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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040720
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/10 20060101AFI20230315BHJP
   G05G 5/06 20060101ALI20230315BHJP
   H01H 19/14 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
G05G1/10 B
G05G5/06 D
H01H19/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147853
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真由子
(72)【発明者】
【氏名】屶網 偉克
(72)【発明者】
【氏名】大澤 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】鏑木 大樹
(72)【発明者】
【氏名】児玉 光男
【テーマコード(参考)】
3J070
5G219
【Fターム(参考)】
3J070AA14
3J070BA66
3J070CA54
3J070CC04
3J070CC71
3J070DA02
3J070EA32
5G219GS21
5G219HT02
5G219HU01
5G219JU03
(57)【要約】
【課題】回転部材の耐久性を高めることができる入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置2は、所定の回転軸線34を中心に回転する回転部材26と、回転部材26の内周面に向けて突出する凸部48が形成された移動子30であって、回転部材26の回転に伴い、回転部材26の回転方向とは異なる方向に移動する移動子30とを備える。回転部材26は、内周面から移動子30に向けて突出する第1の突起部50及び第2の突起部52を有する。移動子30の凸部48は、所定の回転軸線34に対して傾斜して形成され、且つ、第1の突起部50と第2の突起部52との間に配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転軸線を中心に回転する回転部材と、
前記回転部材の内周面に向けて突出する凸部が形成された移動子であって、前記回転部材の回転に伴い、前記回転部材の回転方向とは異なる方向に移動する移動子と、を備え、
前記回転部材は、前記内周面から前記移動子に向けて突出する第1の突起部及び第2の突起部を有し、
前記移動子の前記凸部は、前記所定の回転軸線に対して傾斜して形成され、且つ、前記第1の突起部と前記第2の突起部との間に配置されている
入力装置。
【請求項2】
前記移動子は、前記回転部材の回転に伴い、前記所定の回転軸線に略平行な方向に移動する
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記第1の突起部と前記第2の突起部とを結ぶ直線は、前記所定の回転軸線に対して傾斜している
請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記第1の突起部の前記凸部に接触する部分、及び、前記第2の突起部の前記凸部に接触する部分はそれぞれ、球面状に形成されている
請求項1~3のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記第1の突起部は、
前記回転部材の前記内周面から前記移動子に向けて突出する第1の柱部材と、
前記第1の柱部材の先端部に形成され、前記第1の柱部材の直径よりも長い直径の第1の球部材と、を有し、
前記第2の突起部は、
前記回転部材の前記内周面から前記移動子に向けて突出する第2の柱部材と、
前記第2の柱部材の先端部に形成され、前記第2の柱部材の直径よりも長い直径の第2の球部材と、を有する
請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記凸部は、前記凸部の突出方向から見たとき、前記所定の回転軸線に対して傾斜する方向において、前記凸部の両端部に向けてそれぞれ先細るように形成されている
