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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040760
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】レジン液収容袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/30 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
B65D81/30 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147911
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】592196123
【氏名又は名称】株式会社パジコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 進
(72)【発明者】
【氏名】強矢 邦夫
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AB96
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB12A
3E067BB15A
3E067BB25A
3E067BB26A
3E067BC07A
3E067CA04
3E067CA12
3E067CA13
3E067CA14
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB27
3E067EE02
3E067EE40
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
3E067GD01
(57)【要約】
【課題】内部に収容された光硬化性のレジン液が硬化しないレジン液収容袋を提供する。
【解決手段】レジン液収容袋10は、第1のシート部材13と第1のシート部材13に外周部のシール部で接続される第2のシート部材14とを備え、内部にレジン液を収容する収容空間が形成される袋本体11と、袋本体11に取り付けられるスパウト21およびスパウト21に装着されるキャップ22を備えた注ぎ口12と、を有し、スパウト21とキャップ22は、それぞれ黒色顔料が添加された遮光部材により形成され、それぞれのシート部材は、黒色顔料が添加された遮光フィルムと、遮光フィルムの外側に積層される表面フィルムとを有し、シール部は、第1のシート部材と第2のシート部材のそれぞれの遮光フィルムを接合することにより形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性のレジン液を収容するレジン液収容袋であって、
第1のシート部材と当該第1のシート部材に外周部で接続される第2のシート部材とを備え、内部にレジン液を収容する収容空間が形成される袋本体と、
前記袋本体に取り付けられるスパウト、および当該スパウトに装着されるキャップを備えた注ぎ口と、を有し、
前記スパウトと前記キャップは、それぞれ黒色の遮光材料により形成され、
前記第1のシート部材と前記第2のシート部材は、それぞれ黒色の遮光フィルムと当該遮光フィルムの外側に積層される表面フィルムとを有し、
前記第1のシート部材と前記第2のシート部材の外周部には、それぞれの前記遮光フィルムを接合することによりシール部が形成される、レジン液収容袋。
【請求項2】
請求項1に記載のレジン液収容袋において、
前記シール部における前記遮光フィルムは、前記遮光フィルムの熱溶着により接合される、レジン液収容袋。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレジン液収容袋において、
前記遮光材料と前記遮光フィルムは、黒色顔料が添加されたポリエチレンである、レジン液収容袋。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のレジン液収容袋において
前記表面フィルムはアルミニウムフィルムまたは白色フィルムである、レジン液収容袋。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のレジン液収容袋において、
前記袋本体は、前記第1のシート部材と前記第2のシート部材のみからなるピロー袋、または横ガゼットが設けられるか、若しくは底ガゼットが設けられたガゼット袋である、レジン液収容袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセサリの成形材料である光硬化性のレジン液を収容するレジン液収容袋に関する。
【背景技術】
【0002】
