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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004089
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20230110BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B41J2/175 115
B41J2/175 133
B41J2/18
B41J2/175 169
B41J2/175 301
B41J2/175 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105583
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】服部 理沙
(72)【発明者】
【氏名】松永 翔
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EB20
2C056EB50
2C056KB05
2C056KB08
2C056KB16
2C056KB27
2C056KC02
2C056KC15
2C056KC16
2C056KC17
2C056KC30
2C056KD08
(57)【要約】
【課題】流出したインクによるインクタンク周囲の汚損を抑制する。
【解決手段】インクジェットプリンタは、インクを収容可能な中空のタンク本体50と、タンク本体50に装着される平板状の蓋体と、を備えたインクタンクを備える。タンク本体50は、側面と底部とを有するインク収容部51と、開口部52aを有しインク収容部51の側面の上縁に接続された天面52と、開口部52aの周囲を囲うように天面52から上方に延び蓋体を支持する支持壁53と、支持壁53の周囲を囲うように天面52から上方に延びる流出防止壁54と、を備えている。天面52のうち支持壁53と流出防止壁54との間の部分と、支持壁53と、流出防止壁54とは、インク滞留部52bを形成している。タンク本体50は、インク滞留部52bに開口したインク排出孔56をさらに備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容可能な中空のタンク本体と、前記タンク本体に装着される平板状の蓋体と、を備えたインクタンクと、
インクを吐出するインクヘッドと、
前記タンク本体と前記インクヘッドとを接続するインク流路と、を備え、
前記蓋体は、前記蓋体を貫通するインク注入口を有しており、
前記タンク本体は、
側面と底部とを有するインク収容部と、
開口部を有し、前記インク収容部の前記側面の上縁に接続された天面と、
前記開口部の周囲を囲うように前記天面から上方に延び、前記蓋体を支持する支持壁と、
前記支持壁の周囲を囲うように前記天面から上方に延びる流出防止壁と、
前記天面のうち前記支持壁と前記流出防止壁との間の部分と、前記支持壁と、前記流出防止壁と、によって形成されたインク滞留部に開口したインク排出孔と、を備えている、
インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記蓋体は、前記蓋体を貫通するインク流入口を有し、
一端が前記インク収容部に接続され、他端が前記インク流入口に接続された循環流路と、
前記循環流路に設けられたフィルタと、をさらに備え、
前記フィルタは、前記蓋体上に配置されている、
請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記蓋体は、前記蓋体を貫通するインク流入口を有し、
一端が前記インク収容部に接続され、他端が前記インク流入口に接続された循環流路と、
前記循環流路に設けられたバルブと、をさらに備え、
前記バルブは、前記蓋体上に配置されている、
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記循環流路の少なくとも一部は、前記蓋体の上方に配置され、
前記循環流路の少なくとも一部を覆うように前記蓋体上に被せられたカバーをさらに備えている、
請求項2または3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
少なくとも前記インク注入口の上方に被さるように設けられたカバーをさらに備え、
前記カバーは、
上下方向に延びるとともに両端部が開口した筒状に形成され、前記インク注入口の上方に配置された筒状部と、
前記筒状部の上端部を開閉する注入口蓋と、を備え、
前記注入口蓋は、
閉じた状態において前記筒状部を覆う蓋部と、
閉じた状態において、前記筒状部の側面を周方向に囲むように前記蓋部から下方に延びる突出部と、を有している、
請求項1~4のいずれか一つに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記蓋体は、前記インク注入口よりも上方で電線を支持可能な電線支持部を備えている、
請求項1~5のいずれか一つに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記蓋体は、前記蓋体の上面に起点を有し前記蓋体の下面まで貫通する大気連通部を備えている、
請求項1~6のいずれか一つに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記蓋体は、前記蓋体を貫通するインク流入口を有し、
一端が前記インク収容部に接続され、他端が前記インク流入口に接続された循環流路と、
前記循環流路に設けられたフィルタと、をさらに備え、
前記大気連通部は、
前記起点を含み前記蓋体の上面を蛇行する蛇行溝と、
前記蛇行溝に接続され、前記蓋体の下面に到達した孔部と、
前記起点を除いた前記蛇行溝の上方を封止する封止部材と、を備え、
前記フィルタは、平面視において前記蛇行溝および前記封止部材と重なるように設けられている、
請求項7に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項9】
前記タンク本体は、前記インク収容部と前記インク流路とを連通させるインク流出口を前記底部に備え、
前記インク収容部の前記側面は、前記インク流出口に対向するように設けられた第1側面を含み、
前記第1側面は、少なくとも下端において、前記インク流出口の方に向かって下降傾斜している、
請求項1~8のいずれか一つに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項10】
前記インクタンクを支持する筐体と、
前記インク収容部の前記底部に接続され、前記インク収容部内のインクの量を検出するインク量検出装置と、をさらに備え、
前記インクタンクは、背面が前記筐体に当接するように配置されており、
前記インク量検出装置は、前記底部の前端よりも背面側に設けられている、
