(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040893
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】加熱調理器及びアプリケーションプログラム
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20230315BHJP
F24C 7/04 20210101ALI20230315BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
F24C3/12 K
F24C7/04 301A
G06F13/00 358D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148084
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 俊浩
【テーマコード(参考)】
3L087
【Fターム(参考)】
3L087AA03
3L087BA09
3L087BB18
3L087BC16
3L087DA01
(57)【要約】
【課題】本明細書では、加熱部への操作指示を外部から受信可能な加熱調理器において、安全性を向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示する加熱調理器は、被調理物を加熱する加熱部と、加熱部への操作指示を外部から受信する受信部と、受信済みの操作指示に基づいて加熱部を制御する制御部と、人物存在情報取得部と、を備える。人物存在情報取得部は、加熱部の加熱状況を目視可能な領域に位置する人物である目視可能人物が存在するか否かに関する人物存在情報を取得する。制御部は、取得済みの人物存在情報が目視可能人物の存在を示す場合に、操作指示に基づいて加熱部を制御し、取得済みの人物存在情報が目視可能人物の存在を示さない場合に、操作指示に基づいて加熱部を制御しない。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を加熱する加熱部と、
前記加熱部への操作指示を外部から受信する受信部と、
受信済みの前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御する制御部と、
前記加熱部の加熱状況を目視可能な領域に位置する人物である目視可能人物が存在するか否かに関する人物存在情報を取得する人物存在情報取得部と、を備え、
前記制御部は、
取得済みの前記人物存在情報が、前記目視可能人物が存在することを示す場合に、受信済みの前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御し、
取得済みの前記人物存在情報が、前記目視可能人物が存在しないことを示す場合に、受信済みの前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御しない、加熱調理器。
【請求項2】
前記操作指示は、前記加熱部が加熱を開始する前に設定可能である加熱前条件を含み、
前記制御部は、取得済みの前記人物存在情報が、前記目視可能人物が存在しないことを示す状況において、
前記加熱部の加熱中に前記加熱前条件を含む前記操作指示を受信する場合に、受信済みの前記加熱前条件を、その後の前記加熱部の制御に反映せず、
前記加熱部の非加熱中に前記加熱前条件を含む前記操作指示を受信する場合に、前記加熱前条件を、その後の前記加熱部の制御に反映する、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記操作指示は、音声によって入力される指示を含む、請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記操作指示を入力した指示ユーザの特徴を取得する指示ユーザ特徴取得部と、
前記操作指示による前記加熱部の操作が許可される少なくとも1人の許可ユーザの特徴を取得する許可ユーザ特徴取得部と、
取得済みの前記指示ユーザの特徴と取得済みの前記少なくとも1人の許可ユーザの特徴とを比較することによって、前記指示ユーザが、前記少なくとも1人の許可ユーザに含まれるか否かを判断するユーザ判断部と、をさらに備え、
前記制御部は、取得済みの前記人物存在情報が、前記目視可能人物が存在することを示す状況において、
前記指示ユーザが前記少なくとも1人の許可ユーザに含まれる場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御し、
前記指示ユーザが前記少なくとも1人の許可ユーザに含まれない場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御しない、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記目視可能人物の特徴を取得する人物特徴取得部をさらに備え、
前記ユーザ判断部は、取得済みの前記指示ユーザの特徴と取得済みの前記目視可能人物の特徴とを比較することによって、前記指示ユーザが、前記目視可能人物と同一であるか否かをさらに判断し、
前記制御部は、取得済みの前記人物存在情報が、前記目視可能人物が存在することを示し、かつ、前記指示ユーザが前記少なくとも1人の許可ユーザに含まれる状況において、
前記指示ユーザが前記目視可能人物と同一である場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御し、
前記指示ユーザが前記目視可能人物と同一でない場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御しない、請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記操作指示が入力された端末装置を特定する端末情報を取得する端末情報取得部と、
前記操作指示による前記加熱部の操作が許可される少なくとも1人の許可ユーザの所有する少なくとも一つの許可端末装置を特定する許可端末情報を、予め登録する許可端末情報登録部と、
取得済みの前記端末情報と登録済みの前記少なくとも一つの許可端末情報とを比較することによって、取得済みの前記端末情報が、登録済みの前記少なくとも一つの許可端末情報に含まれるか否かを判断する端末判断部と、をさらに備え、
前記制御部は、取得済みの前記人物存在情報が、前記目視可能人物が存在することを示す状況において、
取得済みの前記端末情報が登録済みの前記少なくとも一つの許可端末情報に含まれる場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御し、
