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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040287
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】サーバ装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20230314BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20230314BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/13
G01C21/26 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006609
(22)【出願日】2023-01-19
(62)【分割の表示】P 2021064050の分割
【原出願日】2018-02-26
(31)【優先権主張番号】P 2017066227
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】竹村 到
(72)【発明者】
【氏名】永田 宏
(72)【発明者】
【氏名】松丸 誠
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 恭一
(72)【発明者】
【氏名】清水 晃
(57)【要約】
【課題】移動体の周辺の情報をサーバ装置が取得する。
【解決手段】第1移動体の周辺の状態と地図とに基づく自動運転が可能な第1移動体から自動運転の状況を示す状況情報を受信し、第1移動体が移動した場所の状態を示す状態情報の送信が可能な第2移動体へ、状態情報の要求を送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1移動体の周辺の状態と地図とに基づく自動運転が可能な前記第1移動体から該自動運転の状況を示す状況情報を受信する状況受信部と、
前記第1移動体が移動した場所の状態を示す状態情報の送信が可能な第2移動体へ、該状態情報の要求を送信する要求部と、
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、移動体の自動運転に用いられる地図情報のメンテナンスのために、移動体の周辺の情報を移動体からサーバ装置へ送信する通信システムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばNDT(Normal Distribution Transform)、OGM(Occupancy Grid Map)等を用いた3次元の詳細な地図情報に基づいて、自動運転を行う車両の研究開発が盛んである。例えば、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)等の、車両の周辺に存在する物体の移動体からの相対的な位置及び形状を高精度に検出するセンサを搭載した専用車両が走行中にこのセンサにより検出された情報に基づいて、地図情報が生成される。自動運転を行う車両は、この車両に搭載されたセンサにより検出された情報と地図情報とを比較して、車両の現在位置の推定を行ったり、アクセル、ブレーキ、ステアリング等を制御したりする。
【0003】
特許文献1には、車両に搭載される車載装置が、自動運転等による車両の挙動が検出されたときに、挙動が検出された旨を表す挙動検出通知信号を含む送信信号をサーバ装置へ送信し、サーバ装置が、送信信号の受信に応じて、所定条件が成立すると判定した場合、車両の状況を表す車両情報のアップロード要求を車載装置に送信することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-4445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実際の地上の状態は頻繁に変化し得るため、この変化に応じて地図情報を更新することが望まれる。そこで、一般の車両が、走行中にその車両に搭載されたセンサにより検出された情報をサーバ装置に送信し、サーバ装置は、受信した情報に基づいて、地図情報を更新することが考えられる。しかしながら、センサにより検出された情報を常時サーバ装置へ送信していたのでは、通信負荷が膨大になるという問題がある。
【0006】
特許文献1には、車両の状況を表す情報の送信による通信負荷の抑制を目的とする技術は開示されているものの、車両の周辺の情報の送信による通信負荷の抑制については何ら言及されていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、第1移動体の周辺の状態と地図とに基づく自動運転が可能な前記第1移動体から該自動運転の状況を示す状況情報を受信する状況受信部と、前記第1移動体が移動した場所の状態を示す状態情報の送信が可能な第2移動体へ、該状態情報の要求を送信する要求部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るサーバ装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
図2】実施例に係る通信システムの概要構成の一例を示すブロック図である。
図3】(a)は、実施例に係るサーバ装置の概要構成の一例を示すブロック図である。(b)は、実施例に係る端末装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
図4】実施例に係る自動運転に関する情報の送受信の一例を示す図である。
