(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040836
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】車両誘導装置
(51)【国際特許分類】
E01C 23/09 20060101AFI20230315BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20230315BHJP
【FI】
E01C23/09 A
G05D1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148014
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】506056022
【氏名又は名称】光洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴博
【テーマコード(参考)】
2D053
5H301
【Fターム(参考)】
2D053AA03
2D053AA24
2D053AB03
2D053BA01
2D053DA13
5H301AA03
5H301BB02
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD08
5H301DD16
5H301GG08
5H301GG10
(57)【要約】
【課題】舗装路面の補修工事等に用いられる路面切削機に取り付けられ、切削屑を積載するためのダンプトラック等の車両に対し、後退(前進)と停止を指示し、且つ、所望の位置へ容易に誘導すること。
【解決手段】舗装路面を切削した際に発生する切削屑を、車両本体21の前方に延設されたベルトコンベア37に搬出する路面切削機20に取り付けられ、前記ベルトコンベアの下方に車両40を誘導させる車両誘導装置であって、前記ベルトコンベアの左右両側に設けられた一対の投射装置4,5と、前記車両本体の前部左右に設けられ、車両前方を照射する一対のライト2,3とを備え、前記投射装置により、前記車両を誘導するガイド線Pを路面上に投射し、前記ライトにより、前記車両の移動を停止させる指示を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装路面を切削した際に発生する切削屑を、車両本体の前方に延設されたベルトコンベアに搬出する路面切削機に取り付けられ、前記ベルトコンベアの下方に車両を誘導させる車両誘導装置であって、
前記ベルトコンベアの左右両側に設けられた一対の投射装置と、
前記車両本体の前部左右に設けられ、車両前方を照射する一対のライトとを備え、
前記投射装置により、前記車両を誘導する表示を路面上に投射し、
前記ライトにより、前記車両の移動を停止させる指示を行うことを特徴とする車両誘導装置。
【請求項2】
前記投射装置による表示は、路面上における前記車両の左右両側に投射した、前記車両を誘導するガイド線であって、
前記ガイド線は、前記車両の左右両側において、それぞれ車両前後方向に延びる二重線であり、車両の幅方向の許容範囲を示すことを特徴とする請求項1に記載された車両誘導装置。
【請求項3】
前記車両本体の前部左右に設けられた一対のライトは、所定色の点灯または点滅により、前記車両の停止を指示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された車両誘導装置。
【請求項4】
前記車両本体の前部左右に設けられた一対のライトは、所定色の点灯または点滅により、前記車両の停止から前進を指示することを特徴とする請求項3に記載された車両誘導装置。
【請求項5】
前記車両本体の前部に設けられ、前記車両との距離を測定するセンサを備え、
前記センサによる測定結果に従い、前記投射装置と前記ライトとを発光させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された車両誘導装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面切削機に取り付けられる車両誘導装置に関し、特に舗装路面の補修工事等において、路面切削機により舗装路面を切削した際に発生する切削屑を積載するためのダンプトラック等の車両の後退を誘導するための車両誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1において、舗装路面の補修工事等に用いられる自走式切削機を開示している。
図7は、特許文献1に開示した自走式切削機60の側面図である。この自走式切削機60は、エンジン61によって高速回転可能な切削ドラム62を備え、切削ドラム62によって、補修すべき舗装道路を切削する。
