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特開2023-4081ステンレス鋼複合材、車両用外装部品、ステンレス鋼複合材製造方法及び車両用外装部品の製造方法
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  • 特開-ステンレス鋼複合材、車両用外装部品、ステンレス鋼複合材製造方法及び車両用外装部品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004081
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】ステンレス鋼複合材、車両用外装部品、ステンレス鋼複合材製造方法及び車両用外装部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20230110BHJP
   B60J 10/75 20160101ALI20230110BHJP
   B32B 15/18 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B60R13/04 B
B60J10/75
B32B15/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105568
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】竪谷 薫
(72)【発明者】
【氏名】田中 渉
【テーマコード(参考)】
3D023
3D201
4F100
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AB01
3D023AC03
3D023AD03
3D023AD04
3D023AD07
3D201AA21
3D201AA24
3D201BA01
3D201CA20
3D201CA23
3D201DA27
3D201DA31
4F100AB04A
4F100AK52B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA44A
4F100EH46
4F100EJ86
4F100GB32
4F100JB06B
(57)【要約】
【課題】ステンレス鋼基材の表面に設けられた酸化被膜層に保護フィルムの接着剤が視認可能に残存することを抑止可能とする。
【解決手段】ステンレス鋼複合材100であって、表面に光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層111が設けられたステンレス鋼からなるステンレス鋼基材110と、少なくとも酸化被膜層111の表面に形成された撥水被膜120とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層が設けられたステンレス鋼からなるステンレス鋼基材と、
少なくとも前記酸化被膜層の表面に形成された撥水被膜と
を備えることを特徴とするステンレス鋼複合材。
【請求項2】
前記撥水被膜がシリコーンを含むことを特徴とする請求項1記載のステンレス鋼複合材。
【請求項3】
請求項1または2記載の前記ステンレス鋼複合材を含む、あるいは、請求項1または2記載の前記ステンレス鋼複合材からなることを特徴とする車両用外装部品。
【請求項4】
表面に光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層が設けられたステンレス鋼からなるステンレス鋼基材を形成するステンレス鋼基材形成工程と、
少なくとも前記酸化被膜層の表面に撥水被膜を形成する撥水被膜形成工程と
を有することを特徴とするステンレス鋼複合材製造方法。
【請求項5】
表面に光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層が設けられたステンレス鋼からなるステンレス鋼基材を形成するステンレス鋼基材形成工程と、
少なくとも前記酸化被膜層の表面に撥水被膜を形成する撥水被膜形成工程と、
前記撥水被膜を介して前記ステンレス鋼基材の表面を覆う保護テープを貼付する保護テープ貼付工程と
を有することを特徴とする車両用外装部品の製造方法。
【請求項6】
前記保護テープが貼付されていない前記ステンレス鋼基材を加熱する加熱工程と、
加熱された前記ステンレス鋼基材を成形する成形工程と
を有することを特徴とする請求項5記載の車両用外装部品の製造方法。
【請求項7】
前記撥水被膜形成工程では、前記成形工程で成形された前記ステンレス鋼基材に処理液を付着させることによって前記撥水被膜を形成することを特徴とする請求項6記載の車両用外装部品の製造方法。
【請求項8】
