(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040288
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】蓄電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20230314BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20230314BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20230314BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20230314BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/213
H01M50/271 B
H01M50/296
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006646
(22)【出願日】2023-01-19
(62)【分割の表示】P 2021507236の分割
【原出願日】2020-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2019050015
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】遠矢 正一
(72)【発明者】
【氏名】石本 一男
(72)【発明者】
【氏名】向 泰輝
(57)【要約】
【課題】複数の電池を俵積み状に配置させる場合に、隣接する他の電池数を増加させる技術を提供する。
【解決手段】蓄電池モジュール1000は、円柱状の複数の蓄電池セル210と、複数の蓄電池セル210を収納する内側ケースと、内側ケースを収納する外側ケースとを備える。内側ケースは、蓄電池セル210を第1方向に沿ってm(mは4以上の整数)段に重ね、1段あたり最大n個(nは4以上の整数)の蓄電池セル210を配置させる支持体を含み、支持体は、第1方向の1段目およびm段目においてn個より少ない蓄電池セル210を並べるように形成され、外側ケースは、第1方向のm段目側に設けられる側面と第2方向の一端に設けられる上面とを含み、側面と上面とを接続する凹面を有し、凹面は第1方向のm段目側に設けられる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の複数の蓄電池セルと、
前記複数の蓄電池セルを収納する内側ケースと、
前記内側ケースを収納する外側ケースと、
を備え、
前記内側ケースは、前記蓄電池セルを第1方向に沿ってm(mは4以上の整数)段に重ね、1段あたり最大n個(nは4以上の整数)の前記蓄電池セルを配置させる支持体を含み、
前記支持体は、前記第1方向の1段目およびm段目において前記n個より少ない蓄電池セルを並べるように形成され、
前記外側ケースは、前記第1方向のm段目側に設けられる側面と第2方向の一端に設けられる上面とを含み、前記側面と前記上面とを接続する凹面を有し、
前記凹面は前記第1方向の前記m段目側に設けられる、
蓄電池モジュール。
【請求項2】
前記m段目に並べられる前記蓄電池セルの数は前記1段目に並べられる前記蓄電池セルの数よりも少ない、請求項1に記載の蓄電池モジュール。
【請求項3】
前記第1方向の前記m段目側に前記複数の蓄電池セルに電力の入出力を実行する端子が設けられる、請求項1または2に記載の蓄電池モジュール。
【請求項4】
前記複数の蓄電池セルは互いに隣接するように配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の蓄電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電池モジュールに関し、特に複数の蓄電池セルを収納する蓄電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の円筒形素電池を互いに接触した状態で俵積み状に配置した場合、素電池間の外周面同士の間の隙間を最小限にすることができ、電池パックの高エネルギー密度化を図ることができる。しかしながら、素電池群の外周部の角部に位置する素電池は、角部以外に位置する他の素電池に比べて隣接する素電池数が少なくなる。そのため、角部に位置する素電池が異常発熱した場合、当該素電池からの伝熱経路が比較的少ないため、隣接する素電池も異常な高温になる。