(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040452
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法及びデータ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230315BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
G06T7/00 300F
H04N7/18 K
G06T7/00 350B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147412
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】山際 正和
(72)【発明者】
【氏名】西田 靖孝
(72)【発明者】
【氏名】平尾 明子
【テーマコード(参考)】
5C054
5L096
【Fターム(参考)】
5C054FC07
5C054FC12
5C054FC14
5C054FD03
5L096FA33
5L096FA81
5L096GA41
5L096GA51
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】精度を向上できるデータ処理装置、データ処理方法及びデータ処理プログラムを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、データ処理装置は、取得部及び処理部を含む。前記取得部は、時系列画像データを含む第1データを取得可能である。前記処理部は、前記取得部が取得した前記第1データに基づくn次元(nは3以上の整数)の多次元配列に基づく第1特徴情報を導出可能である。前記多次元配列の第1軸は、時間に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列画像データを含む第1データを取得可能な取得部と、
前記取得部が取得した前記第1データに基づくn次元(nは3以上の整数)の多次元配列に基づく第1特徴情報を導出可能な処理部であって、前記多次元配列の第1軸は、時間に関する、前記処理部と、を備えたデータ処理装置。
【請求項2】
前記多次元配列の第2軸は、空間における第1空間軸における第1座標値に関し、
前記多次元配列の第3軸は、前記空間における第2空間軸に関する第2座標値に関し、前記第2空間軸は前記第1空間軸と交差した、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記時系列画像データは、前記第1座標値及び前記第2座標値に対応する位置における明るさに関する値を含む、請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記時系列画像データは、前記第1座標値及び前記第2座標値に対応する前記位置における色に関する値を含む、請求項2または3に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記第1特徴情報は、前記第1データの少なくとも一部の分散状態に対応し前記多次元配列に基づいて導出されたパーシステント図におけるパーシステント特徴値を含む、請求項1~4のいずれか1つに記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記パーシステント特徴値に関する第1基準値と、前記パーシステント特徴値と、を比較した結果に基づいて、前記第1データについての第1特徴情報を出力可能である、請求項1~5のいずれか1つに記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記第1特徴情報を入力とする機械学習に基づいて、前記第1データのうちの特徴的な部分を抽出可能である、請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記データ処理装置は、前記第1特徴情報に基づいて、対象装置に制御信号を供給可能であり、
前記第1データは前記対象装置に関する、請求項1~7のいずれか1つに記載のデータ処理装置。
【請求項9】
時系列画像データを含む第1データを取得し、
前記第1データに基づくn次元(nは3以上の整数)の多次元配列に基づく第1特徴情報を導出し、前記多次元配列の第1軸は、時間に関する、データ処理方法。
【請求項10】
前記第1特徴情報は、前記第1データの少なくとも一部の分散状態に対応し前記多次元配列に基づいて導出されたパーシステント図におけるパーシステント特徴値を含む、請求項9に記載のデータ処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