請求項1~9のいずれか一つに記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクを収容するインクタンクにインクを注ぎ足すことが可能なインクジェットプリンタが従来から知られている。例えば特許文献1には、補充用のインクが収容されたサプライボトルをインクタンクに装着することによって、インクタンクにインクを注ぎ足し可能なインクジェットプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/129981号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたようなインクジェットプリンタにおいて、例えば、ユーザーが誤ってインクを補充し過ぎてしまったり、インクが残っているサプライボトルをインクタンクから外してしまったりすると、インクがインクタンクの外部に流出するおそれがある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクがインク収容部の外部に流出しても、流出したインクによってインクタンクの周囲が汚損されにくいインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示するインクジェットプリンタは、インクを収容可能な中空のタンク本体と、前記タンク本体に装着される平板状の蓋体と、を備えたインクタンクと、インクを吐出するインクヘッドと、前記タンク本体と前記インクヘッドとを接続するインク流路と、を備える。前記蓋体は、前記蓋体を貫通するインク注入口を有している。前記タンク本体は、側面と底部とを有するインク収容部と、開口部を有し前記インク収容部の前記側面の上縁に接続された天面と、前記開口部の周囲を囲うように前記天面から上方に延び前記蓋体を支持する支持壁と、前記支持壁の周囲を囲うように前記天面から上方に延びる流出防止壁と、を備えている。前記天面のうち前記支持壁と前記流出防止壁との間の部分と、前記支持壁と、前記流出防止壁とは、インク滞留部を形成している。前記タンク本体は、前記インク滞留部に開口したインク排出孔をさらに備えている。
【0007】
上記インクジェットプリンタによれば、インク注入口、または、蓋体とタンク本体の支持壁との接続部からインクが流出したとしても、インクは、インク滞留部を経由してインク排出孔に流れる。そのため、インク収容部の外部に流出したインクによってインクタンクの周囲が汚損されにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るインクジェットプリンタの正面図である。
図2】インク供給装置の模式図である。
図3】インクタンクの斜視図である。
図4】インクタンクの後方側からの斜視図である。
図5】カバーを外した状態のインクタンクの斜視図である。
図6】タンク本体の斜視図である。
図7】インク量検出部の断面図である。
図8】ボトル装着部の断面図である。
図9】サプライボトルが装着された状態のボトル装着部の断面図である。
図10】注入口蓋を閉めた状態のカバーの断面図である。
図11】インク量検出部を底部に備えないインクタンクの一例を示す断面図である。
図12】さらに他の実施形態に係るインクタンクの後方側からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、いくつかの実施形態に係るインクジェットプリンタについて説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。以下の説明では、インクジェットプリンタを正面から見たときに、インクジェットプリンタから遠ざかる方を前方、インクジェットプリンタに近づく方を後方とする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表している。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、インクジェットプリンタの設置態様等を限定するものではない。
【0010】
[インクジェットプリンタの構成]
図1は、一実施形態に係る大判のインクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」とする。)10の正面図である。プリンタ10は、ロール状の記録媒体5を前後方向に移動させるとともに、左右方向に移動するキャリッジ20に搭載された複数のインクヘッド21からインクを吐出することによって、記録媒体5上に画像を印刷する。
【0011】
本実施形態では、プリンタ10は、インクジェット方式のプリンタである。本実施形態において、「インクジェット方式」とは、二値偏向方式または連続偏向方式などの各種の連続方式、および、サーマル方式または圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む従来公知の各種の手法によるインクジェット式のことをいう。
【0012】
図1に示すように、プリンタ10は、記録媒体5を支持するプラテン12と、キャリッジ20と、インクを吐出するインクヘッド21と、キャリッジ20を左右方向に移動させるキャリッジ移動装置22と、記録媒体5を前後方向に搬送する搬送装置23と、インクを硬化させる光を照射する光照射装置24と、複数のインクタンク40と、インクタンク40に収容されたインクをインクヘッド21に供給するインク供給装置30(図2参照)と、制御装置120と、これらの部材を支持する筐体11と、を備えている。
【0013】
本実施形態では、インクは、所定の波長帯の光を受けて硬化する光硬化性のインクである。インクは、例えば、紫外線硬化樹脂を含み、紫外線を受けて硬化するUVインクである。ただし、インクの種類は、光硬化性のインクには限定されない。インクとしては、従来からインクジェットプリンタのインクの材料として用いられている各種の材料を使用することができる。インクは、例えば、溶剤インクや水溶性のインクであってもよい。
【0014】
図1に示すように、筐体11は、左右方向に延びている。筐体11の左右方向の中央部には、プラテン12と、キャリッジ20と、インクヘッド21と、光照射装置24と、キャリッジ移動装置22と、搬送装置23と、が設けられている。本実施形態では、筐体11の中央部よりも左側部分には、4つのインクタンク40を支持するタンク支持部13Lが設けられている。筐体11の中央部よりも右側部分には、他の4つのインクタンク40を支持するタンク支持部13Rが設けられている。本実施形態では、プリンタ10は、8つのインクタンク40を備えている。詳しくは後述するが、インクタンク40は、補充容器としてのサプライボトル200を装着可能に構成されている。サプライボトル200をインクタンク40に装着することにより、サプライボトル200に収容されたインクがインクタンク40に移動される。また、サプライボトル200をインクタンク40から取り外すことにより、空になったサプライボトル200を回収することができる。
【0015】
キャリッジ20には、複数のインクヘッド21が設けられている。複数のインクヘッド21は、キャリッジ20の下面に設けられている。本実施形態では、インクヘッド21の数は8つである。ここでは、1つのインクヘッド21には、1つのインクタンク40が接続されている。ただし、1つのインクヘッド21に複数のインクタンク40が接続されていてもよく、1つのインクタンク40に複数のインクヘッド21が接続されていてもよい。インクヘッド21からは、接続されたインクタンク40のインクが吐出される。複数のインクヘッド21は、キャリッジ20において左右方向に並んで配置されている。各インクヘッド21は、インクを吐出するノズル21A(図2参照)が複数形成されたノズル面を有している。複数のノズル21Aは、前後方向に並んでノズル列を形成している。
【0016】
図2は、インク供給装置30の模式図である。インク供給装置30は、インクタンク40に対応するように設けられている。複数のインク供給装置30は、それぞれ、インクタンク40とインクヘッド21とを接続している(図2では、1つのインク供給装置30のみ図示)。インク供給装置30は、インクタンク40に収容されたインクをインクヘッド21に供給する。また、インク供給装置30は、成分の沈降を防ぐため、インクタンク40に収容されたインクを循環させるように構成されている。
【0017】
図2に示すように、インク供給装置30は、インクタンク40とインクヘッド21とを接続するインク供給路31と、インク供給路31に設けられたフィルタ32、送液ポンプ33、およびダンパ34と、を備えている。詳しくは後述するが、インク供給路31は、インクタンク40のうち、タンク本体50、さらに詳しくは、タンク本体50に設けられたインク流出口57(図4も参照)に接続されている。インク供給路31の途中には、分岐部35が設けられている。分岐部35には、帰還流路36が接続されている。帰還流路36の端部のうち、分岐部35に接続された端部とは逆側の端部は、インクタンク40(より詳しくは、インクタンク40のインク流入口63)に接続されている。インク供給路31のうちインクタンク40と分岐部35との間の部分と、帰還流路36とは、ループ状の循環流路Pcを構成している。帰還流路36には、バルブ37(図5も参照)が設けられている。かかる構成により、循環流路Pcには、フィルタ32、送液ポンプ33、およびバルブ37が設けられる。インク供給路31および帰還流路36は、例えば、可撓性のチューブによって構成されている。ただし、インク供給路31および帰還流路36の構成は特に限定されない。
