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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040478
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/04 20060101AFI20230315BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230315BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20230315BHJP
   F21V 5/08 20060101ALI20230315BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230315BHJP
【FI】
F21S8/04 100
F21S2/00 230
F21S8/04 130
F21V3/02 400
F21V5/08
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147466
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】糸賀 賢二
(57)【要約】
【課題】黒板灯としても利用可能で、長手方向の光拡散性と短手方向の集光性とを有する照明装置を得る。
【解決手段】照明装置は、光源ユニットと、被取付部に取り付けられ、光源ユニットが装着される本体部と、を備え、光源ユニットは、光源と、光源が搭載された基板と、光源と基板とを覆うカバーと、を有し、カバーは、カバーの長手方向に直交する断面視において、円弧形状の断面形状を有し、カバーは、光源からの光が入射される入射面と、入射面に入射された光が出射される出射面とを有し、カバーの出射面は、第1プリズム部と第2プリズム部とを有し、第1プリズム部は、入射面に入射された光を屈折させて第1方向に向けて偏向させて出射する第1出射面を有し、第2プリズム部は、入射面に入射された光を全反射させる反射面と、反射面で全反射した光を屈折させて第1方向に向けて偏向させて出射する第2出射面とを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源ユニットと、
被取付部に取り付けられ、前記光源ユニットが装着される本体部と、
を備え、
前記光源ユニットは、
光源と、
前記光源が搭載された基板と、
前記光源と前記基板とを覆うカバーと、
を有し、
前記カバーは、前記カバーの長手方向に直交する断面視において、円弧形状の断面形状を有し、
前記カバーは、前記光源からの光が入射される入射面と、前記入射面に入射された前記光が出射される出射面とを有し、
前記カバーの前記出射面は、第1プリズム部と第2プリズム部とを有し、
前記第1プリズム部は、前記入射面に入射された前記光を屈折させて第1方向に向けて偏向させて出射する第1出射面を有し、
前記第2プリズム部は、前記入射面に入射された前記光を全反射させる反射面と、前記反射面で全反射した前記光を屈折させて前記第1方向に向けて偏向させて出射する第2出射面とを有する、
照明装置。
【請求項2】
前記第1方向は、前記光源からの前記光の光軸の方向を含む正面方向である、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記カバーの長手方向に直交する断面視において、前記第1プリズム部の断面形状は、三角形状である、
請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記カバーの長手方向に直交する断面視において、前記第2プリズム部の断面形状は、三角形状である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記カバーの長手方向に直交する断面視において、前記第1プリズム部は、前記光軸の方向を含む第1領域に設けられている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記カバーの長手方向に直交する断面視において、前記第1出射面と前記基板と平行な平面とが成す角度である前記第1出射面の傾斜角度は、前記光軸から離れるに従って単調増加する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第1領域において、前記第1プリズム部から放射される光が、二次元配光分布図で、前記長手方向の角度が大きくなるのに伴って、前記長手方向に直交する方向の短手方向のプラス方向に湾曲する形状となる特性を利用して、前記第1プリズム部の前記第1出射面の前記傾斜角度が異なる複数の前記第1プリズム部から放射される光を積算させることで、前記短手方向に集光および前記長手方向に拡散となる配光分布を得る、
請求項5または6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記カバーの長手方向に直交する断面視において、前記第2プリズム部は、前記光軸の方向を含む第1領域の外側に形成された第2領域に設けられている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記カバーの長手方向に直交する断面視において、前記第2出射面と前記基板と平行な平面とが成す角度である前記第2出射面の傾斜角度は、前記光軸から離れるに従って単調減少する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記第2領域において、前記第2プリズム部から放射される光が、二次元配光分布図で、前記長手方向の角度が大きくなるのに伴って、前記長手方向に直交する方向の短手方向のマイナス方向に湾曲する形状となる特性を利用して、前記第2プリズム部の前記第2出射面の前記傾斜角度が異なる複数の前記第2プリズム部から放射される光を積算させることで、前記短手方向に集光および前記長手方向に拡散となる配光分布を得る、
請求項8または9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記第1プリズム部および前記第2プリズム部はそれぞれ複数設けられており、
少なくとも1つの前記第1プリズム部と少なくとも1つの第2プリズム部とは、前記カバーの長手方向に直交する断面視において断面形状が台形形状になるように一体で構成されて、第3プリズム部を形成しており、
前記第3プリズム部では、前記第1プリズム部の前記第1出射面と前記第2プリズム部の前記反射面とは互いに隣接して連結されており、前記第2プリズム部の前記反射面と前記第2出射面とは、前記第1プリズム部の前記第1出射面を挟んで対向して配置されている、
請求項1~10のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記カバーの長手方向に直交する断面視において、前記第3プリズム部は、前記光軸の方向を含む第1領域と前記第1領域の外側に形成された第2領域との間の境界を含む第3領域に設けられ、
前記第3領域は、前記第1領域の一部分と前記第2領域の一部分とを含む領域である、
請求項11に記載の照明装置。
【請求項13】
前記カバーの前記入射面は、前記カバーの長手方向に直交する断面視において、前記光源からの前記光の光軸の近傍に形成された直線部と、前記直線部よりも外側に形成された湾曲部と、を有する、
請求項1~12のいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カバーを有する光源ユニットと、該光源ユニットが装着される本体部と、を備え、黒板灯としても利用可能なことを前提とする、照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)を光源とする長尺型の照明装置において、照明装置の直下に集光させるタイプのものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の照明装置においては、樋形状のカバーの表面に複数のプリズムを形成することにより、照明装置の直下の光度を向上させ、且つ、カバーの光拡散性を向上させている。
【0004】
特許文献1に記載の照明装置は、照明装置の長手方向の光拡散性および短手方向の光拡散性を有している。特許文献1に記載の照明装置においては、カバーが光拡散性を有することで、眩しさを低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6292509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、照明装置を黒板を照射する黒板灯として利用することについては意図されていない。
【0007】
仮に、特許文献1に記載の照明装置を黒板灯として利用する場合は、照明装置の長手方向を黒板面に対して平行に配置させ、且つ、照明装置の長手方向を回転軸として30°程度回転させ、黒板面の照度を確保することになる。
【0008】
照明装置を黒板灯として利用する場合は、黒板面を集中的に照射したいため、照明装置が長手方向の光拡散性および短手方向の集光性を有していることが望ましい。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の照明装置においては、長手方向と短手方向の両方において光拡散性を有しているため、黒板面において十分な照度を得ることができない可能性がある。
