(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040635
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】インライン式射出成形機の樹脂替え方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
B29C45/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147735
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】有馬 祐一朗
(72)【発明者】
【氏名】岡本 昭男
(72)【発明者】
【氏名】福田 裕一郎
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AR06
4F206AR07
4F206AR09
4F206JA07
4F206JD03
4F206JL04
4F206JP30
(57)【要約】
【課題】射出シリンダ先端部の内壁面の滞留樹脂を完全に排出できる、インライン式射出成形機の樹脂替え方法を提供することを目的とする。
【解決手段】射出シリンダ21内に螺旋状のフライト12を有するスクリュ11を内蔵したインライン式射出成形機100の樹脂替え方法において、樹脂替えモードを備え、前記樹脂替えモードの起動時にスクリュ11を樹脂替え位置に保持し、未溶融樹脂が混在する回転条件でスクリュ11を連続回転させて、スクリュ11の先端部と射出シリンダ21の先端部の内壁面BNとの隙間を介して、射出シリンダ21から未溶融樹脂が混在する成形材料を連続的に排出する、ことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出シリンダ内に螺旋状のフライトを有するスクリュを内蔵したインライン式射出成形機の樹脂替え方法において、
樹脂替えモードを備え、前記樹脂替えモードの起動時に前記スクリュを樹脂替え位置に保持し、未溶融樹脂が混在する回転条件で前記スクリュを連続回転させて、前記スクリュの先端部と前記射出シリンダの先端部の内壁面との隙間を介して、前記射出シリンダから未溶融樹脂が混在する成形材料を連続的に排出する、ことを特徴とするインライン式射出成形機の樹脂替え方法。
【請求項2】
前記樹脂替え位置は、前記未溶融樹脂が混在する成形材料が前記隙間を通過する際に、前記未溶融樹脂が前記射出シリンダの内壁面と接触する前記スクリュの位置である、請求項1記載のインライン式射出成形機の樹脂替え法。
【請求項3】
前記回転条件は、前記スクリュの直径と回転数を乗じた回転周速で設定し、前記直径の単位をmmとし、前記回転数の単位をrpmとすると、前記回転周速は、6000から18000の範囲内で調整する、請求項1または2のいずれか1項に記載のインライン式射出成形機の樹脂替え方法。
【請求項4】
前記回転条件は、前記射出シリンダの加熱温度を調整することをさらに加える、請求項3記載のインライン式射出装置の樹脂替え方法。
【請求項5】
前記スクリュ先端部の表面に、前記未溶融樹脂が通過する優先流路を設ける、請求項1から4のいずれか1項に記載のインライン式射出成形機の樹脂替え方法。
【請求項6】
前記隙間は、未溶融樹脂が混在する成形材料の流動方向に対して、連続的に狭くなる、請求項1から4のいずれか1項に記載のインライン式射出成形機の樹脂替え方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出シリンダ内に螺旋状のフライトを有するスクリュを内蔵したインライン式射出成形機の樹脂替え方法に関する。
【0002】
インライン式射出成形機を用いた射出成形は、以下の手順で行われる。先ず、材料供給装置を用いて射出シリンダ内に樹脂材料を供給する。供給された樹脂材料は、螺旋状のフライトを有するスクリュの回転運動によるせん断発熱と、射出シリンダに設けたヒータ等の熱量によって、可塑化され溶融樹脂となってスクリュ先端の射出シリンダ内に貯蔵される(計量工程)。次いで、スクリュを前進動作させて、射出シリンダ内に貯蔵される溶融樹脂を金型キャビティ内へ射出充填する(射出工程)。溶融樹脂の冷却固化に伴う固化収縮を補う保圧充填(保圧工程)と、金型キャビティ内で冷却保持(冷却工程)を経て、型開して金型キャビティから成形品を取り出す。この一連の成形動作を必要な成形品の個数を得るまで繰り返す。
【0003】
