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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004047
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】軸流ブロワ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/54 20060101AFI20230110BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
F04D29/54 D
F04D25/08 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105509
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 雅之
(72)【発明者】
【氏名】木下 裕介
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB05
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC22
3H130BA62A
3H130BA62J
3H130CA08
3H130DD05Z
3H130DF09Z
3H130DG03X
3H130EA02J
3H130EA04A
3H130EA04J
3H130EB01A
3H130EB01J
3H130EB02A
3H130EB02J
3H130EB05A
3H130EB05J
3H130EC17A
3H130EC17J
(57)【要約】
【課題】風量の減少を抑えながら、風速を効果的に増加させることができる軸流ブロワを提供する。
【解決手段】吸込口15から吐出口16に通じる送風路17が形成されたハウジング10と、電気モータ30と、吸込口15から吐出口16に向けて送風する送風ファン40と、を備え、ハウジング10に、送風ファン40の回転軸線方向に延びる送風路17の一部を形成すると共に、先端開口が吐出口16とされた吹出管12が設けられ、直管からなる吹出管12の先端部に、外側に丸みを帯びた円弧で構成されるR部(第1R部)19aが設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口及び吐出口が形成されると共に、前記吸込口から前記吐出口に通じる送風路が形成されたハウジングと、
前記ハウジング内に配置された電気モータと、
前記電気モータに連結され、前記電気モータの駆動力によって前記送風路内で回転することにより、前記吸込口から前記吐出口に向けて送風する送風ファンと、を備え、
前記ハウジングに、前記送風ファンの回転軸線方向に延びる前記送風路の一部を形成すると共に、先端開口が前記吐出口とされた吹出管が設けられ、
前記吹出管の先端部に、外側に丸みを帯びた円弧で構成されるR部が設けられていることを特徴とする軸流ブロワ。
【請求項2】
前記吹出管は直管からなることを特徴とする請求項1に記載の軸流ブロワ。
【請求項3】
前記R部を第1R部として、該第1R部の先端部に、内側に丸みを帯びた円弧で構成される第2R部が連接されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸流ブロワ。
【請求項4】
前記第2R部の円弧の半径は、前記第1R部の円弧の半径よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の軸流ブロワ。
【請求項5】
前記第2R部の先端部に、口径が一定のストレート部が連接されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の軸流ブロワ。
【請求項6】
前記吹出管の先端部の口径に対する前記ストレート部の口径の比率は、70%から90%までの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項5に記載の軸流ブロワ。
【請求項7】
前記ストレート部の口径に対する前記第1R部の円弧の半径の比率は、10%から30%までの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の軸流ブロワ。
【請求項8】
前記吹出管の先端部の口径は90mm、前記第1R部の円弧の半径は10mmから25mmまで、前記第2R部の円弧の半径は10mm未満であることを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の軸流ブロワ。
【請求項9】
