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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004036
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】ケーキシート
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/60 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
B65D85/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105495
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】593186493
【氏名又は名称】木村アルミ箔株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 彰宏
【テーマコード(参考)】
3E035
【Fターム(参考)】
3E035AA16
3E035BA10
3E035BB04
3E035BC02
3E035BD04
3E035BD10
(57)【要約】
【課題】本発明は、ケーキを構成するスポンジや生クリームなどのケーキ成分の付着が低減されているケーキシートを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るケーキシートは、100μm以上、700μm以下の厚さを有するポリ塩化ビニルシートからなることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
100μm以上、700μm以下の厚さを有するポリ塩化ビニルシートからなることを特徴とするケーキシート。
【請求項2】
ケーキの下部を被覆する底敷である請求項1に記載のケーキシート。
【請求項3】
周縁部に1以上の取手部を有する請求項2に記載のケーキシート。
【請求項4】
前記取手部の幅が1cm以上、2cm以下、長さが1cm以上、2cm以下である請求項3に記載のケーキシート。
【請求項5】
ケーキの側面の少なくとも一部を被覆するケーキサイドシートである請求項1に記載のケーキシート。
【請求項6】
ケーキの形状に合わせた折り目を有する請求項5に記載のケーキシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーキを構成するスポンジや生クリームなどのケーキ成分の付着が低減されているケーキシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーキとは、小麦粉、卵、砂糖、バターなどの油脂、香料などを混ぜた生地をオーブンで焼いて作る洋菓子の一種であり、更に、生クリームなどのクリーム、果物、ムース、ババロア、チョコレート、砂糖菓子などがあしらわれるものもある。通常、ケーキは円形のホールケーキとして作られ、洋菓子店では、食べ易いようホールケーキを一人分の三角形または略三角形に切断し、ショーケースに並べることも多い。
【0003】
ケーキの賞味期限は製造当日であることが多いが、直ぐに食べなければ、特に切断面に露出したスポンジ部から水分が抜けて乾燥されてしまい、食感が悪くなってしまう。そこで、カットケーキの側面は、一般的に、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなるケーキサイドフィルムで被覆される。また、ショーケースに並べられたケーキは、取り出され易くなるよう底敷に載せられていることが多い。底敷の材料としては、主にポリプロピレンフィルムで被覆されたボール紙が使われる。
【0004】
ところが、ケーキからケーキサイドフィルムや底敷をはがすと、ケーキサイドフィルムや底敷にスポンジや生クリームなどが付着する傾向がある。その結果、ケーキの外観が損なわれたり、また、スポンジなどが付着したフィルムや底敷が不快感を与えることがある。
【0005】
また、豪華な印象を与える等のために、ケーキの上に多くの果物、クリーム、砂糖菓子などが載せられることがある。それに対して、ケーキサイドフィルムとして用いられるポリプロピレン(PP)フィルムは数十μmの薄いものであるため、土台となるケーキ以上の高さを超えるもので側面を被覆しても、ケーキ上の飾り付けを保持することができず、たとえ製造時や販売時には飾り付けが保持されていても、運搬時に崩れてしまう可能性がある。
