(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040915
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】定量分析方法および定量分析用成形体
(51)【国際特許分類】
G01N 21/73 20060101AFI20230315BHJP
G01N 23/223 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
G01N21/73
G01N23/223
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148111
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】506209422
【氏名又は名称】地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100093230
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 真大
(72)【発明者】
【氏名】並木 宏允
(72)【発明者】
【氏名】林 英男
【テーマコード(参考)】
2G001
2G043
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA04
2G001CA01
2G001FA02
2G001KA01
2G001RA10
2G043AA01
2G043BA01
2G043BA02
2G043BA03
2G043BA04
2G043BA05
2G043CA05
2G043CA06
2G043DA01
2G043DA02
2G043EA08
(57)【要約】
【課題】固体試料を高精度に定量分析する定量分析方法を提供する。
【解決手段】第1試料における特定の元素の濃度を特定する方法であって、流動性を有する樹脂組成物に第1試料を分散させた後に当該樹脂組成物を硬化させた第1成形体から得られた前記元素の濃度を表す第1信号強度と、前記元素を含む第2成形体から得られた前記元素の濃度を表す第2信号強度とに応じて、前記第1試料における前記元素の濃度を特定する定量分析方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1試料における特定の元素の濃度を特定する方法であって、
流動性を有する樹脂組成物に第1試料を分散させた後に当該樹脂組成物を硬化させた第1成形体から得られた前記元素の濃度を表す第1信号強度と、
前記元素を含む第2成形体から得られた前記元素の濃度を表す第2信号強度とに応じて、前記第1試料における前記元素の濃度を特定する
定量分析方法。
【請求項2】
前記第2成形体は、流動性を有する樹脂組成物に前記元素を含む第2試料を分散させた後に当該樹脂組成物を硬化させたものである
請求項1の定量分析方法。
【請求項3】
前記第2試料は、前記第1試料と、当該第1試料に対して既知量の前記元素とを含む
請求項2の定量分析方法。
【請求項4】
前記第2試料は、前記元素の濃度が既知の試料である
請求項2の定量分析方法。
【請求項5】
前記第2試料は、前記第1試料と類似する主成分が高純度に含有された高純度試料と、当該高純度試料に対して既知量の前記元素とを含む
請求項4の定量分析方法。
【請求項6】
前記第2試料は、前記第1試料と組成が類似する標準試料である
請求項4の定量分析方法。
【請求項7】
前記樹脂組成物は、熱または光により硬化する
請求項1から請求項6の何れかの定量分析方法。
【請求項8】
前記第1成形体および前記第2成形体は、膜状である
請求項1から請求項7の何れかの定量分析方法。
【請求項9】
前記第2試料における前記既知量の元素は、水または酸溶液に溶解された状態で前記樹脂組成物に添加される
請求項3または請求項5の定量分析方法。
【請求項10】
前記第1信号強度および前記第2信号強度は、LA-ICP-OES(Laser Ablation Inductively Coupled Plasma Optical Emission Spectrometry)、LA-ICP-MS(Laser Ablation Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)および蛍光X線分析の何れかにより得られる
請求項1から請求項9の何れかの定量分析方法。
【請求項11】
前記第1信号強度を、前記第1成形体を構成する元素の濃度を表す信号強度により規格化し、
前記第2信号強度を、前記第2成形体を構成する元素の濃度を表す信号強度により規格化し、
規格化後の第1信号強度と規格化後の第2信号強度とに応じて、前記第1試料における前記元素の濃度を特定する
請求項1から請求項10の何れかの定量分析方法。
【請求項12】
第1試料における特定の元素の濃度を特定する定量分析に使用する成形体であって、
