(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040831
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】レリーズスイッチ装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/38 20210101AFI20230315BHJP
H01H 13/64 20060101ALI20230315BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20230315BHJP
H04N 23/62 20230101ALI20230315BHJP
【FI】
G03B17/38 Z
H01H13/64
H04N5/225 100
H04N5/232 160
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148007
(22)【出願日】2021-09-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】金田 憲和
【テーマコード(参考)】
2H020
5C122
5G206
【Fターム(参考)】
2H020FC01
5C122EA42
5C122FK40
5C122FL06
5C122GE11
5C122HA75
5C122HB05
5G206AS07H
5G206AS07J
5G206AS07K
5G206BS55F
5G206BS55H
5G206BS55J
5G206FS12Z
5G206GS11
5G206KS08
5G206KS56
(57)【要約】
【課題】様々な動作を実行するために必要なボタンのストローク量をユーザが容易に調節する。
【解決手段】レリーズスイッチ装置30は、ボタン34と、ボタン34に押されて変位する第1の弾性部材36と、第1の弾性部材36に対して間隔をあけて対向し、ボタン34が所定のストローク量Sdを超えて変位すると第1の弾性部材36を介してボタン34に押されて変位する感圧センサ38と、第1の弾性部材36および感圧センサ38を介してボタン34に押されて変位する第2の弾性部材40とを有する。ボタン34が所定のストローク量Sd以上の第1のストローク量で変位すると、感圧センサ38が、第2の弾性部材40の第1の反発力を受けて第1の出力値を出力する。ボタン34が第1のストローク量に比べて大きい第2のストローク量で変位すると、感圧センサ38が、第2の弾性部材40の第1の反発力に比べて大きい第2の反発力を受けて第2の出力値を出力する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに押されて変位するボタンと、
前記ボタンに押されて変位する第1の変位部を備える第1の弾性部材と、
前記第1の弾性部材の前記第1の変位部に対して間隔をあけて対向し、前記ボタンが所定のストローク量を超えて変位すると前記第1の弾性部材を介して前記ボタンに押されて変位する感圧センサと、
前記第1の弾性部材および前記感圧センサを介して前記ボタンに押されて変位する第2の変位部を備える第2の弾性部材と、を有し、
前記ボタンが前記所定のストローク量に対して等しいまたは大きい第1のストローク量で変位すると、前記感圧センサが、前記第2の弾性部材から第1の反発力を受けて第1の出力値を出力し、
前記ボタンが前記第1のストローク量に比べて大きい第2のストローク量で変位すると、前記感圧センサが、前記第2の弾性部材から前記第1の反発力に比べて大きい第2の反発力を受けて第2の出力値を出力する、レリーズスイッチ装置。
【請求項2】
前記第1の弾性部材が、前記第1の変位部として自由端を備える板バネであって、
前記第2の弾性部材が、前記第2の変位部として自由端を備える板バネである、請求項1に記載のレリーズスイッチ装置。
【請求項3】
前記第2の弾性部材が、スパイラル状の板バネであって、前記第2の変位部として中心側端を備える、請求項2に記載のレリーズスイッチ装置。
【請求項4】
前記感圧センサを前記ボタンの変位方向に平行移動するようにガイドするガイド部材を、さらに有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のレリーズスイッチ装置。
【請求項5】
前記第2の弾性部材によって前記第1の弾性部材に向かって付勢され、前記感圧センサが搭載されている基板と、
前記第2の弾性部材に付勢されている前記基板と接触して前記感圧センサの前記第1の弾性部材に向かう変位を制限するストッパ部材と、をさらに有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のレリーズスイッチ装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のレリーズスイッチ装置と、