【0006】
更に、ケーキの底敷には、ケーキをショーケースから取り出し易いように取手部が付けられていることが多い。取手部は掴み易いように水平よりも上に折り曲げられているが、一般的な底敷の主成分はボール紙であり、冷蔵ショーケース内で湿気を吸収して変形し、水平に近くなってショーケースから取り出し難くなることがある。
【0007】
ところで、特許文献1には、包装容器に入った食品であって、吸湿により膨張する第1の食材と含水食品である第2の食材を有し、第1食材と第2食材との間には油脂性組成物層が挟まれており、包装容器が第1食材の吸湿膨張を制限するものが開示されており、包装容器の素材の一つとしてポリ塩化ビニルが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-89021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、ケーキの側面を被覆するケーキサイドフィルムや底敷は、洋菓子店などで一般的に用いられている。
しかし、従来のケーキサイドフィルムや底敷にはスポンジや生クリームなどの付着の問題があり、ケーキから剥離してもスポンジなどの付着が抑制されているケーキサイドフィルムや底敷が求められている。
そこで本発明は、ケーキを構成するスポンジや生クリームなどのケーキ成分の付着が低減されているケーキシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、様々な材質の中で、適度な厚さを有するポリ塩化ビニルシートにはケーキ成分が付着し難く、且つ強度も十分であることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
【0011】
[1] 100μm以上、700μm以下の厚さを有するポリ塩化ビニルシートからなることを特徴とするケーキシート。
[2] ケーキの下部を被覆する底敷である前記[1]に記載のケーキシート。
[3] 周縁部に1以上の取手部を有する前記[2]に記載のケーキシート。
[4] 前記取手部の幅が1cm以上、2cm以下、長さが1cm以上、2cm以下である前記[3]記載のケーキシート。
[5] ケーキの側面の少なくとも一部を被覆するケーキサイドシートである前記[1]に記載のケーキシート。
[6] ケーキの形状に合わせた折り目を有する前記[5]に記載のケーキシート。
【発明の効果】
【0012】
本発明のケーキシートには、スポンジや生クリーム等、ケーキ成分が付着し難い。その結果、本発明のケーキシートをケーキから剥離した場合、ケーキの外観の低下や、ケーキ成分が付着したケーキシートによる不快感が低減されている。また、一般的なケーキサイドフィルムとは異なり十分な強度を有するため、生クリームなどのクリーム、果物、ムース、ババロア、プリン、チョコレート、砂糖菓子などによるケーキの飾り付けがし易く、また、移動時におけるこれらの変形や脱落が抑制され、更に、ケーキ保存時におけるケーキシート自体の変形も抑制される。また、本発明のケーキシートは樹脂シートであり、ボール紙などとの積層などが必要無く、低コストで簡便に製造可能である。更に、従来のボール紙を含む底敷とは異なり、不透明な塗料で着色などしない限り透明であり、ケーキの外観を損ねることがなく、特に涼し気な印象を与えることができ、また耐油性にも優れる。よって本発明に係るケーキシートは、従来の底敷やケーキサイドフィルムに取って代わる可能性があるものであり、産業上非常に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に係る底敷の例を示す概略図である。
図2図2は、本発明に係るケーキサイドフィルムの例を示す概略図である。
図3図3は、本発明に係るポリ塩化ビニルシート、及び比較のためのポリプロピレンフィルムでコーティングされたボール紙とポリプロピレンシートを底敷として、サンプルケーキを載せて保存した後の各シートの様子を示す写真である。
図4図4は、本発明に係るポリ塩化ビニルシート、及び比較のためのポリプロピレンフィルムで側面を被覆されたサンプルケーキの写真である。
図5図5は、本発明に係るポリ塩化ビニルシート、及び比較のためのポリプロピレンフィルムで側面を被覆されたサンプルケーキを保存した後の各ケーキサイドフィルムの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るケーキシートは、100μm以上、700μm以下の厚さを有するポリ塩化ビニルシートからなる。
【0015】
