(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040494
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】容器の内面検査装置、内面検査方法および内面検査システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/954 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
G01N21/954 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147509
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】592091596
【氏名又は名称】帝人エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】蘆田 浩規
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA83
2G051AB01
2G051AB02
2G051AC17
2G051BA20
2G051BB01
2G051BB17
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB01
2G051DA08
(57)【要約】
【課題】容器の内面を素早くかつ正確に検査することが可能な、内面検査装置、内面検査方法および内面検査システムを提供する。
【解決手段】 本発明の容器の内面検査装置は、カメラ、照明、検査機支持具、検査機可動治具、容器支持回転治具を有する容器の内面検査装置であって、検査機支持具にカメラと照明Aと照明Bが設置され、カメラと照明Aは角度調整機構を介して検査機支持具に保持され、照明Bは検査機支持具に結合しており、検査機可動治具によって検査機支持具のカメラと照明A・照明Bが容器内に挿入され、容器支持回転治具によって容器全体が回転することを特徴とする。さらには、照明Aがカメラの撮影方向と同調して角度を変更するものであることや、照明A及び照明Bの照度が独立に調整できることが好ましい。さらに容器の内面検査方法や、自動的に容器内の検査を行う容器の内面検査システムの発明を内包する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ、照明、検査機支持具、検査機可動治具、容器支持回転治具を有する容器の内面検査装置であって、検査機支持具にカメラと照明Aと照明Bが設置され、カメラと照明Aは角度調整機構を介して検査機支持具に保持され、照明Bは検査機支持具に結合しており、検査機可動治具によって検査機支持具のカメラと照明A・照明Bが容器内に挿入され、容器支持回転治具によって容器全体が回転することを特徴とする容器の内面検査装置。
【請求項2】
照明Aがカメラの撮影方向と同調して角度を変更するものである請求項1記載の容器の内面検査装置。
【請求項3】
照明Aがカメラレンズを中心にしたリング照明である請求項1または2記載の容器の内面検査装置。
【請求項4】
照明A及び照明Bの照度が、独立に調整できる請求項1~3のいずれか1項である容器の内面検査装置。
【請求項5】
検査機支持具の移動と角度調整機構により容器内面とカメラが正対し、かつ距離を一定に保持する請求項1~4のいずれか1項である容器の内面検査装置。
【請求項6】
角度調整機構が、検査機支持具の長軸方向に対し鉛直下向きに角度を調整するものである請求項1~5のいずれか1項である容器の内面検査装置。
【請求項7】
検査機支持具が中空菅形状である請求項1~6のいずれか1項である容器の内面検査装置。
【請求項8】
容器が椀部の口金側、胴体部、椀部の他方側を有する形状である請求項1~7のいずれか1項である容器の内面検査装置。
【請求項9】
容器がFRP製の圧力容器である請求項1~8のいずれか1項である容器の内面検査装置。
【請求項10】
カメラによる撮影時の各種位置情報が記録される請求項1~9のいずれか1項である容器の内面検査装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項記載の内面検査装置を用いることを特徴とする容器の内面検査方法。
【請求項12】
照明A及び照明Bの出力を調整する請求項11記載の容器の内面検査方法。
【請求項13】
記録された撮影時の各種位置情報を用いて、再撮影、再検査時の条件が再現される機構を有する請求項11または12記載の容器の内面検査方法。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか1項記載の内面検査装置を使用し、全撮影時の各種位置情報を事前入力することにより、自動的に容器内の検査を行う容器の内面検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の内面検査装置、内面検査方法および内面検査システムに関するものである。特にはガス等の圧力容器の検査に最適な内面検査装置、内面検査方法および内面検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
容器の内面を検査する装置としては、例えば特許文献1では、光を照射する照明光照射部と、検査対象領域を撮像する撮像部を有し、検査対象領域に対して相対移動し、複数の画像情報から異物を検出する検査装置が示されている。しかしこの装置では、複数の撮像条件情報に基づいて実像を判別するために、複雑な演算処理が必要であった。
【0003】
また特許文献2には、タンクの内部を検査する装置として、検査機を支持した検査機支持具を、タンクの一方側の側部に配設された口金の開口からタンク内に挿入し、検査機支持具の先端には、タンクの他方側の側部に配設された口金に支持される支持部を設けた、支持具が両持ち状態でタンク内に支持された検査装置が開示されている。しかしこの検査装置は容器の胴体部分の検査機と容器の内壁との間の距離を周方向に亘って略均等にすることができ、胴体部分の検査の精度を確保することができるものの、容器の椀部の検査が行えないという問題があった。また検査機として撮像装置と照明装置こそ設けられているものの、共に下向きに固定されて配設されているために、特に口金開口部の検査が十分にできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-161321号公報
