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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040295
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】歩行車
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/04 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
A61H3/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007144
(22)【出願日】2023-01-20
(62)【分割の表示】P 2019036319の分割
【原出願日】2019-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】598087841
【氏名又は名称】株式会社幸和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】嶋崎 章
(72)【発明者】
【氏名】峯垣 淳平
(72)【発明者】
【氏名】橋本 京子
(57)【要約】
【課題】ユーザをより安定的に支えることが可能な歩行車を提供する。
【解決手段】自在輪である一対の前輪101L,101Rと、固定輪である一対の中央輪102L,102Rと、自在輪である一対の後輪103L,103Rと、利用者の胴体を支持するための胴体支持部131L,131Rとを有する六輪の歩行車100が提供される。後輪103L,103Rのそれぞれは、中央輪102L,102Rのそれぞれに連結される補助輪として、中央輪102L,102Rに対して上下方向に変位可能に構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自在輪である一対の前輪と、
固定輪である一対の中央輪と、
自在輪である一対の後輪と、
利用者の胴体を支持するための胴体支持部とを有する六輪の歩行車であって、
前記中央輪を駆動するためのモーターと、
前記中央輪の回動を止めるための電磁ロック機構とをさらに備え、
前記胴体支持部に対する負荷が大きくなると前記電磁ロック機構が有効となる、歩行車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自力での歩行が困難なユーザの歩行を補助するための歩行車に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、病人、身体障害者、あるいは高齢者などの、足腰が弱く自力での歩行が困難なユーザの歩行を補助するための歩行車が知られている。たとえば、特開平9-285495号公報(特許文献1)には、起立歩行動作補助装置が開示されている。特許文献1によると、装置の歩行動作補助部を6輪構成とし、電動の移動動作制動部を設けて中間輪をロックできる構成とし、起立・着座指示スイッチの作動と、移動動作制動部の作動が連動する構成とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-285495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ユーザをより安定的に支えることが可能な歩行車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある局面に従うと、自在輪である一対の前輪と、固定輪である一対の中央輪と、自在輪である一対の後輪と、利用者の胴体を支持するための胴体支持部とを有する六輪の歩行車が提供される。後輪のそれぞれは、中央輪のそれぞれに連結される補助輪として、中央輪に対して上下方向に変位可能に構成される。
【0006】
好ましくは、歩行車は、利用者の腕を支持するためのアームレスト部をさらに備える。胴体支持部は、フレームと、フレームをアームレスト部よりも高い位置に指示する支持部とを含む。側面視において、支持部とフレームの連結箇所の中心が、中央輪の軸心よりも後方に位置する。
【0007】
好ましくは、歩行車は、中央輪を駆動するためのモータと、中央輪の回動を止めるための電磁ロック機構とをさらに備える。
【0008】
好ましくは、胴体支持部に対する負荷が大きくなると電磁ロック機構が有効になる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、ユーザをより安定的に支えることが可能な歩行車が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態にかかる歩行車100の全体構成を示す前方上方斜視図である。
図2】第1の実施の形態にかかる歩行車100の全体構成を示す前方上方斜視図である。
図3】第1の実施の形態にかかる歩行車100の全体構成を示す後方上方斜視図である。
図4】第1の実施の形態にかかる歩行車100の全体構成を示す正面図である。
図5】第1の実施の形態にかかる歩行車100の全体構成を示す背面図である。
図6】第1の実施の形態にかかる歩行車100の全体構成を示す左側面図である。
図7】第1の実施の形態にかかる歩行車100の全体構成を示すA-A断面図である。
図8】第1の実施の形態にかかる歩行車100の全体構成を示す平面図である。
図9】第1の実施の形態にかかる歩行車100の全体構成を示す底面図である。
図10】第1の実施の形態にかかる走行時の中央輪102L近傍を示す左側面図である。