時系列画像データを含む第1データを取得させ、
前記第1データに基づくn次元(nは3以上の整数)の多次元配列に基づく第1特徴情報を導出させ、前記多次元配列の第1軸は、時間に関する、データ処理プログラム。
【請求項12】
前記第1特徴情報は、前記第1データの少なくとも一部の分散状態に対応し前記多次元配列に基づいて導出されたパーシステント図におけるパーシステント特徴値を含む、請求項11に記載のデータ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、データ処理装置、データ処理方法及びデータ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、評価対象に関する対象画像データなどを処理することで評価対象の状態が評価される。より高い精度の評価が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、精度を向上できるデータ処理装置、データ処理方法及びデータ処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、データ処理装置は、取得部及び処理部を含む。前記取得部は、時系列画像データを含む第1データを取得可能である。前記処理部は、前記取得部が取得した前記第1データに基づくn次元(nは3以上の整数)の多次元配列に基づく第1特徴情報を導出可能である。前記多次元配列の第1軸は、時間に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るデータ処理装置を例示する模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るデータ処理装置の動作を例示するフローチャート図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るデータ処理装置の動作を例示する模式図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るデータ処理装置の動作を例示する模式図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るデータ処理装置の動作を例示する模式図である。
【
図6】
図6(a)~
図6(e)は、第1実施形態に係るデータ処理装置の動作を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の長さなどの関係は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るデータ処理装置を例示する模式図である。
図1に示すように、実施形態に係るデータ処理装置110は、取得部31及び処理部32を含む。取得部31は、第1データDa1を取得可能である。第1データDa1は、例えば、時系列画像データを含む。取得部31は、例えば入力ポートである。
【0009】
処理部32は、取得部31が取得した第1データDa1に基づいて、第1特徴情報Pa1を導出可能である。処理部32は、導出された第1特徴情報Pa1を出力可能である。
【0010】
データ処理装置110は、例えば、出力部35を含んでも良い。処理部32は、第1特徴情報Pa1を、出力部35を介して出力しても良い。出力部35は、例えば出力ポートである。
【0011】
取得部31は、入力機能及び出力機能を有しても良い。この場合、出力部35は省略されて良い。取得部31は、例えば入力出力ポートである。
【0012】
処理部32は、例えば、電気回路(電子回路)などを含む。処理部32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含んで良い。
【0013】
データ処理装置110は、記憶部33を含んで良い。記憶部33は、例えば、磁気記録装置及び半導体記憶装置の少なくともいずれかを含んで良い。記憶部33は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)の少なくともいずれかを含んで良い。データ処理装置110は、表示部34などを含んで良い。表示部34が入力機能を有しても良い。
【0014】
データ処理装置110は、対象装置40に制御信号Sig1を供給しても良い。対象装置40は、データ処理装置110による制御の対象である。
【0015】
データ処理装置110に含まれる複数の要素の間におけるデータ(情報)の送受信は、有線及び無線の少なくともいずれかにより行われて良い。
