復のeGFRを有する患者については、反復の値が、適格性を判定するために使用された。
8:薬剤吸収に影響を与え得る胃腸の状態又は処置(減量手術;例えばLap-Band(登録商標)又は胃バイパスを含む);
9:血液学的障害若しくは凝固障害、又は-6週目(受診S1)においてヘモグロビン(Hgb)レベル<10.0g/dL;
10:過去5年間における、手術、化学療法、及び/又は放射線療法を必要とするものを含む、活動性の悪性腫瘍。非転移性の皮膚の基底若しくは扁平上皮細胞癌、及び子宮頚部上皮内癌は容認される;
11:ランダム化前、任意の時点において、原因不明のクレアチンキナーゼ(CK)>3×ULN(即ち、最近の外傷又は身体的に激しい運動と関連しない)。説明のつくCK上昇を有する患者は、ランダム化前に、単回の反復CK≦3×ULNを有さなければならない;
12:過去2年以内の薬物若しくはアルコール乱用の経歴、又は報告された>14のアルコール飲料/週(alcoholic drinks/week)の現在の消費又は任意の違法薬物の使用、アンフェタミン及び誘導体乱用若しくはコカイン乱用の経歴。健康管理医により、及びその管理下で処方されたアンフェタミン誘導体を有する対象は、調査者による評価後、登録され得る。
13:ランダム化の前30日以内における、献血、複数の採血への参加、臨床研究、大きな外傷、輸血、又は失血を伴う若しくは伴わない手術;
14:スクリーニングの前30日以内における、任意の実験又は調査薬の使用;
15:ベンペド酸臨床研究への過去の登録;
16:ランダム化の前における、これらの禁止された薬剤及び/又は栄養補助剤の使用、又は研究中の計画された使用:
a. LDL-C低減薬及び/又は栄養補助剤(ランダム化の前5週間以内)、
b. プロベネシド又はシクロスポリン(ランダム化の前2週間以内)、
c. アミオダロンを含む強力なCYP3A4阻害剤、アゾール(フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール)、ボセンタン、クラリスロマイシン、コビシスタット、コニバプタン、ダナゾール、ダプトマイシン、ジルチアゼム、ドンペリドン、エルロチニブ、エリスロマイシン、フシジン酸、ミベフラジル、ネファゾドン、ピペラキン、プロテアーゼ阻害剤(アタザナビル、ボセプレビル、ダルナビル、デラビルジン、ホスアンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、テラプレビル、チプラナビル)、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、テリスロマイシン、ベラパミル(ランダム化の前2週間以内)、
d. 全身性コルチコステロイド(局所用コルチコステロイドは許容される;ランダム化の前5週間以内);
17:研究前又は研究中の、これらの許容される薬剤の予定された開始又は投与の変更:
a. ホルモン補充(ランダム化の前5週間以内)、
b. 甲状腺補充(ランダム化の前5週間以内)、
c. 肥満薬(ランダム化の前3か月以内);
18:調査者の意見では、患者の安全又は研究を完了する能力を脅かし得る、医学的又は状況的(即ち地理的)所見;
19:研究を実施する施設の従業員若しくは請負人、又は調査責任者、共同調査者、若しくは任意の治験依頼者職員の家族。
【0148】
患者のライフスタイル及び食事指針
患者はすべての検査試料の収集の前、最低10時間、絶食している(水及びIMPでない併用薬は許可される)。
【0149】
スクリーニング開始時から、患者に、地方又は地域のガイドラインの通り、心臓の健康に良い食事に従うよう忠告し、研究を通して安定した定期的な運動プログラムに参加することを(可能であれば)奨励すべきである。
【0150】
[患者の治療]
調査医薬品の投与
治療期間中、患者をランダム化し、1日に1回、ベンペド酸180mg+エゼチミブ10mg+アトルバスタチン20mg又はプラセボのIMPを投与した。IMPの毎日の割当各々は、ブリスターパッケージにおいて提供される1個のベンペド酸錠、1個のオーバーカプセル化エゼチミブ錠、及び1個のオーバーカプセル化アトルバスタチン錠から成るものであった。プラセボのブリスターパックは、3つの薬剤の対応する適合プラセボを含有するものであった。食物と共に又は食物なしで、1日に1回、経口的にIMPを摂取するよう、患者に指示した。診療所受診日には、研究の手順が完了するまでIMPの摂取を延期するよう、患者に指示した。
【0151】
患者が非診療所受診日にIMPを服用することを忘れた場合、それは同じ日の最大12時間後まで服用され得る。それ以後は、患者はその日にIMPを服用せず、翌朝IMPの摂取を再開した。服用を忘れた理由を説明した詳細は、患者の医療記録及び電子症例報告書(eCRF)に記録した。追加のIMPが提供され、次の受診の前に必要に応じて、又は紛失し若しくは損傷を受けたために使用できないIMPの割当と取り替えるために使用することができる。
【0152】
説明、供給及び制御、説明責任、取扱い、並びに廃棄を含む、IMPに関する他の詳細は、9節に提供した。
【0153】
前治療薬及び併用薬(Prior and Concomitant Medication)
各診療所受診時に、併用薬の使用について患者に質問した。研究中慢性的に又は断続的に服用されたすべての併用薬を、適応症(indication)、総1日用量、並びに投与の開始及び中止日とともに記録した。
【0154】
スクリーニングの前6週間以内及び研究中に服用される、医薬、薬草治療薬、ビタミン、他の栄養補助剤、及び市販薬を記録するために、前/併用症例報告書(CRF)を用いた。
【0155】
禁止される医薬及び栄養補助食品(Dietary Supplement)
ランダム化の前少なくとも5週間(おおよそ研究-35日目)に、脂質調整のために服用されるすべての処方薬若しくは非処方薬又は栄養補助剤の服用を中止することを患者に要求した。単独又は併用療法における以下にあげる任意の薬剤の使用を、研究中禁止した:
スタチン(ランダム化の前5週間以内):
・アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標))(治験依頼者が与えたもの以外)
・フルバスタチン(LESCOL(登録商標))
・ロバスタチン(MEVACOR(登録商標)、ALTOPREV(商標))
・プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標))
・ロスバスタチンカルシウム(CRESTOR(登録商標))
・シンバスタチン(ZOCOR(登録商標))
・ピタバスタチン(LIVALO(登録商標))
選択的コレステロール及び/又は胆汁酸吸収阻害剤(ランダム化の前5週間以内):
・エゼチミブ(ZETIA(登録商標)、EZETROL(登録商標))
・コレスチラミン(QUESTRAN(登録商標)、QUESTRAN(登録商標) LIGHT、PREVALITE(登録商標)、LOCHOLEST(登録商標)、LOCHOLEST(登録商標) LIGHT)
・コレスチポール(COLESTID(登録商標))
・コレセベラム塩酸塩(Colesevelam HCl)(WELCHOL(登録商標)、CHOLESTAGEL(登録商標))
フィブラート系薬剤(ランダム化の前5週間以内):
・ゲムフィブロジル(LOPID(登録商標))
・フェノフィブラート(ANTARA(登録商標)、LOFIBRA(登録商標)、TRICOR(登録商標)、及びTRIGLIDE(商標)、LIPANTIL(登録商標)、SUPRALIP(登録商標))
・クロフィブラート(ATROMID-S(登録商標))
・シプロフィブラート(MODALIM(登録商標))
・ベザフィブラート(BEZALIP(登録商標))
PCSK9阻害剤(ランダム化の前5週間以内):
・エボロクマブ(REPATHA(登録商標))
・アリロクマブ(PRALUENT(登録商標))
他の脂質調整薬(ランダム化の前5週間以内):
・ナイアシン(NIASPAN(登録商標)Rx及びOTC)
・オメガ-3脂肪酸エチルエステル(Omega-3-acid Ethyl Ester)(LOVAZA(登録商標)及びOTC魚油)
・スタチン固定用量配合剤(fixed dose combination)(例えば、ATOZET(登録商標)、VYTORIN(登録商標)、INEGY(登録商標))
脂質改変栄養補助剤(ランダム化の前5週間以内):
・ベルベリン
・サイリウム(Metamucil(登録商標))
・緑茶抽出物
・ナイアシン(>500mg/日の結晶、又は任意の用量の徐放性若しくは持続放出性)
・シトスタノール(経口栄養補助剤及びBenecol等のいくつかのマーガリン中に見出される)
