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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040524
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】配線設備及び分散型電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20230315BHJP
   H02B 1/40 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02B1/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147560
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 敏成
(72)【発明者】
【氏名】山本 明日香
【テーマコード(参考)】
5G066
5G211
【Fターム(参考)】
5G066HA11
5G066HB02
5G066HB04
5G211AA25
5G211DD04
5G211EE04
5G211GG04
(57)【要約】
【課題】交流200V電源を分電盤に接続できる配線設備を提供する。
【解決手段】配線設備10であって、分岐ブレーカ3aを介して分岐した、R相及びT相を有し且つN相を有さない専用回路9に接続される接続部11と、接続部11のR相及びT相と各別に電気的に接続され、特定の機器7に給電する電気プラグ7cが差し込まれる電気コンセント12と、接続部11のR相に電気的に接続されるR相配線13rと、接続部11のT相に電気的に接続されるT相配線13tと、分岐ブレーカ3bを介して分岐した回路が有するN相に電気的に接続されるN相配線13nとを有し、電源装置20に接続される接続用電力線13と、分電盤2と接続部11との間を流れる電流、又は、接続部11と特定の機器7との間を流れる電流を検出する電流検出部14と、電流検出部14の検出結果を電源装置20に伝達する出力線15とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋外に設置される電源装置を、電圧線であるR相及びT相と中性線であるN相とを有する単相3線式の交流線に対して接続される分電盤に設けられる複数の分岐ブレーカを介して分岐した回路に接続するための配線設備であって、
複数の前記分岐ブレーカのうちの一つの分岐ブレーカを介して分岐した、特定の機器を接続するために設けられる、R相及びT相を有し且つN相を有さない専用回路に接続される接続部と、
前記接続部のR相及びT相と各別に電気的に接続され、前記特定の機器に給電する電気プラグが差し込まれる電気コンセントと、
前記接続部のR相に電気的に接続されるR相配線と、前記接続部のT相に電気的に接続されるT相配線と、複数の前記分岐ブレーカのうちの別の一つの分岐ブレーカを介して分岐した回路が有するN相に電気的に接続されるN相配線とを有し、前記電源装置に接続される接続用電力線と、
前記分電盤と前記接続部との間を流れる電流、又は、前記接続部と前記特定の機器との間を流れる電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部の検出結果を前記電源装置に伝達する出力線とを備える配線設備。
【請求項2】
前記N相配線は、前記建物の屋外に設置される電気コンセントに引かれた回路のN相に接続される請求項1に記載の配線設備。
【請求項3】
前記接続部及び前記電気コンセント及び前記電流検出部は前記建物の屋内に設置され、
前記接続用電力線及び前記出力線は、前記建物の屋内に設置される前記特定の機器としての空調装置の室内機と、前記建物の屋外に設置される当該空調装置の室外機との間を循環する冷媒が流れる配管が通される、前記建物の壁を貫通する貫通孔を通って前記建物の屋内から屋外にわたって設置される請求項1又は2に記載の配線設備。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の配線設備と、
電源部、及び、当該電源部を前記接続用電力線に接続する電力変換回路、及び、当該電力変換回路の動作を制御する制御部を有する前記電源装置とを備える分散型電源システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記出力線に接続され、前記電流検出部が検出する検出電流に基づいて決定できる、前記接続部と前記特定の機器との間を流れる電流が大きくなるほど、前記電力変換回路から前記接続用電力線への出力電流を小さくさせる電流制限処理を行う請求項4に記載の分散型電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋外に設置される電源装置を、電圧線であるR相及びT相と中性線であるN相とを有する単相3線式の交流線に対して接続される分電盤に設けられる複数の分岐ブレーカを介して分岐した回路に接続するための配線設備及び分散型電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住戸や事業所などの施設には、電圧線であるR相及びT相と中性線であるN相とを有する単相3線式の交流線に対して接続される分電盤が設けられる。そして、分電盤には、R相又はT相とN相との2線に接続される100Vの分岐ブレーカや、R相及びT相に接続される200Vの分岐ブレーカなどが設置され、各分岐ブレーカには100Vの電力負荷装置や200Vの電力負荷装置が接続される。