流動性を有する樹脂組成物に第1試料を分散させた後に当該樹脂組成物を硬化させた第1成形体
を含む定量分析用成形体。
【請求項13】
流動性を有する樹脂組成物に前記元素を含む第2試料を分散させた後に当該樹脂組成物を硬化させた第2成形体を含む
請求項12の定量分析用成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量分析の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
機器分析は、分析対象試料に含有される特定の元素の濃度を測定するために、広く用いられている。例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES:Inductively Coupled Plasma Optical Emission Spectrometry)や誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS:Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)は、液体試料中の元素の濃度を高感度で定量分析可能な手法である。
【0003】
ICP-OESやICP-MSにおいて固体試料を分析する場合、固体試料を酸分解等により液化することで、高感度で定量分析可能である。しかし、固体試料の種類によっては液化に時間と手間を要する場合や、分解自体が困難な場合がある。
【0004】
一方で、レーザアブレーションICP発光分光分析(LA-ICP-OES:Laser Ablation Inductively Coupled Plasma Optical Emission Spectrometry)やレーザアブレーションICP質量分析(LA-ICP-MS:Laser Ablation Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)は、固体試料の表面にレーザーを照射することで生成されるエアロゾルをICP-OESおよびICP-MSにより分析する手法である。LA-ICP-OESおよびLA-ICP-MSは、簡便な試料準備で、高感度な定量分析が可能である。
【0005】
蛍光X線分析(XRF Spectroscopy:X‐ray Fluorescence Spectroscopy)は、LA-ICP-MSおよびLA-ICP-OESと比較して、感度は劣るものの簡便な試料準備で定量分析が可能であるため、固体試料を分析する方法として広く用いられている。
【0006】
しかし、LA-ICP-OES、LA-ICP-MSおよび蛍光X線分析では、分析対象試料が粉末状である場合には、例えば加圧成形によりペレット状の成形体にして測定する必要がある。しかし、粉末状の分析対象試料は混合性が悪く均質に成形体を成形することができないという問題がある。
【0007】
そこで、加圧成形以外の方法で粉末状の分析対象試料を成形体にする各種の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、樹脂の微粉末と分析対象試料とを含有する混合物を加熱により軟化させた後に硬化させた試料をLA-ICP-OESやLA-ICP-MSにより定量分析する技術が開示されている。また、非特許文献1には、分析対象試料をグリセリンに分散させた試料をLA-ICP-MSにより定量分析をする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013-238455号広報
【非特許文献1】Nagayasu, T., Hayashi, H., and Hirade, M., Analytical Sciences, 2005, 21, 1411-1413.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の技術では、粉末状の樹脂と粉末状の分析対象試料とを混合するため、混合性が悪い。したがって、均質な試料を作製するという観点からは依然として改善の余地がある。また、非特許文献1の技術においても、グリセリンの流動性が高く、粉末試料が沈降して均質な試料が作製できない。特許文献1および非特許文献1の技術では、均質な試料を作製できない結果、高精度に定量分析をできないという問題がある。以上の事情を考慮して、本発明では、高精度に定量分析を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る定量分析方法は、第1試料における特定の元素の濃度を特定する方法であって、流動性を有する樹脂組成物に第1試料を分散させた後に当該樹脂組成物を硬化させた第1成形体から得られた前記元素の濃度を表す第1信号強度と、前記元素を含む第2成形体から得られた前記元素の濃度を表す第2信号強度とに応じて、前記第1試料における前記元素の濃度を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1成形体および第2成形体との模式図である。