ポリ塩化ビニルとは、塩化ビニルをモノマーとするポリマーである。但し、ポリ塩化ビニルは、エチレンや酢酸ビニル等、他のビニル系モノマーと塩化ビニルとの共重合体であってもよい。塩化ビニル共重合体を用いる場合、塩化ビニル共重合体の全構造単位に対する塩化ビニルに由来する構造単位の割合としては、60モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、95モル%以上がより更に好ましい。塩化ビニル共重合体の全構造単位に対する塩化ビニルに由来する構造単位の割合としては、98モル%以下が好ましい。勿論、塩化ビニル単独重合体、即ち、全構成単位に対する塩化ビニルに由来する構造単位の割合は100モル%であってもよい。ポリ塩化ビニルとしては、例えば、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩化ビニルとエチレンの共重合体、塩化ビニルとビニルエーテルとの共重合体、塩化ビニルと塩化ビニリデンとの共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
【0016】
ポリ塩化ビニルの平均分子量は適宜調整すればよいが、例えば、質量平均分子量としては20000以上、100000以下が好ましい。質量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。また、ポリ塩化ビニルの平均重合度としては、500以上、1000以下が好ましい。平均重合度は、質量平均分子量をクロロエチレンの分子量で除することにより算出できる。
【0017】
ポリ塩化ビニルには、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、衝撃改良剤、安定剤、滑剤などが挙げられる。
【0018】
ポリ塩化ビニルに配合する可塑剤としては、例えば、ジエチルヘキシルテレフタレート等のテレフタル酸エステル、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸エステル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル等の1,2-シクロヘキサンジカルボン酸エステル、トリエチルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル、ポリエステル等が挙げられる。可塑剤は、一種のみを単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。また、安定剤としては、例えば、ジオクチルスズ化合物が挙げられる。
【0019】
可塑剤を実質的に含まないポリ塩化ビニルや、全体に対して1質量%以下の可塑剤を含むポリ塩化ビニルは、硬質ポリ塩化ビニルと呼ばれる。可塑剤を実質的に含まないとは、ポリ塩化ビニルに可塑剤を意図的に配合しないことをいい、可塑剤としても用いられる成分が不可避的不純物や不可避的混入物として含まれることを妨げるものではない。また、全体に対して10質量%以上の可塑剤を含むポリ塩化ビニルを軟質ポリ塩化ビニルということがある。
【0020】
ポリ塩化ビニルにおけるポリ塩化ビニル以外の添加剤の含有量としては、例えば、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がより更に好ましい。また、不可避的不純物や不可避的混入物以外、ポリ塩化ビニルは実質的にポリ塩化ビニルのみからなることが好ましい。なお、不可避的不純物と不可避的混入物とは、意図的に混合した成分ではなく、意図せず残留したり混入した成分をいう。
【0021】
本発明に係るケーキシートは、100μm以上、700μm以下の厚さを有する。厚さが100μm以上であれば、例えば土台スポンジを超える高さのケーキサイドシートとし、カットケーキ側面を被覆し、且つ生クリームなどのクリーム、果物、ムース、ババロア、プリン、チョコレート、砂糖菓子などで上面を飾り付ける場合、飾り付けを保持することによって飾り付け易くなり、また、運搬時などに飾り付けを崩れ難くすることが可能になる。また、厚さが700μm以下であれば、折り曲げなどの変形が可能になる。
【0022】
本発明に係るケーキシートは、ケーキの下部を被覆するための底敷として利用することができる。底敷とする場合、ケーキシートの厚さとしては、100μm以上、400μm以下とすることができる。当該厚さが100μm以上であれば、ケーキスポンジ等の乾燥を十分に抑制することができ、400μm以下であれば、ケーキシートを十分に変形させることができる。当該厚さとしては、150μm以上、350μm以下が好ましく、200±20μm以上、300±20μm以下がより好ましい。
