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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040973
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】連結具
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20230315BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
E04B1/58 503L
E04B1/58 508L
E04B1/26 G
E04B1/58 506L
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148214
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】510082053
【氏名又は名称】株式会社ストローグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002996
【氏名又は名称】弁理士法人宮田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大倉 憲峰
(72)【発明者】
【氏名】大倉 義邦
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA14
2E125AB12
2E125AC23
2E125AG03
2E125AG12
2E125AG13
2E125AG23
2E125AG25
2E125AG36
2E125AG38
2E125BB02
2E125BB12
2E125BB13
2E125BB22
2E125BB25
2E125BB27
2E125BB32
2E125BB34
2E125BB36
2E125BD01
2E125BE07
2E125BE08
2E125BF06
2E125BF08
2E125CA79
2E125CA91
(57)【要約】
【課題】
木造建築などを構成する部材の据え付けに用い、部材の強度を維持しながらも、配管のための大きな開口を確保することのできる連結具を提供すること。
【解決手段】
連結具11は、一方材81と他方材91との境界に配置し、その一端側は一方材81に取り付け、他端側は他方材91に取り付けて一方材81と他方材91を連結する。そして連結具11において、一方材81との取り付け箇所から他方材91との取り付け箇所までの区間には、一方材81で区画された空間同士を連通させるため、両側面を貫く大穴39を形成してあり、これを配管のための開口として使用する。一方材81に作用する荷重は、連結具11との取り付け箇所で連結具11に伝達されるため、一方材81において、大穴39と重なる位置に大きな荷重が作用することはなく、そこに窓穴89を形成した場合でも一方材81の強度を維持できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方材(81)と他方材(91または92)との境界に配置される連結具であって、その一端側は該一方材(81)に取り付け、また他端側は該他方材(91または92)に取り付けることで、該一方材(81)と該他方材(91または92)を連結することができ、
該一方材(81)との取り付け箇所から該他方材(91または92)との取り付け箇所までの区間には、該一方材(81)で区画された空間同士を連通させるため、両側面を貫く大穴(39)を形成してあることを特徴とする連結具。
【請求項2】
本体(21または23)と付属部(22または24)との分割可能な二要素で構成され、前記大穴(39)は該付属部(22または24)に形成してあることを特徴とする請求項1記載の連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築などを構成する各種部材の据え付けに用いる連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の床下や天井裏には、通常、電力線やガス管や上下水道管や通信線など、様々な配線や管類(以下、これらを一括して配管と記載する)が敷設されている。このような配管は、梁などの主要な部材を避けて敷設することが多いものの、様々な事情により、梁などの部材の側面に穴を形成し、そこに配管を通すこともある。そしてこの穴が大きくなると、部材の欠損範囲も大きくなり、強度上の問題を生じる恐れがある。そこで鉄骨構造の建築物において、梁などの鋼材に配管用の大きな穴を形成する場合、その外縁を取り囲むように鉄板を溶接し、必要な強度を確保することがある。
【0003】
本願発明と関連のある技術の例として後記の特許文献が挙げられる。そのうち特許文献1では、受け梁と掛け梁との接合部において、掛け梁の曲げ強度を損なうことなく、しかも配管類を連続して天井裏に敷設可能な横架材接合部構造が開示されている。この接合部構造では、受け梁の側面と掛け梁の端面がT字状に接触しており、さらに掛け梁の端面下部を凹状に切り欠いており、そこに配管類を敷設することができる。掛け梁の端面下部は、掛け梁の強度に大きな影響を与えないため、このような切り欠きを形成した場合でも、掛け梁の曲げ強度を損なうことはない。
【0004】
次の特許文献2では、配管や配線が木質梁を貫通する箇所を削減することのできる建物が開示されている。この建物は、鋼製の枠材で構成された矩形状の仕口部を用いており、この仕口部に木質柱や木質梁の端面を接触させた上、全ネジボルトなどを用い、木質柱や木質梁を仕口部に引き寄せている。仕口部は中空であるため、そこに配管類を収容することができ、配管類が木質梁を貫通する箇所を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-194481号公報
