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特開2023-40459アウトリガーの取付構造及びその取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040459
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】アウトリガーの取付構造及びその取付方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
B25J19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147425
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】521400763
【氏名又は名称】株式会社 SPロジック
(74)【代理人】
【識別番号】100099047
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 僚治
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CS10
(57)【要約】
【課題】架台にアウトリガーを取り付ける際に簡単に取り付けができるアウトリガーの取付構造及びその取付方法を提供すること。
【解決手段】アンカーボルトを床面側の取付穴を介して雌ネジに螺合させることによって床面に固定される機械載置用の架台に使用するアウトリガーの取付構造において、アウトリガー1は、ビーム2と、ビーム2先端側に形成された位置調整ボルト3と、ビーム2基端に形成された取付板6と、ビーム2の下方に突出させられた突起部7とを備え、ビーム2は突起部7が架台の取付穴に挿入された状態で配置され、取付板6側に形成されたネジ穴6aに取付ボルト21を螺合させてその先端を架台方向に進出させ架台の壁面を押圧することでビーム2を外方に移動させ、その移動に伴って突起部7側面を取付穴内周面に押圧させることでアウトリガー1を固定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面側に埋設された雌ネジの開口部に取付穴を照合させ、アンカーボルトを前記取付穴を介して雌ネジに螺合させることによって前記床面に固定される機械載置用の架台に使用するアウトリガーの取付構造において、
前記アウトリガーは、ビームと、前記ビームの先端側に形成された床当接部と、前記ビーム基端に形成され前記ビームの長手方向に対して交差する方向に延出された板部と、前記ビームから下方に向かって突出させられた突起部とを備え、
前記ビームは前記突起部が前記架台の前記取付穴に挿入された状態で配置され、前記板部側に形成されたネジ穴にネジ部材を螺合させてその先端を前記架台方向に進出させ前記架台の壁面を押圧することで前記ビームを外方に移動させ、その移動に伴って前記突起部側面を前記取付穴内周面に押圧させることで前記アウトリガーを固定するようにしたことを特徴とするアウトリガーの取付構造。
【請求項2】
前記突起部は前記ビームの下面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアウトリガーの取付構造。
【請求項3】
前記突起部には前記アウトリガーの固定状態で前記取付穴の下方側開口部の縁と係合する係合部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアウトリガーの取付構造。
【請求項4】
前記突起部の側面であって前記取付穴内周面と接する位置には接触時に前記取付穴側との間の摩擦力を増すための凹凸面が形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のアウトリガーの取付構造。
【請求項5】
前記床当接部は床に当接する下端部の位置が上下方向に移動可能であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のアウトリガーの取付構造。
【請求項6】
前記アウトリガーの前記ビームは前記アウトリガーを固定した状態で延出方向を変更することが可能であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のアウトリガーの取付構造。
【請求項7】
前記ビームは水平方向に回動して任意又は所定の回動位置で回動不能に固定されることを特徴とする請求項6に記載のアウトリガーの取付構造。
【請求項8】