【
図2】実施例1に係る分析結果を示すグラフである。
【
図3】実施例2に係る分析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る定量分析方法は、第1試料における特定の元素(以下「測定対象元素」という)の濃度を特定する方法である。具体的には、本発明の定量分析方法は、第1試料が分散された成形体(以下「第1成形体」という)と、測定対象元素を含む成形体(以下「第2成形体」)とを利用する。第2成形体は、第1試料中の測定対象元素を特定するための基準となる成形体である。本実施形態では、第1試料に応じた第2試料が分散された第2成形体を例示する。
【0013】
第1試料は、分析対象試料である。具体的には、第1試料は、無機化合物であり、粉末状の試料である。第2試料は、分析対象試料に対する参照試料である。具体的には、第2試料は、測定対象元素を含む試料である。なお、第2試料の詳細については後述する。
【0014】
測定対象元素は、例えば、Ag、Al、As、Au、B、Ba、Be、Bi、Ca、Cd、Ce、Co、Cr、Cs、Cu、Dy、Er、Eu、Fe、Ga、Gd、Ge、Hg、Ho、In、K、La、Li、Lu、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Nd、Ni、Pb、Pd、Pr、Pt、Rb、Rh、Sb、Sc、Se、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Tb、Te、Th、Ti、Tl、Tm、U、V、W、Y、Yb、ZnおよびZrなどの各種の元素である。
【0015】
本発明における定量分析方法は、第1成形体から得られた測定対象元素を表す信号強度(以下「第1信号強度」という)と、第2成形体から得られた測定対象元素を表す信号強度(以下「第2信号強度」という)とに応じて、第1試料中の測定対象元素の濃度が特定される。
【0016】
第1信号強度(ピークの高さまたはピークの面積)および第2信号強度(ピークの高さまたはピークの面積)は、固体試料(第1成形体および第2成形体)を分析可能な各種の方法により得られる。具体的には、第1信号強度および第2信号強度は、例えば、LA-ICP-OES、LA-ICP-MSおよび蛍光X線分析の何れかの方法により得られる。LA-ICP-OESは、固体試料にレーザーを照射することで生成されたエアロゾルに対してICP-OESを行う分析方法である。同様に、LA-ICP-MSは、固体試料にレーザーを照射することで生成されたエアロゾルに対してICP-MSを行う分析方法である。
【0017】
第1信号強度と第2信号強度とから第1試料中の測定対象元素の濃度を特定する具体的な分析方法としては、例えば、方法1~方法3の何れかの原理が用いられる。方法1~方法3の各々において使用される第2試料は相違する。
【0018】
(1)方法1
方法1は、いわゆる標準添加法である。方法1における第2試料は、第1試料と、当該第1試料に対して既知量(すなわち第1試料に対する濃度が既知)の測定対象元素とを含む。例えば、測定対象元素を既知の濃度で含む元素標準液を、第1試料に対して所定量加えることで第2試料が調製される。元素標準液は、水または酸溶液に目的元素(金属)を溶解させた溶液である。例えば、市販の元素標準液(ICP分析用標準液)が適宜に使用される。
【0019】
方法1では、第1信号強度(第1試料に含有される測定対象元素に起因する信号強度)と第2信号強度(第1試料に含有される測定対象元素および既知量の測定対象元素の双方に起因する信号強度)との比に応じて、第1試料中の測定対象元素の濃度が特定される。
【0020】
なお、方法1において、第2試料は1つでもよいが、高精度に第1試料中の測定対象元素の濃度を特定する観点からは、第1試料に対する測定対象元素の量を相違させた複数の第2試料を使用してもよい。
【0021】
方法1では、第1試料を用いた第2試料を参照試料として利用できるから、固体標準試料の調製や入手が不要であり、共存元素の影響も十分に低減することができる。
【0022】
(2)方法2
方法2は、いわゆる検量線法である。方法2における第2試料は、測定対象元素の濃度が既知の試料である。具体的には、第2試料は、第1試料と類似の主成分が高純度に含有された高純度試料と、当該高純度試料に対して既知量の測定対象元素とを含む。
【0023】
具体的には、高純度試料とは、第1試料に類似する組成を有し、かつ、測定対象元素を含まない試料である。なお、第1試料に類似する組成とは、第1試料と同一の組成と、第1試料の組成と完全に同一ではないが、分析に影響がでない範囲で類似する組成との双方が包含される。ただし、高精度に第1試料中の測定対象元素の濃度を特定する観点からは、主成分が同一であることが好ましい。また、測定対象元素を含まないとは、測定対象元素を完全に含まない場合と、測定対象元素を分析に影響がでない範囲でごく少量含む場合との双方が包含される。
