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  • 特開-記録装置および制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040803
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】記録装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/32 20060101AFI20230315BHJP
   B41J 11/44 20060101ALI20230315BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20230315BHJP
   B41J 15/06 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
B41J2/32 Z
B41J11/44
B41J11/70
B41J15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147970
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林田 洋一
【テーマコード(参考)】
2C058
2C060
2C065
【Fターム(参考)】
2C058AB15
2C058AB17
2C058AC06
2C058AC12
2C058AD06
2C058AE00
2C058AE14
2C058AF20
2C058AF23
2C058AF31
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA24
2C058LA26
2C058LA28
2C058LB09
2C058LB17
2C058LB36
2C058LC02
2C058LC12
2C058LC16
2C060BC02
2C060BC03
2C060BC04
2C060BC12
2C065AA01
2C065AD02
2C065AD07
2C065CZ04
2C065CZ09
(57)【要約】
【課題】被記録媒体の搬送動作に応じて、被記録媒体への記録を行う記録手段の駆動を制御する記録装置を提供する。
【解決手段】記録装置は、被記録媒体への記録を行う記録手段と、前記記録手段を駆動信号により駆動させる記録制御手段と、前記被記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段をクロック信号により駆動させる搬送制御手段とを備える。前記記録制御手段は、前記被記録媒体の搬送動作が所定の条件を満たす場合、後続する記録において前記駆動信号を前記クロック信号に対して遅延させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体への記録を行う記録手段と、
前記記録手段を駆動信号により駆動させる記録制御手段と、
前記被記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段をクロック信号により駆動させる搬送制御手段と、
を備え、
前記記録制御手段は、前記被記録媒体の搬送動作が所定の条件を満たす場合、後続する記録において前記駆動信号を前記クロック信号に対して遅延させる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記所定の条件とは、前記被記録媒体の搬送動作が停止していることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記被記録媒体を切断する切断手段、をさらに備え、
前記被記録媒体の搬送動作が停止した状態においては、前記切断手段による切断が行われている、
ことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記後続する記録とは、前記搬送動作の再開後の1ドット目の記録であることを特徴とする請求項2又は3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記被記録媒体の搬送速度を判定する判定手段、をさらに備え、
前記所定の条件とは、前記被記録媒体の搬送速度が所定速度より遅いと判定されることであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記記録制御手段は、前記クロック信号のエッジに対して、該クロック信号のパルス幅内において前記駆動信号を遅延させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記搬送制御手段は、ステッピングモータであり、
