(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040732
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】生成装置、生成システム、処理システム、生成方法、プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01J 5/48 20220101AFI20230315BHJP
G01N 25/18 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
G01J5/48 C
G01N25/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147870
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】酒井 理佐
(72)【発明者】
【氏名】柳町 武志
(72)【発明者】
【氏名】池田 弘行
(72)【発明者】
【氏名】小牟禮 信哉
【テーマコード(参考)】
2G040
2G066
【Fターム(参考)】
2G040AA05
2G040BA14
2G040BA25
2G040CA01
2G040DA06
2G040GA07
2G066AC16
2G066BC15
2G066CA01
2G066CA02
2G066CA04
2G066CA08
(57)【要約】
【課題】搬送物における温度プロファイルを生成可能な、生成装置、生成システム、処理システム、生成方法、プログラム、及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】実施形態に係る生成装置は、サーマルカメラにより生成された、搬送物の温度分布を示す複数の画像を取得する。前記生成装置は、さらに、前記搬送物の搬送方向に沿って、それぞれの前記画像に複数の計測エリアを設定する。前記生成装置は、さらに、それぞれの前記計測エリアにおいて、時間に対する温度の変化を示す時系列データを生成する。前記生成装置は、さらに、それぞれの前記時系列データから抽出された一部の温度を用いて、前記搬送物における時間に対する温度の変化を示す温度プロファイルを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルカメラにより生成された、搬送物の温度分布を示す複数の画像を取得し、
前記搬送物の搬送方向に沿って、それぞれの前記画像に複数の計測エリアを設定し、
それぞれの前記計測エリアにおいて、時間に対する温度の変化を示す時系列データを生成し、
それぞれの前記時系列データから抽出された一部の温度を用いて、前記搬送物における時間に対する温度の変化を示す温度プロファイルを生成する、生成装置。
【請求項2】
それぞれの前記時系列データを予め設定された条件と比較し、前記条件を満たす前記一部をそれぞれの前記時系列データから抽出する、請求項1記載の生成装置。
【請求項3】
それぞれの前記時系列データから、前記一部として正のピークを抽出する、請求項1記載の生成装置。
【請求項4】
前記画像に対して、前記搬送方向に沿った複数の計測ラインを設定し、
それぞれの前記計測ラインにおける温度分布に基づいて、1つの前記計測ラインを選択し、
前記1つの計測ラインに沿って前記複数の計測エリアを設定する、請求項1~3のいずれか1つに記載の生成装置。
【請求項5】
生成された前記温度プロファイルを予め用意されたプロファイルと比較し、前記搬送物の良否を判定する、請求項1~4のいずれか1つに記載の生成装置。
【請求項6】
サーマルカメラにより生成された、搬送物の温度分布を示す複数の画像を取得し、
前記複数の画像から、前記搬送物における時間に対する温度の変化を示す温度プロファイルを生成し、
生成された前記温度プロファイルを用いて前記搬送物の良否を判定する、生成装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の生成装置と、
前記サーマルカメラと、
前記温度プロファイルを出力する出力装置と、
を備えた生成システム。
【請求項8】
前記搬送物を搬送しながら加熱する処理装置と、
請求項1~6のいずれか1つに記載の生成装置と、
を備えた処理システム。
【請求項9】
サーマルカメラにより生成された、搬送物の温度分布を示す複数の画像を取得し、
前記搬送物の搬送方向に沿って、それぞれの前記画像に複数の計測エリアを設定し、
それぞれの前記計測エリアにおいて、時間に対する温度の変化を示す時系列データを生成し、
それぞれの前記時系列データから抽出された一部の温度を用いて、前記搬送物における時間に対する温度の変化を示す温度プロファイルを生成する、生成方法。
【請求項10】