取得済みの前記端末情報が登録済みの前記少なくとも一つの許可端末情報に含まれない場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御しない、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記目視可能人物が保持する端末装置の特徴を取得する端末特徴取得部をさらに備え、
前記端末情報は、前記操作指示が入力された端末装置の特徴を含み、
前記端末判断部は、取得済みの前記端末情報に含まれる特徴と取得済みの前記目視可能人物が保持する端末装置の特徴とを比較することによって、前記操作指示が入力された端末装置が、前記目視可能人物が保持する端末装置と同一であるか否かをさらに判断し、
前記制御部は、取得済みの前記人物存在情報が、前記目視可能人物が存在することを示し、かつ、取得済みの前記端末情報が登録済みの前記少なくとも一つの許可端末情報に含まれる状況において、
前記操作指示が入力された端末装置が、前記目視可能人物が保持する端末装置と同一である場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御し、
前記操作指示が入力された端末装置が、前記目視可能人物が保持する端末装置と同一でない場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御しない、請求項6に記載の加熱調理器。
【請求項8】
加熱調理器と通信可能な端末装置のためのアプリケーションプログラムであって、
前記加熱調理器は、
被調理物を加熱する加熱部と、
前記加熱部への操作指示を外部から受信する受信部と、
受信済みの前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御する制御部と、
前記加熱部の加熱状況を目視可能な領域に位置する人物である目視可能人物が存在するか否かに関する人物存在情報を取得する人物存在情報取得部と、を備え、
前記制御部は、
取得済みの前記人物存在情報が、前記目視可能人物が存在することを示す場合に、受信済みの前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御し、
取得済みの前記人物存在情報が、前記目視可能人物が存在しないことを示す場合に、受信済みの前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御せず、
前記アプリケーションプログラムは、前記端末装置のコンピュータを、下記の各部、即ち、
前記加熱調理器の前記加熱部への操作指示を入力する入力部と、
入力された前記操作指示を前記加熱調理器の前記受信部へ送信する送信部として機能させる、アプリケーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、加熱調理器及びアプリケーションプログラムに関する。特に、外部からの加熱部への操作指示を受信する加熱調理器のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの携帯端末から加熱部への操作指示を受信する受信部を備える加熱調理器が開示されている。加熱調理器は、例えば、ユーザが携帯端末に入力した操作指示に基づいて、加熱部を点火する。この加熱調理器によれば、ユーザの利便性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加熱調理器では、操作指示を受信した加熱調理器の近傍に、人が存在しないことが起こり得る。この場合、加熱調理器に異常が発生しても、異常の発生を認識して対応する人が存在しないので、安全性に問題を生じるおそれがある。本明細書では、加熱部への操作指示を外部から受信可能な加熱調理器において、安全性を向上させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する加熱調理器は、被調理物を加熱する加熱部と、前記加熱部への操作指示を外部から受信する受信部と、受信済みの前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御する制御部と、人物存在情報取得部と、を備える。人物存在情報取得部は、前記加熱部の加熱状況を目視可能な領域に位置する人物である目視可能人物が存在するか否かに関する人物存在情報を取得する。前記制御部は、取得済みの前記人物存在情報が前記目視可能人物の存在を示す場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御し、取得済みの前記人物存在情報が前記目視可能人物の存在を示さない場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御しない。
【0006】
上述した構成によると、制御部は、加熱部に異常が発生した場合に対応可能な目視可能人物が存在する場合に、操作指示に基づいて加熱部を制御し、目視可能人物が存在しない場合に、操作指示に基づいて加熱部を制御しない。本明細書が開示する加熱調理器は、目視可能人物の存在の確認後に、操作指示に基づいて加熱部を制御することによって、安全性を向上させることができる。
【0007】
前記操作指示は、前記加熱部が加熱を開始する前に設定可能である加熱前条件を含んでもよい。その場合、前記制御部は、取得済みの前記人物存在情報が、前記目視可能人物が存在しないことを示す状況において、前記加熱部の加熱中に前記加熱前条件を含む前記操作指示を受信する場合に、受信済みの前記加熱前条件を、その後の前記加熱部の制御に反映せず、前記加熱部の非加熱中に前記加熱前条件を含む前記操作指示を受信する場合に、前記加熱前条件を、その後の前記加熱部の制御に反映してもよい。
【0008】
加熱前条件は、加熱の開始前に設定可能であり、比較的安全性への影響が少ない。しかしながら、加熱部の加熱中に、加熱前条件に基づいて加熱の設定が変更され、加熱部の加熱動作が変化すると、加熱部に異常が発生するおそれがある。このため、目視可能人物が存在しない状況において、加熱部の加熱中に、加熱前条件に基づいて加熱の設定が変更されると、安全性に問題を生じるおそれがある。このような構成によると、目視可能人物が存在しない状況において、加熱部の加熱中に受信する加熱前条件は、その後の加熱部の制御に反映されない。このため、目視可能人物が存在しない状況において、加熱中の加熱部の安全性が向上する。一方、加熱部の非加熱中に受信する加熱前条件は、その後の加熱部の制御に反映される。これにより、加熱調理器は、目視可能人物が存在しない状況であっても、安全性への影響が少ない加熱前条件を利用して加熱部を制御することができるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0009】