【0010】
本開示は、かかる課題を解決するためになされたものであり、黒板灯としても利用可能なことを前提とし、長手方向の光拡散性と短手方向の集光性とを有する照明装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係る照明装置は、光源ユニットと、被取付部に取り付けられ、前記光源ユニットが装着される本体部と、を備え、前記光源ユニットは、光源と、前記光源が搭載された基板と、前記光源と前記基板とを覆うカバーと、を有し、前記カバーは、前記カバーの長手方向に直交する断面視において、円弧形状の断面形状を有し、前記カバーは、前記光源からの光が入射される入射面と、前記入射面に入射された前記光が出射される出射面とを有し、前記カバーの前記出射面は、第1プリズム部と第2プリズム部とを有し、前記第1プリズム部は、前記入射面に入射された前記光を屈折させて第1方向に向けて偏向させて出射する第1出射面を有し、前記第2プリズム部は、前記入射面に入射された前記光を全反射させる反射面と、前記反射面で全反射した前記光を屈折させて前記第1方向に向けて偏向させて出射する第2出射面とを有するものである。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る照明装置によれば、光源ユニットの正面を基準にして、入射面に入射された光を屈折させて第1方向に偏向させて出射する第1出射面を有する第1プリズム部と、反射面で全反射した光を屈折させて第1方向に偏向させて出射する第2出射面とを有する第2プリズム部とを有している。第1プリズム部と第2プリズム部とを組み合わせて用いることにより、長手方向に拡散し、短手方向に集光する配光分布を得ることができる。従って、長手方向の光拡散性と短手方向の集光性とを有する照明装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る照明装置の分解斜視図である。
図2】実施の形態1に係る照明装置に設けられた光源ユニットの構成を示す縦断面図である。
図3】実施の形態1に係る照明装置に設けられた光源ユニットの光源を示す縦断面図である。
図4】実施の形態1に係る照明装置に設けられたカバーの放射メカニズムを説明する説明図である。
図5】実施の形態1に係る照明装置の第1プリズム部のプリズム形状と光の進行方向とを示す説明図である。
図6】実施の形態1に係る照明装置において、第1プリズム部が形成された出射面から放射される光の二次元配光分布を示す図である。
図7】実施の形態1に係る照明装置の第1プリズム部のプリズム形状と光の進行方向とを示す説明図である。
図8】実施の形態1に係る照明装置の第1プリズム部のプリズム形状と光の進行方向とを示す説明図である。
図9】実施の形態1に係る照明装置において、複数の第1プリズム部が形成された出射面から放射される光の二次元配光分布を示す図である。
図10図5に示す第1プリズム部の場合の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。
図11図7に示す第1プリズム部の場合の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。
図12図8に示す第1プリズム部の場合の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。
図13】実施の形態1に係る照明装置の第2プリズム部のプリズム形状と光の進行方向とを示す説明図である。
図14】実施の形態1に係る照明装置の第2プリズム部が形成された出射面から放射される光の二次元配光分布を示す図である。
図15】実施の形態1に係る照明装置の第2プリズム部のプリズム形状と光の進行方向とを示す説明図である。
図16】実施の形態1に係る照明装置の第2プリズム部のプリズム形状と光の進行方向とを示す説明図である。
図17】実施の形態1に係る照明装置において、複数の第2プリズム部が形成された出射面から放射される光の二次元配光分布を示す図である。
図18図13に示す第2プリズム部の場合の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。
図19図15に示す第2プリズム部の場合の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。
図20図16に示す第2プリズム部の場合の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。
図21】実施の形態1に係る照明装置において、カバーに形成されたすべての第1プリズム部および第2プリズム部から放射される光の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。
図22】実施の形態1に係る照明装置を黒板灯として用いる場合の配置を示す配置図である。
図23】実施の形態2に係る照明装置の第3プリズム部のプリズム形状と光の進行方向とを示す説明図である。
図24図23に示す第3プリズム部のプリズム形状を模式的に示す図である。
図25図23に示す第3プリズム部の場合の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。
図26】実施の形態3に係る照明装置に設けられた光源ユニットの構成を示す縦断面図である。
図27】実施の形態3に係る照明装置の第1プリズム部のプリズム形状と光の進行方向とを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示に係る照明装置の実施の形態について図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、以下の実施の形態およびその変形例に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係または形状等が実際のものとは異なる場合がある。
【0015】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明装置の構成を示す分解斜視図である。図2は、実施の形態1に係る照明装置に設けられた光源ユニットの構成を示す縦断面図である。図1および図2を含む各図において、説明の便宜上、照明装置1の短手方向をA方向とし、照明装置1の長手方向をB方向とし、A方向およびB方向に垂直な方向をC方向とする。照明装置1が天井に取り付けられている場合は、C方向は上下方向となる。その場合、C方向は、例えば、鉛直方向である。そのとき、C方向では、C1方向が上方向であり、C2方向が下方向である。図1図2とでは上下方向が逆に図示されている。すなわち、図1では、C2方向が紙面の下向きになっているが、図2では、C2方向が紙面の上向きになっている。以下では、説明を分かりやすくするために、C方向を上下方向として説明する。
【0016】
(照明装置1)
実施の形態1に係る照明装置1は、図1に示すように、長手方向Bに延びる長尺型であり、全体として、細長い略矩形ブロック状の外郭構造を有している。照明装置1は、天井または壁などの被取付部100に取り付けられて、被照明対象に光を照射するものである。実施の形態1に係る照明装置1の被照明対象は、室内空間などの照明空間だけでなく、壁に固定された黒板などの物体であってもよい。このように、実施の形態1に係る照明装置1は、黒板を照射する黒板灯としての利用が可能であることを前提としている。
【0017】
照明装置1は、被照明対象に光を照射する長尺の光源ユニット2と、天井または壁などの被取付部100に取り付けられて固定され、光源ユニット2が着脱可能に取り付けられる長尺の本体部3と、を備えている。
【0018】
(本体部3)
本体部3は、細長い略矩形ブロック状の有底箱状に形成されている。従って、本体部3は、凹状に形成された凹内部を有している。図1の例では、本体部3は、直付型器具である。本体部3の上面3aは閉塞されており、吊りボルトまたはネジなどの接続部材により被取付部100に取り付けられる。本体部3の下面3b全体は、C2方向に向かって開口されている。C2方向は、照明装置1の正面方向に相当する。本体部3の凹内部には、本体部3の下面3b側から、光源ユニット2が挿入され取り付けられる。本体部3の凹内部には、保持具3cが設けられている。保持具3cは、光源ユニット2に設けられた連結具(図示省略)と係合して、本体部3に光源ユニット2を取り付けるために設けられている。保持具3cは、例えば、ステンレス製の弾性を有する材質で形成され、帯状の板材を湾曲させて形成した板バネである。また、本体部3は、点灯装置(図示省略)を内蔵している。点灯装置は、建物などに設けられた固定配線(図示省略)に接続されて、商用電源から電力供給を受けて直流電流を生成する。点灯装置は、光源ユニット2に設けられた電源部(図示省略)に接続され、電源部に電力を供給する。電源部は、光源ユニット2に設けられた後述する光源部20に電力を供給する電源として機能する。
【0019】
(光源ユニット2)
図2の縦断面図は、照明装置1の長手方向に直交し且つ光軸Hを含む仮想平面で切断した場合の光源ユニット2の断面を示している。図2に示すように、光源ユニット2は、光源部20と、フレーム23と、カバー24と、反射板25と、を有している。なお、上述したように、図1図2とでは上下方向が逆に図示されている。すなわち、図2においては、照明装置1が天井に取り付けられた場合とは、上下方向が逆に表示されている。