請求項1~5のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記凸部は、前記凸部の突出方向に直交する方向から見たとき、前記所定の回転軸線に対して傾斜する方向において、前記凸部の中央部から両端部に向けて突出長さがそれぞれ漸減するように形成されている
請求項1~6のいずれか1項に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたターンレバー及びワイパーレバー等の操作レバーには、入力装置が配置されている(例えば、特許文献1参照)。入力装置は、回転部材と、移動子と、動作変換機構とを有している。
【0003】
回転部材は、移動子に対して、所定の回転軸線を中心に、第1の方向及び当該第1の方向と反対方向である第2の方向に回転可能である。回転部材が第1の方向又は第2の方向に回転することにより、動作変換機構は、回転部材の回転を移動子の直線移動に変換する。移動子の直線移動量及び直線移動方向に応じて、例えばヘッドライトの点灯・消灯を切り替えたり、ワイパーの間欠動作周期を切り替えたりする。
【0004】
動作変換機構は、回転部材の内周面から突出する円柱状の突起部と、移動子に形成された溝部とを有している。溝部は、回転部材の所定の回転軸線に対して傾斜して形成されている。突起部は、溝部に摺動可能に係合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-273156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の入力装置では、回転部材が第1の方向及び第2の方向のいずれの方向に回転する場合であっても、回転部材の突起部が溝部から両振り荷重を受けるという課題が生じる。
【0007】
そこで、本開示は、回転部材の耐久性を高めることができる入力装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る入力装置は、所定の回転軸線を中心に回転する回転部材と、前記回転部材の内周面に向けて突出する凸部が形成された移動子であって、前記回転部材の回転に伴い、前記回転部材の回転方向とは異なる方向に移動する移動子と、を備え、前記回転部材は、前記内周面から前記移動子に向けて突出する第1の突起部及び第2の突起部を有し、前記移動子の前記凸部は、前記所定の回転軸線に対して傾斜して形成され、且つ、前記第1の突起部と前記第2の突起部との間に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る入力装置によれば、回転部材の耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る入力装置が搭載された車両の一例を示す図である。
図2】実施の形態に係る入力装置の外観を示す図である。
図3】実施の形態に係る入力装置を示す斜視図である。
図4】外側ノブ及びローター部材を省略した状態での、実施の形態に係る入力装置を示す斜視図である。
図5】外側ノブ及びローター部材を省略した状態での、実施の形態に係る入力装置を示す平面図である。
図6】実施の形態に係る動作変換機構を示す分解斜視図である。
図7図6とは異なる角度から見た状態での、実施の形態に係る動作変換機構を示す分解斜視図である。
図8】実施の形態に係る回転部材を樹脂成形する際の金型開き方向と、第1の突起部及び第2の突起部の各位置との関係を説明するための図である。
図9】回転部材を第1の方向に回転させる場合における、実施の形態に係る動作変換機構を示す平面図である。
図10図9のX-X線による、実施の形態に係る動作変換機構の断面図である。
図11】回転部材を第2の方向に回転させる場合における、実施の形態に係る動作変換機構を示す平面図である。
図12図11のXII-XII線による、実施の形態に係る動作変換機構の断面図である。
図13】比較例に係る動作変換機構の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一態様に係る入力装置は、所定の回転軸線を中心に回転する回転部材と、前記回転部材の内周面に向けて突出する凸部が形成された移動子であって、前記回転部材の回転に伴い、前記回転部材の回転方向とは異なる方向に移動する移動子と、を備え、前記回転部材は、前記内周面から前記移動子に向けて突出する第1の突起部及び第2の突起部を有し、前記移動子の前記凸部は、前記所定の回転軸線に対して傾斜して形成され、且つ、前記第1の突起部と前記第2の突起部との間に配置されている。