前記操作指示は、音声によって入力される指示を含んでもよい。
【0010】
このような構成によると、例えば、ユーザが作業中である場合、ユーザの手が汚れている場合等に、ユーザは、手を使わずに加熱調理器の加熱部の制御をすることができる。このため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0011】
加熱調理器は、前記操作指示を入力した指示ユーザの特徴を取得する指示ユーザ特徴取得部と、前記操作指示による前記加熱部の操作が許可される少なくとも1人の許可ユーザの特徴を取得する許可ユーザ特徴取得部と、取得済みの前記指示ユーザの特徴と取得済みの前記少なくとも1人の許可ユーザの特徴とを比較することによって、前記指示ユーザが、前記少なくとも1人の許可ユーザに含まれるか否かを判断するユーザ判断部と、をさらに備えてもよい。その場合、前記制御部は、取得済みの前記人物存在情報が、前記目視可能人物が存在することを示す状況において、前記指示ユーザが前記少なくとも1人の許可ユーザに含まれる場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御し、前記指示ユーザが前記少なくとも1人の許可ユーザに含まれない場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御しなくてもよい。
【0012】
このような構成によると、加熱調理器は、目視可能人物が存在する状況において、許可ユーザからの操作指示に基づいて加熱部を制御し、許可ユーザ以外のユーザからの操作指示に基づいて加熱部を制御しない。加熱調理器を安全に利用できるユーザが、許可ユーザとして、加熱部の操作が許可される。このため、許可ユーザは、加熱調理器に異常が発生した場合に、迅速に対応することができる。加熱調理器は、許可ユーザからの操作指示のみに基づいて加熱部を制御することによって、安全性を向上させることができる。
【0013】
加熱調理器は、前記目視可能人物の特徴を取得する人物特徴取得部をさらに備えてもよい。その場合、前記ユーザ判断部は、取得済みの前記指示ユーザの特徴と取得済みの前記目視可能人物の特徴とを比較することによって、前記指示ユーザが、前記目視可能人物と同一であるか否かをさらに判断してもよい。前記制御部は、取得済みの前記人物存在情報が、前記目視可能人物が存在することを示し、かつ、前記指示ユーザが前記少なくとも1人の許可ユーザに含まれる状況において、前記指示ユーザが前記目視可能人物と同一である場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御してもよく、前記指示ユーザが前記目視可能人物と同一でない場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御しなくてもよい。
【0014】
このような構成によると、加熱調理器は、目視可能人物が存在する状況において、操作指示を入力したユーザが加熱部の加熱状況を目視可能な場合に、操作指示に基づいて加熱部を制御し、操作指示を入力したユーザが加熱部の加熱状況を目視できない場合に、操作指示に基づいて加熱部を制御しない。加熱調理器は、目視可能な範囲に存在するユーザからの操作指示のみに基づいて加熱部を制御することによって、安全性を向上させることができる。
【0015】
加熱調理器は、前記操作指示が入力された端末装置を特定する端末情報を取得する端末情報取得部と、前記操作指示による前記加熱部の操作が許可される少なくとも1人の許可ユーザの所有する少なくとも一つの許可端末装置を特定する許可端末情報を、予め登録する許可端末情報登録部と、取得済みの前記端末情報と登録済みの前記少なくとも一つの許可端末情報とを比較することによって、取得済みの前記端末情報が、登録済みの前記少なくとも一つの許可端末情報に含まれるか否かを判断する端末判断部と、をさらに備えてもよい。その場合、前記制御部は、取得済みの前記人物存在情報が、前記目視可能人物が存在することを示す状況において、取得済みの前記端末情報が登録済みの前記少なくとも一つの許可端末情報に含まれる場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御し、取得済みの前記端末情報が登録済みの前記少なくとも一つの許可端末情報に含まれない場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御しなくてもよい。
【0016】
このような構成によると、加熱調理器は、操作指示が入力された端末装置の端末情報に基づいて、操作指示を入力したユーザを識別することができる。これにより、加熱調理器は、比較的簡易な構成により、操作指示を入力したユーザが、許可ユーザに含まれるか否かを正確に判断することができる。
【0017】
加熱調理器は、前記目視可能人物が保持する端末装置の特徴を取得する端末特徴取得部をさらに備えてもよい。その場合、前記端末情報は、前記操作指示が入力された端末装置の特徴を含んでもよい。前記端末判断部は、取得済みの前記端末情報に含まれる特徴と取得済みの前記目視可能人物が保持する端末装置の特徴とを比較することによって、前記操作指示が入力された端末装置が、前記目視可能人物が保持する端末装置と同一であるか否かをさらに判断してもよい。前記制御部は、取得済みの前記人物存在情報が、前記目視可能人物が存在することを示し、かつ、取得済みの前記端末情報が登録済みの前記少なくとも一つの許可端末情報に含まれる状況において、前記操作指示が入力された端末装置が、前記目視可能人物が保持する端末装置と同一である場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御してもよく、前記操作指示が入力された端末装置が、前記目視可能人物が保持する端末装置と同一でない場合に、前記操作指示に基づいて前記加熱部を制御しなくてもよい。
【0018】
このような構成によると、加熱調理器は、目視可能人物が存在する状況において、操作指示が入力された端末装置が、目視可能人物が保持する端末装置と同一である場合に、操作指示に基づいて加熱部を制御し、操作指示を入力した端末装置が、目視可能人物が保持する端末装置と同一ではない場合に、操作指示に基づいて加熱部を制御しない。これにより、加熱調理器は、目視可能な範囲に存在する許可ユーザからの操作指示のみに基づいて加熱部を制御することによって、安全性を向上させることができる。
【0019】
上記の端末装置のためのアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムを記憶するコンピュータ可読記録媒体、及び、上記の加熱調理器によって実行される方法も新規で有用である。また、上記の加熱調理器と端末装置とを備えるシステムも新規で有用である。