・βシトステロール(経口栄養補助剤及びPromise Activ等のいくつかのマーガリン中に見出される)
・Cholestin(紅麹菌(monascus purpureus)抽出物としても知られる紅色酵母米)
・パントチン(Pantothine)
・ポリコサノール
他の薬剤:
・プロベネシド又はシクロスポリン(ランダム化の前2週間以内)
・アミオダロンを含む強力なCYP3A4阻害剤、アゾール(フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール)、ボセンタン、クラリスロマイシン、コビシスタット、コニバプタン、ダナゾール、ダプトマイシン、ジルチアゼム、ドンペリドン、エルロチニブ、エリスロマイシン、フシジン酸、ミベフラジル、ネファゾドン、ピペラキン、プロテアーゼ阻害剤(アタザナビル、ボセプレビル、ダルナビル、デラビルジン、ホスアンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、テラプレビル、チプラナビル)、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、テリスロマイシン、ベラパミル(ランダム化の前2週間以内)
・全身性コルチコステロイド(局所用コルチコステロイドは許容される)(ランダム化の前5週間以内)
【0156】
許可される医薬
許可される医薬は、以下を除き、受診S1(-6週目)前の少なくとも2週間安定していた。
・ホルモン補充(Hormone replacement)(ランダム化の前5週間以内)、
・甲状腺補充(Thyroid replacement)(ランダム化の前5週間以内)、
・肥満薬(ランダム化の前3か月以内);
【0157】
治療割り付け、ランダム化、及び盲検化
治療期間中、二重盲検IMPを患者に投与した。1日目(受診T1)に、患者をランダム化し、ベンペド酸180mg/日+エゼチミブ10mg+アトルバスタチン20mg又はプラセボを投与した。調査者又は被指名人は、受診の際、ウェブ自動応答システム(IWRS)を利用して、ランダム化番号を取得し医薬識別番号(MED ID)を介して適切なIMP容器を受け取った。IWRSによりランダム化番号が割り付けられた時に、患者はランダム化されたものとみなした。
【0158】
患者の研究への順次参加に従い、コンピュータで作成したランダムコードによってランダム化番号を決定した。ランダム化番号は治療群に相当する。治療割り付けの盲検化のためのランダム化予定は、委託研究機関(CRO)によって作成され、IWRSに提供され、研究が完了しデータベースが固定された後にのみ発表された。
【0159】
治療期間中、治験依頼者、施設職員、CRO、及び患者はすべて、患者の治療割り付けを知らされなかった/知らされない。
【0160】
調査者の意見で患者の安全性が危険にさらされている可能性がある場合を除き、全患者について治療の盲検化を維持した。最もまれな状況下でのみ、調査者は盲検解除を検討すべきであり、患者が活性薬剤治療を受けているかどうかを決定することなく医療/支持療法を提供できない場合にのみ検討すべきである。研究の完了前に盲検を解除する必要が生じた場合、調査者は電話で適切な医療モニターに連絡すべきである。医療モニターに相談する前に盲検を解除しなければならない場合は、盲検を解除してから24時間以内に連絡を取らなければならない。
【0161】
研究開始時、IWRSを介した盲検解除の手順について臨床施設に指示した。盲検解除のすべての症例において、調査者は、患者の医療記録に、盲検解除の日付、時間及び理由、並びに関与した職員の名前を記録する。
【0162】
不注意に治療割り付けを示唆する可能性があるLDL-C、非HDL-C、TC、TG及びHDL-Cについての個々の検査測定値のランダム化後の値は、臨床施設の職員、患者、治験依頼者又はCROには利用できない。これらの値を知ることは真に「非盲検」となるわけではないが、現地での(研究受診以外での)調査者、全ての協力医師、又は患者によるこれらの検査評価の収集は強く抑制した。調査者は、研究実施中、現地の研究室でこれらのアナライトの試験を行わなかった。
【0163】
[調査医薬品]
調査医薬品の説明
【表4】
【0164】
詳細な保管条件及び使用説明については薬学マニュアルを参照されたい。
【0165】
調査医薬品の供給及び管理
治験依頼者が、上述の本研究のためのIMPを供給した。IMPは、研究実施中、地域及び地方の要件に従って配布及びリリースした。
【0166】
MED ID番号(IMP包装上の識別子)は、IWRSを介して取得し、臨床施設において利用可能な臨床供給品の中から二重盲検IMPを選択するために用いた。
【0167】
IMPは、インフォームドコンセントを提供した適切な患者にのみ、調査者又は他の有資格の施設職員により分配された。
【0168】
パッケージ化及びラベル付け
二重盲検IMPはブリスターパック中にパッケージ化した。各ブリスターパックは9日分を含有し、3個のブリスターパックを薬剤キット中で提供した。
【0169】
IMPラベルには、警告、並びに製品の規制、投与及び保管に関する標準的な文言に加え、プロトコル番号、MED ID番号、患者識別番号、ロット番号、施設番号及び調査者名が含まれた。
【0170】
調査医薬品遵守
治療期間中の各診療所受診時に、指定臨床施設の職員は、未使用として返却された用量の数を数えること、及び患者に毎日の摂取について質問することにより、患者のIMP摂取の遵守を評価した。患者が指示通りに複数の用量を服用していない場合、患者に理由を尋ね、所見を記録し、全ての服用指示に注意深く従うことの重要性について患者に忠告した。低遵守に寄与する要素を決定し、可能であれば改善した。治療期間中低遵守を示す患者には、すべての服用指示に注意深く従うことの重要性について忠告し続けるが、研究から排除しない。
【0171】
調査医薬品使用記録(accoountability)
患者には、遵守の評価及び薬剤使用記録のために、毎回の受診時にすべての包装及び未使用IMPを返却するよう指示した。
【0172】
治験依頼者(又は被指名人)により発送されたすべてのIMPの受領及びそのIMPの処分の正確な記録を維持した。
【0173】
IMP記録又はログは、適用される規制、地方の法令、及びガイドラインに従わなければならず、以下を含むべきである:
・受領した/保管場所に置いている量
・現在保管場所にある量
・すべてのIMPについてのMED ID番号
・IMP棚卸(入庫/変動/処分を含む)の日付及びその責任者のイニシャル
・固有の患者識別子を含む、各患者に分配される日付及びIMPの量
・IMPが患者により返却された日付、遵守の評価、及び不一致の関連記録
・研究外での処分(例えば紛失、破損、廃棄)
・施設モニターによる使用記録後、治験依頼者(若しくは被指名人)に返却した/破棄した量、又は地方の標準作業手順(standard operating procedure、SOP)に従って破棄した量。
【0174】
調査医薬品の取り扱い、保管、及び処分
調査責任者は、すべてのIMPが、調査薬について適用される規制要件に従い、(温度、光、又は湿度の過酷な条件から保護される室温[15℃/59°F~30℃/86°F]における)推奨の保管条件下、安全な場所で保管されることを確実にする。IMPの入手は、調査者により権限が与えられた臨床施設職員に限定された(限定される)。別段治験依頼者により権限が与えられていない限り、研究の完了又は終了後、すべてのIMP、並びに使用後及び未使用のIMP包装は、最終的な廃棄のために治験依頼者(又は被指名人)に返却しなければならない。すべてのIMP返却は、適切な文書を添付しなければならない。
【0175】
[研究手順及び評価予定]
インフォームドコンセント
患者は、研究の性質及びリスクを十分に知らされ、インフォームドコンセント文書(ICD)を理解する。各患者が研究を完全に知らされ、研究に参加することに自由に同意し、治験依頼者(又は被指名人)及び施設内審査委員会(IRB)が承認したICDに署名し、日付を記入するまで、研究に関連する手順を実行しないことは、調査者の責任である。書面によるICDは、潜在的な患者集団の現地語で作成すべきである。
【0176】
ウェブ自動応答システム及びeCRF
データはeCRF上で取得した。ランダム化、IMP(再)発注、IMP配布、及び患者の状態の追跡は、IWRSを介して行われた。これらのシステムの説明及びIWRSについての追加の問い合わせ時点を別々に提供した。
【0177】
患者識別番号