【0003】
分電盤には、電力負荷装置だけではなく、発電装置や充放電装置などの電源装置も接続できる。このような電源装置には、R相及びT相とN相との3線に接続される交流200V電源や、R相又はT相とN相との2線に接続される交流100V電源などがある。
【0004】
特許文献1には、太陽電池などの電源装置を施設に設置するために、分電盤に、電源装置用の専用ブレーカ(自家発電用主幹開閉器11)を分岐ブレーカ(分岐開閉器12)と並列に主幹ブレーカ(商用電源用主幹開閉器6)の二次側に増設し、その専用ブレーカに電源装置(太陽電池E2)を接続することが行われている。この場合、電源装置には二つの電圧線が接続されており、電源装置は交流200V電源として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3531408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
分電盤に対して交流200V電源を接続しようとした場合、特許文献1に記載のように、R相及びT相に接続される分岐ブレーカを新たに設置する必要がある。但し、分電盤に分岐ブレーカを新たに設置するとなると、費用が掛かるという問題がある。また、新たな分岐ブレーカを設置するスペースが分電盤に無い場合もある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、交流200V電源を分電盤に接続できる配線設備及び分散型電源システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る配線設備の特徴構成は、建物の屋外に設置される電源装置を、電圧線であるR相及びT相と中性線であるN相とを有する単相3線式の交流線に対して接続される分電盤に設けられる複数の分岐ブレーカを介して分岐した回路に接続するための配線設備であって、
複数の前記分岐ブレーカのうちの一つの分岐ブレーカを介して分岐した、特定の機器を接続するために設けられる、R相及びT相を有し且つN相を有さない専用回路に接続される接続部と、
前記接続部のR相及びT相と各別に電気的に接続され、前記特定の機器に給電する電気プラグが差し込まれる電気コンセントと、
前記接続部のR相に電気的に接続されるR相配線と、前記接続部のT相に電気的に接続されるT相配線と、複数の前記分岐ブレーカのうちの別の一つの分岐ブレーカを介して分岐した回路が有するN相に電気的に接続されるN相配線とを有し、前記電源装置に接続される接続用電力線と、
前記分電盤と前記接続部との間を流れる電流、又は、前記接続部と前記特定の機器との間を流れる電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部の検出結果を前記電源装置に伝達する出力線とを備える点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、電源装置は、R相配線とT相配線とN相配線とを有する接続用電力線に接続され、そのうちのR相配線及びT相配線は、接続部と、特定の機器を接続するために設けられるR相及びT相を有する専用回路とを介して分電盤に対して接続される。つまり、既存の専用回路を利用して、電源装置をR相及びT相に対して接続できる。その結果、電源装置を接続するための特別なブレーカを分電盤に設置する必要が無くなる。
更に、電流検出部が、分電盤と接続部との間を流れる電流、又は、接続部と特定の機器との間を流れる電流を検出し、その検出結果は電源装置に伝達される。つまり、電源装置は、特定の機器及び電源装置が接続されている回路に異常な電流が流れているか否かを判定できる。その結果、電源装置は、特定の機器及び電源装置が接続されている回路での過電流を防止しながら、運転を行うことができる。
従って、交流200V電源を分電盤に接続できる配線設備を提供できる。
【0010】
本発明に係る配線設備の別の特徴構成は、前記N相配線は、前記建物の屋外に設置される電気コンセントに引かれた回路のN相に接続される点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、電源装置を建物の屋外に設置する場合、N相配線を電源装置に接続するための工事は屋外工事だけで済むという利点がある。
【0012】
本発明に係る配線設備の更に別の特徴構成は、前記接続部及び前記電気コンセント及び前記電流検出部は前記建物の屋内に設置され、
前記接続用電力線及び前記出力線は、前記建物の屋内に設置される前記特定の機器としての空調装置の室内機と、前記建物の屋外に設置される当該空調装置の室外機との間を循環する冷媒が流れる配管が通される、前記建物の壁を貫通する貫通孔を通って前記建物の屋内から屋外にわたって設置される点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、接続用電力線及び出力線を、既存の貫通孔を介して屋内から屋外へ設置して、屋外に設置される電源装置に接続できる。つまり、新たな貫通孔を建物の壁に増設する必要が無くなる。
【0014】