前記R部の先端部に、口径が一定のストレート部が連接されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸流ブロワ。
【請求項10】
動翼としての前記送風ファンの下流側に、該送風ファンによって送り出される空気の流れを整流する静翼としての整流板が配置され、該整流板の下流側に前記R部が配備されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の軸流ブロワ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸流ブロワに関する。
【背景技術】
【0002】
高速の空気流を吐出して落ち葉や塵埃を吹き飛ばすための軸流ブロワ(送風機)は、送風路が形成されたハウジングと、送風路内に配置されたモータケースと、モータケース内に収容された電気モータ(以降、単にモータと称する)と、モータの駆動部に連結された送風ファンと、を備えている。このような軸流ブロワでは、モータの駆動力によって送風ファンが回転することで、送風路の吸込口から吐出口に向けて空気流が生じるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の軸流ブロワとしては、ハウジングに形成した開口部に、前後方向(長手方向)に延びている円筒状ないし管状の吹出管(ブロワノズル、ブロワパイプ、噴管等とも称する)を取り付け、その吹出管の前側の開口部(先端開口)が吐出口を構成すると共に、その吹出管は、先細りとなるテーパ形状を有しているものがある(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-076355号公報
【特許文献2】特開2019-152105号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/0143657号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、モータ駆動式の軸流ブロワは、遠心ブロワに比べて、空気を送り出す力(流速)が弱いため、上記特許文献1~3に開示されているように吹出管の先端側を所定角度のテーパで内部を通過する風を絞る形状にすることで、風速を増加させていた。しかし、前述のようなテーパ形状にすると、風速は増加する一方で、送り出せる風量が減少してしまう。
【0006】
そのため、送風ファンを大きくする、モータの回転速度を上昇させる等して風量を上げることが考えられるが、送風ファンを大きくすると、ブロワが大型化する、また、モータの回転速度を上昇させると、ブロワの動作音が大きくなり、騒音の問題が発生するという問題がある。モータ駆動式は、エンジン駆動式に比べて、ブロワの動作音が小さくて済むため、モータの回転速度を上昇させて風量を稼ぐことは望ましくない。
【0007】
本発明は、前記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、風量の減少を抑えながら、風速を効果的に増加させることができる軸流ブロワを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る軸流ブロワは、吸込口及び吐出口が形成されると共に、前記吸込口から前記吐出口に通じる送風路が形成されたハウジングと、前記ハウジング内に配置された電気モータと、前記電気モータに連結され、前記電気モータの駆動力によって前記送風路内で回転することにより、前記吸込口から前記吐出口に向けて送風する送風ファンと、を備え、前記ハウジングに、前記送風ファンの回転軸線方向に延びる前記送風路の一部を形成すると共に、先端開口が前記吐出口とされた吹出管が設けられ、前記吹出管の先端部に、外側に丸みを帯びた円弧で構成されるR部が設けられていることを特徴としている。
【0009】
好ましい態様では、前記吹出管は直管からなっていてもよい。
【0010】
他の好ましい態様では、前記R部を第1R部として、該第1R部の先端部に、内側に丸みを帯びた円弧で構成される第2R部が連接されていてもよい。
【0011】
他の好ましい態様では、前記第2R部の円弧の半径は、前記第1R部の円弧の半径よりも小さくてもよい。
【0012】
他の好ましい態様では、前記第2R部の先端部に、口径が一定のストレート部が連接されていてもよい。
【0013】
他の好ましい態様では、前記吹出管の先端部の口径に対する前記ストレート部の口径の比率は、70%から90%までの範囲内に設定されていてもよい。
【0014】
他の好ましい態様では、前記ストレート部の口径に対する前記第1R部の円弧の半径の比率は、10%から30%までの範囲内に設定されていてもよい。
【0015】