図11】第1の実施の形態にかかる駐車ロック時の中央輪102L近傍を示す左側面図である。
図12】第1の実施の形態にかかる歩行車100の構成を示すブロック図である。
図13A】第1の実施の形態にかかる歩行車100の第1の使用説明図である。
図13B】第1の実施の形態にかかる歩行車100の第2の使用説明図である。
図14】第1の実施の形態にかかる歩行車100のコントローラ150の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。また説明のために、歩行車の左側の部材には符号に「L」が付され、右側の部材には符号に「R」が付されているが、左右共通の部材を総称して「R」と「L」とを付さずに説明する場合もある。
【0012】
なお、本明細書において、胴体支持とは、胴体支持部が胴体に接触して拘束する状態だけを意味するのではなく、胴体との間に隙間が設けられ利用者が転倒に至る初期動作の段階で支持可能となる状態を含む。また、胴体は特にその部位が特定されるものではないが、当該初期動作の段階で支持可能な有効な部位として胸部を採用することができ、さらには側胸部を採用することができる。本明細書でいう腋又は腋下とは、腋下部を称するものとして、当該側胸部に含まれる部位をいう。
[第1の実施の形態]
<走行部の構成>
【0013】
まず、本実施の形態にかかる歩行車100の全体構成について説明する。図1から図9を参照して、本実施の形態にかかる歩行車100は、走行部として、左右の前輪101L,101Rと、左右の中央輪102L,102Rと、左右の後輪103L,103Rと、それらを支持するための複数のフレームを有する。本実施の形態においては、それらの車輪を支持する複数のフレームは、平面視または底面視において、略U字状に形成されており、当該複数フレームの略中央部をユーザが歩行する。すなわち、歩行中にユーザの足が車輪やフレームに接触しにくいように構成されている。
【0014】
歩行車100の車体の左側の前輪101Lは、歩行車100の第1の基部フレーム110の左の底面に取り付けられる。左側の前輪101Lは、キャスターを介して、左右方向に回動可能に構成されている。
【0015】
左の中央輪102Lは、左の脚部フレーム112Lに取り付けられる。より詳細には、第1の基部フレーム110の左側の後部に、平面視直角三角形の連結フレーム114Lが固定される。そして、連結フレーム114Lに、左の脚部フレーム112Lが固定される。本実施の形態においては、左の脚部フレーム112Lの後端部には、回動軸1121を介して、さらに、左の後輪フレーム113Lが枢支される。
【0016】
なお、左の中央輪102Lは、直進方向に固定され、左右方向には回動しない、すなわち固定輪である。
【0017】
左の後輪フレーム113Lの後端には、左の後輪103Lが枢支される。本実施の形態においては、左の後輪103Lは、補助輪としての役割を果たす。左の後輪103Lも、直進方向に固定され、左右方向には回動しない、すなわち固定輪である。
【0018】
本実施の形態においては、左の後輪フレーム113Lが、左の脚部フレーム112Lの後部に枢支されている。すなわち、左の後輪フレーム113Lが、左の脚部フレーム112Lに対して相対的に上下方向に回動可能に構成される。さらに換言すれば、左の後輪103Lが、左の中央輪102Lに対して相対的に上下方向に移動可能に構成される。
【0019】
本実施の形態においては、図7に示すように、左の後輪フレーム113Lには、左の脚部フレーム112Lの上方に位置する箇所に規制フレーム1131が取り付けられる。また、左の後輪フレーム113Lには、左の脚部フレーム112Lの下方に位置する箇所にも規制フレーム1132が取り付けられる。つまり、上下の規制フレーム1131,1132によって、左の後輪フレーム113Lが、左の脚部フレーム112Lに対して所定の角度でしか回動できない。さらに換言すれば、左の後輪フレーム113Lは、アソビを有して、左の脚部フレーム112Lに連結される。
【0020】
そして、左の後輪フレーム113Lの前端には、モータが搭載される。当該モータによって左の中央輪102Lが駆動される。これによって、ユーザの前進力をアシストすることができる。
【0021】
図10および図11に示すように、本実施の形態においては、左の脚部フレーム112Lにおける、左の中央輪102Lの前方に位置する箇所には、駐車ロック機構160が搭載される。本実施の形態においては、駐車ロック機構160は、電磁式のアクチュエータ161と、第1のリンク部材162と、第2のリンク部材163と、ブレーキ部材164とを含む。
【0022】
そして、図10に示すように、ユーザの歩行中、すなわち歩行車100が移動中は、後述するコントローラからの指令に従って、アクチュエータ161が第1のリンク部材162を押し下げて、第2のリンク部材163が折れ曲がる。これによって、ブレーキ部材164が前方に移動する。すなわち、左の中央輪102Lに対する駐車ブレーキが解除される。
【0023】
一方、図11に示すように、歩行車100が停止中は、後述するコントローラからの指令に従って、アクチュエータ161が持ち上がって、第1のリンク部材162が上昇する。これによって、第2のリンク部材163がまっすぐになって、ブレーキ部材164が後方に押しつけられる。すなわち、左の中央輪102Lに駐車ブレーキがかかる。
【0024】
図1から図9に戻って、歩行車100の右側の前輪101Rは、歩行車100の第1の基部フレーム110の右の底面に取り付けられる。右の前輪101Rは、キャスターを介して、左右方向に回動可能に構成されている。
【0025】