レンズと、
前記レンズを透過した被写体の像が結像する撮像素子と、
前記レンズを光軸方向に駆動して被写体の焦点を前記撮像素子に合わせるAF機構と、を有し、
前記AF機構が、前記感圧センサの前記第1の出力値をトリガーとして、被写体の焦点を前記撮像素子に合わせるオートフォーカス動作を実行し、
前記撮像素子が、前記感圧センサの前記第2の出力値をトリガーとして、被写体の画像データを作成する撮像動作を実行する、撮像装置。
【請求項7】
前記オートフォーカス動作を実行するためのトリガーである前記第1の出力値と、前記撮像動作を実行するためのトリガーである前記第2の出力値とをユーザが設定変更するためのユーザインターフェイス部を、さらに有する、請求項6に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レリーズスイッチ装置およびそれを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に撮像装置に組み込まれるスイッチユニットが開示されている。このスイッチユニットは、ユーザによって押圧されるボタンと、ボタンの第1ストローク量の変位により第1導通状態となり、第2ストローク量の変位により第2導通状態となる、カンチレバー状の複数の電気切片とを備える。複数の電気切片が第1導通状態になると、被写体のピントを合わせるオートフォーカス動作が実行され、第2導通状態になると撮像素子が撮像動作を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像装置のユーザには、オートフォーカス動作を実行するために必要なボタンのストローク量と撮像動作を実行するために必要なボタンのストローク量とを調節したい要望がある。しかしながら、特許文献1に記載された撮像装置のスイッチユニットの場合、オートフォーカス動作や撮像動作の実行に必要なストローク量を容易に調節することができない。
【0005】
そこで、本開示は、撮像装置に使用され、ユーザに押されて変位するボタンを含むレリーズスイッチ装置であって、様々な動作を実行するために必要なボタンのストローク量をユーザが容易に調節することが可能なレリーズスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
ユーザに押されて変位するボタンと、
前記ボタンに押されて変位する第1の変位部を備える第1の弾性部材と、
前記第1の弾性部材の前記第1の変位部に対して間隔をあけて対向し、前記ボタンが所定のストローク量を超えて変位すると前記第1の弾性部材を介して前記ボタンに押されて変位する感圧センサと、
前記第1の弾性部材および前記感圧センサを介して前記ボタンに押されて変位する第2の変位部を備える第2の弾性部材と、を有し、
前記ボタンが前記所定のストローク量に対して等しいまたは大きい第1のストローク量で変位すると、前記感圧センサが、前記第2の弾性部材から第1の反発力を受けて第1の出力値を出力し、
前記ボタンが前記第1のストローク量に比べて大きい第2のストローク量で変位すると、前記感圧センサが、前記第2の弾性部材から前記第1の反発力に比べて大きい第2の反発力を受けて第2の出力値を出力する、レリーズスイッチ装置が提供される。
【0007】
また、本開示の別態様によれば
上述のレリーズスイッチ装置と、
レンズと、
前記レンズを透過した被写体の像が結像する撮像素子と、
前記レンズを光軸方向に駆動して被写体の焦点を前記撮像素子に合わせるAF機構と、を有し、
前記AF機構が、前記感圧センサの前記第1の出力値をトリガーとして、被写体の焦点を前記撮像素子に合わせるオートフォーカス動作を実行し、
前記撮像素子が、前記感圧センサの前記第2の出力値をトリガーとして、被写体の画像データを作成する撮像動作を実行する、撮像装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、撮像装置に使用され、ユーザに押されて変位するボタンを含むレリーズスイッチ装置であって、様々な動作を実行するために必要なボタンのストローク量をユーザが容易に調節することが可能なレリーズスイッチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の概略的な前方斜視図
【
図9A】第1のストローク量でボタンが変位した状態のレリーズスイッチ装置の断面図
【
図9B】第1のストローク量に比べて大きい第2のストローク量でボタンが変位した状態のレリーズスイッチ装置の断面図
【
図9C】第2のストローク量に比べて大きいストローク量でボタンが変位した状態のレリーズスイッチ装置の断面図
【
図10】ボタンのストローク量の変化に対するボタンに作用する押圧力の変化と感圧センサの出力値の変化を示す図
【
図11】ユーザが第1のストローク量と第2のストローク量とを設定するための一例の設定画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
