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特開2023-40884認知能力推定装置、その方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040884
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】認知能力推定装置、その方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
A61H1/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148075
(22)【出願日】2021-09-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】517147593
【氏名又は名称】株式会社mediVR
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】原 正彦
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA33
4C046AA47
4C046BB02
4C046BB04
4C046BB10
4C046CC04
4C046DD33
4C046DD36
4C046DD37
4C046EE02
4C046EE03
4C046EE13
4C046EE15
4C046EE16
4C046EE17
4C046EE23
4C046EE25
4C046EE32
4C046EE33
4C046EE34
4C046EE36
4C046FF12
4C046FF33
(57)【要約】
【課題】ユーザの認知能力を精度良く評価すること。
【解決手段】3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
目標オブジェクトの仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
目標オブジェクトに対する身体動作をユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの属性に応じて、ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備えた認知能力推定装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備えた認知能力推定装置。
【請求項2】
前記推定部は、少なくとも前記目標オブジェクトの移動速度および前記表示数に基づいて、前記ユーザの認知能力レベルを算出する請求項1に記載の認知能力推定装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記目標オブジェクトが上下方向に移動する場合と、上下方向に移動しない場合とで、異なるパラメータ、あるいは異なるパラメータ係数を用いて、前記認知能力レベルを算出する請求項1または2に記載の認知能力推定装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記目標オブジェクトが表示される画面の背景に応じて、異なるパラメータ、あるいは異なるパラメータ係数を用いて、前記ユーザの認知能力レベルを算出する請求項1または2に記載の認知能力推定装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記仮想空間において前記目標オブジェクトが移動する速度が速くなればなるほど、当該目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合には、前記認知能力レベルを高く推定する請求項1から4のいずれか1項に記載の認知能力推定装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記仮想空間において前記目標オブジェクトが同時に存在する数が多くなればなるほど、当該目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合には、前記認知能力レベルを高く推定する請求項1から5のいずれか1項に記載の認知能力推定装置。
【請求項7】
前記推定部は、前記仮想空間において前記目標オブジェクトが出現する間隔が短くなればなるほど、当該目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合には、前記認知能力レベルを高く推定する請求項1から6のいずれか1項に記載の認知能力推定装置。
【請求項8】
前記推定部は、前記目標オブジェクトの大きさが小さくなればなるほど、当該目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合には、前記認知能力レベルを高く推定する請求項1から7のいずれか1項に記載の認知能力推定装置。
【請求項9】
前記推定部は、前記目標オブジェクトの出現範囲が広くなればなるほど、当該目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合には、前記認知能力レベルを高く推定する請求項1から7のいずれか1項に記載の認知能力推定装置。
【請求項10】
前記ユーザが身体動作を達成した前記目標オブジェクトの前記属性と認知年齢との関係を表す数式またはテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記推定部は、前記数式またはテーブルを用いて、前記ユーザの認知能力レベルを認知年齢として推定する請求項1~9のいずれか1項に記載の認知能力推定装置。
【請求項11】
前記記憶部に記憶された数式またはテーブルを更新する更新部をさらに備えた請求項10に記載の認知能力推定装置。
【請求項12】
前記設定部は、前記推定部が推定した前記ユーザの認知能力レベルに応じて、次に表示させる目標オブジェクトの前記属性を設定する請求項1~11のいずれか1項に記載の認知能力推定装置。
【請求項13】
前記推定部は、推定した前記認知能力レベルに基づき運転リスク、または転倒リスクをさらに推定する請求項1~12のいずれか1項に記載の認知能力推定装置。
【請求項14】
前記設定部は推定された前記認知能力レベルに基づき、認知能力を向上、あるいは運転リスクを低減、または転倒リスクを低減させるための治療プログラムを提案する請求項13に記載の認知能力推定装置。
【請求項15】
表示制御部が3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御ステップと、
設定部が前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定ステップと、
推定部が前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定ステップと、
を含む認知能力推定方法。
【請求項16】
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御ステップと、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定ステップと、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定ステップと、
をコンピュータに実行させる認知能力推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知能力推定装置、その方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、患者のリハビリテーションを支援する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-228957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、段落0013に、「治療の進捗、すなわち運動機能の回復を直観的に把握したり、必要に応じて現在の動作に反映させたりできる。」と書かれている通り、「運動機能の回復」を治療目的としている。そのため、従来の技術では、認知機能判定を行うことはなかった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る装置は、
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備えた認知能力推定装置。
前記推定部は、推定した前記認知能力レベルに基づき運転リスク、または転倒リスクをさらに推定する認知能力推定装置。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る方法は、
表示制御部が3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御ステップと、
設定部が前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定ステップと、