前記床面に固定された前記架台の前記アンカーボルトをすべて取り外す前に前記アンカーボルトを取り外した前記取付穴を用いて請求項1~請求項7のいずれかのアウトリガーの取付構造において使用される前記アウトリガーを前記架台に固定するようにしたことを特徴とするアウトリガーの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械載置用の架台に使用するアウトリガーの取付構造及びその取付方法等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ロボットのような重量のある大型装置を工場内に設置する際には、一般に大型装置専用の架台を床面に固定し、その架台上にその大型装置を固定するようにしている。架台はアンカーボルトで床面に固定される。
このような大型装置を移送する必要が生じる場合がある。例えば、製造ラインのデザインの変更等で現状の設置位置からずらす必要が生じた場合等である。その場合には架台のアンカーボルトを取り外して固定状態を解除し、架台もろとも例えばクレーンで吊り上げて次の位置に運搬するようにしている。このような架台上にロボットを載置した技術の一例として特許文献1を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6561989号公報 図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
架台に対してロボットの丈がそれほど高くなければ重心は低いためクレーンで吊り上げる際に特に大きな問題は生じない。しかし、例えばロボットのボディに対してアームの重量が大きい場合に、そのアームが例えばボディから上方や側方に向かって延出されているような状態で停止しているとすると装置の重心位置が中心寄り下方位置にない場合がある。そのような場合には注意深く架台のアンカーボルトを取り外さないと架台もろともロボットが倒伏してしまうという不具合が生じるおそれがある。
そのためには前もってクレーンのワイヤーを適宜配置して倒伏を防止するという方策が考えられるが、できればアンカーボルトを取り外したとしても倒伏せずにバランスを保って自立していることが望ましい。そのために例えばアウトリガーを架台に取り付けることで床面に対する架台の接地領域を拡大して重心のずれに対応させるようにすることがよい。しかし、架台は必ずしも同一形状ではないにも拘わらずアウトリガーを架台に固定する際にはしっかりとした剛接続で連結しなければならず面倒である。そのため、架台と一緒に装置が倒伏することがないようにアウトリガーを取り付ける際に簡単に取り付けができるアウトリガーの取付構造及びその取付方法が求められていた。
本発明は、このような課題を解決したアウトリガーの取付構造及びその取付方法等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、手段1として、床面側に埋設された雌ネジの開口部に取付穴を照合させ、アンカーボルトを前記取付穴を介して雌ネジに螺合させることによって前記床面に固定される機械載置用の架台に使用するアウトリガーの取付構造において、前記アウトリガーは、ビームと、前記ビーム先端側に形成された床当接部と、前記ビーム基端に形成され前記ビームの長手方向に対して交差する方向に延出された板部と、前記ビームから下方に向かって突出させられた突起部とを備え、前記ビームは前記突起部が前記架台の前記取付穴に挿入された状態で配置され、前記板部側に形成されたネジ穴にネジ部材を螺合させてその先端を前記架台方向に進出させ前記架台の壁面を押圧することで前記ビームを外方に移動させ、その移動に伴って前記突起部側面を前記取付穴内周面に押圧させることで前記アウトリガーを固定するようにした。
これによって、架台を固定するためのアンカーボルトを取り外すことでアンカーボルト用の取付穴を利用してアウトリガーを簡単に架台に取り付けることができる。
アウトリガーの固定メカニズムは次の通りである。ビーム後方の板部が架台の壁面に隣接した位置に配置され、ビームの突起部は架台のアンカーボルトを取り外した後の取付穴に挿入される。この状態では突起部は取付穴内で遊嵌状態である。この状態でビーム側から板部のネジ穴にネジ部材を螺合させて(ねじ込んで)ネジ部材を軸方向、つまり架台の壁面方向に進出させる。ネジ部材の先端は板部を通過して壁面に当接し、それ以上進出できなくなるため、アウトリガーはネジ部材を進出させる力によって押され相対的にアウトリガーは外方(つまり、先端方向)に移動するようになる。そのアウトリガー(ビーム)の移動に伴って取付穴内の突起部も移動するため、取付穴内周面に当接するようになる。つまり、アウトリガーは架台の壁面と架台の取付穴内周面によって挟まれて保持される(固定される)こととなる。
