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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040957
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】保護素子及びバッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01H 37/76 20060101AFI20230315BHJP
   H01H 85/046 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
H01H37/76 F
H01H85/046
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148187
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100185845
【弁理士】
【氏名又は名称】穂谷野 聡
(72)【発明者】
【氏名】野村 優
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502AA02
5G502AA11
5G502AA13
5G502AA20
5G502BB08
5G502BB10
5G502BB13
5G502BB17
5G502BC07
5G502BC08
5G502BD02
5G502BD10
5G502CC04
5G502CC28
5G502CC32
5G502EE06
5G502FF08
5G502JJ01
(57)【要約】
【課題】ヒューズエレメントの速溶断と絶縁破壊の防止を図り、高応答性、高信頼性に対応できる保護素子及びバッテリパックを提供する。
【解決手段】保護素子1は、絶縁基板2と、絶縁基板2に設けられた第1、第2電極4a,4bと、絶縁基板2に形成された発熱体5と、発熱体5と電気的に接続された発熱体引出電極4cと、発熱体引出電極4cを介して第1の電極4aから第2の電極4bにわたって搭載された可溶導体3と、発熱体5を覆う絶縁保護層7を備え、絶縁保護層7は、熱伝導性フィラー10が含有されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
上記絶縁基板に設けられた第1、第2電極と、
上記絶縁基板に形成された発熱体と、
上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、
上記発熱体引出電極を介して上記第1の電極から上記第2の電極にわたって搭載された可溶導体と、
上記発熱体を覆う絶縁保護層を備え、
上記絶縁保護層は、熱伝導性フィラーが含有されている保護素子。
【請求項2】
上記熱伝導性フィラーは、酸化アルミニウム及び/又は窒化アルミニウムを含む請求項1に記載の保護素子。
【請求項3】
上記絶縁保護層は、20μm以上の厚さを有する請求項1又は2に記載の保護素子。
【請求項4】
上記絶縁保護層の熱伝導率は1.5W/mk以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
【請求項5】
上記絶縁保護層を構成する絶縁材料の体積容量に対する上記熱伝導性フィラーの体積容量は20%以上である請求項1~4のいずれか1項に記載の保護素子。
【請求項6】
上記発熱体及び上記絶縁保護層は、上記絶縁基板の上記可溶導体が搭載された面に形成されている請求項1~5のいずれか1項に記載の保護素子。
【請求項7】
上記発熱体及び上記絶縁保護層は、上記絶縁基板の上記可溶導体が搭載された面と反対側の面に形成されている請求項1~5のいずれか1項に記載の保護素子。
【請求項8】
1つ以上のバッテリセルと、
上記バッテリセルの充放電経路上に接続され、該充放電経路を遮断する保護素子と、
上記バッテリセルの電圧値を検出して上記保護素子への通電を制御する電流制御素子を備え、
上記保護素子は、
絶縁基板と、
上記絶縁基板に設けられた第1、第2電極と、
上記絶縁基板に形成された発熱体と、
上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、
上記発熱体引出電極を介して上記第1の電極から上記第2の電極にわたって搭載された可溶導体と、
上記発熱体を覆う絶縁保護層を備え、
上記絶縁保護層は、熱伝導性フィラーが含有されている
バッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、過充電、過放電等の異常時に、電流経路を遮断する保護素子、及びこの保護素子を用いたバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
充電して繰り返し利用することのできる二次電池の多くは、バッテリパックに加工されてユーザに提供される。特に重量エネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池においては、ユーザ及び電子機器の安全を確保するために、一般的に、過充電保護、過放電保護等のいくつもの保護回路をバッテリパックに内蔵し、所定の場合にバッテリパックの出力を遮断する機能を有している。
【0003】
このようなリチウムイオン二次電池等向けの保護回路の保護素子として、保護素子内部に発熱体を有し、この発熱体の発熱によって電流経路上の可溶導体を溶断する構造が用いられている。
【0004】
リチウムイオン二次電池の用途は、近年拡大しており、より大電流の用途、例えば電動ドライバ等の電動工具や、ドローン、電動バイク、ハイブリッドカー、電気自動車、電動アシスト自転車等の機器への採用が開始されている。このようにリチウムイオン二次電池の用途の拡大によって保護素子も様々な要求を満足する必要が有るが、その中でも、高応答、高信頼性に関する特性は、安全を担保する保護素子の性質上、最も重要な指標の一つとなっている。
【0005】
図12は、従来の保護素子の一構成例を示す図であり、(A)はカバー部材を省略して示す平面図であり、(B)は断面図であり、(C)は底面図である。図12に示す保護素子100は、絶縁基板101と、絶縁基板101の表面上に形成された第1、第2の電極102、103と、絶縁基板101の表面に形成された発熱体104と、発熱体104を被覆する絶縁層105と、絶縁層105上に積層されるとともに発熱体104と接続された発熱体引出電極106と、第1の電極102、発熱体引出電極106、及び第2の電極103にわたって接続用ハンダを介して搭載される可溶導体であるヒューズエレメント107とを備える。
【0006】
