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  • 特開-シリカの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004082
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】シリカの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/18 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
C01B33/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105570
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】597106057
【氏名又は名称】大畠 昌幸
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】大畠 昌幸
【テーマコード(参考)】
4G072
【Fターム(参考)】
4G072AA25
4G072BB05
4G072GG01
4G072GG03
4G072HH39
4G072LL06
4G072MM26
4G072MM36
4G072RR07
4G072RR13
(57)【要約】
【課題】鉱物由来の結晶性シリカに比べて安全な植物由来の非結晶性(非晶質)のシリカを提供する。
【解決手段】籾殻等の有機廃棄物からなる植物性原料を焼成して焼成灰を得る焼成工程S1と、焼成工程S1で得られた焼成灰を粉砕して粉末にする粉砕工程S2と、粉末工程S2で得られた粉末を微粒化する微粒化工程S3とを備えており、微粒化工程S3は、粉末工程S2で得られたシリカ粉末を含む原料液を高圧噴射して処理する湿式の微粒化工程であるのが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物由来のシリカを製造する方法であって、
植物性原料を焼成して焼成灰を得る焼成工程と、前記焼成灰を粉砕して粉末にする粉砕工程と、前記粉末を微粒化する微粒化工程とを含む、
ことを特徴とするシリカの製造方法。
【請求項2】
前記微粒化工程が、前記粉末を含む原料液を高圧噴射して処理する湿式の微粒化工程である、
請求項1に記載のシリカの製造方法。
【請求項3】
前記植物性原料が、有機廃棄物である、
請求項1または2に記載のシリカの製造方法。
【請求項4】
前記有機廃棄物が、籾殻である、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のシリカの製造方法。
【請求項5】
前記有機廃棄物が、米糠である、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のシリカの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物性原料から効率よくシリカを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子材料、コンクリート強化材などの無機材料として、シリカ(SiO2)が広く使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、珪石などを粉砕などにより粉末化した後に、火炎中に投入・溶解させた後、冷却・固化させることで、球状シリカを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-221054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、珪石などの鉱物由来のシリカは、結晶性シリカであり、有害性物質であることが知られており、用途が限定されている。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、植物由来のシリカを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0008】
(1)本発明は、植物由来のシリカを製造する方法であって、植物性原料を焼成して焼成灰を得る焼成工程と、前記焼成灰を粉砕して粉末にする粉砕工程と、前記粉末を微粒化する微粒化工程とを含んでいる。
【0009】
本発明によれば、植物性原料を焼成し、焼成灰を粉砕し、粉末を微粒化して植物由来のシリカを製造するので、得られるシリカは、鉱物由来の結晶性のシリカとは異なり、非結晶性(非晶質)のシリカであるので、安全であり、例えば、化粧品や食品等の用途の使用することができる。
【0010】
(2)本発明の一実施態様では、前記微粒化工程が、前記粉末を含む原料液を高圧噴射して処理する湿式の微粒化工程である。
【0011】
この実施態様によれば、微粒化工程が、粉末を含む原料液を高圧噴射して微粒化する湿式の微粒化工程であるので、効率的に微細なシリカ粒子にすることができる。
【0012】
(3)本発明の他の実施態様では、前記植物性原料が、有機廃棄物である。
