(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040834
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】鉄道運転支援システムおよび鉄道運転支援方法
(51)【国際特許分類】
B61L 23/00 20060101AFI20230315BHJP
B61L 23/14 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
B61L23/00 Z
B61L23/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148012
(22)【出願日】2021-09-10
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木下 勝治
(72)【発明者】
【氏名】栗山 哲
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛之
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB02
5H161BB06
5H161CC03
5H161EE07
5H161GG11
5H161GG22
5H161MM01
5H161MM12
5H161NN20
(57)【要約】
【課題】運転者のオプティカルフローへの慣れによる、運転操作の形骸化を生じさせない技術を提供する。
【解決手段】プロセッサを有したコンピュータが車両の運転を支援する鉄道運転支援システムであって、プロセッサは、車両の現在速度と目標速度とから、仮想物体の加減速の制御量を算出し、車両の現在位置と路線情報とから、仮想物体を車窓に表示するための表示制御情報を導出し、制御量と、表示制御情報とに基づいて、車窓に現在表示すべき仮想物体の表示パラメータを決定し、決定した表示パラメータに基づいて、現在表示すべき仮想物体を、車窓に重畳表示する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有したコンピュータが車両の運転を支援する鉄道運転支援システムであって、
前記プロセッサは、
車両の現在速度と目標速度とから、仮想物体の加減速の制御量を算出し、
車両の現在位置と路線情報とから、前記仮想物体を車窓に表示するための表示制御情報を導出し、
前記制御量と、前記表示制御情報とに基づいて、前記車窓に現在表示すべき仮想物体の表示パラメータを決定し、
決定した前記表示パラメータに基づいて、前記現在表示すべき仮想物体を、前記車窓に重畳表示する、
ことを特徴とする鉄道運転支援システム。
【請求項2】
前記路線情報には、少なくとも路線の位置、曲率半径、勾配を含み、
前記プロセッサは、前記仮想物体の消失点の方位角および仰俯角と前記仮想物体の軌道とを算出し、前記表示制御情報として出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道運転支援システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、車両が有する照度センサが検知した値に応じて、前記仮想物体の表示態様を変化させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道運転支援システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、運行情報に含まれる車両の走行時刻に対応付けられた路線の構造に応じて、前記仮想物体の表示態様を変化させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道運転支援システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、所定速度以下の低速下で車両が走行する場合には前記仮想物体を表示しない態様とし、遮蔽物がない場所を車両が走行する場合には前記仮想物体を前記車窓に重畳表示する第1の態様とし、遮蔽物がある場所を車両が走行する場合には背景用の仮想物体と前記仮想物体とを前記車窓に重畳表示する第2の態様とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道運転支援システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、現在時刻及び現在速度、またはGPSから得られた測位情報に基づいて、路線上の前記車両の現在位置を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道運転支援システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、外部からの指示に基づいて前記仮想物体を常時表示させるか、または前記車両の現在速度と目標速度との乖離度が所定の条件を満たした場合に前記仮想物体を表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道運転支援システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記外部からの指示を、運転者から前記コンピュータの操作部を介して受け付けるか、またはネットワークを介して前記コンピュータを管理する鉄道運転支援統括システムの管理者から当該鉄道運転支援統括システムの操作部を介して受け付ける、