第1、第2の電極102,103は、保護素子100が接続される外部回路の電流経路上に接続される端子部であり、第1の電極102は絶縁基板101の裏面に形成された第1の外部接続電極102aとキャスタレーションを介して接続され、第2の電極103は絶縁基板101の裏面に形成された第2の外部接続電極103aとキャスタレーションを介して接続されている。保護素子100は、第1、第2の外部接続電極102a,103aが、保護素子100が実装される外部回路基板に設けられた接続電極に接続されることにより、ヒューズエレメント107が外部回路基板上に形成された電流経路の一部に組み込まれる。
【0007】
発熱体104は、比較的抵抗値が高く通電すると発熱する導電性を有する部材であって、例えばニクロム、W、Mo、Ru等又はこれらを含む材料からなる。また、発熱体104は、絶縁基板101の表面上に形成された発熱体電極108と接続されている。発熱体電極108は、絶縁基板101の裏面に形成された第3の外部接続電極108aとキャスタレーションを介して接続されている。保護素子100は、第3の外部接続電極108aが、保護素子100が実装される外部回路基板に設けられた接続電極に接続されることにより、発熱体104が外部回路に設けられた外部電源と接続されている。そして、発熱体104は、図示しないスイッチ素子等により常時、通電及び発熱が制御されている。
【0008】
発熱体104は、ガラス層等からなる絶縁層105によって被覆されるとともに、絶縁層105上に発熱体引出電極106が形成されることにより、絶縁層105を介して発熱体引出電極106と重畳されている。また、発熱体引出電極106上には第1、第2の電極102,103間にわたって接続されたヒューズエレメント107が接続されている。
【0009】
これにより、保護素子100は、発熱体104とヒューズエレメント107が重畳されることにより熱的に接続され、発熱体104が通電によって発熱するとヒューズエレメント107を溶断することができる。
【0010】
ヒューズエレメント107は、Pbフリーハンダなどの低融点金属やAg、Cu又はこれらを主成分とする合金などの高融点金属により形成され、あるいは低融点金属と高融点金属の積層構造を有する。そして、ヒューズエレメント107は、第1の電極102から発熱体引出電極106を経て第2の電極103にかけて接続されることにより、保護素子100が組み込まれた外部回路の電流経路の一部を構成する。そして、ヒューズエレメント107は、定格を超える電流が通電することによって自己発熱(ジュール熱)により溶断し、あるいは発熱体104の発熱により溶断し、第1、第2の電極102,103間を遮断する。
【0011】
そして、保護素子100は、外部回路の電流経路を遮断する必要が生じると、スイッチ素子により発熱体104へ通電される。これにより、保護素子100は、発熱体104が高温に発熱され、外部回路の電流経路上に組み込まれたヒューズエレメント107が溶融される。ヒューズエレメント107の溶融導体は、濡れ性の高い発熱体引出電極106及び第1、第2の電極102,103に引き寄せられることによりヒューズエレメント107が溶断される。したがって、保護素子100は、第1の電極102~発熱体引出電極106~第2の電極103の間を溶断させ、外部回路の電流経路を遮断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2015-35281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
絶縁層105は、例えば厚膜印刷技術を用いて形成される。印刷プロセスによって形成出来るガラスの厚みは一般的に10~60μm程度で、非常に薄く形成することが可能であるため、発熱体104で生じた熱を効率的にヒューズエレメント107に伝達することができる。
【0014】
しかし、二次電池の用途の高電圧化が進み、発熱体104に印加される電圧も安全かつ低電圧である42Vを超える使用が標準的に行われるようになってきている。また、絶縁層105は、上述したように非常に薄く形成されるため、印刷時にガラス層内に発生するピンホール等が形成される場合がある。そのため、図13に示すように、発熱体104に高電圧が印加された時に、ピンホール等の絶縁性能が低下している箇所において、絶縁破壊が発生し、発熱体104が十分な発熱をする前に、発熱体104が破壊されてしまう場合があった。
【0015】
この対策として、印刷する回数を増やして絶縁層105の厚みを厚くすることが挙げられる。発熱体104への通電時における絶縁破壊を防止するために、絶縁層105は、一般に20μm以上の膜厚で形成される。
【0016】
しかし、絶縁層105の膜厚を厚くするほどヒューズエレメント107への熱伝導効率が下がり、大電流に対応する保護素子を実現するためにヒューズエレメント107の厚みを増大させた場合等には速やかに溶断することができなくなる。
【0017】
そこで、本技術は、ヒューズエレメントの速溶断と絶縁破壊の防止を図り、高応答性、高信頼性に対応できる保護素子及びバッテリパックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決するために、本技術に係る保護素子は、絶縁基板と、上記絶縁基板に設けられた第1、第2電極と、上記絶縁基板に形成された発熱体と、上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、上記発熱体引出電極を介して上記第1の電極から上記第2の電極にわたって搭載された可溶導体と、上記発熱体を覆う絶縁保護層を備え、上記絶縁保護層は、熱伝導性フィラーが含有されているものである。
【0019】
また、本技術に係るバッテリパックは、1つ以上のバッテリセルと、上記バッテリセルの充放電経路上に接続され、該充放電経路を遮断する保護素子と、上記バッテリセルの電圧値を検出して上記保護素子への通電を制御する電流制御素子を備え、上記保護素子は、絶縁基板と、上記絶縁基板に設けられた第1、第2電極と、上記絶縁基板に形成された発熱体と、上記発熱体と電気的に接続された発熱体引出電極と、上記発熱体引出電極を介して上記第1の電極から上記第2の電極にわたって搭載された可溶導体と、上記発熱体を覆う絶縁保護層を備え、上記絶縁保護層は、熱伝導性フィラーが含有されているものである。
【発明の効果】
【0020】
本技術によれば、絶縁層の熱伝導率を高くすることで、発熱体から可溶導体への伝熱速度が高くなり、また、絶縁破壊を防止でき、高応答性、高信頼性に対応した保護素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本技術が適用された保護素子の一構成例を示す図であり、(A)はカバー部材を省略して示す平面図であり、(B)は断面図であり、(C)は底面図である。
図2図2は、図1に示す保護素子において、可溶導体が溶断した状態を示す図であり、(A)はカバー部材を省略して示す平面図であり、(B)は断面図である。
図3図3は、絶縁保護層における熱伝導を示す概念図である。
図4図4は、ガラス(熱伝導率:1W/mK)中に酸化アルミニウム(熱伝導率:40W/mK)を分散させた絶縁保護層の、熱伝導率と酸化アルミニウム体積分率との対応を示すグラフである。
