(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040963
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】作物販売システム、作物販売方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20230315BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148196
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】390010814
【氏名又は名称】株式会社誠和
(74)【代理人】
【識別番号】100101742
【弁理士】
【氏名又は名称】麦島 隆
(72)【発明者】
【氏名】加座 健士郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】 本発明は、栽培過程で取得される生育情報を含んだ作物の個体情報を閲覧可能であると共に、所望の個体情報に容易にアクセス可能な作物販売システム、作物販売方法、及びコンピュータプログラムの提供を目的とする。
【解決手段】 本発明は、作物販売装置と、通信回線を介して前記作物販売装置と接続する購入者端末とを含み、前記作物販売装置は、栽培過程で取得される生育情報と、前記生育情報以外の非生育情報とを含む個体情報を作物ごとに記憶するデータベースと、前記購入者端末から、前記生育情報及び前記非生育情報の少なくとも一方に関連する作物の購入条件を受信する手段と、前記データベースを参照し、前記受信した前記購入条件を満たす個体情報を抽出する手段と、前記抽出された前記個体情報のうち、少なくとも前記生育情報を前記購入者端末に送信する手段と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物販売装置と、通信回線を介して前記作物販売装置と接続する購入者端末とを含む作物販売システムであって、
前記作物販売装置は、
栽培過程で取得される生育情報と、前記生育情報以外の非生育情報とを含む個体情報を作物ごとに記憶するデータベースと、
前記購入者端末から、前記生育情報及び前記非生育情報の少なくとも一方に関連する作物の購入条件を受信する手段と、
前記データベースを参照し、前記受信した前記購入条件を満たす個体情報を抽出する手段と、
前記抽出された前記個体情報のうち、少なくとも前記生育情報を前記購入者端末に送信する手段と、
を有する作物販売システム。
【請求項2】
前記生育情報が、作物の色味、大きさ、栽培期間中の生育環境条件のうちの少なくとも1つを含む
請求項1に記載の作物販売システム。
【請求項3】
前記購入条件が、前記生育情報に関連すると共に、作物の色味、大きさ、栽培期間中の生育環境条件のうちの少なくとも1つを含む
請求項1又は2に記載の作物販売システム。
【請求項4】
前記購入者端末から前記購入条件の優先度に関する情報を受け付ける手段と、
前記個体情報を前記購入者端末に送信する際、前記優先度に応じて前記個体情報を表示させる手段と、
を更に有する請求項1~3のいずれか1に記載の作物販売システム。
【請求項5】
前記個体情報を抽出する手段が、前記購入条件に含まれる作物の生育環境条件との一致度が高い順に前記個体情報を抽出する
請求項1~4のいずれか1に記載の作物販売システム。
【請求項6】
栽培過程で取得される生育情報と、前記生育情報以外の非生育情報とを含む個体情報を作物ごとに記憶するデータベースを備える作物販売装置が、
前記作物販売装置と通信回線を介して接続する購入者端末から、前記生育情報及び前記非生育情報の少なくとも一方に関連する作物の購入条件を受信するステップと、
前記データベースを参照し、前記受信した前記購入条件を満たす個体情報を抽出するステップと、
前記抽出された前記個体情報のうち、少なくとも前記生育情報を前記購入者端末に送信するステップと、
を有する作物販売方法。
【請求項7】
前記生育情報が、作物の色味、大きさ、栽培期間中の生育環境条件のうちの少なくとも1つを含む
請求項6に記載の作物販売方法。
【請求項8】
前記購入条件が、前記生育情報に関連すると共に、作物の色味、大きさ、栽培期間中の生育環境条件のうちの少なくとも1つを含む
請求項6又は7に記載の作物販売方法。
【請求項9】
前記作物販売装置が、
前記購入者端末から前記購入条件の優先度に関する情報を受け付けるステップと、
前記個体情報を前記購入者端末に送信する際、前記優先度に応じて前記個体情報を表示させるステップと、
を更に有する請求項6~8のいずれか1に記載の作物販売方法。
【請求項10】
前記個体情報を抽出するステップにおいて、前記購入条件に含まれる作物の生育環境条件との一致度が高い順に前記個体情報を抽出する
請求項6~9のいずれか1に記載の作物販売方法。
【請求項11】