推定部が前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定ステップと、
を含む認知能力推定方法。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るプログラムは、
表示制御部が3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御ステップと、
設定部が前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定ステップと、
推定部が前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定ステップと、
をコンピュータに実行させる認知能力推定プログラム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの認知能力を精度良く評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る認知能力推定装置の構成を示すブロック図である。
図2】第2実施形態に係るリハビリテーション支援システムの構成を示すブロック図である。
図3】第2実施形態に係るリハビリテーション支援システムの操作パネル画面の一例を示す図である。
図4】第2実施形態に係るリハビリテーション支援システムのタスクデータテーブルの一例を示す図である。
図5】第2実施形態に係るリハビリテーション支援システムのヘッドマウントディスプレイでの表示画面の一例を示す図である。
図6】第2実施形態に係るリハビリテーション支援システムのヘッドマウントディスプレイでの表示画面の一例を示す図である。
図7】第2実施形態に係るリハビリテーション支援システムのヘッドマウントディスプレイでの表示画面の一例を示す図である。
図8】第2実施形態に係るリハビリテーション支援システムのヘッドマウントディスプレイでの表示画面の一例を示す図である。
図9】第2実施形態に係るリハビリテーション支援システムの認知能力推定処理の流れを示すフローチャートである。
図10】第2実施形態に係るリハビリテーション支援システムで推定された認知能力レベルに基づく、運転リスク評価および転倒リスク評価のための表の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
[前提技術]
認知レベルを評価する指標として、MMSE (Mini-Mental State Examination:ミニメンタルステート検査)、 HDS-R(Hasegawa's Dementia Scale-Revised:改訂長谷川式認知症スケール)、MoCA(Montreal Cognitive Assessment)、TMT(Trail-Making Test)、FAB(Frontal Assessment Battery)等、数多くの指標が存在する。
しかしこれらの指標はユーザーに質問や紙面上での課題を要求するため、言語的な要素を要したり、識字力や書字能力等純粋な認知とは関係のない要素を多く含んだ評価指標とならざるを得ないという課題があった。
あるいは正確性を追求すると検査に要する時間が15~20分以上必要となる。また、短期間で検査を繰り返すことで質問課題の回答を学習してしまうという問題もある。あるいは軽症例の場合は検査結果に認知機能が反映されにくいといったようないわゆる天井効果が存在する。このように、特定の範囲の認知レベルの評価にしか用いることができないという多くの問題点があった。
したがって、識字力や書字能力、あるいは言語に依存せず、短期間で行え、様々な認知能力レベルを推定でき、繰り返し検査によって被験者が回答を知ってしまうという状態を回避できるような認知能力の評価方法が望まれている。
このような手法が確立されれば、推定した認知機能に応じたトレーニングを連続的に行えるようになり、認知能力の機能改善の確立にも有効となることが期待される(https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_02.pdfの26ページ)。
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての認知能力推定装置100について、図1を用いて説明する。認知能力推定装置100は、ユーザの認知能力レベルを推定する装置である。
【0014】
図1に示すように、認知能力推定装置100は、表示制御部101と、設定部102と、推定部103とを含む。
【0015】
表示制御部101は、3次元的な身体動作をユーザ110に促すための目標オブジェクト152を仮想空間150において生成し、表示する。
【0016】
設定部102は、目標オブジェクト152の仮想空間150における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定することができる。
【0017】
推定部103は、目標オブジェクト152に対する身体動作をユーザ110が達成できた場合に、その目標オブジェクト152の属性に応じて、ユーザ110の認知能力レベルを推定する。認知能力レベルの推定は、1回毎の身体動作を1課題として、1回の課題に基づいて行っても、複数の課題の結果に基づいて行ってもよい。
【0018】
以上の構成により、ユーザの認知能力レベルをより精度高く推定することが可能となる。
【0019】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るリハビリテーション支援システム200について、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係るリハビリテーション支援システム200の構成を説明するための図である。
【0020】
図2に示すように、リハビリテーション支援システム200は、リハビリテーション支援装置210と、2つのベースステーション231、232と、ヘッドマウントディスプレイ233と、2つのコントローラ234、235とを備える。ユーザ220は、椅子221に座りながら、ヘッドマウントディスプレイ233の表示に合わせて、上半身をねじったり、手を伸ばしたりすることでリハビリテーション動作を行なう。本実施形態では、椅子に座って行なうリハビリテーションを前提に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、リハビリテーション動作を、立って行なっても、歩きながら行っても、ベッド上で行っても、仰臥位や腹臥位で行ってもよい。あるいはリハビリテーション動作を、走りながら、またはその他特定の動作や運動を行いながら行ってもよい。また、コントローラは足や体幹等、手以外の体の部位に保持、装着してもよい。
【0021】
2つのベースステーション231、232は、ヘッドマウントディスプレイ233の動きおよびコントローラ234、235の動きを検知して、リハビリテーション支援装置210に送る。リハビリテーション支援装置210は、ヘッドマウントディスプレイ233の動きに基づいて、ヘッドマウントディスプレイ233の表示制御を行なう。また、コントローラ234、235の動きに基づいて、ユーザ220のリハビリテーション動作を評価する。なお、ヘッドマウントディスプレイ233としては、非透過タイプでも、ビデオシースルータイプでも、オプティカルシースルータイプでも、あるいは眼鏡型でも構わない。本実施形態ではVR(Virtual Reality)の仮想空間をユーザに提示するが、AR(Augmented Reality:拡張現実)のように、現実空間と仮想空間とを重畳表示してもよいし、MR(Mixed Reality:複合現実)のように、仮想空間に現実情報を反映させてもよいし、あるいはホログラム技術を代替手段として用いてもよい。
【0022】
本実施形態では、ユーザの手や頭の位置または動作を検出するためのセンサの一例として、ユーザ220が手に持つコントローラ234、235や、ベースステーション231、232を示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。ユーザの手そのものの位置または動作を画像認識処理により検出するためのカメラ(深度センサを含む)や、温度によりユーザの手の位置を検出するためのセンサを用いても良い。さらに、ユーザの腕に装着させる腕時計型のウェアラブル端末などや、モーションキャプチャなども、動作検出部211と連動させることで本発明に適用可能である。つまり、キネクト(登録商標)等の三次元トラッキング装置や動作分析装置を用いたり、体にマーカー等を装着して行うことも一つの実施形態となる。
【0023】
リハビリテーション支援装置210は、動作検出部211、表示制御部212、213、フィードバック部214、評価更新部215、タスクセットデータベース216、設定部217、推定部218、記憶部219を備える。
【0024】
動作検出部211は、ユーザ220が手に持つコントローラ234、235の位置をベースステーション231、232を介して取得し、ユーザ220の手の位置の変化によりユーザ220のリハビリテーション動作を検出する。
【0025】