【0020】
光源ユニット2は、図1に示すように、照明装置1の本体部3の開口された下面3bを塞ぐように本体部3に取り付けられ、点灯装置および電源部を介して商用電源から供給される電力によって、光源部20の光源21を点灯させる。
【0021】
図3は、実施の形態1に係る照明装置に設けられた光源ユニットの光源を示す縦断面図である。図3の縦断面図は、照明装置1の長手方向に沿って且つ光軸Hを含む仮想平面で切断した場合の光源ユニット2の断面を示している。図3においては、光源ユニット2のうち、光源部20とカバー24のみを示している。なお、図1図3とでは上下方向が逆に図示されている。すなわち、図3においては、図2と同様に、照明装置1が天井に取り付けられた場合とは、上下方向が逆に表示されている。図2および図3に示すように、光源部20は、複数の光源21と、それらの光源21が搭載された基板22とを有している。基板22は、光源ユニット2の長手方向Bに沿って延びる長尺の平板状の部材である。基板22は下面22aが搭載面となっている。光源21は、基板22の下面22aに実装される発光素子である。光源21は、例えば、LED光源である。複数の光源21は、光源ユニット2の長手方向Bに沿って、互いに間隔を空けて、列状に並んで配置されている。光源21は、基板22に直交する方向に光軸Hを有する。光源部20は、フレーム23に内蔵された電源部から電力が供給されて、光源21を発光させる。光源21は、C2方向に向かって光を放射する。従って、C2方向は、照射側と呼ばれることがある。
【0022】
図2の説明に戻る。反射板25は、光源21から出射された光を反射させる。反射板25で反射した光は、照射側に向かって進む。反射板25は拡散材料でできており、光源21から発光された光は、拡散光となって照射側に放射される。反射板25は、図2に示すように、基板22の両側に設けられている。反射板25は、光源ユニット2の長手方向Bに沿って延びる長尺の板状の部材である。反射板25のそれぞれが有する傾斜面25aは、基板22の主面に対して、光軸Hに向かう方向に傾斜している。すなわち、傾斜面25aの一方が基板22の下面22aに対してプラス側(時計回りの方向)に傾斜し、傾斜面25aの他方が基板22の下面22aに対してマイナス側(反時計回りの方向)に傾斜している。傾斜面25aの一方と他方とは、図2に示すように、カバー24の長手方向に直交する断面視において、光軸Hに対して対称になるように形成されている。なお、反射板25は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設けるようにすればよい。
【0023】
フレーム23は、光源ユニット2の本体を構成している。フレーム23は、例えば板金で形成される。フレーム23は、光源ユニット2の長手方向Bに沿って延びる長尺の平板状の部材である。フレーム23は、基板22および反射板25が取り付けられ、それらを支持している。フレーム23は、本体部3に着脱可能に取り付けられる。フレーム23には、さらに、上述した連結具(図示省略)が設けられている。連結具は、図1に示す本体部3の保持具3cと係合して、本体部3に光源ユニット2を取り付ける。
【0024】
カバー24は、図1に示すように、光源ユニット2の照射側となる下面に設けられている。カバー24は、透光性の材料を用いて形成され、光源部20の光源21および基板22の周囲を覆う部材である。カバー24は、光源ユニット2の長手方向Bに沿って延びる長尺の樋形状の部材である。カバー24は、フレーム23に取り付けられる。カバー24は、図2に示すように、光源21からの光が入射される入射面24aと、入射面24aに入射された光が出射される出射面24bと、を有している。光源21から出射された光は、カバー24の入射面24aに入射され、カバー24を透過して、出射面24bから出射し、被対象物に照射される。カバー24の透光性の材料としては、例えば、アクリルまたはポリカーボネート等の合成樹脂、あるいは、ガラスなどが適している。また、カバー24の透過性の材料として、樹脂内部に適度な密度で散乱粒子を含有させた乳板を用いることも可能である。カバー24は、使用される材料に応じて、射出成形、押出し成形、三次元積層造形等により形成される。
【0025】
カバー24は、光源21からの光を透過する透光部242と、透光部242と対向する開口面とを有する。カバー24は、長尺の有底箱状に形成されている。具体的には、カバー24は、図1に示すように、長尺で湾曲面状のカバー本体部240と、カバー本体部240の長手方向Bの両端面を塞ぐカバー端部241と、を有している。カバー本体部240とカバー端部241とは一体で成形されてもよいが、それぞれ別個に形成されて接着材などにより接合されてもよい。
【0026】
カバー本体部240は、図2に示すように、光源部20から発光された光を透過させる凹状の透光部242と、透光部242の両端縁から開口の内方側に向かって形成された一対のカバー平面部243と、を有している。
【0027】
図2に示すように、透光部242は、カバー24の長手方向Bに直交する断面視において、略U字形状の断面形状を有している。透光部242は、図2に示すように、光源部20と対向し、光源部20から発光された光をC2方向に向かって照射する円弧形状の透光主部242aと、透光主部242aの短手方向Aの両端縁からC1方向に延びた透光側部242bと、を有している。
【0028】
(カバー24の放射メカニズム)
次に、カバー24の放射メカニズムについて説明する。図4は、実施の形態1に係る照明装置に設けられたカバーの放射メカニズムを説明する説明図である。カバー24は、図4に示すように、カバー24の長手方向に直交する断面視において、第1領域と第2領域とを有している。光源21の光軸Hと光の進行方向Pとが成す角度を「光の出射角度θ」とする。このとき、光軸Hは光の出射角度θ=0°の位置であり、図4の紙面において、光軸Hから左向きに進む方向(反時計回りの方向)をマイナス方向、光軸Hから右向きに進む方向(時計回りの方向)をプラス方向とする。このとき、光軸Hを含む中央の領域を第1領域とし、第1領域の外側の領域を第2領域とする。第1領域は、例えば、光の出射角度θが0°から±60°までの範囲、すなわち、-60°<θ<60°の範囲とする。また、第2領域は、例えば、光の出射角度θが、±60°から±90°までの範囲、すなわち、-90°≦θ≦-60°および60°≦θ≦90°の範囲とする。カバー24では、放射メカニズムとして、第1領域と第2領域とで異なる手法を用いている。具体的には、カバー24の第1領域では第1放射メカニズムを用い、カバー24の第2領域では第2放射メカニズムを用いている。これらのメカニズムについては後述する。
【0029】
図2を用いて説明したように、カバー24は、光源21からの光が入射される入射面24aと、入射面24aに入射された光が出射される出射面24bとを有している。出射面24bには、長手方向Bに沿ってリブ状に延びる多数のプリズムが形成されている。これらのプリズムは、カバー24の透光部242(図2参照)の全体に亘って設けられていてもよいが、カバー24の透光部242の透光主部242a(図2参照)のみに設けて、透光側部242b(図2参照)には設けないようにしてもよい。これらのプリズムは、カバー24の出射面24bから照射側に向かって突出している。また、これらのプリズムは、カバー24の長手方向に直交する断面視において、三角形状の断面形状を有している。以下では、これらのプリズムのうち、カバー24の第1領域に設けられているプリズムを第1プリズム部400と呼び、カバー24の第2領域に設けられているプリズムを第2プリズム部401と呼ぶ。このように、カバー24の出射面24bは、第1プリズム部400と、第2プリズム部401とを、有している。なお、図3の縦断面図では、複数の第1プリズム部400のうちの1つが図示されている。
【0030】
(第1プリズム部400)
はじめに、第1プリズム部400について説明する。図5は、実施の形態1に係る照明装置の第1プリズム部のプリズム形状と光の進行方向とを示す説明図である。図5は、図4の破線R1で囲われた部分の拡大図である。すなわち、図5は、第1領域に設けられた第1プリズム部400を示している。なお、図5は、第1領域のうちの例えばθ=-30°の地点の様子を示している。第1プリズム部400は、図5に示すように、カバー24の長手方向に直交する断面視において、三角形状の断面形状を有している。第1プリズム部400は、カバー24の出射面24bから照射側に向かって突出している。第1プリズム部400は、一定間隔で、並んで配置されている。図5に示すように、第1プリズム部400は、入射面24aに入射された光を屈折させて第1方向Dに向けて偏向させて出射する第1出射面400aを有している。第1出射面400aの傾斜角度θαは、光軸Hに対してθ°傾斜した方向に進む光が、カバー24の入射面24aに入射し、第1プリズム部400を通過することによって、第1方向Dに偏向されるように設定されている。第1方向Dは、照明装置1の正面方向(0°方向)、または、ほぼ正面方向である。このように、第1出射面400aの傾斜角度θαは、カバー24の各地点ごとに、第1方向Dと光の出射角度θ°とによって決定される。傾斜角度θαについては後述する。なお、ここで、第1出射面400aの傾斜角度θαとは、第1出射面400aと基板22と平行な平面Eとが成す角度である。基板22と平行な平面Eは、例えば水平面であるが、必ずしも水平である必要はない。