これに対応するために、素電池群の周囲に沿って延伸して素電池群を取り囲む金属枠が設けられ、素電池の軸方向端面側から見て略矩形状をなす素電池群の角部に位置する素電池を金属枠に接触させている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電池を俵積み状に配置させる場合に、隣接する電池数を増加させることが望まれる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、複数の電池を俵積み状に配置させる場合に、隣接する他の電池数を増加させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の蓄電池モジュールは、円柱状の複数の蓄電池セルと、複数の蓄電池セルを収納する内側ケースと、内側ケースを収納する外側ケースと、を備える。内側ケースは、蓄電池セルを第1方向に沿ってm(mは4以上の整数)段に重ね、1段あたり最大n個(nは4以上の整数)の蓄電池セルを配置させる支持体を含む。支持体は、第1方向の1段目およびm段目においてn個より少ない蓄電池セルを並べるように形成され、外側ケースは、第1方向のm段目側に設けられる側面と第2方向の一端に設けられる上面とを含み、側面と上面とを接続する凹面を有する。凹面は第1方向のm段目側に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、複数の電池を俵積み状に配置させる場合に、隣接する電池数を増加できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1(a)-(d)は、本実施例に係る蓄電池モジュールの構造を示す斜視図である。
【
図2】
図1(a)-(d)の蓄電池モジュールの構造を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3(a)-(b)は、
図1(a)-(d)の蓄電池モジュールにおける蓄電池セルの配置を示す図である。
【
図4】
図4(a)-(f)は、蓄電池セルの配置を示す図である。
【
図5】
図5(a)-(b)は、蓄電池セルの温度変化を示す図である。
【
図6】
図6(a)-(c)は、変形例に係る蓄電池モジュールの構造を示す斜視図である。
【
図7】
図6(a)の蓄電池モジュールの構造を示す断面図である。
【
図8】
図8(a)-(c)は、変形例に係る蓄電池モジュールの構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施例を具体的に説明する前に、実施例の概要を説明する。本実施例は、複数の蓄電池セルが収納される蓄電池モジュールに関する。各蓄電池セルがリチウムイオン二次電池である場合、内部短絡等が発生すると蓄電池セル内にガスが発生する。また、ガスの発生により、蓄電池セル内の圧力が増加するが、安全機構によりガスが正極側から蓄電池セル外に放出される。このようなガスは高温高圧であり、ガスによる燃焼が生じると、蓄電池モジュール内の他の蓄電池セルも熱暴走(類焼)する。この類焼により、蓄電池モジュール全体、または製品全体が燃えてしまうおそれがある。ガスによる類焼を抑制するために、例えば、蓄電池モジュールに排気口を設け、ガスを排気口から蓄電池モジュールの外部に放出することが有効である。しかしながら、蓄電池モジュールが小型化される場合、各蓄電池セルと排気口との距離が短くなる。その結果、高温高圧のガスがそのまま排気口から放出されることになり、外部においても危険な状態が生じる。
【0010】
本実施例に係る蓄電池モジュールは、複数の蓄電池セルを内側ケースに収納し、内側ケースを外側ケースに収納する。内側ケースには内側排気口が設けられ、外側ケースには外側排気口が設けられる。また、内側ケースと外側ケースとの間には、高温高圧ガスが循環するような排気経路が設けられる。このような構造により、蓄電池セルから噴出された高温高圧ガスは、内側ケース内を移動して内側排気口から内側ケース外に放出される。また、内側ケース外に放出された高温高圧ガスは、排気経路を通って外側排気口から外側ケース外に放出される。その結果、蓄電池モジュール内において高温高圧ガスが通る経路が長くなるとともに、外側ケースおよび内側ケースと、高温高圧ガスとの接触面積が大きくなる。これにより、蓄電池モジュール内において高温高圧ガスが冷却される。
【0011】