ことを特徴とする請求項7に記載の鉄道運転支援システム。
【請求項9】
プロセッサを有したコンピュータが車両の運転を支援する鉄道運転支援方法であって、
前記プロセッサが、
車両の現在速度と目標速度とから、仮想物体の加減速の制御量を算出し、
車両の現在位置と路線情報とから、前記仮想物体を車窓に表示するための表示制御情報を導出し、
前記制御量と、前記表示制御情報とに基づいて、前記車窓に現在表示すべき仮想物体の表示パラメータを決定し、
決定した前記表示パラメータに基づいて、前記現在表示すべき仮想物体を、前記車窓に重畳表示する、
ことを特徴とする鉄道運転支援方法。
【請求項10】
コンピュータに、
車両の現在速度と目標速度とから、仮想物体の加減速の制御量を算出する処理、
車両の現在位置と路線情報とから、前記仮想物体を車窓に表示するための表示制御情報を導出する処理、
前記制御量と、前記表示制御情報とに基づいて、前記車窓に現在表示すべき仮想物体の表示パラメータを決定する処理、
決定した前記表示パラメータに基づいて、前記現在表示すべき仮想物体を、前記車窓に重畳表示する処理、
を実行させることを特徴とする鉄道運転支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道運転支援システムおよび鉄道運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SDGs(Sustainable Development Goals)の推進に向け、鉄道事業者は列車運転用エネルギーの削減に取り組んでいる。このような背景のもと、鉄道事業者は、省エネ車両や省エネ設備への置き換えを進めており、次の技術として省エネ運転の導入を検討している。運転士は前方注意義務があるため、車窓風景の目標物により加減速を行ってきたが、省エネ運転では、より細かい時間で加減速しなければならない。そのため、運転士が前方を見つつ加減速の操作を支援する技術が求められていた。
【0003】
加減速の操作を支援する技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1では、自車両が加減速する状況下で加減速の操作を促す有効性判定手段と、加減速の操作を図による表現で促す画像を投影させ、運転者が見える景色に重畳表示させることで、加減速の操作を促している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、車間距離制御にオプティカルフローを適用することで、加減速の操作を促している。しかし、自動車の場合は進行方向の決定が難しく、消失点が固定とならざるを得ない。このような場合、単にオプティカルフローを適用しただけでは、運転者がオプティカルフローに慣れてしまい、その慣れによる運転操作の形骸化が課題となる。
【0006】
そこで、本発明の一側面は、運転者のオプティカルフローへの慣れによる、運転操作の形骸化を生じさせない鉄道運転支援システムおよび鉄道運転支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかる鉄道運転支援システムは、プロセッサを有したコンピュータが車両の運転を支援する鉄道運転支援システムであって、前記プロセッサは、車両の現在速度と目標速度とから、仮想物体の加減速の制御量を算出し、車両の現在位置と路線情報とから、前記仮想物体を車窓に表示するための表示制御情報を導出し、前記制御量と、前記表示制御情報とに基づいて、前記車窓に現在表示すべき仮想物体の表示パラメータを決定し、決定した前記表示パラメータに基づいて、前記現在表示すべき仮想物体を、前記車窓に重畳表示する、ことを特徴とする鉄道運転支援システムとして構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、運転者のオプティカルフローへの慣れによる、運転操作の形骸化を生じさせない鉄道運転支援システムおよび鉄道運転支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施例における鉄道運転支援システムの構成例を示す図である。
【
図3B】
図3Aで示したランカーブDBをグラフ形式で表現したランカーブグラフを示す図である。
【
図6】運転席前方の車窓に重畳してオプティカルフローが表示される様子を説明するための図である。
【
図7】運転席前方の車窓に重畳してオプティカルフローが表示される他の様子を説明するための図である。
【
図8】鉄道運転支援システムで行われる省エネルギー運転支援処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】鉄道運転支援システムの全体を統括する鉄道運転支援統括システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0011】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0012】