【0031】
図4に示すように、第1プリズム部400は、第1出射面400aが、基板22と平行な平面Eに対してマイナス側に傾斜したプリズム群400-1と、プラス側に傾斜したプリズム群400-2とに、区分される。プリズム群400-1とプリズム群400-2とは、カバー24の長手方向に直交する断面視において、光軸Hを境界として反転する。すなわち、プリズム群400-1とプリズム群400-2とは、カバー24の長手方向に直交する断面視において、光軸Hに対して対称になるように形成されている。
【0032】
また、光軸Hの近傍においては、第1プリズム部400の第1出射面400aは、基板22とほぼ平行であってよい。すなわち、光軸Hの近傍においては、第1出射面400aの傾斜角度θαは、略0°(例えば、±0.5以下)であってよい。その場合、光源21から光軸Hの近傍に向かって出射された光は、そのまま殆ど屈折せずに、第1方向Dに出射される。一方、光軸Hの近傍より外側の領域では、光軸Hから離れるに従って、第1出射面400aの傾斜角度θαが単調増加する。すなわち、カバー24の長手方向に直交する断面視において、光軸Hから離れるほど、傾斜角度θαが大きくなる。
【0033】
なお、図5において、第1プリズム部400の断面形状が、厳密な三角形状ではなく、角が丸くなっているのは、金型加工の加工限界を考慮しているためである。従って、第1プリズム部400は、金型加工の加工限界が許せば、角が尖った三角形状であってもよい。このように、第1プリズム部400は、三角形状または略三角形状の断面形状を有しているが、これらを纏めて「三角形状」と呼ぶこととする。
【0034】
図6は、実施の形態1に係る照明装置において、第1プリズム部が形成された出射面から放射される光の二次元配光分布を示す図である。図6では、第1領域のうちの例えばθ=-25°の地点の光の二次元配光分布を示している。すなわち、図6では、カバー24の長手方向Bに±90°の角度広がりを持つ光線群のうち、θ=-25°の方向に進んだ光が、図5の第1プリズム部400を透過した場合の二次元配光分布を示している。図6は、θ=0°を中心とした極座標表示のグラフであり、X軸が短手方向A、Y軸が長手方向Bに相当する。図6の同心円は、10°刻みで緯度を表している。また、図6の右側の枠内の数字は、図6の二次元配光分布に示される各色に対応する光度の値を示す。なお、図6に示す二次元配光分布図は、照明装置1から放射される光の角度方向を示すためのものであり、実空間座標とは異なるものであることに留意されたい。
【0035】
図6に示すように、第1領域では、二次元配光分布は、細い三日月形状に湾曲しており、両端がX軸のプラス方向へ徐々に曲がっていく形状になっている。具体的に説明すると、長手方向Bにおいて±20°内の広がり角度を有する光線群(図6の範囲W1の光線群)は、Y軸上に存在することから、短手方向Aにおいては、ほぼ0°方向(図4のHと平行な方向)に進行することがわかる。一方、長手方向Bにおいて±20°以上の広がり角度を有する光線群(図6の範囲W2の光線群)は、角度が大きくなるのに伴って、X軸のプラス方向へと湾曲していく。このように、長手方向Bに角度が大きくなるに従い、短手方向Aはプラス方向にシフトする。即ち、図2および図4の縦断面図において、右方向に曲げられることになる。このため、長手方向Bの範囲W2の光線群においては、第1プリズム部400により、マイナス方向にシフトする光をプラス方向に偏向させる。
【0036】
図7および図8は、実施の形態1に係る照明装置の第1プリズム部のプリズム形状と光の進行方向とを示す説明図である。図7および図8は、第1領域において、第1放射メカニズムを用いて、第1プリズム部400により、マイナス方向にシフトする光をプラス方向に偏向させる様子を示している。図7では、第1方向Dに対して、光を-7°方向に偏向させ、図8では、第1方向Dに対して、光を-13°方向に偏向させている。以下では、第1方向Dと光の進行方向Pとが成す角度を「光の偏向角度θ1」とする。すなわち、図7はθ1=-7°の場合を示し、図8は、θ1=-13°の場合を示している。なお、図7および図8では、図6との比較のために、図6と同様に、第1領域のうちの例えばθ=-25°の地点の様子を示している。
【0037】
図7では、第1出射面400aの傾斜角度θαは、光軸Hよりθ°だけ傾斜した方向に進む光が、カバー24の入射面24aを通過し、第1プリズム部400を通過することによって、第1方向Dよりも-7°だけマイナス方向に偏向されるように設定されている。
【0038】
図8では、第1出射面400aの傾斜角度θαは、光軸Hよりθ°だけ傾斜した方向に進む光が、カバー24の入射面24aを通過し、第1プリズム部400を通過することによって、第1方向Dよりも-13°だけマイナス方向に偏向されるように設定されている。
【0039】
第1プリズム部400の第1出射面400aの傾斜角度θαを平面Eに対して徐々に緩くさせることにより、出射角度を7°、13°と大きくさせることができる。すなわち、第1出射面400aと平面Eとが成す角度である傾斜角度θαを小さくするほど、光の偏向角度θ1の絶対値を大きくすることができ、光が光軸Hから離れる方向に拡散する。なお、平面Eは、上述したように、図1に示す基板22と平行な平面である。
【0040】
ここで、図9を用いて、第1プリズム部400を用いて、カバー24の第1領域において、短手方向Aに光を集光し、長手方向Bに光を拡散する方法について説明する。図9は、実施の形態1に係る照明装置において、複数の第1プリズム部が形成された出射面から放射される光の二次元配光分布を示す図である。図9において、実線90がθ1=0°の場合(すなわち、図5の場合)の第1プリズム部400から放射される光の二次元配光分布である。従って、実線90は、図6に示す二次元配光分布と同じである。また、図9において、破線91がθ1=-7°の場合(すなわち、図7の場合)の第1プリズム部400から放射される光の二次元配光分布である。また、図9において、点線92がθ1=-13°の場合(すなわち、図8の場合)の第1プリズム部400から放射される光の二次元配光分布である。
【0041】
いま、集光および拡散を意識しているのは、二次元配光分布図のX軸上の集光、および、Y軸上の拡散である。図6を用いて上述したように、第1プリズム部400の光の取り出し方(すなわち、図5で示した第1出射面400aから透過させる方法)では、X軸上で見て正面方向に取り出した場合、図9の二次元配光分布図の実線90のように、右に湾曲した配光が得られる。同じ光の取り出し方で、取り出す角度を、図7で示したθ1=-7°(図9の破線91)、図8で示したθ1=-13°(図9の点線92)と変えていくと、二次元配光分布図は、図9に示すように、右に湾曲した形を維持したまま、左方向へシフトしていく。
【0042】
実線90、破線91、および、点線92で示される、これらの3つの光を積算すると、X軸上では0°、-7°、-13°近辺にしか光が広がっていないのに対し、Y軸上では±20°、±30°(±20°は除く)、±40°(±30°は除く)というように、それぞれ広がった光が足し合わされることになる。従って、3つの光を積算した場合のトータルでは、X軸上は±13°の広がり(すなわち、集光)、Y軸上では±40°の広がり(すなわち、拡散)となる。図9では、3つの第1プリズム部400から放射される光を積算した場合を示しているが、カバー24には3以上の複数の第1プリズム部400が形成されている。そのため、より綿密に、カバー24の第1領域において、短手方向Aに光を集光し、長手方向Bに光を拡散することができる。
【0043】
図10図12に、図9に示した前述の個々の光のX軸上およびY軸上の配光分布を示す。
【0044】
図10は、図5に示す第1プリズム部の場合の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。図11は、図7に示す第1プリズム部の場合の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。図12は、図8に示す第1プリズム部の場合の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。すなわち、図10はθ1=0°の場合、図11はθ1=-7°の場合、図12はθ1=-13°の場合を示す。
【0045】
図10図12において、横軸は光の出射角度θ(図5図7図8参照)を示し、縦軸は光度を示す。また、図10図12において、細線が短手方向A、太線が長手方向Bに沿った配光分布である。
【0046】
図10に示す偏向角度θ1=0°の配光分布において、短手方向Aは0°を中心として幅±4°、長手方向Bは±20°に広がる台形の分布形状となる。
【0047】
図11に示す偏向角度θ1=-7°の配光分布において、短手方向Aは-7°を中心として幅±4°、長手方向Bは±30°にピークを持つ分布形状となる。
【0048】
図12に示す偏向角度θ1=-13°の配光分布において、短手方向Aは-13°を中心として幅±3°、長手方向Bは±42°にピークを持つ分布形状となる。
【0049】