【0018】
図2に示すように、フィルタ32は、インク供給路31に設けられた部材のうちで最も上流側に設けられている。フィルタ32は、インクに混入した埃やごみを除去する濾過部材である。インク供給路31は、インク流出口57とフィルタ32とを接続するフィルタ上流部分31aを含んでいる。送液ポンプ33は、インク供給路31のうちフィルタ32と分岐部35との間の部分に設けられている。送液ポンプ33は、インクタンク40からインクヘッド21に向かう方向にインクを送る。インク供給路31は、フィルタ32と送液ポンプ33とを接続するフィルタ下流部分31bを含んでいる。分岐部35は、送液ポンプ33の下流に設けられている。ダンパ34は、インク供給路31のうち分岐部35とインクヘッド21との間の部分に設けられている。ダンパ34は、印刷時にインクの圧力変動を緩和して、インクヘッド21からのインクの吐出動作を安定させる部材である。帰還流路36は、分岐部35とバルブ37とを接続するバルブ上流部分36aと、バルブ37とインク流入口63とを接続するバルブ下流部分36bと、を含んでいる。バルブ37は、帰還流路36を開放または閉鎖可能に構成されている。ただし、インク供給装置30の構成は特に限定されない。インク供給装置30は、例えば、上記した部材のいくつかを備えなくてもよい。インク供給装置30は、他の部材、例えば、インクから気泡を除去する脱気装置を備えていてもよい。
【0019】
プリンタ10は、例えば印刷停止時等にインクを循環させる際、バルブ37を開状態とし、送液ポンプ33を駆動する。これにより、インクタンク40内のインクは、循環流路Pcを循環する。これにより、インクタンク40内のインクが撹拌され、例えば沈降しやすい顔料等を分散することができる。
【0020】
図3は、インクタンク40の斜視図である。図4は、インクタンク40の後方側からの斜視図である。図5は、カバー100を外した状態のインクタンク40の斜視図である。図3図5に示すように、インクタンク40は、タンク本体50と、蓋体60と、カバー100と、インク量検出部110と、を備えている。図6は、タンク本体50の斜視図である。図7は、インク量検出部110を含むインクタンク40の下部の断面図である。
【0021】
タンク本体50は、インクを収容可能な有底の容器である。図6に示すように、タンク本体50は、中空に構成されている。タンク本体50は、例えば、光を透過させない樹脂によって形成されている。図6に示すように、タンク本体50は、インクが収容されるインク収容部51と、開口部52aを有する天面52と、開口部52aの周囲に設けられた支持壁53と、天面52の周囲に設けられた流出防止壁54と、インク排出路55と、インク排出孔56と、インク流出口57(図4参照)と、を備えている。
【0022】
インク収容部51は、前面51F、左側面51L、右側面51R、および背面51Rrの4つの側面と、底面51D(図7参照)と、を有している。図6に示すように、インク収容部51は、左右方向視において略三角形に形成されている。インク収容部51は、左右方向の幅が短い扁平な形状に形成されている。インク収容部51の前面51Fは、後方に向かう下降傾斜を有している。図7に示すように、前面51Fは、底面51Dに接続されており、上下方向に対して傾斜している。ここでは、前面51Fは、その全体が上下方向に対して傾斜している。前面51Fは、少なくとも底面51Dとの接続部において上下方向に対して傾斜していることが好ましい。ただし、前面51Fの一部または全部は、上下方向に対して傾斜していなくてもよい。底面51Dは、ここでは、略水平に設けられている。本実施形態では、インク収容部51の底部は、インク収容部51の平坦な底面51Dを含む平坦な底部である。ただし、インク収容部51の底部は、このような構成には限定されない。インク収容部51の底部は、側面の下縁によって構成された尖った底部であってもよい(例えば、図11を参照)。
【0023】
背面51Rrの下部を除く部分は、前方に向かう下降傾斜を有している。背面51Rrの傾斜部分の傾斜角度は、前面51Fの傾斜角度よりも小さい。背面51Rrは、底面51Dの後端に接続されている。左側面51Lは、略三角形に構成され、前面51Fの左端と、背面51Rrの左端と、底面51Dの左端とに接続されている。右側面51Rも、略三角形に構成され、前面51Fの右端と、背面51Rrの右端と、底面51Dの右端とに接続されている。その結果、タンク本体50の水平面に沿った断面積は、下方に向かうほど小さくなっている。
【0024】
天面52は、インク収容部51の4つの側面51F、51L、51R、51Rrの上縁に接続されている。天面52は、略水平に延びている。ここでは、天面52に形成された開口部52aは、インク収容部51の4つの側面51F、51L、51R、51Rrの上縁によって形成される略矩形と同じ大きさである。従って、天面52は、インク収容部51の上縁から外方に向かって鍔状に張り出している。ただし、開口部52aは、インク収容部51の上縁の略矩形よりも小さくてもよく、平面視においてインク収容部51の上縁の内方に配置されていてもよい。
【0025】
支持壁53は、蓋体60を支持する壁部である。支持壁53は、開口部52aの周囲を囲うように天面52から上方に延びている。支持壁53は、平面視において環状に形成されている。ここでは、環状の支持壁53の内側面は、平面視において開口部52aの外周と重なっている。平面視において、支持壁53の内側領域の大きさは、開口部52aと同じである。ただし、支持壁53は、開口部52aの外方に設けられ、開口部52aと離れて開口部52aを囲っていてもよい。支持壁53の上面は、蓋体60の下面に当接する。
【0026】
流出防止壁54は、支持壁53の周囲を囲うように天面52から上方に延びている。流出防止壁54は、支持壁53のさらに外方に形成された環状の壁部である。ここでは、流出防止壁54は、天面52の周囲を囲うように天面52の周縁部から上方に延びている。ただし、天面52は、流出防止壁54よりも外方に張り出していてもよい。天面52のうち支持壁53と流出防止壁54との間の部分と、支持壁53と、流出防止壁54とは、インクを一時的に滞留させ得るインク滞留部52bを構成している。インク滞留部52bは、支持壁53によって内周部が区画され、流出防止壁54によって外周部が区画された環状の凹部である。
【0027】
インク排出路55は、インク収容部51の側面に形成され、インク滞留部52bに連通している。ここでは、インク排出路55は、インク収容部51の側面のうち、背面51Rrに形成されている。インク滞留部52bのうち、支持壁53の後辺と流出防止壁54の後辺との間の部分には、インク排出路55とインク滞留部52bとを連通させる2つのインク排出孔56が開口している。2つのインク排出孔56は、それぞれ、天面52を上下方向に貫通している。
【0028】