右の中央輪102Rは、右の脚部フレーム112Rに取り付けられる。より詳細には、第1の基部フレーム110の右側の後部に、平面視直角三角形の連結フレーム114Rが固定される。連結フレーム114Rに、右の脚部フレーム112Rが固定される。本実施の形態においては、右の脚部フレーム112Rの後端部には、回動軸1121を介して、さらに、右の後輪フレーム113Rが枢支される。
【0026】
なお、右の中央輪102Rは、直進方向に固定され、左右方向には回動しない、すなわち固定輪である。
【0027】
右の後輪フレーム113Rの後端には、右の後輪103Rが枢支される。右の後輪103Rも、直進方向に固定され、左右方向には回動しない、すなわち固定輪である。
【0028】
本実施の形態においては、右の後輪フレーム113Rが、右の脚部フレーム112Rの後部に枢支されている。すなわち、右の後輪フレーム113Rが、右の脚部フレーム112Rに対して相対的に上下方向に回動可能に構成される。さらに換言すれば、右の後輪103Rが、中央輪102Rに対して相対的に上下方向に移動可能に構成される。
【0029】
本実施の形態においては、右の後輪フレーム113Rには、右の脚部フレーム112Rの上方に位置する箇所に規制フレーム1131が取り付けられる。また、右の後輪フレーム113Rには、右の脚部フレーム112Rの下方に位置する箇所にも規制フレーム1132が取り付けられる。つまり、上下の規制フレーム1131,1132によって、右の後輪フレーム113Rが、右の脚部フレーム112Rに対して所定の角度しか回動できない。さらに換言すれば、右の後輪フレーム113Rは、アソビを有して、右の脚部フレーム112Lに連結される。
【0030】
右の後輪フレーム113Rの前端には、モータが搭載される。当該モータによって右の中央輪102Rが駆動される。
【0031】
図10および図11に示したように、本実施の形態においては、右の脚部フレーム112Rに関しても、駐車ロック機構160が搭載される。本実施の形態においては、駐車ロック機構160は、アクチュエータ161と、第1のリンク部材162と、第2のリンク部材163と、ブレーキ部材164とを含む。
【0032】
そして、図10に示すように、ユーザの歩行中、すなわち歩行車100が移動中は、後述するコントローラからの指令に従って、アクチュエータ161が第1のリンク部材162を押し下げて、第2のリンク部材163が折れ曲がる。これによって、ブレーキ部材164が前方に移動する。すなわち、右の中央輪102Rに対するブレーキが解除される。
【0033】
一方、図11に示すように、歩行車100が停止中は、後述するコントローラからの指令に従って、アクチュエータ161が持ち上がって、第1のリンク部材162が上昇する。これによって、第2のリンク部材163がまっすぐになって、ブレーキ部材164が後方に押しつけられる。すなわち、右の中央輪102Rにブレーキがかかる。
<ハンドル部の構成>
【0034】
図1から図9に戻って、第1の基部フレーム110には、その左右略中央部に、主フレーム117が立設される。主フレーム117には、上下摺動フレーム118が挿入される。本実施の形態においては、主フレーム117の内部には、昇降モータやアクチュエータが内包されており、コントローラからの指令に従って上下摺動フレーム118を上下に昇降させるように構成されている。
【0035】
主フレーム117の下部の正面には、バッテリー116が搭載されている。
【0036】
上下摺動フレーム118の上部には、ハンドル部が取り付けられる。
【0037】
本実施の形態においては、上下摺動フレーム118の上端に、U字状に形成されるハンドル基部119が固設される。ハンドル基部119の左右略中央部には、各種のボタンや表示部などを含む操作部109が設けられる。操作部109は、ユーザからの電源のON/OFFや、走行部の駆動や、上下摺動フレーム118の上下動や、腋後パットの回動などの各種の操作命令を受け付けるためのボタンや、各種の動作状態を示すライトなどを含む。
【0038】
ハンドル基部119の左の後端部には左のアームレスト120Lが固定され、ハンドル基部119の右の後端部には右のアームレスト120Rが固定される。平面視において、左のアームレスト120Lとハンドル基部119と右のアームレスト120Rは略U字状に形成されている。本実施の形態においては、左のアームレスト120Lと右のアームレスト120Rとは平行ではなく、後方に行くほど、両者の間隔が広くなるように構成されている。
【0039】
本実施の形態においては、左のアームレスト120Lには前上方に向けて左のハンドル把持部123Lが取り付けられ、右のアームレスト120Rには前上方に向けて右のハンドル把持部123Rが取り付けられる。ユーザは、アームレスト120L,120Rに腕を乗せながら、かつ、ハンドル把持部123L,123Rを握りながら歩行するように構成されている。
【0040】
左のアームレスト120Lの左端部には、握り部121Lが立設される。左のアームレスト120Lには、左の腋用縦フレーム130Lが取り付けられる。そして、左の腋用縦フレーム130Lの上端には、左の胴体支持フレーム131Lが取り付けられる。なお、本実施形態において、胴体支持部は、フレームである胴体支持フレームとそれを支持する支持部である腋用縦フレームで構成される。
【0041】
左の胴体支持フレーム131Lは、前後方向に長く形成され、平面視において前後の中央部が外側に凸となるように形成されている。換言すれば、左の胴体支持フレーム131Lは、前端部が歩行車100の左右中央に向けて曲がっており、後端部が歩行車100の左右中央に向けて曲がっている。さらに換言すれば、左の胴体支持フレーム131Lは、平面視において略U字状に形成されている。