請求項9に記載の生成方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、生成装置、生成システム、処理システム、生成方法、プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
生産では、溶融、接合、熱活性化などのために、ワークへの加熱処理が行われうる。この加熱処理では、処理中にワークが搬送される場合がある。このような搬送物についても温度プロファイルを取得できる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、搬送物における温度プロファイルを生成可能な、生成装置、生成システム、処理システム、生成方法、プログラム、及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る生成装置は、サーマルカメラにより生成された、搬送物の温度分布を示す複数の画像を取得する。前記生成装置は、さらに、前記搬送物の搬送方向に沿って、それぞれの前記画像に複数の計測エリアを設定する。前記生成装置は、さらに、それぞれの前記計測エリアにおいて、時間に対する温度の変化を示す時系列データを生成する。前記生成装置は、さらに、それぞれの前記時系列データから抽出された一部の温度を用いて、前記搬送物における時間に対する温度の変化を示す温度プロファイルを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る生成システムを示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る生成方法を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、サーマルカメラにより取得される熱画像の一例である。
【
図4】
図4は、計測ラインの設定例を示す画像である。
【
図5】
図5(a)~
図5(c)は、計測ラインにおける温度分布の一例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、計測エリアの設定例を示す画像である。
【
図7】
図7は、計測エリアにおける温度分布を例示するグラフである。
【
図8】
図8(a)~
図8(c)は、計測エリアにおける温度の時系列データの一例を示すグラフである。
【
図9】
図9は、温度プロファイルを例示するグラフである。
【
図10】
図10は、識別子が付与された部分と熱画像との対応関係を例示する図である。
【
図11】
図11は、実施形態の変形例に係る生成方法を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施形態に係る生成装置による出力結果の一例である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る処理システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る生成システムを示す模式図である。
実施形態に係る生成システムは、特定の方向に搬送されている搬送物について、温度プロファイルを生成するために用いられる。
図1に示すように、生成システム10は、生成装置11、サーマルカメラ12、検出器13、記憶装置14、入力装置15、及び出力装置16を含む。
【0009】
サーマルカメラ12は、搬送物及びその周囲の表面温度を検出し、温度分布を示す画像(熱画像)を取得する。生成装置11は、画像を用いて、搬送物における温度プロファイルを生成する。検出器13は、搬送物の接近を検出する。記憶装置14は、サーマルカメラ12によって取得された画像、生成装置11の処理に用いられるデータ、生成装置11の処理によって得られたデータなどを適宜記憶する。入力装置15は、ユーザが生成装置11にデータを入力するために用いられる。出力装置16は、データをユーザに向けて出力する。
【0010】
図2は、実施形態に係る生成方法を示すフローチャートである。
図2に示す温度プロファイルの生成方法M1は、ステップS1~S13を含む。まず、検出器13は、特定の位置への搬送物の接近を検出する(ステップS1)。例えば、検出器13は、サーマルカメラ12による検出範囲への搬送物の接近を検出する。検出器13は、近接センサ、測距センサ、透過センサ、及び圧力センサから選択される1つ以上を含む。
【0011】
図3は、サーマルカメラにより取得される熱画像の一例である。
図3の例では、搬送物として、筐体51に複数の配管52が接合されたワーク50が写っている。サーマルカメラ12は、検出器13による搬送物の検出に応じて、温度の検出を開始する(ステップS2)。例えば、サーマルカメラ12は、複数の赤外線センサを含む。サーマルカメラ12は、