本発明に係る分散型電源システムの特徴構成は、上記配線設備と、電源部、及び、当該電源部を前記接続用電力線に接続する電力変換回路、及び、当該電力変換回路の動作を制御する制御部を有する前記電源装置とを備える点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、交流200V電源である電源装置と、その電源装置を分電盤に接続できる配線設備とを備える分散型電源システムを提供できる。
【0016】
本発明に係る分散型電源システムの別の特徴構成は、前記制御部は、前記出力線に接続され、前記電流検出部が検出する検出電流に基づいて決定できる、前記接続部と前記特定の機器との間を流れる電流が大きくなるほど、前記電力変換回路から前記接続用電力線への出力電流を小さくさせる電流制限処理を行う点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、電源装置の制御部は、電流検出部が検出する検出電流に基づいて決定できる、接続部と特定の機器との間を流れる電流が大きくなるほど、電力変換回路から接続用電力線への出力電流を小さくさせる電流制限処理を行う。例えば、電流検出部が接続部と特定の機器との間を流れる電流を検出する場合、電源装置の制御部はその電流検出部による検出電流を参照すればよい。また、電流検出部が分電盤と接続部との間を流れる電流を検出する場合、電源装置の制御部はその電流検出部による検出電流と電力変換回路から接続用電力線への出力電流とに基づいて、電流検出部が接続部と特定の機器との間を流れる電流を決定できる。つまり、特定の機器が接続されている回路に流れる電流の増大が抑制される。その結果、電源装置は、特定の機器が接続されている回路での過電流を防止しながら、運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】配線設備を備える分散型電源システムの構成を示す図である。
図2】第1実施形態の配線設備の具体例を示す図である。
図3】第1実施形態の配線設備の具体例を示す図である。
図4】第2実施形態の配線設備の具体例を示す図である。
図5】第2実施形態の配線設備の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下に、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る配線設備10及び分散型電源システムについて説明する。
図1は、配線設備10を備える分散型電源システムの構成を示す図である。図示するように、電源装置20が、住戸や事業所などの施設を構成する建物4の屋外に設置されている。電源装置20は、配線設備10を用いて分電盤2に接続される。分電盤2は、電圧線であるR相及びT相と中性線であるN相とを有する単相3線式の交流線1に対して接続される。分電盤2には、複数の分岐ブレーカ3が設置されるが、図1では2つの分岐ブレーカ3a,3bのみを図示している。本実施形態の配線設備10は、電源装置20を、分電盤2に設けられる複数の分岐ブレーカ3を介して分岐した回路に接続するための設備である。分散型電源システムは、その配線設備10と電源装置20とを備える。
【0020】
本実施形態では、分岐ブレーカ3aはR相及びT相に接続された200V負荷用であり、分岐ブレーカ3bはR相及びN相に接続された100V負荷用である。
【0021】
本実施形態の配線設備10は、電源装置20を、分電盤2に設けられる複数の分岐ブレーカ3を介して分岐した回路に接続するための設備である。配線設備10は、接続部11と、電気コンセント12と、接続用電力線13と、電流検出部14と、出力線15とを備える。
【0022】
接続部11は、複数の分岐ブレーカ3のうちの一つの分岐ブレーカ3aを介して分岐した、特定の機器を接続するために設けられる、R相及びT相を有し且つN相を有さない専用回路9に接続される。本実施形態では、上記特定の機器として、200V負荷である空調装置7が施設に設けられる。具体的には、屋内に空調装置7の室内機7aが設けられ、壁5の外の屋外に室外機7bが設けられる。そして、壁5に設けられる貫通孔6に、建物4の屋内に設置される空調装置7の室内機7aと、建物4の屋外に設置される当該空調装置7の室外機7bとの間を循環する冷媒が流れる配管7d及び室内機7aと室外機7bとを接続する電気配線7eとが通される。
【0023】
電気コンセント12は、接続部11のR相及びT相と各別に電気的に接続され、特定の機器としての空調装置7に給電する電気プラグ7cが差し込まれる。図1に示す例では、電気コンセント12及び電気プラグ7cには、接地端子も描いている。
【0024】
接続用電力線13は、接続部11のR相に電気的に接続されるR相配線13rと、接続部11のT相に電気的に接続されるT相配線13tと、複数の分岐ブレーカ3のうちの別の一つの分岐ブレーカ3bを介して分岐した回路が有するN相に電気的に接続されるN相配線13nとを有し、電源装置20に接続される。N相配線13nは、建物4の屋外に設置される屋外コンセント8に引かれた回路のN相に接続される。つまり、電源装置20は、一つの分岐ブレーカ3aを介してR相及びT相に接続され、別の一つの分岐ブレーカ3bを介してN相に接続される。
【0025】
