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特開2023-40430軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物、及び、それを用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造
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  • 特開-軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物、及び、それを用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造 図1
  • 特開-軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物、及び、それを用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造 図2
  • 特開-軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物、及び、それを用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造 図3
  • 特開-軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物、及び、それを用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040430
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物、及び、それを用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/56 20060101AFI20230315BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
E04B2/56 652J
E04B2/56 604A
E04B2/56 622C
E04B2/56 622J
E04B2/56 622W
E04B2/56 622Y
E04B2/56 643A
E04B2/56 652T
E04B1/58 601A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147374
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】399117730
【氏名又は名称】住友金属鉱山シポレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】枝國 雄太
【テーマコード(参考)】
2E002
2E125
【Fターム(参考)】
2E002FB02
2E002HA03
2E002HB02
2E002HB14
2E002HB16
2E002MA12
2E125AA02
2E125AA53
2E125AC15
2E125AE02
2E125BB05
2E125BB11
2E125BB29
2E125BC09
2E125BD06
2E125BE04
(57)【要約】
【課題】ロッキング機構を備えるALCパネル壁体の施工におけるパネル取付け作業を従来よりも簡略化された手順で容易に行えるようにして、ALCパネル壁体の品質安定性と生産性を向上させること。
【解決手段】パネル載置板11からなるパネル載置金具1と、発泡ゴム層13と、自重受け水平板21と、自重受け水平板21の一側辺から垂直に立ち上がる垂直支持板22と、を備える自重受け金具2と、からなり、パネル載置金具1は、自重受け水平板21の自重受け面に発泡ゴム層13を介して積層一体化されていて、パネル載置板11の自重受け水平板21側の面、又は、自重受け水平板21のパネル載置板11側の面のうち、何れか一の面の略中央部に、ロッキング機構構成用の突起部12が形成されていて、発泡ゴム層13は、突起部12の高さと同等以上の厚さを有し、突起部12の周囲に形成されている、軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物10とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物であって、
略矩形状のパネル載置板からなるパネル載置金具と、
発泡ゴム層と、
略矩形状の自重受け水平板と該自重受け水平板の一側辺から該自重受け水平板に対して垂直に立ち上がる垂直支持板とを備える自重受け金具と、
からなり、
前記パネル載置金具は、前記自重受け水平板の自重受け面に前記発泡ゴム層を介して積層一体化されていて、前記パネル載置板の前記自重受け水平板側の面、又は、前記自重受け水平板の前記パネル載置板側の面のうち、何れか一の面の略中央部に、ロッキング機構構成用の突起部が形成されていて、
前記発泡ゴム層は、前記突起部の高さと同等以上の厚さを有し、前記突起部の周囲に形成されている、軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物。
【請求項2】
請求項1に記載の軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物の前記パネル載置板に軽量気泡コンクリートパネルが載置されてなる軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造。
【請求項3】
軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物組立てキットであって、
自重受け金具と、パネル載置金具と、からなり、
