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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040766
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】センサ素子取付構造
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/14 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
G01L3/14 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147920
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】河村 友裕
(57)【要約】
【課題】フレキシブル基板に組み込まれたセンサ素子を部材の薄肉部に取り付けたセンサ素子取付構造において、接着剤の厚さを容易に管理する。
【解決手段】部材(20)の薄肉部(20b)と、フレキシブル基板(31)と、フレキシブル基板に組み込まれたセンサ素子(40)と、一定厚さの膜状に形成されて薄肉部とフレキシブル基板とで挟持され、厚さ方向に貫通する貫通部(51)がセンサ素子に重なる位置に形成されたスペーサ(50)と、貫通部に充填され、薄肉部とフレキシブル基板とを接着した接着剤(60)と、を備えるセンサ素子取付構造(10)。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材の薄肉部と、
フレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に組み込まれたセンサ素子と、
一定厚さの膜状に形成されて前記薄肉部と前記フレキシブル基板とで挟持され、厚さ方向に貫通する貫通部が前記センサ素子に重なる位置に形成されたスペーサと、
前記貫通部に充填され、前記薄肉部と前記フレキシブル基板とを接着した接着剤と、
を備えるセンサ素子取付構造。
【請求項2】
部材の薄肉部と、
フレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に組み込まれたセンサ素子と、
一定厚さの膜状に形成されて前記薄肉部と前記センサ素子とで挟持され、厚さ方向に貫通する貫通部が前記センサ素子の一部に重なる位置に形成されたスペーサと、
前記貫通部に充填され、前記薄肉部と前記センサ素子とを接着した接着剤と、
を備えるセンサ素子取付構造。
【請求項3】
前記スペーサには、厚さ方向に貫通する貫通部が前記センサ素子に重ならない位置にも形成されている、請求項1又は2に記載のセンサ素子取付構造。
【請求項4】
前記薄肉部は、環状に形成されており、
前記フレキシブル基板及び前記スペーサは、前記薄肉部に沿って環状に形成されている、請求項3に記載のセンサ素子取付構造。
【請求項5】
前記スペーサにおいて、前記センサ素子に重なる位置に形成された前記貫通部の形状及び大きさと、前記センサ素子に重ならない位置に形成された前記貫通部の形状及び大きさとは同一である、請求項3又は4に記載のセンサ素子取付構造。
【請求項6】
前記センサ素子は、前記フレキシブル基板に電子回路パターンとして形成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサ素子取付構造。
【請求項7】
前記センサ素子を複数備え、
前記スペーサには、厚さ方向に貫通する貫通部が各センサ素子に対応する位置に形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のセンサ素子取付構造。
【請求項8】
前記貫通部は、前記スペーサの外周と連通している、請求項1~7のいずれか1項に記載のセンサ素子取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材にセンサ素子を取り付けたセンサ素子取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケースに形成した凹所の底面に突起部を形成し、凹所内に接着剤を充填した後に、センサ素子と結合したガラス台座を突起部の上に載せて上方から押し付け、接着剤を硬化させてガラス台座を固定した構造がある(特許文献1参照)。