【0012】
本態様によれば、移動子の凸部は、所定の回転軸線に対して傾斜して形成され、且つ、回転部材の第1の突起部と第2の突起部との間に配置されている。これにより、回転部材を第1の方向に回転させた場合には、第1の突起部が凸部を押圧することにより、移動子が第3の方向に移動する。この時、第1の突起部は凸部から荷重を受けるが、第2の突起部は凸部から荷重を受けない。一方、回転部材を第2の方向(第1の方向と反対方向)に回転させた場合には、第2の突起部が凸部を押圧することにより、移動子が第4の方向(第3の方向と反対方向)に移動する。この時、第2の突起部は凸部から荷重を受けるが、第1の突起部は凸部から荷重を受けない。したがって、回転部材の回転方向に応じて、第1の突起部及び第2の突起部のいずれか一方のみが凸部から荷重を受けるようになるので、回転部材の耐久性を高めることができる。
【0013】
例えば、前記移動子は、前記回転部材の回転に伴い、前記所定の回転軸線に略平行な方向に移動するように構成してもよい。
【0014】
本態様によれば、回転部材を回転させることにより、移動子を所定の回転軸線に略平行な方向に移動させることができる。
【0015】
例えば、前記第1の突起部と前記第2の突起部とを結ぶ直線は、前記所定の回転軸線に対して傾斜しているように構成してもよい。
【0016】
本態様によれば、例えば回転部材を樹脂成形する際に、アンダーカット部の発生を抑制することができる。また、第1の突起部と第2の突起部との間の距離を小さく抑えることができ、回転部材の小型化を図ることができる。
【0017】
例えば、前記第1の突起部の前記凸部に接触する部分、及び、前記第2の突起部の前記凸部に接触する部分はそれぞれ、球面状に形成されているように構成してもよい。
【0018】
本態様によれば、第1の突起部及び第2の突起部の各々を凸部に点接触させることができる。その結果、第1の突起部及び第2の突起部の各々が凸部上を摺動する際の摩擦抵抗を低減することができ、回転部材の操作フィーリングを向上させることができる。
【0019】
例えば、前記第1の突起部は、前記回転部材の前記内周面から前記移動子に向けて突出する第1の柱部材と、前記第1の柱部材の先端部に形成され、前記第1の柱部材の直径よりも長い直径の第1の球部材と、を有し、前記第2の突起部は、前記回転部材の前記内周面から前記移動子に向けて突出する第2の柱部材と、前記第2の柱部材の先端部に形成され、前記第2の柱部材の直径よりも長い直径の第2の球部材と、を有するように構成してもよい。
【0020】
本態様によれば、例えば回転部材を樹脂成形する際に、金型を容易に動作させることができる。
【0021】
例えば、前記凸部は、前記凸部の突出方向から見たとき、前記所定の回転軸線に対して傾斜する方向において、前記凸部の両端部に向けてそれぞれ先細るように形成されているように構成してもよい。
【0022】
本態様によれば、凸部の突出方向から見たとき、第1の突起部と第2の突起部との間の距離は、回転部材の回転に伴って変化する。そのため、凸部の両端部をそれぞれ先細るように形成することにより、凸部の一端部から他端部に亘って、第1の突起部及び第2の突起部を凸部上で安定的に摺動させることができる。その結果、回転部材の可動域を増大させることができる。
【0023】
例えば、前記凸部は、前記凸部の突出方向に直交する方向から見たとき、前記所定の回転軸線に対して傾斜する方向において、前記凸部の中央部から両端部に向けて突出長さがそれぞれ漸減するように形成されているように構成してもよい。
【0024】
本態様によれば、第1の突起部及び第2の突起部は、回転部材の回転に伴って、円弧状の軌跡を描くようになる。そのため、凸部の中央部から両端部に向けて凸部の突出長さをそれぞれ漸減させることにより、凸部の一端部から他端部に亘って、第1の突起部及び第2の突起部を凸部上で安定的に摺動させることができる。その結果、回転部材の可動域を増大させることができる。
【0025】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0026】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0027】
(実施の形態)
[1.入力装置の概要]