図5】(a)は、実施例に係る情報受信処理の一例を示すフローチャートである。(b)は、実施例に係る自動運転状況情報送信処理の一例を示すフローチャートである。(c)は、実施例に係る不可能要因情報送信処理の一例を示すフローチャートである。(d)は、実施例に係る詳細情報送信処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本願を実施するための形態について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係るサーバ装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、実施形態に係るサーバ装置1は、状況受信部1aと、要求部1bとを備える。サーバ装置1は、移動体2a及び2bと通信可能である。移動体2a及び2bの例として、自動車、自動二輪車等の車両、ドローン(または、Unmanned Aerial Vehicle)等の航空機等が挙げられる。移動体2aは、移動体2aの周辺の状態と地図とに基づく自動運転が可能である。移動体2bは、移動体2bの周辺の状態の取得が少なくとも可能である。
【0011】
状況受信部1aは、移動体2aから自動運転の状況を示す状況情報を受信する。
【0012】
要求部1bは、移動体2aが移動した場所の状態を示す状態情報の送信が可能な移動体2bへ、この状態情報の要求を送信する。
【0013】
ここで、要求部1bは、状況受信部1aにより受信された状況情報が、自動運転が可能であったことを示す場合、状態情報の要求の送信を抑止する。
【0014】
以上説明したように、実施形態に係るサーバ装置1の動作によれば、移動体2bは、移動体2aによる自動運転が可能であった場所の状態情報をサーバ装置1へ送信しない。自動運転が可能であった場所について、自動運転に用いられた地図は基本的には問題がないと考えられる。従って、地図情報の更新には不要な状態情報の送信が抑止されるので、通信負荷を抑制しながら、地図情報の更新のために、移動体の周辺の情報を効率的にサーバ装置1が取得可能となる。
【実施例0015】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図2乃至図5を用いて説明する。以下に説明する実施例は、複数の車両と通信可能なサーバ装置に実施形態を適用した場合の実施例である。図2は、実施例に係る通信システムの概要構成の一例を示すブロック図である。図3(a)は、実施例に係るサーバ装置の概要構成の一例を示すブロック図である。図3(b)は、実施例に係る端末装置の概要構成の一例を示すブロック図である。図4は、実施例に係る自動運転に関する情報の送受信の一例を示す図である。図5(a)は、実施例に係る情報受信処理の一例を示すフローチャートである。図5(b)は、実施例に係る自動運転状況情報送信処理の一例を示すフローチャートである。図5(c)は、実施例に係る不可能要因情報送信処理の一例を示すフローチャートである。図5(d)は、実施例に係る詳細情報送信処理の一例を示すフローチャートである。
【0016】
図2に示すように、実施例に係る通信システムSは、サーバ装置10と、複数の端末装置20とを備える。サーバ装置10と各端末装置20とはネットワーク7を介して通信可能である。ネットワーク7は、例えばインターネットであってもよい。各端末装置20は、車両5に搭載される。各車両5は、車両5の周辺の状態と地図とに基づく自動運転が可能である。
【0017】
図3(a)に示すように、サーバ装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを備える。制御部11~通信部13は、バス14を介して接続される。制御部11及び通信部13の組み合わせは、実施形態に係る状況受信部1a及び要求部1bの一例である。
【0018】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。CPUが、ROMや記憶部12に記憶された各種プログラムを読み出して実行することにより、制御部11がサーバ装置10を制御する。また、制御部11は、地図データの更新のために、通信部13を介して、各端末装置20から車両5の自動運転に関する情報を取得する。自動運転に関する情報の取得に関する具体的な説明は後述する。
【0019】
記憶部12は、例えばハードディスク等の不揮発性メモリにより構成されている。記憶部12には、サーバ装置10を制御するための各種プログラムが記憶されている。各種プログラムは、例えば図示しないドライブ装置を介して記録媒体から読み込まれてもよいし、ネットワーク7を介して所定のサーバ装置からダウンロードされてもよい。
【0020】
また、記憶部12には、車両5の自動運転のための地図データが記憶されている。地図データは、車両が走行可能な場所及びその周辺の状態を三次元で表す。例えば、地図データは、NDT、OGM等の、車両が走行可能な場所及びその周辺の状態を複数のボクセルで表すグリッドマップであってもよい。地図データを作成するために、例えば、LIDAR等の周辺の状態を検出する周辺センサを搭載した図示せぬ専用車両を走行させてもよい。周辺センサにより、例えば専用車両の位置を基準として、走行時に専用車両の周辺に存在した地物等の障害物の形状及び相対的な位置を複数の点の位置で示す点群データを収集する。点群データと収集時の専用車両の位置とに基づいて、点群の絶対位置(例えば経度、緯度、標高等)が計算される。地図内の空間を、グリッド状に整列された複数のボクセルに分割し、点群の絶対位置に基づいて、各ボクセル内の点の分布を示す三次元正規分布、または各ボクセル内の障害物の占有確率等の情報が、ボクセルの値として計算される。このようなボクセルの値を含む地図データが作成される。サーバ装置10は、記憶部12に記憶された地図データの一部又は全部を、必要に応じて車両5へ送信する。なお、記憶部12には複数種類の地図データが記憶されてもよい。例えば、信号、道路標識等の位置や表示内容を表す地図データ、道路周辺の障害物を表す地図データ、地形を表す地図データ等が記憶されてもよい。また、記憶部12には、車種等に応じて複数の地図データが記憶されてもよい。