表示制御部212は、3次元的な身体動作をユーザ220に促すための目標オブジェクト242を仮想空間240において生成し、表示する。特に、表示制御部212は、検出したリハビリテーション動作に応じて動くアバターオブジェクト241と、リハビリテーション動作の目標を示す目標オブジェクト242と、を仮想空間内に生成する。そして、それらのアバターオブジェクト241および目標オブジェクト242の画像を、動作検出部211が検出したヘッドマウントディスプレイ233の向きおよび位置に応じて、表示画面240に表示させる。アバターオブジェクト241および目標オブジェクト242の画像は、背景画像243に重畳表示される。ここでは、アバターオブジェクト241は、コントローラ234、235と同じ形状をしているがこれに限定されるものではなく、さらに左右で大きさや形状、色を変えたりしてもよい。アバターオブジェクト241は、コントローラ234、235の動きに合わせて表示画面240中を動く。コントローラ234、235には1つ以上のボタンが用意されており、ボタンを操作することにより原点設定などの初期設定を含む各種設定を行うことができるように構成されている。ボタン機能を無効にすることもでき、ボタンそのものを配置しないで、全ての設定を別途外部の操作部を用いて実行するように構成してもよい。背景画像243は、地平線244と、地表面画像245とを含んだ仮想空間から切り出したものである。
【0026】
表示制御部212は、目標オブジェクト242を仮想空間内に生成し、ユーザ220の上方向から下方に向けて移動させる。これにより、ヘッドマウントディスプレイ233においては、表示位置および大きさが徐々に変わるように(例えば徐々に大きくなり、その後小さくなるように)表示される。ユーザ220は、コントローラ234、235を動かして、画面中のアバターオブジェクト241を、目標オブジェクト242に近づける。なお、目標オブジェクトの移動方向は、例えば床面方向から頭上方向へ上昇していくように表示させてもよい。また、上下方向の動きに加えて奥行き方向や左右方向への移動を含め、3次元的にどのような移動方法を伴ってもよいし、あるいは移動せずにある特定の座標位置に固定されていてもよい。
【0027】
ユーザ220は、コントローラ234、235を動かして、画面中のアバターオブジェクト241を、目標オブジェクト242に近づける。アバターオブジェクト241が目標オブジェクト242にぶつかると、表示制御部212は目標オブジェクト242を消滅させ、フィードバック部214は、目標動作が達成されたとして、メッセージを表示する。具体的には、アバターオブジェクト241に含まれるセンサオブジェクトと目標オブジェクト242との最短距離が所定範囲内になると、目標達成となり、目標オブジェクト242は消滅する。このとき、アバターオブジェクト241に含まれるセンサオブジェクト(例えば、アバターオブジェクト241の中心点を含む球体オブジェクト)と目標オブジェクト242との最短距離が所定の閾値S1以下になれば目標の完全達成とする。そして完全達成の場合、「あっぱれ」と表示すると同時に対応する音声を出力してフィードバックする。同時に課題を達成した方の手で保持するコントローラ234,あるいは235を振動させてもよいし、嗅覚や味覚に対して刺激を与えてもよい。センサオブジェクトと目標オブジェクト242との距離がどこまで縮まったかによってリハビリテーション動作を3段階以上に分けて評価してもよい。また、目標オブジェクトを同時に仮想空間内に2つ以上生成し、表示してもよい。五感刺激に対する課題達成の報知は、動作種別に応じて等、いかように組み合わせて行ってもよい。アバターオブジェクト241に含まれるセンサオブジェクトと目標オブジェクト242との最短距離が閾値S1以上閾値S2以下であれば、目標の達成として「お見事」と表示すると同時に対応する音声を出力してフィードバックすればよい。なお、出力される音声は表示メッセージと同一のものでなくてもよく、例えば「ピローン」というような非言語的な効果音を用いてもよい。
【0028】
表示制御部213は、レーダスクリーン画像250をヘッドマウントディスプレイ233の表示画面240に表示させる。レーダスクリーン画像250は、目標オブジェクト152の発生を報知するための報知画像である。レーダスクリーン画像250は、発生する目標オブジェクト242の位置が、仮想空間内の基準方向(ここでは椅子にまっすぐに腰掛けたユーザの正面方向となるように初期設定されている)に対して、相対的にどちらの方向であるかを報知する。レーダスクリーン画像250は、さらに、発生する目標オブジェクト242の位置が、ユーザ220からどの程度離れているかも報知する。なお、報知画像はレーダースクリーン画像に限定されず、文字や矢印、記号やイラスト、光や色の種類、強弱、点滅等によって報知されてもよい。また、報知方法は画像に限定されず、音声、振動または音声、振動、画像のいずれかの組み合わせによって行われてもよい。表示制御部213は、ユーザ220の頭の向きにかかわらず、レーダスクリーン画像250をヘッドマウントディスプレイ233の表示画面240の中央部分(例えば-50度~50度の範囲内)に表示させる。ただし表示部分は中央に限定されず、例えば画面の四隅や上端、下端、左端、右端の任意の場所でも構わない。
【0029】
レーダスクリーン画像250は、上方から見たユーザの頭を表わす頭画像251と、頭画像251の周囲を複数のブロックに分割したブロック画像252と、ユーザの視野領域を示す視野領域画像としての扇型画像253と、を含む。目標オブジェクトの位置を示す目標位置画像は、ブロック画像252のどのブロックが着色または点滅、点灯されるかによって示される。これにより、ユーザ220は、自分が向いている方向に対して左側に目標オブジェクトがあるのか、右側に目標オブジェクトがあるのかを、知ることができる。なお、本実施形態では、ブロック画像252が固定されて、扇型画像253が動く構成としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、扇型画像253や頭画像251を固定しつつ、ブロック画像252を頭の向きに応じて動かしてもよい。具体的には頭が左に向けば、ブロック画像252が右に回転する構成でもよい。
【0030】
フィードバック部214は、表示制御部212を介して、メッセージ種別を、リハビリテーション動作の評価に応じて変化させることが好ましい。例えば、センサオブジェクトが目標オブジェクト242の中心に接触すれば、「あっぱれ」と表示し、センサオブジェクトが目標オブジェクト242の中心の周囲部分のみに接触すれば「お見事」と表示するなどである。この目標オブジェクト242の大きさや、周囲部分の大きさは、設定部217により設定可能である。また、センサオブジェクトの大きさも設定部217により設定可能である。
【0031】
フィードバック部214は、目標オブジェクト242に仮想的に触れたユーザに対して、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)のうち2つ以上の感覚を刺激するフィードバックを行う。センサオブジェクトが目標オブジェクト242の中心から所定距離内に入ったタイミング、または、センサオブジェクトが目標オブジェクト242と接触したタイミングとほぼ同時にフィードバックを行う(リアルタイムマルチチャネルバイオフィードバック)。それらのタイミングからフィードバックまでの遅延は、例えば1秒以内であれば効果が高く、ユーザの動作タイミングとフィードバックのタイミングとの間隔が近ければ近いほど(遅延が小さいほど)効果が大きい。フィードバック部214は、「あっぱれ!」という画像により、ユーザの視覚を刺激するフィードバックを行ないつつ、同時に、スピーカ236から出力する音声により、ユーザの聴覚を刺激するフィードバックを行なう。これら五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)に対する刺激フィードバックは、1回の課題ごとにその達成の有無をユーザに報知するために行われる。
【0032】
さらに、フィードバック部214は、「あっぱれ!」という画像でユーザ220の視覚を刺激するフィードバックと、スピーカから出力する音声でユーザ220の聴覚を刺激するフィードバックと、コントローラ234が振動することでユーザ220の触覚を刺激するフィードバックとを同時に出力させてもよい。また、フィードバック部214は、「あっぱれ!」という画像でユーザ220の視覚を刺激するフィードバックと、コントローラ234が振動することでユーザ220の触覚を刺激するフィードバックとの2種類のフィードバックのみを同時に出力させてもよい。あるいは、フィードバック部214は、「あっぱれ!」という音声でユーザ220の聴覚を刺激するフィードバックと、コントローラ234が振動することでユーザ220の触覚を刺激するフィードバックとの2種類のフィードバックのみを同時に出力させてもよい。
【0033】