以下の説明では、「データベース」、「テーブル」、「リスト」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されていてもよい。データ構造に依存しないことを示すために「XXテーブル」、「XXリスト」等を「XX情報」と呼ぶことがある。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いた場合、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0013】
同一あるいは同様な機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0014】
また、以下の説明では、プログラムを実行して行う処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit))によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)および/またはインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit))を含んでいてもよい。
【0015】
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0016】
図1は、本実施例における鉄道運転支援システム1000の構成例を示す図である。
図1に示すように、鉄道運転支援システム1000は、運転支援システム100と、鉄道車両300の運転席に設けられたモニタ装置200とを有し、これらが一般的なHDMI(High-Definition Multimedia Interface)などのディスプレイケーブルCを介して接続されている。
【0017】
運転支援システム100は、オプティカルフローをモニタ装置200の表示部に表示する重畳映像表示部101と、現在時刻及び速度とランカーブとに基づいてフローの速度を導出するFB(フィードバック)パラメータ決定部102と、車両位置と路線情報からフローの消失点座標/方位仰俯角/軌道曲率半径を導出するオプティカルフロー生成部103と、運行情報からオプティカルフローの表示パタンを決定する表示パラメータ決定部104と、オプティカルフローによる運転者の操作に基づいて車両を加減速させる車両制御部105と、現在時刻及び速度に基づいて車両の位置を算出する車両位置算出部106と、現在速度からフローの速度を導出するために用いるランカーブDB(Data Base)107と、車両位置と路線情報からフローの消失点座標/方位仰俯角/軌道曲率半径を導出するために用いる路線情報DB108と、運行情報からオプティカルフローの型を決定するために用いる運行情報DB109と、を有している。これらの各部が実行する具体的な処理については、フローチャートを用いて後述する。
【0018】
モニタ装置200は、オプティカルフローを含む提示映像を表示する表示部201を有している。モニタ装置200は、運転者が運転席から眺望する車窓に投影するための画面を表示部201に投影する装置である。モニタ装置200が表示部201を介して運転席前方の車窓にオプティカルフローを含む画面を投影することにより、運転者は当該オプティカルフローに基づいて車両300を加減速させる。モニタ装置200が実行する具体的な処理については、フローチャートを用いて後述する。また、車両300には、車両周辺の明るさを検知して測定するための照度センサSを設けてよい。
【0019】
図1に示したこれらのシステムや装置は、例えば、
図2(コンピュータ概略図)に示すような、CPU1601と、メモリ1602と、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置1603と、CD(Compact Disk)やUSBメモリ等の可搬性を有する記憶媒体1608に対して情報を読み書きする読書装置1607と、キーボードやマウス等の入力装置1606と、ディスプレイ等の出力装置1605と、通信ネットワークに接続するためのNIC(Network Interface Card)等の通信装置1604と、これらを連結するシステムバス等の内部通信線(システムバスという)1609と、を備えた一般的なコンピュータ1600により実現できる。
【0020】
各システムや装置に記憶され、あるいは処理に用いられる様々なデータは、CPU1601がメモリ1602または外部記憶装置1603から読み出して利用することにより実現可能である。また、各システムや装置が有する各機能部(例えば、重畳映像表示部101、FBパラメータ決定部102、オプティカルフロー生成部103、表示パラメータ決定部104、車両制御部105、車両位置算出部106)は、CPU1601が外部記憶装置1603に記憶されている所定のプログラムをメモリ1602にロードして実行することにより実現可能である。
【0021】