栽培過程で取得される生育情報と、前記生育情報以外の非生育情報とを含む個体情報を作物ごとに記憶するデータベースを備える作物販売装置を、
前記作物販売装置と通信回線を介して接続する購入者端末から、前記生育情報及び前記非生育情報の少なくとも一方に関連する作物の購入条件を受信する手段、
前記データベースを参照し、前記受信した前記購入条件を満たす個体情報を抽出する手段、
前記抽出された前記個体情報のうち、少なくとも前記生育情報を前記購入者端末に送信する手段、
として機能させるコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記生育情報が、作物の色味、大きさ、栽培期間中の生育環境条件のうちの少なくとも1つを含む
請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記購入条件が、前記生育情報に関連すると共に、作物の色味、大きさ、栽培期間中の生育環境条件のうちの少なくとも1つを含む
請求項11又は12に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
更に、前記作物販売装置を、
前記購入者端末から前記購入条件の優先度に関する情報を受け付ける手段、
前記個体情報を前記購入者端末に送信する際、前記優先度に応じて前記個体情報を表示させる手段、
として機能させる請求項11~13のいずれか1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記個体情報を抽出する手段が、前記購入条件に含まれる作物の生育環境条件との一致度が高い順に前記個体情報を抽出する
請求項11~14のいずれか1に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物販売システム、作物販売方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
食肉と同様、作物(例えば、野菜類、果実類等の農作物)の安全性に関しても消費者の関心が高まっている。このような状況下、トレーサビリティシステムのような、作物の生産者、生産地、品質等に関する生産情報に加え、流通・小売の各過程における入出荷情報を消費者及び関連事業者に提供する仕組みが実施されている。これに関連する技術として、特許文献1~5の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3355366号公報
【特許文献2】特許第6850451号公報
【特許文献3】特許第4989364号公報
【特許文献4】国際公開第2013/145159号
【特許文献5】特許第6831887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2の発明において、作物の識別情報を作物ごとに貼付する必要があるため、生産者側に大きな作業負担が生じる。また、特許文献3,4の発明において、作物の識別情報を印字するラベリング装置やICタグ等の専用の機器・設備を別途用意しなければならず、これらの導入コストが掛かる。
【0005】
ところで、近年のインターネットの普及に伴い、所謂ECサイトを介して作物を取引する電子商取引システムが提供されている。特許文献5の発明は、作物の電子商取引システム(電子商取引装置)に関するものであるところ、前記電子商取引システムが、作物の品目、品種、収穫量、収穫時期、希望販売価格等の情報を生産者側通信端末から受け付けると共に、これらの情報を消費者側通信端末に提供する。これにより、消費者は、作物に関連する各種情報を閲覧できる。そのため、特許文献5の発明によれば、特許文献1~4のように、生産者の作業負担や、専用機器・設備の導入コストが生じない。
【0006】
ただし、このような電子商取引システムにおいて、作物の品目、品種、収穫量、収穫時期に加えて、栽培過程で取得される各種の生育情報(防除履歴、追肥履歴、生育環境、生体情報等)を閲覧できれば、作物の安全性に関する更なる情報を消費者及び関連事業者に提供できる。更に、消費者及び関連事業者が、所望の作物の個体情報に容易にアクセスできれば、より利便性が高まる。しかしながら、このような観点は、特許文献5に開示も示唆もされていない。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、栽培過程で取得される生育情報を含んだ作物の個体情報を閲覧可能であると共に、所望の個体情報に容易にアクセス可能な作物販売システム、作物販売方法、及びコンピュータプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の作物販売システムは、
作物販売装置と、通信回線を介して前記作物販売装置と接続する購入者端末とを含み、
前記作物販売装置は、
栽培過程で取得される生育情報と、前記生育情報以外の非生育情報とを含む個体情報を作物ごとに記憶するデータベースと、
前記購入者端末から、前記生育情報及び前記非生育情報の少なくとも一方に関連する作物の購入条件を受信する手段と、
