2023-40441 振れ止め用ワイヤーロープ取付金具及び取付金具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023040441

(43)【公開日】2023-03-23

(54)【発明の名称】振れ止め用ワイヤーロープ取付金具及び取付金具

(51)【国際特許分類】

   F16B 45/00 20060101AFI20230315BHJP

   H02G 7/00 20060101ALN20230315BHJP

【ＦＩ】

F16B45/00 Z

F16B45/00 F

H02G7/00

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021147398

(22)【出願日】2021-09-10

(71)【出願人】

【識別番号】000136686

【氏名又は名称】合同会社ブレスト工業研究所

(74)【代理人】

【識別番号】100066223

【弁理士】

【氏名又は名称】中村 政美

(74)【代理人】

【識別番号】100074251

【弁理士】

【氏名又は名称】原田 寛

(72)【発明者】

【氏名】河瀬 優也

(72)【発明者】

【氏名】板倉 圭佑

(72)【発明者】

【氏名】速水 球太郎

(72)【発明者】

【氏名】木内 翔太

【テーマコード（参考）】

3J038

5G367

【Ｆターム（参考）】

3J038AA01

3J038BA17

3J038BB03

5G367AC03

(57)【要約】

【課題】予め器具類にネジ止めしてあるボルトを緩めるだけでワイヤーロープを連結することが可能な振れ止め用ワイヤーロープ取付金具を提供する。
【解決手段】器具類Ｐにネジ止めしてあるボルトＰ１に固定される本体を形成する。本体１に、ボルトＰ１の頭部が通る大きさの挿通孔３を設ける。本体１に、挿通孔３から延長して形成される係止孔４を設ける。係止孔４は、ボルトＰ１の軸部を挿通してボルトＰ１の頭部に係止する幅とする。係止孔４の末端でボルトを締めつけることで器具類Ｐに固定するように構成する。
【選択図】 図５

【特許請求の範囲】

【請求項1】

器具類にネジ止めしてあるボルトに固定され、器具類に振れ止め用部材を取り付ける取付金具であって、ボルトで器具類に固定される本体は、ボルトの頭部が通る大きさの挿通孔が設けられ、挿通孔から延長して形成される係止孔が少なくとも１つ設けられ、係止孔はボルトの軸部を挿通してボルトの頭部に係止する幅であり、係止孔でボルトを締めつけることで器具類Ｐに固定するように構成されたことを特徴とする取付金具。

【請求項2】

前記本体に、振れ止め用部材を取り付ける取付部が形成されている請求項１に記載の取付金具。

【請求項3】

前記本体は板状を成し、前記挿通孔と前記係止孔の間で、前記本体が屈曲されている請求項１または２に記載の取付金具。

【請求項4】

前記係止孔は、前記挿通孔の周囲に等角度に配置されている請求項１～３いずれかに記載の取付金具。

【請求項5】

器具類にネジ止めしてあるボルトに固定され、器具類に振れ止め用部材を取り付ける取付金具であって、本体は板状を成し、前記本体に挿通孔が設けられ、前記挿通孔から延長された延長部と、各延長部の先端側に連続形成された係止孔と、を備え、前記本体は、各延長部を横断する屈曲部を備えた取付金具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、取付金具に係り、振れ止め用ワイヤーロープを器具に取り付けるために使用するのに好適な取付金具に関するものである。

【背景技術】

【0002】

例えば、各種の機器、器材等の器具類の振れ止めをするためにワイヤーロープで固定する場合がある。この場合、予め器具類Ｐにネジ止めしてあるボルトＰ１を利用し、このボルトにワイヤーロープ等を連結する作業になっていた（図７参照）。すなわち、器具類ＰのボルトＰ１を取り外し（同図（イ）参照）、このボルトＰ１を利用して取付金具１００を器具類Ｐに装着し、この取付金具１００に振れ止めとしてのワイヤーロープＱ等を連結するものである（同図（ロ）参照）。

