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特開2023-40787酸素ラジカル生成方法及びこれを利用した排水処理方法
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  • 特開-酸素ラジカル生成方法及びこれを利用した排水処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040787
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】酸素ラジカル生成方法及びこれを利用した排水処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20230101AFI20230315BHJP
   C02F 1/78 20230101ALI20230315BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20230315BHJP
   C02F 1/58 20230101ALI20230315BHJP
   A61L 2/20 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
C02F1/78
C02F1/461 101C
B01J20/34 C
C02F1/58 H
A61L2/20 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147944
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4C058
4D038
4D050
4D061
4G066
【Fターム(参考)】
4C058AA20
4C058BB07
4C058CC04
4C058DD01
4C058EE26
4C058JJ14
4C058JJ28
4C058JJ29
4D038AA08
4D038AB27
4D050AA12
4D050AB11
4D050BB02
4D050BD04
4D050CA10
4D050CA11
4D061DA01
4D061DA08
4D061DB09
4D061DB19
4D061DC08
4D061EA02
4D061EA03
4D061EB02
4D061EB04
4D061ED03
4D061ED20
4G066AA03D
4G066AA05B
4G066GA11
(57)【要約】
【課題】オゾンよりも強い活性を発揮することができる酸素ラジカル生成方法を提供しようとするもの。
【解決手段】液体中にオゾンを圧入して電気分解し、前記オゾンから酸素ラジカルを造成させるようにした。液体中にオゾンを圧入して電気分解し、前記オゾンを酸素ラジカルに造成させるようにしたので、元々のオゾンを、より活性な酸素ラジカルとして液体中に固定することが出来る。より活性な酸素ラジカルとして液体中に固定することが出来るので、オゾンよりも強い活性を発揮することができる。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中にオゾンを圧入して電気分解し、前記オゾンから酸素ラジカルを造成させるようにしたことを特徴とする酸素ラジカル生成方法。
【請求項2】
前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより排水中の汚れ成分を接触酸化分解するようにしたことを特徴とする排水処理方法。
【請求項3】
前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカル又は/及びオゾンを活性炭により消滅させるようにした請求項2記載の排水処理方法。
【請求項4】
前記酸素ラジカル生成方法で前記液体に磁力を及ぼして電気分解するようにした請求項2又は3記載の排水処理方法。
【請求項5】
前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより活性炭を洗浄するようにしたことを特徴とする活性炭の洗浄方法。
【請求項6】
前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより水質を分析するようにしたことを特徴とする水質の分析方法。
【請求項7】
前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより被処理物の表面分子を接触酸化分解するようにしたことを特徴とする表面処理方法。
【請求項8】
前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより土壌中の重金属類その他の有害物質を遊離させるようにしたことを特徴とする土壌洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、酸素ラジカル生成方法、及びこれを利用した排水処理方法などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、排水の浄化処理にかかる排水処理システムに関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、排水を浄化処理する技術が多く知られており、それらの中にはオゾンを利用して排水を浄化処理する技術がある。オゾンには強い酸化力があり、この酸化力によって排水に含まれる有機物質や細菌などを酸化分解することにより、排水の殺菌、脱色、脱臭などの浄化処理を行うというものである。このような排水の浄化処理に関する技術(特開2004-122105号)が開示されている。