まず、図1及び図2を参照しながら、実施の形態に係る入力装置2の概要について説明する。図1は、実施の形態に係る入力装置2が搭載された車両4の一例を示す図である。図2は、実施の形態に係る入力装置2の外観を示す図である。
【0028】
図1に示すように、車両4の運転席には、ステアリングコラム6が搭載されている。ステアリングコラム6は、ステアリングホイール8とダッシュボード10との間に配置されている。車両4は、例えば普通乗用車、バス又はトラック等の自動車である。なお、車両4は、自動車に限定されず、例えば建機又は農機等であってもよい。
【0029】
ステアリングコラム6には、ターンレバー12及びワイパーレバー14が傾動可能に支持されている。ターンレバー12は、運転者から見て右側に配置され、ワイパーレバー14は、運転者から見て左側に配置されている。
【0030】
ターンレバー12は、例えば、a)ターンシグナルランプを点滅させるためのターンシグナルスイッチ、b)ヘッドランプ、スモールランプ(車幅灯)、フォグランプ及びテールランプの点灯・消灯を切り替えるためのライティングスイッチ、c)ヘッドランプをパッシング点灯させるためのパッシングスイッチ、並びに、d)ヘッドランプのハイビームとロービームとを切り替えるためのディマスイッチ等を有するコンビネーションスイッチレバーである。
【0031】
図2に示すように、ターンレバー12は、レバー本体16と、入力装置2とを有している。レバー本体16は、円筒状に形成されている。入力装置2は、一対のロータリースイッチ18,20を有している。一対のロータリースイッチ18,20は、レバー本体16の長手方向に間隔を置いて配置されている。ロータリースイッチ18は、例えば、ヘッドランプ、スモールランプ及びテールランプの点灯・消灯を切り替えるためのライティングスイッチである。また、ロータリースイッチ20は、例えばフォグランプの点灯・消灯を切り替えるためのライティングスイッチである。
【0032】
ワイパーレバー14は、例えば、a)フロントワイパーを動作させるためのフロントワイパースイッチ、b)フロントガラスにウォッシャ液を噴射するためのフロントウォッシャスイッチ、c)リアワイパーを動作させるためのリアワイパースイッチ、及び、d)リアガラスにウォッシャ液を噴射するためのリアウォッシャスイッチ等を有するコンビネーションスイッチレバーである。図示しないが、ワイパーレバー14は、ターンレバー12と同様に、入力装置を有している。
【0033】
[2.入力装置の構成]
図2図8を参照しながら、実施の形態に係る入力装置2の構成について説明する。図3は、実施の形態に係る入力装置2を示す斜視図である。図4は、外側ノブ22及びローター部材24を省略した状態での、実施の形態に係る入力装置2を示す斜視図である。図5は、外側ノブ22及びローター部材24を省略した状態での、実施の形態に係る入力装置2を示す平面図である。図6は、実施の形態に係る動作変換機構32を示す分解斜視図である。図7は、図6とは異なる角度から見た状態での、実施の形態に係る動作変換機構32を示す分解斜視図である。図8は、実施の形態に係る回転部材26(26A,26B)を樹脂成形する際の金型開き方向と、第1の突起部50(50A,50B)及び第2の突起部52(52A,52B)の各位置との関係を説明するための図である。
【0034】
なお、図3以降の各図において、入力装置2の幅方向をX軸方向、入力装置2の奥行方向をY軸方向、入力装置2の高さ方向をZ軸方向とする。
【0035】
入力装置2の一対のロータリースイッチ18,20は、同一の構成を有している。そのため、以下では、入力装置2のうち、ロータリースイッチ20の構成についてのみ説明する。
【0036】
図2図4に示すように、入力装置2のロータリースイッチ20は、外側ノブ22と、ローター部材24と、回転部材26と、基板28と、移動子30と、動作変換機構32とを備えている。
【0037】
図2及び図3に示すように、外側ノブ22は、円筒状に形成されており、ターンレバー12の径方向における最も外側に配置されている。外側ノブ22は、レバー本体16に回転可能に支持されている。より具体的には、外側ノブ22は、レバー本体16に対して、所定の回転軸線34を中心に、第1の方向(図2及び図3において矢印Pで示す方向)、及び、当該第1の方向と反対方向である第2の方向(図2及び図3において矢印Qで示す方向)に回転可能である。なお、図3及び図4に示すように、所定の回転軸線34は、レバー本体16の径中心を通り、且つ、レバー本体16の長手方向(Y軸方向)に沿って延在する仮想的な直線である。