ここで、射出成形は、1台の射出成形機で多数の樹脂材料が使われることが多い。例えば、自動車内装部品のように、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等の熱可塑性樹脂に、黒や赤や青等の着色剤を添加して部品の色調を調整する。この場合、生産計画に基づいて着色剤の交換が頻繁に行われる。また、部品の用途に基づいて、例えば、可塑剤や難燃剤等の添加剤が樹脂材料に添加される。また、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等の熱可塑性樹脂が、製品の用途に応じて使い分けられ、添加剤や樹脂材料の種類が変わる度に交換を必要とする。ここでは、樹脂材料と添加剤を合わせて成形材料といい、成形材料の交換を樹脂替えという。
【0004】
そのために、樹脂替えの作業効率の改善が強く望まれる。樹脂替えの作業後に射出装置を開放点検して、成形材料が多く残っている部位を観察する研究が報告されている。これによると、スクリュ先端に配置された逆流防止装置内の樹脂流路と、射出シリンダ先端の内壁面の2箇所に、比較的多くの成形材料が残っている(滞留樹脂という)ことが確認された。この滞留樹脂は、堆積と剥離を繰り返し、成形材料と混ざって射出充填される。その結果、本来の成形材料とは異なる性質の滞留樹脂が成形品に混ざり、成形品の物性等が大きく変化して、製品として使用できないという成形不良が生じる(樹脂替え不良という)。この樹脂替え不良を改善するために、樹脂替え作業回数を増やして成形材料を大量に消費したり、高価な洗浄剤を大量に用いたりすることになる。
【0005】
そこで、樹脂替え不良を低減させる提案が多くされており、逆流防止装置内の樹脂流路に関しては、改良部品への交換が容易なことから大きな改善効果を得ているようである。しかしながら、部品交換が容易ではない射出シリンダ先端部の内壁面に関しては、試行錯誤の段階である。その中で、例えば、特許文献1に示すような、凸状の掻き取り板を内蔵した特殊仕様のスクリュ先端部品を備え、スクリュの前進位置でスクリュを回転させ、掻き取り板で射出シリンダ先端部の内壁面の滞留樹脂を強制的に除去する樹脂替えが提案されている。なお、この掻き取り板は、樹脂替え以外の工程では、スクリュ先端部に収納されるようになっているので、射出成形には影響はないとされている。
【0006】
また、例えば、特許文献2に示すような、射出シリンダ先端部の内壁面とスクリュ先端部との隙間を僅少にてスクリュを連続回転させる樹脂替えが提案されている。さらに、スクリュ先端部に凹状の樹脂流路を複数設けて、樹脂流路を通過する溶融樹脂を用いて、滞留樹脂の掻き取り効率を高める工夫がされている。
【0007】
さらに、例えば、特許文献3に示すような、射出シリンダと金型キャビティを連通させた状態で、先ず、金型充填容量の半分以上の樹脂量を可塑化計量し(スクリュは後退)、金型キャビティ内に寸動高速射出を行い、次に、スクリュ前進位置でスクリュを連続回転させて、残りの樹脂量を金型キャビティに押し出す樹脂替えが提案されている。この時、最初の可塑化計量では、未溶融ペレットが混在する低圧の背圧制御でスクリュを後退させ、2回目以降の可塑化計量では、低圧と高圧を交互に繰り返す背圧制御でスクリュを後退させる。これにより、滞留樹脂の掻き取り効率が高まるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭51-6257号公報
【特許文献2】特開平4-158018号公報
【特許文献3】特開平11-28753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、特許文献1においては、進退自在な掻き取り板を内蔵した特殊仕様のスクリュ先端部品を必要とする。仮に、掻き取り板が動かくなる等の故障の場合には、射出成形を継続することができず、直ちに生産を中断してスクリュ先端部品を交換する大幅なメンテナンス作業を要し、生産安定性に不安を抱える。また、掻き取り板の駆動装置は、長いスクリュの内部を連通してスクリュ後端部に配置することになる。スクリュは、回転動作と前後進動作を行うので、この駆動装置もスクリュ動作に同調させて動かすことが求められる。さらに、スクリュの後端側には、スクリュの駆動装置が連結されており、2つの駆動装置を同じ位置に配置させることは構造上無理があり、一般的なインライン式射出成形機では適用できない。
【0010】