前記データベースを参照し、前記受信した前記購入条件を満たす個体情報を抽出する手段と、
前記抽出された前記個体情報のうち、少なくとも前記生育情報を前記購入者端末に送信する手段と、
を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る作物販売システムにおいて、
前記生育情報が、作物の色味、大きさ、栽培期間中の生育環境条件のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0010】
更に、本発明に係る作物販売システムにおいて、
前記購入条件が、前記生育情報に関連すると共に、作物の色味、大きさ、栽培期間中の生育環境条件のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0011】
更に、本発明に係る作物販売システムは、
前記購入者端末から前記購入条件の優先度に関する情報を受け付ける手段と、
前記個体情報を前記購入者端末に送信する際、前記優先度に応じて前記個体情報を表示させる手段と、
を更に有することが好ましい。
【0012】
更に、本発明に係る作物販売システムにおいて、
前記個体情報を抽出する手段が、前記購入条件に含まれる作物の生育環境条件との一致度が高い順に前記個体情報を抽出することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る作物販売方法は、
栽培過程で取得される生育情報と、前記生育情報以外の非生育情報とを含む個体情報を作物ごとに記憶するデータベースを備える作物販売装置が、
前記作物販売装置と通信回線を介して接続する購入者端末から、前記生育情報及び前記非生育情報の少なくとも一方に関連する作物の購入条件を受信するステップと、
前記データベースを参照し、前記受信した前記購入条件を満たす個体情報を抽出するステップと、
前記抽出された前記個体情報のうち、少なくとも前記生育情報を前記購入者端末に送信するステップと、
を有することを特徴とする。
【0014】
更に、本発明に係る作物販売方法において、
前記生育情報が、作物の色味、大きさ、栽培期間中の生育環境条件のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0015】
更に、本発明に係る作物販売方法において、
前記購入条件が、前記生育情報に関連すると共に、作物の色味、大きさ、栽培期間中の生育環境条件のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0016】
更に、本発明に係る作物販売方法において、
前記作物販売装置が、
前記購入者端末から前記購入条件の優先度に関する情報を受け付けるステップと、
前記個体情報を前記購入者端末に送信する際、前記優先度に応じて前記個体情報を表示させるステップと、
を更に実行することが好ましい。
【0017】
更に、本発明に係る作物販売方法は、
前記個体情報を抽出するステップにおいて、前記購入条件に含まれる作物の生育環境条件との一致度が高い順に前記個体情報を抽出することが好ましい。
【0018】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、
栽培過程で取得される生育情報と、前記生育情報以外の非生育情報とを含む個体情報を作物ごとに記憶するデータベースを備える作物販売装置を、
前記作物販売装置と通信回線を介して接続する購入者端末から、前記生育情報及び前記非生育情報の少なくとも一方に関連する作物の購入条件を受信する手段、
前記データベースを参照し、前記受信した前記購入条件を満たす個体情報を抽出する手段、
前記抽出された前記個体情報のうち、少なくとも前記生育情報を前記購入者端末に送信する手段、
として機能させることを特徴とする。
【0019】
更に、本発明に係るコンピュータプログラムにおいて、
前記生育情報が、作物の色味、大きさ、栽培期間中の生育環境条件のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0020】
更に、本発明に係るコンピュータプログラムにおいて、
前記購入条件が、前記生育情報に関連すると共に、作物の色味、大きさ、栽培期間中の生育環境条件のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0021】
更に、本発明に係るコンピュータプログラムにおいて、
更に、前記作物販売装置を、
前記購入者端末から前記購入条件の優先度に関する情報を受け付ける手段、
前記個体情報を前記購入者端末に送信する際、前記優先度に応じて前記個体情報を表示させる手段、
として機能させることが好ましい。
【0022】
更に、本発明に係るコンピュータプログラムにおいて、