【0024】
高純度試料は、組成が既知であり、測定対象元素を含まない粉末状の試料である。ただし、分析に影響がでない程度に少量(含んでないとみなせる程度に少量)である場合には高純度試料が測定対象元素を含んでもよい。第2試料中における測定対象元素の濃度は、高純度試料に対する測定対象元素の量(既知)に応じた濃度である。
【0025】
第1試料の主成分は、典型的には、第1試料を構成する他の各種の成分と比較して最も高い割合で含有される成分である。第1試料と類似の主成分は、第1試料の主成分と同一の主成分と、第1試料の主成分と同一ではないが、分析に影響がでない範囲で類似する主成分との双方が包含される。
【0026】
方法1と同様に、測定対象元素を既知の濃度で含む元素標準液を、高純度試料に対して所定量加えることで第2試料が調製される。
【0027】
方法2では、第2信号強度(既知量の測定対象元素に起因する信号強度)から作成した検量線において第1信号強度(第1試料に含有される測定対象元素に起因する信号強度)に対応する測定対象元素の濃度が、第1試料中の測定対象元素の濃度として特定される。
【0028】
なお、方法2において、第2試料は1つでもよいが、高精度に第1試料中の測定対象元素の濃度を特定する観点からは、高純度試料に対する測定対象元素の量を相違させた複数の第2試料を使用してもよい。
【0029】
(3)方法3
方法3も方法2と同様にいわゆる検量線法である。方法3における第2試料は、方法2と同様に、測定対象元素の濃度が既知の試料である。ただし、方法3において第2試料は、第1試料に類似する組成を有する標準試料である。標準試料は、測定対象元素を構成成分として含み、組成が既知の粉末状の試料である。すなわち、標準試料は、測定対象元素の濃度が既知である。なお、第1試料に類似する組成とは、方法2の場合と同様に、第1試料と同一の組成と、第1試料の組成と完全に同一ではないが、分析に影響がでない範囲で類似する組成との双方が包含される。ただし、高精度に第1試料中の測定対象元素の濃度を特定する観点からは、主成分が同一であることが好ましい。
【0030】
方法3では、方法2と同様に、第2信号強度(標準試料に含有される測定対象元素に起因する信号強度)から作成した検量線において第1信号強度(第1試料に含有される測定対象元素に起因する信号強度)に対応する測定対象元素の濃度が、第1試料中の測定対象元素の濃度として特定される。
【0031】
なお、方法3において、高精度に第1試料中の測定対象元素の濃度を特定する観点からは、標準試料のみを含む第2試料の他に、標準試料と、当該標準試料に対して既知量の測定対象元素とを含む第2試料を用いてもよい。
【0032】
第1試料の構成成分(特に主成分)が既知である場合や第1試料の量が少ない場合には、方法1に代えて方法2または方法3を用いてもよい。以下の説明では、方法2における高純度試料と方法3における標準試料とを便宜的に「代替試料」と包括的に表記する。
【0033】
なお、第1試料中の測定対象元素の濃度を特定する原理は、方法1~方法3には限定されない。例えば、いわゆる内部標準法を用いて第1試料中の測定対象元素の濃度を特定してもよい。内部標準法を用いる場合には、第1成形体は、第1試料と、当該第1試料に対して規定量の内部標準物質とを含み、第2成形体は、標準試料(第2試料の例示)と、第1成形体における内部標準物質と同量の内部標準物質とを含む。
【0034】
<第1成形体および第2成形体>
【0035】
第1成形体は、流動性を有する樹脂組成物に第1試料を分散させた後に、当該樹脂組成物を硬化させて形成される。第2成形体は、第1成形体と同様に、流動性を有する樹脂組成物に第2試料を分散させた後に、当該樹脂組成物を硬化させて形成される。第1試料および第2試料を分散させる際には流動性を有し、その後に硬化可能な樹脂組成物が利用される。
【0036】
第1試料および代替試料の粒径(平均粒径)は、例えば0.01μm~500μmであり、好適には0.1μm~100μmである。
【0037】
LA-ICP-OESまたはLA-ICP-MSを使用する場合には、第1試料および代替試料の粒子にレーザーを適切に照射させる観点から、第1試料および代替試料の粒径はレーザーの照射径よりも小さいことが好ましい。
【0038】
蛍光X分析を使用する場合には、第1試料および代替試料の粒径は、X線の照射径よりも小さいことが好ましい。
【0039】
なお、第1試料および代替試料の粒径(平均粒径)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布から求めることができる。本発明において粒径は、横軸を粒径として、縦軸を体積分布の累積(%)としたのきの粒度分布における体積平均径である。
【0040】