【0020】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施例の加熱調理器10が構成する加熱調理システム100の概略図を示す。
【
図2】加熱調理器10及び携帯端末30の構成を示す。
【
図3】第1実施例の制御部20が実行する音声操作指示受付処理のフロー図を示す。
【
図5】第2実施例の制御部20が実行する音声操作指示受付処理のフロー図を示す。
【
図7】第3実施例の制御部20が実行する音声操作指示受付処理のフロー図を示す。
【0022】
(第1実施例)
(加熱調理システム100の構成;
図1)
図1に示す加熱調理システム100は、加熱調理器10の近傍に位置するユーザ3が、ユーザ3の音声を利用して、加熱調理器10を操作するためのシステムである。ユーザ3は、例えば、他の手作業の最中、自身の手が調理により汚れている場合等に、音声指示D10により加熱調理器10を操作する。
【0023】
加熱調理システム100は、レンジフード2と、加熱調理器10と、スマートスピーカ6と、ルータ9と、携帯端末30と、音声サーバ60と、管理サーバ70と、を備える。レンジフード2は、加熱調理器10周辺を換気するファン(図示省略)と、人感センサ2sと、カメラ2cと、を備える。携帯端末30は、ユーザ3が所有する端末である。携帯端末30については、第2実施例の加熱調理器10とともに後述する。
【0024】
ルータ9は、ユーザ3が居住する住宅内に配置されるデバイスである。ルータ9は、レンジフード2、加熱調理器10、スマートスピーカ6、とWi-Fi(登録商標)に従った無線通信を実行することができる。
【0025】
人感センサ2sは、赤外線により領域A2内に人が存在するか否かを監視するセンサである。ここで、領域A2は、加熱調理器10の状況を目視可能な領域である。人感センサ2sは、領域A2内に人が存在する場合、領域A2内に人が存在することを示す存在信号を、ルータ9を介して、加熱調理器10に送信する。領域A2は、初期設定では、例えば、加熱調理器10の周囲3m内の領域である。領域A2は、ユーザ3の居住する住宅(図示省略)の壁の位置等に応じて、ユーザ3が変更可能である。なお、変形例では、人感センサ2sは、超音波によって領域A2内に人が存在するか否かを監視してもよいし、可視光によって領域A2内に人が存在するか否かを監視してもよい。
【0026】
カメラ2cは、領域A2内の画像を撮像する。カメラ2cについては、第2実施例の加熱調理器10で後述する。
【0027】
スマートスピーカ6は、音声による操作を受け付け可能なスピーカである。スマートスピーカ6は、例えば、Google Home(登録商標)、Amazon Echo(登録商標)等である。図示は省略したが、スマートスピーカ6は、スピーカと、マイクと、Wi-Fiインターフェース(以下では、Wi-Fiのことを「WF」と、インターフェースのことを「I/F」と、記載する)と、を備える。WFI/Fは、ルータ9とのWFに従った無線通信を実行する。
【0028】
ルータ9は、インターネット50を介して、音声サーバ60と通信が可能である。音声サーバ60は、例えば、スマートスピーカ6のベンダが提供するサーバである。管理サーバ70は、例えば、加熱調理器10のベンダが提供するサーバである。例えば、スマートスピーカ6にユーザ3の音声指示D10が入力された場合、音声指示D10は、ルータ9及びインターネット50を介して、音声サーバ60に送信される。音声サーバ60は、音声指示D10を解析して、解析した指示内容を管理サーバ70に送信する。管理サーバ70は、受信した指示内容を、インターネット50及びルータ9を介して加熱調理器10に送信する。加熱調理器10は、受信した指示内容に基づいて制御される。このように、加熱調理器10は、受信したユーザ3の音声指示D10に基づいて制御される。
【0029】
(加熱調理器10の構成;
図1、
図2)
図1に示されるように、加熱調理器10は、3個のコンロバーナ16a、16b、16cと、電源スイッチ12と、操作部14と、グリルバーナ17と、を備える。コンロバーナ16a、16b、16c及びグリルバーナ17のそれぞれには、ガス供給路(図示省略)によってガスが供給される。コンロバーナ16a、16b、16c及びグリルバーナ17のそれぞれは、ガスが供給されている状態でイグナイタ(不図示)を動作させることで点火する。ユーザ3は、操作部14によって、コンロバーナ16a、16b、16c及びグリルバーナ17のそれぞれについて、点火、消火、火力の調整、自動調理の設定等を実行することができる。例えば、コンロバーナ16aで鍋8を加熱している場合、操作部14が操作されると、コンロバーナ16aへのガスの供給量が変更される。その結果、コンロバーナ16aの火力が調整される。
【0030】
また、図示は省略したが、加熱調理器10は、コンロバーナ16a、16b、16c及びグリルバーナ17のそれぞれの温度を検出する温度センサを備える。
図2では、コンロバーナ16aのみを記載し、コンロバーナ16b、16cの記載を省略した。
【0031】
図2に示されるように、加熱調理器10は、さらに、BLE(Bluetooth Low Energyの略)I/F18と、WFI/F19と、制御部20と、を備える。加熱調理器10は、WFI/F19により、ルータ9とWF通信を実行する。制御部20は、CPU(CentralProcessing Unitの略)22と、メモリ24と、を備える。メモリ24は、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどによって構成される。メモリ24は、プログラム26を記憶する。CPU22は、プログラム26に従って、加熱調理器10のコンロバーナ16a、16b、16c及びグリルバーナ17のそれぞれを制御する。CPU22は、例えば、ユーザ3から入力されたメニューと、温度センサから受信する温度と、を利用して、コンロバーナ16a、16b、16c及びグリルバーナ17のそれぞれを、予め設定された温度に制御する、自動調理を実行する。BLEI/F18については、第2実施例の加熱調理器10とともに後述する
【0032】
(第1実施例の制御部20が実行する音声操作指示受付処理;
図3)
図3を参照して、第1実施例の制御部20のCPU22がプログラム26に従って実行する音声操作指示受付処理について説明する。理解しやすいように、以下では、処理を実行する主体を、CPU22ではなく制御部20として記載する。音声操作指示受付処理は、電源スイッチ12がオンされることをトリガとして開始される。
【0033】
S2において、制御部20は、管理サーバ70から操作指示を受信したか否かを監視する。操作指示を受信しない場合(S2でNO)、制御部20は、再びS2に戻り、管理サーバ70から操作指示を受信したか否かを監視する。