【0038】
例えば、運転者が外側ノブ22を第1の方向に手動で回転させた場合には、車両4のフォグランプが点灯する。一方、運転者が外側ノブ22を第2の方向に手動で回転させた場合には、車両4のフォグランプが消灯する。
【0039】
図3に示すように、ローター部材24は、回転部材26を支持するための部材である。ローター部材24は、円筒状に形成されており、外側ノブ22の内周面に取り付けられている。ローター部材24には、位置決め用のスリット36が形成されている。ローター部材24は、所定の回転軸線34を中心に、外側ノブ22と一体に回転する。
【0040】
図3に示すように、回転部材26は、例えば樹脂で形成されており、ローター部材24の内周面に支持されている。図4図7に示すように、回転部材26は、本体部38と、係合部40とを有している。
【0041】
本体部38は、断面円弧状に形成されている。係合部40は、本体部38の外周面からローター部材24に向けて突出し、ローター部材24のスリット36に係合されている。これにより、本体部38は、ローター部材24に対して位置決めされ、ローター部材24及び外側ノブ22と一体に回転する。より具体的には、本体部38(回転部材26)は、移動子30に対して、所定の回転軸線34を中心に、第1の方向(図3図5において矢印Pで示す方向)及び第2の方向(図3図5において矢印Qで示す方向)に回転する。
【0042】
基板28は、レバー本体16の内部に配置されている。基板28上には、複数の電極パッド42が形成されている。複数の電極パッド42の各々は、電線(図示せず)を介して、車両4に搭載されたターンシグナルランプ、ヘッドランプ、スモールランプ、フォグランプ及びテールランプ等の各種電装部品(図示せず)に電気的に接続されている。
【0043】
移動子30は、回転部材26と基板28との間に配置されている。移動子30は、移動子本体44と、複数の接点部材46とを有している。移動子本体44は、レバー本体16の内部に配置されたガイド部材(図示せず)に移動可能に支持されている。移動子本体44は、ガイド部材に沿って、所定の回転軸線34に略平行に(すなわち、回転部材26の回転方向とは異なる方向に)直線移動する。より具体的には、図5に示すように、移動子本体44(移動子30)は、回転部材26に対して、所定の回転軸線34に沿って、第3の方向(図5において矢印Uで示す方向)、及び、当該第3の方向と反対方向である第4の方向(図5において矢印Vで示す方向)に直線移動する。なお、本明細書において、「略平行」とは、完全な平行だけでなく、完全に平行な方向に対して例えば±10°の範囲内をも含む概念である。
【0044】
複数の接点部材46は、移動子本体44の基板28に対向する面に取り付けられている。複数の接点部材46はそれぞれ、基板28上に形成された複数の電極パッド42に電気的に接触している。移動子30の移動方向に応じて、複数の接点部材46と複数の電極パッド42との電気的接続関係が変化する。これにより、例えば、移動子30が第3の方向に直線移動した場合には、車両4のフォグランプが点灯し、移動子30が第4の方向に直線移動した場合には、車両4のフォグランプが消灯する。
【0045】
動作変換機構32は、回転部材26の回転を移動子30の直線移動に変換するための機構である。図6及び図7に示すように、動作変換機構32は、移動子30に形成された凸部48と、回転部材26に形成された第1の突起部50及び第2の突起部52とを有している。
【0046】
凸部48は、移動子本体44の回転部材26に対向する面から、回転部材26の本体部38の内周面に向けて突出するように形成されている。図5に示すように、凸部48は、所定の回転軸線34に対して傾斜して形成されており、回転部材26の第1の突起部50と第2の突起部52との間に配置されている。凸部48は、断面略蒲鉾状に形成されており、天面48aと、第1の側面48bと、当該第1の側面48bと反対側の第2の側面48cとを有している。
【0047】
図6に示すように、凸部48の天面48aは、所定の回転軸線34に対して傾斜する方向に沿って、円弧状に湾曲している。すなわち、凸部48は、凸部48の突出方向に直交する方向(第1の側面48b及び第2の側面48cに垂直な方向)から見たとき、所定の回転軸線34に対して傾斜する方向において、凸部48の中央部から両端部に向けて突出長さがそれぞれ漸減するように形成されている。
【0048】