前記成形工程で成形された前記ステンレス鋼基材を冷却する冷却液が前記処理液であることを特徴とする請求項7記載の車両用外装部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステンレス鋼複合材、車両用外装部品、ステンレス鋼複合材製造方法及び車両用外装部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、車両のドア枠には、金属製のサッシュモールが設けられる場合がある。このようなサッシュモールは、例えばステンレス鋼によって形成されている。また、特許文献2に開示されているように、車両のドアパネルには、金属製の芯材が露出されたアウトサイドモールが設けられる場合がある。このようなアウトサイドモールの芯材も、例えばステンレス鋼によって形成される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-72383号公報
【特許文献2】実開平7-5847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ステンレス鋼の表面に光の干渉作用に基づく干渉色を発現させる酸化被膜層を形成することで、ステンレス鋼に干渉色を付与することができる。上述のようにサッシュモールやアウトサイドモール等の車両用外装部品にはステンレス鋼によって形成された部品が多く用いられている。干渉色が付与されたステンレス鋼を用いることで優れた意匠性が得られる。
【0005】
このような車両用外装部品に用いられるステンレス鋼の表面には、輸送中や車両取り付け時における傷付きを防止するための保護テープが貼付されることが一般的である。このような保護テープは、作業者が容易に保護テープを剥がすことが可能な程度の接着力でステンレス鋼に貼付されている。ところが、ステンレス鋼の表面に酸化被膜層が露出していると、保護テープの接着剤が、例えば酸化被膜層表面の凹凸構造に入り込む等により、保護テープの剥離後にステンレス鋼の表面に視認可能に残存する場合がある。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ステンレス鋼基材の表面に設けられた酸化被膜層に保護フィルムの接着剤が視認可能に残存することを抑止可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
本発明の第1の態様は、ステンレス鋼複合材であって、表面に光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層が設けられたステンレス鋼からなるステンレス鋼基材と、少なくとも上記酸化被膜層の表面に形成された撥水被膜とを備えるという構成を採用する。
【0009】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記撥水被膜がシリコーンを含むという構成を採用する。
【0010】
本発明の第3の態様は、車両用外装部品であって、上記第1の態様または上記第2の態様である上記ステンレス鋼複合材を含む、あるいは、上記第1の態様または上記第2の態様の上記ステンレス鋼複合材からなるという構成を採用する。
【0011】
本発明の第4の態様は、ステンレス鋼複合材製造方法であって、表面に光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層が設けられたステンレス鋼からなるステンレス鋼基材を形成するステンレス鋼基材形成工程と、少なくとも上記酸化被膜層の表面に撥水被膜を形成する撥水被膜形成工程とを有するという構成を採用する。
【0012】
本発明の第5の態様は、車両用外装部品の製造方法であって、表面に光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層が設けられたステンレス鋼からなるステンレス鋼基材を形成するステンレス鋼基材形成工程と、少なくとも上記酸化被膜層の表面に撥水被膜を形成する撥水被膜形成工程と、上記撥水被膜を介して上記ステンレス鋼基材の表面を覆う保護テープを貼付する保護テープ貼付工程とを有するという構成を採用する。
【0013】
本発明の第6の態様は、上記第5の態様において、上記保護テープが貼付されていない上記ステンレス鋼基材を加熱する加熱工程と、加熱された上記ステンレス鋼基材を成形する成形工程とを有するという構成を採用する。
【0014】
本発明の第7の態様は、上記第6の態様において、上記撥水被膜形成工程では、上記成形工程で成形された上記ステンレス鋼基材に処理液を付着させることによって上記撥水被膜を形成するという構成を採用する。
【0015】
本発明の第8の態様は、上記第7の態様において、上記成形工程で成形された上記ステンレス鋼基材を冷却する冷却液が上記処理液であるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、酸化被膜層の表面に撥水被膜が設けられることから、保護テープをステンレス鋼複合材の表面に貼付した場合であっても、保護テープの接着剤が酸化被膜層の凹部に進入することを抑止することができる。したがって、本発明によれば、ステンレス鋼基材の表面に設けられた酸化被膜層に保護フィルムの接着剤が視認可能に残存することを抑止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態におけるステンレス鋼複合材の概略構成を示す模式図であり、(a)が平面図であり、(b)が(a)のA-A断面図である。
