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特開2023-40977FBG入りコイル状光ファイバーが埋入されたフレキシブルチューブ型センサー
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  • 特開-FBG入りコイル状光ファイバーが埋入されたフレキシブルチューブ型センサー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040977
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】FBG入りコイル状光ファイバーが埋入されたフレキシブルチューブ型センサー
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/353 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
G01D5/353 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021167734
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】721009450
【氏名又は名称】加藤 道男
(71)【出願人】
【識別番号】501204525
【氏名又は名称】国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 道男
(72)【発明者】
【氏名】西村 和哉
【テーマコード(参考)】
2F103
【Fターム(参考)】
2F103BA01
2F103BA04
2F103BA49
2F103CA04
2F103CA06
2F103EC09
2F103GA01
2F103GA07
2F103GA12
2F103GA14
2F103GA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】過酷環境下においても使用可能な光ファイバーセンサを提供する。
【解決手段】所定の位置にFBG(Fiber Bragg Grating)が施されたコイル状光ファイバー1が屈曲自在のチューブ2,3に埋入されているフレキシブルチューブ型センサー(FTS)。2重式チューブ2,3に挿入されている光ファイバー1の形状はコイルスプリング状でありこのコイルの所定位置にはFBG処理がほどこされており、FBG位置はコイル一巻き毎に90度おき4箇所となるよう成型してある光ファイバーセンサー。チューブユニットは使用目的に応じて収納可能なセンサー類(カメラ、超音波発信器、放射線計測器、温度計、圧力計、加速度計、振動計、音響受信機等)を収納可能とするためのセンサー収納容器4を接続可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置にFBG(Fiber Bragg Grating)が施されたコイル状光ファイバーが屈曲自在のチューブに埋入されているチューブ型センサーであって、チューブは被膜が2重式となっており、このチューブ被膜の中間にFBG入りファイバーが埋入されている事を特徴としているフレキシブルチューブ型センサー(FTS)。
【請求項2】
2重式チューブに挿入されている光ファイバーの形状はコイルスプリング状でありこのコイルの所定位置にはFBG処理がほどこされており、図2bに示すようにFBG位置はコイル一巻き毎に90度おき4箇所となるよう成型してある光ファイバーセンサー。
【請求項3】
FBG入りファイバーが埋入されているチューブセンサーを単体(ユニット)とし、このチューブユニットは使用目的に応じて収納可能なセンサー類(カメラ、超音波発信器、放射線計測器、温度計、圧力計、加速度計、振動計、音響受信機等)を収納可能とするためのセンサー収納容器を接続可能である。
【請求項4】
このためセンサー収納容器を接続するための端部構造を有する。この接続構造は光ファイバー及び導電線相互を接続するためのプラグ構造も兼ねている。
【請求項5】
前記のセンサー容器をセンサーチューブに接続した状態を1ユニットとし、これを多数個接続する事により、より大きな対象物や多種類のセンサーを必要とする場合も測定可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