樹脂組成物は、例えば、加熱により硬化する熱硬化性樹脂や、光(例えば紫外線)の照射により硬化する光硬化樹脂を含む。熱硬化性樹脂は、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、およびポリウレタン等の樹脂である。熱硬化性樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。光硬化樹脂は、例えば、ラジカル重合により硬化する樹脂(例えばアクリル樹脂)や、カチオン重合により硬化する樹脂(例えばエポキシ樹脂)である。光硬化樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
樹脂組成物には、樹脂以外に他の各種の添加材(例えば硬化剤や重合開始材など)が配合される。なお、樹脂組成物は、第1試料および第2試料を分散させる際に流動性を有し、その後に硬化することが可能であれば、熱硬化性樹脂および光硬化樹脂とは異なる樹脂を含んでもよい。また、第1成形体と第2成形体とにおいて、同じ種類の樹脂組成物を用いることが好ましい。なお、第1成形体および第2成形体において、分析結果に対する影響が十分に少ない樹脂組成物を使用する。
【0042】
以下の説明では、第1試料が分散した状態の樹脂組成物(硬化前)を「第1樹脂ペースト」と表記し、第2試料が分散した状態の樹脂組成物(硬化前)を「第2樹脂ペースト」と表記する。
【0043】
第1試料および第2試料は、例えば、撹拌機を使用して樹脂組成物に分散される。ただし、第1試料および第2試料を樹脂組成物に分散させる方法は任意である。
【0044】
方法1および方法2における第2試料において、測定対象元素が酸溶液に溶解された元素標準液を使用する場合には、第2樹脂ペーストの粘度と第1樹脂ペーストの粘度とを同程度にする観点から、以下の通りに第1樹脂ペーストを調整する。具体的には、第1樹脂ペーストにおいて、第1試料の他に、第2試料に使用された元素標準液における酸溶液と同種の酸であり、当該元素標準液と同量の酸溶液を混合する。なお、第1樹脂ペーストと第2樹脂ペーストとにおける酸濃度が同じになるように調製する。
【0045】
一方で、方法1および方法2における第2試料において、測定対象元素が水に溶解された元素標準液を使用する場合には、第2樹脂ペーストの粘度と第1樹脂ペーストの粘度とを同程度にする観点から、第1樹脂ペーストにおいても第1試料の他に、第2試料に使用された元素標準液と同量の水を混合する。
【0046】
また、方法1および方法2において、第1樹脂ペースを作製する際に、第1試料と、樹脂組成物と、酸溶液や水とを加える順番は、任意である。同様に、第2樹脂ペーストを作製する際に、第2試料における第1試料(方法1)または高純度試料(方法2)と、第2試料における元素標準液と、樹脂組成物とを加える順番も任意である。
【0047】
なお、方法3においては、第1試料は、第1樹脂ペーストに分散していればよく、水や酸溶液を第1樹脂ペースに加えることは必須ではない。同様に、第2試料は、第2樹脂ペーストに分散していればよく、水や酸溶液を第2樹脂ペースに加えることは必須ではない。ただし、第1試料および第2試料の分散性を向上させる観点から、第1樹脂ペーストおよび第2樹脂ペーストに水や酸溶液を加えてもよい。
【0048】
なお、第1樹脂ペーストおよび第2樹脂ペーストは、適宜に脱気や超音波洗浄機を用いた分散処理等を行ってもよい。
【0049】
第1樹脂ペーストを膜状に成形した後に硬化することで、第1成形体が形成される。同様に、第2樹脂ペーストを膜状に成形した後に硬化することで、第2成形体が形成される。例えば、基板(例えば石英ガラス基板)上に、第1樹脂ペースと第2樹脂ペーストとをそれぞれ膜状に成形した後に硬化する。第1樹脂ペーストおよび第2樹脂ペーストを膜状に成形する方法は、公知の任意の技術(例えばスクリーン印刷機)が採用される。
【0050】
第1樹脂ペーストにおいて第1試料と樹脂組成物との質量比は、例えば、2:1~1:500であり、好適には1:1~1:50である。
【0051】
第2樹脂ペーストにおいて第1試料(方法1)または代替試料(方法2,方法3)と樹脂組成物の質量比は、例えば、2:1~1:500であり、好適には1:1~1:50である。
【0052】
また、第2樹脂ペーストにおいて元素標準液(方法1,方法2)と樹脂組成物との質量比は、元素標準液と樹脂組成物とが分離しない範囲であれば任意であり、例えば、1:2~1:500であり、好適には1:5~1:100である。なお、元素標準液における測定対象元素の濃度に応じて適宜に変更しうる。
【0053】
第1樹脂ペースと第2樹脂ペーストとを硬化する方法は、使用する樹脂組成物の種類に応じて適宜に変更される。例えば、熱硬化性樹脂を用いた樹脂組成物の場合には乾燥機が使用され、光硬化樹脂の場合には光照射装置が使用される。
【0054】
第1成形体および第2成形体の厚さは、例えば、0.1μm~500μmであり、好適には1μm~100μmである。
【0055】
第1成形体の厚さは、第1試料の粒径(平均粒径)以上が好ましい。第2成形体の厚さは、第2試料の粒径(平均粒径)以上が好ましい。なお、第2粒子の粒径は、方法1の場合には第1試料の粒径であり、方法2および方法3の場合には代替試料の粒径である。