図2】本発明の第1実施形態におけるステンレス鋼複合材を用いたサッシュモール及びアウトサイドモールを備える車両の側面図である。
図3】アウトサイドモールの断面図である。
図4】アウトサイドモールの製造工程を示すフローチャートである。
図5】サッシュモールの断面図である。
図6】サッシュモールの製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係るステンレス鋼複合材、車両用外装部品、ステンレス鋼複合材製造方法及び車両用外装部品の製造方法の一実施形態について説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のステンレス鋼複合材100の概略構成を示す模式図であり、(a)が平面図であり、(b)が(a)のA-A断面図である。本実施形態のステンレス鋼複合材100は、例えば車両用の部品として用いられる。ただし、本実施形態のステンレス鋼複合材100は、車両以外に設けられる部品に用いることも可能である。
【0020】
本実施形態のステンレス鋼複合材100は、板状の部材であり、表面101が意匠面とされている。図1(a)においては、ステンレス鋼複合材100の表面101側が図示されている。また、図1(b)においては、ステンレス鋼複合材100の表面101側の一部が図示されている。
【0021】
図1(b)に示すように、本実施形態のステンレス鋼複合材100は、ステンレス鋼基材110と、撥水被膜120とを有している。ステンレス鋼基材110は、ステンレス鋼によって形成された基材であり、表面の全範囲に対して酸化被膜層111を有している。なお、ステンレス鋼基材110のうち、酸化されていない基材厚さ方向における中央部(酸化被膜層111ではない部位)については、基材基部112と称する。
【0022】
この酸化被膜層111は、光の干渉作用に基づく干渉色を発現するための層であり、表面に開口された多数の凹部を有している。なお、光の干渉作用に基づく干渉色を発現するとは、外部から視認する者に対して、干渉現象により強められた波長に基づく色調を感じさせることを意味する。つまり、干渉色を発現する酸化被膜層111が設けられることにより、外部の者は、ステンレス鋼複合材100の酸化被膜層111を特定の色調にて視認する。なお、酸化被膜層111の膜厚寸法によって、酸化被膜層111が発現する干渉色の色調が変化する。このため、酸化被膜層111の膜厚寸法を変更することで、外部の者が視認する酸化被膜層111の色調を変化させることができる。このような酸化被膜層111は、例えば黒、赤、緑、青等の任意の色調の干渉色を膜厚寸法に応じて発現可能である。
【0023】
撥水被膜120は、酸化被膜層111の表面を覆うように設けられている。撥水被膜120は、例えばシリコーンを含有するワックスが混合された処理液を乾燥させることによって形成されている。シリコーンは、このような撥水被膜120は、酸化被膜層111の凹部に保護テープの接着剤が進入することを抑止する。
【0024】
なお、撥水被膜120は、酸化被膜層111が発現する干渉色の色調に影響を与えない透明とすることができる。このように撥水被膜120が透明である場合には、外部の者が視認するステンレス鋼複合材100の色調が、酸化被膜層111が発現する干渉色の色調から大きく外れることを防止することが可能である。
【0025】
このような本実施形態のステンレス鋼複合材100の製造方法(ステンレス鋼複合材製造方法)では、まず、ステンレス鋼基材110を用意する。なお、一般的に、ステンレス鋼基材110の表面には、自然酸化被膜が形成されている。このため、必要に応じて自然酸化被膜を除去する。
【0026】
続いて、ステンレス鋼基材110の表面に、光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層111を形成する。例えば、ステンレス鋼基材110を発色処理液に浸漬して酸化被膜を形成する。その後、必要に応じて酸化被膜を硬化処理することで酸化被膜層111を形成する。つまり、光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層111は、いわゆる酸性酸化法によって形成することができる。ただし、酸化被膜層111の形成方法は、他の方法であっても良い。このような工程は、ステンレス鋼からなるステンレス鋼基材110の表面に光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層111を形成する酸化被膜層形成工程に相当する。
【0027】
続いて、酸化被膜層111の表面に撥水被膜120を形成する。例えば、ステンレス鋼基材110の表面に水性のシリコーンワックスが混合された処理液を付着させる。処理液は、ステンレス鋼基材110の表面に噴き付けることで付着させても良いし、ステンレス鋼基材110を処理液に浸漬することで付着させても良い。続いて、処理液を乾燥させることによって撥水被膜120を形成する。なお、処理液の乾燥は、自然乾燥であっても良いし、加熱乾燥であっても良い。このような工程は、酸化被膜層111の表面に撥水被膜120を形成する撥水被膜形成工程に相当する。