以下、本開示の実施の形態に係るレリーズスイッチ装置および撮像装置について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置の概略的な前方斜視図である。また、
図2は、撮像装置の概略的な後方斜視図である。さらに、
図3は、撮像装置の構成を概略的に示す図である。
【0014】
図1~
図3に示すように、本実施の形態の場合、撮像装置10は、筺体12を有する。その筺体12には、被写体の像が透過するレンズ14と、レンズ14を透過した被写体の像が結像する撮像素子16と、レンズ14を撮像装置10の光軸方向Cに駆動して被写体の焦点を撮像素子16に合わせるAF機構18と、ユーザインターフェイス部としてのタッチスクリーン20と、撮像素子16、AF(Auto Focus)機構18、およびタッチスクリーン20を制御するコントローラ22と、記憶装置24とを含んでいる。
【0015】
レンズ14は、被写体の像を撮像素子16に向かって投射する光学要素である。なお、レンズ14は、1枚に限らず、複数枚であってもよい。
【0016】
撮像素子16は、CCD、CMOSなどの光電変換素子であって、コントローラ22に制御されることにより、撮像動作として、レンズ14によって結像された被写体の像から被写体の画像データを作成する。
【0017】
AF機構18は、レンズ14を駆動するアクチュエータであって、コントローラ22に制御されることにより、オートフォーカス動作として、レンズ14を光軸方向Cに駆動して被写体の焦点を撮像素子16に合わせる。
【0018】
タッチスクリーン20は、表示モニタの表示画面と重畳してタッチパネルが配置された表示装置である。タッチパネルは撮像装置10における1つのユーザインターフェイス部であり、表示モニタはコントローラ22に制御されることにより、撮像素子16によって作成された画像などを表示する。また、タッチスクリーン20は、ユーザに設定されるパラメータやタッチボタンなどを表示する。
【0019】
コントローラ22は、記憶装置24に記憶されているプログラムにしたがって動作するCPUなどのプロセッサであって、撮像素子16、AF機構18、およびタッチスクリーン20を制御する。
【0020】
記憶装置24は、例えば、プログラムを記憶するROMやRAMと、撮像素子16によって作成された画像を記憶するカード型記憶媒体などである。
【0021】
また、撮像装置10は、レリーズスイッチ装置30を備える。
【0022】
図4は、レリーズスイッチ装置の上方斜視図である。また、
図5は、レリーズスイッチ装置の下方斜視図である。さらに、
図6は、レリーズスイッチ装置の上方分解斜視図である。さらにまた、
図7は、レリーズスイッチ装置の下方分解斜視図である。そして、
図8は、初期状態のレリーズスイッチ装置の断面図である。なお、図に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の実施の形態の理解を助けるためのものであって、実施の形態を限定するものでない。Z軸方向が後述するボタンの変位方向であって、X軸方向およびY軸方向がその変位方向に直交する方向である。
【0023】
図4~
図8に示すレリーズスイッチ装置30は、
図1および
図2に示すように、撮像装置10の筺体12に設けられる。レリーズスイッチ装置30は、ユーザが撮像装置10に対してオートフォーカス動作と撮像動作の実行を指示するための入力デバイスである。
【0024】
図4~
図8に示すように、レリーズスイッチ装置30は、ベース部材32、ボタン34、第1の弾性部材36、感圧センサ38、および第2の弾性部材40を有する。
【0025】
レリーズスイッチ装置30のベース部材32は、撮像装置10の筺体12に取り付けられる。また、ベース部材32は、貫通穴32aを備える。
【0026】
ボタン34は、外力を受けて変位する部材、すなわちユーザに押されて変位する部材であって、ベース部材32の第1の表面32b側に配置されている。本実施の形態の場合、ボタン34は、ベース部材32ではなく、所定のストローク範囲で自由に変位可能に筺体12に支持されている。ボタン34はまた、押圧力を受けるヘッド部34aと、ヘッド部34aからボタン34の変位方向(Z軸方向)に延在してベース部材32の貫通穴32a内に進入するシャフト部34bとを備える。
【0027】
第1の弾性部材36は、弾性変形可能な部材であって、本実施の形態の場合、例えば金属材料から作成された板バネである。板バネである第1の弾性部材36は、変位可能な自由端36a(第1の変位部)と、ベース部材32に固定される固定端36bとを備える。その固定端36bは、固定ネジ42を介して、ベース部材32の第2の表面32c(第1の表面32bに対して反対側の表面)に固定されている。
【0028】