図3に示したように、温度の検出結果を示す画像IMを生成する。サーマルカメラ12は、特定の位置に固定され、温度の検出及び画像の生成を繰り返す。連続して生成された画像において、搬送物は、搬送方向に移動していく。サーマルカメラ12は、生成した画像を、記憶装置14に保存する。又は、サーマルカメラ12は、画像を生成装置11に直接送信しても良い。
【0012】
生成装置11は、サーマルカメラ12によって生成された複数の画像を取得する。生成装置11は、複数の画像から、搬送物の搬送方向を算出する(ステップS3)。例えば、生成装置11は、それぞれの画像から特徴点を抽出する。生成装置11は、画像同士の間で抽出された特徴点を対応付ける。対応付けられた特徴点同士の間の移動方向が、搬送方向に対応する。又は、搬送方向は、ユーザにより入力されても良い。
【0013】
さらに、生成装置11は、時間的に連続する複数の画像から、搬送物の移動量を算出しても良い。生成装置11は、抽出された特徴点同士の間の距離を、温度検出のインターバル中での搬送物の移動量として算出する。算出された移動量は、後述する計測エリアの設定に利用される。
【0014】
図4は、計測ラインの設定例を示す画像である。
生成装置11は、いずれかの画像を選択する。生成装置11は、選択した画像に対して、計測ラインを設定する(ステップS4)。
図4に示すように、搬送方向D1に直交する直交方向D2において、複数の計測ラインL1~L3が設定される。計測ラインL1~L3のそれぞれは、搬送方向D1に沿って設定される。計測ラインの数、計測ライン同士の間隔、及び各計測ラインの長さは、ユーザにより予め設定される。計測ラインの数及び長さは、サーマルカメラ12による検出範囲、搬送物の大きさなどに基づいて、生成装置11により自動的に設定されても良い。
【0015】
図5(a)~
図5(c)は、計測ラインにおける温度分布の一例を示すグラフである。
生成装置11は、各計測ラインにおける温度分布を取得する(ステップS5)。
図5(a)~
図5(c)は、計測ラインL1~L3における温度分布をそれぞれ示す。
図5(a)~
図5(c)において、横軸は計測ライン上の位置Pを示し、縦軸は温度Tを示す。生成装置11は、複数の計測ラインから、予め設定された条件を満たす温度分布が得られた1つの計測ラインを選択する(ステップS6)。
【0016】
条件は、モニタリングしたい点の温度と、その周りの温度と、の関係に応じて設定される。例えば、モニタリングしたい点の温度がその周囲よりも高い場合、条件として、閾値を超える温度の出現、正の温度ピークの出現、又は閾値以上の正の温度勾配の出現が設定される。モニタリングしたい点の温度がその周囲よりも低い場合、条件として、閾値を下回る温度の出現、負の温度ピークの出現、又は閾値以上の負の温度勾配の出現が設定される。
【0017】
この例では、正のピークの繰り返しの出現が条件として設定される。生成装置11は、計測ラインL1~L3から、温度分布に正のピークpが繰り返し現れている計測ラインL3を選択する。
【0018】
条件は、さらに、温度分布同士の比較を含んでも良い。例えば、モニタリングしたい点の温度がその周囲よりも高い場合、閾値を超える温度又は正の温度ピークが出現した複数の温度分布のうち、各温度分布における最高温度が最も大きかった1つの温度分布を選択する。モニタリングしたい点の温度がその周囲よりも低い場合、閾値を下回る温度又は負の温度ピークが出現した複数の温度分布のうち、各温度分布における最低温度が最も小さかった1つの温度分布を選択する。
【0019】
図6は、計測エリアの設定例を例示する画像である。
図6に示すように、生成装置11は、選択した計測ラインに沿って、複数の計測エリアA1~A8を設定する(ステップS7)。複数の計測エリアA1~A8は、互いに離れて設定される。好ましくは、それぞれの計測エリアは、搬送方向D1及び直交方向D2のそれぞれにおいて複数の画素を含む。これにより、温度プロファイルを生成したい点が、計測エリアから外れることを抑制できる。計測エリアの数、計測エリアのサイズ、及び計測エリア同士の間隔は、ユーザにより予め設定されても良いし、生成装置11によって自動的に設定されても良い。
【0020】
計測エリアのサイズは、上述した搬送物の移動量に基づいて設定されても良い。計測エリアのサイズが移動量よりも小さいと、サーマルカメラ12による温度検出のインターバル中に、温度プロファイルを生成したい点が計測エリアを通過する可能性がある。このため、計測エリアの搬送方向における長さは、搬送物の移動量よりも大きく設定されることが好ましい。
【0021】
例えば、生成装置11は、選択した計測ラインにおける温度分布から、計測エリアに関する設定条件を満たす部分を抽出する。設定条件として、温度が閾値を超える又は下回ること、正又は負の温度ピークであること、閾値以上の正又は負の温度勾配であること、などが設定される。生成装置11は、設定条件を満たした部分に計測エリアを設定する。
図5(c)及び