【0021】
更に、記憶部12には、各車両5を識別する車両識別情報(例えば車台番号、登録番号等)に関連付けて、車両5の車種を示す車種情報、及び車両5の位置を示す位置情報(例えば経度、緯度、標高等)等が記憶されてもよい。例えば、各車両5から定期的に、不定期に又は所定のタイミングで車両5の車両識別情報及び位置情報がサーバ装置10へ送信される。サーバ装置10は、これらの情報の受信に応じて、記憶部12に記憶されている地図データを更新する。
【0022】
通信部13は、各端末装置20との通信を制御する。
【0023】
端末装置20は、無線通信が可能であり、図示しない基地局を介してネットワーク7に接続可能である。端末装置20は、この端末装置20が搭載された車両5の自動運転に関する情報をサーバ装置10に送信するための装置である。また、端末装置20は、車両5の自動運転を制御する。なお、端末装置20自身が自動運転の制御を行うのではなく、端末装置20は、自動運転を制御するECU(Electronic Control Unit)等の制御装置に接続され、この制御装置から自動運転に関する情報を取得してもよい。
【0024】
図3(b)に示すように、端末装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、インターフェース部24とを備える。制御部21~インターフェース部24は、バス25を介して接続される。
【0025】
制御部21は、CPU、ROM、RAM等を備える。CPUが、ROMや記憶部22に記憶された各種プログラムを読み出して実行することにより、制御部21が端末装置20を制御する。
【0026】
記憶部22は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリにより構成されている。記憶部22には、端末装置20を制御するための各種プログラムが記憶されている。各種プログラムは、例えば図示しないドライブ装置を介して記録媒体から読み込まれてもよいし、無線通信網等のネットワークを介してサーバ装置10等からダウンロードされてもよい。
【0027】
また、記憶部22には、地図データが記憶される。例えば、制御部21が、サーバ装置10に記憶された地図データの全部又は一部を必要に応じてサーバ装置10から受信し、受信されたデータで、記憶部22に記憶された地図データを更新する。サーバ装置10に記憶される地図データの場合と同様に、記憶部22には複数種類の地図データが記憶されてもよい。
【0028】
通信部23は、サーバ装置10との通信を制御する。
【0029】
インターフェース部24は、車両5に搭載された周辺センサ31、GNSS(Global Navigation Satellite System)センサ32、慣性センサ33、車速センサ34、及びECU群35と接続される。インターフェース部24は、端末装置20と、周辺センサ31~ECU群35との間のインターフェース処理を行う。
【0030】
周辺センサ31は、車両5の周辺の状態を検出する。例えば、周辺センサ31は、車両5の周辺に存在する地物や人間等の障害物の車両5からの距離及び方向を検出し、車両5を基準として、障害物の形状及び相対的な位置を、複数の点の位置で示す点群データをインターフェース部24に出力するセンサであってもよい。例えばLIDAR等が用いられてもよい。或いは、周辺センサ31は、点群データを出力するセンサに追加して、車両5の周辺の状態を撮影するカメラを備えてもよい。この場合、周辺センサ31は、車両5の周辺の状態を表す画像を更に出力する。
【0031】
GNSSセンサ32は、図示せぬGPS衛星から送信された信号を受信し、この信号に基づいて車両5の位置を計算し、計算された位置を示す位置情報(例えば経度、緯度、標高等)をインターフェース部24に出力する。
【0032】
慣性センサ33は、車両5の加速度や角速度を検出し、その情報をインターフェース部24に出力する。
【0033】
車速センサ34は、車両5の走行速度を検出し、検出された速度を示す情報をインターフェース部24に出力する。
【0034】
ECU群35は、車両5の動作を制御する複数のECUにより構成されている。このようなECUの例として、アクセルを制御するECU、ステアリングを制御するECU、ブレーキを制御するECU、エンジンを制御するECU等が挙げられる。
【0035】
制御部21は、この制御部21を備える端末装置20を搭載する車両5の自動運転を制御する。例えば、制御部21は、GNSSセンサ32から出力される位置情報を、慣性センサ33及び車速センサ34から出力される情報に基づいて補正することにより、車両5のおおよその現在位置を推定する。制御部21は、周辺センサ31から出力された点群データと、記憶部22に記憶された地図データにおいて車両5のおおよその現在位置及びその周辺のデータとを比較して、車両5の実際の周辺の状態との一致率が高い位置を、車両5のより正確な現在位置として推定する。制御部21は、このときの一致率を、車両5の現在位置の推定精度とし、推定精度が所定値未満である場合、制御部21は、自動運転が不可能な状態であると判定する。また例えば、制御部21は、点群データと地図データとの間で、所定の地物の有無等に差違がある場合(例えば、地図上は信号が存在するが実際には信号が存在しない、標識の表示に差違がある等)、自動運転が不可能な状態であると判定してもよい。また制御部21は、点群データと地図データに基づいて推定された現在位置と、慣性センサ33及び車速センサ34から出力される情報に基づいて推定された現在位置との誤差が所定値以上である場合、自動運転が不可能な状態であると判定してもよい。また例えば、制御部21は、周辺センサ31により、車両5の前方に別の車両、人等が突然現れたことが検出された場合、車両5を停止させて、自動運転が不可能な状態であると判定してもよい。或いは、車両5が位置する場所又はその近隣で災害、事故等が発生した旨の情報を、通信部23を介して受信した場合、車両5を停止させて、自動運転が不可能な状態であると判定してもよい。制御部21は、自動運転が可能な状態であると判定した場合には、ECU群35に対して制御信号を送信することにより、車両5の各部を制御して自動運転を行う。但し、例えば運転手自らが車両5を運転することを運転手が選択した場合、制御部21は、車両5の自動運転を停止状態にする。