電源装置20は、発電部及び充放電部などを有する電源部21、及び、電源部21を接続用電力線13に接続する電力変換回路22、及び、電力変換回路22の動作を制御する制御部23を有する。
【0026】
電流検出部14は、分電盤2と接続部11との間を流れる電流、又は、接続部11と特定の機器との間を流れる電流を検出する。そして、出力線15は、電流検出部14の検出結果を電源装置20に伝達する。電源装置20の制御部23は、出力線15に接続され、電流検出部14が検出する検出電流に基づいて決定できる、接続部11と特定の機器との間を流れる電流が大きくなるほど、電力変換回路22から接続用電力線13への出力電流を小さくさせる電流制限処理を行う。
【0027】
図示する例では、接続部11と特定の機器としての空調装置7との間には、分岐ブレーカ3aから接続部11へ流入する電流と、電源装置20の出力電流(電源装置20から接続部11へ流入する電流)との和の電流が流れる。つまり、分岐ブレーカ3aの二次側の、分岐ブレーカ3aと接続部11との間にはそこでの許容電流を超える過電流が流れていなくても、接続部11と空調装置7との間にはそこでの許容電流を超える過電流が流れている可能性がある。
【0028】
従って、接続部11と空調装置7との間に流れる電流を、そこでの許容電流以下に抑制したいならば、必要に応じて電源装置20の出力電流を抑制すればよい。このような考えの下で行われるのが電流制限処理である。即ち、制御部23は、電流検出部14が検出する検出電流に基づいて決定できる、接続部11と空調装置7との間を流れる電流が大きくなるほど、電力変換回路22から接続用電力線13への出力電流を小さくさせる電流制限処理を行う。例えば、電流検出部14が接続部11と空調装置7との間を流れる電流を検出する場合、電源装置20の制御部23はその電流検出部14による検出電流を参照すればよい。また、図示する例のように電流検出部14が分電盤2と接続部11との間を流れる電流を検出する場合、電源装置20の制御部23はその電流検出部14による検出電流と電力変換回路22から接続用電力線13への出力電流とに基づいて、接続部11と空調装置7との間を流れる電流を決定できる。そして、電源装置20の制御部23は、決定した接続部11と空調装置7との間を流れる電流がそこでの許容電流以下になるように、電力変換回路22から接続用電力線13への出力電流を調節する。その結果、電源装置20は、空調装置7が接続されている回路での過電流を防止しながら運転を行うことができる。
【0029】
接続部11及び電気コンセント12及び電流検出部14は建物4の屋内に設置され、接続用電力線13及び出力線15は、空調装置7の室内機7aと室外機7bとの間を循環する冷媒が流れる配管7dが通される、建物4の壁5を貫通する貫通孔6を通って建物4の屋内から屋外にわたって設置される。このように、接続用電力線13及び出力線15を、既存の貫通孔6を介して屋内から屋外へ設置して、屋外に設置される電源装置20に接続できる。つまり、新たな貫通孔を建物4の壁5に増設する必要が無くなる。
【0030】
図2及び図3は、第1実施形態の配線設備10の具体例を示す図である。図示するように、配線設備10は筐体26を備え、その筐体26に、端子群27と、接続部11と、電流検出部14と、電気コンセント12とが設けられる。そして、接続用電力線13及び出力線15が、筐体26の内部から外部に引き出される。具体的には、端子群27は、R相端子とT相端子と接地端子とを有し、例えば建物4の部屋の壁面に設置されている空調装置用電気コンセント25に差し込まれる。端子群27のR相端子とT相端子と接地端子とは接続部11に接続され、接続部11において、電気コンセント12のR相及びT相及び接地と、接続用電力線13のR相配線13r及びT相配線13tに分岐される。この電気コンセント12には、空調装置7の電気プラグ7cを接続できる。
【0031】
本実施形態の電流検出部14は、端子群27と接続部11との間において、分電盤2と接続部11との間のR相を流れる電流を検出するR相検出部14rを有する。電流検出部14は、例えば計器用変流器(カレントトランス)を用いて実現できる。R相検出部14rは、R相の配線の周囲を取り囲むR相環状鉄芯16rと、R相環状鉄芯16rに巻回されるR相巻線17rとを有する。出力線15は、R相巻線17rに接続されるR相出力線15rを有する。
【0032】
R相配線13rと、T相配線13tと、R相出力線15rとの3線が、筐体26から引き出されて電源装置20に接続される。これら4線は、例えばそれぞれ被覆された状態で1本のケーブル18に纏められた状態で電源装置20に接続される。そして、R相配線13rと、T相配線13tとは電源装置20の電力変換回路22に接続される。R相出力線15rとは、電源装置20の制御部23に接続される。
【0033】
以上のように、既存の専用回路9を利用して、電源装置20をR相及びT相に対して接続できる配線設備10を提供できる。その結果、電源装置20を接続するための特別なブレーカを分電盤2に設置する必要が無くなる。また、配線設備10を構成する筐体26は屋内に設置されるが、筐体26と電源装置20との接続は1本のケーブル18を用いて実現できる。更に、電源装置20に接続されるN相配線13nは、建物4の屋外に設置される屋外コンセント8に引かれた回路のN相に接続されるため、N相配線13nを電源装置20に接続するための工事は屋外工事だけで済むという利点がある。