このような蓄電池モジュールにおいて、蓄電池セル間の外周面同士の間の隙間を最小限にするために、複数の蓄電池セルは俵積み状に配置される。俵積み状に配置された複数の蓄電池セルのうち、角部に配置される蓄電池セルは、2つの他の蓄電池セルだけに隣接する。隣接する他の蓄電池セルの数が少なくなると、角部に配置される蓄電池セルが異常発熱した場合に、当該蓄電池セルからの伝熱経路が少ないので、隣接する他の蓄電池セルも高温になる。そのため、俵積み状に配置された複数の蓄電池セルのうち、角部に配置される蓄電池セルに隣接する他の蓄電池の数を増加させることが望まれる。以下の説明において、「平行」、「垂直」は、完全な平行、垂直だけではなく、誤差の範囲で平行、垂直からずれている場合も含む。また、「略」は、おおよその範囲で同一であるという意味である。
【0012】
図1(a)-(d)は、蓄電池モジュール1000の構造を示す斜視図である。
図1(a)-(d)に示すように、x軸、y軸、z軸を含む直交座標系が規定される。x軸、y軸は、蓄電池モジュール1000の底面内において互いに直交する。z軸は、x軸およびy軸に垂直であり、蓄電池モジュール1000の高さ(垂直)方向に延びる。また、x軸、y軸、z軸のそれぞれの正の方向は、
図1(a)-(d)における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。また、x軸の正方向側を「前側」あるいは「正面側」、x軸の負方向側を「後側」あるいは「背面側」、z軸の正方向側を「上側」あるいは「天面側」、z軸の負方向側を「下側」あるいは「底面側」ということもある。さらに、y軸方向の正方向側を「右側」、y軸の負方向側を「左側」ということもある。
【0013】
図1(a)は、蓄電池モジュール1000の外観を示す。蓄電池モジュール1000は、外側ケース100、上側ケース400、下側ケース500を含む。ここで、外側ケース100と同様に上側ケース400、下側ケース500も外部に露出しているので、これらも外側ケース100に含まれてもよい。外側ケース100、上側ケース400、下側ケース500の組合せは、上下方向に長い箱形状を有する。外側ケース100は、第1外側板110a、第2外側板110b、第3外側板110c、第4外側板110d(図示せず)と総称される外側板110を含み、箱形状の側面に位置する。各外側板110は矩形の板形状を有し、例えば、金属により形成される。
【0014】
上側ケース400は、外側ケース100の上側に接続され、外側ケース100の蓋部に相当する。上側ケース400には、上側に突出したアーチ形状の取っ手410が設けられる。上側ケース400は、例えば、樹脂、金属により形成される。下側ケース500は、外側ケース100の下側に接続され、外側ケース100の底部に相当する。下側ケース500は、外側ケース100からさらに下側に突出した形状を有する。下側ケース500は、例えば、樹脂により形成される。
【0015】
図1(b)は、
図1(a)から外側ケース100を外した構造を示す。外側ケース100の内側には、前側ケース240、後側ケース250とが配置される。前側ケース240は、前側ケース前面242、前側ケース側面244を含む。前側ケース前面242は、x-y平面上に広がる矩形の板形状を有し、前側ケース側面244は、z-x平面状に広がる矩形の板形状を有する。また、前側ケース側面244は、前側ケース前面242の右側端から後側に延びるように配置される。後側ケース250は、後側ケース後面252、後側ケース側面254を含む。後側ケース後面252は、x-y平面上に広がる矩形の板形状を有し、後側ケース側面254は、z-x平面状に広がる矩形の板形状を有する。また、後側ケース側面254は、後側ケース後面252の右側端から前側に延びるように配置される。
【0016】
ここで、前側ケース側面244の後側端と、後側ケース側面254の前側端とが接するように、前側ケース側面244と後側ケース側面254とが接続される。その結果、前側ケース側面244と後側ケース側面254とにより1つの面が形成され、その面は第2面272と呼ばれる。第2面272に対応して、前側ケース前面242は第1面270と呼ばれ、後側ケース後面252は第3面274と呼ばれる。ここで、第1面270は、外側ケース100の第1外側板110aに対向する。第2面272は、外側ケース100の第2外側板110bに対向しながら、第1面270に隣接する。また、第3面274は、外側ケース100の第3外側板110cに対向し、かつ第2面272に隣接し、かつ第1面270とは反対を向く。つまり、前側ケース240と後側ケース250の組合せは、3つの矩形状の面を有する。前側ケース240と後側ケース250は、例えば、金属により形成される。前側ケース240と後側ケース250における構造の詳細は後述する。
【0017】
図1(c)は、