研究中各患者を識別するために、固有の患者識別番号を各患者に割り当てた。患者識別番号は、スクリーニングモジュール実行(transaction)中、インフォームドコンセント時にIWRSにより連続的に割り当てられ、プロトコル、施設、及び患者特有の番号から成っていた。
【0178】
再スクリーニング
状態の安定性要件又は併用薬又はその他の理由によりスクリーニング不適格である患者については、治験依頼者(又は被指名人)と相談後、再スクリーニングを検討してもよい。再スクリーニングされる場合には、これらの患者はまた、再び同意されなければならず、スクリーニング手順が繰り返されなければならない。患者がスクリーニング不適格である場合、又は患者が研究を中止した場合、その患者ID番号は他の患者に割り当てない。
【0179】
評価手順及び予定
本研究は、スクリーニング及び二重盲検治療の2つの異なる期間から成る。
【0180】
研究イベント予定を付録1中に与える。しかし、患者は安全性の理由からいつでも診察を受けることができる。
【0181】
スクリーニング-6週目(受診S1;-42日目~-37日目)
スクリーニング期間は、ランダム化の6週間前に行われるスクリーニング受診から始まった。受診S1により、調査者は患者の予備的適格性を評価することができた。患者が書面によるインフォームド・コンセント(10.1節参照)を提出した後、患者は受診S1時に以下の評価及び処置を受けた:
・AE及び重篤な有害事象(SAE)の評価(インフォームドコンセント文書への署名から開始する)
・人口統計
・臨床的に関連する医療歴
・前治療薬及び併用薬の確認
・現時点で評価可能なすべての選択/除外基準の確認
・身長(cm)及び体重(kg)
・バイタルサイン
・中央臨床検査室の評価:
-甲状腺刺激ホルモン(TSH)
-血液学、血液化学、及び尿検査
-基本的な空腹時脂質(TC、LDL-C、HDL-C、非HDL-C、及びTG計算値)
-(出産可能な女性患者における)血清妊娠試験又は(<55歳の閉経後女性における)卵胞刺激ホルモン(FSH)
・食事・ライフスタイルカウンセリング
・患者を登録するためのIWRSへの問い合わせ(contact)
【0182】
受診S1の中央臨床検査室の結果(受診S1から数日後に入手可能)の確認後に評価可能なすべての登録基準を満たす患者には、すべての脂質調節薬及び栄養補助剤のウォッシュアウトを行い、研究中一貫した食事及び運動パターンを維持するよう指示した。受診S1時に評価可能な任意の参加基準を満たさない患者は、スクリーニング不適合とみなし、(患者は安全上の理由のためにはいつでも受診できるが)追加受診のために再来院することを求めなかった。
【0183】
スクリーニング-1週目(受診S2;-10~-7日目)
患者は受診S2時に以下の評価及び処置を受けた:
・併用薬の確認(継続中)
・AE及びSAEの評価
・中央臨床検査室の評価:
-基本的な空腹時脂質(TC、LDL-C、HDL-C、非HDL-C、及びTG計算値)
-血清学(B型肝炎表面抗原[HBsAg]、C型肝炎ウイルス[HCV]抗体を含む)
・食事及びライフスタイルカウンセリング
注:
・患者がLDL-C及び/又はTGの参加基準を満たさない場合、スクリーニング期間はさらに1週間延長することができ、受診T1の前に追加受診を完了してもよい。この任意選択の受診が完了した場合、受診S2及び追加受診の値の平均を用いて適格性を判定する。
・患者が拡張期血圧(DBP)、収縮期血圧(SBP)、TSH、推定糸球体濾過率(eGFR)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、血清学及び/又はクレアチンキナーゼ(CK)の参加基準を満たさない場合、受診S1と受診T1の間で追加受診及び/又は評価を完了してもよい。患者は、任意の関連医薬が調整及び安定化され、反復の評価が参加基準を満たした後に、ランダム化の資格を得ることができる。
【0184】
治療0週目(受診T1;1日目)
予定した受診T1の前に、スクリーニング結果を確認し、患者が適格基準を満たし続けるか否か判定した。受診T1時には、ランダム化の前に身体診察及び尿妊娠試験も完了した。ランダム化前の任意の時点においてすべての参加基準を満たさない患者は、スクリーニング不適格となる。
【0185】
患者がすべての選択基準を満たし、除外基準のいずれも満たさなかった場合、患者はランダム化され、二重盲検治療期間に入った。
【0186】
すべての適格基準が確認され、初回服用日にIWRSによりランダム化番号が取得されれば、患者はランダム化されたものとみなす。
【0187】
患者は1日目(受診T1)に以下の評価と処置を受けた:
・併用薬の確認(継続中)
・AE及びSAEの評価
・PE
・患者の適格性を確立するための選択/除外基準の確認
・体重
・バイタルサイン
・中央臨床検査室の評価:
-血液学、血液化学、及び尿検査
-基本的な空腹時脂質(TC、LDL-C、HDL-C、非HDL-C、及びTG計算値)
-ApoB及びhs-CRP
・(出産可能性のある女性患者における)尿妊娠試験
・患者のランダム化番号及び二重盲検IMPのためのMED ID番号を取得するためのIWRSへの問い合わせ
・二重盲検IMPの分配、並びに服用及び保管指示の提供
・食事及びライフスタイルカウンセリング
【0188】
治療3週目(受診T2;22±3日目)
患者は3週目(受診T2)に以下の評価及び処置を受けた:
・併用薬の確認(継続中)
・AE及びSAEの評価
・体重
・バイタルサイン
・中央臨床検査室の評価:
-血液学、血液化学、及び尿検査
-基本的な空腹時脂質(TC、LDL-C、HDL-C、非HDL-C、及びTG計算値)
・IMPの返却;IMPの服薬遵守の評価及び記録
・二重盲検IMPのための新たなMED ID番号を取得するためのIWRSへの問い合わせ
・二重盲検IMPの分配、並びに服用及び保管指示の提供
・食事及びライフスタイルカウンセリング
【0189】
治療6週目(受診T3;43±3日目)/研究終了時又は早期終了時
患者は、6週目及び/又は研究終了時/早期終了時に以下の評価及び評価を受けた:
・併用薬の確認(継続中)
・AE及びSAEの評価
・PE
・体重
・バイタルサイン
・中央臨床検査室の評価:
-血液学、血液化学、及び尿検査
-基本的な空腹時脂質(TC、LDL-C、HDL-C、非HDL-C、及びTG計算値)
-ApoB及びhs-CRP
・IMPの返却;IMP遵守の評価及び記録
【0190】
患者の研究からの離脱
患者は研究43日目(受診T3)の予定された最後の受診時まで研究に残り、研究への参加を完了したものとみなされた。
【0191】
患者の臨床研究への参加の決定は、自由意思による。患者は、特定又は不特定の任意の理由で、罰金又は患者がそうでなければ受ける権利のある利益の喪失を伴うことなく、いつでも研究の継続を拒否し、及び/又は本研究への参加から離脱することができる。
【0192】
本研究の継続により健康又は幸福が脅かされる可能性のある任意の患者の治療を中断することは、調査者の権利及び義務である。このような患者は研究から離脱させ、修正レジメン下で継続しなかった。
【0193】
研究から離脱した患者は、再参加できない。本研究からの離脱の理由には、以下が含まれ得る:
・AE
・患者の同意撤回
・プロトコルの不遵守
・追跡不能
・患者の参加能力に影響を及ぼす、又は禁止薬を必要とする疾患、状態、又は処置合併症・治験依頼者又は調査者が研究を終了する
・調査者の判断で、研究への参加を中止することが患者の最善の利益であると判断される・任意の他の理由
【0194】
患者が追跡不能になった場合、臨床施設の職員は、患者に連絡を取り、中止/離脱の理由を決定するためにあらゆる合理的な努力を払わなければならない。追跡に講じた手段は記録しなければならない。
【0195】
[有効性の評価]
脂質及びhs-CRPの評価
中央臨床検査室の試料を収集し、表3に詳述のパラメーターについて分析した。LDL-Cは計算するか、又はTGが>400mg/dL若しくはLDL-Cが<50mg/dLである場合、直接測定した。
【0196】
(安全性ではなく)脂質のための採血は、以下の基準を満たさなければならない。これらの基準が満たされていない場合、これらの血液試料は収集しない。3日以内に行われるように診療所受診の予定を変更することにより、これらの基準が満たされた/満たされる場合は、これらの血液試料は予定変更後の診療所受診時にのみ収集した/収集される。
・血液試料は、最低10時間の絶食後(水及び(IMPではない)併用薬は許可される)に採取した。
・血液試料は、患者が前日にIMPを摂取した場合にのみ採取した。
【0197】
患者は、血液収集中座位であった。収集の予定及び指示は中央臨床検査室マニュアルに提供される。試料の収集、保管及び発送、並びに異常な検査値の監視及び管理の説明は、12.1.5節に記載される。