また、特許文献2においては、射出シリンダ先端部の内壁面とスクリュ先端部との隙間を僅少とし、樹脂流路を流動する溶融樹脂で滞留樹脂を掻き取るとされている。滞留樹脂は、高温の状態で長時間経過しており、樹脂成分は熱分解し、一部は酸化または炭化している状態(熱劣化という)である。成形運転が終わると射出シリンダは加熱温調を止め冷却され、熱劣化した滞留樹脂も冷却固化し、滞留樹脂は強固な固化層となる。再び、成形を開始すると、固化層の上に新たな滞留樹脂が堆積する。これを繰り返すことで、滞留樹脂は非常に強固なものとなり、樹脂流路を流動する溶融樹脂では簡単に掻き取ることはできない。また、樹脂流路以外のスクリュ先端部の範囲は、樹脂流路と比べて溶融樹脂の流動が極端に少なくなるので、スクリュ先端部側に新たに滞留樹脂が形成されることが考えられる。さらに、スクリュ側で溶融混錬された可塑化溶融樹脂が、樹脂流路に集中して流動することで、比重の異なる添加剤等が分離凝集して、可塑化溶融樹脂の分散不良を誘発することも考えられる。
【0011】
また、特許文献3においては、未溶融ペレットで滞留樹脂を掻き取るとされており、溶融樹脂よりは掻き取り効率が高い。しかしながら、未溶融ペレットが混在する樹脂替え動作は、スクリュの後退動作の範囲であり、滞留樹脂の多い射出シリンダ先端部の内壁面の樹脂替え効率は全く期待できない。仮に、スクリュ前進位置で、未溶融ペレットが混在する条件でスクリュを連続回転させたとしても、射出シリンダと金型キャビティは連通した状態であることから、成形材料は金型キャビティ内に連続排出される。この時、既に金型キャビティ内には、射出充填容量の半分以上の成形材料が充填されている。この状態で、さらに成形材料を金型キャビティ内に連続排出させるには、充填された成形材料を押し広げて無理矢理に充填することになり、高い充填圧力を必要とする。未溶融ペレットが混在する条件を、低い圧力制御でスクリュを連続回転させるとしているが、この低い圧力制御では金型キャビティ内に無理矢理に充填することができない。無理矢理に充填できたとすると、高い圧力制御を必要とし、未溶融ペレットは消失する。
【0012】
そこで本発明は、射出シリンダ先端部の内壁面の滞留樹脂を完全に排出できる、インライン式射出成形機の樹脂替え方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のインライン式射出成形機の樹脂替え方法において、
射出シリンダ内に螺旋状のフライトを有するスクリュを内蔵したインライン式射出成形機の樹脂替え方法において、
樹脂替えモードを備え、前記樹脂替えモードの起動時に前記スクリュを樹脂替え位置に保持し、未溶融樹脂が混在する回転条件で前記スクリュを連続回転させて、前記スクリュの先端部と前記射出シリンダの先端部の内壁面との隙間を介して、前記射出シリンダから未溶融樹脂が混在する成形材料を連続的に排出する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明のインライン式射出成形機の樹脂替え方法において、
前記樹脂替え位置は、前記未溶融樹脂が混在する成形材料が前記隙間を通過する際に、前記未溶融樹脂が前記射出シリンダの内壁面と接触する前記スクリュの位置である、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明のインライン式射出成形機の樹脂替え方法において、
前記回転条件は、前記スクリュの直径と回転数を乗じた回転周速で設定し、前記直径の単位をmmとし、前記回転数の単位をrpmとすると、前記回転周速は、6000から18000の範囲内で調整する、ことを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明のインライン式射出成形機の樹脂替え方法において、
前記回転条件は、前記射出シリンダの加熱温度を調整することをさらに加える、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明のインライン式射出成形機の樹脂替え方法において、
前記スクリュ先端部の表面に、前記未溶融樹脂が通過する優先流路を設ける、ことが好ましい。
【0018】
また、本発明のインライン式射出成形機の樹脂替え方法において、
前記隙間は、未溶融樹脂が混在する成形材料の流動方向に対して、連続的に狭くなる、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、射出シリンダ先端部の内壁面の滞留樹脂を完全に排出できる、インライン式射出成形機の樹脂替え方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係るインライン式射出成形機の概念図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る樹脂替え方法を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る樹脂替え方法を模式的に示す図である。