図6に示すように、本実施形態では、インク排出路55は、左右方向に並んだ3つの流路形成板55aによって形成されている。3つの流路形成板55aは、それぞれ、インク収容部51の背面51Rrから後方に向かって延びている。3つの流路形成板55aは、それぞれ、上下方向にも延びている。3つの流路形成板55aの間に形成される2つの隙間は、2つのインク排出路55を形成している。各インク排出路55は、インク排出孔56の下方に配置されている。インク滞留部52bに溜まったインクは、インク排出孔56を経由してインク排出路55に流れ込む。インク滞留部52bに溜まったインクは、インク排出路55を通ってインクタンク40の外部に移動される。インク排出路55の下方には、図示しないトレイと、トレイに収容されたインク吸収体と、が備えられている。本実施形態では、インク滞留部52bに溜まったインクがインク排出路55に流れ込みやすいように、インク滞留部52bは、インク排出孔56に向かって下降する下降傾斜を有している。ただし、インク滞留部52bは、下降傾斜を有していなくてもよい。また、インク排出路55の構成および数量は限定されない。インク排出路55は、例えば、内部をインクが通るような筒状または半筒状に形成されていてもよい。インク排出路55の下流でインクを処理する機構は、インク吸収体には限定されない。インク排出路55の下流でインクを処理する機構は、例えば、廃液容器であってもよい。インク排出孔56の下方には、インクを処理する部材、例えば、トレイが設けられていてもよく、その場合、インク排出路55は設けられなくてもよい。
【0029】
インク流出口57は、インク収容部51の背面51Rrの下部に設けられている。タンク本体50は、インク収容部51とインク供給路31(循環流路Pcの一部でもある)とを連通させるインク流出口57を底部に備えている。図7に示すように、インク流出口57は、インク収容部51の底面51Dに連続するように設けられている。ただし、インク流出口57は、底面51Dよりも上方に配置されていてもよい。インク流出口57の底面51Dからの高さは、インク収容部51の高さの10%以内であることが好ましい。インク収容部51の前面51Fは、インク流出口57に対向している。インク収容部51の前面51Fは、少なくとも下端において、インク流出口57の方に向かって下降傾斜している。これにより、循環時のインクは、前面51Fの傾斜面とインク流出口57との間をスムーズに流れることができる。
【0030】
蓋体60は、タンク本体50に装着される平板状の部材である。図5に示すように、蓋体60は、鍔部61と、鍔部61よりも上方に突出した凸部62と、を有している。鍔部61は、平板状に構成されている。鍔部61は、タンク本体50の支持壁53(図6参照)によって支持されている。鍔部61は、ここでは、平面視において支持壁53よりも外方に張り出し、流出防止壁54よりも内方に配置されている。鍔部61には、インク流入口63が設けられている。インク流入口63は、蓋体60を貫通している。図2に示すように、循環流路Pcは、一端がインク収容部51(さらに詳しくは、インク収容部51のインク流出口57)に接続され、他端がインク流入口63に接続されている。図5に示すように、インク流入口63は、タンク本体50の傾斜した前面51Fの上方に配置されている。これにより、インク流入口63からインクタンク40に入ったインクは、前面51F上に落下する。
【0031】
凸部62は、鍔部61の内方に設けられている。凸部62は、鍔部61に周囲を囲まれている。平面視において、凸部62は、蓋体60の大部分を占めている。凸部62上には、インク供給装置30のフィルタ32およびバルブ37が配置されている。バルブ37は、凸部62の最後部に設けられている。フィルタ32は、詳しくは後述するが、大気連通部90の上方に設けられている。循環流路Pcのバルブ上流部分36aは、カバー100の後部の開口部(図4参照)を通ってカバー100内に到達し、バルブ37に接続されている。循環流路Pcのバルブ下流部分36bは、蓋体60の凸部62の上方に配置され、バルブ37とインク流入口63とを接続している。循環流路Pcのフィルタ上流部分31aは、カバー100の後部の開口部(図4参照)を通ってカバー100内に到達し、フィルタ32に接続されている。循環流路Pcのフィルタ下流部分31bは、カバー100の後部の開口部(図4参照)を通ってカバー100の外部に出ており、その先で送液ポンプ33(図2参照)に接続されている。循環流路Pcの一部は、蓋体60上に配置されている。
【0032】
図5に示すように、凸部62上には、その他に、サプライボトル200の装着を検出するセンサ80、および、カバー100の注入口蓋106(詳しくは後述、図3参照)の開閉を検出するセンサ64の2つの電気部品が配置されている。蓋体60は、インク注入口74(詳しくは後述、図8参照)よりも上方で電線を支持可能な電線支持部65を備えている。電線支持部65は、凸部62からさらに上方に延びている。電線支持部65は、バルブ37、サプライボトル200の装着検知用のセンサ80、および注入口蓋106の開閉検知用のセンサ64に接続された電線(図示省略)を空中で保持している。図5に示すように、電線支持部65は、電線が載置される面の左右に電線滑落防止用の壁部が設けられた構成を有している。電線滑落防止用の壁部は、左右交互に断続するように設けられている。
【0033】
凸部62上には、さらに、ボトル装着部70と、大気連通部90と、が設けられている。ボトル装着部70は、凸部62の最前部に配置されている。大気連通部90は、ボトル装着部70よりも後方であってバルブ37よりも前方に配置されている。図8は、ボトル装着部70の断面図である。図8に示すように、ボトル装着部70は、サプライボトル200が挿入されるボトル挿入部70Aと、サプライボトル200が接続されるボトル接続部70Bと、装着されたサプライボトル200を保持するボトル保持部70Cと、サプライボトル200が装着されたかどうかを検出するボトル検出部70D(図5参照)と、ボトル挿入部70Aでこぼれたインクをインク滞留部52bに誘導するインク誘導部70E(図5参照)と、を備えている。
【0034】
図5に示すように、ボトル挿入部70Aは、凸部62の上面から上方に向かって延びる円筒状の壁部71を有している。サプライボトル200は、壁部71の内方の空間に挿入される。壁部71には、平面視において周方向の一部が途切れた非連続部71aが形成されている。非連続部71aは、ボトル挿入部70A内にインクがこぼれた場合にインクを排出するための流路である。例えば、サプライボトル200からインクタンク40にインクを注ぎ足している途中でサプライボトル200を抜いた場合などには、ボトル挿入部70A内にインクが大量にこぼれることがあり得る。非連続部71aは、ボトル挿入部70Aとインク誘導部70Eとを接続する開口部である。非連続部71aは、壁部71の左方側に開口している。
【0035】
インク誘導部70Eは、それぞれ非連続部71aの前縁および後縁に接続された第1誘導壁72と第2誘導壁73とを備えている。ボトル挿入部70Aでインクがこぼれた場合、インクは非連続部71aを通って第1誘導壁72と第2誘導壁73との間に流れ込む。図5に示すように、第1誘導壁72と第2誘導壁73とによって形成される流路は、凸部62の左縁に面している。第1誘導壁72と第2誘導壁73との間の流路に流れ込んだインクは、蓋体60の鍔部61に流れ込み、さらにインク滞留部52bに流れ込む。第1誘導壁72および第2誘導壁73は、ボトル挿入部70A内にこぼれたインクがスムーズに流れるよう、曲面に構成されている。
【0036】
図5に示すように、壁部71は、前方側の壁面にストッパ挿入口71bを備えている。ストッパ挿入口71bは、壁部71を前後方向に貫通している。ストッパ挿入口71bには、ボトル保持部70Cのストッパ77が挿入されている。ボトル保持部70Cの詳細については後述する。
【0037】
図8に示すように、ボトル接続部70Bは、壁部71の底部に設けられている。ボトル接続部70Bは、インク注入口74と、弁体75と、スプリング76と、を備えている。図8に示すように、インク注入口74は、壁部71の底部に設けられている。インク注入口74は、蓋体60を上下方向に貫通している。インク注入口74は、タンク本体50の開口部52a(図6参照)を介してインク収容部51に連通している。
【0038】