図1(b)から前側ケース240、後側ケース250を外した構造を示す。前側ケース240と後側ケース250の内側には、電池ホルダ230が配置される。電池ホルダ230は、上下方向に長い箱形状を有する。電池ホルダ230は、絶縁性を有する材料、例えば樹脂により形成される。
図1(d)は、
図1(c)における電池ホルダ230を除いた構造を示す。電池ホルダ230の内部には蓄電池集合体200が配置されるので、電池ホルダ230は支持体であるともいえる。蓄電池集合体200は、複数の蓄電池セル210を含む。
【0018】
図2は、蓄電池モジュール1000の構造を示す分解斜視図である。蓄電池モジュール1000は、外側ケース100、電池ホルダ230、前側ケース240、後側ケース250、上側ケース400、下側ケース500、上側パッキン600、下側パッキン610を含む。これらの各構成要素は、ネジ、溶接、接着材等で接続されているが、公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0019】
電池ホルダ230は、前述のごとく、上下方向に長い箱形状を有し、蓄電池集合体200を収納する。各蓄電池集合体200には、複数の蓄電池セル210が含まれる。蓄電池セル210は、例えば、円柱形あるいは円筒形のリチウムイオン二次電池である。蓄電池セル210における円柱形の両端には、互いに反対を向いた正極212と負極214とが配置される。蓄電池セル210には公知の技術が使用されればよく、内部短絡等の発生により内部の圧力が上昇した場合、高温高圧ガスを外部に放出する安全機構が備えられる。一般的に、高温高圧ガスは正極212側から放出される。複数の蓄電池セル210の一部は、正極212を前側に向けて配置され、複数の蓄電池セル210の残りは、負極214を前側に向けて配置される。前者は、正極212を第1面270に向けて配置されることに相当し、後者は、負極214を第1面270に向けて配置されることに相当する。例えば、前者のように配置される蓄電池セル210の数と、後者のように配置される蓄電池セル210の数は同一である。
【0020】
電池ホルダ230の前側の面と右側の面の一部は、前側ケース240によって覆われ、電池ホルダ230の後側の面と右側の面の残りは、後側ケース250によって覆われる。ここで、電池ホルダ230、前側ケース240、後側ケース250との組合せが、内側ケース220であり、内側ケース220は、複数の蓄電池セル210を内部に収納する。
【0021】
前側ケース240における第1面270の左側の縁部には、上下方向に延びる左側壁280が設けられる。左側壁280は、外側ケース100の第1外側板110aに接するように前側に突出する。前側ケース240における第1面270の右側の縁部には、上下方向に延びる右側壁282が設けられる。右側壁282も、外側ケース100の第1外側板110aに接するように前側に突出する。ここで、左側壁280は、第1面270の上下方向の略全部にわたって延びるが、右側壁282は、左側壁280よりも短い長さで延び、右側壁282の上側には通過溝284が設けられる。通過溝284によって、第1面270と第2面272が連続的につながる。第1面270の左側壁280と右側壁282とに挟まれた領域の下側には、左右方向に延びる第1内側排気口260aが設けられる。第1内側排気口260aは、第1面270を貫通する。
【0022】
一方、後側ケース250における第3面274は、第1面270と同様の構造を有する。そのため、第1面270における通過溝284と同様に、第3面274には通過溝294が設けられ、通過溝294によって、第3面274と第2面272が連続的につながる。第1面270における第1内側排気口260aと対応するように、第3面274の下側の部分には、左右方向に延びる第2内側排気口260bが設けられる。第2内側排気口260bは、第3面274を貫通する。
【0023】
さらに、
図1(b)にも示されるように、第2面272の下側の部分には、左右方向に延びる中間排気口264が設けられる。中間排気口264は、下側ケース500の内側に設けられた拡大空間510につながるように開口する。拡大空間510は、上側が開口された空間である。拡大空間510の開口は、中間排気口264につながる部分以外において、電池ホルダ230、前側ケース240、後側ケース250によってふさがれる。また、拡大空間510は、下側ケース500に設けられる外側排気口(図示せず)につながる。下側ケース500は、下側パッキン610を挟んで外側ケース100に接続され、外側ケース100は、上側パッキン600を挟んで上側ケース400に接続される。このように、外側ケース100は、電池ホルダ230、前側ケース240、後側ケース250を収納する。