【0003】
図示するように、この自走式切削機60は、切削ドラム62により切削した切削屑Cを切削ドラム室63から搬出するための第1のベルトコンベア64と、それに続く第2のベルトコンベア65とを備え、第2のベルトコンベア65で搬送された切削屑Cはダンプトラック70に搬出される。
【0004】
前記自走式切削機60からダンプトラック70への切削屑Cの搬出は、次のようにして行われる。自走式切削機60は、前進しながら切削作業を行う。前記したように切削屑Cは、第1のベルトコンベア64から第2のベルトコンベア65へと搬送されるが、第2のベルトコンベア65の先端付近まで切削屑Cが到達すると、ダンプトラック70の荷台へ切削屑Cを搬出する必要がある。
そのため、自走式切削機60は、第2のベルトコンベア65の先端付近まで切削屑Cが到達すると、前進走行を停止するとともに、ベルトコンベアの駆動を停止する。次いで、ダンプトラック70を自走式切削機60に向けて後退させ、その荷台を第2のベルトコンベア65の先端部直下に配置する。
【0005】
第2のベルトコンベア65の先端部直下にダンプトラック70の荷台が配置されると、自走式切削機60は、第2のベルトコンベア65の駆動を再開し、コンベア上の切削屑Cをすべて、ダンプトラック70の荷台上に搬出する。
ダンプトラック70の荷台上にコンベア上の切削屑Cがすべて搬出されると、ダンプトラック70は前進して自走式切削機60から離れる。そして、自走式切削機60は、再び前進しながら切削作業を開始し、新たな切削屑Cが、第1のベルトコンベア64から第2のベルトコンベア65へと搬送される。
【0006】
ところで、前記したようにベルトコンベア上の切削屑Cをダンプトラック70の荷台上に搬出する際には、ダンプトラック70が自走式切削機60に向けて後退して近づき、その荷台を第2のベルトコンベア65の先端部直下に配置する。
しかしながら、ダンプトラック70が後退する際に、停止位置の目印が無いため、自走式切削機60の作業員の人的動作による誘導やダンプトラック70の運転手の目視等による感覚的な判断に頼るしかなく、ダンプトラック70の後退を停止した際の自走式切削機60との距離が、その都度変わりやすかった。
即ち、そのようにダンプトラック70と自走式切削機60との距離が、その都度変わると、第2のベルトコンベア65から落下するトラック荷台上の位置が変わるため、切削屑Cの積載バランスが変化し、ダンプトラック70の走行に危険を及ぼす虞がある等の課題があった。
【0007】
停止すべき位置に車両を誘導する従来技術については、例えば、特許文献2に開示されている。即ち、特許文献2には、入口から駐車位置まで車両が自走して入庫する駐車設備であって、位置検出装置とプロジェクションマッピング装置を備える駐車設備が開示されている。位置検出装置は、車両の自走範囲に設けられ、車両位置を検出する。位置検出装置により車両位置を検出し、プロジェクションマッピング装置により車両位置に適した案内を含む映像を壁面または床面に投影することができる。
特許文献2に開示された技術によれば、車両を誘導し、所定の位置に停車させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6499994号公報
【特許文献2】特開2020-139368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に開示される技術は、駐車場に固定設置された装置により単に案内映像を床面等に投影するものであり、自走式切削機60とダンプトラック70との関係のように、互いが移動と停止とを繰り返し、誘導案内が必要な場所がその都度変わるような場合には適用が困難であった。
また、特許文献2に開示される技術は、車両の駐車位置へ誘導するための表示を単に行うものであり、移動する車両(ダンプトラック70)に対し、直接的に後退(前進)や停止を指示できるものではなかった。
【0010】
本発明は、このような事情のもとになされたものであり、その目的は、舗装路面の補修工事等に用いられる路面切削機に取り付けられ、切削屑を積載するためのダンプトラック等の車両に対し、後退(前進)と停止を指示し、且つ、所望の位置へ容易に誘導することのできる車両誘導装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するためになされた、本発明に係る車両誘導装置は、舗装路面を切削した際に発生する切削屑を、車両本体の前方に延設されたベルトコンベアに搬出する路面切削機に取り付けられ、前記ベルトコンベアの下方に車両を誘導させる車両誘導装置であって、前記ベルトコンベアの左右両側に設けられた一対の投射装置と、前記車両本体の前部左右に設けられ、車両前方を照射する一対のライトとを備え、前記投射装置により、前記車両を誘導する表示を路面上に投射し、前記ライトにより、前記車両の移動を停止させる指示を行うことに特徴を有する。
