(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040247
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】CD20結合単一ドメイン抗体
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20230314BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20230314BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20230314BHJP
A61K 33/243 20190101ALI20230314BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20230314BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20230314BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20230314BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230314BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230314BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20230314BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230314BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230314BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230314BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230314BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230314BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230314BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20230314BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230314BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20230314BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20230314BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230314BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230314BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230314BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230314BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230314BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20230314BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230314BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20230314BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230314BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230314BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230314BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230314BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20230314BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20230314BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230314BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230314BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230314BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230314BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230314BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20230314BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K31/704 ZNA
A61K33/24
A61K33/243
A61K38/19
A61K38/20
A61K38/21
A61K39/395 T
A61K45/00
A61K45/06
A61P35/00
A61P35/02
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/16
A61P1/18
A61P3/02
A61P3/10
A61P7/04
A61P7/06
A61P9/10
A61P11/00
A61P11/06
A61P13/12
A61P17/00
A61P17/04
A61P19/02
A61P19/08
A61P21/00
A61P25/00
A61P29/00
A61P31/00
A61P31/18
A61P31/22
A61P37/02
A61P37/08
A61P43/00 121
C07K16/28
C12N15/13
C12P21/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003750
(22)【出願日】2023-01-13
(62)【分割の表示】P 2018545490の分割
【原出願日】2017-03-07
(31)【優先権主張番号】16158962.7
(32)【優先日】2016-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16166206.9
(32)【優先日】2016-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518275408
【氏名又は名称】ブイアイビー ブイゼットダブリュー
(71)【出願人】
【識別番号】516003702
【氏名又は名称】ユニバーシテイト ヘント
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】タベルニエル,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】カウウェルズ,アンジェ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル ハイデン,ホセ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】がん等のCD20陽性細胞に結合し、細胞の死をもたらす、CD20結合剤を提供する。
【解決手段】3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)を含む少なくとも1つの標的化部分を含むCD20結合剤であって、3つの相補性決定領域は、それぞれ、特定の配列群のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む、CD20結合剤を提供する。一実施形態では、標的化部分は、単一ドメイン抗体(VHHまたはナノボディ)である。いくつかの実施形態では、これらのCD20結合剤は、CD20に結合するが、CD20を機能的に調節する(例えば、部分的または完全に中和する)ことはない。いくつかの実施形態では、CD20結合剤は、CD20陽性細胞に結合し、結果としてCD20陽性細胞の死をもたらす。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本出願の明細書または図面に記載される発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分的に、CD20に結合する結合剤(例えば、これに限定するものではないが、VHHなどの抗体)および治療剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
CD20は、Bリンパ球の表面上に発現される膜貫通タンパク質である。これは、CD20の発現が消失する段階である、前駆B期初期から形質細胞への最終分化までのBリンパ球の発生中に発現する。また、CD20は、悪性B細胞上にも発現する。特に、CD20は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)細胞の90%以上およびB型慢性リンパ球性白血病(B-CLL)細胞の95%以上で発現する。
【0003】
CD20に向けられた抗体は、B細胞由来白血病およびリンパ腫の治療に使用される。具体的には、リツキシマブ(Rituxan)は、CD20に対して向けられている、遺伝子操作されたキメラマウス/ヒトモノクローナル抗体である。リツキシマブは現在、再発性または難治性の濾胞性リンパ腫の治療薬として承認されている。リツキシマブを毎週注入することで、結果として全体的な奏功率が48%となったことが報告されている。しかし、多くの患者はリツキシマブ治療に反応しない。さらに、応答する患者は、多くの場合リツキシマブに対する耐性が発現し、最終的には再発する。さらに、リツキシマブは、正常なCD20陽性細胞を非特異的に死滅させ、これにより有意な毒性および副作用が生じると考えられている。
【0004】
従って、副作用を最小限に抑えながら高い特異性でCD20発現悪性細胞に結合することができる治療上有効なCD20結合剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
様々な態様において、本発明は、CD20に特異的に結合する少なくとも1つの標的化部分を有するCD20結合剤に関する。一実施形態では、標的化部分は、単一ドメイン抗体(VHHまたはナノボディ)である。いくつかの実施形態では、これらのCD20結合剤は、CD20に結合するが、CD20を機能的に調節する(例えば、部分的または完全に中和する)ことはない。いくつかの実施形態では、CD20結合剤は、CD20陽性細胞に結合し、結果としてCD20陽性細胞の死をもたらす。
【0006】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、修飾され得るシグナル伝達剤、例えばこれらに限定するものではないがインターフェロン、インターロイキン、および腫瘍壊死因子をさらに含む。様々な実施形態では、CD20結合剤は、目的の他の標的(例えば、抗原、受容体)に結合する追加の標的化部分を含む。一実施形態では、目的の他の標的(例えば、抗原、受容体)が腫瘍細胞上に存在する。別の実施形態では、目的の他の標的(例えば、抗原、受容体)が免疫細胞上に存在する。
【0007】
様々な実施形態では、本発明のCD20結合剤は、CD20を発現する細胞を含む様々な疾患または障害の治療での使用が見出されている。いくつかの実施形態では、このような疾患または障害としては、癌、感染症、免疫障害、ならびに他の疾患および障害が挙げられる。様々な実施形態では、本発明は、様々な治療方法を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】陽性コロニーのペリプラズム抽出物を用いた細胞ELISAアッセイの結果を示す図である。ヒストグラムの各セットについて、第1の棒グラフはCHO-K1-hCD20であり、第2の棒グラフはCHO-K1である。クローンは、陰性対照の親細胞で得られたシグナルより少なくとも2倍高いトランスフェクトされた細胞でシグナルを与える場合には、特異的であると考えられる。さらに、シグナルの相対強度は、ナノボディの相対的な品質を反映しない場合がある。なぜなら、これらの実験では、粗製ペリプラズム抽出物が使用され、ELISAシグナルの差は、親和性、実際の収量などの品質よりもむしろ、VHHの使用量などの因子に関連し得るためによる。
【
図2】ヒトCD20に特異的な17の異なるVHHのヌクレオチド配列を示す図である。VHHは、2HCD16、2HCD17、2HCD22、2HCD25、2HCD35、2HCD40、2HCD42、2HCD43、2HCD59、2HCD68、2HCD73、2HCD78、2HCD81、2HCD88、R3CD7、R3CD18、R3CD105である。ギャップは、配列を整列させるために導入された。
【
図3】ヒトCD20に特異的な17の異なるVHHのアミノ酸配列を示す図である。VHHは、2HCD16、2HCD17、2HCD22、2HCD25、2HCD35、2HCD40、2HCD42、2HCD43、2HCD59、2HCD68、2HCD73、2HCD78、2HCD81、2HCD88、R3CD7、R3CD18、R3CD105である。相補性決定領域(CDR1、CDR2およびCDR3)には、下線が引かれ、Kabatに従って定義される。ペプチドAAA配列は、VHH配列をHAタグ(太字で示す)およびHis6タグ(カルボキシ末端)に連結するリンカーである。ギャップは、配列を整列させるために導入された。
【
図4】陽性コロニーのペリプラズム抽出物を用いた細胞ELISAアッセイの結果を示す図である。ヒストグラムの各セットについて、第1の棒グラフはCHO-K1-mCD20であり、第2の棒グラフはCHO-K1である。クローンは、陰性対照の親細胞で得られたシグナルより少なくとも2倍高いトランスフェクトされた細胞でシグナルを与える場合には、特異的であると考えられる。さらに、シグナルの相対強度は、VHHの相対的な品質を反映しない場合がある。なぜなら、これらの実験では、粗製ペリプラズム抽出物が使用され、ELISAシグナルの差は、親和性、実際の収量などの品質よりもむしろ、VHHの使用量などの因子に関連し得るためによる。本図で使用されているナノボディは、ラクダ科のVHHに相当する。
【
図5】ビオチン化マウスCD20ペプチドでスクリーニングした陽性コロニーのペリプラズム抽出物を用いた細胞ELISAアッセイの結果を示す図である。ヒストグラムの各セットについて、第1の棒グラフはCHO-K1-mCD20であり、第2の棒グラフはCHO-K1である。クローンは、陰性対照の親細胞で得られたシグナルより少なくとも2倍高いトランスフェクトされた細胞でシグナルを与える場合には、特異的であると考えられる。さらに、シグナルの相対強度は、VHHの相対的な品質を反映しない場合がある。なぜなら、これらの実験では、粗製ペリプラズム抽出物が使用され、ELISAシグナルの差は、親和性、実際の収量などの品質よりもむしろ、VHHの使用量などの因子に関連し得るためによる。本図で使用されているナノボディは、ラクダ科のVHHに相当する。
【
図6】マウスCD20に特異的な21の異なるVHHのヌクレオチド配列を示す図である。VHHは、R2MUC21、R2MUC36、R2MUC70、R2MUC85、R3MUC17、R3MUC22、R3MUC56、R3MUC57、R3MUC58、R3MUC66、R3MUC75、2MC20、2MC38、2MC39、2MC42、2MC51、2MC52、2MC57、2MC82、R3MCD22、R3MCD137である。ギャップは、配列を整列させるために導入された。
【
図7】マウスCD20に特異的な21の異なるVHHのアミノ酸配列を示す図である。VHHは、R2MUC21、R2MUC36、R2MUC70、R2MUC85、R3MUC17、R3MUC22、R3MUC56、R3MUC57、R3MUC58、R3MUC66、R3MUC75、2MC20、2MC38、2MC39、2MC42、2MC51、2MC52、2MC57、2MC82、R3MCD22、R3MCD137である。相補性決定領域(CDR1、CDR2およびCDR3)には、下線が引かれ、Kabatに従って定義される。ペプチドAAA配列は、VHH配列をHAタグ(太字で示す)およびHis6タグ(カルボキシ末端)に連結するリンカーである。ギャップは、配列を整列させるために導入された。
【
図8】選択された抗ヒトCD20 VHHの結合データを示す図である。左のピークは、トランスフェクトされていない親のCHO-K1を表す。中央のピークはマウスCD20発現CHO-K1を表し、右のピークはヒトCD20発現CHO-K1を表す。
【
図9】選択された抗マウスCD20 VHHの結合データを示す図である。左のピークは、トランスフェクトされていない親のCHO-K1を表す。中央のピークはヒトCD20発現CHO-K1を表し、右のピークはマウスCD20発現CHO-K1を表す。
【
図10】A20リンパ腫モデルにおけるキメラCD20 VHHのin vivo抗腫瘍能を示す図である。hCD20NbはヒトCD20に対する2HCD25 VHHを指し、mCD20 NbはマウスCD20に対する2MC57 VHHを指す。mIFNは野生型マウスIFNを指す。AcTAferonは突然変異体Q124Rインターフェロンを指す。Nbはナノボディ(Nanobody)の略語であり、本明細書ではVHHに相当するものとして使用される。
【
図11】B16メラノーマモデルにおけるキメラCD20 VHHのin vivo抗腫瘍能を示す図である。hCD20NbはヒトCD20に対する2HCD25 VHHを指し、mCD20 NbはマウスCD20に対する2MC57 VHHを指す。mIFNは野生型マウスIFNを指す。AcTAferonは突然変異体Q124Rインターフェロンを指す。Nbはナノボディの略語であり、本明細書ではVHHに相当するものとして使用される。
【
図12】
図11に示すB16メラノーマモデルにおけるキメラCD20 VHHの抗腫瘍効果が、生命を脅かす副作用を同時に引き起こさないことを示す図である。Nbはナノボディの略語であり、本明細書ではVHHに相当するものとして使用される。
【
図13】キメラCD20 VHHが部分的B細胞枯渇を誘導することを示す図である。
【
図13-2】キメラCD20 VHHが部分的B細胞枯渇を誘導することを示す図である。
【
図14】ドキソルビシン(dox)と組み合わせたキメラCD20 VHHの抗腫瘍能を示す図である。Nbはナノボディの略語であり、本明細書ではVHHに相当するものとして使用される。
【
図15】
図14に示すドキソルビシンと組み合わせたキメラCD20 VHHの抗腫瘍能が、生命を脅かす副作用を同時に引き起こさないことを示す図である。
【
図15-2】
図14に示すドキソルビシンと組み合わせたキメラCD20 VHHの抗腫瘍能が、生命を脅かす副作用を同時に引き起こさないことを示す図である。
【
図15-3】
図14に示すドキソルビシンと組み合わせたキメラCD20 VHHの抗腫瘍能が、生命を脅かす副作用を同時に引き起こさないことを示す図である。
【
図16】腫瘍壊死因子と組み合わせたキメラCD20 VHHの抗腫瘍能を示す図である。Nbはナノボディの略語であり、本明細書ではVHHに相当するものとして使用される。
【
図17】
図16に示すような腫瘍壊死因子と組み合わせたキメラCD20 VHHの抗腫瘍能が、生命を脅かす副作用を同時に引き起こさないことを示す図である。Nbはナノボディの略語であり、本明細書ではVHHに相当するものとして使用される。
【
図17-2】
図16に示すような腫瘍壊死因子と組み合わせたキメラCD20 VHHの抗腫瘍能が、生命を脅かす副作用を同時に引き起こさないことを示す図である。Nbはナノボディの略語であり、本明細書ではVHHに相当するものとして使用される。
【
図17-3】
図16に示すような腫瘍壊死因子と組み合わせたキメラCD20 VHHの抗腫瘍能が、生命を脅かす副作用を同時に引き起こさないことを示す図である。Nbはナノボディの略語であり、本明細書ではVHHに相当するものとして使用される。
【
図18】抗PD-L1ラクダ科VHHと組み合わせたキメラCD20 VHHの抗腫瘍能を示す図である。Nbはナノボディの略語であり、本明細書ではVHHに相当するものとして使用される。
【
図19】抗PD-L1ラクダ科VHHおよびTreg細胞枯渇と組み合わせたキメラCD20 VHHの抗腫瘍能を示す図である。
【
図20】B16メラノーマモデルにおける全身投与されたキメラCD20 VHHの抗腫瘍能を示す図である。Nbはナノボディの略語であり、本明細書ではVHHに相当するものとして使用される。
【
図21】突然変異体インターフェロン(すなわち、hCD20-AcTa)に融合したキメラCD20 VHHの抗腫瘍効果が、B細胞枯渇を必要としないことを示す図である。
【
図22】突然変異体インターフェロン(すなわち、hCD20-AcTa)に融合したキメラCD20 VHHの抗腫瘍効果が、B細胞枯渇を必要としないことを示す図である。
【
図23】実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルを用いたキメラCD20 VHHの有効性を示す図である。
【
図23-2】実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルを用いたキメラCD20 VHHの有効性を示す図である。
【
図24】抗PD-L1ラクダ科VHHと組み合わせたIFNα2に融合したキメラCD20 VHHの抗腫瘍効果を示す図である。実験は実施例4に描写したように行った。パネルAは、キメラCD20 VHH(すなわち、AcTaferon:突然変異体IFNα2-Q124Rに融合した2MC57 VHH)および抗PD-L1ラクダ科VHHを用いた併用療法が強力な抗腫瘍活性を呈し、38日目(または投薬後23日目)までに腫瘍の再発を伴わないことを実証することによって、
図18に示すデータを補うものである。パネルBは、野生型IFNでの処置と比較して、有意な体重減少がなく、併用療法では耐容性が良好であることを示す。Nbはナノボディの略語であり、本明細書ではVHHに相当するものとして使用される。
【
図24-2】抗PD-L1ラクダ科VHHと組み合わせたIFNα2に融合したキメラCD20 VHHの抗腫瘍効果を示す図である。実験は実施例4に描写したように行った。パネルAは、キメラCD20 VHH(すなわち、AcTaferon:突然変異体IFNα2-Q124Rに融合した2MC57 VHH)および抗PD-L1ラクダ科VHHを用いた併用療法が強力な抗腫瘍活性を呈し、38日目(または投薬後23日目)までに腫瘍の再発を伴わないことを実証することによって、
図18に示すデータを補うものである。パネルBは、野生型IFNでの処置と比較して、有意な体重減少がなく、併用療法では耐容性が良好であることを示す。Nbはナノボディの略語であり、本明細書ではVHHに相当するものとして使用される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本出願は、部分的には、CD20を認識してCD20に結合する剤(例えば、非限定的例として、VHHまたはナノボディなどの抗体)の発見に基づく。様々な実施形態では、これらのCD20結合剤はCD20に結合するが、CD20を機能的に調節することはない。様々な実施形態では、これらのCD20結合剤は、治療作用(例えば、腫瘍または腫瘍微小環境)を必要とする部位に免疫細胞を結合させ、直接的に、または間接的に動員させ得る。様々な実施形態では、CD20結合剤はCD20陽性細胞に結合し、結果としてこのような細胞の死をもたらす。本出願は、CD20結合剤を含む医薬組成物、および様々な疾患の治療におけるそれらの使用を提供する。様々な実施形態では、CD20結合剤は、本明細書に記載されているような修飾型シグナル伝達剤を有するキメラタンパク質の一部である。
【0010】
CD20結合剤
様々な実施形態では、本発明のCD20結合剤は、CD20に特異的に結合することができるタンパク質ベースの剤である。様々な実施形態では、本発明のCD20結合剤は、CD20を中和することなく、CD20に特異的に結合できるタンパク質ベースの剤である。CD20は、膜貫通4-A(MS4A)ファミリーの非グリコシル化メンバーである。これはマウスおよびヒトの両方においてB細胞特異的分化抗原として機能する(Stashenkoら、1980年;Oettgenら、1983年;Ishibashiら、2001年)。特に、ヒトCD20 cDNAは、4つの疎水性膜貫通ドメイン、2つの細胞外ループおよび細胞内N-およびC-末端領域からなる膜貫通タンパク質をコードする(Einfieldら、1988年)。
【0011】
様々な実施形態では、本出願のCD20結合剤は、CD20上に存在するエピトープを認識する抗原認識ドメインを有する標的化部分を含む。一実施形態では、抗原認識ドメインは、CD20上に存在する1つ以上の線状エピトープを認識する。本明細書中で使用される場合、線状エピトープは、CD20上に存在する任意の連続アミノ酸配列を指す。別の実施形態では、抗原認識ドメインは、CD20上に存在する1つ以上の立体配座エピトープを認識する。本明細書中で使用される場合、立体配座エピトープは、抗原認識ドメインによって認識され得る特徴および/または形状および/または三次構造を有する三次元表面を形成するアミノ酸(不連続であってもよい)の1つ以上のセクションを指す。
【0012】
様々な実施形態では、本出願のCD20結合剤は、CD20(例えば、ヒトCD20)の全長および/または成熟形態および/またはアイソフォームおよび/またはスプライス多様体および/または断片および/または任意の他の天然に存在するか、または合成の類似体、多様体、または突然変異体に結合し得る。様々な実施形態では、本出願のCD20結合剤は、単量体、二量体、三量体、四量体、ヘテロ二量体、多量体および会合形態など、任意の形態のCD20(例えば、ヒトCD20)に結合し得る。一実施形態では、CD20結合剤は、CD20の単量体型に結合する。別の実施形態では、CD20結合剤は、CD20の二量体型に結合する。別の実施形態では、CD20結合剤は、CD20の四量体型に結合する。さらなる実施形態では、CD20結合剤は、単量体、二量体または三量体のいずれかであり得るリン酸化形態のCD20に結合する。
【0013】
一実施形態では、本発明のCD20結合剤は、ヒトCD20上に存在する1つ以上のエピトープを認識する抗原認識ドメインを有する標的化部分を含む。一実施形態では、ヒトCD20は、以下のアミノ酸配列を含む:
MTTPRNSVNGTFPAEPMKGPIAMQSGPKPLFRRMSSLVGPTQSFFMRESKTLGAVQIMNGLFHIALGGLLMIPAGIYAPICVTVWYPLWGGIMYIISGSLLAATEKNSRKCLVKGKMIMNSLSLFAAISGMILSIMDILNIKISHFLKMESLNFIRAHTPYINIYNCEPANPSEKNSPSTQYCYSIQSLFLGILSVMLIFAFFQELVIAGIVENEWKRTCSRPKSNIVLLSAEEKKEQTIEIKEEVVGLTETSSQPKNEEDIEIIPIQEEEEEETETNFPEPPQDQESSPIENDSSP。
【0014】
様々な実施形態では、本発明のCD20結合剤は、特異的結合が可能な標的化部分を含む。様々な実施形態では、CD20結合剤は、抗体またはその誘導体などの抗原認識ドメインを有する標的化部分を含む。一実施形態では、CD20結合剤は、抗体である標的化部分を含む。様々な実施形態では、抗体は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む完全長多量体タンパク質である。各重鎖は、1つの可変領域(例えばVH)および少なくとも3つの定常領域(例えばCH1、CH2およびCH3)を含み、各軽鎖は1つの可変領域(VL)および1つの定常領域(CL)を含む。可変領域は、抗体の特異性を決定する。各可変領域は、4つの比較的保存されたフレームワーク領域(FR)によって隣接された相補性決定領域(CDR)としても公知である3つの超可変領域を含む。CDR1、CDR2、およびCDR3と称される3つのCDRは、抗体結合特異性に寄与する。いくつかの実施形態では、抗体はキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はヒト化抗体である。
【0015】
いくつかの実施形態では、CD20結合剤は、抗体誘導体またはフォーマットである標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、本発明のCD20結合剤は、標的化部分を含み、標的化部分は、単一ドメイン抗体、組換え重鎖のみ抗体(VHH)、一本鎖抗体(scFv)、サメ重鎖のみの抗体(VNAR)、マイクロタンパク質(システインノットタンパク質、ノッティン)、DARPin;テトラネクチン;アフィボディー;アフィマー、トランスボディー;アンティカリン;アドネクチン;アフィリン;マイクロボディー;ペプチドアプタマー;オルタラーゼ(alterase)、プラスチック抗体;フィロマー(phylomer);ストラドボディ(stradobody);マキシボディ(maxibody);エビボディ(evibody);フィノマー(fynomer)、アルマジロリピートタンパク質、クニッツ型ドメイン、アビマー、アトリマー、プロボディ、免疫抗体、トリオマブ(triomab)、トロイボディ(troybody);ペプボディ(pepbody);vaccibody、UniBody;DuoBody、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、ペプチド模倣分子、または合成分子である。これらは、米国特許、または米国特許公開第7,417,130号、第2004/132094号、第5,831,012号、第2004/023334号、第7,250,297号、第6,818,418号、第2004/209243号、第7,838,629号、第7,186,524号、第6,004,746号、第5,475,096号、第2004/146938号、第2004/157209号、第6,994,982号、第6,794,144号、第2010/239633号、第7,803,907号、第2010/119446、および/または第7,166,697号に記載されており、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。Storz MAbs.2011 May-Jun;3(3):310-317も参照されたい。
【0016】
いくつかの実施形態では、CD20結合剤は、VHHなどの単一ドメイン抗体である標的化部分を含む。VHHは、例えば、ラクダ科動物、サメなどのVHH抗体を産生する生物から誘導され得るか、またはVHHは、設計されたVHHであってもよい。VHHは、天然に存在する重鎖抗体の独特の構造的および機能的特性を含む抗体由来治療用タンパク質である。VHH技術は、軽鎖を欠くラクダ科動物由来の完全に機能的な抗体をベースにしている。これらの重鎖抗体は、単一可変ドメイン(VHH)および2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を含む。VHHは、NANOBODIESの商標で市販されている。一実施形態では、CD20結合剤はナノボディを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)である。
【0017】
いくつかの実施形態では、CD20結合剤は、4つの「フレームワーク(FR)」領域および3つの「相補性決定領域(CDR)」を有する単一のアミノ酸鎖を含むVHHである標的化部分を含む。本明細書で使用される場合、「フレームワーク領域」または「FR」は、CDR間に位置する可変ドメイン内の領域を指す。本明細書で使用される場合、「相補性決定領域」または「CDR」は、抗原性標的に特異的に結合することができるアミノ酸配列を含むVHH中の可変領域を指す。
【0018】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、少なくとも1つのCDR1、CDR2、および/またはCDR3配列を含む可変ドメインを有するVHHを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、CDR1配列は、以下から選択される:
GRTFSRQSMG(配列番号35);
GRTFSGQSMG(配列番号36);
GRTFSSYAMG(配列番号37);
GRTFSSYNMG(配列番号38);
GRTFSNYNMG(配列番号39);
GRTFSNSNMG(配列番号40);
GRSFSSVNMG(配列番号41);
GRTFSMG(配列番号42);
GRTVGSYSMG(配列番号43);
RFTLDYYAIG(配列番号44);
GFTLDYYAIG(配列番号45);
GRDFATYSMA(配列番号106);
GRDFATYSMT(配列番号107);
GRDFSTYSMG(配列番号108);
GRTFNTYSMG(配列番号109);
GRTFSTYSMG(配列番号110);
GRDFSTYSMG(配列番号111);
GNTFDTRAMG(配列番号112);
GRTRDANAMG(配列番号113);または
GSTFSIKAMG(配列番号114)。
【0020】
いくつかの実施形態では、CDR2配列は、以下から選択される:
VITWSGGSPYYADSVRG(配列番号46);
VITWSGGSPYYADSVKG(配列番号47);
VISWSGGSPYYADSVKG(配列番号48);
AIDWSGGSPYYAASVRG(配列番号49);
VIDWSGGSPYYTDSVRG(配列番号50);
AITYSGGSPYYASSVRG(配列番号51);
AVIWSGASPYYADSVKG(配列番号52);
AVTWSGASPYYADSVKG(配列番号53);
AVTRSGASPYYADSVKG(配列番号54);
CISSSGGSTNYADSVKG(配列番号55);
TISWSGQRTRYADSVKG(配列番号115);
SISWSGQRSRYADSVKG(配列番号116);
IISWSGQRTRYADSVKG(配列番号117);
AISRSSFNTYYSDSVTG(配列番号118);
AISWSGSRTYYADSVKG(配列番号119);
AFISGRGSTKYADSVKG(配列番号120);または
GFISGRGSAKYADSVKG(配列番号121)。
【0021】
いくつかの実施形態では、CDR3配列は、以下から選択される:
PVSYGSQWLADY(配列番号56);
PVSYGSSWLADY(配列番号57);
PLSYGSTWLADY(配列番号58);
GVSFGSRWLSDY(配列番号59);
GVSYGSRWLGDY(配列番号60);
NPTYGSDWNAEN(配列番号61);
NPTYSGGWHAEY(配列番号62);
ERTWVSNYYCSGDGDGYDYD(配列番号63);
PRTWGEFPPTQYDS(配列番号122);
GKYGMKWRDGADY(配列番号123);
DRSIEVQIADYDY(配列番号124);
VLPTGGGSAMDY(配列番号125);または
VLTTGGGSAMDY(配列番号126)。
【0022】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号56のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0023】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号56のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0024】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号56のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0025】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号56のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0026】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号57のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0027】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号58のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0028】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0029】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0030】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号51のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0031】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号52のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0032】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0033】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0034】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0035】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0036】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号106のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号115のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0037】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号107のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号115のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0038】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号108のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号115のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0039】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号109のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号116のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0040】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号110のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号117のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0041】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号111のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号115のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0042】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号112のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号118のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号123のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0043】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号113のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号119のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号124のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0044】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号114のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号120のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号125のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0045】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号114のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号121のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号126のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0046】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、以下の配列から選択されるアミノ酸配列を含む:
2HCD16:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSRQSMGWFRQAPGKEREFVAVITWSGGSPYYADSVRGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPVSYGSQWLADYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号18)
2HCD22:
QVQLQESGGGLVQAGDSLRLSCAASGRTFSRQSMGWFRQAPGKEREFVAVITWSGGSPYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPVSYGSQWLADYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号19)
2HCD35:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSGQSMGWFRQAPGKEREFVAVITWSGGSPYYADSVRGRFTISRDNAKNTVHLQMNSLKPEDTAVYYCAAPVSYGSQWLADYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号20)
2HCD42:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSSYAMGWFRQAPGKEREFVAVITWSGGSPYYADSVRGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPVSYGSQWLADYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号21)
2HCD73:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSRQSMGWFRQAPGEEREFVAVITWSGGSPYYADSVRGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPVSYGSQWLADYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号22)
2HCD81:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSSYNMGWFRQAPGKEREFVAVISWSGGSPYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPVSYGSSWLADYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号23)
R3CD105:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSNYNMGWFRQAPGKEREFVAAIDWSGGSPYYAASVRGRFTISRDNAENTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPLSYGSTWLADYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号24)
R3CD18:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSNSNMGWFRQAPGKEREFVAVIDWSGGSPYYTDSVRGRFTISRDNAKNTVYLQMNRLKPEDTAVYYCAGGVSFGSRWLSDYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号25)
R3CD7:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRSFSSVNMGWFRQAPGKEREFVAVIDWSGGSPYYTDSVRGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAGVSYGSRWLGDYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号26)
2HCD25:
QVQLQESGGGLAQAGGSLRLSCAASGRTFSMGWFRQAPGKEREFVAAITYSGGSPYYASSVRGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAANPTYGSDWNAENWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号27)
2HCD78:
QVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRTFSMGWFRQAPGKEREFVAAITYSGGSPYYASSVRGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAANPTYGSDWNAENWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号28)
2HCD17:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTVGSYSMGWFRQAPGKEREFVAAVIWSGASPYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAANPTYSGGWHAEYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号29)
2HCD40:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTVGSYSMGWFRQAPGKEREFVAAVTWSGASPYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAANPTYSGGWHAEYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号30)
2HCD88:
QVQLQESGGGLVQAGDSLRLSCAASGRTVGSYSMGWFRQAPGKEREFVAAVTWSGASPYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAANPTYSGGWHAEYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号31)
2HCD59:
QVQLQESGGGSEQPGGSLRLSCAASGRTVGSYSMGWFRQAPGKEREFVAAVTRSGASPYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAANPTYSGGWHAEYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号32)
2HCD68:
QVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCAASRFTLDYYAIGWFRQAPGKEREFVAAVTWSGASPYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAANPTYSGGWHAEYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号33)
2HCD43:
QVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCTASGFTLDYYAIGWLRQAPGKEREGVSCISSSGGSTNYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLLMNSLKPEDTAVYYCAAERTWVSNYYCSGDGDGYDYDYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号34)
2MC57:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRDFATYSMAWFRQAPGKERESVATISWSGQRTRYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAMPRTWGEFPPTQYDSWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号85)
R2MUC70:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRDFATYSMAWFRQAPGKERESVATISWSGQRTRYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPRTWGEFPPTQYDSWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号86)
R3MUC17:
QVQLQESGGGLVPAGGSLRLSCAASGRDFATYSMAWFRQAPGKERESVATISWSGQRTRYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPRTWGEFPPTQYDSWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号87)
R3MUC56:
QVQLQESGGGLVQAGDSLRLSCAASGRDFATYSMAWFRQAPGKERESVATISWSGQRTRYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPRTWGEFPPTQYDSWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号88)
R3MUC57:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRDFATYSMAWFRQAPGEERESVATISWSGQRTRYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPRTWGEFPPTQYDSWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号89)
R3MUC58:
QVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRDFATYSMAWFRQAPGKERESVATISWSGQRTRYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPRTWGEFPPTQYDSWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号90)
R2MUC85:
QVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCATSGRDFATYSMAWFRQAPGKERESVATISWSGQRTRYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPRTWGEFPPTQYDSWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号91)
R3MUC66:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRDFATYSMTWFRQAPGKERESVATISWSGQRTRYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLRPEDTAVYYCAAPRTWGEFPPTQYDSWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号92)
R2MUC21:
QVQLQESGGGLVQAGDSLRLSCAASGRDFSTYSMGWFRQAPGKERESVATISWSGQRTRYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPRTWGEFPPTQYDSWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号93)
2MC52:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCVASGRTFNTYSMGWFRQAPGKEREFVASISWSGQRSRYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCASPRTWGEFPPTQYDSWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号94)
R3MUC22:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSTYSMGWFRQAPGKEREFVAIISWSGQRTRYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPRTWGEFPPTQYDSWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号95)。
R3MUC75:
QVQLQESGGGSVQTGGSLRLSCAASGRDFSTYSMGWFRQAPGKERESVATISWSGQRTRYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAPRTWGEFPPTQYDSWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号96)。
2MC39:
QVQLQESGGGLAQAGNSLRISCVASGNTFDTRAMGWFRQAPGKEREFVAAISRSSFNTYYSDSVTGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAGKYGMKWRDGADYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号97)。
2MC51:
QVQLQESGGGLAQAGNSLRISCVASGNTFDTRAMGWFRQAPGKEREFVAAISRSSFNTYYSDSVTGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCVAGKYGMKWRDGADYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号98)。
2MC38:
QVQLQESGGGLVQAGESLRISCVASGNTFDTRAMGWFRQAPGKEREFVAAISRSSFNTYYSDSVTGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCVAGKYGMKWRDGADYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号99)。
2MC82:
QVQLQESGGGLAQEGGSLRLSCVASGNTFDTRAMGWFRQAPGKEREFVAAISRSSFNTYYSDSVTGRFTISRDNAKNMVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAGKYGMKWRDGADYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号100)。
2MC20:
QVQLQESGGGLVQTGGSLRLSCAASGNTFDTRAMGWFRQAPGKEREFVAAISRSSFNTYYSDSVTGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAGKYGMKWRDGADYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号101)。
2MC42:
QVQLQESGGGSVQTGGTLTLSCVASGNTFDTRAMGWFRQAPGEEREFVAAISRSSFNTYYSDSVTGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAGKYGMKWRDGADYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号102)。
R2MUC36:
QVQLQESGGGLVQAEGSLRLSCAASGRTRDANAMGWFRQAPGKERELVAAISWSGSRTYYADSVKGRFTISRDNVMHTVYLSMNSLKPEDTAVYYCAADRSIEVQIADYDYWGRGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号103)。
R3MCD137:
QVQLQESGGGSVQAGGSLRLSCAASGSTFSIKAMGWYRQAPGKQRELVAAFISGRGSTKYADSVKGRFAISRDNAKNTMYLQMDSLEPEDTAVYYCYIVLPTGGGSAMDYWGEGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号104)。
R3MCD22:
QVQLQESGGGVVQAGGSLRLSCAASGSTFSIKAMGWYRQAPGKQRDLVAGFISGRGSAKYADSVKGRFAISRDNAKNTMYLQMDSLKPEDTAVYYCYIVLTTGGGSAMDYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号105)。
【0047】
様々な実施形態では、本出願は、本明細書に記載の用途のCD20結合剤の任意の天然に存在するか、または合成の類似体、変異体、多様体、対立遺伝子、相同体およびオーソログ(本明細書ではまとめて「類似体」と称する)の使用を意図する。様々な実施形態では、CD20結合剤のアミノ酸配列は、アミノ酸類似体、アミノ酸誘導体、または他の非古典的アミノ酸をさらに含む。
【0048】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号18~34または85~105のいずれか1つと少なくとも60%同一である配列を含む標的化部分を含む。様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号18~34または85~105のいずれか1つとリンカー配列、HAタグおよび/またはHIS6タグを引いたものと少なくとも60%同一である配列を含む標的化部分を含む。例えば、CD20結合剤は、配列番号2~87と、少なくとも60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一である(例えば、配列番号18~34または85~105のいずれか1つに対して、約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、約99%、または約100%同一である)配列を含む標的化部分を含んでもよい。
【0049】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号18~34または85~105に関して1つ以上のアミノ酸突然変異を有するアミノ酸配列を含む標的化部分を含む。様々な実施形態では、CD20結合剤は、配列番号18~34または85~105に対して、1個、または2個、または3個、または4個、または5個、または6個、または7個、または8個、または9個、または10個、または15個、または20個のアミノ酸突然変異を含む標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸突然変異は、置換、挿入、欠失および切断から独立して選択され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、アミノ酸突然変異はアミノ酸置換であり、保存的および/または非保存的置換を含み得る。
【0051】
「保存的置換」は、例えば、極性、電荷、サイズ、溶解度、疎水性、親水性、および/または関与するアミノ酸残基の両親媒性の類似性に基づいて行うことができる。20種の天然に存在するアミノ酸は、以下の6つの標準アミノ酸群に分類することができる:(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖の配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0052】
本明細書で使用される場合、「保存的置換」は、上記の6つの標準アミノ酸群の同じ群内に列挙された別のアミノ酸によるアミノ酸の交換として定義される。例えば、GluによるAspの交換は、そのように修飾されたポリペプチドにおいて1つの負電荷を保持する。さらに、グリシンおよびプロリンは、α-ヘリックスを破壊するそれらの能力に基づいて互いに置換され得る。
【0053】
本明細書で使用されるように、「非保存的置換」は、上記の6つの標準アミノ酸群(1)~(6)の異なる群に列挙された別のアミノ酸によるアミノ酸の交換として定義される。
【0054】
様々な実施形態では、置換は、非古典的アミノ酸(例えば、セレノシステイン、ピロリジン、N-ホルミルメチオニンβ-アラニン、GABAおよびδ-アミノレブリン酸、4-アミノ安息香酸(PABA)、一般的なアミノ酸のD-異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシム、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロアミノ酸、βメチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、Nα-メチルアミノ酸などのデザインされたアミノ酸(designer amino acid)、および一般にアミノ酸類似体)が挙げられ得る。
【0055】
様々な実施形態では、アミノ酸突然変異は、標的化部分のCDR(例えば、CDR1、CDR2またはCDR3領域)に存在し得る。別の実施形態では、アミノ酸の変化は、標的化部分のフレームワーク領域(FR)、例えば、FR1、FR2、FR3、またはFR4領域に存在し得る。
【0056】
アミノ酸配列の修飾は、当該技術分野における任意の公知の技術、例えば、部位特異的突然変異誘発またはPCRに基づく突然変異誘発を使用して達成され得る。このような技術は、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.,1989年、およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,New York,N.Y.,1989年に記載されている。
【0057】
様々な実施形態では、突然変異は、本発明のCD20結合剤の、CD20に特異的に結合する能力を実質的に低下させることはない。様々な実施形態では、突然変異は、CD20を中和することなく、本発明のCD20結合剤の、CD20に特異的に結合する能力を実質的に低下させることはない。
【0058】
様々な実施形態では、ヒトCD20の完全長、および/または成熟形態、および/またはアイソフォーム、および/またはスプライス多様体、および/または断片、および/または単量体、および/または二量体、および/または四量体形態、および/または任意の他の天然に存在するか、または合成の類似体、多様体または突然変異体(単量体および/または二量体および/または四量体形態など)に対する本出願のCD20結合剤の結合親和性は、平衡解離定数(KD)によって記述され得る。様々な実施形態では、CD20結合剤は、約1uM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約40nM、約30nM、約20nM、約10nM、または約5nM、または約4.5nM、または約1nM未満のKDを有する、ヒトCD20の完全長、および/または成熟形態、および/またはアイソフォーム、および/またはスプライス多様体、および/または断片、および/または任意の他の天然に存在するか、または合成の類似体、多様体または変異体(単量体、および/または二量体、および/または四量体形態など)に結合する標的化部分を含む。
【0059】
様々な実施形態では、CD20結合剤は、目的の抗原、すなわちCD20に結合するが機能的に調節することはない標的化部分を含む。例えば、様々な実施形態では、CD20結合剤の標的化部分は、単に抗原を標的とするが、抗原が有する生物学的効果を実質的に機能的に調節する(例えば、実質的に阻害する、低下させる、または中和する)ことはない。様々な実施形態では、CD20結合剤の標的化部分は、その生物学的活性にとって重要な抗原部位から物理的に分離したエピトープ(例えば、抗原の活性部位)に結合する。
【0060】
顕著な機能の調節を伴うことのないこのような結合により、本出願の様々な実施形態での使用が見出される。様々な実施形態では、本発明のCD20結合剤は、CD20陽性細胞に結合し、このような細胞の死を誘導する。いくつかの実施形態では、CD20結合剤は、アポトーシスまたは直接的細胞死、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、および/または抗体依存性細胞食作用(ADCP)のうちの1つ以上によって媒介される細胞死を誘導する。いくつかの実施形態では、本発明のCD20結合剤は、CD20の結合時に原形質膜内の大きな脂質ミクロドメインまたは「脂質ラフト」へのCD20の移行を誘導する。このクラスタリングプロセスにより、補体の活性化が高まり、強力な補体依存性細胞毒性(CDC)を発揮する。他の実施形態では、本発明のCD20結合剤は、直接的な細胞死を誘導する。代替的実施形態では、CD20結合剤の治療効果は、B細胞の枯渇に依存することはない。
【0061】
様々な実施形態では、本発明のCD20結合剤は、エフェクター抗原を介して、必要な部位への活性免疫細胞を直接的に、または間接的に動員するために使用され得る。例えば、様々な実施形態では、本発明のCD20結合剤は、癌または腫瘍を低減または排除する方法において、免疫細胞を直接的に、または間接的に癌または腫瘍細胞に動員するために使用され得る(例えば、CD20結合剤は、抗CD20抗原認識ドメインを有する標的化部分、および例えば、樹状細胞上に発現する抗原である、Clec9Aに対して向けられている認識ドメイン(例えば、抗原認識ドメイン)を有する標的化部分を含んでもよい)。これらの実施形態では、CD20シグナル伝達は、癌の減少または排除効果の重要な部分である。様々な実施形態では、本発明のCD20結合剤は、T細胞、B細胞、樹状細胞、マクロファージ、およびナチュラルキラー(NK)細胞を動員することができる。
【0062】
本発明のCD20結合剤を含む治療剤
シグナル伝達剤とのキメラおよび融合
様々な実施形態では、本出願のCD20結合剤は、1種以上のシグナル伝達剤とのキメラまたは融合物の一部である。したがって、本出願は、例えば、CD20に対する標的化部分および1種以上のシグナル伝達剤を含むキメラまたは融合タンパク質を提供する。
【0063】
様々な実施形態では、シグナル伝達剤は、その受容体のうちの1つ以上の、親和性または活性が低下するように修飾されており、これにより活性の弱化が可能になり(アゴニズムまたはアンタゴニズムなど)、かつ/またはキメラもしくは融合タンパク質の非特異的シグナル伝達もしくは望ましくない隔離を防ぐことができる。様々な実施形態では、シグナル伝達剤は、その野生型形態でアンタゴニストであり、そのアンタゴニスト作用を弱める1つ以上の突然変異を担持する。様々な実施形態では、シグナル伝達剤は、1つ以上の突然変異のために拮抗的であり、例えば、アゴニストシグナル伝達剤は拮抗的シグナル伝達剤に変換され、このような変換されたシグナル伝達剤は、(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/007520号に記載されているように)、そのアンタゴニスト作用を弱める1つ以上の突然変異を担持している。
【0064】
したがって、様々な実施形態では、シグナル伝達剤は、1つ以上の突然変異を有するシグナル伝達剤の修飾(例えば、突然変異)形態である。様々な実施形態では、修飾(例えば突然変異)することにより、修飾型シグナル伝達剤が、非修飾型または非変異型、すなわち、野生型形態のシグナル伝達剤と比較して(例えば、野生型形態対修飾型形態または変異型形態の同一のシグナル伝達剤と比較して)、低下した結合親和性、低下した内在性活性、および低下した特異的生物活性のうちの1つ以上など、弱化した活性のうちの1つ以上を有し得るようになる。いくつかの実施形態では、結合または親和性を弱化または低下させる突然変異には、結合または活性を実質的に低下または消失させるこれらの突然変異が含まれる。いくつかの実施形態では、結合または親和性を弱化または低下させる突然変異は、結合または活性を実質的に低下または消失させる突然変異とは異なる。結果として、様々な実施形態では、突然変異していない、すなわち野生型シグナル伝達剤に対して(例えば、野生型形態対修飾型形態(例えば突然変異体)における同じシグナル伝達剤と比較して)、突然変異により、シグナル伝達剤の安全性の改善、例えば全身毒性の低下、副作用の減少、およびオフターゲット効果の減少が可能になる。
【0065】
本明細書に記載されているように、剤は、1つ以上の修飾、例えば突然変異により改善された安全性を有し得る。様々な実施形態では、改善された安全性とは、本発明のキメラタンパク質がより低い毒性(例えば、全身性毒性、および/または組織/器官関連毒性)、および/または軽減された、もしくは実質的に排除された副作用、および/または増加した耐容性、軽減もしくは実質的に排除された有害事象、および/または減少したもしくは実質的に排除されたオフターゲット効果、および/または増加した治療域(therapeutic window)を提供することを意味する。
【0066】
様々な実施形態では、シグナル伝達剤は、その受容体の1つ以上に対するその結合親和性または活性を低下させる1つ以上の突然変異を有するように修飾される。いくつかの実施形態では、シグナル伝達剤は、受容体に対する結合親和性もしくは活性を実質的に低下もしくは消失させる1つ以上の突然変異を有するように修飾される。いくつかの実施形態では、野生型シグナル伝達剤によってもたらされる活性は、受容体でのアゴニズム(例えば、治療部位における細胞効果の活性化)である。例えば、野生型シグナル伝達剤は、その受容体を活性化することができる。このような実施形態では、突然変異により、結果として、修飾型シグナル伝達剤が受容体において低下または消失させた活性化活性を有するようになる。例えば、突然変異により、結果として、修飾型シグナル伝達剤が、低下された活性化シグナルを標的細胞に送達し得るか、または活性化シグナルを消失させ得る。いくつかの実施形態では、野生型シグナル伝達剤によってもたらされる活性は、受容体での拮抗作用である(例えば、治療部位で細胞効果を遮断するか、または減衰させる)。例えば、野生型シグナル伝達剤は、受容体を拮抗または阻害することができる。これらの実施形態では、突然変異により、結果として、修飾型シグナル伝達剤が、受容体において低下または消失させた拮抗活性を有するようになる。例えば、突然変異により、結果として、修飾型シグナル伝達剤が、低下された抑制シグナルを標的細胞に送達し得るか、または抑制シグナルを消失させ得る。様々な実施形態では、シグナル伝達剤は、1つ以上の突然変異により拮抗性であり、例えば、アゴニストシグナル伝達剤は、(例えば、その全内容が参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2015/007520号に記載されているように)アンタゴニストシグナル伝達剤に変換され、このように変換されたシグナル伝達剤は、任意により、その受容体の1つ以上に対するその結合親和性もしくは活性を低下させるか、またはその受容体のうちの1つ以上に対する結合親和性もしくは活性を実質的に低下もしくは消失させる1つ以上の突然変異も担持する。
【0067】
いくつかの実施形態では、受容体での親和性または活性の低下は、本明細書に記載の標的化部分のうちの1つ以上(例えば、CD20に対する標的化部分、または本明細書に記載の任意の他の標的化部分)に付着することによって回復可能である。他の実施形態では、受容体において低下した親和性または活性は、標的化部分のうちの1つ以上の活性によって実質的に回復可能ではない。
【0068】
様々な実施形態では、本出願のキメラタンパク質は、それらのシグナル伝達剤が受容体において、結合親和性または活性を弱めるまたは消失させる突然変異を有するために、オフターゲット効果を低減させる。様々な実施形態では、例えば、野生型シグナル伝達剤と比較して、副作用のこうした減少が観察される。様々な実施形態では、標的化部分(複数可)が実質的な活性化に必要であるが、欠損している/不十分な結合(例えば、制限および/または結合力がない)を補償するため、シグナル伝達剤は、標的細胞上で活性である。様々な実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、治療活性の部位に至るまで実質的に不活性であり、望ましくない副作用を大幅に低減する特異的に標的化された細胞型に対して実質的にその効果を有する。
【0069】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達剤は、1つの受容体(すなわち、治療的受容体)の結合または親和性を弱めるかまたは低下させる1つ以上の突然変異、および第2の受容体において結合または活性を実質的に低下または消失させる1つ以上の突然変異を含み得る。このような実施形態では、これらの突然変異は、同じ位置または異なる位置(すなわち、同じ突然変異または複数の突然変異)であり得る。いくつかの実施形態では、1つの受容体において結合および/または活性を低下させる突然変異(複数可)は、別の受容体において実質的に減少または消失する突然変異(複数可)とは異なる。いくつかの実施形態では、1つの受容体において結合および/または活性を低下させる突然変異(複数可)は、別の受容体において実質的に減少または消失する突然変異(複数可)と同じである。いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、治療受容体における結合および/または活性を弱化させ、したがってより制御されたオンターゲット治療効果(例えば、相対的な野生型シグナル伝達剤)をより制御することができる突然変異、ならびに別の受容体において結合および/または活性を実質的に低下または消失させ、したがって(例えば、野生型シグナル伝達剤と比較して)副作用を減少させる突然変異を双方とも有する修飾型シグナル伝達剤を有する。
【0070】
いくつかの実施形態では、結合または活性の実質的な低下または消失は、標的化部分(例えば、CD20に対する標的化部分または本明細書に記載の任意の他の標的化部分)により、実質的に回復可能ではない。いくつかの実施形態では、結合または活性の実質的な低下または消失は、標的化部分により、回復可能である。様々な実施形態では、第2の受容体における結合または活性を実質的に低下または消失させることはまた、他の受容体によって媒介される有害な作用を防止し得る。代替的にまたは追加として、他の受容体において結合または活性を実質的に低下または消失させることにより、治療作用部位から離れた治療用キメラタンパク質の隔離が減少または排除されるので、治療効果が改善される。例えば、いくつかの実施形態では、このことにより、他の受容体での損失を補償する本発明のキメラタンパク質が高用量である必要がなくなる。このように用量を減少できることにより、副作用の可能性がより低いものとなる。
【0071】
様々な実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、1つ以上の突然変異を含み、この突然変異によりシグナル伝達剤は、低下した、実質的に低下した、もしくは消失した親和性、例えば、結合(例えば、KD)、および/または(例えば、修飾型シグナル伝達剤が、例えば、KAおよび/またはEC50として、計測可能であるその受容体のアゴニストである場合)活性化、および/または(例えば、修飾型シグナル伝達剤が、KIおよび/またはIC50として、計測可能であるその受容体のアンタゴニストである場合)阻害をその1つ以上の受容体に対して有するようになる。様々な実施形態では、剤の受容体において親和性が低下することで、活性の弱化(アゴニズムまたはアンタゴニズムを含む)が可能になる。このような実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、野生型シグナル伝達剤と比較して、約1%、または約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約10%~20%、約20%~40%、約50%、約40%~60%、約60%~80%、約80%~100%の受容体の親和性を有する。いくつかの実施形態では、結合親和性は、野生型シグナル伝達剤に対して、少なくとも約2倍低い、約3倍低い、約4倍低い、約5倍低い、約6倍低い、約7倍低い、約8倍低い、約9倍低い、少なくとも約10倍低い、少なくとも約15倍低い、少なくとも約20倍低い、少なくとも約25倍低い、少なくとも約30倍低い、少なくとも約35倍低い、少なくとも約40倍低い、少なくとも約45倍低い、少なくとも約50倍低い、少なくとも約100倍低い、少なくとも約150倍低い、または、約10~50倍低い、約50~100倍低い、約100~150倍低い、約150~200倍低い、200倍以上低い。
【0072】
キメラタンパク質が1つの受容体における結合を減少させ、第2の受容体における結合を実質的に低下または消失させる突然変異を有する実施形態では、修飾型シグナル伝達剤の1つの受容体の結合親和性の弱化または低下は、他の受容体の親和性の実質的な低下または消失より少ない。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤の1つの受容体の結合親和性の減衰または低下は、他の受容体の親和性の実質的な減少または消失よりも、約1%、または約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%少ない。様々な実施形態では、実質的な低下または消失は、減衰または減少よりも結合親和性および/または活性のより大きな低下を指す。
【0073】
様々な実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、シグナル伝達剤の内因性活性を、例えば、野生型シグナル伝達剤と比較して、約75%、または約70%、または約60%、または約50%、または約40%、または約30%、または約25%、または約20%、または約10%、または約5%、または約3%、または約1%まで低下させる1つ以上の突然変異を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、1つ以上の突然変異を含み、この突然変異により、シグナル伝達剤がその(それらの)受容体(複数可)に対する標的化部分(複数可)の結合親和性が低いその受容体の親和性が低下するようになる。いくつかの実施形態では、この結合親和性の差は、同じ細胞上のシグナル伝達剤/受容体と標的化部分/受容体との間の差である。いくつかの実施形態では、この結合親和性の差により、シグナル伝達剤、例えば突然変異したシグナル伝達剤は、局在化したオンターゲット効果を有し、野生型シグナル伝達剤で観察される副作用の基礎となるオフターゲット効果を最小限に抑えることができるようになる。いくつかの実施形態では、この結合親和性は、少なくとも約2倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約15倍低く、または少なくとも約25倍、または少なくとも約50倍より低く、または少なくとも約100倍、または少なくとも約150倍である。
【0075】
受容体結合活性は、当技術分野で公知の方法を用いて測定することができる。例えば、親和性および/または結合活性は、結合データのScatchardプロット解析およびコンピュータフィッティング(例えば、Scatchard、1949年)によって、またはBrechtら(1993年)に記載されているとおり(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)フロースルー条件下での反射率干渉分光法によって評価され得る。