図6の例では、正のピークであることが設定条件であり、正のピークpが現れた部分にそれぞれ計測エリアA1~A8が設定されている。
【0022】
生成装置11は、各計測エリアの位置を記憶装置14に保存する。以降は、同じ種類の搬送物について温度プロファイルを取得する際、保存した計測エリアに関するデータが使用される。
【0023】
図7は、計測エリアにおける温度分布を例示するグラフである。
生成装置11は、それぞれの画像において、設定した計測エリアにおける温度を取得する(ステップS8)。温度は、計測エリア内の各点の温度に基づいて決定される。生成装置11は、
図7に示すような温度分布を取得する。
図7において、横軸は温度Tを示し、縦軸は各温度が計測された回数Cを示す。回数Cは、その温度が計測された点(画素)の数に対応する。例えば、生成装置11は、最も計測された回数が多い温度を、その計測エリアの温度に決定する。生成装置11は、温度分布の平均値、最大値、最小値、又は中央値を計測エリアの温度に決定しても良い。
【0024】
図8(a)~
図8(c)は、計測エリアにおける温度の時系列データの一例を示すグラフである。
生成装置11は、計測エリアごとに、取得した温度を時間順に並べ、温度の時系列データを生成する(ステップS9)。
図8(a)~
図8(c)は、
図6に示す一部の計測エリアA1~A3のそれぞれにおける温度の時系列データを示す。
図8(a)~
図8(c)において、横軸は時間tを示し、縦軸は温度Tを示す。
【0025】
生成装置11は、それぞれの時系列データにおいて、予め設定された条件を満たす部分を特徴部として抽出する(ステップS10)。生成装置11は、各特徴部に識別子を付与する(ステップS11)。識別子は、1つの時系列データにおける特徴部の出現順序に応じて決定される。このため、時系列データ同士の間で、出現順序が同じ特徴部には、同じ識別子が付与される。
【0026】
具体的な一例として、時系列データにおいて、正のピークが特徴部として抽出される。
図8(a)に示すように、生成装置11は、複数の特徴部Fを抽出するとともに、それぞれの特徴部Fに、識別子ID1~ID8をそれぞれ付与する。
図8(b)及び
図8(c)に示す時系列データについても同様に、生成装置11は、それぞれの特徴部Fに、識別子をそれぞれ付与する。
【0027】
図9は、温度プロファイルを例示するグラフである。
生成装置11は、同じ識別子が付与された特徴部の温度を時間順に並べる。特徴部の温度として、例えば、ピークの頂点の温度が用いられる。
図9に示すように、温度プロファイルが生成される(ステップS12)。
図10において、横軸は時間tを示し、縦軸は温度Tを示す。温度プロファイルは、搬送物の特定の点における、時間に対する温度の変化を示す。生成装置11は、生成した温度プロファイルを出力する(ステップS13)。また、生成装置11は、温度プロファイルを記憶装置14に保存する。
【0028】
図10は、識別子と熱画像との対応関係を例示する図である。
上述した例では、計測ラインL3上の複数の計測エリアA1~A8で得られた各時系列データに対して、識別子ID1~ID8が付与されている。識別子が付与された部分は、温度プロファイルを得たい点に対応する。識別子ID1~ID8が付与された部分を熱画像上で示すと、
図10の通りである。この例では、筐体51と各配管52とのそれぞれの接合箇所に、識別子ID1~ID8が付与されている。これにより、各接合箇所における温度プロファイルが生成される。
【0029】
実施形態の利点を説明する。
生産では、ワークの溶融、接合、熱活性化などのために、加熱処理が行われうる。この加熱処理について、加熱処理中の温度プロファイルが、ワークの品質に影響する場合がある。従来、品質管理のために、加熱処理中に、特定の点での温度プロファイルが取得されている。また、サーマルカメラ12は、ワークの表面温度を、非接触で高精度に計測できる。このため、温度プロファイルの取得に好適である。例えば、サーマルカメラ12によって取得される画像に対して固定された計測エリアを設定し、その計測エリアでの温度を時間順に並べることで、温度プロファイルを取得できる。
【0030】
一方で、サーマルカメラ12に対してワークが移動する場合、そのワークの特定の点での温度プロファイルを得ることが困難である。このような場合でも、品質管理のためには、特定の点での温度プロファイルを取得できることが望ましい。
【0031】
この課題について、実施形態に係る生成装置11は、サーマルカメラ12によって取得された画像に対して、搬送物の搬送方向に沿って複数の計測エリアを設定する。そして、生成装置11は、それぞれの計測エリアにおいて、時間に対する温度の変化を示す時系列データを生成する。生成装置11は、それぞれの時系列データから抽出された一部の温度を用いて、搬送物における温度プロファイルを生成する。実施形態によれば、ワークが搬送される場合であっても、その搬送物における温度プロファイルを生成可能である。
