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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040508
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】シャワー装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20230315BHJP
   E03C 1/084 20060101ALI20230315BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
A47K3/28
E03C1/084
B05B1/18 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147529
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】西村 隆一
(72)【発明者】
【氏名】駒谷 喜一
(72)【発明者】
【氏名】相原 豊
【テーマコード(参考)】
2D060
2D132
4F033
【Fターム(参考)】
2D060CB03
2D060CC16
2D060CC17
2D132FA13
2D132FJ11
2D132FJ15
2D132FJ22
4F033AA11
4F033BA04
4F033DA05
4F033EA01
4F033LA06
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】中心部から放射状に水流を噴射する構成が採用され、各噴射軌道と直接的に重ならない位置に散水孔が配置されていても、当該散水孔に対して十分な給水が実施されるようなシャワー装置を提供すること。
【解決手段】複数の散水孔は、中央噴射部の近傍に配置された複数の中央側散水孔と、中央側散水孔よりも中央噴射部から遠くに配置された外側散水孔と、を有している。複数の中央側散水孔のうちの少なくとも幾つかの中央側散水孔は、中央噴射部による噴射軌道と重ならない位置にある。散水用空間内には、少なくとも一部が噴射軌道と重なる位置にあって、且つ、外側散水孔よりも中央噴射部の近くに配置された誘導壁が設けられている。誘導壁は、噴射軌道に沿って噴射される気泡混入水を当該噴射軌道と交差する方向に誘導するようになっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワー装置であって、
水を供給するための給水部と、
前記給水部から供給される水を加速させ、当該水に空気を混入させて気泡混入水とし、当該気泡混入水を放射状の噴射軌道に沿って周囲に噴射する中央噴射部と、
前記中央噴射部の周囲に区画され、前記中央噴射部から前記気泡混入水が流入する散水用空間と、
前記散水用空間を区画する一側壁内に設けられた複数の散水孔と、
を備え、
前記複数の散水孔は、
前記中央噴射部の近傍に配置された複数の中央側散水孔と、
前記中央側散水孔よりも前記中央噴射部から遠くに配置された外側散水孔と、
を有しており、
前記複数の中央側散水孔のうちの少なくとも幾つかの中央側散水孔は、前記噴射軌道と重ならない位置にあり、
前記散水用空間内には、少なくとも一部が前記噴射軌道と重なる位置にあって、且つ、前記外側散水孔よりも前記中央噴射部の近くに配置された誘導壁が設けられており、
前記誘導壁は、前記噴射軌道に沿って噴射される前記気泡混入水を当該噴射軌道と交差する方向に誘導するようになっている
ことを特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
前記誘導壁は、前記噴射軌道に沿って噴射される前記気泡混入水を平面視円弧状に周方向に誘導するようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載のシャワー装置。
【請求項3】
前記誘導壁は、前記噴射軌道に沿って噴射される前記気泡混入水を前記噴射軌道と直交する方向に誘導するようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載のシャワー装置。
【請求項4】
前記誘導壁は、前記噴射軌道と重ならない位置にある前記少なくとも幾つかの中央側散水孔のうちの1つの放射方向外側にまで延びている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシャワー装置。
【請求項5】