前記自重受け金具は、自重受け水平板と、該自重受け水平板の一側辺から該自重受け水平板に対して垂直に立ち上がる略矩形状の垂直支持板と、備え、
前記パネル載置金具は、略矩形状のパネル載置板を備え、
前記パネル載置板、又は、前記自重受け水平板の何れかの表面の略中央部に、ロッキング機構構成用の突起部が形成されていて、
前記パネル載置板、又は、前記自重受け水平板の表面のうち、前記ロッキング機構構成用の突起部が形成されている面には、非圧縮時における厚さが前記突起部の高さと同等以上である発泡ゴム層が、前記突起部の周囲に形成されている、
軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物組立てキット。
【請求項4】
軽量気泡コンクリートパネルのロッキング機構構成用のパネル載置金具であって、
パネル載置板と、
発泡ゴム層と、からなり、
前記パネル載置板の表面の略中央部にはロッキング機構構成用の突起部が形成されていて、
前記発泡ゴム層は、非圧縮時における厚さが前記突起部の高さと同等以上であって、前記パネル載置板の前記表面において、前記突起部の周囲に形成されている、
パネル載置金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)用の取付け金物に関する。本発明は、より詳しくは、ALCパネルを用いて構成した壁体(ALCパネル壁体)に、適切なロッキング機構を付与することができる取付け金物、及び、それを用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁をALCパネルによって構成することが広く行われている。そして、このようなALCパネル壁体において、ALCパネルの自重は、アングル等の下地を介して建物躯体に取付けられた取付け金物によって支持されている。
【0003】
ここで、ALCパネルを用いてなる壁体(ALCパネル壁体)は、地震等により一定以上の外力が加わった場合に、パネル取付け部に生じる応力が許容応力度を超え、ALCパネルの脱落や局部的破壊が生じてしまう危険性があった。これを回避するため、ALCパネル壁体においては、通常、壁面方向内でのALCパネルの微少な回転により上記の応力を開放することができるロッキング機構が付与されている。このようなロッキング機構を付与するための金物として、ALCパネルの底面と取付け金物の間に配置する金物であって、ロッキング性能の発揮に必要なクリアランスを確保するための突起部が形成されている金物が広く用いられている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている突起部を有する金物によって、ALCパネル壁体に適切なロッキング性能を発現させるためには、当該金物を一つ一つ高い位置精度でALCパネルの底面に留め付けする作業が必要であった。この金物の留め付け作業は、建物の建築現場で、施工者による手作業によるものとなる場合が多く、施工者による品質のばらつきや、作業の繁雑さについて改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-16841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ロッキング機構を備えるALCパネル壁体の施工におけるパネル取付け作業を、従来よりも簡略化された手順で容易に行えるようにして、ALCパネル壁体の品質安定性と生産性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、2つの金具が発泡ゴム層を介して積層一体化されてなる構造を有する取付け金物によって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0008】
(1) 軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物であって、略矩形状のパネル載置板からなるパネル載置金具と、発泡ゴム層と、略矩形状の自重受け水平板と該自重受け水平板の一側辺から該自重受け水平板に対して垂直に立ち上がる垂直支持板とを備える自重受け金具と、からなり、前記パネル載置金具は、前記自重受け水平板の自重受け面に前記発泡ゴム層を介して積層一体化されていて、前記パネル載置板の前記自重受け水平板側の面、又は、前記自重受け水平板の前記パネル載置板側の面のうち、何れか一の面の略中央部に、ロッキング機構構成用の突起部が形成されていて、前記発泡ゴム層は、前記突起部の高さと同等以上の厚さを有し、前記突起部の周囲に形成されている、軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物。
【0009】
(1)の軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物によれば、ロッキング機構を備えるALCパネル壁体の施工において、従来、必須の工程とされていたロッキング機構構成用の金物のパネル底面へ留め付け作業が不要となり、ALCパネル壁体の施工を、従来よりも簡略化、容易化された作業手順で行うことができるようになる。これにより、施工者による品質のばらつきを抑えながら、尚且つ、上記施工におけるALCパネルの取付け作業の作業性を著しく向上させることができる。
【0010】
(2) (1)に記載の軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物の前記パネル載置板に軽量気泡コンクリートパネルが載置されてなる軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造。
【0011】