他の好ましい態様では、前記吹出管の先端部の口径は90mm、前記第1R部の円弧の半径は10mmから25mmまで、前記第2R部の円弧の半径は10mm未満であってもよい。
【0016】
他の好ましい態様では、前記R部の先端部に、口径が一定のストレート部が連接されていてもよい。
【0017】
別の好ましい態様では、動翼としての前記送風ファンの下流側に、該送風ファンによって送り出される空気の流れを整流する静翼としての整流板が配置され、該整流板の下流側に前記R部が配備されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ハウジングに設けられた吹出管の先端部にR部を設けることで、風量の減少を抑えながら、風速を効果的に増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る軸流ブロワを上方から視て示した全体斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係る軸流ブロワを下方から視て示した全体斜視図。
図3】本発明の一実施形態に係る軸流ブロワの駆動部分を示した縦断面図。
図4】本発明の一実施形態に係る軸流ブロワの駆動部分を示した縦断面斜視図。
図5】本発明の一実施形態に係る軸流ブロワの吹出管の先端部を拡大して示した拡大縦断面図。
図6図5に示した吹出管の先端部付近の空気の流れ説明に供される拡大縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に記載の図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書では、空気の吸込側(換言すると、作業者側)を後側ないし基端側、空気の吐出側(換言すると、作業者側とは反対側)を前側ないし先端側とし、作業者が把持するハンドルが設けられている側を上側、それとは反対側を下側とする。
【0021】
本実施形態の軸流ブロワ1は、図1及び図2に示すように、吸込口15から吐出口16に通じる送風路17が形成されたハウジング10を備えている。また、ハウジング10内には、図3及び図4に示すように、モータケース20と、電気モータ30と、電気モータ30に連結された送風ファン40と、送風路17内に配置された整流板60と、が設けられている。
【0022】
軸流ブロワ1では、電気モータ30の駆動力によって送風ファン40が送風路17内で回転することで、吸込口15から吐出口16に向けて高速の空気流が発生し、その空気流が吐出口16から外部に排出される。作業者は、軸流ブロワ1を持った状態で吐出口16から空気流を地面に吹き付けることで、落ち葉や塵埃を吹き飛ばすことができる。
【0023】
ハウジング10は、本体部11と、本体部11から前方に突出した吹出管12と、を備えている。
【0024】
本体部11は、前後方向に延びていて前端面が開口している樹脂製の筒体ないし箱体である。本体部11の後部の左右側面及び下面には、それぞれ複数のスリット穴で構成される吸込口15が形成されている。以降、本体部11の後部の左右側面(側壁)に形成され、側方から本体部11内(送風路17)に外気(空気)を取り込む吸込口15を側方吸込口13、本体部11の後部の下面(底壁)に形成され、下方から本体部11内(送風路17)に外気(空気)を取り込む吸込口15を下方吸込口14と称する場合がある。本実施形態では、本体部11の後端面(言い換えれば、送風路17の後端部)は、矩形状に形成された(吸込口を有しない)後壁18により閉塞している。
【0025】
吹出管12は、前後方向に延びている樹脂製の円筒状の部材(直管)である。吹出管12の後部は、本体部11の前側の開口部に挿入されて取り付けられている。吹出管12の前部は、本体部11の前側の開口部から前方に突出している。吹出管12の前側の開口部(先端開口)は、吐出口16を構成している。
【0026】
本体部11内の中央部には、図3及び図4に示すように、外筒体50が形成されている。外筒体50は、前後方向に延びている樹脂製の円筒状の部材である。外筒体50の前部は、前後方向に真っ直ぐに延びており(前後方向で口径が一定に形成されており)、吹出管12の後端部(基端部)よりも若干小径に形成されている。外筒体50の後部は、前側から後側に向けて口径が拡がるようにテーパ状に形成されており、外筒体50の後端部は、吹出管12の後端部(基端部)よりも若干大径に形成されている。
【0027】
外筒体50の前縁部(前端面の開口部)は、吹出管12の後縁部まで延びている。また、外筒体50の後縁部(後端面の開口部)の外面は、本体部11の後部の内面に接している。つまり、外筒体50は、吹出管12と本体部11の後部に形成された吸込口15との間に介在している。
【0028】