特許文献1によれば、ガラス台座はその底面が部分的に突起部の上に重なって水平姿勢に担持され、かつ突起部を除いた面域でガラス台座の底面と凹所の底面との間に接着剤が隙間なく充填されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-186104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フレキシブル基板に組み込まれたセンサ素子を部材の薄肉部に取り付ける場合、フレキシブル基板又は薄肉部に突起部を形成することが困難であり、突起部の寸法精度を確保することも困難である。このため、特許文献1に記載の構造を採用することができず、センサ素子を取り付けるための接着剤の厚さを突起部により管理することが困難である。特に、量産品において接着剤の厚さを管理することは、接着強度や、薄肉部とセンサ素子との距離を適正に管理する上で重要である。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、フレキシブル基板に組み込まれたセンサ素子を部材の薄肉部に取り付けたセンサ素子取付構造において、接着剤の厚さを容易に管理することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、センサ素子取付構造であって、
部材の薄肉部と、
フレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に組み込まれたセンサ素子と、
一定厚さの膜状に形成されて前記薄肉部と前記フレキシブル基板とで挟持され、厚さ方向に貫通する貫通部が前記センサ素子に重なる位置に形成されたスペーサと、
前記貫通部に充填され、前記薄肉部と前記フレキシブル基板とを接着した接着剤と、
を備える。
【0007】
上記構成によれば、センサ素子は、前記フレキシブル基板に組み込まれている。スペーサは、一定厚さの膜状に形成されて前記薄肉部と前記フレキシブル基板とで挟持されている。このため、薄肉部にスペーサを介してフレキシブル基板を押し当てた状態では、前記薄肉部と前記フレキシブル基板との距離を、スペーサの一定厚さに調整することができる。
【0008】
ここで、スペーサには、厚さ方向に貫通する貫通部が、前記センサ素子に重なる位置に形成されている。そして、接着剤は、前記貫通部に充填され、前記薄肉部と前記フレキシブル基板とを接着している。このため、貫通部に接着剤を注入して、薄肉部にスペーサを介してフレキシブル基板を押し当てることにより、接着剤の厚さをスペーサの一定厚さに調整することができる。すなわち、スペーサの厚さにより、接着剤の厚さを管理することができる。したがって、フレキシブル基板に組み込まれたセンサ素子を部材の薄肉部に取り付ける場合であっても、接着剤の厚さを容易に管理することができる。さらに、膜状のスペーサの厚さを一定にすることは容易であり、量産品においても接着剤の厚さを安定させることができ、接着強度や、薄肉部とセンサ素子との距離を適正に管理しやすくなる。
【0009】
第2の手段は、センサ素子取付構造であって、
部材の薄肉部と、
フレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に組み込まれたセンサ素子と、
一定厚さの膜状に形成されて前記薄肉部と前記センサ素子とで挟持され、厚さ方向に貫通する貫通部が前記センサ素子の一部に重なる位置に形成されたスペーサと、
前記貫通部に充填され、前記薄肉部と前記センサ素子とを接着した接着剤と、
を備える。
【0010】
上記構成によれば、センサ素子は、前記フレキシブル基板に組み込まれている。スペーサは、一定厚さの膜状に形成されて前記薄肉部と前記センサ素子とで挟持されている。このため、薄肉部にスペーサを介して前記センサ素子を押し当てた状態では、前記薄肉部と前記センサ素子との距離を、スペーサの一定厚さに調整することができる。
【0011】
ここで、スペーサには、厚さ方向に貫通する貫通部が、前記センサ素子の一部に重なる位置に形成されている。そして、接着剤は、前記貫通部に充填され、前記薄肉部と前記センサ素子とを接着している。このため、貫通部に接着剤を注入して、薄肉部にスペーサを介して前記センサ素子を押し当てることにより、接着剤の厚さをスペーサの一定厚さに調整することができる。すなわち、スペーサの厚さにより、接着剤の厚さを管理することができる。したがって、フレキシブル基板に組み込まれたセンサ素子を部材の薄肉部に取り付ける場合であっても、接着剤の厚さを容易に管理することができる。さらに、膜状のスペーサの厚さを一定にすることは容易であり、量産品においても接着剤の厚さを安定させることができ、接着強度や、薄肉部とセンサ素子との距離を適正に管理しやすくなる。