前記個体情報を抽出する手段が、前記購入条件に含まれる作物の生育環境条件との一致度が高い順に前記個体情報を抽出することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、栽培過程で取得される生育情報を含んだ作物の個体情報を閲覧可能であると共に、所望の個体情報に容易にアクセス可能な作物販売システム、作物販売方法、及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る作物販売システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の作物販売装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の作物販売装置に構築される基本情報DBのレイアウトの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の作物販売装置に構築される生体情報DBのレイアウトの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の作物販売装置に構築される環境情報DBのレイアウトの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の作物販売装置に構築される追肥情報DBのレイアウトの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の作物販売装置に構築される防除情報DBのレイアウトの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、作物販売システム1の動作を説明するシーケンスチャートである。
【
図9】
図9は、作物の購入条件を入力するためのページレイアウトの一例である。
【
図10】
図10は、個体情報の抽出(検索)リストを表示するページレイアウトの一例である。
【
図11】
図11は、作物の内容を示すページレイアウトの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[作物販売システムの構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係る作物販売システム1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る作物販売システム1の構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示されるように、本実施形態の作物販売システム1は、作物販売装置10、作物の生産者が操作する生産者端末20、作物の購入者(例えば、消費者、卸売業者等の中間業者、小売業者)が操作する購入者端末30を含む。また、作物販売装置10、生産者端末20、購入者端末30の各々が、通信回線Nを介して接続される。
【0027】
更に、作物販売装置10は、例えば、生産者が管理する圃場や温室内等に設置され、作物の生育環境を測定するための各種測定機器40(例えば、温度センサ、湿度センサ、CO2濃度センサ、日射センサ等)からの測定情報、あるいは、地球観測衛星や気象衛星等の人工衛星50からの測定情報等を受信可能であることが好ましい。
【0028】
ここで、本実施形態の作物販売装置10は、パーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータであってよく、複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであってもよい。また、作物販売装置10は、ウェブサーバとしても機能し、購入者端末30からの注文を受け付け、作物を取引するためのECサイトを提供する。
【0029】
また、本実施形態の生産者端末20や購入者端末30は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等のコンピュータであってよい。更に、生産者端末20や購入者端末30は、作物販売装置10から提供される前記ECサイトを閲覧するためのウェブブラウザ機能を備える。なお、
図1に、生産者端末20及び購入者端末30が、それぞれ1つずつ示されているが、実際は、複数の生産者端末20及び購入者端末30を含むことが想定される。
【0030】
次に、
図2を参照して、本実施形態の作物販売装置10の構成を説明する。
図2は、本実施形態の作物販売装置10の構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、作物販売装置10は、制御部11、主記憶部12、通信インターフェイス13、入力インターフェイス14、補助記憶部15を含む。