【特許文献2】特開2020-97845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の木造建築において、梁などの骨格を構成する部材は、比較的小断面であることが多く、その周辺に配管用のスペースを確保することが容易だったため、部材に配管用の穴を形成することは少なかった。しかし近年は、集成材の製造技術の向上などにより、大断面の部材を鋼材と同様に使用する木造建築が実用化されており、このような建築物では、配管用のスペースが狭くなることから、部材に配管用の大きな穴を形成することがある。その場合、鉄骨構造のような溶接による補強は不可能であり、補強を行う際は、穴の両側を跨ぐように木片を取り付けるなど、手間の掛かる作業が避けられない。
【0007】
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、木造建築などを構成する部材の据え付けに用い、部材の強度を維持しながらも、配管のための大きな開口を確保することのできる連結具の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、一方材と他方材との境界に配置される連結具であって、その一端側は該一方材に取り付け、また他端側は該他方材に取り付けることで、該一方材と該他方材を連結することができ、該一方材との取り付け箇所から該他方材との取り付け箇所までの区間には、該一方材で区画された空間同士を連通させるため、両側面を貫く大穴を形成してあることを特徴とする。
【0009】
本発明による連結具は、木造建築を始めとする各種の木構造において、一方材と称する部材と他方材と称する部材を連結するために用い、しかも一方材は木材であることを前提とする。また連結具の具体的な構成については、自在に決めることができる。なお連結具は、一方材などの内部に埋め込まれ、その大半が覆い隠されることもあれば、一方材と他方材が接触することなく離れて配置され、双方の間に露出することもある。
【0010】
他方材については、柱や梁などの木材に限定されるものではなく、基礎や壁などのコンクリート面のほか、各種鋼材となることもある。この場合、基礎や壁や鋼材によって一方材が支持されることになり、この一方材の据え付け箇所に連結具が配置されることになる。また、一方材と他方材の両方が木材である場合についても、一方材と他方材との配置は自在であり、双方の端面が接触して一直線に並ぶこともあれば、一方材の端面と他方材の側面が向かい合い、これらがL字状やT字状に並ぶこともある。
【0011】
連結具は、何らかの手段を介して一方材と他方材の双方に取り付ける必要がある。この手段については、従来と同様、ピンやボルトなどが挙げられる。ピンの場合、一方材や他方材の表面から差し込み、その途中で連結具と交差させることで、ピンを介して連結具が一方材や他方材に取り付けられる。またボルトについても、ピンと同様、一方材や他方材の表面から差し込み、その途中で連結具と交差させることになる。そのほか、一方材や他方材の内部に何らかの金属製の埋設具を埋め込み、連結具から埋設具に向けてボルトを差し込み、連結具と埋設具を密着させ、埋設具を介して連結具を一方材や他方材に取り付けることもある。なお埋設具については、ラグスクリューやシャフトなど、様々な従来技術の中から自在に選択可能である。
【0012】
大穴は、連結具の両側面を貫き、配管の通路として機能するものである。なお連結具が一方材の内部に埋め込まれる場合、一方材には、大穴と重なる位置に切り抜き状の窓穴を形成し、一方材で区画された空間同士を連通させる機能を発揮させるものとする。この大穴の大きさや形状は自在であり、円断面に限定されることはない。また大穴を一箇所ではなく、複数箇所とすることもできる。ただし連結具は、想定される荷重に対する強度を確保するものとする。そのほか大穴は、一方材側だけに留まらず、他方材側に食い込むこともあり得る。
【0013】
前記のように連結具は、ピンや埋設具などを介して一方材や他方材に取り付けており、これとの兼ね合いから大穴の配置は制限を受けることになる。そのため大穴は、連結具を一方材に取り付ける箇所から他方材に取り付ける箇所までの区間に形成する。また一方材には、軸力や曲げモーメントなどの各種荷重が作用することになるが、この荷重は、連結具と一方材との取り付け箇所で連結具に伝達されることになる。その結果、一方材において、連結具との取り付け箇所から端部までの区間では、大きな荷重が作用することはなく、大穴と重なる位置に窓穴を形成した場合でも、その強度を維持することができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、連結具の構成に関するものであり、本体と付属部との分割可能な二要素で構成され、大穴は付属部に形成してあることを特徴とする。本発明では連結具に大穴を形成するため、必然的に連結具も大形化することになる。そこでこの発明のように、連結具を本体と付属部に分割可能な構造にすることで、その製造や取り扱いが容易になる。しかも本体については、従来から普及している製品をそのまま流用することもできる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明のように、一方材と他方材を一体化する連結具に大穴を形成し、この大穴により、一方材で区画された空間同士を連通させることで、そこに様々な配管を敷設することができる。しかも一方材に作用する様々な荷重は、連結具と一方材との取り付け箇所で連結具に伝達されることになる。そのため一方材において、大穴と重なる位置に大きな荷重が作用することはなく、必然的に一方材の強度が維持されることになり、大穴と重なるように窓穴を形成することができる。
【0016】
請求項2記載の発明のように、連結具を本体と付属部との分割可能な二要素で構成し、付属部に大穴を形成することで、連結具の製造や取り扱いが容易になる。しかも本体については、従来から普及している製品をそのまま流用することで、製造に要する費用を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による連結具の形状例を示す斜視図であり、いずれも棒状の一方材と他方材を一直線に連結し、しかも一方材と他方材との境界面に配管のための開口を確保している。なお図の上方では、一方材と他方材と連結具が分離した状態を描いてあり、図の下方では、これらが一体化した状態を描いてある。