前記記録制御手段により遅延した駆動信号による駆動時の前記ステッピングモータの振動量は、前記記録制御手段により遅延する前の駆動信号による駆動時の前記ステッピングモータの振動量よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記被記録媒体の搬送動作が前記所定の条件を満たさない場合、前記記録制御手段は、前記駆動信号を前記クロック信号と同期させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記記録手段はサーマルヘッドであり、前記駆動信号はヒータ駆動信号であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記被記録媒体は、チューブ、ラベルの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項11】
記録装置において実行される制御方法であって、
被記録媒体への記録を行う記録手段を駆動信号により駆動させる記録制御工程と、
前記被記録媒体を搬送する搬送手段をクロック信号により駆動させる搬送制御工程と、
を有し、
前記記録制御工程では、前記被記録媒体の搬送動作が所定の条件を満たす場合、後続する記録において前記駆動信号を前記クロック信号に対して遅延させる、
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体への記録を行う記録装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、チューブやラベル等の連続する被記録媒体を搬送して印刷し、指定の長さで被記録媒体を切断するサーマルプリンタが知られている。このようなサーマルプリンタでは、被記録媒体を切断する際に搬送を停止する必要があるが、連続する被記録媒体の場合には被記録媒体を切断するタイミングで次の印刷を行っている場合がある。そのため、切断の前後で搬送の減速、停止、加速を行いながら画像形成を行う必要がある。
【0003】
サーマルプリンタでは、印刷品質が蓄熱の影響の変化を受けやすいため、印刷速度の変化に応じた制御が行われている。特許文献1では、サーマルヘッドの通電履歴に基づき履歴係数を設定し、印刷速度が減速状態であるときには履歴係数を大きくする制御を行うことで、サーマルヘッドの駆動信号の長さを設定して通電時間を制御することが記載されている。
【0004】
ところで、印刷速度を可変させながら印刷を行うサーマルプリンタにおいて、サーマルヘッドの駆動信号と、搬送部を駆動するステッピングモータのクロック信号とを同期させる制御が行われることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-55239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
被記録媒体の搬送等に用いられるステッピングモータは、停止している状態から起動する際に振動が大きくなるという特性がある。例えば被記録媒体を切断するタイミングでは一度搬送を停止する必要があり、搬送再開と同時に画像形成を行う必要がある。その場合、ステッピングモータの振動が大きくなり、被記録媒体の位置がずれた状態でサーマルヘッドが加熱されると、適切に画像形成が行われず、白スジや濃度ムラが発生してしまう。
【0007】
本発明は、被記録媒体の搬送動作に応じて、被記録媒体への記録を行う記録手段の駆動を制御する記録装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る記録装置は、被記録媒体への記録を行う記録手段と、前記記録手段を駆動信号により駆動させる記録制御手段と、前記被記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段をクロック信号により駆動させる搬送制御手段と、を備え、前記記録制御手段は、前記被記録媒体の搬送動作が所定の条件を満たす場合、後続する記録において前記駆動信号を前記クロック信号に対して遅延させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被記録媒体の搬送動作に応じて、被記録媒体への記録を行う記録手段の駆動を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】記録装置の構成を示す図である。
図2】記録装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】印刷処理を示すフローチャートである。
図4】サーマルヘッドのヒータ駆動信号の駆動タイミングを示す図である。