【特許文献2】特開2020-20711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は容器の内面を素早くかつ正確に検査することが可能な、内面検査装置、内面検査方法および内面検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の容器の内面検査装置は、カメラ、照明、検査機支持具、検査機可動治具、容器支持回転治具を有する容器の内面検査装置であって、検査機支持具にカメラと照明Aと照明Bが設置され、カメラと照明Aは角度調整機構を介して検査機支持具に保持され、照明Bは検査機支持具に結合しており、検査機可動治具によって検査機支持具のカメラと照明A・照明Bが容器内に挿入され、容器支持回転治具によって容器全体が回転することを特徴とする。
【0007】
さらには、照明Aがカメラの撮影方向と同調して角度を変更するものであること、照明Aがカメラレンズを中心にしたリング照明であること、照明A及び照明Bの照度が独立に調整できること、検査機支持具の移動と角度調整機構により容器内面とカメラがおおよそ正対、かつ距離を一定に保持すること、および角度調整機構が検査機支持具の長軸方向に対し鉛直下向きに所定の角度を調整するものであることが好ましい。また、検査機支持具が中空菅形状であることや、容器が椀部の口金側、胴体部、椀部の他方側を有する形状であること、容器が繊維強化プラスチックス(FRP)製の圧力容器であること、カメラによる撮影時の各種位置情報が記録されることが好ましい。
【0008】
もう一つの本発明の本発明の容器の内面検査方法は、上記の容器の内面検査装置を用いることを特徴とする容器の内面検査方法である。さらには、照明A及び照明Bの出力を調整することや、記録された撮影時の各種位置情報を用いて、再撮影、再検査時の条件が再現される機構を有することが好ましい。
【0009】
そして、上記の本発明の内面検査装置を使用し、全撮影時の各種位置情報を事前入力することにより、自動的に容器内の検査を行う容器の内面検査システムの発明である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器の内面を素早くかつ正確に検査することが可能な、内面検査装置、内面検査方法および内面検査システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の容器の内面検査装置の一実施形態の断面図である。
【
図2】本発明の容器の内面検査装置の主要部分の断面図である。
【
図3】本発明の容器の内面検査装置の照明Bの位置と照射範囲を示す断面図である。
【
図4】本発明の実施例にて用いた容器断面の概念図である。
【
図5】本発明の実施例にて用いた容器と内面検査装置の主要部の断面図である。
【
図6】本発明の内面検査装置に供される開口部が一つの容器の例である。
【
図7】本発明の内面検査装置に供される開口部が二つの容器の例である。
【
図8】本発明の容器の内面検査方法の一実施態様を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の容器の内面検査装置は、カメラ、照明、検査機支持具、検査機可動治具、容器支持回転治具を有する容器の内面検査装置である。そして、検査機支持具にカメラと照明Aと照明Bが設置され、カメラと照明Aは角度調整機構を介して検査機支持具に保持され、照明Bは検査機支持具に結合しており、検査機可動治具によって検査機支持具のカメラと照明A・照明Bが容器内に挿入され、容器支持回転治具によって容器全体が回転することを特徴としている。
【0013】
ここで本発明の内面検査装置の対象とする容器としては特に制限はないが、小さな開口部しかなく、内部を十分に目視観察することができない形状の容器であって、たとえば口金部、椀部、胴体部を有する形状であることが好ましく、胴部の容器中心線から距離が一定であるものに最適に用いられる。このような容器としては、圧力容器やボンベなどが挙げられる。特に軽量化するために繊維補強樹脂を用いたFRP製容器には、本発明の内面検査装置は好適に用いられる。
【0014】
また本発明の検査対象となる容器の開口部は、カメラや照明を内部に挿入するために1つは必須だが2つ以上であっても良い。また、ボンベ等によく見られるように、直線上に並んだ2つの開口部があることも好ましい形態である。開口部が2つ以上の場合は、カメラと照明の設置された検査機の支持具を両持ちとすることによって、より安定した検査を行うことができる。また、1つの開口部から片持ちで支持具を挿入することによって、よりスピードの早い、効率的な検査を行うことが可能となる。
【0015】
さらには検査対象とする容器としては、内部ライナーとしてアルミニウム合金製や樹脂製のライナーを用いた容器に対し、特に有効である。ライナーの表面としては、アルミニウム合金製であれば、例えば、研磨目、艶消し仕上げ、エッチング仕上げ、電解研磨、熱処理・酸洗い、研磨目+バフ、光輝・熱処理等に近しい内面状態に、また樹脂製であれば、樹脂製のライナーを成型する金型表面が切削したままの面以外に、標準仕上げ、しぼ仕上げ、上級仕上げ、鏡面仕上げ等が考えられ、その表面に近しい表面状態になる。
【0016】
このような容器内面の近しい表面状態については、表1にまとめて記した。
【0017】
また、表2に、FRP容器の本体における各部位の欠点についてまとめて記した。ライナー内面・FRP容器内面のキズ、凹凸、色、ボイド(気泡)、ライナー変形、ゴミ、汚れのほかに、口金部のバルブ取付部付近の状態や、FRP容器では、成形時のクラック、剥離、FRP/ライナー界面(剥離・隙間)、補強繊維の配向・蛇行・揺らぎ、樹脂含有率Rc・繊維含有率Vf変動、ボイド(気泡)、樹脂硬化度、外面・外観では、キズ(打痕)、凹凸(段差)、ボイド(気泡)、補強材乱れ、ラベル等の判定項目がある。
中でも、本発明の装置は、検査重要度の高い「ライナー内面・FRP容器内面」における「キズ、凹凸、色、ボイド(気泡)、ライナー変形、ゴミ、汚れ」の検査判定に使用できる。
【0018】
本発明の検査装置は、その設定を変更することによって、容易にライナー内面や容器内面の欠点に対し、適切な検査を行うことが可能となったのである。