図5図5は、ガラス(熱伝導率:1W/mK)中に窒化アルミニウム(熱伝導率:285W/mK)を分散させた絶縁保護層の、熱伝導率と窒化アルミニウム体積分率との対応を示すグラフである。
図6図6は、可溶導体の断面図である。
図7図7は、バッテリパックの構成例を示す回路図である。
図8図8は、保護素子の回路図である。
図9図9は、本技術が適用された保護素子の変形例を示す断面図である。
図10図10は、絶縁基板の裏面に発熱体を設けた保護素子の一構成例を示す図であり、(A)はカバー部材を省略して示す平面図であり、(B)は断面図であり、(C)は底面図である。
図11図11は、図10に示す保護素子において、可溶導体が溶断した状態を示す図であり、(A)はカバー部材を省略して示す平面図であり、(B)は断面図である。
図12図12は、従来の保護素子を示す図であり、(A)は平面図、(B)は断面図、(C)は底面図である。
図13図13は、図12に示す保護素子において、スパークが発生した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本技術が適用された保護素子及びバッテリパックについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本技術は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0023】
本技術が適用された保護素子1は、図1(A)~(C)に示すように、絶縁基板2と、絶縁基板2上に支持された可溶導体3と、可溶導体3に接続された第1の電極4a、第2の電極4b及び発熱体引出電極4cと、絶縁基板2に設けられ、通電されることにより発熱する発熱体5と、発熱体5と接続され、発熱体5への給電端子となる発熱体電極6と、発熱体5を被覆する絶縁保護層7を備える。
【0024】
図1に示す保護素子1では、絶縁基板2の可溶導体3が支持された表面2aに、発熱体5及び発熱体5を被覆する絶縁保護層7が形成されている。また、絶縁基板2の表面2aには、通電部として、可溶導体3の一端部と接続された第1の電極4a及び可溶導体3の他端部と接続された第2の電極4bが形成されている。さらに、絶縁基板2の表面2a側には、発熱体5と電気的に接続されるとともに、絶縁保護層7上に重畳され可溶導体3とも接続された発熱体引出電極4cが形成されている。
【0025】
ここで、絶縁保護層7は、ガラスなどの絶縁材料により構成されるとともに、熱伝導性フィラーが含有されている。そのため、絶縁保護層7は熱伝導効率が向上され、発熱体5の発熱を効率よく可溶導体3に伝える。これにより、熱伝導効率を上げるために絶縁保護層7を極度に薄く形成する必要が無く、ピンホール等の発生を防止できる程度に厚く形成して絶縁破壊を抑制することができる。また、絶縁保護層7を極度に薄く形成せずとも可溶導体3を速やかに溶断することができ、このため発熱体5が可溶導体3の溶断よりも先に損傷することも防止することができる。
【0026】
このような保護素子1は、外部回路に組み込まれることにより、可溶導体3が当該外部回路の電流経路の一部を構成し、発熱体5の発熱、あるいは定格を超える過電流によって溶断することにより電流経路を遮断する。以下、保護素子1の各構成について詳細に説明する。
【0027】
[絶縁基板]
絶縁基板2は、例えばアルミナ、ガラスセラミックス、ムライト、ジルコニアなどの絶縁性を有する部材によって形成される。その他、絶縁基板2は、ガラスエポキシ基板、フェノール基板等のプリント配線基板に用いられる材料を用いてもよい。
【0028】
[第1、第2の電極]
絶縁基板2の相対向する両端部には、第1、第2の電極4a,4bが形成されている。第1、第2の電極4a,4bは、それぞれ、AgやCu等の導電パターンによって形成されている。また、第1、第2の電極4a,4bの表面上には、Ni/Auメッキ、Ni/Pdメッキ、Ni/Pd/Auメッキ等の被膜が、メッキ処理等の公知の手法によりコーティングされていることが好ましい。これにより、保護素子1は、第1、第2の電極4a,4bの酸化を防止し、導通抵抗の上昇に伴う定格の変動を防止することができる。また、保護素子1をリフロー実装する場合に、可溶導体3を接続する接続用ハンダが溶融することにより第1、第2の電極4a,4bを溶食(ハンダ食われ)するのを防ぐことができる。
【0029】
第1の電極4aは、絶縁基板2の表面2aより、キャスタレーションを介して裏面2bに形成された第1の外部接続電極11と連続されている。また、第2の電極4bは、絶縁基板2の表面2aより、キャスタレーションを介して裏面2bに形成された第2の外部接続電極12と連続されている。保護素子1が外部回路基板に実装されると、第1、第2の外部接続電極11,12が、当該外部回路基板に設けられた接続電極に接続されることにより、可溶導体3が当該外部回路基板上に形成された電流経路の一部に組み込まれる。
【0030】
第1、第2の電極4a,4bは、接続ハンダ等の導電接続材料を介して可溶導体3が搭載されることにより、可溶導体3を介して電気的に接続されている。また、図2(A)(B)に示すように、第1、第2の電極4a,4bは、保護素子1に定格を超える大電流が流れ可溶導体3が自己発熱(ジュール熱)によって溶断し、あるいは発熱体5が通電に伴って発熱し可溶導体3が溶断することにより、接続遮断される。
【0031】
[発熱体]
発熱体5は、比較的抵抗値が高く通電すると発熱する導電性を有する部材であって、例えばニクロム、W、Mo、Ru等又はこれらを含む材料からなる。発熱体5は、これらの合金あるいは組成物、化合物の粉状体を樹脂バインダ等と混合して、ペースト状にしたものを絶縁基板2上にスクリーン印刷技術を用いてパターン形成して、焼成する等によって形成することができる。一例として、発熱体5は、酸化ルテニウム系ペーストと銀とガラスペーストの混合ペーストを所定の電圧に応じて調整し、絶縁基板2の表面2aの所定の位置に所定の面積で製膜し、その後、適正条件にて焼成処理を行うことにより形成することができる。また、発熱体5の形状は適宜設計できるが、図1に示すように、絶縁基板2の形状に応じて略矩形状とすることが発熱面積を最大化するうえで好ましい。
【0032】
また、発熱体5は、一端部5aが第1の引出電極15と接続され、他端部5bが第2の引出電極16と接続されている。第1の引出電極15は、発熱体電極6から発熱体5の一端部5aに沿って引き出し形成され、図1に示す保護素子1では、略矩形状に形成された発熱体5の一側縁に沿って延在されるとともに、当該発熱体5の一側縁が重畳されている。同様に、第2の引出電極16は、中間電極8から発熱体5の他端部5bに沿って引き出し形成され、図1に示す保護素子1では、略矩形状に形成された発熱体5の他側縁に沿って延在されるとともに、当該発熱体5の他側縁が重畳されている。
【0033】
発熱体電極6及び中間電極8は、絶縁基板2の第1、第2の電極4a,4bが設けられた側縁と異なる相対向する側縁に形成されている。発熱体電極6は、発熱体5への給電電極であり、第1の引出電極15を介して発熱体5の一端部5aと接続されるとともに、キャスタレーションを介して絶縁基板2の裏面2bに形成された第3の外部接続電極13と連続されている。