図5】印刷処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、記録装置1の構成の一例を示す図である。記録装置1は、長尺被記録媒体(以下、被記録媒体と呼ぶ)に対して記録を行う記録装置であり、例えば、熱転写方式の記録機構を用いた、チューブ11またはラベルテープに印刷を行う記録装置である。記録装置1の機台1にはアルファベット等の文字入力や印刷実行等の指示を与えるキーボード2(入力部)、入力された文字や操作者による実行可能な指示を表示する表示部3(液晶ディスプレイ)、印刷部4、が構成されている。印刷部4には、プラテンローラ5、サーマルヘッド6、チューブやラベルテープをカットするカッター9等が構成されている。
【0013】
また、印刷部4の上流側には、被記録媒体をサーマルヘッド6に向けて搬送する一対の搬送ローラ13が構成されている。また、印刷部4には、サーマルヘッド6の下流側においてプラテンローラ5と対になり、被記録媒体をカッター9に向けて搬送するローラ14、インクリボンカセット12が構成されている。また、不図示であるが、印刷部4には、被記録媒体11の先端及び後端を検知するセンサ、プラテンローラ5と搬送ローラ13の回転とインクリボン巻取りの駆動を行なうためのステッピングモータ、サーマルヘッド6とカッター9の駆動を行うためのステッピングモータが構成されている。カッター9は、被記録媒体を切断する切断機構であり、例えばカッター9の受け台(不図示)に応じてハーフカット(半切り)とフルカット(全切り)のいずれかが選択可能なように構成されている。
【0014】
図2は、記録装置1の電気的構成を示すブロック図である。CPU21は、記録装置1全体の制御を行う。ROM18は、汎用的なROM(Read Only Memory)であり、画像形成を行うための各種プログラムやデータ等を記憶する。例えば、図4に示すようなヒータ駆動信号のタイミングに関するデータが記憶されている。RAM19は、汎用的なRAM(Random Access Memory)であり、例えばROM18から読み出したプログラムが保持され、記録処理の過程で発生する処理データや演算結果が随時格納される。本実施形態における記録装置1の動作は、例えば、CPU21がROM18に記憶されたプログラムをRAM19に読み出して実行することにより実現される。
【0015】
表示部コントローラ20は、CPU21の指示により、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示部3の表示を制御する。サーマルヘッド制御回路17は、CPU21の指示により、サーマルヘッド6の駆動を制御する。モータ制御回路16は、CPU21の指示により、記録装置1の各部に設けられたステッピングモータ15の駆動を制御する。ステッピングモータ15には、上述の、プラテンローラ5と搬送ローラ13の回転とインクリボン巻取りの駆動を行なうためのステッピングモータ、サーマルヘッド6とカッター9の駆動を行うためのステッピングモータが含まれる。なお、不図示であるが、ステッピングモータ15には、搬送ローラ等が接続されており、モータ制御回路16により被記録媒体の搬送制御が行われる。センサ類22は、記録装置1内に設けられた各種センサを含み、例えば、搬送路上での被記録媒体の有無を検出するセンサを含む。
【0016】
キーボード2、サーマルヘッド制御回路17、モータ制御回路16、ROM18、RAM19、表示部コントローラ20、センサ類22は、例えば内部バスを介してCPU21との間のデータやコマンドの送受信を行う。なお、記録装置1の構成は、図1及び図2に示す構成に限られず、記録装置1が実現可能な機能に応じた構成を適宜含み得る。
【0017】
次に、本実施形態における印刷処理について図3のフローチャートを参照しながら説明する。図3の処理は、例えば、CPU21がROM18に記憶されたプログラムをRAM19に読み出して実行することにより実現される。
【0018】
S101において、CPU21は、キーボード2及び表示部3を介してユーザにより設定された印刷設定を受け付ける。ここで、印刷設定は、使用する被記録媒体に関する設定、ハーフカットの有無の設定を含む。S102において、CPU21は、ユーザによるキーボード2を介した印刷開始指示の操作を検出すると、印刷を開始する。
【0019】
S103において、CPU21は、S101で受け付けた印刷設定に基づいて、ハーフカットの設定の有無を判定する。ここで、ハーフカットの設定が有ると判定された場合、S104に進む。一方、ハーフカットの設定がないと判定された場合、S111に進む。
【0020】
S104において、CPU21は、被記録媒体を印刷位置へ搬送するようモータ制御回路16を制御する。なお、印刷位置とは、プラテンローラ5とサーマルヘッド6の間の画像形成が行われる位置をいう。S104の後、S105において、CPU21は、画像形成を開始する。