【0042】
左の胴体支持フレーム131Lの後端部には、回動部材132Lを介して、左の腋後フレーム133Lが取り付けられる。左の腋後フレーム133Lは、右上端部に、左の腋後パット134Lが固設される。回動部材132Lには、腋後モータが内包されており、回動部材132Lによって、左の腋後パット134Lおよび左の腋後フレーム133Lを斜めに回動させる。より詳細には、ユーザが左のアームレスト120Lや左の胴体支持フレーム131Lに体重をかけて歩行可能状態になると、ユーザの指示によって、左の腋後フレーム133Lが、右上方へと回動して、左の腋後パット134Lがユーザの左の腋の後側を支持する。逆に、ユーザが歩行を終了して歩行車100から離れる際には、ユーザの指示によって、左の腋後フレーム133Lが左下方へ回動して左の腋後パット134Lが待機位置に移動する。
【0043】
本実施の形態においては、ハンドル基部119の左の後端部に対して、左のアームレスト120Lの位置や角度が調整可能になっている。これによって、左のアームレスト120Lの位置や姿勢などをユーザの体格に合わせることができる。
【0044】
また、左の腋用縦フレーム130Lは、歩行車100の正面視または背面視において、略L字状に形成され、左の腋用縦フレーム130Lの左のアームレスト120Lに対する左右方向の相対位置や相対角度などを調節することができる。
【0045】
特に、本実施の形態においては、左の腋用縦フレーム130Lは、左のアームレスト120Lの下面に左右方向に回動可能に取り付けられており、歩行車100の正面視において、左のアームレスト120Lに対して、半時計周りに回動可能に構成されている。より詳細には、左の腋用縦フレーム130Lは、図示しないバネなどによって、通常は直立になるように付勢されているが、ユーザの腋によって下方へ押されると、当該バネなどの付勢力に抗して、左のアームレスト120Lに対して半時計周りに回動する。すなわち、ユーザの体重がかかると、左の腋用縦フレーム130Lの上部や左の胴体支持フレーム131Lが歩行車100の内側に倒れてくるように構成されている。
【0046】
また、左の胴体支持フレーム131Lは、左の腋用縦フレーム130Lに対して、上下の位置を調節することができる。また、左の胴体支持フレーム131Lは、左の腋用縦フレーム130Lの上端を軸にして、側面視において、時計方向および半時計方向に傾けて固定することができる。これによって、左の胴体支持フレーム131Lの高さや傾きなどをユーザの体格に合わせることができる。
【0047】
本実施の形態においては、図6に示すように、左の腋用縦フレーム130Lに対する左の胴体支持フレーム131Lの取り付け位置Xが、すなわち、左の腋用縦フレーム130Lに対する左の胴体支持フレーム131Lの回動軸の位置Xが、中央輪102Lの回動軸の位置Yよりも後方に位置するように構成される。これによって、歩行車100がより安定的に移動することができる。
【0048】
図1から図9に戻って、ハンドル基部119の右の後端部には、左側と同様に、右のアームレスト120Rが固定される。右のアームレスト120Rの左端部には、握り部121Rが立設される。右のアームレスト120Rには、右の腋用縦フレーム130Rが取り付けられる。右の腋用縦フレーム130Rの上端には、右の胴体支持フレーム131Rが取り付けられる。
【0049】
右の胴体支持フレーム131Rは、前後方向に長く形成され、平面視において前後の中央部が外側に凸となるように形成されている。換言すれば、右の胴体支持フレーム131Rは、前端部が歩行車100の左右中央部に向けて曲がっており、後端部が歩行車100の左右中央部に向けて曲がっている。さらに換言すれば、右の胴体支持フレーム131Rは、平面視において略U字状に形成されている。
【0050】
右の胴体支持フレーム131Rは、前後方向に長く形成され、平面視において前後の中央部が外側に凸となるように形成されている。換言すれば、右の胴体支持フレーム131Rは、前端部が歩行車100の左右中央に向けて曲がっており、後端部が歩行車100の左右中央に向けて曲がっている。さらに換言すれば、右の胴体支持フレーム131Rは、平面視において略U字状に形成されている。
【0051】
右の胴体支持フレーム131Rの後端部には、回動部材132Rを介して、右の腋後フレーム133Rが取り付けられる。右の腋後フレーム133Rは、左上端部に、右の腋後パット134Rが固設される。回動部材132Rには、腋後モータが内包されており、回動部材132Rによって、右の腋後パット134Rは、右の腋後フレーム133Rを斜めに回動させる。より詳細には、ユーザが右のアームレスト120Rや右の胴体支持フレーム131Rに体重をかけて歩行可能状態になると、ユーザの指示によって、右の腋後フレーム133Rが、左上方に回動して、右の腋後パット134Rがユーザの右の腋の後側を支持するようになる。逆に、ユーザが歩行を終了して歩行車100から離れる際には、ユーザの指示によって、右の腋後フレーム133Rが右下方へ回動して右の腋後パット134Rが待機位置に移動する。
【0052】
本実施の形態においては、ハンドル基部119の右の後端部に対して、右のアームレスト120Rの位置や角度が調整可能になっている。これによって、右のアームレスト120Rなどをユーザの体格に合わせることができる。
【0053】
また、右の腋用縦フレーム130Rは、歩行車100の正面視または背面視において、略L字状に形成され、右の腋用縦フレーム130Rの右のアームレスト120Rに対する左右方向の相対位置を調節することができる。