【0076】
様々な実施形態では、シグナル伝達剤は、免疫調節剤、例えば、インターロイキン、インターフェロン、および腫瘍壊死因子のうちの1つ以上である。
【0077】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達剤は、インターロイキンまたは修飾されたインターロイキン、例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-35、IL-36、またはそれらの断片、多様体、類似体またはファミリーメンバーである。インターロイキンは、リンパ球、単球、およびマクロファージによって合成された多機能性サイトカインの群である。既知の機能としては、免疫細胞(例えば、Tヘルパー細胞、B細胞、好酸球およびリンパ球)の増殖、好中球およびTリンパ球の走化性および/またはインターフェロンの阻害を刺激することが含まれる。インターロイキン活性は、当該分野で公知のアッセイを用いて決定することができる:Matthewsら、in Lymphokines and Interferens:A Practical Approach、Clemensら、編、IRL Press,Washington,D.C.1987,221-225頁;およびOrencole&Dinarello(1989年)Cytokine 1,14-20。
【0078】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達剤は、インターフェロンまたはI型、II型およびIII型インターフェロンなどのインターフェロンの修飾型である。例示的なインターフェロンとして、例えば、インターフェロン-α1、2、4、5、6、7、8、10、13、14、16、17および21、インターフェロン-β、およびインターフェロン-γ、インターフェロンκ、インターフェロンξ、インターフェロンτおよびインターフェロンωが挙げられる。
【0079】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達剤は、腫瘍壊死因子(TNF)、または腫瘍壊死因子(TNF)の修飾型、またはTNFファミリーのタンパク質であり、これらに限定するものではないが、TNF-α、TNF-β、LT-β、CD40L、CD27L、CD30L、FASL、4-1BBL、OX40L、およびTRAILが挙げられる。
【0080】
本明細書に記載の野生型シグナル伝達剤のアミノ酸配列は、当技術分野で周知である。したがって、様々な実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、本明細書に記載のシグナル伝達剤の既知の野生型アミノ酸配列と、少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性(例えば、約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。
【0081】
様々な実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、本明細書に記載のシグナル伝達剤の任意のアミノ酸配列と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性(例えば、約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。
【0082】
様々な実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、1つ以上のアミノ酸突然変異を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸突然変異は、置換、挿入、欠失および切断から独立して選択され得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸突然変異はアミノ酸置換であり、本明細書の他の箇所に記載されるように、保存的および/または非保存的置換を含み得る。
【0083】
様々な実施形態では、置換はまた、本明細書の他の箇所に記載される非古典的アミノ酸を含み得る。
【0084】
本明細書に記載されるように、修飾型シグナル伝達剤は、1つ以上の受容体で親和性および/または活性に影響を及ぼす突然変異を担持する。本明細書に記載のとおり、任意のシグナル伝達剤の受容体は、当技術分野で公知である。
【0085】
受容体において低下した親和性および/または活性(例えばアゴニスト作用)をもたらす例示的な突然変異は、国際公開第2013/107791号(例えば、インターフェロンに関する)、国際公開第2015/007542号(例えば、インターロイキンに関する)、および国際公開第2015/007903号(例えば、TNFに関する)に見出され、それらの各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。受容体において低下した親和性および/または活性(例えば、アンタゴニスト作用)をもたらす例示的な突然変異は、国際公開第2015/007520号に見出され、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はインターフェロンαである。このような実施形態では、修飾型IFN-α剤は、IFN-α/β-1受容体(IFNAR)、すなわちIFNAR1および/またはIFNAR2鎖に対して低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型IFN-α剤は、IFN-α/β-1受容体(IFNAR)、すなわちIFNAR1および/またはIFNAR2鎖に対して実質的に低下した、または消失した親和性および/または活性を有する。
【0087】
インターフェロンαの突然変異型は、当業者に公知である。例示的な実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、以下のアミノ酸配列を有する対立遺伝子型IFN-α2aである:
IFN-α2a:
CDLPQTHSLGSRRTLMLLAQMRKISLFSCLKDRHDFGFPQEEFGNQFQKAETIPVLHEMIQQIFNLFSTKDSSAAWDETLLDKFYTELYQQLNDLEACVIQGVGVTETPLMKEDSILAVRKYFQRITLYLKEKKYSPCAWEVVRAEIMRSFSLSTNLQESLRSKE(配列番号127)
【0088】
例示的な実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、以下の(アミノ酸位置23においてIFN-α2aとは異なる)アミノ酸配列を有する対立遺伝子型IFN-α2bである。
IFN-α2b:
CDLPQTHSLGSRRTLMLLAQMRRISLFSCLKDRHDFGFPQEEFGNQFQKAETIPVLHEMIQQIFNLFSTKDSSAAWDETLLDKFYTELYQQLNDLEACVIQGVGVTETPLMKEDSILAVRKYFQRITLYLKEKKYSPCAWEVVRAEIMRSFSLSTNLQESLRSKE(配列番号128)
【0089】
いくつかの実施形態では、上記IFN-α2突然変異体(IFN-α2aまたはIFN-α2b)は、アミノ酸位置148、149および/または153などの位置144~154において1つ以上のアミノ酸で突然変異される。いくつかの実施形態では、IFN-α2突然変異体は、L153A、R149A、およびM148Aから選択される1つ以上の突然変異を含む。このような突然変異体は、例えば、国際公開第2013/107791号およびPiehlerら、(2000年)J.Biol.Chem,275:40425-33に記載されており、これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
いくつかの実施形態では、IFN-α2突然変異体は、IFNAR1に対して低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、IFN-α2突然変異体は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2010/030671号に記載されているように、F64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、およびY89Aから選択される1つ以上の突然変異を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、IFN-α2突然変異体は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2008/124086号に記載されているように、K133A、R144A、R149A、およびL153Aから選択される1つ以上の突然変異を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、IFN-α2突然変異体は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/007520号および国際公開第2010/030671号に記載されているように、R120EおよびR120E/K121Eから選択される1つ以上の突然変異を含む。このような実施形態では、IFN-α2突然変異体は、野生型IFN-α2の活性に拮抗する。このような実施形態では、突然変異型IFN-α2は、IFNAR1に対して低下した親和性および/または活性を有し、IFNR2の親和性および/または活性が保持されている。
【0093】
いくつかの実施形態では、IFN-α2突然変異体は、(1)理論に拘束されることを望むものではないが、拮抗作用を生じさせる、R120EおよびR120E/K121Eから選択される1つ以上の突然変異、および、(2)理論に拘束されることを望むものではないが、例えばIFNAR2において弱化効果を可能にする、K133A、R144A、R149A、およびL153Aから選択される1つ以上の突然変異を含む。
【0094】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はインターフェロンβである。このような実施形態では、修飾型インターフェロンβ剤は、IFN-α/β受容体(IFNAR)、すなわちIFNAR1および/またはIFNAR2鎖に対して低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型インターフェロンβ剤は、IFN-α/β-1受容体(IFNAR)、すなわちIFNAR1および/またはIFNAR2鎖に対して実質的に低下した、または消失した親和性および/または活性を有する。
【0095】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はインターフェロンγである。このような実施形態では、修飾型インターフェロンγ剤は、インターフェロン-ガンマ受容体(IFNGR)、すなわちIFNGR1およびIFNGR2鎖に対して低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型インターフェロンγ剤は、インターフェロン-ガンマ受容体(IFNGR)、すなわちIFNGR1および/またはIFNGR2鎖に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。
【0096】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はTNF-αである。TNFは、細胞増殖の調節、分化、アポトーシス、腫瘍形成、ウイルス複製、自己免疫、免疫細胞機能および輸送、炎症および敗血症ショックなど、多くの多様な機能を有する多面発現性サイトカインである。これは、標的細胞上の2つの異なる膜受容体TNFR1(p55)およびTNFR2(p75)に結合する。TNFR1は、非常に幅広い発現パターンを呈するが、TNFR2は、リンパ球、Treg、内皮細胞、特定のニューロン、ミクログリア、心筋細胞および間葉幹細胞の特定の集団に優先的に発現する。非常に異なる生物学的経路は、受容体の活性化に応答して活性化されるが、いくつかの重複もある。一般的な規則として、理論に拘束されることを望むものではないが、TNFR1シグナル伝達はアポトーシス(細胞死)の誘導に関連し、TNFR2シグナル伝達は細胞生存シグナルの活性化(例えばNFkB経路の活性化)に関連する。TNFの投与は全身毒性であり、これは主にTNFR1の関与に起因する。しかし、TNFR2の活性化は広範囲の活性にも関連しており、TNFR1と同様に、TNFをベースとした治療法を開発する状況において、TNFの標的化および活性に対する制御が重要であることに留意すべきである。
【0097】
いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、TNFR1および/またはTNFR2に対して低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、TNFR1および/またはTNFR2に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。TNFR1はほとんどの組織で発現し、細胞死のシグナル伝達に関与し、その一方で、TNFR2は細胞生存シグナル伝達に関与する。したがって、癌の治療方法に関する実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、TNFR1に対して低下した親和性および/または活性を有し、かつ/またはTNFR2に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。これらの実施形態では、キメラタンパク質は、アポトーシスが望まれる細胞、例えば、腫瘍細胞または腫瘍血管内皮細胞に対して標的化されてもよい。例えば、神経変性疾患の治療のための神経新生における細胞生存を促進する方法に関する実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、TNFR2に対して低下した親和性および/または活性を有し、および/またはTNFR1に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。換言すれば、本発明のキメラタンパク質は、いくつかの実施形態では、死亡シグナルまたは生存シグナルのいずれかを好む、修飾型TNF-α剤を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、TNFR1に対して低下した親和性および/もしくは活性を有する修飾型TNF、ならびに/またはTNFR2に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する修飾型TNFを有する。このようなキメラは、いくつかの実施形態では、野生型TNFおよび/またはTNFR1に対して親和性および/または活性の低下を引き起こす突然変異(複数可)のみを担持するキメラと比較して、より強力なアポトーシス誘導物質である。このようなキメラは、いくつかの実施形態では、(例えば、癌の治療において)腫瘍細胞死または腫瘍脈管構造内皮細胞死を誘導する際の使用が見出される。また、いくつかの実施形態では、これらのキメラは、例えば、TNFR2を介したTreg細胞の活性化を回避または低減し、したがってin vivoでは、TNFR1媒介性の抗腫瘍活性をさらに補助する。
【0099】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、TNFR2に対して低下した親和性および/もしくは活性、ならびに/またはTNFR1に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する修飾型TNFを有する。いくつかの実施形態では、こうしたキメラは、いくつかの細胞型において細胞生存のより強力なアクチベータであり、これらは、これに限定するものではないが、神経新生の刺激など、様々な疾患の状況における特異的治療目的であり得る。いくつかの実施形態では、キメラは自己反応性T細胞を標的とする。いくつかの実施形態では、キメラはTreg細胞の活性化および細胞傷害性T細胞の間接的抑制を促進する。
【0100】
いくつかの実施形態では、キメラ(例えば、TNFR2に対して低下した親和性および/または活性を有し、かつ/またはTNFR1に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する修飾型TNF)は、例えば、TNFR2の活性化および/または回避TNFR1によって自己反応性T細胞の死滅を引き起こす。理論に拘束されることを望むものではないが、これらの自己反応性T細胞は、例えばNFkB経路活性/シグナル伝達の変化によってアポトーシス/生存シグナルを変化させる。
【0101】
いくつかの実施形態では、TNFR-2をベースにしたキメラは、様々な心疾患、とりわけ、脱髄形成および神経変性障害、および感染症などの疾患における追加的な治療的用途を有する。
【0102】
一実施形態では、野生型TNF-αは、以下のアミノ酸配列を有する:
TNF-α
VRSSSRTPSDKPVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL。
【0103】
このような実施形態では、修飾型TNF-α剤は、1つ以上のアミノ酸位置29、31、32、84、85、86、87、88、89、145、146、および147に突然変異を有し、低下した受容体結合親和性を有する修飾型TNF-αを産生する。例えば、米国特許第7,993,636号を参照されたい(その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0104】
いくつかの実施形態では、修飾型TNF-α剤は、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/007903号に記載されているように、1つ以上のアミノ酸位置R32、N34、Q67、H73、L75、T77、S86、Y87、V91、I97、T105、P106、A109、P113、Y115、E127、N137、D143、およびA145に突然変異を有する(ヒトTNF配列、Genbankアクセッション番号BAG70306、バージョンBAG70306.1 GI:197692685による番号付け)。いくつかの実施形態では、修飾型TNF-α剤は、R32G、N34G、Q67G、H73G、L75G、L75A、L75S、T77A、S86G、Y87Q、Y87L、Y87A、Y87F、V91G、V91A、I97A、I97Q、I97S、T105G、P106G、A109Y、P113G、Y115G、Y115A、E127G、N137G、D143N、A145G、およびA145Tから選択される置換突然変異を有する。
【0105】
いくつかの実施形態では、修飾型TNF-α剤は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2008/124086号に記載されているように、N39Y、S147Y、およびY87Hから選択される1つ以上の突然変異を有する。
【0106】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はTNF-βである。TNF-βは、LT-βとホモ三量体またはヘテロ三量体を形成することができる(LT-α1β2)。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、TNFR1、および/またはTNFR2、および/またはヘルペスウイルス侵入メディエータ(HEVM)、および/またはLT-βRに対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。
【0107】
一実施形態では、野生型TNF-βは、以下のアミノ酸配列を有する:
TNF-β
LPGVGLTPSAAQTARQHPKMHLAHSNLKPAAHLIGDPSKQNSLLWRANTDRAFLQDGFSLSNNSLLVPTSGIYFVYSQVVFSGKAYSPKATSSPLYLAHEVQLFSSQYPFHVPLLSSQKMVYPGLQEPWLHSMYHGAAFQLTQGDQLSTHTDGIPHLVLSPSTVFFGAFAL。
【0108】
このような実施形態では、修飾型TNF-β剤は、106~113位置において1つ以上のアミノ酸に突然変異を含み得、これにより、TNFR2に対して低下した受容体結合親和性を有する修飾型TNF-β剤が産生される。一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、アミノ酸位置106~113に1つ以上の置換突然変異を有する。例示的な実施形態では、置換突然変異は、Q107E、Q107D、S106E、S106D、Q107R、Q107N、Q107E/S106E、Q107E/S106D、Q107D/S106E、およびQ107D/S106Dから選択される。別の実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、106~113位置に約1個~約3個のアミノ酸の挿入を有する。
【0109】
いくつかの実施形態では、修飾剤は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/007903号に記載されているように、一本鎖三量体型であり得るTNFファミリーメンバー(例えば、TNF-アルファ、TNF-ベータ)である。
【0110】
いくつかの実施形態では、修飾型剤は、TNFR1において低下した親和性および/または活性、すなわちアンタゴニスト活性(例えば、天然アンタゴニスト活性または1つ以上の突然変異の結果であるアンタゴニスト活性(例えば、その全内容が、本明細書中に参照として組み込まれる国際公開第2015/007520号を参照されたい))を有するTNFファミリーメンバー(例えばTNF-アルファ、TNF-ベータ)である。これらの実施形態では、修飾型剤は、任意により、TNFR2に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性も有するTNFファミリーメンバー(例えば、TNF-アルファ、TNF-ベータ)である。いくつかの実施形態では、修飾型剤は、TNFR2において低下した親和性および/または活性、すなわちアンタゴニスト活性(例えば、天然アンタゴニスト活性または1つ以上の突然変異の結果であるアンタゴニスト活性(例えば、その全内容が、本明細書中に参照として組み込まれる国際公開第2015/007520号を参照されたい))を有するTNFファミリーメンバー(例えばTNF-アルファ、TNF-ベータ)である。これらの実施形態では、修飾型剤は、任意により、TNFR1に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性も有するTNFファミリーメンバー(例えば、TNF-アルファ、TNF-ベータ)である。このような実施形態の構築物は、例えば、細胞特異的様式でTNF応答を弱める方法において使用される。いくつかの実施形態では、アンタゴニストTNFファミリーメンバー(例えば、TNF-アルファ、TNF-ベータ)は、国際公開第2015/007903号に記載される一本鎖三量体型である。
【0111】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はTRAILである。いくつかの実施形態では、修飾型TRAIL剤は、DR4(TRAIL-RI)および/またはDR5(TRAIL-RII)および/またはDcR1および/またはDcR2に対して低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型TRAIL剤は、DR4(TRAIL-RI)、および/またはDR5(TRAIL-RII)、および/またはDcR1、および/またはDcR2に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。
【0112】
一実施形態では、野生型TRAILは、以下のアミノ酸配列を有する:
TRAIL
MAMMEVQGGPSLGQTCVLIVIFTVLLQSLCVAVTYVYFTNELKQMQDKYSKSGIACFLKEDDSYWDPNDEESMNSPCWQVKWQLRQLVRKMILRTSEETISTVQEKQQNISPLVRERGPQRVAAHITGTRGRSNTLSSPNSKNEKALGRKINSWESSRSGHSFLSNLHLRNGELVIHEKGFYYIYSQTYFRFQEEIKENTKNDKQMVQYIYKYTSYPDPILLMKSARNSCWSKDAEYGLYSIYQGGIFELKENDRIFVSVTNEHLIDMDHEASFFGAFLVG。
【0113】
このような実施形態では、修飾型TRAIL剤は、アミノ酸位置T127-R132、E144-R149、E155-H161、Y189-Y209、T214-1220、K224-A226、W231、E236-L239、E249-K251、T261-H264、およびH270-E271において突然変異を含み得る(ヒト配列、Genbankアクセッション番号NP_003801、バージョン10NP_003801.1、GI:4507593に基づく番号付け;上記を参照されたい)。
【0114】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はインターロイキンである。一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はIL-1である。一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-1αまたはIL-1βである。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-1R1および/またはIL-1RAcPに対して低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-1R1および/またはIL-1RAcPに対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-1R2対して低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-1R2に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の修飾型IL-1剤は、IL-1R2での相互作用を回避し、したがって、治療剤のデコイおよび/またはシンクとしてのその機能を実質的に低下させる。
【0115】
一実施形態では、野生型IL-1βは、以下のアミノ酸配列を有する:
IL-1β(成熟形態、野生型)
APVRSLNCTLRDSQQKSLVMSGPYELKALHLQGQDMEQQVVFSMSFVQGEESNDKIPVALGLKEKNLYLSCVLKDDKPTLQLESVDPKNYPKKKMEKRFVFNKIEINNKLEFESAQFPNWYISTSQAENMPVFLGGTKGGQDITDFTMQFVSS。
【0116】
IL1は、炎症誘発性サイトカインであり、重要な免疫系調節因子である。これはCD4 T細胞応答の強力な活性化因子であり、Th17細胞の割合を増加させ、IFNγおよびIL-4産生細胞の拡大を増加させる。IL-1はまた、CD8+T細胞の強力な調節因子であり、抗原特異的CD8+T細胞の拡大、分化、周辺および記憶への移動を促す。IL-1受容体は、IL-1R1およびIL-1R2を含む。IL-1R1への結合およびIL-1R1を介したシグナル伝達は、IL-1がその生物学的(および病的)活動の多くを媒介するメカニズムを構成する。IL-1R2はデコイ受容体として機能し、これによりIL-1R1を介する相互作用およびシグナル伝達のIL-1の利用可能性を低下させることができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、修飾型IL-1は、IL-1R1に対して低下した親和性および/または活性(例えばアゴニスト活性)を有する。いくつかの実施形態では、修飾型IL-1は、IL-1R2に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。このような実施形態では、IL-R2において回復可能なIL-1/IL-1R1シグナル伝達、および治療用キメラの消失の防止、このために、必要とされるIL-1の用量の減少(例えば、IL-R1については、野生型または弱化突然変異のみを有するキメラと比較して)が存在する。このような構築物は、例えば、抗癌応答を増やすために免疫系を刺激することを含む、癌の治療方法における使用を見出している。
【0118】
いくつかの実施形態では、修飾型IL-1は、IL-1R1に対して低下した親和性および/または活性(例えば、アンタゴニスト活性、例えば天然アンタゴニスト活性または1つ以上の突然変異の結果であるアンタゴニスト活性、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/007520号を参照されたい)を有する。いくつかの実施形態では、修飾型IL-1は、IL-1R2に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。このような実施形態では、IL-R2において回復可能でないIL-1/IL-1R1シグナル伝達、および治療用キメラの消失の防止、このために、必要とされるIL-1の用量の減少(例えば、IL-R1については、野生型または弱化突然変異のみを有するキメラと比較して)が存在する。
【0119】
こうした実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、アミノ酸52~54の欠失を有し、I型IL-1Rに対して低下した結合親和性、および低下した生物学的活性を有する修飾型IL-1βを産生する。例えば、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第1994/000491号を参照されたい。いくつかの実施形態では、修飾型IL-1βは、A117G/P118G、R120X、L122A、T125G/L126G、R127G、Q130X、Q131G、K132A、S137G/Q138Y、L145G、H146X、L145A/L147A、Q148X、Q148G/Q150G、Q150G/D151A、M152G、F162A、F162A/Q164E、F166A、Q164E/E167K、N169G/D170G、I172A、V174A、K208E、K209X、K209A/K210A、K219X、E221X、E221 S/N224A、N224S/K225S、E244K、N245Qから選択される1つ以上の置換突然変異を有し(Xは、アミノ酸の任意の変化(例えば、非保存的変化)であってもよい)、IL-1Rに対して低下した結合を呈する。これらは、例えば、それらの全内容が参照により組み込まれる国際公開第2015/007542号および国際公開第2015/007536号に記載されているとおりである(ヒトIL-1β配列、Genbankアクセッション番号NP_000567、バージョンNP-000567.1、GI:10835145に基づく番号付け)。いくつかの実施形態では、修飾型IL-1βは、R120A、R120G、Q130A、Q130W、H146A、H146G、H146E、H146N、H146R、Q148E、Q148G、Q148L、K209A、K209D、K219S、K219Q、E221S、およびE221Kから選択される1つ以上の突然変異を有し得る。
【0120】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はIL-2である。このような実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-2Rα、および/またはIL-2Rβ、および/またはIL-2Rγに対して低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-2Rβおよび/またはIL-2Rγについては、低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-2Rαに対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。このような実施形態は、例えば、修飾型IL-2がIL-2Rβおよび/またはIL-2Rγにおいてアゴニストである場合、癌の治療に関連し得る。例えば、本発明の構築物は、IL-2受容体βおよびγを有する、活性化が弱化されたCD8+T細胞(抗腫瘍効果を提供し得る)を好み、IL2受容体α、β、γを有するTreg(免疫抑制性、前腫瘍効果を提供し得る)を好まないことがある。さらに、いくつかの実施形態では、IL-2RαよりもIL-2Rβおよび/またはIL-2Rγを選択することで、肺水腫などのIL-2の副作用が回避される。また、例えば、IL-2Rβおよび/またはIL-2Rγにおいて、修飾型IL-2がアンタゴニスト(例えば、天然のアンタゴニスト作用または1つ以上の突然変異の結果であるアンタゴニスト作用、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/007520号を参照されたい)である場合、IL-2ベースのキメラは、疾患の治療に有用である。例えば、本発明の構築物は、IL2受容体βおよびγを有する、抑制が弱化した(したがって、免疫応答を弱める)CD8+T細胞を好み、IL2受容体α、βおよびγを有するTregを好まない場合もある。あるいは、いくつかの実施形態では、IL-2を担持するキメラは、Tregの活性化、したがって免疫抑制を好み、CD8+T細胞の活性化を好まない。例えば、これらの構築物では、免疫抑制の有益性を受けるであろう疾患(複数可)の治療での使用が見出されている。
【0121】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、CD8+T細胞、ならびにIL-2Rβおよび/もしくはIL-2Rγについては、低下した親和性および/もしくは活性を有し、かつ/またはIL-2Rαについては実質的に低下もしくは消失した親和性および/もしくは活性を有する修飾型IL-2剤に向けられた本明細書に記載の標的化部分を有する。いくつかの実施形態では、これらの構築物は、標的化CD8+T細胞活性を提供し、これらは、Treg細胞に対して一般に不活性である(または実質的に低下した活性を有する)。いくつかの実施形態では、このような構築物は、野生型IL-2と比較して、(例えば、理論に拘束されることを望むものではないが、Tregを刺激しないことによって)向上した免疫刺激効果を有し、かつIL-2に関連する全身毒性を排除または減少させる。
【0122】
一実施形態では、野生型IL-2は、以下のアミノ酸配列を有する:
IL-2(成熟形態、野生型)
APTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFCQSIISTLT。
【0123】
このような実施形態では、修飾型IL-2剤は、アミノ酸L72(L72G、L72A、L72S、L72T、L72Q、L72E、L72N、L72D、L72R、またはL72K)、F42(F42A、F42G、F42S、F42T、F42Q、F42E、F42N、F42D、F42R、またはF42K)、およびY45(Y45A、Y45G、Y45S、Y45T、Y45Q、Y45E、Y45N、Y45D、Y45R、またはY45K)において1つ以上の突然変異を有する。理論に拘束されることを望むものではないが、これらの修飾型IL-2剤は、野生型IL-2と比較して、高親和性IL-2受容体に対して、低下した親和性を有し、中程度の親和性IL-2受容体に対する親和性を保存していると考えられている。例えば、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0244112号を参照されたい。
【0124】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はIL-3である。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、共通ベータ(ベータcまたはCD131)サブユニットと対になるユニークなアルファ鎖を有するヘテロ二量体であるIL-3受容体に対して低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、共通ベータ(ベータcまたはCD131)サブユニットと対になるユニークなアルファ鎖を有するヘテロ二量体であるIL-3受容体に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。
【0125】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はIL-4である。このような実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、1型および/または2型IL-4受容体に対して低下した親和性および/または活性を有する。このような実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、1型および/または2型IL-4受容体に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。1型IL-4受容体は、共通のγ鎖を有するIL-4Rαサブユニットから構成され、IL-4に特異的に結合する。2型IL-4受容体は、IL-13Rα1として公知である異なるサブユニットに結合したIL-4Rαサブユニットを含む。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、2型IL-4受容体に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。
【0126】
一実施形態では、野生型IL-4は、以下のアミノ酸配列を有する:
IL-4(成熟形態、野生型)
HKCDITLQEIIKTLNSLTEQKTLCTELTVTDIFAASKNTTEKETFCRAATVLRQFYSHHEKDTRCLGATAQQFHRHKQLIRFLKRLDRNLWGLAGLNSCPVKEANQSTLENFLERLKTIMREKYSKCSS。
【0127】
このような実施形態では、修飾型IL-4剤は、アミノ酸R121(R121A、R121D、R121E、R121F、R121H、R121I、R121K、R121N、R121P、R121T、R121W)、E122(E122F)、Y124(Y124A、Y124Q、Y124R、Y124S、Y124T)、およびS125(S125A)において1つ以上の突然変異を有する。理論に拘束されることを望むものではないが、これらの修飾型IL-4剤は、I型受容体によって媒介される活性を維持するが、他の受容体によって媒介される生物学的活性を有意に低下させると考えられる。例えば、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,433,157号を参照されたい。
【0128】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はIL-6である。IL-6は、リガンド結合IL-6R鎖(CD126)およびシグナル伝達成分gp130など、細胞表面I型サイトカイン受容体複合体を介してシグナル伝達する。IL-6はまた、IL-6Rの細胞外部分である可溶性形態のIL-6R(sIL-6R)にも結合し得る。sIL-6R/IL-6複合体は、神経突起伸長およびニューロンの生存に関与していると考えられ、したがって、髄鞘再成による神経再生において重要であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-6R/gp130および/またはsIL-6Rに対して低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-6R/gp130および/またはsIL-6Rに対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。
【0129】
一実施形態では、野生型IL-6は、以下のアミノ酸配列を有する:
IL-6(成熟形態、野生型)
APVPPGEDSKDVAAPHRQPLTSSERIDKQIRYILDGISALRKETCNKSNMCESSKEALAENNLNLPKMAEKDGCFQSGFNEETCLVKIITGLLEFEVYLEYLQNRFESSEEQARAVQMSTKVLIQFLQKKAKNLDAITTPDPTTNASLTTKLQAQNQWLQDMTTHLILRSFKEFLQSSLRALRQM。
【0130】
このような実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、アミノ酸58、160、163、171または177において1つ以上の突然変異を有する。理論に拘束されることを望むものではないが、これらの修飾型IL-6剤は、IL-6Rαに対する結合親和性の低下、および生物活性の低下を呈すると考えられている。例えば、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第97/10338号を参照されたい。
【0131】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はIL-10である。このような実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-10受容体-1およびIL-10受容体-2に対して低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-10受容体-1およびIL-10受容体-2に対して実質的に低下した親和性および/または活性を有する。