上述した所定のプログラムは、読書装置1607を介して記憶媒体1608から、あるいは、通信装置1604を介してネットワークから、外部記憶装置1603に記憶(ダウンロード)され、それから、メモリ1602上にロードされて、CPU1601により実行されるようにしてもよい。また、読書装置1607を介して、記憶媒体1608から、あるいは通信装置1604を介してネットワークから、メモリ1602上に直接ロードされ、CPU1601により実行されるようにしてもよい。
【0022】
以下では、運転支援システム100が、ある1つのコンピュータにより構成される場合を例示するが、これらの機能の全部または一部が、クラウドのような1または複数のコンピュータに分散して設けられ、ネットワークを介して互いに通信することにより同様の機能を実現してもよい。運転支援システム100を構成する各部が行う具体的な処理については、フローチャートを用いて後述する。続いて、運転支援システム100が保持するデータについて説明する。
【0023】
図3Aは、ランカーブDB107の一例を示す図である。ランカーブDB107は、車両のランカーブを記憶したデータベースである。
図3Aに示すように、ランカーブDB107には、時刻と目標速度とが対応付けて記憶されている。
図3Aでは、例えば、出発時刻である11時46分02秒では目標速度0、その後の11時48分30秒では目標速度30kmとして設定されていることを示している。以降の時刻についても同様、ランカーブDB107には、所定の時刻において車両が目標とすべき速度が記憶されている。
【0024】
図3Bは、
図3Aで示したランカーブDB107をグラフ形式で表現したランカーブグラフを示す図である。
図3Bに示すように、ランカーブグラフ301は、縦軸を速度、横軸を時刻としたグラフで表される。
図3Bでは、出発時刻である時刻tsから、到着時刻である時刻teまでのランカーブを示しており、通常運行時のランカーブ3011に比べて、省エネ運行時のランカーブ3012のほうが、より慎重な加減速の操作が求められることがわかる。続いて、
図1に戻り、路線情報DB108について説明する。
【0025】
図4は、路線情報DB108の一例を示す図である。路線情報DB108は、路線の構成を記憶したデータベースである。
図4に示すように、路線情報DB108には、路線の軌道上の位置を示す情報(緯度および経度)と、当該位置と他の位置との間の区間であらわされる距離と、当該距離であらわされる区間の曲率半径と、当該距離であらわされる区間の勾配と、当該距離であらわされる区間の路線の構造とが対応付けて記憶されている。当該路線の構造とは、例えば、駅または駅周辺の場所などを所定速度以下の低速下で車両が走行する環境、トンネルや鉄橋などの全部または一部に遮蔽物がある場所などを車両が走行する環境、このような遮蔽物がない場所などを車両が走行する環境、というように、ある区間における路線やその周辺の場所がどのような環境下にあるかを示す情報である。当該路線の構造は、後述する運行情報DB109と紐付けられる。さらには、このような物理的な環境の違いに応じて当該路線の構造を定めるほか、日中、夜間というように、車両が走行する時間的な環境の違いに応じて、当該路線の構造を定めてもよい。
【0026】
図4では、例えば、緯度「35.7007892172369」および経度「139.48033119492607」であらわされる位置401から、緯度「35.700145067352146」および経度「139.48144815255733」であらわされる位置402までの距離は「123.84m」であることを示している。また、当該区間は曲率半径「0」および勾配「0」とする、傾斜のない直線区間であることを示している。さらに、当該区間における構造は「3」(駅または駅周辺)であることを示している。
【0027】
同様に、緯度「35.700145067352146」および経度「139.48144815255733」であらわされる位置402から次の位置までの距離は「50.22m」であり、当該区間は曲率半径「1000」および勾配「5°」とする曲線区間であることを示している。さらに、当該区間における構造は「1」(全部または一部に遮蔽物なし)であることを示している。
【0028】
以下では、構造が「1」の場合は、「トンネルや鉄橋などの全部または一部に遮蔽物がない場所などを車両が走行する環境」、構造が「2」の場合は、「トンネルや鉄橋などの全部または一部に遮蔽物がある場所などを車両が走行する環境」、構造が「3」の場合は、「駅または駅周辺の場所などを低速下で車両が走行する環境」をあらわす前提で説明するが、これら以外にも様々な条件を設定してもよい。例えば、構造「3」として、「駅または駅周辺の場所などを低速下で車両が走行する環境」にかえて、「車両が夜間走行する環境」を含めてもよい。さらには、これらの複数の環境を組み合わせて1つの構造として定義してもよい。続いて、
図1に戻り、運行情報DB109について説明する。
【0029】
図5は、運行情報DB109の一例を示す図である。運行情報DB109は、車両の運行に関する情報を記憶したデータベースである。