【0034】
発熱体電極6、第1、第2の引出電極15,16、及び中間電極8は、第1、第2の電極4a,4bと同様に、AgやCu等の導電ペーストを印刷、焼成することによって形成することができる。また、絶縁基板2の表面2a上に形成されるこれら各電極を同一の材料により構成することで、一度の印刷及び焼成工程で形成することができる。
【0035】
なお、発熱体電極6は、第3の外部接続電極13と接続される外部回路基板の電極に設けられた接続用ハンダがリフロー実装等において溶融し、キャスタレーションを介して発熱体電極6上に這い上がり、発熱体電極6上に濡れ拡がることを防止する規制壁を設けてもよい。第1、第2の電極4a,4bも同様に、規制壁を設けてもよい。規制壁は、例えばガラスやソルダーレジスト、絶縁性接着剤等ハンダに対する濡れ性を有しない絶縁材料を用いて形成することができ、発熱体電極6上に印刷等により形成することができる。規制壁を設けることにより、溶融した接続用ハンダが発熱体電極6や第1、第2の電極4a,4bまで濡れ広がることを防止し、保護素子1と外部回路基板との接続性を維持することができる。
【0036】
中間電極8は、発熱体5と絶縁保護層7上に積層される発熱体引出電極4cとの間に設けられる電極であり、発熱体5の他端部5bと接続されるとともに、発熱体引出電極4cと接続されている。発熱体引出電極4cは、絶縁保護層7を介して発熱体5と重畳するとともに可溶導体3と接続される。
【0037】
[絶縁保護層]
また、発熱体5、第1の引出電極15及び第2の引出電極16は、絶縁保護層7に被覆されている。また、絶縁保護層7上には発熱体引出電極4cが形成され、可溶導体3が重畳されている。
【0038】
絶縁保護層7は、発熱体5の保護及び絶縁を図るとともに、発熱体5の熱を効率よく発熱体引出電極4c及び可溶導体3へ伝えるために設けられ、図3に示すように、発熱体5の発熱温度に対する耐熱性を有するガラス等の絶縁材料9により構成されるとともに、この絶縁材料9に熱伝導性フィラー10が含有されている。絶縁材料9を構成するガラス原料としては、例えばシリカ系ガラスのオーバーコート用ガラスペーストや絶縁用ガラスペーストがある。
【0039】
絶縁保護層7は、例えばガラス系のペーストをスクリーン印刷等により塗布、焼成することにより形成することができる。図1に示す保護素子1では、絶縁保護層7は、絶縁基板2の表面2aに形成された発熱体5を覆うように形成されている。
【0040】
絶縁保護層7の厚さは、ガラスペースト等の塗布性や可溶導体3の遮断時間の観点から設定される。すなわち、ガラスペーストは熱伝導性フィラー10の含有量に応じて粘度が変わり、塗布厚みによっては絶縁破壊の原因となるピンホール等が生じたり、微細な開口パターンの場合にはマスクからペーストがはがれ難くなってパターンに欠損が生じたりする。また、絶縁保護層7の厚みが増すと、発熱体引出電極4c及び可溶導体3までの距離が延びるため、絶縁保護層7の熱伝導率によっては可溶導体3の遮断時間が延びる。そのため、絶縁保護層7の厚さは、ガラスペースト等の材料の塗布性や、求められる可溶導体3の遮断時間に応じて適宜設定され、例えば10μmより厚く40μm以下とされ、好ましくは20μm以上40μm以下とされる。
【0041】
[熱伝導性フィラー]
絶縁材料9に含有されている熱伝導性フィラー10は、絶縁保護層7を構成する絶縁材料9よりも熱伝導率が高い。そのため、熱伝導性フィラー10を含有することにより、絶縁保護層7は熱伝導効率が向上され、発熱体5の発熱を効率よく可溶導体3に伝える(図3参照)。これにより、絶縁保護層7をピンホール等の発生を防止できる程度に厚く形成して絶縁破壊を抑制するとともに、発熱体5の発熱を効率よく可溶導体3に伝達し、速やかに溶断することができる。また、可溶導体3を速やかに溶断することで、発熱体5が可溶導体3の溶断よりも先に損傷することも防止することができる。
【0042】
熱伝導性フィラー10は、熱導電性に優れるフィラーであれば特に限定されない。熱伝導性フィラー10は、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミナ、マグネシア、二酸化ケイ素等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物等を用いることができる。これらの中でも、耐熱性(高熱信頼性)、低比重、低コスト化等の観点から、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムを用いることが好ましい。熱伝導性フィラー10としては、界面強化や分散性の向上を目的として、シランカップリング剤で処理したものを用いてもよい。また、熱伝導性フィラー10は、1種単独で用いてもよいが、高熱伝導率のフィラーを含有するなど2種以上を併用し、絶縁保護層7が所望の熱伝達効率を具備するために必要な熱伝導性フィラー10の体積容量を調整してもよい。
【0043】
また、熱伝導性フィラー10の形状は特に限定されず、例えば、球状、粉末状、顆粒状、扁平状、鱗片状等の熱伝導性フィラーが挙げられる。
【0044】
熱伝導性フィラー10は、熱伝導率の高いものを用いるほど、少ない含有量でも絶縁保護層7の熱伝導率を向上させることができる。また、熱伝導性フィラー10は、熱伝導率の高いものを用いるほど、絶縁保護層7における所望の熱伝導率を確保するために必要な含有量が少なくなり、絶縁保護層7を構成する絶縁材料9の塗布粘度の上昇を抑え、良好な塗布性を有する。
【0045】
図4は、ガラス(熱伝導率:1W/mK)中に酸化アルミニウム(熱伝導率:40W/mK)を分散させた絶縁保護層7の、熱伝導率と酸化アルミニウムの体積分率との対応を示すグラフである。図5は、ガラス(熱伝導率:1W/mK)中に窒化アルミニウム(熱伝導率:285W/mK)を分散させた絶縁保護層7の、熱伝導率と窒化アルミニウムの体積分率との対応を示すグラフである。
【0046】
なお、絶縁保護層7の熱伝導率は、例えばフィラーを配合した複合体の熱伝導率に関するBruggemanの式により求めることができる。下記に示すBruggemanの式では、樹脂とフィラーの熱伝導率、複合樹脂中に占めるフィラーの充填率、フィラー形状(球状)およびサイズの効果、近接フィラー間の温度分布の影響が考慮されている。
【0047】
【数1】
【0048】
熱伝導性フィラー10と絶縁保護層7を構成する絶縁材料9との熱伝導率の差は19W/mK以上とすることが好ましい。例えば、絶縁材料9としてガラス(熱伝導率:1W/mK)、熱伝導性フィラー10としてアルミナ(含有量96%)(熱伝導率:20W/mK)を用いた場合、熱伝導率の差は19W/mKである。また、絶縁材料9としてガラス(熱伝導率:1W/mK)、熱伝導性フィラー10として酸化マグネシウム(熱伝導率:50W/mK)を用いた場合、熱伝導率の差は49W/mKである。後述するように、高熱伝導の熱伝導性フィラー10を用いることにより、絶縁保護層7を所望の熱伝導率とするために必要な熱伝導性フィラー10の体積容量が少なくなり、良好な塗布性を有し、製造効率を向上することができる。