【0012】
第3の手段では、前記スペーサには、厚さ方向に貫通する貫通部が前記センサ素子に重ならない位置にも形成されている。こうした構成によれば、フレキシブル基板においてセンサ素子以外の部分も薄肉部に接着する場合に、その部分においても接着剤の厚さを容易に管理することができる。
【0013】
第4の手段では、第3手段を前提として、前記薄肉部は、環状に形成されており、前記フレキシブル基板及び前記スペーサは、前記薄肉部に沿って環状に形成されている。こうした構成によれば、薄肉部の形状に合わせてフレキシブル基板を接着する場合に、各接着部分において接着剤の厚さを容易に管理することができる。
【0014】
第5の手段では、前記スペーサにおいて、前記センサ素子に重なる位置に形成された前記貫通部の形状及び大きさと、前記センサ素子に重ならない位置に形成された前記貫通部の形状及び大きさとは同一である。こうした構成によれば、フレキシブル基板においてセンサ素子の部分とセンサ素子以外の部分とに、形状及び大きさが同一の貫通部が形成されている。したがって、フレキシブル基板においてセンサ素子以外の部分も薄肉部に接着する場合に、貫通部の形成が容易であるとともに、貫通部の形状及び大きさを管理しやすくなる。さらに、貫通部に注入される接着剤の量を一定にすることができ、量産性を向上させることができる。
【0015】
第6の手段では、前記センサ素子は、前記フレキシブル基板に電子回路パターンとして形成されている。こうした構成によれば、フレキシブル基板に、配線パターン等とともに、センサ素子を電子回路パターンとして形成することができる。したがって、フレキシブル基板にセンサ素子を接着したり半田付けしたりする工程を省略することができ、フレキシブル基板にセンサ素子を容易に組み込むことができる。さらに、フレキシブル基板にセンサ素子を含めて取り扱うことができ、センサ素子の取り扱いを容易にすることができる。
【0016】
第7の手段では、前記センサ素子を複数備え、前記スペーサには、厚さ方向に貫通する貫通部が各センサ素子に対応する位置に形成されている。こうした構成によれば、薄肉部に複数のセンサ素子を取り付ける場合に、各貫通部において接着剤の厚さを容易に管理することができる。
【0017】
第8の手段では、前記貫通部は、前記スペーサの外周と連通している。こうした構成によれば、貫通部においてスペーサの外周と連通した部分から、余分な接着剤を逃がすことができる。したがって、貫通部に充填される接着剤の量を安定させることができ、接着剤の厚さを一定に管理しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】センサ素子取付構造の断面図。
図2】フレキシブル基板組立体の下面図。
図3図2の3-3線断面図。
図4】フレキシブル基板組立体の変更例の下面図。
図5】フレキシブル基板組立体の他の変更例の下面図。
図6】フレキシブル基板組立体の他の変更例の下面図。
図7】フレキシブル基板組立体の他の変更例の下面図。
図8】フレキシブル基板組立体の他の変更例の下面図。
図9】センサ素子取付構造の変更例の断面図。
図10】センサ素子取付構造の他の変更例の断面図。
図11】センサ素子取付構造の他の変更例の断面図。
図12】フレキシブル基板組立体の他の変更例の下面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、ロボットの関節に設けられた波動歯車装置にセンサ素子を取り付けたセンサ素子取付構造に具現化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1に示すように、センサ素子取付構造10は、部材20、フレキシブル基板組立体30、接着剤60等を備えている。
【0021】
部材20は、波動歯車装置(減速機)に含まれる可撓性歯車、連結部材、ハウジング等であり、厚肉部20aと薄肉部20bとを備えている。
【0022】
図2,3に併せて示すように、フレキシブル基板組立体30は、フレキシブル基板31、センサ素子40、スペーサ50等を備えている。
【0023】
フレキシブル基板31は、周知のFPC(Flexible Printed Circuits)である。例えば、フレキシブル基板31は、薄膜状の絶縁体であるベースフィルムの上に接着層を形成し、接着層の上に導体パターン(導体箔)を貼り合わせ、端子部や半田付け部以外の部分をポリイミド等の絶縁体のカバーレイで被覆して形成されている。フレキシブル基板31の厚さは、例えば0.1~0.5[mm]である。