図2図1と同じ連結具を用い、いずれも棒状の一方材と他方材を一直線に連結する形態を示す斜視図だが、配管のための開口を一方材側に確保してある。なお図の上方では、一方材と他方材と連結具が分離した状態を描いてあり、図の下方では、これらが一体化した状態を描いてある。
図3】コの字状の連結具を用いて一方材と他方材を連結する場合を示す斜視図であり、図の上方では、一方材と他方材と連結具が分離した状態を描いてあり、図の下方では、これらを一体化した状態を描いてある。
図4図1および図3に類似する連結具を示す斜視図であり、図の上方では、矩形状の鋼板に二箇所の大穴を形成した連結具を描いてあり、図の下方では、T字状の連結具を描いてある。
図5】階段状の連結具を用いて一方材と他方材を連結する場合を示す斜視図である。
図6図5に描いた一方材と他方材を連結していく過程を示す斜視図であり、図の上方は途中段階であり、図の下方は最終段階である。
図7】階段状の連結具を用いて一方材と他方材を連結する場合を示す斜視図であり、この連結具は、本体と付属部の二要素に分割されている。
図8図7に描いた一方材と他方材を連結していく過程を示す斜視図であり、図の上方は途中段階であり、図の下方は最終段階である。
図9】角棒状の連結具を用いて一方材と他方材を連結する場合を示す斜視図であり、この連結具は、本体と付属部の二要素に分割されている。
図10図9に描いた一方材と他方材を連結していく過程を示す斜視図であり、図の上方は途中段階であり、図の下方は最終段階である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明による連結具11の形状例を示しており、いずれも棒状の一方材81と他方材91を一直線に連結し、しかも一方材81と他方材91との境界面に配管のための開口を確保している。なお図の上方では、一方材81と他方材91と連結具11が分離した状態を描いてあり、図の下方では、これらが一体化した状態を描いてある。ここでの一方材81と他方材91はいずれも木材であり、双方の端面同士を連結することで、この二本を実質的に一本の部材に統合する。そして一方材81と他方材91との連結を担う連結具11は、単純な矩形状の鋼板であり、これを一方材81と他方材91との境界を跨ぐように配置する。そのため一方材81の端面の中央には、連結具11を差し込むため、一方材81の長手方向に伸びるスリット87を加工してあり、他方材91についても同様にスリット97を加工してある。したがって連結具11は、スリット87、97の内部に埋め込まれる。
【0019】
スリット87に差し込まれた連結具11を一方材81に取り付けるため、固定ピン78を用いている。固定ピン78は、一方材81の側面から打ち込まれ、その途中で連結具11と交差するため、一方材81と連結具11は離脱不能に一体化する。そして固定ピン78を打ち込むため、一方材81の側面には横穴88を加工してあり、途中でスリット87と交差して反対面に到達している。なお横穴88は、固定ピン78を緩みなく保持できる内径としてあり、図では三箇所の横穴88が上下に並んでいる。さらに他方材91についても、同様に横穴98を加工してある。また連結具11については、それぞれの横穴88、98と同心に揃う位置にピン穴38を形成してあるが、ピン穴38は連結具11の端部近傍に位置する。
【0020】
連結具11を用いて一方材81と他方材91を連結した際、一方材81などで区画された空間同士を連通させるため、一方材81の端面の中央付近には、あらかじめ半月状に切り欠いた窓穴89を加工しておく。同様に他方材91の端面の中央付近にも、窓穴99を加工しておく。また連結具11の中央には、左右の窓穴89、99と段差なく重なる位置に大穴39を形成してあり、窓穴89、99と大穴39が並ぶことで、配管のための開口が確保される。
【0021】
一方材81と他方材91を連結する際は、一方材81のスリット87に連結具11を差し込み、次にその横穴88からピン穴38に向けて固定ピン78を打ち込み、一方材81に連結具11を取り付ける。その際、連結具11の半分は一方材81の端面から突出しているほか、一方材81の窓穴89と連結具11の大穴39は、段差なく重なっている。その後、突出している連結具11を他方材91のスリット97に差し込み、さらに他方材91の横穴98からピン穴38に向けて固定ピン78を打ち込むと、図の下方のように、連結具11を介して一方材81と他方材91が連結される。以降、窓穴89、99と大穴39は段差なく重なり、そこに円断面の開口が確保され、様々な配管を敷設することができる。
【0022】
この図において、一方材81と連結具11との取り付け位置は、固定ピン78の打ち込み位置であり、一方材81に作用する様々な荷重は、ここで連結具11に伝達される。そのためこの位置から一方材81の端面までの区間については、一方材81に大きな荷重が作用することはなく、一方材81に窓穴89を加工した場合でも、一方材81の強度が低下することはない。その結果、窓穴89を可能な限り大きくすることも容易である。この点は他方材91についても同様であり、固定ピン78の打ち込み位置から他方材91の端面までの区間についても、大きな荷重が作用することはなく、窓穴99を可能な限り大きくすることも容易である。
【0023】
図2は、図1と同じ連結具11を用い、いずれも棒状の一方材81と他方材91を一直線に連結する形態だが、配管のための開口を一方材81側に確保してある。なお図の上方では、一方材81と他方材91と連結具11が分離した状態を描いてあり、図の下方では、これらが一体化した状態を描いてある。ここで使用する連結具11は、図1と全く同じ物であり、しかも一方材81と他方材91のいずれも、その端面の中央から伸びるスリット87、97を加工してあり、そこに連結具11を差し込む点に変わりはない。ただしここでは一方材81のスリット87が長く、他方材91のスリット97が短くなっており、必然的に連結具11は、一方材81に偏って配置される。そのため窓穴89は、一方材81だけに加工してある。
【0024】