【0023】
底敷の形状や大きさは、載置するケーキに応じて適宜決定すればよい。例えば形状は、正方形、長方形、円形、楕円形などとすることができる。方形の角にはR(アール)を設けてもよい。大きさに関しては、例えば、正方形の一辺の長さとしては3cm以上、50cm以下程度、長方形の短辺の長さとしては4cm以上、15cm以下程度、長方形の長辺の長さとしては7cm以上、50cm以下程度、円形の直径としては3cm以上、50cm以下程度、楕円形の短軸の長さとしては2cm以上、20cm以下程度、楕円形の長軸の長さとしては3cm以上、50cm以下程度とすることができる。
【0024】
ケーキは、一般的に、冷蔵されたショーケースに入れられており、ショーケースから取り出す際に側面を持つとケーキが変形するおそれがあり得る。そこで、本発明に係る底敷の周縁部には1以上の取手部を設けることが好ましい。かかる取手部を底敷に設けることにより、ケーキに直接触れることなくショーケースから取り出し易くなる。
【0025】
取手部の形状や大きさは、適宜調整すればよい。例えば取手部の形状は、角形、角部にアール(R)を有する角形、半円などが挙げられる。取手部の大きさについては、例えば、幅を1cm以上、2cm以下、長さを1cm以上、2cm以下とすることができる。取手部の数は、主に載置するケーキの大きさに応じて調整すればよい。例えば、載置するケーキが大きいものであれば、ケーキを両手で取り出せるよう底敷の対辺などに1ずつ取手部を設けることができ、一般的なカットケーキであれば、取手部は1つで十分である。
【0026】
取手部は、掴み易いよう、水平面に対して上側へ折り曲げることが好ましい。本発明に係る底敷の例を、図1に示す。
【0027】
本発明に係るケーキシートは、ケーキの側面の少なくとも一部を被覆するケーキサイドシートとして利用することができる。通常、ケーキは円形のホールケーキとして作られ、洋菓子店では、食べ易いようホールケーキを一人分の三角形または略三角形に切断し、ショーケースに並べることも多い。その結果、ケーキのスポンジ部が側面に露出することになり、保存時に露出したスポンジ部から水分が抜け、ケーキの食感が損なわれることになる。よって、一般的には、薄いポリプロピレンフィルムで側面を被覆するが、ポリプロピレンフィルムには、剥離時にスポンジや生クリーム等が付着し易い、強度が十分でない、端部が分かり難く剥離し難いといった欠点がある。一方、本発明に係るケーキシートは、スポンジ等が付着し難く、且つ十分な強度を有する。
【0028】
本発明に係るケーキシートをケーキサイドシートとする場合、厚さとしては、400μm以上、700μm以下とすることができる。当該厚さが400μm以上であれば、ケーキサイドシートとして十分な強度になり、700μm以下であれば、ケーキシートを十分に変形させることができる。当該厚さとしては、450μm以上、600μm以下が好ましく、500±50μmがより好ましい。
【0029】
ケーキサイドシートの形状や大きさは、被覆するケーキに応じて適宜決定すればよい。例えば、ケーキサイドシートの高さは、上面の飾り付けを十分に保持できるよう、被覆すべきケーキの高さの1.05倍以上、1.5倍以下程度とすることが好ましい。また、ケーキサイドシート自体の形状は長方形や角にR(アール)を有してもよい略長方形であればよいが、ケーキの平面形状に合わせて折り目を有することが好ましい。
【0030】
ケーキサイドシートは、ケーキの側面全体を被覆するものであってもよいが、スポンジなど乾燥し易いものが露出している側面のみを被覆するものであってもよい。例えば、一般的にホールケーキの側面には生クリーム等が塗られていることも多く、その様なホールケーキを略三角形にカットした場合、スポンジが露出しているのは2面のみとなる。その様な場合、本発明に係るケーキサイドシートは、図2のように長方形のポリ塩化ビニルシートを単に1箇所で折り曲げたものであってもよい。その場合、ケーキサイドシートの折り曲げ角度は、側面を被覆すべきケーキの形状に応じて調整すればよい。本発明に係るケーキサイドシートは、ポリ塩化ビニルという材質とその厚さにより、折り曲げられた際の角度を維持することができる。
【0031】