【0034】
S2で管理サーバ70から操作指示を受信した場合(S2でYES)、S4において、制御部20は、人感センサ2sから、上述した存在信号を受信しているか否かを判定する。
【0035】
S4において存在信号が受信されると、制御部20は、領域A2内に人が存在するという人物存在情報を取得する。この場合(S4でYES)、S6において、制御部20は、操作指示に従って、対象加熱部を制御する。例えば、ユーザ3の音声指示D10が、「コンロバーナ16aの加熱を停止する」という指示を含む場合には、S6において、制御部20は、対象加熱部であるコンロバーナ16aへのガスの供給を停止することによって、コンロバーナ16aの加熱を停止する。音声指示D10は、他にも、「コンロバーナ16aの火力を弱くする」、「コンロバーナ16aの火力を強くする」等を含む。S6の処理が終了すると、制御部20は、再びS2に戻る。このように、制御部20は、電源スイッチ12がオンされている間、音声操作指示受付処理を繰り返す。電源スイッチ12がオフされると、音声操作指示受付処理が終了する。
【0036】
S4において存在信号が受信されないと(S4でNO)、制御部20は、制御部20は、領域A2内に人が不在であるという人物存在情報を取得する。S7において、制御部20は、操作指示が加熱前条件を含むか否かを判断する。加熱前条件は、例えば、コンロバーナ16aで加熱して鍋8でお湯を沸かす場合に、加熱前に設定する湯沸かし温度を含む。加熱前条件は、例えば、コンロバーナ16aで自動調理を実行する場合に、加熱前に設定する調理メニューの名称を含む。すなわち、加熱前条件は、各加熱部(すなわち、コンロバーナ16a、16b、16c及びグリルバーナ17)の加熱前に設定可能である、各加熱部の加熱に関する条件である。制御部20は、例えば、S2で受信した操作指示が、「コンロバーナ16aの湯沸かし温度を80度に設定する」という指示を含む場合に、操作指示が加熱前条件を含むと判断する。
【0037】
操作指示が加熱前条件を含まない場合(S7でNO)、制御部20は、S8及びS9の処理をスキップして、再びS2に戻る。
【0038】
操作指示が加熱前条件を含む場合(S7でYES)、S8において、制御部20は、操作指示に含まれる対象加熱部(例えば、コンロバーナ16a)が、加熱中であるか否かを判断する。操作指示に含まれる加熱前条件は、対象加熱部に関するものである。
【0039】
加熱前条件に含まれる加熱部が非加熱中である場合(S8でNO)、S9において、制御部20は、操作指示に含まれる加熱前条件をメモリ24に一時的に記憶する。その後、コンロバーナ16aの加熱が開始された場合、制御部20は、コンロバーナ16aを、加熱前条件に基づいて制御する。例えば、S2で受信した操作指示が、「コンロバーナ16aの湯沸かし温度を80度に設定する」という指示を含む場合、制御部20は、コンロバーナ16aの温度に基づいて、80度のお湯を沸かすようにコンロバーナ16aの火力を制御する。
【0040】
加熱前条件に含まれる加熱部が加熱中である場合(S8でYES)、制御部20は、S9の処理をスキップして、再びS2に戻る。
【0041】
領域A2に人が存在しないにも関わらず、音声指示D10による操作が実行可能であるとすると、例えば、音声指示D10による操作が実行された加熱部に異常が発生した場合に、加熱調理器10の近傍に、当該異常の発生を認識する人が存在しないことが生じ得る。その場合、異常への対応が遅れるおそれがある。第1実施例の加熱調理器10は、人感センサ2sから存在信号を受信したことに基づいて領域A2内に人が存在するという人物存在情報を取得した場合に、操作指示に従って対象加熱部を制御する。一方、加熱調理器10は、人感センサ2sから存在信号を受信しないことに基づいて領域A2内に人が不在であるという人物存在情報を取得した場合に、操作指示に従って対象加熱部を制御しない。即ち、加熱調理器10は、加熱部の加熱状況を目視可能な領域A2に人が存在する場合に、操作指示に従って対象加熱部を制御し、領域A2に人が存在しない場合に、操作指示に従って対象加熱部を制御しない。これにより、加熱調理器10は、領域A2内の人の存在を確認してから、音声指示D10による操作を実行することができる。このような構成とすることによって、安全性を向上させることができる。
【0042】
さらに、第1実施例の加熱調理器10は、領域A2に人が存在しない状況において、加熱部の加熱中に加熱前条件を含む操作指示を受信する場合に、受信した加熱前条件を、その後の加熱部の制御に反映しない。一方、加熱調理器10は、領域A2に人が存在しない状況において、加熱部の非加熱中に加熱前条件を含む操作指示を受信する場合に、受信した加熱前条件を、その後の加熱部の制御に反映する。上述したように、加熱前条件は、加熱部の加熱前に設定可能な湯沸かし温度等の条件であるため、安全性への影響は比較的小さい。しかしながら、対象加熱部の加熱中に、例えば湯沸かし温度によって加熱部の火力が変更されると、対象加熱部に異常が発生するおそれがある。このため、領域A2に人が存在しない状況において、対象加熱部の加熱中に、加熱前条件に基づいて対象加熱部の加熱の設定が変更されると、安全性に問題を生じるおそれがある。このような構成によれば、加熱中に受信した加熱前条件を、その後の加熱部の制御に反映させないことによって、安全性を確保することができる。一方で、このような構成によれば、非加熱中に受信した加熱前条件を、その後の加熱部の制御に反映することによって、ユーザは、加熱調理器10の近傍に位置しなくても、音声によって加熱前条件の設定を実行することができるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0043】
(対応関係)
コンロバーナ16a、16b、16c及びグリルバーナ17が、それぞれ「加熱部」の一例である。WFI/F19が「受信部」の一例である。領域A2が、「加熱部の加熱状況を目視可能な領域」の一例である。音声指示D10が、「音声によって入力される指示」の一例である。
【0044】
(第2実施例)
(携帯端末30の構成;
図1、
図2)
第2実施例の加熱調理器10では、ユーザ3は、スマートスピーカ6に代えて、自身が所有する携帯端末30に音声指示D10を入力する。携帯端末30は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC等の可搬型の端末である。
【0045】
図2に示されるように、携帯端末30は、操作部34と、音声入力部36と、BLEI/F38と、WFI/F39と、制御部40と、を備える。携帯端末30は、BLEI/F38を利用して、加熱調理器10と、Bluetooth(登録商標)(以下、BTと称する)方式に従った無線通信を実行可能である。ここで、BT規格は、例えば、IEEE802.15.1の規格、及び、それに準ずる規格であり、BLEは、BT規格のバージョン4.0以降のバージョンで実現されている。携帯端末30のBLEI/F38は、加熱調理器10のBLEI/F18との間でBLE通信を実行可能である。