尚、 前記投射装置による表示は、路面上における前記車両の左右両側に投射した、前記車両を誘導するガイド線であって、前記ガイド線は、前記車両の左右両側において、それぞれ車両前後方向に延びる二重線であり、車両の幅方向の許容範囲を示すことが望ましい。
また、前記車両本体の前部左右に設けられた一対のライトは、所定色の点灯または点滅により、前記車両の停止を指示することが望ましい。
また、前記車両本体の前部左右に設けられた一対のライトは、所定色の点灯または点滅により、前記車両の停止から前進を指示することが望ましい。
また、前記車両本体の前部に設けられ、前記車両との距離を測定するセンサを備え、前記センサによる測定結果に従い、前記投射装置と前記ライトとを発光させることが望ましい。
【0012】
このように本発明に係る車両誘導装置は、路面切削機の車両本体の前部左右に設けられ、前方に向け発光する一対のライトと、ベルトコンベアの左右両側に設けられ、路面に投射を行うための一対の投射装置とを備える。
即ち、前記投射装置により路面にガイド表示を投射するとともに、前記ライトの点灯・点滅動作によりダンプトラックなどの車両の停止、後退を指示するものである。これにより、路面切削機の位置がその都度変わっても、ダンプトラックを所望の位置へ容易に誘導することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、舗装路面の補修工事等に用いられる路面切削機に取り付けられ、切削屑を積載するためのダンプトラック等の車両に対し、後退(前進)と停止を指示し、且つ、所望の位置へ容易に誘導することのできる車両誘導装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明に係る車両誘導装置を取り付けた路面切削機の側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の車両誘導装置が備えるフラッシュライト装置と投射装置の駆動制御回路を示すブロック図である。
【
図5】
図5(a)、(b)は、投射装置により投射されるガイド線のパターンデータの例を示す平面図である。
【
図6】
図6(a)、(b)は、投射装置により投射されるガイド線のパターンデータの他の例を示す平面図である。
【
図7】
図7は、従来の自走式切削機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る車両誘導装置について説明する。
図1は、本発明に係る車両誘導装置を取り付けた路面切削機の側面図であり、
図2は、
図1の路面切削機の平面図である。また、
図3は、
図1の路面切削機の正面図である。
尚、本発明に係る車両誘導装置は、路面切削機に取り付けられ、路面切削した際に発生した切削屑を積載するためのダンプトラック等の車両を誘導するための装置である。
【0016】
先ず、本発明の車両誘導装置を取り付け可能な路面切削機の一構成例について図面に基づき説明する。
図1に示す路面切削機20は、車両本体21の中間部にハンドル28等が設けられた運転席22と、車両本体21の後部に設けられた駆動装置であるエンジン23と、前記エンジン23によって駆動される複数のタイヤ24とを備える。
【0017】
前記エンジン23の近くには、エンジン23の回転を動力源として電装部品の電源を発電するオルタネータ(図示せず)が配置されている。このオルタネータにより発電された交流電流は直流に変換されてバッテリー(図示せず)に蓄えられ、AC/DCインバータ(図示せず)によって交流電流に変換され、運転席22付近に設けられたメイン操作盤26から電源供給することが可能となっている。
【0018】
さらに路面切削機20は、車両本体21の後下部における幅方向に設けられた、多数個の切削ビットを備えた切削ドラム30を備えている。
前記切削ドラム30は、専用のエンジン(図示せず)によって高速回転可能に設けられ、補修すべき舗装道路を切削することができるように構成されている。
前記切削ドラム30は、切削ドラム室32に収容される。この切削ドラム室32は、切削ドラム30の上部及び前後左右部を覆うカバー板31により形成されている。
このように、前記カバー板31が切削ドラム30の上部及び前後左右部を覆い、切削ドラム室32がほぼ密閉した状態になされるため、前記切削ドラム室32から外部への粉塵の飛散が抑制されるようになっている。