【0049】
絶縁保護層7中の熱伝導性フィラー10の含有量は、当該熱伝導性フィラー10の熱伝導率、絶縁保護層7の所望の熱伝導率及び絶縁材料9の塗布性を踏まえて設定される。絶縁保護層7中の熱伝導性フィラー10の含有量は、例えば、20体積%超60体積%未満とすることが好ましい。熱伝導性フィラー10の含有量が20体積%未満の場合、絶縁保護層7の熱伝導率の向上が図れず、絶縁保護層7や可溶導体3の厚さやによっては可溶導体3の速やかな溶断が困難となる。また、熱伝導性フィラー10の含有量が60体積%を超えると、絶縁材料9の塗布粘度が高くなり、塗布厚によっては塗布性に支障をきたす。例えば、絶縁保護層7に2W/mKの熱伝導率を確保するための熱伝導性フィラー10の含有量は、20W/mK以上の高熱伝導率を有する熱伝導性フィラー10を用いて20~25体積%である。
【0050】
熱伝導性フィラー10の平均粒子径は、例えば、0.5~20μmの範囲とすることができる。また、熱伝導性フィラー10の充填量の高充填(最密充填)化を狙うとともに、絶縁保護層7の熱伝導率をより向上させる観点から、平均粒子径が異なる2種以上の熱伝導性フィラー10を用いてもよい。単一の熱伝導性フィラー10を用いた場合には、粒子と粒子の間に隙間ができる場合があるが、平均粒子径が異なる2種以上の熱伝導性フィラー10を用いることで、粒子と粒子の間の隙間が埋まりやすくなり、その結果、絶縁保護層7をより高熱伝導化させることができる。例えば、分散性と高熱伝導性の観点では、熱伝導性フィラー10として、平均粒子径0.5~5μmの小径のフィラーと、平均粒子径5~20μmの大径のフィラーを併用することが好ましい。
【0051】
また、平均粒子径の異なる2種の熱伝導性フィラー10を併用する場合、相対的に小径の熱伝導性フィラー10と、相対的に大径の熱伝導性フィラー10との体積比(小径の熱伝導性フィラー:大径の熱伝導性フィラー)は、例えば、15:85~90:10の範囲とすることができ、40:60~60:40の範囲とすることもできる。
【0052】
保護素子1は、外部回路基板に実装されることにより、第3の外部接続電極13を介して発熱体5と外部回路に形成された電流制御素子等とが接続される。発熱体5は、平常時においては通電及び発熱が規制されているが、外部回路の通電経路を遮断する所定のタイミングで第3の外部接続電極13を介して通電され、発熱する。
【0053】
保護素子1は、発熱体5の熱が絶縁保護層7及び発熱体引出電極4cを介して可溶導体3に伝達することにより、第1、第2の通電部4a,4bを接続している可溶導体3を溶融させることができる。このとき、保護素子1によれば、絶縁保護層7を構成する絶縁材料9に熱伝導性フィラー10が含有されているため、発熱体5の発熱を効率よく可溶導体3に伝える。これにより、可溶導体3を速やかに溶断することができる。絶縁保護層7は、高熱伝達効率を備えるため、可溶導体3に速やかに熱を伝えるために極度に薄く形成する必要が無く、ピンホール等の発生を防止でき、絶縁破壊を抑制することができる。また、可溶導体3を速やかに溶断することで、発熱体5が可溶導体3の溶断よりも先に損傷することも防止することができる。
【0054】
可溶導体3の溶融導体3aは発熱体引出電極4c上及び第1、第2の通電部4a,4bに凝集し、これにより第1、第2の通電部4a,4b間の電流経路が遮断される(図2)。なお、後述するように、発熱体5は、可溶導体3が溶断することにより、自身の通電経路も遮断されることから発熱が停止する。
【0055】
[発熱体引出電極]
絶縁保護層7上に形成される発熱体引出電極4cは、一端を中間電極8と接続されるとともに、絶縁保護層7を介して発熱体5と重畳されている。また、発熱体引出電極4cは、接続ハンダ等の接合材料を介して、第1、第2の電極4a,4b間において、可溶導体3が接続されている。
【0056】
また、発熱体引出電極4cは、第1、第2の電極4a,4bと同様に、AgやCu等の導電ペーストを印刷、焼成することによって形成することができる。また、発熱体引出電極4cの表面上には、Ni/Auメッキ、Ni/Pdメッキ、Ni/Pd/Auメッキ等の被膜が、メッキ処理等の公知の手法によりコーティングされていることが好ましい。
【0057】
[可溶導体]
次いで、可溶導体3について説明する。可溶導体3は、第1及び第2の電極4a,4b間にわたって実装され、発熱体5の通電による発熱、又は定格を超える電流が通電することによって自己発熱(ジュール熱)により溶断し、第1の電極4aと第2の電極4bとの間の電流経路を遮断するものである。
【0058】
可溶導体3は、発熱体5の通電による発熱、又は過電流状態によって溶融する導電性の材料であればよく、例えば、SnAgCu系のPbフリーハンダや、BiPbSn合金、BiPb合金、BiSn合金、SnPb合金、PbIn合金、ZnAl合金、InSn合金、PbAgSn合金等を用いることができる。
【0059】
また、可溶導体3は、高融点金属と、低融点金属とを含有する構造体であってもよい。例えば、図6に示すように、可溶導体3は、内層と外層とからなる積層構造体であり、内層として低融点金属層18、低融点金属層18に積層された外層として高融点金属層19を有する。可溶導体3は、第1、第2の電極4a,4b及び発熱体引出電極4c上に接続ハンダ等の接合材料を介して接続される。
【0060】
低融点金属層18は、好ましくは、ハンダ又はSnを主成分とする金属であり、「Pbフリーハンダ」と一般的に呼ばれる材料である。低融点金属層18の融点は、必ずしもリフロー温度よりも高い必要はなく、200℃程度で溶融してもよい。高融点金属層19は、低融点金属層18の表面に積層された金属層であり、例えば、Ag若しくはCu又はこれらのうちのいずれかを主成分とする金属であり、第1、第2の電極4a,4b及び発熱体引出電極4cと可溶導体3との接続や保護素子1の外部回路基板上への実装をリフローによって行う場合においても溶融しない高い融点を有する。
【0061】
このような可溶導体3は、低融点金属箔に、高融点金属層をメッキ技術を用いて成膜することによって形成することができ、あるいは、他の周知の積層技術、膜形成技術を用いて形成することもできる。また、可溶導体3は、低融点金属層18の全面が高融点金属層19によって被覆された構造としてもよく、相対向する一対の側面を除き被覆された構造であってもよい。なお、可溶導体3は、高融点金属層19を内層とし、低融点金属層18を外層として構成してもよく、また低融点金属層18と高融点金属層19とが交互に積層された3層以上の多層構造とする、外層の一部に開口部を設けて内層の一部を露出させるなど、様々な構成によって形成することができる。
【0062】