一方材81に作用する荷重は、固定ピン78と連結具11を介して他方材91に伝達される。そのため一方材81において、横穴88の加工位置の近傍から端面までの区間では、大きな荷重が作用することはなく、窓穴89によって建築物などの強度を低下させることはない。ただし連結具11については、必要な強度を確保できることを前提に大穴39の大きさを決める必要がある。
【0025】
図3は、コの字状の連結具13を用いて一方材81と他方材92を連結する場合を示しており、図の上方では、一方材81と他方材92と連結具13が分離した状態を描いてあり、図の下方では、これらを一体化した状態を描いてある。ここでの他方材92は、柱のように垂直方向に伸びており、その上部の側面に一方材81の端面が接触し、一方材81と他方材92は、連結具13を介してL字状に連結される。そしてこの連結具13は、鋼板をコの字状に折り曲げて形成され、その中央に位置する前板33と、前板33の左右両側から突出する側板35と、で構成されており、前板33は他方材92の側面に接触するほか、二枚の側板35は一方材81のスリット87に差し込まれる。スリット87は一方材81の端面から伸びており、必然的に二列となるほか、一方材81の端面中央に前板33を収容するため、スリット87同士の間には段差を加工してある。
【0026】
連結具13の前板33には、他方材92の側面に向けて突出するホゾ34を上下二箇所に形成してあり、他方材92の側面には、これに対応したホゾ穴94を加工してあり、ホゾ34がホゾ穴94に嵌まり込むことで、連結具13の移動が規制される。さらに他方材92と連結具13は、固定ボルト74で一体化される。固定ボルト74は、二枚の側板35の間からホゾ34の中心に向けて差し込み、その先端部をホゾ穴94の反対側の対向穴95に到達させる。そして固定ボルト74の先端部にワッシャ72を差し込んだ後、ナット75を螺合させて締め付けると、連結具13が他方材92の側面に密着する。なおこの際、固定ボルト74の頭部はホゾ34の内部に収容される。
【0027】
他方材92に連結具13を取り付けた後、連結具13の側板35を一方材81のスリット87に差し込み、次に一方材81に固定ピン78を打ち込むことで、一方材81を連結具13に取り付ける。そのため一方材81の側面には横穴88を加工してあり、横穴88は二列のスリット87と交差して反対面に到達する。また側板35には、固定ピン78を差し込むためのピン穴38とピン溝37を形成してある。このような構成の連結具13は従来から存在しているが、ここでは側板35の長さ(前板33との接続部から端面までの長さ)を増大させ、前板33との接続部からピン穴38までの区間に大穴39を形成してある。当然ながら大穴39は、二枚の側板35のそれぞれに形成してある。さらに大穴39に対応し、一方材81には窓穴89を加工してある。
【0028】
この一方材81と他方材92を連結する際は、まず連結具13の前板33を他方材92の側面に接近させていき、連結具13のホゾ34を他方材92のホゾ穴94に嵌め込み、前板33を他方材92に接触させる。次に固定ボルト74を連結具13から他方材92に向けて差し込み、その先端部にナット75を螺合させ、連結具13を他方材92に取り付ける。その後、連結具13の側板35を一方材81のスリット87に差し込み、一方材81の横穴88と連結具13のピン穴38を同心に揃えた後、横穴88に固定ピン78を打ち込むと、図の下方のように、連結具13を介して一方材81と他方材92が連結される。この際、窓穴89と大穴39は段差なく重なり、配管のための開口が確保される。
【0029】
一方材81に作用する荷重は、固定ピン78と連結具13を介して他方材92に伝達される。そのため一方材81において、横穴88の加工位置の近傍から端面までの区間では、大きな荷重が作用することはなく、窓穴89によって一方材81の強度が低下することはない。なお一方材81の横穴88は、上下三箇所に加工してあるが、その一番上については、あらかじめ固定ピン78を打ち込んでおき、スリット87に側板35を差し込んだ際、この固定ピン78をピン溝37に嵌め込むことで、一方材81の落下を防ぐことができ、その後、残る二箇所の横穴88に固定ピン78を打ち込んでいく。
【0030】
図4は、図1および図3に類似する連結具12、14を示しており、図の上方では、矩形状の鋼板に二箇所の大穴39を形成した連結具12を描いてあり、図の下方では、T字状の連結具14を描いてある。この図の上方の連結具12は、図1のものに類似しているが、図1の連結具11の延長を増大させており、さらに大穴39を左右二箇所に形成してある。このように大穴39を二箇所としたことに伴い、一方材81と他方材91の双方に窓穴89、99を加工してあり、配管のための開口が二箇所に確保される。なお一方材81に作用する荷重は、固定ピン78と連結具12を介して他方材91に伝達していく。そのため一方材81と他方材91のいずれも、横穴88、98の加工位置の近傍から端面までの区間は、大きな荷重が作用することはなく、ここに窓穴89、99を加工した場合でも、強度の低下を生じることはない。
【0031】
図4の下方の連結具14は、図3のものに類似しているが、ここでは側板35が一枚だけのT字状になっており、前板33の中央から側板35が突出している。そして前板33を他方材92の側面に接触させた後、固定釘73を差し込むことで連結具14が他方材92に取り付けられる。また側板35については、図3のものと同様、大穴39とピン穴38とピン溝37を形成してあり、側板35を一方材81のスリット87に差し込んだ後、一方材81の横穴88に固定ピン78を打ち込むことで、連結具14を介して一方材81と他方材92が連結される。以降、窓穴89と大穴39は段差なく重なり、配管のための開口が確保される。
【0032】
図5は、階段状の連結具15を用いて一方材81と他方材92を連結する場合を示している。ここでの一方材81は水平方向に伸びており、また他方材92は、柱のように垂直方向に伸びており、他方材92の側面と一方材81の端面が向かい合うことになるが、双方は接触することなく、その間に連結具15と対金具25が挟み込まれる。この連結具15は、鋼材を切り出した塊状であるが、その一側面は階段状に削り落としてあり、この側面の中間には上向きの段差面41を形成してあり、段差面41の中央にはメネジ42を形成してあるほか、このメネジ42の両側にはピン穴43を形成してある。そのほか段差面41の上下に位置する壁面には、抜け穴44を形成してある。抜け穴44は反対面に到達しているが、その入り口側は内径を拡大してある。