【
図4】本発明の第3実施形態に係る樹脂替え方法を模式的に示す図である。
【
図5】本発明に係るインライン式射出成形機の樹脂替え方法を示すフロー図である。
【
図6】従来技術の樹脂替え方法を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが、各請求項に係る発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、本実施形態においては、各構成要素の尺度や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0022】
[インライン式射出成形機]
先ず、本発明の実施形態に係るインライン式射出成形機について、
図1を用いて説明する。なお、以下の説明では、本発明の実施形態に係るインライン式射出成形機として、横型インライン式射出成形機をベースとしたが、これに限定されるものではない。
図1に示すインライン式射出成形機100は、射出装置10と、射出駆動部30と、射出制御部40と、射出成形金型50と、を備える。
【0023】
射出成形金型50は、固定金型51と可動金型52が図示しない型締装置に支持され、型締装置により固定金型51に対して可動金型52は進退自在に動作する。ここで、可動金型52の動作に関して、固定金型51に近づく動作を型閉動作、固定金型51から離れる動作を型開動作と定義する。また、型閉動作で固定金型51と可動金型52が当接した位置を金型タッチ点、金型タッチ点から更に型閉動作方向の動作を型締動作、型締動作の完了位置を型締限、型締限から金型タッチ点までの動作を降圧動作と定義する。金型タッチ点から型締限の範囲内で、金型キャビティ53が形成される。また、固定金型51には、金型キャビティ53内に成形材料を充填するゲート54を備える。
【0024】
射出装置10は、円筒状の射出シリンダ21と、射出シリンダ21内に配置され、軸を中心に回転動作と軸方向に前後進動作するスクリュ11と、を備える。射出装置10により、金型キャビティ53に向けて成形材料を射出充填することで、樹脂成形品を得る。
【0025】
射出シリンダ21は、外周面に複数のヒータ24が所定の間隔で配置され、図示しない温度調節装置によりヒータ24を温度制御して、射出シリンダ21を所定の温度に管理する。このヒータ24による温度管理は、後述する計量工程において、供給された成形材料の予熱と、可塑化時の成形材料への熱量付与と、可塑化された溶融樹脂の温度管理に利用される。射出シリンダ21の先端部は、円錐状の内壁面を有するシリンダヘッド22と、ノズル23を備える。金型キャビティ53内に成形材料を射出充填する際は、ノズルと固定金型51内のゲート54が接続される。また、射出シリンダ21の後方に材料ホッパ25を備え、図示しない材料供給装置等により材料ホッパ25から射出シリンダ21内へ成形材料が供給される。
【0026】
スクリュ11は、射出シリンダ21内に進退自在に配置され、射出駆動部30とスクリュ11の後端部が連結される。射出制御部40の制御指令に基づいて射出駆動部30を操作し、スクリュ11の回転動作と前後進動作が調整される。ここで、スクリュ11の動作に関して、金型キャビティ53に近い方向を前方F、前方Fへの動作を前進動作、金型キャビティ53から離れる方向を後方B、後方Bの動作を後退動作と定義する。
【0027】
また、スクリュ11には、後方Bから前方Fに向かって螺旋状のフライト12を備えている。射出駆動部30によるスクリュ11の回転動作の回転方向に対して、材料ホッパ25から供給した成形材料を前方Fへ回転輸送できるように、フライト12の螺旋状の向きと角度を設定する。なお、
図1に示すように、フライト12は一定の間隔で一定の角度で1条の配置としたが、これに限定されることなく、例えば、間隔や角度を可変してもよく、複数条の配列としても良い。あるいは、スクリュ11の一部の範囲のみフライト12を複数条の配列としても良い。
【0028】
また、スクリュ11は、後方Bから前方Fに向かって直径が段階的に大きくなる円柱形状とする。つまり、スクリュ11と射出シリンダ21との隙間の容積が、後方Bから前方Fに向かって段階的に小さくなるように、例えば、輸送ゾーン、圧縮ゾーン、溶融ゾーンというように設定する。これにより、材料ホッパ25から供給された成形材料は、スクリュ11とフライト12の回転動作により前方輸送され、容積の縮小により圧縮作用とせん断発熱が成形材料に作用し、ヒータ24からの熱量付与の相乗効果により、段階的に溶融化し(可塑化という)、スクリュ11の前方Fに向かって溶融樹脂が生成され、スクリュ11の前方Fに溶融樹脂が貯蔵される(計量工程という)。溶融樹脂の貯蔵に伴い、スクリュ11は後方B側に後退する。このスクリュ11の後退動作に制限をかけて、成形材料の溶融混錬性を調整する(背圧調整という)。その後、貯蔵した溶融樹脂を金型キャビティ53内に射出充填する(射出工程という)。