図5では、図示を省略しているが、停車あるいは通過する駅に関する情報、停車あるいは通過する時刻に応じて定められた車両位置、車両の型式等の車両に関する情報、その他の運行に関する様々な情報を対応付けて記憶してよい。本例では、運行情報DB109として、時刻と、当該時刻における上記識別情報(構造#)と、当該時刻においてモニタ装置200の表示部201に表示するオプティカルフローの型を識別するための識別情報(表示型#)とが対応付けて記憶されている。
【0030】
図5では、例えば、出発時刻直後の11時46分10秒における路線の構造は、路線情報DB108で示した位置401から位置402の間の区間で示された構造「3」であることを示している。また、当該区間では、モニタ装置200の表示部201に表示するオプティカルフローの型が「1」であることを示している。当該オプティカルフローの型「1」は、オプティカルフローを表示しないことを示す識別情報である。すなわち、車両が出発した直後は、駅や駅周辺を低速で走行中であるため、モニタ装置200の表示部201には、オプティカルフローは表示されない(パタン0)。
【0031】
その後、出発時刻から所定の時間以上を経過した11時48分30秒では、路線の構造は路線情報DB108で示した位置402から次の位置の間の区間で示された構造「1」であることを示している。また、当該区間では、モニタ装置200の表示部201に表示するオプティカルフローの型が「2」であることを示している。当該オプティカルフローの型「2」は、車両がトンネルや鉄橋などの全部または一部に遮蔽物がない場所などの線路の走行中における車両の加減速を支援するためのオプティカルフロー(第1のオプティカルフロー、パタン1)の識別情報である。車両が路線を走行中は、上述したランカーブDB107に基づいた目標速度で走行することが求められる。そのため、トンネルや鉄橋などの全部または一部に遮蔽物がない場所などを車両が走行する環境において、当該目標速度での走行をサポートするためのオプティカルフローが表示される。
【0032】
さらに、その後、所定の時間以上を経過した12時15分30秒では、路線の構造は路線情報DB108で示したさらにその次の位置までの区間で示された構造「2」であることを示している。また、当該区間では、モニタ装置200の表示部201に表示するオプティカルフローの型が「3」であることを示している。当該オプティカルフローの型「3」は、車両がトンネルや鉄橋などの全部または一部に遮蔽物がある場所などの線路の走行中における車両の加減速を支援するためのオプティカルフロー(第2のオプティカルフロー、パタン2)の識別情報である。車両が路線を走行中は、上述したランカーブDB107に基づいた目標速度で走行することが求められ、かつ遮蔽物がない場合とは異なる注意力が必要となる。そのため、トンネルや鉄橋などの全部または一部に遮蔽物がある場所などを車両が走行する環境下において、当該目標速度での走行をサポートするためのオプティカルフローが表示される。
【0033】
さらに、その後、所定の時間以上を経過した19時32分15秒では、路線の構造は路線情報DB108で示したさらにその次の位置までの区間で示された構造「1」であることを示している。また、当該区間では、モニタ装置200の表示部201に表示するオプティカルフローの型が「3」であることを示している。当該オプティカルフローの型「3」は、車両が夜間走行する環境に対応する型としても定義されている。したがって、車両が夜間走行する場合において車両の加減速を支援するためのオプティカルフロー(第2のオプティカルフロー、パタン2)の識別情報が記憶されている。すなわち、車両が夜間の路線を走行中は、上述したランカーブDB107に基づいた目標速度で走行することが求められ、かつ遮蔽物がある場合と同様に注意力が必要となる。そのため、車両が夜間走行するような環境下で当該目標速度での走行をサポートするためのオプティカルフローが表示される。
【0034】
図6は、運転席前方の車窓に重畳してオプティカルフローが表示される様子を説明するための図である。
図6では、オプティカルフローの型が「1」である場合に表示される提示画面の一例を示している。
【0035】
図6に示すように、前方の全部または一部に遮蔽物がない眺望風景の車窓601aに、加減速を制御するための制御用オプティカルフロー画面601bを重畳表示601cさせると、運転者が認識する提示映像601dがモニタ装置200の表示部201を介して上記車窓に表示される。運転者は、車窓601aから、車両が走行する線路6011、架線6012、駅舎ホーム6013を含む前方風景を、運転席前方のフロントガラスから視認可能である。また、制御用オプティカルフロー画面601bでは、オプティカルフロー生成部103で導出された軌道6015及び消失点6016及び方位・仰角・俯角・軌道曲率半径に沿う指標6014の映像が生成される。制御用オプティカルフロー画面601bの映像は、モニタ装置200の表示部201に表示するためのパラメータを用いて生成された、時々刻々と変化するフローの表示制御情報(フローの消失点座標・方位・仰角・俯角・軌道曲率半径)に基づいて、リアルタイムに生成される。モニタ装置200が、上記フロントガラスに、表示部201を介して制御用オプティカルフロー画面601bを重畳表示601cさせると、運転者が認識する提示映像601dを得ることができる。