ここで、吹出管12と外筒体50は同心配置されており、それぞれの中心軸線が一致するように配置されている。
【0029】
そして、吹出管12、外筒体50および本体部11の後部の内部空間によって送風路17が形成されている。送風路17は、吸込口15から吐出口16に亘って前後方向に概ね真っ直ぐに延びている通気路である。
【0030】
モータケース20は、ハウジング10内に配置されている樹脂製の容器である。モータケース20は、円筒状の部材であり、送風路17の中心部(後述する送風ファン40の回転軸線上)に配置されている。モータケース20の後端面は円形に開口し、前端部は円錐形状に閉塞されている。
【0031】
モータケース20は、外筒体50の前部の中心部に配置されている。モータケース20の前部(円錐形状部分)は、外筒体50の前端面よりも前方に突出している。モータケース20は、図3及び図4に示すように、複数の整流板60によって外筒体50の中心部に支持されている。
【0032】
整流板60は、外筒体50の前部の内面と、モータケース20の外面との間に介設されている。整流板60は、送風路17の径方向に延びている樹脂製の矩形板状の部材である。整流板60の内端部はモータケース20の外周面に接続されている。また、整流板60の外端部は外筒体50の前部の内周面に接続されている。言い換えれば、整流板60は、送風路17の内面とモータケース20の外面との間に介設されている支持部材である。
【0033】
整流板60は、送風路17内の空気流(より詳しくは、後述する送風ファン40の下流で送風ファン40によって送り出される空気流)を整流するものである。この整流板60は、静翼とも呼ぶ。本実施形態では、複数(図示例では5枚)の整流板60が外筒体50の周方向に等間隔に配置されている。
【0034】
本実施形態のモータケース20、各整流板60および外筒体50は一体成形された一つの部品である。ただし、モータケース20、各整流板60および外筒体50は、複数の部品を組み付けて形成してもよい。
【0035】
電気モータ30は、図3及び図4に示すように、電動式モータであり、モータケース20内に収容されている。電気モータ30は、送風路17(外筒体50ないしモータケース20)の中心部(後述する送風ファン40の回転軸線上)に配置されている。電気モータ30では、本体部31のコイルに電流が供給されると、本体部31に突設された回転軸部32が軸線O回りに回転するように構成されている。
【0036】
本体部31は、モータケース20内に固定されている。本体部31をモータケース20内に固定した状態で、回転軸部32はモータケース20の後端面よりも後方に向けて突出している。
【0037】
送風ファン40は、モータケース20の後方で外筒体50の前部の内側に配置されている。送風ファン40は、連結部41と、複数の翼部42と、を備えている。
【0038】
連結部41は、短円筒状の部材であり、モータケース20と略同径に形成されている。連結部41の後端面は球面で(換言するとドーム状に)閉塞され、連結部41の前端面は円形に開口している。連結部41の中央部にはボス43が形成され、ボス43には、電気モータ30の回転軸部32が挿入される挿入穴44が形成されている。そして、連結部41の挿入穴44に電気モータ30の回転軸部32を嵌め合わせることで、連結部41は電気モータ30の回転軸部32に固定されている。
【0039】
また、連結部41は、モータケース20に対して回転しつつ、モータケース20の後部ケースとして、モータケース20の一部を形成している。
【0040】
本実施形態の軸流ブロワ1では、連結部41の外周面に複数の翼部42が配置(突設)されている。本実施形態では、複数(図示例では12枚)の翼部42が連結部41の周方向に等間隔に配置されている。電気モータ30を駆動させ、回転軸部32および送風ファン40を軸線O周りで回転させると、送風路17内で各翼部42が後方(上流側)から前方(下流側)に向けて送風する。つまり、軸流ブロワ1では、図3及び図4に示すように、電気モータ30の駆動力によって送風ファン40が送風路17内で回転すると、上流側の吸込口15から下流側の吐出口16に向けて高速の空気流が生じる。この送風ファン40の翼部42は、動翼とも呼ぶ。詳しくは、図6に示すように、電気モータ30の駆動力によって送風ファン40の翼部(動翼)42が送風路17内で回転すると、電気モータ30の下流側に流れる高速の空気流が円筒状の吹出管12の内部を旋回しながら流れる。
【0041】
本実施形態では、電気モータ30(の回転軸部32)および送風ファン40は、回転軸線Oを前後方向に向けて配置されており、電気モータ30(の回転軸部32)および送風ファン40の回転軸線Oと、吹出管12と外筒体50とモータケース20の中心軸線とは一致しており、吹出管12、外筒体50等によって形成される送風路17は、送風ファン40の回転軸線O方向に概ね真っ直ぐに延びている。