【0198】
バイタルサイン及び検査試料を同じ時点で収集する際は、バイタルサイン測定を検査試料収集の前に行った。
【0199】
【表5】
【0200】
[安全性の評価]
安全性パラメーター
すべての診療所受診時に、調査者は、バイタルサイン、AE、SAE及び併用薬を含む安全性情報を確認し、収集されたデータが適切なeCRFに記録されていることを確認した。さらに、中央臨床検査室試料を収集し、分析に送り、調査者は研究参加中その結果を確認して患者の安全性の持続を確実にした。
【0201】
調査者は、本研究に参加している患者の安全性を監視し、治験依頼者又はその被指名人に適宜注意喚起することに対して責任を負う。
【0202】
調査者は、研究中患者の適切な医療に対し責任を負う。
【0203】
調査者は、重篤な、又は研究完了前に事象が消散又は安定するまで患者に中止させた、AEを追跡することに対し責任を負った。追跡評価の頻度は、調査者の判断に任せる/任せた。
【0204】
人口統計/医療歴
人口統計データ及び完全な医療歴は、患者から取得した。医療歴については、関連のある及び/又は臨床的に重大な状態を、少なくとも開始日(月及び年)、及び状態が継続中か、若しくは消散しているかと共に記録した。すべての手術は、日付に関わらず報告された。
【0205】
バイタルサイン
バイタルサインには、DBP及びSBP並びに心拍数が含まれる。
【0206】
バイタル値(vital)は、血液収集前に収集した。血圧(BP)及び心拍数は、上腕のサイズに適したカフを備えた較正され(calibrated)完全自動化された機械を用いて測定した。完全自動化された機械が利用できない場合、BPは手動で測定した。研究を通して、同一の方法(自動化された、又は手動の)及び同一の腕(右又は左)を使用した/使用する。患者は座位であり、足が床に触れていた。患者は、背中が支えられ、足が地面にぴったりと付いており、腕がまくられ心臓の高さで支えられている状態で椅子に少なくとも5分間安静に座った。各診療所受診時に、1~2分間隔で2回のBP測定値を収集した。
【0207】
体重及び身長
体重は絶食中及び排泄後、午前中に較正された体重計上で測定した。
【0208】
身長は、標準的な臨床手順を用いて測定した。
【0209】
ボディー・マス指数(BMI)は、式:BMI(kg/m2)=kg単位の体重/(メートル単位の身長)2を用いて系統的に計算した。
【0210】
身体検査
身体検査には、以下の評価が含まれる:
・全体的な外見
・肌
・眼、耳、鼻及び喉
・頭頸部
・四肢
・筋骨格系検査
・呼吸器検査
・リズム及び心臓異常の存在を含む、心血管評価
・腹部検査
・精神状態並びに運動及び感覚機能の異常の存在の記録を含む、神経学的検査
・ベースライン状態を確立し、症状又は有害な経験を評価するために必要な任意の追加評価
【0211】
PE所見の記録は、臨床施設の原始記録(source documentation)中に含まれた。IMPの開始前の重大な所見は、eCRFの医療歴/現在の医学的状態のページに記録した。AEの定義を満たすベースライン身体検査所見からの変化のみを、eCRFのAEのページに記録した。
【0212】
中央臨床検査室試験
中央臨床検査室パラメーター(安全性)
患者は、血液収集中座位であった。臨床検査パラメーター及び試験には、表4に挙げるものが含まれた。収集予定、受診による検査パラメーターの予定、及び指示は、中央検査室により提供される臨床検査マニュアル中にある。
【0213】
【表6】
【0214】
試料の収集、保管及び発送
中央臨床検査室試料は、適切な臨床施設職員により収集され、その後、中央検査室により提供される別個の実験室マニュアルに従って発送された。試料は、中央検査室により処理される/処理された。
【0215】
異常な臨床検査値の一般的な監視及び管理
すべての検査室試験の結果を、それらが利用可能となった時に確認し、その確認に署名し日付を記入することは、調査者の責任である。検査正常範囲外の各検査室試験について、調査者は、二重盲検IMPの最初の投与前の最後の値又は観測値と定義されるベースラインを用いて、これが個々の患者にとってベースラインからの臨床的に重大な変化であるか否かを確認する必要がある。調査者は、元の検査室試験の結果を検証するために、検査室試験を反復するか、又は追加の試験を求めることができる。
【0216】
検査値が異常であり、その患者にとってのベースラインからの臨床的に重大な変化であると判定された場合、調査者はそれをAEとすべきか否かを判定し、もしそうであれば、適切なeCRFに記入した。ベースライン時には存在しなかった研究中に発生したすべての臨床的に重大な検査異常は、根底にある原因又は消散が診断されるまで、追跡し、必要に応じて追加の試験を用いて評価した。以下の節で、特別関心のある検査値についての特定の監視及び管理の指針の概要を述べる。
【0217】
上昇した肝機能試験の監視及び管理
ランダム化後の任意の時において、患者が新たなALT及び/又はAST>3×ULNを経験した場合には、合理的な範囲で可能な限り早く、好ましくは検査結果が利用可能になってから3~7日以内に、患者は反復の確認肝機能試験(LFT)評価を受けた。
【0218】
反復のLFT評価には、以下が含まれる:1)ALT、AST、アルカリホスファターゼ、総及び直接ビリルビン、プロトロンビン時間(PT)/国際標準化比(INR)、好酸球数、CKの測定;2)併用薬の使用歴;3)エタノールを含む環境化学物質への暴露歴;及び4)関連症状についての質問。さらに、抗A型肝炎ウイルス(全部)、HBsAg(スクリーニング測定値の確認)、HCV(スクリーニング測定値の確認)、及び抗サイトメガロウイルス/免疫グロブリンM等の更なる試験。エプスタイン・バール(Epstein-Barr)の肝臓超音波又は磁気共鳴イメージング(MRI)スキャンは、臨床症状に応じて追加の病理を排除するために保証されてもよく、治験依頼者職員又は権限が与えられた医療モニターと議論されるべきである。試料は収集したが、いくつかの反復のLFTパラメーターは、上昇が確認されるまで測定されない場合がある。
・反復のLFT評価により、ALT及び/又はASTが>3×ULNであるが≦5×ULNであることが確認される場合、更なる用量のIMPを投与しないことを考慮すべきである。調査者の判断で、IMPは中断される場合があり、LFTがベースラインレベルに戻った後、患者はIMPをリチャレンジされる。
・反復のLFT評価により、ALT及び/又はASTが>5×ULNであることが確認され、上昇について別の理由が特定されない場合、患者はIMPを中止すべきである。調査者の判断で、IMPは中断される場合があり、LFTがベースラインレベルに戻った後、患者はIMPをリチャレンジされる。
・反復のLFT評価により、以下のいずれかに加え、ALT及び/又はASTが>3×ULNであることが確認され、上昇について別の理由が特定されない場合、患者はIMPを中止すべきであり、更なるIMP治療を受けるべきでない:
-TB>2×ULN
-INR>1.5×ULN(患者が抗凝固医薬を継続して服用中である場合を除く)
-右上腹部の不快感、食欲不振、疲労、吐き気、嘔吐、発熱、発疹又は好酸球増加の出現又は悪化。
【0219】
クレアチンキナーゼの上昇の監視及び管理
ランダム化後の任意の時において、患者が>5×ULNの著しいCK上昇を経験した場合には、合理的な範囲で可能な限り早く、好ましくは検査結果が利用可能になってから3~7日以内に、患者は反復の確認評価を受ける。最初のCK上昇が>10×ULNである場合、(反復の検査値が評価されるまでIMPを継続するのではなく)すぐにIMPを中止するよう患者に指示する。反復の確認評価を可能な限り早く(IMPを中止してから1日以内)行うことは非常に重要である。
【0220】
反復のCK評価には、任意の筋症状の性質、持続期間及び強度についての質問;不慣れな運動、大量のアルコール摂取、ウイルス性疾患(血清学を行うことを検討)、併用薬、及び/又は筋疾患をもたらし得る他の状態等の潜在的な素因の確認;筋肉の圧痛、衰弱及び発疹についての身体検査;血清クレアチニンの測定、ディップスティック尿検査±指示された場合顕微鏡法;並びに基本的代謝検査が含まれる。
・反復のCK評価により、>5×ULNの原因不明の(即ち、最近の外傷又は身体的に激しい運動と関連しない)CK異常が確認される場合、無症状であれば、調査者は治験依頼者からの情報を用い、1~2週間に1回CK評価を継続しながらIMPを継続することを検討し得る。
・反復のCK評価により、以下に挙げる原因不明の(即ち、最近の外傷又は身体的に激しい運動と関連しない)CK異常が確認される場合、患者はIMPを中止すべきである:
-筋痛、筋肉の衰弱、若しくは暗色尿の症状と関連する>5×ULN;又は
-症状がない場合であっても、>10×ULN
・調査者の判断で、IMPは中断される場合があり、CKがベースラインレベルに戻った後、患者はIMPをリチャレンジされる。
【0221】
LDL-Cの上昇の監視及び管理
ランダム化後、LDL-Cの結果は盲検を維持するために調査者に隠した。中央検査室は、患者のLDL-Cレベルが≧220mg/dLである場合、調査者に知らせる。患者は、反復の絶食時血中脂質試料のために診療所に再来院し、LDL-C値が閾値基準を満たすことを確認する。健康的な食事指針について患者に助言し、IMPを服用するよう念押しした。確認された場合、患者はIMPを中止する。
【0222】
TG上昇の監視及び管理
ランダム化後、TGの結果は盲検を維持するために調査者に隠す。中央検査室は、患者のTGレベルが>1000mg/dLである場合、調査者に知らせる。健康的な食事指針について患者に助言し、IMPを服用するよう念押しする。患者は、反復の絶食時血中脂質試料のために診療所に再来院し、TG値が閾値基準を満たすことを確認する。確認された場合、患者はIMPを中止する。
【0223】
潜在的な低血糖及び代謝性アシドーシスの監視及び管理
低血糖の徴候及び症状について患者を教育する。このような徴候及び症状を経験した場合、研究施設にそれらを報告するよう患者に助言する(更なる詳細については13.3節を参照)。
【0224】
臨床検査値を評価し、アニオンギャップ代謝性アシドーシスの任意の徴候を判定する。検査値が代謝性アシドーシスと一致する場合、アシドーシスの更なる医学的評価のために患者の迅速な追跡を行う(更なる詳細については13.3節を参照)。この事象は、AEとして記録するべきである。
【0225】
中央臨床検査室試料の総血液量
研究中の静脈穿刺の総数及び収集する全血の総量は、安全性、有効性及びバイオマーカー評価に必要な量に限定される。研究継続期間にわたって収集する全血の総量は、各患者につき約250mLを超えないようにする。
【0226】
[有害及び重篤な有害事象]
有害事象
有害事象の定義
AEは、対照を含む医薬品を投与した臨床試験患者におけるあらゆる好ましくない医療上の出来事と定義され、それは治療と必ずしも因果関係を有しない。調査者は、確実に、調査者により観察されるか、又は患者により報告される任意のAEが患者の医療記録中に記録されるようにすることについて責任を負う。
【0227】
AEは以下であり得る:
・医薬品に関連すると考えられるか否かによらず、医薬品の使用に時間的に関連する、異常な検査所見又は疾患を含む任意の好ましくなく、かつ意図しない徴候/症状
・任意の新たな疾患又は既存の疾患の増悪
・以下のうち1つが生じた場合、検査異常又は診断試験異常(例えば、心電図[ECG]又はX線)はAEとして報告すべきである:
-異常のために必要となる治療
-IMPの中止
-調査者の判断による
・TEAEは、統計分析計画(SAP)において定義するように、最初の用量のIMP投与後開始又は悪化するAEと定義する。
【0228】
薬剤有害反応
いずれかの服用に関連する、医薬品に対するすべての有害かつ意図しない反応は、薬剤有害反応(ADR)とみなすべきである。医薬品に対する「反応」とは、医薬品とAEとの間の因果関係が少なくとも合理的にあり得るものであることを意味する(即ち、関係を排除することができない)
【0229】
予想外のADRは、その性質又は重症度が適用される製品情報(例えば、未承認の調査製品についてのIB、又は承認された製品についての添付文書/製品特性概要)と一致しない有害反応と定義する。
【0230】
有害事象の報告
研究の進行中に生じるすべてのAE(インフォームドコンセントに署名してから、研究完了/中止の30日後まで)はAE eCRF上で収集する。患者には、患者が経験するあらゆるAEを調査者に報告するよう指示すべきである。調査者は、各受診時にAEについて評価し、適切なAE eCRF上にその事象を記録すべきである。
【0231】
可能な限り、調査者は、個々の関連の徴候及び症状ではなく特定の疾患又は症候群を特定し、eCRF上に記録すべきである。しかし、調査者が、ある観察された又は報告された徴候又は症状を、特定の疾患又は症候群の一要素であると考えない場合、それはeCRF上に別個のAEとして記録すべきである。さらに、医療又は外科処置をもたらした状態は、処置ではなくAEとして記録すべきである。
【0232】
スクリーニング時又はベースラインにおいて既に存在する任意の医学的状態は、AEとして報告すべきでない。ただし、ベースラインにおいて存在する医学的状態又は徴候若しくは症状の重症度又は重篤度が研究中任意の時において悪化する場合を除く。この場合、それはAEとして報告すべきである。
【0233】
地元の図書館から得られる参考文献のリストにより定義されるすべての異常値の臨床的重大性を評価することは、調査者の責任である。いくつかの場合、正常範囲内の検査値の有意な変化は、同様の判断を必要とする。
【0234】
既にAEと関連しない異常な検査値は、以下の基準のいずれか1つが満たされる場合にのみ、AEとして記録すべきである:
・異常の結果として、研究薬に対する措置が取られる
・異常の管理のための介入が必要とされる
・調査者の判断で、異常が臨床的に重大であるとみなされるべきである
【0235】
臨床研究中に生じる重大な異常検査値は、反復の試験値が正常に戻る、安定する、又はもはや臨床的に重大でなくなるまで、追跡する。エラーと判定される任意の異常な試験結果はAEとして報告することを必要としない。
【0236】
継続期間、重症度、重篤度、及びIMPとの因果関係について各AEを評価すべきである。各AEについては、以下の情報が記録される/記録された:
・事象の説明(例えば、頭痛)
・発症日
・消散日(又は事象が継続していること)
・事象の結果として取った措置
・事象の重篤度
・事象の重症度
・事象の転帰
・IMPとの関係の調査者の評価
【0237】
単一の原因から生じる一群の徴候及び症状は、単一のAEとして報告すべきである/報告した(例えば、発熱、白血球[WBC]の上昇、咳、異常な胸部X線等は、すべて「肺炎」として報告し得る)。
【0238】
調査者は、AEの本質及び重症度を判断することができるように、患者のコメント及び治療に対する反応を慎重に評価した/評価する。AEとIMP投与との関係の問題は、利用可能なすべての事実の徹底的な考慮の後、調査者又は研究医師により判定されるべきである。
【0239】
重症度
AEの強度(重症度)を評価することは、調査者の責任である。
【0240】
AEの重症度は、以下の定義に従って、軽度、中等度、又は重度として特徴づける/特徴づけた:
・軽度:事象が、通常一過性で患者の日常活動を妨げない
・中等度:事象が、患者に対し低レベルの不都合又は懸念をもたらすか、又は日常活動を妨げ得る
・重度:事象が、患者の通常の日常活動を中断させるか、通常の活動ができない状態で無力化するか、又は臨床状態に重大な影響を与え、介入及び/又は綿密な追跡を必要とする 注:重度のAEは重篤である必要はなく、SAEは定義上、重度である必要はない。
【0241】
関係
IMPとAEとの関係を評価することは調査者の責任である。AEのIMPに対する「関連性」の程度は、以下の尺度を用いて説明し得る:
・関連なし:時間的関連性がなく、他の病因がおそらく原因である
・おそらく関連なし:IMPに関連しないと明確に判定することはできないが、因果関係が薄く、他の病因の方が原因である可能性が高い。報告及び概括については、IMPにおそらく関連なしと評価された事象は、IMPに関係なしとみなす。
・関連する可能性あり:時間的関連性があるが、他の病因がおそらく原因である。しかし、IMPの関与を排除することができない。
・おそらく関連あり:時間的関連性があり、他の病因が存在する可能性はあるが、おそらく存在しない。IMPが中止された場合、その事象は反応し得る。
・明確に関連あり:IMPの投与との確立された時間的関連性があり、他のより可能性が高い原因がない。典型的には、その事象は、IMPが中止されると消散し、リチャレンジすると再発するべきである。
【0242】
有害事象の監視及び追跡
AEを有する患者は、調査者により決定される関連の臨床評価及び検査室試験を用いて監視する/監視した。すべての追跡結果は、治験依頼者職員又は権限が与えられた医療モニターに報告した/報告する。取った任意の措置及び追跡結果は、eCRFの適切な頁又は適切な追跡の書面による通信、並びに患者の原始記録に記録しなければならない。追跡検査結果は、患者の原始記録とともにファイルすべきである。
【0243】