前記誘導壁は、前記噴射軌道の幅の半分以下の幅と重なる位置にある
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のシャワー装置。
【請求項6】
前記誘導壁は、前記散水用空間の底面から天井面まで延在している
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のシャワー装置。
【請求項7】
前記複数の散水孔及び前記誘導壁は、散水パッキンによって提供されている
ことを特徴とする請求項6に記載のシャワー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー装置に関し、特には吐水に空気を混入するシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、いわゆるエジェクタ効果を利用して水に空気を混入させ、気泡混入水として吐出するシャワー装置が知られている。
【0003】
本件出願人による特許文献1は、非攪拌空気混入方式のシャワー装置であって、散水孔からの吐水のばらつきを抑制したシャワー装置を開示している。
【0004】
具体的には、当該シャワー装置は、水を供給するための給水部と、前記給水部から供給された水を加速させ、下流側に向けて加速噴流として放射状に噴射する空気混入部であり、水を加速させて噴出させる絞り部と前記絞り部の下流側に設けられ空気を吸引する空気導入口が形成された拡径部とを有するとともに、前記空気導入口から吸引された空気を前記加速噴流に混入させて気泡混入水を生成する空気混入部と、前記空気混入部の下流側に設けられ、前記空気混入部から流入した前記気泡混入水を吐出するための散水孔が形成された散水面と、を備え、前記絞り部は、周方向に複数並設されており、前記拡径部は、周方向の所定間隔ごとに複数並設されるとともに、前記周方向に複数並設された絞り部それぞれに対して単一に形成され、複数の拡径部を区画する空間の形状が偏平形状であり、前記絞り部が前記絞り流路を複数設けることで形成され、前記空気導入口が複数の絞り流路の夫々に対し一つずつ設けられていることを特徴とする。
【0005】
このようなシャワー装置によれば、絞り部が偏平形状に形成されているため、加速噴流も偏平形状で噴出される。これにより、加速噴流が散水面に沿って拡散しやすくなり、シャワー装置内部での圧力のばらつきが低減される。ひいては、散水孔からの吐水のばらつきや、混入した空気の分散性の悪化も低減することが出来、均一な浴び心地の吐水を達成することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6617400号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本件発明者は、シャワー装置において、内部に残っていた水が滴下してくることで不具合と勘違いしてしまうことを防止するべく、内部に残ってしまう水の量を低減する方策について検討を重ねてきた。
【0008】
シャワー装置の内部に残ってしまう水の量を低減するためには、シャワー装置の内部流路の容積を低減することが効果的である。しかしながら、そのような設計変更に伴って、複数の散水孔への均等な給水に支障が生じてしまうことが知見された。
【0009】
具体的には、中心部から放射状に水流を噴射する際に、各噴射軌道と直接的に重ならない位置に配置された散水孔に対して、給水が不十分となる場合がある。
【0010】
本発明は、以上のような知見に基づいてなされたものである。本発明の目的は、中心部から放射状に水流を噴射する構成が採用され、各噴射軌道と直接的に重ならない位置に散水孔が配置されていても、当該散水孔に対して十分な給水が実施されるようなシャワー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、シャワー装置であって、水を供給するための給水部と、前記給水部から供給される水を加速させ、当該水に空気を混入させて気泡混入水とし、当該気泡混入水を放射状の噴射軌道に沿って周囲に噴射する中央噴射部と、前記中央噴射部の周囲に区画され、前記中央噴射部から前記気泡混入水が流入する散水用空間と、前記散水用空間を区画する一側壁内に設けられた複数の散水孔と、を備え、前記複数の散水孔は、前記中央噴射部の近傍に配置された複数の中央側散水孔と、前記中央側散水孔よりも前記中央噴射部から遠くに配置された外側散水孔と、を有しており、前記複数の中央側散水孔のうちの少なくとも幾つかの中央側散水孔は、前記噴射軌道と重ならない位置にあり、前記散水用空間内には、少なくとも一部が前記噴射軌道と重なる位置にあって、且つ、前記外側散水孔よりも前記中央噴射部の近くに配置された誘導壁が設けられており、前記誘導壁は、前記噴射軌道に沿って噴射される前記気泡混入水を当該噴射軌道と交差する方向に誘導するようになっていることを特徴とするシャワー装置である。