弁体75は、インク注入口74に挿通されている。弁体75は、インク注入口74に沿って上下方向に摺動可能なように構成されている。弁体75は、先端部75aと、シール部75bと、流路75cと、を有している。先端部75aは、弁体75の上端部に設けられ、略円錐状に形成されている。詳しくは後述するが、サプライボトル200は、封止フィルム220によってインクの注入口212aが封止されている(図9参照)。弁体75の先端部75aは、サプライボトル200がボトル装着部70に装着されるときには、封止フィルム220を突き破る。シール部75bは、弁体75がサプライボトル200によって下方に押されていないときには、インク注入口74を閉鎖している。シール部75bは、弁体75がサプライボトル200によって下方に押されると、インク注入口74を開放する。流路75cは、先端部75aとシール部75bとを連通させている。先端部75aが封止フィルム220を突き破り、シール部75bがインク注入口74を開放すると、サプライボトル200内のインクは、流路75cおよびインク注入口74を経由して、インク収容部51に移動する。スプリング76は、弁体75がサプライボトル200によって押されていないときにインク注入口74を閉鎖するように、弁体75を上方に向かって付勢している。
【0039】
ボトル保持部70Cは、サプライボトル200がボトル装着部70に装着された状態を維持するように、サプライボトル200を保持する。図5および図8に示すように、ボトル保持部70Cは、ストッパ77と、スプリング78と、解除ボタン79と、を備えている。図8に示すように、ストッパ77は、ボトル挿入部70Aのストッパ挿入口71bに挿通されている。図8に示すように、サプライボトル200がボトル挿入部70Aに挿入されていない状態では、ストッパ77の先端部77aは、ボトル挿入部70A内に突入している。スプリング78は、ストッパ77の先端部77aがボトル挿入部70A内に突出するようにストッパ77を付勢している。
【0040】
図9は、サプライボトル200が装着された状態のボトル装着部70の断面図である。図9に示すように、サプライボトル200は、略円筒状の形状を有している。サプライボトル200は、本体210と、本体210の一端に構成された注入口212aを封止する封止フィルム220と、を備えている。以下のサプライボトル200の説明において使用される方向は、注入口212aを下方に向けた場合の方向である。注入口212aを下方に向けるサプライボトル200の向きは、サプライボトル200をインクタンク40に装着する際の向きである。
【0041】
図9に示すように、本体210は、大径部211と、大径部211よりも下方に設けられ大径部211よりも直径の小さい小径部212と、大径部211と小径部212とを繋ぐ連結部213とを備えている。大径部211は、円筒状に構成されている。連結部213は、大径部211の下端に接続され、下方に向かうほど狭まるようなテーパ状に形成されている。小径部212は、連結部213の下端に接続されている。
【0042】
小径部212は、図9に示すように、他の部分よりも直径の大きいリング部212bを備えている。リング部212bは、小径部212の上下方向の中間部に設けられている。小径部212のうちリング部212bよりも上方部分、および、リング部212bよりも下方部分は、リング部212bよりも直径が小さい。本体210の小径部212の下端は開放され、インクが注入される注入口212aを構成している。注入口212aは、封止フィルム220によって封止されている。
【0043】
図8図9との間の状態の図示は省略するが、サプライボトル200の小径部212がボトル挿入部70Aに挿入されると、リング部212bの下端がストッパ77の先端部77aを押す。これにより、ストッパ77は、ボトル挿入部70Aの径方向外方に移動される。サプライボトル200をさらに下方に押し込むと、ストッパ77は、図9に示すように、リング部212bの上方部分に嵌り込む。その結果、ストッパ77により、サプライボトル200の上方への移動が規制される。このとき、サプライボトル200は、スプリング76により、弁体75を介して、上方に付勢されている。そのため、サプライボトル200は、ボトル装着部70に装着された状態で保持される。このとき、封止フィルム220は、弁体75によって突き破られている。
【0044】
解除ボタン79は、押下することにより、ストッパ77をボトル挿入部70Aの径方向外方に移動させることが可能に構成されている。図8に示すように、解除ボタン79は、上下方向に延びる棒状の部材である。解除ボタン79は、上下方向に摺動可能に構成されている。解除ボタン79は、下部に構成されたスライド溝79aと、上端部に構成された押下部79bと、を備えている。
【0045】
図8に示すように、スライド溝79aは、ボトル挿入部70Aに近づくにつれ下降傾斜するように形成された溝である。スライド溝79aには、ストッパ77の係合シャフト77bが係合している。押下部79bは、カバー100の上方に突出している。押下部79bが下方に向かって押下されると、係合シャフト77bとスライド溝79aとのスライドにより、ストッパ77は、ボトル挿入部70Aの径方向外方に移動される。これにより、サプライボトル200の保持が解除される。
【0046】
ボトル検出部70Dは、ストッパ77の位置を検出することにより、ボトル装着部70にサプライボトル200が装着されているかどうかを検出する。ストッパ77は、サプライボトル200がボトル装着部70に装着された状態を維持するためのストッパであるとともに、ボトル装着部70にサプライボトル200が装着されているかどうかを検出するための検出体でもある。図5に示すように、ボトル検出部70Dは、ストッパ77の位置を検出するセンサ80を備えている。ストッパ77は、センサ80によって位置を検出される被検出部77cを有している。
【0047】
センサ80は、ここでは、フォトインタラプタである。センサ80は、投光器と受光器とを備えている。投光器は、物体検出用の光を照射するように構成されている。受光器は、投光器と向かい合っている。投光器と受光器との間に遮蔽物がない場合には、投光器から照射された光は受光器に到達する。投光器と受光器との間に遮蔽物がある場合には、遮蔽物によって光が遮られ、投光器から照射された光は受光器に到達しない。サプライボトル200がボトル挿入部70Aに挿入されていない状態では、ストッパ77の被検出部77cは、投光器と受光器との間に位置している。ストッパ77がサプライボトル200によって押されると、被検出部77cは、投光器と受光器との間から離脱する。プリンタは、センサ80の受光状態の変化により、サプライボトル200の装着が行われたかどうかを判定している。
【0048】
大気連通部90は、インク収容部51内を大気圧に維持する通路を有している。図5に示すように、大気連通部90は、凸部62のうち、ボトル装着部70よりも後方であってバルブ37よりも前方の部分に設けられている。大気連通部90は、蓋体60の上面に起点91aを有し、蓋体60の下面まで貫通している。詳しくは、大気連通部90は、起点91aを含み蓋体60の上面を蛇行する蛇道91と、蛇道91に接続され蓋体60の下面に到達した図示しない孔部と、を備えている。蛇道91は、蓋体60の上面に形成され、上方が開放された溝である。蛇道91は、経路長を長くするために、細長く蛇行している。大気連通部90は、起点91aを除いた蛇道91の上方を封止する封止フィルム92をさらに備えている。封止フィルム92は、空気およびインクの通過を遮断するフィルムであってもよい。あるいは、封止フィルム92は、気体の通過を許容する一方、インクの通過を遮断するフィルム、例えば多孔質膜であってもよい。ここでは、封止フィルム92は、蛇道91に熱溶着されている。大気連通部90は、細長い蛇道91によって、インク収容部51内のインクが蒸発することを抑制している。ただし、大気連通部90は、蛇道91のような蛇行した通路を備えるラビリンス構造体には限定されない。
【0049】
図5に示すように、インク供給装置30のフィルタ32は、平面視において蛇道91および封止フィルム92と重なるように設けられている。ここでは、フィルタ32は、蛇道91および封止フィルム92の前方部分の上方に設けられている。