【0031】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を備え、補助記憶部15に記憶されたコンピュータプログラムP1やデータを読み出し、所定の情報処理を実行する。また、主記憶部12は、DRAM(Dynamic Random Access Unit)等のメモリ装置を備え、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。更に、通信インターフェイス13は、例えば、生産者端末20や購入者端末30との間で通信を行うためのインターフェイスである。更に、入力インターフェイス14は、測定装置40や人工衛星50等からの測定情報を受け付けるためのインターフェイスである。
【0032】
更に、補助記憶部15は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体であり、制御部11が後述する各種情報処理を実行するためのコンピュータプログラムP1やデータを記憶する。なお、コンピュータプログラムP1は、補助記憶部15以外の記録媒体に記憶させて提供されてもよい。記録媒体の例として、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO(磁気ディスク)、DVD-ROM、メモリーカード等が挙げられる。また、通信回線を介して、コンピュータプログラムP1をコンピュータ(作物販売装置10)に伝送してインストールすることも可能である。
【0033】
ここで、補助記憶部15には、各種データベース(基本情報DB151、生体情報DB152、環境情報DB153、追肥情報DB154、防除情報DB155等)が構築されている。
図3~
図7を参照して、前記データベースの詳細を説明する。なお、これらのデータベースは、作物ごとに付与される個体番号(各作物を識別するための番号)を介して、相互に関連付けられている。
【0034】
まず、基本情報DB151は、各作物の属性等に係る各種情報を蓄積する。基本情報DB151に蓄積される情報の例として、
図3に示されるような個体番号、生産者ID、品目、品種、希望販売価格等の情報が挙げられる。本実施形態において、これらの情報は、生産者の入力操作を介して、生産者端末20から作物販売装置10に送信される。
【0035】
次に、生体情報DB152は、栽培過程で取得された各作物の外観、品質等に係る各種情報を蓄積する。生体情報DB152に蓄積される情報の例として、
図4に示されるような個体番号、色味(彩度)、大きさ(サイズ)、糖度、酸度、収穫時の画像データ等が挙げられる。これらの情報は、生産者の入力操作を介して、生産者端末20から作物販売装置10に送信されてもよいし、測定装置40から作物販売装置10に送信されてもよい。
【0036】
次に、環境情報DB153は、栽培過程で取得された各作物の生育環境に係る各種情報を蓄積する。環境情報DB153に蓄積される情報の例として、
図5に示されるような個体番号、測定期間、前記測定期間中の気象条件(測定期間における平均気温、平均湿度、平均降雨量、平均日射量等)、温室内のCO
2濃度等が挙げられる。これらの情報は、生産者の入力操作を介して、生産者端末20から作物販売装置10に送信されてもよいし、測定装置40や人工衛星50から作物販売装置10に送信されてもよい。
【0037】
次に、追肥情報DB154は、栽培過程における追肥の履歴に係る各種情報を蓄積する。追肥情報DB154に蓄積される情報の例として、
図6に示されるような個体番号、追肥日、追肥された肥料の種類(肥料に含まれる成分の種類)、各成分の量(濃度)等の情報が挙げられる。これらの情報は、生産者の入力操作を介して、生産者端末20から作物販売装置10に送信される。
【0038】
次に、防除情報DB155は、栽培過程における防除作業の履歴に係る各種情報を蓄積する。防除情報DB155に蓄積される情報の例として、
図7に示されるような個体番号、防除日、防除作業の内容等の情報が挙げられる。これらの情報は、生産者の入力操作を介して、生産者端末20から作物販売装置10に送信される。
【0039】
[作物販売システムの動作]
次に、
図8~
図11を参照して、作物販売システム1の動作を説明する。ここで、
図8は、作物販売システム1の動作を説明するシーケンスチャートである。また、
図9は、作物の購入条件を入力するためのページレイアウトの一例である。更に、
図10は、個体情報の抽出(検索)リストを表示するページレイアウトの一例である。更に、
図11は、個体情報の内容を示すページレイアウトの一例である。
【0040】
まず、
図8に示されるように、購入者端末30にインストールされるウェブブラウザを介して、購入者端末30が作物販売端末10にアクセスし、作物販売に係るECサイトのページ情報(作物の購入条件の入力ページ)を要求する(S11)。
【0041】
次に、購入者端末30からECサイトのページ情報の要求を受けた作物販売装置10は、例えば、
図9に示されるような作物の購入条件を入力するためのページ情報を送信する(S12)。
【0042】