【0036】
制御部21は、この制御部21を備える端末装置20を搭載する車両5の自動運転に関する情報を、通信部23を介してサーバ装置10へ送信する。自動運転に関する情報の例として、自動運転状況情報、不可能要因情報、及び詳細情報が挙げられ、自動運転状況情報、不可能要因情報、及び詳細情報の順に、情報量が小さい。
【0037】
自動運転状況情報は、車両5の自動運転の状況を示す。自動運転状況情報は、少なくとも自動運転可不可情報を含む。自動運転状況情報は、更に自動運転実行情報、車両5の位置情報、走行レベル等を含んでもよい。自動運転実行情報は、或る時点又は期間において、車両5が実際に自動運転を実行したか否かを示す。自動運転可不可情報は、前述した或る時点又は期間において、自動運転が可能な状態であったか否かを示す。自動運転が可能な状態である場合にのみ、実際に自動運転の実行が許可される。上述したように、自動運転が可能な状態であっても、実際に自動運転が実行されるとは限らない。自動運転可不可情報は、サーバ装置10により、後述する不可能要因要求又は詳細要求の送信の制御に用いられる。位置情報は、前述した或る時点又は期間に車両5が停止又は走行していた地点又は経路の位置を示す。走行レベルは、車両5が走行した地点又は経路において推奨される走行速度に対して、車両が実際に走行したときの速度の比率を示す。自動運転が可能な状況であっても、車両5の現在位置の推定精度が比較的低い場合は、推奨される速度よりも低い速度で車両5は走行しなければならない場合がある。制御部21は、サーバ装置10から自動運転状況要求を受信することに応じて、自動運転状況情報を送信する。なお、制御部21は、自動運転状況要求を受信せずとも、定期的に、不定期に、または所定のタイミングで自動運転状況要求をサーバ装置10へ送信してもよい。
【0038】
不可能要因情報は、自動運転が不可能な状態である場合に、自動運転が不可能である要因を示す。不可能要因情報は、例えば理由情報、車両5の位置の推定精度、点群データと地図データとの間で所定基準以上の差違があった地点の位置を示す位置情報、所定基準以上の差違があった地図データの種類を示す情報、車両5の位置情報等を含んでもよい。理由情報は、自動運転が不可能な状態である理由を示す。理由情報は、前記サーバ装置による、後述する詳細要求の送信の制御に用いられる。理由の例として、(1)車両5の位置の推定精度が低い、(2)点群データと地図データとの間で所定の地物の有無等に差違がある、(3)点群データと地図データに基づいて推定された現在位置と、慣性センサ33及び車速センサ34から出力される情報に基づいて推定された現在位置との誤差が大きい、(4)車両5の前方に他の車両や人等が突然現れた、(5)災害や事故の発生、(6)車両5に備えられるカメラで撮影された画像から画像認識により地物が認識された場合において、画像に基づき認識された地物の位置等と地図データで定義される地物の位置等が異なる、(7)点群データ又は画像に基づき認識された地物の属性と地図データで定義される当該地物の属性に差違がある等が挙げられる。地物の属性に差違があるとは、地物の有無及び位置に差違はないが、その地物が有する何らかの属性に差違があることを示す。例えば、地物が標識である場合、車両5に備えられるカメラにより撮影された画像から認識されたその標識の表示内容と、地図データに示されているその標識の表示内容との間で差違がある場合が挙げられる。この場合の属性は表示内容である。また例えば、LIDAR等により取得される点群データの場合、車両5の周辺センサ31からのレーザ照射に対する地物の反射光を周辺センサ31が受信して得られる地物の反射率の値と、地図データに示されているその地物の反射率の値との間で、所定程度以上の差違がある場合が挙げられる。この場合の属性は反射率である。自動運転が可能な状態であった場合、理由情報は、自動運転が可能な状態であったことを示してもよい。制御部21は、サーバ装置10から不可能要因要求を受信することに応じて、不可能要因情報を送信する。
【0039】
理由情報が示す理由が、車両5の位置の推定精度が低いことである場合、不可能要因情報には、車両5の位置の推定に用いられる複数の位置推定方法のそれぞれについての推定精度を示す精度情報が更に付加されてもよい。複数の位置推定方法の例として、GPSを用いた方法、車両5の加速度、角速度、走行速度等を用いた方法、周囲のランドマークとの位置関係に基づく方法等が挙げられる。理由情報が示す理由が、LIDAR等により取得された点群データ又はカメラにより撮影された画像から認識された所定の地物に関する属性と、地図データで定義された当該地物の属性とに差違があることである場合、不可能要因情報には、地物の属性に差違があることを示す属性差違情報が更に付加されてもよい。この差違情報は、差違がある属性に関する情報であってもよい。例えば、属性差違情報は、差違がある属性が如何なる属性であるかを示してもよい。これにより、詳細情報として如何なる種類の情報が必要であるか否かが分かるため、サーバ装置10は、後述する詳細要求の送信先の車両5を適切に決定することが可能となる。例えば、属性差違情報が、地物の表示内容に差違があることを示す場合、詳細情報として必要な情報は、車両5の周辺の画像である。従って、サーバ装置10は、周辺センサ31としてカメラを備える車両5へ詳細要求を送信すればよい。属性差違情報が、レーザ照射に対する反射率に差違があることを示す場合、詳細情報として必要な情報は、車両5の周辺の状態を示す点群データである。従って、サーバ装置10は、周辺センサ31が、LIDAR等の点群データを取得可能なセンサを備える車両5へ詳細要求を送信すればよい。