(2)の軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造によれば、(1)の取付け金物が奏する上記効果を享受することにより、ALCパネル壁体を形成する際の作業の安定性と作業性が著しく向上する。これにより、ALCパネル壁体の品質安定性と生産性の向上に貢献することができる。
【0012】
(3) 軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物組立てキットであって、自重受け金具と、パネル載置金具と、からなり、前記自重受け金具は、自重受け水平板と、該自重受け水平板の一側辺から該自重受け水平板に対して垂直に立ち上がる略矩形状の垂直支持板と、備え、前記パネル載置金具は、略矩形状のパネル載置板を備え、前記パネル載置板、又は、前記自重受け水平板の何れかの表面の略中央部に、ロッキング機構構成用の突起部が形成されていて、前記パネル載置板、又は、前記自重受け水平板の表面のうち、前記ロッキング機構構成用の突起部が形成されている面には、非圧縮時における厚さが前記突起部の高さと同等以上である発泡ゴム層が、前記突起部の周囲に形成されている、軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物組立てキット。
【0013】
(3)の軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物組立てキットによれば、ロッキング機構を備えるALCパネル壁体の施工において、従来、必須の工程とされていたロッキング機構構成用の金物のパネル底面へ留め付け作業が不要となり、ALCパネル壁体の施工を、従来よりも簡略化、容易化された作業手順で行うことができるようになる。これにより、施工者による品質のばらつきを抑えながら、尚且つ、上記施工におけるALCパネルの取付け作業の作業性を著しく向上させることができる。又、取付け金物を、この組み立てキットを用いて建築現場において組立てる工法とすることができる。これらにより、工場組立て品と比較して、例えば、自重受け金具へのパネル載置金具の最終的な一体化を、現場の状況に合わせて任意の工程段階でフレキシブルに行うことができる点や、不具合が生じている一部金物の部分交換が可能であるという点において、有利な効果を享受することができる。
【0014】
(4) 軽量気泡コンクリートパネルのロッキング機構構成用のパネル載置金具であって、パネル載置板と、発泡ゴム層と、からなり、前記パネル載置板の表面の略中央部にはロッキング機構構成用の突起部が形成されていて、前記発泡ゴム層は、非圧縮時における厚さが前記突起部の高さと同等以上であって、前記パネル載置板の前記表面において、前記突起部の周囲に形成されている、パネル載置金具。
【0015】
(4)のパネル載置金具によれば、必ずしも、上記のパネル載置金具との組合せに限られず、従来公知の様々な形状の自重受け金具等と組み合わせて用いることによって、(1)の軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物や、(3)の軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物組立てキットが奏する効果と実質的に同等の効果を享受することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ロッキング機構を備えるALCパネル壁体の施工におけるパネル取付け作業を、従来よりも簡略化された手順で容易に行えるようにして、ALCパネル壁体の品質安定性と生産性を向上させることを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物の構造の説明に供する分解斜視図である。
図2】本発明の軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物の側面図である。
図3】本発明の軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物の正面図である。
図4】本発明の軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物を用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造の側面図である。
図5】本発明の軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物を用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造(軽量気泡コンクリートパネルは図示を割愛)の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の「軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物」及び、本発明の「軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造」の好ましい実施形態について説明する。
【0019】
<軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物>
図1~3は、本発明の軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物(以下、単に、「取付け金物」とも言う)の一例である、取付け金物10の構造を模式的に示す図面である。取付け金物10は、図1~3に示す通り、略矩形状のパネル載置金具1と、略L字形の側断面を有する自重受け金具2とが、発泡ゴム層13を介して積層一体化されてなる金属とゴムとの複合体部材である。
【0020】
取付け金物10を構成する2つの金具、即ち、パネル載置金具1と自重受け金具2とは、夫々が、接着材或いは粘着材によって、発泡ゴム層13に接合されることによって、取付け金物10として一体化されている。上記の接着剤及び粘着剤としては、金属とゴムとの界面において所望の強度の接着性或いは粘着性を発現可能な公知の各種材を用いることができる。