【0132】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はIL-11である。このような実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-11Rαおよび/またはIL-11Rβおよび/またはgp130に対して低下した親和性および/または活性を有する。このような実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-11Rαおよび/またはIL-11Rβおよび/またはgp130に対して、消失しまたは実質的に低下した親和性および/または活性を有する。
【0133】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はIL-12である。このような実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-12R-β1および/またはIL-12R-β2に対して低下した親和性および/または活性を有する。このような実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-12R-β1および/またはIL-12R-β2に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。
【0134】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はIL-13である。このような実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-4受容体(IL-4Rα)およびIL-13Rα1に対して低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-4受容体(IL-4Rα)またはIL-13Rα1に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。
【0135】
一実施形態では、野生型IL-13は、以下のアミノ酸配列を有する:
IL-13(成熟形態、野生型)
SPGPVPPSTALRELIEELVNITQNQKAPLCNGSMVWSINLTAGMYCAALESLINVSGCSAIEKTQRMLSGFCPHKVSAGQFSSLHVRDTKIEVAQFVKDLLLHLKKLFREGRFN。
【0136】
このような実施形態では、修飾型IL-13剤は、アミノ酸13、16、17、66、69、99、102、104、105、106、107、108、109、112、113、および114に1つ以上の突然変異を有する。理論に拘束されることを望むものではないが、これらの修飾型IL-13剤は低下した生物活性を呈すると考えられる。例えば、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2002/018422号を参照されたい。
【0137】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はIL-18である。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-18Rαおよび/またはIL-18Rβに対しては、低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、IL-18Rαおよび/またはIL-18Rβに対しては、実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、シグナル伝達に必要なTIRドメインが欠失しているIL-18RαのアイソフォームであるIL-18RαII型に対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。
【0138】
一実施形態では、野生型IL-18は、以下のアミノ酸配列を有する:
IL-18(野生型)
MAAEPVEDNCINFVAMKFIDNTLYFIAEDDENLESDYFGKLESKLSVIRNLNDQVLFIDQGNRPLFEDMTDSDCRDNAPRTIFIISMYKDSQPRGMAVTISVKCEKISTLSCENKIISFKEMNPPDNIKDTKSDIIFFQRSVPGHDNKMQFESSSYEGYFLACEKERDLFKLILKKEDELGDRSIMFTVQNEDL。
【0139】
このような実施形態では、修飾型IL-18剤は、これらの全内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/007542号に記載のとおり、Y37-K44、R49-Q54、D59-R63、E67-C74、R80、M87-A97、N127-K129、Q139-M149、K165-K171、R183、およびQ190-N191から選択されるアミノ酸、またはアミノ酸領域において、1つ以上の突然変異を含んでもよい(ヒトIL-18配列、Genbankアクセッション番号AAV38697、バージョンAAV38697.1、GI:54696650に基づく番号付け)。
【0140】
一実施形態では、修飾型シグナル伝達剤はIL-33である。このような実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、ST-2受容体およびIL-1RAcPに対して低下した親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、修飾型シグナル伝達剤は、ST-2受容体およびIL-1RAcPに対して実質的に低下または消失した親和性および/または活性を有する。
【0141】
一実施形態では、野生型IL-33は、以下のアミノ酸配列を有する:
MKPKMKYSTNKISTAKWKNTASKALCFKLGKSQQKAKEVCPMYFMKLRSGLMIKKEACYFRRETTKRPSLKTGRKHKRHLVLAACQQQSTVECFAFGISGVQKYTRALHDSSITGISPITEYLASLSTYNDQSITFALEDESYEIYVEDLKKDEKKDKVLLSYYESQHPSNESGDGVDGKMLMVTLSPTKDFWLHANNKEHSVELHKCEKPLPDQAFFVLHNMHSNCVSFECKTDPGVFIGVKDNHLALIKVDSSENLCTENILFKLSET。
【0142】
このような実施形態では、修飾型IL-33剤は、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/007542号に記載されるように、I113-Y122、S127-E139、E144-D157、Y163-M183、E200、Q215、L220-C227、およびT260-E269から選択されるアミノ酸またはアミノ酸領域に1つ以上の突然変異を含み得る(ヒト配列、Genbankアクセッション番号NP_254274、バージョンNP_254274.1、GI:15559209に基づく番号付け)。
【0143】
一実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、(i)CD20に対する標的化部分、および(ii)腫瘍細胞に対して向けられている標的化部分を、本明細書に記載の修飾型または突然変異シグナル剤のいずれかと共に有する。一実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、腫瘍細胞上のCD20に対する標的化部分およびPD-L1またはPD-L2に対する第2の標的化部分を有する。
【0144】
シグナル伝達剤との多重特異性キメラおよび融合物
様々な実施形態では、本出願のCD20結合剤は、本明細書に記載の1種以上のシグナル伝達剤、および/または1つ以上の追加の標的化部分とのキメラまたは融合物の一部である。したがって、本出願は、1種以上のシグナル伝達剤およびCD20に対する標的化部分、および/または1つ以上の追加の標的化部分を含むキメラまたは融合タンパク質を提供する。
【0145】
様々な実施形態では、本出願のキメラタンパク質は、2つの異なる細胞(例えば、シナプスを作製するため)または同じ細胞(例えば、より濃縮されたシグナル伝達剤効果を得るため)を標的とする標的化部分を有する。
【0146】
様々な実施形態では、本出願のCD20結合剤は多重特異性であり、すなわち、CD20結合剤は、2つ以上の標的(例えば、抗原、または受容体、またはエピトープ)を認識して結合する認識ドメイン(例えば、抗原認識ドメイン)を有する2つ以上の標的化部分を含む。このような実施形態では、本出願のCD20結合剤は、同じ抗原上、または異なる抗原上、または異なる受容体上の2つ以上のエピトープを認識して結合する認識ドメインを有する2つ以上の標的化部分を含み得る。様々な実施形態では、このような多重特異性CD20結合剤は、結合力の増大および/または選択性の改善などの有利な特性を呈する。一実施形態では、本出願のCD20結合剤は、2つの標的化部分を含み、二重特異性であり、すなわち、同じ抗原上、または異なる抗原、または異なる受容体上の2つのエピトープに結合し、認識する。
【0147】
様々な実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、2つ以上の標的化部分を含み、各標的化部分は、本明細書に記載の抗体または抗体誘導体である。一実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、CD20に対する抗原認識ドメインを含む少なくとも1つのVHH、および腫瘍抗原または免疫細胞に対する認識ドメインを含む1つの抗体または抗体誘導体を含む。
【0148】
様々な実施形態では、本発明の多重特異性CD20結合剤は、異なる抗原または受容体を標的とする2つ以上の標的化部分を有し、一方の標的化部分は、その抗原または受容体に対して弱化されてもよく、例えば、標的化部分は、低い親和性または結合力でその抗原または受容体に結合する(例えば、その抗原または受容体に対して、他の標的化部分が有する親和性または結合力よりも低い親和性または結合力であり、例えば、結合親和性の差は、約10倍、または25倍、または50倍、または100倍、または300倍、または500倍、または1000倍、または5000倍であってもよく、例えば、より低い親和性または結合力では、標的化部分は、中程度~高程度のnM、または低~中程度のμMの範囲のKDでその抗原または受容体に結合し得、より高い親和性または結合力では、標的化部分は、中程度~高程度のpMまたは低~中程度のnMの範囲のKDでその抗原または受容体に結合し得る)。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性CD20結合剤は、無差別(promiscuous)抗原または受容体に向けられている弱化された標的化部分を含む。これにより、(例えば、他の標的化部分を介して)目的の細胞への標的化を改善し、治療のために標的化されていないものなど、複数のタイプの細胞にわたる影響を防ぐことができる(例えば、これらの実施形態において提供されるものよりも高い親和性で無差別抗原または受容体を結合することによる)。
【0149】
本出願の多重特異性CD20結合剤は、当該分野で公知の方法を用いて構築され得る。例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,067,991号、米国特許公開第20110262348号、および国際公開第2004/041862号を参照されたい。例示的な実施形態では、2つ以上の標的化部分を含む本出願の多重特異性CD20結合剤は、化学的架橋により、例えば、Blattlerら、Biochemistry 24,1517-1524および、この全内容が参照により組み込まれる欧州特許明細書第294703号に記載されているとおり、アミノ酸残基を有機誘導体化剤と反応させることにより、構築され得る。別の例示的な実施形態では、2つ以上の標的化部分を含む多重特異性CD20結合剤は、遺伝子融合、すなわち個々の標的化部分のポリペプチドを含む単一のポリペプチドを構築することによって構築される。例えば、CD20に対する抗原認識ドメインを有する第1のVHHおよび腫瘍抗原に対する認識ドメインを有する第2の抗体または抗体誘導体をコードする単一のポリペプチド構築物を形成することができる。二価または多価VHHポリペプチド構築物を産生する方法は、国際特許出願第96/34103号に開示されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。さらなる例示的な実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、リンカーを用いて構築され得る。例えば、CD20に対する抗原認識ドメインを有する第1のVHHのカルボキシ末端は、腫瘍抗原に対する認識ドメインを有する第2の抗体または抗体誘導体のアミノ末端に(またはその逆に)連結され得る。使用され得る例示的なリンカーが本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤の成分は、リンカーを使用せずに互いに直接的に連結される。
【0150】
様々な実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、CD20および1つ以上の免疫細胞上に見出される1つ以上の抗原を認識してこれらに結合する。これらの結合剤としては、これらに限定するものではないが、巨核球、血小板、赤血球、肥満細胞、好塩基球、好中球、好酸球、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球(例えば、細胞傷害性Tリンパ球、Tヘルパー細胞、ナチュラルキラーT細胞)、Bリンパ球、形質細胞、樹状細胞、またはそのサブセットが挙げられる。いくつかの実施形態では、CD20結合剤は、目的の抗原に特異的に結合し、効果的に直接的に、または間接的に1つ以上の免疫細胞を動員する。例示的な実施形態では、本発明のCD20結合剤は、免疫細胞(例えば、樹状細胞)を作用部位(例えば、これに限定するものではないが、腫瘍微小環境など)に直接的に、または間接的に動員することができる。
【0151】
様々な実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、癌細胞または腫瘍細胞上に見出されるCD20および1つ以上の抗原を認識して結合する。これらの実施形態では、本発明のCD20結合剤は、癌細胞または腫瘍細胞(すなわち、CD20および別の癌抗原または腫瘍抗原)上の2つ以上の抗原に結合することにより、CD20陽性癌細胞または腫瘍細胞に対して増強された選択性を有し得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、本発明のCD20結合剤は、腫瘍の免疫攻撃のために免疫細胞のバランスをシフトさせることを伴う方法で使用することができるか、またはその使用を見出すことができる。例えば、本発明のCD20結合剤は、腫瘍(例えば、T細胞、細胞傷害性Tリンパ球、Tヘルパー細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、抗腫瘍マクロファージ(例えば、M1マクロファージ)、B細胞、樹状細胞、および腫瘍を保護する細胞とは対照的なもの(例えば、骨髄球由来サプレッサー細胞(MDSC)、調節性T細胞(Treg);腫瘍関連好中球(TAN)、M2マクロファージ、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、またはそれらのサブセット)を死滅させる、かつ/または抑制することができる細胞のために、臨床的に重要な部位における免疫細胞の割合をシフトさせることができる。いくつかの実施形態では、本発明のCD20結合剤は、エフェクターT細胞と調節性T細胞との比を増加させることができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、癌細胞または腫瘍細胞に関連する標的(例えば、抗原または受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、腫瘍細胞を直接的に、または間接的に動員する。例えば、いくつかの実施形態では、腫瘍細胞の動員は、腫瘍細胞を死滅させる、かつ/または抑制することができる1つ以上のエフェクター細胞(例えば、本明細書に記載の免疫細胞)に対するものである。
【0154】
腫瘍細胞または癌細胞とは、細胞もしくは組織の制御不能な増殖、ならびに/または身体の器官および系の正常な機能を妨害する、異常に増大した細胞生存率および/もしくはアポトーシスの阻害を指す。例えば、腫瘍細胞としては、良性および悪性の癌、ポリープ、過形成、ならびに休眠腫瘍または微小転移が挙げられる。例示的な腫瘍細胞としては、これらに限定するものではないが、以下の細胞が挙げられる:基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳および中枢神経系の癌;乳癌;腹膜癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸および直腸癌;結合組織癌;消化器系癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部癌;胃癌(胃腸癌を含む);神経膠芽細胞腫;肝癌;肝細胞癌;上皮内新生物;腎癌;喉頭癌;白血病;肝癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、および肺扁平上皮癌);メラノーマ;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌(口唇、舌、口、および咽頭);卵巣癌;膵癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系癌;唾液腺癌;肉腫;皮膚癌;扁平上皮細胞癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮または子宮内膜癌;泌尿器系癌;外陰部癌;ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫などのリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)など);小リンパ球(SL)NHL;中悪性/濾胞性NHL;中悪性びまん性NHL;高悪性度免疫芽球NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性小非切断細胞NHL; 巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;ならびにワルデンストレームマクログロブリン血症 ;慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリー細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;他の癌腫および肉腫;および移植後リンパ増殖性障害(PTLD)ならびにファコマトーシスに伴う異常な血管増殖、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連するもの)、ならびにメイグス症候群。
【0155】
腫瘍細胞、または癌細胞には、これに限定されるものではないが、癌腫、例えば様々なサブタイプ、例えば、腺癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、および移行上皮癌など)、肉腫(例えば、骨および軟部組織など)、白血病(例えば、急性骨髄性、急性リンパ芽球性、慢性骨髄性、慢性リンパ球性、ヘアリー細胞など)、リンパ腫および骨髄腫(例えば、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、軽鎖、非分泌型、MGUS、および形質細胞腫など)、ならびに中枢神経系の癌(例えば、脳(例えば神経膠腫(例えば、星状細胞腫、乏突起膠腫、および上衣腫)、髄膜腫、下垂体腺腫、神経腫など、ならびに脊髄腫瘍(例えば、髄膜腫および神経線維腫)が挙げられる。
【0156】
特定の実施形態では、癌または腫瘍細胞は、以下の細胞などの白血病細胞またはリンパ腫細胞を指す:B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、リンパ球優勢なサブタイプのホジキンリンパ腫、前駆体B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、成熟B細胞新生物、B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、低程度、中程度および高程度FLなどの濾胞性リンパ腫(FL)、皮膚濾胞中心リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、MALT型辺縁帯B細胞リンパ腫、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓型辺縁帯B細胞リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、びまん性大B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、形質細胞腫、形質細胞性骨髄腫、移植後リンパ増殖性障害、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、および未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)。
【0157】
例示的な腫瘍抗原としては、これらに限定するものではないが、MART-1/Melan-A、gp100、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、シクロフィリンb、結腸直腸関連抗原(CRC)-0017-1A/GA733、癌胎児性抗原(CEA)およびその免疫原性エピトープCAP-1およびCAP-2、etv6、aml1、前立腺特異抗原(PSA)およびその免疫原性エピトープPSA-1、PSA-2、およびPSA-3、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、T細胞レセプター/CD3-ゼータ鎖、MAGEファミリー腫瘍抗原(例えば、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A12、MAGE-Xp2(MAGE-B2)、MAGE-Xp3(MAGE-B3)、MAGE-Xp4(MAGE-B4)、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-C4、MAGE-C5)、GAGEファミリー腫瘍抗原(例えば、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、GAGE-8、GAGE-9)、BAGE、RAGE、LAGE-1、NAG、GnT-V、MUM-1、CDK4、チロシナーゼ、p53、MUCファミリー、HER2/neu、p21ras、RCAS1、α-フェトプロテイン、E-カドヘリン、α-カテニン、β-カテニンおよびγ-カテニン、p120ctn、gp100 Pmel117、PRAME、NY-ESO-1、cdc27、腺腫様ポリポーシス大腸菌タンパク質(APC)、フォドリン、コネクシン37、Ig-イディオタイプ、p15、gp75、GM2およびGD2ガングリオシド、ヒトパピローマウイルスタンパク質などのウイルス産物、Smadファミリー腫瘍抗原、lmp-1、NA、EBVコード化核抗原(EBNA)-1、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、SSX-1、SSX-2(HOM-MEL-40)、SSX-1、SSX-4、SSX-5、SCP-1 CT-7、c-erbB-2、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD37、CD56、CD70、CD74、CD138、AGS16、MUC1、GPNMB、Ep-CAM、PD-L1、PD-L2、およびPMSAが挙げられる。様々な実施形態では、CD20結合剤は、これらの腫瘍細胞抗原の1つ以上に結合する標的化部分を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性CD20結合剤は、腫瘍細胞上のCD20および抗原を認識してこれに結合する。いくつかの実施形態では、多特異的CD20結合剤は、免疫細胞を直接的に、または間接的に腫瘍細胞または腫瘍微小環境に動員する。
【0159】
いくつかの実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、T細胞に関連する標的(例えば、抗原または受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、T細胞を直接的に、または間接的に動員する。一実施形態では、抗原認識ドメインはエフェクターT細胞に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインは、例えばいくつかの実施形態では、治療部位(例えば、1つ以上の疾患細胞または治療効果のために調節される細胞を有する座位)に、エフェクターT細胞を直接的に、または間接的に動員する。例示的なエフェクターT細胞には、細胞傷害性T細胞(例えば、αβTCR、CD3+、CD8+、CD45RO+);CD4+エフェクターT細胞(例えば、αβTCR、CD3+、CD4+、CCR7+、CD62Lhi、IL-7R/CD127+);CD8+エフェクターT細胞(例えば、αβTCR、CD3+、CD8+、CCR7+、CD62Lhi、IL-7R/CD127+);エフェクターメモリーT細胞(例えば、CD62Llow、CD44+、TCR、CD3+、IL-7R/CD127+、IL-15R+、CCR7low);セントラルメモリーT細胞(例えば、CCR7+、CD62L+、CD27+;またはCCR7hi、CD44+、CD62Lhi、TCR、CD3+、IL-7R/CD127+、IL-15R+);CD62L+エフェクターT細胞;初期エフェクターメモリーT細胞(CD27+CD62L-)および後期エフェクターメモリーT細胞(CD27-CD62L-)(それぞれ、TemEおよびTemL)などのCD8+エフェクターメモリーT細胞(TEM);CD127(+)CD25(低/-)エフェクターT細胞;CD127(-)CD25(-)エフェクターT細胞;CD8+幹細胞メモリーエフェクター細胞(TSCM)(例えば、CD44(低)CD62L(高)CD122(高)sca(+));TH1エフェクターT細胞(例えば、CXCR3+、CXCR6+およびCCR5+;またはαβTCR、CD3+、CD4+、IL-12R+、IL-IFNγR+、CXCR3+)、TH2エフェクターT細胞(例えば、CCR3+、CCR4+およびCCR8+;またはαβTCR、CD3+、CD4+、IL-4R+、IL-33R+、CCR4+、IL-17RB+、CRTH2+);TH9エフェクターT細胞(例えば、αβTCR、CD3+、CD4+);TH17エフェクターT細胞(例えば、αβTCR、CD3+、CD4+、IL-23R+、CCR6+、IL-1R+);CD4+CD45RO+CCR7+エフェクターT細胞、ICOS+エフェクターT細胞;CD4+CD45RO+CCR7(-)エフェクターT細胞;IL-2、IL-4および/またはIFN-γを分泌するエフェクターT細胞が挙げられる。
【0160】
目的の例示的なT細胞抗原には、例えば(適用可能であれば細胞外ドメインを含む):CD8、CD3、SLAMF4、IL-2Rα、4-1BB/TNFRSF9、IL-2Rβ、ALCAM、B7-1、IL-4R、B7-H3、BLAME/SLAMFS、CEACAM1、IL-6R、CCR3、IL-7Rα、CCR4、CXCRl/IL-SRA、CCR5、CCR6、IL-10Rα、CCR7、IL-l0Rβ、CCRS、IL-12Rβ1、CCR9、IL-12Rβ2、CD2、IL-13Rα1、IL-13、CD3、CD4、ILT2/CDS5j、ILT3/CDS5k、ILT4/CDS5d、ILT5/CDS5a、インテグリンα4/CD49d、CDS、インテグリンαE/CD103、CD6、インテグリンαM/CD11b、CDS、インテグリンαX/CD11c、インテグリンβ2/CDlS、KIR/CD15S、CD27/TNFRSF7、KIR2DL1、CD2S、KIR2DL3、CD30/TNFRSFS、KIR2DL4/CD15Sd、CD31/PECAM-1、KIR2DS4、CD40リガンド/TNFSF5、LAG-3、CD43、LAIR1、CD45、LAIR2、CDS3、ロイコトリエンB4-R1、CDS4/SLAMF5、NCAM-L1、CD94、NKG2A、CD97、NKG2C、CD229/SLAMF3、NKG2D、CD2F-10/SLAMF9、NT-4、CD69、NTB-A/SLAMF6、共通γ鎖/IL-2Rγ、オステオポンチン、CRACC/SLAMF7、PD-1、CRTAM、PSGL-1、CTLA-4、RANK/TNFRSF11A、CX3CR1、CX3CL1、L-セレクチン、CXCR3、SIRPβ1、CXCR4、SLAM、CXCR6、TCCR/WSX-1、DNAM-1、サイモポイエチン、EMMPRIN/CD147、TIM-1、EphB6、TIM-2、Fas/TNFRSF6、TIM-3、Fasリガンド/TNFSF6、TIM-4、FcγRIII/CD16、TIM-6、TNFR1/TNFRSF1A、グラニュライシン、TNFRIII/TNFRSF1B、TRAILRI/TNFRSFlOA、ICAM-1/CD54、TRAILR2/TNFRSF10B、ICAM-2/CD102、TRAILR3/TNFRSF10C、IFN-γR1、TRAILR4/TNFRSF10D、IFN-γR2、TSLP、IL-1R1およびTSLPRが挙げられる。様々な実施形態では、CD20結合剤は、これらの例示的なT細胞抗原のうちの1つ以上に結合する標的化部分を含む。
【0161】
非限定的な例として、様々な実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、T細胞、例えばPD-1、CD28、CTLA4、ICOS、BTLA、KIR、LAG3、CD137、OX40、CD27、CD40L、TIM3、およびA2aRのうちの1つ以上などに発現するチェックポイントマーカーに対して向けられる標的化部分を有する。
【0162】
いくつかの実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、B細胞に関連する標的(例えば、抗原または受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、例えばいくつかの実施形態では、治療部位(例えば、1つ以上の疾患細胞または治療効果のために調節される細胞を有する座位)に、B細胞を直接的に、または間接的に動員する。目的の例示的なB細胞抗原としては、例えば、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD38、CD39、CD40、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CD78、CD79a/b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85、CD86、CD89、CD98、CD126、CD127、CDw130、CD138、およびCDw150が挙げられる。様々な実施形態では、CD20結合剤は、これらの例示的B細胞抗原の1つ以上に結合する標的化部分を含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、ナチュラルキラー細胞に関連する標的(例えば、抗原または受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、例えばいくつかの実施形態では、治療部位(例えば、1つ以上の疾患細胞または治療効果のために調節される細胞を有する座位)に、ナチュラルキラー細胞を直接的に、または間接的に動員する。例示的な目的のナチュラルキラー細胞抗原としては、例えば、TIGIT、2B4/SLAMF4、KIR2DS4、CD155/PVR、KIR3DL1、CD94、LMIR1/CD300A、CD69、LMIR2/CD300c、CRACC/SLAMF7、LMIR3/CD300LF、Kir1α、DNAM-1、LMIR5/CD300LB、Fc-イプシロンRII、LMIR6/CD300LE、Fc-γRl/CD64、MICA、Fc-γRIIB/CD32b、MICB、Fc-γRIIC/CD32c、MULT-1、Fc-γRIIA/CD32a、ネクチン-2/CD112、Fc-γRIII/CD16、NKG2A、FcRH1/IRTA5、NKG2C、FcRH2/IRTA4、NKG2D、FcRH4/IRTA1、NKp30、FcRH5/IRTA2、NKp44、Fc-受容体様3/CD16-2、NKp46/NCR1、NKp80/KLRF1、NTB-A/SLAMF6、Rae-1、Rae-1α、Rae-1β、Rae-1δ、H60、Rae-1イプシロン、ILT2/CD85j、Rae-1γ、ILT3/CD85k、TREM-1、ILT4/CD85d、TREM-2、ILT5/CD85a、TREM-3、KIR/CD158、TREML1/TLT-1、KIR2DL1、ULBP-1、KIR2DL3、ULBP-2、KIR2DL4/CD158d、およびULBP-3が挙げられる。様々な実施形態では、CD20結合剤は、これらの例示的NK細胞抗原の1つ以上に結合する標的化部分を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、マクロファージ/単球に関連する標的(例えば、抗原または受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、例えばいくつかの実施形態では、治療部位(例えば、1つ以上の疾患細胞または治療効果のために調節される細胞を有する座位)に、マクロファージ/単球を直接的に、または間接的に動員する。目的の例示的マクロファージ/単球抗原としては、例えば、SIRP1a、B7-1/CD80、ILT4/CD85d、B7-H1、ILT5/CD85a、共通β鎖、インテグリンα 4/CD49d、BLAME/SLAMF8、インテグリンα X/CDllc、CCL6/C10、インテグリンβ 2/CD18、CD155/PVR、インテグリンβ 3/CD61、CD31/PECAM-1、ラテキシン、CD36/SR-B3、ロイコトリエンB4 R1、CD40/TNFRSF5、LIMPIIISR-B2、CD43、LMIR1/CD300A、CD45、LMIR2/CD300c、CD68、LMIR3/CD300LF、CD84/SLAMF5、LMIR5/CD300LB、CD97、LMIR6/CD300LE、CD163、LRP-1、CD2F-10/SLAMF9、MARCO、CRACC/SLAMF7、MD-1、ECF-L、MD-2、EMMPRIN/CD147、MGL2、エンドグリン/CD105、オステオアクチビン/GPNMB、Fc-γ RI/CD64、オステオポンチン、Fc-γ RIIB/CD32b、PD-L2、Fc-γ RIIC/CD32c、Siglec-3/CD33、Fc-γ RIIA/CD32a、SIGNR1/CD209、Fc-γ RIII/CD16、SLAM、GM-CSF R α、TCCR/WSX-1、ICAM-2/CD102、TLR3、IFN-γ Rl、TLR4、IFN-γR2、TREM-l、IL-l RII、TREM-2、ILT2/CD85j、TREM-3、ILT3/CD85k、TREML1/TLT-1、2B4/SLAMF 4、IL-10 R α、ALCAM、IL-10 R β、アミノペプチダーゼN/ANPEP、ILT2/CD85j、共通β鎖、ILT3/CD85k、Clq R1/CD93、ILT4/CD85d、CCR1、ILT5/CD85a、CCR2、CD206、インテグリンα 4/CD49d、CCR5、インテグリンα M/CDll b、CCR8、インテグリンα X/CDllc、CD155/PVR、インテグリンβ 2/CD18、CD14、インテグリンβ 3/CD61、CD36/SR-B3、LAIR1、CD43、LAIR2、CD45、ロイコトリエン B4-R1、CD68、LIMPIIISR-B2、CD84/SLAMF5、LMIR1/CD300A、CD97、LMIR2/CD300c、CD163、LMIR3/CD300LF、凝固因子III/組織因子、LMIR5/CD300LB、CX3CR1、CX3CL1、LMIR6/CD300LE、CXCR4、LRP-1、CXCR6、M-CSF R、DEP-1/CD148、MD-1、DNAM-1、MD-2、EMMPRIN/CD147、MMR、エンドグリン/CD105、NCAM-L1、Fc-γ RI/CD64、PSGL-1、Fc-γ RIIIICD16、RP105、G-CSF R、L-セレクチン、GM-CSF R α、Siglec-3/CD33、HVEM/TNFRSF14、SLAM、ICAM-1/CD54、TCCR/WSX-1、ICAM-2/CD102、TREM-l、IL-6 R、TREM-2、CXCRl/IL-8 RA、TREM-3、およびTREMLl/TLT-1が挙げられる。様々な実施形態では、CD20結合剤は、これらの例示的マクロファージ/単球抗原の1つ以上に結合する標的化部分を含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、樹状細胞に関連する標的(例えば、抗原または受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、例えばいくつかの実施形態では、治療部位(例えば、疾患細胞または治療効果のために調節される1つ以上の細胞を有する座位)に、樹状細胞を直接的に、または間接的に動員する。目的の例示的樹状細胞抗原としては、例えば、Clec9A、XCR1、RANK、CD36/SRB3、LOX-1/SR-E1、CD68、MARCO、CD163、SR-A1/MSR、CD5L、SREC-1、CL-Pl/COLEC12、SREC-II、LIMPIIISRB2、RP105、TLR4、TLR1、TLR5、TLR2、TLR6、TLR3、TLR9、4-IBBリガンド/TNFSF9、IL-12/IL-23 p40、4-アミノ-1,8-ナフタルイミド、ILT2/CD85j、CCL21/6Ckine、ILT3/CD85k、8-オキソ-dG、ILT4/CD85d、8D6A、ILT5/CD85a、A2B5、インテグリンα 4/CD49d、Aag、インテグリンβ 2/CD18、AMICA、ランゲリン、B7-2/CD86、ロイコトリエンB4 Rl、B7-H3、LMIR1/CD300A、BLAME/SLAMF8、LMIR2/CD300c、Clq R1/CD93、LMIR3/CD300LF、CCR6、LMIR5/CD300LB CCR7、LMIR6/CD300LE、CD40/TNFRSF5、MAG/シグレック-4-a、CD43、MCAM、CD45、MD-1、CD68、MD-2、CD83、MDL-1/CLEC5A、CD84/SLAMF5、MMR、CD97、NCAMLl、CD2F-10/SLAMF9、オステオアクチビンGPNMB、Chern 23、PD-L2、CLEC-1、RP105、CLEC-2、CLEC-8、シグレック-2/CD22、CRACC/SLAMF7、シグレック-3/CD33、DC-SIGN、DCE205、シグレック-5、DC-SIGNR/CD299、シグレック-6、DCAR、シグレック-7、DCIR/CLEC4A、シグレック-9、DEC-205、シグレック-10、デクチン-1/CLEC7A、シグレック-F、デクチン-2/CLEC6A、SIGNR1/CD209、DEP-1/CD148、SIGNR4、DLEC、SLAM、エンプリン/CD147、TCCR/WSX-1、Fc-γ R1/CD64、TLR3、Fc-γ RIIB/CD32b、TREM-1、Fc-γ RIIC/CD32c、TREM-2、Fc-γ RIIA/CD32a、TREM-3、Fc-γ RIII/CD16、TREML1/TLT-1、ICAM-2/CD102、およびバニロイドR1が挙げられる。様々な実施形態では、CD20結合剤は、これらの例示的DC抗原の1つ以上に結合する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、CD20結合剤は、Clec9Aに結合する標的化部分を含み、そのようなCD20結合剤は、例えば多発性硬化症の治療での使用が見出される。
【0166】
いくつかの実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、これらに限定するものではないが、巨核球、血小板、赤血球、肥満細胞、好塩基球、好中球、好酸球、またはこれらのサブセットから選択される免疫細胞に関連する標的(例えば、抗原または受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインは、例えば、いくつかの実施形態では、治療部位(例えば、1つ以上の疾患細胞または治療効果を調節させる細胞を有する座位)に、巨核球、血小板、赤血球、肥満細胞、好塩基球、好中球、好酸球、またはこれらのサブセットを直接的に、または間接的に動員する。
【0167】