【0012】
本発明によれば、誘導壁によって、噴射軌道に沿って噴射される気泡混入水が当該噴射軌道と交差する方向に誘導されることにより、当該噴射軌道と直接的に重ならない位置に配置された中央側散水孔に対して、十分な給水をすることができる。
【0013】
例えば、前記誘導壁は、前記噴射軌道に沿って噴射される前記気泡混入水を平面視円弧状に周方向に誘導するようになっていることが好ましい。あるいは、例えば、前記誘導壁は、前記噴射軌道に沿って噴射される前記気泡混入水を前記噴射軌道と直交する方向に誘導するようになっていることが好ましい。
【0014】
また、前記誘導壁は、前記噴射軌道と重ならない位置にある前記少なくとも幾つかの中央側散水孔のうちの1つの放射方向外側にまで延びていることが好ましい。これによれば、当該1つの中央側散水孔に対して、より確実に十分な給水をすることができる。
【0015】
また、前記誘導壁は、前記噴射軌道の幅の半分以下の幅と重なる位置にあることが好ましい。これによれば、外側散水孔への給水を有効に維持しながら、前記噴射軌道と直接的に重ならない位置に配置された中央側散水孔に対して、十分な給水をすることができる。
【0016】
また、前記誘導壁は、前記散水用空間の底面から天井面まで延在していることが好ましい。これによれば、前記噴射軌道と直接的に重ならない位置に配置された中央側散水孔に対して、より確実に十分な給水をすることができる。
【0017】
また、前記複数の散水孔及び前記誘導壁は、散水パッキンによって提供されていることが好ましい。これによれば、複数の散水孔及び誘導壁を高い自由度で容易に設計及び製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、誘導壁によって、噴射軌道に沿って噴射される気泡混入水が当該噴射軌道と交差する方向に誘導されることにより、当該噴射軌道と直接的に重ならない位置に配置された中央側散水孔に対して、十分に給水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態によるシャワー装置の側面図である。
図2図1のII-II線断面図である。
図3図1のシャワー装置の分解斜視図である。
図4図1のシャワー装置の縦断面図である。
図5図1のシャワー装置の中央噴射部の原理を示す縦断面図である。
図6図1のシャワー装置の中央噴射部の原理を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付図面を参照して、本発明の一実施形態によるシャワー装置について説明する。本実施形態のシャワー装置1は、天井に埋め込まれて利用される、天井埋め込み型のオーバーヘッドシャワー装置である。なお、本明細書において、「水」とは、湯や、湯と水を混合した適温水、等をも含む。
【0021】
(構成)
図1は、本実施形態によるシャワー装置1の側面図であり、図2は、図1のII-II線断面図であり、図3は、本実施形態のシャワー装置1の分解斜視図であり、図4は、本実施形態のシャワー装置1の縦断面図である。また、図5は、本実施形態のシャワー装置1の中央噴射部6の原理を示す縦断面図であり、図6は、本実施形態のシャワー装置1の中央噴射部6の原理を示す横断面図である。
【0022】
図1乃至図4に示すように、本実施形態のシャワー装置1は、不図示の給水配管から水を受け取って、中央噴射部6を介して散水部4へと水を供給する給水部2を備えている。
【0023】
散水部4は、複数の散水孔44が略等間隔に設けられた散水表面部42を有している。散水部4の中心領域に、中央噴射部6が配置されている。
【0024】
中央噴射部6は、給水部2から供給される水を加速させ、当該水に空気を混入させて気泡混入水とし、当該気泡混入水を放射状の噴射軌道(図6参照)に沿って周囲に噴射するようになっている。
【0025】
特に図2に示すように、散水部4は、中央噴射部6の周囲に区画されて当該中央噴射部6から気泡混入水が流入する散水用空間41を有している。複数の散水孔44は、散水用空間41を区画する下方側(一側)壁内に設けられている。
【0026】
また、図2に示すように、複数の散水孔44は、中央噴射部6の近傍に配置された複数の中央側散水孔71a~71hと、中央側散水孔71a~71hよりも中央噴射部6から遠くに配置された複数の外側散水孔72と、を有している。