【0033】
この図の連結具15は、単独で使用することが不可能であり、対金具25と一体で使用することを前提としている。対金具25は連結具15と同様、鋼材を切り出した塊状であるが、その一側面は階段状に削り落としてあり、この側面の中間には下向きの段差面45を形成してある。そして対金具25の段差面45を連結具15の段差面41に接触させるほか、段差面41、45の上下に位置する壁面同士も接触させ、さらに連結具15と対金具25の側面同士を段差なく揃えることで、連結具15と対金具25が一つの矩形状の塊になる。なお対金具25において、段差面45の上下に位置する壁面には、抜け穴48を形成してある。抜け穴48は反対面に到達しているが、その入り口側は内径を拡大してある。
【0034】
連結具15と対金具25が接触して一つの矩形状の塊になった後、双方を離脱不能に一体化するため、寄せボルト76と貫通ピン77を用いている。そのため対金具25には、その上面から段差面45に向けて伸びる縦穴46とピン穴47を形成してある。縦穴46は、寄せボルト76を差し込むためのものであり、段差面45の中央に配置してあり、連結具15のメネジ42と同心で並ぶ。またピン穴47は、貫通ピン77を差し込むためのものであり、縦穴46を挟み込むように二箇所に配置してあり、連結具15のピン穴43と同心で並ぶ。そして実際に縦穴46に寄せボルト76を差し込み、その先端部をメネジ42に螺合させた後、寄せボルト76を締め付けると、連結具15が対金具25に引き寄せられ、連結具15と対金具25が一体化する。さらに、対金具25のピン穴47から連結具15のピン穴43に向けて貫通ピン77を差し込むと、連結具15と対金具25との間で大きな荷重を伝達できるようになる。
【0035】
連結具15を一方材81に取り付けるため、一方材81には埋設具61を埋め込む。また対金具25を他方材92に取り付けるため、他方材92にも埋設具61を埋め込む。埋設具61は、一方材81や他方材92と強固に一体化され、連結具15や対金具25の取り付け部として機能する金属部品であり、様々な物を選択可能だが、ここではラグスクリューを用いている。埋設具61の側周面には、螺旋状に伸びる凸条66が突出しているほか、埋設具61の一端面には六角形の頭部65を形成してあり、その中心にメネジ64を形成してある。そして一方材81の端面には、上下二箇所に下穴86を加工してあり、そこに埋設具61を埋め込む。同様に他方材92の側面にも、上下二箇所に下穴96を加工してあり、そこにも埋設具61を埋め込む。その際、埋設具61の凸条66は下穴86、96の内周面に食い込み、埋設具61は一方材81や他方材92と強固に一体化する。
【0036】
一方材81と他方材92の双方に埋設具61を埋め込んだ後、一方材81の端面に連結具15を接触させ、次に連結具15の抜け穴44から埋設具61のメネジ64に向けて固定ボルト74を差し込み、これを締め付けると、連結具15が一方材81に取り付けられる。同様に、他方材92の側面に対金具25を接触させた後、対金具25の抜け穴48から埋設具61のメネジ64に向けて固定ボルト74を差し込み、これを締め付けると、対金具25が他方材92に取り付けられる。なお締め付け後の固定ボルト74の頭部は、抜け穴44、48の入り口側に収容され、連結具15や対金具25の側面から突出することはない。
【0037】
連結具15は、一方材81の端面と他方材92の側面との間に挟み込まれ、一方材81と他方材92が接触することはない。また連結具15は、一方材81の端面と一体化するため、一方材81の延長部分として機能する。そして連結具15の側面には大穴39を形成してあり、これによって一方材81で区画された空間同士が連通した状態になり、配管のための開口が確保される。したがってこの形態では、一方材81の内部に配管のための開口を加工することはない。そのほか埋設具61については、この図のようなラグスクリューのほか、金属棒を接着で固定する形態や、シャフトをピンで固定する形態など、自在に選択可能である。
【0038】
図6は、図5に描いた一方材81と他方材92を連結していく過程を示しており、図の上方は途中段階であり、図の下方は最終段階である。図5の状態において、他方材92の側面に対金具25を接触させた後、対金具25の側面から埋設具61に向けて固定ボルト74を差し込むことで、対金具25が他方材92に取り付けられる。また一方材81の端面に連結具15を接触させた後、連結具15の側面から埋設具61に向けて固定ボルト74を差し込むことで、連結具15が一方材81に取り付けられる。なお締め付け後の固定ボルト74の頭部は、連結具15や対金具25の内部に埋め込まれるため、連結具15と対金具25との面接触を妨げることはない。さらに連結具15に差し込む固定ボルト74は、大穴39と交差しないよう、双方の配置を調整してあり、大穴39の大きさの上限は、連結具15の強度のほか、固定ボルト74の配置によって決まることになる。
【0039】
図の下方のように、連結具15と対金具25を面接触させた後、対金具25の上面から寄せボルト76を差し込み、これを締め付けることで連結具15が対金具25に引き寄せられ、双方が一体化する。さらに対金具25の上面から貫通ピン77を差し込み、これが対金具25と連結具15の双方を貫くことで、引張荷重やせん断荷重の伝達を担うことができ、この状態で一方材81と他方材92との連結が完了する。
【0040】
この図では、連結具15や対金具25を一方材81の横幅と揃えており、一方材81から他方材92までの各側面は段差なく並んでいる。また一方材81と他方材92は、接触することなく離れて配置され、その間に連結具15と対金具25が挟み込まれた状態になっており、連結具15と対金具25は覆い隠されることなく外部に露出する。そして連結具15の大穴39は、一方材81の端面の延長部分に位置しており、一方材81で区画された空間同士を連通することに変わりはない。
【0041】