【0050】
カバー100は、底のない箱状に形成され、蓋体60を上方から覆っている。カバー100は、少なくともインク注入口74の上方に被さるように設けられる。カバー100は、好ましくは、循環流路Pcの少なくとも一部を覆うように蓋体60上に被せられる。ここでは、カバー100は、インク注入口74と、循環流路Pcのフィルタ上流部分31a、フィルタ下流部分31b、およびバルブ上流部分36aのそれぞれ一部と、循環流路Pcのバルブ下流部分36bと、を覆っている。カバー100は、タンク本体50の流出防止壁54に装着されている。
【0051】
図3に示すように、カバー100は、前壁101と、左壁102と、右壁103と、天板104と、を備えている。前壁101は、上下方向および左右方向に延びている。前壁101の左端からは左壁102が後方に向かって延びている。前壁101の右端からは右壁103が後方に向かって延びている。天板104は、前壁101、左壁102、および右壁103の上端に接続され、略水平方向に延びている。天板104は、前後方向の中央部で上下方向に屈折している。天板104の屈折部104aよりも前方部分の上下方向の位置は、後方部分よりも下方である。この天板104の1段下がった前方部分を、以下では天板104の下段104bとも呼ぶ。図3に示すように、左壁102、および右壁103の下段104bよりも上方の部分と、天板104の屈折部104aと、天板104の下段104bとは、その内方の空間S1の境界の一部を構成している。
【0052】
図3に示すように、カバー100は、上下方向に延びるとともに両端部が開口した筒状の筒状部105を備えている。筒状部105は、天板104の下段104bを貫通するように設けられている。図8に示すように、筒状部105は、インク注入口74の上方に配置されている。筒状部105の下端部は、ボトル挿入部70Aの上端に接続されている。筒状部105の下方部分は、下端部から上方に向かって広がるテーパ部105aとなっている。筒状部105のうちテーパ部105aよりも上方部分は、直径が一定なストレート部105bとなっている。テーパ部105aは、サプライボトル200の連結部213に対応している。ストレート部105bは、サプライボトル200の大径部211に対応している。
【0053】
カバー100は、さらに、筒状部105の上端部を開閉する注入口蓋106を備えている。図10は、注入口蓋106を閉めた状態のカバー100の断面図である。図10は、前方から後方に向かって見た断面図である。図3および図10に示すように、注入口蓋106は、閉じた状態において筒状部105を覆う蓋部106aと、閉じた状態において筒状部105の側面を周方向に囲むように蓋部106aから下方に延びる突出部106bと、蓋部106aから屈折するように連続する前蓋部106cと、回動軸106dと、を有している。
【0054】
蓋部106aは、平板状に構成されている。蓋部106aの面積は、筒状部105のストレート部105bの開口面積よりも大きい。蓋部106aは、後端部に設けられた回動軸106d周りに上下方向に回動することにより、筒状部105を開閉する。突出部106bは、円筒状に構成されている。図10に示すように、突出部106bの内径は、ストレート部105bの外径に対応している。突出部106bは、注入口蓋106が閉じられると、筒状部105の側面を全周にわたって囲むように構成されている。前蓋部106cは、注入口蓋106が閉じられた状態において、空間S1の前端を閉じる。図10に示すように、カバー100の左壁102および右壁103の上端部には、それぞれ、注入口蓋106を受ける受部102aおよび103aが形成されている。
【0055】
図3に示すように、天板104の下段104bには、解除ボタン79が挿通されるガイド孔107が形成されている。ガイド孔107は、天板104の下段104bを上下方向に貫通している。図8に示すように、ガイド孔107は、上下方向に延びる筒状に構成されている。ガイド孔107は、解除ボタン79の上下方向の動きをガイドするためのものである。カバー100は、蓋体60上の構成を収容して保護・隠蔽するとともに、解除ボタン79の上下方向の動きを補助している。
【0056】
図4に示すように、カバー100は、ブラケット66を介して、バルブ37を押さえている。これにより、バルブ37の駆動時の振動が抑制されている。また、カバー100は、解除ボタン79の水平方向への動きを規制することにより、ストッパ77を間接的に支持している。
【0057】
インク量検出部110は、インクの水頭圧を利用して、インク収容部51内のインクの量を検出している。図7に示すように、インク量検出部110は、感圧膜111と、被検出部材112と、スプリング113と、第1センサ114と、第2センサ115と、検出部カバー116と、を備えている。インク収容部51の底面51Dには、感圧膜111にインクが接するようにするためのセンシング孔58が開口している。
【0058】
感圧膜111は、インク収容部51内のインクの水頭圧に応じて、撓み変形の度合いが変化する膜である。感圧膜111は、ここでは、可撓性を有する樹脂製のフィルムである。ただし、感圧膜111の材質は特に限定されない。感圧膜111は、センシング孔58を覆うように、タンク本体50に溶着されている。
【0059】
被検出部材112は、後端部に傾動軸112aを有し、傾動軸112a周りに傾動可能に構成されている。被検出部材112は、感圧膜111に当接している。スプリング113は、被検出部材112を上方に向かって付勢し、感圧膜111に当接させている。被検出部材112は、感圧膜111の撓み変形の度合いに連動して上下方向に傾動する。詳しくは、インク収容部51内のインク量が増加すると、感圧膜111の下方への撓み量が増加し、被検出部材112は下方に移動する。インク収容部51内のインク量が減少すると、感圧膜111の撓み量が減少し、被検出部材112は上方に移動する。プリンタ10は、第1センサ114および第2センサ115が検出する被検出部材112の位置によって、インク収容部51内のインクの量を検出している。第1センサ114および第2センサ115は、ここでは、フォトインタラプタである。
【0060】
被検出部材112は、第1センサ114および第2センサ115によって検出される(ここでは、フォトインタラプタの照射する光を遮蔽する)第1遮蔽部112b、第2遮蔽部112c、および第3遮蔽部112dを備えている。第1遮蔽部112bは、第2遮蔽部112cおよび第3遮蔽部112dよりも下方に位置している。第2遮蔽部112cは、第1遮蔽部112bよりも上方に位置している。第1遮蔽部112bと第2遮蔽部112cとは、前端の位置が一致している。第2遮蔽部112cの後端は、第1遮蔽部112bよりも後方に突出している。第3遮蔽部112dは、第2遮蔽部112cよりもさらに上方に位置している。第2遮蔽部112cと第3遮蔽部112dとは、後端の位置が一致している。第3遮蔽部112dの前端は、第2遮蔽部112cよりも後方に下がっている。
【0061】
第1センサ114と第2センサ115とは、前後方向に向かい合っている。第1センサ114と第2センサ115との間に第3遮蔽部112dが位置しているとき、第1センサ114は第3遮蔽部112dを検出(以下、ヒットとも言う)し、第2センサ115は第3遮蔽部112dを検出しない(以下、アンヒットとも言う)。第1センサ114と第2センサ115との間に第2遮蔽部112cが位置しているとき、第1センサ114および第2センサ115は、ともに第2遮蔽部112cを検出し、ヒット状態となる。第1センサ114と第2センサ115との間に第1遮蔽部112bが位置しているとき、第1センサ114は第1遮蔽部112bを検出せずアンヒット状態となり、第2センサ115は第1遮蔽部112bを検出し、ヒット状態となる。
【0062】