中でも本発明の検査装置は、樹脂ライナーを有するタイプの圧力容器の検査に特に適している。樹脂ライナーを有するタイプの圧力容器は、予め作製された複数の樹脂成形品が一体的に溶着されて構成されているものもある。例えば、円筒形状のセンターライナー部の両端縁に椀形状のサイドライナー部の端縁がそれぞれ赤外線溶着等によって接合されて構成されている。(特許文献2参照。)この際、樹脂ライナーの状態が性能を大きく左右しており、このタイプの圧力容器における容器内面検査において、本発明の検査装置は最適である。
【0019】
特許文献2に記載がある、このような樹脂ライナーにおいては、樹脂成形品同士の接合部分が適正な接合状態となっているか否か、が重要である。より具体的には例えば、加熱によって溶融した樹脂(樹脂成形品の端縁を構成している樹脂材料)の一部がビードとして容器の内側に向けて流れ込み、それが冷却固化することで樹脂成形品同士の接合強度が確保されるため、このビードの量が周方向の全体に亘って、均一且つ適切に得られているか否かの検査が重要である。
【0020】
本発明の検査装置は検査部位に対し、照明Aと照明Bの異なった角度からの照明を用いるため、このような欠点の検出に特に適している。
【0021】
また容器として特に圧力容器を検査対象とする場合には、胴体部以外の、椀部の口金側及び椀部の他方側の状態の検査が重要であるが、本発明の検査装置は、カメラ等の設置された検査機支持具の容器内への挿入とともに、角度調整機構や、容器支持回転治具の活用によって、極めて効率的な検査が可能である。本発明の検査装置では、角度調整装置や、その検査機支持具の容器内への抜き差しによって、カメラの向きや場所を容易に任意に変更することができるからである。
【0022】
それ故に本発明の検査装置では、容器の胴体部はもちろん、ドーム形状を有する椀部の口金側や、その反対側の椀部の他方側の撮影・検査を、有効かつ迅速に行うことが可能となった。さらには、被検体である容器を回転させることにより、特に円形断面の容器において、カメラと容器内面の距離を一定に保ちながら、迅速な撮影・検査することが可能となった。
【0023】
本発明の容器の内面検査装置が最も有効に用いられる容器について、図を用いてさらにその詳細を説明する。
【0024】
本発明の検査装置が最も有効に用いられる被検査物としては、先にも述べたように圧力容器が挙げられる。このような圧力容器は通常、容器本体、ライナー、およびバルブ等からできている。
【0025】
図7は開口部が2つの圧力容器であって、容器1の軸心方向に沿った断面図である。この
図7に示すように、容器1は、全体として密閉円筒形状の容器本体2と、この容器本体2の長手方向の両端部(一方側の側部および他方側の側部)に取り付けられた口金3A,3Bを備えている。また、容器本体2においては、略円筒形状を有する胴体部21と、この胴体部21の口金3Aを有する側のドーム形状の椀部・口金3A側22と、その反対側(ここでは、口金3B側)のドーム形状の椀部・他方側23で構成されている。
【0026】
容器本体2の内部は、ガス等を貯留する貯留空間5となっている。容器1は、常圧のガスを充填することもできるし、常圧に比べて圧力が高められたガスを充填することもできる。例えば、燃料電池システムでは、高圧の状態で容器1内に充填された燃料ガス(水素)を減圧して、燃料電池での発電に供することになる。
【0027】
容器本体2は、ライナー11(内殻)と補強部12(外殻)とを有している。ライナー11は、アルミニウム合金や、ガスバリア性に優れる樹脂材料から成る。補強部12は、カーボン繊維やガラス繊維と、エポキシ樹脂とを含む繊維強化プラスチック(FRP)から成ることが好ましく、ライナー11の外周に巻回形成されている。
【0028】
口金3A,3Bは、例えば、アルミニウム合金やステンレス等の金属で形成され、容器本体2において半球面形状となっている端壁部の中心に設けられている。口金3A,3Bに設けられた開口3a,3bの内周面には、めねじ(図示省略)が形成されており、配管やバルブアッセンブリ14等の機能部品が、前記のめねじを介して口金3A,3Bにねじ込み接続可能となっている。例えば、燃料電池システムに適用される容器1は、バルブや継手等の配管要素を一体的に組み込んだバルブアッセンブリ14を介して、貯留空間5と外部のガス流路(図示省略)との間が接続され、貯留空間5に水素が充填されると共に貯留空間5から水素が放出可能となっている。なお、本実施形態における容器1にあっては、図中の右側に位置する口金3Bの開口3bの内径寸法よりも図中の左側に位置する口金3Aの開口3aの内径寸法の方が僅かに小さくなっている。また、図中では、口金3Bを記載したが、口金3Aに接続される配管やバルブアッセンブリ14等の機能部品により、貯留空間5への水素等ガスの充填・放出が可能となる場合もあり、この場合は、口金3Bは省略されることもある。(
図6)
【0029】
容器の内層に存在するライナー11は、容器内部に貯蔵される気体・流体の透過バリアとして機能し、容器内面を密閉するように、複合材の圧力容器の内面に配設される。このようなライナー11は、アルミニウム合金や、昨今では、非金属製の弾性材料や樹脂材料により形成されるものもある。また、ライナー11の役割の1つには、内部に貯蔵される気体・流体が複合材料に接触することを防止することもある。
【0030】
アルミニウム合金であるライナー11は、A6000系のものが使われることが一般的である。例えば、アルミニウム合金のプレート材を、プレスカッピング加工、延伸加工、スピニング加工を経て、概ね、容器形状に仕上げ、その後、T6熱処理、口金部のネジ加工を施し、ライナー11を完成させる。または、アルミニウム合金の押出管を用い、回転しごき加工で薄肉化を図り、素管の両端にネッキング加工をして、概ね容器形状に仕上げ、その後、T6熱処理、口金部のネジ加工を施し、ライナー11を完成させる。
【0031】
これらのアルミニウム合金ライナーの製造工程、即ち、プレスカッピング加工、延伸加工、スピニング加工、或いは、回転しごき加工、ネッキング加工の善悪は、容器本体2の胴体部21以外にも、椀部・口金側22と、椀部・他方側23の状態に現れてくるため、容器本体2の内面を検査することが重要となるのである。
【0032】
他方、樹脂ライナー11を有するタイプの圧力容器2は、ライナー全体の一体成型品のものや、予め作製された複数の樹脂成形品が一体的に溶着されて構成されているものもある。例えば、後者は、円筒形状のセンターライナー部21の両端縁に椀形状のサイドライナー部22,23の端縁がそれぞれ赤外線溶着等によって接合されて構成されている。