【0016】
処理部32は、例えば、第1データDa1に基づいて、n次元(nは3以上の整数)の多次元配列を導出可能である。第1特徴情報Pa1は、導出されたn次元(nは3以上の整数)の多次元配列に基づく。n次元(nは3以上の整数)の多次元配列の1つの軸(第1軸)は、時間に関する。
【0017】
時間に関する軸を含む多次元配列に基づいて第1特徴情報Pa1が導出される。第1特徴情報Pa1を用いて、時系列画像データを含む第1データDa1が評価される。これにより、例えば、時系列画像データを、高い精度で評価できる。例えば、時系列画像データについて、より小さい時間的変化を抽出できる。例えば、時系列画像データについて、より小さい空間的変化を抽出できる。
【0018】
1つの例において、取得部31が取得する第1データDa1の時系列データは、対象装置40の状態の動画データでも良い。対象装置40の条件により、適正な動作が得られる場合と得られない場合がある。例えば、対象装置40における適正な条件に関する情報を得るために、種々の条件における種々の動画データを取得して、種々の動画データを解析することで適正な条件を得ようとする試みがある。
【0019】
1つの例において、対象装置40は、遮断器である。遮断器において、減圧容器の中に生成されるアークによりオン・オフが切り替えられる。アークの状態を撮像した動画データに基づいて、遮断器の状態が評価される。別の例において、対象装置40は、流体形成装置でも良い。例えば、液体または気体などの流体の流れが複数の粒子により画像化される。時間的に変化する流体が評価される。別の例において、対象装置40は、溶接装置でも良い。例えば、溶接の際の溶接部の動作データに基づいて、溶接の状態が評価される。別の例において、モノまたは人に流れが評価される。このような各種の例に、実施形態に係るデータ処理装置110が適用できる。
【0020】
以下、データ処理装置110における動作の例について説明する。
図2は、第1実施形態に係るデータ処理装置の動作を例示するフローチャート図である。
図2に示すように、データ処理装置110において、第1データDa1が取得される(ステップS11)。ステップS11は、取得部31により実施される。
【0021】
第1データDa1は、例えば、1つの期間において、変化する。第1データDa1は、例えば、時系列画像データを含む。例えば、時系列画像データが取得部31により読み込まれる。
【0022】
取得された第1データDa1(時系列画像データ)が処理部32に供給される。処理部32は、第1データDa1(時系列画像データ)に関して以下の処理を行う。
【0023】
処理部32は、例えば、第1データDa1(時系列画像データ)を複数のデータに変換する(ステップS12)。例えば、処理部32は、時系列画像データを、単位時間あたりの画素データに変換する。画素データは、例えば、画素における明るさに関する値を含む。
【0024】
例えば、i番目の時間について、第1データDa1(時系列画像データ)が、j×k画素のデータに変換される。「i」は、1以上、「im」以下の整数である。「j」は、1以上、「jm」以下の整数である。「k」は、1以上、「km」以下の整数である。「im」、「jm」及び「km」は、2以上の整数であり、第1データDa1に基づいて定められて良い。
【0025】
処理部32は、変換されて得られるデータに基づいて多次元配列を導出する(ステップS13)。例えば、1~「im」、1~「jm」、及び、1~「km」の複数の値に基づいて多次元配列を導出する。1~「im」、1~「jm」、及び、1~「km」の複数の値は、例えば、画素データ(例えば、画素における明るさに関する複数の値)に対応する。画素データ(例えば、画素における明るさに関する複数の値)は、例えば、値L1,1,1~値Lim,jm,kmを含む。画素データの複数の値の1つは、値Li,j,kである。
【0026】
例えば、多次元配列の第1軸は、時間に関する。例えば、多次元配列の第2軸は、空間における第1空間軸における第1座標値に関する。例えば、多次元配列の第3軸は、空間における第2空間軸に関する第2座標値に関する。第2空間軸は、第1空間軸と交差する。第2空間軸は第1空間軸に対して垂直でよい。例えば、第2軸は、空間におけるX空間軸における座標値で良い。例えば、第2軸は、空間におけるY空間軸における座標で良い。空間は、時系列画像データに対応する空間の少なくとも一部で良い。
【0027】
例えば、時系列画像データは、第1座標値及び第2座標値に対応する位置における明るさに関する値を含む。
【0028】