このように、第1領域では、長手方向Bに広がりを持つ光線群が二次元配光分布図(図6参照)で湾曲する形状となる特性を利用して、配光分布の調整を行う。具体的には、長手方向Bにおいて±20°以上の広がり角度を有する光線群(図6の範囲W2の光線群)については、偏向角度が0°からX軸のマイナス方向に傾けた光線群を足し合わせる。これにより、短手方向に集光、長手方向に拡散となる配光分布を得られることがわかる。そのためには、カバー24の長手方向に直交する断面視において、第1プリズム部400の第1出射面400aと基板22と平行な平面Eとが成す角度(すなわち、第1出射面400aの傾斜角度θα)が、光軸Hから離れるに従って単調増加するようにすればよい。実施の形態1では、第1プリズム部400をそのように形成しているため、第1プリズム部400を用いて、カバー24の第1領域において、短手方向Aに光を集光し、長手方向Bに光を拡散することができる。
【0050】
(第2プリズム部401)
次に、第2プリズム部401について説明する。図13は、実施の形態1に係る照明装置の第2プリズム部のプリズム形状と光の進行方向とを示す説明図である。図13は、図4の破線R2で囲われた部分の拡大図である。すなわち、図13は、第2領域に設けられた第2プリズム部401を示している。なお、図13では、第2領域のうちの例えばθ=-75°の地点の様子を示している。図13に示すように、第2プリズム部401は、入射面24aに入射された光を全反射させる反射面401aと、反射面401aで全反射した光を屈折させて第1方向Dに向けて偏向させて出射する第2出射面401bを有している。反射面401aの傾斜角度は、光軸Hよりθ°だけ傾斜した方向に進む光が全反射して第2出射面401bに入射するように設定されている。すなわち、反射面401aは、第2出射面401bに対向して配置されている。また、第2出射面401bの傾斜角度は、反射面401aで全反射した光が、第2プリズム部401を通過することによって、第1方向Dに偏向されるように設定されている。第1方向Dは、正面方向(0°方向)、または、ほぼ正面方向である。このように、第2出射面401bの傾斜角度は、カバー24の各地点ごとに、第1方向Dと光の出射角度θ°とによって決定される。以下に詳細に説明する。
【0051】
図4に示すように、第2プリズム部401は、第2出射面401bが、基板22と平行な平面Eに対してプラス側に傾斜したプリズム群401-1と、マイナス側に傾斜したプリズム群401-2とに、区分される。プリズム群401-1とプリズム群401-2とは、カバー24の長手方向に直交する断面視において、光軸Hを境界として反転する。すなわち、プリズム群401-1とプリズム群401-2とは、カバー24の長手方向に直交する断面視において、光軸Hに対して対称になるように形成されている。
【0052】
また、第2領域の両端(±90°)の近傍においては、すなわち、透光主部242aの透光側部242b(図2参照)の近傍の領域では、第2プリズム部401の第2出射面401bは、基板22とほぼ平行であってよい。すなわち、第2領域の両端(±90°)の近傍においては、第2出射面401bの傾斜角度θγは、略0°(例えば、±0.5以下)である。そのため、光軸Hに対して垂直な方向に向かって光源21から出射された光は、反射面401aで反射された後に、第2プリズム部401の第2出射面401bで略90°方向に屈折して、第1方向Dに向かって出射される。一方、第2領域の両端以外の他の領域では、光軸Hから離れるに従って、第2出射面401bの傾斜角度θγが単調減少する。すなわち、カバー24の長手方向に直交する断面視において、光軸Hから離れるほど、傾斜角度θγが小さくなる。
【0053】
第2プリズム部401は、図13に示すように、カバー24の長手方向に直交する断面視において、三角形状の断面形状を有している。第2プリズム部401は、カバー24の出射面24bから照射側に向かって突出している。第2プリズム部401は、一定間隔で、並んで配置されている。
【0054】
なお、図13において、第2プリズム部401の断面形状が、厳密な三角形状ではなく、角が丸くなっているのは、金型加工の加工限界を考慮しているためである。従って、第2プリズム部401は、金型加工の加工限界が許せば、厳密な三角形状であってもよい。このように、第2プリズム部401は、三角形状または略三角形状の断面形状を有しているが、これらを纏めて「三角形状」と呼ぶこととする。
【0055】
図14は、実施の形態1に係る照明装置の第2プリズム部が形成された出射面から放射される光の二次元配光分布を示す図である。図14では、第2領域のうちの例えばθ=-75°の地点の光の二次元配光分布を示している。すなわち、図14では、カバー24の長手方向Bに±90°の角度広がりを持つ光線群がθ=-75°の方向に進み、図13の第2プリズム部401を透過した場合の二次元配光分布を示している。図14は、図6と同様に、θ=0°を中心とした極座標表示のグラフであり、X軸が短手方向A、Y軸が長手方向Bに相当する。図14の同心円は、10°刻みで緯度を表している。また、図14の右側の枠内の数字は、図14の二次元配光分布に示される各色に対応する光度の値を示す。なお、図14に示す二次元配光分布図は、照明装置1から放射される光の角度方向を示すためのものであり、実空間座標とは異なるものであることに留意されたい。
【0056】
図14に示すように、第2領域では、二次元配光分布は、細い三日月形状に湾曲しており、両端がX軸のマイナス方向へ徐々に曲がっていく形状になっている。具体的に説明すると、長手方向Bにおいて±20°内の広がり角度を有する光線群(図14の範囲W1の光線群)は、Y軸上に存在することから、短手方向Aにおいて、ほぼ0°方向に進行することがわかる。一方、長手方向Bにおいて±20°以上の広がり角度を有する光線群(図14の範囲W2の光線群)は、角度が大きくなるのに伴って、X軸のマイナス方向へと湾曲していく。このように、長手方向Bに角度が大きくなるに従い、短手方向Aはマイナス方向にシフトする。即ち、図2および図4の断面図において、左方向に曲げられることになる。このため、長手方向Bの範囲W2の光線群においては、第2プリズム部401により、プラス方向にシフトする光をマイナス方向に偏向させる。
【0057】
図15および図16は、実施の形態1に係る照明装置の第2プリズム部のプリズム形状と光の進行方向とを示す説明図である。図15および図16は、第2領域において、第2放射メカニズムを用いて、第2プリズム部401により、プラス方向にシフトする光をマイナス方向に偏向させる様子を示している。図15では、第1方向Dに対して、光を6°方向に偏向させ、図16では、第1方向Dに対して、光を15°方向に偏向させている。以下では、第1方向Dと光の進行方向Pとが成す角度を「光の偏向角度θ2」とする。すなわち、図15はθ2=6°の場合を示し、図16は、θ2=15°の場合を示している。なお、図15および図16では、図13との比較のために、図13と同様に、第2領域のうちの例えばθ=-75°の地点の様子を示している。
【0058】
図15では、第2出射面401bの傾斜角度は、光軸Hよりθ°だけ傾斜した方向に進む光が、反射面401aで全反射し、第2プリズム部401を通過することによって、第1方向Dよりも6°だけプラス方向に偏向されるように設定されている。
【0059】
図16では、第2出射面401bの傾斜角度は、光軸Hよりθ°だけ傾斜した方向に進む光が、反射面401aで全反射し、第2プリズム部401を通過することによって、第1方向Dよりも15°だけプラス方向に偏向されるように設定されている。
【0060】
第2プリズム部401の反射面401aおよび第2出射面401bの傾斜角度を、共に、平面Eに対して徐々にきつくして垂直面Fに近づけることにより、出射角度を6°、15°と大きくさせることができる。すなわち、第2出射面401bと平面Eとが成す角度を大きくするほど、光の偏向角度θ2の絶対値を大きくすることができる。なお、平面Eは、例えば、図1に示す基板22と平行な平面であり、垂直面Fは平面Eに直交する平面である。
【0061】
ここで、図17を用いて、第2プリズム部401を用いて、カバー24の第2領域において、短手方向Aに光を集光し、長手方向Bに光を拡散する方法について説明する。図17は、実施の形態1に係る照明装置において、複数の第2プリズム部が形成された出射面から放射される光の二次元配光分布を示す図である。図17において、実線93がθ1=0°の場合(すなわち、図13の場合)の第2プリズム部401から放射される光の二次元配光分布である。従って、実線93は、図14に示す二次元配光分布と同じである。また、図17において、破線94がθ1=6°の場合(すなわち、図15の場合)の第2プリズム部401から放射される光の二次元配光分布である。また、図9において、点線95がθ1=15°の場合(すなわち、図16の場合)の第2プリズム部401から放射される光の二次元配光分布である。
【0062】
第2プリズム部401も、上記の第1プリズム部400と同様の考え方になる。すなわち、いま、集光および拡散を意識しているのは、二次元配光分布図のX軸上の集光、および、Y軸上の拡散である。図14を用いて上述したように、第2プリズム部401の光の取り出し方(すなわち、図13で示した、反射面401aで反射させ、対向する第2出射面401bから透過させる方法)では、X軸上で見て正面方向に取り出した場合、図17の二次元配光分布図の実線93のように、左に湾曲した配光が得られる。同じ光の取り出し方で、取り出す角度を、図15で示したθ2=6°(図17の破線94)、図16で示したθ2=15°(図17の点線95)と変えていくと、二次元配光分布図は、図17に示すように、左に湾曲した形を維持したまま、右方向へシフトしていく。