【0033】
製品性能に対し、樹脂ライナー11の状態の影響は大きく、このタイプの圧力容器2では、容器内面検査が特に重要となる。この樹脂ライナー11において、樹脂成形品同士の接合部分が適正な接合状態となっているか否か、例えば、加熱によって溶融した樹脂(樹脂成形品の端縁を構成している樹脂材料)の一部がビードとして容器の内側に向けて流れ込み、それが冷却固化することで樹脂成形品同士の接合強度が確保されることになるため、このビードの量が周方向の全体に亘って均一且つ適切に得られているか否か等を検査する必要がある。
【0034】
その他、前記の表2に記載した判定項目が、検査項目としては重要である。
【0035】
上記のような容器の内面検査に適した本発明の内面検査装置について、次に説明する。
【0036】
本発明の内面検査装置は、カメラ、照明、検査機支持具、検査機可動治具、容器支持回転治具を有するのであるが、照明は2以上有することが必要であるが、一つの照明Aは角度調整機構を介して検査機支持具に保持され、照明Bは検査機支持具に結合し、照明Aと照明Bが異なる箇所に設置されることによって、一つの検査、撮影部位に対し異なった方向から、同時に光を照射することが可能となる。さらには照明Bが複数からなり、照明Aと複数の照明Bの3箇所以上の光源の個数および方向から照射するものであることが好ましい。
【0037】
さらにカメラと照明Aは角度調整機構を介して検査機支持具に保持されており、さまざまな容器内部の検査、撮影部位に対し、おおよそ正対位置に配置させることが可能になる。ここで保持とは、検査機支持具によって角度調整機構の動きが制限されていることをいい、直接的に結合している場合のほか、中空部材からなる支持具の中に角度調整機構の末端が入っているような、実質的に動きを規制されている場合等も含む。
【0038】
なお、カメラと照明Aは同じ位置に設置しても良いが、異なった位置や異なった角度に設置することも可能である。あるいは別の角度調整機構に、それぞれカメラと照明Aを別個に設置することも可能である。このような場合でも、さらには照明Aがカメラの撮影方向と同調して角度を変更するものであることが好ましい。汎用的には、カメラと照明Aを同じ角度調整機構に設置し、撮影部位に共におおよそ正対することが好ましい。さらに照明Aとしてはリング照明であることが好ましい。照明Aがカメラレンズを中心にしたリング照明である場合、カメラと照明を同軸に配置されるため、検査対象の容器内面の表面状態が粗い場合の検査・撮影が可能となる。
【0039】
角度調整機構としては、狭い容器の開口部から内部に挿入するためには小さい方が好ましい。その調整方向としては、1ないし2方向、調整角度としてはそれぞれ0°から180°以内とすることが好ましい。本件発明では検査機可動治具によって、カメラや照明が設置された検査機支持具を容器内部に挿入でき、容器支持回転治具によって、検査対象の容器自体の全体を回転させるため、角度調整機構は簡略化することが可能となった。角度調整の方向としては開口部から挿入する検査機支持具の長軸方向に対し、0°から180°の調整角度を有することが好ましく、最も好ましくは、角度調整機構が、検査機支持具の長軸方向に対し、鉛直下向きにのみ、角度を調整するものである。
【0040】
例えば、より具体的には、容器を容器回転治具に横向きに設置し容器全体を回転させ、検査機支持具を地面と平行に容器内部に挿入するような場合、角度調整装置としては、検査機支持具の長軸方向に対して、0°から180°の調整角度を有することが好ましい。カメラの撮影部位が胴体部であって、鉛直下向きに位置する場合、角度調整装置としては、90°に調整すると、カメラ及び同軸に配置された照明Aは、撮影部位とおおよそ正対することとなる。
【0041】
具体的な撮影時の角度としては、検査機支持具の長軸方向に対し、0°(検査機支持具の長軸方向)、30°、60°、90°、120°、150°を設定できることが好ましい。また、容器が小さい場合、例えば胴部の直径が250mm以下の圧力容器ボンベの場合、30°、90°、150°程度でも、十分な効果を発揮できる。(
図2参照。)
【0042】
また、カメラと撮影部位との距離としては適切な範囲であることが好ましい。本発明においては、カメラと容器内面は適切な焦点距離を保つことで、接触して内部を損傷しない非接触検査となる。
【0043】
カメラとしては開口部から挿入するために小型であることが必要であり、USBカメラであることが好ましい。さらには、CCD(超小型撮像素子)をスコープ先端に配置したCCDカメラであることが好ましい。さらには光源に高輝度LED照明を用い、光をスコープ先端に伝達することで、低消費電力のバッテリー駆動、画像記録機能付きの小型化が実現している。カメラヘッド部の大きさとしては、直径が15mm以下、さらには4~12mmの範囲であることが好ましい。
【0044】
さらには本発明で用いるカメラには、照明Aがカメラに内蔵されていることが好ましい。照明Aがカメラに内蔵される場合には、カメラレンズの周囲に複数の光源がリング状に配置されているものであることが好ましい。その場合も熱等の影響が少ないLED照明であることが好ましく、リング状に複数個、例えば3~24個、特には4~12個配置されたものであることが好ましい。
【0045】
カメラの画角としては、45°~135°の範囲であることが好ましく、さらには60~120°、特には75~90°の範囲であることが好ましい。
【0046】
このような本発明の測定装置に用いられるカメラとしては、例えばUSBカメラとしては、型番:MD-T31105,RD-V31110RL,10-VD608-311-2W-77,MD-T5015LV(いずれも、MISUMIエレクトロニクス社製)などを挙げることができる。
【0047】
また照明Bは、検査機の支持具の照明Aとは異なる箇所に結合しているものである。さらに照明Bは検査部位に適切に照明するように角度の調整が可能であることが好ましい。あるいは複数個の照明Bを、位置や照射角度を変更して設置し、撮影部位に連動して使用する照明Bを変更することも好ましい。照射角度としては、2段階以上設定できることが好ましく、さらには4段階以上、特には検査機支持具の長軸方向に対し、0°(検査機支持具の長軸方向)、30°、45°、60°、90°、120°、135°、150°等の7段階以上あるいは無段階に設定できることが好ましい。また、容器が小さい場合、例えば胴部の直径が250mm以下の圧力容器ボンベの場合、0°、45°、90°、135°の4段階程度でも、十分な効果を発揮できる。(