実施形態において、例えば、時系列画像データは、第1座標値及び第2座標値に対応する位置における色に関する値を含んでも良い。色に関する値は、色度座標における刺激値を含んで良い。画素データ(画素における複数の値)は、例えば、値L1,1,1,1~値Lim,jm,km,pmを含む。画素データの複数の値の1つは、値Li,j,k,pである。「p」は、1以上、「pm」以下の整数である。「pm」は、2以上の整数であり、第1データDa1に基づいて定められて良い。「p」は、例えば、色度座標における複数の刺激値の軸の1つに対応して良い。色度座標における複数の刺激値の軸の1つについての値が、1~「pm」の複数の区分に分けられて良い。時系列画像データが色に関する値を含む場合、n次元の多次元配列は、例えば4次元の多次元配列を含む。例えば、「p」が1の場合は、xy色度図における色度座標xに対応する。「p」が2の場合は、xy色度図における色度座標yに対応する。
【0029】
実施形態においては、例えば、n次元(nは3以上の整数)の多次元配列に基づいて処理が行われる。n次元(nは3以上の整数)の多次元配列は、複数の成分の1つとして、時間を含むことにより、時系列画像データにおける時間的な変化が効果的に抽出されて、第1特徴情報Pa1が算出される。
【0030】
実施形態において、第1特徴情報Pa1は、パーシステント図に基づいて導出されても良い。
図2に示すように、処理部32は、パーシステント図を導出しても良い(ステップS14)。
【0031】
パーシステント図は、第1データDa1(例えば時系列画像データ)の少なくとも一部の分散状態に対応する。例えば、パーシステント図は、上記の多次元配列に基づいて導出される。第1特徴情報Pa1は、パーシステント図におけるパーシステント特徴値を含んでも良い。パーシステント図の例については後述する。
【0032】
処理部32は、例えば、パーシステント図におけるパーシステント特徴値が基準値(しきい値)を超えるかどうかを判断する(ステップS15)。例えば、基準値を超えるパーシステント特徴値が存在する場合、「基準値を超えるパーシステント特徴値が存在すること」に対応する信号(データ)を出力する(ステップS16)。例えば、この信号(データ)が、第1特徴情報Pa1の少なくとも一部となる。第1特徴情報Pa1は、例えば、特異状態を検知したことを示す情報を含んで良い。特異状態は、例えば、異常でも良い。
【0033】
例えば、基準値を超えるパーシステント特徴値が存在しない場合、ステップS11に戻って良い。ステップS11において、別のデータの取得が行われ、別のデータに関する処理が行われて良い。
【0034】
図3は、第1実施形態に係るデータ処理装置の動作を例示する模式図である。
図3は、第1データDa1を例示する。第1データDa1は、時系列データ(データDA1~DAim)を含む。
【0035】
処理部32は、このような第1データDa1を、1番目~im番目のj×k画素のデータDC1に変換する。
【0036】
図4は、第1実施形態に係るデータ処理装置の動作を例示する模式図である。
図4は、パーシステント
図PDを例示している。例えば、単体複体にフィルトレーションとよばれる数学的操作を施すことで、単体複体の増大列が得られる。パーシステント
図PDに含まれる情報は、例えば、ホモロジーの生成元の発生と、ホモロジーの生成元の消滅と、を含む「組」に関する。ホモロジーの生成元の発生は、例えば、第1パラメータF1に対応する。ホモロジーの生成元の消滅は、例えば、第2パラメータF2に対応する。パーシステント
図PDの横軸は、第1パラメータF1に対応する。パーシステント
図PDの縦軸は、第2パラメータF2に対応する。パーシステント
図PDは、図形の孔の存在に関する情報を含む。パーシステント
図PDは、孔のサイズ、及び、孔の形状を含むスケール情報も含む。
【0037】
例えば、入力が点列の場合、チェック複体のフィルトレーションによって、パーシステント
図PDが得られる。チェック複体の増大列は、例えば、入力点列を中心とする半径をパラメータとし、半径を増大させることで得られる。パーシステントホモロジーによって1次元のリング構造を解析する場合、第1パラメータF1は、複数の球で囲まれた空間が形成される最小の半径に対応する。第2パラメータF2は、複数の球で囲まれた空間が消える最小の半径に対応する。このときに得られるパーシステント
図PDは、1次のパーシステント
図PDに対応する。q次元のリング構造を解析して得られるパーシステント
図PDを、q次のパーシステント
図PDと呼ぶ。「q」は、0以上の整数である。「q」が0の場場合、リング構造は、連結構造である。「q」が2の場合、リング構造は、空隙構造である。
【0038】