【0024】
センサ素子40は、トルクセンサ(歪ゲージ)、振動センサ、温度センサ、圧力センサ、光センサ等のセンサ素子である。センサ素子40は、例えば素子部と素子部から導かれたリード(導線)を備え、リードがフレキシブル基板31の半田付け部に半田付け(表面実装)されている。すなわち、センサ素子40は、フレキシブル基板31に組み込まれている。ここでは、センサ素子40の形状を円板状に表しているが、センサ素子40の形状は任意である。
【0025】
スペーサ50は、例えばポリイミド、フッ素樹脂等の絶縁性樹脂により、一定厚さの膜状に形成されている。スペーサ50の厚さは、センサ素子40の種類及び調整する接着剤60の厚さに応じて、例えば0.05~0.2[mm]に設定されている。スペーサ50は、フレキシブル基板31においてセンサ素子40が取り付けられた面と反対側の面に貼り合わされている。フレキシブル基板組立体30(センサ素子40)が部材20の薄肉部20bに取り付けられた状態において、スペーサ50は薄肉部20bとフレキシブル基板31とで挟持されている。なお、フレキシブル基板31のカバーレイの材質とスペーサ50の材質とが同一の場合は、スペーサ50をカバーレイと一体成形することもできる。
【0026】
スペーサ50には、厚さ方向に貫通する貫通孔51が形成されている。貫通孔51(貫通部)は、センサ素子40よりも大きく形成されており、下面視においてセンサ素子40を含んでいる。すなわち、貫通孔51は、センサ素子40に重なる位置に形成されている。ここでは、貫通孔51の断面形状を正方形状に表しているが、貫通孔51の形状は任意である。
【0027】
接着剤60は、例えば熱硬化型の接着剤である。接着剤60は、スペーサ50の貫通孔51を満たすように充填されている。接着剤60は、加熱により硬化させられて、部材20の薄肉部20bとフレキシブル基板31とを接着している。なお、接着剤60は、常温硬化型の接着剤や、二液混合型の接着剤等であってもよい。
【0028】
次に、センサ素子40を部材20の薄肉部20bに取り付ける手順(センサ素子取付構造の製造方法)について説明する。以下の手順は、作業者によって実行されてもよいし、ロボット等の生産機械により実行されてもよい。
【0029】
まず、所定の導体パターンが形成されたフレキシブル基板31を用意する。
【0030】
続いて、フレキシブル基板31の半田付け部にセンサ素子40のリードを半田付けする。すなわち、フレキシブル基板31の上面(第1面)にセンサ素子40を実装する(取り付ける)。
【0031】
続いて、フレキシブル基板31の下面(第1面と反対側の第2面)にスペーサ50を貼り合わせる(密着させる、又は接着する)。このとき、下面視においてスペーサ50の貫通孔51の中心とセンサ素子40の中心とが一致するように、フレキシブル基板31に対してスペーサ50の位置を決める。以上により、フレキシブル基板組立体30が完成する。
【0032】
続いて、貫通孔51に接着剤60を注入する。このとき、貫通孔51内が接着剤60で満たされ、空洞が生じないようにする。
【0033】
続いて、部材20の薄肉部20bにおいてフレキシブル基板組立体30(センサ素子40)を取り付ける位置に、スペーサ50を押し当てる。すなわち、薄肉部20bにスペーサ50を介してフレキシブル基板31を押し当てる。これにより、接着剤60の厚さがスペーサ50の一定厚さに調整される。このとき、貫通孔51から余分な接着剤60が押し出されてもよい。
【0034】
続いて、部材20及びフレキシブル基板組立体30を加熱して、接着剤60を硬化させる。以上により、センサ素子取付構造10が完成する(製造される)。
【0035】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0036】
・センサ素子40は、フレキシブル基板31に組み込まれている。スペーサ50は、一定厚さの膜状に形成されて薄肉部20bとフレキシブル基板31とで挟持されている。このため、薄肉部20bにスペーサ50を介してフレキシブル基板31を押し当てた状態では、薄肉部20bとフレキシブル基板31との距離を、スペーサ50の一定厚さに調整することができる。
【0037】