【0028】
なお、酸化被膜層111は、必ずしもステンレス鋼基材110の表面の全体に形成する必要はない。ステンレス鋼基材110の表面に一部のみに酸化被膜層111を形成しても良い。この場合、撥水被膜120は、例えば酸化被膜層111が設けられていないステンレス鋼基材110の領域にも形成される。ただし、酸化被膜層111が設けられていないステンレス鋼基材110の表面にマスク処理をし、酸化被膜層111が設けられていない領域に撥水被膜120を形成しない構成とすることも可能である。
【0029】
上述のような工程を経ることによって本実施形態のステンレス鋼複合材100が形成される。この本実施形態のステンレス鋼複合材100は、表面に光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層111が設けられたステンレス鋼からなるステンレス鋼基材110と、少なくとも酸化被膜層111の表面に形成された撥水被膜120とを備えている。このような本実施形態のステンレス鋼複合材100によれば、酸化被膜層111の表面に撥水被膜120が設けられることから、保護テープをステンレス鋼複合材100の表面に貼付した場合であっても、保護テープの接着剤が酸化被膜層111の凹部に進入することを抑止することができる。したがって、本実施形態のステンレス鋼複合材100及びステンレス鋼複合材100の製造方法によれば、ステンレス鋼基材110の表面に設けられた酸化被膜層111に保護フィルムの接着剤が視認可能に残存することを抑止することが可能になる。
【0030】
また、本実施形態のステンレス鋼複合材100においては、撥水被膜120がシリコーンを含んでいる。このようなシリコーンを含む撥水被膜120によれば、より確実に保護テープの接着剤が凹部に進入することを抑止することが可能になる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0032】
図2は、車両30の側面図である。車両30には、フロントドア31、リアドア32及びリアサイドガラス33が設けられている。また、車両30には、アウトサイドモール10(車両用外装部品)やサッシュモール20(車両用外装部品)が設けられている。
【0033】
アウトサイドモール10は、フロントドア31とリアドア32との各々に設けられており、昇降式ウィンドウの下端部に配置されている。このアウトサイドモール10には、外部に露出した芯材2(図3参照)を有している。本実施形態においては、このようなアウトサイドモール10の芯材2に、上記第1実施形態のステンレス鋼複合材100が用いられている。
【0034】
図3は、アウトサイドモール10の断面図である。図3に示すように、本実施形態のアウトサイドモール10が取り付けられるドアパネルPは、上端部が車両の外側から内側に向けて折り返されている。このようにドアパネルPの折り返された部位を、以下、折り返し部Paと称する。ドアパネルPは、上述の折り返し部Paが車両の前後方向における一端から他端まで設けられた形状を有している。
【0035】
本実施形態のアウトサイドモール10は、図3に示すように、芯材2(ステンレス鋼複合材100)と、樹脂部3と、接着層4と、低摩擦層5とを備えている。芯材2は、本実施形態のアウトサイドモール10の剛性を確保するための強度部材であり、ロール成形により形成されたステンレス鋼複合材100からなる部品である。この芯材2は、アウトサイドモール10の延在方向に沿って配設されており、一部が露出状態にて樹脂部3に保持されている。図3に示すように、芯材2は、樹脂部3に埋設された埋設領域2aと、外部に向けて片面が露出された露出領域2bと、露出領域2bの下端部に接続された先端領域2cとを有している。
【0036】
埋設領域2aと先端領域2cとは、ドアパネルPの折り返し部Paを挟むように対向配置されており、埋設領域2aが車内側に配置され、先端領域2cが車外側に配置されている。また、露出領域2bは、埋設領域2aと先端領域2cとを繋ぐように湾曲されている。この露出領域2bは、本実施形態のアウトサイドモール10が車両に装着された状態では、外面が車両外側に向けて露出される領域である。なお、埋設領域2aと先端領域2cとは、本実施形態のアウトサイドモール10が車両に装着された状態では、表面を外部から視認することはできない。
【0037】
樹脂部3は、芯材2を保持しておりかつ芯材2によって支持されており、例えば塩化ビニルによって形成された樹脂製の部材である。この樹脂部3は、芯材2の埋設領域2aが内部に配設された基部3aと、芯材2の傾倒を防止する傾倒防止部3bと、車内側に突出する2つのリップ3cと、上方に突出する装飾リップ3dと、緩衝リップ3eとを有している。
【0038】
基部3aは、芯材2の埋設領域2aを表裏面両側から覆うように設けられている。この基部3aのドアパネルP側に突出して設けられた内側パネル当接部3a1を有している。内側パネル当接部3a1は、傾倒防止部3bに対向配置されており、傾倒防止部3bと共にドアパネルPを挟持する。これらの内側パネル当接部3a1と傾倒防止部3bとの隙間にドアパネルPが差し込まれると、傾倒防止部3bの後述する内部リップ3b1が弾性変形し、内部リップ3b1の復元力によりドアパネルPが保持される。つまり、内側パネル当接部3a1と傾倒防止部3bとがドアパネルPを挟持することによって、アウトサイドモール10がドアパネルPに対して固定されている。