この文献には、オゾンの有効利用及びそれに伴うコストの低減を図るため、オゾン接触槽において酸化分解しなかったオゾンを回収して再利用する旨が開示されている。そして、オゾンを再利用することにより、排水の浄化処理における資源の有効利用が図られる一方、近年では、排水の浄化処理を効率化させることによって排水の浄化処理にかかるロスを低減し、環境の保全を図ることが強く求められている、というものである。
これに対し、オゾンよりも強い活性を発揮できる方法への要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-85973
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、オゾンよりも強い活性を発揮することができる酸素ラジカル生成方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の酸素ラジカル生成方法は、液体中にオゾンを圧入して電気分解し、前記オゾンから酸素ラジカルを造成させるようにしたことを特徴とする。
オゾン(O3)は、例えば空気中の酸素(O2)を原料としてオゾナイザーにより発生させることが出来る。
この酸素ラジカル生成方法では、液体中にオゾン(O3)を圧入して電気分解し、前記オゾンを酸素ラジカル(・O)に造成(造って成る)させるようにしたので、元々のオゾン(常温で気体であり液面から離脱し易い)を、より活性な酸素ラジカル(・O)として液体中に固定する(共存させる)ことが出来る。
【0006】
すなわち、本来的に液面から離脱しようとする性質を有するオゾン(O3)を電気分解して、(3個の)酸素ラジカル(・O)を造成させることにより、(オゾンの液面からの離脱を阻止して)より活性度が高い酸素ラジカル(・O)に変換することが出来る。
ここで、液体中にオゾンを圧入し存在させて電気分解することにより、オゾン(O3)に及ぼされる電気エネルギーによって酸素ラジカル(・O)を造成する。
O3→O2+・O
O2→・O+・O
【0007】
酸素ラジカル(・O)の酸化電位は 2.42V(オゾンから酸素ラジカル3つに造成されると2.42V×3=7.26Vになる)、オゾン(O3)の酸化電位は 2.07Vである。すなわち、オゾン(O3)の酸化電位2.07Vは、3つの酸素ラジカル(・O)に造成されると、酸化電位は2.42V×3=7.26Vと大きなものになる。
この酸化電位は、次亜塩素酸(HClO)のもの(1.36V)よりもかなり高いものである。この次亜塩素酸は、活性なラジカル種と比較すると遅効性である。
また、オゾン(O3)は3つの酸素ラジカル(・O)に変化することからおおよその濃度を予測することができるが、水(H2O)の電解で生成する・OH(酸化電位2.80V)は濃度の把握がし難いきらいがある。
【0008】
ところで、紫外線(UV)によるオゾン(O3)の解離エネルギーは253.7nm線で472kJ/mol(O3→O2+・O)であり、184.9nm線で647kJ/mol(O2→・O+・O)であり、電気分解ではこれらと同等かより高いエネルギーを加える。
そして、オゾンの電気分解により造成(生成)した活性ラジカル種(・O)は、即効性の強い酸化性を有しており、例えば液体(排水)中の有機物(汚れ成分)に対して速やかに分解作用を及ぼして浄化していく。
また、電気分解の際、併せて活性なヒドロキシラジカル(・OH、酸化電位2.80V)も生成することとなる。さらに、電気分解の際の陽極電極による直接酸化作用により有機物は分解されていく。
【0009】
このように排水中にオゾン(O3)を共存させて電気分解することにより活性なラジカル種を発生させるようにすると、水への溶解度(0.105 g / 100 mL (0 ℃))がそれほど高くないオゾンの酸化分解性を向上させることが出来る。オゾンの共存とは、排水中に溶解している溶存の上位概念である。
紫外線によるオゾンの解離エネルギーは、253.7nm線で472kJ/mol(O3→O2+・O)、184.9nm線で647kJ/mol(O2→・O+・O)であるが、O3→O2+・Oの場合は電圧6V、電流5A、39Wh(交流)の電気分解で解離させることができ(O310g当たり)、O2→・O+・Oの場合は、電圧6V、電流7A、54Wh(交流)の電気分解で解離させることが出来る(O310g当たり)。
この酸素ラジカル生成方法によると、オゾン(O3)の原料となる酸素(O2)は地球上に無尽蔵にあるという大きな利点がある。
【0010】
(2)この排水処理方法は、前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより排水中の汚れ成分を接触酸化分解するようにしたことを特徴とする。