研究を中止することを患者に要するすべてのAEについては、事象が最終的に消散又は安定化するまで適切な間隔で関連の臨床評価及び検査室試験を反復しなければならない。
【0244】
研究の中止又は完了時に進行中のIMPに関連するAEを有する患者は、SAEを報告している患者を除き、消散又は研究完了後30日間、いずれか早い方まで追跡しなければならない(13.2.2節を参照)。
【0245】
治療下で発現した有害事象
TEAEは、SAPに定義するように最初の用量のIMP投与後開始又は悪化するAEと定義する。
【0246】
重篤な有害事象
重篤な有害事象の定義
SAEは、以下の転帰のいずれかをもたらす、任意の用量で生じる任意のAEと定義する:・死をもたらす
・生命を脅かす
・入院、又は既存の入院期間の延長を必要とする
・持続的又は重大な障害/無能力、又は通常の生活機能を行う能力の実質的な破壊をもたらす
・先天性異常/出生時欠損である
・重要な医療事象
【0247】
注:入院を伴わない緊急処置室受診は、入院基準を満たさないし、インフォームドコンセントの署名前に予定又は計画された選択的処置又は外来患者の処置のための入院もそれを満たさない。しかし、選択的手術又は外来患者の手術中に生じる予想外の合併症及び/又は入院期間の延長は、AEとして記録し重篤度について評価するべきである。社会的又は状況的理由(例えば、滞在する場所がない、あまりに遠くに住んでいるため病院受診のために来院できない)での入院は入院とみなさない。
【0248】
死をもたらさない、生命を脅かさない、又は入院を必要としないこともある重要な医療事象は、適切な医学的判断に基づき、それらが患者を危険にさらす可能性があり、この定義に挙げる転帰のうちの1つを防ぐために医学的又は外科的介入を必要とする可能性がある場合、SAEとみなし得る。これらの医療事象の例には、緊急処置室での集中治療を必要とするアレルギー性気管支痙攣、血液疾患、入院をもたらさない痙攣、又は薬物依存若しくは薬物乱用の発生が含まれる。
【0249】
特に注目すべき有害事象
特に注目すべき有害事象(AESI)は、他の脂質低減療法と関連するか、又は非臨床データに基づき重要であるとみなされる理由のために、このプロトコルに含まれる。このプロトコルについてのAESIには、代謝性アシドーシス(臨床検査値)、低血糖、筋肉(AE及びCK上昇)、肝臓、並びに神経認知/神経学的事象が含まれる。
【0250】
低血糖及び代謝性アシドーシス:これは、前臨床研究でサルの死をもたらした。これらの研究における暴露は、第1相及び第2相臨床研究におけるベンペド酸180mg用量に関連する暴露よりも17倍以上高かった;180mg用量は第3相において研究する用量である。後続のサル研究により、低血糖は、投与の中止及び経口グルコース投与により回復可能であることが証明された。低血糖又は代謝性アシドーシスの症例は、これまで、第1相又は第2相臨床試験において特定されていない。ベンペド酸臨床試験に登録したすべての患者は、代謝性アシドーシスの任意の潜在的リスクについて標準的な臨床化学により監視し、検出された場合には適切な追跡を行う。すべての臨床試験における患者には、立ちくらみ、震え、手の震え、発汗、刺痛、目のかすみ、吐き気若しくは嘔吐、精神錯乱、集中困難及び眠気を含む低血糖の徴候及び症状に関する情報を(ICDにおいて)提供する。調査施設は、これらの症状の報告を具体的に記録することを求められる。
【0251】
筋肉:筋肉事象は、スタチン(Thompson 2003)及び他の脂質低減療法と関連しており、これらの療法についての製品情報に言及される。AE確認を通した筋症状、CK上昇、及び潜在的な筋疾患の症状を、綿密に監視する。
【0252】
肝臓:肝機能は、臨床的安全性検査を用いて終始監視する。安全性臨床検査結果が>3×ULNである場合は、より詳細な調査を行う。
【0253】
神経認知事象:理論上、脳内のコレステロール恒常性を破壊する脂質低減薬は、神経学的機能に影響を与える可能性があり、スタチン薬の使用に関連した認知機能障害(例えば記憶喪失)が報告されている(FDA 2012)。事象の概括は、SAPにおいて概説する、事前に指定された医薬規制用語集(MedDRA)の用語を用いて行う。
【0254】
[統計学]
全般的な検討事項
この節に記載する統計分析は、本研究終了前に仕上げられるSAPにおいてさらに概説するように行う。データ分析についての計画において2つの文書間に何らかの相違がある場合は、SAPをプロトコルに優先する。SAPは、本プロトコルについての臨床研究報告書中に付録として含める。
【0255】
概して、連続変数についての要約の統計には、対象数、平均、中央値、標準偏差若しくは標準誤差、第1及び第3四分位数、最小値及び最大値が含まれる。カテゴリー変数については頻度及びパーセンテージを与える。
【0256】
標本サイズの決定
トリプレット療法群における40人のランダム化患者及びプラセボ群における20人のランダム化患者という標本サイズは、トリプレット療法群とプラセボ群との間の、LDL-C計算値のベースラインから6週目までの百分率変化における25%の相違を検出するために90%の検出力を提供することが予測される。この計算は、5%の有意水準、26%の一般的な標準偏差、及び10%の中断率における両側t検定に基づく。控えめであるが臨床的に意義がある25%の治療差は、他の有効性及び安全性情報を評価するのに妥当な標本サイズを持つために、選択される。
【0257】
分析集団
すべての有効性分析のために用いられる修正治療意図(mITT)集団は、IMPの少なくとも1回の投与を受け、IMPの投与後2日を超えて行われる任意の評価を除いたベースライン評価及び少なくとも1回のベースライン後評価を有する、すべてのランダム化患者と定義する。
【0258】
すべての安全性概要のために用いられる安全性集団(SP)は、研究医薬の少なくとも1回の投与を受けたすべてのランダム化患者と定義する。SPにおける患者は、患者のランダム化治療に関わらず、患者が実際に受けた治療群に含まれる。
【0259】
治験継続状況、人口統計学、及びベースライン特性
IMP及び研究からの離脱の理由を含む治験継続状況は、治療群により概括する。人口統計学的情報、及び、限定されないが、性別、人種、年齢、及びベースラインのバイタルサインを含む患者の特徴もまた、治療群により概括する。
【0260】
主要エンドポイント分析
主要有効性エンドポイントは、LDL-Cのベースラインから6週目までの百分率変化である。ベースラインは、-1週目(受診S2)及び投与前の1日目/0週目(受診T1)の値の平均と定義する。mITT集団を用い、主要エンドポイントのために、因子として治療群を、共変量としてベースラインLDL-Cを用いた共分散分析(ANCOVA)を行い、プラセボに対するトリプレット療法を比較する(14.3節)。6週目における欠損値は、最終観測値繰り越し(last observation carried forward、LOCF)法(ベースライン後の値のみが繰り越される)を用いて補完する。双方の治療群について、最小二乗平均(LSM)及び標準誤差(SE)を、プラセボ補正後のLSM、その95%信頼区間(CI)、及び関連p値と共に与える。
【0261】
副次的有効性エンドポイント分析
追加の脂質及び心代謝バイオマーカーのベースラインから6週目までの百分率変化を含む、副次的有効性エンドポイントは、主要有効性エンドポイントと同様に分析する。非HDL-C、HDL-C、TC及びTGについてのベースラインは、-1週目(受診S2)及び投与前の1日目/0週目(受診T1)の値の平均と定義し、ApoB及びhs-CRPについてのベースラインは、投与前の1日目/0週目(受診T1)の値と定義する。
【0262】
主要及び副次的有効性エンドポイントの統計的検定は、両側であり、多重比較のための調整なしで5%の有意水準で行う。
【0263】
安全性エンドポイント
安全性エンドポイントについては、記述的概要を与える。
【0264】
MedDRAを用いてすべてのAEを器官別大分類(SOC)及び基本語(preferred term)にコード化する。
【0265】
AEの概括には、SAPに定義するように最初の用量のIMP投与後開始又は悪化するAEと定義するTEAEのみが含まれる。すべてのTEAE、SAE、IMPの使用中止をもたらすAE、致命的なAE、及び特に注目すべきAEは、治療群毎に頻度の高い順にSOC及び基本語により概括する。
【0266】
血液学、血液化学、グルコース及び尿検査を含む臨床的安全性の検査値;PE所見;バイタルサイン;及び体重は、各ベースライン後の時点における値及びその値のベースラインからの変化又は百分率変化(適切な場合)により概括する。
【0267】
研究の倫理的実施(Ethical Conduct)