【0046】
操作部34は、ユーザ3が携帯端末30を操作するためのボタンを含む。ユーザ3は、操作部34のボタンによって、携帯端末30に様々な指示を行う。操作部34は、いわゆるタッチパネルであり、表示部としても機能する。
【0047】
携帯端末30は、WFI/F39を利用して、ルータ9とWF通信可能である。音声入力部36は、ユーザ3が発した音声を受信可能に構成される。音声入力部36は、マイクを含む。音声入力部36を起動させた状態で、ユーザ3が音声指示D10を発すると、携帯端末30は、入力された音声指示D10と携帯端末30を識別する端末IDとを、ルータ9及びインターネット50を介して、音声サーバ60(
図1参照)に送信する。これにより、先に述べたように、音声サーバ60は、受信した音声指示D10を解析し、解析した指示内容を管理サーバ70へ送信する。その際、音声サーバ60は、指示内容とともに端末IDも管理サーバ70へ送信する。管理サーバ70は、受信した指示内容と端末IDとを加熱調理器10に送信する。加熱調理器10は、受信した指示内容に基づいて制御される。このように、ユーザ3は、携帯端末30を利用して加熱調理器10を制御する。
【0048】
携帯端末30の制御部40は、CPU42と、メモリ44と、を備える。メモリ44は、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどによって構成される。メモリ44は、アプリケーションプログラム46と、ユーザ特徴と、端末IDと、を記憶する。アプリケーションプログラム46は、例えば、加熱調理器10のベンダが提供するサーバ(図示省略)から、インターネット50を介して、メモリ44にインストールされる。CPU42は、アプリケーションプログラム46に従って、様々な指示を加熱調理器10へ送信する。ユーザ特徴は、携帯端末30を所有するユーザ3の特徴を示す。本実施例では、ユーザ特徴は、ユーザ3の顔画像である。端末IDは、アプリケーションプログラム46によって設定される。端末IDについては、第3実施例の加熱調理器10とともに後述する。
【0049】
(許可ユーザ特徴テーブルT2;
図2、
図4)
図2に示されるように、第2実施例の加熱調理器10は、メモリ24に、許可ユーザ特徴テーブルT2を記憶する。
図4に示されるように、許可ユーザ特徴テーブルT2には、加熱調理器10の操作が許可される許可ユーザ3A~3Cと、各許可ユーザ3A~3Cのユーザ特徴(例えば顔画像)と、が対応付けて登録される。ユーザは、加熱調理器10を自身の住宅に設置した際、許可ユーザの顔画像を、許可ユーザの携帯端末から加熱調理器10に送信する。加熱調理器10の制御部20は、受信した顔画像を、許可ユーザのユーザ特徴として許可ユーザ特徴テーブルT2に登録する。許可ユーザとは、例えば、成人したユーザ等、加熱調理器10に異常が発生した時に、対応可能なユーザである。加熱調理器10の異常発生時に対応ができない子供等のユーザは、許可ユーザに含まれない。
【0050】
(第2実施例の制御部20が実行する音声操作指示受付処理;
図5)
図5を参照して、第2実施例の制御部20が実行する音声操作指示受付処理について説明する。S2~S9の処理は、第1実施例の制御部20と同様であるため、説明を省略する。人感センサ2sから存在信号を受信せず、領域A2内に人が不在であるという人物存在情報を取得する場合(S4でNO)、制御部20は、S7~S9の処理を実行して、再びS2の処理に戻る。
【0051】
人感センサ2sから存在信号を受信し、領域A2内に人が存在するという人物存在情報を取得する場合(S4でYES)、S10において、制御部20は、ユーザ3の携帯端末30からBLE通信を介してユーザ特徴を受信する。次いで、S12において、制御部20は、S10で受信したユーザ特徴と、許可ユーザ特徴テーブルT2内のユーザ特徴と、を比較する。受信したユーザ特徴が、許可ユーザ特徴テーブルT2に含まれる場合(S12でYES)、制御部20は、操作指示を入力したユーザが、許可ユーザに含まれると判断する。その後、S14において、制御部20は、カメラ2cから目視可能人物画像を取得する。具体的には、S14において、制御部20は、カメラ2cから領域A2の画像を取得する。人感センサ2sから存在信号を受信しているため、領域A2の画像には、加熱調理器10の加熱部の加熱状況を目視可能な人物の画像が含まれる。S16において、制御部20は、目視可能人物画像を解析して、目視可能人物の特徴である人物特徴(すなわち、目視可能人物の顔画像)を取得する。
【0052】
次いで、S18において、制御部20は、S10で携帯端末30から受信したユーザ特徴と、S16で取得した人物特徴と、を比較する。ユーザ特徴(すなわち、顔画像)と人物特徴とが同一である場合(S18でYES)、制御部20は、操作指示を入力したユーザが目視可能人物画像に含まれる人物と同一であると判断し、S6に進む。ユーザ特徴が人物特徴と異なる場合(S18でNO)、制御部20は、操作指示を入力したユーザが目視可能人物画像に含まれる人物と同一ではない判断し、S6の処理をスキップして、再びS2に戻る。
【0053】
受信したユーザ特徴が、許可ユーザ特徴テーブルT2に含まれない場合(S12でNO)、制御部20は、操作指示を入力したユーザが、許可ユーザに含まれないと判断し、S14、S16、S18及びS6の処理をスキップして再びS2に戻る。
【0054】
第2実施例の制御部20は、人感センサ2sから存在信号を受信する状況において、携帯端末30から受信したユーザ特徴がメモリ24内の許可ユーザ特徴テーブルT2に含まれない場合に、操作指示に従って対象加熱部を制御しない。すなわち、加熱調理器10は、領域A2内に人が存在しない状況において、予め登録された加熱調理器10の操作が許可される許可ユーザ以外からの操作指示を受信しても、操作指示に従って対象加熱部を制御しない。上述したように、許可ユーザは、加熱調理器10の異常発生時に対応可能な成人等のユーザを含み、子供等のユーザを含まない。このため、第2実施例の加熱調理器10は、許可ユーザからの操作指示のみに基づいて加熱部を制御することによって、安全性を向上させることができる。
【0055】
さらに、第2実施例の制御部20は、携帯端末30から受信したユーザ特徴が人物特徴と同一である場合に、操作指示に基づいて対象加熱部を制御し、ユーザ特徴が人物特徴と異なる場合に、操作指示に基づいて対象加熱部を制御しない。これにより、制御部20は、音声指示D10を携帯端末30に入力したユーザ3が、領域A2(