【0029】
スクリュ11の前方F側の先端部には、リアシート13と、逆止リング14と、スクリュヘッド15と、を備える。計量工程では、逆止リング14内の樹脂流路が開放され、溶融樹脂の前方輸送を可能とする。また、射出工程では、逆止リング14内の樹脂流路が閉鎖され、貯蔵した溶融樹脂を正確に金型キャビティ53内に射出充填することができる。
【0030】
ここで、射出成形では、製品の用途や要求特性に応じて、1台の射出成形機で多くの種類の成形材料が使われる。例えば、自動車内装部品のように、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等の熱可塑性樹脂に、黒や赤や青等の着色剤を添加して部品の色調を調整することが一般的であり、頻繁に樹脂替えが行われる。その他に、樹脂材料の柔軟性を与える可塑剤、結晶性樹脂に対して結晶化度を制御する核剤や透明化剤、燃焼を抑制する難燃剤、静電気の帯電を抑制する帯電防止剤、樹脂材料の流動性や離型性を改善する滑剤、紫外線による劣化を抑制する対候剤や紫外線劣化防止剤、ガラス繊維や炭素繊維等の強化剤等の各種の添加剤が適宜選択され、その都度、樹脂替えが行われる。また、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等の汎用樹脂、ポリアミド(PA)樹脂やポリカーボネイト(PC)樹脂等のエンジニアリング樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の超エンジニアリング樹脂等の熱可塑性樹脂が適宜選択される。従って、樹脂材料と添加剤を合わせた成形材料の効率の良い樹脂替え方法が強く望まれる。
【0031】
そのために、成形材料が滞留しやすい箇所の特定を行った。先ず、射出シリンダ21の内部が観察できる可視化装置を製作し、この可視化装置を用いて成形材料の流動状態を観察した。次に、可視化装置の観察条件と同じ条件で、実際のインライン式射出装置を動作させ、開放点検により成形材料の滞留箇所を調査した。最後に、量産中のインライン式射出成形機100を用いて、開放点検を行い、成形材料の滞留箇所と、滞留した成形材料(滞留樹脂という)の状態を詳しく調査した。これらの調査結果から、射出シリンダ21の先端部、詳しくは、シリンダヘッド22の内壁面に最も多くの滞留樹脂が確認された。
【0032】
次に、
図6に示すように、シリンダヘッド22の内壁面を重点的に清掃できる、従来技術の樹脂替え方法について調査した。
図6は
図1に示す領域Aを拡大したものである。従来技術の樹脂替え方法は、計量工程と射出工程を複数回行うパターンXと、スクリュを前進位置で連続回転させるパターンYと、パターンXとYを組合せるパターンZに分類される。
図6(a)はパターンXを示し、
図6(b)はパターンYを示す。
【0033】
先ず、パターンXは、スクリュ11の前進限位置S1から計量工程を開始する。スクリュ11の回転動作により成形材料は前方輸送され、スクリュヘッド15の前方Fに貯蔵される。成形材料の貯蔵に伴いスクリュ11は後方B側に後退する。この成形材料の前方輸送の際に、成形材料の流動に乱流等の乱れが生じると、空気やガスを巻き込んで、シルバー、ガス巻き込みボイド、アバタ(微細凹凸)、製品ショート等の成形不良を誘発する。そのため、スクリュヘッド15は前方F側が細い円錐形状とすることで、成形材料の流動は沈静化し安定流動を得ることができ、インライン式射出成形機100に多く採用されている。このスクリュヘッド15の円錐形状に合わせて、シリンダヘッド22の内壁面BNも円錐形状となる。また、
図6に示すように、ノズル23の内壁面BNもシリンダヘッド22から連続した円錐形状としても良い。なお、内壁面BNは、シリンダヘッド22に設けているものとして説明を行う。
【0034】