【0006】
アウトリガーを架台に取り付ける際には、すべてのアンカーボルトを取り外さなくともその途中、あるいは1つアンカーボルトを取り外すごとにアウトリガーを取り付ける作業を行ってもよい。あるいは、すべてのアンカーボルトを取り外した後の取付穴にアウトリガーを取り付けなくともよい。「取付穴」は架台の一部に形成した上下に連通した通路状の穴である。「取付穴」が開口する上面は水平な面であることがよい。「取付穴」は取付穴に近い位置に位置に架台の壁面が形成されている必要がある。架台自体が決まった形状ではないため、壁面についても決まった部位ではない。壁面は例えば架台の床を支える脚部の側面でもよく、架台に脚部がなければ床面に接している上下に伸びる本体外面でもよい。壁面は平面でもよく湾曲した面であってよい。
「アウトリガー」の「ビーム」の材質や形状は問わないが軽量で強度の高いものがよりよい。「床当接部」はビームと一体的でもよく、別部材として取り付けてもよい。ビームよりも外方に配置されていてもビーム先端付近に配置されていてもよい。「突起部」は取付穴に収容されるためその内径よりも小さな幅を有する必要がある。「取付穴」の下縁が床面に接していなければ「突起部」は取付穴よりも下方に進出してもよい。「板部」はアウトリガーの取付時にビームに上下幅に対して上方に張り出すように形成されることがよい。ただし、アウトリガーが突起部を架台の取付穴に挿入した際に板部が架台側に干渉するようであれば上方以外の方向に張り出すように形成してもよい。あるいは「板部」は張り出さずビームの後端にビーム上面からアクセスできるように形成されていてもよい。板部側にはネジ穴が形成されるが、板部に直接ネジを切ってもよいが、板部にはネジの切ってないいわゆるバカ穴を開けてナットをバカ穴に隣接して配置するようにしてもよい。
【0007】
また、手段2として、前記突起部は前記ビームの下面に形成されているようにした。
この位置ならビームに対してバランスよく配置でき、ビームを架台の壁面と架台の取付穴内周面によって挟む際に安定しやすいからである。また、アウトリガーを取り付けた際にビームをちょうど取付穴を塞ぐように配置することができる。
また、手段3として、前記突起部には前記アウトリガーの固定状態で前記取付穴の下方側開口部の縁と係合する係合部が形成されているようにした。
つまり、突起部が移動して取付穴内周面に当接する際に下方側開口部の縁、つまり角となっている部分に係合部が引っかかるような構造となっていることである。これによって、固定されたアウトリガーにおいて取付穴内の突起部が上動するような力、つまり保持状態にあるアウトリガーが外れてしまうような力が作用した場合に係合部が下方側開口部の縁にかかってアウトリガーが外れにくくなる。
また、手段4として、前記突起部の側面であって前記取付穴内周面と接する位置には接触時に前記取付穴側との間の摩擦力を増すための凹凸面が形成されているようにした。
これによって固定されたアウトリガーにおいて取付穴内の突起部が上動するような力、つまり保持状態にあるアウトリガーが外れてしまうような力が作用した場合に、突起部が取付穴内周面との間で摩擦力が向上し、アウトリガーが外れにくくなる。
「凹凸面」は雄ネジの外周のような大きな段差でもよく、凹凸が微細なざらざらした例えばサンドペーパーの研磨面のようなものでもよい。
【0008】
また、手段5として、前記床当接部は床に当接する下端部の位置が上下方向に移動可能であるようにした。
これによって、ビームから床面までの高さに応じて床当接部の高さを調節できる。
また、手段6として、前記アウトリガーの前記ビームは前記アウトリガーを固定した状態で延出方向を変更することが可能であるようにした。
これによって、固定したアウトリガーのビームの延出方向を調整したり、本来ビームを延出したい方向についてアウトリガーを固定しにくかったりする場合に対応することができる。
また、手段7として、前記ビームは水平方向に回動して任意又は所定の回動位置で回動不能に固定されるようにした。
これによってアウトリガーのビームを延出したい方向で確実に固定することができる。
また、手段8として、前記床面に固定された前記架台の前記アンカーボルトをすべて取り外す前に前記アンカーボルトを取り外した前記取付穴を用いて手段1~手段7のいずれかのアウトリガーの取付構造において使用される前記アウトリガーを前記架台に固定するようにした。