【0032】
分析装置11による計算量を低減するために、検出器13が設けられることが好ましいが、検出器13は省略されても良い。その場合、ステップS1は、省略される。サーマルカメラ12による検出範囲へ搬送物が接近しているか否かに拘わらず、サーマルカメラ12は、画像の取得を繰り返す。この場合も、各画像における各計測エリアでの温度から、時系列データが生成される。それら時系列データに含まれる特徴部の温度が抽出されることで、温度プロファイルが生成される。
【0033】
(変形例)
図11は、実施形態の変形例に係る生成方法を示すフローチャートである。
生成装置11は、さらに、生成された温度プロファイルを用いて、搬送物の良否を判定しても良い。
図11に示す生成方法M2では、
図2に示すステップS2と同様に、搬送物の温度が検出される(ステップS21)。ステップS3~S11が実行されることで、温度の時系列データから特徴部の温度が抽出される(ステップS22)。ステップS12及びS13が実行されることで、温度プロファイルが生成される(ステップS23)。
【0034】
温度プロファイルが生成されると、生成装置11は、既定プロファイルを参照する(ステップS24)。既定プロファイルは、ユーザにより予め準備された搬送物に関する温度プロファイルであり、記憶装置14に保存される。例えば、品質が良いときに得られる、搬送物の特定の点における温度プロファイルが、既定プロファイルとして保存される。生成装置11は、生成された温度プロファイルと既定プロファイルとを比較し、その温度プロファイルが得られた搬送物の良否を判定する(ステップS25)。生成装置11は、温度プロファイル及び判定結果を出力する(ステップS26)。
【0035】
例えば、生成装置11は、生成された温度プロファイルと既定プロファイルとの間で、各計測エリアにおける温度差を算出する。算出された複数の温度差の和、平均二乗誤差、又は平均に対して、閾値が予め設定される。複数の温度差の和、平均二乗誤差、又は平均を、閾値と比較することで、搬送物の良否が判定される。
【0036】
生成装置11は、生成された温度プロファイルを示す画像データと、既定プロファイルを示す画像データと、を比較しても良い。例えば、生成装置11は、2つの画像データ間の距離を算出する。距離に対して、閾値が予め設定される。距離と閾値との比較結果に基づいて、搬送物の良否が判定される。
【0037】
上述した各方法において、閾値が複数設定されても良い。生成装置11は、複数の閾値との比較結果に応じて、搬送物の品質をランク付けする。
【0038】
又は、生成装置11は、生成された温度プロファイルを、予め用意されたモデル又は分類器に入力することで、搬送物の良否を判定しても良い。モデルは、例えばニューラルネットワークを含む。モデルに対しては、教師有り学習又は教師無し学習が予め実行される。分類器としては、例えば、ランダムフォレストにより学習された分類器、又はベイズ分類器などが用いられる。モデル及び分類器は、温度プロファイルの入力に応じて、良否の判定結果を出力する。モデル又は分類器が用いられる場合、生成装置11による既定プロファイルの参照は省略される。
【0039】
図12は、実施形態に係る生成装置による出力結果の一例である。
例えば、出力装置16は、モニタである。
図12に示すように、生成装置11は、ユーザインタフェース(UI)100を表示させる。UI100には、生成された温度プロファイル101及び判定結果102が表示される。ユーザの利便性の向上のために、UI100には、サーマルカメラ12により生成された画像110、各計測ラインにおける温度分布111~113、各計測エリアにおける時系列データ121~123、既定プロファイル130がさらに表示されても良い。
【0040】
図13は、実施形態に係る処理システムを示す模式図である。
実施形態に係る処理システム1は、
図13に示すように、生成システム10及び処理装置20を含む。処理装置20は、加熱部21及び搬送部22を含む。また、この例では、サーマルカメラ12及び検出器13が、処理装置20に組み込まれている。
【0041】
加熱部21は、ワークを加熱する。ワークを加熱できれば、加熱部21の具体的な構成は、任意である。例えば、加熱部21は、炎によりワークを加熱するバーナー、光によりワークを加熱するランプ又はレーザー光源、又は電流によりワークを加熱する電極を含む。
【0042】
搬送部22は、加熱処理されるワークを搬送する。例えば、搬送部22は、特定の方向に、複数のワークを、一定速度で順次搬送する。搬送部22は、ベルトコンベア、又はローラコンベアなどを含む。加熱部21は、搬送部22による搬送中のワークを加熱する。
【0043】
検出器13は、サーマルカメラ12による検出範囲への搬送物(ワーク)の接近を検出する。サーマルカメラ12は、搬送部22によって搬送されているワークの温度を検出する。