所定の貯蔵量にスクリュ11が後退すると計量工程を終え、スクリュ11を前進動作させて貯蔵した可塑化材料をノズル23から排出する射出工程を行う。計量工程ではノズル23を閉鎖し、射出工程でノズル23を開放する操作を行う。射出工程において、スクリュヘッド15の円錐形状と、シリンダヘッド22の内壁面BNの円錐形状により、優先的な流動MFが生じ、シリンダヘッド22の内壁面BNの成形材料は取り残される。この取り残された成形材料が、滞留樹脂RZとなる。つまり、パターンXの樹脂替え方法では、滞留樹脂を掻き取ることはできず、逆に、滞留樹脂を堆積させていることになる。なお、流動が停止した貯蔵される成形材料では、この滞留樹脂を掻き取る効果は全く期待できない。また、この滞留樹脂の生成は、計量工程と射出工程を繰り返す量産成形においても、同様に生成と堆積を繰り返している。
【0035】
パターンYは、シリンダヘッド22の内壁面BNの滞留樹脂RZに着目した樹脂替え方法である。具体的には、スクリュ11を前進限位置S1に固定して連続回転させ、開放したノズル23から成形材料を連続的に排出して、成形材料の連続な流動MFで滞留樹脂RZを掻き取るものである。前進限位置S1は、スクリュヘッド15とシリンダヘッド22が絶対に衝突しない位置に設定される。そのため、スクリュヘッド15とシリンダヘッド22の内壁面BNとの隙間は比較的広い。加えて、スクリュヘッド15の円錐形状により、流動MFは沈静化された状態であるので、滞留樹脂RZの掻き取り効果は期待できない。その結果、樹脂替えに大量の成形材料を消費することになる。あるいは、高価な樹脂替え用の洗浄剤を頻繁に使用することになり、樹脂替えに係るコスト高を招く。
【0036】
[第1実施形態の樹脂替え方法]
次に、本発明の第1実施形態に係る樹脂替え方法について、
図2を用いて説明する。
図2(a)は、
図1に示す領域Aを拡大したものであり、
図2(b)は、
図2(a)に示す断面BBである。
【0037】
第1実施形態の樹脂替え方法は、
図2(a)に示すように、樹脂替えモードを備え、樹脂替えモードの起動時にスクリュ11を樹脂替え位置S2に保持し、未溶融樹脂MZが混在する回転条件でスクリュ11を連続回転させて、開放されたノズル23から未溶融樹脂MZが混在する成形材料を連続的に排出させることを特徴とする。滞留樹脂RZの掻き取り効率を高める狙いで、スクリュヘッド15とシリンダヘッド22の内壁面BNとの隙間を可能な範囲で狭くし、樹脂替え位置S2<前進限位置S1とする。この隙間は、未溶融樹脂MZが通過することができるスクリュ11の位置であり、好ましくは、通過する未溶融樹脂MZが内壁面BNと接触するスクリュ11の位置である。さらに、
図2(b)に示すように、スクリュヘッド15の回転運動により、隙間の中で未溶融樹脂MZに回転流動RFが加わり、内壁面BNの全域を未溶融樹脂MZが動くことになる。
これによって、未溶融樹脂MZが混在する成形材料の連続的な流動MFと回転流動RFが、この隙間を通過する際に、未溶融樹脂MZが研磨剤となって、滞留樹脂RZを強固に掻き取って、滞留樹脂RZを完全に除去することができる。その結果、樹脂替えに要する成形材料の消費量を大きく抑えることができ、樹脂替えに係るコスト低減と樹脂替え時間の短縮を可能とする。
【0038】
ここで、未溶融樹脂MZが混在する回転条件は、スクリュ11の直径Dとスクリュ11の回転数Nを乗じた回転周速DNで設定する。具体的には、スクリュ11の直径Dの単位をmmとし、スクリュ11の回転数Nの単位をrpmとすると、回転周速DN=6000~18000の範囲内で調整することが好ましい。回転周速DN<6000では、回転運動に伴うせん断発熱量が足りず未溶融樹脂が混在することが少ない。また、回転周速DN>18000では、スクリュ11の回転輸送が強過ぎて、材料ホッパ25から供給された成形材料が可塑化されることなく大量に前方輸送される。その結果、大量の未溶融樹脂MZでスクリュ11が詰り、スクリュ11が回転振れを起こして、スクリュ11の摩耗や折損等の大きなトラブルを誘発することになる。なお、回転周速DN=6000~18000の範囲内では、射出装置10の安全運転と、適度な量の未溶融樹脂MZが混在する成形材料を連続供給することができる。
【0039】
また、回転周速DN=6000~18000の範囲内で調整しているにもかかわらず、成形材料の種類や大きさ、ヒータ24の配置や熱容量等によっては、未溶融樹脂MZを適切に混在させることが困難な場合が考えられる。この場合は、ヒータ24の温度設定を調整して、未溶融樹脂MZを増加させることが好ましい。具体的には、ヒータ24の温度設定を下げて、ヒータ24からの熱量の供給量を低減させる調整を行う。なお、樹脂替え後は、ヒータ24の温度設定を生産条件に戻しておく。また、スクリュヘッド15やシリンダヘッド22は、既存の部品がそのまま使える。さらに、スクリュヘッド15も未溶融樹脂MZによる掻き取りの洗浄効果により、綺麗な状態を維持できる。
【0040】