図1参照)内に存在することを確認した後に、操作指示に基づいて対象加熱部を制御することができる。第2実施例の加熱調理器10は、領域A2内に存在するユーザからの操作指示のみに基づいて対象加熱部を制御することによって、安全性を向上させることができる。
【0056】
(対応関係)
S10の処理が、「指示ユーザ特徴取得部」が実行する処理の一例である。S12において、メモリ24から許可ユーザ特徴テーブルT2に登録されたユーザ特徴を取得することが、「許可ユーザ特徴取得部」が実行する処理の一例である。S12及びS16の処理が、「ユーザ判断部」が実行する処理の一例である。S16の処理が、「人物特徴取得部」が実行する処理の一例である。
【0057】
(第3実施例)
(許可端末IDテーブルT4;
図2、
図6)
第3実施例の加熱調理器10においても、ユーザ3は、第2実施例の加熱調理器10と同様に、携帯端末30に音声指示D10を入力する。
図2に示されるように、制御部20は、メモリ24に、許可端末IDテーブルT4を記憶する。
図6に示されるように、許可端末IDテーブルT4には、許可端末IDと、端末特徴と、が対応付けて登録される。許可端末IDとは、端末IDのうち、許可端末IDテーブルT4に登録される端末IDを示す。加熱調理器10の操作が許可されるユーザである許可ユーザは、加熱調理器10を自身の住宅に設置した際、ユーザの携帯端末と加熱調理器10との間のBLE通信を利用して、端末IDを加熱調理器10に送信する。この際、ユーザは、自身の携帯端末をカメラ2cで撮影する。これにより、許可端末IDと、端末特徴と、が対応付けて許可端末IDテーブルT4に登録される。端末特徴は、例えば、携帯端末の色である。
図6に示されるように、許可端末ID01で識別される携帯端末の端末特徴として、携帯端末の画像が、その色「黒」とともに登録される。同様に、許可端末ID02で識別される携帯端末の端末特徴として、携帯端末の画像が、色「白」とともに登録され、許可端末ID03で識別される携帯端末の端末特徴として、携帯端末の画像が、色「青」とともに登録される。
【0058】
(第3実施例の制御部20が実行する音声操作指示受付処理;
図7)
図7を参照して、第3実施例の制御部20が実行する音声操作指示受付処理について説明する。S4~S9の処理は、第1実施例の制御部20と同様であるため、説明を省略する。S20において、制御部20は、管理サーバ70から操作指示及び端末IDを受信したか否かを監視する。制御部20は、管理サーバ70から操作指示及び端末IDを受信した場合(S20でYES)、S4に進み、操作指示及び端末IDを受信しない場合(S20でNO)、再びS20の処理を実行する。その後、人感センサ2sから存在信号を受信しない場合(S4でNO)、制御部20は、S7~S9の処理を実行して、再びS20に戻る。
【0059】
人感センサ2sから存在信号を受信する場合(S4でYES)、S22において、制御部20は、S20で受信した端末IDと、許可端末IDテーブルT4内の端末IDと、を比較する。受信した端末IDが、許可端末IDテーブルT4に含まれる場合(S22でYES)、制御部20は、操作指示が入力された携帯端末が、許可端末に含まれると判断する。その後、S24において、制御部20は、カメラ2cから目視可能人物画像を取得し、S26において、目視可能人物画像に含まれる携帯端末の特徴である目視可能端末特徴を取得する。例えば、領域A2内でユーザ3(
図1参照)が携帯端末30を利用して操作指示を入力した場合、携帯端末30の色が、目視可能端末特徴として取得される。
【0060】
次いで、S28において、制御部20は、S20で携帯端末30から受信した端末IDに対応する端末特徴(例えば、携帯端末の色)と、S26で取得した目視可能端末特徴と、を比較する。端末IDに対応する端末特徴が目視可能端末特徴と同一である場合(S28でYES)、制御部20は、操作指示が入力された携帯端末が、目視可能人物が保持する携帯端末と同一であると判断し、S6に進む。端末IDに対応する端末特徴が目視可能人物画像と異なる場合(S28でNO)、制御部20は、操作指示が入力された携帯端末が、目視可能人物が保持する携帯端末と同一でないと判断し、S6の処理をスキップして、再びS20に戻る。
【0061】
受信した端末IDに対応する端末特徴が、メモリ24内の許可端末IDテーブルT4に含まれない場合(S22でNO)、制御部20は、操作指示を入力した携帯端末が、許可端末に含まれないと判断し、S24、S26、S28及びS6の処理をスキップして再びS20に戻る。
【0062】
第3実施例の制御部20は、人感センサ2sから存在信号を受信する状況において、操作指示とともに受信する端末IDが、メモリ24内の許可端末IDテーブルT4に含まれない場合に、操作指示に従って対象加熱部を制御しない。制御部20は、端末IDに基づいて、操作指示を入力したユーザを識別する。第3実施例の加熱調理器10は、比較的簡易な構成により、操作指示が入力された携帯端末が、許可端末に含まれるか否かを判断することができる。さらに、加熱調理器10は、領域A2内に人が存在しない状況において、加熱調理器10の操作が許可される許可ユーザの携帯端末以外からの操作指示を受信しても、操作指示に従って対象加熱部を制御しない。先に述べたように、許可ユーザは、加熱調理器10の異常発生時に対応可能なユーザであり、その携帯端末の端末IDは、予め制御部20のメモリ24に登録される。加熱調理器10は、許可ユーザの携帯端末に入力された操作指示のみに基づいて対象加熱部を制御することによって、安全性を向上させることができる。
【0063】
さらに、第3実施例の制御部20は、受信した端末IDに対応する端末特徴が目視可能特徴と同一である場合に、操作指示に基づいて対象加熱部を制御し、端末特徴が目視可能特徴と異なる場合に、操作指示に基づいて対象加熱部を制御しない。これにより、音声指示D10が入力された携帯端末30が、領域A2(
図1参照)に存在する場合に、操作指示に基づいて対象加熱部が制御される。その結果、加熱調理器10は、領域A2内に存在する携帯端末30に入力された操作指示のみに基づいて対象加熱部を制御することによって、安全性を向上させることができる。
【0064】
(対応関係)
端末IDが、「端末情報」の一例である。S20の処理が、「端末情報取得部」が実行する処理の一例である。メモリ24に許可端末IDテーブルT4に許可端末ID01~03を登録することが、「許可端末情報登録部」が実行する処理の一例である。S22の処理が、「端末判断部」が実行する処理の一例である。S24の処理が、「端末特徴取得部」が実行する処理の一例である。携帯端末の色が、「端末装置の特徴」の一例である。
【0065】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0066】