【0042】
軸流ブロワ1では、図1図2及び図3に示すように、本体部11の上面にハンドル70が設けられている。ハンドル70は、前後方向に延びている円柱状の部材であり、作業者が把持する部位である。ハンドル70の前端部および後端部は、本体部11の上面の前部および後端部に連結されている。ハンドル70の前部には、作業者が把持した状態で、電気モータ30の回転軸部32の回転を増減させるための操作手段であるスロットルレバー71が設けられている。
【0043】
ハンドル70の前端部(本体部11との連結部分)の内部には、制御ケース80が形成されている。制御ケース80内には、スロットルレバー71からの信号を基に電気モータ30の駆動、すなわち、送風ファン40の回転を制御する制御装置(図示せず)が収容されている。制御装置には、電源としてのバッテリ75に接続される電源ケーブル(図示せず)が接続されている。また、制御装置とスロットルレバー71とは、ハンドル70内に通した信号ケーブル(図示せず)によって接続されている。制御装置には、電気モータ30に接続される給電ケーブル(図示せず)が接続されている。
【0044】
軸流ブロワ1では、図1図2及び図3に示すように、本体部11の後面(を形成する後壁18の上部)に制御装置などの電源となるバッテリ75が搭載されている。
【0045】
軸流ブロワ1によって落ち葉や塵埃を吹き飛ばす場合には、作業者は手でハンドル70を把持して、軸流ブロワ1を携帯する。そして、ハンドル70のスロットルレバー71を操作して、送風ファン40を回転させることで、送風路17内に高速の空気流を生じさせ、吸込口15(側方吸込口15A及び下方吸込口15B)から送風路17に(側方及び下方から)外気(空気)を取り込み、吐出口16から空気流を地面に吹き付ける。
【0046】
上記構成に加えて、本実施形態の軸流ブロワ1では、吐出口16から地面に吹き付けられる空気流の風量の減少を抑えながら、風速を増加させるべく、送風路17の前部を形成している吹出管12の前端部(先端部)が、角R(R部)からなる先細り形状となっている。
【0047】
詳しくは、図5及び図6に示すように、円筒状の吹出管12の前側の開口部、つまりその先端部(下流端部)にR部(第1R部)19aが設けられている。R部19aは、吹出管12の先端部の全周に亘って形成された、外側に丸みを帯びた円弧で構成されている。
【0048】
また、R部(第1R部)19aの先端部(下流端部)にR部(第2R部)19bが連続的に設けられている(連接されている)。R部19bは、R部19aの先端部の全周に亘って形成された、内側に丸みを帯びた円弧で構成されている。本実施形態では、前側のR部19bの円弧の半径は、後側のR部19aの円弧の半径よりも小さく形成されている。
【0049】
さらに、R部(第2R部)19bの先端部(下流端部)にストレート部19cが連続的に設けられている(連接されている)。ストレート部19cは、前後方向に延びている(前後方向で口径が一定に形成されている)円筒状の部分である。本実施形態では、このストレート部19cの前側の開口部(先端開口)は、吐出口16を構成している。
【0050】
本実施形態のR部19a、R部19bおよびストレート部19cは、吹出管12に一体成形されている。ただし、R部19a、R部19bおよびストレート部19cは、吹出管12に一体成形されていなくてもよい。
【0051】
前述のように、R部(第1R部)19aを設けることで、吐出口16から出た空気が、吹出管12の周方向に広がらないようになるため、風量の減少を抑えながら、風速を増加させることができる(図6参照)。
【0052】
また、吹出管12の先端がエッジとなっていると風切り音が発生する可能性があるが、第2R部19bを設けることで、吹出管12を送風ファン40の回転軸線O方向にストレートに流れる風と第1R部19aで内側に若干傾斜するようにガイドされた風とが合わさる箇所で、滑らかに風を合流させて送り出すことができるため、騒音を効果的に低減させることができる。
【0053】
さらに、ストレート部19cを設けることで、吐出口16から送り出す風の直進性を保つことができるので、より効果的に風速を増加させることができる。
【0054】
前述の構成において、R部19a、R部19bおよびストレート部19cは任意に設定可能であるが、R部19aおよびR部19bが大きすぎると、風量の減少が大きくなる。また、R部19aが小さすぎると、風量の減少を抑えながら、風速を増加させる効果が得られ難くなる。
【0055】