【0036】
図6では、オプティカルフローの型が「1」、すなわちトンネルや鉄橋などの全部または一部に遮蔽物がない場所などを車両が走行する環境で車両が走行する場合に表示される提示映像の一例を示した。続いて、オプティカルフローの型が「2」、すなわちトンネルや鉄橋などの全部または一部に遮蔽物がある場所などを車両が走行する環境、あるいは車両が夜間走行する環境で表示される提示映像の一例について説明する。
【0037】
図7は、運転席前方の車窓に重畳してオプティカルフローが表示される他の様子を説明するための図である。
図7では、オプティカルフローの型が「2」である場合に表示される提示画面の一例を示している。
【0038】
図7に示すように、前方の全部または一部に遮蔽物がある眺望風景の車窓701aに、加減速を制御するための制御用オプティカルフロー画面701bを重畳表示701cさせると、運転者が認識する提示映像701dがモニタ装置200の表示部201を介して上記車窓に表示される。運転者は、車窓701a越しに、車両が走行する線路7011、架線7012を含む前方背景を視認可能である。
【0039】
制御用オプティカルフロー画面701bは、
図6に示した制御用オプティカルフロー画面601bと同様の画面を用いることができ、オプティカルフロー生成部103で導出された軌道7015及び消失点7016及び方位・仰角・俯角・軌道曲率半径に沿う指標7014を含む。また、制御用オプティカルフロー画面701bは、車両の走行位置の間隔を示す位置基準指標7013を含む。位置基準指標7013は、例えば、車両が走行するトンネル内において、10メートル進むごとに設けられ、運転者がトンネル内のどの位置を走行中であるのかを把握するための識別情報である。位置基準指標7013は、例えば、オプティカルフローの型が「3」、すなわち構造「2」(第2のオプティカルフロー、パタン2)に対応付けてあらかじめ定めておけばよい。
【0040】
例えば、
図3Aに示したランカーブDB107と、
図5に示した運行情報DB109とを用いて、例えば、レコード503の次のレコードの時刻が「12時20分30秒」、構造「1」、「表示型2」である場合、レコード503と、その次のレコードとの間の時間である「5分」の間、構造「2」に対応する表示型「3」のオプティカルフローが表示される。したがって、当該「5分」の間に進む距離を現在時速(あるいは目標速度)で按分した位置に、位置基準指標7013を表示すればよい。なお、位置基準指標7013は、オプティカルフローの型が「2」、すなわち構造「1」(第1のオプティカルフロー、パタン1)の場合に表示させてもよい。これにより、前方の全部または一部に遮蔽物がない眺望風景において、前方風景が視認しづらい場合(例えば、濃霧の場合など)においても、運転者は走行中の位置を把握することができる。
【0041】
モニタ装置200が、表示部201を介して、上記フロントガラスに、上記車窓701aと制御用オプティカルフロー画面701bとを重畳表示701cさせると、運転者が認識する別型の提示映像701dを得ることができる。
【0042】
図7では、前方の全部または一部に遮蔽物がある車窓の眺望映像の一例としてトンネル内の眺望映像を示しているが、線路7011、架線7012は上記別型の提示映像701dと略同色となるため省略されている。このような
図6、7に示した提示映像の切り替えは、運行情報DB109の構造に対応付けられた表示型を参照することで可能となる。
【0043】
続いて、鉄道運転支援システム1000で行われる処理について説明する。
図8は、鉄道運転支援システム1000で行われる省エネルギー運転支援処理の処理手順を示すフローチャートである。以下では、鉄道車両が運行情報にしたがって所定の路線を走行しているものとする。
【0044】
まず、FBパラメータ決定部102は、現在時刻および現在速度から、現在のフローの速度を導出する(ステップ801)。当該フローの速度については、時刻ごとの車両の速度に対応付けて、あらかじめ定めておけばよい。
【0045】
車両位置算出部106は、現在速度と、ランカーブDB107とから、現在速度と目標速度との乖離度が閾値以上であるか否かを判定する(ステップ802)。車両位置算出部106が、現在速度と目標速度との乖離度が閾値以上でないと判定した場合(ステップ802;No)、FBパラメータ決定部102は、省エネルギー運転における許容範囲内の速度で走行中であると判断し、ステップ806に進む。
【0046】
さらに、車両位置算出部106は、現在速度のほうが目標速度より速いか否かを判定する(ステップ803)。車両位置算出部106が現在速度のほうが目標速度よりも遅いと判定した場合(ステップ803;No)、FBパラメータ決定部102は、ステップ801で導出したフローを遅らせるように、ステップ803で生成したパラメータを更新する(ステップ804)。当該フローの速度が遅くなることにより、運転者は現在速度を目標速度に近づけるように車両の速度を上げる指示を行い、当該指示にしたがって、車両制御部105が車両の速度を上げる。このような指示は、運転者がノッチやブレーキといった一般的な装置を操作することにより行われる。