(変形例1)「加熱調理器」は、ガス燃焼式のコンロに限定されず、IH式のビルトインコンロであってもよい。さらに、「加熱調理器」は、ガスオーブンであってもよい。
【0067】
(変形例2)制御部20は、音声操作指示受付処理において、S7~S9の処理を実行しなくてもよい。すなわち、操作指示は、「加熱前条件」を含まなくてもよい。
【0068】
(変形例3)操作指示は、音声によって入力されなくてもよい。操作指示は、例えば、携帯端末30の操作部34に入力されたテキストデータであってもよい。また、操作指示は、携帯端末30の表示部に表示されるボタンによって入力されてもよい。
【0069】
(変形例4)音声入力は、スマートスピーカ6、携帯端末30によって入力されなくてもよい。例えば、加熱調理器10に音声入力装置が組み込まれていてもよい。また、別の変形例では、音声指示D10は、音声サーバ60によって解析されなくてもよい。例えば、音声指示D10は、携帯端末30によって解析されてもよい。その場合、携帯端末30は、解析した指示内容を加熱調理器10にBLE通信を利用して送信してもよい。
【0070】
(変形例5)人感センサ2sは、領域A2内に人が存在する場合に、存在信号を加熱調理器10に送信しなくてもよい。その場合、人感センサ2sは、領域A2内の情報を加熱調理器10に送信して、加熱調理器10の制御部20が領域A2内の情報を解析して、領域A2内に人が存在するか否かを判断してもよい。本変形例では、領域A2内の情報が、「人物存在情報」の一例である。
【0071】
(変形例6)制御部20は、人感センサ2sに代えて、カメラ2cによって領域A2内に人が存在するか否かを判断してもよい。本変形例では、領域A2の画像が、「人物存在情報」の一例である。
【0072】
(変形例7)管理サーバ70が、領域A2内に人が存在するか否かを判断してもよい。本変形例では、例えば、人感センサ2sは、領域A2内の情報を、ルータ9およびインターネット50を介して管理サーバ70に送信してもよい。管理サーバ70は、受信した領域A2内の情報を解析して、領域A2内に人が存在するか否かを判断してもよい。その場合、管理サーバ70は、操作指示とともに、領域A2内に人が存在するか否かの判断結果を制御部20に送信してもよい。本変形例では、管理サーバ20から受信する判断結果が、「人物存在情報」の一例である。
【0073】
(変形例8)人感センサ2s、カメラ2cの設置位置は、レンジフード2に限定されず、例えば、加熱調理器10に設けられてもよい。
【0074】
(変形例9)ユーザ特徴は、ユーザの「顔画像」に限定されない。例えば、ユーザの声紋、耳の形、行動パターン、指紋、静脈、虹彩等であってもよい。本変形例では、これらの特徴が、「ユーザ特徴」の一例である。
【0075】
(変形例10)端末特徴は、携帯端末の「色」に限定されない。例えば、携帯端末の形状であってもよい。本変形例では、携帯端末の形状が、「端末装置の特徴」の一例である。
【0076】
(変形例11)第2実施例の制御部20は、携帯端末30から、BLE通信を利用してユーザ特徴を取得しなくてもよい。例えば、制御部20は、携帯端末30から、WF通信によってユーザ特徴を取得してもよいし、有線通信によって取得してもよい。同様に、第3実施例の制御部20は、携帯端末30から、WF通信によって端末ID及び端末特徴を取得してもよいし、有線通信によって取得してもよい。
【0077】
(変形例12)第2実施例の制御部20は、S14及びS16の処理を実行しなくてもよい。すなわち、本変形例では、「人物特徴取得部」は、省略可能である。また、第2実施例の制御部20は、S16の処理に代えて、目視可能人物画像に含まれる特徴が許可ユーザ特徴テーブルT2に含まれるか否かを判断してもよい。この場合、制御部20は、目視可能人物画像に含まれる特徴が許可ユーザ特徴テーブルT2に含まれる場合に、S6の処理に進み、目視可能人物画像に含まれる特徴が許可ユーザ特徴テーブルT2に含まれない場合に、S6の処理をスキップしてS2に戻ってもよい。このような構成によると、操作指示を入力したユーザが、領域A2内に存在しない場合であっても、別の許可ユーザが領域A2内に存在する場合に、操作指示による加熱部の制御が実行される。これにより、許可ユーザ以外の人物が領域A2内に存在する状況において、操作指示による加熱部の制御が実行されないため、安全性を向上させることができる。
【0078】
(変形例13)第2実施例の制御部20は、S12の処理を省略してもよい。その場合、制御部20は、メモリ24に許可ユーザ特徴テーブルT2を記憶しなくてもよい。本変形例では、「許可ユーザ特徴取得部」を省略可能である。
【0079】
(変形例14)第3実施例の制御部20は、S24及びS26の処理を実行しなくてもよい。すなわち、本変形例では、「端末特徴取得部」は、省略可能である。また、第3実施例の制御部20は、S26の処理に代えて、目視可能人物画像に含まれる端末特徴が許可端末IDテーブルT4に含まれるか否かを判断してもよい。この場合、制御部20は、目視可能人物画像に含まれる端末特徴が許可端末IDテーブルT4に含まれる場合に、S6の処理に進み、目視可能人物画像に含まれる端末特徴が許可端末IDテーブルT4に含まれない場合に、S6の処理をスキップしてS20に戻ってもよい。このような構成によると、操作指示を入力した携帯端末が、領域A2内に存在しない場合であっても、別の許可ユーザの携帯端末が領域A2内に存在する場合に、操作指示による加熱部の制御が実行される。これにより、許可ユーザ以外の人物が領域A2内に存在する状況において、操作指示による加熱部の制御が実行されないため、安全性を向上させることができる。
【0080】
(変形例15)第3実施例の制御部20は、S22の処理を省略してもよい。その場合、制御部20は、メモリ24に許可端末IDテーブルT4を記憶しなくてもよい。本変形例では、「許可端末情報登録部」を省略可能である。
【0081】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0082】
2:レンジフード、2c:カメラ、2s:人感センサ、3:ユーザ、3A,3B,3C:許可ユーザ、6:スマートスピーカ、8:鍋、9:ルータ、10:加熱調理器、12:電源スイッチ、14:操作部、16a,16b,16c:コンロバーナ、17:グリルバーナ、18,38:BLEI/F、20,40:制御部、22,42:CPU、24,44:メモリ、26:プログラム、30:携帯端末、34:操作部、36:音声入力部、46:アプリケーションプログラム、50:インターネット、60:音声サーバ、70:管理サーバ、100:加熱調理システム、A2:領域、D10:音声指示、T2:許可ユーザ特徴テーブル、T4:許可端末IDテーブル