この排水処理方法は、前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカル(・O)により排水中の汚れ成分を接触酸化分解するようにしたので、本来は水中から離脱しようとする性質を有するオゾン(O3)を、排水に圧入して電気分解して酸素ラジカル(・O)に造成させることにより、排水中に固定して汚れ成分に接触酸化分解反応させることが出来る。
そして、生成した酸素ラジカル(・O)により排水中の汚れ成分を分解するようにしたので、生成した酸素ラジカル(・O)により一般の酸化処理剤(次亜塩素酸ナトリウム、電解次亜など)よりも強い酸化作用を排水中の汚れ成分に及ぼして分解することが出来る。
【0011】
この酸素ラジカル(・O)により、排水、廃液などの脱臭、脱色、殺菌をしたり、有機物やアンモニアその他の汚れ成分の分解をすることが出来る。
そして、オゾン(O3)から造成した酸素ラジカル(・O)は、被処理対象物(例えば排水中の汚れ成分など)を最終的に二酸化炭素(CO2)や窒素(N2)などの無害な物質に変化させることとなる。
ここで、酸化剤として例えば塩素(Cl2、NaOCl、HOCl)を用いると、処理後にCl-イオンが妨害物として残留することになるが、オゾン(O3)や酸素ラジカル(・O)は酸素(O2)に変化することにより(H2O2の場合も)、塩素(Cl2、・・・)の場合のような不都合が起こることがない。
この排水処理方法によると、オゾンの原料となる酸素は地球上に無尽蔵にあるという大きな利点がある。
【0012】
(3)酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカル又は/及びオゾンを活性炭により消滅させるようにしてもよい。
こうすると、例えば排水処理の残余の酸素ラジカルやオゾンを活性炭に接触させて酸素等に変化させて消滅させることにより、容易に無効化・無害化することが出来る。
ここで、排水処理の酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムや電解次亜を用いた場合、これらの活性を無効化しても塩化物イオン(Cl-)が残留することになり、これが夾雑物として邪魔になる場合があるが、このような不具合が生じることはない。
【0013】
(4)前記酸素ラジカル生成方法で前記液体に磁力を及ぼして電気分解するようにしてもよい。
このように、酸素ラジカル生成方法で液体に磁力を及ぼして電気分解するようにすると、オゾンが電解反応を受けやすくなった。
【0014】
(5)この活性炭の洗浄方法は、前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより活性炭を洗浄するようにしたことを特徴とする。
このように、酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより活性炭を洗浄するようにすると、活性炭に吸着した汚れ成分を活性な酸素ラジカル(・O)で酸化分解して洗浄することにより、活性炭を例えば900℃などの高温で賦活・再生するよりも簡易で且つ経済的に再生することが出来る。
【0015】
(6)この水質の分析方法は、前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより水質を分析するようにしたことを特徴とする。
このように、酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより水質を分析するようにすると、水質の変化に対する酸素ラジカルの消費量を評価することにより、過マンガン酸カリウム(KMnO4)を利用した化学的酸素要求量(COD)の測定のように、分析手法の基礎とすることが出来る。
【0016】
(7)この表面処理方法は、前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより被処理物の表面分子を接触酸化分解するようにしたことを特徴とする。
この表面処理方法は、前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより被処理物の表面分子を接触酸化分解することによって、例えば鉄の表面を錆びさせて骨董品のような風合いにすることが出来る。
【0017】
(8)この土壌洗浄方法は、前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより土壌中の重金属類その他の有害物質を遊離させるようにしたことを特徴とする。
このように、酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカル(・O)により、土壌中の有機物を分解することによって、土壌から重金属類その他の有害物質を遊離させるようにすると、単なる電解水を用いた場合と比し、土壌中の有機物に対する酸素ラジカル(・O)の強い酸化分解作用によって、土壌からの有害物質の遊離作用、剥離作用に優れたものとすることが出来る。
ここで、前記土壌中の重金属類その他の有害物質として、ヒ素(As)、フッ素(F)、ホウ素(B)の他、放射性セシウム(Cs)、放射性ヨウ素(I)、ウラン(U)などを例示することが出来る。