いくつかの実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、巨核球および/または血小板に関連する標的(例えば、抗原または受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。目的の例示的な巨核球および/または血小板抗原としては、例えばGP IIb/IIIa、GPIb、vWF、PF4およびTSPが挙げられる。様々な実施形態では、CD20結合剤は、これらの例示的巨核球および/または血小板抗原の1つ以上に結合する標的化部分を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、赤血球に関連する標的(例えば、抗原または受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。目的の例示的赤血球抗原としては、例えば、CD34、CD36、CD38、CD41a(血小板糖タンパク質IIb/IIIa)、CD41b(GPIIb)、CD71(トランスフェリン受容体)、CD105、グリコホリンA、グリコホリンC、c-kit、HLA-DR、H2(MHC-II)、およびアカゲザル抗原が挙げられる。様々な実施形態では、CD20結合剤は、これらの例示的赤血球抗原の1つ以上に結合する標的化部分を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、肥満細胞に関連する標的(例えば、抗原または受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。目的の例示的な肥満細胞抗原としては、例えば、SCFR/CD117、FcεRI、CD2、CD25、CD35、CD88、CD203c、C5R1、CMAl、FCERlA、FCER2、TPSABlが挙げられる。様々な実施形態では、CD20結合剤は、これらの肥満細胞抗原の1つ以上に結合する標的化部分を含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、好塩基球に関連する標的(例えば、抗原または受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。目的の例示的な好塩基球抗原としては、例えばFcεRI、CD203c、CD123、CD13、CD107a、CD107b、およびCD164が挙げられる。様々な実施形態では、CD20結合剤は、これらの好塩基球抗原の1つ以上に結合する標的化部分を含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、好中球に関連する標的(例えば、抗原または受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。目的の例示的な好中球抗原としては、例えば、7D5、CD10/CALLA、CD13、CD16(FcRIII)、CD18タンパク質(LFA-1、CR3、およびp150,95)、CD45、CD67およびCD177が挙げられる。様々な実施形態では、CD20結合剤は、これらの好中球抗原の1つ以上に結合する標的化部分を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、好酸球に関連する標的(例えば、抗原または受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。目的の例示的な好酸球抗原には、例えば、CD35、CD44およびCD69が挙げられる。様々な実施形態では、CD20結合剤は、これらの好酸球抗原の1つ以上に結合する標的化部分を含む。
【0173】
様々な実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、当業者に公知の適切な抗原または細胞表面マーカーに特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、抗原または細胞表面マーカーは、組織特異的マーカーである。例示的な組織特異的マーカーとしては、これらに限定するものではないが、ACE、CD14、CD34、CDH5、ENG、ICAM2、MCAM、NOS3、PECAMl、PROCR、SELE、SELP、TEK、THBD、VCAMl、VWFなどの内皮細胞表面マーカー;ACTA2、MYHlO、MYHl1、MYH9、MYOCDなどの平滑筋細胞表面マーカー;ALCAM、CD34、COLlAl、COL1A2、COL3A1、FAP、PH-4などの線維芽細胞(間質)細胞表面マーカー;CDlD、K6IRS2、KRTlO、KRT13、KRT17、KRT18、KRT19、KRT4、KRT5、KRT8、MUCl、TACSTDlなどの上皮細胞表面マーカー;CD13、TFNA、アルファ-vベータ-3(αVβ3)、E-セレクチンなどの新生血管系マーカー;ADIPOQ、FABP4、およびRETNなどの脂肪細胞表面マーカーが挙げられる。様々な実施形態では、CD20結合剤は、これらの抗原の1つ以上に結合する標的化部分を含む。様々な実施形態では、キメラタンパク質の標的化部分は、これらの抗原を有する1つ以上の細胞に結合する。
【0174】
様々な実施形態では、本出願の多重特異性CD20結合剤は、チェックポイントマーカー、例えば、PD-1/PD-L1またはPD-L2、CD28/CD80またはCD86、CTLA4/CD80またはCD86、ICOS/ICOSLまたはB7RP1、BTLA/HVEM、KIR、LAG3、CD137/CD137L、OX40/OX40L、CD27、CD40L、TIM3/Gal9、およびA2aRのうちの1つ以上に対して向けられた1つ以上の標的化部分を有する。
【0175】
非限定的な例として、様々な実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、(i)T細胞、例えばPD-1、PD-L1、PD-L2、CD28、CTLA4、ICOS、BTLA、KIR、LAG3、CD137、OX40、Cd27、CD40L、TIM3、およびA2aRうちの1つ以上に発現するチェックポイントマーカーに対して向けられた標的化部分を含み、かつ、(ii)標的化部分は、本明細書に記載の修飾型(例えば突然変異体)シグナル伝達剤のいずれかと共に癌細胞または腫瘍細胞(例えば、癌または腫瘍細胞上のCD20)に対して向けられる。
【0176】
非限定的な例として、様々な実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、PD-1:
EVQLVESGGGLVQAGKSLRLSCAASGSIFSIHAMGWFRQAPGKEREFVAAITWSGGITYYEDSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAIYYCAADRAESSWYDYWGQGTQVTVSS、
または上記配列に対して少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一である配列(例えば、上記の配列に対して約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、約99%、または約100%同一である配列)に対して向けられる標的化部分を有する。
【0177】
さらなる非限定的な例として、様々な実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、PD-L1:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLDYYAKCWFRQAPGKEREWVSCISSSDGSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYFCAARHGGPLTVEYFFDYWGQGTQVTVSS、
または上記配列に対して少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一である配列(例えば、上記の配列に対して約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、約99%、または約100%同一である配列)に対して向けられる標的化部分を有する。
【0178】
リンカーおよび官能基
様々な実施形態では、CD20結合剤は、1つ以上の官能基、残基、または部分を含み得る。様々な実施形態では、1つ以上の官能基、残基、または部分は、本明細書に記載のシグナル伝達剤または標的化部分のいずれかに付着または遺伝子融合される。いくつかの実施形態では、このような官能基、残基または部分は、本出願のCD20結合剤に1つ以上の所望の特性または機能性を付与する。このような官能基の例およびそれらをCD20結合剤に導入する技術の例は、当該技術分野において公知であり、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Mack Publishing Co.、Easton、Pa(1980年)を参照されたい。
【0179】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)またはその誘導体など(例えば、メトキシポリ(エチレングリコール)またはmPEGなど)の好適な薬理学的に許容されるポリマーを含む。いくつかの実施形態では、PEG部分が付着することで、半減期を増加させ、かつ/またはCD20結合タンパク質の免疫原性を低下させる。当該分野で使用されるペグ化など、一般に、例えば、抗体および抗体断片(これに限定されるものではないが、VHHなどの単一ドメイン抗体を含む)について、任意の好適な形態のペグ化を使用することができる。例えば、Chapman,Nat.Biotechnol.,54,531-545(2002年);Veronese and Harrisによる、Adv.Drug Deliv.Rev.54,453-456(2003年)、Harris and Chessによる、Nat.Rev.Drug.Discov.,2,(2003年)、および国際公開第04060965号(それらの全体が、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。タンパク質のペグ化のための様々な試薬も、例えばNektar Therapeutics(USA)から市販されている。いくつかの実施形態では、部位特異的ペグ化が、特にシステイン残基を介して使用される(例えば、この全内容が参照により本明細書に組み込まれる、Yangら、Protein Engineering、16、10、761-770(2003年)を参照されたい)。例えば、この目的のために、PEGは、本出願のCD20結合剤中に天然に存在するシステイン残基に付着してもよい。いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、PEGを付着させるために1つ以上のシステイン残基を好適に導入するように修飾されるか、またはPEGを付着させるために1つ以上のシステイン残基を含むアミノ酸配列を、CD20結合剤のアミノ末端および/またはカルボキシ末端に、当技術分野で公知の技術を用いて、融合させ得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、N-結合またはO-結合グリコシル化を含む。いくつかの実施形態では、N-結合型またはO-結合型グリコシル化は、同時翻訳および/または翻訳後修飾の一部として導入される。
【0181】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、1つ以上の検出可能な標識または他のシグナル生成基または部分を含む。これらを付着させ、使用し、かつ検出するための好適な標識および技術は、当技術分野において公知であり、これらに限定するものではないが、蛍光標識(フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、ならびにフルオレサミンおよび蛍光金属、例えばEuまたはランタニド系列の他の金属など)、リン光標識、化学発光標識または生物発光標識(ルミナール、イソルミノール、セロマティックアクリジニウム・エステル(theromatic acridinium ester)、イミダゾール、アクリジニウム塩、シュウ酸エステル、ジオキセタンまたはGFPおよびその類似体など)、金属、金属キレートもしくは金属カチオン、またはin vivo、in vitroもしくはin situでの診断および画像化における使用に特に適している他の金属もしくは金属カチオン、ならびに発色団および酵素(リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、デルタ-V-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ビオチンアビジンペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-VI-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼ)などが挙げられる。他の好適な標識は、NMRまたはESR分光法を用いて検出することができる部分を含む。このような標識された本出願のVHHおよびポリペプチドは、例えば、in vitro、in vivoまたはin situアッセイ(ELISA、RIA、EIAおよび他の「sandwichアッセイ)など、それ自体が公知のイムノアッセイなど)のために、ならびに特定の標識の選択に依存して、in vivoでの診断および画像化の目的で使用されてもよい。
【0182】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、CD20結合剤に付着または遺伝的に融合されたタグを含む。いくつかの実施形態では、CD20結合剤は、単一のタグまたは複数のタグを含み得る。タグは、例えば、CD20または腫瘍抗原などの他の目的の抗原に対するCD20結合剤の結合を阻害または防止することのないペプチド、糖またはDNA分子である。種々の実施形態では、タグは、少なくとも約3~5アミノ酸長、少なくとも約5~8アミノ酸長、少なくとも約8~12アミノ酸長、少なくとも約12~15アミノ酸長、または少なくとも約15~20アミノ酸長である。例示的なタグは、例えば、米国特許公開第2013/0058962号に記載されている。いくつかの実施形態では、タグは、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)およびヒスチジン(His)タグなどの親和性タグである。一実施形態では、CD20結合剤はHisタグを含む。一実施形態では、CD20結合剤はHAタグを含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、例えば金属または金属カチオンのうちの1つをキレート化するためにキレート基を含む。好適なキレート基としては、例えば、これに限定するものではないが、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が挙げられる。
【0184】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、ビオチン-(ストレプト)アビジン結合対などの特異的結合対の一部分である官能基を含む。こうした官能基を用いて、結合対の他の半分に結合する、すなわち結合対の形成を介して、本出願のCD20結合剤を、別のタンパク質、ポリペプチドまたは化合物に連結することができる。例えば、本出願のCD20結合剤は、ビオチンにコンジュゲートされ、アビジンまたはストレプトアビジンにコンジュゲートされた別のタンパク質、ポリペプチド、化合物または担体に連結され得る。例えば、このようなコンジュゲートされたCD20結合剤は、例えば、検出可能なシグナル生成剤がアビジンまたはストレプトアビジンにコンジュゲートされる診断システムにおいて、レポーターとして使用され得る。このような結合対は、例えば、医薬目的に好適である担体などの担体にCD20結合剤を結合させるために使用されてもよい。1つの非限定的な例は、Cao and Suresh、Journal of Drug Targeting、8,4,257(2000年)によって記載されたリポソーム配合物である。このような結合対はまた、治療活性剤を本出願のCD20結合剤に連結するために使用され得る。
【0185】
いくつかの実施形態では、本発明のCD20結合剤は、任意により1つ以上のリンカーを含む。いくつかの実施形態では、CD20結合剤は、各結合領域および/または標的化部分を接続するリンカーを含む。いくつかの実施形態では、CD20結合剤は、各シグナル伝達剤および標的化部分を接続する(または、2つ以上の標的化部分であれば、シグナル伝達剤を標的化部分の1つに接続する)リンカーを含む。いくつかの実施形態では、リンカーを利用して、本明細書に記載の様々な官能基、残基、または部分をCD20結合剤に連結することができる。いくつかの実施形態では、リンカーは、結合領域および結合タンパク質の安定性、配向、結合、中和、および/またはクリアランス特性に影響を及ぼすか、またはこれらを低減させることのない単一のアミノ酸または複数のアミノ酸である。様々な実施形態では、リンカーは、ペプチド、タンパク質、糖、または核酸から選択される。
【0186】
いくつかの実施形態では、本発明のCD20結合剤は、標的化部分とシグナル伝達剤とを接続するリンカーを含む。いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達剤内にリンカーを含む(例えば、一本鎖TNFの場合、三量体を生じるために2つのリンカーを含むことができる)。
【0187】
本出願は、種々のリンカー配列の使用を企図している。様々な実施形態では、リンカーは、天然に存在するマルチドメインタンパク質に由来しているか、または例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれるChichiliら(2013年),Protein Sci.22(2):153-167,Chenら、(2013年),Adv Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369に記載されているとおり、経験的リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、リンカー設計データベースおよびChenら(2013年),Adv Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369、およびCrastoら(2000年),Protein Eng.13(5):309-312に記載されているものなどのコンピュータプログラムを使用して設計されてもよい。これらはその全内容が参照により本明細書に組み込まれる。様々な実施形態では、リンカーは機能的であり得る。例えば、これらに限定されるものではないが、リンカーは、本発明のCD20結合剤の折り畳みおよび/もしくは安定性を改善し、発現を改善し、薬物動態を改善し、かつ/または生物活性を改善するように機能し得る。
【0188】
いくつかの実施形態では、リンカーはポリペプチドである。いくつかの実施形態では、リンカーは約100アミノ酸長未満である。例えば、リンカーは、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2未満のアミノ酸長であってもよい。いくつかの実施形態では、リンカーはポリペプチドである。いくつかの実施形態では、リンカーは、約100アミノ酸長を超える。例えば、リンカーは、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2を超えるアミノ酸長であってもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは柔軟性である。別の実施形態では、リンカーは剛性である。
【0189】
いくつかの実施形態では、リンカーの長さにより、標的化部分およびシグナル伝達剤のそれらの受容体への効率的な結合が可能になる。例えば、いくつかの実施形態では、リンカーの長さにより、標的化部分のうちの1つおよびシグナル伝達剤の同一細胞上の受容体への効率的な結合、ならびに他の標的化部分の別の細胞への効率的な結合が可能になる。例示的な対の細胞は、本明細書の他の場所で提供される。
【0190】
いくつかの実施形態では、リンカーの長さは、同じ細胞上の受容体に対する標的化部分のうちの1つおよびシグナル伝達剤の結合部位間の最小距離に少なくとも等しい。いくつかの実施形態では、リンカーの長さは、同じ細胞上の受容体に対する標的化部分のうちの1つおよびシグナル伝達剤の結合部位間の最小距離の間の少なくとも2倍、3倍、または4倍、または5倍、または10倍、または20倍、または25倍、または50倍、または100倍以上である。
【0191】
いくつかの実施形態では、リンカーは2つの標的化部分を互いに接続しており、このリンカーは短い長さを有する。また、リンカーは標的化部分とシグナル伝達剤とを接続しており、このリンカーは2つの標的化部分を連結するリンカーより長い。例えば、2つの標的化部分を接続するリンカーと標的化部分とシグナル伝達剤とを接続するリンカーとのアミノ酸長の差は、約100個、約95個、約90個、約85個、約80個、約75個、約70個、約65個、約60個、約55個、約50個、約45個、約40個、約35個、約30個、約25個、約20個、約19個、約18個、約17個、約16個、約15個、約14個、約13個、約12個、約11個、約10個、約9個、約8個、約7個、約6個、約5個、約4個、約3個、または約2個のアミノ酸であってもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは柔軟性である。別の実施形態では、リンカーは剛性である。
【0192】
一実施形態では、リンカーはAAAである。
【0193】
様々な実施形態では、リンカーは、グリシン残基およびセリン残基(例えば、約30%または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%または約95%、または約97%のグリシンおよびセリン)を実質的に含む。例えば、いくつかの実施形態では、リンカーは(Gly4Ser)nであり、nは約1~約8、例えば1、2、3、4、5、6、7または8である。一実施形態では、リンカー配列はGGSGGSGGGGSGGGGSである。追加の例示的リンカーとしては、これらに限定するものではないが、配列LE、GGGGS、(GGGGS)n(n=1~4)、(Gly)8、(Gly)6、(EAAAK)n(n=1~3)、A(EAAAK)nA(n=2~5)、AEAAAKEAAAKA、A(EAAAK)4ALEA(EAAAK)4A、PAPAP、KESGSVSSEQLAQFRSLD、EGKSSGSGSESKST、GSAGSAAGSGEF、および(XP)nを有するリンカーが挙げられ、Xは、任意のアミノ酸、例えばAla、LysまたはGluを示す。様々な実施形態では、リンカーはGGSである。
【0194】
いくつかの実施形態では、リンカーは、抗体のヒンジ領域(例えば、IgG、IgA、IgD、およびIgE(サブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4、ならびにIgA1およびIgA2を含む))である。様々な実施形態では、リンカーは、抗体のヒンジ領域(例えば、IgG、IgA、IgD、およびIgE(サブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、ならびにIgA1およびIgA2を含む)である。IgG、IgA、IgD、およびIgEクラスの抗体に見られるヒンジ領域は、Fab部分が空間内を自由に動くことができる柔軟なスペーサーとして働く。定常領域とは対照的に、ヒンジドメインは構造的に多様であり、免疫グロブリンクラスおよびサブクラスの間で配列および長さが双方とも変化する。例えば、ヒンジ領域の長さおよび柔軟性はIgGサブクラス間で異なる。IgG1のヒンジ領域は216~231個のアミノ酸を含み、この領域は自由な柔軟性であるため、Fab断片がそれらの対称軸を中心に回転し、2つの重鎖間ジスルフィド架橋の第1の中心にある球内を移動することができる。IgG2はIgG1よりも短いヒンジを有し、12個のアミノ酸残基および4個のジスルフィド架橋を有する。IgG2のヒンジ領域はグリシン残基を欠き、比較的短く、余分な重鎖間ジスルフィド架橋によって安定化された剛性ポリ-プロリン二重らせんを含む。これらの特性により、IgG2分子の柔軟性が制限される。IgG3は、独自の拡大ヒンジ領域(IgG1ヒンジの約4倍の長さ)によって他のサブクラスと異なる。この拡大ヒンジ領域には、62個のアミノ酸(21個のプロリンおよび11個のシステインを含む)を含み、柔軟性のないポリ-プロリン二重らせんを形成する。IgG3では、Fab断片はFc断片から比較的離れており、分子に大きな柔軟性を付与する。また、IgG3のヒンジが伸長することにより他のサブクラスと比較してより高い分子量となる。IgG4のヒンジ領域はIgG1のヒンジ領域よりも短く、その柔軟性はIgG1とIgG2の中間である。ヒンジ領域の柔軟度は、報告によれば、IgG3>IgG1>IgG4>IgG2の順で低下する。
【0195】
結晶学的研究によれば、免疫グロブリンヒンジ領域は、機能的に、上部ヒンジ領域、コア領域、および下部ヒンジ領域の3つの領域にさらに細分することができる。Shinら(1992年)、Immunological Reviews 130:87を参照されたい。上部ヒンジ領域は、CH1のカルボキシル末端から、動きを制限するヒンジ内の第1の残基までのアミノ酸を含んでおり、第1のシステイン残基は、一般に2つの重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合を形成する。上部ヒンジ領域の長さは、抗体のセグメントの柔軟性と相関する。コアヒンジ領域は、重鎖間ジスルフィド架橋を含み、下部ヒンジ領域は、CH2ドメインのアミノ末端に結合し、CH2には残基を含む(同書)。野生型ヒトIgG1のコアヒンジ領域は、Cys-Pro-Pro-Cys配列を含み、ジスルフィド結合形成によって二量体化された場合、結果として、環状オクタペプチドとなり、ピボットとして作用し、これゆえに柔軟性が付与されると考えられている。様々な実施形態では、本発明のリンカーは、任意の抗体(例えば、IgG、IgA、IgD、およびIgE(サブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、ならびにIgA1およびIgA2を含む))の1つまたは2つまたは3つの上部ヒンジ領域、コア領域、および下部ヒンジ領域を含む。ヒンジ領域はまた、炭水化物を付着させるためのいくつかの構造的に異なるタイプの部位を含む1つ以上のグリコシル化部位を含むことができる。例えば、IgA1はヒンジ領域の17のアミノ酸セグメント内に5つのグリコシル化部位を含み、腸プロテアーゼに対するヒンジ領域ポリペプチドの耐性が付与され、これは分泌免疫グロブリンの有利な特性と考えられる。様々な実施形態では、本出願のリンカーは、1つ以上のグリコシル化部位を含む。様々な実施形態では、リンカーは、ヒトIgG4抗体のヒンジ-CH2-CH3ドメインである。
【0196】
所望であれば、本発明のCD20結合剤は、CH2ドメインおよびCH3ドメインの一方または両方を含む抗体Fc領域、および任意によりヒンジ領域に連結することができる。例えば、単一ヌクレオチド配列としてFc領域に連結された本発明のCD20結合剤をコードするベクターは、このようなポリペプチドを調製するために使用され得る。
【0197】
いくつかの実施形態では、リンカーは、PEGなどの合成リンカーである。
【0198】
様々な実施形態では、リンカーは機能的であり得る。例えば、これらに限定されるものではないが、リンカーは、折り畳みおよび/もしくは安定性を改善し、発現を改善し、薬物動態を改善し、かつ/または本発明のCD20結合剤の生物活性を改善するように機能し得る。別の例では、リンカーは、CD20結合剤を特定の細胞型または位置に標的化するように機能し得る。
【0199】
CD20結合剤の修飾および産生
様々な実施形態では、CD20結合剤は、VHHである標的化部分を含む。様々な実施形態では、VHHは、特定の生物学的供給源または特定の調製方法に限定されない。例えば、VHHは、一般に、以下によって得ることができる:(1)天然に存在する重鎖抗体のVHHドメインを単離すること;(2)天然に存在するVHHドメインをコードするヌクレオチド配列を発現させること;(3)天然に存在するVHHドメインを「ヒト化」すること、またはこのようなヒト化VHHドメインをコードする核酸を発現させること;(4)任意の動物種、例えばヒトからなどの哺乳種由来の天然に存在するVHドメインを「ラクダ化」すること、またはこのようなラクダ化VHドメインをコードする核酸を発現させること;(5)当該分野で記載されているような「ドメイン抗体」または「Dab」を「ラクダ化」すること、またはこのようなラクダ化VHドメインをコードする核酸を発現させること;(6)当該分野で公知のタンパク質、ポリペプチドまたは他のアミノ酸配列を調製するための合成または半合成技術を使用すること;(7)当該分野で公知の核酸合成技術を用いてVHHをコードする核酸を調製し、次いでこうして得られた核酸を発現させること;および/または(8)上記の1つ以上の任意の組み合わせ。
【0200】
一実施形態では、CD20結合剤は、ヒトCD20に対して向けられた天然に存在する重鎖抗体のVHHドメインに対応するVHHを含む。いくつかの実施形態では、このようなVHH配列は、一般に、ラクダ種をCD20分子で適切に免疫化することによって(すなわち、CD20に対して向けられた免疫応答および/または重鎖抗体を引き起こすように)、好適なラクダ科由来の生物学的サンプル(血液サンプル、またはB細胞の任意のサンプルなど)を得ることによって、および任意の好適な公知の技術を使用して、サンプルから出発してCD20に対して向けられたVHH配列を生成することによって、生成する、または得ることができる。いくつかの実施形態では、CD20に対して天然に存在するVHHドメインは、ラクダ科動物のVHH配列のナイーブライブラリから、例えば、CD20またはそれらの少なくとも1つの部分、断片、抗原決定基またはそのエピトープを用いて、当該分野で公知である1つ以上のスクリーニング技術で、このようなライブラリをスクリーニングすることにより得ることができる。このようなライブラリおよび技術は、例えば、国際公開第9937681号、国際公開第0190190号、国際公開第03025020号、および国際公開第03035694号に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、ナイーブVHHライブラリ由来の改善された合成または半合成ライブラリ、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第0043507号に記載されているランダム突然変異誘発および/またはCDRシャッフリングなどの技術によってナイーブVHHライブラリから得られた、VHHライブラリなどを使用してもよい。いくつかの実施形態では、CD20に対して向けられたVHH配列を得るための別の技術は、重鎖抗体を発現することができるトランスジェニック哺乳動物を適切に免疫化すること(すなわち、CD20に対して向けられた免疫応答および/または重鎖抗体を引き起こすようにする)、トランスジェニック哺乳動物から好適な生物学的サンプル(例えば、血液サンプル、またはB細胞の任意のサンプル)を得ること、次いで任意の好適な公知の技術を用いて、サンプルから出発してCD20に対して向けられたVHH配列を生成することを伴う。例えば、この目的のために、重鎖抗体発現マウス、および国際公開第02085945号および国際公開第04049794号(その全内容が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているさらなる方法および技術を使用することができる。
【0201】
一実施形態では、CD20結合剤は、「ヒト化された」VHH、すなわち、天然に存在するVHH配列(および特にフレームワーク配列)のアミノ酸配列内の1つ以上のアミノ酸残基をヒト由来の従来の4本鎖抗体由来のVHドメイン内における対応する位置(複数可)に存在するアミノ酸残基のうちの1つ以上によって置換することによって「ヒト化された」VHHを含む。これは、当該分野で公知のヒト化技術を用いて行うことができる。いくつかの実施形態では、考えられるヒト化置換、またはヒト化置換の組み合わせは、例えば、VHHの配列と天然に存在するヒトVHドメインの配列とを比較することによって、当該分野で公知の方法によって決定され得る。いくつかの実施形態では、ヒト化置換は、結果として得られるヒト化VHHが依然として有利な機能特性を保持するように選択される。一般に、ヒト化の結果として、本出願のVHHは、対応する天然に存在するVHHドメインと比較して、免疫原性の低下などの好ましい特性を依然として保持しながら、より「ヒト様」になり得る。様々な実施形態では、本出願のヒト化VHHは、当該分野で公知の任意の適切な方法で得ることができ、したがって、天然に存在するVHHドメインを出発物質として含むポリペプチドを用いて得られたポリペプチドに厳密に限定されるものではない。
【0202】
一実施形態では、CD20結合剤は、「ラクダ化された」VHH、すなわち、従来の4鎖抗体由来の天然に存在するVHドメインのアミノ酸配列内の1つ以上のアミノ酸残基をラクダ科動物の重鎖抗体のVHHドメイン内の対応する位置(複数可)に存在するアミノ酸残基のうちの1つ以上に置換することによって「ラクダ化された」VHHを含む。いくつかの実施形態では、このような「ラクダ化」置換は、VH-VL界面および/またはいわゆるラクダ科の特徴的な残基で形成され、かつ/または存在するアミノ酸位置に挿入される(例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第9404678号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、ラクダ化VHHを生成または設計するための出発物質または出発点として使用されるVH配列は、哺乳動物由来のVH配列、例えばヒトのVH配列、例えばVH3配列である。様々な実施形態では、ラクダ化VHHは、当該分野で公知の任意の好適な様式で(すなわち、上記の点(1)~(8)に示されるように)得ることができ、従って、厳密には、天然に存在するVHドメインを出発物質として含むポリペプチドを用いて得たポリペプチドに限定するものではない。
【0203】
様々な実施形態では、「ヒト化」および「ラクダ化」は双方とも、天然に存在するVHHドメインまたはVHドメインをそれぞれコードするヌクレオチド配列を提供し、次いで、当技術分野において公知の様式で、新規ヌクレオチド配列がそれぞれ「ヒト化」または「ラクダ化」VHHをコードするような方法でヌクレオチド配列中の1つ以上のコドンを変えることによって、実施することができる。次いで、この核酸は、当該分野で公知の様式で発現され、その結果として本出願の所望のVHHが提供され得る。あるいは、それぞれ天然に存在するVHHドメインまたはVHドメインのアミノ酸配列に基づいて、本出願の所望のヒト化またはラクダ化VHHのアミノ酸配列を設計し、次いで当該分野において公知であるペプチド合成技術を用いてde novoで合成することができる。また、それぞれ天然に存在するVHHドメインまたはVHドメインのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列に基づいて、所望のヒト化またはラクダ化VHHをそれぞれコードするヌクレオチド配列を設計し、次いで当該分野において公知の核酸合成技術を用いてde novoで合成し、その後、こうして得られた核酸を当該分野において公知の様式で発現させることができ、その結果として、本出願の所望のVHHがもたらされ得る。天然に存在するVH配列またはVHH配列から出発して、本出願のVHHおよび/またはそれをコードする核酸を得るための他の好適な方法および技術は、当該分野で公知であり、例えば、1つ以上の天然に存在するVH配列(例えば、1つ以上のFR配列および/もしくはCDR配列)の1つ以上の部分、1つ以上の天然に存在するVHH配列(例えば、1つ以上のFR配列もしくはCDR配列)の1つ以上の部分、および/または好適な様式での1つ以上の合成または半合成配列の組み合わせを含んでもよく、これにより本出願のVHHまたはそれをコードするヌクレオチド配列または核酸がもたらされる。
【0204】
本出願のCD20結合剤の製造方法は、本明細書に記載されている。例えば、本出願のCD20結合剤をコードするDNA配列は、当該分野において公知の方法を用いて化学的に合成することができる。合成DNA配列は、例えば発現制御配列など、他の適切なヌクレオチド配列にライゲートして、所望のCD20結合剤をコードする遺伝子発現構築物を産生することができる。したがって、様々な実施形態では、本出願は、本出願のCD20結合剤をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供する。
【0205】
本出願のCD20結合剤をコードする核酸は、発現ベクターに組み込まれ得(ライゲートされる)、トランスフェクション、形質転換または形質導入技術によって宿主細胞に導入され得る。例えば、本出願のCD20結合剤をコードする核酸は、レトロウイルス形質導入によって宿主細胞に導入することができる。例示的な宿主細胞は、大腸菌細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚腎293(HEK293)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、および骨髄腫細胞である。形質転換された宿主細胞は、宿主細胞が本出願のCD20結合剤をコードする遺伝子を発現できるようにする条件下で増殖させることができる。したがって、様々な実施形態では、本出願は、本出願のCD20結合剤をコードする核酸を含む発現ベクターを提供する。様々な実施形態では、本出願は、そのような発現ベクターを含む宿主細胞をさらに提供する。
【0206】
特定の発現および精製条件は、使用される発現系に応じて変化する。例えば、遺伝子を大腸菌で発現させる場合、好適な細菌プロモーター、例えば、TrpまたはTac、および原核生物シグナル配列から下流に操作された遺伝子を配置することによって、遺伝子を最初に発現ベクターにクローニングする。別の例では、操作された遺伝子を真核宿主細胞、例えばCHO細胞に発現させる場合、例えば、遺伝子は、好適な真核生物プロモーター、分泌シグナル、エンハンサーおよび種々のイントロンを含む発現ベクターに最初に挿入される。遺伝子構築物は、トランスフェクション、形質転換または形質導入技術を用いて宿主細胞に導入することができる。
【0207】
本出願のCD20結合剤は、タンパク質の発現を可能にする条件下で、CD20結合剤をコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を増殖させることによって産生され得る。発現後、当技術分野において周知の技術、例えばグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)およびヒスチジン(His)タグなどの親和性タグを用いて、またはクロマトグラフィーによりタンパク質を採取および精製することができる。一実施形態では、CD20結合剤はHisタグを含む。一実施形態では、CD20結合剤は、HisタグおよびHisタグの切断を可能にするタンパク質分解部位を含む。
【0208】
したがって、様々な実施形態では、本出願は、本出願のCD20結合剤をコードする核酸を提供する。様々な実施形態では、本出願は、本出願のCD20結合剤をコードする核酸を含む宿主細胞を提供する。
【0209】
薬学的に許容される塩および賦形剤
本明細書に記載のCD20結合剤は、無機酸もしくは有機酸と反応することができる十分に塩基性の官能基、または無機塩基もしくは有機塩基と反応することができるカルボキシル基を有し、薬学的に許容される塩を形成することができる。薬学的に許容される酸付加塩は、当技術分野で周知のように、薬学的に許容される酸から形成される。このような塩としては、例えばJournal of Pharmaceutical Science、66,2-19(1977年)およびThe Handbook of Pharmaceutical Salts;Properties,Selection,and Use P.H.StahlおよびC.G.Wermuth(編),Verlag,Zurich(Switzerland)2002年に記載されている薬学的に許容される塩が挙げられる。これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0210】
非限定的例として、薬学的に許容される塩は、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩(glucaronate)、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ショウノウスルホン酸塩、パモン酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン-2-安息香酸塩、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、ブチン-1,4-ジカルボン酸塩、ヘキシン-1,4-ジカルボン酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、けい皮酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、リンゴ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩(teraphthalate)、プロピオラート、プロピオナート、フェニルプロピオナート、セバシン酸塩、スベリン酸塩、p-ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エチルスルホン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、ナフタレン-1,5-スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、および酒石酸塩の塩が挙げられる。