購入条件の入力ページには、例えば、作物の品目、品種、価格等の条件を入力する条件入力枠31~33に加え、作物の色味や大きさ等の生体情報や、肥料条件(肥料の種類、追肥条件等)、防除条件、気象条件等の生育環境情報の条件(生育環境条件)を入力する条件入力枠34~37が表示される。なお、作物の生体情報、生育環境情報を含む情報を「生育情報」と言う。また、作物の品目、品種、価格など、生育情報以外の情報を「非生育情報」と言う。
【0043】
購入者の操作によって、例えば、前記条件のうちの少なくとも1つが入力された後、検索ボタンSがクリックされることで、作物販売装置10に入力条件が送信される(S13)。購入条件の入力方法は、特に限定されないが、購入者が所望する条件の文字列(例えば、品目に関して「トマト」、価格に関して「2500円~3500円」、色味に関して「濃」、気象条件に関して「日射量 〇〇Mj/m2以上」)を条件入力枠31~37のいずれかに直接入力する方法であってもよいし、購入者の操作によって条件入力枠31~37上のいずれかの箇所がクリックされると、選択可能な条件候補の一覧が表示され、その中から購入者に所望の条件を選択させる方法であってもよい。
【0044】
なお、特に、作物の生育情報を特定するための文字列が入力される際、作物販売装置10に記憶される項目名以外の文字列が用いられることがある(例えば、作物販売装置10において、「日射量」の項目に属する情報が検索される際、購入者端末30から「日照量」などと入力される場合や、作物販売装置10において、「追肥」の文字列を含む項目に属する情報が検索される際、購入者端末30から「施肥」などと入力される場合など)。このような場合に、購入者が所望する作物を適切に検索するため、種々の類義語を分類したシソーラスが、作物販売装置10の例えば補助記憶部15に記憶されていることが好ましい。
【0045】
また、購入条件の入力ページに、各購入条件の優先度に関する情報(優先度情報)を入力する優先度入力枠38a~38gが表示されてもよい。これにより、購入者は、購入条件と共にその優先度情報を指定することができる(例えば、品目、価格、気象条件の3つの条件入力枠31,33,37に購入条件が入力された場合、各々に対応する優先度入力枠38a,38c,38gに、例えば、「1」,「2」,「3」のような優先度を示す数値が入力される)。また、購入条件及び優先度情報が入力された後、検索ボタンSがクリックされると、購入者端末30から作物販売装置10にこれらの情報が送信される。それに伴い、作物販売装置10は、購入条件の優先度情報を受け付ける。
【0046】
ただし、優先度情報の入力方法は、前記に限られない。他の方法として、例えば以下の態様が挙げられる。すなわち、作物販売装置10は、購入条件の項目名(例えば、「品目」、「品種」、「価格」、・・・、「気象条件」)と、対応する優先度入力枠を表示させるページ情報を購入者端末30に送信する。続いて、購入者端末30は、優先度入力枠に各項目の優先度情報を入力し、これを作物販売装置10に送信する。続いて、作物販売装置10は、優先度に応じて、各項目の購入条件ごとに入力ページ情報を順次購入者端末30に送信する。最後に、購入者端末30は、順次送信される入力ページを介して各項目の購入条件を作物販売装置10に送信する(作物販売装置10は、優先度情報と購入条件を受け付ける)。
【0047】
後述するように、購入者端末30から購入条件を受信した作物販売装置10は、購入条件を満たす作物の個体情報を抽出するところ、作物販売装置10は、抽出された個体情報を購入条件の優先度に応じて並べたリスト情報を販売者端末30に表示させることが好ましい。例えば、
図10に示す例の場合、上の3つが優先度1の購入条件を満たす個体情報であり、次の2つが優先度2の購入条件を満たす個体情報であり、次の2つが優先度3の購入条件を満たす個体情報である。このように、複数の個体情報を優先度の高い購入条件順に並べることで、購入者は、所望の個体情報か否かを更に容易に確認することができる。
【0048】
次に、購入者端末30から購入条件を受信した作物販売装置10は、補助記憶部15の各データベース(基本情報DB151、生体情報DB152、環境情報DB153、追肥情報DB154、防除情報DB155)を参照して、購入条件を満たす作物の個体情報を抽出する(S14)。また、複数の個体情報が抽出された場合、作物販売装置10は、
図10に示されるような個体情報のリスト情報を購入者端末30に送信してもよい(S15)。
【0049】
更に、購入者端末30から受信した購入条件に、作物の生育環境条件(肥料条件(肥料の種類、追肥条件等)、防除条件、気象条件等)が含まれる場合、作物販売装置10は、当該生育環境条件との一致度が高い順に個体情報を抽出する。また、作物販売装置10は、複数の個体情報が抽出順に並ぶページ情報を購入者端末30に送信することが好ましい。
【0050】