【0040】
詳細情報は、車両5の周囲の状態を示す。詳細情報は、例えば周辺センサ31から出力された点群データ、及び点群データが出力されたときの車両5の位置を含んでもよい。点群データに加えて又は点群データに代えて、詳細情報は、カメラにより撮影された車両5の周囲の状態を示す画像を含んでもよい。詳細情報は、更に周辺センサ31の機種を示す情報、記憶部22に記憶された又は自動運転を制御するECUの自動運転制御用のプログラムのバージョン、記憶部22に記憶された地図データのバージョン、車種情報等を含んでもよい。制御部21は、サーバ装置10から詳細要求を受信することに応じて、詳細情報を送信する。
【0041】
次に、サーバ装置10による車両5からの自動運転に関する情報の取得について説明する。先ず、サーバ装置10の制御部11は、車両5から自動運転状況情報を受信する。自動運転状況情報を送信する車両5を車両5-1といい、車両5-1に搭載された端末装置20を端末装置20-1という。例えば、図4に示すように、制御部11は、自動運転状況要求を車両5-1へ送信し、自動運転状況要求を受信した端末装置20-1は自動運転状況情報をサーバ装置10へ送信する。制御部11は、一の車両5-1のみに自動運転状況要求を送信してもよいし、複数の車両5-1に自動運転状況要求を送信してもよい。制御部11は、サーバ装置10が通信可能な全車両5-1に自動運転状況要求を送信してもよい。或いは、制御部11は、複数の領域のうち制御部11又は制御部11の管理者が選択した領域内に位置する一又は複数の車両5-1に自動運転状況要求を送信してもよい。或いは、制御部11は、制御部11又は管理者が選択した地点に位置する一又は複数の車両5-1に自動運転状況要求を送信してもよい。
【0042】
制御部11は、自動運転状況情報を送信した車両5-1が走行した場所の状態を示す詳細情報の送信が可能な車両5へ詳細要求を送信する。詳細要求は、車両5-1が走行した場所の位置を示す位置情報を含んでもよい。車両5-1が走行した場所とは、車両5-1が送信した自動運転状況情報が示す自動運転状況で運転が行われた場所である。この場所は、一定の区間又は地点であってもよい。例えば、地図データ上において道路網が複数の区間に分割されている。詳細要求を受信する車両5を、車両5-3といい、車両5-3に搭載された端末装置20を端末装置20-3という。制御部11は、一の車両5-3のみに詳細要求を送信してもよいし、複数の車両5-3に詳細要求を送信してもよい。詳細要求を受信した端末装置20-3は、車両5-1が走行した場所を車両5-3が走行中に周辺センサ31により出力された点群データを含む詳細情報をサーバ装置10へ送信する。
【0043】
車両5-1が走行した場所の状態を示す詳細情報の送信が可能な車両5-3とは、例えば車両5-1が走行した場所を走行中の車両であってもよい。或いは、車両5-3とは、車両5-1が走行した場所に進入しようとし又は通過しようとする車両であってもよい。車両5-3は車両5-1と異なってもよいし、同一であってもよい。例えば、車両5-1が自動運転状況情報を送信した場所を再度走行する場合、端末装置20-1はこの場所の詳細情報を送信可能である。また例えば、端末装置20-1が、周辺センサ31から出力された点群データを一定期間又は一定距離分記憶部22に蓄積可能である場合、車両5-1が自動運転状況情報を送信した場所の詳細情報を端末装置20-1が送信可能である。
【0044】
制御部11は、車両5-1から送信された自動運転状況情報に含まれる自動運転可不可情報が、自動運転可能な状態であったことを示す場合、車両5-3に対する詳細要求の送信を抑止する。自動運転が可能であった場所では、周辺センサ31により出力された点群データと地図データとの間に大きな差違がないと考えられるので、その場所について地図データを更新する必要性は低い。
【0045】
同一の場所を走行した複数の車両5-1のそれぞれから自動運転状況情報を受信した場合において、或る車両5-1は自動運転が可能であり、別の車両5-1は自動運転が不可能であった場合がある。例えば、複数の車両5-1の間で車種等が異なることにより、自動運転の性能が異なるため、自動運転が可能であるか否かが車両5-1によって変わる場合がある。この場合、制御部11は、複数の車両5-1の自動運転の状況を総合的に考慮して、詳細要求を抑止するか否かを判定してもよい。例えば、制御部11は、所定割合以上の車両5-1の自動運転が可能であった場合、詳細要求を抑止してもよい。
【0046】
制御部11は、車両5-1から送信された自動運転状況情報に含まれる自動運転可不可情報が、自動運転不可能な状態であったことを示す場合、車両5-1が走行した場所において自動運転が不可能な要因を示す不可能要因情報の送信が可能な車両5へ、不可能要因要求を送信する。不可能要因要求は、車両5-1が走行した場所の位置を示す位置情報を含んでもよい。ここで、制御部11は、自動運転状況情報を送信してきた車両5-1に対して、自動運転性能に係わるこの車両5-1に搭載されているセンサ等の性能を示す性能情報を要求してもよい。この場合のセンサの例として、周辺センサ31、GNSS32、慣性センサ33、車速センサ34等が挙げられる。センサの性能を示す情報の例として、解像度や感度を示す値、センサを製造したメーカ、型番、製造年等が挙げられる。制御部11は、既に性能情報を把握している車両5-1に対しては改めて性能情報を要求する必要はない。制御部11は、性能情報に基づいて、車両5-1に搭載されているセンサの性能が極めて低いと判定した場合には、不可能要因要求を送信しなくてもよい。また、同一の場所を走行した複数の車両5-1から受信された自動運転状況情報を用いてその場所で自動運転が可能であるか否かを判定する場合、制御部11は、搭載されているセンサの性能が極めて低い車両5-1から受信された自動運転状況情報に対する重みを低くして、自動運転が可能であるか否かを判定してもよい。