一方、入力が画像データの場合、入力は、ピクセル値やボクセルの集まりである。この場合、方体複体のフィルトレーションが適用される。方体複体の増大列は、例えば、2値化法またはレベルセット法によって得られる。
【0039】
例えば、ピクセルのデータの場合、2値化法では、0(黒)の領域をピクセル単位で徐々に広げていくことで、ピクセル画像の増大列が得られる。この際、255(白)の領域をピクセル単位で徐々に広げていくことで、ピクセル画像の増大列が得られても良い。
【0040】
レベルセット法では、例えば、ピクセル値に対するしきい値が定められる。例えば、しきい値を第1値から第2値まで変化させ、しきい値以上(またはしきい値以下)のピクセル値をもつ領域を増大させることによって、ピクセル画像の増大列が得られる。第1値は、例えば、0及び255の一方であり、第2値は、例えば0及び255の他方である。
【0041】
図4に示すように、パーシステント
図PDにおいて、取得された第1データDa1(時系列画像データ)の複数の値のそれぞれが、第1パラメータF1及び第2パラメータF2の組み合わせを有する。第1パラメータF1及び第2パラメータF2の組み合わせが、パーシステント
図PD中にプロットされて良い。
【0042】
図4に示すように、パーシステント
図PD中に1つのグループG1が認められる場合がある。一方、パーシステント
図PD中にそのグループG1に属さない値G2が求められる場合がある。例えば、グループG1または値G2が抽出されて良い。
【0043】
例えば、
図4に示すように、第1パラメータF1と第2パラメータF2との間の関係を示す特性関数P1が定められる。特性関数P1からのずれ量が基準値R1とされる。例えば、グループG1に含まれる値は、特性関数P1を基準にして、基準値R1の範囲内にある。例えば、値G2は、特性関数P1を基準にして、基準値R1の範囲を超える。値G2は、例えば、基準値R1を超えるパーシステント特徴値に対応する。
【0044】
図5は、第1実施形態に係るデータ処理装置の動作を例示する模式図である。
これらの図は、第1データDa1(時系列画像データ)の多次元配列を例示している。
図5は、第1~第5サンプルデータSP1~SP5の多次元配列を例示している。これらのサンプルにおいて、時間tが異なる。この例では、第1データDa1(時系列画像データ)は、遮断器におけるアークの時間的な変化に対応する。
【0045】
図6(a)~
図6(e)は、第1実施形態に係るデータ処理装置の動作を例示する模式図である。
図6(a)~
図6(e)は、第1~第5サンプルデータSP1~SP5にそれぞれ対応するパーシステント
図PDに対応する。これらの図は、0次のパーシステントを含む。
【0046】
図6(a)及び
図6(e)に示すように、第1サンプルデータSP1及び第5サンプルデータSP5において、グループG1に属さない値G2が存在する。
【0047】
この例では、第1サンプルデータSP1及び第5サンプルデータSP5において、遮断器の遮断が容易である。容易な遮断は、アークの挙動と関係していると考えられる。第2~第4サンプルデータSP2~SP4において、遮断器の遮断が困難である。困難な遮断は、アークの挙動と関係していると考えられる。このように、例えば、値G2の有無により、複数のサンプルデータが評価されて良い。
【0048】
実施形態によれば、例えば、時系列画像データを、高い精度で評価できる。例えば、動画像データを効果的に評価できる。
【0049】
上記のように、パーシステント
図PDは、0次のパーシステンンスを含んで良い。パーシステント
図PDは、0次のパーシステンンス、1次のパーシステンンス及び2次のパーシステンンスの少なくともいずれかを含んでも良い。
【0050】
パーシステント
図PDは、複数の期間に分割された第1データDa1の1つに対応しても良い。例えば、処理部32は、第1データDa1に含まれる時系列データを複数の期間に分割しても良い。複数の期間に分割された少なくも1つについてパーシステント
図PDが導出されても良い。
【0051】
実施形態において、第1特徴情報Pa1は、上記のパーシステント特徴値(例えば値G2)が変換されて得られる特徴ベクトルを含んでも良い。特徴ベクトルは、例えば、パーシステント
図PDを複数のグリッドに分割し、複数のグリッド内の、第1パラメータF1と第1パラメータF2との差の値を並べたパーシステント・イメージに変換することで得られる。上記の例の場合、特徴ベクトルは、例えば、値G2近辺における、第1パラメータF1と第1パラメータF2との差である。
【0052】
パーシステント特徴値(例えば値G2)に関する第1基準値R1が定められても良い。処理部32は、例えば、第1基準値R1と、パーシステント特徴値(例えば値G2)と、を比較した結果に基づいて、前記第1データについての第1特徴情報Pa1を出力しても良い。