図8に示すように、第1の弾性部材36の自由端36aは、ボタン34のシャフト部34bの先端に対してボタン34の変位方向(Z軸方向)に対向している。本実施の場合、
図8に示すように、レリーズスイッチ装置30がボタン34に外力が作用していない初期状態であるとき、第1の弾性部材36の自由端36aは、ボタン34のシャフト部34bの先端に接触している。第1の弾性部材36の自由端36aは、ボタン34に押圧力が作用すると、そのボタン34に押されて変位する。
【0029】
感圧センサ38は、自体に作用する押圧力の大きさに対応する出力値(電圧値)を出力するセンサであって、ボタン34の変位方向(Z軸方向)に自由に変位可能にベース部材32に設けられている。本実施の形態の場合、感圧センサ38は、フレキシブルプリント基板44に搭載されており、そのフレキシブルプリント基板44が自由に変位可能にベース部材32に支持されている。
【0030】
なお、理由は後述するが、感圧センサ38、すなわちフレキシブルプリント基板44は、ボタン34の変位方向(Z軸方向)に平行移動するように、ベース部材32に設けられたガイド部材32dによってガイドされている。本実施の形態の場合、ガイド部材32dは、複数のガイドピンであって、その複数のガイドピンが摺動可能に挿入される複数のガイド穴44aがフレキシブルプリント基板44に形成されている。すなわち、感圧センサ38は、ガイド部材32dによって間接的にガイドされている。
【0031】
感圧センサ38は、
図8に示すように、第1の弾性部材36を介して、ボタン34のシャフト部34bの先端に対して、ボタン34の変位方向(Z軸方向)に対向する。また、レリーズスイッチ装置30が初期状態のとき、第1の弾性部材36の自由端36aに対して間隔をあけて対向している。すなわち、第1の弾性部材36の自由端36aは、ボタン34に押されて所定のストローク量Sdで変位すると、感圧センサ38に接触する。所定のストローク量Sdを超えるストローク量でボタン34(すなわち自由端36a)が変位すると、自由端36aに押されて感圧センサ38、すなわちフレキシブルプリント基板44が変位する。
【0032】
第2の弾性部材40は、弾性変形可能な部材であって、本実施の形態の場合、例えば金属材料から作成された板バネである。板バネである第2の弾性部材40は、変位可能な自由端40a(第2の変位部)と、ベース部材32に固定される固定端40bとを備える。その固定端40bは、固定ネジ42を介して、また第1の弾性部材36の固定端36bに重なった状態でベース部材32の第2の表面32cに固定されている。
【0033】
第2の弾性部材40の自由端40aは、第1の弾性部材36および感圧センサ38(すなわちフレキシブルプリント基板44)を挟んで、ボタン34のシャフト部34bの先端に、ボタン34の変位方向(Z軸方向)に対向している。本実施の形態の場合、
図8に示すように、第2の弾性部材40の自由端40aは、フレキシブルプリント基板44を支持している。詳細は後述するが、第2の弾性部材40の自由端40aは、感圧センサ38が変位すると、それにともない変位する。
【0034】
なお、本実施の形態の場合、レリーズスイッチ装置30が初期状態のとき、フレキシブルプリント基板44が自由に変位しないように、第2の弾性部材40の自由端40aは、フレキシブルプリント基板44を付勢してベース部材32の第2の表面32cに押し当てている。すなわち、第2の表面32cが、感圧センサ38の第1の弾性部材36に向かう変位を制限するストッパ部材として機能している。これにより、ユーザが撮像装置10を持って移動しているときに、フレキシブルプリント基板44が振動することが抑制されている。
【0035】
また、本実施の形態の場合、第2の弾性部材40は、
図6および
図7に示すように、スパイラル状の板バネであって、自由端40aが中心側端であって、固定端40bが外周側端である。スパイラル状の板バネの自由端は、直線状の板バネの自由端に比べて姿勢を大きく傾けることなく、平行移動することができる。その結果、第2の弾性部材40の自由端40aは、感圧センサ38すなわちフレキシブルプリント基板44の平行移動を補助することができる。
【0036】
ここからは、レリーズスイッチ装置30の動作について
図9A~
図9C、および
図10を参照しながら説明する。
【0037】
図9Aは、第1のストローク量でボタンが変位した状態のレリーズスイッチ装置の断面図である。また、
図9Bは、第1のストローク量に比べて大きい第2のストローク量でボタンが変位した状態のレリーズスイッチ装置の断面図である。さらに、
図9Cは、第2のストローク量に比べて大きいストローク量でボタンが変位した状態のレリーズスイッチ装置の断面図である。そして、
図10は、ボタンのストローク量の変化に対するボタンに作用する押圧力の変化と感圧センサの出力値の変化を示す図である。なお、
図9A~
図9Cにおいて、初期状態のボタン34、第1の弾性部材36、および第2の弾性部材40が、二点鎖線で示されている。