【0047】
不可能要因要求を受信する車両5を、車両5-2といい、車両5-2に搭載された端末装置20を端末装置20-2という。制御部11は、一の車両5-2のみに不可能要因要求を送信してもよいし、複数の車両5-2に不可能要因要求を送信してもよい。不可能要因要求を受信した端末装置20-2は、車両5-1が走行した場所を車両5-2が走行中における自動運転が可能であるか否かの判定結果に基づいて、車両5-2の自動運転が不可能な要因を、車両5-1の自動運転が不可能な要因として示す不可能要因情報を生成してサーバ装置10へ送信する。
【0048】
車両5-1が走行した場所において自動運転が不可能な要因を示す不可能要因情報の送信が可能な車両5-2とは、例えば車両5-1が走行した場所を走行中の車両であってもよい。或いは、車両5-2とは、車両5-1が走行した場所に進入しようとし又は通過しようとする車両であってもよい。車両5-2は車両5-1と異なってもよいし、同一であってもよい。
【0049】
制御部11は、車両5-2から送信された不可能要因情報が、周辺センサ31から出力された点群データが示す、車両5-1が移動した場所の実際の状態と、地図データとの差違があることが要因であることを示す場合、車両5-3へ詳細要求を送信する。この場合において、車両5-2と車両5-3とは異なっていてもよいし同一であってもよい。車両5-1が移動した場所の実際の状態と、地図データとの差違がある場合とは、例えば、車両5の位置の推定精度が低い場合、点群データと地図データとの間で所定の地物の有無等に差違がある場合、車両5に備えられるカメラで撮影された画像に基づき認識された地物の位置等と地図データで定義される当該地物の位置等が異なる、点群データ又は画像に基づき認識された地物の属性と地図データで定義される地物の属性とに差違がある等である。周辺センサ31により出力された点群データと地図データとの差違によって自動運転が不可能な状態であった場所について、地図データを更新する必要性が高い。車両5-1が移動した場所の実際の状態と、地図データとの差違があるという要因を、単に地図要因という。車両5-2から受信された不可能要因情報が属性差違情報を含む場合、上述したように、制御部11は、属性差違情報に基づいて、詳細要求の送信先となる車両5-3を決定してもよい。
【0050】
車両5-1の自動運転が不可能であったにもかかわらず、車両5-2の自動運転が可能である場合もある。その理由として、例えば、車両5-1が走行した場所の状況が、車両5-1が走行したときのみ悪かった場合がある。或いは、車両5-1と車両5-2との間で車種等が異なることにより、自動運転の性能が異なる場合がある。このような場合、制御部11は、詳細要求を送信しなくてもよい。或いは、車両5-2は、不可能要因情報に含まれる位置の推定精度や、点群データと地図データとの間で所定基準以上の差違があった地点の位置を示す位置情報に基づいて、自動運転が不可能な要因を判定してもよい。
【0051】
同一の場所を走行した複数の車両5-2のそれぞれから不可能要因情報を受信した場合において、或る車両5-2の自動運転が不可能な要因は地図要因であり、別の車両5-2の自動運転が不可能な理由は地図要因以外、例えば、救急車などの緊急車両が近くを走行したために自動運転が不可能であった場合がある。この場合、制御部11は、複数の車両5-2の自動運転が不可能な要因を総合的に考慮して、詳細要求を送信するか否かを判定してもよい。例えば、制御部11は、所定割合以上の車両5-2の自動運転が不可能な要因が地図要因である場合、詳細要求を送信してもよい。
【0052】
制御部11は、区間の単位で各車両5に自動運転状況要求、不可能要因要求、及び詳細要求を送信してもよい。すなわち、車両5-1は、車両5-1が走行した区間における自動運転の状況を示す自動運転状況情報を送信し、車両5-2は、車両5-1が走行した区間における自動運転が不可能な要因を示す不可能要因情報を送信し、車両5-3は、車両5-1が走行した区間の周辺の状態を示す詳細情報を送信する。しかしながら、制御部11は、詳細情報については、車両5-1が走行した区間のうち、点群データと地図データとの間で所定基準以上の差違があった1又は複数の地点のみの状態を示す詳細情報を車両5-3に送信させてもよい。この場合、制御部11は、所定基準以上の差違があった地点の位置情報を含む詳細要求を送信する。車両5-3は、車両5-1が走行した区間のうち、詳細要求に含まれる位置情報が示す地点のみについての点群データを含む詳細情報を送信する。これにより、詳細情報の通信負荷が低減する。
【0053】
制御部11は、詳細情報を受信すると、詳細情報に基づいて、記憶部12に記憶された地図データを更新してもよい。例えば、制御部11は、詳細情報に含まれる点群データと、地図データにおいて車両5が走行した場所及びその周辺のデータとを比較して、点群データと地図データとの間で所定基準以上の差違があった地点を特定してもよい。制御部11は、地図データにおいて、特定した地点に対応するボクセルの値を、点群データに基づいて計算したボクセルの値で更新してもよい。詳細情報が、所定基準以上の差違があった地点のみについての点群データを含む場合、制御部11は、地図データにおいてその地点に対応するボクセルの値を、点群データに基づいて計算したボクセルの値に更新してもよい。或いは、サーバ装置10側でも、点群データと地図データとを比較して、その地点において所定基準以上の差違があった場合にのみ、地図データを更新してもよい。制御部11は、同一の場所について複数の車両5-3のそれぞれから詳細情報を受信する場合、これらの詳細情報に基づいて、その場所について地図データを更新するか否かを総合的に判定してもよい。また、制御部11は、複数の詳細情報を用いて地図データを更新してもよい。