【0024】
このような構造の蓄電池モジュール1000において、いずれかの蓄電池セル210が熱暴走した場合、当該蓄電池セル210は、高温高圧ガスを正極212から噴出する。高温高圧ガスは、第1面270あるいは第3面274に接しながら第1内側排気口260aあるいは第2内側排気口260bに向かう。高温高圧ガスは、第1内側排気口260aから、第1面270と第1外側板110aとの間の空間に放出され、第1面270と第1外側板110aとに接しながら、通過溝284に向かう。あるいは高温高圧ガスは、第2内側排気口260bから、第3面274と第3外側板110cとの間の空間に放出され、第3面274と第3外側板110cとに接しながら、通過溝294に向かう。
【0025】
高温高圧ガスは、通過溝284あるいは通過溝294から第2面272に移動する。高温高圧ガスは、第2面272と第2外側板110bとに接しながら、中間排気口264に向かって進む。高温高圧ガスは、中間排気口264から拡大空間510に放出される。拡大空間510は、これまでの経路よりも広い空間である。拡大空間510に進入することによって、高温高圧ガスの圧力が低減され、高温高圧ガスの温度が低減される。また、下側ケース500の下側の部分には、拡大空間510に接続された外側排気口(図示せず)が設けられる。外側排気口は、下側ケース500を貫通する。拡大空間510の高温高圧ガスは、外側排気口から外部に放出される。
【0026】
図3(a)-(b)は、蓄電池モジュール1000における蓄電池セル210の配置を示す。
図3(a)は、
図1(d)に示された複数の蓄電池セル210においてz軸方向の蓄電池セル210の数を変更した構造に相当する。y軸方向に沿って「1」段目から「4」段目が順に定義される。1段目には、第11蓄電池セル210aaから第14蓄電池セル210adがz軸方向に沿って配置され、2段目には第21蓄電池セル210baから第25蓄電池セル210beがz軸方向に沿って配置される。3段目には第31蓄電池セル210caから第34蓄電池セル210cdがz軸方向に沿って配置され、4段目には第41蓄電池セル210daから第43蓄電池セル210dcがz軸方向に沿って配置される。
【0027】
これをまとめると、1段目に4個の蓄電池セル210が並べられ、2段目に5個の蓄電池セル210が並べられ、3段目に4個の蓄電池セル210が並べられ、4段目に3個の蓄電池セル210が並べられる。また、1段目の4個の蓄電池セル210は、2段目の5個の蓄電池セル210に対して、z軸方向の内側に配置される。さらに、4段目の3個の蓄電池セル210は、3段目の4個の蓄電池セル210に対して、z軸方向の内側に配置される。また、各蓄電池セル210には、隣接する蓄電池セル210の数が示される。図示のごとく、隣接する蓄電池セル210の数は「3」以上である。
【0028】
一方、第25蓄電池セル210beを第41蓄電池セル210daの左側に移動させると、1段につき4個の蓄電池セル210が並べられながら、4段に積まれた通常の俵積み構造が形成される。第25蓄電池セル210beから移動された蓄電池セル210は点線で示されるが、この蓄電池セル210において、隣接する蓄電池セル210の数は「2」になる。つまり、通常の俵積み構造を
図3(a)のような俵積み構造にすることによって、隣接する蓄電池セル210の数が増加する。
【0029】
図3(b)は、
図3(a)に対して「5」段に増加した蓄電池セル210の配置を示す。1段目には、第11蓄電池セル210aaから第14蓄電池セル210adがz軸方向に沿って配置され、2段目には第21蓄電池セル210baから第25蓄電池セル210beがz軸方向に沿って配置される。3段目には第31蓄電池セル210caから第34蓄電池セル210cdがz軸方向に沿って配置され、4段目には第41蓄電池セル210daから第44蓄電池セル210ddがz軸方向に沿って配置される。5段目には第51蓄電池セル210eaから第53蓄電池セル210ecがz軸方向に沿って配置される。
【0030】
これをまとめると、1段目に4個の蓄電池セル210が並べられ、2段目に5個の蓄電池セル210が並べられ、3段目と4段目に4個の蓄電池セル210が並べられ、5段目に3個の蓄電池セル210が並べられる。また、1段目の4個の蓄電池セル210は、2段目の5個の蓄電池セル210に対して、z軸方向の内側に配置される。さらに、5段目の3個の蓄電池セル210は、4段目の4個の蓄電池セル210に対して、z軸方向の内側に配置される。各蓄電池セル210には、隣接する蓄電池セル210の数が示される。ここでも図示のごとく、隣接する蓄電池セル210の数は「3」以上である。