【0039】
また、基部3aは、抜け止め部3a2を備えている。抜け止め部3a2は、基部3aの下部に車外側に突出するように設けられており、折り返し部Paを形成するために下方に向けられたドアパネルPの端部Pbに下方から当接する。これによって、アウトサイドモール10がドアパネルPに対して上方に抜けることが防止される。
【0040】
傾倒防止部3bは、ドアパネルPを挟み込むようにして基部3aに対向配置されている。この傾倒防止部3bは、接着層4を介して芯材2の露出領域2bの内壁面に接着されており、芯材2を内側から支持することによって芯材2が傾倒することを防止している。
【0041】
この傾倒防止部3bは、ドアパネルP側に突出して設けられた内部リップ3b1を有している。この内部リップ3b1は、基部3aと傾倒防止部3bとの間に挿入されたドアパネルPに押圧されることによって弾性変形されるリップであり、復元力によってドアパネルPを基部3aと傾倒防止部3bとの間で保持する。
【0042】
リップ3cは、低摩擦層5を介して窓板に当接しており、窓板と本実施形態のアウトサイドモール10との間に雨水等が入り込むことを防止する。また、リップ3cは、窓板の昇降を阻害しない程度の可撓性を有している。
【0043】
装飾リップ3dは、基部3aの上端部に設けられており、基部3aから窓板の方向に突出している部位である。緩衝リップ3eは、芯材2の先端領域に設けられており、ドアパネルPと当接して弾性変形する部位である。この緩衝リップ3eは、ドアパネルPと本実施形態のアウトサイドモール10との間に雨水等が入り込むことを防止すると共に取付時のばらつきを吸収している。また、緩衝リップ3eは、接着層4を介して芯材2の表面に接着されている。
【0044】
接着層4は、芯材2と樹脂部3との間に介挿されており、芯材2と樹脂部3とを接着している。より詳細には、接着層4は、芯材2と樹脂部3の基部3aとの間、芯材2と樹脂部3の傾倒防止部3bとの間、及び、芯材2と樹脂部3の緩衝リップ3eとの間に介挿されている。この接着層4は、例えば熱硬化性の接着剤が加熱されて硬化することによって形成された層である。
【0045】
低摩擦層5は、リップ3cよりも低摩擦なナイロンパイル等を植毛した層であり、リップ3cの表面に形成され、窓板に対して直接当接される。このような低摩擦層5によって、窓板の表面の傷つき等を防止した状態で、本実施形態のアウトサイドモール10を窓板に摺動可能に当接させることができる。
【0046】
図4は、本実施形態のアウトサイドモール10の製造工程(車両用外装部品の製造方法)を示すフローチャートである。この図に示すように、アウトサイドモール10を製造する場合には、まずステンレス鋼基材形成工程を行う(ステップS11)。このステンレス鋼基材形成工程S11では、芯材2に合わせた幅寸法とされたステンレス鋼等からなる帯状のステンレス鋼基材110の表面に上述の酸化被膜層111を形成する。つまり、ステンレス鋼基材形成工程S11では、表面に光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層111が設けられたステンレス鋼からなるステンレス鋼基材110を形成する。このようなステンレス鋼基材110は、フープ材として保管し、必要に応じてフープ材から引き出して用いるようにしても良い。
【0047】
続いて、接着層形成材料塗布工程を行う(ステップS12)。この接着層形成材料塗布工程S12では、ステンレス鋼基材110に対して接着層4の形成材料を塗布する。その後、加熱工程を行う(ステップS13)。ここでは、高周波加熱器等によって接着層4の形成材料及びステンレス鋼基材110を加熱する。なお、加熱工程S13では、ステンレス鋼基材110の表面に保護テープ50が貼付されていない状態で行われる。つまり、保護テープ50は、加熱工程S13の後に貼付される。
【0048】
続いて、成形工程を行う(ステップS14)。成形工程S14では、ステンレス鋼基材110を芯材2の形状に成形する。ここでは、例えばロール成形機を用いて、加熱されたステンレス鋼基材110の形状を芯材2の形状に徐々に成形する。
【0049】
続いて、押出成形工程を行う(ステップS15)。押出成形工程S15では、接着層4の形成材料を塗布したステンレス鋼基材110の表面に対して押出成形により樹脂部3を形成する。このとき、溶融した樹脂により加熱、圧着されることで接着層4の形成材料が樹脂部3に対して固着し、芯材2と樹脂部3とを接着する。
【0050】
続いて、冷却及び撥水被膜形成工程を行う(ステップS16)。冷却及び撥水被膜形成工程S16では、ステンレス鋼基材110、樹脂部3及び接着層4を、撥水被膜120を形成するための処理液に浸漬することで冷却すると共に、その後乾燥させることで撥水被膜120を形成する。つまり、本実施形態においては、成形されたステンレス鋼基材110を冷却するための冷却液が処理液として用いられる。このようにして撥水被膜120が形成されることによって、ステンレス鋼複合材100が形成され、ステンレス鋼複合材100からなる芯材2が形成される。