【0053】
実施形態において、処理部32は、第1特徴情報を入力とする機械学習に基づいて、第1データDa1のうちの特徴的な部分を抽出可能でも良い。
【0054】
図1及び
図2に示すように、データ処理装置110は、第1特徴情報Pa1に基づいて、対象装置40に制御信号Sig1を供給可能でも良い(ステップS17)。上記の例では、対象装置40は、遮断器である。この場合、第1データDa1は、その対象装置40に関する。
【0055】
(第2実施形態)
第2実施形態は、データ処理方法に係る。実施形態に係るデータ処理方法は、時系列画像データを含む第1データDa1を取得することを含む(例えばステップS11)。データ処理方法は、取得した第1データDa1に基づくn次元(nは3以上の整数)の多次元配列に基づく第1特徴情報Pa1を導出する(例えばステップS16)。多次元配列の第1軸は、時間に関する。
【0056】
多次元配列の第2軸は、空間における第1空間軸における第1座標値に関する。多次元配列の第3軸は、空間における第2空間軸に関する第2座標値に関する。第2空間軸は、第1空間軸と交差する。
【0057】
時系列画像データは、例えば、第1座標値及び第2座標値に対応する位置における明るさに関する値を含む。時系列画像データは、第1座標値及び第2座標値に対応する位置における色に関する値を含んでも良い。
【0058】
第1特徴情報Pa1は、パーシステント
図PDにおけるパーシステント特徴値を含んで良い。パーシステント
図PDは、第1データDa1の少なくとも一部の分散状態に対応する。パーシステント
図PDは、多次元配列に基づいて導出される。
【0059】
(第3実施形態)
第3実施形態は、データ処理プログラムに関する。実施形態に係るデータ処理プログラムは、コンピュータに上記の方法を実施させる。
【0060】
例えば、実施形態に係るデータ処理プログラムは、コンピュータに、時系列画像データを含む第1データDaを取得させる。データ処理プログラムは、コンピュータに、第1データDaに基づくn次元(nは3以上の整数)の多次元配列に基づく第1特徴情報を導出させる。
【0061】
例えば、多次元配列の第1軸は、時間に関する。多次元配列の第2は、空間における第1空間軸における第1座標値に関する。多次元配列の第3軸は、空間における第2空間軸に関する第2座標値に関する。第2空間軸は前記第1空間軸と交差する。
【0062】
例えば、時系列画像データは、第1座標値及び第2座標値に対応する位置における明るさに関する値を含む。例えば、時系列画像データは、第1座標値及び第2座標値に対応する位置における色に関する値を含んでも良い。
【0063】
第1特徴情報Pa1は、例えば、パーシステント
図PDにおけるパーシステント特徴値を含んで良い。パーシステント
図PDは、第1データDa1の少なくとも一部の分散状態に対応する。パーシステント
図PDは、多次元配列に基づいて導出される。
【0064】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んで良い。
(構成1)
時系列画像データを含む第1データを取得可能な取得部と、
前記取得部が取得した前記第1データに基づくn次元(nは3以上の整数)の多次元配列に基づく第1特徴情報を導出可能な処理部であって、前記多次元配列の第1軸は、時間に関する、前記処理部と、を備えたデータ処理装置。
【0065】
(構成2)
前記多次元配列の第2軸は、空間における第1空間軸における第1座標値に関し、
前記多次元配列の第3軸は、前記空間における第2空間軸に関する第2座標値に関し、前記第2空間軸は前記第1空間軸と交差した、構成1に記載のデータ処理装置。
【0066】
(構成3)
前記時系列画像データは、前記第1座標値及び前記第2座標値に対応する位置における明るさに関する値を含む、構成2に記載のデータ処理装置。
【0067】
(構成4)
前記時系列画像データは、前記第1座標値及び前記第2座標値に対応する前記位置における色に関する値を含む、構成2または3に記載のデータ処理装置。
【0068】
(構成5)
前記第1特徴情報は、前記第1データの少なくとも一部の分散状態に対応し前記多次元配列に基づいて導出されたパーシステント図におけるパーシステント特徴値を含む、構成1~4のいずれか1つに記載のデータ処理装置。
【0069】
(構成6)
前記パーシステント図は、複数の期間に分割された前記第1データの1つに対応する、構成5に記載のデータ処理装置。
【0070】
(構成7)
前記パーシステント図は、0次のパーシステンンスを含む、構成5または6に記載のデータ処理装置。
【0071】
(構成8)