このようにアンカーボルトをすべて取り外す前にアウトリガーを架台に固定するようにすれば、アンカーボルトを取り外している途中で架台もろともロボットが倒伏するようなことが防止される。
【0009】
上述の手段1~手段8に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、手段1に示した発明の全てまたは一部の構成に手段2以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、手段1に示した発明に、手段2以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、手段1から手段8に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~の際」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、架台を固定するためのアンカーボルトを取り外すことでアンカーボルト用の取付穴を利用してアウトリガーを簡単に架台に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明において(a)は実施の形態1のアウトリガーの正面図、(b)は(c)のA-A線での断面図、(c)は同じ実施の形態1のアウトリガーの側面図。
図2】実施の形態1の架台の脚の配置状態を説明する説明図。
図3】同じ実施形態1の架台の脚の部分拡大図。
図4】同じ実施形態1の(a)は架台の脚の上にアウトリガーを仮に載置した状態の説明図、(b)はそのアウトリガーを固定した状態の説明図。
図5】同じ実施形態1の架台の脚の上に2つのアウトリガーを固定した載置した状態の説明図。
図6】(a)は実施の形態2のアウトリガーの基端側の部分拡大図正面図、(b)は(a)の断面図。
図7】実施の形態2のアウトリガーの基端側の連結構造を説明する説明図。
図8】(a)及び(b)は実施の形態2のアウトリガーの基端側のビームの位置を異なる角度で固定した状態を説明する説明図。
図9】実施の形態2のアウトリガーのビームを固定するためのピンの正面図。
図10】他の実施の形態の突起部に形成した凹凸面を説明する部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施の形態であるアウトリガーの取付構造とその取付方法について図面に基づいて説明する。
まず、アウトリガー1について説明する。図1(a)~(c)に示すように、本実施の形態1で使用されるアウトリガー1はビーム2を備えている。ビーム2は横断面ロの字状の合金製の管状の長尺のフレーム体である。ビーム2先端側には床当接部としての高さ位置調整ボルト3が配設されている。高さ位置調整ボルト3はビーム2先端寄り下面に溶接された合金製の平板4にヘッド3aが下側となるように取り付けられている。平板4にはネジの切ってない透孔4aが形成されており、透孔4aに面して上下位置にナット5が溶接によって固着されている。高さ位置調整ボルト3はナット5に螺合されて(ねじ込まれて)軸方向に、つまり上下方向に移動する。
ビーム2の後端は板部としての取付板6が溶接されている。取付板6は長方形形状の平板からなり、ビーム2後方の開口部を塞ぐように配置されている。取付板6はビーム2の長手方向に対して平面方向が直交するように配置されている。取付板6はアウトリガー1設置状態においてビーム2の上方側に突出させられており、突出させられた部分の上下左右の中央位置に厚み方向に連通するネジ穴6aが形成されている。
ビーム2の後端寄りの下面には突起部7が突出形成されている。突起部7は円柱形状の中実体とされビーム2に溶接されている。突起部7の下端位置には係合部としての円板8が形成されている。円板8はビーム2方向にずれた状態で突起部7に対して溶接されている。そのため図1(a)(b)のような正面視において、突起部7の上下に延びる外周線に対して直交する入隅部8Aが形成されることとなる。
【0013】
次に、アウトリガー1が取り付けられる架台11について説明する。
図2に示すように、本実施の形態1の架台11は4つの脚12を備え脚12に支えられたテーブル13を備えている。テーブル13の上面に図示しないロボットのような大型装置が固定される。図2及び図3に示すように、脚12は十字に交差する合金製の脚板14と脚板14の下端に溶接された合金製の底板15とから構成されている。底板15を介して通常の設置状態で架台11の4つの脚12はそれぞれ図示しない2本のアンカーボルトによって床面Gに対して固定されている。床面Gには図示しない雌ネジが埋設されており、その開口部が床面Gに露出している。底板15は正方形の平板である。図2及び図3はアンカーボルトが取り外された状態を示している。本実施の形態1ではアンカーボルトが取り外された後の底板15に形成された円形の透孔17を利用して上記のアウトリガー1を取り付ける。