ネックレスやペンダントなどの装飾品つまりアクセサリには、紫外線硬化性樹脂(UVレジン)等の光硬化性樹脂つまりレジンを成形材料とし、成形型を用いて成形するものがある。特許文献1は、アクセサリの形状に対応する複数の凹部が形成された成形型が記載されている。成形材料である光硬化性樹脂を凹部に注入した後に、注入された成形材料に紫外線等の光を照射することにより成形材料を硬化すると、凹部に対応した形状のペンダント、ネックレスおよびボタン等のアクセサリを容易に手作りすることができる。
【0003】
光硬化性樹脂を用いてアクセサリを手作りするには、光硬化性樹脂を凹部に直接注入する場合のみならず、光硬化性樹脂にレジン着色剤を混合する場合がある。その場合には、光硬化性樹脂とレジン着色剤とを調色パレットに注入し、注入された光硬化性樹脂材料とレジン着色材を調色パレットにおいて混合する。混合して作られた成形材料を調色パレットから成形型の凹部に流し込んだ後に、成形材料に紫外線等の光を照射すると、成形材料は硬化され、アクセサリを製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-188113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
UVレジン等のレジン液は、ガラスや樹脂からなる瓶容器に収容されており、瓶容器に外部から光が照射されると内部のレジン液が硬化してしまうので、瓶容器は遮光性の材料により形成されている。瓶容器は、内部のレジン液の残量が減少しても、容器自体の容積が小さくなることはないので、保管場所を広く確保しなければならない。そして、内部のレジン液がなくなった後には、瓶容器は廃棄されている。
【0006】
そこで、瓶容器に代えて、可撓性のシート材を備えた収容袋にレジン液を収容する試みがなされた。表面側と裏面側の2枚のシート部材を備えた袋本体と、袋本体に設けられた注ぎ口部材とにより収容袋を形成し、その収容袋にレジン液を収容して保管する試みがなされた。しかしながら、収容袋にレジン液を収容すると、内部のレジン液が硬化してしまうことが判明した。
【0007】
袋本体つまりパウチを構成するシート材としては、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムとCPP(無延伸ポリプロピレン)フィルムとこれらのフィルムの間に配置される黒色の遮光フィルムとからなる積層フィルムを用いた。遮光フィルムないし遮光シートを備えたシート材を用いて収容袋を形成すると、シート材の外面に照射される光は遮光されるのに対し、2枚のシート材の接合部を外部の光が透過してレジン液を硬化させていると考えられた。
【0008】
本発明の目的は、内部に収容された光硬化性のレジン液が硬化しないレジン液収容袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光硬化性のレジン液を収容するレジン液収容袋であって、第1のシート部材と当該第1のシート部材に外周部で接続される第2のシート部材とを備え、内部にレジン液を収容する収容空間が形成される袋本体と、前記袋本体に取り付けられるスパウト、および当該スパウトに装着されるキャップを備えた注ぎ口と、を有し、前記スパウトと前記キャップは、それぞれ黒色の遮光材料により形成され、前記第1のシート部材と前記第2のシート部材は、それぞれ黒色の遮光フィルムと当該遮光フィルムの外側に積層される表面フィルムとを有し、前記第1のシート部材と前記第2のシート部材の外周部には、それぞれの前記遮光フィルムを接合することによりシール部が形成される。
【発明の効果】
【0010】
シート部材は内側の遮光フィルムと外側の表面フィルムとを備えており、シート部材同士を接合するシール部においては、遮光フィルムが接合されるので、袋本体の内部には外部から光が透過することが防止されて内部のレジン液が硬化することを防止できる。これにより、瓶容器を用いることなく、柔軟性のパウチである袋にレジン液を収容することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施の形態であるレジン液収容袋を示す正面図である。
図2図1の一部切欠き側面図である。
図3図1における3-3線断面図である。
図4】(A)は図3における4A部の拡大断面図であり、(B)は図3における4B部の拡大断面図である。
図5】(A)は図2における5A部の拡大断面図であり、(B)は図2における5B部の拡大断面図である。
図6】(A)はアクセサリを成形する凹部が形成された成形型の一例を示す斜視図であり、(B)は(A)における6B-6B線断面図である。