【0003】

一方、受金具を固定するだけでロ－プの端部の固定を簡単にできるようにしたロ－プの端部取付け金具が特許文献１に記載されている。この取付け金具は、柱や壁面等に予め受け金具を溶接等により固定し、この受け金具に連結した取付け金具を介してロ－プの端部を固定する構成である。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特許第３３５８０７３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

器具類の側面にネジ止めしてあるボルトを利用する作業では、側面のボルトを完全に取り外す必要がある。そのため、ボルトを完全に取り外した状態では、器具類の設置が不安定になるおそれがあった。しかも、取り外したボルトを元の位置にねじ止めする作業にも手間を要するものであった。

【0006】

また、特許文献１に記載の取付け金具は、ロ－プの端部を固定するために、予め受け金具を溶接等により固定する必要がある。そのため、取付け金具の装着工程に多くの手間をする上、溶接等の固定手段が不適当な器具類に使用することはできない。

【0007】

そこで本発明は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、溶接等の固定手段が不要で、予め器具類にネジ止めしてあるボルトを緩めるだけでワイヤーロープを連結することが可能な取付金具の提供を目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

上述の目的を達成すべく本発明における第１の手段は、器具類Ｐにネジ止めしてあるボルトＰ１に固定され、器具類Ｐに振れ止め用部材を取り付ける取付金具であって、ボルトＰ１で器具類Ｐに固定される本体１は、ボルトＰ１の頭部が通る大きさの挿通孔３が設けられ、挿通孔３から延長して形成される係止孔４が少なくとも１つ設けられ、係止孔４はボルトＰ１の軸部を挿通してボルトＰ１の頭部に係止する幅であり、係止孔４でボルトを締めつけることで器具類Ｐに固定するように構成されたものである。

【0009】

第２の手段は、前記本体１に、振れ止め用部材を取り付ける取付部が形成されているものである。

【0010】

第３の手段は、前記本体１は板状を成し、前記挿通孔３と前記係止孔４の間で、前記本体が屈曲されている。

【0011】

第４の手段の前記係止孔４は、前記挿通孔３の周囲に等角度に配置されているものである。

【0012】

第５の手段は、器具類Ｐにネジ止めしてあるボルトＰ１に固定され、器具類Ｐに振れ止め用部材を取り付ける取付金具であって、前記本体１は板状を成し、前記本体に前記挿通孔３が設けられ、前記挿通孔３から延長された延長部３Ａと、各延長部３Ａの先端側に連続形成された前記係止孔４と、を備え、前記本体１は、各延長部３Ａを横断する屈曲部１Ｂを備えた取付金具である。

【発明の効果】

【0013】

本発明によると、予め器具類にネジ止めしてあるボルトを緩めるだけでワイヤーロープを連結することが可能になるものである。

【図面の簡単な説明】

【0014】

【図1】本発明の一実施例を示す正面図である。

【図2】本発明の一実施例を示す側面図である。

【図3】図１に示す矢視III-III線断面図である。

【図4】本発明の挿通孔の周囲縁を示す要部断面図である。

【図5】本発明の使用状態を示す斜視図である。

【図6】（イ）～（ニ）は、本発明の装着手順を示す説明図である。

【図7】（イ）、（ロ）は、従来の取付金具の連結工程を示す説明図である。

【発明を実施するための形態】

【0015】

本発明取付金具は、例えば、駅舎内に設置する器具類Ｐに振れ止め用のワイヤーロープＱを取り付ける際に使用する。特に、器具類Ｐに予めねじ止めされているボルトＰ１に取り付けた本体１を介してワイヤーロープＱ等を連結するものである。

【0016】

図示の本体１は、略正三角形の板状部材で、この本体１の中央にボルトＰ１を通す挿通孔３が開穿されている（図１参照）。更に、この挿通孔３から本体１の各角部１Ａに向けて３本の延長部３Ａが夫々等角度の放射状に延長され、各延長部３Ａの先端側に係止孔４が連続形成されている。