測定対象物の一般的な測定目的として、形状、曲がりとその方向、存在位置、温度、歪、振動、圧力、深度、照度、音響及び放射線等があるが、これらを測定するためのセンサーとして抵抗線ひずみゲージ、半導体センサー、水や油等の液体、放射性物質及び光ファイバー等がある。これらセンサーは測定可能な環境条件により使用制限がある。即ち高温、低温、水中、電磁波、及び放射線環境等過酷環境下において使用可能なセンサーは大巾に制限されるが本発明による光ファイバーセンサー埋入のフレキシブルチューブ型センサーは過酷環境下においても使用可能なセンサーである。
【背景技術】
【0001】
過酷環境に対応して、耐熱、耐寒、耐圧、耐放射線用の材料を使用するとともに小型化又は高強度化等の対策を行うこととなるが、一般的には装置が大型化又は複雑化するために高価となる。さらに取扱い方法も煩雑となる。
【0002】
本発明はこれら課題解決のための計測方法を提供する。過酷環境下においても使用可能な光ファイバーを用いることにより高温、高圧、極低温、水中、極小場所や閉空間及び放射線環境における計測が可能となる。
【0003】
光ファイバーを計測用に用いる場合、ファイバーの一部に単数又は複数個のFBG(Fiber Bragg Grating)を作成し、その部分の応力変化に伴う歪量変化の大小により光の反射又は透過程度が異なることを測定する事によってそのファイバーの接している物体の歪や温度、圧力又は形状変化等が計測可能となる。このような使用法の場合、一般に光ファイバーセンサーと呼称されている。
【0004】
FBG付きの光ファイバーをセンサーとして使用する場合の一般的形態として、直線状ファイバーの任意の箇所に単数又は複数個のFBGを作成する場合(線状型)とファイバーの先端のみにFBGを施してセンサーとする場合(先端型)がある。先端型の場合、センサー1個につき測定箇所は1か所のみとなりnか所測定の場合はn個のセンサーが必要となる。これに対し線状型は1本のファイバー上に多数個のFBGを作成可能なため、複数個所の測定を1本のセンサーにより測定可能となる。
【0005】
この利点を生かすためにはFBG部分を対象物に確実に固定する必要があるが、ファイバー直径はミクロンオーダーのため接着剤等で長時間固定しておくことは困難である。このため一般的にはFBG作成部分を和紙又はプラスチック等の接着剤付き薄膜で挟み、この薄膜を対象物に貼り付ける方法が用いられる。
【0006】
通常の環境条件であれば上記の方法で問題ないが、高温、高圧 極低温または水中等では長時間の使用に耐えない。先端型センサーの場合、接着剤でなく金属管や鋼容器により保護されるため、多くの場合過酷条件に耐えられるが多点測定の場合は多数個のセンサーを必要とする。このため、その配線処理の場所と手数等に制限され測定対象が制限される。
【先行技術文献】
【0007】
【特許文献】
【特許文献】特開2011-75569(P2011-75569A)
【発明の概要】
抵抗線ひずみゲージや半導体ゲージ等の従来型ゲージではn箇所の測定に対しn本のリード線が必要であったがFBG付き光ファイバーセンサーであれば1本のファイバー上にn個のFBG部分を付ければ測定用リード線は1本で済む。このようなFBG付き光ファイバーセンサーの特徴である「1本のファイバーで多数点の同時測定が可能」の特徴を生かすとともに、測定点への貼り付け作業を無くし(又は削減する)、さらにチューブの被覆部にコイル型光ファイバーを埋入することによりチューブ型のセンサーとすることによりチューブ内をリード線導通部として使用可能となるため、リード線引き回し作業が大巾に簡素化するので配線用スペースが大巾に縮小できる。このセンサーチューブに各種センサー収納用容器を接続したチューブを1ユニットとし、測定目的に応じてユニット数を増減可能なので測定信号の種類と測定対象範囲が自由に選択可能となる。これら利便性実現を意図して本発明により「FBG付きコイル状光ファイバーセンサー入りチューブ」を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
図1にFBG付きコイル状光ファイバーセンサーが埋入されているフレキシブルチューブ(1ユニット)の実施例を示し、図2にコイル状光ファイバーに作成したFBGの位置を示す。図3には図2に示すコイル状光ファイバーをフレキシブルなチューブに埋入した例を、図4には図3に示すセンサーを、より強度の強いフレキシブルチューブ(図の例は鋼製コイル入りチューブ)に挿入し過酷環境中においても使用可能とした例を示す。図5には光ファイバーセンサー入りフレキシブルチューブユニットを接続して多機能型センサーとし、水中で使用する場合の実施例を示す。
【0009】
本発明は、線状光ファイバーの所定位置にFBG処理をした後、図2bに示すようにFBG位置が90度おきになるようコイル状に成型し、この状態でもセンサーとして使用可能な状態とする。