【0063】
実線93、破線94、および、点線95で示される、これらの3つの光を積算すると、X軸上では0°、6°、15°近辺にしか光が広がっていないのに対し、Y軸上では±20°、±32°(±20°は除く)、±46°(±32°は除く)というように、それぞれ広がった光が足し合わされることになる。従って、3つの光を積算したトータルでは、X軸上は±13°の広がり(すなわち、集光)、Y軸上では±46°の広がり(すなわち、拡散)となる。図17では、3つの第2プリズム部401から放射される光を積算した場合を示しているが、カバー24には3以上の複数の第2プリズム部401が形成されている。そのため、より綿密に、カバー24の第2領域において、短手方向Aに光を集光し、長手方向Bに光を拡散することができる。
【0064】
図18図20に、図17に示した前述の個々の光のX軸上およびY軸上の配光分布を示す。
【0065】
図18は、図13に示す第2プリズム部の場合の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。図19は、図15に示す第2プリズム部の場合の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。図20は、図16に示す第2プリズム部の場合の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。すなわち、図18はθ2=0°の場合、図19はθ2=6°の場合、図20はθ2=15°の場合を示す。
【0066】
図18図20において、横軸は光の出射角度θ(図13図15図16参照)を示し、縦軸は光度を示す。また、図18図20において、細線が短手方向A、太線が長手方向Bに沿った配光分布である。
【0067】
図18に示す偏向角度θ2=0°の配光分布において、短手方向Aは0°を中心として幅±3°、長手方向Bは±20°に広がる台形の分布形状となる。
【0068】
図19に示す偏向角度θ2=6°の配光分布において、短手方向Aは6°を中心として幅±2°、長手方向Bは±32°にピークを持つ分布形状となる。
【0069】
図20に示す偏向角度θ2=15°の配光分布において、短手方向Aは15°を中心として幅±2°、長手方向Bは±45°にピークを持つ分布形状となる。
【0070】
このように、第2領域では、長手方向Bに広がりを持つ光線群が二次元配光分布図(図14参照)で湾曲する形状となる特性を利用して、配光分布の調整を行う。具体的には、長手方向Bにおいて±20°以上の広がり角度を有する光線群(図14の範囲W2の光線群)については、偏向角度が0°からX軸のプラス方向に傾けた光線群を足し合わせる。これにより、短手方向に集光、長手方向に拡散となる配光分布を得られることがわかる。そのためには、カバー24の長手方向に直交する断面視において、第2プリズム部401の第2出射面401bと基板22と平行な平面Eとが成す角度(すなわち、第2出射面401bの傾斜角度θγ)が、光軸Hから離れるに従って単調減少するようにすればよい。実施の形態1では、第2プリズム部401をそのように形成しているため、第2プリズム部401を用いて、カバー24の第2領域において、短手方向Aに光を集光し、長手方向Bに光を拡散することができる。
【0071】
以上のように、光源21からの光の出射角度θが0°から±60°までの範囲の第1領域では、第1放射メカニズムを用いて、単純に光を透過させる第1プリズム部400で光を偏向させる。一方、光源21からの光の出射角度θが±60°から±90°までの範囲の第2領域では、第2放射メカニズムを用いて、全反射させた後に反射面に対向する出射面から光を出射させる第2プリズム部401で光を偏向させる。これにより、カバー24の長手方向Bに直交する断面において、第1領域および第2領域の両方において、短手方向に集光、長手方向に拡散となる配光分布を得ることができる。
【0072】
さらに、第1領域では、第1プリズム部400から放射される光が、二次元配光分布図(図6参照)で、長手方向の角度が大きくなるのに伴って、短手方向のプラス方向に湾曲する形状となる特性を利用して、第1プリズム部400の第1出射面400aの傾斜角度θαが異なる複数の第1プリズム部400から放射される光を積算させる。これにより、偏向角度θ1を0°からX軸のマイナス方向に傾けた光線群を足し合わせることができるため、短手方向に集光、長手方向に拡散となる配光分布を得ることができる。
【0073】
同様に、第2領域では、第2プリズム部401から放射される光が、二次元配光分布図(図14参照)で、長手方向の角度が大きくなるのに伴って、短手方向のマイナス方向に湾曲する形状となる特性を利用して、第2プリズム部401の第2出射面401bの傾斜角度θγが異なる複数の第2プリズム部401から放射される光を積算させる。これにより、偏向角度θ2を0°からX軸のプラス方向に傾けた光線群を足し合わせることができるため、短手方向に集光、長手方向に拡散となる配光分布を得ることができる。
【0074】
図21は、実施の形態1に係る照明装置において、カバーに形成されたすべての第1プリズム部および第2プリズム部から放射される光の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。図21において、横軸は光の出射角度θを示し、縦軸は光度を示す。また、図21において、細線が短手方向A、太線が長手方向Bに沿った配光分布である。
【0075】
図21に示す配光分布において、短手方向Aは0°を中心として幅±10°、長手方向Bは±35°に広がる台形の分布形状となる。
【0076】
図22は、実施の形態1に係る照明装置を黒板灯として用いる場合の配置を示す配置図である。図22において、天井面4と床面5との間の距離を3000mmとする。このとき、壁面6から水平方向に1500mm離れた天井面4に照明装置1が取り付けられ、照明装置1が、壁面6に設置された黒板7を照射する配置となっている。すなわち、照明装置1の長手方向を黒板面7cに対して平行に配置させている。また、照明装置1の長手方向に延びる中心軸を回転軸として、光源ユニット2の正面方向と天井面4とが成す角度が角度φ°になるように、照明装置1を回転させて、照明装置1の正面を黒板面7cに向けている。黒板7の下端7aの位置は、床面5から垂直方向に900mm離れた位置であり、黒板7の上端7bの位置は、床面5から垂直方向に2100mm離れた位置である。また、黒板7の黒板面7cの位置は、下端7aの位置から上端7bの位置までである。なお、ここで、天井面4は、図1の被取付部100の一例である。
【0077】
照明装置1は、光源ユニット2の正面が床面5と壁面6との交線50に向くように配置されている。従って、平面Eである床面5から角度θa(=63.4°)の方向50aは、光源ユニット2の正面方向となっている。また、黒板7の下端7aは、平面Eである床面5からの角度が角度θb(=54.5°)の方向になり、黒板7の上端7bは、平面Eである床面5からの角度が角度θc(=31.0°)の方向になる。
【0078】
図22の配置の場合、黒板7の下端7aに向かう光の角度は、光源ユニット2の正面の角度63.4°から黒板7の下端7aの角度54.5°を差し引いた8.9°となる。同様に、黒板7の上端7bに向かう光の角度は、光源ユニット2の正面の角度63.4°から黒板7の上端7bの角度31.0°を差し引いた32.4°となる。
【0079】
従って、光源ユニット2から黒板7の黒板面7cの全体に向かって照射される光の角度は、8.9°から32.4°までの範囲になる。即ち、光源ユニット2の正面から、概略で、9°~30°の範囲の光が、黒板7の黒板面7cに直接照射されることになる。
【0080】
また、黒板7の黒板面7cの照度は光源21からの距離の二乗に反比例することから、特に10~20°の範囲の光度値が下がらないように、光源21の配光分布を設計しなければならない。図19の配光分布は、短手方向Aの配光分布の条件をほぼ満たしている。
【0081】
なお、照明装置1の配置は図22の配置例に限定されない。例えば、照明装置1は、光源ユニット2の正面が黒板7の黒板面7cの高さ方向の中央部分、すなわち、黒板7の下端7aと上端7bとの間の中央部分に向くように配置されてもよい。
【0082】
以上のように、実施の形態1に係る照明装置1では、カバー24が、入射面24aと出射面24bとを有し、出射面24bの第1領域に第1プリズム部400が設けられ、出射面24bの第2領域に第2プリズム部401が設けられている。第1プリズム部400は、入射面24aに入射された光を屈折させて第1方向Dに偏向させて出射する第1出射面400aを有している。また、第2プリズム部401は、入射面24aに入射された光を全反射させる反射面401aと、反射面401aで全反射した光を屈折させて第1方向Dに偏向させて出射する第2出射面401bとを有している。これにより、カバー24の長手方向Bに直交する断面において、第1領域および第2領域の両方において、短手方向に集光、長手方向に拡散となる配光分布を得ることができる。
【0083】
また、実施の形態1に係る照明装置1では、カバー24のほぼすべての表面から正面方向(第1方向D)へ光を放射させるため、ユーザが照明装置1を直接見た時の眩しさを低減させることができる。
【0084】
実施の形態2.