また、図5に示すように、凸部48は、凸部48の突出方向(Z軸方向)から見たとき、所定の回転軸線34に対して傾斜する方向において、凸部48の両端部に向けてそれぞれ先細るように形成されている。
【0049】
図6及び図7に示すように、第1の突起部50は、本体部38の内周面から移動子30に向けて突出している。第1の突起部50は、第1の柱部材54と、第1の球部材56とを有している。第1の柱部材54は、略円柱状に形成されており、本体部38の内周面から移動子30に向けて突出している。第1の球部材56は、球状に形成されており、第1の柱部材54の先端部に配置されている。第1の球部材56の直径は、第1の柱部材54の直径よりも長い。第1の球部材56は、移動子30の凸部48の第1の側面48bに対向して配置されている。回転部材26が第1の方向に回転した際には、第1の球部材56は、移動子30の凸部48の第1の側面48bに接触(点接触)する。すなわち、第1の突起部50の凸部48に接触する部分(第1の球部材56)は、球面状に形成されている。
【0050】
図6及び図7に示すように、第2の突起部52は、本体部38の内周面から移動子30に向けて突出している。第2の突起部52は、第2の柱部材58と、第2の球部材60とを有している。第2の柱部材58は、略円柱状に形成されており、本体部38の内周面から移動子30に向けて突出している。第2の球部材60は、球状に形成されており、第2の柱部材58の先端部に配置されている。第2の球部材60の直径は、第2の柱部材58の直径よりも長い。第2の球部材60は、移動子30の凸部48の第2の側面48cに対向して配置されている。回転部材26が第2の方向に回転した際には、第2の球部材60は、移動子30の凸部48の第2の側面48cに接触(点接触)する。すなわち、第2の突起部52の凸部48に接触する部分(第2の球部材60)は、球面状に形成されている。
【0051】
また、図5に示すように、第1の突起部50と第2の突起部52とを結ぶ直線62は、所定の回転軸線34に対して傾斜している。
【0052】
ここで、図8を参照しながら、回転部材26(26A,26B)を樹脂成形する際の金型開き方向と、第1の突起部50(50A,50B)及び第2の突起部52(52A,52B)の各位置との関係について説明する。以下、金型開き方向が所定の回転軸線34に略平行である場合について説明する。
【0053】
図8の(a)に示すように、実施の形態に係る回転部材26では、第1の突起部50と第2の突起部52とを結ぶ直線62は、所定の回転軸線34に対して傾斜している。この場合には、金型を開いた際に、離型できないアンダーカット部は発生しない。
【0054】
図8の(b)に示すように、比較例1に係る回転部材26Aでは、第1の突起部50Aと第2の突起部52Aとを結ぶ直線62Aは、所定の回転軸線34に平行である。この場合には、金型を開いた際に、離型できないアンダーカット部64が発生してしまう。
【0055】
図8の(c)に示すように、比較例2に係る回転部材26Bでは、第1の突起部50Bと第2の突起部52Bとを結ぶ直線62Bは、所定の回転軸線34に垂直である。この場合には、金型を開いた際に、離型できないアンダーカット部は発生しない。しかしながら、この場合には、所定の回転軸線34に垂直な方向における第1の突起部50Bと第2の突起部52Bとの間の距離D1が、図8の(a)の構成(所定の回転軸線34に垂直な方向における第1の突起部50と第2の突起部52との間の距離)に比べて長くなり、その分だけ回転部材26Bが大型化してしまう。
【0056】
以上のことから、図8の(a)に示すように、第1の突起部50と第2の突起部52とを結ぶ直線62は、所定の回転軸線34に対して傾斜しているのが好ましい。これにより、回転部材26を樹脂成形する際に、アンダーカット部の発生を抑制することができる。また、第1の突起部50と第2の突起部52との間の距離を小さく抑えることができ、回転部材26の小型化を図ることができる。
【0057】
[3.動作変換機構の動作]
図9図12を参照しながら、動作変換機構32の動作について説明する。図9は、回転部材26を第1の方向に回転させる場合における、実施の形態に係る動作変換機構32を示す平面図である。図10は、図9のX-X線による、実施の形態に係る動作変換機構32の断面図である。図11は、回転部材26を第2の方向に回転させる場合における、実施の形態に係る動作変換機構32を示す平面図である。図12は、図11のXII-XII線による、実施の形態に係る動作変換機構32の断面図である。