そこで、風量の減少と風速の増加をバランスさせるため、吹出管12の先端部の口径(R部19aの上流側の内径)φDに対するストレート部19cの口径(内径)φDcの比率(φDc/φD)は、70%から90%までの範囲内(換言すると70%以上で90%以下)に設定されていることが好ましいことが確認されている。また、ストレート部19cの口径(内径)φDcに対する第1R部19aの円弧の半径Raの比率(Ra/φDc)は、10%から30%までの範囲内(換言すると10%以上で30%以下)に設定されていることが好ましいことが確認されている。換言すれば、吹出管12の先端部の口径φDに対する第1R部19aの円弧の半径Raの比率(Ra/φD)は、7%から27%までの範囲内(換言すると7%以上で27%以下)に設定され、吹出管12の先端部の口径φDに対する第2R部19bの円弧の半径Rbの比率(Rb/φD)は、15%未満に設定されていることが好ましい。
【0056】
一例として、吹出管12の先端部の口径(R部19aの上流側の内径)φDが約90mmの場合、第1R部19aの円弧の半径Raは10mmから25mmまで、第2R部19bの円弧の半径は10mm未満であることが好ましい。また、ストレート部19cの長さは、これに限定されないが、0.5mmから5.0mm程度であることが好ましい。
【0057】
なお、吹出管12は、R部19a、R部19bおよびストレート部19cの全てを備えている必要は無い。例えば、R部19aのみ、あるいは、R部19aおよびR部19bのみを備えている構成でも構わない。また、R部19bを介在せず、R部19aの先端部(下流端部)にストレート部19cを連続して設けてもよい。
【0058】
以上で説明したように、本実施形態の軸流ブロワ1は、直管からなる吹出管12の先端部に、外側に丸みを帯びた円弧で構成されるR部(第1R部)19aが設けられている。これにより、吐出口16から出た空気が、吹出管12の周方向に広がらないようになるため、風量の減少を抑えながら、風速を増加させることができる(図6参照)。
【0059】
また、R部(第1R部)19aの先端部に、内側に丸みを帯びた円弧で構成されるR部(第2R部)19bが連接されている。これにより、吹出管12の先端がエッジとなっていると風切り音が発生する可能性があるが、第2R部19bを設けることで、吹出管12を送風ファン40の回転軸線O方向にストレートに流れる風と第1R部19aで内側に若干傾斜するようにガイドされた風とが合わさる箇所で、滑らかに風を合流させて送り出すことができるため、騒音を効果的に低減させることができる。
【0060】
また、R部(第2R部)19bの円弧の半径は、R部(第1R部)19aの円弧の半径よりも小さい。これにより、比較的少ない形状変更で、騒音を効果的に低減させることができる。
【0061】
また、R部(第2R部)19bの先端部に、口径が一定のストレート部が連接されている。これにより、ストレート部19cを設けることで、吐出口16から送り出す風の直進性を保つことができるので、より効果的に風速を増加させることができる。
【0062】
また、動翼としての送風ファン40の下流側に、該送風ファン40によって送り出される空気の流れを整流する静翼としての整流板60が配置され、該整流板60の下流側にR部19aが配備されている。これにより、送風ファン40(動翼)によって送り出される空気の流れを整流板60(静翼)によって整流することで、先細り形状のR部19aによってガイドされる空気の流れを、より滑らかにガイドすることができる。
【0063】
以上のように、本実施形態の軸流ブロワ1によれば、ハウジング10に設けられた吹出管12の先端部にR部19aを設けることで、風量の減少を抑えながら、風速を効果的に増加させることができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
【0065】
例えば、本実施形態の軸流ブロワ1では、本体部11の開口部に着脱式の吹出管12が取り付けられているが、吹出管12は着脱式でなくてもよく、本体部11に一体に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 軸流ブロワ
10 ハウジング
11 本体部
12 吹出管
13 側方吸込口
14 下方吸込口
15 吸込口
16 吐出口
17 送風路
18 後壁
19a R部(第1R部)
19b R部(第2R部)
19c ストレート部
20 モータケース
30 電気モータ
31 本体部
32 回転軸部
40 送風ファン(動翼)
41 連結部
42 翼部
43 ボス
44 挿入穴
50 外筒体
60 整流板(静翼)
70 ハンドル
71 スロットルレバー
75 バッテリ
80 制御ケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6