【0017】

挿通孔３はボルトＰ１の頭部を挿通可能な大きさに形成され、延長部３Ａは挿通孔３に挿通したボルトＰ１の軸部が移動可能な幅に形成されている。そして、係止孔４は各延長部３Ａの端部側に形成された部位で、挿通したボルトＰ１の頭部が係止する幅に形成されるものである。

【0018】

これらの挿通孔３や係止孔４は、いずれも周囲縁に沿ってつぶし加工部５を形成している（図４参照）。このつぶし加工部５により、ボルトＰ１に沿って挿通孔３から係止孔４へ本体１を移動する作業が容易になり、また周囲縁のエッジによってワイヤーロープ等が損傷する事を防ぐことにより不測の事故を防ぐことができる。

【0019】

そして、係止孔４の位置でボルトＰ１を締め付けると本体１が器具類Ｐに固定されることになる（図５参照）。更に、残る２か所の係止孔４にワイヤーロープＱや紐状体を連結して振れ止め等に使用する。したがって、三角形の本体１に形成した３か所の係止孔４を使用することで、本体１の固定と２か所のワイヤーロープＱ連結が可能になる。尚、係止孔４の数は任意に変更できる。また、ワイヤーロープＱや紐状体を連結する係止孔４は挿通孔３から延長して形成する必要はなく、アイボルトなど設けてもよい。

【0020】

更に、係止孔４を形成した本体１の各角部１Ａは、各延長部３Ａを横断する屈曲部１Ｂを境にして同一方向に屈曲されている（図２参照）。この結果、器具類Ｐに固定された本体１のボルトＰ１が固定されていない係止孔４は、各角部１Ａの屈曲角度により器具類Ｐと係止孔４との間に隙間ができるため、ワイヤーロープＱ等の連付作業が容易になる。尚、図示の角部１Ａは、本体１側から２０°の角度で屈曲している（図３参照）。

【0021】

そうすると、係止孔４に挿通したボルトＰ１を緊締して角部１Ａを固定すると、角部１Ａに対して本体１の中央部分が２０°の角度に屈曲された状態で固定される。更に、ワイヤーロープＱを連結する残る角部１Ａは、本体１の中央部分から夫々２０°の角度で屈曲した状態で固定されることになる（図５参照）。この結果、器具類Ｐと角部１Ａとの間に、ワイヤーロープＱを連結する作業として十分な間隔が形成され、ワイヤーロープＱの連結作業が容易になるものである。また、仮にボルトＰ１が緩んだとしても、屈曲部１ＢがボルトＰ１を挿通孔３側へ移動することを防ぎ、ボルトＰ１から本体１が抜け落ちないようになっている。

【0022】

次に、図６に基づいて本発明取付金具の装着手順を説明する。まず、（イ）のごとく、器具類Ｐに予め設けられているボルトＰ１を緩め、本体１の挿通孔３にボルトＰ１を挿通する。そして、（ロ）のように、本体１の位置を上にスライドして挿通孔３から係止孔４にボルトＰ１が係止するように移動する。更に、（ハ）のごとく、最下部の係止孔４に係止したボルトＰ１を締め付けると器具類Ｐに本体１が固定される。最後に、同図（ニ）のように、固定した本体１の上部２か所の係止孔４にワイヤーロープＱを連結して振れ止めする。また、振れ止めをワイヤーロープＱではなく全ねじボルトやターバックルを使用してもよく、本体１は丸形や多角形などでもよい。

【0023】

尚、本発明の実施例は図示例に限定されるものではなく、各構成部位の変更や器具類Ｐの種類に設置位置などは、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は自由である。また、振れ止め用部材は例えばワイヤーロープ、紐状体、ターンバックル、全ねじボルトなどをいう。

【符号の説明】

【0024】

Ｐ 器具類
Ｐ１ ボルト
Ｑ ワイヤーロープ
１ 本体
１Ａ 角部
１Ｂ 屈曲部
２ 係止片
３ 挿通孔
３Ａ 延長部
４ 係止孔
５ つぶし加工部
１００ 従来の取付金具

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】