前記第1特徴情報は、前記パーシステント特徴値が変換されて得られる特徴ベクトルを含む、構成5~7のいずれか1つに記載のデータ処理装置。
【0072】
(構成9)
前記処理部は、前記パーシステント特徴値に関する第1基準値と、前記パーシステント特徴値と、を比較した結果に基づいて、前記第1データについての第1特徴情報を出力可能である、構成1~8のいずれか1つに記載のデータ処理装置。
【0073】
(構成10)
前記処理部は、前記第1特徴情報を入力とする機械学習に基づいて、前記第1データのうちの特徴的な部分を抽出可能である、構成1記載のデータ処理装置。
【0074】
(構成11)
前記データ処理装置は、前記第1特徴情報に基づいて、対象装置に制御信号を供給可能であり、
前記第1データは前記対象装置に関する、構成1~10のいずれか1つに記載のデータ処理装置。
【0075】
(構成12)
時系列画像データを含む第1データを取得し、
前記第1データに基づくn次元(nは3以上の整数)の多次元配列に基づく第1特徴情報を導出し、前記多次元配列の第1軸は、時間に関する、データ処理方法。
【0076】
(構成13)
前記多次元配列の第2軸は、空間における第1空間軸における第1座標値に関し、
前記多次元配列の第3軸は、前記空間における第2空間軸に関する第2座標値に関し、前記第2空間軸は前記第1空間軸と交差した、構成12に記載のデータ処理方法。
【0077】
(構成14)
前記時系列画像データは、前記第1座標値及び前記第2座標値に対応する位置における明るさに関する値を含む、構成13に記載のデータ処理方法。
【0078】
(構成15)
前記時系列画像データは、前記第1座標値及び前記第2座標値に対応する前記位置における色に関する値を含む、構成13または14に記載のデータ処理方法。
【0079】
(構成16)
前記第1特徴情報は、前記第1データの少なくとも一部の分散状態に対応し前記多次元配列に基づいて導出されたパーシステント図におけるパーシステント特徴値を含む、構成12~15のいずれか1つに記載のデータ処理方法。
【0080】
(構成17)
コンピュータに、
時系列画像データを含む第1データを取得させ、
前記第1データに基づくn次元(nは3以上の整数)の多次元配列に基づく第1特徴情報を導出させ、前記多次元配列の第1軸は、時間に関する、データ処理プログラム。
【0081】
(構成18)
前記多次元配列の第2軸は、空間における第1空間軸における第1座標値に関し、
前記多次元配列の第3軸は、前記空間における第2空間軸に関する第2座標値に関し、前記第2空間軸は前記第1空間軸と交差した、構成17に記載のデータ処理プログラム。
【0082】
(構成19)
前記時系列画像データは、前記第1座標値及び前記第2座標値に対応する位置における明るさに関する値を含む、構成18に記載のデータ処理プログラム。
【0083】
(構成20)
前記第1特徴情報は、前記第1データの少なくとも一部の分散状態に対応し前記多次元配列に基づいて導出されたパーシステント図におけるパーシステント特徴値を含む、構成17~19のいずれか1つに記載のデータ処理プログラム。
【0084】
実施形態によれば、精度を向上できるデータ処理装置、データ処理方法及びデータ処理プログラムが提供できる。
【0085】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、データ処理装置に含まれる取得部及び処理部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0086】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0087】
その他、本発明の実施の形態として上述したデータ処理装置、データ処理方法及びデータ処理プログラムを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのデータ処理装置、データ処理方法及びデータ処理プログラムも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0088】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
31…取得部、 32…処理部、 33…記憶部、 34…表示部、 35…出力部、 40…対象装置、 110…データ処理装置、 DA1~DAim…データ、 DC1…データ、 Da1…第1データ、 F1、F2…第1、第2パラメータ、 G1…グループ、 G2…値、 P1…特性関数、 Pa1…第1特徴情報、 R1…基準値、 SP1~SP5…第1~第5サンプルデータ、 Sig1…制御信号