【0056】
第1成形体の厚さを第1試料の粒径以上に設定にすることで、表面に凹凸が発生することを低減し、均質な成形体を形成することができる。同様に、第2成形体の厚さを第2試料の粒径以上に設定することで、表面に凹凸が発生することを低減し、均質な成形体を形成することができる。
【0057】
第1成形体および第2成形体の厚さは、厚さの相違に起因する影響を低減する観点から、同程度が好ましい。特に、LA-ICP-OESまたはLA-ICP-MSを使用する場合には、第1成形体および第2成形体の厚さは、厚さ方向の全体にわたりアブレーションできる設定にすることが好ましい。
【0058】
第1成形体および第2成形体をLA-ICP-OESおよびLA-ICP-MSにより分析するための装置(LA装置およびICP装置)は、公知の任意の装置が利用される。同様に、第1成形体および第2成形体を蛍光X分析により分析するための装置は公知の任意の装置が利用される。
【0059】
第1成形体に対する分析により得られた第1信号強度と、第2成形体に対する分析により得られた第2信号強度は、適宜に補正(例えばブランク補正)や規格化をしてもよい。例えば、第1成形体を構成する元素の濃度を表す信号強度により第1信号強度を規格化し、第2成形体を構成する元素の濃度を表す信号強度により第2信号強度を規格化する。具体的には、第1成形体と第2成形体とに共通して存在する元素の濃度を表す信号強度により、第1信号強度と第2信号強度とが規格される。
【0060】
第1成形体と第2成形体とに共通して存在する元素とは、例えば樹脂組成物の主な構成元素(例えばC)である。樹脂組成物の主な構成元素の濃度を表す信号強度で規格化する場合には、第1成形体と第2成形体との間における厚さの相違による影響を低減することが可能である。
【0061】
また、方法1の場合には、第1試料における主成分元素(例えば第1試料がチタニア(TiO2)の場合にはTi)が、第1成形体と第2成形体とに共通して存在する元素として例示される。第1試料における主成分元素の濃度を表す信号強度を使用して、第1信号強度および第2信号強度を規格化することで、第1試料の量と、第2試料中の第1試料の量との相違に起因する影響を低減することが可能である。
【0062】
なお、第1成形体および第2成形体に規格化に使用するための元素を第1樹脂ペーストと第2樹脂ペーストとに別途添加してもよい。
【0063】
ここで、ICP-OESやICP-MSにより第1試料中の測定対象元素の濃度を特定する方法(以下「対比例1」という)では、第1試料や第2試料における代替試料を酸分解等により液化する必要がある。しかし、第1試料や代替試料の種類によっては液化に時間と手間を要する場合や、分解自体が困難な場合がある。
【0064】
それに対して、本発明では、第1試料および代替試料を樹脂組成物に分散させて硬化させた第1成形体および第2成形体に対して分析が可能である。すなわち、対比例1と比較して、第1試料や代替試料を液化する必要がないという利点がある。
【0065】
第1試料および第2試料の各々と樹脂の微粉末とを混合して軟化させた後に硬化した成形体を分析に利用する構成(以下「対比例2」という)を想定する。対比例2は、例えば特許文献1の技術である。対比例2では、粉末状の樹脂と第1試料および第2試料の各々を混合した後に軟化させるため、混合性が悪く、均質な試料を作製できないという問題がある。
【0066】
それに対して、本発明では、流動性がある状態の樹脂組成物に第1試料および第2試料をそれぞれ分散させた後に硬化させるため、混合性が高く、均質な第1成形体および第2成形体が形成できる。したがって、対比例2と比較して、高精度に定量分析できる。
【0067】
また、第1試料とグリセリンとを混合した試料と、第2試料とグリセリンとを混合した試料とを分析に利用する構成(以下「対比例3」という)を想定する。対比例3は、例えば非特許文献1の技術である。対比例3では、グリセリンの流動性が高く、試料を作製した後、定量分析前または定量分析中に第1試料や第2試料が沈降する(すなわち第1試料と第2試料がグリセリン中に均質に分散されていない)場合がある。したがって、高精度に定量分析をできないという問題がある。
【0068】
それに対して、本発明では、流動性を有する樹脂組成物に第1試料を分散させた後に硬化させた第1成形体から得た第1信号強度と、流動性を有する樹脂組成物に第2試料を分散させた後に硬化させた第2成形体から得た第2信号強度とに応じて、第1試料中の測定対象元素の濃度が特定されるから、第1試料および第2試料が樹脂組成物に均質に分散した状態で硬化した成形体を形成できる。したがって、対比例3と比較して、高精度に定量分析できる。
【0069】
さらに、流動性が高いグリセリンを使用する対比例3では、試料が取り扱い難いという問題もある。それに対して、本発明では、第1成形体および第2成形体が固形であるから、取り扱いも容易であるという利点がある。
【0070】