【0047】
一方、車両位置算出部106が現在速度のほうが目標速度よりも速いと判定した場合(ステップ803;Yes)、FBパラメータ決定部102は、ステップ801で導出したフローを早めるように、ステップ803で生成したパラメータを更新する(ステップ805)。当該フローの速度が早くなることにより、運転者は現在速度を目標速度に近づけるように車両の速度を下げる指示を行い、当該指示にしたがって、車両制御部105が車両の速度を下げる。
【0048】
続いて、FBパラメータ決定部102は、ステップ802で導出した速度のフローをモニタ装置200の表示部201に表示するためのパラメータを生成する(ステップ806)。そして、オプティカルフロー生成部103は、現在の車両位置、路線情報108から、フローの表示制御情報(フローの消失点座標・方位・仰角・俯角・軌道曲率半径)を導出する(ステップ807)。現在の車両位置は車両位置算出部106で導出し、その方法は、例えば、運行情報DB109に記憶された、時刻に応じて定められた車両位置と現在の時刻から導出してもよいし、GPS(Global Positioning System)により測位されてもよい。オプティカルフロー生成部103は、得られた現在の車両位置に対応する路線情報108の緯度および経度を特定し、当該緯度および経度に対応する曲率半径、勾配、構造を読み出す。オプティカルフロー生成部103は、当該曲率半径、勾配を反映した、モニタ装置200の表示部201におけるフローの消失点座標・方位・仰角・俯角・軌道曲率半径を算出する。上記読み出された緯度および経度に対応する曲率半径、勾配、構造は、路線情報DB108に記憶された情報、すなわち実際の路線の構成である。したがって、オプティカルフロー生成部103は、これらの情報を座標変換するなどして、当該座標変換後の消失点座標・方位・仰角・俯角・軌道曲率半径のフローを上記表示部201に表示するための表示制御情報を導出する。
【0049】
表示パラメータ決定部104は、ステップ807で読み出された構造に対応する表示型を運行情報DB109から読み出し、ステップ807で導出された表示制御情報により表示するフローの表示パタンを決定する(ステップ808)。
【0050】
重畳映像表示部101は、ステップ808で決定された表示パタンに対応する制御用オプティカルフロー画面を読み出して提示映像を生成し、モニタ装置200の表示部201に表示する(ステップ809)。例えば、重畳映像表示部101は、ステップ808で決定された表示パタンに対応する制御用オプティカルフロー画面601bを読み出して提示映像601dを生成し、モニタ装置200の表示部201に表示する。あるいは、重畳映像表示部101は、ステップ808で決定された表示パタンに対応する制御用オプティカルフロー画面701bを読み出して提示映像701dを生成し、モニタ装置200の表示部201に表示する。
【0051】
このように、本実施例では、プロセッサを有したコンピュータ1600が車両(例えば、所定の路線を走行する鉄道車両)の運転を支援する鉄道運転支援システム1000において、上記プロセッサは、車両の現在速度と目標速度(例えば、ランカーブDB107の目標速度)とから、仮想物体(例えば、
図6に示した指標6014、
図7に示した指標7014)の加減速の制御量(例えば、速度を変化させるパラメータ)を算出するパラメータ決定部(例えば、FBパラメータ決定部102)と、車両の現在位置と路線情報(例えば、路線情報DB108)とから、上記仮想物体を車窓に表示するための表示制御情報(例えば、フローの消失点座標・方位・仰角・俯角・軌道曲率半径)を導出するフロー生成部(例えば、オプティカルフロー生成部103)と、上記制御量と、上記表示制御情報とに基づいて、上記車窓に現在表示すべき仮想物体の表示パラメータを決定する表示パラメータ決定部(例えば、表示パラメータ決定部104)と、決定した上記表示パラメータに基づいて、上記現在表示すべき仮想物体を、上記車窓に重畳表示する重畳映像表示部(例えば、重畳映像表示部101)と、を有する。したがって、運転者のオプティカルフローへの慣れによる、運転操作の形骸化を生じさせない技術を提供することができる。従来技術では、消失点を固定としたオプティカルフローを適用して加減速の操作を促していたところ、本実施例によれば、車両の進行方向(例えば、現在速度、路線情報DB108から得られる車両の位置から得られる車両が走行する路線の進行方向)を考慮し、さらに車の背景もしくは位置基準指標とオプティカルフローとの速度差を提示することで加減速の操作を支援することができる。
【0052】
また、上記路線情報には、少なくとも路線の位置、曲率半径、勾配を含めることができ上記フロー生成部は、上記仮想物体の消失点の方位角および仰俯角と上記仮想物体の軌道とを算出し、上記表示制御情報として出力する。これにより、路線の位置、曲率半径、勾配を考慮して上記表示制御情報を出力し、上記仮想物体を車窓に表示させることができる。
【0053】
また、上記プロセッサは、車両が有する照度センサが検知した値に応じて、上記仮想物体の表示態様を変化させてもよい。例えば、