【0211】
用語「薬学的に許容される塩」はまた、酸性官能基(カルボン酸官能基など)および塩基を有する本出願の組成物の塩も指す。好適な塩基には、これらに限定されるものではないが、ナトリウム、カリウムおよびリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛などの他の金属の水酸化物;非置換またはヒドロキシ置換モノ、ジまたはトリアルキルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどのアンモニア、有機アミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル、N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ-、ビス-またはトリス-(2-OH-低級アルキルアミン)、例えばモノ-、ビス-またはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミン、またはトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシル-低級アルキル)-アミン、例えば、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンまたはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミン;N-メチル-D-グルカミン;およびアルギニン、リジンなどのアミノ酸などが挙げられる。
【0212】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、薬学的に許容される塩の形態である。
【0213】
医薬組成物および配合物
様々な実施形態では、本出願は、本明細書に記載のCD20結合剤、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物に関する。本明細書に記載の医薬組成物はいずれも、医薬的に許容される担体またはビヒクルを含む組成物の成分として対象に投与することができる。このような組成物は、適切な投与のための形態を提供するために、好適な量の薬学的に許容される賦形剤を任意により含み得る。
【0214】
様々な実施形態では、医薬賦形剤は、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油など、石油、動物、植物または合成起源のものなど、水および油などの液体であり得る。医薬賦形剤は、例えば、生理食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などであり得る。さらに、補助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤および着色剤を使用することができる。一実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、対象に投与されるときに滅菌される。水は、本明細書に記載の任意の剤が静脈内投与される場合に有用な賦形剤である。生理食塩水および水性デキストロースおよびグリセロール溶液も液体賦形剤として、特に注射可能な溶液に使用することができる。また、好適な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。本明細書に記載の任意の剤は、所望であれば、少量の湿潤剤、または乳化剤、またはpH緩衝剤を含むこともできる。好適な医薬賦形剤の他の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 1447-1676(Alfonso R.Gennaro編、第19版1995年)に記載され、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0215】
本出願は、記載された医薬組成物(および/または追加の治療剤)を様々な配合物に含む。本明細書に記載の任意の本発明の医薬組成物(および/または追加の治療剤)は、溶液、懸濁液、乳濁液、滴剤、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、液体を含むカプセル、ゼラチンカプセル、散剤、徐放性配合物、坐剤、エマルジョン、エアロゾル、スプレー、懸濁液、凍結乾燥粉末、凍結懸濁液、乾燥粉末、または使用に好適な他の任意の形態をとり得る。一実施形態では、組成物はカプセルの形態である。別の実施形態では、組成物は錠剤の形態である。さらに別の実施形態では、医薬組成物は軟質ゲルカプセルの形態で配合される。さらなる実施形態では、医薬組成物は、ゼラチンカプセルの形態で配合される。さらに別の実施形態では、医薬組成物は液体として配合される。
【0216】
必要に応じて、本発明の医薬組成物(および/または追加の剤)はまた、可溶化剤を含むことができる。また、剤は、当該分野で公知の好適なビヒクルまたは送達デバイスを用いて送達され得る。本明細書で概説した併用療法は、単一の送達ビヒクルまたは送達デバイスで同時送達することができる。
【0217】
本出願の本発明の医薬組成物(および/または追加の剤)を含む配合物は、単位剤形で提供するのが好都合であり、薬学分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。このような方法は、一般に、治療剤を、1つ以上の付属成分を構成する担体と関連させるステップを含む。典型的には、配合物は、治療剤を液体担体、細かく分割された固体担体、またはその両方と均一かつ密接に接触させ、次いで、必要に応じて、産物を所望の配合物の剤形状にする(例えば、湿潤または乾燥顆粒、粉末ブレンドなど、続いて当該技術分野で公知の従来の方法を用いて錠剤化する)ことにより、調製する。
【0218】
様々な実施形態では、本明細書に記載の任意の医薬組成物(および/または追加の剤)は、本明細書に記載の投与様式に適合した組成物として日常的な手順に従って配合される。
【0219】
投与経路としては、例えば、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、舌下、鼻内、大脳内、膣内、経皮、直腸、吸入、または局所的が挙げられる。投与は局所または全身であってもよい。いくつかの実施形態では、投与は経口的に行われる。別の実施形態では、投与は、非経口注射による。投与様式は施術者の裁量に任されてもよく、病状の部位に部分的に依存する。ほとんどの場合、投与することで、本明細書に記載された任意の剤の血流への放出をもたらす。
【0220】
一実施形態では、本明細書に記載のCD20結合剤は、経口投与に適した組成物として日常的な手順に従って配合される。経口送達のための組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、水性もしくは油性懸濁剤、顆粒剤、散剤、乳剤、カプセル剤、シロップ剤またはエリキシル剤の形態であり得る。経口投与される組成物は、1つ以上の剤、例えばフルクトース、アスパルテームまたはサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、ウィンターグリーン油またはチェリーなどの香味剤;着色剤;および保存剤を含み、薬学的に美味な調製物を提供することができる。さらに、錠剤または丸剤の形態では、組成物をコーティングして胃腸管における崩壊および吸収を遅延させ、これにより長時間にわたり持続的作用をもたらすことができる。浸透圧活性により駆動する本明細書に記載の任意のCD20結合剤を取り囲む選択的透過性膜も経口投与組成物に適している。これらの後者のプラットフォームでは、カプセルを取り囲む環境からの流体が駆動化合物によって吸収され、それらが膨張し、開口を通して剤または剤組成物を移動させる。これらの送達プラットフォームでは、即時放出配合物のスパイクプロファイルとは対照的に、本質的にゼロ次送達プロファイルを提供することができる。グリセロールモノステアレートまたはグリセロールステアレートなどの時間遅延材料も有用であり得る。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、および炭酸マグネシウムなどの標準賦形剤を含むことができる。一実施形態では、賦形剤は医薬グレードのものである。懸濁液は、活性化合物に加えて、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微晶質セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、トラガカントなど、これらの混合物の懸濁剤を含有してもよい。
【0221】
非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下および関節内注射および注入)に好適な剤形としては、例えば、溶液、懸濁液、分散液、乳液などが挙げられる。これらは、使用直前に滅菌注射用媒体に溶解または懸濁させ得る滅菌固体組成物(例えば、凍結乾燥組成物)の形態で製造することもできる。これらは、例えば、当技術分野で公知の懸濁剤または分散剤を含み得る。非経口投与に好適な配合物成分としては、注射用水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;EDTAなどのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤;および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張性調節剤が挙げられる。
【0222】
静脈内投与用には、好適な担体としては、生理食塩水、静菌性水、Cremophor ELTM(BASF、Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。担体は、製造および貯蔵の条件下で安定であり、微生物に対して保存されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)およびこれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒体であってもよい。
【0223】
本明細書で提供される組成物は、単独で、または他の好適な成分と組み合わせて、吸入投与される(すなわち、「噴霧される」)エアロゾル配合物にすることができる。エアロゾル配合物は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧された許容可能な噴射剤に入れることができる。
【0224】
本明細書に記載の任意の本発明の医薬組成物(および/または追加の剤)は、制御放出または徐放放出手段によって、または当業者に周知の送達デバイスによって投与することができる。例としては、これらに限定するものではないが、米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号、同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556、および同第5,733,556号に記載されているものが挙げられ、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。このような剤形は、例えば、ヒドロプロピルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、他のポリマーマトリックス、ゲル、浸透性膜、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、またはそれらの組み合わせを使用して、1つ以上の有効成分の制御放出または徐放放出をもたらし、様々な割合で所望の放出プロファイルを提供するために有用であり得る。本明細書に記載のものなど、当業者に公知の好適な制御放出配合物または徐放放出配合物は、本明細書に記載の剤の有効成分と共に使用するために容易に選択することができる。したがって、本出願は、これらに限定するものではないが、制御放出または徐放放出に適合した錠剤、カプセル、ゲルキャップおよびカプレットなどの経口投与に適した単一単位剤形を提供する。
【0225】
有効成分の制御放出または徐放放出は、これらに限定するものではないが、pHの変化、温度の変化、適切な波長の光による刺激、酵素の濃度または利用可能性、水の濃度または利用可能性、または他の生理学的条件もしくは化合物などの様々な条件によって刺激され得る。
【0226】
別の実施形態では、制御放出系は、治療すべき標的領域の近傍に配置することができ、このため、全身投与量のほんの一部のみを必要とする(例えば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release,supra,第2巻、115~138頁(1984年)を参照されたい)。他の制御放出系Langer、1990年、Science 249:1527-1533の総説で議論されている)を使用することができる。
【0227】
医薬配合物は、好ましくは無菌である。滅菌は、例えば、滅菌濾過膜を通す濾過によって達成することができる。組成物が凍結乾燥される場合、凍結乾燥および再構成の前または後にフィルター滅菌を行うことができる。
【0228】
投与および投与量
本出願に従って投与されるCD20結合剤の実際の用量は、特定の剤形および投与様式に従って変化することは理解されよう。CD20結合剤の作用を改変し得る多くの要因(例えば、体重、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、対象の状態、薬物の組合せ、遺伝子配置および反応感受性)は、当業者によって考慮され得る。投与は、最大許容用量内で連続的にまたは1つ以上の別個の用量で行うことができる。所与の一連の条件の最適投与速度は、従来の投与量試験を用いて当業者が確認できる。
【0229】
いくつかの実施形態では、CD20結合剤の好適な投与量は、対象の体重あたり約0.01mg/kg~約10g/kg、対象の体重あたり約0.01mg/kg~約1g/kg、対象の体重あたり約0.01mg/kg~約100mg/kg、対象の体重あたり約0.01mg/kg~約10mg/kgの範囲内であり、例えば、約0.01mg/体重kg、約0.02mg/体重kg、約0.03mg/体重kg、約0.04mg/体重kg、約0.05mg/体重kg、約0.06mg/体重kg、約0.07mg/体重kg、約0.08mg/体重kg、約0.09mg/体重kg、約0.1mg/体重kg、約0.2mg/体重kg、約0.3mg/体重kg、約0.4mg/体重kg、約0.5mg/体重kg、約0.6mg/体重kg、約0.7mg/体重kg、約0.8mg/体重kg、約0.9mg/体重kg、約1mg/体重kg、約1.1mg/体重kg、約1.2mg/体重kg、約1.3mg/体重kg、約1.4mg/体重kg、約1.5mg/体重kg、約1.6mg/体重kg、約1.7mg/体重kg、約1.8mg/体重kg、1.9mg/体重kg、約2mg/体重kg、約3mg/体重kg、約4mg/体重kg、約5mg/体重kg、約6mg/体重kg、約7mg/体重kg、約8mg/体重kg、約9mg/体重kg、約10mg/体重kg、約100mg/体重kg、約1g/体重kg、約10g/体重kgであり、その間の全ての値および範囲を含む。
【0230】
CD20結合剤の個々の用量は、例えば、単位剤形あたり、約0.01mg~約100g、約0.01mg~約75g、約0.01mg~約50g、約0.01mg~約25g、約0.01mg~約10g、約0.01mg~約7.5g、約0.01mg~約5g、約0.01mg~約2.5g、約0.01mg~約1g、約0.01mg~約100mg、約0.1mg~約100mg、約0.1mg~約90mg、約0.1mg~約80mg、約0.1mg~約70mg、約0.1mg~約60mg、約0.1mg~約50mg、約0.1mg~約40mg、約0.1mg~約30mg、約0.1mg~約20mg、約0.1mg~約10mg、約0.1mg~約5mg、約0.1mg~約3mg、約0.1mg~約1mg、または約5mg~約80mgの有効成分を含む単位剤形で投与され得る。例えば、単位投与形態は、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約200mg、約500mg、約1g、約2.5g、約5g、約10g、約25g、約50g、約75g、約100gであり得、それらの間の全ての値および範囲を含む。
【0231】
一実施形態では、CD20結合剤は、約0.01mg/日~約100g/日、約0.01mg/日~約75g/日、約0.01mg/日~約50g/日、約0.01mg/日~約25g/日、約0.01mg/日~約10g/日、約0.01mg/日~約7.5g/日、約0.01mg/日~約5g/日、約0.01mg/日~約2.5g/日、約0.01mg/日~約1g/日、約0.01mg/日~約100mg/日、約0.1mg/日~約100mg/日、約0.1mg/日~約95mg/日、約0.1mg/日~約90mg/日、約0.1mg/日~約85mg/日、約0.1mg/日~約80mg/日、約0.1mg/日~約75mg/日、約0.1mg/日~約70mg/日、約0.1mg/日~約65mg/日、約0.1mg/日~約60mg/日、約0.1mg/日~約55mg/日、約0.1mg/日~約50mg/日、約0.1mg/日~約45mg/日、約0.1mg/日~約40mg/日、約0.1mg/日~約35mg/日、約0.1mg/日~約30mg/日、約0.1mg/日~約25mg/日、約0.1mg/日~約20mg、約0.1mg/日~約15mg/日、約0.1mg/日~約10mg、約0.1mg/日~約5mg/日、約0.1mg/日~約3mg/日、約0.1mg/日~約1mg/日、または約5mg/日~約80mg/日の量で投与される。様々な実施形態では、CD20結合剤は、1日量約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約200mg、約500mg、約1g、約2.5g、約5g、約7.5g、約10g、約25g、約50g、約75g、約100、およびそれらの間の全ての値および範囲を含む量で投与される。
【0232】
本出願の特定の実施形態によれば、CD20結合剤を含む医薬組成物は、例えば、1日に1回以上(例えば、1日約2回、約3回、約4回、約5回、約6回、約7回、約8回、約9回、または約10回)、1日約1回、1日おきに約1回、3日おきに約1回、1週間に約1回、2週間に約1回、毎月約1回、2ヶ月ごとに約1回、3ヶ月ごとに約1回、6ヶ月ごとに約1回、または1年に約1回、投与され得る。
【0233】
併用療法および追加の治療剤
様々な実施形態では、本出願の医薬組成物は、追加の治療剤(複数可)と併用して共投与される。共投与は、同時または逐次的であり得る。
【0234】
一実施形態では、追加の治療剤および本出願のCD20結合剤は、対象に同時に投与される。本明細書で使用される場合、用語「同時に」は、追加の治療剤およびCD20結合剤が、約60分以下、例えば約30分以下、約20分以下、約10分以下、約5分以下、または約1分以下の時間間隔で投与されることを意味する。追加の治療剤およびCD20結合剤の投与は、単一の配合物(例えば、追加の治療剤およびCD20結合剤を含む配合物)または別個の配合物(例えば、追加の治療剤を含む第1の配合物およびCD20結合剤を含む第2の配合物)を同時に投与することによってもよい。
【0235】
共投与では、それらの投与のタイミングが、追加の治療剤およびCD20結合剤の薬理学的活性が時間的に重複し、それによって併用治療効果を発揮するようなものである場合、治療剤を同時に投与する必要はない。例えば、追加の治療剤およびCD20結合剤は、逐次的に投与することができる。本明細書で使用される用語「逐次的」は、追加の治療剤およびCD20結合剤が約60分を超える時間離して投与されることを意味する。例えば、追加の治療剤とCD20結合剤の逐次投与の間の時間は、約60分超、約2時間超、約5時間超、約10時間超、約1日超、約2日超、約3日超、約1週間超、または約2週間超、または約1ヶ月超離れていてもよい。最適な投与時間は、投与される追加の治療剤およびCD20結合剤の代謝、排泄速度および/または薬力学的活性に依存する。追加の治療剤またはCD20結合剤細胞のいずれかを最初に投与することができる。
【0236】
また、共投与では、同じ投与経路によって治療剤を対象に投与する必要はない。むしろ、各治療剤は、任意の適切な経路、例えば、非経口または非経口的でなく投与することができる。
【0237】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCD20結合剤は、別の治療剤と共投与した場合に相乗的に作用する。このような実施形態では、CD20結合剤および追加の治療剤は、単独療法の状況で剤が使用される場合に用いられる用量よりも少ない用量で投与されてもよい。
【0238】
いくつかの実施形態では、本出願は、追加の治療剤としての化学療法剤に関する。例えば、これに限定するものではないが、本発明のCD20結合剤と化学療法剤のこのような組み合わせは、本明細書の他の箇所に記載されているように、癌の治療での使用が見出される。化学療法剤の例には、これに限定されるものではないが、チオテパおよびシトキサンシクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのアルキルスルホン酸塩;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチルオロメラミンなどのエチレンイミンおよびメチルアミン(methylamelamines);アセトゲニン類(例えば、ブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(cally statin);CC-1065(そのアドゼネシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体);クリプトフィシン(例えば、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189およびCB 1-TM1);エレウテロビン;パンクラティスタチン(pancratistatin);サルコディクチイン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩(mechlorethamine oxide hydrochloride)、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン(ranimnustine)などのニトロソウレア;エンジイン抗生物質などの抗生物質(例えば、カリケアミシン、特にカリケアマイシンガンマII、およびカリケアマイシンωll(例えば、Agnew,Chem.Intl.編集Engl.,33:183-186(1994));ダイネミシンAなどのダイネミシン;クロドロナートなどのビスホスホナート;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシンドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの抗代謝物;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カラステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone propionate)、エピチオスタノール、メピトステスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン類;ミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎類;フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトレキサート;デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);マイタンシンおよびアンサマイトシン(ansamitocin)などのマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSKポリサッカリド複合体(JHS Natural Products,Eugene,Oregon);レゾキサン;リゾキシン;シゾフラン(sizofuran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン(triaziquone);2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(例えば、T-2毒素、ベラクリンA、ロリジンAおよびアンギジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、タキソールパクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.),アブラキサンCremophor非含有、パクリタキセルのアルブミン工学ナノ粒子配合物(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,111.)、およびタキソテールドセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France);クロランブシル;GEMZARゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロン酸塩;イリノテカン(Camptosar,CPT-11)(5-FUおよびロイコボリンを含むイリノテカンの治療レジメンを含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン治療レジメン(FOLFOX)を含むオキサリプラチン;ラパチニブ(Tykerb);細胞増殖を減少させるPKC-α、Raf、H-Ras、EGFR(例えば、エルロチニブ(タルセバ))およびVEGF-Aの阻害剤、ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体。さらに、治療方法は、光線力学療法の使用をさらに含むことができる。
【0239】
いくつかの実施形態では、本出願は、CD20結合剤および化学療法剤を使用する併用療法に関する。いくつかの実施形態では、本出願は、化学療法剤による治療を受けている患者へのCD20結合剤の投与に関する。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、これに限定するものではないが、ドキソルビシン、シスプラチン、ダウノルビシン、およびエピルビシンなどのDNAインターカレート剤である。一実施形態では、DNAインターカレート剤はドキソルビシンである。
【0240】
例示的な実施形態では、CD20結合剤は、ドキソルビシンと共投与される場合、相乗的に作用する。例示的な実施形態では、CD20結合剤は、腫瘍または癌を治療する際に使用するためにドキソルビシンと共投与される場合、相乗的に作用する。例えば、CD20結合剤とドキソルビシンの共投与は、腫瘍もしくは癌を減少もしくは排除するか、または腫瘍もしくは癌の増殖、および/もしくは進行、および/もしくは転移を遅らせるために相乗的に作用し得る。例示的な実施形態では、CD20結合剤とドキソルビシンとの組み合わせは、単独療法の状況において単独で使用される剤と比較して、改善された安全性プロファイルを呈し得る。例示的な実施形態では、CD20結合剤およびドキソルビシンは、単独療法の状況で剤が使用される場合に用いられる用量よりも少ない用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、CD20結合剤は、突然変異型IFNαなどの突然変異型インターフェロンを含む。例示的な実施形態では、突然変異型IFNαは、配列番号127または配列番号128に関して、置換M148A、R149A、およびL153Aなど、位置148、149および153での1つ以上の突然変異を含む。
【0241】
いくつかの実施形態では、本出願は、1つ以上の免疫調節剤、例えば、これに限定するものではないが、免疫チェックポイントを調節する剤との併用療法に関する。様々な実施形態では、免疫調節剤は、PD-1、PD-L1およびPD-L2のうちの1つ以上を標的とする。様々な実施形態では、免疫調節剤はPD-1阻害剤である。様々な実施形態では、免疫調節剤は、PD-1、PD-L1、およびPD-L2のうちの1つ以上に特異的な抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、免疫調節剤は、これらに限定するものではないが、ニボルマブ(ONO-4538/BMS-936558、MDX1106、OPDIVO、BRISTOL MYERS SQUIBB)、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA、MERCK)、ピディリズマブ(CT-011、CURE TECH)、MK-3475(MERCK)、BMS 936559(BRISTOL MYERS SQUIBB)、MPDL328OA(ROCHE)などの抗体である。いくつかの実施形態では、免疫調節剤は、CD137またはCD137Lのうちの1つ以上を標的とする。様々な実施形態では、免疫調節剤は、CD137またはCD137Lのうちの1つ以上に特異的な抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、免疫調節剤は、これらに限定するものではないが、ウレルマブ(BMS-663513および抗4-1BB抗体としても公知である)などの抗体である。いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、固形腫瘍、および/またはB細胞非ホジキンリンパ腫、および/または頭頸部癌、および/または多発性骨髄腫の治療のためにウレルマブ(任意により、ニボルマブ、リリルマブおよびウレルマブの1つ以上)と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、免疫調節剤は、CTLA-4、AP2M1、CD80、CD86、SHP-2、およびPPP2R5Aのうちの1つ以上を標的とする剤である。様々な実施形態では、免疫調節剤は、CTLA-4、AP2M1、CD80、CD86、SHP-2、およびPPP2R5Aのうちの1つ以上に特異的な抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、免疫調節剤は、これらに限定するものではないが、イピリムマブ(MDX-010、MDX-101、Yervoy、BMS)および/またはトレメリムマブ(Pfizer)などの抗体である。いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、メラノーマ、前立腺癌、および肺癌のうちの1つ以上の治療のために、イピリムマブ(任意によりバビツキシマブ)と組み合わせられる。様々な実施形態では、免疫調節剤はCD20を標的とする。様々な実施形態では、免疫調節剤は、抗体特異的CD20である。例えば、いくつかの実施形態では、免疫調節剤は、これらに限定するものではないが、オファツムマブ((GENMAB)、オビヌツズマブ(GAZYVA)、AME-133v(APPLIED MOLECULAR EVOLUTION)、オクレリズマブ(GENENTECH)、TRU-015(TRUBION/EMERGENT)、ベルツズマブ(IMMU-106)などの抗体である。一実施形態では、免疫調節剤は、OX40を標的とする抗体である。
【0242】
いくつかの実施形態では、本出願は、CD20結合剤およびチェックポイント阻害剤を用いる併用療法に関する。いくつかの実施形態では、本出願は、チェックポイント阻害剤による治療を受けている患者へのCD20結合剤の投与に関する。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、PD-L2、およびCTLA-4のうちの1つ以上を標的とする剤である。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(ONO-4538/BMS-936558、MDX1106、OPDIVO、BRISTOL MYERS SQUIBB)、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA、MERCK)、ピディリズマブ(CT-011、CURE TECH)、MK-3475(MERCK)、BMS 936559(BRISTOL MYERS SQUIBB)、MPDL328OA(ROCHE)、イピリムマブ(MDX-010、MDX-101、Yervoy、BMS)、およびトレメリムマブ(Pfizer)のうちの1つ以上である。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-L1に対する抗体である。
【0243】
例示的な実施形態では、CD20結合剤は、抗PD-L1ラクダ科VHHと共投与される場合、相乗的に作用する。例示的な実施形態では、CD20結合剤は、腫瘍または癌を治療する際に使用するために、抗PD-L1ラクダ科VHHと共投与される場合、相乗的に作用する。例えば、CD20結合剤と抗PD-L1ラクダ科VHHの共投与は、腫瘍もしくは癌を減少もしくは排除するか、または腫瘍もしくは癌の増殖、および/もしくは進行、および/もしくは転移を遅らせるために相乗的に作用し得る。いくつかの実施形態では、CD20結合剤と抗PD-L1ラクダ科VHHとの組み合わせは、単独療法の状況において単独で使用される剤と比較して、改善された安全性プロファイルを呈し得る。いくつかの実施形態では、CD20結合剤および抗PD-L1ラクダ科VHHは、剤が単独療法の状況で使用される場合に用いられる用量よりも少ない用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、CD20結合剤は、突然変異型IFNαなどの突然変異型インターフェロンを含む。例示的な実施形態では、突然変異型IFNαは、配列番号127または配列番号128に関して、置換M148A、R149A、およびL153Aなど、位置148、149および153での1つ以上の突然変異を含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、本出願は、Treg細胞の枯渇と組み合わせたCD20結合剤の投与に関する。
【0245】
いくつかの実施形態では、本出願は、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2013/10779号、国際公開第2015/007536号、国際公開第2015/007520号、国際公開第2015/007542号、および国際公開第2015/007903号に記載されている1つ以上のキメラ剤との併用療法に関する。
【0246】
これに限定するものではないが、感染症の用途を含むいくつかの実施形態では、本出願は、追加の治療剤としての抗感染薬に関する。いくつかの実施形態では、抗感染剤は、これらに限定するものではないが、アバカビル、アシクロビル、アデホビル、アンプレナビル、アタザナビル、シドフォビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エファビレンツ、エルビテグラビル、エムトリシタビン、エンフビルチド、エトラビリン、ファムシクロビル、ホスカルネットなどの抗ウイルス剤である。いくつかの実施形態では、抗感染薬は、これらに限定するものではないが、セファロスポリン抗生物質(セファレキシン、セフロキシム、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、およびセフトビプロール);フルオロキノロン系抗生物質(シプロ、レバキン、フロキシン、テクイン、アベロックス、およびノルフロックス);テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、およびドキシサイクリン);ペニシリン抗生物質(アモキシシリン、アンピシリン、ペニシリンV、ジクロキサシリン、カルベニシリン、バンコマイシン、およびメチシリン);モノバクタム系抗生物質(アズトレオナム);カルバペネム系抗生物質(エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、およびメロペネム)などの抗菌剤である。いくつかの実施形態では、抗感染薬としては、抗マラリア薬(例えば、クロロキン、キニーネ、メフロキン、プリマキン、ドキシサイクリン、アルテメテル/ルメファントリン、アトバコン/プログアニル、およびスルファドキシン/ピリメタミン)、メトロニダゾール、チニダゾール、イベルメクチン、パモ酸ピランテル、およびアルベンダゾールが挙げられる。
【0247】
これに限定されるものではないが、自己免疫用途などのいくつかの実施形態では、追加の治療剤は免疫抑制剤である。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤は、ステロイド性抗炎症剤または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)などの抗炎症剤である。ステロイド、特に副腎皮質ステロイドおよびそれらの合成類似体は、当該分野において周知である。本出願で有用なコルチコステロイドの例としては、これらに限定されるものではないが、ヒドロキシルトリアムシノロン、α-メチルデキサメタゾン、β-メチルベタメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン安息香酸塩、ベタメタゾンジプロピオン酸塩、ベタメタゾン吉草酸塩、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、二酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル(flucortine butylester)、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルラドレノロンアセトニド(fluradrenolone acetonide)、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、β-メタゾンおよびそのエステルの残部、クロロプレドニゾン、クロコルテロン(clocortelone)、クレスシノロン(clescinolone)、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド(flucloronide)、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾンが挙げられる。本開示に使用され得る(NSAIDS)としては、これらに限定するものではないが、サリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、サリチルミド(salicylmides)、ベンジル-2,5-ジアセトキシ安息香酸、イブプロフェン、フリンダク(fulindac)、ナプロキセン、ケトプロフェン、エトフェナマート、フェニルブタゾン、およびインドメタシンが挙げられる。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤は、アルキル化剤、代謝拮抗物質(例えば、アザチオプリン、メトトレキサート)、細胞傷害性抗生物質、抗体(例えば、バシリキシマブ、ダクリズマブ、およびムロモナブ)、抗イムノフィリン(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス)、インターフェロン、オピオイド、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF結合タンパク質、ミコフェノール酸塩、小型生物剤(例えば、フィンゴリモド、ミリオシン)などの細胞増殖抑制剤であってもよい。追加の抗炎症剤は、例えば、米国特許第4,537,776号に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0248】
いくつかの実施形態では、本出願は、CD20結合剤および免疫抑制剤を使用する併用療法に関する。いくつかの実施形態では、本出願は、免疫抑制剤による治療を受けている患者へのCD20結合剤の投与に関する。一実施形態では、免疫抑制剤はTNFである。
【0249】
例示的な実施形態では、CD20結合剤は、TNFと共投与される場合、相乗的に作用する。例示的な実施形態では、CD20結合剤は、腫瘍または癌を治療する際に使用するためにTNFと共投与される場合、相乗的に作用する。例えば、CD20結合剤とTNFの共投与は、腫瘍もしくは癌を減少もしくは排除するか、または腫瘍もしくは癌の増殖、および/もしくは進行、および/もしくは転移を遅らせるために相乗的に作用し得る。いくつかの実施形態では、CD20結合剤とTNFとの組み合わせは、単独療法の状況において単独で使用される剤と比較して、改善された安全性プロファイルを呈し得る。いくつかの実施形態では、CD20結合剤およびTNFは、単独療法の状況で剤が使用される場合に用いられる用量よりも少ない用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、CD20結合剤は、突然変異型IFNαなどの突然変異型インターフェロンを含む。例示的な実施形態では、突然変異型IFNαは、配列番号127または配列番号128に関して、置換M148A、R149A、およびL153Aなど、位置148、149および153での1つ以上の突然変異を含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCD20結合剤は、共有結合による付着が組成物の活性を妨げないように、すなわち任意のタイプの分子の組成物への共有結合による付着により修飾された誘導体を含む。例えば、非限定的例としては、誘導体は、とりわけ、グリコシル化、脂質化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解的切断、細胞リガンドへの連結、または他のタンパク質などによって修飾された組成物が挙げられる。これらに限定されるものではないが、特定の化学的開裂、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成など、公知の技術によって多数の化学修飾のいずれかを行うことができる。