【0019】
また、路面切削機20には、切削ドラム30により切削した切削屑を前記切削ドラム室7から搬出するための第1のベルトコンベア35が設けられている。この第1のベルトコンベア35の始端は、切削ドラム室32に設けられ、第1のベルトコンベア35の終端は、車体本体21の前部に位置するように配置されている。また、この第1のベルトコンベア35の上側部分、即ち切削屑が搬送される空間は、カバー部材35aによって覆われ、密閉状態になされ、外部への粉塵の飛散が抑制されるように構成されている。
【0020】
更に、前記車体本体21の前部上部に対し、上下及び左右方向へのリンク機構36によって移動可能に配設され、かつ前記第1のベルトコンベア35からの切削屑を受け取りダンプトラック40(車両)の荷台に搬出するための第2のベルトコンベア37が設けられている。
この第2のベルトコンベア37についても、第1のベルトコンベア35と同様に、第2のベルトコンベア37の上側部分、即ち切削屑が搬送される空間は、カバー部材37aによって覆われ、密閉状態になし、外部への粉塵の飛散が抑制されるように構成されている。
このように、切削ドラム室32から第2のベルトコンベア37の終端に至る経路が、ほぼ密閉された状態となり、外部への粉塵の飛散が抑制されるように構成されている。
【0021】
本発明に係る車両誘導装置は、前記したように路面切削機20に取り付けられる。即ち、前記車両誘導装置は、車両本体21の前部左右に設けられた一対のフラッシュライト装置2、3(一対のライト)と、前記第2のベルトコンベア37の左右両側に設けられた一対の投射装置4、5とを備える。更には、本発明の車両誘導装置は、車両本体21の前部に設けられ、前方のダンプトラック(車両)との距離を測定する、例えば超音波測定方式の距離測定センサ15を備える。
【0022】
図4は、前記フラッシュライト装置2、3と投射装置4,5の駆動制御回路を示すブロック図である。
例えば、運転席付近に設けられたメイン操作盤26の内部には、コンピュータである制御部7が具備され、この制御部7によりフラッシュライト装置2、3及び投射装置4、5の動作がそれぞれ制御される。
【0023】
フラッシュライト装置2、3は、それぞれ
図3、
図4に示すように例えば縦に配列された3つのライト2a、2b、2c(3a、3b、3c)からなり、例えば上から青いライト、白いライト、赤いライトの順に配置されている。いずれのライト2a、2b、2c(3a、3b、3c)も車両前方に向けて照射するように配置されている。
【0024】
また、投射装置4、5は、例えば、制御部7を通して供給される映像データを下方の路面に投射するプロジェクタである。制御部7には、不揮発性メモリ等の記憶装置12が接続されており、この記憶装置12には、例えば、ダンプトラック40の後退方向を誘導するためのガイド線のパターンデータPが映像データとして記憶されている。
【0025】
前記ガイド線のパターンデータPとしては、特に限定しないが、例えば、
図5(a)に示すように、ダンプトラック40の左右両脇にそれぞれ車両前後方向に延びる二重線(P)が挙げられる。ダンプトラック40の左右両側にそれぞれ車両前後方向に延びる二重線(P)が表示されることにより、ダンプトラック40の幅方向の許容範囲を示すことができる。尚、前記二重線(P)は、例えば内側が青、外側が赤とすることにより、ダンプトラック40が外側の赤いラインをはみ出さないように注意を促すことができる。また、
図5(a)の二重線(P)の外側に、ダンプトラックの前進方向を示す矢印のパターンP1を追加しても良い。この矢印のパターンは、青色で表示するのが好ましい。
【0026】
また、前記ガイド線の他のパターンデータPとしては、例えば
図5(b)に示すように、車両前後方向に配列され、ダンプトラックの後退方向を示す矢印のパターンデータでもよい。この場合、車両前後方向に配列された複数の矢印を順に点滅させることを繰り返して、矢印をアニメーション的に流導表示させてもよい。
また、
図5(b)のダンプトラックの後退方向を示す矢印のパターンデータのダンプトラック側には停止線位置を示す線状のパターンP2を追加しても良い。この矢印のパターンは、赤色で表示するのが好ましい。
尚、停止線位置を示す線状のパターンP2は、路面切削機2の前方下方に投射されるため、投射装置4、5に、更に路面切削機2の前方下方に投射する投射装置4a、5aを設けても良い。
【0027】
また、前記ガイド線の他のパターンデータPとして、後退しているダンプトラック40に対し、停止を促すために、例えば
図6(a)に示すように、STOPの標識を投影したり、或いは、