このようにコントローラ234、235を動かすユーザ220の動作がリハビリテーション動作であり、ユーザ220が行なうべき1回のリハビリテーション動作を促す目標オブジェクトの表示をタスク、あるいは課題と呼ぶ。1つのタスクを表わす情報(タスクデータ)は、目標オブジェクト242の仮想空間240における属性としての、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔を少なくとも含む。タスクデータには、目標オブジェクトの出現方向(椅子の正面方向に対して右90度、右45度、正面、左45度、左90度)、目標オブジェクトまでの距離、目標オブジェクトの形状(大きさ)、出現位置(ユーザからの奥行方向距離)、出現間隔(時間間隔)、落下または上昇等の移動速度、目標オブジェクトの色、左右どちらのコントローラで取得すべきか、同時に出現する目標オブジェクトの数、センサオブジェクトの大きさなどが含まれてもよい。ユーザ220から目標オブジェクト242の落下位置までの奥行き方向の距離を連続的に設定してもよいし、例えば3段階のいずれかに設定してもよい。例えば、ユーザ220の直ぐそばに落下させたり、ユーザ220が大きく前のめりにならないと届かない位置に落下させたり、と変更することができる。これにより、ユーザに与える運動負荷、および空間認知能力、あるいは空間把握能力に対する負荷を制御することができる。
【0034】
評価更新部215は、ユーザ220が達成したタスクの量および質に応じて、ユーザのリハビリテーション動作を評価し、ポイントを加算する。ここで達成したタスクの質とは、「あっぱれ」か「お見事」か、つまり、どこまで目標オブジェクトにアバターオブジェクトを近づけることができたかを含む。評価更新部215は、達成したタスクに対して、それぞれ、異なるポイント(遠いオブジェクトには高いポイント、近いオブジェクトには低いポイント)を付与する。評価更新部215は、積算されたポイントに応じて、タスクを更新することができる。例えば、課題達成率(目標達成数/課題数)などを用いてタスク(目標オブジェクトの属性)を更新してもよい。評価更新部215は、動作検出部211が検出したリハビリテーション動作と、表示制御部212によって表示された目標オブジェクトが表わす目標位置とを比較して、ユーザ220のリハビリテーション能力を評価する。具体的には、動作検出部211が検出したリハビリテーション動作に対応して移動するアバターオブジェクト241と目標オブジェクト242とが重なったか否かを、3次元仮想空間中の位置の比較により決定する。これらが重なれば、一つのリハビリテーション動作をクリアしたものと評価し、ポイントを加算する。表示制御部212は、目標オブジェクト242を、奥行き方向について異なる位置(例えば3段階の位置)に出現させることができる。評価更新部215は、それぞれ、異なるポイント(遠いオブジェクトには高いポイント、近いオブジェクトには低いポイント)を付与する。
【0035】
評価更新部215は、積算されたポイントに応じて、目標課題を更新する。例えば、課題達成率(目標達成数/課題数)などを用いて目標課題を更新してもよい。
【0036】
タスクセットデータベース216は、複数のタスクのセットを格納している。タスクとは、ユーザが行なうべき1回のリハビリテーション動作を示す。具体的には、1つのタスクを表わす情報として、どの位置にどのような速度で、どのような大きさの目標オブジェクトを出現させたか、その際、アバターオブジェクトはどのような大きさだったかなどを格納している。タスクセットデータベース216は、そのような複数のタスクをどのような順番でユーザに提供するかを決めるタスクセットを格納している。例えば、病院毎のテンプレートとしてタスクセットを格納してもよいし、実行したタスクセットの履歴をユーザごとに格納してもよい。リハビリテーション支援装置210は、インターネットを介して他のリハビリテーション支援装置と通信可能に構成されていてもよい。その場合、1つのタスクセットを、同じユーザが複数の場所で実行することもできるし、様々なテンプレートを離れた複数のユーザ同士で共有することもできる。
【0037】
設定部217は、目標オブジェクト242の仮想空間240における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定する。推定部218は、目標オブジェクト242に対する身体動作をユーザ220が達成できた場合に、当該目標オブジェクト242の属性に応じて、ユーザ220の認知能力レベルを推定する。設定部217は、目標オブジェクト242の発生を報知したタイミングから、目標オブジェクト242を発生させるタイミングまでの遅延時間を設定してもよく、これによりユーザ220に対して与える認知的な負荷を制御することができる。つまり、ユーザは、レーダスクリーン画像250などによって目標オブジェクトが発生する仮想空間内の位置(ヘッドマウントディスプレイをどの方向に向ければ表示されるかを表す位置)を知ってから、実際に目標オブジェクトが発生するまでの時間、自分が行なうべき動作を継続的に記憶保持しなければならない。この「記憶時間」が、ユーザにとっての認知負荷となる。また設定部217は、「目標オブジェクト152を発生させるタイミングまで」ではなく、「目標オブジェクト152がユーザ220の届く範囲に接近するまで」の時間を変更することにより、認知的な負荷を制御してもよい。設定部217は、目標オブジェクト242以外の背景画像243をヘッドマウントディスプレイ233に表示させることにより、ユーザ220に対して認知的な負荷を与えてもよい。
【0038】
なお、認知負荷を変更する場合、ユーザに対してあらかじめ認知負荷を上げるまたは下げることを通知することが望ましい。通知方法は視覚的に文字や記号を用いて行っても、音声によって行っても、例えば肩や肘、腕や足を叩くなど、体の一部に触れるような形で行ってもよい。
【0039】
図3は、オペレータが操作するための画面(操作パネル)300を示す図である。設定部217が、このような操作パネル300を表示させる。本実施形態では、直感的な操作パネル300によって7つのパラメータ(距離、高さ、角度、大きさ、スピード、感度、間隔)を設定することで、姿勢バランス能力と二重課題型の認知処理能力とを総合的に評価する。測定はマニュアルモード(タスク一つ一つのパラメータを設定して課題ごとに操作する方法)と、テンプレートモード(複数のタスクセットにパラメータがあらかじめ設定されている方法)、あるいは機器に自動的にタスクを生成させるお任せモード(オートモード)のいずれか、あるいはそれらを組み合わせて行うことができる。なお、操作パネルからは、ユーザの基本情報から各種の認知および運動機能評価指数、検査結果の確認、テンプレートの作成やオートモードの設定や指示なども行うことができる。
【0040】
操作パネル300を表示するディスプレイは、リハビリテーション支援装置210に接続された外部ディスプレイでもよいし、リハビリテーション支援装置210に内蔵されたディスプレイでもよく、デバイスを問わない。操作パネル300は、ユーザ視野表示領域301と各種パラメータ設定領域321~324とスコア表示領域303と再センタボタン305とを含んでいる。図3は、説明のために、実際のユーザ220の様子を表わした領域306を含んでいるが、操作パネル300は、領域306を含む必要は無い。
【0041】
ユーザ視野領域301は、ヘッドマウントディスプレイ233に実際に表示されている画像を表示している。ユーザ視野領域301の中には、仮想空間内の基準方向が表示される。図2で説明したとおり、ユーザ視野領域301には、その中央部分(例えば-50度~50度の視野角範囲)にレーダスクリーン画像250が表示されている。そして、次に現われる目標オブジェクト242の位置が、仮想空間内の基準方向に対して、相対的にどちらの方向であるかを表わしている。この例では、ブロック画像252の着色位置により、仮想空間内の基準方向311に対して左方向の一番遠い位置に、目標オブジェクト242が現われることを示している。そして、扇型画像253の位置および頭画像251の向きにより、既にユーザは、左方向に向いていることが分かる。
【0042】
また、各種パラメータ設定領域321~324は、タスクを規定する複数のパラメータを設定するための画面である。設定部217は、各種パラメータ設定領域321~324に対する入力を、不図示の入力デバイスから受け付けることもできる。入力デバイスは、マウスやテンキー、キーボードでもよいし、各種コントローラやゲーム用のジョイスティック、タッチパネル等でも良く、その技術構成を問わない。
【0043】
各種パラメータ設定領域321~324は、左右の目標オブジェクトの大きさを決める入力領域321と、アバターオブジェクト241の感度範囲の大きさを決める入力領域322と、目標オブジェクトの移動スピードを決める入力領域323と、次に現われる目標オブジェクトの位置を決める入力領域324とを含む。さらに入力デバイス(ホットキー)による目標オブジェクトの出現位置の操作を受け付けるか否かを設定するチェックボックス325を有している。
【0044】