可溶導体3は、内層となる低融点金属層18に、外層として高融点金属層19を積層することによって、リフロー温度が低融点金属層18の溶融温度を超えた場合であっても、可溶導体3として形状を維持することができ、溶断するに至らない。したがって、第1、第2の電極4a,4b及び発熱体引出電極4cと可溶導体3との接続や保護素子1の外部回路基板上への実装を、リフローによって効率よく行うことができ、また、リフローによっても可溶導体3の変形に伴って局所的に抵抗値が高く又は低くなる等により所定の温度で溶断しない、あるいは所定の温度未満で溶断する等の溶断特性の変動を防止することができる。
【0063】
また、可溶導体3は、所定の定格電流が流れている間は、自己発熱によっても溶断することがない。そして、定格よりも高い値の電流が流れると、自己発熱によって溶融し、第1、第2の電極4a,4b間の電流経路を遮断する。また、発熱体5が通電され発熱することにより溶融し、第1、第2の電極4a,4b間の電流経路を遮断する。
【0064】
このとき、可溶導体3は、溶融した低融点金属層18が高融点金属層19を溶食(ハンダ食われ)することにより、高融点金属層19が溶融温度よりも低い温度で溶解する。したがって、可溶導体3は、低融点金属層18による高融点金属層19の浸食作用を利用して短時間で溶断することができる。また、可溶導体3の溶融導体3aは、発熱体引出電極4c及び第1、第2の電極4a,4bの物理的な引き込み作用により分断されることから、速やかに、かつ確実に、第1、第2の電極4a,4b間の電流経路を遮断することができる(図2)。
【0065】
また、可溶導体3は、低融点金属層18の体積を、高融点金属層19の体積よりも多く形成することが好ましい。可溶導体3は、過電流による自己発熱又は発熱体5の発熱によって加熱され、低融点金属が溶融することにより高融点金属を溶食し、これにより速やかに溶融、溶断することができる。したがって、可溶導体3は、低融点金属層18の体積を高融点金属層19の体積よりも多く形成することにより、この溶食作用を促進し、速やかに第1、第2の電極4a,4b間を遮断することができる。
【0066】
また、可溶導体3は、内層となる低融点金属層18に高融点金属層19が積層されて構成されているため、溶断温度を従来の高融点金属からなるチップヒューズ等よりも大幅に低減することができる。したがって、可溶導体3は、同一サイズのチップヒューズ等に比して、断面積を大きくでき電流定格を大幅に向上させることができる。また、同じ電流定格をもつ従来のチップヒューズよりも小型化、薄型化を図ることができ、速溶断性に優れる。
【0067】
また、可溶導体3は、保護素子1が組み込まれた電気系統に異常に高い電圧が瞬間的に印加されるサージへの耐性(耐パルス性)を向上することができる。すなわち、可溶導体3は、例えば100Aの電流が数msec流れたような場合にまで溶断してはならない。この点、極短時間に流れる大電流は導体の表層を流れることから(表皮効果)、可溶導体3は、外層として抵抗値の低いAgメッキ等の高融点金属層19が設けられているため、サージによって印加された電流を流しやすく、自己発熱による溶断を防止することができる。したがって、可溶導体3は、従来のハンダ合金からなるヒューズに比して、大幅にサージに対する耐性を向上させることができる。
【0068】
なお、可溶導体3は、酸化防止、及び溶断時の濡れ性の向上等のため、フラックス(図示せず)を塗布してもよい。また、保護素子1は、絶縁基板2がケース17に覆われることによりその内部が保護されている。ケース17は、例えば、各種エンジニアリングプラスチック、熱可塑性プラスチック、セラミックス、ガラスエポキシ基板等の絶縁性を有する部材を用いて形成することができる。また、ケース17は、絶縁基板2の表面2a上に、可溶導体3が溶融時に球状に膨張し、溶融導体3aが発熱体引出電極4cや第1、第2の電極4a,4b上に凝集するのに十分な内部空間を有する。
【0069】
[回路構成例]
このような保護素子1は、例えばリチウムイオン二次電池のバッテリパック20内の回路に組み込まれて用いられる。図7に示すように、バッテリパック20は、例えば、合計4個のリチウムイオン二次電池のバッテリセル21a~21dからなるバッテリスタック25を有する。
【0070】
バッテリパック20は、バッテリスタック25と、バッテリスタック25の充放電を制御する充放電制御回路26と、バッテリスタック25の異常時に充放電経路を遮断する本発明が適用された保護素子1と、各バッテリセル21a~21dの電圧を検出する検出回路27と、検出回路27の検出結果に応じて保護素子1の動作を制御するスイッチ素子となる電流制御素子28とを備える。
【0071】
バッテリスタック25は、過充電及び過放電状態から保護するための制御を要するバッテリセル21a~21dが直列接続されたものであり、バッテリパック20の正極端子20a、負極端子20bを介して、着脱可能に充電装置22に接続され、充電装置22からの充電電圧が印加される。充電装置22により充電されたバッテリパック20は、正極端子20a、負極端子20bをバッテリで動作する電子機器に接続することによって、この電子機器を動作させることができる。
【0072】
充放電制御回路26は、バッテリスタック25と充電装置22との間の電流経路に直列接続された2つの電流制御素子23a、23bと、これらの電流制御素子23a、23bの動作を制御する制御部24とを備える。電流制御素子23a、23bは、たとえば電界効果トランジスタ(以下、FETという。)により構成され、制御部24によりゲート電圧を制御することによって、バッテリスタック25の電流経路の充電方向及び/又は放電方向への導通と遮断とを制御する。制御部24は、充電装置22から電力供給を受けて動作し、検出回路27による検出結果に応じて、バッテリスタック25が過放電又は過充電であるとき、電流経路を遮断するように、電流制御素子23a、23bの動作を制御する。
【0073】
保護素子1は、例えば、バッテリスタック25と充放電制御回路26との間の充放電電流経路上に接続され、その動作が電流制御素子28によって制御される。
【0074】
検出回路27は、各バッテリセル21a~21dと接続され、各バッテリセル21a~21dの電圧値を検出して、各電圧値を充放電制御回路26の制御部24に供給する。また、検出回路27は、バッテリセル21a~21dのいずれか1つが過充電電圧又は過放電電圧になったときに電流制御素子28を制御する制御信号を出力する。
【0075】
電流制御素子28は、たとえばFETにより構成され、検出回路27から出力される検出信号によって、バッテリセル21a~21dの電圧値が所定の過放電又は過充電状態を超える電圧になったとき、保護素子1を動作させて、バッテリスタック25の充放電電流経路を電流制御素子23a、23bのスイッチ動作によらず遮断するように制御する。
【0076】