【0051】
なお、本実施形態においては、樹脂部3がステンレス鋼基材110の表面に設けられている。このため、樹脂部3が設けられた範囲では処理液がステンレス鋼基材110に付着されない。このため、樹脂部3が設けられていない範囲のみに撥水被膜120が形成される。
【0052】
続いて、切断工程が行われる(ステップS17)。この切断工程S17では、芯材2及び樹脂部3をアウトサイドモール10の長さ寸法に合わせて切断する。続いて、植毛工程が行われる(ステップS18)。この植毛工程S18では、リップ3cに対して低摩擦なナイロンパイル等を植毛することで低摩擦層5が形成される。
【0053】
続いて、保護テープ貼付工程が行われる(ステップS19)。この保護テープ貼付工程S19では、芯材2の撥水被膜120が形成された領域である露出領域2bに対して保護テープ50(図3参照)を貼付する。このような保護テープ50が貼付されることで、出荷用のアウトサイドモール10が完成する。なお、保護テープ50は、車両組み立て時に芯材2から剥がされる。
【0054】
以上のような本実施形態のアウトサイドモール10は、ステンレス鋼複合材100を含む車両用外装部品である。このようなアウトサイドモール10によれば、保護テープ50をステンレス鋼複合材100の表面に貼付した場合であっても、保護テープ50の接着剤が酸化被膜層111の凹部に進入することを抑止することができる。したがって、本実施形態のアウトサイドモール10によれば、ステンレス鋼基材110の表面に設けられた酸化被膜層111に保護テープ50の接着剤が視認可能に残存することを抑止することが可能になる。
【0055】
また、このようなアウトサイドモール10の製造方法は、表面に光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層111が設けられたステンレス鋼からなるステンレス鋼基材110を形成するステンレス鋼基材形成工程S11と、少なくとも酸化被膜層111の表面に撥水被膜120を形成する冷却及び撥水被膜形成工程S16と、撥水被膜120を介してステンレス鋼基材110の表面を覆う保護テープ50を貼付する保護テープ貼付工程S19とを有している。このようなアウトサイドモール10の製造方法によれば、保護テープ50の接着剤が酸化被膜層111の凹部に進入することを抑止可能なアウトサイドモール10を製造することができる。したがって、ステンレス鋼基材110の表面に設けられた酸化被膜層111に保護テープ50の接着剤が視認可能に残存することを抑止することが可能になる。
【0056】
また、このようなアウトサイドモール10の製造方法では、保護テープ50が貼付されていないステンレス鋼基材110を加熱する加熱工程S13と、加熱されたステンレス鋼基材110を成形する成形工程S14とを有している。つまり、本実施形態のアウトサイドモール10の製造方法では、ステンレス鋼基材110に対して保護テープ50が貼付されていない状態でステンレス鋼基材110が加熱される。保護テープ50は、ステンレス鋼基材110の加熱や成形の熱や圧力に対する耐久性を有している。しかしながら、保護テープ50を加熱工程で加熱すると、保護テープ50の接着剤が軟化し、ステンレス鋼基材110の表面に残りやすくなる可能性がある。このため、本実施形態のように、ステンレス鋼基材110に対して保護テープ50が貼付されていない状態でステンレス鋼基材110が加熱することで、保護テープ50の接着剤が視認可能に残存することをさらに抑止することが可能になる。
【0057】
また、このようなアウトサイドモール10の製造方法では、冷却及び撥水被膜形成工程S16では、成形工程S14で成形されたステンレス鋼基材110に処理液を付着させることによって撥水被膜120を形成する。このため、簡易な方法で撥水被膜120を形成することが可能である。
【0058】
また、このようなアウトサイドモール10の製造方法では、成形工程S14で成形されたステンレス鋼基材110を冷却する冷却液が撥水被膜120を形成するための処理液であった。このため、ステンレス鋼基材110の冷却と撥水被膜120の形成とを単一の工程で同時に行うことができる。したがって、アウトサイドモール10の製造工程を簡素化することが可能となる。
【0059】
図2に戻り、サッシュモール20は、フロントドア31の上縁部及びリアドア32の上縁部に設けられた長尺状の部材である。本実施形態においては、このようなサッシュモール20に、上記第1実施形態のステンレス鋼複合材100が用いられている。
【0060】
図5は、サッシュモール20の断面図である。なお、図5に示すサッシュモール20の断面形状は一例であって、本発明の車両用外装部品の断面形状は、図5に示す形状に限定されるものではない。
【0061】
図5を参照して、本実施形態においてのサッシュモール20の具体的な形状について説明する。なお、サッシュモール20の取付け姿勢に関わらず、以下の説明においては、図5における下側の下方とし、図5における上側の上方とする。また、後述する意匠部位1aの意匠面1a1が向けられた方向を外側と称し、外側と反対側の方向を内側と称する。