【0027】
図2に示すように、中央側散水孔71a~71hのうちの少なくとも幾つかの中央側散水孔、本実施形態では6個の中央側散水孔71a、71b、71d、71e、71f、71hが、放射状の噴射軌道(図6)と重ならない位置にある。
【0028】
そして、図2に示すように、散水用空間41内において、少なくとも一部が放射状の噴射軌道と重なる位置にあって、且つ、外側散水孔72よりも中央噴射部6の近くに配置された4個の誘導壁75b、75d、75f、75hが設けられている。
【0029】
4個の誘導壁75b、75d、75f、75hの各々は、図2に示すように、放射状の噴射軌道に沿って噴射される気泡混入水を当該噴射軌道と交差する方向に誘導するようになっている。本実施形態では、4個の誘導壁75b、75d、75f、75hの各々が、噴射軌道に沿って噴射される気泡混入水を平面視円弧状に周方向に誘導するようになっている。
【0030】
また、図2に示すように、本実施形態では、4個の誘導壁75b、75d、75f、75hの各々は、噴射軌道と重ならない位置にある6個の中央側散水孔のうちの対応する1つ(本実施形態では、中央側散水孔71b、71d、71f、71hの各々)の放射方向外側にまで延びている。
【0031】
また、図2に示すように、本実施形態では、4個の誘導壁75b、75d、75f、75hの各々は、それが重なる噴射軌道の元々の幅の半分以下の幅でのみ重なっている(元々の幅の30~40%で重なることが特に好ましい)。
【0032】
また、本実施形態では、4個の誘導壁75b、75d、75f、75hの各々は、散水用空間41の底面から天井面まで延在している(後述する散水パッキン46の上面から上方に突出して、散水背面部48の下面に到達(密着)している)。
【0033】
また、本実施形態では、複数の散水孔44及び4個の誘導壁75b、75d、75f、75hは、散水パッキン46によって提供されている。
【0034】
図3を参照して、散水部4は、散水背面部48とパッキン支持円板47との間に、散水パッキン46が挟まれて流路が構成されている。散水部4の中心領域に、中央噴射部6が配置されている。パッキン支持円板47に対して、散水表面部42が取り付けられている。
【0035】
散水パッキン46に形成された複数の散水孔44は、筒状の下垂突部(散水ノズルと呼ばれる)を伴っており、当該下垂突部が、パッキン支持円板47と散水表面部42とを貫通している。
【0036】
散水パッキン46の外周には、立壁部46wが設けられており、当該立壁部46wと散水パッキン46の上面と散水背面部48の下面とで囲まれた空間が、散水用空間41となっている。
【0037】
本実施形態の散水用空間41は、シャワー装置1の内部に残ってしまう水の量を低減するべく、高さ約1mm、容積約55000mm3となっている。これは、従来のシャワー装置の対応する空間の高さ(約2mm)及び容積(約110000mm3)と比較して、大幅に低減されている。
【0038】
給水部2から中央噴射部6を経た水は、この散水用空間41へと給水され、散水パッキン46に設けられた複数の散水孔44から散水される。
【0039】
パッキン支持円板47と散水背面部48とは、ネジ45によって固定されており、その間に散水パッキン46が保持されている。
【0040】
散水背面部48には、給水部2と散水部4とを接続するための給水接続部22が予め接続されている。給水接続部22は、散水背面部48の下面側(内部側)から、ネジ24によって固定されている。
【0041】
図5は、本実施形態のシャワー装置1の中央噴射部6の原理を示す縦断面図であり、図6は、本実施形態のシャワー装置1の中央噴射部6の原理を示す横断面図であるが、これらの図における各要素の形態は、図示の簡素化のためにデフォルメされている(具体的な形態が、実際の実施形態の形態とは異なっている)。また、各図において、矢印は、水の流れを模式的に示している。
【0042】
給水接続部22を介して中央噴射部6へと到達した水は、放射方向に開口する複数の通水開口68を通過した後、周方向に均等に6か所に設けられ各々3個の並列の絞り流路82a、82b、82cを有する絞り部8へと押し流される。各絞り流路82a、82b、82cは、それまでの流路よりも断面積が小さく形成されており、水は加速されて噴出される。
【0043】
一方、各絞り流路82a、82b、82cの下流側には拡径部84が形成されており、加速された水が急激に広い空間に出ることによって、負圧が発生する。そして、当該拡径部84に空気導入口86が連通されていて、発生した負圧によって当該空気導入口86を介して空気が水流へと混入される。