図1に示した車両300に設けられた照度センサSが検知した値が所定の明るさを下回った場合、オプティカルフロー生成部103は、現在の走行状態は夜間走行であると判断し、
図6に示した型のオプティカルフローから
図7に示した型のオプティカルフローに切り替え、重畳映像表示部101が、切り換えられたオプティカルフローをモニタ装置200の表示部201に表示させてもよい。あるいは、これとは逆に、上記照度センサSが検知した値が所定の明るさを以上となった場合、オプティカルフロー生成部103は、現在の走行状態は昼間走行であると判断し、
図7に示した型のオプティカルフローから
図6に示した型のオプティカルフローに切り替え、重畳映像表示部101が、切り換えられたオプティカルフローをモニタ装置200の表示部201に表示させてもよい。このような制御により、夜間走行や昼間走行といった、時間的な環境条件の違いに応じて、運転者が視認しやすい適切なオプティカルフローを提示することができる。
【0054】
また、上記プロセッサは、運行情報(例えば、運行情報DB109)に含まれる車両の走行時刻に対応付けられた路線の構造に応じて、上記仮想物体の表示態様を変化させてもよい。例えば、オプティカルフロー生成部103は、運行情報DB109の時刻に対応付けて記憶された構造(例えば、構造「2」)に応じて、表示型(例えば、表示型「3」)であらわされるオプティカルフローをモニタ装置200の表示部201に表示させてもよい。このような制御により、少なくとも一部に遮蔽物がある場合とそうでない場合のように、場所的な環境条件の違いに応じて、運転者が視認しやすい適切なオプティカルフローを提示することができる。
【0055】
また、上記プロセッサは、所定速度以下の低速下で車両が走行する場合には上記仮想物体を表示しない態様(例えば、駅または駅周辺の場所などを所定速度以下の低速下で車両が走行する場合にはオプティカルフローを表示しない態様、パタン0)とし、遮蔽物がない場所を車両が走行する場合には上記仮想物体を上記車窓に重畳表示する第1の態様(トンネルや鉄橋などの全部または一部に遮蔽物がない場所などを車両が走行する場合のオプティカルフローの表示態様、パタン1)とし、遮蔽物がある場所を車両が走行する場合には背景用の仮想物体と上記仮想物体とを上記車窓に重畳表示する第2の態様(上記遮蔽物がない場所などを車両が走行する場合のオプティカルフローの表示態様、パタン2)とする。このように、オプティカルフローの表示態様を切り換えて表示することにより、これらの環境下において適切にオプティカルフローを提示することができる。
【0056】
また、上記プロセッサは、現在時刻及び現在速度、またはGPSから得られた測位情報に基づいて、路線上の上記車両の現在位置を算出してもよい。これにより、正確な現在位置に基づいて、上記表示制御情報を導出することができる。
【0057】
また、上記プロセッサは、外部からの指示(例えば、運転者によるオプティカルフローの表示態様の指定)に基づいて上記仮想物体を常時表示させるか、または上記車両の現在速度と目標速度との乖離度が所定の条件を満たした場合(例えば、両者の乖離が時速20kmを超えた場合)に上記仮想物体を表示させてもよい。これにより、車両の走行環境に応じて、常にオプティカルフローを表示させるか、オンデマンドでオプティカルフローを表示させるかを、必要に応じて選択することが可能となる。
【0058】
また、上記プロセッサは、上記外部からの指示を、運転者から上記コンピュータの操作部(例えば、コンピュータ1600の入力装置1606)を介して受け付けるか、またはネットワークを介して上記コンピュータを管理する鉄道運転支援システムの管理者から当該鉄道運転支援システムの操作部を介して受け付ける。上記鉄道運転支援システムは、例えば、
図9に示すような、鉄道運転支援システム1000の全体を統括する鉄道運転支援統括システム9000として構成される。
図9に示す例では、2つの鉄道運転支援システム1000が、それぞれ、ネットワークNを介して、鉄道運転支援統括システム9000の集中管理センタに設けられた管理サーバ900に接続されている。管理サーバ900は、例えば、
図2に示したような一般的なコンピュータを用いることができる。上記操作部としては、例えば、入力装置1606を用いてよい。このような構成により、運転者自身がオプティカルフローの提示を指示するか、鉄道運転支援統括システムの管理者からの指示に従ってオプティカルフローを提示するかを、必要に応じて選択することが可能となる。
【0059】
本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化したり、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0060】
1000 鉄道運転支援システム
100 運転支援システム
101 重畳映像表示部
102 FBパラメータ決定部
103 オプティカルフロー生成部
104 表示パラメータ決定部
105 車両制御部
106 車両位置算出部
107 ランカーブDB
108 路線情報DB
109 運行情報DB
200 モニタ装置
201 表示部
300 車両
9000 鉄道運転支援統括システム
N ネットワーク
S 照度センサ