【発明の効果】
【0018】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
より活性な酸素ラジカルとして液体中に固定する(共存させる)ことが出来るので、オゾンよりも強い活性を発揮することができる酸素ラジカル生成方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の土壌洗浄方法の実施例を説明するシステム・フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔実施形態1〕
以下、この発明の実施の形態を説明する。
この実施形態の酸素ラジカル生成方法は、液体中にオゾンを圧入して電気分解し、前記オゾンから酸素ラジカルを造成させるようにした。オゾン(O3)は、空気中の酸素(O2)を原料としてオゾナイザーにより発生させた。
すなわち、液体中にオゾンを圧入し存在させて電気分解することにより、オゾン(O3)に及ぼされる電気エネルギーによって酸素ラジカル(・O)を造成する。
O3→O2+・O
O2→・O+・O
【0021】
酸素ラジカル(・O)の酸化電位は 2.42V(オゾンから酸素ラジカル3つに造成されると2.42V×3=7.26Vになる)、オゾン(O3)の酸化電位は 2.07Vである。すなわち、オゾン(O3)の酸化電位2.07Vは、3つの酸素ラジカル(・O)に造成されると、酸化電位は2.42V×3=7.26Vと大きなものになる。
この酸化電位は、次亜塩素酸(HClO)のもの(1.36V)よりもかなり高いものである。またこの次亜塩素酸は、活性なラジカル種と比較すると遅効性である。
次に、オゾン(O3)は3つの酸素ラジカル(・O)に変化することからおおよその濃度を予測することができるが、水(H2O)の電解で生成する・OH(酸化電位2.80V)はその濃度の把握がし難い。
【0022】
紫外線(UV)によるオゾン(O3)の解離エネルギーは253.7nm線で472kJ/mol(O3→O2+・O)であり、184.9nm線で647kJ/mol(O2→・O+・O)であり、電気分解ではこれらより高いエネルギーを加える。
紫外線によるオゾンの解離エネルギーは、253.7nm線で472kJ/mol(O3→O2+・O)、184.9nm線で647kJ/mol(O2→・O+・O)であるが、O3→O2+・Oの場合は電圧6V、電流5A、39Wh(交流)の電気分解で解離させることができ(O310g当たり)、O2→・O+・Oの場合は、電圧6V、電流7A、54Wh(交流)の電気分解で解離させることが出来た(O310g当たり)。
このように排水中にオゾン(O3)を共存させて電気分解することにより活性なラジカル種を発生させるようにしたので、水への溶解度(0.105 g / 100 mL (0 ℃))がそれほど高くないオゾンの酸化分解性を向上させることが出来た。
なお、電気分解の際、併せて活性なヒドロキシラジカル(・OH、酸化電位2.80V)も生成する。さらに、電気分解の際の陽極電極による直接酸化作用により有機物は分解されていく。
【0023】
次に、この実施形態の酸素ラジカル生成方法の使用状態を説明する。
この酸素ラジカル生成方法では、液体中にオゾン(O3)を圧入して電気分解し、前記オゾンを酸素ラジカル(・O)に造成(造って成る)させるようにしたので、元々のオゾン(常温で気体であり液面から離脱し易い)を、より活性な酸素ラジカル(・O)として液体中に固定する(共存させる)ことが出来た。
すなわち、本来的に液面から離脱しようとする性質を有するオゾン(O3)を電気分解して、(3個の)酸素ラジカル(・O)を造成させることにより、(オゾンの液面からの離脱を阻止して)より活性度が高い酸素ラジカル(・O)に変換することが出来た。
そして、より活性な酸素ラジカルとして液体中に固定する(共存させる)ことが出来るので、オゾンよりも強い活性を発揮することが出来た。
〔実施形態2〕
【0024】
この実施形態の排水処理方法は、前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより排水中の汚れ成分を接触酸化分解するようにした。
この排水処理方法は、前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカル(・O)により排水中の汚れ成分を接触酸化分解するようにしたので、本来は水中から離脱しようとする性質を有するオゾン(O3)を、排水に圧入して電気分解して酸素ラジカル(・O)に造成させることにより、排水中に固定して汚れ成分に接触酸化分解反応させることが出来た。
そして、生成した酸素ラジカル(・O)により排水中の汚れ成分を分解するようにしたので、生成した酸素ラジカル(・O)により一般の酸化処理剤(次亜塩素酸ナトリウム、電解次亜など)よりも強い酸化作用を排水中の汚れ成分に及ぼして分解することが出来た。
【0025】
オゾンの電気分解により造成(生成)した活性ラジカル種(・O)は、即効性の強い酸化性を有しており、液体(排水)中の有機物(汚れ成分)に対して速やかに分解作用を及ぼして浄化していく。
この酸素ラジカル(・O)により、排水、廃液などの脱臭、脱色、殺菌をしたり、有機物やアンモニアその他の汚れ成分の分解をすることが出来た。