【00010】
光ファイバーのみの状態だと取扱い上の熟練性が要求されるため、コイル状ファイバーを図1図3及び図4に示すようにプラスティック(又はワイヤ入りチューブ)のようなフレキシブルなチューブ中に挿入して使用する場合を示す。チューブ内にワイヤー等の導線を通す必要が無ければチューブは1重で良いが、ワイヤー等を通すことを想定して2重被覆型のチューブを使用する。光ファイバーは外側と内側のチューブの中間に埋入されているため、測定対象以外の外力から保護されると共にチューブ内を通すリード線類との接触を防ぐ。この状態で測定対象となる建築物や機械構造物の変形(又は歪)発生部分に沿って設置すれば曲がり(形状)測定センサーの役目を果たす。
【00011】
災害現場等のように不規則で想定外の外力を受けるような環境を想定し、前記のフレキシブルチューブ入り光ファイバーをさらに鋼製コイル入りのチューブ(市販品例:ケイフレックス等)の内側に挿入して使用する(図4)ことも可能である。この方式によりより過酷環境での使用が可能となる。
【00012】
フレキシブルチューブ入り光ファイバーは単体でセンサーとして使用可能であるが、多機能型とするためチューブ片端に市販の各種センサーを収納可能なように円筒容型器を接続する。測定目的によってセンサー種類を変更可能なように容器材質は鉄鋼系、アルミ系及びプラスチック等選択可能であり大きさの変更も可能である。この容器とチューブとの接続方法は既存の接続金具(ニップル、フレキシブル管継手等)を用いて接続可能なように使用目的ごとに最適な形状に設計する。
【00013】
上記のような構造のユニット型チューブセンサーを複数個接続し多機能型センサーとして使用する実施例を図5に示す。チューブに接続した突起部に各種センサーを搭載しこれら信号送信のためのリード線はチューブ内の空間部を通して隣接するセンサーと接続する。この方式によれば計測対象が狭い場合は少ないユニット数で済み、広い場合は多数のユニットを接続することにより対応可能となる。
【00014】
例えば高い放射線環境の水中でカメラ撮影、放射線強度、温度、圧力、水深、障害物や水底存在物形状測定等のための超音波探触子及び自己位置測定のためのIMU等、多種のセンサー搭載を必要とする場合、本発明のFBG付き光ファイバー入りチューブであれば1個又は多数のユニットに分けてセンサーを搭載できるためセンサーユニットと接続する配線数は従来方式よりも大巾に減少するため過酷環境に隣接するデータ収録機器設置場所への配線引き回しが容易であり設置労力も大巾に軽減される。
【発明の効果】
【00015】
従来の抵抗線ひずみゲージや半導体ゲージ等の従来型ゲージではn箇所の測定に対しn本のリード線が必要であったがFBG付き光ファイバーセンサーであれば1本のファイバー上にn個のFBG部分を付ければ測定用リード線は1本で済む。このようなFBG付き光ファイバーセンサーの特徴である「1本のファイバーで多数点の同時測定が可能」の特徴を生かすとともに、測定点への貼り付け作業を無くし(又は削減する)、さらにチューブの被覆部にコイル型光ファイバーを埋入することによりチューブ型のセンサーとすることによりチューブ内をリード線導通部として使用可能となるため、リード線引き回し作業が大巾に簡素化するので配線用スペースが大巾に縮小できる。このセンサーチューブに各種センサー収納用容器を接続したチューブを1ユニットとし、測定目的に応じてユニット数を増減可能なので測定信号の種類と測定対象範囲が自由に選択可能となる他、センサー部から引き出す配線数も大幅に削減されるので従来方法よりも測定作業時間が縮小され作業全体が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【00016】
図1】本発明によるFBG付きコイル状光ファイバーがフレキシブルチューブに埋入されており、チューブ部分以外に複数個の他種センサー類を収納するための収納部を接続した状態(単一ユニット)での実施例を示す。
図2a】コイルスプリング状にした光ファイバーの所定位置に付設したFBGの位置を示す。
図2b】FBG位置が90度おきになるようコイル状に成型した図を示す。
図3】光ファイバーセンサー入りフレキシブルチューブのみで使用する場合の形状を示す。
図4】光ファイバーセンサー入りフレキシブルチューブを、より強度の強いフレキシブルチューブ(図の例は鋼製コイル入りチューブ)に挿入し過酷環境中においても使用可能とした例を示す。
図5】ユニット型チューブセンサーを複数個接続し、センサー収納部には複数個のセンサー類を搭載して多機能型センサーとし、水中等で使用する場合の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