【0031】
一方、第25蓄電池セル210beを第41蓄電池セル210daの左側に移動させ、第44蓄電池セル210ddを第51蓄電池セル210eaの左側に移動させると、1段につき4個の蓄電池セル210が並べられながら、5段に積まれた通常の俵積み構造が形成される。第25蓄電池セル210beから移動された蓄電池セル210と、第44蓄電池セル210ddから移動された蓄電池セル210は点線で示されるが、これらの蓄電池セル210において、隣接する蓄電池セル210の数は「2」になる。つまり、通常の俵積み構造を
図3(b)のような俵積み構造にすることによって、隣接する蓄電池セル210の数が増加する。
【0032】
ここで、y軸に沿った第1方向と、z軸に沿った第2方向とを定義して、
図3(a)-(b)の構造を一般化すると、次のように示される。m(mは4以上の整数)段に重ねられる俵積み構造にm×n(nは4以上の整数)個の蓄電池セル210が並べられる。1段目にn個の蓄電池セル210が並べられ、2段目にn+1個の蓄電池セル210が並べられ、m-1段目にn個の蓄電池セル210が並べられ、m段目にn-1個の蓄電池セル210が並べられる。1段目のn個の蓄電池セル210は、2段目のn+1個の蓄電池セル210に対して、第2方向の内側に配置される。m段目のn―1個の蓄電池セル210は、m-1段目のn個の蓄電池セル210に対して、第2方向の内側に配置される。また、mが5以上の整数である場合、3段目からm-2段目には、n個の蓄電池セル210が並べられる。
【0033】
図4(a)-(f)は、蓄電池セル210の配置を示す。ここでは、
図3(a)-(b)に対して俵積み構造の段数を変更した構造を示す。
図4(a)-(b)は、
図3(a)-(b)と同一であり、
図4(a)は4段(m=4)の場合を示し、
図4(b)は5段(m=5)の場合を示す。また、
図4(c)は6段(m=6)の場合を示し、
図4(d)は7段(m=7)の場合を示し、
図4(c)は8段(m=8)の場合を示し、
図4(c)は9段(m=9)の場合を示す。
【0034】
図5(a)-(b)は、蓄電池セル210の温度変化を示す。
図5(a)は、通常の俵積み構造の1つの蓄電池セル210において熱暴走が生じた場合の熱暴走蓄電池セル700温度と隣接蓄電池セル710の温度との時間変化を示す。熱暴走蓄電池セル700の温度は、熱暴走が発生すると急激に増加する。熱暴走蓄電池セル700の熱が隣接蓄電池セル710に伝わると、熱暴走蓄電池セル700の温度は低下するが、隣接蓄電池セル710の温度が増加する。隣接蓄電池セル710の数が少なければ、時間の経過とともに隣接蓄電池セル710において類焼が発生する。
【0035】
図5(b)は、
図3(a)-(b)、
図4(a)-(f)の俵積み構造の1つの蓄電池セル210において熱暴走が生じた場合の熱暴走蓄電池セル700温度と隣接蓄電池セル710の温度との時間変化を示す。熱暴走蓄電池セル700の温度は、熱暴走が発生すると急激に増加する。熱暴走蓄電池セル700の熱が隣接蓄電池セル710に伝わると、熱暴走蓄電池セル700の温度は低下する。隣接蓄電池セル710の数が多ければ、時間が経過しても隣接蓄電池セル710において類焼が発生しない。
【0036】
外側ケース100の形状は、これまでの実施例に限定されない。以下では、外側ケース100の別の形状を説明する。
図6(a)-(c)は、変形例に係る蓄電池モジュール1000の構造を示す斜視図である。蓄電池モジュール1000は、第1外側ケース100a、第2外側ケース100bと総称される外側ケース100を含む。第1外側ケース100aは左側に配置され、第2外側ケース100bは右側に配置される。第1外側ケース100aと第2外側ケース100bとは組み合わされることによって、外側ケース100は上下方向に長い箱形状を有する。第2外側ケース100の上側の面と右側の面とを貫通するように貫通孔800が形成される。貫通孔800には棒形状の取っ手810が配置される。第1外側ケース100aと第2外側ケース100bは例えば樹脂により形成される。
【0037】
図6(b)は、
図6(a)から第2外側ケース100bを外した構造を示す。第1外側ケース100aと第2外側ケース100bの内側には、前側ケース240と後側ケース250とが配置される。前側ケース240と後側ケース250は、
図1(b)の同様の構造を有し、金属により形成される。
図6(c)は、