【0054】
より詳細には、本実施の形態においては、右の腋用縦フレーム130Rは、右のアームレスト120Rの下面に回動可能に取り付けられており、歩行車100の正面視において、右のアームレスト120Rに対して、時計周りに回動可能に構成されている。より詳細には、右の腋用縦フレーム130Rは、図示しないバネなどによって、直立になるように付勢されているが、ユーザの腋によって下方へ押されると、バネなどの付勢力に抗して、右のアームレスト120Rに対して時計周りに回動するように、換言すれば右の腋用縦フレーム130Rの上部や右の胴体支持フレーム131Rが歩行車100の内側に倒れてくるように構成されている。
【0055】
また、右の胴体支持フレーム131Rは、右の腋用縦フレーム130Rに対して、上下の位置を調節することができる。また、右の胴体支持フレーム131Rは、右の腋用縦フレーム130Rの上端を軸にして、側面視において、時計方向および半時計方向に傾けて固定することができる。これによって、右の胴体支持フレーム131Rの高さや傾きなどをユーザの体格に合わせることができる。
【0056】
本実施の形態においては、図6と左右対称に、右の腋用縦フレーム130Rに対する右の胴体支持フレーム131Rの取り付け位置Xも、すなわち、右の腋用縦フレーム130Rに対する右の胴体支持フレーム131Rの回動軸の位置Xが、中央輪102Rの回動軸の位置Yよりも後方に位置するように構成される。これによって、歩行車100がより安定的に移動することができる。
<歩行車100の制御構成>
【0057】
次に、本実施の形態にかかる歩行車100の制御構成について説明する。図12は、本実施の形態にかかる歩行車100の制御構成を示すブロック図である。図12を参照して、本実施の形態にかかる歩行車100は、コントローラ150や、バッテリー116や、操作部109や、走行モータ151や、昇降モータ152や、腋後モータ153や、ロック機構160や、全体加重センサ155、腋下加重センサ156などを有する。
【0058】
コントローラ150は、CPUやメモリなどの制御基板によって構成されて、歩行車100の各部を制御する。具体的には、CPUが、メモリに記憶されている制御プログラムや各種のデータに従って、後述する各種の処理を実行する。
【0059】
バッテリー116は、歩行車100の各部、たとえばモータやライトなどに電力を供給する。バッテリー116は、歩行車100から取り外して充電するタイプであってもよいし、歩行車100に取り付けたままで充電するタイプであってもよい。
【0060】
操作部109は、ユーザからの各種の命令、たとえば電源のON/OFF命令や上下摺動フレーム118の上下動や、腋後フレーム133L,133Rの回動命令や、アシスト走行の開始命令や停止命令などを受け付ける。
【0061】
走行モータ151は、コントローラ150からの指示に従って、指示された回転数で駆動するものであって、本実施の形態においては中央輪102L,102Rを駆動するものである。
【0062】
昇降モータ152は、コントローラ150からの指示に従って、アクチュエータなどを利用して、ユーザが立ち上がった際に、すなわちユーザの歩行前に、指示された高さまで上下摺動フレーム118を上昇させたり、ユーザの歩行後に、指示された高さまで上下摺動フレーム118を加工させたりする。
【0063】
腋後モータ153は、コントローラ150からの指示に従って、腋後フレーム133L,133Rを回動させる。たとえば、ユーザは、握り部121L,121Rを握り、腋を胴体支持フレーム131L,131Rに載せた状態で、操作部109に腋後パット134L,134Rを回動させるための命令を入力する。これによって、腋後モータ153が駆動して、腋後パット134L,134Rがユーザの背中に接触する。
【0064】
ロック機構160は、コントローラ150からの指示に基づいて、電磁式のアクチュエータ161を動かすものである。本実施の形態にかかるコントローラ150は、停止命令に応じてロック機構160を有効にて駐車ロックをかけたり、走行命令に応じてロック機構160を無効にしたりする。
【0065】
全体加重センサ155は、上下摺動フレーム118の全体にかかるユーザの体重などを測定して、コントローラ150に入力する。腋下加重センサ156は、左右の胴体支持フレーム131L,131Rにかかるユーザの加重を測定して、コントローラ150に入力する。
<歩行車100の使用例とロック機構160の動作例>
【0066】
次に、本実施の形態にかかる歩行車100の使用例とロック機構160の動作例について説明する。図13(A)および図13(B)は、本実施の形態にかかる歩行車100の使用例とロック機構160の動作例の一例を示すイメージ図である。
【0067】
まず、図13(A)を参照して、歩行車100は、保管中や充電中などの電源OFF時においては、手動にてロック機構160による駐車ロックがかけられる(ステップS002)。
【0068】
次に、介護者などが歩行車100をユーザの近傍に移動させる際には、介護者が手動でロック機構160による駐車ロックを解除した状態で、歩行車100を所望の位置に移動させる(ステップS004)。ユーザの近傍まで移動した後に、再度、介護者は手動にてロック機構160による駐車ロックをかける。この状態で操作部109を介して電源をONする。
【0069】
電源がONされると、コントローラ150は、自動的に、ロック機構160による駐車ロックをかける。この状態で、ユーザが、アームレスト120L,120Rの後部に手をつく(ステップS006)。
【0070】