図23は、実施の形態2に係る照明装置の第3プリズム部のプリズム形状と光の進行方向とを示す説明図である。図23は、カバー24の第1領域(図4参照)または第2領域(図4参照)に設けられた第3プリズム部402を示している。なお、図23では、第1領域のうちの例えばθ=-30°の地点の様子を示している。また、図24は、図23に示す第3プリズム部のプリズム形状を模式的に示す図である。
【0085】
実施の形態1と実施の形態2との相違点は、実施の形態2では、三角形状の第1プリズム部400および第2プリズム部401の代わりに、台形形状の第3プリズム部402が設けられている点である。他の構成については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0086】
(第3プリズム部402、および、第3放射メカニズム)
図23および図24に示すように、第3プリズム部402は、第1プリズム部400と第2プリズム部401とが台形形状になるように一体で構成されたものである。第3プリズム部402は、カバー24の長手方向Bに直交する断面視において、断面形状が台形形状になっている。第3プリズム部402は、第3放射メカニズムを用いて光を放射させる。第3放射メカニズムは、第1放射メカニズムと第2放射メカニズムとを組み合わせた手法である。
【0087】
図23および図24に示すように、第3プリズム部402は、第1出射面400aと、第2出射面401bと、反射面401aとを有している。第1出射面400aと反射面401aとは互いに隣接して連結されている。また、反射面401aと第2出射面401bとは、第1出射面400aを挟んで対向して配置されている。第1出射面400aと第2出射面401bとは互いに隣接して連結されている。
【0088】
図23において、光線41は、第1出射面400aから放出される光線群であり、光線42は、反射面401aで全反射した後に第2出射面401bから放出される光線群である。
【0089】
第1出射面400aの傾斜角度θαは、光軸Hよりθ°だけ傾斜した方向に進む光が、カバー24の入射面24aを通過し、第3プリズム部402を通過することによって、光線41が進む方向に偏向されるように設定されている。光線41が進む方向は、例えば、θ1=-15°であるが、これに限定されない。このように、第1出射面400aの傾斜角度θαは、カバー24の各地点ごとに、光線41が進む方向と光の出射角度θ°とによって決定される。
【0090】
反射面401aの傾斜角度θβは、光軸Hよりθ°だけ傾斜した方向に進む光が全反射して第2出射面401bに入射するように設定されている。また、第2出射面401bの傾斜角度θγは、反射面401aで全反射した光が、第2プリズム部401を通過することによって、光線42が進む方向に偏向されるように設定されている。光線42が進む方向は、例えば、θ2=12°であるが、これに限定されない。また、光線41および光線42が進む方向は、ここでは異なる場合を例に挙げているが、同じであってよく、照明装置1の用途によって適宜設定すればよい。このように、反射面401aの傾斜角度θβおよび第2出射面401bの傾斜角度θγは、カバー24の各地点ごとに、光線42が進む方向と光の出射角度θ°とによって決定される。
【0091】
第3プリズム部402は、図23および図24に示すように、カバー24の長手方向に直交する断面視において、台形形状または略台形形状の断面形状を有している。第3プリズム部402は、カバー24の出射面24bから照射側に向かって突出している。第3プリズム部402は、一定間隔で、並んで配置されている。
【0092】
なお、図23において、第3プリズム部402の断面形状が、厳密な台形形状ではなく、角が丸くなっているのは、金型加工の加工限界を考慮しているためである。従って、第3プリズム部402は、金型加工の加工限界が許せば、角が尖った台形形状であってもよい。また、一般的に台形形状は、少なくとも1組の対向する辺が互いに平行であるが、第3プリズム部402の断面形状においては、第1出射面400aと第1出射面400aに対向する辺とが厳密に平行でなくてもよい。このように、第3プリズム部402は、台形形状または略台形形状の断面形状を有しているが、これらを纏めて「台形形状」と呼ぶこととする。
【0093】
このように、実施の形態2では、第3プリズム部402が、第1放射メカニズムと第2放射メカニズムとを組み合わせた第3放射メカニズムを用いて、光を放射させる。具体的には、第1出射面400aにより、第1放射メカニズムを用いて、単純に光を透過させて光を偏向させる。一方、反射面401aおよび第2出射面401bにより、第2放射メカニズムを用いて、全反射させた後に反射面に対向する出射面から光を出射させて、光を偏向させる。これにより、カバー24の長手方向Bに直交する断面において、第1領域および第2領域の両方において、短手方向に集光、長手方向に拡散となる配光分布を得ることができる。
【0094】
なお、第3プリズム部402を、一部の第1プリズム部400または一部の第2プリズム部401の代わりに配置させ、カバー24全体において、第1プリズム部400、第2プリズム部401、および、第3プリズム部402が、混在していてもよい。
【0095】
以上のように、実施の形態2の第3プリズム部402は、実施の形態1の第1プリズム部400または第2プリズム部401のような単純な三角形ではなく、台形形状のプリズムになっている。これにより、実施の形態2の第3プリズム部402では、図23に示すように、単純に透過する光線群(光線41)と、全反射した後に透過する光線群(光線42)とを作り出すことができる。
【0096】
図25は、図23に示す第3プリズム部の場合の短手方向Aおよび長手方向Bの配光分布を示す図である。図25において、横軸は角度を示し、縦軸は光度を示す。また、図25において、細線が短手方向A、太線が長手方向Bに沿った配光分布である。
【0097】
図25に示す配光分布において、短手方向Aに関して、光線41は-15°、光線42は12°に放射される。一方、長手方向Bに関しては、光線41は±20°にピークを作り、光線42は±37°にピークを作る。
【0098】
このように、実施の形態2では、単一の第3プリズム部402から、短手方向Aのプラス方向とマイナス方向とに光を二分して出射する。これにより、実施の形態1のように光を分割せずに出射させる場合に比べて、ユーザが照明装置1を見上げた時の眩しさを、さらに抑えることができる。
【0099】
なお、上記の説明においては、カバー24の第1領域または第2領域において、三角形状の第1プリズム部400および第2プリズム部401の代わりに、台形形状の第3プリズム部402が設けられている場合について説明した。しかしながら、その場合に限定されない。すなわち、第1領域の一部分である、光源21からの光の出射角度θが0°から±45°までの範囲、すなわち、-45°<θ<45°の範囲では、第1放射メカニズムを用いて、単純に光を透過させる第1プリズム部400で光を偏向させる。また、第1領域と第2領域との境界を含む第3領域では、第3放射メカニズムを用いて、第3プリズム部402で光を偏向させる。第3領域は、例えば、光源21からの光の出射角度θが±45°から±65°までの範囲、すなわち、-65°≦θ≦-45°および45°≦θ≦65°の範囲である。また、第2領域の残りの一部分の領域では、第2放射メカニズムを用いて、全反射させた後に反射面に対向する出射面から光を出射させる第2プリズム部401で光を偏向させる。なお、第2領域の残りの一部分の領域とは、光源21からの光の出射角度θが±65°から±90°までの範囲、すなわち、-90°<θ<-65°および65°<θ<90°の範囲である。
【0100】
以上のように、実施の形態2に係る照明装置1においては、カバー24が、第1領域の少なくとも一部分、および、第2領域の少なくとも一部分で、台形形状の第3プリズム部402を用いている。第3プリズム部402は、第1プリズム部400の第1出射面400aと同様の機能を有する第1出射面400aと、第2プリズム部401の反射面401aおよび第2出射面401bと同様の機能を有する反射面401aおよび第2出射面401bとを有している。そのため、実施の形態1と同様に、カバー24の長手方向Bに直交する断面において、第1領域および第2領域の両方において、短手方向に集光、長手方向に拡散となる配光分布を得ることができる。
【0101】
また、実施の形態2では、第1領域の少なくとも一部分、および、第2領域の少なくとも一部分で、実施の形態1の第1プリズム部400または第2プリズム部401のような単純な三角形ではなく、台形形状の第3プリズム部402を用いている。これにより、実施の形態2の第3プリズム部402では、1つのプリズムにより、単純に透過する光線群(光線41)と、全反射した後に透過する光線群(光線42)と、の両方を作り出すことができる。
【0102】
さらに、実施の形態2では、単一の第3プリズム部402から、短手方向Aのプラス方向とマイナス方向とに光を二分して出射する。これにより、実施の形態1のように光を分割せずに出射させる場合に比べて、ユーザが照明装置1を見上げた時の眩しさを、さらに抑えることができる。
【0103】
実施の形態3.