【0058】
まず、図9に示すように、回転部材26を第1の方向(図9において矢印Pで示す方向)に回転させる場合について説明する。この場合、図10に示すように、回転部材26の第1の突起部50の第1の球部材56は、移動子30の凸部48の第1の側面48bを押圧しながら、所定の回転軸線34に対して傾斜する方向(図10の紙面に対して垂直方向)において、凸部48の一端部から他端部に向けて、凸部48の第1の側面48b上を摺動する。移動子30は、第1の突起部50の第1の球部材56からの押圧力を受けることにより、第3の方向(図9において矢印Uで示す方向)に直線移動する。なお、第1の球部材56は、凸部48の第1の側面48bに点接触するので、第1の球部材56が凸部48の第1の側面48b上を摺動する際の摩擦抵抗を低減することができ、回転部材26の操作フィーリングを向上させることができる。
【0059】
この時、第2の突起部52の第2の球部材60と凸部48の第2の側面48cとの間には、隙間(図示せず)が形成されている。そのため、回転部材26を第1の方向に回転させた場合には、第1の突起部50の第1の球部材56は凸部48から荷重を受けるが、第2の突起部52の第2の球部材60は凸部48から荷重を受けない。
【0060】
次に、図11に示すように、回転部材26を第2の方向(図11において矢印Qで示す方向)に回転させる場合について説明する。この場合、図12に示すように、回転部材26の第2の突起部52の第2の球部材60は、移動子30の凸部48の第2の側面48cを押圧しながら、所定の回転軸線34に対して傾斜する方向(図12の紙面に対して垂直方向)において、凸部48の他端部から一端部に向けて、凸部48の第2の側面48c上を摺動する。移動子30は、第2の突起部52の第2の球部材60からの押圧力を受けることにより、第4の方向(図11において矢印Vで示す方向)に直線移動する。なお、第2の球部材60は、凸部48の第2の側面48cに点接触するので、第2の球部材60が凸部48の第2の側面48c上を摺動する際の摩擦抵抗を低減することができ、回転部材26の操作フィーリングを向上させることができる。
【0061】
この時、第1の突起部50の第1の球部材56と凸部48の第1の側面48bとの間には、隙間(図示せず)が形成されている。そのため、回転部材26を第2の方向に回転させた場合には、第2の突起部52の第2の球部材60は凸部48から荷重を受けるが、第1の突起部50の第1の球部材56は凸部48から荷重を受けない。
【0062】
以上のようにして、移動子30は、回転部材26の回転に伴い、所定の回転軸線34に略平行な方向に直線移動する。
【0063】
[4.効果]
比較例に係る動作変換機構100の構成について説明しながら、実施の形態に係る入力装置2により得られる効果について説明する。図13は、比較例に係る動作変換機構100の概略断面図である。
【0064】
図13に示すように、比較例に係る動作変換機構100は、回転部材102の内周面から突出する円柱状の突起部104と、移動子106に形成された溝部108とを有している。溝部108は、回転部材102の所定の回転軸線110に対して傾斜して形成されている。突起部104は、溝部108に摺動可能に係合されており、溝部108の第1の内側面108a及び第2の内側面108b(第1の内側面108aに対向する面)の各々に接触(線接触)している。
【0065】
回転部材102を第1の方向(図13において矢印Pで示す方向)に回転させた場合には、突起部104は、溝部108の第1の内側面108aを押圧しながら、溝部108の一端部から他端部に向けて、溝部108の第1の内側面108a上を摺動する。移動子106は、突起部104からの押圧力を受けることにより、第3の方向(図13において矢印Uで示す方向)に直線移動する。
【0066】
また、回転部材102を第1の方向と反対方向である第2の方向(図13において矢印Qで示す方向)に回転させた場合には、突起部104は、溝部108の第2の内側面108bを押圧しながら、溝部108の他端部から一端部に向けて、溝部108の第2の内側面108b上を摺動する。移動子106は、突起部104からの押圧力を受けることにより、第3の方向と反対方向である第4の方向(図13において矢印Vで示す方向)に直線移動する。
【0067】