【0054】
サーバ装置10が自動的に地図データを更新するのではなく、管理者が地図データを更新してもよい。例えば、管理者は、詳細情報に含まれる点群データ又は画像に基づいて、地図データを更新してもよい。また例えば、管理者は詳細情報に含まれる、周辺センサ31の機種を示す情報、自動運転制御用のプログラムのバージョン、地図データのバージョン又は車種情報等に基づいて、特定の周辺センサ31、プログラム又は車種用の地図データで差違が発生する場合があることを知ることができる。
【0055】
次に、サーバ装置10及び端末装置20により実行される処理例について、図5(a)~図5(d)を用いて説明する。図5(a)は、サーバ装置10により実行される処理を示す。図5(b)~図5(d)は、端末装置20により実行される処理を示す。
【0056】
図5(a)に示すように、サーバ装置10の制御部11は、例えば複数の車両5の中から所定の条件を満たす車両5-1を選択し、車両5-1へ自動運転状況要求を送信する(ステップS1)。
【0057】
車両5-1に搭載された端末装置20-1の制御部21は、自動運転状況要求を受信することにより、図5(b)に示す自動運転状況情報送信処理を実行する。制御部21は、車両5-1が現在走行している場所についての自動運転状況情報を取得してサーバ装置10へ送信し(ステップS11)、自動運転状況情報送信処理を終了させる。
【0058】
サーバ装置10の制御部11は、車両5-1から自動運転状況情報を受信すると(ステップS2)、自動運転状況情報に含まれる自動運転可不可情報が、自動運転が不可能な状況であったことを示すか否かを判定する(ステップS3)。このとき、制御部11は、自動運転が不可能な状況であったと判定した場合には(ステップS3:YES)、処理をステップS4に進める。一方、制御部11は、自動運転が不可能な状況ではないと判定した場合には(ステップS3:NO)、情報受信処理を終了させる。
【0059】
ステップS4において、制御部11は、記憶部12に記憶されている車両5の位置情報に基づいて、車両5-1が走行した場所と同じ場所を走行する車両5を、車両5-2として特定する。制御部11は、車両5-2へ不可能要因要求を送信する。
【0060】
車両5-2に搭載された端末装置20-2の制御部21は、不可能要因要求を受信することにより、図5(c)に示す不可能要因情報送信処理を実行する。制御部21は、車両5-2が現在走行している場所について自動運転が可能であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、不可能要因情報を生成する。制御部21は、不可能要因情報をサーバ装置10へ送信し(ステップS12)、不可能要因情報送信処理を終了させる。
【0061】
サーバ装置10の制御部11は、車両5-2から不可能要因情報を受信すると(ステップS5)、不可能要因情報が、自動運転が不可能な要因が地図要因であることを示すか否かを判定する(ステップS6)。このとき、制御部11は、自動運転が不可能な要因が地図要因であると判定した場合には(ステップS6:YES)、処理をステップS7に進める。一方、制御部11は、自動運転が不可能な要因が地図要因ではないと判定した場合には(ステップS6:NO)、情報受信処理を終了させる。
【0062】
ステップS7において、制御部11は、記憶部12に記憶されている車両5の位置情報に基づいて、車両5-1が走行した場所と同じ場所を走行する車両5を、車両5-3として特定する。制御部11は、車両5-3へ詳細要求を送信する。
【0063】
車両5-3に搭載された端末装置20-3の制御部21は、詳細要求を受信することにより、図5(d)に示す詳細情報送信処理を実行する。制御部21は、車両5-3が現在走行している場所について周辺センサ31から出力される点群データを含む詳細情報を生成する。制御部21は、詳細情報をサーバ装置10へ送信し(ステップS13)、詳細情報送信処理を終了させる。
【0064】
サーバ装置10の制御部11は、車両5-3から詳細情報を受信すると(ステップS8)、詳細情報に基づいて、記憶部12に記憶された地図データを更新して(ステップS9)、情報受信処理を終了させる。
【0065】
以上説明したように、実施例に係るサーバ装置10の動作によれば、車両5-1の周辺の状態と地図とに基づく自動運転が可能な車両5-1から自動運転の状況を示す自動運転状況情報を受信し、車両5-1が移動した場所の状態を示す詳細情報の送信が可能な車両5-3へ詳細要求を送信し、受信された自動運転状況情報が、自動運転が可能であったことを示す場合、詳細要求の送信を抑止する。従って、地図データの更新には不要な詳細情報の送信が抑止されるので、通信負荷を抑制しながら、地図データの更新のために、車両5の周辺の情報を効率的にサーバ装置10が取得可能となる。
【0066】
また、受信された自動運転状況情報が、自動運転が不可能であったことを示す場合、不可能要因要求を、車両5-2の周辺の状態と地図とに基づく自動運転が可能な車両5-2へ送信し、車両5-2から不可能要因情報を受信し、受信された不可能要因情報が、車両5-1が移動した場所の状態と地図との間の差違であることを示す場合に、詳細要求を送信する場合、地図データの更新には不要な詳細情報の送信が更に抑止されるので、更に通信負荷を抑制しながら、地図データの更新のために、車両5の周辺の情報を効率的にサーバ装置10が取得可能となる。
【0067】
また、不可能要因情報は、車両5-1が移動した場所のうち、車両5-1が移動した場所の状態と地図との間で所定値以上の差違がある地点の位置を示す位置情報を含み、位置情報が示す位置にある地点の状態を示す詳細情報の詳細要求を送信する場合、地図データの更新には不要な詳細情報の送信が更に抑止されるので、更に通信負荷を抑制しながら、地図データの更新のために、車両5の周辺の情報を効率的にサーバ装置10が取得可能となる。