【0021】
そして、取付け金物10を用いて形成されるALCパネル壁体のロッキング機構が作動する時には、パネル載置金具1と自重受け金具2とを接合している発泡ゴム層13が十分に圧縮変形することによって、ロッキング機構の動作が円滑に発現される。
【0022】
つまり、取付け金物10を構成する発泡ゴム層13は、少なくとも軽量気泡コンクリートパネルの施工完了までの間においては、取付け金物10の主要部分を構成する2つの金具を接合して、その一体性を安定的に維持する層として機能する。そして、軽量気泡コンクリートパネルの施工完了後においては、発泡ゴム層13は、主として、ALCパネル壁体のロッキング機構の動作を妨げることなく円滑にロッキング機能を発現させる層として機能する。そのような2つの機能を発揮し得る層とするために、発泡ゴム層13の材料として、発泡ゴム(ゴム製のスポンジ)が選択されている。発泡ゴム層13の詳細については後述する。
【0023】
又、取付け金物10においては、これを構成する2つの金具、即ち、パネル載置金具1又は自重受け金具2のうちの何れかに、ロッキング機構構成用の突起部が形成されていればよい。図1から3には、パネル載置金具1の方にロッキング機構構成用の突起部12が形成されている実施形態を図示している。この場合、ロッキング機構構成用の突起部12は、パネル載置金具1を構成するパネル載置板11の下面、即ち、自重受け水平板21と対向する側の面の略中央部に形成されていればよい。この突起部12が、パネル載置金具1と自重受け金具2の間の適切なクリアランスを確保しながら、対面する両面と点接触していることにより、ALCパネル壁体のロッキング機構の機能が担保される。
【0024】
尚、図示は略すが、本発明の取付け金物においては、自重受け金具の方にロッキング機構構成用の突起部を設けることもできる。この場合、ロッキング機構構成用の突起部は、自重受け金具を構成する自重受け水平板の上面、即ち、パネル載置板と対向する側の面の略中央部に形成されていればよい。
【0025】
上記何れの実施形態においても、突起部12の形状は、夫々が対面する面との間に点接触する凸状の形状であればよく、好ましくは半球形状である。突起部12の頂部が、対面する面と点接触していることにより、パネル載置板11の自重受け水平板21とからの変位の方向に関らず、ALCパネル30の自重を自重受け水平板21に伝えることができる。又、突起部12の高さについては、突起部12によって点接触しているパネル載置板11と自重受け水平板21との間のクリアランスが、夫々のALCパネル壁体に求められるロッキング機能を発揮するために必要な所定の大きさとなるような高さであればよい。
【0026】
尚、取付け金物10の突起部12の好ましい高さは、一例として、1mm以上5mm以下程度である。このような取付け金物10を適切に配置して、突起部12によって確保される上記の「クリアランス」を上記範囲程度とすることにより、ALCパネル30を横積みしたALCパネル壁体において必要とされるロッキング機構を適切に形成することができる。
【0027】
尚、図2、3においては、取付け金物10について、突起部12の高さと発泡ゴム層13の厚さが同一である状態(突起部12の先端が自重受け金具2に「点接触」している状態)が示されているが、本発明の取付け金物は、使用前の状態における発泡ゴム層13の厚さが、使用時にALCパネルの自重で圧縮されて上記の「点接触」が形成されることが担保されている限りにおいて、突起部12の高さよりも大きくてもよい。この場合には、使用前の状態においては、突起部12の先端と対面する金具の表面との間には発泡ゴム層13の厚さが過大な分だけの隙間が空いている状態となるが、本発明の「取付け金物」はこのような隙間がある状態でパネル載置金具1と自重受け金具2とが、発泡ゴム層13を介して接合されている構成であってもよい。
【0028】
以上説明した基本構造に基づき、取付け金物10は、それを用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造100によって形成されるALCパネル壁体に適切なロッキング機構を備えさせることができる。
【0029】
[パネル載置金具]
取付け金物10を構成するパネル載置金具1は、略矩形状のパネル載置板11によって構成される金属部材である。このパネル載置金具1は、上述の通り、発泡ゴム層13を介して自重受け金具2と一体化されることによって、取付け金物10を構成することができる。
【0030】
パネル載置金具1は、図1~3に示すように、パネル載置板11の表面の略中央部にロッキング機構構成用の突起部12が形成されていて、尚且つ、上記各図に示すように、突起部12の周囲に、発泡ゴム層13が配置されている構成とすることが好ましい。このような構成とすることにより、パネル載置金具1は、必ずしも、本発明に係る自重受け金具2との組合せによる使用に限定されず、従来公知の様々な形状の自重受け金具等と組み合わせて用いて、取付け金物10が奏する上述の効果と実質的に同等の効果を享受することが可能である。
【0031】
パネル載置金具1を単独の金具として用いる場合には、取扱い性を高めるために、発泡ゴム層13の表面に粘着層を形成しておき、更にその表面に離型フィルムを積層しておく構成とすることがより好ましい。
【0032】
そして、上述の何れの実施形態とする場合においても、パネル載置金具1に発泡ゴム層13を配置する場合、その厚さは、非圧縮時における厚さが、当該発泡ゴム層が取り囲む突起部の高さと同等であるか、或いは、それよりも大きい厚さとすることが好ましい。発泡ゴム層の厚さを、突起部の高さよりも大きくする場合、例えば、発泡ゴム層の圧縮時の変形率に応じて、ロッキング機能の発現を阻害しない範囲内の厚さとすればよい。この厚さはALCパネル壁体に求められる具体的な機能に対応できる限りにおいて特に限定はされないが、一例として、発泡ゴム層13を圧縮時において非圧縮時の厚さの10%以下の厚さにまで縮小変形が可能な材料で構成して、非圧縮時の同層の厚さを、突起部12の高さの100%以上300%以下の範囲内とすることが好ましい。