インク収容部51内のインク量が所定の満タン状態のときには、第3遮蔽部112dは、第1センサ114と第2センサ115とを繋ぐラインよりも下方に位置している。そのため、インク収容部51内のインク量が所定の満タン状態のとき、第1センサ114および第2センサ115は、ともにアンヒット状態となる。インク収容部51内のインクが消費されると、インク収容部51内のインク量は、満タン状態よりも少ないニア満タン状態となる。インク量がニア満タン状態になると、第3遮蔽部112dは、第1センサ114と第2センサ115との間に位置する。これにより、第1センサ114はヒット状態となる。第2センサ115は、アンヒット状態を維持する。
【0063】
インク収容部51内のインクがさらに消費されると、サプライボトル200に収容されているインクの容量よりもインク収容部51の空き容量が大きくなる。すなわち、インクタンク40がインクを注ぎ足すことが可能な状態となる。この状態では、第2遮蔽部112cが、第1センサ114と第2センサ115との間に位置する。これにより、第1センサ114および第2センサ115は、ともにヒット状態となる。
【0064】
インク収容部51内のインクがさらに消費されると、インク量は、インクの注ぎ足しが必要なニアエンド状態となる。この状態では、第1遮蔽部112bが、第1センサ114と第2センサ115との間に位置する。これにより、第1センサ114はアンヒット状態となる。第2センサ115は、ヒット状態を維持する。プリンタ10は、第1センサ114および第2センサ115の状態の組み合わせによって、満タン状態、ニア満タン状態、注ぎ足し可能状態、およびニアエンド状態を検出している。
【0065】
検出部カバー116は、感圧膜111と、被検出部材112と、スプリング113と、第1センサ114と、第2センサ115と、を収容している。ここでは、被検出部材112は、インク収容部51の底面51Dよりも前方に延びている。第1遮蔽部112b~第3遮蔽部112d、第1センサ114、および第2センサ115は、底面51Dよりも前方に位置している。検出部カバー116は、そのため、インク収容部51の底面51Dよりも前方に延びている。
【0066】
図1に示すように、プリンタ10は、制御装置120と、操作パネル121と、を備えている。制御装置120は、インク供給装置30の送液ポンプ33およびバルブ37に電気的に接続され、これらの動作を制御している。制御装置120は、送液ポンプ33およびバルブ37を制御することにより、インクを循環流路Pc内で循環させ、または、インクをインクヘッド21に供給する。
【0067】
制御装置120は、インク量検出部110の第1センサ114および第2センサ115に接続され、これらから信号を受信している。制御装置120は、インク収容部51内のインク量が満タン状態、ニア満タン状態、注ぎ足し可能状態、およびニアエンド状態のいずれであるのかを、例えば、操作パネル121や、制御装置120に接続された他の表示装置に表示させる。また、制御装置120は、ボトル検出部70Dのセンサ80に接続され、センサ80からの信号を受信している。センサ80からの信号により、サプライボトル200がボトル装着部70に接続されていることが認識されると、制御装置120は、表示装置にそのことを表示させる。さらに、制御装置120は、サプライボトル200がボトル装着部70に接続された時点を起点として時間を計測する。制御装置120は、計測時間が所定の時間に満たない場合には、サプライボトル200からインクタンク40にインクが移動中である旨の表示を表示装置に表示させる。制御装置120は、計測時間が所定の時間を越えた場合には、サプライボトル200からインクタンク40へのインクの移動が完了した旨の表示を表示装置に表示させる。
【0068】
制御装置120は、例えばコンピュータであり、中央演算処理装置(以下、CPUという)と、CPUが実行するプログラムなどが格納されたROMと、RAMなどを備えていてもよい。制御装置120の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。制御装置120の構成は特に限定されない。
【0069】
[実施形態の作用効果]
以下では、本実施形態に係るプリンタ10が奏する作用効果について説明する。
【0070】
本実施形態では、インクタンク40のタンク本体50は、インク収容部51と、開口部52aを有する天面52と、開口部52aの周囲を囲うように天面52から上方に延び、蓋体60を支持する支持壁53と、支持壁53の周囲を囲うように天面52から上方に延びる流出防止壁54と、を備えている。天面52のうち支持壁53と流出防止壁54との間の部分と、支持壁53と、流出防止壁54とは、インク滞留部52bを形成している。タンク本体50は、さらに、インク滞留部52bに開口したインク排出孔56を備えている。かかる構成によれば、蓋体60のインク注入口74、または、蓋体60とタンク本体50の支持壁53との接続部からインクが流出したとしても、インクは、インク滞留部52bを経由してインク排出孔56に流れる。そのため、インク収容部51の外部に流出したインクによってインクタンク40の周囲が汚損されにくい。
【0071】
インク収容部51の外部へのインクの流出は、例えば、ユーザーがインクタンク40にインクを補充し過ぎた場合に発生するおそれがある。プリンタ10は、インク量が注ぎ足し可能状態であることを表示するように構成されているが、ユーザーがインクタンク40にインクを補充し過ぎるのを完全に防止することは困難である。
【0072】
インク収容部51の外部へのインクの流出は、例えば、サプライボトル200内にインクが残っている状態で、ユーザーがサプライボトル200をボトル装着部70から取り外した場合にも発生するおそれがある。その場合、インクの多くは、ボトル挿入部70A内にこぼれる。本実施形態では、インク誘導部70Eがボトル挿入部70Aに接続されている。ボトル挿入部70A内にこぼれたインクは、インク誘導部70Eによってインク滞留部52bに導かれる。
【0073】
本実施形態では、インク滞留部52bを設けることにより、蓋体60と支持壁53との接続部へのコーキングを省略している。インクに接し得る部分に使用するコーキング材は、例えばインクへの耐性等、制限が多い。そのため、蓋体60と支持壁53との接続部のコーキング材を省略することにはメリットがある。本実施形態では、インク排出孔56に流れたインクは、インク排出路55を経由して、インクタンク40の下方に設けられたインク吸収体によって吸収される。タンク本体50は、インク収容部51の側面(ここでは、背面51Rr)に形成され、インク排出孔56によってインク滞留部52bに連通されたインク排出路55を備えている。これにより、インク収容部51の外部に流出したインクによるインクタンク40の周囲の汚損をより抑制できる。本実施形態では、インク排出路55は、インク収容部51の背面51Rrに設けられている。そのため、流出したインクがユーザーに触れにくい。
【0074】
本実施形態では、循環流路Pcに設けられたバルブ37およびフィルタ32は、蓋体60上に配置されている。かかる構成によれば、インク滞留部52bにインクが滞留した場合にも、バルブ37およびフィルタ32はインクを浴びにくい。また、バルブ37およびフィルタ32が蓋体60上に配置されていることにより、バルブ37およびフィルタ32のメンテナンスや交換が容易にできる。
【0075】
さらに、本実施形態では、循環流路Pcの一部は、蓋体60の上方に配置され、カバー100に覆われている。これにより、蓋体60の上方に配置された循環流路Pcを隠すことができる。また、循環流路Pc内のインクに対する遮光性を向上させることもできる。本実施形態では、インクは光硬化性のインクである。そのため、インク収容部分の遮光性は重要である。
【0076】