そして、オゾン(O3)から造成した酸素ラジカル(・O)は、被処理対象物(例えば排水中の汚れ成分など)を最終的に二酸化炭素(CO2)や窒素(N2)などの無害な物質に変化させた。
〔実施形態3〕
【0026】
この実施形態の活性炭の洗浄方法は、前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより活性炭を洗浄した。
このように、酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより活性炭を洗浄するようにしのたで、活性炭に吸着した汚れ成分を活性な酸素ラジカル(・O)で酸化分解して洗浄することにより、活性炭を900℃などの高温で賦活・再生するよりも簡易で且つ経済的に再生することが出来た。
〔実施形態4〕
【0027】
この実施形態の土壌洗浄方法は、前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルにより土壌中の重金属類その他の有害物質を遊離させた。
すなわち、酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカル(・O)により、土壌中の有機物を分解することによって、土壌から重金属類その他の有害物質を遊離させるようにすると、単なる電解水を用いた場合と比し、土壌中の有機物に対する酸素ラジカル(・O)の強い酸化分解作用によって、土壌からの有害物質の遊離作用、剥離作用に優れたものとすることが出来た。
【実施例0028】
酸素ラジカル生成方法により、水中にオゾン(O3)を圧入して電気分解し、前記オゾン(O3)から酸素ラジカル(・O)を造成させた。この土壌洗浄方法では、前記酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカル(・O)により、土壌中の重金属類その他の有害物質としてヒ酸、亜ヒ酸を遊離させるようにした。
具体的には、酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカルに(・O)より、土壌中の有機物を分解することによって、土壌からヒ酸、亜ヒ酸を遊離させるようにしたので、単なる電解水を用いた場合と比し、土壌中の有機物に対する酸素ラジカル(・O)の強い酸化分解作用によって、土壌からのヒ酸、亜ヒ酸の遊離作用、剥離作用に優れたものとすることが出来た。
【0029】
図1に示すように、電解槽1の水中にオゾン(O3)を圧入(図示せず)して電解機構2により電気分解し、前記オゾンから酸素ラジカル(・O)を造成させるようにした。これにより、酸素ラジカル(・O)水を生成した。
そして、有害物質(ヒ酸、亜ヒ酸)が収着した汚染土壌3を、前記酸素ラジカル(・O)水と酸性水(HCl含有水)が及ぼされる酸洗浄域4から、酸素ラジカル(・O)水とアルカリ性水(NaOH含有水)が及ぼされるアルカリ洗浄域5へと移行せしめるようにした。
前記各洗浄域は、土壌中の粘土・シルトが透過できる貫通部(75μm間隙のSi-C製ウエッジワイヤー)を有する分級機構(筒状の回転スクリーン)6(三連並列とした)から構成した。このSi-C(炭化ケイ素)はダイヤモンドに次いで硬度が高い素材であり、耐摩耗性に優れまた耐熱性にも優れる。
【0030】
すなわち、汚染土壌333は筒状の分級機構6の内部に供給し、図示右方向に移動して右端部から排出されるようにした。この分級機構6の貫通部の75μmの間隙が、土壌の篩として機能する。
そして、回転スクリーンの目を透過した75μm以下の土壌には、有害物質(ヒ酸、亜ヒ酸)が収着した粘土・シルトが含まれており、これを酸性水横溢槽7とアルカリ性水横溢槽8に移行させ、それぞれの底部から粘土・シルトを沈降分離して取り出した。
一方、酸性水横溢槽7とアルカリ性水横溢槽8から横溢した洗浄水は、中間槽9で合流させて、水処理機構10へと移送するようにしている。この水処理機構10は、活性炭吸着濾過(流動床、固定床)と電気分解とフィード・バック処理とを複合させたもので、且つ活性炭を同時に再生できるようにしており、処理後の清浄水は再び電解槽1に送って土壌洗浄用に再利用するようにしている。
【0031】
また、沈降分離して取り出した粘土・シルトは熱処理装置11に移送し、約400℃で有害分(ヒ酸、亜ヒ酸)を揮発させて回収・固化し、ガラス質(SiO2)内部に封じ込めた。一方、75μm間隙の回転スクリーンの筒体の内部から横方向に排出(図示右方向)された土壌は清浄であった(埋め戻し可能土壌、pH中性)。
このように、酸素ラジカル生成方法で造成した酸素ラジカル(・O)により土壌中の有害物質(ヒ酸、亜ヒ酸)を遊離させるようにしたので、単なる電解水を用いた場合と比し、土壌中の有機物に対する酸素ラジカル(・O)の酸化分解作用によって土壌からのヒ酸、亜ヒ酸の遊離作用、剥離作用に優れたものとすることが出来た。
【産業上の利用可能性】
【0032】
オゾンよりも強い活性を発揮することができる酸素ラジカル生成方法を提供することが出来ることによって、種々の排水処理方法その他の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
11 熱処理装置
図1