しかしながら、このような構成では、回転部材102が第1の方向及び第2の方向のいずれの方向に回転する場合であっても、回転部材102の突起部104が溝部108から両振り荷重を受けるようになる。そのため、回転部材102の突起部104の耐久性(例えば、破損寿命の耐久性)が低下するという課題が生じる。
【0068】
これに対して、実施の形態に係る入力装置2の動作変換機構32では、移動子30の凸部48は、所定の回転軸線34に対して傾斜して形成され、且つ、回転部材26の第1の突起部50と第2の突起部52との間に配置されている。これにより、回転部材26を第1の方向に回転させた場合には、第1の突起部50が凸部48を押圧することにより、移動子30が第3の方向に移動する。この時、第1の突起部50は凸部48から荷重を受けるが、第2の突起部52は凸部48から荷重を受けない。
【0069】
一方、回転部材26を第2の方向に回転させた場合には、第2の突起部52が凸部48を押圧することにより、移動子30が第4の方向に移動する。この時、第2の突起部52は凸部48から荷重を受けるが、第1の突起部50は凸部48から荷重を受けない。
【0070】
したがって、回転部材26の回転方向に応じて、第1の突起部50及び第2の突起部52のいずれか一方のみが凸部48から荷重を受けるようになるので、回転部材26の耐久性(例えば、破損寿命の耐久性)を高めることができる。
【0071】
また、凸部48の突出方向(Z軸方向)から見たとき、第1の突起部50と第2の突起部52との間の距離は、回転部材26の回転に伴って変化する。具体的には、凸部48の突出方向から見たとき、第1の突起部50と第2の突起部52との間の距離は、回転部材26の回転位置が回転範囲の中央にある場合に最大となり、回転部材26の回転位置が回転範囲の両端に向かうに従ってそれぞれ漸減する。そのため、上述したように、凸部48の両端部をそれぞれ先細るように形成することにより、凸部48の一端部から他端部に亘って、第1の突起部50及び第2の突起部52を凸部48上で安定的に摺動させることができる。その結果、回転部材26の可動域を増大させることができる。
【0072】
また、第1の突起部50及び第2の突起部52は、回転部材26の回転に伴って、円弧状の軌跡を描くようになる。そのため、上述したように、凸部48の中央部から両端部に向けて凸部48の突出長さをそれぞれ漸減させることにより、凸部48の一端部から他端部に亘って、第1の突起部50及び第2の突起部52を凸部48上で安定的に摺動させることができる。その結果、回転部材26の可動域を増大させることができる。
【0073】
(他の変形例)
以上、一つ又は複数の態様に係る入力装置について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を上記実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0074】
上記実施の形態では、入力装置2を車両4のコンビネーションスイッチレバーに適用したが、これに限定されず、例えば民生用機器又は産業用機器等の操作レバー等に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示に係る入力装置は、例えば自動車等の車両に搭載されるコンビネーションスイッチレバー等として適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
2 入力装置
4 車両
6 ステアリングコラム
8 ステアリングホイール
10 ダッシュボード
12 ターンレバー
14 ワイパーレバー
16 レバー本体
18,20 ロータリースイッチ
22 外側ノブ
24 ローター部材
26,26A,26B,102 回転部材
28 基板
30,106 移動子
32,100 動作変換機構
34,110 所定の回転軸線
36 スリット
38 本体部
40 係合部
42 電極パッド
44 移動子本体
46 接点部材
48 凸部
48a 天面
48b 第1の側面
48c 第2の側面
50,50A,50B 第1の突起部
52,52A,52B 第2の突起部
54 第1の柱部材
56 第1の球部材
58 第2の柱部材
60 第2の球部材
62,62A,62B 直線
64 アンダーカット部
104 突起部
108 溝部
108a 第1の内側面
108b 第2の内側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13