【0021】
S106において、CPU21は、本画像形成中に、ハーフカットを実行するか否かを判定する。例えば、1ページ分の印刷データのうちハーフカットを実行する箇所が印刷位置まで搬送されたことに基づいて、ハーフカットを実行すると判定される。ハーフカットを実行すると判定された場合、S107において、CPU21は、被記録媒体の搬送を一旦停止し、ハーフカット動作を行うようカッター9を制御する。
【0022】
S107でハーフカット動作が終了すると、S108において、CPU21は、被記録媒体の搬送と画像形成を再開する。本実施形態では、CPU21は、搬送動作再開後の後続する1ドット目の画像形成においては、ステッピングモータ15のクロック信号の1クロック目に対して遅延時間を設けて(遅延するように)、サーマルヘッド6のヒータ駆動信号を駆動させるよう記録制御を行う。そして、S109において、CPU21は、搬送動作再開後の2ドット目以降の画像形成においては、ステッピングモータ15のクロック信号とサーマルヘッド6のヒータ駆動信号を同じタイミングで駆動させる(同期)よう記録制御を行い、1ページの画像形成を終了させる。
【0023】
S110において、CPU21は、次ページの印刷データの有無を判定する。ここで、次ページの印刷データが有ると判定された場合、S104からの処理を繰り返す。一方、次ページの印刷データがないと判定された場合、図3の処理を終了する。図3の処理の終了後は、例えば、被記録媒体のフルカットや排出処理が行われる。
【0024】
このように、本実施形態においては、S103でハーフカット設定があると判定された場合、搬送再開後の再開後の1ドット目の画像形成においては、ステッピングモータ15のクロック信号の1クロック目に対して遅延するように、サーマルヘッド6のヒータ駆動信号が制御される。
【0025】
S103でハーフカットの設定が無いと判定された場合、S111において、CPU21は、被記録媒体を印刷位置へ搬送するようモータ制御回路16を制御する。そして、S112において、CPU21は、1ページ分の印刷データに基づいて、画像形成を開始し、S113において、1ページ分の印刷データに基づく画像形成を終了する。
【0026】
S114において、CPU21は、次ページの印刷データの有無を判定する。ここで、次ページの印刷データが有ると判定された場合、S111からの処理を繰り返す。一方、次ページの印刷データがないと判定された場合、図3の処理を終了する。図3の処理の終了後は、例えば、被記録媒体のフルカットや排出処理が行われる。
【0027】
本実施形態では、S103でハーフカット設定が無いと判定された場合は画像形成中に搬送が停止することは無いため、ステッピングモータ15のクロック信号とサーマルヘッド6のヒータ駆動信号を同じタイミングで駆動させ、画像形成が行われる。
【0028】
次に、図3の処理に伴うステッピングモータ15のクロック信号とサーマルヘッド6のヒータ駆動信号の駆動タイミングと、図3の処理による効果を説明する。
【0029】
図4は、ステッピングモータ15のクロック信号と、サーマルヘッド6のヒータ駆動信号の駆動タイミングを示す図である。また、図4の最下段には、ステッピングモータ15のクロック信号の周期的な入力に伴って、ステップ角度が進んでいく様子が示されている。
【0030】
CPU21からモータ制御回路16にクロック信号が入力されると、1パルス入力されるごとに1ステップ分の角度だけステッピングモータ15のモータ出力軸が回転する。そして、モータ出力軸に対してギアを介して連結されたプラテンローラ5及び搬送ローラ13が回転することで、被記録媒体の搬送制御が行われる。画像形成を行う際は、クロック信号と同じタイミングでサーマルヘッド制御回路17に対し、サーマルヘッド6に通電するためのヒータ駆動信号が入力される。ヒータ駆動信号が入力されている間、サーマルヘッド6が加熱され、インクリボンのインクを被記録媒体に転写することで画像形成が行われる。
【0031】
搬送動作が停止した状態からステッピングモータ15の起動を行う場合、モータ制御回路16にクロック信号が入力され、ステッピングモータ15が1ステップ分の角度だけ回転するが、モータ起動時には、発生する振動がより大きくなる。そのため、モータ回転開始後は、ステッピングモータ15は、すぐに停止せず、振動しながら停止位置に収束していく。つまり、図4に示すように、搬送動作再開後のヒータ駆動時の振動401の振動量は、搬送動作中の振動402の振動量よりも、振動幅、収束時間が大きくなる。ここで、ステッピングモータ15のクロック信号と同じタイミングでヒータ駆動信号を入力するとした場合、ステッピングモータ15が振動している状態でインクリボンが加熱されることになる。その結果、被記録媒体に正しく転写されずに、画像形成結果として白スジのような状態が現れることになる。