図7は、階段状の連結具16を用いて一方材81と他方材92を連結する場合を示しており、この連結具16は、本体21と付属部22の二要素に分割されている。ここでの一方材81は水平方向に伸びており、また他方材92は柱のように垂直方向に伸びており、他方材92の側面に一方材81の端面が接触することになるが、連結具16などを収容するため、一方材81の端部中央には格納溝85を加工してある。そして連結具16は、本体21と付属部22で構成され、そのうち本体21は鋼材を切り出した塊状であるが、その一側面は階段状に削り落としてあり、この側面の中間には上向きの段差面41を形成してあり、段差面41の中央にはメネジ42を形成してあるほか、このメネジ42の両側にはピン穴43を形成してある。そのほか段差面41の上下に位置する壁面には、抜け穴44を形成してある。抜け穴44は反対面に到達しているが、その入り口側は内径を拡大してある。
【0042】
付属部22は矩形状の塊であり、その高さや横幅は本体21と揃えてあり、本体21の側面(段差面41のある側面の反対側)に接触する。そして付属部22には、配管のための開口として機能する大穴39を形成してあるほか、本体21の抜け穴44と同心に揃う位置には、中継穴29を形成してあり、これは反対面に到達している。なお中継穴29は、大穴39と交差しないように配置してある。
【0043】
この図の連結具16は、本体21と付属部22で構成されるが、この二要素だけで使用することは不可能であり、対金具26と一体で使用することを前提としている。対金具26は、本体21と同様、鋼材を切り出した塊状であるが、その一側面は階段状に削り落としてあり、この側面の中間に下向きの段差面45を形成してある。そして対金具26の段差面45を本体21の段差面41に接触させるほか、段差面41、45の上下に位置する壁面同士も接触させ、さらに本体21と対金具26の側面を段差なく揃えることで、本体21と対金具26のほか、付属部22も併せて一つの矩形状の塊になる。なお対金具26において、段差面45の上下に位置する壁面には、抜け穴48を形成してある。抜け穴48は、反対面に到達しているが、その入り口側は内径を拡大してある。
【0044】
本体21と対金具26が接触して一つの矩形状の塊になった後、双方を離脱不能に一体化するため、寄せボルト76と貫通ピン77を用いている。そのため対金具26には、その上面から段差面45に向けて伸びる縦穴46とピン穴47を形成してある。縦穴46は、寄せボルト76を差し込むためのものであり、段差面45の中央に配置してあり、本体21のメネジ42と同心で並ぶ。またピン穴47は、貫通ピン77を差し込むためのものであり、縦穴46を挟み込むように二箇所に配置してあり、本体21のピン穴43と同心で並ぶ。そして実際に縦穴46に寄せボルト76を差し込み、その先端部をメネジ42に螺合させた後、寄せボルト76を締め付けると、本体21が対金具26に引き寄せられ、本体21と対金具26が一体化する。さらに、対金具26のピン穴47から本体21のピン穴43に向けて貫通ピン77を差し込むことで、本体21と対金具26との間で大きな荷重を伝達できるようになる。
【0045】
連結具16を一方材81に取り付けるため、一方材81には埋設具61を埋め込む。また対金具26を他方材92に取り付けるため、他方材92にも埋設具61を埋め込む。埋設具61は、一方材81や他方材92と強固に一体化され、連結具16や対金具26の取り付け部として機能する金属部品であり、様々な物を選択可能だが、ここではラグスクリューを用いている。埋設具61の側周面には、螺旋状に伸びる凸条66が突出しているほか、埋設具61の一端面には六角形の頭部65を形成してあり、その中心にメネジ64を形成してある。そして他方材92の側面には、上下二箇所に下穴96を加工してあり、そこに埋設具61を埋め込む。同様に、一方材81の格納溝85の奥面にも、上下二箇所に下穴86を加工してあり、そこにも埋設具61を埋め込む。その際、埋設具61の凸条66は下穴86、96の内周面に食い込み、埋設具61は一方材81や他方材92と強固に一体化する。
【0046】
一方材81と他方材92の双方に埋設具61を埋め込んだ後、一方材81の格納溝85に連結具16を収容し、次に本体21の抜け穴44から付属部22の中継穴29に向けて固定ボルト74を差し込み、その先端部を埋設具61のメネジ64に螺合させ、固定ボルト74を締め付けると、連結具16が一方材81に取り付けられる。したがって、固定ボルト74を締め付けた段階で本体21と付属部22が一体化し、一個の連結具16として機能することになる。また、他方材92の側面に対金具26を接触させた後、対金具26の抜け穴48から埋設具61のメネジ64に向けて固定ボルト74を差し込み、これを締め付けると、対金具26が他方材92に取り付けられる。なお締め付け後の固定ボルト74の頭部は、抜け穴44、48の入り口側に収容され、本体21や対金具26の側面から突出することはない。
【0047】
一方材81の側面には、付属部22の大穴39と同じ大きさの窓穴89を加工してあり、窓穴89と大穴39が重なるように並ぶことで配管のための開口が確保される。なおこの図の一方材81は、内部構造を示すため、その一部を切り欠いた状態で描いてあるが、実際には格納溝85を挟んで窓穴89が二箇所に配置されている。そのほか埋設具61については、この図のようなラグスクリューのほか、金属棒を接着で固定する形態や、シャフトをピンで固定する形態など、自在に選択可能である。
【0048】
図8は、図7に描いた一方材81と他方材92を連結していく過程を示しており、図の上方は途中段階であり、図の下方は最終段階である。図7の状態において、他方材92の側面に対金具26を接触させた後、対金具26の側面から埋設具61に向けて固定ボルト74を差し込むことで、対金具26が他方材92に取り付けられる。また一方材81の格納溝85に連結具16を配置し、その付属部22の側面を格納溝85の奥面に接触させ、次に付属部22の側面に本体21を接触させた後、本体21の側面から埋設具61に向けて固定ボルト74を差し込むことで、連結具16が一方材81に取り付けられる。なおこの固定ボルト74は、本体21から付属部22を経て埋設具61に到達しており、これを締め付けることで、付属部22は一方材81と本体21で挟み込まれ、一方材81に連結具16が取り付けられる。