ユーザは、アームレスト120L,120Rの握り部121L,121Rに握って立ち上がる(ステップS008)。この状態においても、ロック機構160による駐車ロックがかかったままである。
【0071】
ユーザは、アームレスト120L,120Rの握り部121L,121Rを握ったまま、歩行車100の平面視において中央部分に移動する(ステップS010)。より詳細には、ユーザは、自身の脚部と胴体とを歩行車100の中央部に移動させる。この状態においても、ロック機構160による駐車ロックがかかったままである。
【0072】
ユーザは、操作部109を介して、上下摺動フレーム118を上昇させる(ステップS012)。すなわち、コントローラ150は、ユーザ操作に基づいて、昇降モータ152を駆動して上下摺動フレーム118を所定の位置まで上昇させる。なお、上下摺動フレーム118を昇降させる高さは、ユーザ毎に、体格などに基づいて予め設定されており、コントローラ150が記憶している。上下摺動フレーム118の昇降中においても、ロック機構160による駐車ロックがかかったままである。
【0073】
上下摺動フレーム118の昇降が完了すると、ユーザは、操作部109を介して、腋後フレーム133L,133Rを回動させる(ステップS014)。すなわち、コントローラ150は、ユーザ操作に基づいて、腋後モータ153を駆動して、腋後フレーム133L,133Rを回動し、腋後パット134L,134Rをユーザの背面に接触させる。この状態においても、ロック機構160による駐車ロックがかかったままである。
【0074】
本実施の形態においては、ユーザが、歩き出すと、コントローラ150は、自動的に、ロック機構160による駐車ロックを解除する。ただし、コントローラ150は、腋後パット134L,134Rを上昇させると、自動的に、ロック機構160による駐車ロックを解除してもよい。コントローラ150は、走行モータ151によって中央輪102L,102Rを駆動して、ユーザの前進を補助する。
【0075】
図13(B)を参照して、ユーザが歩行中に、姿勢を崩したり、転倒の可能性が高くなったりすると、コントローラ150は、走行モータ151の駆動を停止させる(ステップS020)。コントローラ150は、警告音などをスピーカから出力することが好ましい。
【0076】
また、全体加重センサ155を介して、上下摺動フレーム118に所定値以上の体重がかかった場合に、コントローラ150が、ロック機構160を作動させて、駐車ブレーキをかけることが好ましい。
【0077】
また、腋下加重センサ156を介して、胴体支持フレーム131L,131Rに所定値以上の体重がかかった場合も、コントローラ150が、ロック機構160を作動させて、駐車ブレーキをかけることが好ましい。
【0078】
ユーザが、歩行車100の使用を中断する場合、操作部109を介して、停止命令を入力したり、腋後パット134L,134Rを解除する命令を入力したりする(ステップS022)。これによって、コントローラ150は、操作部109に対するユーザ命令に応じて、走行モータ151の駆動を停止したり、腋後モータを駆動させて腋後フレーム133L,133Rを回動して腋後パット134L,134Rを歩行車100の脇へ待機させたりする。このとき、コントローラ150は、自動的に、ロック機構160による駐車ロックをかける。
【0079】
次に、ユーザが、操作部109を介して、上下摺動フレーム118を下降させる(ステップS024)。すなわち、コントローラ150は、当該ユーザ操作に基づいて、昇降モータ152を駆動して上下摺動フレーム118を所定の位置まで下降させる。上下摺動フレーム118の下降中においても、ロック機構160による駐車ロックがかかったままである。
【0080】
ユーザは、歩行車100が動かない状態において、すなわちロック機構160による駐車ロックがかけられた状態において、歩行車100から離れたり、着座したりする(ステップS026)。
【0081】
歩行車100は、次の仕様に向けて保管される(ステップS028)。より詳細には、介護者などが、手動でロック機構160による駐車ロックを解除した状態で、歩行車100を所望の補完位置に移動させる。補完位置まで移動した後に、再度、介護者は手動にてロック機構160による駐車ロックをかける。
<コントローラ150による制御>
【0082】
次に、本実施の形態にかかる歩行車100のコントローラ150による制御について説明する。コントローラ150のCPUは、電源がONされると、メモリのプログラムに従って、図14に示す処理を実行する。
【0083】
まず、コントローラ150は、テストモードか否かを判断する(ステップS102)。テストモードである場合は(ステップS102にてYESである場合)、コントローラ150は、テストモードに移行する(ステップS104)。
【0084】
テストモードでない場合(ステップS102にてNOである場合)、コントローラ150は、定期診断モードであるか否かを判断する(ステップS106)。定期診断モードである場合(ステップS106にてYESである場合)、コントローラ150は、定期診断モードに移行する(ステップS108)。
【0085】
定期診断モードでない場合(ステップS106にてNOである場合)、コントローラ150は、自己診断モードを実行する(ステップS110)。
【0086】
自己診断モードが完了すると、コントローラ150は、正常であったか否かを判断する(ステップS112)。診断で故障が見つかった場合(ステップS112にてNOである場合)、コントローラ150は、スピーカなどを介して、故障に関するアナウンスを出力する(ステップS114)。