入力領域321は、右と左のそれぞれにおいて、ユーザに目標オブジェクトの位置を見やすくするための視認用オブジェクトの半径(視認サイズ)と、アバターオブジェクト241と反応する目標オブジェクトの半径(評価サイズ)とを設定可能である。つまり、図3の例では、ユーザには半径20cmの円が見えているが、実際にはその円の中央に位置する半径10cmのボールにタッチしなければタスクを正確に完了したことにならない。視認サイズが小さければ、ユーザは目標オブジェクトを見つけるのが困難になる。視認サイズを大きくすれば、ユーザは目標オブジェクトを見つけやすくなる。評価サイズを大きくすれば、アバターオブジェクト241のずれの許容量が大きくなる。評価サイズを小さくすれば、アバターオブジェクト241のずれの許容量が小さくなり、よりシビアにリハビリテーション動作を評価できる。これらの視認サイズと評価サイズとを一致させることもできる。
【0045】
入力領域322では、アバターオブジェクト241の左右のセンササイズ(センサオブジェクトのセンサ範囲のサイズ)をそれぞれ設定できる。センササイズが大きければ、手の位置が目標オブジェクトから大きくずれていてもタスクを達成したことになるため、リハビリテーション動作の難易度は下がる。逆にセンササイズが小さければ、手を目標オブジェクトの中央領域(評価用サイズ)に、正確に動かさなければならないため、よりリハビリテーション動作の難易度が上がる。図3Aの例では、センササイズは左右それぞれ2cmとなっている。
【0046】
入力領域323では、目標オブジェクト242が仮想空間内で動く速度を左右それぞれで規定できる。この例では45cm/sの速度に設定されている。
【0047】
入力領域324は、次のタスクの位置(タスクまでの距離と角度)を入力するための画像であり、レーダスクリーン画像250を拡大した形状となっている。チェックボックス325がチェックされているので、入力領域324における複数のブロックのいずれかをクリックまたはタップする操作が行なわれた場合に、操作が行なわれたブロックの位置に対応する仮想空間内の位置に、目標オブジェクト242を発生させる。
【0048】
つまり、図3の例では、ユーザ220は仮想空間の中で、2cmのセンサ部分を含むアバターオブジェクト(コントローラ)を、左側の遠い場所において45cm/sの速度で落下する半径10cmの目標オブジェクト(ボール)にタイミング良く接触させることがタスクとなる。図3は、ユーザ視野領域301に目標オブジェクト242が出現した状態を示している。この状態で、領域306に示されているようにユーザ220が左腕を伸ばすと、ユーザ視野領域301に、アバターオブジェクト241が現われる。目標オブジェクト242の周囲には、目標オブジェクト242の視認性をよくするための視認用オブジェクト312が表示されている。入力領域321で設定した視認サイズとは、このドーナツ形状の視認用オブジェクト312の半径を示している。
【0049】
アバターオブジェクト241が視認用オブジェクト312に触れた時点では、目標オブジェクト242は消滅せず、タスクの正確な達成とはならない(一定の点数は入りgood評価される)。目標オブジェクト242にアバターオブジェクト241が触れて初めてタスクの正確な達成(perfect評価)となる。
【0050】
一方、スコア表示領域303に、それぞれの位置におけるタスクの合計回数および、そのタスクを何回達成したかを示す回数点数が示されている。点数は分数様に表記してもよいし、パーセント表示でも、またはそれらの組み合わせ等でもよい。評価部214は、1つのタスクセットで決められた一連のリハビリテーション動作の後、このスコア表示領域303の値を用いて、リハビリテーション評価ポイントを導き出す。
【0051】
リハビリテーション評価ポイントの算出例は以下の通りである。
リハビリテーション評価ポイント=100×([判定スコア×Shortの回数]+[判定スコア×Middleの回数×1.1]+[判定スコア×Longの回数×1.2]+[5回連続Perfectキャッチの回数×10])
判定スコア:Perfect(あっぱれ)=2、Good(お見事)=1、Failure=0
【0052】
再センタボタン305は、ユーザ220の位置に合わせて仮想空間を再構築するための再構築指示をオペレータから受け付けるボタンである。再センタボタン305が操作されると、表示制御部212は、その瞬間のヘッドマウントディスプレイ233の位置を原点とし、その瞬間のヘッドマウントディスプレイ233の向きを基準方向とする仮想空間を再構築する。
【0053】
図4は、タスクセットデータベース216に記憶されたタスクテーブル400を示す図である。タスクテーブル400には、タスクIDに紐付けて、時間(タスクの発生タイミング)461、一つ前のタスクが終了してからのタスク間隔462、タスク種別463、タスク角度464、タスク距離(強度)465が記憶されている。さらにタスクテーブル400には、タスクIDに紐付けて、目標オブジェクトのスピード466、パーフェクト判定(あっぱれ評価)の基準サイズ467、グッド判定(お見事評価)の基準サイズ468、センサオブジェクトの大きさ469、タスクの達成結果などが記憶されている。これらに加えて、タスクごとに、タスク発生報知からタスク発生までのディレイタイム(所定時間)を設定してもよい。
【0054】
図5図7は、本実施形態にかかるヘッドマウントディスプレイ233における表示の一例を示す図である。図5では、江戸時代の町並みを表す背景画像501において、目標オブジェクトとして印籠511を示す画像が表示されている。さらに、印籠511の下には、ユーザが守るべきアイテムとして千両箱513が表示されており、忍者515が奥の方から徐々に近づいてくる構成となっている。忍者515のスピードは操作パネル300の入力領域323で設定された速度となる(ここでのスピードは制限時間と同義となる)。印籠511には、視認補助画像としての円512が表示されている。忍者515が千両箱513に到達するまでに印籠511をセンサオブジェクト(アバターオブジェクト241の先端中心)で触ればタスク達成となる。円512は、赤と青の2種類が用意されており、赤い円512で囲まれた印籠511には右手に持ったコントローラ235に対応する、右側の赤いアバターオブジェクト241を操作して接触させることがタスクとなる。一方青い円512で囲まれた印籠511に対しては、左手に持ったコントローラ234に対応する、左側の赤いアバターオブジェクト241を操作して接触させることがタスクとなる。
【0055】
印籠511は、操作パネル300の入力領域324で設定した位置(奥行きおよび角度)に表示される。印籠511は、ユーザが仮想空間内でアバターオブジェクト241をタッチさせるまでは、位置が変わらない。つまり空間に固定された目標オブジェクトである(水平に体を伸ばすことを要求するため水平タスクとも呼ぶ)。このような固定された目標オブジェクトは、小脳性運動失調などのような疾患のリハビリとして非常に効果的である。つまり体の動かし方を忘れている患者に対して、フィードフォワードにより、限定した体の動きのイメージを脳に焼き付けさせることができる。印籠511の奥行方向の距離を遠くすることにより、運動強度を変えることができる。さらに、1回毎のタスクの達成を報知するための5感の刺激によるマルチチャネルバイオフィードバックを組み合わせることにより、記憶が脳内に固定しやすくなり、大きく運動能力が改善する。またこのような水平タスクによれば大脳皮質の再編成に伴い慢性疼痛の改善も図ることができる。あるいはケモブレインと呼ばれる認知機能障害や抗がん剤を摂取したがん患者の位置覚が神経障害により低下する現象を回復させることもできる。目標オブジェクトがでる場所をあらかじめ教えて、ヒントを与えて認知負荷を下げてもよい。言語的インフォームよりも、体を触ることによる触覚インフォーム、複数回繰り返しの言語的インフォームも認知負荷をさげるのに有効である。言語的インフォームの方法も、より端的で命令形に近いシンプルな指示を行うことで認知負荷を下げて行ってもよい。あるいは例えば「青色だから?(右手で取るように)」等といったように、質問形式でより複雑な指示の形をとってもよい。または「2で割り切れる数を言ったときは右手でとりましょう」等と計算等の認知課題を含む形で言語的インフォームを行ってもよい。なお、印籠511の発生する横方向の位置や奥行きのみではなく、高さを設定可能に構成してもよい。
【0056】
図6は、目標オブジェクトが垂直に移動するタイプのタスクを行う画面の一例(垂直タスク)を示す図である。図6では、畑を表す背景画像601において、目標オブジェクト出現のトリガーとなるトリガーオブジェクト602として、農家を表す人の画像が表示されている。つまり、表示制御部213は、目標オブジェクト603の発生を報知するための報知画像として、トリガーオブジェクト602を表示する。トリガーオブジェクト602が、芋の形をした目標オブジェクト603を上方に投げてから所定時間後に、図7のように画面上から大きな芋の形をした目標オブジェクト703が出現する。落下してきた目標オブジェクト703を、ザルの形をしたアバターオブジェクト702を動かして受け止めることで、タスク達成となる。左右のアバターオブジェクト702は、コントローラ234、235の動きに連動して画面上を移動する。
【0057】
設定部217は、トリガーオブジェクト602が目標オブジェクト603を上方に投げて、目標オブジェクト603の発生を報知したタイミングから、目標オブジェクト703を発生させるまでの遅延時間を設定することができる。これにより、ユーザに与える認知的な負荷を調整することができる。なお、トリガーオブジェクト602の動きと連動させて、レーダーチャート型の報知画像250でも同様のタイミングで目標オブジェクトの発生を報知したり、音声による報知を組み合わせたりしてもよい。