図6(b)に示すようにOKの文字を路面上に投射するようにしてもよい。
尚、
図6(a)においても、
図5(b)と同様に、停止線位置を示す線状のパターンP2を投射しても良い。
【0028】
前記メイン操作盤26には、
図4に示すように一対のフラッシュライト装置2、3の発光動作を操作するためのスイッチ部8、9がそれぞれ設けられ、また、一対の投射装置4、5の発光動作を操作するためのスイッチ部10が設けられている。
前記スイッチ部8、9は、それぞれ青と白と赤の色別の点灯スイッチ8a、8b、8c(9a、9b、9c)が設けられており、作業員が各点灯スイッチを押すことにより、フラッシュライト装置2、3の対応する各ライト2a、2b、2c(3a、3b、3c)が点灯するように構成されている。
【0029】
尚、点灯スイッチだけでなく、図示するように点滅スイッチ8d、8e、8f(9d、9e、9f)を更に設けて、各ライト2a、2b、2c(3a、3b、3c)が所定の周期で点滅する構成にすることが望ましい。この場合、例えば青いライト8aの点滅であれば、ダンプトラック40に対し後退OKを指示し、青いライト8aの点灯であれば、ダンプトラック40に対し前進OKの指示内容と区別することができる。
【0030】
また、前記スイッチ部10には、路面に投射するガイド線、或いは停止指示のパターンデータを選択する投影スイッチ10a、10b、10cが複数(図では3つ)設けられており、作業員が選択した投影スイッチ10a、10b、10cを押すことにより、制御部7が記憶装置12から選択されたパターンデータを読み出し、投射装置4、5により路面にパターンPを投射するように構成されている。
尚、投影スイッチ(矢印流導)10b、投影スイッチ(止まれ表示)10cによって表示される路面にパターンPには、前記したよう停止線表示を追加しても良い。
【0031】
また、距離測定センサ15は、車両本体21の前方に位置するダンプトラック40との距離を測定するとともに、制御部7に測定した距離の結果を出力する。
制御部7は、予め設定された距離よりも測定距離が小さい場合は、ダンプトラックが予め設定された距離よりも路面切削機20の近くにあることを示すために、例えばメイン操作盤26の所定箇所に赤いランプ(図示せず)を表示し作業員に認識させる。このランプ表示に従い、作業員は、スイッチ8、9を操作し、フラッシュライト装置2、3の赤いライト2c、3cを点灯、或いは点滅させ、ダンプトラック40の運転手に対し、後退の停止、或いは停止状態の維持を促す。
また、このときスイッチ10を操作し、ダンプトラック40の運転手に対し、停止を促すように、投射装置4、5により、所定のパターンを路面に投影させる。
【0032】
一方、制御部7は、予め設定された距離よりも測定距離が大きい場合は、ダンプトラックが予め設定された距離よりも遠くにあることを示すために、例えばメイン操作盤26の所定箇所に青いランプ(図示せず)を表示し作業員に認識させる。このランプ表示に従い、作業員は、スイッチ8、9を操作し、フラッシュライト装置2、3の青いライト2a、3aを点滅、或いは点灯させ、ダンプトラックの運転手に対し、ダンプトラックの後退を促す。
また、このときスイッチ10を操作し、ダンプトラック40の運転手に対し、ダンプトラック40の後退を正確に誘導するように、投射装置4、5により、所定のパターンを路面に投影する。
【0033】
或いは、制御部7は、予め設定された距離よりも測定距離が小さい場合は、例えばフラッシュライト装置2、3の赤いライト2c、3cを自動的に点滅、或いは点灯させ、ダンプトラックの運転手に対し、後退の停止、或いは停止状態の維持を促すようにしてもよい。また、このとき、同時にダンプトラックの運転手に対し、後退の停止を促すように、投射装置4、5により、所定のパターンを路面に投影するようにしてもよい。
【0034】
一方、制御部7は、予め設定された距離よりも測定距離が大きい場合は、例えばフラッシュライト装置2、3の青いライト2a、3aを点滅、或いは点灯させ、ダンプトラックの運転手に対し、ダンプトラックの後退を促すようにしてもよい。また、このとき、同時にダンプトラックの運転手に対し、ダンプトラックの後退を正確に誘導するように、投射装置4、5により、所定のパターンを路面に投影することが望ましい。
尚、このような距離測定センサ15の測定結果によるフラッシュライト装置2,3、及び投射装置4、5の自動点灯制御は、スイッチ部8、9、10の操作制御より優先するように設定可能とすることが望ましい。
【0035】
続いて、このように構成された車両誘導装置を備える路面切削機20と、切削屑を回収するダンプトラック40とによる一連の作業の動作について説明する。