【0033】
[自重受け金具]
自重受け金具2は、略矩形状の自重受け水平板21と、自重受け水平板21の一側辺から自重受け水平板21に対して垂直に立ち上がる略矩形状の垂直支持板22と、を含んでなる金属部材である。これらの各部分を含んでなる自重受け金具2は、例えば、所定の形状に打ち抜いた一枚の金属板を、所定の位置で垂直に折り曲げ加工することによって上記各部分を含んでなるものとして形成することができる。この自重受け金具2は、上述の通り、発泡ゴム層13を介してパネル載置金具1と一体化されることによって、取付け金物10を構成することができる。
【0034】
尚、自重受け金具2には、例えば、図5に示すような態様で、アングル材等の建物躯体20との継合構造を構成することができる水平切り欠き部211が形成されていてもよい。
【0035】
[発泡ゴム層]
発泡ゴム層13は、圧縮に対する変形率が大きく一定の強度も有する各種の発泡性のゴム材料(スポンジゴム)によって構成することができる。発泡ゴム層を形成する材料は、より詳しくは、地震等の振動により当該ALCパネル壁体のロッキング機能が発揮されるべき状況である時に、当該発泡ゴム層にかかる圧力によって、非圧縮時の厚さの30%以下、好ましくは10%以下までその厚さが縮小変形する材料(縮小率90%以上の材料)であることが好ましい。又、少なくとも、軽量気泡コンクリートパネルの施工が完了するまでの間、パネル載置金具1と自重受け金具2との一体性を安定的維持できる程度の強度と耐久性を有するものであることも求められる。そのような要求に応え得る好ましい材料の一例として、クロロプレンゴムを使用した独立気泡ゴムスポンジ(CRスポンジ)を挙げることができる。尚、発泡性のゴム材料(スポンジゴム)は製造時に発泡部の割合を調整することによって、任意の縮小率の材料とする加工が可能であるため、その点においても、ロッキング機能の発現を担保するために用いられる取付け金物10を構成するパネル載置金具1と自重受け金具2を接合する材料として極めて適している。
【0036】
取付け金物10において、発泡ゴム層13は、突起部12の周囲に形成される。ここで、本明細書において「突起部の周囲に形成する」とは、少なくとも、図1~3に示すように、「突起部12を中心としてその両側の対称位置において突起部12を挟んで配置されているように形成する」ことを意味する。従って、発泡ゴム層13は、必ずしも突起部の全周囲を囲繞する配置であることまでは必須とはしない。例えば、図1~3に示すように、パネル載置金具1を構成するパネル載置板11の下面(自重受け水平板21に対向する面)において突起部12を中心とした両側の対称位置である、パネル載置板11の下面の両側端部に、突起部12をその間に挟み込む態様で帯状の発泡ゴム層13が配置されている例を、発泡ゴム層13の配置の一例として挙げることができる。
【0037】
又、取付け金物10における発泡ゴム層の厚さは、使用時に想定される応力による圧縮時において非圧縮時の厚さの10%以下の厚さにまで縮小可能な発泡ゴム材料で構成する場合であれば、非圧縮時における当該発泡ゴム層の厚さが取り囲む突起部12の高さの100%以上300%以下、好ましくは、150%以上200%以下の範囲内の厚さとすることが好ましい。
【0038】
<軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造>
(以下、単に、「取付け構造」とも言う)取付け金物10とALCパネル30との接合構造である軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造100においては、一例として図4図5に示すように、ALCパネル30が、ロッキング性能を発揮可能な態様で取付け金物10に取り付けられている。より詳しくは、取付け金物10のロッキング機構構成用の突起部12が適切に形成されていることにより、軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造100がロッキング機構を有する構造とされており、これにより、ALCパネル壁体のロッキング性能が担保されている。
【0039】
<取付け金物組立てキット>
本発明の取付け金物10は、自重受け金具2とパネル載置金具1とが、一体化される前の分離した状態で一組の組合せとされている「取付け金物組立てキット」としても用いることができる。
【0040】
例えば、図2図3に示す取付け金物10は、このように一体化された状態で、ALCパネル壁体の建設現場に搬入されたものを用いることもできるが、図1のような状態のまま、一体化前の部品の組合せである金物組立てキットを建設現場に搬入し、この取付け金物組立てキットを一体化して取付け金物10を組立てる工程と、このようにして組立たてた取付け金物10にALCパネル30を載置する工程と、を、何れもALCパネル壁体の設置現場において行うことにより、ALCパネルを形成することもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 パネル載置金具
11 パネル載置板
12 ロッキング機構構成用の突起部
13 発泡ゴム層
2 自重受け金具
21 自重受け水平板
211 水平切り欠き部
22 垂直支持板
10 取付け金物
20 建物躯体
30 軽量気泡コンクリートパネル
100 軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造
図1
図2
図3
図4
図5