【0058】
このように、設定部217は、図2のような地平線のみの背景のタスクだけではなく、図5図6のような、情報量の多い背景のタスクで、ユーザに対して認知的な負荷を与えることができる。つまり、目標オブジェクト603が出現したことおよび目標オブジェクト703が落下してくるであろう位置の記憶を困難にさせて、より実生活で必要な認知負荷に近い負荷をリハビリテーションのユーザに与える。
【0059】
特に設定部217は、タスクのモードを変えて、背景画像301の少なくとも一部を時間と共に変化させることにより、ユーザ220に対して認知的な負荷を与える。図6の例では、例えば、背景画像601の中で、雲604を移動させたり、草木605を揺らしたり、あるいは、目標オブジェクトと関係のない動物(不図示)を登場させたりしてもよい。これにより、ユーザ220に対して、目標オブジェクト603に対する集中を妨げて、より目標オブジェクト603が落下してくるであろう位置の記憶を困難にさせることができる。より専門的には、背景画像にタスクとは無関係の情報を表示することにより、目標オブジェクトに集中し難い環境を用意し、注意障害(より具体的には選択性注意障害、配分性注意障害、転換性注意障害、持続性注意障害)を意図的に惹起することで記憶を困難にさせて、認知負荷をコントロールしていると言える。
【0060】
図8は、本実施形態にかかる表示画面240における表示の他の例(垂直タスク)を示す図である。図8では、森のような背景画像801中に、猿を表したトリガーオブジェクト802と、りんごを表した目標オブジェクト803とが表示されている。猿を表したトリガーオブジェクト802が、りんごを表した目標オブジェクト803を木から落として、ユーザに近づいてきた目標オブジェクト803を、ザルを表したアバターオブジェクト804で受け止めることでタスク達成となる。ここでも、設定部217は、トリガーオブジェクト802が木を揺らして、目標オブジェクト803の発生を報知したタイミングから、所定時間経過後に目標オブジェクト803の落下を開始させることにより、注意障害を惹起しながらユーザ220に対して認知的な負荷を与える。
【0061】
さらに、設定部217は、少なくとも2~5個の目標オブジェクト803を3次元仮想空間内に同時に存在させて、表示画面240に表示させることにより、ユーザ220に対してより認知的に強い負荷を与えることができる。言い換えれば、設定部217は、3次元仮想空間内において少なくとも2個の目標オブジェクト803を左右方向に異なる位置に発生させる。
【0062】
特に、目標オブジェクト803の移動方向(図5では落下方向)に対して異なる方向(図8では左右方向)の複数の位置に少なくとも2個の目標オブジェクト803を発生させれば、より一層の認知負荷を与えることができる。つまり、ユーザ220は上下方向の移動と、左右方向の発生位置の違いと、さらには奥行方向の落下位置の違いも考慮してコントローラ234,235を移動させなければならず、空間認知能力も試されていることになる。このように、タスクの所定時間の変更に加えて、トリガーオブジェクトを含む報知画像や報知音声に含まれる情報の種類や数、大きさ、空間的な広がりや位置、量等を調整する。これにより、記憶保持すべき情報の複雑性、すなわちユーザに対して脳が情報処理すべき認知負荷を定量的に調整、コントロールすることが可能となる。
【0063】
評価更新部215は、目標オブジェクトが表わす3次元的な目標位置に対して、アバターオブジェクトがタイミング良く正確に到達したか否か、および、目標オブジェクトの発生報知から発生までの時間間隔と数、および背景画像の注意障害を惹起させる負荷の程度等の情報を用いて、ユーザの認知能力を評価する。
【0064】
図9は、リハビリテーション支援装置210における認知能力推定処理の流れを示すフローチャートである。ステップS901において、キャリブレーション処理として、リハビリテーション動作の目標をユーザに合わせて初期化する。具体的には、各ユーザに最初にキャリブレーションとして行動可能範囲を取得する作業を行ってもらい、その範囲を初期値に設定した上で目標をユーザに合わせて初期化する。また、具体的にはオペレータが、タスクセットデータベースから、複数のタスクからなるタスクセット(水平タスクセットまたは垂直タスクセット)を読出す。ここで、目標オブジェクトの大きさは例として、10cm、目標オブジェクトの表示間隔は1秒、1つのタスクとして生成する目標オブジェクトは1~5個オブジェクトのいずれか、そして生成範囲は、90度、45~135度、0~180度の3パターンである。3つのタスクセットを4秒間隔で発生させる。
【0065】
次に、ステップS903において、タスク(つまり表示制御部212による目標オブジェクトの表示およびアバターオブジェクトによる達成の評価)を開始する。
【0066】
ステップS905において、連続する3つのタスクセットにおける各タスクが全てパーフェクト判定になれば、タスクセットを達成したとしてステップS907に進み、推定部218がタスクセットにおける目標オブジェクトの属性に応じて、認知能力を例えば認知年齢として算出する。推定部218が用いる属性パラメータは様々に選択することが可能だが、少なくとも目標オブジェクトの移動速度および1タスクセット内における目標オブジェクトの表示数(例えば1~5個等)に基づいて、ユーザの認知能力レベルを算出する。推定部218は、目標オブジェクトが上下方向に移動する場合(垂直タスク)と、上下方向に移動しない場合(水平タスク)とで、異なるパラメータ、あるいは異なるパラメータ係数を用いて、認知能力レベルを算出する。推定部218は、目標オブジェクトが表示される画面の背景に応じて、異なるパラメータ、あるいは異なるパラメータ係数を用いて、ユーザの認知能力レベルを算出する。つまり複雑な背景でのタスクを達成したユーザについては、認知能力レベルを高く評価する。なお、成人においては認知能力レベルが高いことと、認知年齢が若いことは同義と考えてよい。推定部218は、仮想空間において目標オブジェクトが移動する速度が速いタスクであればあるほど、そのタスクセットをユーザが達成できた場合には、認知能力レベルを高く推定する。推定部218は、仮想空間において1つのタスクセット内で生成される目標オブジェクトの数が多くなればなるほど、そのタスクをユーザが達成できた場合には、認知能力レベルを高く推定する。推定部218は、仮想空間において目標オブジェクトが出現する間隔(インターバル)が短くなればなるほど、そのタスクをユーザが達成できた場合には、認知能力レベルを高く推定する。推定部218は、前記目標オブジェクトの大きさが小さくなればなるほど、そのタスクをユーザが達成できた場合には、認知能力レベルを高く推定する。推定部218は、目標オブジェクトの出現範囲が広くなればなるほど、そのタスクをユーザが達成できた場合には、認知能力レベルを高く推定する。このような推定方法を採用することで、MMSE、HDS-R、MoCA、TMT、FABに代表される認知機能評価指標が抱えていた様々な問題を解決できる。より具体的には、識字力や書字能力などの認知能力とは関係のない要素を排除した純粋な認知能力の推定が可能となり、検査に要する時間を極めて短時間に抑えられ、検査の繰り返しによる学習や天井効果を排除できる。
【0067】
記憶部219は、ユーザが身体動作を達成した目標オブジェクトの属性と認知年齢との関係を表す数式またはテーブルを記憶する。推定部218は、その数式またはテーブルを用いて、ユーザの認知能力レベルを認知年齢として推定する。実年齢と、認知能力レベル推定の結果とを関連付けるビッグデータに基づいて、記憶部219に記憶された数式またはテーブルを更新する更新部を備えてもよい。実年齢を教師データにして、機械学習を行ってもよい。母集団のデータが大きくなると、認知能力レベルの推定精度が上がることになる。
【0068】
設定部217は、推定部218が推定したユーザの認知能力レベルに応じて、次に表示させる目標オブジェクトの属性を設定することもできる。
【0069】
推定部218は例えば以下の数式を用いて認知年齢を認知能力レベルとして算出することができる。
(1)推定精度優先(自由度調整済み寄与率 Adjusted R-squared: 0.8974、赤池情報量基準 AIC=2936):推定精度を最高にすべく最大限多くのパラメータを導入→学習不要なほど精度が高い
認知年齢=80歳(単純背景、水平タスク、目標オブジェクト1個、10cm、90度、スピード25cm/秒)+[背景の複雑レベルを上げると-2.5歳]+[垂直タスクができる場合-10歳]+[目標オブジェクトの数を1つ増やすごとに-5歳]+[目標オブジェクト10cmを1cm小さくするごとに-1歳]+[目標オブジェクトの生成範囲が10度広がるごとに-0.4歳]+[タスク内スピードを10cm/s早くするごとに-2.4歳]
(2)実用性優先(自由度調整済み寄与率 Adjusted R-squared: 0.7806 赤池情報量基準 AIC=3310):推定精度を一定レベルに維持しつつも、用いる変数パラメータを2つに絞った