本発明に係るケーキサイドシートは、ケーキの側面に密着させた後、各端部を重複させてテープや接着剤などで固定してもよいが、本発明に係るケーキシートは一旦成形すれば形状が維持され易いこと、また、特に生クリームやババロアなど水分が比較的多い成分に密着し易いことから、ケーキに単に密着させるのみであってもよい。また、底敷の形状などによっては、底敷によりケーキサイドシートの形状を維持することも可能になる。
【0032】
底敷の取手部やケーキサイドシートの折り曲げは、常法によればよい。例えば、折り曲げ部を加熱しつつ圧力をかければよい。また、折り曲げ部の表面をカッター等で薄く傷つけた後に折り曲げてもよい。但し、機械を使って、又は手で単に折り曲げることも可能である。
【0033】
本発明に係るケーキシートには、スポンジやクリーム等のケーキ成分が付着し難い。よって、本発明に係るケーキシートをケーキの底敷やケーキサイドフィルムとして用いた場合、剥離によるケーキの外観の低下や、ケーキ成分が付着したケーキシートによる不快感が低減されている。また、十分な強度を有するため、ケーキサイドフィルムとして用いた場合、ケーキ上面の飾り付けを保持できる。なお、ここでいうケーキには、スポンジに生クリーム等を塗った一般的なケーキの他、チーズケーキやシフォンケーキなど主にスポンジからなるケーキや、ムース、ババロア、プリン、ゼリー、パイ、シュークリーム等、スポンジを含まない、或いは少量のスポンジを含むものも含まれるものとする。本発明に係るケーキシートは、その他、成形した少量の酢飯の上に刺身などを載せた飾り寿司、和菓子、握り飯、菓子パン等にも適用でき得る。
【実施例0034】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0035】
実施例1: 底敷シートの試験
(1)サンプルケーキの作製
中心に生クリーム部分を有し、下からショコラスポンジ層、ショコラムース層、及びスポンジ層からなる三層構造を有し、上面にチョコレートパウダーを振り掛けた4cm×9cm×高さ7cmのチョコレートケーキを作製した。
【0036】
(2)底敷シート
前記チョコレートケーキの側面を厚さ25μmのOPPフィルムで被覆し、厚さ500μm×5cm×10cmのポリ塩化ビニル(PVC)シートであって、角部に丸みを設け、一辺に取手部分を設けた底敷の上に載せた。
比較のために、700g/m2のボール紙にポリプロピレンフィルムでコーティングした5cm×11cmの一般的なケーキ台紙と、厚さ500mm×5cm×9.5cmのポリプロピレンシートにも同様にサンプルチョコレートケーキを載せた。
上記チョコレートケーキを8℃の冷蔵庫に12時間保管し、ケーキを除いた後の底敷シートの写真を図3に示す。
【0037】
図3に示される結果の通り、紙+PP台紙やPPシートには、生クリームとスポンジ、特に生クリームが多く付着した。一方、PVCフィルムには、生クリームとスポンジの付着量が明らかに低減されていた。
以上の結果の通り、本発明に係るPVCフィルムはケーキの底敷として非常に適していることが実証された。
【0038】
実施例2: ケーキサイドシートの試験
(1)サンプルケーキの作製
底からスポンジ層と生クリーム層を交互に4層ずつ積層した直径22cm、高さ7cmのホールケーキを作製し、8等分にカットした後、8等分にカットした桃を載せたサンプルケーキを作製した。
厚さ0.3mmのポリ塩化ビニル(PVC)シートを8cm×24cmに切断し、長さ方向に半分の位置において手作業で軽く切れ目を入れてから折り曲げ、シートを軽く押してサンプルケーキのスポンジ露出側面に密着させて被覆し、紙製の底敷シートで抑えた。
比較のために、ケーキサイドフィルムとして一般的に用いられている厚さ25μm二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを7cm×30cmに切断し、サンプルケーキのスポンジ露出側面に密着させて被覆した。
【0039】
(3)保存試験
上記チョコレートケーキを8℃の冷蔵庫に保管し(図4)、36時間後にケーキから剥離した各ケーキサイドフィルムの写真を図5に示す。
【0040】
図4の写真の通り、本発明に係るPVCシートによれば、ケーキ上に載せたフルーツが比較的大きい場合であっても、しっかりと保持することが可能である。
また、図5の通り、従来、ケーキサイドフィルムとして一般的に用いられているOPPフィルムには、生クリームが全面的に付着しており、スポンジも一部付着していた。
それに対して、本実験で用いたPVCフィルムの場合には、生クリームとスポンジの付着量が明らかに低減されており、ケーキの外観の低下を抑制できるのみならず、剥離したケーキサイドフィルムによる不快感も低減できることが示された。
図1
図2
図3
図4
図5