[第2実施形態の樹脂替え方法]
次に、本発明の第2実施形態に係る樹脂替え方法について、
図3を用いて説明する。
図3(a)は、
図1に示す領域Aを拡大したものであり、
図3(b)は、
図3(a)に示す断面CCである。なお、第1実施形態と同じ構成のものは説明を割愛し、異なる構成について詳細に説明する。
【0041】
第1実施形態では、スクリュ11の前進限位置S1と樹脂替え位置S2の2つの位置が設定でき、前進限位置S1>樹脂替え位置S2とした。これに対して、
図3(a)に示すように、既に、スクリュヘッド15とシリンダヘッド22の内壁面BNの隙間が狭く、スクリュ11をこれ以上に前進させることが困難な場合は、この第2実施形態とする。第2実施形態において、樹脂替えモードを備え、
図3(a)に示すように、スクリュ11の前進限位置S1=樹脂替え位置S2とする。この樹脂替え位置S2では、スクリュヘッド15とシリンダヘッド22の内壁面BNが狭いために、未溶融樹脂MZの通過が困難である。そのため、
図3(b)に示すように、スクリュヘッド15の表面に未溶融樹脂MZが通過して、通過する未溶融樹脂MZが内壁面BNと接触する優先流路15Mを設ける。この状態で樹脂替えモードを起動させ、スクリュ11を樹脂替え位置S2に保持したまま、未溶融樹脂MZが混在する回転条件でスクリュ11を連続回転させて、開放されたノズル23から未溶融樹脂MZが混在する成形材料を連続的に排出させることを特徴とする。未溶融樹脂MZが混在する成形材料は、スクリュヘッド15の回転運動による回転流動RFを伴いながら、優先流路15Mを前方Fに向かって通過する。この時に、未溶融樹脂MZで滞留樹脂RZの掻き取りを行う。
【0042】
なお、回転周速DNやヒータ24の加熱温度の設定は、第1実施形態と同じである。また、スクリュヘッド15の部品交換で、効率の良い樹脂替えを確保することができる。なお、スクリュヘッド15の表面に設けた未溶融樹脂MZが通過する優先流路15Mは、凹凸が極めて小さい。加えて、未溶融樹脂MZによる掻き取りの洗浄効果により、優先流路15Mは綺麗な状態を維持することが可能となる。
【0043】
[第3実施形態の樹脂替え方法]
次に、本発明の第3実施形態に係る樹脂替え方法について、
図4を用いて説明する。
図4(a)は、
図1に示す領域Aを拡大したものであり、
図4(b)は、
図4(a)に示す断面DEである。なお、第1実施形態あるいは第2実施形態と同じ構成のものは説明を割愛し、異なる構成について詳細に説明する。
【0044】
スクリュ11の前進限位置S1を変えることができない(樹脂替え位置S2を別に設定することができない)場合は、この第3実施形態とする。第3実施形態において、樹脂替えモードを備え、
図4(a)に示すように、スクリュ11の前進限位置S1=樹脂替え位置S2とする。なお、この樹脂替え位置S2では、スクリュヘッド15とバレルヘッド22の内壁面BNとの隙間が広過ぎる、未溶融樹脂MZと滞留樹脂RZが離れて、未溶融樹脂MZによる滞留樹脂RZの掻き取り効率が低い。
【0045】
そこで、
図4(a)に示すように、スクリュヘッド15の円錐形状と、シリンダヘッド22の内壁面BNの円錐形状を変えて、具体的には、両者の円錐形状の円錐角度を変えて、スクリュヘッド15と内壁面BNとの隙間が、前方Fに向かって連続的に狭くなるように設定する。こうすることにより、
図4(b)に示すように、隙間を通過する未溶融樹脂MZが前方Fで捕捉され、次第に後方B側まで未溶融樹脂MZで満たされ、未溶融樹脂MZによる滞留樹脂RZの掻き取り効率を高くすることができる。なお、回転周速DNやヒータ24の加熱温度の設定は、第1実施形態と同じである。また、未溶融樹脂MZの掻き取り洗浄効果により、スクリュヘッド15も綺麗な状態を維持することが可能となる。
【0046】
[インライン式射出成形機の樹脂替え方法]
次に、本発明に係るインライン式射出成形機の樹脂替え方法について、
図5のフロー図を用いて説明する。
図5においては、量産運転を終え、図示しない材料供給装置等を操作して、材料ホッパ25に供給する成形材料の切り替えが完了している。つまり、射出装置10内には前の成形材料が残っており、材料ホッパ25には次の成形材料が投入されているとする。こうすることにより、成形材料は途切れることなく連続的に供給され、本発明の特徴である、スクリュ11を連続回転させて成形材料を連続的に排出することが実現される。なお、例えば、前の成形材料を連続的に排出し、前の成形材料が空になった後に、次の成形材料を供給して、同様に連続的に排出するとしても良い。あるいは、前の成形材料か後の成形材料のどちらか一方に連続的な排出としても良い。