・スペーサ50には、厚さ方向に貫通する貫通孔51が、センサ素子40に重なる位置に形成されている。そして、接着剤60は、貫通孔51に充填され、薄肉部20bとフレキシブル基板31とを接着している。このため、貫通孔51に接着剤60を注入して、薄肉部20bにスペーサ50を介してフレキシブル基板31を押し当てることにより、接着剤60の厚さをスペーサ50の一定厚さに調整することができる。すなわち、スペーサ50の厚さにより、接着剤60の厚さを管理することができる。したがって、フレキシブル基板31に組み込まれたセンサ素子40を部材20の薄肉部20bに取り付ける場合であっても、接着剤60の厚さを容易に管理することができる。さらに、膜状のスペーサ50の厚さを一定にすることは容易であり、量産品においても接着剤60の厚さを安定させることができ、接着強度や、薄肉部20bとセンサ素子40との距離を適正に管理しやすくなる。
【0038】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0039】
図4に示すように、スペーサ50の外周と貫通孔51とを連通させる溝52がスペーサ50に形成されていてもよい。こうした構成によれば、貫通孔51に接着剤60を多めに注入して、薄肉部20bにスペーサ50を押し当てた時に、余分な接着剤60を溝52から逃がすことができる。したがって、貫通孔51内を接着剤60で満たしやすくなるとともに、接着剤60の厚さをより安定させることができる。
【0040】
図5に示すように、スペーサ50に外周と連通していない貫通孔である接着剤溜まり54が形成され、貫通孔51と接着剤溜まり54とが溝53により連通されていてもよい。こうした構成によっても、貫通孔51に接着剤60を多めに注入して、薄肉部20bにスペーサ50を押し当てた時に、余分な接着剤60を溝53から接着剤溜まり54へ逃がすことができる。したがって、貫通孔51内を接着剤60で満たしやすくなるとともに、接着剤60の厚さをより安定させることができる。なお、溝53を省略して、貫通孔51と接着剤溜まり54とを直接連通させることもできる。
【0041】
図6に示すように、フレキシブル基板組立体30(センサ素子取付構造10)は、センサ素子40を複数備え、スペーサ50には、厚さ方向に貫通する貫通孔51が各センサ素子40に対応する位置に形成されていてもよい。こうした構成によれば、薄肉部20bに複数のセンサ素子40を取り付ける際に、各貫通孔51において接着剤60の厚さを容易に管理することができる。さらに、各センサ素子40に対して接着剤60の位置を正確に決めることができる。しかも、複数のセンサ素子40に対して、フレキシブル基板31によりまとめて配線を行うことができる。
【0042】
図7に示すように、スペーサ50には、厚さ方向に貫通する貫通孔55がセンサ素子40に重ならない位置にも形成されていてもよい。こうした構成によれば、フレキシブル基板31においてセンサ素子40以外の部分も薄肉部20bに接着する際に、その部分においても接着剤60の厚さを容易に管理することができる。さらに、薄肉部20bからフレキシブル基板31が浮くことを抑制することができ、浮いたフレキシブル基板31が振動してセンサ素子40による検出に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。また、スペーサ50において、センサ素子40に重なる位置に形成された貫通孔51の形状及び大きさと、センサ素子40に重ならない位置に形成された貫通孔55の形状及び大きさとは同一である。こうした構成によれば、フレキシブル基板31においてセンサ素子40の部分とセンサ素子40以外の部分とに、形状及び大きさが同一の貫通孔51,55が形成されている。したがって、フレキシブル基板31においてセンサ素子40以外の部分も薄肉部20bに接着する際に、貫通孔51,55の形成が容易であるとともに、貫通孔51,55の形状及び大きさを管理しやすくなる。さらに、貫通孔55に注入される接着剤60の量を一定にすることができ、量産性を向上させることができる。なお、貫通孔51の形状と貫通孔55の形状とを異ならせることもできる。また、貫通孔51の大きさと貫通孔55の大きさとを異ならせることもできる。
【0043】
図8に示すように、スペーサ50において、貫通孔51に代えて、切欠57を形成することもできる。切欠57(貫通部)は、スペーサ50の厚さ方向に貫通している。切欠57は、スペーサ50においてセンサ素子40に重なる位置に形成され、スペーサ50の外周と連通している。こうした構成によれば、図4の構成と同様の作用効果を奏することができる。
【0044】