年齢=84歳(単純背景、水平タスク、目標オブジェクト1個、10cm、90度、スピード25cm/秒)+[目標オブジェクトの数を1つ増やすごとに-5歳]+[タスク内スピードを10cm/s早くするごとに-2.7歳]
【0070】
図10は、上記の数式で計算した認知年齢を、自動車の運転リスク評価に当てはめた表1000である。図5のような背景の場合、表の水平タスクの年齢-3歳をする。同様に、図6のような背景の場合、-5歳、図7のような背景の場合、-3歳をする。図10によれば、同様に転倒リスク評価も行うことができる。推定部218は、図10に示す表を用いて、ユーザの運転リスクまたは転倒リスクを評価する。また、設定部217は、推定部218によって推定されたユーザの認知能力レベルに基づき、認知能力レベルを向上、あるいは運転リスクを低減、または転倒リスクを低減させるための治療プログラムをオペレータに提案する。
【0071】
認知年齢が65歳以上の場合、認知機能が低下しているので、運転が危険と評価する。認知年齢が55~65歳の場合、認知機能が低下気味であり、運転時に注意が必要と評価する。一方、認知年齢が54歳以下の場合には、認知機能に問題はなく、運転が十分に可能と評価する。同様に、日常生活での転倒リスクを評価してもよい。ここでは、閾値を65歳と55歳にしたが、求める行動に応じてこれらの閾値を変えてもよい。例えば、交通量の少ない地域での運転の場合、認知年齢65歳でも運転OKと評価してもよい。
【0072】
なお、本実施形態のリハビリテーション支援システム200を利用することにより、認知機能レベルが向上して、維持できる(1回のトレーニング効果が3週間持続し、3回トレーニングすることでほぼ一定に固定可能)ことが分かっており、運転危険と判断されたユーザが、運転OKとの評価に変わることも考えられる。
【0073】
認知年齢を推定するにあたり、設定部217は、認知負荷(属性パラメータ)の制御についての提案をメッセージ表示してもよい。例えば、「スピードを下げて再テストください」などといったメッセージが考えられる。「スピードを25cm/秒にしてください」などと、オススメの数値を提示してもよい。さらには、認知機能レベルを正確に算出できるように、自動で、各種のパラメータを制御してもよい。
【0074】
本実施形態のリハビリテーション支援システム200を利用することにより、どのタイプの認知機能が落ちているかを認識可能となり、よりピンポイントで効果的にリハビリを行うことが可能となる。例えば、垂直タスク25cm/秒で65歳と評価されたユーザは、空間認知はできている。そして、ゆっくり(25cm/秒)ならマルチタスク(目標4個に)対応できる。このようなユーザは、スピードを徐々に上げていく、というトレーニングが有効となる。
【0075】
以上、本実施形態では、制限時間(落下スピード等)、目標物の大きさ、目標物の動き、目標物の数、目標物の3次元空間における表示位置、注意障害を惹起するための背景情報、のいずれか2つ以上のパラメーターを調整することで認知機能を推定する。また、本実施形態にかかるシステムは、色の識別を要するシステムでもある。さらに、本実施形態にかかるシステムは注意障害の種別を判断したり、注意障害の治療をしたりするためのシステムである。また、本実施形態にかかるシステムは、転倒リスクまたは運転リスクを評価、あるいは治療するためのシステムである。
【0076】
本実施形態によれば、ユーザが持続性注意障害(例えばオブジェクトに集中し続けられない)、転導性注意障害(例えば2個の目標オブジェクトが発生した時に、一つを取りきる前に次のオブジェクトに気が逸れる)、分配性注意障害(例えば空間を認識できる視野外の目標オブジェクトを取れない(報知画像を見れない))、選択性注意障害(例えば背景を入れると途端にオブジェクトに集中できなくなる(何を見るべきなのか区別ができない))のいずれに該当するかを判断することもできる。
【0077】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の技術的範囲で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0078】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に供給され、内蔵されたプロセッサによって実行される場合にも適用可能である。本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるサーバも、プログラムを実行するプロセッサも本発明の技術的範囲に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の技術的範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備え
前記推定部は、基準値から、前記仮想空間における前記目標オブジェクトの前記表示数に応じた値を減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定装置。
【請求項2】
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備え、
前記推定部は、基準値から、前記目標オブジェクトの前記仮想空間における前記移動速度に応じた値を減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定装置。
【請求項3】
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備え、
前記推定部は、基準値から、前記目標オブジェクトが生成される前記仮想空間における背景の複雑さに応じた値を減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定装置。
【請求項4】
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備え、
前記推定部は、基準値から、前記仮想空間における前記目標オブジェクトの移動方向に応じた値を減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定装置。
【請求項5】
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備え、
前記推定部は、基準値から、前記仮想空間における前記目標オブジェクトの大きさに応じた値を減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定装置。
【請求項6】
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備え、
前記推定部は、基準値から、前記仮想空間における前記目標オブジェクトの出現範囲の大きさに応じた値を減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定装置。
【請求項7】
前記推定部は、前記目標オブジェクトが上下方向に移動する場合と、上下方向に移動しない場合とで、異なるパラメータ、あるいは異なるパラメータ係数を用いて、前記認知能力レベルを算出する請求項1~6のいずれか1項に記載の認知能力推定装置。
【請求項8】
前記推定部は、前記仮想空間において前記目標オブジェクトが出現する間隔が短くなればなるほど、当該目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合には、前記認知能力レベルを高く推定する請求項1~7のいずれか1項に記載の認知能力推定装置。
【請求項9】
前記推定部は、前記目標オブジェクトの出現範囲が広くなればなるほど、当該目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合には、前記認知能力レベルを高く推定する請求項1~8のいずれか1項に記載の認知能力推定装置。
【請求項10】
前記ユーザが身体動作を達成した前記目標オブジェクトの前記属性と認知年齢との関係を表す数式またはテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記推定部は、前記数式またはテーブルを用いて、前記ユーザの認知能力レベルを認知年齢として推定する請求項1~9のいずれか1項に記載の認知能力推定装置。
【請求項11】
前記記憶部に記憶された数式またはテーブルを更新する更新部をさらに備えた請求項10に記載の認知能力推定装置。
【請求項12】
前記設定部は、前記推定部が推定した前記ユーザの認知能力レベルに応じて、次に表示させる目標オブジェクトの前記属性を設定する請求項1~11のいずれか1項に記載の認知能力推定装置。
【請求項13】
前記推定部は、推定した前記認知能力レベルに基づき運転リスク、または転倒リスクをさらに推定する請求項1~12のいずれか1項に記載の認知能力推定装置。
【請求項14】
前記設定部は推定された前記認知能力レベルに基づき、認知能力を向上、あるいは運転リスクを低減、または転倒リスクを低減させるための治療プログラムを提案する請求項13に記載の認知能力推定装置。
【請求項15】
ユーザの認知能力レベルを推定する認知能力推定方法であって、