【0047】
先ず、射出装置10を後方B側に後退させて、射出成形金型50との連結を解除し、ノズル23を開放とする。これにより、成形材料はノズル23から連続的に排出される。排出された成形材料は、例えば、耐熱容器等に入れる。そのため、射出装置10はノズル23から成形材料を連続的に排出できる位置まで後退させる。
【0048】
次に、樹脂替えモードを起動させる。射出制御部40は、射出駆動部30を操作してスクリュ11を回転させずに前進動作させる。スクリュ11の位置が、予め設定された樹脂替え位置S2を検知すると、射出制御部40は射出駆動部30を操作して、スクリュ11を樹脂替え位置S2に保持させる。その後、回転周速DN=6000~18000の範囲内に調整された回転数Nに基づいて、射出制御部40は射出駆動部30を操作して、スクリュ11を連続回転させる。スクリュ11の連続回転により、未溶融樹脂MZが混在する成形材料が前方輸送され、未溶融樹脂MZにより滞留樹脂RZが掻き取られて、成形材料と一緒にノズル23から排出される。この時、成形材料は、掻き取られた滞留樹脂MZにより、色が変わる等の状態の変化が観察される。
【0049】
滞留樹脂RZが完全に掻き取られて除去されると、ノズル23から排出される成形材料から滞留樹脂MZが無くなり、次の成形材料への樹脂替え完了が確認され、樹脂替えモードを停止する。樹脂替え完了の確認は、作業者が目視で行う。例えば、画像カメラを用いて排出される成形材料の画像を連続で撮影し、色差等の画像解析手法により樹脂替え完了の確認を自動判別するとしても良い。樹脂替えモードの停止後は、次の成形材料を用いて射出成形が開始される。
【0050】
[効果]
インライン式射出成形機の樹脂替え方法において、スクリュを樹脂替え位置に保持し、未溶融樹脂が混在する回転条件でスクリュを連続回転させて、射出シリンダ前方のノズルから未溶融樹脂が混在する成形材料を連続的に排出する。樹脂替え位置は、未溶融樹脂がシリンダヘッドの内壁面に接触する隙間が確保できるものとし、未溶融樹脂でシリンダヘッドの内壁面に堆積した滞留樹脂を掻き取るものとする。これにより、滞留樹脂が研磨剤として作用し、滞留樹脂の掻き取り効率が高まり、樹脂替え時間の短縮を可能とする。合わせて、樹脂替えに要する成形材料の消費量も削減でき、樹脂替えに要するコスト低減を得る。また、スクリュやシリンダヘッドは既存の部品がそのまま使用でき、インライン式射出成形機の簡単なメンテナンス性とコスト低減にもつながる。
【0051】
また、回転条件は、スクリュ直径とスクリュ回転数を乗じた回転周速で設定される。これによって、効率の良い未溶融樹脂の生成を容易に得ることができる。また、過剰なスクリュの高速回転を抑制して、スクリュ部品等の摩耗損傷を防止し、インライン式射出成形機の寿命アップに貢献する。さらに、射出シリンダの加熱温度の調整を追加した。これにより、スクリュ部品が安全な低速回転であっても、未溶融樹脂の生成を確実なものとすることができ、樹脂替え効率を高め、インライン式射出成形機の寿命アップを補助する。
【0052】
また、スクリュヘッドの表面に未溶融樹脂が通過する優先流路を設ける。あるいは、未溶融樹脂が通過する隙間を連続的に狭くする。これにより、例えば、スクリュの前進位置を変更できない場合においても、未溶融樹脂を用いた滞留樹脂の掻き取りを確実とする。また、スクリュヘッドのみの部品交換で、効率の良い樹脂替えを可能とする。スクリュヘッドは、逆止リングと同様に消耗品として扱われることがあるので、消耗品の交換時に合わせてスクリュヘッドも交換するとしても良い。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に記載された範囲には限定されない。上記の実施形態には多様な変更または改良を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0054】
100 インライン式射出成形機
10 射出装置
11 スクリュ
12 フライト
13 リアシート
14 逆止リング
15 スクリュヘッド
15M 優先流路
F 前方
B 後方
21 射出シリンダ
22 シリンダヘッド
23 ノズル
24 ヒータ
25 材料ホッパ
30 射出駆動部
40 射出制御部
50 射出成形金型
51 固定金型
52 可動金型
53 金型キャビティ
54 ゲート
A 領域
X、Y、Z 従来技術の樹脂替え方法パターン
S1 前進限位置
S2 樹脂替え位置
BN 内壁面
MF 流動
RF 回転流動
RZ 滞留樹脂
MZ 未溶融樹脂
D 直径
N 回転数
DN 回転周速
BB、CC、DE 断面