本実施の形態1の架台11は必ずしも水平ではない床面Gに対してテーブル13の上面の水平レベルを保つための調整ボルト16を備えている。調整ボルト16は床面Gと底板15との間に配置された調整板18を押動することで脚12を床面Gに対して上下させ架台11全体の水平レベルを調整する。
【0014】
次にこのように構成されるアウトリガー1を架台11の脚12に取り付ける取付手順について説明する。
図4(a)に示すように、アウトリガー1を架台11の脚12の底板15の上に載置する。このとき、ビーム2を取付板6側を脚板14の外面14aに対面させ、突起部7を透孔17内に配置する。また、アウトリガー1先端側の位置調整ボルト3を回動してビーム2の底面が底板15の上面に接してがたつきなく面同士が密着するように高さ調整をする。この仮に取り付けた段階で突起部7は透孔17内で前後方向に移動可能に遊嵌されている。また、突起部7下端の円板8は底板15から下方に露出する。
このようにアウトリガー1を架台11に仮に取り付けた状態において、ビーム2側からナット20を介してネジ部材としての取付ボルト21を取付板6のネジ穴6aにねじ込んでいくようにする。取付ボルト21はねじ込み動作に伴って進出し、先端が背後の脚板14の外面14aを押動する。この押動による押圧力はアウトリガー1を先端方向に押し戻す力となるため、アウトリガー1は全体としてビーム2の先端方向に移動する。すると、突起部7は透孔17内を前方に移動して透孔17の内周面17aの前方に押し付けられることとなる(図4(b)の状態)。これによってアウトリガー1は脚板14の外面14aと透孔17の内周面17aとによって挟まれて固定される。このとき、突起部7の透孔17内での移動に伴って底板15から下方に露出した円板8の入隅部8Aが底板15の底面に係合することとなる。
アウトリガー1をアンカーボルトが取り外された後の透孔17に対して1又は2以上の任意のアウトリガー1を取り付けるようにする。図5は例えばある架台11の脚12に対して2つのアウトリガー1を取り付けた状態である。
【0015】
以上のような構成によって、実施の形態1では次のような効果が奏されることとなる。
(1)架台11とその上に固定されたロボットのような大型装置を架台11もろとも移動させる際に、アンカーボルトを取り外した際の透孔17を利用してアウトリガー1を取り付けるため、例えば1つずつアンカーボルトを取り外した後でアウトリガー1を取り付けていけば、例えすべてのアンカーボルトを取り外したとしても架台11はアウトリガー1によって周囲から支えられることとなって、安定する。
(2)アウトリガー1を脚12の底板15の上に載置して取付ボルト21をねじ込むだけでアンカーボルトを固定できるので作業者はとても簡単でかつ安全に作業を実行できる。
(3)強く取付ボルト21をねじ込んだ場合には取付ボルト21と突起部7が正対していないのでビーム2を持ち上げるような力が作用する可能性があるが、円板8の入隅部8Aが底板15の透孔17と底面との角部分に係合しているためそのような持ち上がりを防止することができる。
【0016】
(実施の形態2)
実施の形態2は実施の形態1のアウトリガー1のバリエーションである。実施の形態1と同じ部分については説明を省略する。実施の形態2のアウトリガー1はビーム31の基端側において実施の形態1のような取付板6ではなく相対的に回動可能となる機構を設けている。
図6及び図7に示すように、ビーム31の基端側には脚側固定フレーム32が連結されている。脚側固定フレーム32は正面視においてコ字状の合金製のフレームであって、背板32aと、背板32aの前方の上下位置に平行に配置された上板32bと下板32cとから構成されている。ビーム31の後端側が脚側固定フレーム32の上板32bと下板32cとによって挟持された状態で回動軸33によって軸支されている。脚側固定フレーム32はビーム31に対して相対的に回動軸33回りに回動可能とされている。脚側固定フレーム32の背板32aには板部としての取付板35が溶接されている。取付板35は長方形形状の平板からなりビーム31の長手方向に対して平面方向が直交するように配置されている。取付板35は背板32aの上方側に突出させられており、突出させられた部分の上下左右の中央位置に厚み方向に連通するネジ穴35aが形成されている。脚側固定フレーム32の下板32cの下面には突起部37が溶接によって突出形成されている。突起部37は円柱形状の中実体とされている。突起部37の下端位置には係合部としての円板38が形成されている。円板38はビーム2方向にずれた状態で突起部7に対して溶接されている。突起部37と円板38はそれぞれ実施の形態1の突起部7と円板8と同じ機能である。円板38には実施の形態1の円板8の入隅部8Aと同じ入隅部38Aが形成される。