以上のような構成からなるバッテリパック20に用いられる、本発明が適用された保護素子1は、図8に示すような回路構成を有する。すなわち、保護素子1は、第1の外部接続電極11がバッテリスタック25側と接続され、第2の外部接続電極12が正極端子20a側と接続され、これにより可溶導体3がバッテリスタック25の充放電経路上に直列に接続される。また、保護素子1は、発熱体5が発熱体電極6及び第3の外部接続電極13を介して電流制御素子28と接続されるとともに、発熱体5がバッテリスタック25の開放端と接続される。このように、発熱体5は、一端を発熱体引出電極4cを介して可溶導体3及びバッテリスタック25の一方の開放端と接続され、他端を第3の外部接続電極13を介して電流制御素子28及びバッテリスタック25の他方の開放端と接続される。これにより電流制御素子28によって通電が制御可能な発熱体5への給電経路が形成される。
【0077】
[保護素子の動作]
検出回路27がバッテリセル21a~21dのいずれかの異常電圧を検出すると、電流制御素子28へ遮断信号を出力する。すると、電流制御素子28は、発熱体5に通電するよう電流を制御する。保護素子1は、バッテリスタック25から、発熱体5に電流が流れ、これにより発熱体5が発熱を開始する。保護素子1は、発熱体5の発熱により可溶導体3が溶断し、バッテリスタック25の充放電経路を遮断する。また、保護素子1は、可溶導体3を高融点金属と低融点金属とを含有させて形成することにより、高融点金属の溶断前に低融点金属が溶融し、溶融した低融点金属による高融点金属の溶食作用を利用して短時間で可溶導体3を溶解させることができる。
【0078】
このとき、保護素子1は、絶縁保護層7に熱伝導性フィラー10が含有されることにより、熱伝導率が向上されている。これにより、絶縁保護層7は、発熱体5の発熱を効率よく可溶導体3に伝達し、速やかに溶断することができる。また、絶縁保護層7は、極度に薄く形成する必要が無く、ピンホール等の発生を防止できるため、発熱体電極6、第1の引出電極15又は発熱体5と、発熱体引出電極4cとの間の絶縁破壊(スパーク)を防止することができる。さらに、可溶導体3を速やかに溶断することで、発熱体5が可溶導体3の溶断よりも先に損傷することも防止することができ、安全かつ速やかに電流経路を遮断できる。
【0079】
保護素子1は、可溶導体3が溶断することにより、発熱体5への給電経路も遮断されるため、発熱体5の発熱が停止される。
【0080】
なお、保護素子1は、バッテリパック20に定格を超える過電流が通電された場合にも、可溶導体3が自己発熱により溶融し、バッテリパック20の充放電経路を遮断することができる。
【0081】
このように、保護素子1は、発熱体5の通電による発熱、あるいは過電流による可溶導体3の自己発熱によって可溶導体3が溶断する。上述したように、保護素子1は、回路基板へのリフロー実装時や、保護素子1が実装された回路基板が更にリフロー加熱等の高温環境下に曝された場合にも、低融点金属が高融点金属によって被覆された構造を有することにより、可溶導体3の変形が抑制されている。したがって、可溶導体3の変形による抵抗値の変動等に起因する溶断特性の変動が防止され、所定の過電流や発熱体5の発熱によって速やかに溶断することができる。
【0082】
本発明に係る保護素子1は、リチウムイオン二次電池のバッテリパックに用いる場合に限らず、電気信号による電流経路の遮断を必要とする様々な用途にももちろん応用可能である。
【0083】
[変形例1]
本技術が適用された保護素子の変形例について説明する。なお、以下の説明において上述した保護素子1と同じ部材については同一の符号を付してその詳細を省略することがある。図9に示す保護素子30は、絶縁保護層7を、表面に発熱体5が形成される基板側保護層7aと、基板側保護層7a上に形成された発熱体5を覆う被覆保護層7bとにより構成する。基板側保護層7aは、絶縁基板2の表面2aに形成され、発熱体5及び第1、第2の引出電極15,16が形成されている。被覆保護層7bは、基板側保護層7a上に積層形成されることにより、基板側保護層7aとともに発熱体5を覆う。これにより絶縁保護層7は、内部に発熱体5が設けられる。また、被覆保護層7bは、発熱体引出電極4cが積層されている。基板側保護層7a及び被覆保護層7bの形成方法は、上述した絶縁保護層7と同様である。
【0084】
被覆保護層7bは、基板側保護層7aよりも熱伝導率が高いことが好ましい。これにより、発熱体5の発熱が絶縁基板2側に逃げにくくするとともに被覆保護層7b側により速く熱を伝達することが可能となり、単位時間当たりの被覆保護層7b側へ伝わる熱量が増え、効率よく可溶導体3を加熱することができる。被覆保護層7bの熱伝導率を基板側保護層7aよりも高くする方法としては、例えば被覆保護層7bにのみ熱伝導性フィラー10を含有させ、基板側保護層7aには熱伝導性フィラー10を含有しないようにする方法がある。また、被覆保護層7bに含有する熱伝導性フィラー10を、基板側保護層7aに含有する熱伝導性フィラー10よりも熱伝導率の高いものを使用する方法がある。あるいは、被覆保護層7bに含有する熱伝導性フィラー10の量を、基板側保護層7aに含有する熱伝導性フィラー10の量よりも多くする方法がある。本技術は、被覆保護層7bの熱伝導率を基板側保護層7aよりも高くする方法として、これらの方法に限定されないことはもちろんである。
【0085】
[変形例2]
次いで、本技術が適用された保護素子の他の変形例について説明する。なお、以下の説明において上述した保護素子1,30と同じ部材については同一の符号を付してその詳細を省略することがある。図10図11に示すように、本技術が適用された保護素子40は、絶縁基板の裏面に発熱体を設けてもよい。保護素子40は、絶縁基板2の表面2aと反対側の裏面2bに、発熱体5、第1,第2の引出電極15,16及びこれらを被覆する絶縁保護層7が形成されている。また、絶縁基板2の裏面2bには、発熱体電極6、裏面側中間電極8b、第1、第2の外部接続電極11,12が形成されている。
【0086】
また、絶縁基板2の表面2aには、第1、第2の電極4a,4bと、可溶導体3と、発熱体引出電極4cと、表面側中間電極8aが形成されている。
【0087】
裏面側中間電極8bは、上述した中間電極8と同様に、第2の引出電極16が引き出されている。また、表面側中間電極8aと裏面側中間電極8bは、絶縁基板2の側面に形成されたキャスタレーションや絶縁基板2を貫通する導電スルーホール等により電気的に接続されている。表面側中間電極8aは、発熱体引出電極4cが接続されている。表面側中間電極8aと裏面側中間電極8bは、上述した中間電極8と同様の材料、同様の工程によって形成することができる。
【0088】
発熱体引出電極4cは、表面側中間電極8a及び裏面側中間電極8bを介して発熱体5と電気的及び熱的に接続される。すなわち、保護素子40は、発熱体5が絶縁基板2を介して発熱体引出電極4cを加熱するとともに、熱伝導性に優れる表面側中間電極8a及び裏面側中間電極8bを介して発熱体4の熱が発熱体引出電極4cに伝わり、可溶導体3を加熱、溶断することができる(図11(A)(B))。
【0089】