【0038】
まず、ユーザがボタン34を押圧力Fで押すと、
図10に示すように、押圧力Fの増加にともない、ボタン34のストローク量が増加する。ボタン34のストローク量が所定のストローク量Sdなるまでは、すなわち第1の弾性部材36の自由端36aが感圧センサ38に接触するまでは、ボタン34は第1の弾性部材36の反発力のみ受けている。また、この間、感圧センサ38はゼロの出力値を出力している。
【0039】
図10に示すようにユーザの押圧力Fが増加してF1になると、
図9Aに示すようにボタン34が所定のストローク量Sdに対して等しいまたは大きい第1のストローク量S1で変位する。それにより、第1の弾性部材36の自由端36aが感圧センサ38を押圧し、感圧センサ38が変位する。すなわち、感圧センサ38は、第1の弾性部材36を介してボタン34に押され、それにより変位する。
【0040】
感圧センサ38の変位、すなわちフレキシブルプリント基板44の変位により、第2の弾性部材40の自由端40aが変位する。すなわち、第2の弾性部材40の自由端40aは、第1の弾性部材36および感圧センサ38を介してボタン34に押され、それにより変位する。
【0041】
第2の弾性部材40の自由端40aの変位により、第2の弾性部材40に、感圧センサ38を第1の弾性部材36の自由端36aに向かって付勢する第1の反発力が発生する。その結果、
図10に示すように、感圧センサ38は、第1の反発力に相当する押圧力を検出し、対応する第1の出力値V1を撮像装置10のコントローラ22に出力する。コントローラ22は、第1の出力値V1に基づいてAF機構18を制御する。AF機構18は、コントローラ22に制御されることにより、レンズ14を駆動して被写体の焦点を撮像素子16に合わせるオートフォーカス動作を実行する。すなわち、AF機構18は、第1の出力値V1をトリガーとして、オートフォーカス動作を実行する。
【0042】
図10に示すようにユーザの押圧力Fがさらに増加してF2になると、
図9Bに示すようにボタン34が第1のストローク量S1に比べて大きい第2のストローク量S2で変位する。それにより、第1の弾性部材36の自由端36aが感圧センサ38をさらに押圧し、感圧センサ38がさらに変位する。その感圧センサ38のさらなる変位により、第2の弾性部材40の自由端40aがさらに変位する。
【0043】
第2の弾性部材40の自由端40aのさらなる変位により、第2の弾性部材40に、感圧センサ38を第1の弾性部材36の自由端36aに向かってさらに付勢する、第1の反発力に比べて大きい第2の反発力が発生する。その結果、
図10に示すように、感圧センサ38は、第2の反発力に相当する押圧力を検出し、対応する第2の出力値V2を撮像装置10のコントローラ22に出力する。コントローラ22は、第2の出力値V2に基づいて撮像素子16を制御する。撮像素子16は、コントローラ22に制御されることにより、被写体の画像データを作成する撮像動作を実行する。すなわち、撮像素子16は、第2の出力値V2をトリガーとして、撮像動作を実行する。
【0044】
図10に示すように、ユーザの押圧力FがF2からさらに増加すると、
図9Cに示すようにボタン34が第2のストローク量S2に比べて大きいストローク量で変位する。なお、
図9Cは、ボタン34が最大ストローク量Smaxで変位した状態を示している。
【0045】
このような動作を実行可能なレリーズスイッチ装置30によれば、オートフォーカス動作に必要なボタン34の第1のストローク量S1と撮像動作に必要な第2のストローク量S2を、所定のストローク量Sdから最大ストローク量Smaxまでの範囲内で、ユーザは容易に調節することができる。
【0046】
図11は、ユーザが第1のストローク量と第2のストローク量とを設定するための一例の設定画面を示す図である。
【0047】
図11に示すように、ユーザがタッチスクリーン20に対して所定の操作を行うと、コントローラ22が、タッチスクリーン20にストローク量設定画面50を表示する。ストローク量設定画面50には、ユーザがボタン34を押すと、下方向にシフトするボタン34の像52が表示されている。また、現在のボタン34のストローク量を示すインジケーターバー54およびインジケーターボックス56が表示されている。ユーザがボタン34を押すと、インジケーターバー54のバー長さおよびインジケーターボックス56の数値が変化する。これにより、ユーザは、押している状態のボタン34のストローク量を知ることができる。
【0048】
また、ストローク量設定画面50には、ユーザが第1のストローク量S1と第2のストローク量S2を入力するための入力ボックス58A、58Bが表示されている。ユーザが入力ボックス58A、58Bに所望の値を入力し、設定完了ボタン60を押すと、コントローラ22は、オートフォーカス動作に必要なボタン34の第1のストローク量S1と撮像動作に必要な第2のストローク量S2を入力値に変更する。具体的には、コントローラ22は、オートフォーカス動作のトリガーである第1の出力値V1と撮像動作のトリガーである第2の出力値V2とを、入力ボックス58A、58Bそれぞれに入力された入力値に対応する値に変更する。