対比例3では、グリセリンを使用した試料は、流動性が高く、特にLA-ICP-OESやLA-ICP-MSを使用する場合には、レーザーの照射により試料が変形してしまう。そのため、グリセリンを使用した対比例3では、レーザーの周波数を低く設定する必要がある。したがって、LA-ICP-OESやLA-ICP-MSにより得られる信号が過渡的になる。
【0071】
それに対して、本発明によれば、硬化しているため、試料の変形も抑制でき、レーザーの照射条件も制限されない。したがって、対比例3と比較して、高精度に定量分析できるという利点がある。
【0072】
なお、本実施形態では、樹脂組成物に測定対象元素を含む第2試料を分散させた後に当該樹脂組成物を硬化させた第2成形体を使用したが、第2成形体は以上の例示に限定されない。例えば、既知の濃度で測定対象元素を含む固体(プレート状やウェハー状)の標準試料を第2成形体として使用してもよい。以上の説明から理解される通り、本発明において第2成形体は、測定対象元素を含む固体状の試料の総称である。
【実施例0073】
下記に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例には限定されない。
【0074】
<実施例1>
実施例1では、チタニア(株式会社高純度化学研究所製)を第1試料(分析対象試料)とした。そして、チタニアに不純物として含まれるAlを測定対象元素として濃度を特定した。実施例1では、標準添加法(方法1)を用いた。
【0075】
チタニアは、平均粒径が約1 μmのものを用いた。測定対象元素を既知の濃度で含む元素標準液としては、市販のICP用標準液(シグマアルドリッチ社製、Al:10000 mg/L硝酸酸性溶液)を用いた。また、樹脂組成物としてスクリーン印刷用のインク(十条ケミカル株式会社製、PET9100シリーズ00メジウム)を用いた。
【0076】
(1)第1成形体の作製
まず、チタニア1 gを容器に量り取り、そこに希硝酸(0.26 mol/L)を3 mLとインク30 gとを加えた後、真空撹拌脱泡機(倉敷紡績株式会社製 KK-V300SS)で混合、撹拌、脱泡し、ペースト状にした。ペースト(第1樹脂ペースト)は、純水中で超音波洗浄し、乾燥させた石英ガラス(50×50×3 mm)上に、スクリーン印刷機(株式会社セリアコーポレーション製SSA-250E-IP)を用いて膜状に成形した。膜状に成形されたペーストを100 ℃の乾燥機で30分間乾燥することで硬化させて第1成形体とした。
【0077】
(2)第2成形体の作製
第1成形体の作製において使用した希硝酸を、市販のICP用標準液を必要に応じて希硝酸または純水で希釈した溶液と置き換えたこと以外は、第1成形体の作製方法と同様である。なお、チタニアと所定量のICP用標準液とインクとからなるペースト(第2樹脂ペースト)は、第1樹脂ペーストの粘度と同程度にするため、酸濃度を第1樹脂ペーストと同濃度に揃えた。
【0078】
実施例1では、定量値の信頼度を高めるため、Alの添加量(チタニアに対する添加濃度)を相違させて複数(3個)の第2成形体を作製した。複数の第2成形体の各々におけるAlの第1試料に対する添加濃度は、0.5質量%、1.0質量%および1.5質量%である。
【0079】
なお、チタニアを用いず、希硝酸3 mLとインク30 gで調製したペーストを用いて作製した成形体をブランク試料とした。
【0080】
図1は、各成形体(ブランク,第1成形体,第2成形体)の模式図である。
図1に例示される通り、各成形体は、例えば、同じ形状(形および大きさ)に形成される。実施例において各成形体の厚さは、約10 μmである。
【0081】
(3)分析
分析には、LA-ICP-MSを用いた。LA装置としてはESI社製NWR-FEMTOを使用した。レーザーにはTi:Spphireレーザーを使用した。レーザーの照射条件は、波長263 nm、パルス幅180 fs、パルス周波数250 Hz、照射径45 μm、フルエンス2.4 J/cm2、走査速度20 μm/sである。LA装置で生成するエアロゾルは、流速0.85 L/minのヘリウムガスを用いて、内径4 mmのナイロンチューブでLA装置と接続されたICP-MS装置へと搬送した。
【0082】
ICP-MS装置としてはGBC Scientific社製OptiMass 9500を使用した。ICP-MS装置における分析条件は、RF出力1.2 kW、プラズマガス10 L/min、キャリアガス0.85 L/min、補助ガス0.5 L/minである。
【0083】
ブランク試料、第1成形体および複数の第2成形体を順次に測定した。ブランク試料、第1成形体および複数の第2成形体の組み合わせによる一連の測定は、複数回(5回)にわたり繰り返し行った。
【0084】
(4)分析結果
図2は、実施例1の分析結果の一例を示すグラフである。
図2のグラフは、複数回の測定のうち1回の測定について示した。横軸はAlの添加濃度(チタニアに対する濃度)であり、縦軸はAlの信号強度である。なお、グラフ上のAlの添加濃度が0%のプロットが第1成形体(分析対象試料)を示す。