【0044】
処理システム1によれば、処理装置20によって搬送しながら加熱されるワークの温度プロファイルを、生成可能である。
【0045】
図14は、ハードウェア構成を示す模式図である。
生成装置11は、例えば
図14に示すコンピュータ90の構成を含む。コンピュータ90は、CPU91、ROM92、RAM93、記憶装置94、入力インタフェース95、出力インタフェース96、及び通信インタフェース97を含む。
【0046】
ROM92は、コンピュータ90の動作を制御するプログラムを格納している。ROM92には、上述した各処理をコンピュータ90に実現させるために必要なプログラムが格納されている。RAM93は、ROM92に格納されたプログラムが展開される記憶領域として機能する。
【0047】
CPU91は、処理回路を含む。CPU91は、RAM93をワークメモリとして、ROM92又は記憶装置94の少なくともいずれかに記憶されたプログラムを実行する。プログラムの実行中、CPU91は、システムバス98を介して各構成を制御し、種々の処理を実行する。
【0048】
記憶装置94は、プログラムの実行に必要なデータや、プログラムの実行によって得られたデータを記憶する。
【0049】
入力インタフェース(I/F)95は、コンピュータ90と入力装置95aとを接続する。入力I/F95は、例えば、USB等のシリアルバスインタフェースである。CPU91は、入力I/F95を介して、入力装置95aから各種データを読み込むことができる。
【0050】
出力インタフェース(I/F)96は、コンピュータ90と出力装置96aとを接続する。出力I/F96は、例えば、Digital Visual Interface(DVI)やHigh-Definition Multimedia Interface(HDMI(登録商標))等の映像出力インタフェースである。CPU91は、出力I/F96を介して、出力装置96aにデータを送信し、出力装置96aに画像を表示させることができる。
【0051】
通信インタフェース(I/F)97は、コンピュータ90外部のサーバ97aと、コンピュータ90と、を接続する。通信I/F97は、例えば、LANカード等のネットワークカードである。CPU91は、通信I/F97を介して、サーバ97aから各種データを読み込むことができる。
【0052】
記憶装置94は、Hard Disk Drive(HDD)及びSolid State Drive(SSD)から選択される1つ以上を含む。入力装置95aは、マウス、キーボード、マイク(音声入力)、及びタッチパッドから選択される1つ以上を含む。出力装置96aは、モニタ、プロジェクタ、スピーカ、及びプリンタから選択される1つ以上を含む。タッチパネルのように、入力装置95aと出力装置96aの両方の機能を備えた機器が用いられても良い。記憶装置94、入力装置95a、及び出力装置96aは、それぞれ、記憶装置14、入力装置15、及び出力装置16として用いることができる。
【0053】
生成装置11の機能は、複数のコンピュータの協働により実現されても良い。上記の種々のデータの処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク及びハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又は、他の非一時的なコンピュータで読取可能な記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)に記録されても良い。
【0054】
例えば、記録媒体に記録された情報は、コンピュータ(または組み込みシステム)により読み出されることが可能である。記録媒体において、記録形式(記憶形式)は任意である。例えば、コンピュータは、記録媒体からプログラムを読み出し、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させる。コンピュータにおいて、プログラムの取得(または読み出し)は、ネットワークを通じて行われても良い。
【0055】
以上で説明した、生成装置、生成方法、又は処理システムによれば、搬送物における温度プロファイルを生成可能である。コンピュータに、生成方法を実行させるプログラムを用いることで、同様の効果を得ることができる。
【0056】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
10:生成システム、 11:生成装置、 12:サーマルカメラ、 13:検出器、 14:記憶装置、 15:入力装置、 16:出力装置、 21:加熱部、 22:搬送部、 90:コンピュータ、 50:ワーク、 51:筐体、 52:配管、 A1~A8:計測エリア、 D1:搬送方向、 D2:直交方向、 L1~L3:計測ライン、 M1,M2:生成方法