【0251】
さらに他の実施形態では、本明細書に記載のCD20結合剤は、細胞傷害剤をさらに含み、例示的実施形態では、毒素、化学療法剤、およびアポトーシスまたは細胞死を引き起こす剤を含む。このような剤は、本明細書に記載の組成物にコンジュゲートすることができる。
【0252】
したがって、本明細書に記載のCD20結合剤は、化学リンカーなどのエフェクター部分、例えば蛍光色素、酵素、基質、生物発光物質、および化学発光部分などの検出可能な部分、またはストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、細胞毒素および細胞傷害剤などの機能的部分を付加するために、翻訳後に修飾されてもよい。
【0253】
例示的な細胞毒性剤としては、これらに限定されるものではないが、メトトレキサート、アミノプテリン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン(5-fluorouracildecarbazine);メクロレタミン、チオエパクロラムブシル(thioepachlorambucil)、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、マイトマイシンC、ロムスチン(CCNU)、1-メチルニトロソ尿素、シクロトスファミド(cyclothosphamide)、メクロレタミン、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、シス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチンおよびカルボプラチン(パラプラチン)などのアルキル化剤;ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、デトルビシン(detorubicin)、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロンおよびビスアントレンなどのアントラサイクリン類;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ブレオマイシン、カリケアミシン、ミトラマイシン、アントラマイシン(AMC)などの抗生物質;およびビンカアルカロイド、ビンクリスチンおよびビンブラスチンなどの抗有糸分裂剤が挙げられる。他の細胞傷害剤としては、パクリタキセル(タキソール)、リシン、シュードモナス外毒素、ゲムシタビン、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロミド、エメチン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxyanthracindione)、1-デヒドロテストステロン(1-dehydrotestosterone)、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、アスパラギナーゼ、コルチコステロイド、ミトタン(mytotane)(O,P’-(DDD))、インターフェロン、およびこれらの細胞毒性剤の混合物が挙げられる。
【0254】
さらなる細胞毒性剤としては、これらに限定されるものではないが、カルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、カリケアミシン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ブレオマイシン、VEGFアンタゴニスト、EGFRアンタゴニスト、プラチン、タキソール、イリノテカン、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、ロイコボリン(leucovorine)、ステロイド、シクロホスファミド、メルファラン、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビン)、ムスチン、チロシンキナーゼ阻害剤、性ホルモンアンタゴニスト、選択的アンドロゲン受容体モジュレータ、選択的エストロゲン受容体モジュレータ、PDGFアンタゴニスト、TNFアンタゴニスト、IL-1アンタゴニスト、インターロイキン(例えば、IL-12またはIL-2)、IL-12Rアンタゴニスト、毒素結合モノクローナル抗体、腫瘍抗原特異的モノクローナル抗体、アービタックス、アバスチン、ペルツズマブ、抗CD20抗体、リツキサン、オクレリズマブ、オファツムマブ、DXL625、HERCEPTIN(登録商標)またはそれらの任意の組み合わせなどの化学療法剤が挙げられる。リシン、ジフテリア毒素およびシュードモナス毒素などの植物および細菌由来の毒性酵素は、細胞型特異的死滅試薬を生成するために治療剤(例えば、抗体)にコンジュゲートしてもよい(Youleら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:5483(1980年);Gillilandら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:4539(1980年);Krolickら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:5419(1980年))。他の細胞毒性剤には、Goldenbergの米国特許第6,653,104号によって記述されるとおり、細胞傷害性リボヌクレアーゼが挙げられる。
【0255】
例示的な検出可能な部分としては、これらに限定するものではないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼおよびルシフェラーゼがさらに挙げられる。さらなる例示的な蛍光物質としては、これらに限定するものではないが、ローダミン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ウンベリフェロン、ジクロロトリアジニルアミン、フィコエリトリンおよびダンシルクロリドが挙げられる。さらなる例示的な化学発光部分としては、ルミノールが挙げられるが、これに限定されない。さらなる例示的な生物発光物質としては、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0256】
治療方法
本明細書に記載の方法および組成物は、CD20陽性細胞を伴う様々な疾患および障害の治療への適用を有する。様々な実施形態では、疾患および障害としては、これらに限定するものではないが、癌、感染症、免疫障害、炎症性疾患または状態、自己免疫疾患および神経学的障害が挙げられる。
【0257】
さらに、本発明の剤のいずれかは、CD20陽性細胞が関与する種々の疾患および障害(これらに限定するものではないが、癌、感染症、免疫障害、炎症性疾患または状態、自己免疫疾患および神経学的障害)の治療に使用するため、または治療用医薬品の製造に使用するための剤であってもよい。
【0258】
いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、形質細胞異常症、慢性リンパ球性白血病、移植治療、ヘアリー細胞白血病、ITP、幹細胞移植後のエプスタイン・バーウイルス・リンパ腫、および腎移植など、CD20+細胞の枯渇が治療上有益である疾患の治療のために使用される。他の実施形態では、本出願のCD20結合剤は、B細胞リンパ腫、白血病、骨髄腫、自己免疫疾患、移植、移植片対宿主病、B細胞を伴う感染症、リンパ球増殖症から選択される疾患の治療、ならびにB細胞活性および/もしくは体液性免疫の抑制が望ましく抑制されている任意の疾患または状態の治療から選択される疾患の治療のために使用される。特定の実施形態では、本出願のCD20結合剤は、B細胞リンパ腫、白血病、骨髄腫、移植、移植片対宿主病、自己免疫疾患、リンパ増殖状態、ならびに体液性免疫、B細胞機能、および/または増殖の阻害が治療上有益である他の治療の疾患および状態からなる群から選択される疾患の治療に使用される。さらなる実施形態では、本出願のCD20結合分子は、B-ALL、ヘアリー細胞白血病、多発性骨髄腫、リヒター症候群、獲得した第VIII因子阻害剤、抗リン脂質症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、水疱性類天疱瘡、寒冷赤血球凝集素症、エバンス症候群、グッドパスチャー症候群、特発性膜性腎症、特発性血小板減少性紫斑病、IgM関連多発性神経障害、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)関連多中心性キャッスルマン病(MCD)、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、赤芽球癆、関節リウマチ、シェーグレン症候群、全身性免疫複合脈管炎、全身性エリテマトーデス、II型混合クリオグロブリン血症、ウェゲナー肉芽腫症、同種移植片拒絶反応、移植後リンパ増殖性疾患、または骨髄移植のための幹細胞のパージの治療のために使用される。
【0259】
いくつかの実施形態では、本出願は、癌の治療または癌を有する患者の治療に関する。本明細書中で使用される場合、癌は、身体の器官および系の正常な機能を妨害する可能性のある、細胞の制御されていないあらゆる増殖を指し、原発性腫瘍および転移性腫瘍の両方を含む。原発性腫瘍または癌が元の位置から移動し、重要な器官に播種すると、最終的には、罹患した器官の機能的劣化により対象の死を招くおそれがある。転移は、原発性腫瘍から身体の他の部分への癌細胞の伝播の結果として、原発性腫瘍の位置とは異なる癌細胞または癌細胞群である。転移は最終的に対象の死を招くおそれがある。例えば、癌としては、良性および悪性の癌、ポリープ、過形成、ならびに休眠腫瘍または微小転移が挙げられる。
【0260】
治療され得る例示的な癌としては、これらに限定するものではないが、基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳および中枢神経系の癌;乳癌;腹膜癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸および直腸癌;結合組織癌;消化器系癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部癌;胃癌(胃腸癌を含む);神経膠芽細胞腫;肝癌;肝細胞癌;上皮内新生物;腎癌;喉頭癌;白血病;肝癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、および肺扁平上皮癌);メラノーマ;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌(口唇、舌、口、および咽頭);卵巣癌;膵癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系癌;唾液腺癌;肉腫;皮膚癌;扁平上皮細胞癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮または子宮内膜癌;泌尿器系癌;外陰部癌;ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫などのリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)など);小リンパ球(SL)NHL;中悪性/濾胞性NHL;中悪性びまん性NHL;高悪性度免疫芽球NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性小非切断細胞NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;ならびにワルデンストレームマクログロブリン血症;慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリー細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;他の癌腫および肉腫;ならびに移植後リンパ増殖性障害(PTLD)ならびにファコマトーシスに伴う異常な血管増殖、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連するもの)、ならびにメイグス症候群が挙げられる。
【0261】
いくつかの実施形態では、癌は白血病またはリンパ腫である。例示的な白血病またはリンパ腫としては、これらに限定されるものではないが、B細胞リンパ腫、低悪性度および中悪性度の非ホジキンリンパ腫(NHL)などの非ホジキンリンパ腫(NHL)再発性ホジキン病、高悪性度の抵抗性ホジキン病、リンパ球優位型のサブタイプのホジキンリンパ腫、前駆B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、成熟B細胞新生物、B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、低悪性度、中悪性度および高悪性度FLなどの濾胞性リンパ腫(FL)、皮膚濾胞中心リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、MALT型辺縁帯B細胞リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓型辺縁帯B細胞リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、形質細胞腫、形質細胞性骨髄腫、移植後リンパ増殖性障害、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、ならびに未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)から選択される白血病またはリンパ腫が挙げられる。
【0262】
様々な実施形態では、本発明の組成物は、例えば炎症性疾患または状態、例えば、炎症、急性炎症、慢性炎症、呼吸器系疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、敗血症性ショック、リウマチ性関節炎、炎症性腸疾患、炎症性骨盤疾患、疼痛、眼炎症性疾患、セリアック病、リー症候群、グリセロールキナーゼ欠損症、家族性好酸球増多症(FE)、常染色体劣性痙性運動失調、喉頭炎症性疾患;結核、慢性胆嚢炎、気管支拡張症、ケイ肺症および他のじん肺症など、1つ以上の免疫障害を治療または予防するために使用される。
【0263】
いくつかの実施形態では、例示的な免疫障害としては、これらに限定されないが、リウマチ性関節炎(RA)、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、血管炎、ウェゲナー病、炎症性腸疾患、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性血小板減少症、多発性硬化症(MS)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、乾癬、IgA腎症、IgM多発性神経障害、重症筋無力症、真性糖尿病、レイノー症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、胃炎、橋本甲状腺炎、強直性脊椎炎、C型肝炎関連クリオグロブリン血症性血管炎、慢性限局性脳炎、血友病A、膜性増殖性糸球体腎炎、成人型および若年性皮膚筋炎、成人多発性筋炎、慢性蕁麻疹、原発性胆汁性肝硬変、視神経脊髄炎、グレーブス甲状腺異常疾患、水疱性皮膚疾患、水疱性類天疱瘡、天疱瘡、チャーグ・ストラウス症候群、喘息、乾癬性関節炎、皮膚炎、呼吸窮迫症候群、髄膜炎、脳炎(encephalitits)、抗NMDA受容体脳炎、ブドウ膜炎、湿疹、アテローム性動脈硬化症、白血球接着不全症、若年発症糖尿病、ライター病、ベーチェット病、溶血性貧血、アトピー性皮膚炎、ウェゲナー肉芽腫症、オーメン症候群、慢性腎不全、急性感染性単核球症、HIVおよびヘルペス関連疾患、全身性硬化症、シェーグレン症候群および糸球体腎炎、皮膚筋炎、ANCA血管炎、再生不良性貧血、自己免疫性貧血、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、赤芽球癆、エバンス症候群、第VIII因子欠乏症、血友病A、自己免疫性好中球減少症、キャッスルマン症候群、グッドパスチャー症候群、固形臓器移植拒絶、移植片対宿主病(GVHD)、自己免疫性肝炎、リンパ性間質性肺炎(HIV)、閉塞性細気管支炎(非移植)、ギランバレー症候群、大型血管炎、巨大細胞(高安)動脈炎、中型血管炎、川崎病、結節性多発動脈炎、デビック病、自己免疫性膵炎、オプソクローヌスミオクローヌス症候群(OMS)、IgG4関連疾患、強皮症、および慢性疲労症候群が挙げられる。
【0264】
いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ・ストラウス症候群、および他のANCA関連血管炎、結節性多発動脈炎、本態性クリオグロブリン血症性血管炎、皮膚白血球破砕性血管炎、川崎病、高安動脈炎、巨大細胞関節炎、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、原発性または単離性大脳血管炎、結節性紅斑、閉塞性血栓性血管炎、血栓性血小板減少性紫斑病(溶血性尿毒症症候群など)、皮膚白血球梗塞性血管炎(例えば、B型肝炎、C型肝炎、ワルデンストレームマクログロブリン血症、B細胞の新生物、リウマチ性関節炎、シェーグレン症候群、または全身性エリテマトーデスに続発)を含む二次血管炎などの血管炎および他の血管疾患を治療するために利用され得る。さらなる例は、結節性紅斑、アレルギー性血管炎、脂肪層炎、ウェーバークリスチャン病、紫斑高グロブリン血症、およびバージャー病である。
【0265】
いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、接触性皮膚炎、線状IgA皮膚病、白斑、壊疽性膿皮症、後天性表皮水疱症、尋常性天疱瘡(瘢痕性類天疱瘡および水疱性類天疱瘡など)、円形脱毛症(全身脱毛症および完全脱毛症など)、疱疹状皮膚炎、多形紅斑、および慢性自己免疫性蕁麻疹(血管運動神経性水腫および蕁麻疹様血管炎など)などの皮膚疾患を治療するために利用され得る。
【0266】
いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、自己免疫性好中球減少症および赤芽球癆などの免疫介在性血球減少症を治療するために利用され得る。
【0267】
いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、CNS狼瘡、円板状エリテマトーデス、CREST症候群、混合性結合組織疾患、多発性筋炎/皮膚筋炎、封入体筋炎、続発性アミロイドーシス、寒冷グロブリン血症I型およびII型、線維筋痛症、リン脂質抗体症候群、続発性血友病、再発性多発軟骨症、サルコイドーシス、スティッフマン症候群、リウマチ熱など、結合組織障害を治療するために使用され得る。さらなる例は、好酸球性筋膜炎である。
【0268】
いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、強直性脊椎炎、若年性慢性関節炎、成人スティル病およびSAPHO症候群などの関節炎を治療するために利用され得る。さらなる例は、仙腸骨炎(sacroileitis)、反応性関節炎、スティル病、および痛風である。
【0269】
いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、再生不良性貧血、原発性溶血性貧血(寒冷アグルチニン症候群など)、CLLまたは全身性エリテマトーデスに続発する溶血性貧血;POEMS症候群、悪性貧血、およびWaldemstrom高グロブリン血症性紫斑などの血液学的障害の治療に利用され得る。さらなる例は顆粒球減少症、自己免疫性好中球減少症、フランクリン病、セリグマン病、μ鎖疾患、胸腺腫およびリンパ腫に続発する腫瘍随伴症候群、第VIII因子インヒビターの形成である。
【0270】
いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、内分泌障害、例えば、多腺性内分泌障害およびアジソン病を治療するために利用され得る。さらなる例は、自己免疫性低血糖症、自己免疫性甲状腺機能低下症、自己免疫性インスリン症候群、ド・ケルヴァン甲状腺炎、およびインスリン受容体抗体介在性インスリン抵抗性である。
【0271】
いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、セリアック病、ホイップル病、原発性胆汁性肝硬変、慢性活動性肝炎、および原発性硬化性胆管炎などの肝臓-胃腸障害を治療するために利用されてもよい。さらなる例は、自己免疫性胃炎である。
【0272】
いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、急速進行性糸球体腎炎、溶連菌感染後糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、膜性糸球体腎炎およびクリオグロブリン腎炎などの腎症の治療に利用することができる。さらなる例は、微小変化型疾患である。
【0273】
いくつかの実施形態では、本出願は、神経障害の治療または神経障害を有する患者の治療に関する。例示的な神経障害としては、これに限定されるものではないが、多発性硬化症(MS;これに限定されるものではないが、良性の多発性硬化症、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次性進行性多発性硬化症(SPMS)、進行性再発性多発性硬化症(PRMS)、および原発性進行性多発性硬化症(PPMS))、アルツハイマー病(これに限定されないが、早期発症型アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病、家族性アルツハイマー病(FAD)、パーキンソン病およびパーキンソニズム(これらに限定するものではないが、特発性パーキンソン病、血管パーキンソニズム、薬物誘発パーキンソニズム、レビー小体病、継承されたパーキンソン病(Inherited Parkinson’s)、若年性パーキンソン病)、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS、これらに限定するものではないが、孤発性ALS、家族性ALS、西太平洋ALS、若年性ALS、ヒラマヤ病)、自己免疫性神経障害、多発性単神経炎、ランバート・イートン筋萎縮症候群、シデンハム舞踏病、脊髄癆、ギランバレー症候群が挙げられ、さらなる例はミエロパシー/熱帯性痙攣不全麻痺、重症筋無力症、急性炎症性脱髄性多発神経障害、および慢性炎症性脱髄性多発神経障害が挙げられる。
【0274】
いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、線維化肺胞炎、閉塞性細気管支炎、アレルギー性アスペルギルス症、嚢胞性線維症、レフラー症候群、心筋炎および心膜炎などの心臓および肺障害を治療するために利用され得る。さらなる例は、過敏性肺炎、および肺癌に続発する腫瘍随伴症候群である。
【0275】
いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、気管支喘息および高IgE症候群などのアレルギー疾患を治療するために利用され得る。さらなる例は一過性黒内障である。
【0276】
いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、特発性脈絡網膜炎などの眼疾患を治療するために利用され得る。
【0277】
いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、同種異系移植片および異種移植片の拒絶などの移植由来障害および移植片対宿主病を治療するために利用され得る。いくつかの実施形態では、本出願のCD20結合剤は、移植後に利用され得る。
【0278】
いくつかの実施形態では、本出願は、微生物感染および/または慢性感染(例えば、B細胞の感染)の治療またはそれらの患者に関する。例示的な感染症としては、これらに限定するものではないが、HIV/AIDS、結核、骨髄炎、B型肝炎、C型肝炎、エプスタイン・バーウイルスまたはパルボウイルス、T細胞白血病ウイルス、細菌過増殖症候群、真菌感染または寄生虫感染が挙げられる。
【0279】
キット
本出願はまた、本明細書に記載される任意のCD20結合剤の投与のためのキット(例えば、追加の治療剤を含むかまたは含まない)を提供する。キットは、本明細書に記載の本発明の医薬組成物のうちの少なくとも1つを含む材料または構成要素の集合体である。したがって、いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の医薬組成物のうちの少なくとも1つを含む。
【0280】
キットに構成されている構成要素の正確な性質は、その意図する目的によって異なる。一実施形態では、キットは、ヒト対象を治療する目的で構成される。
【0281】
使用説明書は、キットに含まれ得る。使用説明書は、典型的には、癌を治療するためのような所望の治療成果を達成するためにキットの構成要素を使用する際に用いられる技術を記述する具体的な表現を含む。任意により、キットには、希釈剤、緩衝液、薬学的に許容される担体、シリンジ、カテーテル、アプリケータ、ピペットまたは測定器具、包帯材料または当業者によって容易に認識されるような他の有用な器具など、他の有用な構成要素も含まれている。
【0282】
キットに組み立てられた材料および構成要素は、その操作性および有用性を保持する任意の便利かつ適切な方法で保管されて、施術者に提供することができる。例えば、構成要素は、室温、冷蔵温度または凍結温度で提供することができる。これらの構成要素は、典型的には好適な包装材料に含まれる。様々な実施形態では、包装材料は、好ましくは滅菌された汚染物質のない環境を提供するために、周知の方法によって構築される。包装材料は、キットおよび/またはその構成要素の内容物および/または目的を示す外部ラベルを有してもよい。
【0283】
定義
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、または「the」は1つまたは複数を意味することができる。
【0284】
さらに、参照数字表示と関連して使用される用語「約(about)」は、その参照数字表示の最大10%までのプラスまたはマイナスの参照数字表示を意味する。例えば、言語「約50」は45~55の範囲を網羅する。
【0285】
医学的使用に関連して使用される「有効量」は、目的の疾患の病因発生率の測定可能な治療、予防または減少をもたらすのに有効な量である。
【0286】
本明細書中で使用される場合、活性および/または効果の読み値が、有意な量、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、またはそれ以上、少なくとも100%以下(100%を含む)など、減少した場合には、剤または刺激の存在下で、そのような調節がない場合に対して、「減少」している。当業者に理解されるように、いくつかの実施形態では、活性は低下し、いくつかの下流の読み値は減少するが、他のものは増加し得る。
【0287】
逆に、活性および/または効果の読み値が、その剤または刺激が存在しない場合に対して、剤または刺激物質の存在下で有意な量だけ、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、またはそれ以上、最大で少なくとも約100%またはそれ以上まで、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、増加する場合、活性は「増加」している。
【0288】
本明細書で言及されるように、全ての組成百分率は、特に明記しない限り、全組成物の重量による。本明細書で使用されるように、用語「include(含む)」およびその変形は、非限定的であり、このため、リスト内の項目の列挙は、この技術の組成物および方法においても有用であり得る他の同様の項目を排除するものではないことを意図している。同様に、用語「can」および「may」およびそれらの変形は、非限定的であり、このため、ある実施形態が特定の要素または特徴を含むことができるか、または含んでいてもよいとの言及は、これらの要素または特徴を含まない本技術の他の実施形態を排除するものではないことを意図している。
【0289】
「包含する(including)」、「含有する(containing)」、または「有する(having)」などの用語の同義語である、オープンエンドの用語「含む(comprising)」は、本発明を記述し請求するために本明細書で使用されるが、本発明またはその実施形態は、代替的用語、「からなる(consisting of)」または「本質的にからなる(consisting essentially of)」などを用いて代替的に記述され得る。
【0290】
本明細書で使用されるとき、用語「好ましい(preferred)」および「好ましく(preferably)」は、特定の状況下で特定の利益をもたらす技術の実施形態を指す。しかし、同じまたは他の状況の下で、他の実施形態も好ましい場合がある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の言及は、他の実施形態が有用ではないことを意味するものではなく、かつ他の実施形態を技術の範囲から排除することを意図するものではない。
【0291】
治療効果を達成するために必要とされる本明細書に記載の組成物の量は、特定の目的のための従来の手順に従って経験的に決定することができる。一般に、治療目的で治療剤を投与するために、治療剤は薬理学的有効量で投与される。「薬理学的有効量」、「薬理学的有効用量」、「治療有効量」、「有効量」は、所望の生理学的効果を生み出すのに十分な量、または特に障害もしくは疾患を治療するための所望の結果を達成することができる量を指す。本明細書で使用される有効量は、例えば、障害または疾患の症状の発症を遅延させる、障害または疾患の症状の経過を変える(例えば、疾患の症状の進行を遅らせる)、障害または疾患の1つ以上の症状または兆候を軽減または排除する、障害または疾患の症状を逆転させるのに十分な量を含む。治療上の利益には、改善が実現したかどうかに関わらず、根本的な疾患または障害の進行を停止または遅延させることも含まれる。
【0292】
有効量、毒性および治療有効性は、例えば、LD50(集団の約50%に致死的な用量)およびED50(集団の約50%に治療上有効である用量)を決定するための細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に依存して変化し得る。毒性効果と治療効果との間の用量比は治療指数であり、比LD50/ED50として表すことができる。いくつかの実施形態では、大きな治療指数を呈する組成物および方法が好ましい。治療有効用量は、例えば、細胞培養アッセイなどのインビトロアッセイから最初に推定することができる。また、細胞培養または適切な動物モデルにおいて決定された場合、用量は、IC50などの循環血漿濃度範囲を達成するために、動物モデルにおいて配合することができる。記載された組成物の血漿中レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。あらゆる特定の投薬量の効果は、好適なバイオアッセイによってモニターすることができる。投薬量は、医師によって決定され、必要に応じて、観察された治療効果に適するように調節され得る。
【0293】
特定の実施形態では、効果は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、または少なくとも約90%の定量可能な変化をもたらす。いくつかの実施形態では、効果は、約10%、約20%、約30%、約50%、約70%、または約90%以上の定量可能な変化をもたらす。治療上の利益には、改善が実現したかどうかに関わらず、根本的な疾患または障害の進行を停止または遅延させることも含まれる。
【0294】
本明細書で使用される場合、「治療方法」は、本明細書に記載の疾患または障害を治療するための組成物の使用、および/または本明細書に記載の疾患または障害を治療するための医薬品の製造において使用するための組成物の使用に等しく適用可能である。
【0295】
実施例
実施例1.ヒトCD20に特異的なVHHの構築および評価
ヒトCD20遺伝子のクローニング
ヒトCD20は、フォワードプライマー5’-GATAAGATCTCAGGCGGATCCACAACACCCAGAAATTCAG(O-7954)、およびリバースプライマー5’-GGTTTTTTCTCTAGATCAAGGAGAGCTGTCATTTTCTATTGG(O-7956)を用いてOrfeome v5.1 collection(ID11051)から増幅させた。増幅産物をBglIIおよびXbaIで切断し、哺乳動物発現ベクターpMet7にライゲートさせた。このプラスミドは、Hek293T細胞の一過性トランスフェクションのため、およびヒトCD20を安定に発現するCHO-K1クローンの生成のために使用された。
【0296】
抗原特異的VHHの単離
VHHライブラリを構築し、ヒトCD20を発現する安定にトランスフェクトされたCHO-K1細胞上で3回連続してパニング(溶液中)を行った。CD20特異的ファージの濃縮を計算するための陰性対照としての役割を果たすために、親(非トランスフェクトCHO-K1)細胞に対して平行パニングを行った。抗原特異的ファージの濃縮は、各回のパニング後に、トランスフェクトされた細胞から溶出したファージミド粒子の数を、親細胞から溶出したファージミド粒子の数と比較することによって評価した。これらの実験は、(抗原特異的ファージについて)パニングの第1回目、第2回目、および第3回目の後に、それぞれ約2倍、8倍および4倍ファージ集団が濃縮されたことを示唆した。第2回目のパニングから合計で約95個のコロニーを無作為に選択し、トランスフェクトしたCHO-K1への特異的結合について、それらの粗製ペリプラズム抽出物(可溶性VHHなど)を親細胞と比較して、細胞ELISAによって分析した。95個のコロニーのうち62個のコロニーがこのアッセイで陽性を示した。配列データに基づいて、62個の陽性コロニーは14個の異なるVHHを表した(
図1、上部パネル)。
【0297】
VHHライブラリを構築し、上記のとおりヒトCD20を発現する安定にトランスフェクトされたCHO-K1細胞上で3回連続してパニング(溶液中)を行った。ここで、ファージ集団は、3回目のパニング後に約7倍濃縮された(抗原特異的ファージについて)。1回目および2回目のパニングの後には、いかなる濃縮も観察されなかった。3回目のパニングから無作為に採取した約142個のコロニーを上記のように細胞ELISAによって試験し、8個のコロニーが陽性を示した。配列データに基づいて、8個の陽性コロニーは3つの異なるVHHを表した(
図1、下部パネル)。3つの異なるVHHは同じグループに属する。ここで特定されたグループは、以前に特定されたグループの1つと同じである。
【0298】
以下の表は、17個の異なる抗ヒトCD20 VHH遺伝子を表す17個のクローンの説明を提供する。抗ヒトCD20 VHH配列を含有する組換えファージミドpMECSを保有する大腸菌TG1を-80℃で保存した。ベクターpMECSはアンピシリン耐性をコードする。
【表1】
【0299】
要約すると、以下の表に示すように、4つの異なるグループに属する17個の異なるVHHが同定された。17個の抗ヒトCD20 VHHのヌクレオチドおよびアミノ酸配列をそれぞれ
図2および
図3に示す。
【表2】
【0300】
組換えpMECSを用いた非サプレッサー株(例えばWK6)の形質転換
pMECSベクターにクローニングされたVHH遺伝子は、N末端にPelBシグナル配列、C末端にHAタグおよびHis6タグ(PelBリーダー-VHH-HA-His6)を含んでいた。PelBリーダー配列は、VHHを大腸菌のペリプラズム空間に向け、HAおよびHis6タグはVHHの精製および検出に使用することができる(例えばELISA、ウェスタンブロットなどで)。
【0301】
pMECSベクターでは、His6タグの後にアンバー停止コドン(TAG)が続き、このアンバー停止コドンの後にM13ファージの遺伝子IIIが続いた。サプレッサー大腸菌株(例えばTG1)では、アンバー停止コドンはグルタミンとして読み取られ、したがってVHHは、パニングのために、ファージコート上のVHHの表示を可能にするファージのプロテインIIIとの融合タンパク質として発現した。非サプレッサー大腸菌株(例えば、WK6)では、アンバー停止コドンは停止コドンとして読み取られ、したがって、得られたVHHはプロテインIIIに融合しなかった。
【0302】
pMECSベクターにクローン化されたVHHを発現させ、精製するために、目的のVHHの遺伝子を含むpMECSを調製し、非サプレッサー株(例えば、WK6)に形質転換させた。得られたクローンのVHHは、MP057プライマー(5’-TTATGCTTCCGGCTCGTATG-3’)を用いて配列決定し、クローンの同一性を確認した。抗原結合能は、ELISAまたは任意の他の適切なアッセイによって再試験した。次いで、VHH遺伝子を有する組換えpMECSベクターを含む非サプレッサー株(例えば、WK6)は、本明細書に記載のVHHを発現させ、精製するために使用した。
【0303】
pMECSからpHEN6cベクターへのVHH遺伝子の再クローニング
pMECSベクターでは、VHHの保存時にHis6タグが切断される(短期間でもあっても、また-20℃であっても)。このように、VHH遺伝子は、His6タグが検出に使用された場合などに、pMECSからpHEN6cベクターにサブクローニングさせた。
【0304】
VHH遺伝子は、鋳型としてVHH遺伝子を保有する組換えpMECSを含む大腸菌およびプライマーA6EおよびPMCFを用いてPCRにより増幅した。プライマーA6EおよびPMCFは、それぞれ、フレームワーク1およびフレームワーク4のプライマーである。プライマー配列は以下の通りであった:
【化1】
【0305】
増幅プロトコールは、約30サイクルのPCRを含み、各サイクルは94℃で30秒間、55℃で30秒間、および72℃で45秒間から構成され、続いてPCR終了時に72℃で10分延長する)。約400bpの断片を増幅させた。
【0306】
PCR産物を精製し(例えばQiaquick PCR精製キット(Qiagen)により)、PstIにより一晩消化した。精製したPCR産物をBstEII(またはEco91I(Fermentas))で一晩消化した。消化に使用する温度は変化させた。例えば、酵素の供給者に応じて、50℃または60℃でBstEIIによる消化を行った。
【0307】
ライゲーションのために、pHEN6cベクターをPstIで3時間消化し、上記のように精製し、次いでBstEIIで2~3時間消化した。あるいは、Eco91I(Fermentas)を用いて消化を行った。消化したベクターを、1%アガロースゲル上に流し、ベクターバンドをゲルから切り出して精製した(例えばQiaquickゲル抽出キット(Qiagen)により)。続いてPCR断片をベクターにライゲートした。
【0308】
エレクトロコンピテントWK6細胞をライゲーション反応で形質転換し、LB/寒天/アンピシリン(100μg/ml)/グルコース(1~2%)プレートを用いて形質転換体を選択した。陽性クローンをユニバーサルリバースプライマーおよびユニバーサルフォワードプライマーを用いてPCRによりスクリーニングした。インサートが存在する場合には、約550bpの断片を増幅させた。クローンの同一性を確認するために、ユニバーサルリバースプライマーを用いて各VHHあたり少なくとも2つのクローンを配列決定した。抗原結合能は、ELISAまたは任意の他の適切なアッセイによって再試験した。
【0309】
上記のプロトコールに従い、pHEN6cベクターにクローニングしたVHH遺伝子を生成した。これは、N末端にPelBシグナル配列を含み、C末端にHis6-tailを含む。PelBリーダー配列はVHHを大腸菌のペリプラズム空間に向け、HisタグをVHHの精製および検出に使用した(例えば、ELISA、ウェスタンブロットなどで)。
【0310】
VHHの発現および精製を行った。具体的には、1日目に、10~20mlのLB+アンピシリン(100μg/ml)+グルコース(1%)に、新たに形質転換したWK6コロニーを播種した。この前培養物を37℃で一晩、200~250rpmで振盪しながらインキュベートした。2日目に、VHHを発現させるためにTB培地を使用した。TB培地は、リットルあたり2.3gのKH2PO4、16.4gのK2HPO4・3H2O、12gのトリプトン(Duchefa Biochemie)、24gのイースト(Duchefa Biochemie)および4mlの100%グリセロール(Duchefa Biochemie)を含んでいた。
【0311】
1リットルのバッフル付き振盪フラスコに330mlのTBを充填し、オートクレーブ処理した。KH2PO4およびK2HPO4・3H2Oはオートクレーブ処理しなかった。代わりに、KH2PO4およびK2HPO4・3H2Oを調製し、ろ過滅菌し、次いで既にオートクレーブ処理した残りの培地に添加した。前培養物約1mlを100μg/mlのアンピシリン、2mMのMgCl2および0.1%グルコースを補充した330mlのTBに添加し、続いて振盪(200~250rpm)しながらOD600が0.6~0.9に達するまで37℃で生育させた。IPTG(最終濃度1mM)を添加してVHH発現を誘導した。培養物を28℃で一晩(約16~18時間)振盪しながらインキュベートした。一晩誘導した後のOD600は通常25~30であった。1クローンあたり少なくとも1リットルの培養液(3ボトル)を平均収量1~15mg/lで調製した。