表示制御部が3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御ステップと、
設定部が前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定ステップと、
推定部が前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定ステップと、
認知能力推定システムに実行させる認知能力推定方法であって、
前記推定ステップは、基準値から、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの表示数に応じた値、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における移動速度に応じた値、
前記目標オブジェクトが生成される前記仮想空間における背景の複雑さに応じた値、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの移動方向に応じた値、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの大きさに応じた値、及び、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの出現範囲の大きさに応じた値、
の少なくともいずれか1つを減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定方法。
【請求項16】
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御ステップと、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定ステップと、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定ステップと、
をコンピュータに実行させる認知能力推定プログラムであって、
前記推定ステップは、基準値から、
前記仮想空間の前記目標オブジェクトの表示数に応じた値、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における移動速度に応じた値、
前記目標オブジェクトが生成される前記仮想空間における背景の複雑さに応じた値、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの移動方向に応じた値、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの大きさに応じた値、及び、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの出現範囲の大きさに応じた値、
の少なくともいずれか1つを減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る装置は、
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備え
前記推定部は、基準値から、前記仮想空間における前記目標オブジェクトの表示数に応じた値を減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定装置である。
上記目的を達成するため、本発明に係る他の装置は、
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備え、
前記推定部は、基準値から、前記目標オブジェクトの前記仮想空間における移動速度に応じた値を減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定装置である。
上記目的を達成するため、本発明に係る他の装置は、
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備え、
前記推定部は、基準値から、前記目標オブジェクトが生成される前記仮想空間における背景の複雑さに応じた値を減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定装置である。
上記目的を達成するため、本発明に係る他の装置は、
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備え、
前記推定部は、基準値から、前記仮想空間における前記目標オブジェクトの移動方向に応じた値を減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定装置である。 上記目的を達成するため、本発明に係る他の装置は、
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備え、
前記推定部は、基準値から、前記仮想空間における前記目標オブジェクトの大きさに応じた値を減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定装置である。
上記目的を達成するため、本発明に係る他の装置は、
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御部と、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定部と、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定部と、
を備え、
前記推定部は、基準値から、前記仮想空間における前記目標オブジェクトの出現範囲の大きさに応じた値を減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定装置である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る方法は、
ユーザの認知能力レベルを推定する認知能力推定方法であって、
表示制御部が3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御ステップと、
設定部が前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定ステップと、
推定部が前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定ステップと、
認知能力推定システムに実行させる認知能力推定方法であって、
前記推定ステップは、基準値から、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの表示数に応じた値、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における移動速度に応じた値、
前記目標オブジェクトが生成される前記仮想空間における背景の複雑さに応じた値、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの移動方向に応じた値、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの大きさに応じた値、及び、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの出現範囲の大きさに応じた値、
の少なくともいずれか1つを減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定方法である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るプログラムは、
3次元的な身体動作をユーザに促すための目標オブジェクトを仮想空間において生成し、表示する表示制御ステップと、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における属性として、移動速度、表示数、大きさ、表示位置および表示間隔の少なくともいずれか1つを設定するための設定ステップと、
前記目標オブジェクトに対する前記身体動作を前記ユーザが達成できた場合に、当該目標オブジェクトの前記属性に応じて、前記ユーザの認知能力レベルを推定する推定ステップと、
をコンピュータに実行させる認知能力推定プログラムであって、
前記推定ステップは、基準値から、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの表示数に応じた値、
前記目標オブジェクトの前記仮想空間における移動速度に応じた値、
前記目標オブジェクトが生成される前記仮想空間における背景の複雑さに応じた値、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの移動方向に応じた値、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの大きさに応じた値、及び、
前記仮想空間における前記目標オブジェクトの出現範囲の大きさに応じた値、
の少なくともいずれか1つを減算して、前記認知能力レベルを推定する認知能力推定プログラムである。