【0032】
そこで、本実施形態では、クロック信号の入力(立ち上がりエッジ)に対し遅延時間403だけ、ヒータ駆動信号を遅延させて入力させる。その結果、ステッピングモータ15の振動が大きい領域による影響を低減できるように画像形成を行うことができる。また、インクリボンのインクを被記録媒体に転写するためには、ヒータ駆動信号を一定時間以上入力する必要がある。ステッピングモータ15の起動は、通常搬送を行っている一定速度に対し、低速から加速していく状態となる。そのため、起動時の低速状態であれば、必要なヒータ駆動信号の長さに対し、ステッピングモータ15の1パルス幅は十分に長い。そのため、ヒータ駆動信号を遅延させても、次のステップの角度に回転する前に、即ちパルス幅内でヒータ駆動信号を入力することが十分に可能となる。
【0033】
[第2実施形態]
以下、第1実施形態と異なる点について第2実施形態を説明する。第1実施形態では、搬送動作再開時に、ステッピングモータ15のクロック信号に対してサーマルヘッド6のヒータ駆動信号を遅延させる構成を説明した。本実施形態では、搬送動作が停止していなくても、搬送速度が所定速度よりも低速である場合には、ステッピングモータ15のクロック信号に対して、後続するサーマルヘッド6のヒータ駆動信号を遅延させる。
【0034】
図5は、本実施形態における印刷処理を示すフローチャートである。図5の処理は、例えば、CPU21がROM18に記憶されたプログラムをRAM19に読み出して実行することにより実現される。
【0035】
S201において、CPU21は、ユーザによるキーボード2を介した印刷開始指示の操作を検出すると、印刷を開始する。S202において、CPU21は、被記録媒体の搬送速度が所定速度未満であるか否かを判定する。例えば、CPU17は、センサ類22からの検知信号に基づいて、ステッピングモータ15の回転速度を監視しており、被記録媒体の搬送速度が400pps(Pulses Per Sec)未満であるか否かを判定する。搬送速度が所定速度未満であると判定された場合、S203において、CPU21は、モータ制御回路16に入力するクロック信号に対し、ヒータ駆動信号を遅延させて入力させるように制御することで画像形成を行う。
【0036】
S204において、CPU21は、次ライン(次ページ)の印刷データがあるか否かを判定する。次ライン(次ページ)の印刷データがあると判定された場合、S202からの処理を繰り返す。一方、次ライン(次ページ)の印刷データがないと判定された場合、図5の処理を終了する。図5の処理の終了後は、例えば、被記録媒体のフルカットや排出処理が行われる。
【0037】
S202で被記録媒体の搬送速度が所定速度未満でない、即ち、所定速度以上であると判定された場合、S205において、CPU21は、モータ制御回路16に入力するクロック信号と同じタイミングでヒータ駆動信号を入力させるよう制御することで画像形成を行う。S205において、CPU21は、次ライン(次ページ)の印刷データがあるか否かを判定する。次ライン(次ページ)の印刷データがあると判定された場合、S202からの処理を繰り返す。一方、次ライン(次ページ)の印刷データがないと判定された場合、図5の処理を終了する。図5の処理の終了後は、例えば、被記録媒体のフルカットや排出処理が行われる。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、被記録媒体の搬送速度を監視し、印刷対象の画像単位ごとに、被記録媒体の搬送速度が条件を満たすのであれば、ステッピングモータ15のクロック信号に対してサーマルヘッド6のヒータ駆動信号を遅延させる。ステッピングモータ15の振動が比較的大きい、即ち搬送速度が低速の状態では、ヒータ駆動に必要な時間に対しモータの1パルス幅が長くヒータ駆動信号を遅延させることが可能である。そのため、ヒータ駆動信号をステッピングモータ15のクロック信号に対して遅延させることでステッピングモータ15の振動による影響を低減させることができる。一方、搬送速度が比較的高速の状態では、ヒータ駆動に必要な時間に対しモータの1パルス幅が短くなりヒータ駆動信号を遅延させることが難しい。しかしながら、そもそも高速の状態では振動が小さくなるため、ヒータ駆動信号を遅延させなくとも、上述したような画質の劣化が発生することを考慮しなくても良い。
【0039】
発明は上記の各実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 記録装置: 2 キーボード: 3 表示部: 4 印刷部: 5 プラテンローラ: 6 サーマルヘッド: 9 カッター: 17 CPU
図1
図2
図3
図4
図5