図7】成形型の凹部にレジン液収容袋からレジン液を注入している状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1および図2に示すレジン液収容袋10は、柔軟性を有する袋本体(パウチ)11と、注ぎ口12とを有しており、光硬化性のレジン液を収容する。袋本体11は、注ぎ口12が設けられている部分を上端とし、図1に示される面を正面とすると、正面側の第1のシート部材13と、背面側の第2のシート部材14とを有している。袋本体11の底部に位置させて第1のシート部材13と第2のシート部材14との間にはマチとしての底ガゼットシート部材15が設けられている。底ガゼットシート部材15は、図2の切欠き部に示されるように、背中合わせに折り曲げられて表裏のシート部材13、14の間に挟み込まれており、折り曲げ部16の左右両側部は両方のシート部材13、14に固定されている。両方のシート部材13、14の底部を離して、袋本体11の底部の幅を広げると、図2に示されるように、底ガゼットシート部材15は折り畳まれた状態から下端部が広げられる。
【0013】
両方のシート部材13、14の上端部は上端シール部17により接合され、左右両側部はサイドシール部18により接合されている。両方のシート部材13、14の下端部は底ガゼットシート部材15に接合され、両方のシート部材13、14の下端部は下端シール部19を構成している。
【0014】
袋本体11を構成する第1のシート部材13と第2のシート部材14は、上端シール部17、サイドシール部18および下端シール部19からなる外周部のシール部により接続される。袋本体11の内部には、図3に示されるように、収容空間20が形成され、収容空間には光硬化性であるUVレジン等のレジン液Lが収容される。
【0015】
レジン液収容袋10の形態にはピロー袋とガゼット袋とがある。ピロー袋は第1のシート部材13と第2のシート部材14のみからなる。一方、マチ付きのガゼット袋には、横ガゼット(サイドガゼット)タイプと、図1に示す底ガゼットタイプとがある。横ガゼットタイプにおいては、2枚のシート部材13,14の左右両側部の間にマチとしての横ガゼットシート部材が配置される。図1および図2に示されるように、袋本体11を底ガゼットタイプとすると、両方のシート部材13、14の下端部を引き離すと、袋本体11の幅が広がってレジン液収容袋10を立てた状態とすることができる。
【0016】
注ぎ口12は、袋本体11の上端シール部17に取り付けられるスパウト21と、スパウト21の雄ねじにねじ結合されるキャップ22とを備えている。スパウト21には袋本体11の内部の収容空間20に連通する流出孔23が設けられている。このように、レジン液収容袋10は、袋本体11としてのパウチとスパウト21とを備えており、スパウトパウチを構成している。
【0017】
図4(A)に示されるように、第1のシート部材13は、黒色顔料が添加された遮光材料としての遮光フィルム25を有し、遮光フィルム25はレジン液Lが接触する内面側のフィルムである。遮光フィルム25の外側には表面フィルム26が積層されている。遮光フィルム25はポリエチレン製であり、黒色顔料を添加することにより、光の透過が遮断される。第2のシート部材14と底ガゼットシート部材15も、黒色顔料が添加された遮光材料としてのポリエチレンからなる遮光フィルム25と、その外側に積層された表面フィルム26とを有している。
【0018】
表面フィルム26は、アルミニウムフィルムやアルミニウム蒸着層により形成される。アルミニウムフィルムが使用されるときには、アルミニウムフぃルムからなる表面フィルム26が遮光フィルム25に接合される。一方、アルミニウム蒸着により表面フィルム26が形成される場合には、遮光フィルム25の外面に表面フィルム26が蒸着される。表面フィルム26の外面には、内部商品等を表示する印刷が施される。表面フィルム26としては、遮光フィルム25の黒色が外部から表面フィルム26を透過して目視されないように、樹脂製の白色フィルム等が望ましい。さらには、レジン液Lに接触する内側のフィルムを遮光フィルム25とすれば、その外側に積層されるフィルムは、1層のみでもよく、さらには複数層としてもよい。表面フィルムを何層としても、各シート部材の接合部は2つの遮光フィルム25が接合されるので、外部からの光の透過を確実に防止できる。
【0019】
一方、スパウト21とキャップ22も、黒色顔料が添加されたポリエチレンにより形成されており、キャップ22をスパウト21に装着すると、外部からの光が注ぎ口12から流出孔23の内側や袋本体11の内部の収容空間20に透過することが遮断される。
【0020】
サイドシール部18が図3に示されており、サイドシール部18においては第1のシート部材13の遮光フィルム25と第2のシート部材14の遮光フィルム25とが接合されている。サイドシール部18における2枚の遮光フィルム25は、両方の遮光フィルム25を接触させた状態のもとで外部から遮光フィルム25を加熱することにより熱溶着により接合される。上端シール部17においても、第1のシート部材13の遮光フィルム25と第2のシート部材14の遮光フィルム25とが熱溶着により接合される。