所定の位置にFBG(Fiber Bragg Grating)が施されたコイル状光ファイバーが屈曲自在のチューブに埋入されているチューブ型センサーであって、チューブは被膜が2重式となっており、このチューブ被膜の中間にFBG入りファイバーが埋入されている事を特徴としているフレキシブルチューブ型センサー(FTS)。
2重式チューブに挿入されている光ファイバーの形状はコイルスプリング状でありこのコイルの所定位置にはFBG処理がほどこされており、図2bに示すようにFBG位置はコイル一巻き毎に90度おき4箇所となるよう成型してある光ファイバーセンサー。
FBG入りファイバーが埋入されているチューブセンサーを単体(ユニット)とし、このチューブユニットは使用目的に応じて収納可能なセンサー類(カメラ、超音波発信器、放射線計測器、温度計、圧力計、加速度計、振動計、音響受信機等)を収納可能とするためのセンサー収納容器を接続可能である。
【実施例0018】
図1にFBG付きコイル状光ファイバーセンサーが埋入されているフレキシブルチューブ(1ユニット)の実施例を示し、図2にコイル状光ファイバーに作成したFBGの位置を示す。図3には図2に示すコイル状光ファイバーをフレキシブルなチューブに埋入した例を、図4には図3に示すセンサーを、より強度の強いフレキシブルチューブ(図の例は鋼製コイル入りチューブ)に挿入し過酷環境中においても使用可能とした例を示す。図5には光ファイバーセンサー入りフレキシブルチューブユニットを接続して多機能型センサーとし、水中で使用する場合の実施例を示す。
【産業上の利用可能性】
【0019】
抵抗線ひずみゲージや半導体ゲージ等の従来型ゲージではn箇所の測定に対しn本のリード線が必要であったがFBG付き光ファイバーセンサーであれば1本のファイバー上にn個のFBG部分を付ければ測定用リード線は1本で済む。このようなFBG付き光ファイバーセンサーの特徴である「1本のファイバーで多数点の同時測定が可能」の特徴を生かすとともに、測定点への貼り付け作業を無くし(又は削減する)、さらにチューブの被覆部にコイル型光ファイバーを埋入することによりチューブ型のセンサーとすることによりチューブ内をリード線導通部として使用可能となるため、リード線引き回し作業が大巾に簡素化するので配線用スペースが大巾に縮小できる。このセンサーチューブに各種センサー収納用容器を接続したチューブを1ユニットとし、測定目的に応じてユニット数を増減可能なので測定信号の種類と測定対象範囲が自由に選択可能となる。
測定対象物の一般的な測定目的として、形状、曲がりとその方向、存在位置、温度、歪、振動、圧力、深度、照度、音響及び放射線等があるが、これらを測定するためのセンサーとして抵抗線ひずみゲージ、半導体センサー、水や油等の液体、放射性物質及び光ファイバー等がある。これらセンサーは測定可能な環境条件により使用制限がある。即ち高温、低温、水中、電磁波、及び放射線環境等過酷環境下において使用可能なセンサーは大巾に制限されるが本発明による光ファイバーセンサー埋入のフレキシブルチューブ型センサーは過酷環境下においても使用可能なセンサーである。このため廃炉作業が進められている福島第一原子力発電所格納容器内の水中部分を始め、豪雨災害による洪水や土砂崩れによる瓦礫下の探査、地震による倒壊家屋の瓦礫内、海洋構造物の海中部分検査等の過酷環境への適用が可能となる。また陸上では介護ロボットや介護対象者身体への直接取付けにより動作データを遠隔的に収集できるので介護産業の発展にも繋がる。以上のように「FBG付きコイル状光ファイバーセンサー入りチューブ」は各種産業への適用範囲が広い。
【符号の説明】
【0020】
1 光ファイバー
2 外側フレキシブルチューブ(outer FT)
3 内側フレキシブルチューブ(inner FT)
4 他種センサー類収納容器
5 隣接ユニット接続部
6 隣接ユニットのセンサー類収納容器
7 FBG位置(0度)
8 FBG位置(90度)
9 FBG位置(180度)
10 FBG位置(270度)
11 FBG位置(0度)
12 FBG位置(90度)
13 FBG位置(180度)
14 FBG位置(270度)
15 FBG位置(0度)
16 FBG位置(90度)
17 FBG位置(180度)
18 FBG位置(270度)
19 自在接手
20 牽引用ロボット(遠隔操作式自力走行装置:AUV,ROV等)
21 牽引用ロープ、ワイヤー又は導線コード
22 ユニット接続後の多結節型フレキシブルセンサーチューブ
【受託番号】
【・・・・】
【配列表フリーテキスト】
【配列表】
【選択図】
図1
図1
図2
図3
図4
図5