調査者は、プロトコルに署名する際、ヘルシンキ宣言の最新改訂版に起源を有し、GCP、適用される規制要件、並びにIRB審査のための倫理的要件及びICDにより概説される方針及び手順と一致する倫理原則に従って、研究を行うことに同意する。
【0268】
調査者は、治験依頼者又は権限が与えられたその代理人によるすべての不可欠な臨床研究書類の監視及び監査、並びにFDAによる査察を許可することに同意する。治験依頼者又は権限が与えられた指名人による監視及び監査訪問は、研究を通して定期的に互いに好ましい時間に、適切な職員とともに予定される。
【0269】
調査者は、他の適切な資格を有する個人に委任された研究関連の義務の遂行及び実施を含む研究の適切な遂行及び実施を確実にする。調査者は、研究スタッフが監視及び監査に協力することを確実にし、研究患者のリクルート及びスクリーニング時に適切な注意(due diligence)を示す。調査者は、「調査者の署名」の頁(付録3を参照)に署名し治験依頼者に返送し、現在の履歴書の写しを提供しなければならない。本研究及びIND下で実施するすべての研究について、調査者は署名し、治験依頼者(又は指名人)に記入済みのフォームFDA 1572「調査者の宣言(Statement of Investigator)」を返送しなければならない。
【0270】
書面によるインフォームドコンセント
各施設における調査責任者は、患者が、研究の性質、目的、潜在的なリスク及び利益についての十分かつ適切な口頭及び書面による情報を与えられることを確実にする。患者はまた、いつでも自由に研究を中止できることを明確に理解しなければならない。患者には、質問をする機会を与え、提供した情報を考慮する時間を与えるべきである。
【0271】
患者が署名し日付を記入したインフォームドコンセントは、治験依頼者が同意したICDについての任意の研究手順を行う前に取得しなければならない。研究の実施中のICDの更新は、治験依頼者から調査者への書簡により連絡される。ICDは、患者集団の適切な言語で提供するべきである。
【0272】
調査責任者は、原本の署名されたICDを保持しなければならない。患者には署名されたICDの写しを与えなければならない。
【0273】
患者の機密性
調査者は、患者の機密性が保持されることを確実にしなければならない。
【0274】
すべての調査患者の名前及び身元は極秘に保たれ、治験依頼者(又は指名人)に提供されるか、又はそれにより保持されるeCRF又は他の記録上に現れない。患者の名前が任意の書類上に現れる場合、その書類の写しを治験依頼者(又は指名人)に提供する前に、それを編集し患者の識別子に置き換えなければならない。ICDには、患者のデータは機密であり、患者の機密性を確実にするためにどのような措置を取るかを説明する適切な記述が含まれなければならない。
【0275】
施設、IRB、又は現地の規制により特定される任意の他の機密性要件は、忠実に守り、ICD中に適切に詳述する。
【0276】
【表7】
【0277】
<実施例2:臨床データ>
臨床研究及び結果の簡単な説明。
【表8】
【0278】
【表9】
【0279】
【表10】
【0280】
【表11】
【0281】
【表12】
【0282】
【表13】
【0283】
【表14】
【0284】
【表15】
【0285】
【表16】
【0286】
概要
・ベンペド酸180mg、エゼチミブ10mg、及びアトルバスタチン20mgにより:
・p<0.001で、ベースラインに比べ64%(プラセボ調整後61%)、LDL-Cが有意に低減した
・p<0.001で、48%、hsCRPが有意に低下した
・総コレステロール、非HDL-C及びapoBが有意に低減した
・95%の患者が>50%のLDL-C低下を有した
・プラセボに匹敵する、安全性プロファイルを有し良好な耐性を示した
【0287】
【表17】
【0288】
結論
・ベンペド酸+エゼチミブ+アトルバスタチン20mgにより、LDL-CとhsCRPの両方が有意に低減した。LDL-Cに対する当該効果は、治療されるすべての患者にわたって一貫していた。
・研究1002-038からのデータは、ベンペド酸+エゼチミブ+アトルバスタチン20mgの使用により最適な忍容性及び安全性が達成されたことを実証する。
・ベンペド酸及びエゼチミブは、最も頻繁に処方されるスタチン及び用量であるアトルバスタチン20mgのLDL-C低減効果を補完した。
・本研究で評価するレジメン等の経口組み合わせ療法は、LDL-C上昇を有する大多数の患者の需要を満たす可能性があり得、経口による1日1回の療法は、より多くの経口の選択肢及び柔軟性を医師に提供し、支払人が現在の制約された健康管理環境において望む価格決定を支払人に提供する。
【0289】
本開示は、好ましい実施形態及び様々な代替の実施形態を参照して具体的に示され、説明されたが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく形態及び詳細の様々な変更がそこになされ得ることは、関連分野における当業者により理解されるだろう。
【0290】
本明細書の本文中で引用したすべての参考文献、発行された特許及び特許出願は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は以下の態様も提供する。
[1] それを必要とする対象において心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる方法であって、前記方法は、ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、及び1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体を対象に投与することを含み、前記投与は、対象において心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる、方法。
[2] 投与されるエゼチミブの用量が、少なくとも1週間一定である、[1]に記載の方法。
[3] 投与されるETC-1002の用量が、少なくとも1週間一定である、[1]に記載の方法。
[4] 投与されるスタチンの用量が、少なくとも1週間一定である、[1]に記載の方法。
[5] 投与されるスタチン、エゼチミブ及びETC-1002の用量が、少なくとも1週間それぞれ一定である、[1]に記載の方法。
[6] 投与されるスタチン、エゼチミブ及びETC-1002の用量が、少なくとも3週間それぞれ一定である、[1]に記載の方法。
[7] 投与量当たりのETC-1002の量が、180mg又は120mgである、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 投与量当たりのETC-1002の量が、40mg~90mgである、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[9] 投与量当たりのエゼチミブの量が、10mgである、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10] 投与量当たりのスタチンの量が、1mg~80mgである、[1]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11] 前記投与が、ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、及び1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体の固定用量配合製剤(fixed-dose combination formulation)を対象に投与することを含む、[1]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12] 対象における低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルが、同一用量のスタチン及びエゼチミブが投与されるがETC-1002が投与されない適合対照(matched control)の対象のLDL-Cレベルを下回る、[1]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13] 対象における低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルが、対象におけるベースラインのLDL-Cレベルに比べ64%低下する、[12]に記載の方法。