【0044】
空気導入口86は、その下方で、空気導入路87に接続されている。空気導入路87は、更に空気吸入口88に連通されている。空気導入路87の途中に、逆止弁として機能する浮き球89が設けられている。浮き球89は、通水時に拡径部84に発生する負圧によって吸い上げられて、空気吸入口88を開放する。この時、空気吸入口88と空気導入口86とが連通されて、空気が吸入される。一方、止水時には、浮き球89が重力によって下方へと落ち、空気吸入口88が塞がれる。これにより、空気吸入口88と空気導入口86との連通が遮断されて、空気導入路87内に水が入り込んでしまった場合であっても、当該水が空気吸入口88から漏れてしまうことが抑制されている。
【0045】
各絞り部8において3個の絞り流路82a、82b、82cで加速された噴流は、それらに共通の単一の拡径部84で合流し、偏平な放射状の噴射軌道に沿った噴流となって散水用空間41内に供給される。
【0046】
(作用効果)
以上のような本実施形態のシャワー装置1によれば、4個の誘導壁75b、75d、75f、75hによって、噴射軌道に沿って噴射される気泡混入水が当該噴射軌道と交差する方向に、具体的には平面視円弧状に周方向に、誘導されることにより、当該噴射軌道と直接的に重ならない位置に配置された4個の中央側散水孔71b、71d、71f、71hに対して、十分な給水をすることができる。これにより、これらの中央側散水孔71b、71d、71f、71hからの散水が円滑になされ、散水中に水が途切れるという事象の発生頻度が顕著に軽減され、浴び心地の良い散水(シャワー吐水)が達成される。中央側散水孔71a、71eについては、噴射軌道上に存在せず、内周から外周へ向かう力が極端に高い状態にはない為、最外周に到達した気泡混入水が、外周から内周側へ戻ってくることができ、散水が円滑になされる。
【0047】
また、本実施形態のシャワー装置1によれば、4個の誘導壁75b、75d、75f、75hの各々は、噴射軌道と重ならない位置にある6個の中央側散水孔のうちの対応する1つ(本実施形態では、中央側散水孔71b、71d、71f、71hの各々)の放射方向外側にまで延びている。これにより、当該1つの中央側散水孔に対して、より確実に十分な給水をすることができる。
【0048】
また、本実施形態のシャワー装置1によれば、4個の誘導壁75b、75d、75f、75hの各々は、それが重なる噴射軌道の元々の幅の半分以下の幅でのみ重なっている。これにより、外側散水孔72への給水を有効に維持しながら、噴射軌道と直接的に重ならない位置に配置された中央側散水孔に対して、十分な給水をすることができる。
【0049】
また、本実施形態のシャワー装置1によれば、4個の誘導壁75b、75d、75f、75hの各々は、散水用空間41の底面から天井面まで延在している。これにより、噴射軌道と直接的に重ならない位置に配置された中央側散水孔に対して、より確実に十分な給水をすることができる。
【0050】
また、本実施形態のシャワー装置1によれば、複数の散水孔44及び4個の誘導壁75b、75d、75f、75hは、散水パッキン46によって提供されている。これにより、複数の散水孔44及び誘導壁75b、75d、75f、75hを高い自由度で容易に設計及び製造することができる。
【0051】
(変形例)
なお、以上の実施形態では、誘導壁75b、75d、75f、75hは、噴射軌道に沿って噴射される気泡混入水を平面視円弧状に周方向に誘導するようになっている。これに代えて、誘導壁は、噴射軌道に沿って噴射される気泡混入水を噴射軌道と直交する方向(直線方向)に誘導するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 シャワー装置
2 給水部
4 散水部
6 中央噴射部
8 絞り部
22 給水接続部
24 ネジ
41 散水用空間
42 散水表面部
44 散水孔
45 ネジ
46 散水パッキン
46w 立壁部
47 パッキン支持円板
48 散水背面部
68 通水開口
71a 中央側散水孔
71b 中央側散水孔
71c 中央側散水孔
71d 中央側散水孔
71e 中央側散水孔
71f 中央側散水孔
71g 中央側散水孔
71h 中央側散水孔
72 外側散水孔
75b 誘導壁
75d 誘導壁
75f 誘導壁
75h 誘導壁
82a 絞り流路
82b 絞り流路
82c 絞り流路
84 拡径部
86 空気導入口
87 空気導入路
88 空気吸入口
89 浮き球
図1
図2
図3
図4
図5
図6