図6(b)から前側ケース240、後側ケース250を外した構造を示す。前側ケース240と後側ケース250の内側には、電池ホルダ230が配置される。電池ホルダ230は、
図1(c)と同様の構造を有し、絶縁性を有する材料、例えば樹脂により形成される。また、電池ホルダ230の内部には、
図1(d)と同様に蓄電池集合体200が配置される。
【0038】
図7は、蓄電池モジュール1000の構造を示す断面図であり、これは、
図6(a)のA-A’断面図である。
図6(a)-(b)において説明したとおり、第1外側ケース100aと第2外側ケース100bとの内側に後側ケース250が配置され、後側ケース250の内側に電池ホルダ230が配置され、電池ホルダ230の内側に4段に重ねられた俵積み構造の蓄電池セル210が配置される。俵積み構造の段数は「4」に限定されない。複数の蓄電池セル210の配置は、
図3(a)と同様であり、上側の端には、第14蓄電池セル210ad、第25蓄電池セル210be、第34蓄電池セル210cd、第43蓄電池セル210dcが配置される。上側の端は、第2方向の片側端といえる。第25蓄電池セル210be、第34蓄電池セル210cd、第43蓄電池セル210dcは、y軸の正方向に進むにつれて下側に傾くので、空間が形成される。空間に貫通孔800が配置されるとともに取っ手810も配置される。貫通孔800内の取っ手810の角は、円弧面であるR部830が配置される。R部830により取っ手810が持ちやすくなる。
【0039】
また、貫通孔800にはハンドル部品820が配置される。ハンドル部品820は、貫通孔800の内壁と、取っ手810の貫通孔800側の壁とを含む枠形形状を有する。ハンドル部品820は金属により形成される。ハンドル部品820が配置されることにより取っ手810の剛性が向上する。一方、下側における複数の蓄電池セル210の配置は、y軸の正方向に進むにつれて上側に傾くので、複数の蓄電池セル210と第2外側ケース100bとの間に下側空間840が形成される。下側空間840には、複数の蓄電池セル210に対する電力の入出力を実行するための端子850が配置される。
【0040】
図8(a)-(c)は、蓄電池モジュール1000の構造を示す斜視図である。
図8(a)は、
図6(a)の蓄電池モジュール1000を別の方向から見た斜視図である。
図8(b)は
図8(a)から第2外側ケース100bを外した構造を示す。ハンドル部品820は、高さ方向に延びる枠形形状を有する。
図8(c)は
図7に対応する斜視図である。
【0041】
本実施例によれば、1段目のn個の蓄電池セル210を、2段目のn+1個の蓄電池セル210に対して内側に配置させ、m段目のn―1個の蓄電池セル210を、m-1段目のn個の蓄電池セル210に対して内側に配置させるので、隣接する蓄電池セル210の数を増加できる。また、mが5以上の整数である場合、3段目からm-2段目には、n個の蓄電池セル210が並べられるので、段数を増加できる。
【0042】
また、蓄電池セル210から噴出した高温高圧ガスが、蓄電池モジュール1000の内部を迂回しながら外側排気口から放出されるので、蓄電池モジュール1000内において高温高圧ガスが通る経路を長くできる。また、蓄電池モジュール1000内において高温高圧ガスが通る経路を長くなるので、高温高圧ガスを冷却できる。また、高温高圧ガスが冷却されるので、熱暴走した蓄電池セル210から噴出される高温高圧ガスの外部への放出を抑制できる。また、内側ケース220における第1面270上と第2面272上には、高温高圧ガスの経路が形成されるので、経路とを効率的に配置できる。また、経路が効率的に配置されるので、蓄電池モジュール1000を小型化できる。
【0043】
また、高温高圧ガスは、第2面272と外側排気口との間に配置される拡大空間510を経由するので、高温高圧ガスの圧力を低減できる。また、高温高圧ガスの圧力が低減されるので、高温高圧ガスを冷却できる。また、正極212を第1面270側に向けた蓄電池セル210と、正極212を第3面274側に向けた蓄電池セル210とを配置できる。また、第1面270から第3面274とは別の面に第4面276を配置させるので、第4面276において高温高圧ガスの影響を低減できる。また、外側ケース100は、m段に重ねられた蓄電池セル210の俵積み構造のうち、第2方向の片側端に配置される取っ手810を備えるので、取っ手810が含まれる外側ケース100を小型化できる。また、取っ手810にはR部830が含まれるので、取っ手810を持ちやすくできる。また、取っ手810にはハンドル部品820が含まれるので、取っ手810の剛性を向上できる。また、外側ケース100は、m段に重ねられた蓄電池セル210の俵積み構造のうち、第2方向の片側端に配置される端子850を備えるので、端子850が含まれる外側ケース100を小型化できる。