【0049】
本体21に差し込む固定ボルト74は、大穴39と交差しないよう、双方の配置を調整してあり、大穴39の大きさの上限は、付属部22の強度のほか、固定ボルト74の配置によって決まることになる。そのほか締め付け後の固定ボルト74の頭部は、本体21や対金具26の内部に埋め込まれるため、本体21と対金具26との面接触を妨げることはない。
【0050】
図の下方のように、連結具16と対金具26を面接触させた後、対金具26の上面から寄せボルト76を差し込み、これを締め付けることで連結具16が対金具26に引き寄せられ、双方が一体化する。さらに対金具26の上面から貫通ピン77を差し込み、これが対金具26と連結具16の双方を貫くことで、引張荷重やせん断荷重の伝達を担うことができ、この状態で一方材81と他方材92との連結が完了する。
【0051】
この図の連結具16と対金具26は、一方材81の格納溝85に収容されており、外部への露出が少ない。また一方材81の窓穴89と連結具16の大穴39は、重なるように並んでおり、一方材81で区画された空間同士が連通しており、配管のための開口が確保されている。そのほか一方材81と連結具16との取り付け位置は、埋設具61と付属部22との接触面になる。そのため窓穴89を加工した位置に大きな荷重が作用することはなく、一方材81において強度上の問題を生じることはない。
【0052】
図9は、角棒状の連結具17を用いて一方材81と他方材91を連結する場合を示しており、この連結具17は、本体23と付属部24の二要素に分割されている。ここでの一方材81と他方材91はいずれも水平方向に伸びており、一方材81の端面が他方材91の側面に接触することになるが、連結具17などを収容するため、一方材81の端部の中央には格納溝85を加工してある。そして連結具17は、本体23と付属部24で構成され、そのうち本体23は、単純な角棒状の鋼材に先鋭部51や受け帯52を設けた構造になっており、先鋭部51は、本体23の下端部をクサビ状に仕上げた部位であり、また受け帯52は、本体23の上部から横方向に飛び出た帯状の部位である。そのほか本体23の側面には、付属部24に向けて抜け穴54を形成してある。抜け穴54は反対面に到達しているが、その入り口側は内径を拡大してある。
【0053】
付属部24は矩形状の塊であり、本体23の側面(受け帯52のある面の反対側)に接触させる。そして付属部24には、配管のための開口として機能する大穴39を形成してある。また付属部24において、本体23と接触する側面には、本体23の抜け穴54と同心に揃う位置にメネジ28を形成してある。このメネジ28は、大穴39などに到達することのない有底であり、本体23の抜け穴54に差し込まれる固定ボルト74と螺合する。そのため本体23と付属部24を接触させた後、抜け穴54に固定ボルト74を差し込み、その先端部をメネジ28に螺合させると、本体23と付属部24が一体化して一個の連結具17として機能する。そのほか付属部24において、メネジ28の反対側には上下二箇所に中継穴29を形成してある。中継穴29は、大穴39の内周面と付属部24の側面を結んでおり、これを用いて大穴39から一方材81に向けて固定ボルト74を差し込むことで、連結具17を一方材81に取り付けることができる。なお大穴39が円断面であることを考慮し、中継穴29の入り口には、固定ボルト74の頭部を載せるアダプタ79を組み込んでいる。
【0054】
この図の連結具17は、本体23と付属部24で構成されるが、この二要素だけで使用することは不可能であり、対金具27と一体で使用することを前提としている。対金具27は、本体23を上下反転させたような構造になっており、その先鋭部55は、対金具27の上端部をクサビ状に仕上げた部位であり、また受け帯56は、対金具27の下部から横方向に飛び出た帯状の部位である。そのほか対金具27の側面には、他方材91に向けて抜け穴58を形成してある。この抜け穴58は反対面に到達しているが、その入り口側は内径を拡大してある。
【0055】
連結具17を一方材81に取り付けるため、一方材81には埋設具62を埋め込む。また対金具27を他方材91に取り付けるため、他方材91にも埋設具62を埋め込む。埋設具62は、一方材81や他方材91と強固に一体化され、連結具17や対金具27の取り付け部として機能する金属部品であり、様々な物を選択可能だが、ここでは異形棒鋼を用いている。埋設具62の側周面には、周方向と軸線方向に伸びるリブ68を形成してあるほか、埋設具62の一端面の中心にはメネジ64を形成してある。そして他方材91の側面には、上下二箇所に下穴96を加工してあり、そこに埋設具62を埋め込む。同様に一方材81の格納溝85の奥面にも、上下二箇所に下穴86を加工してあり、そこにも埋設具62を埋め込む。なお埋設具62は、埋め込みの直前に接着剤69を塗布する必要があり、接着剤69によって一方材81や他方材91と強固に一体化する。
【0056】
一方材81と他方材91の双方に埋設具62を埋め込むほか、本体23と付属部24を固定ボルト74で一体化して連結具17を完成させ、次に連結具17を一方材81の格納溝85に収容し、その付属部24を格納溝85の奥面に接触させる。その後、付属部24の大穴39に露出する中継穴29に固定ボルト74を差し込み、その先端部を埋設具62のメネジ64に螺合させると、連結具17が一方材81に取り付けられる。同様に、他方材91の側面に対金具27を接触させた後、対金具27の抜け穴58から埋設具62に向けて固定ボルト74を差し込むと、対金具27が他方材91に取り付けられる。なお、本体23や対金具27に差し込む固定ボルト74の頭部は、抜け穴54、58の入り口側に収容され、本体23や対金具27の側面から突出することはない。
【0057】
一方材81と他方材91を連結する際は、あらかじめ連結具17を一方材81に取り付けておくほか、対金具27を他方材91に取り付けておき、次に一方材81などを移動させ、本体23と対金具27を接近させていき、双方の先鋭部51、55を相手方の受け帯56、52の内側に差し込むと、本体23と対金具27の側面同士が密着する。当然ながら、先鋭部51、55と受け帯52、56は、本体23と対金具27が緩みなく密着可能な形状に仕上げてある。