路面切削機20は、作業場所において車両本体21を自走させながら、切削ドラム30を高速で回転させ、舗装路面を切削する。切削によって発生した切削屑は、切削ドラム30から第1のベルトコンベア35に搬出され、更に第1のベルトコンベア35から第2のベルトコンベア37に搬出される。第2のベルトコンベア37の先端部付近まで切削屑が積載されると、路面切削機20の作業員は、車両本体21の走行を停止するとともに、第1のベルトコンベア35及び第2のベルトコンベア37の駆動を停止する。
【0036】
次いで、路面切削機20の作業員は、メイン操作盤26において、距離測定センサ15の測定結果である青いランプ(図示せず)の表示を確認した後、スイッチ8、9を操作して、フラッシュライト装置2、3の青いライト2a、3aを例えば点滅発光させる(この例では点滅時は後退OKとしている)。また、スイッチ部10を操作して、投射装置4、5により路面にダンプトラック40の誘導表示を投射させる。
【0037】
ダンプトラック40の運転手は、フラッシュライト装置2、3の青いライト2a、3aの点滅により、後退指示を判別し、投射装置4、5による誘導表示に従い、ダンプトラック40を後退させる。
ダンプトラック40が後退し、路面切削機20に対し所定距離まで近づくと、距離測定センサ15の測定結果に従い、制御部7は、メイン操作盤26において、点灯している青いランプ(図示せず)を消灯させ、代わりに赤いランプ(図示せず)を表示させる。この表示により路面切削機20の作業員は、ダンプトラック40が所定距離まで近づいたことを判別し、スイッチ8、9を操作して、フラッシュライト装置2、3の赤いライト2c、3cを点灯、或いは点滅発光させる。また、スイッチ部10を操作して、投射装置4、5により路面にダンプトラックの停止を促す表示を投射させる。
【0038】
ダンプトラックが、フラッシュライト装置2、3の発光及び投射装置4、5の投射表示により後退を停止すると、路面切削機20は、車両本体21の走行を停止した状態で、第1のベルトコンベア35及び第2のベルトコンベア37の駆動を再開する。
これにより、ダンプトラックの荷台には、第1のベルトコンベア35及び第2のベルトコンベア37に積載されていた切削屑がすべて投入される。
【0039】
ダンプトラック40の荷台にコンベア上の切削屑がすべて投入されると、路面切削機20の作業員は、スイッチ8、9を操作して、フラッシュライト装置2、3の青いライト2a、3aを例えば点灯発光させる(この例では点灯時は前進OKとしている)。
ダンプトラック40の運転手は、フラッシュライト装置2、3の青いライト2a、3aの点灯状態を確認し、ダンプトラック40を前進して路面切削機20から離れ、所定場所に切削屑を搬送する。
【0040】
また、路面切削機20は、再び車両本体21を自走させながら、切削ドラム30を高速で回転させ、舗装路面を切削して第1のベルトコンベア35及び第2のベルトコンベア37上に新たな切削屑を積載する。その後、前記した手順にしたがい、ダンプトラック40への切削屑の投入が行われる。
【0041】
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、本発明に係る車両誘導装置は、車両本体21の前部左右に設けられ、前方に向け発光する一対のフラッシュライト装置2、3と、第2のベルトコンベア37の左右両側に設けられ、路面に投射を行うための一対の投射装置4、5とを備える。
即ち、前記投射装置4、5により路面にガイド表示を投射するとともに、前記フラッシュライト装置2、3の点灯・点滅動作によりダンプトラックの停止、後退を指示するものである。これにより、路面切削機20の位置がその都度変わっても、ダンプトラック40を所望の位置へ容易に誘導することができる。
【0042】
尚、前記実施の形態においては、第2のベルトコンベア37の左右に設けた投射装置4、5により路面上に流動パターンなどのガイド表示を投射するものとしたが、本発明にあっては、その形態に限定されるものではない。
例えば、投射装置として拡大レンズと、この拡大レンズに光を投射して下方の路面に向けて投影するためのライト装置を設け、フィルム上に描かれたガイド線の図形を拡大して路面上に投影するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
2 フラッシュライト装置(ライト)
3 フラッシュライト装置(ライト)
4 投射装置
5 投射装置
7 制御部
8 スイッチ
9 スイッチ
10 スイッチ
12 記憶装置
15 距離測定センサ(センサ)
20 路面切削機
21 車両本体
35 第1のベルトコンベア
36 第2のベルトコンベア