【0312】
大腸菌のペリプラズムからのVHHの抽出を3日目に行った。使用した溶液は、TES:0.2MトリスpH8.0、0.5mM EDTA、0.5Mスクロース、および水中で4倍に希釈したTES/4:TESを含んでいた。
【0313】
一晩誘導された培養物を8000rpmで8分間遠心分離した。1リットルの培養物からの細胞ペレットをピペットで上下させて、12mlのTESに再懸濁し、氷上で1時間振盪した。使用した各12mlのTESにつき、約18mlのTES/4を添加し、振盪しながらさらに1時間氷上でインキュベートし、続いて4℃、8000rpmで30分間遠心分離した。ペリプラズム空間から抽出されたタンパク質を含む上清を新鮮なファルコンチューブに移した。
【0314】
続いて、以下の溶液を利用するIMACによってVHHを精製した:HIS-select(SIGMA)、PBS、および50mM NaAcetate pH 4.6。
【0315】
His-selectをPBSで平衡化した。具体的には、1リットルの培養液に由来するペリプラズム抽出物1個につき、50mlのファルコンチューブに1mlの樹脂(約2mlのHis-select溶液)を加えた。PBSを最終容量50mlに加え、混合した。遠心分離は2000rpmで2分間行い、上清を捨てた。樹脂を上記のようにPBSで2回洗浄した。ペリプラズム抽出物を樹脂に添加し、穏やかに振盪しながら室温で30分~1時間インキュベートした。サンプルは、底部にフィルターを有するPD-10カラムに装填し(GE healthcare、cat.No.17-0435-01)、50~100mlのPBS(樹脂1mlあたり50~100mlのPBSを使用した)で洗浄した。溶出は3回行い、各回、使用する樹脂1mlあたり1mlのPBS/0.5Mイミダゾールで行った(効率的に溶出するために、ビーズを再懸濁し、カラムの底を閉じたまま4℃で一晩放置した)。透析をPBSに対して4℃で一晩(カットオフ3500ダルトン)行い、イミダゾールを除去した。効率的な透析のために、透析緩衝液(PBS)を2~3回交換した。あるいは、イミダゾールによる溶出の代わりに、結合したVHHを10mlの50mM酢酸ナトリウムpH4.6で溶出することができた。VHHを溶出するために50mMの酢酸ナトリウムpH4.6を使用した場合、溶出されたVHHは1MトリスpH8.0で直ちに中和され、透析は必要としなかった。
【0316】
タンパク質の量は、溶出したサンプルのOD280測定によって推定した。各クローンの吸光係数は、Expasyプロテオミクスサーバの一次構造解析下でprotParamツールによって決定した。VHHのさらなる精製は、異なる方法によって達成することができた。例えば、Superdex 75 16/60上に装填するための適切な容量(最大4ml)が得られるまで、4℃、2000rpmで遠心分離することによって、サンプルを濃縮することができた(Vivaspin 5000 MWカットオフ、Vivascience)。濃縮サンプルを、PBSで平衡化したSuperdex 75 16/60カラムに装填した。ピーク画分をプールし、定量のためにOD280測定を行った。一般に、VHHは、1ml/分で実行すると85~95分後に溶出した。濃縮VHHサンプルのアリコートを約1mg/mlの濃度にて、-20℃で保存した。
【0317】
実施例2.マウスCD20に特異的なVHHの構築および評価
マウスCD20遺伝子のクローニング
マウスCD20をImagenes cat#IRAVP968C1280Dから購入し、フォワードプライマー5’-gataagatctcaGGCGGATCCAGTGGACCTTTCCCAGCAGAGC(O-7962)およびリバースプライマー5’-GGTTTTTTCTCTAGATCAAGGAGCGATCTCATTTTCCACTG(O-7964)で増幅した。増幅産物をBglIIおよびXbaIで切断し、哺乳動物発現ベクターpMet7にライゲートさせた。このプラスミドは、Hek293T細胞の一過性トランスフェクションのため、およびマウスCD20を安定に発現するCHO-K1クローンの生成のために使用された。
【0318】
抗原特異的VHHの単離
VHHライブラリは、末梢血リンパ球(PBL)から構築した。具体的には、PBL由来の全RNAをオリゴ(dT)プライマーを用いた第1鎖cDNA合成の鋳型として用いた。このcDNAを用いて、VHHをコードする配列をPCRにより増幅し、PstIおよびNotIで消化し、ファージミドベクターpMECSのPstIおよびNotI部位にクローニングした。約107の独立した形質転換体のVHHライブラリが得られた。約90%の形質転換体が、正しいインサートサイズのベクターを保持していた。
【0319】
同様に、約108の独立した形質転換体のサイズを有するVHHライブラリを、末梢血リンパ球(PBL)から得た。約65%の形質転換体が、正しいインサートサイズのベクターを保持していた。
【0320】
ライブラリを、マウスCD20を発現する安定にトランスフェクトされたCHO-K1細胞上で3回連続してパニング(溶液中)した。CD20特異的ファージの濃縮を計算するための陰性対照としての役割を果たすために、親(非トランスフェクトCHO-K1)細胞に対して平行パニングを行った。抗原特異的ファージの濃縮は、各回のパニング後に、トランスフェクトされた細胞から溶出したファージミド粒子の数を、親細胞から溶出したファージミド粒子の数と比較することによって評価した。これらの実験は、(抗原特異的ファージについて)パニングの第1回目、第2回目、および第3回目のそれぞれの後に約2倍、2倍および10
3倍、ファージ集団が濃縮されたことを示唆した。合計で285個のコロニー(各パニングから95個)を無作為に選択し、トランスフェクトしたCHO-K1への特異的結合について、それらの粗製ペリプラズム抽出物(可溶性VHHなど)を親細胞と比較して、細胞ELISAによって分析した。285個のコロニーのうち、124個のコロニー(それぞれ第1回目0個、第2回目40個、および第3回目84個)がこのアッセイで陽性を示した。配列データに基づいて、124個の陽性コロニーは11個の異なるVHHを表した(
図4、上部パネル)。11個の異なるVHHは2つの異なるグループに属する。
【0321】
ライブラリを、上記のようにマウスCD20を発現する安定にトランスフェクトされたCHO-K1細胞上で2回連続して(溶液中で)パニングした。ここで、ファージ集団は、第1回目および第2回目のパニングの後、それぞれ約2倍および45倍濃縮された(抗原特異的ファージについて)。ここでは、2回目のパニングから無作為に採取した190個のコロニーを上記のように細胞ELISAによって試験し、10個のコロニーが陽性を示した。配列データに基づいて、10個の陽性コロニーは8つの異なるVHHを表した(
図4、下部パネル)。8つの異なるVHHは2つの異なるグループに属する。ここで特定されたグループのうちの1つは、上記で特定されたグループの1つと同じグループである。
【0322】
このライブラリを4回連続してパニングに供し、これらは固相コーティングしたビオチン化マウスCD20ペプチド(3μg/ウェル)上で行った。ウェルへのペプチドのコーティングは、ストレプトアビジンによって媒介された。抗原特異的ファージの濃縮は、(ストレプトアビジン媒介性)抗原コーティングブロッキングウェルから溶出されたファージミド粒子の数を、ストレプトアビジンでコーティングされたウェルから溶出されたファージミド粒子の数と比較して評価し、次いでブロッキングバッファでブロックした。これらの実験は、ファージ集団が3回目のパニング後にのみ抗原特異的ファージについてわずかに濃縮されたことを示唆した。ペプチド上での3回目のパニングから無作為に採取した190個のコロニーを、ビオチン化マウスCD20ペプチドへの特異的結合についてELISA(可溶性VHHを含む粗製ペリプラズム抽出物を用いたELISA)により分析した。190個のコロニーのうち5個のコロニーがこのアッセイで陽性を示した。配列データに基づいて、5個の陽性コロニーは2つの異なるVHHを表した(
図5)。2つの異なるVHHは、細胞パニング/細胞ELISAによって上記で同定された全ての群と比較して、異なる群ではあるが同じ群に属する。
【0323】
以下の表は、21個の異なる抗マウスCD20 VHH遺伝子を表す21個のクローンの説明を提供する。抗マウスCD20 VHH配列を含む組換えファージミドpMECSを保有する大腸菌 TG1を生成し、-80℃で保存した。ベクターpMECSはアンピシリン耐性をコードする。
【表3】
【0324】
要約すると、以下の表に示すように、4つの異なるグループに属する21個の異なるVHHが同定された。21個の抗マウスCD20 VHHのヌクレオチドおよびアミノ酸配列をそれぞれ
図6および
図7に示す。
【表4】
【0325】
組換えpMECSを用いた非サプレッサー株(例えばWK6)の形質転換
pMECSベクターにクローニングされたVHH遺伝子は、N末端にPelBシグナル配列、C末端にHAタグおよびHis6タグ(PelBリーダー-VHH-HA-His6)を含んでいた。PheBリーダー配列はVHHを大腸菌のペリプラズム空間に向け、HAおよびHis6タグをVHHの精製および検出に使用した(例えば、ELISA、ウエスタンブロットなどで)。
【0326】
pMECSベクターでは、His6タグの後にアンバー停止コドン(TAG)が続き、このアンバー停止コドンの後にM13ファージの遺伝子IIIが続いた。サプレッサー大腸菌株(例えばTG1)では、アンバー停止コドンはグルタミンとして読み取られ、したがってVHHは、パニングのために、ファージコート上のVHHの表示を可能にするファージのプロテインIIIとの融合タンパク質として発現した。非サプレッサー大腸菌株(例えば、WK6)では、アンバー停止コドンは停止コドンとして読み取られ、したがって、得られたVHHはプロテインIIIに融合しなかった。
【0327】
pMECSベクターにクローン化されたVHHを発現させ、精製するために、目的のVHHの遺伝子を含むpMECSを調製し、非サプレッサー株(例えば、WK6)に形質転換させた。得られたクローンのVHHは、MP057プライマー(5’-TTATGCTTCCGGCTCGTATG-3’)を用いて配列決定し、クローンの同一性を確認した。抗原結合能は、ELISAまたは任意の他の適切なアッセイによって再試験した。VHH遺伝子を有する組換えpMECSベクターを含む非サプレッサー株(例えば、WK6)は、本明細書に記載のVHHを発現させ、精製するために使用した。
【0328】
pMECSからpHEN6cベクターへのVHH遺伝子の再クローニング
pMECSベクターでは、VHHの保存時にHis6タグが切断された(短期間でもあっても、また-20℃であっても)。したがって、His6タグを検出などに使用する場合は、VHH遺伝子をpMECSからpHEN6cベクターにサブクローニングする方がより良好であった。
【0329】
具体的には、VHH遺伝子を鋳型とし、プライマーA6EおよびPMCFを保有する組換えpMECSを含む大腸菌を用いて、VHH遺伝子を増幅した。プライマーA6EおよびPMCFは、それぞれ、フレームワーク1およびフレームワーク4のプライマーである。プライマー配列は以下の通りであった:
【化2】
【0330】
増幅プロトコールは、約30サイクルのPCRを含み、各サイクルは、94℃で30秒、55℃で30秒および72℃で45秒を含み、その後PCR終了時に72℃で10分延長した。約400bpの断片を増幅させた。
【0331】
PCR産物を精製し(例えばQiaquick PCR精製キット(Qiagen)により)、PstIにより一晩消化した。精製したPCR産物をBstEII(またはEco91I(Fermentas))で一晩消化した。消化に使用する温度は変化させた。例えば、酵素の供給者に応じて、50℃または60℃でBstEIIによる消化を行った。
【0332】
ライゲーションのために、PCR産物を精製した。pHEN6cベクターをPstIで3時間消化し、上記のように精製し、次いでBstEIIで2~3時間消化した。あるいは、Eco91I(Fermentas)を用いて消化を行った。消化したベクターを、1%アガロースゲル上に流し、ベクターバンドをゲルから切り出して精製した(例えばQiaquickゲル抽出キット(Qiagen)により)。続いてPCR断片をベクターにライゲートした。
【0333】
エレクトロコンピテントWK6細胞をライゲーション反応で形質転換し、LB/寒天/アンピシリン(100μg/ml)/グルコース(1~2%)プレートを用いて形質転換体を選択した。陽性クローンをユニバーサルリバースプライマーおよびユニバーサルフォワードプライマーを用いてPCRによりスクリーニングした。インサートが存在する場合には、約550bpの断片を増幅させた。クローンの同一性を確認するために、ユニバーサルリバースプライマーを用いて各VHHあたり少なくとも2つのクローンを配列決定した。抗原結合能は、ELISAまたは任意の他の適切なアッセイによって再試験した。
【0334】
上記のプロトコールに従い、pHEN6cベクター中にクローニングされたVHH遺伝子は、N末端にPelBシグナル配列を含み、C末端にHis6-tailを含んでいた。PelBリーダー配列はVHHを大腸菌のペリプラズム空間に向け、HisタグをVHHの精製および検出に使用した(例えば、ELISA、ウェスタンブロットなどで)。
【0335】
VHHの発現および精製を行った。具体的には、1日目に、10~20mlのLB+アンピシリン(100μg/ml)+グルコース(1%)に、新たに形質転換したWK6コロニーを播種した。この前培養物を37℃で一晩、200~250rpmで振盪しながらインキュベートした。2日目に、VHHを発現させるためにTB培地を使用した。TB培地は、リットルあたり2.3gのKH2PO4、16.4gのK2HPO4・3H2O、12gのトリプトン(Duchefa Biochemie)、24gのイースト(Duchefa Biochemie)および4mlの100%グリセロール(Duchefa Biochemie)を含んでいた。
【0336】
1リットルのバッフル付き振盪フラスコに330mlのTBを充填し、オートクレーブ処理した。KH2PO4およびK2HPO4・3H2Oはオートクレーブ処理しなかった。代わりに、KH2PO4およびK2HPO4・3H2Oを調製し、ろ過滅菌し、次いで既にオートクレーブ処理した残りの培地に添加した。前培養物約1mlを100μg/mlのアンピシリン、2mMのMgCl2および0.1%グルコースを補充した330mlのTBに添加し、続いて振盪(200~250rpm)しながらOD600が0.6~0.9に達するまで37℃で生育させた。IPTG(最終濃度1mM)を添加してVHH発現を誘導した。培養物を28℃で一晩(約16~18時間)振盪しながらインキュベートした。一晩誘導した後のOD600は通常25~30であった。1クローンあたり少なくとも1リットルの培養液(3ボトル)を平均収量1~15mg/lで調製した。
【0337】
大腸菌のペリプラズムからのVHHの抽出を3日目に行った。使用した溶液は、TES:0.2MトリスpH8.0、0.5mM EDTA、0.5Mスクロース、および水中で4倍に希釈したTES/4:TESを含んでいた。
【0338】
一晩誘導された培養物を8000rpmで8分間遠心分離した。1リットルの培養物からの細胞ペレットをピペットで上下させて、12mlのTESに再懸濁し、氷上で1時間振盪した。使用した各12mlのTESにつき、約18mlのTES/4を添加し、振盪しながらさらに1時間氷上でインキュベートし、続いて4℃、8000rpmで30分間遠心分離した。ペリプラズム空間から抽出されたタンパク質を含む上清を新鮮なファルコンチューブに移した。
【0339】
続いて、以下の溶液を利用するIMACによってVHHを精製した:HIS-select(SIGMA)、PBS、および50mM NaAcetate pH 4.6。
【0340】
His-selectをPBSで平衡化した。具体的には、1リットルの培養液に由来するペリプラズム抽出物1個につき、50mlのファルコンチューブに1mlの樹脂(約2mlのHis-select溶液)を加えた。PBSを最終容量50mlに加え、混合した。遠心分離は2000rpmで2分間行い、上清を捨てた。樹脂を上記のようにPBSで2回洗浄した。ペリプラズム抽出物を樹脂に添加し、穏やかに振盪しながら室温で30分~1時間インキュベートした。サンプルは、底部にフィルターを有するPD-10カラムに装填し(GE healthcare、cat.No.17-0435-01)、50~100mlのPBS(樹脂1mlあたり50~100mlのPBSを使用した)で洗浄した。溶出は3回行い、各回、使用する樹脂1mlあたり1mlのPBS/0.5Mイミダゾールで行った(効率的に溶出するために、ビーズを懸濁し、カラムの底を閉じたまま4℃で一晩放置した)。透析をPBSに対して4℃で一晩(カットオフ3500ダルトン)行い、イミダゾールを除去した。効率的な透析のために、透析緩衝液(PBS)を2~3回交換した。あるいは、イミダゾールによる溶出の代わりに、結合したVHHを10mlの50mM酢酸ナトリウムpH4.6で溶出することができた。VHHを溶出するために50mMの酢酸ナトリウムpH4.6を使用した場合、溶出されたVHHは1MトリスpH8.0で直ちに中和され、透析は必要としなかった。
【0341】
タンパク質の量は、溶出サンプルのOD280測定によってこの時点で推定することができる。各クローンの吸光係数は、Expasyプロテオミクスサーバの一次構造解析下でprotParamツールによって決定した。VHHのさらなる精製は、異なる方法によって達成することができる。以下に、これらの方法の1つを示す。
【0342】
タンパク質の量は、溶出したサンプルのOD280測定によって推定した。各クローンの吸光係数は、Expasyプロテオミクスサーバの一次構造解析下でprotParamツールによって決定した。VHHのさらなる精製は、異なる方法によって達成することができた。例えば、Superdex 75 16/60上に装填するための適切な容量(最大4ml)が得られるまで、4℃、2000rpmで遠心分離することによって、サンプルを濃縮することができた(Vivaspin 5000 MWカットオフ、Vivascience)。濃縮サンプルを、PBSで平衡化したSuperdex 75 16/60カラムに装填した。ピーク画分をプールし、定量のためにOD280測定を行った。一般に、VHHは、1ml/分で実行すると85~95分後に溶出した。濃縮VHHサンプルのアリコートを約1mg/mlの濃度にて、-20℃で保存した。
【0343】
実施例3.ヒトおよび/またはマウスCD20に特異的なVHHの機能的評価
FACSによって示されたVHHの特異的結合
ヒトまたはマウスCD20に特異的なVHHの結合活性を決定するために、FACS分析を行った。具体的には、CHO-K1細胞およびヒトまたはマウスのCD20を安定に発現するCHO-K1細胞を、5μg/mlの本出願に従って産生されたVHHと共にインキュベートした。二次染色としてモノクローナルFITC標識抗His抗体(Genscript#A01620)を適用した。FACS分析は、FacsCaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)で行った。
図8に示すように、ヒトCD20に対するVHHはすべて、ヒトCD20に対する特異的結合を示した。同様に、マウスCD20に対するVHHのすべても、マウスCD20に対する特異的結合を示した(
図9)。
【0344】
実施例4.CD20 VHHを含むキメラタンパク質の機能解析
A20リンパ腫モデルを用いたキメラCD20 VHHを用いたin vivoインターフェロン活性の標的化
マウスにA20細胞(CD20+、およびIFN感受性マウスリンパ腫細胞株)を皮下接種して腫瘍を誘導した。キメラCD20 VHHのin vivo抗腫瘍効果を決定するために、野生型IFNまたは突然変異体IFNα2-Q124R(すなわち、AcTaferon)に融合した2MC57 VHH(抗マウスCD20)によりマウスに病変部近傍処理を施した(腫瘍の端にs.c.)。マウスには、野生型IFNまたは変異型IFNα2-Q124Rに融合した2HCD25 VHH(抗ヒトCD20)も注射した。
図10に示すように、すべてのCD20 VHHは腫瘍サイズを有意に減少させており、キメラ2MC57 VHHが最も強力であった。
【0345】
B16メラノーマモデルを用いたキメラCD20 VHHによるin vivoインターフェロン活性の標的化
マウスにB16-mCD20細胞(マウスCD20を安定に発現するマウスメラノーマ細胞株)を皮下接種して腫瘍を誘導した。キメラCD20 VHHのin vivo抗腫瘍効果を決定するために、野生型IFNまたは突然変異体IFNα2-Q124R(すなわち、AcTaferon)に融合された2MC57 VHH(抗マウスCD20)によりマウスに病変部近傍処理を施した(腫瘍の端にs.c.)。マウスには、野生型IFNまたは変異型IFNα2-Q124Rに融合した2HCD25 VHH(抗ヒトCD20)も注射により与えた。対照マウスをPBSで処置した。腫瘍の増殖をモニターした。
図11に示すように、mCD20VHHは、腫瘍の大きさを有意に減少させた。
【0346】
図12は、突然変異体IFNα2-Q124R(すなわち、AcTaferon)に融合されたキメラ2MC57 VHHが、生命を脅かす副作用なしにB16-mCD20メラノーマ細胞を標的としたことを示す。具体的には、突然変異体IFNα2-Q124Rに融合したキメラ2MC57 VHHで処置したマウスは、体重、ならびに好中球、赤血球および血小板など、血液毒性の徴候のない正常な全血球数を維持した。さらに、突然変異体IFNα2-Q124Rに融合したキメラ2MC57 VHHを投与した結果、部分的なB細胞枯渇をもたらした(
図13)。
【0347】
B16メラノーマモデルにおけるキメラCD20 VHHおよびドキソルビシンを用いた併用療法
ドキソルビシンおよびキメラ2MC57 VHHを用いた併用療法の抗腫瘍効果を試験した。マウスにB16-mCD20細胞(マウスCD20を安定に発現するマウスメラノーマ細胞株)を皮下接種して腫瘍を誘導した。続いて、ドキソルビシンの有無にかかわらず、野生型IFNまたは突然変異体IFNα2-Q124R(すなわち、AcTaferon)に融合した2MC57 VHH(抗マウスCD20)を用いて、マウスに病変部近傍処理を施した(腫瘍の端でs.c.)。ドキソルビシンは2日おきに3mg/体重kgで投与された。
図14に示すように、2MC57 VHHをドキソルビシンと組み合わせると、ドキソルビシンは含まずに2MC57 VHHを用いた治療と比較して腫瘍サイズが有意に減少した。
【0348】
突然変異体IFNα2-Q124Rと融合した2MC57 VHHとのドキソルビシンの組み合わせは、特に安全で効果的であるように考えられた。具体的には、ドキソルビシンとの併用療法は、野生型IFNの投与に伴う罹患率および死亡率を悪化させたが、突然変異体IFNα2-Q124Rと融合した2MC57 VHHと組み合わせて使用した場合、体重、生存率およびいくつかの血液パラメータの測定結果(
図15)の進展により評価したときに、いかなる副作用も引き起こすことはなかった。
【0349】
B16メラノーマモデルにおけるキメラCD20 VHHおよび腫瘍壊死因子を用いる併用療法
腫瘍壊死因子(TNF)およびキメラ2MC57 VHHを用いた併用療法の抗腫瘍効果を試験した。マウスにB16-mCD20細胞(マウスCD20を安定に発現するマウスメラノーマ細胞株)を皮下接種して腫瘍を誘導した。続いて、TNFの有無にかかわらず、野生型IFNまたは突然変異体IFNα2-Q124R(すなわち、AcTaferon)に融合した2MC57 VHH(抗マウスCD20)を用いて、マウスに病変部近傍処理を施した(腫瘍の端でs.c.)。TNFは、2日ごとに0.6μgで投与された。
図16に示すように、2MC57 VHHをTNFと組み合わせると、TNFを含まずに2MC57 VHHを用いた治療と比較して腫瘍サイズが有意に減少した。
【0350】
突然変異体IFNα2-Q124Rと融合した2MC57 VHHとのTNFの組み合わせは、特に安全で効果的であるように考えられた。具体的には、TNFとの併用療法は、血小板減少症および/または貧血ならびに野生型IFNの投与に伴う死亡率を悪化させたが、突然変異体IFNα2-Q124Rと融合した2MC57 VHHと組み合わせて使用した場合、体重、生存率およびいくつかの血液パラメータの測定結果(
図17)の進展により評価したときに、いかなる副作用も引き起こすことはなかった。
【0351】
B16メラノーマモデルにおけるキメラCD20 VHHおよび抗PD-L1ラクダ科VHHを用いる併用療法
抗PD-L1ラクダ科VHHおよびキメラ2MC57 VHHを用いた併用療法の抗腫瘍効果を試験した。マウスにB16-mCD20細胞(マウスCD20を安定に発現するマウスメラノーマ細胞株)を皮下接種して腫瘍を誘導した。続いて、抗PD-L1ラクダ科VHHの有無にかかわらず、野生型IFNまたは突然変異体IFNα2-Q124R(すなわち、AcTaferon)に融合した2MC57 VHH(抗マウスCD20)を用いて、マウスに病変部近傍処理を施した(腫瘍の端でs.c.)。抗PD-L1ラクダ科VHHを2日ごとに120μgで投与した。
図18に示されるように、抗PD-L1ラクダ科VHHは、突然変異体IFNα2-Q124Rに融合した2MC57 VHHに対して長期の停滞効果をもたらした。さらに、抗PD-L1ラクダ科VHHおよび突然変異体IFNα2-Q124Rに融合した2MC57 VHHの組み合わせは、有意な体重減少を引き起こさなかった(
図18)。
図24に示すように、パネルAは、突然変異体IFNα2-Q124R(すなわち、AcTaferon)および抗PD-L1ラクダ科VHHに融合した2MC57 VHHを用いた併用治療は、いずれかの剤単独による処置と比較して、38日目までに腫瘍再発のない強力な抗腫瘍効果を誘発した。
図24のパネルBは、野生型IFN単独による処置と比較して、併用治療では耐容性が良好であり、有意な体重減少を誘導しなかったことをさらに示す。全体として、これらのデータは、キメラ2MC57 VHHおよび抗PD-L1抗体を用いた併用療法のための相乗効果を示唆している。B16-mCD20メラノーマモデルにおいて、Treg枯渇と組み合わせた抗PD-L1ラクダ科VHHおよびキメラ2MC57 VHHの抗腫瘍効果を試験した。
図19に示すように、突然変異体IFNα2-Q124Rに融合させた2MC57 VHH、抗PD-L1ラクダ科VHH、およびTreg枯渇を投与する三重の組合せにより、腫瘍サイズがさらに減少した。
【0352】
B16メラノーマモデルにおけるキメラCD20 VHHの全身投与
B16-mCD20メラノーマモデルにおいて、全身投与されたキメラCD20 VHHの有効性を試験した。具体的には、突然変異体IFNα2-Q124R(すなわち、AcTaferon)に融合した2MC57 VHH(抗マウスCD20)、または突然変異体IFNα2-Q124Rに融合した2HCD25 VHH(抗ヒトCD20)を静脈内注射によりマウスに与えた。キメラVHHを腫瘍接種後8~11日目に5,500IUの用量で静脈内注射した。
図20に示すように、キメラ抗体の全身投与では、キメラ2MC57 VHHがより強力であり、腫瘍増殖の有意な減少をもたらした。
【0353】
キメラCD20 VHHの抗腫瘍効果におけるB細胞枯渇の役割
マウスにB16-hCD20細胞(ヒトCD20を安定に発現するマウスメラノーマ細胞株)を移植して腫瘍を誘導した。キメラCD20 VHHのin vivo抗腫瘍効果を決定するために、野生型ヒトIFN、マウスIFNまたは突然変異体IFNα2-Q124R(すなわち、AcTaferon)に融合された2HCD25 VHH(抗ヒトCD20)によりマウスに病変部近傍処理を施した(腫瘍の端にs.c.)。マウスにはまた、突然変異IFNα2-Q124Rに融合した2MC57 VHH(抗マウスCD20)を与えた。腫瘍の増殖をモニターした。
図21に示すように、マウスIFNまたは突然変異体IFNα2-Q124Rのいずれかに融合したキメラ2HCD25 VHHでは、有意な腫瘍縮小がもたされた。しかし、挿入図に示すように、突然変異体IFNα2-Q124Rに融合したキメラ2HCD25 VHHは、リンパ球数を減少させるとは考えられず、このことは、B細胞枯渇は、突然変異体IFNα2-Q124Rに融合したキメラ2HCD25 VHHの抗腫瘍効果にとって必要ではないことを示唆している。
【0354】
同様の研究を、キメラCD20抗体をマウスの全身iv投与することにより実施した。以前の結果と一致して、マウスIFNまたは突然変異体IFNα2-Q124Rのいずれかに融合したキメラ2HCD25 VHHは有意な腫瘍縮小をもたらした(
図22)。突然変異体IFNα2-Q124Rに融合したキメラ2HCD25 VHHによりリンパ球数が減少したと考えられない場合(
図21)、B細胞枯渇が、突然変異体IFNα2-Q124Rに融合したキメラ2HCD25 VHHの抗腫瘍効果にとって必要ではないことをこの結果が示唆している。
【0355】
多発性硬化症のマウスモデルにおけるキメラCD20 VHHの有効性
確立されたマウス実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルを用いて、多発性硬化症の治療におけるキメラCD20 VHHの有効性を試験した。具体的には、マウスに、MOGの免疫優性エピトープ(MOG
92-106)に対応するペプチドを投与して、脳の炎症および中枢神経系(CNS)脱髄を誘導した。マウスにはまた、MOGペプチドの投与後にip注射によって7~25日目に突然変異体IFNα2-Q124Rに融合した2MC57 VHH(抗マウスCD20)を与えた。
図23に示すように、突然変異体IFNα2-Q124Rに融合した2MC57 VHH(抗マウスCD20)は臨床スコアを有意に改善し、疾患および麻痺などの症状の発症および出現を遅延させた。これらの結果をまとめると、本出願のキメラCD20 VHHが、多発性硬化症ならびにヒトにおける他のCNS脱髄疾患の治療において治療効果を有し得ることが示唆された。
【0356】
均等物
本出願は、その特定の実施形態に関連して記載されているが、さらなる変更が可能であり、本出願は、一般に、本発明の原理に従って、本出願の変形、使用、適応、を網羅することを意図し、本出願が関係する技術分野内で知られているまたは慣例的な実施の範囲内にあるようなこうした本発明の開示からの逸脱を含み、本明細書に記載された本質的特徴および添付の特許請求の範囲内で以下のように適用され得ることが理解されよう。
【0357】
当業者は、日常的な実験のみを用いて、本明細書に具体的に記載された特定の実施形態に対する多数の均等物を認識し、または確認できるであろう。こうした均等物は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0358】
参照による組み込み
本明細書中で参照されるすべての特許および刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0359】
本明細書で論じられる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書では、本出願が先の出願のためにそのような刊行物に先行する資格がないと認めるものとして解釈されるものではない。
【0360】
本明細書で使用されるように、すべての見出しは、単に構成のためのものであり、いかなる様式でもその開示を限定することを意図するものではない。個々のセクションの内容は、すべてのセクションに等しく適用され得る。
【0361】
参考文献
Alduaij W, Illidge TM (2011) The future of anti-CD20 monoclonal antibodies: are we making progress? Blood 117: 2993-3001
Alduaij W, Ivanov A, Honeychurch J, Cheadle EJ, Potluri S, Lim SH, Shimada K, Chan CHT, Tutt A, Beers SA, Glennie MJ, Cragg MS, Illidge TM (2011) Novel type II anti-CD20 monoclonal antibody (GA101) evokes homotypic adhesion and actin-dependent, lysosome-mediated cell death in B-cell malignancies.Blood 117: 4519-4529
Cang SD, Muhki N, Wang KM, Liu DL (2012) Novel CD20 monclonal antibodies for lymphoma therapy.Journal of Hematology & Oncology 5: 64
Cragg MS, Morgan SM, Chan HTC, Morgan BP, Filatov AV, Johnson PWM, French RR, Glennie MJ (2003) Complement-mediated lysis by anti-CD20 mAb correlates with segregation into lipid rafts.Blood 101: 1045-1052
Dolk E, van Vliet C, Perez JMJ, Vriend G, Darbon H, Ferrat G, Cambillau C, Frenken LGJ, Verrips T (2005) Induced refolding of a temperature denatured Ilama heavy-chain antibody fragment by its antigen.Proteins - Structure, Function and Bioinformatics 59: 555-564
Einfield DA, Brown JP, Valentine MA, Clark EA, Ledbetter JA (1988) Molecular cloning of the human B-cell CD20 receptor predicts a hydrophobic protein with multiple transmembrane domains.EMBO Journal 7: 771
Glennie MJ, French RR, Cragg MS, Talyor RP (2007) Mechanisms of killing by anti-CD20 monoclonal antibodies.Molecular Immunology 44: 3823-3837
Hamers-Casterman C, Atarhouch T, Muyldermans S, Robinson G, Hamers C, Songa EB, Bendahman N, Hamers R (1993) Naturally occurring antibodies devoid of light chains.Nature 363, 446-448
Harmsen MM and De Haard HJ (2007) Properties, production, and applications of camelid single-domain antibody fragments.Applied Microbiology and Biotechnology 77: 13-22
Ishibashi K, Suzuki M, Sasaki S, Imai M (2001) Identification of a new multigene four-transmembrane family (MS4A) related to CD20, HTm4 and beta subunit of the high-affinity IgE receptor.Gene 264: 87-93
Lim SH, Beers SA, French RR, Johnson PW, Gelnnie MJ, Cragg MS (2010) Anti-CD20 monoclonal antibodies: historical and future perspectives.Haematologica 95: 135-143
Muyldermans S (2013) Nanobodies: natural single-domain antibodies.Annual Review of Biochemistry 82: 775-779
Muyldermans S, Atarhouch T, Saldanha J, Barbosa JA, Hamers R (1994) Sequence and structure of VH domain from naturally occurring camel heavy chain immunoglobulins lacking light chains.Protein Engineering 7: 1129-1135
Niederfellner G, Lammens A, Mundigl O, Georges GJ, Schaefer W, Schwaiger M, Franke A, Wiechmann K, Jenewein S, Slootstra JW, Timmerman P, Brannstrom A, Lindstrom F, Mossner E, Umana P, Hopfner KP, Klein C (2011) Epitope characterization and crystal structure of GA101 provide insights into the molecular basis for type I/II distinction of CD20 antibodies.Blood 118: 358-367
Oettgen HC, Bayard PJ, Van Ewijk W, Nadler LM, Terhorst CP (1983) Further biochemical studies of the human B-cell differentiation antigens B1 and B2.Hybridoma 2: 17-28
O’ Keefe TL, Williams GT, Davies SL, Neuberger MS (1998) Mice carrying CD20 gene disruption.Immunogenetics 48: 125-132
Robak T, Robak E. (2011) New anti-CD20 monoclonal antibodies for the treatment of B-cell lymphoid malignancies.Biodrugs 25: 13-25
Smith, MR (2003) Rituximab (monoclonal anti-CD20 antibody): mechanisms of action and resistance.Oncogene 22: 7359-7368
Stashenko P, Nadler LM, Hardy R, Schlossman SF (1980) Characterization of a human lymphocyte-B-specific antigen.Journal of Immunology 125: 1678-1685
Stashenko P, Nadler LM, Hardy R, Schlossman SF (1981) Expression of cell surface markers after human B lymphocyte activation.Proceedings of the National Academy of Sciences of the Unites States of America 78: 3848-3852
Townsend MJ, Monroe JG, Chan AC (2010) B-cell targeted therapies in human autoimmune diseases: an updated perspective.Immunological Reviews 237: 264-283
Uchida J, Lee Y, Hasegawa M, Liang Y, Bradney A, Oliver JA, Bowen K, Steeber DA, Haas KM, Poe JC, Tedder TF (2004) Mouse CD20 expression and function. International Immunology 16: 119-129
Van Meerten T, Hagenbeek A (2010) CD20-targeted therapy: the next generation of antibodies.Seminars in Hematology 47: 199-210
Wesolowski J, Alzogaray V, Reyelt J, Unger M, Juarez K, Urrutia M, Cauerhff a, Danquah W, Rissiek B, Schueplein F, Schwarz N, Adriouch S, Boyer O, Seman M, Licea A, Serreze DV, Goldbaum FA, Haag F, Koch-Nolte F (2009) Single domain antibodies: promising experimental and therapeutic tools in infection and immunity.Medical Microbiology and Immunology 198: 157-174
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】