【0049】
このようなストローク量設定画面50によれば、ユーザは実際にボタン34を押しながら、すなわち指への負荷を確認しながら、第1のストローク量S1と第2のストローク量S2を所望のストローク量に容易に調節することができる。
【0050】
例えば、移動する被写体を撮影する場合、第1のストローク量S1を所定のストローク量Sdに略等しくするとともに第1のストローク量S1と第2のストローク量S2との差を小さくすると、ユーザは、被写体をピントが合ってすぐに撮像することができる。また、静止する被写体を撮影する場合、第1のストローク量S1と第2のストローク量S2との差を大きくすれば、ユーザは、ピントがあった状態で、その被写体の構図を時間をかけて調節することができる。
【0051】
なお、撮像装置10は、第1および第2のストローク量S1、S2の設定値を割り当て可能な複数のカスタムボタンを備えてもよい。これにより、ストローク量設定画面50を呼び出すことなく、カスタムボタンを押すだけで、ユーザは短時間で第1および第2のストローク量S1、S2を変更することができる。
【0052】
以上のような本実施の形態によれば、撮像装置に使用され、ユーザに押されて変位するボタンを含むレリーズスイッチ装置において、様々な動作を実行するために必要なボタンのストローク量をユーザが容易に調節することが可能な構成を実現することができる。
【0053】
具体的には、第1のストローク量S1に対応する感圧センサ38の第1の出力値V1と第2のストローク量S2に対応する第2の出力値V2を設定変更するだけで、レリーズスイッチ装置30の構造を変更することなく、第1のストローク量S1と第2のストローク量S2を調節することができる。
【0054】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示の実施の形態を説明したが、本開示の実施の形態は上述の実施の形態に限定されない。
【0055】
例えば、上述の実施の形態の場合、
図8に示すように、第1の弾性部材36と第2の弾性部材40は板バネである。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。第1の弾性部材および第2の弾性部材の少なくとも一方がコイルバネであってもよい。
【0056】
また、上述の実施の形態の場合、ボタン34のストローク量が第1のストローク量S1で変位するとオートフォーカス動作が実行され、第2のストローク量S2で変位すると撮像動作が実行される。ボタンのストローク量に基づいて実行される撮像装置の動作は、オートフォーカス動作や撮像動作に限らない。例えば、レリーズスイッチ装置のボタンのストローク量に基づいて、自動露光(Automatic Exposure)動作が実行されてもよい。
【0057】
すなわち、本開示の実施の形態に係るレリーズスイッチ装置は、広義には、ユーザに押されて変位するボタンと、前記ボタンに押されて変位する第1の変位部を備える第1の弾性部材と、前記第1の弾性部材の前記第1の変位部に対して間隔をあけて対向し、前記ボタンが所定のストローク量を超えて変位すると前記第1の弾性部材を介して前記ボタンに押されて変位する感圧センサと、前記第1の弾性部材および前記感圧センサを介して前記ボタンに押されて変位する第2の変位部を備える第2の弾性部材と、を有し、前記ボタンが前記所定のストローク量に対して等しいまたは大きい第1のストローク量で変位すると、前記感圧センサが、前記第2の弾性部材から第1の反発力を受けて第1の出力値を出力し、前記ボタンが前記第1のストローク量に比べて大きい第2のストローク量で変位すると、前記感圧センサが、前記第2の弾性部材から前記第1の反発力に比べて大きい第2の反発力を受けて第2の出力値を出力するものである。
【0058】
以上のように、本開示における技術の例示として、上述の実施の形態を説明してきた。そのために、図面および詳細な説明を提供している。したがって、図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上述の技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0059】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示は、レリーズスイッチ装置を備える撮像装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
30 レリーズスイッチ装置
34 ボタン
36 第1の弾性部材
38 感圧センサ
40 第2の弾性部材
Sd 所定のストローク量