図3参照。)
【0048】
このような照明Aと照明Bの照度は、独立に調整できることが好ましい。また検査の目的や対象によって、片方の照度を0にすることも好ましい。
【0049】
ここで照明Bは、外部照明として斜光照射することにより不具合部分に影を作り、それを撮像するための照明であり、凹凸を有する欠陥検出を主にする際には照明Bの照度を上げることが好ましい。一方、照明Aはカメラとほぼ同じ向きからの照明であって、対象物を明確に照らす目的を有する。また、撮影対象の反射率や光沢等によっても、照明Aと照明Bの照度を調整することが好ましい。
【0050】
またこのような照明装置としては、LED光源を用いたものであることが好ましい。光源部から先端部へは出力ファイバで行うことが好ましく、特には石英ファイバを用いることが好ましい。
【0051】
またカメラや照明を、操作部へつなぐプローブとしても、角度調整しやすい光ファイバであることが好ましい。プローブの先端部にはカメラや照明が、もう一端の側には検査機用の角度等の調整機構が装備される。さらには角度の調整機構としては先に述べたように、先端部のUSBカメラが検査機支持具の先端側(カメラや照明がある側)に対して、ある向きに0°から180°近く可動し、また、その反対向きに0°から180°近く可動し、即ち、合計で約360°近く回転することが好ましい。前記プローブは、カメラと照明を特定部位に近づけて撮影するための部品であり、かつ、カメラと照明を操作するケーブルと、前記検査機向き調整機構により可動するための仕組みが内蔵されている。
【0052】
上記のようなカメラ、照明、検査機支持具、検査機可動治具、容器支持回転治具は、各々結合されるが、その結合方法はカメラ撮影時にぶれが生じないように固定されていれば特に制限はない。
【0053】
検査機支持具としては容器の開口部から挿入している際にたわまないだけの剛性を有すればよく、たわみにくい中空菅形状であることが好ましい。例えば、検査機支持具としては中空形状やパイプ形状であることが好ましい。カメラや照明の重量としては軽量であることが好ましい。このように軽量であるために検査機支持具も薄い中空状の物を使用することができ、検査機支持具を水平に使用した場合でも十分に水平状態を保つことが可能となる。
【0054】
より具合的には、本発明の検査機に用いられる検査機支持具としては、パイプ等の中空部材を用いることが好ましい。
【0055】
また本発明の検査装置では、検査機支持具の可動と角度調整機構により容器内面とカメラが正対し、かつ距離を一定に保持することが好ましい。
【0056】
本発明の装置に用いる検査機支持具の移動方法としては、検査機可動治具を用いるものである。
【0057】
この本発明にて使用する検査機可動治具は、検査装置の検査機支持具を固定し、容器の内部に、カメラと照明が配置された検査機支持具を挿入・移動するための、スライド機構を有する治具である。この検査機可動治具は、さらには検査機支持具を強固に固定するための固定治具を備えていることが好ましい。次に、この固定治具を可動させ、被検体である容器の口金の開口部からその内部に、カメラと照明が配置された検査機支持具を挿入するための、左右水平方向に可動できる左右調整機構を有する。さらには、高さ方向に可動できる高さ調整機構を有することが好ましい。検査時には、この検査機支持具固定治具をスライド機構により、長手方向にリニアに可動させて、被検体である容器の口金の開口部からその容器内部の底部まで、支持具に設置されたカメラと照明を移動させ、検査を行うこととなる。
【0058】
本発明の検査装置では、検査機支持具の検査機可動治具による移動によって容器の開口部から最奥部までカメラを移動させることができ、角度調整機構によって胴部ばかりでなく、開口部側の椀部の口金側や、最奥部の椀部の他方側の撮影も、胴部と同様に撮影、検査を行うことができるのである。
【0059】
また、本発明の検査装置は、容器全体を支持し回転させる、容器支持回転治具を有するものである。
【0060】
この容器を支持し回転させる容器支持回転治具は、カメラと照明が設置された検査機支持具に対し、被検体である容器を支持・回転できる機構を有する治具である。さらにはこの容器の支持回転治具としては、容器を4点で支持できる4つの回転ローラーを有することが好ましい。そして、例えば回転ローラーの1つに、その同軸にモーターとロータリエンコーダーを取り付けることによって、その回転ローラーの回転をより正確に制御コントロールすることが可能となる。
【0061】
本発明ではこのように撮影対象である容器全体を回転運動させることによって、カメラが設置された検査機支持具が回転する場合に比べ、よりブレの少ない安定した画像が得られることとなった。例えば容器を横向きに設置して検査した場合、検査機支持具に設置したカメラが鉛直下向き(0°)のときの、容器内面までの距離と、検査機支持具を180°回転させ、カメラが鉛直上向きにした時の容器内面までの距離とに差が生じる、という問題があった。特に検査機支持具が片持ちはり状態の時に顕著であるが、検査機支持具に自重撓みが発生するためである。また、検査機支持具を回転させる場合は、曲げ振動が発生しやすい、という問題もあった。
【0062】
しかし本発明ではカメラを同一方向に保持したまま、容器自体を回転させることによって、カメラと容器内面との距離を容易に一定に保つことが可能となったのである。
【0063】
さらに、本発明の検査装置では、カメラによる撮影時の各種位置情報が、随時記録されることが好ましい。
【0064】
もう一つの本発明の容器の内面検査方法は、上記の容器の内面検査装置を用いて行う検査方法である。
【0065】
さらには、容器の内面検査時に、照明A及び照明Bの出力を調整する方法であることが好ましい。この時、容器内部の表面状態(例えば、鏡面、マット面等)によって、各照明の出力を変更することが好ましく、例えば、「ハレーション現象が大きい」場合は、内蔵照明Aの出力を小さくし、外部照明Bの出力を大きくすることが好ましい。逆に「ハレーション現象が小さい」場合は、内蔵照明Aの出力を大きくし、外部照明Bの出力を小さく、さらには0%とすることが好ましい。また容器の表面状態以外にも、容器の撮影部位(胴部、椀部・・)によって、条件を変更することが好ましい。