【0013】
この実施態様によれば、廃棄するのに費用がかかる有機廃物を有効活用してシリカを製造するので、安価にシリカを提供することができ、廃棄される有機廃棄物を低減できるので、地球環境保護の観点からも好ましい。
【0014】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記有機廃棄物が、籾殻である。
【0015】
この実施態様によれば、シリカを豊富に含む籾殻からシリカを安価に、かつ、安定して製造することができる。
【0016】
(5)本発明の他の実施態様では、前記有機廃棄物が、米糠である。
【0017】
この実施態様によると、米糠からシリカを製造するので、副産物としてミネラルやビタミンなどを得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、植物性原料を焼成し、焼成灰を粉砕し、粉末を微粒化して植物由来のシリカを製造するので、得られるシリカは、鉱物由来の結晶性のシリカとは異なり、非結晶性(非晶質)のシリカであるので、安全であり、例えば、化粧品や食品等の用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は本発明の一実施形態に係るシリカの製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係るシリカの製造工程を示す図である。
【0022】
この実施形態のシリカの製造法は、植物由来のシリカを製造する方法であって、植物性原料を焼成して焼成灰を得る焼成工程S1と、この焼成工程S1でえられた焼成灰を粉砕して粉末にする粉砕工程S2と、この粉砕工程S2で得られたシリカ粉末を微細な粒子に微粒化する微粒化工程S3とを備えている。
【0023】
植物性原料は、大量に廃棄される有機廃棄物であるのが好ましく、この有機廃棄物としては、籾殻、米糠、稲わら、麦わら、おが屑などが好ましく、特に、シリカ成分を多く含む籾殻や米糠が好ましい。有機廃棄物は、1種類に限らず、複数種類を組合せて使用してもよい。
【0024】
この実施形態では、有機廃棄物として、米の脱穀工程で毎年大量に発生する籾殻を使用している。このように大量に発生する籾殻を出発原料とすることによって、安価にしかも安定してシリカを製造することができる。
【0025】
焼成に使用する籾殻、米糠は、過熱蒸気焙煎機で消毒、殺菌し、還元するのが好ましい。
【0026】
焼成工程S1における籾殻の焼成方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ロータリーキルン等を用いた公知の焼成方法を適用することができる。この焼成工程S1における焼成は、シリカが結晶化しない温度以下の高温で行われる。
【0027】
このように籾殻を高温で焼成することによって、シリカ以外の不純物がほぼ完全に消失し、高純度の非結晶性(非晶質)のシリカを含む焼成灰が得られる。
【0028】
この焼成工程S1で得られた焼成灰を、粉砕工程S2において、微細なシリカ粉末に粉砕する。この粉砕工程S2における粉砕方法は、特に限定されるものではなく、例えば、粉砕機(ミル)等を用いた公知の方法を適用することができ、特に、臼式の粉砕機によって機械的に粉砕するのが好ましい。
【0029】
粉砕工程S2によって焼成灰を粉砕して得られたシリカ粉末は、微粒化工程S3によって、更に微細なシリカ微粒子とされる。
【0030】
この微粒化工程3は、シリカ粉末を含む原料液を、二つに分岐して高圧噴射して互いに対向衝突させて微粒化する、いわゆる、二液衝突式の湿式の微粒化工程である。
【0031】
原料液は、粉砕工程S2で得られたシリカ粉末を精製水に混合して調製することができる。この原料液を、分岐させて高圧噴射装置のノズルから高圧噴射して対向衝突させて微粒化する。
【0032】
この湿式の微粒化工程によって、シリカ粉末を、効率的に粒子径の小さい微細なシリカ粒子にすることができる。
【0033】
上記のようにして製造された微細なシリカは、鉱物由来のシリカとは異なり、非結晶性(非晶質)のシリカであるので、安全であり、化粧品、シリカ飲料水、あるいは食品添加物等の用途に利用することができる。
【0034】
また、非結晶性(非晶質)のシリカは、遠赤外線放射率が高いので、健康関連商品への利用も可能である。
【0035】
更に、稲作地帯等で毎年大量に発生し、工業的に殆ど利用されずに廃棄される籾殻を、シリカを製造するための出発原料としているので、安価に、かつ、安定してシリカを製造することができる。
【0036】
しかも、廃棄物である大量の籾殻を有効に活用することは地球環境の保護の観点からも好ましい。
【0037】
上記実施形態では、籾殻を出発原料として、シリカを製造したが、本発明の他の実施形態として、米糠を出発原料として、シリカを製造してもよい。籾殻は、年1度、脱穀工程で大量に発生するのに対して、米糠は、年中容易に入手することができ、また、ミネラルやビタミンといった副産物を取得することができる。
【符号の説明】
【0038】
S1 焼成工程
S2 粉砕工程
S3 微粒化工程
図1