本実施形態では、カバー100は、インク注入口74の上方に配置された筒状部105を備えており、筒状部105の上端部を開閉する注入口蓋106をさらに備えている。注入口蓋106は、蓋部106aと、閉じた状態において筒状部105の側面を周方向に囲むように蓋部106aから下方に延びる突出部106bと、を有している。かかる構成によれば、図10に示すように、外部から筒状部105までの光の経路が、突出部106bによって屈折するとともに長くなる。そのため、筒状部105、および、筒状部105に連通したインク注入口74の遮光性を高めることができる。なお、インクは、光硬化性のインクでなくとも、光を当てないようにすることが好ましい。
【0077】
本実施形態では、蓋体60は、インク注入口74よりも上方で電線を支持可能な電線支持部65を備えている。本実施形態では、蓋体60上には、バルブ37、サプライボトル200の装着検知用のセンサ80、および注入口蓋106の開閉検知用のセンサ64に接続された電線が配置されている。電線支持部65によってインク注入口74よりも上方でこれらの電線を支持することにより、これらの電線がインクに浸漬することを抑制できる。なお、電線支持部65によって支持される電線は、蓋体60上に設けられた機器に接続された電線には限定されない。
【0078】
本実施形態では、大気連通部90は、蓋体60上に起点91aを有するように設けられている。大気連通部90の起点91aを蓋体60上に設けることにより、インクが起点91aから大気連通部90内に侵入するおそれを低減することができる。これにより、大気連通部90が詰まる等の不具合のおそれが低減される。
【0079】
本実施形態では、フィルタ32は、平面視において、大気連通部90の蛇道91および封止フィルム92と重なるように設けられている。これにより、蓋体60上の部材の配置が効率的になり、蓋体60のサイズを小さくすることができる。蓋体60の面積を小さくすることにより、タンク本体50の上端部における面積も小さくなる。さらに、本実施形態では、タンク本体50の平面視における面積を下方に向かって次第に小さくしている。本実施形態では、これらの構成により、インク量のセンシング精度を向上させている。
【0080】
本実施形態では、バルブ37を大気連通部90よりも後方に配置することにより、封止フィルム92を蛇道91上に溶着する作業を実施しやすくしている。
【0081】
本実施形態では、インク収容部51とインク供給路31とを連通させるインク流出口57はインク収容部51の底部に設けられ、インク収容部51の前面51Fは、インク流出口57に対向するように設けられている。インク収容部51の前面51Fは、少なくとも下端において、インク流出口57の方に向かって下降傾斜している。かかる構成によれば、前面51F上のインクは、下降傾斜に沿ってインク流出口57の方に流れる。このインクの流れにより、インク収容部51の底部へのインク成分の沈降が抑制される。
【0082】
[他の実施形態]
以上、本発明の好適な一実施形態について説明した。ただし、本発明は、他の実施形態によっても実施することができる。例えば、上記した実施形態では、インク量検出部110は、インク収容部51の底面51Dよりも前方に延びていたが、それには限定されない。インク量検出部110は、例えば、図7に二点鎖線で示すように、インク収容部51の底面51Dの前端よりも背面側に設けられていてもよい。インクタンク40は、背面が筐体11に当接するように配置されている。かかる構成によれば、インク量検出部110がインク収容部51よりも筐体11側に位置する。そのため、インク量検出部110がプリンタ10の前方側に突出しない。よって、意図しない衝撃等によってインク量検出部110が破損するおそれが低減される。
【0083】
プリンタ10は、インクタンク40の底部にインク量検出部110を備えなくてもよい。図11は、インク量検出部110を底部に備えないインクタンク40の一例を示す断面図である。図11に示すように、この実施形態では、インク収容部51の底部は、インク収容部51の前面51Fの下縁と背面51Rrの下縁とが接合されることによって構成されている。図示は省略するが、前面51Fの下縁と背面51Rrの下縁との接合部は、図11の奥行き方向に延びている。インク流出口57は、インク収容部51の底部に設けられている。詳しくは、インク流出口57は、前面51Fの下縁と背面51Rrの下縁との接合部に接するように設けられている。ここでも、インク収容部51の前面51Fは、インク流出口57に対向するように設けられ、少なくとも下端においてインク流出口57の方に向かって下降傾斜している。かかる構成によれば、底部に略水平な部分がない。そのため、インク収容部51の底部へのインク成分の沈降がより抑制される。なお、インク量検出部110は、設けられていなくてもよく、インクタンク40の底部以外の場所に設けられていてもよい。
【0084】
インクタンク40の背面は、上記した態様とは異なる態様により構成されていてもよい。図12は、さらに他の実施形態に係るインクタンク40の後方側からの斜視図である。図12に示すように、この実施形態では、インク排出路55は、左右方向の中央部に設けられている。インク排出路55の左方および右方には、インクタンク40を筐体11に固定するためのネジ孔59Aが設けられている。タンク本体50の背面上部には、インクタンク40を筐体11に引っ掛けるためのフック59Bが設けられている。図示は省略するが、筐体11には、フック59Bを引っ掛け可能な部材が設けられている。これにより、インクタンク40が筐体11から外れる(特に、プリンタ10の組立時、ネジ孔59Aにネジが締結される前に)ことが抑制される。さらに、本実施形態では、インクタンク40は、流出防止壁54の上端部から上方に延びるチューブ保持部59Cを備えている。チューブ保持部59Cは、略C字に形成されている。インク供給装置30の図示しないチューブ(例えば、図4のフィルタ上流部分31a、フィルタ下流部分31b、バルブ上流部分36a)は、この略C字の内方に挿通される。これにより、チューブ内をインクが通過するときにチューブが暴れることが抑制される。本実施形態では、カバー100は、蓋体60の全部を覆っている(カバー100に覆われているため、蓋体60は図示せず)。カバー100の後端位置は、ここでは、流出防止壁54の後端位置と揃っている。
【0085】
インクタンク40の形状は、扁平な略三角柱状には限定されず、他の様々な形状をとることができる。ボトル装着部70やインク量検出部110の構成は、上記したような構成には限定されない。例えば、循環流路Pc、フィルタ32、バルブ37等は、必ずしも必要ではない。プリンタ10の他の構成、例えば、インクヘッド21、キャリッジ移動装置22、搬送装置23なども特に限定されない。プリンタ10は、例えば、小型のプリンタであってもよく、フラットベッドタイプのプリンタなどであってもよい。プリンタ10は、例えば、カッティングヘッドを備えたカッティングヘッド付きインクジェットプリンタや、三次元造形物を造形する三次元プリンタなどであってもよい。
【符号の説明】
【0086】
5 記録媒体
10 プリンタ
11 筐体
21 インクヘッド
31 インク供給路(インク流路)
32 フィルタ
37 バルブ
40 インクタンク
50 タンク本体
51 インク収容部
52 天面
52a 開口部
52b インク滞留部
53 支持壁
54 流出防止壁
55 インク排出路
56 インク排出孔
57 インク流出口
60 蓋体
65 電線支持部
74 インク注入口
90 大気連通部
91 蛇道(蛇行溝)
92 封止フィルム(封止部材)
100 カバー
105 筒状部
106 注入口蓋
106a 蓋部
106b 突出部
110 インク量検出部(インク量検出装置)
200 サプライボトル
Pc 循環流路
図1
図2
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図4
図5
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図10
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図12