【0062】
図5に示すように、サッシュモール20は、外部から視認可能な意匠面1a1を有する平板状の意匠部位1aを有している。また、サッシュモール20は、意匠部位1aの下端から内側に曲げられた下部湾曲部位1bを有している。この下部湾曲部位1bは、一方側の端部と他方側の端部とのいずれもが上方に向けられるように約180°の範囲で湾曲された部位である。この下部湾曲部位1bの外側に位置する端部は意匠部位1aの下端と接続されている。
【0063】
また、サッシュモール20は、下部湾曲部位1bの他端から上方に直線状に延出する下部端末部位1cを有している。この下部端末部位1cは、図5に示す断面におけるサッシュモール20の一端部からなる部位であり、意匠部位1aの内壁面に対向配置されている。また、サッシュモール20は、意匠部位1aの上端から内側に曲げられた上部湾曲部位1dを有している。この上部湾曲部位1dは、一方側の端部が意匠部位1aの上端と接続され、他方側の端部が内側かつ水平方向に向けられるように約90°の範囲で湾曲された部位である。
【0064】
また、サッシュモール20は、上部湾曲部位1dの他方側の端部から内側に向けて水平に延出する平板状の上壁部位1eを有している。また、サッシュモール20は、上壁部位1eの内側に向けられた先端から下方に向けて曲げられた上部内側湾曲部位1fを有している。この上部内側湾曲部位1fは、一方の端部が上壁部位1eの先端に接続され、他方の端部が意匠部位1aに向かうように約180°の範囲で湾曲された部位である。また、サッシュモール20は、上部内側湾曲部位1fの他方の端部から意匠部位1aに向けて水平方向に延出する上壁対向部位1gを有している。この上壁対向部位1gは、先端が意匠部位1aに向けられた平板状の部位であり、上壁部位1eの下方にて上壁部位1eに対向配置されている。
【0065】
また、サッシュモール20は、上壁対向部位1gの先端から下方に向けて曲げられた内側湾曲部位1hを有している。この内側湾曲部位1hは、一端が上壁対向部位1gの先端と接続され、他端が内側に向くように斜め下方に向けられるように約120°の範囲で湾曲された部位である。また、サッシュモール20は、内側湾曲部位1hの先端から斜め下方に先端を向けて延出する平板状の斜壁部位1jを有している。また、サッシュモール20は、斜壁部位1jの先端から内側に曲げられた中央湾曲部位1kを有している。この中央湾曲部位1kは、一端が斜壁部位1jの先端と接続され、他端が水平に内側に向けられるように約60°の範囲で湾曲された部位である。
【0066】
また、サッシュモール20は、中央湾曲部位1kの他端から先端が内側に向けて水平に延出された平板状の水平壁部位1mを有している。また、サッシュモール20は、水平壁部位1mの先端から上方に曲げられた水平壁湾曲部位1nを有している。水平壁湾曲部位1nは、一端が水平壁湾曲部位1nの先端に接続され、他端が上方に向けられるように約90°の範囲で湾曲された部位である。また、サッシュモール20は、水平壁湾曲部位1nの他端から先端が上方に向けて延出された平板状の立壁部位1pを有している。
【0067】
このように、サッシュモール20は、複数の平板状の部位(意匠部位1a 下部端末部位1c、上壁部位1e、上壁対向部位1g、斜壁部位1j、水平壁部位1m 、及び立壁部位1p)と、複数の湾曲された部位(下部湾曲部位1b、上部湾曲部位1d、上部内側湾曲部位1f、内側湾曲部位1h、中央湾曲部位1k、及び水平壁湾曲部位1n)とを有する断面形状に形成されている。
【0068】
図6は、本実施形態のサッシュモール20の製造工程(車両用外装部品の製造方法)を示すフローチャートである。この図に示すように、サッシュモール20を製造する場合には、まずステンレス鋼基材形成工程を行う(ステップS21)。このステンレス鋼基材形成工程S21では、サッシュモール20に合わせた幅寸法とされたステンレス鋼等からなる板状のステンレス鋼基材110の表面に上述の酸化被膜層111を形成する。つまり、ステンレス鋼基材形成工程S21では、表面に光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層111が設けられたステンレス鋼からなるステンレス鋼基材110を形成する。このようなステンレス鋼基材110は、フープ材として保管し、必要に応じてフープ材から引き出して用いるようにしても良い。
【0069】
続いて、加熱工程を行う(ステップS22)。ここでは、高周波加熱器等によってステンレス鋼基材110を加熱する。なお、加熱工程S22では、ステンレス鋼基材110の表面に保護テープ50が貼付されていない状態で行われる。つまり、保護テープ50は、加熱工程S22の後に貼付される。
【0070】
続いて、成形工程を行う(ステップS23)。成形工程S23では、ステンレス鋼基材110をサッシュモール20の形状に成形する。ここでは、例えばロール成形機やプレス機を用いて、加熱されたステンレス鋼基材110の形状をサッシュモール20の形状に成形する。
【0071】