図7及び図8に示すように、脚側固定フレーム32の上板32bには回動軸33回りに複数箇所(ここでは3箇所)の第1の位置決め孔39A~39Cが形成されている。脚側固定フレーム32と重ねられるビーム31の後端寄り部分には1つの第2の位置決め孔40が形成されている。第1の位置決め孔39A~39Cと第2の位置決め孔40はビーム31と脚側固定フレーム32との相対的な回動位置によって照合される。例えば、図8(a)の位置では真ん中の第1の位置決め孔39Bが第2の位置決め孔40が照合される。この照合位置ではビーム31の長手方向と取付板35の平面方向が直交するように配置される。例えば、図8(b)の位置では一方の端にある第1の位置決め孔39Cが第2の位置決め孔40が照合される。この照合位置ではビーム31の長手方向と取付板35の平面方向が約60度の角度となるように配置される。そして、照合状態で位置がずれないように上から図9に示すピン41を差し込むようにする。
このような構成であれば、上記実施の形態1の効果に加え、架台11とその上に固定されたロボットのような大型装置の重量の偏りに応じて最適なビーム31の延出方向を選択してアウトリガー1を取り付けることが可能となる。
【0017】
本発明は、例えば次のように変更した態様で具体化することも可能である。
・上記実施の形態1及び2のアウトリガー1の形状や材質は一例である。例えばビーム2,31は上記では筒状のフレーム材であったがH形状のフレームであってもよい。材質も例えば木材やセラミックを用いるようにしてもよい。
・上記実施の形態1及び2では突起部7,37に円板8,38を設けることで底板15の透孔17と底面との角部分に係合してアウトリガー1の持ち上がりが防止されていたが、円板8,38のような係合部を設けずに、例えば図10に示すような凹凸面43を突起部44に形成するようにしてアウトリガー1の持ち上がりを防止するようにしてもよい。凹凸面41はこの図では凹凸の大きな溝状に構成したが、もっと細かな凹凸でもよい。
図10のような突起部44を有するアウトリガー1であれば必ずしも上記のような調整板18を有する脚12でなくともよい。つまり、底板15は調整板18を有していなくともよい。
・実施の形態2においてビーム31の向きがずれないようにする手段としては上記のような第1の位置決め孔39A~39Cと第2の位置決め孔40とを照合してピン41を位置がずれないように差し込んでいたが、これは一例である。ピン41以外の手段で位置を固定するようにしてもよい。また、固定される位置も3方向以外であってもよい。また、ビーム31の向きを無段階で調整するような締め付け手段で実現するようにしてもよい。
・アウトリガー1はアンカーボルトを取り外すこごに取り付けてもよく、いくつかのアンカーボルトを取り外した後にいくつかをまとめて取り付けるようにしてもよい。
・高さ位置調整ボルト3はビーム2先端寄り下面に溶接された合金製の平板4に取り付けるようにしていたが、直接ビーム2先端あるいは先端寄りに取り付けるようにしてもよい。
・上記実施の形態1では取付板6にはネジ穴6aを形成するようにしていたが、取付板6にはバカ穴(単なる透孔を設け、ナットをこのバカ穴に合わせて溶接するようにしてもよい。
【0018】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成には限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
また、意匠出願への変更出願により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としてもよいし、その部材の部分としてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1…アウトリガー、2,31…ビーム、3…床当接部としての高さ位置調整ボルト、6,35,44…板部としての取付板、6a…ネジ穴、7,37…突起部、21…ネジ部材としての取付ボルト、16…アーム、6a…ネジ穴、17…取付穴としての透孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10