【0066】
さらには記録された撮影時の各種位置情報を用いて、再撮影、再検査時の条件が自動的に再現される機構を有する容器の内面検査方法であることが好ましい。なお各種位置情報としては、カメラの位置、向き、露出度、各照明の位置、向き、照度、容器の回転角度等を含むことが好ましい。
【0067】
このような本発明の容器の内面検査方法は、例えばより具体的には
図8のようなフローチャートに示す方法である。
【0068】
また、本発明の容器の内面検査システムは、上記の容器の内面検査方法により、自動的に容器の内面状態を検査・判定する容器の内面検査システムである。さらには、本発明の内面検査装置を使用し、全撮影時の各種位置情報を事前入力することにより、自動的に容器内の検査を行う容器の内面検査システムであることが好ましい。
【0069】
さらに本発明の内面検査装置や内面検査方法について、図や後で述べる実施例にもとづいて、さらにその詳細を説明する。
【0070】
[検査対象の容器]
内面検査用に適した検査対象の容器としては、概念図として
図4で示すような容器である。
この
図4は、容器サンプル50の軸心方向に沿った断面図である。この
図4に示すように、容器サンプル50は、容器サンプル本体51と、蓋52で構成される。容器サンプル本体51は、略円筒形状を有する胴体部61と、この胴体部61の長手方向の片側に取り付けられた口金7Aを有するドーム形状を有する椀部・口金側62を備えている。また、前記胴体部61の椀部・口金側62との反対側は、開口部64を有し、開口状態となっている。
【0071】
そして前記開口部64には、ドーム形状を有し、且つ、容器サンプル本体51の胴体部61の開口部64と略同形状の椀部・蓋52を取り付けている。
【0072】
したがって、容器サンプル50は、容器サンプル本体51として、前記胴体部61と、前記口金7Aを有するドーム形状を有する椀部・口金側62を有し、加えて、前記開口部64を閉じる蓋52として、ドーム形状を有する椀部・蓋63で構成されている。
実際に実施例にてテストした容器本体51の正確な寸法は、
図5に示した。
【0073】
また容器内面での検出すべき不具合としては、例えば、キズ,凹凸,シワ,ライナー変形,ゴミ,汚れ等がある。実施例ではこれらの代表的となる検出用の不具合サンプルとして、胴体部には直径0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.2mmの凹み部を有する欠陥を、椀部には直径0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.2mmの凹み部を有する欠陥を施して、検出テストを行った。
【0074】
[カメラ]
実施例では、直径10.1mm、高さ6.6mm、標準画角(77°)、200万画素、レンズ(1.83mm、F5.0)、内蔵照明付きのUSBカメラを用いた。直径φ2.5mmのケーブルと、直径φ6~8mmのプローブにより、制御部と接続されていた。また、プローブには、角度調整機構が装備されており、ダイヤル操作で、先端部のUSBカメラが2方向に可動し、片側180°回転、両側360°回転できるものであった。
【0075】
[照明A]
実施例では、カメラレンズ部周囲にLED8個を、平面のリング状基板に実装した、カメラに内蔵の照明を使用した。照明Aとしては、このように平均的に照明することができることが好ましい。
図1にある、カメラ111aと照明111bが、内蔵照明(照明A)付きのUSBカメラに相当する。
【0076】
[照明B]
実施例では、超小型ファイバ出力LED光源を用いた。出力ファイバは、600μmコアの石英ファイバを用いた。装着角度は、
図3にあるように鉛直方向(90°下向き)、前方45°、検査機の支持具の長軸方向(0°平行)の3方向とした。照明Bとしては、カメラや照明Aの正面と、角度を有するものであることが好ましく、また撮影対象部位によって、その照度を調整するものであることが好ましい。
【0077】
照明Bは、検査機支持具120において、カメラ111aと照明111bを設置した側の検査機支持具の先端部に取り付けた。
図1の照明111cが、外部照明(照明B)に相当する。
【0078】
[検査機支持具]
検査機支持具としては、後述する実施例では長さが1.5m、外径20mm、内径18mmのアルミニウム合金製のパイプを用いた。これはカメラ111aと照明111b・111cを設置した部分の他方端を保持した場合でも、検査機支持具固定治具131への挿入部分を除く片持ちはり部分長さを1.0mに設定した場合でも、撓みは4.8mmの剛性の高いものであった。
【0079】
また別の検査機支持具として同寸法の高強度炭素繊維を使用した炭素繊維強化プラスチック製のパイプ(同条件での撓み、3.3mm)や、長さが1.5m、外径17mm、内径15mmの寸法を変化させた炭素繊維強化プラスチック製のパイプ(同条件での撓み、4.6mm)を用いた。
【0080】
さらに炭素繊維を高剛性タイプに変更し、長さが1.5m、外径14mm、内径12mmに寸法を変化させた細径の炭素繊維強化プラスチック製のパイプ(同条件での撓み、4.9mm)を用いた。
これらのたわみ量は5mm以下に抑えられており、容器の内部撮影に適切なものであった。
【0081】
検査機支持具としてはアルミニウム合金製などの軽量金属製でも良いが、中でも繊維強化プラスチック製などの中空形状であることが、より自重が軽く、たわみ量も少なく好ましい。
【0082】
[検査機可動治具]
図1に示したように、検査機可動治具130は、検査機支持具120を固定し、容器(2,51)の内部に、検査機110を支持した検査機支持具120を挿入・移動するための、スライド機構を有する治具である。
【0083】
検査機可動治具130は、検査機支持具120を固定することができる、検査機支持具固定治具131を備えている。
【0084】
検査機支持具固定治具131を可動させることによって、被検体である容器(2,51)の口金の開口部(
図4の7a、
図6の3a、
図7の3a)からその内部に、前記カメラ111aと照明Aである111b、照明Bである111cが挿入することができるように、左右方向に可動できる左右調整機構132と、高さ方向に可動できる高さ調整機構133を有する。前記左右調整機構132と高さ調整機構133には、各々サーボモーター132a,133aを装備させ、検査機110と検査機支持具120が容器(2,51)の口金の開口部に接触しないよう、コントロールできる。