図9に示すように、フレキシブル基板組立体130は、センサ素子140が電子回路パターンとして形成されたフレキシブル基板131を備えていてもよい。センサ素子140は、例えば抵抗パターン及び導体パターンにより形成されており、フレキシブル基板131のカバーレイによって覆われている。すなわち、センサ素子140は、フレキシブル基板131に組み込まれている。こうした構成によれば、フレキシブル基板131に、配線パターン(導体パターン)等とともに、センサ素子140を電子回路パターンとして形成することができる。したがって、フレキシブル基板131にセンサ素子140を接着したり半田付けしたりする工程を省略することができ、フレキシブル基板131にセンサ素子140を容易に組み込むことができる。さらに、フレキシブル基板131にセンサ素子140を含めて取り扱うことができ、センサ素子140の取り扱いを容易にすることができる。
【0045】
図10に示すように、フレキシブル基板組立体230において、センサ素子40がスペーサ50の貫通孔51内に収納されていてもよい。この場合も、スペーサ50は薄肉部20bとフレキシブル基板31とで挟持され、貫通孔51はセンサ素子40に重なる位置に形成されている。また、接着剤60は、貫通孔51に充填され、薄肉部20bとフレキシブル基板31及びセンサ素子40とを接着している。
【0046】
図11に示すように、フレキシブル基板組立体330において、スペーサ50が薄肉部20bとセンサ素子340とで挟持されていてもよい。スペーサ50において、貫通孔51はセンサ素子340の一部に重なる位置に形成されている。接着剤60は、薄肉部20bとセンサ素子340とを接着している。こうした構成によれば、薄肉部20bにスペーサ50を介してセンサ素子340を押し当てた状態では、薄肉部20bとセンサ素子340との距離を、スペーサ50の一定厚さに調整することができる。このため、貫通孔51に接着剤60を注入して、薄肉部20bにスペーサ50を介してセンサ素子340を押し当てることにより、接着剤60の厚さをスペーサ50の一定厚さに調整することができる。すなわち、スペーサ50の厚さにより、接着剤60の厚さを管理することができる。したがって、フレキシブル基板31に組み込まれたセンサ素子340を部材20の薄肉部20bに取り付ける場合であっても、接着剤60の厚さを容易に管理することができる。さらに、膜状のスペーサ50の厚さを一定にすることは容易であり、量産品においても接着剤60の厚さを安定させることができ、接着強度や、薄肉部20bとセンサ素子340との距離を適正に管理しやすくなる。
【0047】
・薄肉部20bが環状に形成されており、図12に示すように、フレキシブル基板431及びスペーサ450は、薄肉部20bに沿って環状に形成されていてもよい。フレキシブル基板組立体430(センサ素子取付構造10)は、センサ素子40を複数備え、スペーサ450には、厚さ方向に貫通する貫通孔451が各センサ素子40に対応する位置に形成されている。スペーサ450には、厚さ方向に貫通する貫通孔455がセンサ素子40に重ならない位置にも形成されている。こうした構成によれば、薄肉部20bの形状に合わせてフレキシブル基板431を接着する際に、各接着部分において接着剤60の厚さを容易に管理することができる。また、スペーサ450の外周と貫通孔451とを連通させる溝452がスペーサ450に形成されている。スペーサ450の外周と貫通孔455とを連通させる溝456がスペーサ450に形成されている。
【0048】
・部材20において、薄肉部20bは、平板状の部分に限らず、曲板状の部分であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
10…センサ素子取付構造、20…部材、20b…薄肉部、31…フレキシブル基板、40…センサ素子、50…スペーサ、51…貫通孔(貫通部)、55…貫通孔(貫通部)、57…切欠(貫通部)、60…接着剤、131…フレキシブル基板、140…センサ素子、340…センサ素子、431…フレキシブル基板、450…スペーサ、451…貫通孔(貫通部)、455…貫通孔(貫通部)。
図1
図2
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図5
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図10
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図12