【0087】
故障が見つからなかった場合(ステップS112にてYESである場合)、コントローラ150は、待機モードに移行する(ステップS116)。コントローラ150は、待機モードにおいては、操作部109を介してユーザからの命令を待ち受ける。
【0088】
コントローラ150は、操作部109からの信号に基づいて、操作部109の初期設定スイッチが押されたか否かを判断する(ステップS118)。初期設定スイッチが押された場合(ステップS118にてYESである場合)、コントローラ150は、初期設定モードに移行する(ステップS120)。
【0089】
初期設定スイッチが押されなかった場合(ステップS118にてNOである場合)、コントローラ150は、操作部109からの信号に基づいて、操作部109の音量スイッチが押されたか否かを判断する(ステップS122)。音量スイッチが押された場合(ステップS122にてYESである場合)、コントローラ150は、音量変更モードに移行する(ステップS124)。
【0090】
音量変更モードが押されなかった場合(ステップS122にてNOである場合)、コントローラ150は、操作部109からの信号に基づいて、操作部109のアシスト変更スイッチが押されたか否かを判断する(ステップS126)。操作部109のアシスト変更スイッチが押された場合(ステップS126にてYESである場合)、コントローラ150は、アシスト変更モードに移行する(ステップS128)。なお、アシスト変更モードにおいて、コントローラ150は、ユーザが所望する上下摺動フレーム118の高さの指定や、その他の部材の位置や姿勢などの指定を受け付けて、メモリに記憶する。
【0091】
アシスト変更スイッチが押されなかった場合(ステップS126にてNOである場合)、コントローラ150は、操作部109からの信号に基づいて、操作部109の駐車ロックの解除スイッチが押されたか否かを判断する(ステップS130)。駐車ロックの解除スイッチが押された場合(ステップS130にてYESである場合)、コントローラ150は、駐車ロックの解除モードに移行する(ステップS132)。
【0092】
駐車ロックの解除スイッチが押されなかった場合(ステップS130にてNOである場合)、コントローラ150は、アームレスト120L,120Rの上昇中であるか否かを判断する(ステップS134)。アームレスト120L,120Rの上昇中である場合(ステップS134にてYESである場合)、コントローラ150は、アームレスト120L,120Rが所定時間以上上昇しているか否かを判断する(ステップS136)。
【0093】
アームレスト120L,120Rが所定時間以上上昇していない場合(ステップS136にてNOである場合)、コントローラ150は、ステップS146からの処理を実行する。
【0094】
アームレスト120L,120Rが所定時間以上上昇している場合(ステップS136にてYESである場合)、コントローラ150は、スピーカを介してアームレスト120L,120Rの自動降下をアナウンスして(ステップS138)、昇降モータ152を駆動することによって上下摺動フレームを降下させる(ステップS140)。コントローラ150は、ステップS134からの処理を繰り返す。
【0095】
アームレスト120L,120Rが上昇中でない場合(ステップS134にてNOである場合)、コントローラ150は、操作部109からの信号に基づいて、操作部109のアームレスト上昇スイッチが押されたか否かを判断する(ステップS142)。
【0096】
アームレスト上昇スイッチが押されていない場合(ステップS142にてNOである場合)、コントローラ150は、待機モードに移行する(ステップS158)。
【0097】
アームレスト上昇スイッチが押された場合(ステップS142にてYESである場合)、コントローラ150は、昇降モータ152を駆動させることによって上下摺動フレーム118を所定の高さまで上昇させる(ステップS144)。
【0098】
アームレスト120L,120Rが所定の高さまで上がると、コントローラ150は、昇降モータ152の駆動を停止させて、操作部109からの信号に基づいて、操作部109の腋下スイッチが押されたか否かを判断する(ステップS146)。
【0099】
腋下スイッチが押されていない場合(ステップS146にてNOである場合)、コントローラ150は、操作部109からの信号に基づいて、操作部109の降下スイッチが押されたか否かを判断する(ステップS154)。降下スイッチが押された場合(ステップS154にてYESである場合)、コントローラ150は、昇降モータ152を駆動させることによって、上下摺動フレーム118を所定の高さまで下降させる(ステップS156)。コントローラ150は、待機モードに移行する(ステップS158)。
【0100】
腋下スイッチが押された場合(ステップS146にてYESである場合)、コントローラ150は、腋後モータ153を駆動させることによって腋後パット134L,134Rをユーザの背中に接触させる(ステップS148)。コントローラ150は、ロック機構160による駐車ロックを解除する(ステップS150)。
【0101】
コントローラ150は、歩行モードに移行する(ステップS160)。すなわち、コントローラ150は、ユーザの歩行速度に合わせて、走行モータ151を駆動させることによって、ユーザの歩行をアシストする(ステップS162)。
【0102】
コントローラ150は、中央輪102L,102Rの回転を検知するなどして、加速度が第1の所定値以上であるか否かを判断する(ステップS164)。加速度が第1の所定値以上である場合(ステップS164にてYESである場合)、コントローラ150は、走行モータ151の駆動を抑制したり、ブレーキをかけたりして、歩行車100を減速させる(ステップS166)。