【0044】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の支持体は、第1方向に沿ってm(mは4以上の整数)段に重ねられる俵積み構造にm×n(nは4以上の整数)個の円筒形の蓄電池セル(210)を配置させる支持体であって、第1方向に交差する第2方向に沿って、1段目にn個の蓄電池セル(210)を並べ、2段目にn+1個の蓄電池セル(210)を並べ、m-1段目にn個の蓄電池セル(210)を並べ、m段目にn-1個の蓄電池セル(210)を並べ、1段目のn個の蓄電池セル(210)を、2段目のn+1個の蓄電池セル(210)に対して、第2方向の内側に配置させ、m段目のn―1個の蓄電池セル(210)を、m-1段目のn個の蓄電池セル(210)に対して、第2方向の内側に配置させる。
【0045】
mが5以上の整数である場合、3段目からm-2段目には、n個の蓄電池セル(210)が並べられる。
【0046】
本開示の別の態様は、蓄電池モジュール(1000)である。この蓄電池モジュール(1000)は、複数の蓄電池セル(210)と、複数の蓄電池セル(210)を収納する内側ケース(220)と、内側ケース(220)を収納する外側ケース(100)とを備える。複数の蓄電池セル(210)のそれぞれは円筒形を有する。内側ケース(220)は、第1方向に沿ってm(mは4以上の整数)段に重ねられる俵積み構造にm×n(nは4以上の整数)個の蓄電池セル(210)を配置させる支持体を含む。支持体は、第1方向に交差する第2方向に沿って、1段目にn個の蓄電池セル(210)を並べ、2段目にn+1個の蓄電池セル(210)を並べ、m-1段目にn個の蓄電池セル(210)を並べ、m段目にn-1個の蓄電池セル(210)を並べ、1段目のn個の蓄電池セル(210)を、2段目のn+1個の蓄電池セル(210)に対して、第2方向の内側に配置させ、m段目のn―1個の蓄電池セル(210)を、m-1段目のn個の蓄電池セル(210)に対して、第2方向の内側に配置させる。
【0047】
外側ケース(100)は、m段に重ねられた蓄電池セル(210)の俵積み構造のうち、第2方向の片側端に配置される取っ手(810)をさらに備えてもよい。
【0048】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0049】
本実施例において、複数の蓄電池セル210は、2種類の方向を向いて並べられる。しかしながらこれに限らず例えば、複数の蓄電池セル210は、同一方向を向いて並べられてもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【0050】
本実施例において、蓄電池セル210が使用される。しかしながらこれに限らず例えば、蓄電池セル210以外の電池であってもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【0051】
本実施例において、電池ホルダ230、前側ケース240、後側ケース250とが組み合わされることによって、内側ケース220が形成される。しかしながらこれに限らず例えば、前側ケース240と後側ケース250の少なくとも1つと、電池ホルダ230とが組み合わされることによって内側ケース220が形成されてもよい。その際、電池ホルダ230を含む構成が支持体に相当する。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本開示によれば、複数の電池を俵積み状に配置させる場合に、隣接する電池数を増加できる。
【符号の説明】
【0053】
100 外側ケース、 110 外側板、 200 蓄電池集合体、 210 蓄電池セル(電池)、 212 正極、 214 負極、 220 内側ケース、 230 電池ホルダ(支持体)、 240 前側ケース、 242 前側ケース前面、 244 前側ケース側面、 250 後側ケース、 252 後側ケース後面、 254 後側ケース側面、 260 内側排気口、 264 中間排気口、 270 第1面、 272 第2面、 274 第3面、 276 第4面、 280 左側壁、 282 右側壁、 284,294 通過溝、 400 上側ケース、 410 取っ手、 500 下側ケース、 510 拡大空間、 600 上側パッキン、 610 下側パッキン、 700 熱暴走蓄電池セル、 710 隣接蓄電池セル、 1000 蓄電池モジュール。