続いて、冷却及び撥水被膜形成工程を行う(ステップS24)。冷却及び撥水被膜形成工程S24では、ステンレス鋼基材110を、撥水被膜120を形成するための処理液に浸漬することで冷却すると共に、その後乾燥させることで撥水被膜120を形成する。つまり、本実施形態においては、成形されたステンレス鋼基材110を冷却するための冷却液が処理液として用いられる。このようにして撥水被膜120が形成されることによって、ステンレス鋼複合材100が形成され、ステンレス鋼複合材100からなるサッシュモール20が形成される。
【0072】
続いて、切断工程が行われる(ステップS25)。この切断工程S25では、サッシュモール20の長さ寸法に合わせてステンレス鋼基材110を切断する。なお、予めステンレス鋼基材110がサッシュモール20の長さ寸法に合わせて形成されている場合には、切断工程S25は省略される。
【0073】
続いて、保護テープ貼付工程が行われる(ステップS26)。この保護テープ貼付工程S26では、サッシュモール20の意匠面1a1に対して保護テープ50(図5参照)を貼付する。このような保護テープ50が貼付されることで、出荷用のサッシュモール20が完成する。なお、保護テープ50は、車両組み立て時にサッシュモール20から剥がされる。
【0074】
以上のような本実施形態のサッシュモール20は、ステンレス鋼複合材100を含む車両用外装部品である。このようなサッシュモール20によれば、保護テープ50をステンレス鋼複合材100の表面に貼付した場合であっても、保護テープ50の接着剤が酸化被膜層111の凹部に進入することを抑止することができる。したがって、本実施形態のサッシュモール20によれば、ステンレス鋼基材110の表面に設けられた酸化被膜層111に保護テープ50の接着剤が視認可能に残存することを抑止することが可能になる。
【0075】
また、このようなサッシュモール20の製造方法は、表面に光の干渉作用に基づく干渉色を発現する酸化被膜層111が設けられたステンレス鋼からなるステンレス鋼基材110を形成するステンレス鋼基材形成工程S21と、少なくとも酸化被膜層111の表面に撥水被膜120を形成する冷却及び撥水被膜形成工程S24と、撥水被膜120を介してステンレス鋼基材110の表面を覆う保護テープ50を貼付する保護テープ貼付工程S26とを有している。このようなサッシュモール20の製造方法によれば、保護テープ50の接着剤が酸化被膜層111の凹部に進入することを抑止可能なサッシュモール20を製造することができる。したがって、ステンレス鋼基材110の表面に設けられた酸化被膜層111に保護テープ50の接着剤が視認可能に残存することを抑止することが可能になる。
【0076】
また、このようなサッシュモール20の製造方法では、保護テープ50が貼付されていないステンレス鋼基材110を加熱する加熱工程S22と、加熱されたステンレス鋼基材110を成形する成形工程S23とを有している。つまり、本実施形態のサッシュモール20の製造方法では、ステンレス鋼基材110に対して保護テープ50が貼付されていない状態でステンレス鋼基材110が加熱される。このため、保護テープ50の接着剤が視認可能に残存することをさらに抑止することが可能になる。
【0077】
また、このようなサッシュモール20の製造方法では、冷却及び撥水被膜形成工程S16では、成形工程S23で成形されたステンレス鋼基材110に処理液を付着させることによって撥水被膜120を形成する。このため、簡易な方法で撥水被膜120を形成することが可能である。
【0078】
また、このようなサッシュモール20の製造方法では、成形工程S23で成形されたステンレス鋼基材110を冷却する冷却液が撥水被膜120を形成するための処理液であった。このため、ステンレス鋼基材110の冷却と撥水被膜120の形成とを単一の工程で同時に行うことができる。したがって、サッシュモール20の製造工程を簡素化することが可能となる。
【0079】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0080】
例えば、上記第2実施形態及び第3実施形態においては、車両用外装部品にステンレス鋼複合材100を用いる構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。本発明のステンレス鋼複合材は、ステンレス鋼を用いて形成可能な部材に対して、広く用いることが可能である。
【0081】
また、上記実施形態においては、撥水被膜120がシリコーンを含有する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、フッ素を含む撥水被膜を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0082】
2……芯材(ステンレス鋼複合材)、10……アウトサイドモール(車両用外装部品)、20……サッシュモール(車両用外装部品)、50……保護テープ、100……ステンレス鋼複合材、110……ステンレス鋼基材、111……酸化被膜層、112……基材基部、120……撥水被膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6