【0058】
本体23と対金具27を密着させた後、双方を離脱不能に一体化するため、貫通ピン77を差し込む。そのため本体23の側面にはピン穴53を形成してあるほか、対金具27については、その中間部から板を突出させ、その先にピン穴57を形成してある。さらに貫通ピン77の差し込みを実現するため、一方材81の側面には横穴88を加工してある。横穴88は格納溝85を挟んで一方材81の両側面に配置される。そして貫通ピン77の差し込みを終えることで、一方材81と他方材91との連結が完了する。
【0059】
一方材81の側面には、付属部24の大穴39と同じ大きさの窓穴89を加工してあり、窓穴89と大穴39が重なるように並ぶことで配管のための開口が確保される。なおこの図の一方材81は、内部構造を示すため、その一部を切り欠いた状態で描いてあるが、実際には格納溝85を挟んで窓穴89が二箇所に配置されている。また連結具17において、付属部24は格納溝85に応じた横幅としてあるが、本体23については、その受け帯52との兼ね合いから、横幅が狭くなっている。そのほか埋設具62については、この図のような異形棒鋼に限定されるものではなく、ラグスクリューを用いる形態や、シャフトをピンで固定する形態など、自在に選択可能である。
【0060】
図10は、図9に描いた一方材81と他方材91を連結していく過程を示しており、図の上方は途中段階であり、図の下方は最終段階である。なお図の左下には、本体23と対金具27が密着した状態を描いてある。図9の状態において、他方材91の側面に対金具27を接触させた後、対金具27の側面から埋設具62に向けて固定ボルト74を差し込むことで、対金具27が他方材91に取り付けられる。また、本体23と付属部24を固定ボルト74で一体化して連結具17を完成させ、次に連結具17を一方材81の格納溝85に収容し、その付属部24を格納溝85の奥面に接触させる。その後、一方材81の窓穴89から大穴39に向け、アダプタ79と固定ボルト74を差し入れ、アダプタ79を大穴39の内面に接触させ、次に固定ボルト74を埋設具62に向けて差し込むことで、連結具17が一方材81に取り付けられる。
【0061】
この図において、一方材81の埋設具62に螺合する固定ボルト74は、大穴39の中から差し込んでいる。そのため大穴39の上下には、固定ボルト74を差し込むための穴を形成する必要がなく、大穴39の上下寸法を一段と拡大することができる。しかもこの図では、埋設具62を上下二箇所としているが、これを増やすことで、強度上の問題を生じることもない。ただし付属部24は、一方材81に作用するあらゆる荷重を伝達することから、その分の強度を確保する必要がある。そのほか本体23や対金具27に差し込む固定ボルト74の頭部は、本体23や対金具27の内部に埋め込まれるため、本体23と対金具27との面接触を妨げることはない。
【0062】
一方材81と他方材91を接近させていき、本体23と対金具27の双方の先鋭部51、55を相手方の受け帯56、52の内側に差し込むと、本体23と対金具27の側面同士が密着し、図の下方のように、一方材81の端面が他方材91の側面に接触する。その後、一方材81の横穴88に貫通ピン77を差し込み、これが対金具27と連結具17の双方を貫くことで、一方材81と他方材91が離脱不能になるほか、引張荷重やせん断荷重の伝達が可能になり、一方材81と他方材91との連結が完了する。
【0063】
この図の連結具17と対金具27は、一方材81の格納溝85に収容されており、外部への露出が少ない。また一方材81の窓穴89と連結具17の大穴39は、重なるように並んでおり、一方材81で区画された空間同士が連通しており、配管のための開口が確保されている。なお大穴39には、アダプタ79などが露出することになる。そのほか一方材81と連結具17との取り付け位置は、埋設具62と付属部24の接触面になる。そのため窓穴89を加工した位置に大きな荷重が作用することはなく、一方材81において強度上の問題を生じることはない。
【0064】
本発明は、これまでの各図に描いた形態に限定されるものではなく、各図に描いた個別の構成要素を実現可能な範囲で自在に組み合わせ、様々な形態を構築することができる。ただしいずれも場合でも、配管のための開口を確保できるよう、一方材81で区画された空間同士を大穴39で連通させるものとする。また、大穴39と重なるように一方材81に窓穴89を加工した場合でも、その近傍では荷重が連結具に伝達されており、一方材81において窓穴89の近傍には、大きな荷重が作用することがないものとする。
【符号の説明】
【0065】
11 連結具(プレート状のもの:大穴が一箇所)
12 連結具(プレート状のもの:大穴が二箇所)
13 連結具(コの字状のもの)
14 連結具(T字状のもの)
15 連結具(階段状のもの)
16 連結具(階段状のもの・本体と付属部で構成)
17 連結具(棒状のもの・本体と付属部で構成)
21 本体
22 付属部
23 本体
24 付属部
25 対金具
26 対金具
27 対金具
28 メネジ
29 中継穴
33 前板
34 ホゾ
35 側板
37 ピン溝
38 ピン穴
39 大穴
41 段差面
42 メネジ
43 ピン穴
44 抜け穴
45 段差面(対金具側)
46 縦穴
47 ピン穴(対金具側)
48 抜け穴(対金具側)
51 先鋭部
52 受け帯
53 ピン穴
54 抜け穴
55 先鋭部(対金具側)
56 受け帯(対金具側)
57 ピン穴(対金具側)
58 抜け穴(対金具側)
61 埋設具(ラグスクリュー)
62 埋設具(異形棒鋼)
64 メネジ
65 頭部
66 凸条
68 リブ
69 接着剤
72 ワッシャ
73 固定釘
74 固定ボルト
75 ナット
76 寄せボルト
77 貫通ピン
78 固定ピン
79 アダプタ
81 一方材
85 格納溝
86 下穴
87 スリット
88 横穴
89 窓穴
91 他方材(水平方向に伸びるもの)
92 他方材(垂直方向に伸びるもの)
94 ホゾ穴
95 対向穴
96 下穴
97 スリット
98 横穴
99 窓穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10