【0068】
また、実施例に係る端末装置20の動作によれば、車両5の自動運転の状況を示す自動運転状況情報を取得し、取得された自動運転状況情報をサーバ装置10へ送信する。従って、自動運転状況情報が、自動運転が可能であったことを示す場合、詳細要求の送信が抑止されるので、通信負荷を抑制しながら、地図データの更新のために、車両5の周辺の情報を効率的にサーバ装置10が取得可能となる。
【0069】
また、複数の車両5のうち自動運転が不可能であったことを示す自動運転状況情報をサーバ装置10へ送信した車両5-1が、走行した場所の状態を示す詳細情報の詳細要求をサーバ装置10から受信し、車両5-1が移動した場所における車両5-3の周辺の状態を示す詳細情報を、サーバ装置10に送信する際、自動運転状況情報が、自動運転が可能であったことを示す場合には、詳細要求の送信を抑止されるので、通信負荷を抑制しながら、地図データの更新のために、車両5の周辺の情報を効率的にサーバ装置10が取得可能となる。
【0070】
また、複数の車両5のうち自動運転が不可能であったことを示す自動運転状況情報をサーバ装置10へ送信した車両5-1が、自動運転が不可能であった要因を示す不可能要因情報の不可能要因要求をサーバ装置10から受信し、車両5-1が移動した場所における車両5-2の自動運転が可能であるか否かの判定結果に基づいて、不可能要因情報をサーバ装置10へ送信する際、不可能要因情報が、地図要因ではないことを示す場合には、詳細要求の送信が抑止されるので、更に通信負荷を抑制しながら、地図データの更新のために、車両5の周辺の情報を効率的にサーバ装置10が取得可能となる。
【0071】
また、車両5-1が移動した場所に存在する地物について、車両5-1に搭載されたセンサ等で取得した当該地物の属性と地図データで定義された当該地物の属性とに差違がある場合、その地物の属性に差違があることを示す属性差違情報が付加された要因情報を送信してもよい。例えば、属性差違情報が、差違がある属性に関する情報を含む場合、属性差違情報に基づいて、詳細情報として如何なる種類の情報が必要であるかが分かるので、サーバ装置10は、必要な情報を送信可能な車両5-3に対して、詳細要求を送信することができる。
【0072】
また、自動運転状況情報のデータ構造において、自動運転状況情報が、車両5-1が移動する位置を示す位置情報、及びその位置において自動運転が可能であったか否かを示す自動運転可不可情報を含み、自動運転可不可情報は、位置情報に示される位置において自動運転が不可能な要因を示す不可能要因情報の送信が可能な車両5-2に対する、不可能要因要求の送信の制御に、サーバ装置10により用いられる場合、車両5-1が自動運転が不可能であった場所と同じ場所を移動する車両5-2に対して不可能要因要求を送信することが可能となり、地図データの更新の判定には不要な不可能要因要求の送信が抑止されるので、通信負荷を抑制しながら、地図データの更新のために、車両5の周辺の情報を効率的にサーバ装置10が取得可能となる。
【0073】
また、不可能要因情報のデータ構造において、不可能要因情報が、(i)自動運転が不可能である理由を示す理由情報、及び(ii)車両5-2に搭載されるセンサにより取得された車両5-2の周辺の状態と、車両5-2が自動運転に用いる地図データが示す状態と、の間で差違が存在する位置を示す位置情報を含み、理由情報が、位置情報により示される位置の状態を示す詳細情報を送信が可能な車両5-3に対する、詳細要求の送信の制御に、サーバ装置10により用いられる場合、自動運転が不可能である理由である理由が地図要因である場合に、車両5-2が移動した場所と同じ場所を移動する車両5-3に対して詳細要求を送信することが可能となり、地図データの更新には不要な詳細情報の送信が抑止されるので、通信負荷を抑制しながら、地図データの更新のために、車両5の周辺の情報を効率的にサーバ装置10が取得可能となる。
【0074】
[変形例]
サーバ装置10は、車両5-1から、自動運転が不可能であったことを示す自動運転状況情報を受信した場合、詳細要求を車両5-3へ送信してもよい。この場合も通信負荷を抑制しながら、地図データの更新のために、車両5の周辺の情報を効率的にサーバ装置10が取得可能となる。この場合、サーバ装置10は、不可能要因要求を送信しなくてもよい。
【0075】
車両5-1に搭載された端末装置20-1は、サーバ装置10から自動運転状況要求を受信したときに、自動運転が不可能な状況であると判定した場合は、自動運転が不可能な状況であることを示す自動運転状況情報と、その自動運転が不可能な要因を示す不可能要因情報とを同時にサーバ装置10へ送信してもよい。自動運転状況情報及び不可能要因情報を受信したサーバ装置10は、不可能要因情報が、自動運転が不可能な要因が地図要因であることを示す場合にのみ、詳細要求を車両5-3へ送信する。この場合、サーバ装置10は、不可能要因要求を送信しなくてもよい。
【0076】
複数の車両5の中には、自動運転状況情報、不可能要因情報、及び詳細情報のうち、何れか1種類又は2種類の情報のみを送信可能な車両5が存在してもよい。詳細情報のみ送信可能な車両5が存在する場合、この車両5は周辺センサ31を備えていればよく、この車両5は自動運転が不可能な車両であってもよい。サーバ装置10の記憶部12には、例えば各車両5が送信可能な情報の種類を示す情報が記憶されてもよい。サーバ装置10は、必要とする種類の情報を送信可能な車両5へその情報の要求を送信する。
【符号の説明】
【0077】
1 サーバ装置
1a 状況受信部
1b 要求部
10 サーバ装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
20 端末装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 インターフェース部
31 周辺センサ
図1
図2
図3
図4
図5