【0021】
一方、下端シール部19においては、両方のシート部材13、14には底ガゼットシート部材15が接続されており、それぞれのシート部材13、14の遮光フィルム25は、底ガゼットシート部材15の遮光フィルム25に接合される。図5(A)は、第2のシート部材14と底ガゼットシート部材15とが接合され、それぞれの遮光フィルム25が熱溶着により接合されることが示されている。第1のシート部材13と底ガゼットシート部材15との接合も同様である。図5(B)は、サイドシール部18の下端部を示す断面図であり、サイドシール部18の下端部の下端シール部19においては、底ガゼットシート部材15が背中合わせされた状態となって挟み込まれている。両方のシート部材13、14の間に接合されている。したがって、図5(B)に示されるように、第1のシート部材13の遮光フィルム25が折り曲げられた底ガゼットシート部材15の遮光フィルム25に接合され、第2のシート部材14の遮光フィルム25が底ガゼットシート部材15の遮光フィルム25に接合される。
【0022】
このように、袋本体11の外周部のシール部は表側と裏側の両方のシート部材13、14を直接接続されるか、底ガゼットシート部材15が設けられる場合には底ガゼットシート部材15を介して間接的に接続される。さらに、シール部においては両方のシート部材13、14の遮光フィルム25が接合されるので、袋本体11の内部には外部から光が完全に遮断される。したがって、袋本体11の内部に収容されたレジン液Lが外部からの光により硬化してしまうことを、長期間に渡って防止することができる。
【0023】
図6(A)はアクセサリを成形する凹部が形成された成形型30の一例を示す斜視図であり、図6(B)は図6(A)における6B-6B線断面図である。図7は成形型30の凹部にレジン液収容袋10からレジン液を注入している状態を示す正面図である。
【0024】
図6に示す成形型30には、大きさが相違する3つのダイヤモンド形状の凹部31と、大きさが相違する3つの角錐形状の凹部32とが形成されている。図7に示すように、凹部32にレジン液Lを注入し、注入されたレジン液Lに光を照射することにより、硬化されたアクセサリを手作りすることができる。なお、レジン液にレジン着色剤を混合する場合には、レジン液とレジン着色剤とが図示しない調色パレットにおいて混合した後に、混合液が凹部32内に注入される。
【0025】
レジン液として紫外線硬化性樹脂が使用される場合には、凹部に注入されたレジン液に紫外線を照射することによりレジン液は硬化される。
【0026】
袋本体11のシート部材13、14および底ガゼットシート部材15は、内側の遮光フィルム25と外側の表面フィルム26とを有し、上述したシール部は遮光フィルム25を接合することにより形成されるので、ミリミクロン単位の隙間もシート部材の相互間には存在しない。これにより、複数枚のシート部材を接合して形成されるシール部から光が入り込むことが完全に遮断され、長期間に渡ってレジン液収容袋10内にレジン液を収容しておいても、レジン液Lが硬化してしまうことを防止できる。
【0027】
しかも、レジン液収容袋10のスパウト21からレジスト液を吐出するときには、柔軟性を有するパウチである袋本体11を折り曲げたり、巻き付けたりすることができる。これにより、袋本体11の内部にレジン液を残すことなく、袋本体11内の全てのレジン液を最後まで吐出させることができる。
【0028】
さらに、レジン液Lが使用されると、袋本体11は収容空間20の容積が小さくなるので、厚みが薄くなり、狭い保管スペースに多くのレジン液収容袋10を配置することができる。
【0029】
一方、レジン液が充填された状態のレジン液収容袋10は偏平な形状となっているので、多数のレジン液収容袋10を梱包して輸送する場合に、従来の瓶容器を輸送する場合に比して、狭いスペースで多数のレジン液収容袋10を輸送することができ、輸送コストを抑えることができる。
【0030】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、図1は底ガゼットタイプのレジン液収容袋10を示すが、レジン液収容袋としては、上述したピロー袋タイプおよびサイドガゼットタイプとしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 レジン液収容袋
11 袋本体
12 注ぎ口
13、14 シート部材
底ガゼットシート部材
17 上端シール部
18 サイドシール部
19 下端シール部
20 収容空間
21 スパウト
22 キャップ
25 遮光フィルム
26 表面フィルム
L レジン液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7