【0085】
検査機支持具固定治具131をスライド機構134により、容器(2,51)の長手方向にリニアに可動させて、被検体である容器の口金の開口部(
図4の7a、
図6の3a、
図7の3a)からその内部に、カメラ111aと照明111b・111cが挿入することができる。スライド機構134にも、サーボモーター134aを装備しており、撮影ピッチが制御できる。
【0086】
実施例においては、検査機可動治具130は、その脚部135により、床面との水平を保ちながら、しっかり固定させた。
【0087】
[容器支持回転治具]
容器支持回転治具140は、被検体である容器(2,51)を支持・回転できる機構を有する治具である。
【0088】
容器支持回転治具140は、前記容器(2,51)を、4点で支持できる4つの回転ローラー141(各々、141a,141b,141c,141d)を有する。
【0089】
回転ローラー141には、その同軸にモーター142とロータリエンコーダー143を取り付けてあり、その回転ローラー141の回転を制御コントロールできる。
【0090】
実施例ではレーザードップラー速度計(光学センサー:S-100Z,信号処理ユニット:PV-01。いずれも、キヤノン製。)144を用い、被検体である容器(2,51)を1回転させることで、前記レーザードップラー速度計144の数値データ(容器の1周長)と、回転ローラー141に装着されたモーター142とロータリエンコーダー143の数値データの関連付けを行うことができた。容器(2,51)の1回転させるのに必要な、回転ローラー141aの回転角度・角速度との関連性や、容器(2,51)の外寸法の算出を行った。
【0091】
容器支持回転治具140は、その脚部145により、床面との水平を保ちながら、しっかり固定させた。
【0092】
[コントローラー]
コントローラー150は、表示部151,入出力部152,制御部153で構成されている。
【0093】
制御部153において、検査機110、検査機支持具120、検査機可動治具130、並びに、容器支持回転治具140の可動や制御をコントロールするものである。
【0094】
容器内面検査装置100に関する操作は、データ入力や制御に関する指示を入出力部152で入力する等、一連の作業を実行させ、本検査で撮像された画像の情報や判定結果等は、表示部151で表示され、入出力部152にて、記憶・記録する。
【0095】
【0096】
【実施例0097】
さらに実施例を用いて、本発明を具体的に説明する。
【0098】
[実施例1]
容器内面検査作業としては、下記の工程順にて行った。
1)被検体の容器のセット工程
2)検査機110(カメラ111a、及び照明111b・111c)の、検査機支持具120へのセット工程
3)諸条件入力工程
4)撮影・検査前工程
5)撮影・検査工程
6)再撮影・再検査工程
7)被検体の容器の後片付け工程。
【0099】
1)被検体の容器のセット工程
図1に示すように、容器内面検査装置100の、容器支持回転治具140に、容器1をセットした。この状態では、回転ローラー141の、4つのローラー141a,141b,141c,141d上に容器1が載置される。
【0100】
2)検査機110(カメラ111a、及び照明111b・111c)の、検査機支持具120へのセット工程
検査機支持具120には、予め長さが2mのプローブ112につながった、「USBカメラ」のカメラ111aと、照明Aに該当するUSBカメラの内蔵照明111bが、検査機の角度調整機構113を介して保持されるように、装着・準備した。
また、加えて、照明Bは、検査機110において、カメラ111aと照明111bを設置した側の検査機支持具120の先端部に取り付けた。
図1にある、照明111cが、外部照明(照明B)に相当するが、その照射方向は、検査機支持具の長手方向に対し90°、45°、0°となるように設定した(
図3)。
【0101】
3)諸条件入力工程
被検体である容器1の寸法、及び、前記工程2)のセット工程での検査機110(カメラ111a及び照明111b・111c)の条件を、システムに外部より検査員が入力した。
【0102】
また、「検査機可動治具130の左右調整機構132の可動寸法の制御値」及び「検査機可動治具130の高さ調整機構133の可動寸法の制御値」は、次工程である4)撮影・検査前工程において、被検体である容器1の口金3Aの開口部3aへ、検査機110を挿入する際のズレをセンサーで判定し、その値が自動入力されるようにした。
【0103】
さらに「容器支持回転治具140の、回転ローラー141aの回転角度・角速度の制御値」及び「検査機可動治具130の、スライド機構134の可動ピッチ・速度の制御値」は、次々工程である5)撮影・検査工程において、被検体である容器1の長さの大小や、外寸法(内寸法)の大小により影響を受けるため、事前に算出し、その結果を自動入力させた。
【0104】
さらに「撮影・検査工程の開始から終了までの目安時間の算出」を行い、検査員に告知するために、ディスプレイに表示させた。
【0105】
4)撮影・検査前工程
まず、容器支持回転治具140の、回転ローラー141aにある、その同軸のモーター142を可動させることと同時に、レーザードップラー速度計144(光学センサー:S-100Z,信号処理ユニット:PV-01。いずれも、キヤノン製。)を用い、被検体である容器(2,51)を1回転させることで、前記レーザードップラー速度計144の数値データにより、容器1の1周長を計測し、容器の外寸法を算出した。そして、これらの数値データを元に、回転ローラー141aに装着されたモーター142とロータリエンコーダー143の数値データの関連付けを行い、再度、回転ローラー141aの回転角度・角速度の制御値の算出を行った。
【0106】
次に、検査機支持具120、即ち、検査機支持具固定治具131の、左右調整機構132と、高さ調整機構133を作動させ、検査機支持具120に取り付けられている、先端部のカメラ111aと照明111b・111cが被検体の容器1の口金3Aの開口部3aに挿入できる位置に可動した。
【0107】
最後に、検査機支持具120の先端部にあるカメラ111aと照明111b・111c、即ち、検査機可動治具130の、スライド機構134を作動させ、検査機支持具120に取り付けられている、先端部のカメラ111aと照明111b・111cを被検体の容器1の口金3Aの開口部3aより挿入され、最初の撮影・検査位置に移動させた。