図26は、実施の形態3に係る照明装置に設けられた光源ユニットの構成を示す縦断面図である。実施の形態3に係る光源ユニット2Aにおいては、光源21、基板22、フレーム23、および、反射板25は、実施の形態1と同じ構成であり、透光性のカバー24Aの形状のみが異なる。従って、実施の形態3では、主に、カバー24Aについて説明し、他の構成については説明を省略する。
【0104】
上記の実施の形態1では、図2に示すように、カバー24の入射面24aは、カバー24の長手方向に直交する断面視において、円弧形状の断面形状を有している。一方、実施の形態3では、図26に示すように、カバー24の入射面24aAが、カバー24の長手方向に直交する断面視において、直線部24aA-1と、湾曲部24aA-2と、を有している。直線部24aA-1は、光源21からの光の光軸Hを含む、光軸Hの近傍の領域に形成されている。また、湾曲部24aA-2は、直線部24aA-1よりも外側の領域に形成されている。直線部24aA-1は、第1領域のうちの一部分の領域である。直線部24aA-1は、カバー24の長手方向に直交する断面視において、直線形状になっている。また、湾曲部24aA-2は、カバー24の長手方向に直交する断面視において、円弧形状になっている。
【0105】
図27は、実施の形態3に係る照明装置の第1プリズム部のプリズム形状と光の進行方向とを示す説明図である。図27は、図26の破線R3で囲われた部分の拡大図である。すなわち、図27は、第1領域に設けられた第1プリズム部400Aを示している。なお、図27は、第1領域のうちの例えばθ=-30°の地点の様子を示している。第1プリズム部400Aは、図27に示すように、カバー24の長手方向に直交する断面視において、三角形状の断面形状を有している。
【0106】
実施の形態3における第1プリズム部400Aと、実施の形態1における第1プリズム部400との相違点は、第1出射面の角度である。図27の破線は、図5の第1プリズム部400の第1出射面400aを示している。図27から分かるように、実施の形態3の第1出射面400aAが、実施の形態1の第1出射面400aよりも、平面Eに対して平行に近い傾斜角度を有している。すなわち、実施の形態3の第1出射面400aAと平面Eとが成す傾斜角度θαAは、実施の形態1の第1出射面400aと平面Eとが成す傾斜角度θαより小さい。
【0107】
このように、実施の形態3における第1出射面400aAの傾斜角度θαAが、実施の形態1における第1出射面400aの傾斜角度θαより小さい理由を以下に説明する。実施の形態3における第1プリズム部400Aが設けられている領域は、カバー24の入射面24aAの直線部24aA-1である。そのため、当該領域では、図27に示すように、入射面24aAが水平であり、光源21からの光が入射面24aAに入射した時点で、出射させたい第1方向Dに光を偏向させている。このように、実施の形態3では、入射面24aで、或る程度、光の向きを変えているために、第1出射面400aAで光を大きく偏向させる必要がない。そのため、実施の形態3における第1出射面400aAの傾斜角度θαAは、実施の形態1における第1出射面400aの傾斜角度θαより小さくなっている。
【0108】
一方、第1出射面400aで光を大きく偏向させるためには、光線と第1出射面400aとが成す傾斜角度θαを大きくする必要がある。しかしながら、傾斜角度θαが大きくなると、第1出射面400aで取り出せる光の量が少なくなる。
【0109】
これに対して、実施の形態3では、カバー24Aの直線部24aA-1では、入射面24aと第1出射面400aAとの両方で少しずつ光の進行方向を変えている。そのため、一つの面(第1出射面400a)で光を大きく偏向させている実施の形態1よりも、取り出せる光の量を増やすことができる。
【0110】
なお、カバー24の入射面24aAに直線部24aA-1が設けられている領域は第1領域であるため、第2領域の動作については実施の形態1と同じである。すなわち、第2領域に設けられている第2プリズム部401は、実施の形態1の第2プリズム部401と構成および動作が同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
【0111】
以上のように、実施の形態3に係る照明装置1においては、カバー24Aが、実施の形態1と同様に、第1プリズム部400と第2プリズム部401とを有している。そのため、実施の形態1と同様に、カバー24Aの長手方向Bに直交する断面において、第1領域および第2領域の両方において、短手方向に集光、長手方向に拡散となる配光分布を得ることができる。
【0112】
さらに、実施の形態3では、カバー24の入射面24aAが、カバー24の長手方向に直交する断面視において、光軸Hの近傍の領域に形成された直線部24aA-1と、直線部24aA-1よりも外側に形成された湾曲部24aA-2と、を有している。そのため、直線部24aA-1では、入射面24aと第1出射面400aAとの両方で少しずつ光の進行方向を変えている。そのため、一つの面(第1出射面400a)で光を大きく偏向させている実施の形態1よりも、取り出せる光の量を増やすことができる。
【符号の説明】
【0113】
1 照明装置、2 光源ユニット、2A 光源ユニット、3 本体部、3a 上面、3b 下面、3c 保持具、4 天井面、5 床面、6 壁面、7 黒板、7a 下端、7b 上端、7c 黒板面、20 光源部、21 光源、22 基板、22a 下面、23 フレーム、24 カバー、24A カバー、24a 入射面、24aA 入射面、24aA-1 直線部、24aA-2 湾曲部、24b 出射面、25 反射板、25a 傾斜面、41 光線、42 光線、50 交線、50a 方向、90 実線、91 破線、92 点線、93 実線、94 破線、95 点線、100 被取付部、240 カバー本体部、241 カバー端部、242 透光部、242a 透光主部、242b 透光側部、243 カバー平面部、400 第1プリズム部、400-1 プリズム群、400-2 プリズム群、400A 第1プリズム部、400a 第1出射面、400aA 第1出射面、401 第2プリズム部、401-1 プリズム群、401-2 プリズム群、401a 反射面、401b 第2出射面、402 第3プリズム部、A 短手方向、B 長手方向、D 第1方向、E 平面、F 垂直面、H 光軸、P 進行方向、R1 破線、R2 破線、R3 破線、W1 範囲、W2 範囲、Y 短手方向、θ 出射角度、θ1 偏向角度、θ2 偏向角度、θa 角度、θb 角度、θc 角度、θα 傾斜角度、θαA 傾斜角度、θβ 傾斜角度、θγ 傾斜角度。
図1
図2
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