【0085】
第1成形体から得られた信号強度(第1信号強度)と、各第2成形体から得られた信号強度(第2信号強度)とは、Cの信号強度で規格化した後にブランク補正をし、さらにCの信号強度で規格化した後にブランク補正をしたTiの信号強度で規格化した。実施例1では、各成形体(第1成形体および複数の第2成形体)における厚さのばらつきによる影響や、各成形体中の第1試料の量のばらつきによる影響を低減するために、上記のように規格化した信号強度を用いた。
【0086】
図2に示す通り、Alの添加濃度と信号強度との間に強い相関関係があることが確認できる。最小二乗法により求めた回帰直線と横軸の切片の絶対値とから、チタニア中のAlの濃度は1.21 %と得られた。Alについて一連の測定を5回繰り返すことで得られたチタニア中のAlの濃度は、1.18±0.25 %となった。また、5回にわたる測定結果から得られた回帰直線におけるR
2は、何れも0.993~0.999の範囲内になった。
【0087】
<参考例1>
実施例1において特定されたチタニア中のAlの濃度の信頼性を評価するために、湿式分析によりチタニア中のAlの濃度も求めた。湿式分析は下記のように行った。チタニア0.05 gを容器に量り取り、そこに硫酸アンモニウム4 gと硫酸10 mLとを加えた。この溶液を400 ℃で加熱してチタニアを分解した後、希塩酸で希釈、定容した。ICP-OESを用いてAlを定量することで、チタニア中のAlの濃度を求めた。ICP-OES装置としてはサーモフィッシャーサイエンティフィック社製iCAP 6500 DUOを使用した。
【0088】
湿式分析の結果では、チタニア中のAlの濃度が1.375±0.024 %となった。すなわち、実施例1の結果(1.18±0.25 %)と参考例1の結果(1.375±0.024 %)とは、誤差の範囲で一致する。本発明に係る定量分析方法が十分な確度で定量分析可能なことが確認できた。
【0089】
<実施例2>
実施例2では、実施例1と同様のチタニア(TiO2)を第1試料(分析対象試料)とした。チタニアに不純物として含まれるZnを測定対象元素とした以外は、実施例1と同様である。なお、測定対象元素を既知の濃度で含む元素標準液としては、市販のICP用標準液(シグマアルドリッチ社製、Zn:1000 mg/L硝酸酸性溶液)を用いた。
【0090】
(1)第1成形体の作製
実施例1と同様の方法で作製した。
【0091】
(2)第2成形体の作製
実施例1と同様の方法で作製した。実施例2においてもZnの添加量(チタニアに対する添加濃度)を相違させて複数(3個)の第2成形体を作製した。なお、実際には、Znは、Alと同時に分析を行ったため、AlのICP用標準液とZnのICP用標準液との双方を添加した第2成形体を形成した。
【0092】
(3)分析
実施例1と同様の方法により、ブランク試料、第1成形体および複数の第2成形体の一連の測定を複数回(5回)にわたり繰り返し行った。
【0093】
(4)分析結果
図3は、実施例2の分析結果の一例を示すグラフである。
図3のグラフは、複数回の測定のうち1回の測定について示した。横軸はZnの添加濃度(チタニアに対する濃度)であり、縦軸はZnの信号強度である。なお、グラフ上のZnの添加濃度が0%のプロットが第1成形体(分析対象試料)を示す。
【0094】
図3に示す通り、Alと同様に、Znの添加濃度と信号強度との間に強い相関関係があることが確認できる。最小二乗法により求めた回帰直線と横軸の切片の絶対値とから、チタニア中のZnの濃度は0.103 %と得られた。Znについて一連の測定を5回繰り返し行うことで得られたチタニア中のZnの濃度は、0.101±0.025 %となった。また、5回にわたる測定結果から得られた回帰直線におけるR
2は、何れも0.91~0.99の範囲内になった。
【0095】
<参考例2>
実施例2において特定されたチタニア中のZn濃度の信頼性を評価するために、湿式分析によりチタニア中のZnの濃度も求めた。湿式分析は下記のように行った。チタニア0.05 gを容器に量り取り、そこに硫酸アンモニウム4 gと硫酸10 mLとを加えた。この溶液を400 ℃で加熱してチタニアを分解した後、希塩酸で希釈、定容した。ICP-OESを用いてZnを定量することで、チタニア中のZnの濃度を求めた。ICP-OES装置としてはサーモフィッシャーサイエンティフィック社製iCAP 6500 DUOを使用した。なお、実際には、Znは、Alと同時に分析を行ったため、AlのICP用標準液とZnのICP用標準液との双方を添加した試料を調整した。
【0096】
湿式分析の結果では、チタニア中のZnの濃度が0.1257±0.0045 %となった。すなわち、実施例1の結果(0.101±0.025 %)と参考例1の結果(0.1257±0.0045 %)とは、誤差の範囲で一致する。本発明に係る定量分析方法が十分な確度で定量分析可能なことが確認できた。