また、配線設備10を構成する筐体26は、建物4の部屋の壁面に設置されている空調装置用電気コンセント25に差し込まれる端子群27を備え且つ電気コンセント12を備えており、配線設備10は、空調装置7の電気プラグ7cを分岐ブレーカ3aに対して電気的に接続するためのアダプタとして機能する。
【0034】
加えて、電流検出部14が、分電盤2と接続部11との間を流れる電流、又は、接続部11と空調装置7との間を流れる電流を検出し、その検出結果は電源装置20に伝達される。つまり、電源装置20は、空調装置7及び電源装置20が接続されている回路に異常な電流が流れているか否かを判定できる。その結果、電源装置20は、空調装置7及び電源装置20が接続されている回路での過電流を防止しながら、運転を行うことができる。
【0035】
<第2実施形態>
第2実施形態は、配線設備10の構成が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の配線設備10について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0036】
図4及び図5は、第2実施形態の配線設備10の具体例を示す図である。本実施形態の配線設備10は、建物4の部屋の壁面28の内側に、接続部11と電流検出部14とを備え、壁面28に電気コンセント12を備える。そして、接続用電力線13及び出力線15が、壁面28の内側から建物4の外部に向けて設置される。具体的には、専用回路9のR相とT相とは接続部11に接続され、接続部11において、電気コンセント12のR相及びT相及び接地と、接続用電力線13のR相配線13r及びT相配線13tに分岐される。また、接続部11及び電気コンセント12には接地も接続される。この電気コンセント12には、空調装置7の電気プラグ7cを接続できる。このように、配線設備10は、壁面28に設けられるコンセントボックスとして機能する。
【0037】
本実施形態の電流検出部14は、分電盤2(分岐ブレーカ3a)と接続部11との間において、分電盤2と接続部11との間のR相を流れる電流を検出するR相検出部14rを有する。電流検出部14は、例えば計器用変流器(カレントトランス)を用いて実現できる。R相検出部14rは、R相の配線の周囲を取り囲むR相環状鉄芯16rと、R相環状鉄芯16rに巻回されるR相巻線17rとを有する。出力線15は、R相巻線17rに接続されるR相出力線15rを有する。
【0038】
R相配線13rと、T相配線13tと、R相出力線15rとの3線は、例えばそれぞれ被覆された状態で1本のケーブル18に纏められた状態で電源装置20に接続される。
【0039】
また、電源装置20に接続されるN相配線13nは、建物4の屋外に設置される屋外コンセント8に引かれた回路のN相に接続される。このように、電源装置20は、一つの分岐ブレーカ3aを介してR相及びT相に接続され、別の一つの分岐ブレーカ3bを介してN相に接続される。
【0040】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明の配線設備10及び分散型電源システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
一例を挙げると、電源装置20は、電力系統の停電時のみで電力を出力する自立出力線(図示せず)を追加で備えていてもよい。その場合、貫通孔6を通して自立出力線を、例えば上記ケーブル18に纏めて建物4の屋外から屋内に引き入れ、その自立出力線に接続される自立用電気コンセントを屋内に設置すればよい。例えば、その自立用電気コンセントを、配線設備10の電気コンセント12と並べて設置することもできる。つまり、配線設備10は、電源装置20が自立運転時に電力を出力する自立出力線に接続される自立用電気コンセントを備えていてもよい。
【0041】
上記実施形態では、本発明の特定の機器の一例として空調装置7を挙げたが、他の装置を特定の機器として用いてもよい。
【0042】
上記実施形態において、電流検出部14を設けるのと同じ部位に、所定の値以上の電流が流れた場合に回路を遮断するブレーカ等の機器を設けてもよい。それにより、空調装置7及び電源装置20が接続されている回路での過電流を防止できる。
【0043】
<2>
上記実施形態では、電流検出部14が、R相を流れる電流を検出するR相検出部14rを有する構成例を説明したが、T相を流れる電流を検出する構成であってもよい。
【0044】
<3>
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、交流200V電源を分電盤に接続できる配線設備及び分散型電源システムに利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 交流線
2 分電盤
3 分岐ブレーカ
4 建物
5 壁
6 貫通孔
7 空調装置(特定の機器)
7a 室内機
7b 室外機
7c 電気プラグ
7d 配管
8 屋外コンセント(電気コンセント)
9 専用回路
10 配線設備
11 接続部
12 電気コンセント
13 接続用電力線
13n N相配線
13r R相配線
13t T相配線
14(14r) 電流検出部
14r R相検出部
15(15r) 出力線
20 電源装置
21 電源部
22 電力変換回路
23 制御部
図1
図2
図3
図4
図5