【0108】
5)撮影・検査工程
前記3)諸条件入力工程にて入力された制御値によって、4)撮影・検査の準備を経て、実際に、容器内面検査を開始した。
容器内面検査を開始実行する際、まず椀部・口金側22(
図6)の撮影・検査位置に到達すると、
図1のカメラ111aと照明111bの向きを、検査機の角度調整機構113を作動させ、前記カメラ111aと照明111b(照明A)と、被検体である容器1(
図6)の内面に対して、略垂直にセットさせたのちに、前記容器1(
図6)の椀部・口金側22(
図6)の容器内面の1周分の撮影・検査を実行する。なお、この時のカメラ111aと照明111b(照明A)の角度調整装置の角度は、150°または120°(
図2)とし、検査機支持具120に設置された照明111c(照明B)は、鉛直下向き(
図3)を用いた。
【0109】
その後、カメラ111aの内蔵照明である照明111b(照明A)と、検査機支持具120に設置された角度を有する照明111c(照明B)の出力を、表3または表4のように変えて、テストを行った。ここで表3は表面の反射状態が小(1級)のアルミニウム合金製ライナーの場合で、表4は表面の反射状態が中から大(4級)のアルミニウム合金製ライナーの場合である。
【0110】
この時、容器内面の1周分の撮影・検査は、容器支持回転治具140の、回転ローラー141aが作動し、「撮影・画像データの取込み」→「容器回転」→「撮影・画像データ取込み」→「容器回転」、・・・を繰り返しながら、その撮影・検査位置での容器内面の1周分の撮影・検査を実施した。
【0111】
その容器内面の1周分の撮影・検査が終了すると、検査機可動治具130の、スライド機構134が作動し、先端部のカメラ111aと照明111b・111cが被検体の容器の次の撮影・検査位置に移動し、次の1周分の撮影・検査を行い、これを椀部・口金側22(
図6)の撮影・検査が終了するまで繰り返し実施した。
【0112】
次に容器1の椀部・口金側22に引き続き、容器1の胴体部21(
図6)においても、上記と同様にして、容器内面の1周分毎の撮影・検査を実行した。ただし、この時のカメラ111aと照明111b(照明A)の角度調整装置の角度は90°(
図2)とし、検査機支持具120に設置された照明111c(照明B)は、斜め下向き45°(
図3)を用いた。照明Aと照明Bの出力は、表3または表4記載の条件を用いた。表3は表面の反射状態が小(1級)のアルミニウム合金製ライナーの場合で、表4は表面の反射状態が中から大(4級)のアルミニウム合金製ライナーの場合である。
【0113】
さらに容器1の胴体部21に引き続き、容器の椀部・他方側23(
図6)の撮影・検査位置に到達すると、上記と同様にして、容器内面の1周分毎の撮影・検査を実行した。ただし、この時のカメラ111aと照明111b(照明A)の角度調整装置の角度は、30°または60°(
図2)とし、検査機支持具120に設置された照明111c(照明B)は、斜め下向き45°及び検査機支持具120の長軸方向の照明111c(照明B)(
図3)を用いた。照明Aと照明Bの出力は、表3または表4記載の条件を用いた。表3は表面の反射状態が小(1級)のアルミニウム合金製ライナーの場合で、表4は表面の反射状態が中から大(4級)のアルミニウム合金製ライナーの場合である。
これらの上記操作を繰返すことにより、容器内面全体の撮影・検査を実施した。
【0114】
被検体である容器1の内面全体を撮影・検査が終了すると、前記容器1の内面のどの位置に、不具合(例えば、キズ,凹凸,シワ,ライナー変形,ゴミ,汚れ等、表1に記載の項目を判定した)が存在するかを解析し、表示部151に表示・出力させ、カメラ111aによる撮影時の各種位置情報とともに入出力部152に記憶・記録させた。
不具合サンプルの凹み部の大きさによる検出状態は、表3及び表4に合わせて示した。
【0115】
6)再撮影・再検査工程
上記5)撮影・検査工程にて、欠点等が記録され、再度確認したい場合には、カメラ111aによる撮影時の各種位置情報によって、カメラ111aと照明111b・111cをその位置に移動させ、再撮影・再検査を行う。
【0116】
7)被検体の容器等、後片付け工程
まず、検査機可動治具130のスライド機構134を作動させ、検査機110、並びに、検査機支持具120を、被検体である容器の内部から、前記容器1の口金部3Aの開口部3a(
図6)より移動させて引き出した。
次に、コントローラー150の電源を落とし、容器内面検査のシステムを終了させた。
検査機支持具固定治具131より、検査機110、並びに、検査機支持具120を取り外す。
最後に、被検体である容器1を、容器支持回転治具140より除去した。
【0117】
【0118】
【0119】
上記の撮影範囲としては、
図4記載の胴部61及び椀部・他方側63(非口金側)では40mm×70mmの範囲であり、面積の30%を重複するように検査を行った。一方、椀部・口金側62では、40mm×60mmの範囲の検査を実施できるが、若干不鮮明であったことより、面積の半分が重複するように撮影を行った。なお、1枚の撮影に要する時間は0.8秒であった。
【0120】
このような10分以内の迅速な撮影でも、胴体部61では、直径0.2mm以上の異物が検出できた。検出が比較的困難な椀部・口金側62,他方側63でも、0.5mm以上の異物を検出することができた。
【0121】
なお、この条件を下記のような汎用的な大きさの容器にあてはめると、全体を10分以内で検査できることとなる。
・容器A(容積 20リットル);検査時間 4分
容器長さ 80cm/外寸法 φ25cm
椀部の口金側長さ 10cm ×胴体部長さ 40cm×椀部の他方側長さ 10cm
・容器B(容積 100リットル);検査時間 10分
容器長さ 100cm/外寸法 φ60cm
椀部の口金側長さ 20cm ×胴体部長さ 35cm×椀部の他方側長さ 20cm
・容器C(容積 10リットル);検査時間 3分
容器長さ 60cm/外寸法 約φ20cm
椀部の口金側長さ 10cm ×胴体部長さ 30cm×椀部の他方側長さ 10cm
・容器D(容積 30リットル);検査時間 5分
容器長さ 90cm/外寸法 φ25cm
椀部の口金側長さ 20cm ×胴体部長さ 35cm×椀部の他方側長さ 20cm。