【0103】
加速度が正常範囲内である場合(ステップS164にてNOである場合)、コントローラ150は、中央輪102L,102Rの回転を検知するなどして、速度が第2の所定値以上であるか否かを判断する(ステップS168)。速度が第2の所定値以上である場合(ステップS168にてYESである場合)、コントローラ150は、走行モータ151の駆動を抑制したり、ブレーキをかけたりして、歩行車100を減速させる(ステップS166)。
【0104】
速度が正常範囲内である場合(ステップS168にてNOである場合)、コントローラ150は、操作部109からの信号に基づいて、操作部109の音量スイッチが押されたか否かを判断する(ステップS170)。音量スイッチが押された場合(ステップS170にてYESである場合)、コントローラ150は、音量変更モードに移行する(ステップS172)。
【0105】
音量変更モードが押されなかった場合(ステップS170にてNOである場合)、コントローラ150は、操作部109からの信号に基づいて、操作部109のアシスト変更スイッチが押されたか否かを判断する(ステップS174)。操作部109のアシスト変更スイッチが押された場合(ステップS174にてYESである場合)、コントローラ150は、アシスト変更モードに移行する(ステップS176)。なお、アシスト変更モードにおいて、コントローラ150は、ユーザが所望する上下摺動フレーム118の高さの指定や、その他の部材の位置や姿勢などの指定を受け付けて、メモリに記憶する。
【0106】
アシスト変更スイッチが押されなかった場合(ステップS174にてNOである場合)、コントローラ150は、腋下加重センサ156からの信号に基づいて、胴体支持フレーム131L,131Rに所定値以上の重さが所定時間以上かかっているか否かを判断する(ステップS178)。所定値以上の重さが所定時間以上かかっているか場合(ステップS178にてYESである場合)、コントローラ150は腋下警告モードに移行する(ステップS180)。たとえば、コントローラ150は、スピーカから警告音を鳴らしたり、ロック機構160によって駐車ブレーキをかけたりする。
【0107】
所定値以上の重さが所定時間以上かかっていない場合(ステップS178にてNOである場合)、コントローラ150は、操作部109からの信号に基づいて、操作部109の腋下スイッチが押されたか否かを判断する(ステップS182)。腋下スイッチが押された場合(ステップS182にてYESである場合)、コントローラ150は、ロック機構160に駐車ロックさせる(ステップS184)。コントローラ150は、腋後モータ153を駆動させることによって、腋後パット134L,134Rを歩行車100の外側かつ下方に退避させる(ステップS186)。コントローラ150は、待機モードに移行する(ステップS158)。
【0108】
なお、腋下スイッチが押されなかった場合(ステップS182にてNOである場合)、コントローラ150は、ステップS160からの処理を繰り返す。
[まとめ]
【0109】
上記の実施の形態においては、自在輪である一対の前輪と、固定輪である一対の中央輪と、自在輪である一対の後輪と、利用者の胴体を支持するための胴体支持部とを有する六輪の歩行車が提供される。後輪のそれぞれは、中央輪のそれぞれに連結される補助輪として、中央輪に対して上下方向に変位可能に構成される。
【0110】
好ましくは、歩行車は、利用者の腕を支持するためのアームレスト部をさらに備える。胴体支持部は、フレームと、フレームをアームレスト部よりも高い位置に指示する支持部とを含む。側面視において、支持部とフレームの連結箇所の中心が、中央輪の軸心よりも後方に位置する。
【0111】
好ましくは、歩行車は、中央輪を駆動するためのモータと、中央輪の回動を止めるための電磁ロック機構とをさらに備える。
【0112】
好ましくは、胴体支持部に対する負荷が大きくなると電磁ロック機構が有効になる。
【0113】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0114】
100 :歩行車
101L :前輪
101R :前輪
102L :中央輪
102R :中央輪
103L :後輪
103R :後輪
109 :操作部
110 :第1の基部フレーム
112L :脚部フレーム
112R :脚部フレーム
1121 :回動軸
113L :後輪フレーム
113R :後輪フレーム
114L :連結フレーム
114R :連結フレーム
116 :バッテリー
117 :主フレーム
118 :上下摺動フレーム
119 :ハンドル基部
120L :アームレスト
120R :アームレスト
121L :握り部
121R :握り部
130L :腋用縦フレーム
130R :腋用縦フレーム
131L :胴体支持フレーム
131R :胴体支持フレーム
132L :回動部材
132R :回動部材
133L :腋後フレーム
133R :腋後フレーム
134L :腋後パット
134R :腋後パット
150 :コントローラ
151 :走行モータ
152 :昇降モータ
153 :腋後モータ
155 :全体加重センサ
156 :腋下加重センサ
160 :駐車ロック機構
161 :アクチュエータ
162 :第1のリンク部材
163 :第2のリンク部材
164 :ブレーキ部材
1131 :規制フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14