[14] 対象における超低密度リポタンパク質(VLDL)レベルが、同一用量のスタチン及びエゼチミブが投与されるがETC-1002が投与されない適合対照の対象のVLDLレベルを下回る、[1]~[13]のいずれかに記載の方法。
[15] 対象におけるVLDL粒子数が、同一用量のスタチン及びエゼチミブが投与されるがETC-1002が投与されない適合対照の対象のVLDL粒子数を下回る、[1]~[14]のいずれかに記載の方法。
[16] 対象におけるVLDL粒子の大きさが、同一用量のスタチン及びエゼチミブが投与されるがETC-1002が投与されない適合対照の対象のVLDL粒子の大きさを下回る、[1]~[15]のいずれかに記載の方法。
[17] 対象におけるアポリポタンパク質A-1(ApoA1)レベルが、同一用量のスタチン及びエゼチミブが投与されるがETC-1002が投与されない適合対照の対象のApoA1レベルよりも高い、[1]~[16]のいずれかに記載の方法。
[18] 対象におけるアポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比率が、同一用量のスタチン及びエゼチミブが投与されるがETC-1002が投与されない適合対照の対象の前記比率を下回る、[1]~[17]のいずれかに記載の方法。
[19] 対象におけるアポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比率が、同一用量のスタチン及びエゼチミブが投与されるがETC-1002が投与されない適合対照の対象の前記比率から有意に変化しない、[1]~[17]のいずれかに記載の方法。
[20] 対象におけるアポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比率が、同一用量のスタチン及びエゼチミブが投与されるがETC-1002が投与されない適合対照の対象の前記比率から増大する、[1]~[16]のいずれかに記載の方法。[21] 対象におけるアポリポタンパク質B(ApoB)レベルが、対象におけるベースラインのApoBレベルに比べ54%低下する、[1]~[16]のいずれかに記載の方法。
[22] 対象におけるトリグリセリド(TG)レベルが、同一用量のスタチン及びエゼチミブが投与されるがETC-1002が投与されない適合対照の対象のTGレベルを下回る、[1]~[21]のいずれかに記載の方法。
[23] 対象におけるトリグリセリド(TG)レベルが、対象におけるベースラインのTGレベルに比べ27%低下する、[1]~[22]のいずれかに記載の方法。
[24] 対象における総コレステロール(TC)レベルが、同一用量のスタチン及びエゼチミブが投与されるがETC-1002が投与されない適合対照の対象のTCレベルを下回る、[1]~[23]のいずれかに記載の方法。
[25] 対象における総コレステロール(TC)レベルが、対象におけるベースラインのTCレベルに比べ47%低下する、[1]~[24]のいずれかに記載の方法。
[26] 対象における高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベルが、同一用量のスタチン及びエゼチミブが投与されるがETC-1002が投与されない適合対照の対象のhs-CRPレベルを下回る、又はそれから変化しない、[1]~[25]のいずれかに記載の方法。
[27] 対象における高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベルが、ベースラインに比べ54%低下する、[1]~[26]のいずれかに記載の方法。
[28] 対象における非HDL-Cレベルが、同一用量のスタチン及びエゼチミブが投与されるがETC-1002が投与されない適合対照の対象の非HDL-Cレベルを下回る、[1]~[27]のいずれかに記載の方法。
[29] 対象における非HDL-Cレベルが、対象におけるベースラインの非HDL-Cレベルに比べ60%低下する、[1]~[28]のいずれかに記載の方法。
[30] 対象がスタチン不耐性である、[1]~[29]のいずれかに記載の方法。
[31] 対象がスタチンの使用に関連する筋関連有害事象を患う、[1]~[30]のいずれかに記載の方法。
[32] 対象が高コレステロール血症を有する、[1]~[31]のいずれかに記載の方法。
[33] 対象が高脂血症を有する、[1]~[32]のいずれかに記載の方法。
[34] 対象が脂質異常症又は混合型脂質異常症を有する、[1]~[33]のいずれかに記載の方法。
[35] 対象がアテローム硬化性心血管疾患を有する、[1]~[34]のいずれかに記載の方法。
[36] 対象がヒトである、[1]~[35]のいずれかに記載の方法。
[37] ETC-1002、エゼチミブ、及びスタチンが、単一の医薬製剤において投与される、[1]~[36]のいずれかに記載の方法。
[38] スタチンがアトルバスタチンである、[1]~[37]のいずれかに記載の方法。[39] ETC-1002の量が180mg、エゼチミブの量が10mgである、[1]~[38]のいずれかに記載の方法。
[40] 前記方法が、投与の6週間後に、対象におけるベースラインのLDL-Cレベルに比べ、LDL-Cレベルを50%低減させる、[1]~[41]のいずれかに記載の方法。
[41] ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、及び1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体を含む、医薬製剤。
[42] ETC-1002の量が180又は120mgである、[41]に記載の組成物。
[43] ETC-1002の量が40mg~90mgである、[41]に記載の組成物。
[44] エゼチミブの量が10mgである、[41]に記載の組成物。
[45] スタチンの量が1mg~80mgである、[41]に記載の組成物。
[46] スタチンが、アトルバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、レスバスタチン(resuvastatin)、及びピタバスタチンから成る群から選択される、[41]~[45]のいずれかに記載の組成物。
[47] スタチンがアトルバスタチンである、[41]~[45]のいずれかに記載の組成物。
[48] アトルバスタチンの量が10~80mgである、[47]に記載の組成物。
[49] スタチンがシンバスタチンである、[41]~[45]のいずれかに記載の組成物。[50] シンバスタチンの量が10~40mgである、[49]に記載の組成物。
[51] スタチンがフルバスタチンである、[41]~[45]のいずれかに記載の組成物。[52] フルバスタチンの量が20~80mgである、[51]に記載の組成物。
[53] スタチンがレスバスタチンである、[41]~[45]のいずれかに記載の組成物。[54] ロスバスタチンの量が5~40mgである、[53]に記載の組成物。
[55] スタチンがピタバスタチンである、[41]~[45]のいずれかに記載の組成物。[56] ピタバスタチンの量が1~4mgである、[55]に記載の組成物。
[57] それを必要とする対象において心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させるための方法であって、前記方法は、ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、PCSK9阻害剤抗体療法、及び1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体を対象に施与することを含み、前記施与は、対象において心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる、方法。
[58] 抗体療法が2週間に1回施与される、[57]に記載の方法。
[59] 抗体療法が4週間に1回施与される、[57]に記載の方法。
[60] それを必要とする対象において心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させるための方法であって、前記方法は、ETC-1002、エゼチミブ、スタチン、スタチン及び/若しくはエゼチミブ以外の承認された脂質調整療法、並びに1種以上の医薬品賦形剤若しくは担体を対象に施与することを含み、前記施与は、対象において心血管疾患を治療又はそのリスクを低下させる、方法。
[61] [41]~[56]のいずれかに記載の組成物及び使用説明書を含むキット。
【0291】
引用文献
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