ところで、作物の品質の良否や安全性は、生育環境(栽培環境)に大きく依存するところ、中間業者や小売業者等の関連事業者は、これらに関する知識や考慮指標を消費者に比べて多く持ち得る。また、購入者端末30の複数の個体情報を示すリストが表示される場合、リストの上方に位置する個体情報から閲覧される傾向を有する。そのため、購入者端末30に表示される個体情報のリストの上方に、生育環境条件との一致度が高い個体情報が配置されることで、特に、中間業者や小売業者等の関連事業者が、所望の個体情報に容易にアクセスすることができる。このことから、作物販売装置10は、中間業者や小売業者等の関連事業者向けの作物ECサイトにも適する。
【0051】
次に、購入者端末30に表示される個体情報を示す文字列がクリックされると、当該個体情報の内容を詳細に示すページに遷移する。これにより、個体情報(作物)の内容が閲覧される(S16)。各作物の内容を示すページ情報の一例を
図11に示す。
図11に示されるように、作物の内容を示すページ情報には、生産者、生産地、品目、品種、生育情報(生体情報、生育環境)、希望販売価格、収穫後の作物の画像等が表示される。
【0052】
ここで、生育情報は各種の履歴情報(例えば、気象履歴、追肥履歴、防除履歴等)を含むところ、作物ごとに予め定められた期間中の情報のみを表示することが好ましい(例えば、トマト:2カ月、イチゴ:6週間、ガーベラ:3カ月)。このように、履歴情報の表示期間を限定することで、購入者端末30に提供される情報のうち、作物の購入判断に重要な情報の割合を増やすことできる。
【0053】
なお、表示期間の選定方法は特に限定されないが、例えば、野菜類や果実類に関しては、開花時期から収穫時期までの平均期間又は最長期間、花卉やその他の作物に関しては、定植から開花(出荷)までの平均期間のように選定するなどの方法が挙げられる。
【0054】
最後に、購入者が、閲覧した作物の購入を決めた場合、購入者の操作を介して、購入者端末30から作物販売装置10に購入希望情報が送信される(S17)。そして、購入希望情報を受信した作物販売装置10が、購入者端末30に対して販売承諾通知を送信することで、当該作物の取引が成立する。最終的に、作物販売装置10が、購入された作物の出荷を指示することで、当該作物が購入者に提供される。
【0055】
なお、作物販売装置10は、購入者の作物購入履歴や検索履歴等に基づき、当該購入者が興味を持ち得る他の作物のレコメンド情報を購入者端末30に送信してもよい。また、作物販売装置10において、効果的なレコメンド情報を判定にAI(Artificial Intelligence)を用いてもよい。
【0056】
特に限定されるものではないが、AIを用いたレコメンド情報の判定例として以下が挙げられる。例えば、所定の特徴を有する作物を購入した購入者が、別の特徴を有する同種又は別種の作物を購入するという相関関係が予想される場合(例えば、日射量〇〇Mj/m2~△△Mj/m2の生育環境で栽培されたトマトの購入者が、□□県で生産されたキュウリを購入するといった相関関係が予想される場合など)、その相関関係を有する情報群を教師データとして構築された学習モデルを用いてレコメンド情報を判定するなどの態様である。
【0057】
更に、購入者端末30から入力される所定の購入条件と、それとは異なる別の特徴を有する作物との間で、前述のような相関関係があると予想される場合などにおいても、前記AIによる同様の手法を用いることができる。これにより、前記ECサイトにおいて、所望する作物の検索精度が向上すると共に、作物の取引成約率を高めることができる。
【0058】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本出願人は、特開2019-30253号として、生産者端末からの作物の生体情報、環境情報、追肥情報等を受信し、それらの情報を分析し、その分析結果や栽培アドバイスなどに関する情報を提供する栽培支援装置(物理サーバー、クラウドサーバーのいずれで構成されたタイプも含む(図示せず))に関する技術を提案している。そこで、この栽培支援装置を上記実施形態の作物販売装置10に連係させることで、栽培支援装置に集められた各生産者に対応した生体情報、環境情報、追肥情報等を上記の補助記憶部15の各種データベース(基本情報DB151、生体情報DB152、環境情報DB153、追肥情報DB154、防除情報DB155等)に自動的に記憶される構成とすることもできる。
この構成とすれば、栽培支援装置を利用したシステム、及び、上記実施形態に係る作物販売システム1のいずれも利用している生産者の場合、生育情報等を栽培支援装置のみに送信すればよく、便利である。
また、各生産者に対応した生体情報、環境情報、追肥情報等を記憶している栽培支援装置の記憶部自体を、上記実施形態の作物販売装置10の補助記憶部15として用いる態様も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1 作物販売システム
10 作物販売装置
20 生産者端末
30 購入者端末
40 生育環境を測定するための測定機器
50 人工衛星
151 基本情報DB
152 生体情報DB
153 環境情報DB
154 追肥情報DB
155 防除情報DB