なお、保護素子40では、発熱体電極6が外部回路基板の電極と接続される外部接続電極ともなるため、保護素子1に設けた第3の外部接続電極13は設けられていない。
【0090】
保護素子40においては、絶縁保護層7は、保護素子30と同様に、絶縁保護層7を、表面に発熱体5が形成される基板側保護層7aと、基板側保護層7a上に形成された発熱体5を覆う被覆保護層7bとにより構成する。基板側保護層7aは絶縁基板2の裏面2bに形成され、表面に発熱体5及び第1、第2の引出電極15,16が形成されている。が形成される。被覆保護層7bは、基板側保護層7a上に積層形成されることにより、基板側保護層7aとともに発熱体5を覆う。
【0091】
保護素子40に係る被覆保護層7bは、基板側保護層7aよりも熱伝導率が低いことが好ましい。これにより、発熱体5の発熱が被覆保護層7b側に逃げにくくするとともに絶縁基板2側により速く熱を伝達することが可能となり、単位時間当たりの基板側保護層7a側へ伝わる熱量が増え、効率よく可溶導体3を加熱することができる。基板側保護層7aの熱伝導率を被覆保護層7bよりも高くする方法としては、例えば基板側保護層7aにのみ熱伝導性フィラー10を含有させ、被覆保護層7bには熱伝導性フィラー10を含有しないようにする方法がある。また、基板側保護層7aに含有する熱伝導性フィラー10を、被覆保護層7bに含有する熱伝導性フィラー10よりも熱伝導率の高いものを使用する方法がある。あるいは、基板側保護層7aに含有する熱伝導性フィラー10の量を、被覆保護層7bに含有する熱伝導性フィラー10の量よりも多くする方法がある。本技術は、基板側保護層7aの熱伝導率を被覆保護層7bよりも高くする方法として、これらの方法に限定されないことはもちろんである。
【実施例0092】
次いで、本技術の実施例1及び実施例2について説明する。実施例1では、絶縁保護層としてガラス層を形成し、ガラス層の厚さ及び熱伝導率を変えた保護素子サンプルを用意し、発熱体の通電から可溶導体の遮断に要するまでの時間(遮断時間)を計測した。保護素子の構成は、上述した保護素子30と同様である。発熱体は酸化ルテニウムにより形成し、厚さ15μmとした。発熱体へは印加電圧60Vで15Aを通電した。
【0093】
ガラス層の膜厚は、発熱体上部の被覆保護層の膜厚をいい、各サンプルの膜厚は10μm、20μm、30μm、40μmとした。基板側保護層の厚さは15μmとした。ガラス層に含有させる熱伝導性フィラーは酸化アルミニウム(熱伝導率:40W/mK)を使用した。また、ガラス層の熱伝導率は、熱伝導性フィラーの体積分率を変えることにより1W/mK~20W/mKの範囲で調整した(図4参照)。
【0094】
保護素子サンプルの評価は、遮断時間を基準とし、0.2秒以下を優(◎)、0.2秒超0.3秒以下を良(○)、0.3秒超を不良(×)とした。電圧を印加した際に絶縁破壊が生じた場合、当該膜厚を有する保護素子サンプルの評価はガラス層の熱伝導率に関わらず全て不良(×)とした。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
表1に示すように、ガラス層の膜厚を10μmとした保護素子サンプルにおいて絶縁破壊が生じたため、当該膜厚のサンプルは全て不良とした。
【0100】
表2に示すように、ガラス層の膜厚を20μmとした保護素子では、全てのサンプルにおいて遮断時間が0.3秒以下であった。
【0101】
表3に示すように、ガラス層の膜厚を30μmとした保護素子では、ガラス層の熱伝導率が1W/mK及び1.25W/mKのサンプルで遮断時間が0.3秒を超えたが、ガラス層の熱伝導率が1.5W/mK以上のサンプルでは遮断時間が0.3秒以下であった。
【0102】
表4に示すように、ガラス層の膜厚を40μmとした保護素子では、ガラス層の熱伝導率が1W/mK~1.75W/mKのサンプルで遮断時間が0.3秒を超えたが、ガラス層の熱伝導率が2W/mK以上のサンプルでは遮断時間が0.3秒以下であった。
【0103】
以上のように、熱伝導率が高い熱伝導性フィラーを含有させ絶縁保護層の熱伝導率を高くするほど、絶縁保護層を厚く形成することができ絶縁破壊が防止された信頼性の高い保護素子を提供でき、且つ溶断時間も短くできる。また、絶縁保護層の厚みが同じであれば、絶縁保護層の熱伝導率が高くなるほど、溶断時間を短縮することができ、より応答性の高い保護素子を提供できる。
【実施例0104】
実施例2では、絶縁保護層としてガラス層を形成し、絶縁保護層の熱伝導率を2W/mKとするために必要な熱伝導性フィラーの体積容量(%)を熱伝導性フィラーの熱伝導率毎に求め、ガラスペーストの塗布性について評価した。
【0105】
絶縁保護層は、ガラスペーストを絶縁基板上にスクリーン印刷により形成した。マスクの開口部は1000×100μmとし、ガラスペーストの塗布厚は20μmとした。
【0106】
塗布性の評価指標としては、塗布パターンにピンホールや欠損もなくスムーズに印刷できた場合を〇(優良)、印刷速度を落として良好な印刷状態を得た場合を△(普通)、印刷速度を落としてもピンホールや欠損が発生した場合を×(不良)とした。
【0107】
【表5】
【0108】
表5に示すように、ガラスペーストに対する熱伝導性フィラーの体積容量が35%以上となると絶縁保護層を構成するガラスペーストの粘度上昇を招くため、塗布性が低下することが分かる。
【0109】
すなわち、熱伝導性フィラーの熱伝導率が低いほど、絶縁保護層の熱伝導率を2W/mKとするために必要な熱伝導性フィラーの体積容量は多くなり、絶縁保護層を構成するガラスペーストの粘度上昇を招くため、塗布性が低下する。
【0110】
一方、熱伝導性フィラーの熱伝導率が高くなるほど、絶縁保護層の熱伝導率を2W/mKとするために必要な熱伝導性フィラーの体積容量は少なくて済み、ガラスペーストの粘度上昇を抑え、良好な塗布性を有する。
【0111】
実施例2では、熱伝導性フィラーの体積容量を25%以下に抑えることで、ガラスペーストの良好な塗布性を備えることが分かる。そのため、絶縁保護層の熱伝導率を2W/mKとするために、熱伝導性フィラーとして少なくとも20W/mKの熱伝導率を備えるものを含有させることが有効であることが分かる。
【符号の説明】
【0112】
1 保護素子、2 絶縁基板、3 可溶導体、4a 第1の電極、4b 第2の電極、4c 発熱体引出電極、5 発熱体、6 発熱体電極、7 絶縁保護層、7a 基板側保護層、7b 被覆保護層、8 中間電極、9 絶縁材料、10 熱伝導性フィラー、11 第1の外部接続電極、12 第2の外部接続電極、13 第3の外部接続電極、15 第1の引出電極、16 第2の引出電極、18 低融点金属層、19 高融点金属層、20 バッテリパック、21 バッテリセル、22 充電装置、23 電流制御素子、24 制御部、25 バッテリスタック、26 充放電制御回路、27 検出回路、28 電流制御素子、30 保護素子、40 保護素子
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